説明

薄板包装装置

【課題】切断寸法のバラツキや、積層構造の貼り合わせ部の接着剤量のバラツキ等により正しい枚数収納の良否判定ができなかった個片状の薄板を、所定の枚数だけ過不足なく収納ボックスに挿入する装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の包装装置は、薄板1の積層板または単板の左右、上下面の形状を合わせて積み重ね、その一部の形状的な特徴を利用して、安定した薄板の一部形状画像を取り込み、枚数の測定を行うことにより、枚数測定の信頼性を著しく向上させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、医療用部品、センサあるいは食品などに使用される個片状の薄板の積層板または単板を所定の枚数だけ収納ボックスに挿入する包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の薄板の包装装置について図を用いて説明する。図6は従来における薄板包装装置の要部断面図である。
【0003】
図6において、薄板17は、整列装置(図示なし)によって表面に定ピッチで桟の仕切りがある搬送ベルト19上に個片で載せられる。搬送ベルト19は駆動プーリ20により、飛び出し防止ガイド18で規制されながら、桟のピッチ寸法で間欠送りされる。飛び出し防止ガイド18の一部に切り欠き部を設け、ガイド規制のないその箇所に到達した薄板17は、自重にてバケット21に移し替える。バケット21への薄板の移し替えは、光電センサ23にて薄板の通過を数え、所定の枚数になった時点で駆動プーリ20の間欠運転を停止させ、バケット21の下部シャッター22を開口することで収納ボックス24に挿入される。
【0004】
収納ボックス24に移し替えられた薄板の枚数は、最終、収納ボックス24に薄板を入れた状態で電子天秤にて秤量することで、最終、枚数管理を行う。
【0005】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2002−225823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の装置では、次の課題を有していた。個片状の薄板17が極軽量である場合、切断寸法のバラツキや、積層構造の場合、貼り合わせ部の接着剤の量のバラツキ等で枚数分の基本重量との差に格差が生じる為、正しい枚数収納の良否判定が出来ないことがある。
【0007】
また、バケット21と収納ボックス24への薄板17の移し替えは、自由落下の為、積層構造での接着剤または薄板が樹脂材の場合に起こる静電気等の影響で正常に移せないことがある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、薄板の形状の方向性を合わせて、所定の枚数分を重ねた状態での画像認識により、枚数の測定を行う。その結果、枚数測定の信頼性を著しく向上するものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するため、本発明の包装装置は、薄板の積層板または単板の左右、上下面の形状を合わせて積み重ね、その一部の形状的な特徴を利用して、安定した画像を取り込める条件を有し、枚数測定の信頼性を向上できるものとなる。
【0010】
また、本発明の包装装置は、薄板を1枚ずつ重ねながら外周を規制し、かつ重ね合わせた最上面を凹形部材で押圧することで薄板の姿勢を保持し、同部材により、吸引した薄板を所定の位置に払い落し、積み重ねた状態で枚数測定を行い、隣接する収納ボックスへの移し替えを行うことができるものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の薄板包装装置によれば、薄板を積み重ね、その一部の形状的な特徴を利用して、安定した重ねられた薄板の画像を取り込む条件を作り、画像認識装置を使用することで枚数測定の信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1、図2は本発明の実施の形態1における包装装置の斜視図、図3は図1の矢視Bの局部断面図である。個片状の薄板1は左右、上下方向の形状を合わせて厚み方向に積み重ねられ、下部はバックアップ3、外周は側面ガイドA5と側面ガイドB6及びスライドストッパ4で、上面は凹形部材2の規制部材でそれぞれ規制されている。側面ガイドA5は積み重ねられた状態の薄板1の一部を矢視A方向から直視できるために切り欠きが設けられ、矢視A軸方向より認識装置10とその前方にリング照明9を設置し、監視させる。また、ガイドB6との構成で矢視B方向の一部にも切り欠きを設け、プッシャー11が挿入される寸法が確保されている。所定の枚数を積み重ねられた薄板1を収納ボックス8に挿入する際は、バネ7で押圧された凹形部材2を上方に移動させることで上の規制を開放して、スライドストッパ4を下降の後、プッシャー11を前進させ、挿入する。ここで収納ボックス8の開口部は予め横方向に向くように設定されている。プッシャー11とバックアップ3の形状は図3に示すように、互いを凹凸形状にして組合わせることにより、薄板の厚みに問わず、末端の薄板まで確実に収納ボックス8内に挿入することができる。
【0014】
また、薄板1は整列装置(図示なし)により、定ピッチに凸形の仕切りのある搬送ベルト14上に個々整列され、タイミングプーリ15を介して薄板1を定ピッチで搬送する。搬送ベルト上の薄板1は、吸着パッド16にて真空で吸着し、ピックアンドプレース装置にて段積み位置まで移動する。図4はその動作系統図であり、段積み位置へ移動直後、吸着パッド16で吸着された薄板1は、凹形部材2の下方に位置し(状態図4(1))、凹形部材2が下降することで吸着パッド16から剥がされ、順次重ねて積上げられる(状態図4(2))。この時、バックアップ3は、薄板1の厚み寸法分下降することで、重ね合わせの高さは常に同一に保たれている(状態図4(3))。
【0015】
図5は図1の矢視Aからの要部拡大図であり、認識装置10による薄板1の枚数測定については、薄板の厚み方向の一部として存在する段差またはその段差を追加することでリング照明9の光源により認識装置10において、薄板一枚毎を明瞭な光の濃淡に置き換えることができ、安定した画像を出すことができる。薄板1の枚数の測定は、検査エリアD内の上から下への測定点移動で黒から白のエッジ数を数える機能を使用する。尚、認識装置10での枚数測定時は、薄板1が整列して重ねられた状態が必要であるため、凹形部材2はバネ7の力で保持されている。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明にかかる薄板包装装置は、薄板を積み重ね、その一部の形状的な特徴を利用して、薄板を整列保持して安定した画像を取り込む条件を作り、認識装置を使用して薄板の一部形状を計測し、枚数測定の信頼性が向上できるので、化学または医療用の試験紙等の薄板に対する用途などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における薄板包装装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における薄板包装装置の斜視図
【図3】図1における矢視Bの局部断面図
【図4】本発明の実施の形態1における薄板包装装置の動作系統図
【図5】図1における矢視Aの要部拡大図
【図6】従来の薄板包装装置の要部断面図
【符号の説明】
【0018】
1 薄板
2 凹形部材
3 バックアップ
4 スライドストッパ
5 側面ガイドA
6 側面ガイドB
7 バネ
8 収納ボックス
9 リング照明
10 認識装置
11 プッシャー
12 スライドブロック
13 フレーム
14 搬送ベルト
15 タイミングプーリ
16 吸着パッド
17 薄板
18 飛び出し防止ガイド
19 搬送ベルト
20 タイミングプーリ
21 バケット
22 シャッター
23 光電センサ
24 収納ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板の積層板または単板の左右、上下面の形状を合わせて積み重ねる規制部材と薄板の一部の形状的な特徴を利用して安定した画像を取り込む認識装置とを有し、前記認識装置により薄板の枚数測定を行なって所定の枚数の薄板を収納ボックスに移し替える薄板の包装装置。
【請求項2】
吸着パッドにより薄板を一枚ずつ重ねながら外周を規制し、かつ重ね合わせの最上面を凹形部材により押圧し保持する請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
ベルト上に定ピッチに整列された薄板を間欠に送り、吸着ノズルで吸引した薄板を凹形部材により所定の位置に払い落し、積み重ねる請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
外周を規制する一端の部材は、昇降することで積み重ねた薄板を収納ボックスへの移し替えを行なう請求項1に記載の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−290492(P2006−290492A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110620(P2005−110620)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】