説明

蓋材および包装体および包装体の製造方法

【課題】内層と外層とを積層してなる蓋材において、接着剤による接着強度をコントロールするなどの複雑な工程を要することなく、簡便に外層と内層とを安定した状態で剥離可能に積層できるようにする。
【解決手段】外層12を基材層12aとポリエチレン系樹脂層12bとから構成し、内層11を延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材層11aと、熱接着性樹脂からなるシール層11bとから構成し、外層12のポリエチレン系樹脂層12bと内層11の基材層11aとが界面剥離可能にこれらを積層して蓋材10を形成した。外層12と内層11とが直接積層されているため、別途接着剤を用いる必要がなく、簡便に安定した状態で剥離可能とすることができる。この蓋材10を打ち抜いてなる蓋を、容器のフランジに高温度でヒートシールしても、外層12と内層11との界面に接着剤を用いていないため、剥離強度に変化が生じず、手で容易に剥離させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品、飲料品や芳香剤、消臭剤等を収納した容器の封緘に用いるのに好適な内層と外層とが剥離可能に積層された蓋材、およびこの蓋材を用いた包装体、およびこの包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や2に記載されているように、外層と内層とを接着剤を介して剥離可能に積層した蓋材が既に知られている。
このような蓋材は、食品、飲料品や芳香剤、消臭剤等が収納された容器の開口を封緘するのに好適である。
【0003】
すなわち、外層と内層とが接着した状態では、この蓋材からなる蓋により容器を密封すると、収納物が外部へ遺漏することがなく、外層にバリアー性を有する素材を用いるなどすると収納物の経年劣化を防止できるため、保存に好適である。
そして、内層から外層を剥離させると、内層が容器開口に接着された状態で残るため、収納物が芳香剤や消臭剤である場合には、内層にあらかじめ設けられた複数の小さな貫通孔あるいは切れ込み(特許文献1の図3参照)が現れ、これを通じて芳香剤や消臭剤が外気へと拡散し使用状態となる。
また、収納物が食品や飲料品である場合には、内層にあらかじめ設けられ、あるいは外層の剥離とともに形成された部分開口(特許文献2の図4参照)が現れ、これを通じてストローやスプーンを差し込むことで喫食可能状態となる。
【0004】
このとき、内層に設けられた部分開口や貫通孔、切れ込みの大きさは調節可能であるため、これを小さくすることで容器内に塵埃が侵入することが防止される。
このため、収納物が消臭剤や芳香剤である場合には、容器内に塵埃が堆積せずに見栄えがよく、また消臭剤や芳香剤の表面に塵埃が付着することがないため、消臭性能等が低下することもない。
また、収納物が食品や飲料品である場合には、食品や飲料品がこぼれにくく、またこれらに塵埃が付着することなく衛生的である。
【0005】
しかし、このような蓋材は、外層と内層との接着強度をコントロールするのが難しく、弱接着剤と強接着剤とを組み合わせた複雑な塗布工程が必要であった(特許文献1の図6および特許文献2の図1参照)。
そのため、この接着強度のコントロールがばらつくと、接着強度が強すぎて外層が手で容易に剥離できなかったり、逆に接着強度が弱すぎて外層が不用意に(勝手に)剥離したりしてしまうという問題があった。
また、この蓋材よりなる蓋を容器の開口部フランジにヒートシールする際、これら弱接着剤および強接着剤あるいはその他の接着剤にも熱がかかり、接着強度が上昇するため、外層の剥離が一層困難になる問題があった。
【特許文献1】特許第3030325号公報
【特許文献2】特開平5−270545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、内層と外層とを積層してなる蓋材において、接着剤による接着強度をコントロールするなどの複雑な工程を要することなく、簡便に外層と内層とを安定した状態で剥離可能に積層できる手段および、蓋材よりなる蓋を容器の開口部フランジに高温度でヒートシールしても、外層が剥離不良を起すことなく、手で容易に剥離できる手段を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、この発明では、内層と外層とを積層してなる蓋材について、外層は内層との界面にポリエチレン系樹脂層を有するものとし、この外層のポリエチレン系樹脂層と内層とを界面剥離可能に形成したのである。
【0008】
このようにすれば、外層と内層とはその界面で剥離可能な状態で直接積層されているため、別途接着剤を用いる必要がなく、そのため接着強度をコントロールするなどの複雑な工程を要することなく、簡便に安定した状態で剥離可能に積層することができる。
また、この蓋材よりなる蓋を、容器の開口部フランジに高温度でヒートシールしても、外層と内層との界面に接着剤を用いていないため、剥離強度に変化が生じず、剥離不良を起すことなく、手で容易に剥離させることができる。
【0009】
より具体的には、内層と外層とを積層してなる蓋材において、外層は内層との境界にポリエチレン系樹脂層を有するものとし、内層は延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材層と、熱接着性樹脂からなるシール層とを少なくとも有するものとし、このシール層は外面ヒートシール面を構成するものとし、外層のポリエチレン系樹脂層と内層とを界面剥離可能に形成したのである。
【0010】
ここで、内層に延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材層を設けたのは、外層を剥離した後においても、内層単体で蓋材としての十分な強度を維持するためであり、熱接着樹脂からなるシール層を設けたのは、容器の開口部フランジに蓋材をヒートシールするためである。
【0011】
内層に、その厚み方向に貫通する単数または複数の貫通孔を設けておくと、外層を内層から剥離すると簡単に低コストで部分開口を形成することができる。
【0012】
外層のポリエチレン系樹脂層と内層との界面剥離強度を、0.02N/15mmから0.5N/15mmとすると、手で容易に剥離することができ、しかも外層が不用意に(勝手に)剥離する心配もない。
【0013】
内層は、上記外層のポリエチレン系樹脂層との境界に、ブテン含有ポリプロピレン樹脂層を有するものとすると、界面剥離強度のばらつきを抑えて一定範囲に保つことが容易となる。
【0014】
開口部にフランジを有する樹脂製容器に収納物を収納し、そのフランジ上面に、上記蓋材よりなる蓋の内層のシール層を当ててリングシールして包装体を形成すると、このリングシールした部分で蓋の内層が脆弱化するため、蓋の外縁部分(主にタブ)の内層と外層とを同時に掴んでも、内層がリングシール部分で破断し、リングシールより内側が容器開口部に残存するため、内層全体を外層と一緒にフランジから剥がしてしまう恐れがない。
そのため、従来の接着剤を用いた蓋のように、内層と外層を同時に容器開口から剥がしてしまうことを防ぐために、タブの部分の内層と外層とを分離するような手間が要らず、確実に外層のみをフランジから剥がすことが可能である。
【0015】
また、収納物を収納した樹脂製容器のフランジ上面の一部または全部に、凸部や凹部を設け、このフランジ上面に、上記蓋材よりなる蓋の内層のシール層を当ててヒートシールして包装体を形成すると、シール時の凸部等により蓋が押圧されるなどしてこの部分の内層が脆弱化するため、リングシールした場合と同様の効果を奏することが可能となる。
【0016】
上記包装体を製造するに当たっては、ヒートシールの温度を210℃〜240℃とすると、蓋内層のリングシール部分や容器の凸部や凹部に接着する部分の十分な脆弱化が図られ蓋(外層)を剥がしても内層が容器開口から剥がれてしまう心配がなく、かつ蓋外層の物性に影響を与えることなく、剥離強度が変化する心配も無い。
【発明の効果】
【0017】
内層と外層とを積層してなる蓋材を、外層は内層との界面にポリエチレン系樹脂層を有するものとし、この外層のポリエチレン系樹脂層と内層とを界面剥離可能に形成したことにより、接着強度をコントロールするなどの複雑な工程を要することなく、簡便に安定した状態で剥離可能に積層できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、第一の実施形態にかかる蓋材10は、内層11と外層12とからなり、内層11は、基材層11aとシール層11bとからなり、外層12は、基材層12aとポリエチレン系樹脂層12bとからなり、この内層11の基材層11aと外層12のポリエチレン樹脂層12bとがその界面で剥離可能な状態で積層されて形成されている。
【0020】
内層11の基材層11aは、内層11の強度を高め、外層12を剥離する際や、剥離した後、不用意に破れないように延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム、延伸PP)から形成されている。
この延伸ポリプロピレンフィルムの厚みは、12μmから120μmとすると、嵩張らず、しかも強度も十分であるため好ましい。
【0021】
内層11のシール層11bは、蓋材10を後述する容器40の開口部にヒートシール可能なように、熱接着性樹脂から形成されている。
熱接着性樹脂の種類は特に限定されることはないが、例えば無延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエチレン、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、スチレン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等を挙げることができ、勿論市販のシーラントフィルムを用いることもできる。
シール層11bの厚みは特に制限されるものではないが、通常2μmから60μm程度である。
また、基材層11aとシール層11bの積層方法は特に制限されるものではなく、各種コート法、ドライラミネート接着剤を用いたドライラミネート法などを挙げることができる。
【0022】
外層12の基材層12aは、特に種類は制限されず、紙、樹脂フィルム、アルミニウム箔などを用いることができ、必要に応じて基材層12aの表裏面または中間層に印刷や着色等を施しても良い。
特に、基材層12aとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBTフィルム)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)、アルミニウム箔、無機酸化物蒸着フィルムから選ばれる少なくとも1種を用いるのが強度、コスト、バリアー性等の点から好ましい。
なお、勿論、同種または異種のフィルム、アルミニウム箔等を2種以上積層して用いてもよい。
また、基材層12aの厚みも特に制限されることはないが、通常12μmから200μm程度が嵩張らず、強度も十分であるため好ましい。
【0023】
また、ポリエチレン系樹脂層12bとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等から選択すればよいが、これらの中でも、特に低密度ポリエチレン(LDPE)を用いるのが界面剥離性に優れるため好ましい。
【0024】
内層11と外層12との積層は、外層12のポリエチレン系樹脂層12bを介することにより、ヒートラミネーション法または押出し法等により積層するのがよい。
このヒートラミネーション法を採用する場合は、その温度は80℃から130℃とするのが好ましい。
なぜなら、80℃未満では、内層11と外層12との接着不良の原因となり十分な接着強度が望めず、130℃を超えると、内層11のシール層11bが溶融し始め、ヒートロールに付着脱離するので安定したラミネートが望めないからである。
一方、押出し法を採用する場合は、通常冷却ロールを用いることから、比較的高温例えば、300℃程度で押出し積層すればよい。
【0025】
外層12のポリエチレン系樹脂層12bと内層11の基材層11aとの剥離強度は0.02N/15mmから0.5N/15mmの範囲内が好ましく、この範囲内に設定すると、外層12のポリエチレン系樹脂層12bと内層11の基材層11aとの界面での剥離性能が良好なものとなる。
なぜなら、剥離強度が0.02N/15mmより低い場合は、工程中や製品の輸送中に外層12が不用意に内層11から剥離するおそれがあり、一方剥離強度が0.5N/15mmより高い場合は、手でスムーズに剥離できないおそれがあるからである。
【0026】
図2に示すように、第二の実施形態にかかる蓋材20は、内層21と外層22とからなり、内層21は、基材層21aとシール層21bとブテン含有ポリプロピレン(ブテン含有PP)樹脂層21cとからなり、外層22は、基材層22aとポリエチレン系樹脂層22bとからなり、この内層21のブテン含有PP樹脂層21cと外層22のポリエチレン系樹脂層22bとがその界面で剥離可能な状態で積層されて形成されている。
ここで、内層21の基材層21aとシール層21bおよび外層22の基材層22aとポリエチレン系樹脂層22bは、第一の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
ブテン含有ポリプロピレン樹脂層21cは、上述したように、内層21の基材層21aと外層22のポリエチレン系樹脂層22bとの間に積層されており、このため、蓋材10の剥離強度のばらつきが低く抑えられている。
ブテン含有ポリプロピレン樹脂層21cは強度等を考慮して、その厚みは1μmから15μm程度とするのが好ましく、ブテンの含有量はブテン含有ポリプロピレン樹脂層21cの1重量%から10重量%程度とするのが好ましい。
また、ブテン含有ポリプロピレン樹脂層21cには、ポリエチレン系樹脂層22bとの接着強度を調整する目的で、ポリエチレン樹脂を数重量%、例えば1.5重量%程度含有させることもできる。
【0028】
実施形態にかかる蓋材10,20の構成は以上のようであるが、これに加えて必要に応じ、内層11,21や外層12,22の任意の位置に補強樹脂層、バリアー層、オーバーコート、アンカーコート、プライマーコート、印刷、着色、防滑コート、遮光層、防曇剤コート、滑剤コート等を積層してもよい。
また、その積層方法も特に制限されることはなく、ドライラミネート法、ウエットラミネート法、ヒートラミネート(熱ラミネート)法、共押出し法、押出しラミネート法等を採用することができる。
【0029】
これら蓋材10,20を用いて、図3のような、実施形態にかかる包装体1を作製する。
包装体1は、蓋材10、20をタブ33付き円形に打ち抜いてなる内層31と外層32とからなる蓋30と、容器40と、消臭剤50とからなる。
【0030】
図示のように、蓋30の内層31には、抜き加工等により、その表裏を貫通する貫通孔31aが設けられており、その孔径は、1mmから10mm程度とするのが好適である。
【0031】
容器40は公知の樹脂製容器であって、円形の底面41と、底面41周縁から広がって立ち上がる周面42と、周面42上縁から水平に張り出すフランジ43とからなる。
この容器40の収納空間に消臭剤50を収納し、容器40のフランジ43に蓋材10,20からなる蓋30をリングシール(線シール)することにより得られる。
合成樹脂製容器40としては、特にポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレン製の容器が安価であり、ヒートシールしやすいなどの理由から好ましい。
なお、合成樹脂製容器40に代えて、例えば公知の紙容器、樹脂製容器、ガラス容器、金属製容器を用いてもよい。
【0032】
ここで、リングシールとは、図5のように、容器40の開口縁部のフランジ43上面に、断面凸(または凹)型の平面視リング状の熱板60を用いて、熱接着部断面が凹(または凸)型になるようヒートシールすることを意味する。
その他のヒートシール(リングシール)の条件は公知の範囲から適宜選択すればよいが、特に、シール温度(熱板温度)210〜240℃、圧力約50kg/カップから150kg/カップ、時間0.5〜5秒程度とするのが好ましい。
このような範囲が好適であるのは、ヒートシール温度が210℃未満の場合は、内層がリングシール部分で完全に破断せず、内層の一部が外層に接着した状態で開封され、内層が不用意に破れると共に、破れた部分が想定外の開口になってしまい商品価値が無くなるからである。
また他方で、ヒートシール温度が240℃を超えると、熱板の余熱で内層と外層の間に積層しているポリエチレン樹脂が溶融し始め、熱ジワや浮きを発生させ外観や性能に支障をきたすからである。
【0033】
なお、リングシールの際に、実施形態では、図5のように熱板60を用いたが、超音波加熱や誘導加熱によりシールしてもよい。
また、リングシールに代えて、容器40フランジ43の上面(ヒートシール面)の少なくとも一部に凸部または凹部を形成し、ここに蓋材10,20をヒートシールしてもよい。
【0034】
包装体1の構成は以上のようであり、図3および図4に示すとおり、予め蓋30に設けたタブ33を指で掴み開封方向へと引っ張ると、まず、リングシール部34の外方では外層32と内層31が積層されたままの状態で容器40から離脱し、つぎに、リングシール部34に沿って内層31が破断するため、リングシール部34より内側においては、内層31は容器40の開口部に残留する。
そのため、図5に示すように、最終的には外層32とリングシール部34より外側の内層31が容器40から剥離し、リングシール部34より内側の内層31のみ容器40の開口上に留まる。
こうして、内層31に設けられた貫通孔31aの部分が部分開封され、ここから消臭剤50の消臭成分が外気に放散され使用状態になる。
【0035】
実施形態では、容器40の収納物を消臭剤50としたが、これに限定されず、芳香剤、薬品、食品、飲料品などでもよい。
また、実施形態では、蓋30の内層31に貫通孔31aを設けたが、これに代えて切れ込み、ミシン目、ハーフカットなどを施しておいてもよい。
ミシン目、ハーフカットを施す場合には、蓋30の外層を剥がした際に、これらの部分が破断して部分開口が形成されるように破断強度を調節しておくとよい。
容器40の収納物が消臭剤50や芳香剤である場合には、内層31にこれら部分開口を設けずに、内層31を、透気性を有する素材から形成してもよい。
【実施例】
【0036】
さらに詳細な実施例および比較例を挙げて、この発明の特徴を一層明確にする。
【0037】
実施例および比較例として、以下の構成の蓋材を用意する。
実施例の蓋材は、外層材と内層材を積層してなり、外層材は、外層基材と低密度ポリエチレンとがアンカーコート剤を介して接着積層されており、内層材は内層基材と熱接着性樹脂とが接着剤を介して接着積層されている。
比較例の蓋材は、外層材と内層材とを接着剤を介して積層してなり、外層材は、外層基材単層からなり、内層材は外層材との界面から順に、剥離剤/内層基材/接着剤/熱接着性樹脂を積層して形成されている。
【0038】
(実施例1から実施例3)
内層基材として片面をコロナ処理した25μmOPPフィルムを用い、大日本インキ化学工業社製 LX500を主剤として10重量部に対し、硬化剤として同社製 KW75を1重量部配合し、2液硬化型の接着剤として用い、この接着剤を酢酸エチルで希釈した後、先程のOPPフィルムのコロナ処理面に乾燥後重量として3.5g/mとなるようグラビア方式にて塗布、乾燥を行った。
60℃のヒートロールにて熱接着性樹脂として東レフィルム加工社製 30μm無延伸ポリプロピレンフィルムCF3301の貼り合わせを行い、40℃で3日間の養生を行った。
そして、この内層材に予めφ2mmの抜き加工を多数施しておいた。
また、外層基材として予め25μmPETフィルムにウレタン系アンカーコート剤を塗布乾燥し、これに住友化学社製 低密度ポリエチレン樹脂L705を厚さ15μmで押出しコートを施しておいた。
100℃のヒートロールにて外層材を加熱し、低密度ポリエチレン樹脂層を半溶融し、内層材のOPP面と熱接着(弱接着)し、蓋材を作製した。
そして、この蓋材を直径76mmタブ付の形状に打ち抜き蓋を作製した。
【0039】
(実施例4)
内層基材としてブテン含有ポリプロピレン樹脂とポリプロピレン樹脂を共押出しした延伸ポリプロピレンフィルムの25μmOPPフィルムを用い、大日本インキ化学工業社製
LX500を主剤として10重量部に対し、硬化剤として同社製 KW75を1重量部配合し、2液硬化型の接着剤として用い、この接着剤を酢酸エチルで希釈した後、先程のOPPフィルムのポリプロピレン面に乾燥後重量として3.5g/mとなるようグラビア方式にて塗布、乾燥を行った。
60℃のヒートロールにて熱接着性樹脂として東レフィルム加工社製 30μm無延伸ポリプロピレンフィルムCF3301の貼り合わせを行い、40℃で3日間の養生を行った。
そして、この内層材に予めφ2mmの抜き加工を多数施しておいた。
また、外層基材として予め25μmPETフィルムにウレタン系アンカーコート剤を塗布乾燥し、これに住友化学社製 低密度ポリエチレン樹脂L705を厚さ15μmで押出しコートを施しておいた。
100℃のヒートロールにて外層材を加熱し、低密度ポリエチレン樹脂層を半溶融し、内層材のOPP面(ブテン含有ポリプロピレン樹脂面)と熱接着(弱接着)し、蓋材を作製した。
そして、この蓋材を直径76mmタブ付の形状に打ち抜き蓋を作製した。
【0040】
(比較例)
内層基材として予めアクリル系剥離剤を多数のドット状(径1mm程度)にグラビア印刷機により塗布した12μmPETフィルムを用い、大日本インキ化学工業社製 LX500を主剤として10重量部に対し、硬化剤として同社製 KW75を1重量部配合し、2液硬化型の接着剤として用い、この接着剤を酢酸エチルで希釈した後、先程のPETフィルムの剥離コート反対面に乾燥後重量として3.5g/mmとなるようグラビア方式にて塗布、乾燥を行った。
60℃のヒートロールにて熱接着性樹脂として東レフィルム加工社製 30μm無延伸ポリプロピレンフィルムCF3301の貼り合わせを行い、40℃で3日間の養生を行った。
そして、この内層材に予めφ2mmの抜き加工を多数施しておいた。
また、外層基材として25μmPETフィルムを用い、ウレタン系接着剤を用いて前記内層材と貼り合わせ、蓋材を作製した。
そして、この蓋材を直径76mmタブ付の形状に打ち抜き蓋を作製した。
【0041】
容器は開口にフランジを有するポリプロピレン容器(開口径:70mm)を用い、上記で作製した各蓋を1mm幅のリング状熱板を使用し、実施例1については200℃×100kg/カップ×1秒の条件で、実施例2については210℃×100kg/カップ×1秒の条件で、実施例3、4および比較例については220℃×100kg/カップ×1秒の条件で、それぞれ容器フランジにリングシールを行った。
【0042】
これら実施例および比較例の蓋のタブ部となる外層材と内層材を摘み剥がしたとき、容器から外層材だけが剥がれるかどうかを確認するテストを行い下記の3段階で評価した。 また、容器から外層材を剥離する際の強度を開封強度(タブ部の方向から見て仰角45°方向に剥離、歪速度200mm/分)として測定した。
また、外層材と内層材の剥離強度を、実施例および比較例の蓋から別途作製した試料(長さ200mm×15mm幅)を用い、T型剥離試験(歪速度:100mm/分)を行うことにより測定した。
【0043】
結果を表1に示す。
表中開封評価Aは、リングシール内の内層のみ容器に残留し、外層およびリングシール外の内層は容器から剥離したことを、Bは、開封はできたが、リングシール内の内層の一部が破れ、外層と共に剥離したことを、Cは手で開封できなかったことをそれぞれ示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表からわかるように、実施例1の蓋については開封性が良好であり、実施例2から4の蓋については特に開封性が良好であるのに対し、比較例の蓋については、開封性が不十分である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第一の実施形態の蓋材の部分拡大断面図
【図2】第二の実施形態の蓋材の部分拡大断面図
【図3】包装体の部分断面全体図
【図4】包装体の開封開始状態を示す部分拡大断面図
【図5】蓋材を容器にリングシールした状態を示す部分拡大断面図
【符号の説明】
【0047】
1 実施形態の包装体
10 第一の実施形態の蓋材
11 内層
11a 基材層
11b シール層
12 外層
12a 基材層
12b ポリエチレン系樹脂層
20 第二の実施形態の蓋材
21 内層
21a 基材層
21b シール層
21c ブテン含有ポリプロピレン樹脂層
22 外層
22a 基材層
22b ポリエチレン系樹脂層
30 蓋
31 内層
31a 貫通孔
32 外層
33 タブ
34 リングシール部
40 容器
41 底面
42 周面
43 フランジ
50 消臭剤
60 熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層と外層とを積層してなる蓋材において、
前記外層は、内層との境界にポリエチレン系樹脂層を有し、
前記内層は、延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材層と、熱接着性樹脂からなるシール層とを少なくとも有し、このシール層は外面ヒートシール面を構成し、
前記外層のポリエチレン系樹脂層と内層とが界面剥離可能に形成されたことを特徴とする蓋材。
【請求項2】
上記内層に、その厚み方向に貫通する単数または複数の貫通孔を設けた請求項1に記載の蓋材。
【請求項3】
上記外層のポリエチレン系樹脂層と内層との界面剥離強度が、0.02N/15mmから0.5N/15mmである請求項1または請求項2に記載の蓋材。
【請求項4】
上記内層は、上記外層の易剥離層との境界に、ブテン含有ポリプロピレン樹脂層を有する請求項1から3のいずれかに記載の蓋材。
【請求項5】
開口部にフランジを有する樹脂製容器と、この樹脂製容器に収納された収納物と、請求項1から4のいずれかに記載の蓋材より形成された蓋とからなり、
前記樹脂製容器のフランジ上面に、蓋材より形成された蓋の内層のシール層をあててリングシールして形成された包装体。
【請求項6】
開口部にフランジを有する樹脂製容器と、この樹脂製容器に収納された収納物と、請求項1から4のいずれかに記載の蓋材より形成された蓋とからなり、
前記樹脂製容器のフランジ上面の一部または全部に、凸部または凹部を設け、このフランジ上面に、蓋材より形成された蓋の内層のシール層を当ててヒートシールして形成された包装体。
【請求項7】
請求項5または6に記載の包装体の製造方法であって、
収納物を収納した樹脂製容器の開口部のフランジ上面に、蓋材より形成された蓋の内層のシール層を当てて210℃〜240℃の温度でヒートシールすることを特徴とする包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−44657(P2008−44657A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223089(P2006−223089)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(399054321)東洋アルミニウム株式会社 (179)
【Fターム(参考)】