説明

薬物塊からの流動誘起送達

薬物の固体型の一つまたは複数の塊から薬物を除去することによって、薬物溶液(または取り込まれた薬物との媒体のその他の組み合わせ)が調製される。薬物の固体型は水難溶性または水不溶性であり得る。固体薬物を保持し、標的領域へのそのような薬物の送達を容易にするためのデバイスの例も記載される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2006年6月9日に出願された「Drug Delivery by Flow Dissolution」と題される米国特許仮出願第60/804,394号(代理人整理番号006501.00022)の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
組織特異的送達が可能なデバイスとの組み合わせにおける薬物の使用は、薬物製剤に対する特別な問題を引き起こす。いくつかのケースで、製剤は、とりわけその製剤が移植された薬物送達デバイスにおける使用を対象とする場合、時間の延長された期間にわたって安定であるべきである。
【発明の概要】
【0003】
概要
本概要は、詳細な説明において以下でさらに記載される概念の選択を単純化された形式で紹介するために提供される。本概要は、主張される主題の鍵となるまたは本質的な特長を同定することを意図しておらず、主張される主題の範囲を決定することにおける補助として使用されることも意図していない。
【0004】
本発明の少なくともいくつかの態様は、組織特異的薬物送達デバイスによって引き起こされる問題に取り組む。少なくともいくつかのそのような態様において、薬物の固体型は、デバイスに保存され、適当な媒体を使用して所望の領域に送達される。本発明の態様は、水難溶性である薬物の治療的有効濃度の溶液(または懸濁液)を調製することも含み、溶液(または懸濁液)は、適当な媒体を使用する固体薬物の塊からの薬物の除去によって形成される。
【0005】
以下の詳細な説明は、一例として含まれかつ限定として含まれない添付の図面と併せて読まれる場合、より良く理解される。図面のいくつかには陰影がつけられている。陰影は、可読性を強化する目的のためだけに提供され、特定の図面における陰影の存在または非存在は、他に意味を有することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一つの態様に従う薬物送達デバイスを示す。
【図2】図1からの袖付き薬物チャンバーの断面図である。
【図3】図3A〜3Cは、篩(screen)を含む薬物チャンバーの断面図である。図3Dおよび3Eはそれぞれ、換気口を含む薬物チャンバーの透視図および断面図である。図3Fは、平面を含む薬物チャンバーの透視図である。
【図4】カテーテルおよび3D抗菌フィルターに接合される袖付き薬物チャンバーを示す。
【図5】固体薬物および3D抗菌フィルターハウジングの断面図である。
【図6】カテーテルで袖付き薬物チャンバーに取り付けられる皮下移植可能ポートを示す。
【図7】固体薬物のペレットを含む、開いた皮下移植可能ポートを示す。
【図8】別の態様に従うツーピース(two piece)固体薬物および3D抗菌フィルターハウジングを示す。
【図9】別の態様に従うツーピース固体薬物および3D抗菌フィルターハウジングを示す。
【図10】例示的寸法が含まれる、図2からの袖付き薬物チャンバーの断面図である。
【図11】二重管腔チューブが固体薬物を含むポンプおよび/または貯蔵部から伸長する態様を示す。
【図12】図11において示される二重管腔チューブの遠位端の拡大図である。
【図13】固体薬物を含むチャンバーへ半透膜が間質液を通過させる態様を示す透視図である。
【図14】図13の態様の完全な断面図である。
【図15】固体薬物ペレットを含む図13および14の態様を示す。
【図16】半透性中空ファイバーを含むループを介して液が一方向に循環する態様を示す。
【図17】図16の態様の遠位端の拡大図であり、中空ファイバーループの付加的な詳細を示す。
【図18】図17の中空ファイバーと不透性チュービングとの間の接続の断面図である。
【図19】薬物の電気泳動誘導送達を実施する態様を示す。
【図20】薬物の電気泳動誘導送達を実施する態様を示す。
【図21】薬物の電気泳動誘導送達を実施する態様を示す。
【図22】薬物の電気泳動誘導送達を実施する態様を示す。
【図23】薬物の磁気誘導送達を実施する態様を示す。
【図24】薬物の磁気誘導送達を実施する態様を示す。
【図25】薬物の磁気誘導送達を実施する別の態様である。
【図26】結晶質ガシクリジン塩基のペレットを浸食するために使用されるリンガー溶液における塩酸の濃度の関数として薬物溶解チャンバーからのガシクリジンの溶出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
少なくともいくつかの態様は、薬物の酸性型または塩基性型が水不溶性または水難溶性である薬物の治療的有効濃度を送達するための方法を含む。本明細書において使用されるように、薬物型は、その薬物のわずかな量のみが水単独によって溶解され得る場合、「水難溶性」である。酸-塩基官能基を有する薬物に対して、低水溶性型は、水溶性である薬物の型よりも安定である可能性が高い。これは、とりわけ薬物が固体として(例えば、結晶質状態で)保存される場合、そのような型が溶液依存性分解プロセスをしにくいことの結末である。さらに、結晶質または非晶質固体薬物はしばしば、薬物の別の型に対して必要とされるよりも小さな容積を占めると考えられる。これは、小さな送達デバイスおよび/または薬物を保存するための貯蔵部の構築を容易にし得る。薬物が固体形式で保存される場合、媒体の特性は、固体薬物の一つまたは複数の塊から(溶解、溶出、浸食、もしくは何らかのその他のメカニズムであろうと、またはメカニズムの組み合わせであろうと)薬物が除去される速度を制御するために使用され得、それによって組織またはその他の標的領域に送達される薬物の濃度を調節することに対する柔軟性を提供する。
【0008】
本明細書(特許請求の範囲を含む)において使用されるように、「媒体」は、固体薬物の一つもしくは複数の塊から固体薬物を除去するために、および/または標的組織もしくは何らかのその他の所望の位置に除去された薬物を送達するために使用される液媒質である。媒体は、体液、人工液、または体液および人工液の組み合わせであり得、除去されるかつ/または送達される薬物に加えてその他の材料を含んでもよい。媒体は、溶液(例えば、生理食塩水におけるNaCl、水における酸または塩基の溶液など)および/または懸濁液(例えば、ナノ粒子)にそのようなその他の材料を含んでもよい。媒体のさらなる例は、以下に含まれる。
【0009】
媒体によって固体薬物塊から除去され、その媒体に留保される薬物は、時に本明細書において媒体内に(または媒体によって)取り込まれると見なされる。本明細書(特許請求の範囲を含む)において使用されるように、「取り込まれる」薬物は、塊から浸食され媒体に溶解される薬物、塊から浸食され媒体に懸濁される薬物、および塊から浸食されナノ粒子または媒体のその他の成分に吸着/吸収される薬物を含む。固体薬物塊から除去され、別の化学的形式(例えば、塩基性固体薬物塊が酸性媒体と接触するように置かれる場合に生じる塩)で媒体内に残る薬物も、「取り込まれる」薬物という語句の範囲内に含まれる。
【0010】
固体薬物の塩基性型が酸性固体型より低可溶性である少なくともいくつかの態様に従って、塩基性型の固体ペレットは、所望の薬物濃度と実質的に同じである濃度で酸によって溶出される。薬物の酸性型が塩基性型より低可溶性である少なくともいくつかの態様において、酸性型の固体ペレットは、所望の薬物濃度と実質的に同じである濃度で塩基によって溶出される。少なくともいくつかの付加的な態様に従って、水不溶性薬物を可溶化し得る両親媒性分子を有する一つまたは複数の成分を含む水性溶液が、薬物の治療的有効量の送達をもたらすために固体薬物ペレットを浸食するために使用されてもよい。
【0011】
少なくともいくつかの態様は、一つまたは複数の固体薬物の一つまたは複数の塊を含み得る薬物貯蔵部も含む。固体薬物は、固体薬物溶解をもたらすことが可能な、またはそうでなければ所望の速度で一つもしくは複数の固体薬物塊から少量の薬物を除去することが可能な適当な溶液またはその他の媒体で、貯蔵部から溶出され得る。
【0012】
少なくともいくつかの態様において、移植されたデバイスにおいて固体薬物を使用する有利な点は、薬物の予め混合された(またはその他の液体)型が使用される場合に必要とされるよりも小さな容積を使用してデバイスに薬物を保存する能力である。いくつかのケースで、このより小さな容積は、(適当な媒体源と組み合わせられる場合に)実質的に継続的な長期治療を提供するのに十分な薬物を含むデバイスの移植を可能にする。この長期治療は、日、週、または月の期間にわたり得る。いくつかのケースで、長期治療は、数年以上にわたる場合がある。いくつかの態様に従う方法における使用に適した塩基性結晶質または固体非晶質薬物の一つの例は、ガシクリジン(gacyclidine)である。18 mgのガシクリジンは、1時間あたり20マイクロリットルの流速で4年にわたって100μMの薬物を送達するであろう。ガシクリジンの塩酸塩、その酸性型は、高度に水溶性である。しかしながら、ガシクリジンの酸性型は、体温で不安定でもある。対照的に、ガシクリジンの塩基性型は、水難溶性であり、水の存在下でその酸性型よりはるかに安定である。水におけるガシクリジンの塩基性型の溶解は、塩基性型を水溶性酸性型に変換するために、酸(例えば、塩酸または乳酸)の存在を必要とする。それ故に、溶液におけるガシクリジンの濃度は、塩基性型を酸型に変換するために利用できる酸の量に依存すると考えられる。溶解され送達される薬物の量を変える適当な媒体のこの能力は、固体薬物を保持しているデバイスの取り換えを必要とすることなく、かつ液体貯蔵部へ異なる濃度の治療的溶液をロードすることなく、送達される薬物の濃度を変えることにおける実質的な柔軟性を提供する。
【0013】
いくつかのその他の態様に従う方法における使用に適している酸性結晶質薬物の一つの例は、カルバマチオン(carbamathione)である。米国特許出願公開第2005/0130904号を参照されたい。カルバマチオンは、4つの酸-塩基官能性を含む:2つのカルボン酸、1つのチオール基、および1つのアミノ基。その一塩基性-三酸性形式で、カルバマチオンは、水難溶性である結晶を容易に形成すると考えられる。水における薬物のこの型の溶解は、この型を水溶性である二塩基性-二酸性型に変換するために、重炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基の一当量を必要とする。
【0014】
本発明の方法は、ガシクリジンまたはカルバマチオンの送達に限定されない。少なくともいくつかの態様は、酸または塩基形式の一つで水(またはその他の媒体)溶性であり、かつ酸または塩基形式のもう一方で難溶性である任意の薬物の送達に適用可能な方法を含む。低水溶性薬物型から成る固体は、必要に応じて酸または塩基を含む適合性媒体(例えば、リンガー溶液、リンガー乳酸、生理食塩水、生理学的食塩水、人工外リンパ)で溶出または浸食される。低水溶性薬物型が塩基性型である場合、媒体は、塩酸、リン酸二水素ナトリウム(例えばリン酸一ナトリウム)、乳酸、リン酸、クエン酸、クエン酸のナトリウム塩、または乳酸などの薬学的に許容される酸を含み得る。低水溶性薬物型が酸性型である場合、媒体は、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、または水酸化コリンなどの薬学的に許容される塩基を含み得る。
【0015】
本発明の少なくともいくつかの態様に従う方法は、固体薬物ペレットを採用し得る。それらのペレットは、結晶質塊または固体非晶質塊であり得る。薬物ペレットを製造する一つの例は、実施例1として本明細書に含まれる。固体薬物は、結晶質および非晶質塊の組み合わせを含んでもよい。薬物は、任意の所望の形状へ成形される融液であり得、または圧を使用してペレットへ押圧され得る。結晶質物質は、典型的にはより安定なので、いくつかのケースで、結晶質薬物(利用できる場合)は、非晶質固体薬物型よりも望ましい場合がある。結晶格子エネルギーが、薬物を安定化させるのを助ける可能性もある。しかしながら、本発明は、結晶質薬物型またはその使用に限定されない。
【0016】
本発明は、酸-塩基官能性を有する薬物(または薬物を採用する方法もしくはデバイス)に限定されない。態様は、モノパルミトイルグリセロールまたはポリソルベート80(例えば、TWEEN 80(登録商標))などの両親媒性分子を有する一つまたは複数の成分を含む薬学的に許容される媒体(例えば、生理食塩水、リンガー乳酸、人工外リンパ、リンガー溶液)で薬物を溶出することによる、水難溶性である任意の薬物の溶解(またはその他のメカニズムによる塊からの除去)も含む。その他の適した両親媒性分子成分は、アシルグリセロール、12-ヒドロキシステアリン酸(12-hydroxysteric acid)のポリ-オキシエチレンエステル(例えば、SOLUTOL(登録商標)HS15)、ベータ-シクロデキストリン(例えば、CAPTISOL(登録商標))、タウロコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、コール酸、もしくはウルソデオキシコール酸などの胆汁酸、硫酸ガラクトセレブロシドなどの天然陰イオン性界面活性剤、ラクトシルセラミドなどの天然中性界面活性剤、またはスフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、もしくはパルミトイルカルニチンなどの天然両イオン性界面活性剤を含む(がそれらに限定されない)。溶解(またはその他の除去)は、蝸牛外リンパ、脳脊髄液、または間質液などの生理学的液媒体の使用によって遂行されてもよい。生理学的液媒体は、水不溶性薬物の溶解をもたらすことが可能であるタンパク質および脂質などの両親媒性分子を含む。溶解は、両親媒性分子を使用することなく実行されてもよく、薬物の許容される濃度が得られる。
【0017】
酸-塩基官能性を有しない薬物の一つの例は、トリアムシノロンアセトニドである。トリアムシノロンアセトニドは、非常に低い水溶解度を有する結晶質固体として市販されている。トリアムシノロンアセトニドの固体ペレットが、リンガー溶液などの媒体の連続ストリームに曝される場合、溶液における抽出されるトリアムシノロンアセトニドの予期される濃度は、40μM以下のはずである。トリアムシノロンアセトニドのより高い濃度は、媒体に両親媒性分子を含むことによって可溶化され得る。そのような薬学的に許容される両親媒性分子は、ポリソルベート80であると考えられる。可溶化されるトリアムシノロンアセトニドの濃度は、所望の薬物濃度を支持すると考えられる両親媒性分子の必要とされる量を媒体に加えることによって、その水溶解度、40μMよりも上に増加し得る。本発明は、トリアムシノロンアセトニド、リンガー溶液、またはポリソルベート80の使用を介して実施される方法に限定されない。任意の難溶性薬物、薬学的に許容される媒体、および薬学的に許容される両親媒性分子が使用されてもよい。
【0018】
ナノ粒子は、抗菌フィルターを介して通過することが可能な移動相に薬物を維持し得る。いくつかの態様は、両親媒性薬物担体の代わりにまたはそれとの組み合わせにおいて、薬物に対する親和性を有し(例えば、薬物を吸着/吸収し)かつ担体として作用すると考えられる粒子(例えば、ナノ粒子)の懸濁液を使用すると考えられる。さらにその他の態様は、純粋な薬物ナノ粒子の使用を含む。さらにその他の態様は、純粋な薬物ナノ粒子および担体ナノ粒子に吸着/吸着された薬物の両方の組み合わせを含む。少なくともいくつかの態様に従う粒子は、0.22ミクロン以下の抗菌フィルターを介して通過するのに十分小さいと考えられる。懸濁された担体ナノ粒子を有する媒体を使用する薬物のその塊からの除去は、薬物安定性および送達の両方に有利であると考えられる。薬物ナノ粒子の塊からの固体薬物の除去は、同様の利点を有すると考えられる。
【0019】
上で示されるように、少なくともいくつかの態様において、媒体は、送達されるべき薬物に対する親和性を有する小さな担体粒子(サイズが100 nm〜0.1 mm)または担体ナノ粒子(サイズが10 nm〜100 nm)の懸濁液を含む。担体粒子またはナノ粒子が形成され得ると考えられる材料の例は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ならびにポリスチレンを含む(がそれらに限定されない)。担体粒子またはナノ粒子が形成され得る材料の付加的な例は、磁性金属および対象となる薬物(または複数の薬物)を引き付けるためのコーティングを有する磁性金属を含む。これらの小さな担体粒子またはナノ粒子は、担体粒子(またはナノ粒子)が懸濁されている媒体によって固体薬物の塊(本明細書において記載されるような貯蔵部に保存され得る)から浸食される薬物を吸着/吸収するか、またはそうでなければ引き付けると考えられる。
【0020】
いくつかの態様において、媒体は、純粋な薬物ナノ粒子をそのような純粋な薬物ナノ粒子からなる固体塊から浸食するために使用されるであろう。そのようなナノ粒子の固体塊は、圧縮によっておよび/または結合剤の使用によって形成され得る。
【0021】
いくつかのケースで、少量の酸または両親媒性賦形剤(例えば、SOLUTOL(登録商標)HS15、TWEEN 80(登録商標)、またはCAPTISOL(登録商標))が、固体薬物の塊から(または固体薬物ナノ粒子の塊から)の薬物除去を促進し、かつ移動性ナノ粒子懸濁液に移すために採用されてもよい。
【0022】
いくつかの態様において、担体ナノ粒子を加工するために使用されるポリマー材料は、生分解性(薬物の最終的な送達を促すことを助けるため)であり、市販されており、かつヒトへの使用が認可されている。L-およびD,L-乳酸のポリマーならびに乳酸およびグリコール酸のコポリマー[ポリ(ラクチド-co-グリコリド)](Birmingham, ALにあるLakeshore Biomaterialsから入手できる)は、担体ナノ粒子に対するポリマーの所望の特性に合う潜在性を有するポリマー材料の例である。0.22μm抗菌フィルターを介して通過するのに十分小さなナノ粒子は、溶媒置き換え法によってポリ(ラクチド-co-グリコリド)の50:50混合物から加工されている。
【0023】
適したサイズのナノ粒子を加工するために、いくつかの方法が採用されている。これらの方法は、蒸発法(例えば、自由噴流膨張、レーザー蒸発、スパーク浸食、電子爆発、および化学的蒸着)、機械的摩耗(例えば、パールミリング(pearlmilling))に関与する物理的方法、溶媒置換に続く界面沈着、および超臨界CO2を含む。ナノ粒子を調製するための付加的な方法は、可溶化溶媒およびナノ粒子が可溶でない溶媒の溶媒置換、振動噴霧および霧化状態における乾燥、二液体ストリームの超音波処理、マイクロポンプ(薬物のナノおよびマイクロサイズ液滴を送達するインクジェット様システムなど)の使用、ならびに連続流ミキサーを含む。
【0024】
溶媒置換法によってナノ粒子を調製する場合、普通は500 rpm以上の攪拌速度が採用される。混合の間のより遅い溶媒交換速度は、より大きな粒子を産生する。圧勾配を変動させることは、完全に発達した乱流における効率的な混合を産生することに対して必須である。超音波処理は、十分な乱流混合を提供し得る一つの方法である。超音波処理を用いるおよび用いない連続流ミキサー(二つ以上の溶媒ストリーム)は、スケールが十分に小さい場合に、小さな粒子サイズを確実にするのに必要な乱流を提供し得る。溶媒置換法は、研究室または工業的スケールで実施するのに比較的単純であるという有利な点を有し、0.22μmフィルターを介して通過することができるナノ粒子を産生している。溶媒置換法によって産生されるナノ粒子のサイズは、有機溶媒におけるポリマーの濃度、混合の速度、およびプロセスにおいて採用される界面活性剤の影響を受ける。
【0025】
純粋な薬物ナノ粒子は、溶解された酸もしくは塩基性薬物の中和または薬物が可溶でない混和性溶媒で(不溶性形式で)溶解された薬物の希釈によって調製されてもよい。素早い混合およびその特定の薬物に対する正しいスピードでの沈殿溶媒の導入により、ナノ粒子が産生される。あるいは、薬物ナノ粒子は、乾燥ガス中に浮遊している間に乾燥され収集された霧化マイクロ粒子に由来してもよい。溶媒に懸濁された固体ナノ粒子塊(例えば、純粋な塩基性ガシクリジンからなる)は、ペレット形成を促進するために結合薬剤を用いてもしくは後で結合薬剤と混合することによって遠心分離機(例えば、30,000 gの平均g力(25,000 g〜35,000 g)で15,000 rpmで稼働するHermle Z229遠心分離機)で加速される沈降速度によって、かつ/または乾燥ペレットの圧縮によって、単離され得る。ストークスの法則[v=D2pl)g/18η]に従って、粒子サイズと沈降速度との間に相関がある。1重力で、100 nm粒子の沈降に対して必要とされる時間は、約200日であると考えられ、10 nm粒子は、沈降するのにおよそ6年かかると考えられる。沈降に対して必要とされる正確な時間は、粒子密度(ρp)、液体密度(ρl)、液体粘度(η)、および粒子直径(D)に依存すると考えられる。薬物の乾燥または湿潤ペレットを単離したら、粒子は、固体塊へ圧縮され得るか、または薬学的に許容される結合剤と混合されかつ塊へ圧縮され得る。
【0026】
少なくともいくつかの態様において、媒体での固体薬物塊からの薬物の除去(および媒体による取り込み)に対して採用されるデバイスは、薬物の低水溶性型を保持し、かつ溶解またはその他の除去薬剤(例えば、酸、塩基、両親媒性分子、ナノ粒子の懸濁液)を含む媒体が固体薬物を通って流れることを可能にすることができる任意のチャンバーを含み得る。チャンバーのサイズ、媒体流の速度、および使用される酸、塩基、両親媒性分子、またはナノ粒子の濃度は、薬物送達デバイスの意図される応用ならびに薬物物質および/または薬物塊の溶解特徴(または浸食もしくはその他の物理的特徴)によって、ならびに任意の必要とされる媒体貯蔵部および/またはポンプシステムによって決定される。そのようなデバイスに対するパラメータの決定は、当業者が本明細書に含まれる情報を提供されれば、当業者の能力内である。
【0027】
薬物溶解(またはその他のメカニズムによる除去)をもたらすための液流は、所望の応用に合致する液流パラメータを有する任意のポンプによって遂行され得る。そのようなポンプは、シリンジポンプ(例えば、実施例2において以下で記載されるMiniMed 508ポンプ)、MEMSポンプ、浸透圧ポンプ、ペリスタポンプ、ピストンポンプ、圧電ポンプ、および同様のものを含むが、それらに限定されない。適当なポンプの選択は、当業者が本明細書に含まれる情報を提供されれば、同様に当業者の能力内である。いくつかの態様において、ポンプは、ヒト(またはその他の動物)の体内に完全に移植されてもよい。その他の態様において、ポンプは、体の外部にあり、固体薬物を保持する貯蔵部に皮下ポートまたはその他の接続を介して媒体を送達していてもよい。
【0028】
少なくともいくつかの態様において、固体薬物は、液体へ薬物を溶解するまたはそうでなければロードするために生理食塩水、リンガー溶液、リンガー乳酸、または人工外リンパなどの液を含む移植されたまたは外部の源から送達される液体を使用してその塊から除去され得る。次いで、薬物含有液体溶液は、標的組織に送達される。標的組織の例は、蝸牛、リンパ節、腫瘍、脳、脊椎などを含むが、それらに限定されない。
【0029】
少なくともいくつかの態様において、完全に移植可能な薬物送達デバイスは、薬物含有チャンバーおよび三次元抗菌フィルターと液連通している浸透圧ポンプなどの液送達デバイスを含む。一つの態様が図1に示されている。図1の態様において、デバイス10は、カテーテル16および17を介して袖付き薬物貯蔵部14に連結される浸透圧ポンプ12を含む。三次元(3D)抗菌フィルター19は、カテーテル18を介して薬物貯蔵部14に連結される。別のカテーテル21およびコネクター22は、付加的なカテーテル(示されない)を介して3Dフィルター19を標的組織への薬物含有溶液の送達のために位置付けられる末端構成要素(これも示されない)に接続する。末端構成要素は、例えば、ニードル、蝸牛移植電極、蝸牛カテーテル、またはさらにカテーテルの開端であり得る。米国特許出願第11/414,543号(2006年5月1日に出願され、「Apparatus and Method for Delivery of Therapeutic and other Types of Agents」と題される)からの図面図1は、末端構成要素が骨ニードルである態様を図示する。移植の前に、浸透圧ポンプは、固体薬物を溶解する溶液で満たされる。
【0030】
固体薬物貯蔵部は、液が周りを流れ、固体薬物の一つまたは複数の塊(例えば、固体薬物ペレット)を浸食するための腔を提供するようにデザインされる。図2は、図1の袖付き薬物貯蔵部14の断面図であり、少なくともいくつかの態様に従う薬物貯蔵部のほんの一例である。薬物貯蔵部14は、複数の固体薬物ペレット25がロードされるチャンバー20を形成する二つの中空金属チューブ28および29(薬物適合性材料から作られる)を含む。液体密封シールを形成するために、袖27(シリコンまたはその他の適当な材料から作られる)がチューブ28および29に巻かれる。チューブ28および29の先細端はそれぞれカテーテル18および17の端に適合する。図2の薬物貯蔵部14は、チャンバー20内に薬物ペレットを含むように、かつ固体ピースがチャンバー20から出ていくのを防ぐように形作られる。薬物貯蔵部14は、引き離されかつ再度取り付けられてもよく、それによって一つまたは複数の固体薬物ペレットのローディングを可能にする。
【0031】
いくつかの態様において、薬物ペレットの移動をさらに防ぐために、薬物チャンバーの内側に円形篩が置かれる。いくつかのケースで、篩の少なくとも一つは、薬物の補充を可能にするために除去可能であってもよい。図3Aおよび3Bは、別の態様に従い、かつそのような篩を含む、薬物貯蔵部40の断面図である。図3Aおよび3Bにおいて見られるように、薬物貯蔵部40は、液密性(fluid-tight)接続を形成するために(ネジ山51および52で)嵌め合うハウジング44および46を含む。固体薬物は、チュービング接続インレット50の側に定常メッシュ篩43およびハウジング44のエッジに除去可能メッシュ篩41を含むハウジング44内のチャンバー42の内側に置かれ得る。図3Aにおいて見られるように、篩41は、ハウジング46内にある3D抗菌フィルター45のすぐ前にある。篩41および43は、多孔性であり、チタン、ステンレススチールで作られた金網クロス、またはフルオロポリマーなどの生体適合性、薬物適合性ポリマーであり得る。その他の態様において、篩は、チタンまたはステンレススチールなどの多孔性金属で作られていてもよい。メッシュ篩41および43は、薬物ペレットが、ハウジング46、抗菌フィルター45、またはインレット接続50もしくはアウトレット接続48に接続され得るチュービング(示されない)へ行くことを防ぐ。図3Aにおいて、ハウジング半分44および46がネジ式結合した薬物貯蔵部40が示される。図3Bは、分離されたハウジング44および46を示すが、適所に除去可能な篩41、定常篩43、および抗菌フィルター45を有する。図3Bにおいて見られるように、除去可能な篩41は、ハウジング44の端の外円形表面を覆う。定常篩43は、空間42の内円形表面を覆うだけである。篩は、薬物チャンバーの形状に適合する任意の形状であり得る。しかしながら、特定の態様において、篩は必要とされず、省略されてもよい。
【0032】
抗菌フィルターは、同様に必要とされない。例えば、図3Cは、抗菌フィルター45をともなわない薬物貯蔵部40の断面図である。少なくともいくつかの態様は、システムの充填の間に空気泡を抜き取ることを可能にする機構を含んでもよい。これは、液送達システム(例えば、浸透圧ポンプまたは外部ポンプ)が、湿潤多孔性フィルター(図3Aおよび3Bの3Dフィルター45など)の毛細血管様構造内で液体を保持する表面張力に打ち勝つのに十分な圧を生成しないケースで、蒸気閉塞を防ぐのを助け得る。いくつかの態様において、セットスクリューまたはプラグが、フィルターの上流(すなわち、より高い圧)側の薬物チャンバーハウジングの側面へ組み入れられてもよい。セットスクリューまたはプラグは、プライミングの間に除去され得、すべての空気泡がシステムから抜き取られると使用のために再度取り付けられ得る。さらにその他の態様において、換気弁は、ガスの換気を可能にする上流半透膜を含んでもよい。さらにその他の態様において、セットスクリューまたはプラグは、除去不可能である場合があるが、脱気を可能にするためにガス透過性であるが液体透過性ではない部分を含む場合がある。
【0033】
図3Dは、少なくとも一つの態様に従う薬物貯蔵部60を示し、ガスの換気を可能にする半透膜を有する換気弁61を含む。チュービングコネクターかかり62が貯蔵部60の上流側にあり、チュービングコネクター63が下流側にある。図3Eは、薬物貯蔵部60の断面図である。薬物貯蔵部60は、ネジ山71、72で液密性接続を形成するように接合するハウジング64および65を含む。腔66は、一つまたは複数の固体薬物ペレットまたはその他の塊を保持する。示されないが、図3Aおよび3Bにおける篩43および41と同様の篩が、空間66の上流側の面69上および空間66の下流側の面68上に(定常または除去可能配置で)置かれてもよい。図3Dの態様において、3D抗菌フィルター67は、ハウジング65において形成される空間74内に収まる。
【0034】
薬物貯蔵部40のハウジング44および46、薬物貯蔵部60のハウジング64および65、ならびにその他の態様における薬物貯蔵部のハウジングは、チタン、ステンレススチールなどの薬物適合性、腐食耐性材料、生体適合性コーティング金属、PTFE、FEP、PFA、およびその他のフルオロポリマーなどの化学的不活性ポリマー、またはフルオロポリマーコーティング金属で作られ得る。体温で低流速の間に、薬物は、チャンバーの壁に吸着しやすい場合があり、予期される濃度よりも低い濃度の薬物が患者に送達されることを引き起こす。フルオロポリマーは、吸着に耐えるための最良の公知の材料である。
【0035】
上で示されるように、様々な態様における薬物貯蔵部は、固体薬物の補充を可能にするために開閉されうる。貯蔵部構成要素は、ネジ式である場合もあり(図3A〜3Cおよび3Eにおいて示されるように)、またはロッキングタブ(locking tab)および溝からなる場合もある。さらにその他の態様において、外部クランプが使用されてもよい。さらにその他の態様において、貯蔵部ハウジングは、スナップフィットによって接合されてもよい。上でも示されるように、貯蔵部14(図2)は、周囲袖27によって一緒に保持される二つの金属チューブ28および29を含む。周囲袖27は、シリコンゴムなどの弾性ポリマーで作られ得る。いくつかの態様において、漏れを防ぐために、薬物貯蔵部の嵌め合い部分の間(例えば、図2のチューブ28と29との間、図3A〜3Cのハウジング44と46との間、図3Eのハウジング64と65との間)に、生体適合性ガスケットが置かれてもよい。さらにその他の態様において、薬物貯蔵部ハウジングの外部部分は、より簡単な締め付けを促進するために平面またはその他の領域を含んでもよい。図3Fは、嵌め合いハウジング81および82を有する薬物貯蔵部80の態様を示す。平面83は、ハウジング81の一側面に形成される。第二平面(示されない)は、ハウジング81の反対側面に形成され得る。同様に、ハウジング82は、一側面に形成される平面84を含み、反対側面に付加的な平面(これも示されない)を含んでもよい。
【0036】
少なくともいくつかの態様において、薬物貯蔵部の上流側のカテーテルチュービング(例えば、図1におけるデバイス10のポンプ側のカテーテル16に対するチュービング)は、シリコン、ポリウレタン、またはPTFE、FEP、およびPFAを含むフルオロポリマーなどの媒体および生体適合性の弾性ポリマーであり、薬物貯蔵部の下流側のカテーテルチュービングは、PTFE、FEP、およびその他のフルオロポリマーなどの生体適合性で薬物適合性の弾性ポリマーである。
【0037】
いくつかの態様において、固体薬物貯蔵部および3D抗菌フィルターは、カテーテル接続を介して液連通している。これは、概して図1において、より詳細に図4(上流および下流方向が示される)において見られる。上流または下流構成要素に接続するために使用され得る金属チュービングコネクター22および89も、図4において示される。別の態様において、単一のハウジングが、固体薬物ならびに三次元抗菌フィルターを含んでもよい。そのような配置の一つの例は、同一出願人による米国特許出願第11/414,543号(「Apparatus and Method for Delivery of Therapeutic and Other Types of Agents」と題され、2006年5月1日に出願された)からの図面図2、薬物のための別個の容器(そのケースで、ケージ)を保持するハウジングにおいて見ることができる。そのようなハウジングは、固体薬物の補充を可能にするために開閉されてもよい。図5は、別の態様に従う薬物貯蔵部95の断面図である。薬物貯蔵部95は、ネジ山101、102を嵌め合うことによって接合されるハウジング96および97を含む。ハウジング96の内側の腔103が、固体薬物を保持する(示されない)。図3Aおよび3Bの篩41および43と同様の篩が含まれてもよい。3D抗菌フィルター98は、空間99に設置される。図3A〜3Fにおいて示されるかかり接続金具の代わりに、薬物貯蔵部95は、上流インレット穴105および下流インレット穴106を含む。
【0038】
いくつかの態様において、固体薬物貯蔵部は、皮下移植可能ポートである(またはそのようなポートと液連通している)。一つのそのような態様は、図6において示され、デバイス10の浸透圧ポンプ12(図1)が、皮下ポート110で置き換えられている。その他の態様において、皮下移植可能ポート貯蔵部は、ポートの中隔を貫通するニードル(ニードルは外部ポンプまたは媒体のあるその他の源と液連通している)を介してポートへ導入される媒体によって浸食される固体薬物ペレットを含む。図7は、カバー(および中隔)が除去されかつ固体薬物ペレット25を含む皮下移植可能ポート120を示す。図7においても示されるように、3D抗菌フィルター121が、ポート120のアウトレットに取り付けられてもよい。あるいは、3D抗菌フィルターは、ポート120の薬物保持腔とポート120から薬物を送達するカテーテルの遠位端との間の他の場所に設置されてもよいと考えられる。固体薬物の形状は、任意の適当な形状へ成形され得る。
【0039】
少なくともいくつかの態様において、薬物およびフィルターのためのハウジングはチタンから作られ、人体へ移植されるのに十分なほど小さい。内径は、3D抗菌フィルターがハウジングの内側に接着され得るようなサイズにされる。可能性のあるフィルターサイズの例(様々な態様における)は、0.03〜0.25"の物理的外径を有する0.2ミクロン細孔サイズ3Dフィルターを含むが、それらに限定されない。さらにその他の態様において、物理的外径は、0.1"と0.3"との間である。
【0040】
図8は、少なくとも一つの態様に従う薬物貯蔵部125の二つの分離されたハウジング126および127の透視図である。図9は、ハウジング126および127が(ネジ山130および131を介して)接合されている薬物貯蔵部125の断面図である。ハウジング126および127の外端全体は、そこに形成される(それぞれ)かかり128および129を有する。固体薬物および任意の3D抗菌フィルター133を保持するための空間132も、図9において見られる。
【0041】
図10は、図1および2からの袖付き薬物貯蔵部14の断面図であり、例示的寸法が含まれる。図1、2、および10の例において、内部チャンバー20容積はおよそ43 mm3(43μL)であり、およそ32 mm3が固体薬物を保持するために利用できる。
【0042】
図11は、二重管腔チューブ145がポンプおよび/または固体薬剤を含む貯蔵部から伸長する付加的な態様を示す。二重管腔チューブ145は二つの別個のラインへ分離する。チューブ146は、一つの管腔に取り付けられ、患者から流入する生理学的液を受ける。チューブ147は、別の管腔に取り付けられ、患者に治療的液を送達する。ライン146において受けられる生理学的液は、貯蔵部における固体薬物ペレットを通って流れ、それらのペレットから薬物をゆっくりと(例えば、溶解によって)除去する。次いで、薬物および生理学的液の結果として生じる溶液は、チューブ147を介して標的組織に送達される。図12は、チューブ146および147の遠位端148および149の拡大図であり、液流を再循環させるための二つの管腔をさらに図示する。その他の態様において、二つの完全に分かれたチューブ(すなわち、二重管腔チューブから出てくるわけではない二つのチューブ)が使用されてもよい。そのような態様は、生理学的液が、治療的液が送達されるべき領域からより遠くにある領域から引き出されるケースで、有用である可能性がある。
【0043】
図13は、ポンプが流れを生成することを必要としないシステムの態様を示す透視図である。半透膜155は、固体薬物を含む貯蔵部156のチャンバーへ間質液媒体を通過させる。チャンバー内の薬物が溶解する(またはそうでなければ、固体薬物塊から除去され、かつ間質液媒体に取り込まれる)時、膜を隔てた濃度差が、液が低い濃度からより高い濃度に流れることを引き起こす。浸透圧は、膜155を通って、薬物チャンバーへ、アウトレットを介して、カテーテル158(図示の目的のためにクリアなカテーテルとして示される)における任意の3D抗菌フィルター157を通って、標的送達部位に液を押す。半透膜155は、間質液を通すのに十分であるが、取り込まれた固体薬物を拡散させない細孔サイズカットオフを有する。抗菌フィルター157は、バクテリアを留保するが、溶解された(またはそうでなければ取り込まれた)薬物を通過させるのに十分な細孔を有する。電場が膜155に適用されてもよく、電気浸透による拡散を引き起こす。図14は、図13の態様の完全な断面図であり、固体薬物を保持するための腔160をより詳細に示す。図15は、腔160における固体薬物ペレット25を含む図13および14の態様を示す。逆流を防ぐために、適当なチェック弁(示されない)が、腔160または液経路における他の場所内に含まれてもよい。
【0044】
図16は、液が、半透性中空ファイバー173を含むループ172を介してポンプ/貯蔵部から(二重管腔チュービング175の一つの管腔を介して)一方向に循環し、チュービング175の第二管腔を介して戻る、システム170の態様を示す。中空ファイバーループ173は、標的送達エリアに位置付けられ得る末端構成要素である。ポンプは、貯蔵部に設置された固体薬物を通って媒体を循環させ、結果として生じた薬物ロード媒体は、中空ファイバー173の壁を介して標的組織へ拡散する。図17は、図16において示される中空ファイバーループ172の拡大図であり、様々な構成要素が、説明の目的のために部分的に透明になっている。中空ファイバー173を含むループ172は、不透性チュービング区域176および177で、二重管腔チューブ175におけるそれぞれの流入および流出管腔に取り付けられる。図18は、中空ファイバー173と不透性チュービング区域176および177との間の接続の断面図である。コネクター178は、チタン、ステンレススチール、またはその他の生体適合性で薬物適合性の金属もしくはポリマーで作られ得る。
【0045】
さらにその他の態様は、取り付けられた電池および電力電子機器(電力供給、再充電回路など)ならびに情報を受信しかつ送信するための通信電子機器を有するpHおよび/または正円窓ノイズセンサー(例えば、超マイクロマイクロホン)を含む。これらの態様において、電子機器は、デバイスの貯蔵部区域と束ねられてもよいと考えられ、センサーは、カテーテルの表面に付随するワイヤと組み合わせられるまたは多管腔チュービングの管腔の一つ内に含まれ、かつ蝸牛またはその他の標的組織内に出ていてもよいと考えられる。
【0046】
少なくともいくつかの態様は、帯電薬物イオンまたは薬物のその他の粒子の電気泳動誘導送達を含む。帯電薬物に対して、薬物を含む(または吸着/吸収された薬物を有するナノ粒子を含む)液に電場を適用することにより、普通の拡散よりも速い薬物の移動を誘起できる。ガシクリジンのケースで、ポンプに対する必要性をともなわずに、蝸牛または任意のその他の標的組織への薬物送達を加速するために、デバイス出口の(例えば、カテーテルの端における)またはデバイス出口のすぐ外側の負電荷が使用され得る。反対極性の同じまたは同様の電荷(例えば、ガシクリジンのケースで正電荷)が、薬物含有区画(例えば、固体薬物が保持されるチャンバー)に同様に適用されてもよいと考えられ、それによって、ポンプに対する必要性をともなわずにデバイスからの薬物送達を可能にする。電気泳動環境は、蝸牛または標的組織内の天然低抵抗アウトレットに電気浸透流を誘起すると考えられる。カテーテルチップへの薬物の移動の速度(または薬物の濃度)は、適当な電子機器パッケージ、電池、再充電アセンブリ、オン/オフスイッチ、通信回路、およびその他の電子機器によって調節される電気量の電界強度およびその他のパラメータによって調節され得ると考えられる。反対電荷を有する薬物が使用される場合、次いで、電子回路は、電極上の電荷を逆転させると考えられる。電気泳動誘導薬物送達態様は、患者安全性を促すために、かつ少量の薬物が送達されているので、非常に低い電力デバイスであると考えられる。蝸牛における帯電デバイスは、電気刺激からの利点を報告する耳鳴患者に付加的な利点を提供する可能性がある。事実、いくつかの態様において、カテーテルは、蝸牛への電気刺激(パルスまたはその他)の送達のために使用されるだけである電極を含む。さらにその他の態様において、カテーテルは、蝸牛または何らかのその他の標的組織におけるノイズ、電気ポテンシャル、または何らかのその他の物理的特徴を検知するために代わりに(または付加的に)使用される電極を含む。そのような刺激および/または検知のための方法および電子機器は、当技術分野において公知である(本明細書において記載される薬物送達デバイスとの組み合わせではないが)。本明細書において記載される薬物送達システムへの適当な刺激および/または検知電子機器の含有は、当業者が本明細書に含まれる情報を提供されれば、当業者の日常的な技能内であると考えられるので、そのような刺激および/または検知電子機器の付加的な詳細は含まれない。
【0047】
図19は、少なくともいくつかの態様に従う電気泳動誘導薬物送達システム195を示す。チューブ197は、液送達管腔および電極ワイヤを含み、薬物貯蔵部196から伸長する。図20は、薬物貯蔵部196およびチューブ197の一部の断面図である。貯蔵部196は、半透膜200および固体薬物ペレットを保持するための内部腔201を含む。電子機器パッケージ203および電池205は、貯蔵部196の下側に取り付けられる。電子機器パッケージ203は、電極チップ207に一つの極性の電荷および電極ワイヤ209のチップ208(図19および22を参照されたい)に反対極性の電荷を誘起する。腔201内のワイヤ209の部分は、チップ207との早期電荷交換を防ぐために、誘電体でコーティングされ得る、またはそうでなければ絶縁され得る。図21は、図20と同様であるが、腔201内の固体薬物ペレット25を示す。図22は、チュービング197の末(または遠位)端を(図21に対して反転した配向において)示し、電極チップ208および液アウトレット210を図示する。反対電荷が電極207およびワイヤチップ208に適用される場合、蝸牛またはその他の標的組織内の天然低抵抗アウトレットに電気浸透流が誘起される。間質液は、半透膜200を介して腔201に入る。その他の態様において、薬物貯蔵部から離れている別の体領域から液を引き出すために、別個のチューブが(膜200の代わりに)使用される。腔201に入る液は、腔201における薬物を溶解し、標的組織に薬物を送達する。
【0048】
いくつかの態様は、薬物の磁場誘起送達を含む。二つのそのような態様が、図23〜25において示される。送達カテーテルを囲むコイルを介して適用されるカレントが、方向性磁場を産生すると考えられる。カテーテルの内側に磁性または帯電粒子がある場合、それらは、薬物を運ぶために使用され得る。例えば、磁性粒子から形成される担体ナノ粒子は、磁場によって推進され、ループの周りを循環し得る、または別のタイプの末端構成要素から排出され得る。いくつかの態様(例えば、図23および24の態様)において、中空ファイバー壁は、溶解された薬物を通過させるが、磁性担体粒子を通過させない。したがって、磁性担体は、固体薬物表面でロードし、中空ファイバーなどの出口細孔でそのロードを放出すると考えられる。磁場は、チュービング内に循環的流れがあることを確実にすると考えられる。
【0049】
図23は、磁場誘起薬物送達を提供するように構成されるシステム210を示す。貯蔵部213に取り付けられた磁場アクチュエータは、中空ファイバーループ211に二重管腔カテーテル212を介して液および薬物を運ぶために磁場を誘起する。図24は、システム210の一部の拡大図であり、取り付けられた電子機器パッケージ221、電池215、および磁気コイル219を有する貯蔵部213を示す。磁気コイル219は、液、薬物、および磁性または帯電粒子を含む(貯蔵部213を出る)チューブを囲み、システムの周りに液を循環させる磁場を作り出す。
【0050】
図25は、磁場誘起薬物送達を提供する別の態様に従うシステム250を示す。システム250は、例えば、一つの端における半透膜156および標的領域への薬物の送達のためのカテーテル158を有する貯蔵部156などの、図13において示されるようなシステムを含む。しかしながら、システム250において、コイル251は、貯蔵部156およびカテーテル158の少なくとも一部を囲む。電子機器253は、ワイヤ252を介してコイル251に電流を提供し、それによって貯蔵部156の内側の薬物チャンバーからカテーテル158を介する標的領域への電荷薬物粒子(例えば、薬物イオン)の流れを誘起するための磁場を作り出す。いくつかの態様において、半透膜155は、液(例えば、貯蔵部156が移植されている体領域からの生理学的液)を薬物チャンバーに与えるための一方向弁で置き換えられる。いくつかの付加的な態様において、電子機器253は、貯蔵部156のハウジング内に含まれる。3D抗菌フィルターが、カテーテル158またはシステムの他の場所内に含まれてもよい。
【0051】
本発明の態様は、米国特許出願第11/337,815号(米国特許出願公開第2006/0264897号として刊行された、2006年1月24日に出願され「Apparatus and Method for Delivering Therapeutic and/or Other Agents to the Inner Ear and to Other Tissues」と題される)において記載されるデバイスおよび方法を使用して実施されてもよい。
【0052】
いくつかの態様において、薬物貯蔵部に連結される電子機器パッケージ(例えば、図20における電子機器パッケージ203または図24における電子機器パッケージ221)は、薬物/媒体溶液(または懸濁液)の特性を検知するための構成要素を含む。検知される特性は、pH、光の吸収、電気伝導度、光散乱、薬物または電解質濃度などの一つまたは複数を含み得ると考えられる。次いで、これらの検知される特性は、ポンプ(内部または外部)またはその他の要素(例えば、磁気コイルまたは電気泳動電極)のオペレーションを調整するために適当な電子機器を介して使用され得る。電子機器パッケージは、同様に(または代わりに)音もしくはその他の物理的パラメータ(例えば、組織電気活動)を検出する、かつ/または離れたセンサーと連通するように構成されてもよいと考えられる。
【0053】
少なくともいくつかの付加的な態様において、貯蔵部における一つまたは複数の固体薬物塊から薬物を除去するために使用される媒体は、それ自身、薬物(または複数の薬物)を含むナノ粒子の予め混合された懸濁液であってもよい。さらにその他の態様において、貯蔵部チャンバーにおける固体薬物塊を採用することなく薬物(または複数の薬物)を含むナノ粒子の予め混合された懸濁液を送達するために、様々な態様に従う薬物デバイスが使用されてもよい。どちらのケースでも、ナノ粒子は、薬物ナノ粒子または薬物が吸着/吸収されているもしくはそうでなければ取り付けられている担体材料のナノ粒子であり得る。
【0054】
以前に示されたように、本明細書において記載されるようなデバイスおよび方法は、薬物の持続性長期送達を提供するために使用され得る。そのようなデバイスおよび方法は、長期的に断続的な薬物送達を提供するために使用されてもよい。例えば、固体薬物塊を保持する貯蔵部は、患者の体に移植され得ると考えられる。次いで、その貯蔵部は、媒体の源に定期的に接続され得る(例えば、貯蔵部と液連通している皮下ポートを使用して)。
【0055】
図1において示されるシステム10と同様に、図3A〜3F、5、8、および9において示される貯蔵部は、ヒトまたはその他の動物に移植され、一つの端(例えば、貯蔵部40のインレット50、貯蔵部60のインレットかかり62)でカテーテルを用いて媒体源(例えば、移植された浸透圧ポンプ、媒体が外部源から導入されるポート)に接続され得る。もう一方の端(例えば、貯蔵部40のアウトレット48、貯蔵部60のかかり63)は、別のカテーテルを介して末端構成要素(患者に移植されていてもよい)に接続され得る。
【0056】
本開示において引用されるすべての特許、特許出願、および参照は、参照により本明細書に明確に組み入れられる。以下の具体的な実施例は、実例の目的のみのために提供され、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0057】
実施例1
ガシクリジン塩基のペレットの加工
水(500 mL)を沸騰させた。次いで、固体ガシクリジン塩基を融解するために、この熱水バスを使用した。35 mgのガシクリジン塩基を小さなガラスバイアルに置いた後、ガシクリジン塩基が融解するまで、バイアルを熱水バス(90〜100℃)でインキュベートした。次いで、融解ガシクリジン塩基の小さなアリコート(2μL)を、ポリプロピレンチューブ(サイズが1.5 mL)に移し、ガシクリジン塩基が凝固するまで室温で放置した。
【0058】
融解ガシクリジンの凝固は、典型的には30分以内に完了するが、時折何時間もかかる場合がある。時間の約半分で、単一の焦点からゆっくりと成長する単一の固体塊が獲得される。放置の際に複数のより小さな結晶質/非晶質塊を引き起こすアリコートに対して、そのアリコートを含むチューブは、それが再度融解されるまで、熱水バス(90〜100℃)でインキュベートされ得る。冷却する際に、単一の固体塊の第二収穫が獲得される。このプロセスは、ガシクリジン塩基のすべてのアリコートが単一の固体塊に変換されるまで、必要に応じて、繰り返され得る。
【0059】
この方式で獲得される単一の固体塊(薬物ペレット)は、1.5±0.3 mgの平均重量を有し、約1.9 mmの直径を有する半球である。これらの薬物ペレットは、それらが成長する表面から引き離され溶解チャンバーに移されるのに十分な機械的安定性を有する。固体ペレットの形状は、液体薬物が凝固する容器の形状によって決定される。異なる形状を有する容器を使用することによって、薬物は、固体薬物が置かれる薬物貯蔵部の形状と一致するように凝固し得る。
【0060】
実施例2
連続流反応器におけるガシクリジン塩基の溶解
図2および4において図示されるものと同様の薬物チャンバーに、18 mgの組み合わされた塊を有するガシクリジン塩基の11ペレットをロードした。この薬物ロードチャンバーを、MiniMed 508シリンジポンプ(Medtronics MiniMed of Northridge, Californiaから入手できる)を使用して室温(23±2℃)で20μL/時間の流速で溶出した。シリンジに、0.05〜3 mM塩酸を含む3 mLのリンガー溶液をロードした。溶出容積を、3D抗菌フィルターの後のポンプ薬物カプセルアセンブリに取り付けられたPTFEチュービングに収集した。この溶液のpHは、塩化第一水銀電極が装備されているpHメーターの使用によって決定された。薬物濃度はHPLCによって決定された。
【0061】
溶出された薬物溶液の最高pH(5.9)は0.05 mM塩酸で獲得され、溶出された薬物溶液の最低pH(5.6)は3 mM塩酸で獲得された。これらのpH値は、塩酸の薬物塩への定量的変換を示し、塩酸塩の溶液に対して予期されるpHと一致している。図26において示されるように、連続流反応器からの出力において獲得されたガシクリジンの濃度は、チャンバーを溶出するために使用された塩酸の濃度と線形相関した。これらのデータは、溶出のために使用された塩酸濃度あたりのガシクリジン濃度において0.976±0.049の相関および塩酸のゼロ濃度で0.0014±0.0061 mMガシクリジンの切片を有した。
【0062】
本発明の多くの特徴、有利な点、および態様が、添付の図面を参照して先述の説明において詳細に記載されている。しかしながら、上記の説明および図面は、実例的なだけである。本発明は、例証される態様に限定されず、本発明のすべての態様は、必ずしも、本明細書において同定される、有利な点もしくは目的のすべてを達成する必要はない、またはすべての特徴を保有する必要はない。様々な変化および改変が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、当業者によってもたらされ得る。例材料および寸法が提供されているが、本発明は、特許請求の範囲の言語によって具体的に必要とされない限り、そのような材料または寸法に限定されない。上述の態様の要素および使用は、本発明の範囲内の任意のおよびすべての並べ替えをともなって、具体的に上で記載される以外の様式で再編成されかつ組み合わせられ得る。本明細書(特許請求の範囲を含む)において使用されるように、「液連通している」は、液が、一つの構成要素から別の構成要素に流れ得ることを意味する;そのような流れは、一つまたは複数の中間の(かつ具体的に述べられない)その他の構成要素を経由し得;かつ(例えば、弁で)選択的に中断される場合もあり、またはそうでない場合もある。同様に本明細書(特許請求の範囲を含む)において使用されるように、「連結される」は、一つまたは複数の中間構成要素によって(動かせるようにまたは固定して)取り付けられる二つの構成要素を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水難溶性である固体薬物の一つまたは複数の塊を含む腔を有する貯蔵部と、
腔と液連通しているアウトレットと、
腔と液連通している媒体源と
を含む装置。
【請求項2】
媒体および取り込まれた薬物の組み合わせを一つまたは複数の固体薬物塊からヒトまたはその他の動物の標的領域に送達するように構成される末端構成要素であって、アウトレットが設置される末端構成要素を有するチューブをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
末端構成要素が、ニードル、蝸牛移植電極、蝸牛カテーテル、骨ニードル、およびカテーテルの開端の少なくとも一つを含む、請求項2記載の装置。
【請求項4】
末端構成要素が、標的領域への薬物の導入のために構成される多孔性部材を含む、請求項2記載の装置。
【請求項5】
腔とアウトレットとの間の液経路に置かれる三次元抗菌フィルターをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
抗菌フィルターの上流側にガス解放ポートをさらに含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
一つまたは複数の固体薬物塊の腔からの移動を防ぐように位置付けられる多孔性要素をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
多孔性要素が一つまたは複数の篩(screen)を含む、請求項7記載の装置。
【請求項9】
媒体が腔からアウトレットに流れるように媒体を推進するように構成されるポンプをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
ポンプが貯蔵部のためのハウジングの外部にある、請求項9記載の装置。
【請求項11】
ポンプおよび貯蔵部が同じハウジング内に含まれる、請求項9記載の装置。
【請求項12】
一つまたは複数の固体薬物塊の補充を可能にするために、貯蔵部が非破壊的開口および液密性再閉鎖(fluid-tight reclosure)のために構成される、請求項1記載の装置。
【請求項13】
媒体に取り込まれた帯電薬物を動かすように構成される一つまたは複数の電極および電子機器パッケージをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項14】
一つまたは複数の電極が、腔における第一電極およびアウトレットに位置付けられる第二電極を含み、電子機器パッケージが、反対極性で第一および第二電極を帯電させるように構成される、請求項13記載の装置。
【請求項15】
ヒトまたはその他の動物における組織に電気刺激を提供するように構成される一つまたは複数の電極および電子機器パッケージを含む、請求項1記載の装置。
【請求項16】
媒体が装置に置かれる場合に媒体における粒子を推進するために、磁場を産生するように構成される一つまたは複数の磁気コイルおよび電子機器パッケージをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項17】
粒子が磁性ナノ粒子である、請求項16記載の装置。
【請求項18】
少なくとも二つの液導管をさらに含み、液導管の各々が、腔と液連通している第一開口部および腔から離れて位置付け可能な第二開口部を有し、一つまたは複数の固体薬物塊からの媒体および取り込まれた薬物を第二開口部の一つから排出し、該第二開口部のもう一方を介して液を受けるように構成される、請求項1記載の装置。
【請求項19】
媒体が生理学的液であり、第二開口部のもう一方が生理学的液媒体を受けるように構成可能である、請求項18記載の装置。
【請求項20】
皮下移植可能ポートをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項21】
貯蔵部が皮下移植可能ポートの一部である、請求項20記載の装置。
【請求項22】
貯蔵部が、腔に生理学的液を与えるために位置付けられる半透膜または一方向弁を含む、請求項1記載の装置。
【請求項23】
一つまたは複数の固体薬物塊からの媒体および取り込まれた薬物に関して、pH、光の吸収、電気伝導度、光散乱、薬物濃度、および電解質濃度の一つまたは複数を検知するように構成される一つまたは複数のセンサーならびに電子機器パッケージをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項24】
音を検知するように構成される一つまたは複数のセンサーおよび電子機器パッケージをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項25】
組織電気活動を検知するように構成される一つまたは複数のセンサーおよび電子機器パッケージをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項26】
水難溶性である薬物の固体型の塊を含む貯蔵部をヒトまたはその他の動物へ移植する段階と;
塊から薬物を取り込むために固体薬物塊を通って供給源から媒体を通過させる段階と;
通過した媒体および取り込まれた薬物をヒトまたはその他の動物における標的組織に送達する段階と
を含む方法。
【請求項27】
薬物の所望の治療的有効濃度を決定する段階をさらに含み、薬物の固体型が塩基性型であり、媒体が所望の治療的有効濃度と実質的に同じである濃度で酸を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
酸が、塩酸、リン酸、リン酸一ナトリウム、クエン酸、クエン酸のナトリウム塩、および乳酸の少なくとも一つである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
薬物がガシクリジン(gacyclidine)である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
媒体が、リンガー溶液、乳酸加リンガー溶液、人工外リンパ、および生理学的食塩水の少なくとも一つである、請求項26記載の方法。
【請求項31】
薬物の所望の治療的有効濃度を決定する段階をさらに含み、薬物の固体型が酸性型であり、媒体が所望の治療的有効濃度と実質的に同じである濃度で塩基を含む、請求項26記載の方法。
【請求項32】
塩基が、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化コリンの少なくとも一つである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
媒体が、両親媒性分子を有する成分を含む、請求項26記載の方法。
【請求項34】
成分が、ポリソルベート80、アシルグリセロール、12-ヒドロキシステアリン酸のポリ-オキシエチレンエステル、ベータ-シクロデキストリン、タウロコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、コール酸、もしくはウルソデオキシコール酸などの胆汁酸、硫酸ガラクトセレブロシドなどの天然陰イオン性界面活性剤、ラクトシルセラミドなどの天然中性界面活性剤、またはスフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、もしくはパルミトイルカルニチンなどの天然両イオン性界面活性剤の一つまたは複数である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
媒体が、薬物に対する親和性を有する小さな粒子(サイズが100 nm〜0.1 mm)、またはナノ粒子(サイズが10 nm〜100 nm)の少なくとも一つの懸濁液を含む、請求項26記載の方法。
【請求項36】
小さな粒子またはナノ粒子が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ならびに磁性材料の一つまたは複数を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
媒体が生理学的液を含む、請求項26記載の方法。
【請求項38】
媒体が、蝸牛外リンパ、脳脊髄液、および間質液の少なくとも一つを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
融解ガシクリジン塩基を形成するために固体ガシクリジン塩基を加熱する段階と;
既定の形状のガシクリジンのペレットを形成するために、融解ガシクリジン塩基を冷却する段階と
を含む、ガシクリジン塩基のペレットを形成するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2009−539485(P2009−539485A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514423(P2009−514423)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/013686
【国際公開番号】WO2007/146227
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(507238986)ニューロシステック コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】