説明

薄膜形成装置及び薄膜形成方法

【課題】有機EL素子を作製する際、大型の成膜対象物の表面に分布が均一な有機層の成膜を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】面蒸気放出器10に、蒸発材料であるホスト材料及びドーパント材料の蒸気が順次拡散される水平方向拡散部10H及び鉛直方向拡散部10Vを有する。水平方向拡散部10Hは、蒸発材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされ第1〜第4連通口12〜42を介して接続された第1〜第4の拡散室11〜41を有する。鉛直方向拡散部10Vは、有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされ第2及び第3連通口122、132を介して接続された第1〜第3の拡散室111〜131を有する。最終段の第3の拡散室131は、複数の第4連通口142を介してそれぞれ蒸気混合室141に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機ELディスプレイや有機EL照明デバイスや蒸着重合膜等を作製するための薄膜材料等の蒸着技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図7(a)(b)は、従来技術に係る有機蒸着装置の概略構成図で、図7(a)は、内部構成を示す断面図、図7(b)は、蒸発源及び面蒸発器の構成を示す平面図である。
図7(a)(b)に示すように、従来の有機蒸着装置201は、図示しない真空排気系に接続された真空槽202を有し、この真空槽202の内部に成膜対象物である基板203が配置されるようになっている。
この真空槽202の内部には、面蒸発器204が設けられている。
面蒸発器204は、加熱用のヒータ205を有し蒸気放出用のノズル206が設けられたパイプ状の蒸気放出器207が複数並べられて構成され、これら蒸気放出器207は蒸気輸送配管208を介して蒸発源210に接続されている。
蒸発源210は、有機材料211が収容された蒸発容器212を有しており、この蒸発容器212の外壁には、加熱用のヒータ213が装着されている。
そして、このような構成により、蒸発源210において気化された有機材料の蒸気が蒸気輸送配管208を介して蒸気放出器207内に導入され、この蒸気がノズル206から放出され基板203に到達するようになっている。
【0003】
しかし、このような従来技術においては、真空槽202内に蒸気輸送配管208が配置されているため、蒸発材料の蒸気の流動に影響を及ぼし、その結果、蒸気放出器207から放出される蒸気の分布が不均一になるという課題がある。
すなわち、従来技術では、複数の蒸気放出器207から放出される蒸気の量を個別的に制御することができず、各蒸気放出器207毎に蒸気の放出量が異なるため、基板203上に形成される膜の膜厚均一性が悪いという課題がある。
【0004】
一方、特許文献1、2に係る従来技術では、異なる蒸気を混合することができず、有機EL素子の発光層に必要なホスト材料とドーパント材料の共蒸着を行うことができないという問題がある。
また、これらの従来技術では、曲管によって構成されているため、材料蒸気通路のコンダクタンスが小さく、蒸発速度が上がり難いという問題があるとともに、装置が大型化し、コストアップを招くという問題がある。また、管内の流量を均一にすることが困難であるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−79904号公報
【特許文献2】特開平7−90572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、有機EL素子を作製する際、大型の成膜対象物の表面に分布が均一な有機層の成膜を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明は、成膜対象物が配置される真空槽と、前記真空槽の外部に設けられ蒸発材料である有機材料の蒸気を供給するための複数の蒸気供給源と、前記複数の蒸気供給源から供給された有機材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するための面状の蒸気放出器とを備え、前記面状の蒸気放出器は、前記複数の蒸気供給源から当該有機材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離された複数の蒸気拡散部と、当該蒸気拡散部において拡散された複数の有機材料の蒸気を混合する蒸気混合室とを有し、前記蒸気拡散部は、前記複数の有機材料の蒸気を導く方向が同一又は異なる複数の蒸気拡散部を有し、前記複数の蒸気拡散部は、当該有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた複数の拡散室を有するとともに、当該複数の拡散室は、互いに隣接する拡散室が前記有機材料の蒸気が通過可能な連通口を介して接続され、前記複数の蒸気拡散部について、最終段の蒸気拡散部の最終段の拡散室が、当該有機材料の蒸気が通過可能な連通口を介してそれぞれ前記蒸気混合室に接続されている有機蒸着装置である。
本発明では、前記複数の蒸気拡散部が、前記有機材料の蒸気を水平方向に導くように構成された水平方向拡散部と、前記有機材料の蒸気を鉛直方向に導くように構成された鉛直方向拡散部とを有する場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸気拡散部は、前記水平方向拡散部によって前記有機材料の蒸気を拡散した後に、前記鉛直方向拡散部によって当該有機材料の蒸気を拡散するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記面状の蒸気放出器における蒸気拡散部の複数の拡散室に、互いの雰囲気を隔離するための隔壁部が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記面状の蒸気放出器における蒸気拡散部の連通口は、前記有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って数が増加するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記面状の蒸気放出器における蒸気拡散部の複数の連通口は、前記有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記面状の蒸気放出器における前記複数の拡散部に、前記有機材料の蒸気を加熱するための加熱手段が設けられている場合にも効果的である。
本発明では、前記複数の蒸気供給源は、前記面状の蒸気放出器に対して供給する有機材料の蒸気の量を独立して制御する蒸気量制御手段をそれぞれ有する場合にも効果的である。
本発明では、上述したいずれかの有機蒸着装置を用い、真空中で基板表面に有機膜を形成する方法であって、前記複数の蒸気拡散部において、それぞれ当該有機材料の蒸気を拡散する工程を有する有機蒸着方法である。
本発明では、蒸発材料として、有機EL装置の有機薄膜層を形成するためのホスト材料とドーパント材料を用いる場合にも効果的である。
【0008】
本発明の場合、面状の蒸気放出器の蒸気拡散部が、複数の有機材料の蒸気を拡散させる複数の蒸気拡散部を有し、これら複数の蒸気拡散部は、当該有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた複数の拡散室を有するとともに、当該複数の拡散室は、互いに隣接する拡散室が前記有機材料の蒸気が通過可能な連通口を介して接続され、これら複数の蒸気拡散部について、最終段の蒸気拡散部の最終段の拡散室が、当該有機材料の蒸気が通過可能な連通口を介してそれぞれ蒸気混合室に接続されていることから、複数の蒸気拡散部において異なる有機材料の蒸気を確実に拡散した後に、蒸気混合室において異なる有機材料の蒸気を十分に混合することができる。
その結果、本発明によれば、例えば大型基板に対して蒸着によって成膜を行う場合に当該大型基板上の各領域における膜厚及び膜質を均一にすることができるので、有機ELデバイスの有機層の均一化を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明においては、蒸気拡散部が、例えば水平方向と鉛直方向のように有機材料の蒸気を導く方向が異なる複数の蒸気拡散部を有することから、有機材料の蒸気の分散拡散回数が多く、例えば曲管によって有機材料の蒸気を分流する場合に比べ、有機材料の蒸気の流量が均一即ち一定になるため、より均一な成膜を行うことができる。
また、本発明の場合、面状の蒸気放出器の複数の蒸気拡散部が、複数の蒸気供給源から有機材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離されていることから、異なる有機材料(例えば、有機EL素子の発光層用のドーパント材料とホスト材料)を用いて同時に蒸着を行う場合であっても、蒸気放出器における相互汚染を防止することができる。
【0010】
本発明において、前記面状の蒸気放出器における前記複数の拡散部に、前記有機材料の蒸気を加熱するための加熱手段が設けられている場合には、当該蒸気放出器の蒸気拡散部内において有機材料の蒸気が析出することなく確実に有機材料の蒸気を拡散して蒸気混合室に導くことができる。
本発明において、前記複数の蒸気供給源が、前記面状の蒸気放出器に対して供給する有機材料の蒸気の量を独立して制御する蒸気量制御手段(例えばバルブや加熱制御手段)をそれぞれ有する場合には、この蒸気量制御手段の制御(例えば加熱量の増減やバルブの切り換え)を行うことにより、光の三原色の有機材料の蒸気を用いてフルカラーや白色の有機層を積層形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば有機EL素子を製造する装置において、有機EL素子を作製する際、大型の成膜対象物の表面に分布が均一な成膜を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る有機蒸着装置を用いた有機EL製造装置の概略平面図
【図2】同有機蒸着装置の面蒸気放出器の構成を示す断面図
【図3】同面蒸気放出器の外観構成を示す斜視図
【図4】同面蒸気放出器の水平拡散部の構成を示す概略図
【図5】本発明の面状の蒸気放出器の他の例を示す概略構成図
【図6】(a)(b):本発明における蒸気分岐ユニットの他の例を示す概略構成図
【図7】(a):従来技術に係る有機蒸着装置の概略構成図で、内部構成を示す断面図(b):同従来技術に係る蒸発源及び面蒸発器の構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る有機蒸着装置を用いた有機EL製造装置の概略平面図、図2は、同有機蒸着装置の面蒸気放出器の構成を示す断面図である。
図3は、同面蒸気放出器の外観構成を示す斜視図、図4は、同面蒸気放出器の水平拡散部の構成を示す概略図である。
以下、上下関係については図2及び図3に示す構成に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の有機EL製造装置1は、マルチチャンバー方式のものであり、図示しない真空排気系に接続された搬送室2を有している。
搬送室2内には搬送ロボット3が設けられており、搬送室2の周囲に設けられた仕込み/取り出し室4A、基板前処理室4B、電極成膜室4C、有機層成膜室4D、封止室4E及びマスク室4Fとの間において基板(成膜対象物)5及びマスク5Mの受け渡しを行うように構成されている。
そして、これら仕込み/取り出し室4A、基板前処理室4B、電極成膜室4C、有機層成膜室4D、封止室4E及びマスク室4Fは、それぞれ図示しない真空排気系に接続され、独立して真空排気を行うようになっている。
【0015】
有機層成膜室4D内には、基板5上に例えば有機EL素子の有機層を形成するための面蒸気放出器(面状の蒸気放出器)10が設けられている。
一方、有機層成膜室4Dの外部には、有機層を蒸着によって形成するための第1〜第3の蒸発装置7〜9が複数設けられている。
第1の蒸発装置7は、正孔注入層材料蒸発源7HIL、正孔輸送層材料蒸発源7HTL、第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72、第3ホスト材料蒸発源73、第4ホスト材料蒸発源74が、面蒸気放出器10に接続され分岐する供給管6hに、独立して切換可能なバルブ70を介してそれぞれ接続されて構成されている。
【0016】
第2の蒸発装置8は、第1アシスタントドーパント材料蒸発源81、第2アシスタントドーパント材料蒸発源82が、面蒸気放出器10に接続され分岐する供給管6aに、独立して切換可能なバルブ80を介してそれぞれ接続されている。
第3の蒸発装置9は、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92、第3ドーパント材料蒸発源93、第4ドーパント材料蒸発源94が、面蒸気放出器10に接続され分岐する供給管6dに、独立して切換可能なバルブ90を介してそれぞれ接続されている。
【0017】
図2に示すように、本実施の形態の有機蒸着装置(薄膜形成装置)100の面蒸気放出器10は、真空槽101の外部に設けられた複数(本例では4個)の第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92に接続されている。
ここで、第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72の蒸発容器内には、有機EL素子の有機薄膜形成用のホスト材料50h、51hがそれぞれ収容されている。
また、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92の蒸発容器内には、有機EL素子の有機薄膜形成用のドーパント材料50d、51dがそれぞれ収容されている。
そして、第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92の周囲には、加熱手段20が配設されている。
【0018】
また、第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92は、それぞれキャリアガス供給装置17h、18h、17d、18dに接続され、キャリアガス源19から供給されるキャリアガスが、それぞれ第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92に供給されるように構成されている。
本例の場合、第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72は、それぞれバルブ70を介してホスト材料50h、51h用の供給管6hに接続されている。
一方、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92は、それぞれバルブ90を介してドーパント材料50d、51d用の供給管6dに接続されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、本実施の形態の面蒸気放出器10は、装置本体部10a内に、有機材料の蒸気を水平方向に導いて拡散させる水平方向拡散部10Hと、有機材料の蒸気を鉛直方向に導いて拡散させる鉛直方向拡散部10Vとを有している。
ここで、面蒸気放出器10は、例えば断面矩形状の複数のボックスセルを組み合わせることにより構成された複数の蒸気分岐ユニット15を並べて構成されるもので、各蒸気分岐ユニット15は、水平方向拡散部10Hの上部に、鉛直方向拡散部10Vが取り付けられ、これにより一体的に構成されている。
また、面蒸気放出器10の水平方向拡散部10Hの周囲及び後述する拡散室の間には、水平方向拡散部10H内を通過する有機材料の蒸気を内壁部に付着させないようにするための加熱手段30が設けられている。
水平方向拡散部10Hは、供給管6hを介して第1及び第2ホスト材料蒸発源71、72に接続されたホスト材料水平拡散部10hと、供給管6dを介して第1及び第2ドーパント材料蒸発源91、92に接続されたドーパント材料水平拡散部10dとから構成されている。
本実施の形態では、ドーパント材料水平拡散部10dが装置本体部10aの底部に設けられ、このドーパント材料水平拡散部10dの上部にホスト材料水平拡散部10hが設けられている。
【0020】
ここで、水平方向拡散部10Hのホスト材料水平拡散部10hとドーパント材料水平拡散部10dは、同一の基本構成を有している。以下、共通する部分には同一の符号を付す。また、ホスト材料水平拡散部10hを例にとってそれぞれの構成を説明し、適宜ドーパント材料水平拡散部10dに言及する。
なお、有機材料の蒸気を供給する供給管6h及び供給管6dの近傍には、それぞれコンダクタンスの小さい蒸気放出ノズル60h、60dが設けられ、これら蒸気放出ノズル60h、60dから放出される有機材料の蒸気の量を膜厚センサ61h、61dによって測定するように構成されている。
【0021】
図2及び図4に示すように、ホスト材料水平拡散部10hは、有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って、拡散室として、複数段(本例では4段)の第1〜第4の拡散室11、21、31、41がこの順序で設けられている。
そして、本実施の形態においては、以下に説明するように、蒸気の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加する数の第1〜第5連通口12、22、32、42、52が設けられている。
ここで、第1の拡散室11には、上述した供給管6hが接続され、一つの第1連通口12を介して有機材料の蒸気が導入されるように構成されている。
第1の拡散室11は、その蒸気放出側の部分(第2の拡散室21の蒸気導入側の部分)に設けられた二つの第2連通口22を介して第2の拡散室21に接続されている。
【0022】
本発明の場合、特に限定されることはないが、有機材料の蒸気の逆流れを生じさせない、即ち圧力勾配を保持する観点からは、第2連通口22のそれぞれの面積の和が、第1連通口21の面積の和より大きくならない(小さくなる)ように設定することが好ましい。
更には、蒸気流を均等に分配する観点からは、同一段における連通口の面積並びに形状を同一にすること、本実施の形態では第1〜第5連通口12〜52の面積並びに形状を同一にすることがより好ましい。
また、第2連通口22は、第2の拡散室21の蒸気放出側の部分と対向するように位置が設定されており、これにより有機材料の蒸気が第2の拡散室21の蒸気放出側の壁部に衝突して蒸気の拡散が促進されるように構成されている(図2においては、理解を容易にするため、第2連通口22及び第3連通口32の位置が重なるように描かれている)。
【0023】
さらに、本実施の形態においては、二つの隔壁部21aによって第2の拡散室21が二つの領域に仕切られ、各領域の雰囲気が互いに隔離されている。これら隔壁部21aは有機材料の蒸気が衝突することによってその拡散を促進するために有効となるものである。
なお、本発明の場合、隔壁部21aを設ける位置は特に限定されることはないが、有機材料の蒸気をより均一に拡散させる観点からは、隔壁部21aによって隔離される第2の拡散室21の各領域の容積及び蒸気の通過速度が等しくなる位置に設けることが好ましい。
【0024】
第2の拡散室21は、その蒸気放出側の部分(第3の拡散室31の蒸気導入側の部分)に設けられた四つの第3連通口32を介して第3の拡散室31に接続されている。
本発明の場合、特に限定されることはないが、有機材料の蒸気の逆流れを生じさせない、即ち圧力勾配を保持する観点からは、第3連通口32のそれぞれの面積の和が、上述した第2連通口22の面積の和より大きくならない(小さくなる)ように設定することが好ましい。
また、第3連通口32は、第3の拡散室31の蒸気放出側の部分と対向するように位置が設定されており、これにより導入された有機材料の蒸気が第3の拡散室31の蒸気放出側の壁部に衝突して蒸気の拡散が促進されるように構成されている(図2においては、理解を容易にするため、第3連通口32及び第4連通口42の位置が重なるように描かれている)。
【0025】
また、本実施の形態においては、第3の拡散室31が例えば六つの隔壁部31aによって四つの領域に仕切られ、各領域の雰囲気が互いに隔離されている。これらの隔壁部31aは有機材料の蒸気が衝突することによってその拡散を促進するために有効となるものである。
なお、本発明の場合、隔壁部31aを設ける位置は特に限定されることはないが、有機材料の蒸気をより均一に拡散させる観点からは、隔壁部31aによって仕切られる第3の拡散室31の各領域の容積及び蒸気の通過速度が等しくなる位置に設けることが好ましい。
【0026】
さらに、第3の拡散室31の蒸気放出側の部分には、第4の拡散室41が設けられている。
ここで、第4の拡散室41は、その蒸気導入側の部分(第4の拡散室41の蒸気放出側の部分)に設けられた八つの第4連通口42を介して第4の拡散室41に接続されている。
本発明の場合、特に限定されることはないが、有機材料の蒸気の逆流れを生じさせない、即ち圧力勾配を保持する観点からは、第4連通口42のそれぞれの面積の和が、上述した第3連通口32の面積の和より大きくならない(小さくなる)ように設定することが好ましい。
また、第4連通口42は、第4の拡散室41の蒸気放出側の部分と対向するように位置が設定されており、これにより有機材料の蒸気が第4の拡散室41の蒸気放出側の壁部に衝突して蒸気の拡散が促進されるように構成されている。
【0027】
さらに、本実施の形態においては、第4の拡散室41が七つの隔壁部41aによって八つの領域に仕切られ、各領域の雰囲気が互いに隔離されている。これらの隔壁部41aは有機材料の蒸気が衝突することによってその拡散を促進するために有効となるものである。
なお、本発明の場合、隔壁部41aを設ける位置は特に限定されることはないが、有機材料の蒸気をより均一に拡散させる観点からは、隔壁部41aによって仕切られる第4の拡散室41の各領域の容積及び蒸気の通過速度が等しくなる位置に設けることが好ましい。
【0028】
図4に示すように、本実施の形態では、ホスト材料水平拡散部10hの第4の拡散室41が、第4の拡散室41の蒸気放出側に設けられた複数(本例では16個)の第5連通口52を介して連結室51hにそれぞれ接続されている。
また、ドーパント材料水平拡散部10dについては、第4の拡散室41が、第4の拡散室41の蒸気放出側に設けられた複数(本例では16個)の第5連通口52を介して連結室51dにそれぞれ接続されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、各連結室51h、51dは、それぞれ鉛直(Z軸)方向に延びるように形成されており、各連結室51h、51dの上部には、複数の上述した蒸気分岐ユニット15から構成される面蒸気放出器10の鉛直方向拡散部10Vが設けられている。
本実施の形態では、面蒸気放出器10の鉛直方向拡散部10Vは、複数個(本例では16個)のホスト材料鉛直拡散部110hと、複数個(本例では16個)のドーパント材料鉛直拡散部110dとから構成されている。
そして、ホスト材料鉛直拡散部110h及びドーパント材料鉛直拡散部110dは、図3及び図4に示すように、各連結室51h、51dの位置に応じて、有機材料の蒸気の導入方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)へ所定距離だけ互いにずらして配置することによって、ホスト材料鉛直拡散部110hと、ドーパント材料鉛直拡散部110dとが、それぞれ隣接するように構成されている。
【0030】
ここで、鉛直方向拡散部10Vのホスト材料鉛直拡散部110hとドーパント材料鉛直拡散部110dは、後述するように、第1〜第3の拡散室111、121、131、及び蒸気混合室141を有し、同一の基本構成を有している。以下、共通する部分には同一の符号を付す。また、一つのホスト材料鉛直拡散部110hを例にとって構成を説明し、適宜ドーパント材料鉛直拡散部110dに言及する。
本例においては、ホスト材料鉛直拡散部110hの連結室51hは、その上部に設けられた第1連通口112hを介して第1の拡散室111に接続されている。
また、ドーパント材料鉛直拡散部110dの連結室51dは、その上部に設けられた第1連通口112dを介して第1の拡散室111に接続されている。
また、本実施の形態では、面蒸気放出器10の鉛直方向拡散部10Vは、蒸気の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加する数の第1〜第4連通口112(112h、112d)、122、132、142が設けられている。
【0031】
面蒸気放出器10の鉛直方向拡散部10Vの第1〜第3の拡散室111、121、131、及び蒸気混合室141並びに第1〜第4連通口112、122、132、142は、上述した水平方向拡散部10Hの第1〜第4の拡散室11、21、31、41並びに第1〜第4連通口12、22、32、42に対応するもので、それぞれ同一の構成を有し、同一の条件で設けられている。
また、隔壁部121a、131a、141aについても、上述した水平方向拡散部10Hの隔壁部21a、31a、41aに対応するもので、それぞれ同一の構成を有し、同一の条件で設けられている。
さらに、面蒸気放出器10の鉛直方向拡散部10Vの周囲及び第1〜第3の拡散室111〜131の間には、鉛直方向拡散部10V内を通過する有機材料の蒸気を内壁部に付着させないようにするための加熱手段130が設けられている。
【0032】
一方、第3の拡散室131の蒸気放出側の部分には、蒸気混合室141が設けられている。
この場合、ホスト材料鉛直拡散部110hとドーパント材料鉛直拡散部110dの第3の拡散室131は、図3に示すように、それぞれの天井部分131h、131d(蒸気混合室141の底部)に設けられた8(個)の第4連通口142を介して蒸気混合室141に接続されている。
【0033】
蒸気混合室141内は、ホスト材料鉛直拡散部110hとドーパント材料鉛直拡散部110dのそれぞれについて、七つの隔壁部141aによって八つの領域に仕切られているが、ホスト材料鉛直拡散部110hとドーパント材料鉛直拡散部110dの対応する各領域は連通しており、ホスト材料鉛直拡散部110hとドーパント材料鉛直拡散部110dの第3の拡散室131から第4連通口142を介して導入されたホスト材料50h、51hの蒸気とドーパント材料50d、51dの蒸気が混合されるようになっている。
一方、蒸気混合室141の上部には、有機材料の蒸気を基板5に向って放出するための蒸気放出ノズル(蒸気放出口)152が複数設けられている。
これらの蒸気放出ノズル152は、蒸気混合室141の各領域において、基板5に対向する位置に所定の間隔で水平方向である矢印Y方向に沿って配置されている。
本発明の場合、蒸気放出口である蒸気放出ノズル152の間隔は特に限定されることはないが、膜厚の均一性を確保する観点からは、等間隔で設けることが好ましい。
【0034】
また、蒸気混合室141の上部分には、加熱用のヒータ153が複数設けられ、さらに、これらヒータ153の上部には、熱輻射防止板154が設けられている。
このような構成を有する本実施の形態において、基板5上に有機材料の膜を蒸着形成する場合には、有機層成膜室4D内の圧力を所定の圧力にした状態で、第1ホスト材料蒸発源71、第2ホスト材料蒸発源72から供給管6hを介してホスト材料50h、51hの蒸気を面蒸気放出器10の水平方向拡散部10Hのホスト材料水平拡散部10h内に導入する。
【0035】
また、第1ドーパント材料蒸発源91、第2ドーパント材料蒸発源92から供給管6dを介してドーパント材料50d、51dの蒸気を、面蒸気放出器10の水平方向拡散部10Hのドーパント材料水平拡散部10d内に導入する。
面蒸気放出器10の水平方向拡散部10Hのホスト材料水平拡散部10h及びドーパント材料水平拡散部10dに導入されたホスト材料50h、51hの蒸気とドーパント材料50d、51dの蒸気は、ホスト材料水平拡散部10h及びドーパント材料水平拡散部10dにおける第1〜第4の拡散室11〜14並びに第1〜第4連通口12〜42を通過してそれぞれ拡散された後、第5連通口52を介してそれぞれ連結室51h、51d内に導入される。
【0036】
そして、ホスト材料50h、51hの蒸気とドーパント材料50d、51dの蒸気は、第1連通口112h、112dを介して、鉛直方向拡散部110Vの複数のホスト材料鉛直拡散部110hの第1の拡散室111と、複数のドーパント材料鉛直拡散部110dの第1の拡散室111内に導入され、さらに、それぞれ第1〜第3の拡散室111〜131並びに第2〜第4の連通口122〜142を通過してそれぞれ拡散された後、蒸気混合室141内に導入され、蒸気混合室141において混合される。
その後、時間の経過に伴い十分に混合されたホスト材料50h、51h及びドーパント材料50d、51dの蒸気が、蒸気混合室141の蒸気放出ノズル152から基板5に向って面状に放出され、これにより基板5全表面に有機材料の蒸着膜が形成される。
【0037】
以上述べたように本実施の形態によれば、面蒸気放出器10の蒸気拡散部が、複数の有機材料の蒸気を拡散させる水平方向蒸気拡散部10Hと、鉛直方向蒸気拡散部10Vを有し、これら水平方向蒸気拡散部10H、鉛直方向蒸気拡散部10Vは、当該有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた第1〜第4の拡散室11〜41並びに第1〜第3の拡散室111〜131を有するとともに、当該拡散室11〜41並びに111〜131は、互いに隣接する拡散室が有機材料の蒸気が通過可能な第1〜第4連通口12〜42並びに第1〜第4連通口112h(又は112d)〜142を介して接続され、鉛直方向蒸気拡散部10Vの最終段の第3の拡散室131が、当該有機材料の蒸気が通過可能な連通口142を介してそれぞれ蒸気混合室141に接続されていることから、水平方向蒸気拡散部10H及び鉛直方向蒸気拡散部10Vにおいて異なる有機材料の蒸気を確実に拡散した後に、蒸気混合室141において異なる有機材料の蒸気を十分に混合することができる。
その結果、本実施の形態によれば、例えば大型基板に対して蒸着によって成膜を行う場合に当該大型基板上の各領域における膜厚及び膜質を均一にすることができるので、有機ELデバイスの有機層の均一化を図ることができる。
【0038】
さらに、本実施の形態においては、面蒸気拡散部10は、有機材料の蒸気を導く方向が異なる水平方向蒸気拡散部10H及び鉛直方向蒸気拡散部10Vを有することから、有機材料の蒸気の分散拡散回数が多く、例えば曲管によって有機材料の蒸気を分流する場合に比べ、有機材料の蒸気の流量が均一即ち一定になるため、より均一な成膜を行うことができる。
また、本実施の形態の場合、面蒸気放出器10の水平方向蒸気拡散部10H及び鉛直方向蒸気拡散部10Vが、複数の蒸発装置7〜9から有機材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離されていることから、異なる有機材料(例えば、有機EL素子の発光層用のホスト材料とドーパント材料)を用いて同時に蒸着を行う場合であっても、面蒸気放出器10における相互汚染を防止することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態では、面蒸気放出器10の水平方向蒸気拡散部10H及び鉛直方向蒸気拡散部10Vに、有機材料の蒸気を加熱するための加熱手段30、130が設けられていることから、水平方向蒸気拡散部10H及び鉛直方向蒸気拡散部10V内において有機材料の蒸気が析出することなく確実に有機材料の蒸気を拡散して蒸気混合室141に導くことができる。
さらにまた、本実施の形態では、複数の蒸発装置7〜9が、面蒸気放出器10に対して供給する有機材料の蒸気の量を独立して制御するバルブ70〜90をそれぞれ有することから、これらバルブ70〜90の切り換えを行うことにより、光の三原色の有機材料の蒸気を用いてフルカラーや白色の有機層を積層形成することが可能になる。
加えて、本実施の形態においては、ボックスセルを用いて面蒸気放出器10を構成しているので、コンパクトで構成が簡素な有機EL製造装置1を提供することができる。
【0040】
図5は、本発明における蒸気分岐ユニットの他の例を示す概略構成図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図5に示すように、本例の蒸気分岐ユニット15Aは、水平方向拡散部10Hにおける第1〜第4の拡散室11〜41並びに鉛直方向拡散部10Vの第1〜第3の拡散室111〜131及び蒸気混合室141において、隔壁部を設けないものであり、その他の構成は上述した蒸気分岐ユニット15と同一の構成を有している。
本例の蒸気分岐ユニット15Aによれば、より構成が簡素でコストを抑えることができる。
ただし、有機材料の蒸気をより均一に拡散及び混合を行う観点からは、上記実施の形態のように、面蒸気放出器10の水平方向拡散部10Hにおける第1〜第4の拡散室11〜41並びに鉛直方向拡散部10Vにおける第1〜第3の拡散室111〜131及び蒸気混合室141に隔壁部を設けることが好ましい。その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0041】
図6(a)(b)は、本発明における蒸気分岐ユニットの他の例を示す概略構成図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分及び図6(a)(b)において対応する部分には、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図6(a)に示す蒸気分岐ユニット16Aは、断面円柱形状の部材を重ねて連結することにより蒸気分岐ユニットを構成したものである。
本例においては、第1の拡散室161〜第5の拡散室165が設けられている。
そして、第1の拡散室161には、蒸気導入口171が設けられ、第2〜第5の拡散室162〜165には、それぞれの底部に第1連通口172〜第3連通口175が設けられている。
ここで、第1連通口172〜第3連通口175の数については、上記実施の形態と同様に、蒸気の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加するように設定されている。
【0042】
さらに、第5の拡散室165の天井部分には、蒸気放出口176が設けられている。
一方、第1〜第5の拡散室161〜165の周囲には、上述した加熱手段130が設けられている。
このような構成を有する本例の蒸気分岐ユニット16Aを用いれば、加熱速度を上げるとともに均一的に加熱することができるため、昇温速度を向上させることができるとともに蒸気の温度を均一に保持することができるという効果がある。
【0043】
図6(b)に示す蒸気分岐ユニット16Bは、断面八角形状の部材を重ねて連結することにより蒸気分岐ユニットを構成したものであり、その他の構成は図6(a)に示す蒸気分岐ユニット16Aと同一である。
このような構成を有する本例の蒸気分岐ユニット16Bを用いれば、製作を容易にすることができるため、組立時間の短縮ひいてはコストダウンを図ることができるという効果がある。
本例の蒸気分岐ユニット16A、16Bの他の作用効果は上記実施の形態の場合と同一であるのでその説明は省略する。
【0044】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施の形態においては、水平方向拡散部10Hの上部に鉛直方向拡散部10Vを設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、水平方向拡散部10Hの下部に鉛直方向拡散部10Vを設けることも可能である。
この場合には、有機材料の蒸気を下方に放出して成膜する所謂デポダウン成膜の構成にすることができる。
また、水平方向拡散部10Hに導入された有機材料の蒸気を例えば水平方向に放出するように構成することもできる。
【0045】
一方、拡散室及び蒸気混合室に設ける連通口の数は上記実施の形態のものには限られず、適宜変更することができる。
ただし、蒸気の蒸気を確実に拡散する観点からは、蒸気混合室の底部に8個以上の連通口を設けることが好ましい。
【0046】
さらにまた、本発明は、有機EL製造装置の有機層を形成する場合のみならず、有機EL製造装置の電極層を形成する場合にも適用することができる。
加えて、本発明は、複数の原料モノマーを用いて蒸着重合を行う装置にも適用することができるものである。
さらにまた、水平方向拡散部10Hについては、水平方向に設置する場合のみならず、成膜対象物の配置方向に応じて、傾斜させて設置したり、鉛直方向に向けて設置することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1…有機EL製造装置
4D…有機層成膜室
5…基板(成膜対象物)
7…第1の蒸発装置
10…面蒸気放出器(面状の蒸気放出器)
10H…水平方向拡散部
10V…鉛直方向拡散部
11…第1の拡散室
12…第1連通口
21…第2の拡散室
21a…隔壁部
22…第2連通口
31…第3の拡散室
31a…隔壁部
32…第3連通口
41…第4の拡散室
41a…隔壁部
42…第4連通口
100…有機蒸着装置(薄膜形成装置)
101…真空槽
110h…ホスト材料鉛直拡散部
110d…ドーパント材料鉛直拡散部
111…第1の拡散室
112(112h、112d)…第1連通口
121…第2の拡散室
121a…隔壁部
122…第2連通口
131…第3の拡散室
131a…隔壁部
132…第3連通口
141…蒸気混合室
142…第4連通口
141a…隔壁部
152…蒸気放出ノズル(蒸気放出口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜対象物が配置される真空槽と、
前記真空槽の外部に設けられ蒸発材料である有機材料の蒸気を供給するための複数の蒸気供給源と、
前記複数の蒸気供給源から供給された有機材料の蒸気を前記成膜対象物に向って放出するための面状の蒸気放出器とを備え、
前記面状の蒸気放出器は、前記複数の蒸気供給源から当該有機材料の蒸気がそれぞれ供給され且つ互いの雰囲気が隔離された複数の蒸気拡散部と、当該蒸気拡散部において拡散された複数の有機材料の蒸気を混合する蒸気混合室とを有し、
前記蒸気拡散部は、前記複数の有機材料の蒸気を導く方向が同一又は異なる複数の蒸気拡散部を有し、
前記複数の蒸気拡散部は、当該有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って段階的に区分けされた複数の拡散室を有するとともに、当該複数の拡散室は、互いに隣接する拡散室が前記有機材料の蒸気が通過可能な連通口を介して接続され、
前記複数の蒸気拡散部について、最終段の蒸気拡散部の最終段の拡散室が、当該有機材料の蒸気が通過可能な連通口を介してそれぞれ前記蒸気混合室に接続されている有機蒸着装置。
【請求項2】
前記複数の蒸気拡散部が、前記有機材料の蒸気を水平方向に導くように構成された水平方向拡散部と、前記有機材料の蒸気を鉛直方向に導くように構成された鉛直方向拡散部とを有する請求項1記載の有機蒸着装置。
【請求項3】
前記複数の蒸気拡散部は、前記水平方向拡散部によって前記有機材料の蒸気を拡散した後に、前記鉛直方向拡散部によって当該有機材料の蒸気を拡散するように構成されている請求項2記載の有機蒸着装置。
【請求項4】
前記面状の蒸気放出器における蒸気拡散部の複数の拡散室に、互いの雰囲気を隔離するための隔壁部が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載の薄膜形成装置。
【請求項5】
前記面状の蒸気放出器における蒸気拡散部の連通口は、前記有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って数が増加するように構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の薄膜形成装置。
【請求項6】
前記面状の蒸気放出器における蒸気拡散部の複数の連通口は、前記有機材料の蒸気の導入側から放出側に向って2n-1個(nは自然数)で増加するように構成されている請求項1乃至5のいずれか1項記載の薄膜形成装置。
【請求項7】
前記面状の蒸気放出器における前記複数の拡散部に、前記有機材料の蒸気を加熱するための加熱手段が設けられている請求項1乃至6のいずれか1項記載の薄膜形成装置。
【請求項8】
前記複数の蒸気供給源は、前記面状の蒸気放出器に対して供給する有機材料の蒸気の量を独立して制御する蒸気量制御手段をそれぞれ有する請求項1乃至7のいずれか1項記載の蒸着装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の有機蒸着装置を用い、真空中で基板表面に有機膜を形成する方法であって、
前記複数の蒸気拡散部において、それぞれ当該有機材料の蒸気を拡散する工程を有する有機蒸着方法。
【請求項10】
蒸発材料として、有機EL装置の有機薄膜層を形成するためのホスト材料とドーパント材料を用いる請求項9記載の有機蒸着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−52195(P2012−52195A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196404(P2010−196404)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】