説明

薬物送達装置およびその装置を充填するためのシリンジ

本発明は薬物送達装置の分野に関する。より具体的には、本発明は、持続した期間にわたり薬物送達を提供する、埋込み可能かつ再充填可能な薬物送達装置に関する。本発明は特に、眼用薬物送達適用に応用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は薬物送達装置の分野に関する。より具体的には、本発明は、持続した期間にわたる薬物送達を提供する埋込み可能かつ再充填可能な薬物送達装置に関する。本発明は眼用薬物送達適用のために特に適用される。
【0002】
関連出願
本出願はU.S.Provisional Application Serial No.60/447,971(2003年2月18日出願、その出願は本明細書により参照としてその全体が組み入れられる)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
薬物を使用する医学的処置の効力のためには、多くの場合、特定の場所への薬物の制御された送達が要求される。ある種の治療では、特に、薬物が迅速に分解するか、または、処置を必要としている領域(例えば、眼)から洗い流されるときには、薬物を長期間にわたって繰り返し投与することが必要である。そのような治療における薬物送達は問題がある。眼に対する薬物の送達は特に難しい。これは、眼の内部領域は、全身投与された薬物により薬物治療することが困難であり、また、局所投与される薬物は、涙の産生により、薬物の大部分が短時間のうちに眼から洗い流されるので、通常の場合、高い、潜在的に危険な濃度で投与されるからである。薬物送達に対する生理学的バリアに加えて、患者は、自分の薬を服用することを忘れることが多く、あるいは、薬物を投与することを欲しないか、または薬物を投与することができない。限局化された薬物送達もまた、薬物が全身送達のために不適切であるときには必要となり得る。
【0004】
いくつかの方法が、薬物の限局化された送達のために存在する。これらの方法には、局所適用製剤(すなわち、パッチおよび粘性ゲル)、制御放出製剤、および薬物送達装置の使用が含まれる。局所適用製剤の使用は容易な投与を可能にする一方で、何らかの限局化された効果が、容易にアクセス可能である領域に限定され、そして、眼の処置の場合、ゲルの使用により、患者の視覚が損なわれことがある。制御放出製剤は、例えば、ポリマーからの薬物の拡散および/またはポリマーの分解によって、薬物の放出を一定の期間もたらす。しかし、そのような製剤を特定の領域に保持することもまた困難である。機械的な薬物送達装置もまた、限局化された送達のために開発されており、薬物を身体から物理的に隔てることができるという利点を有する。しかしながら、多くのそのような装置は機械的に複雑であり、かつ、再充填することが困難または不可能である。従って、新しい薬物送達装置が求められている。
【発明の開示】
【0005】
発明の概要
本発明は、治療化合物を送達するための薬物送達装置、前記装置を充填するためのシリンジ、およびその使用方法を特徴とする。本発明は、大きな圧力変化を装置内において生じさせることなく、装置を空にするか、または充填することを確実にする設計に基づいている。1つの態様によれば、硬い保護外殻内の膨張可能なチャンバーは、制御された速度で所望の処置部位と接触させることができる薬物を含有する。本発明の装置は、装置を処置部位から外れさせ得るか、または周囲の組織を傷つけ得る大きな圧力変化を装置において生じさせることなく空にすることができ、かつ再充填することができるように設計されている。
【0006】
1つの局面において、本発明は眼用薬物送達装置に関連し、哺乳動物の眼に対する治療剤の経強膜送達のための装置を特徴とする。本発明の装置は、a)ドーム部、b)ドーム部の内部に配置されたメンブラン(この場合、メンブランにより、ドーム部の内部が圧力平衡化チャンバーおよび治療剤チャンバーに分けられ、圧力平衡化チャンバーの体積が、実質的に一定の圧力をドーム部の内部において少なくとも1ヶ月の期間にわたって維持するために、治療剤チャンバーにおける体積に応じて変化する)、およびc)メンブランにつながれ、(例えば、周縁部の外周全体にわたって)眼の強膜に取り付けるために適合させた周縁部(これにより、そのように取り付けられたとき、治療剤チャンバーと流体的に連絡している眼の領域が規定される)を含む。
【0007】
別の局面において、本発明の装置はまた、治療剤を治療剤チャンバーに注入することができるポートを含む。そのようなポートは、例えば、第1および第2の隔壁を含み、第1の隔壁により、装置の外側が圧力平衡化チャンバーから分離され、第2の隔壁により、圧力平衡化チャンバーが治療剤チャンバーから分離される。第1および第2の隔壁は、針が両方の隔壁を同時に突き抜けることができるように配置することができる。
【0008】
本発明はさらに、流体を閉鎖系に注入するか、または流体を閉鎖系から引き出すためのシリンジであって、a)流体入口端部および圧力生成端部を有する胴部、b)中空の内腔を有し、流体入口端部に接続されている針、c)中空の内腔を有し、針に接続されている通気チューブ(この場合、通気チューブおよび針の中空の内腔は流体的に連絡していない)、およびd)胴部の圧力生成端部に接続された圧力源(例えば、プランジャー)を含むシリンジを特徴とする。
【0009】
別の局面において、本発明は、流体を閉鎖系に注入するか、または流体を閉鎖系から引き出すための方法であって、a)本発明のシリンジを提供する工程、b)針および通気チューブを、受け口を介して系内に入れる工程、およびc)流体を系に注入するか、または流体を系から引き出す工程を含み、この場合、胴部からの流体が針を介して系に注入されるとき、系の内部の流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して排出され、また、系からの流体が針を介して胴部に引き入れられるとき、系の外側の流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して系に進入する方法を特徴とする。上記の方法は、治療剤を閉鎖系(例えば、本発明の装置の治療剤チャンバーなど)に送達するために使用することができる。
【0010】
本発明はまた、哺乳動物における眼の疾患状態を処置する方法を特徴とする。そのような方法は、a)本発明の装置の周縁部を哺乳動物の眼の強膜に取り付ける工程、およびb)装置に、疾患状態を処置する治療剤を装着する工程を含む。この方法は、治療剤を脈絡膜または網膜に送達するために使用することができる。
【0011】
本発明の他の特徴および利点が、下記の記載、図面および上記の特許請求の範囲から明らかになる。
【0012】
用語の定義
「アプタマー」は、ハイブリダイゼーション以外の手段によって別の化学種またはその一部分に結合する核酸を意味する。
【0013】
「閉鎖系」は、流体が導入されたとき、少なくとも一時的ではあるが、加圧される容器を意味する。閉鎖系は、内部の圧力を経時的に放出することができる開口部を含有することができる。
【0014】
2つの体積が「流体的に連絡している(in fluid communication)」は、液体または気体がこれら2つの間を通過することができるように、2つの体積がつながれていることを意味する。
【0015】
「実質的に一定の圧力」は、満たすことによるか、または空にすることによるか、または周囲の液体の浸透圧の変化による小さい一時的な変化を伴う、一定している圧力を意味する。
【0016】
「治療剤」は、一つまたは複数の疾患、障害または状態に対する治療的効果をもたらす任意の化合物または化合物の混合物を意味する。そのような化合物には、限定されないが、小さい有機分子または無機分子、タンパク質(例えば、抗体)、ペプチド、脂質(例えば、ステロイド)、および核酸(例えば、アプタマー)が含まれる。治療剤は、例えば、疾患、障害または状態を処置するための抗生物質、鎮痛剤、抗炎症性化合物または任意の他の化合物である。
【0017】
「処置する」は、疾患、病理学的状態または障害の治療、改善または防止が得られるという意図を伴う患者の医学的管理を意味する。この用語は、積極的な処置、すなわち、疾患、病理学的状態または障害の改善に特に向けられた処置を包含し、そしてまた、原因治療、すなわち、疾患、病理学的状態または障害の原因の除去に向けられた処置を包含する。加えて、この用語は、緩和処置、すなわち、疾患、病理学的状態または障害を治療することではなく症状の軽減のために計画された処置;予防的処置、すなわち、疾患、病理学的状態または障害の防止に向けられた処置;および支持的処置、すなわち、疾患、病理学的状態または障害の改善に向けられた別の特定の治療を補完するために用いられる処置を包含する。用語「処置する」はまた、対症療法、すなわち、疾患、病理学的状態または障害の構成的症状に向けられた処置を包含する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、治療化合物を送達するために内部身体表面に取り付けられる薬物送達装置、およびそれに関連する薬物送達方法を特徴とする。内部身体表面に取り付けられると、本発明の装置は、空にしている間または再充填の間における装置内での大きな圧力変化を伴うことなく再充填可能である。本発明はまた、本発明の装置を充填するためのシリンジ、および疾患、障害または状態を処置するために本発明の装置を使用する方法を特徴とする。
【0019】
本発明は、1つの局面において、眼に取り付けられ、眼用薬物送達適用のために使用される薬物送達装置を特徴とする。本発明のこの局面によれば、本発明の装置は、眼に対する治療剤の制御された限局化した送達を可能にする。本発明の装置は、強膜に対して直接的に取り付けられるので、薬物を眼の内部組織に投与するために使用することができる。また、本発明の装置の設計は、装置の脱離または眼に対する傷害を防止するために、装置における最小限の圧力変化を伴って空にすることおよび再充填することを可能にする。本発明のシリンジはまた、1回の針の突き刺しにより、空にすること、再充填すること、および圧力平衡化を可能にし、このことは、装置を維持および使用する時間および複雑さを最小限にする。
【0020】
図1Aを参照した場合、装置は、外層またはドーム部1と、内部メンブラン2とを含む。メンブラン2により、ドーム部の内部が圧力平衡化チャンバー3および治療剤チャンバー4に分けられる。治療剤チャンバー4の体積は、約0.001ml〜約250mlを収容するために形成され得る。このチャンバーのサイズは、部分的には、投与される用量の体積によって決定される。眼用使用の場合、治療剤チャンバー4は、例えば、1μl〜1mlの体積を有する。また、装置は、強膜9などの所望の所在部位に取り付けられる周縁部5を含む。装置はまた、治療剤チャンバー4および圧力平衡化チャンバー3への流体移動、または治療剤チャンバー4および圧力平衡化チャンバー3からの流体移動のための注入ポート6を含む。装置はまた、治療剤チャンバー4に挿入される針、または流体の導入もしくは除去のための他の導管が眼または周囲の組織を傷つけることを防止するために、穿刺ガード7を治療剤チャンバー4の内部に含むことができる。
【0021】
1つの態様において、治療剤チャンバー4はまた、周縁部5と流体的に連絡している基部8を含む。装置についての例示的な大きさは16.5×12.5×4.2mm(l×w×h)である(図2)。装置の大きさは、装置が取り付けられる眼の領域、その組み立てにおいて使用された材料、および送達される治療剤の量に依存する。
【0022】
ドーム部1(図2Aおよび図2B)は、硬い材料から、例えば、金属(例えば、チタン、ニッケル、ニチノール、金、ステンレス鋼、タンタル)、炭素、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリスチレンまたはウレタンなどから構成される。ドーム部の材料は、望ましくは生体適合性かつ生体非腐食性である。好適な材料には、PEKK(登録商標)(ポリエーテルケトンケトン)およびPEEK(登録商標)(ポリエーテルエーテルケトン)が含まれる。ドーム部は、当技術分野において知られている任意の標準的な方法によって製造することができ、そのような方法には、限定されないが、機械加工、射出成形、ステレオリソグラフィーまたは注入成形が含まれる。
【0023】
メンブラン2は、典型的には、可撓性のある材料から、例えば、シリコーン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、ポリ乳酸、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロース、酢酸セルロース、ポリグリコール酸、ポリ乳酸・グリコール酸、セルロースエステル、ポリエーテルスルホン、アクリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ素化エチレンプロピレンシラスチック、ダクロン、マイラー、アルギン酸のイオン性塩、ポリカプロラクトン、ウレタン類、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、およびそれらの混合物から構築される。1つの態様において、メンブランは、流体で満たされたときに張りつめない。すなわち、メンブランは治療剤チャンバーの内容物に対して最小限の圧力を及ぼすか、または圧力を全く及ぼさない。メンブランは、任意の好適な手段によって、例えば、クランプ固定、接着剤または熱溶着によってドーム部に取り付けることができる。取り付けられたとき、メンブランは、治療剤チャンバーと圧力平衡化チャンバーとの間での液体の流れを妨げる。メンブランはまた、必要ならば、上部チャンバー内への水蒸気の浸透を最小限に抑えるために、ポリマー層で被覆することができる。的確な取り付け方法は、ドーム部およびメンブランにおいて使用された材料に依存する。メンブランはまた、例えば、一体物として成形されることによって、装置の周縁部につなぐことができ、ドーム部は、組み合わせられた周辺部およびメンブランの周りに一致させることができる。
【0024】
注入ポート6は隔壁、弁または両者を含むことができる(図1A〜図1C)。これらの隔壁または弁は標準的な手段によって装置に取り付けられる。望ましくは、注入ポートは2つの隔壁または弁を含み、この場合、1つが圧力平衡化チャンバーと装置の外面10との間に存在し、1つが圧力平衡化チャンバーと治療剤チャンバー11との間に存在する。隔壁のための例示的な再密封可能な材料には、シリコーン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、セルロース、酢酸セルロース、セルロースエステル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ素化エチレンプロピレンシラスチック、ダクロン、マイラー、ポリカプロラクトン、ウレタン類、ポリエチレン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、およびそれらの混合物が含まれる。単純な弁(例えば、機械的、熱的、化学的、電気的または磁気的に作動する弁)もまた、装置のチャンバーへの流体の流れおよび装置のチャンバーからの流体の流れを制御するために使用することができる。様々なそのような弁が当技術分野において知られている。2つの隔壁または弁が用いられるとき(図1Bおよび図1C)、それらは、典型的には、1つだけの針または他の導管が両者を同時に通過することができるように配置される。この形態において、流体出口12を、圧力平衡化チャンバーと、2つの隔壁または弁の間の体積部との間に存在させることができる。注入ポートの外面部分は、流体送達を助けるための標的領域13を提供するために、ドーム部とは異なるように着色することができる。標的領域に対する例示的な大きさは約4×3mmである。
【0025】
穿刺ガード7もまた、ドーム部のように硬い材料から作製され、また、穿刺ガード7はドーム部との一体物で製造することができる。穿刺ガード7は注入ポートにつながれ、流体が治療剤チャンバーと穿刺ガードの内部との間で流れることを可能にする穴14を含有する。穿刺ガードは、針または他の挿入された流体導管による突き抜けを妨げるように設計される。1つの態様において、穿刺ガードにおける穴14は針または他の導管よりも小さい。穴14はまた、針が貫通できないように配置することができる。
【0026】
装置の周縁部5は、典型的には、眼などの投与部位の形状に一致させるために湾曲している(図1A〜図1D)。周縁部5のための例示的な材料には、シリコーン、ウレタン、本明細書に記載されるような他の柔らかい生体適合性ポリマー、および金属(例えば、チタン、タンタル、金、ニッケル、ニチノールおよびステンレス鋼など)が含まれる。周縁部は治療剤チャンバーに直接つなぐことができ、あるいは、意図された送達部位にチューブまたはカテーテルを介してつなぐことができる。そのようなカテーテルを、本明細書に記載される材料のいずれかから製造することができる。
【0027】
周縁部5は、縫合、接着、または、1つもしくは複数の重合可能な化合物による密封によって取り付けることができる。または、取り付けには、手術後の接着、線維性カプセル封入または他の異物身体反応などの生物学的治癒機構を利用することが含まれる。周縁部5は、例えば、眼の赤道を覆って強膜に取り付けられ、または眼の扁平部(pars planar)を覆って強膜に取り付けられる。治療剤チャンバーからの限局化された送達のためのカテーテルを含む装置が用いられるとき、周縁部5を、眼の赤道を覆って強膜に取り付けることができ、そして、カテーテルを扁平部に取り付けることができる。
【0028】
治療剤チャンバー4に対する基部8は、例えば、ドーム部、メンブランまたは周縁部について議論された柔らかい生体適合性材料または硬い生体適合性材料のいずれかからでも組み立てることができる。基部は、治療剤チャンバーと周縁部との間での流れを制限するバリアを提供する。例えば、基部は分子量カットオフメンブランであり得るか、または、治療剤の通過を可能にするために穴を開けることができる(例えば、基部の表面の25%に穴を開けることができる)。限局化された送達のために意図された眼または他の組織の表面もまた、治療剤チャンバーにおける液体が漏れ出すことを防止するためのバリアとして役立ち得る。基部は、任意の好適な接着剤または取り付け技術によってメンブランまたは周縁部につながれる。装置はさらに、治療剤チャンバーに配置された治療剤を含むことができる。
【0029】
治療剤チャンバー4は、強膜などの投与部位に対して開放状態であってもよく、または、治療剤チャンバー4と投与部位との間に配置された速度制御メンブラン(示されず)を含むことができる。速度制御メンブランが使用されるとき、治療剤チャンバー4はメンブラン2および速度制御メンブランによって規定される。好適な速度制御メンブランは全体または一部が、投与される治療剤に対して透過性である。速度制御メンブランからの治療剤の放出速度は、多孔性、速度制御メンブランの薬剤透過性領域の面積、メンブランの厚さ、薬剤の拡散係数、薬剤の粒子サイズ、チャンバーの外側の濃度に対する治療剤チャンバーにおける薬剤の濃度勾配、および速度制御メンブランにおける薬剤の溶解性を含む数多くの要因によって制御される。
【0030】
速度制御メンブランの薬物透過性部分は微多孔性であり得るか、または、細孔を伴わない高密度であり得る。高密度メンブランは、文献に詳しく記載される溶液拡散機構によって薬物分子を輸送することができる。例えば、「Controlled Release of Biologically Active Agents」(1987),R. Baker,John Wiley & Sonsを参照のこと。薬物透過性部分は、円形、正方形、長方形などの任意の形状にすることができ、あるいは形状が不規則であってもよい。速度制御メンブランは1つより多くの薬物透過性部分を含むことができ、これらは任意の様式で(例えば、列をなして、または不規則な配置で)配置することができる。
【0031】
速度制御メンブランの薬物透過性部分は有機ポリマーまたは合成ポリマーを含むことができ、そのようなポリマーには、限定されないが、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、硝酸セルロースおよびポリアクリロニトリルが含まれる。他の好適な材料には、限定されないが、ポリカーボネート(すなわち、カーボネート基が、ビスフェノールAなどのジヒドロキシ芳香族化合物のホスゲン化によってポリマー鎖において繰り返される各種炭酸の線状ポリマー)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド(例えば、ポリヘキサメチレンアジパミド、および「ナイロン」として一般に知られている他のそのようなポリアミドなど)、モダクリル共重合体(例えば、ポリ塩化ビニルおよびアクリロニトリルから形成される共重合体など)、およびスチレン-アクリル酸共重合体、ポリスルホン(例えば、その線状鎖におけるジフェニレンスルホン基によって特徴づけられるポリスルホンなど)、ハロゲン化ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルなど)、ポリクロロエーテルおよび熱可塑性ポリエーテル、アセタールポリマー(例えば、ポリフランアルデヒドなど)、アクリル樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸n-ブチルなど)、ポリウレタン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ酢酸ビニル、芳香族ポリエーテルおよび脂肪族ポリエーテル、酢酸セルロース(例えば、三酢酸セルロースなど)、セルロース、コロジオン、エポキシ樹脂、オレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなど)、多孔性ゴム、架橋ポリ(エチレンオキシド)、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ポリ(ビニルアルコール);ポリスチレンの誘導体(例えば、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)およびポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドなど)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(イソブチルビニルエーテル)、ポリイソプレン、ポリアルケン、エチレン酢酸ビニル共重合体(例えば、U.S.Pat.No.4,144,317(これは参照として本明細書に組み入れられる)に記載される共重合など)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリオクス(polyox)、ポリアクリル酸またはCarbopol(商標)と混合されたポリオクス、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、デンプン、ガーゴムおよびローカスビーンゴムなど)、ならびにそれの混合物が含まれる。
【0032】
装置内における実質的に等圧の状態は、メンブラン2の使用に代わるものとしての様々な設計によって維持され得ることを理解しなければならない。図3A〜図3Cには、流路30が、実質的に等圧の状態を装置内において確保するために提供される代わりの態様が示される。この装置は、下面が、流路30を提供するためにパターン化される硬い外殻1、およびシリンジ31の空気交換チューブをシリンジ31の治療剤チューブとつなぐ隔壁(10および11)からなる。この流路は、流路30の長さを最大限にするために正弦波様式で(in a sinusoidal manner)構成され得る。経路30の基部または底部は、遠方での送達のためのカテーテルを伴う不透過性のメンブランからなり得る。基部はまた、治療剤の送達を弱めるための上記で示されたような速度制御メンブランから構成され得る。基部は全体または一部が、装置の接触表面の表面領域を覆うことができる。基部が接触表面を部分的にのみ覆うならば、治療剤は、対象となる組織との直接的な接触を有する。基部開口部のサイズは、所定の送達速度を提供するために当業者によって選択することができる。流路30の壁は基部または組織のいずれかと接触する。装置が収容する治療剤の容量または体積は、装置の高さ、ならびに流路30の厚さに依存する。そのような流路30を取り込む設計は移動部分を含まず、より低いアスペクト比およびより小さい設置面積を有することになる。
【0033】
治療剤を眼に投与するための本発明の装置の使用が具体的に示されている一方で、本発明は、眼窩内、眼内、耳内、鼓室内、髄腔内、洞内、腫瘍周囲、腫瘍内、髄腔内、硬膜外、頭蓋内および心臓内を含む任意の所望される部位に治療剤を送達するために使用することができることを理解しなければならない。上記で議論されたように、薬剤は、装置自体の接触表面を介して、または、意図された投与部位に接近するためのカテーテルの使用によって投与することができる。本発明との使用のために好適なカテーテルの様々な例が、例えばU.S.Patent Nos. 4,692,147、5,713,847および5,711,316、ならびにPCT出願されたWO00/53253、WO01/43528およびWO02/24159(これらは参照としてその全体が組み入れられる)などに開示されるように当技術分野において知られている。
【0034】
図4Aには、閉鎖系内に流体を移動させ、また、閉鎖系から流体を移動させるためのシリンジが示される。このシリンジの議論は系の装置に集中しており、しかし、一般的原理は、1つだけの内部チャンバーを含有する系を含めて他の閉鎖系に対して適用可能である。シリンジは、胴部101と、真空源102と、一つまたは複数の針103と、本明細書に記載されるような装置の内部への流体の導入および内部からの流体の取り出しのための通気チューブ104とを含む。胴部は、液体製剤に溶解または懸濁された治療剤を含有する。針は、治療剤チャンバーからの流体の取り出しおよび治療剤チャンバー内への流体の導入を可能にし、通気チューブは、圧力平衡化チャンバー内への流体の流れおよび圧力平衡化チャンバーからの流体の流れを可能にする。2つ以上の中空の内腔を有する1つの針が3つの機能の全てを行うことができ、または、多数の針/チューブを使用することができる(図4B)。1つの針が用いられるとき、中空の内腔を同心状パターンで配置することができる。そのような同心状パターンにおいて、通気チューブは、典型的には最も外側の内腔であり、それ以外の2つの内腔よりも短い。2つの内側の内腔のうち、1つの内腔105が、流体を治療剤チャンバーに導入するためのものであり、1つの内腔106が、流体を治療剤チャンバーから取り出すためのものである。そのような形態を使用した場合、通気チューブは、それ以外の2つの内腔が治療剤チャンバーの中に延びているときには、治療剤チャンバーの中に延びていない。他の態様において、通気チューブは針の外側に取り付けられる。この通気チューブは、針が装置に挿入されるとき、針から遠ざかるように動かすことができる(図1Aおよび図4A)。針/チューブは、標準的な材料から、例えば、ステンレス鋼から、当技術分野において知られている様々な方法によって製造することができる。
【0035】
真空源102は、チャンバーの体積を増大させるプランジャー、真空ポンプ(例えば、アスピレーター)、または真空キャニスターなどの任意の低圧源であり得る。シリンジから取り外し、かつ密封することができる真空キャニスターの使用は、流体を治療剤チャンバーに集めることを可能にし、このことは、微生物の成長について試験することができ、または、有益な効果もしくは有害な影響についてのマーカーの存在について検査することができる。キャニスターはまた、内容物の目視検査のための窓107を含有することができる。
【0036】
1つの態様において、真空キャニスターは、チャンバー14を治療剤製剤で満たすことに先だってその内容物を吸引するために、キャニスターが治療剤チャンバー14と流体的に接触していることを示すための指示体を備えることができる。この態様によれば、可撓性のある隔膜メンブランがキャニスター内に提供される。隔膜は、真空キャニスターを作動させて、治療剤チャンバー14の内容物を吸引するとき、隔膜が針から離れる方向で曲がるように、窓107から見ることができる。隔膜または滑りゲージのそのような動きは、使用者に、真空が治療剤チャンバー14に引かれていることを確認させる。従って、これは、装置が正常に機能しているという視覚的指示を使用者に提供する。可撓性のある隔膜に加えて、指示体のための他の設計が当業者には容易に明らかであり、これらに、バネの耐久性ゲージ、隔壁、または、しなやかなプラスチックの使用が含まれる。
【0037】
シリンジはさらに、針と流体的に連絡している真空源、または、針の中空の内腔と流体的に連絡していない中空の内腔を有する第2の針、および第2の針の中空の内腔と流体的に連絡している真空源を含むことができる。真空源は、例えば、内容物の目視検査のために窓を含むことができる真空キャニスターである。真空キャニスターはまた取り外し可能かつ密封可能である。針/チューブの全てまたは任意のサブセットの中空の内腔は互いに同軸であり得る。
【0038】
シリンジは、閉鎖系を空にするために、かつ/または閉鎖系を充填するために使用される。閉鎖系は、例えば、本発明の装置であり、この場合、シリンジの胴部からの流体が針を介して治療剤チャンバーに注入されるとき、圧力平衡化チャンバーの内部の流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために、通気チューブを介して排出され、また、治療剤チャンバーからの流体が針を介して胴部に引き入れられるとき、装置の外側の流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために、通気チューブを介して圧力平衡化チャンバーに進入する。
【0039】
本発明はさらに、流体を閉鎖系に注入するか、または流体を閉鎖系から引き出すための方法であって、a)上記で記載されるような2つの針を有する本発明のシリンジを提供する工程;b)針および通気チューブの両方を、受け口を介して系内に入れる工程;およびc)流体を系に注入するか、または流体を系から引き出す工程を含み、ただし、胴部からの流体が針を介して系に注入されるとき、系の内部にある流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して排出され、また、系内の流体が第2の針を介して真空源に引き入れられるとき、系の外側からの流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して系に進入する方法を特徴とする。閉鎖系は、例えば、本発明の装置であり、この場合、胴部からの流体が針を介して治療剤チャンバーに注入されるとき、圧力平衡化チャンバーの内部の流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために、通気チューブを介して排出され、また、治療剤チャンバーにおける流体が第2の針を介して真空源に引き入れられるとき、装置の外側からの流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために、通気チューブを介して圧力平衡化チャンバーに進入する。真空源を作動させることは、流体を治療剤チャンバーから取り出すために使用することができ、一方、胴部における圧力を増大させることは、流体を治療剤チャンバーに注入するために使用することができる。
【0040】
眼用適用の場合、装置は周縁部によって強膜に取り付けられる。取り付けは、縫合糸によって、あるいは、生体適合性接着剤(例えば、重合可能な化合物)、または、手術後の接着、線維性カプセル封入もしくは他の異物身体反応に由来する生物学的接着剤によって行うことができる。特定の態様において、眼の外層(例えば、テノン嚢)を、眼の内部(例えば、硝子体液)への薬物送達を可能にするために、取り付けに先立って除去することができ、または浅く切ることができる。または、強膜を取り付けに先立って薄くすることができる。強膜に対する周縁部の取り付けは、液体が漏れない密封をもたらし、そして、一旦取り付けられると、眼の表面は治療剤チャンバーと流体的に連絡している。周縁部の外周部により、治療剤送達の領域が決定される。存在する場合、速度制御メンブランにより、治療剤が眼と接触する速度が調節される。投与部位における組織および/または速度制御メンブランにより、特定の薬物が送達される速度が決定される。周縁部は、例えば、眼の赤道または扁平部を覆って強膜に取り付けられる。周縁部は、例えば、周縁部の外周全体にわたって強膜に取り付けることができる。
【0041】
本発明のシリンジ、および2つの隔壁を含む注入ポートを使用して治療剤チャンバーを空にし、また治療剤チャンバーを充填する機構は下記の通りである。シリンジの針は注入ポートにおける外側の隔壁を突き刺し、圧力平衡化チャンバーに直接つながれているチャンバーに進入する。同時に、針は第2の隔壁を通過し、穿刺ガードによって止められる。針が止められると、通気チューブが第1の隔壁の中に挿入され、これにより、流体(典型的には空気)が圧力平衡化チャンバーの中に流れるか、また、圧力平衡化チャンバーから流れるための流路がもたらされる(図1Aおよび図4B)。最初の充填のために、治療剤を含有する液体がシリンジの胴部から穿刺ガードにおける穴を介して治療剤チャンバーに注入される。液体が治療剤チャンバーに進入すると、チャンバーは、メンブランを圧力平衡化チャンバーの中に押し進めることによって膨らむ。同時に、圧力平衡化チャンバーにおける空気が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために、通気チューブを介して排出される。
【0042】
その後の充填の場合、治療剤チャンバーにおける何らかの流体が、メンブランがしぼむに従って圧力平衡化チャンバーを膨らませる真空源(典型的には、真空キャニスター)を作動させることによって最初に除かれる。同時に、空気が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために、圧力平衡化チャンバーに進入する。治療剤チャンバーから除かれた何らかの液体または粒状物は、その後の目視検査または研究室試験のために真空キャニスターに貯蔵することができる。治療剤チャンバーが空になった後、治療剤チャンバーは、以前に記載されたように充填することができる。針が除かれると、中隔は、流体が漏れないチャンバーを維持するために再密封される。再充填プロセスは、送達される流体の量に依存して、1分以内(例えば、30秒以内)に行われ得ることが考えられる。
【0043】
1つの内腔を有する1つの針を伴うシリンジが用いられるとき、治療剤チャンバーから除かれた一部の流体が針の内腔に残留し、新しい流体とともに再注入され得る。多数の針を伴うシリンジ、または1つより多くの内腔を有する針を伴うシリンジが用いられるとき、除かれた流体は一方の内腔を通って真空源に入り、一方、導入される流体は胴部から別の内腔を通って治療剤チャンバーに入る。この形態において、チャンバーから除かれた流体は再注入されない。
【0044】
上記プロセスは、本発明のシリンジを使用して記載されたが、代わりの充填方法を用いることができる。例えば、針を、通気チューブとして役立たせるために挿入することができる。この場合、1つのシリンジを、治療剤チャンバーから流体を除くために用いることができ、そして、別のシリンジを、流体を注入するために用いることができる。加えて、弁、または弁および中隔の組合せを2つの中隔の代わりに使用することができる。例えば、針が、流体を治療剤チャンバーに送達するために、または流体を除くために、中隔に突き刺し、その一方で、弁が、圧力平衡化チャンバー内への空気の流れおよび圧力平衡化チャンバーからの空気の流れを可能にするために開けられる。これらの形態に対する他の変形が当業者には明らかである。
【0045】
本発明の装置を充填するための上記の方法は、装置が充填されているとき、または空にされているときの装置における圧力の何らかの変化を最小限に抑えるために設計されている。当業者は、導入または取り出しが、圧力を平衡化させるために空気が通気チューブを通過し得るよりも早い速度で生じ得るので、圧力が、流体の実際の導入時または取り出し時において必ずしも一定でないことを認識する。従って、通気チューブは、内部の圧力が平衡化されるまで装置において維持されなければならない。流体の導入速度または取り出し速度の注意深い制御により、装置における圧力の何らかの一時的な変化が最小限に抑えられる。
【0046】
本発明の装置は任意の眼疾患の処置において使用することができる。本発明の装置はまた、治療剤を特定の眼組織(例えば、網膜または脈絡膜)に導くために使用することができる。治療剤、または薬剤の組合せが、処置されている疾患、障害または状態に基づいて選ばれる。特定の状態に対する治療剤に加えて、他の化合物を二次的効果のために含めることができる(例えば、微生物の成長を防止するための抗生物質)。投薬量および投薬頻度は、処置されている疾患、障害または状態、および用いられる治療剤に依存する。当業者はこのような決定を行うことができる。
【0047】
本発明の装置において用いられ得る治療剤には、限定されないが、小分子、ホルモン、タンパク質、ペプチド、アプタマー、抗体、脂質、糖脂質、DNA、RNA、PNA、酵素、糖、糖類、糖タンパク質、ポリマー、メタロプロテアーゼ、遷移金属またはキレーターが含まれる。また、核酸ベクターもまた送達することができ、この場合、核酸を、様々な薬理学的活性または生理学的活性または免疫学的活性を有し得るタンパク質を産生させるために発現させることができる。分子量が約5KD〜約500KDである高分子もまた、本発明に従って使用することができる。
【0048】
眼用薬物送達適用の場合、例示的な疾患状態には、黄斑変性、糖尿病網膜症、緑内障、視神経円盤血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、パンヌス、翼状片、黄斑水腫、血管性網膜症、網膜血管閉塞、ヒストプラスマ症、虚血性網膜疾患、網膜変性、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾患、角膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎、感染症、結膜炎、嚢胞様黄斑水腫、癌および増殖性硝子体網膜症が含まれる。
【0049】
治療剤の種類には、抗感染剤、これには、限定されないが、抗生物質、抗ウイルス剤および抗真菌剤が含まれる;鎮痛剤;抗アレルギー剤;肥満細胞安定化剤;ステロイド系抗炎症剤および非ステロイド系抗炎症剤;充血除去剤;抗緑内障剤、これには、限定されないが、アドレナリン様薬剤、β-アドレナリン作動性遮断剤、α-アドレナリン作動性アゴニスト、副交感神経興奮薬、コリンエステラーゼ阻害剤、カルボニックアンヒドラーゼ阻害剤およびプロスタグランジン類が含まれる;抗酸化剤;栄養補助物;血管形成阻害剤;代謝拮抗剤;線維素溶解剤;創傷調節剤;神経保護薬;アンギオスタチン(angiostatic)ステロイド;散瞳薬;毛様体筋麻痺性(cyclopegic)散瞳薬;縮瞳薬;血管収縮剤;血管拡張剤;抗凝固剤;抗癌剤;免疫調節剤;VEGFアンタゴニスト;免疫抑制剤;ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグが含まれる。
【0050】
具体的な治療剤には、ペガプタニブナトリウム(U.S.Patent No.6,051,698(これは参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)に記載され、また、図5に示されるようなEYE001またはNX31838)、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン-21-アセテート、チモロール、ベタキソロール、アテノロール、ブリモニジン、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックス、ニモジピン、エリプロジル、コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、スルホンアミド類、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソクサゾール、フルコナゾール、ニトロフラゾン、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ジダノシン、AZT、フォスカルネット、ビダラビン、イドクスウリジン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、抗サイトメガロウイルス剤、メタピリリン、クロルフェニラミン、ピリラミン、フェニラミン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、ピロカルピン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸、ヨウ化エコチオフェート、臭化デメカリウム、硫酸アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、エピネフリン、ヘパリン、抗フィブリノーゲン、フィブリノシン、抗凝固性アクチベース、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、インスリン、アルドース還元酵素阻害剤、サリドマイド、5-フルオロウラシル、アドリアマイシン、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブチル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エトレチナート、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、サルグラモスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、チオグアニン、ウラシルマスタード、ビンブラスチン、ビンデシン、下垂体ホルモン、インスリン関連増殖因子、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、熱ショックタンパク質、免疫学的応答調節剤(例えば、ムラミルジペプチド、インターフェロン類(これには、αインターフェロン、βインターフェロンおよびγインターフェロンが含まれる)、インターロイキン-2、サイトカイン類、FK506、腫瘍壊死因子、チモペンチン、トランスフォーミング因子β2、エリスロポイエチンなど);抗新生タンパク質、モノクローナル抗体、脳神経増殖因子(BNGF)、毛様体神経増殖因子(CNGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、増殖因子に対するモノクローナル抗体またはアプタマー、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグが含まれる。
【0051】
治療剤は、眼への送達のための任意の好適な製剤に存在させることができる。製剤を作製するための、当技術分野において広く知られている様々な方法が、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.,A. R. Gennaro ed.,Lippincott: Philadelphia,2000)に見出される。治療剤は、薬学的に許容される希釈剤、担体または賦形剤とともに、ヒト、飼育ペット、家畜または他の動物に投与することができる。
【0052】
治療剤製剤は、針を介して送達可能である液体溶液、懸濁物または他の製剤であり得る。製剤は、例えば、賦形剤、滅菌水、生理的食塩水、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールなど)、植物起源のオイル、または水素化ナフタレン類を含有することができる。
【0053】
治療剤は、治療剤の持続放出を提供するために適合化された薬学的に許容される担体と混合することができる。持続放出担体には、エマルション、懸濁物、ポリマーマトリックス、ミクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロ粒子、リポソーム、多小胞リポソーム、リポスフェア(liposphere)、ヒドロゲル、塩、および静電的に、化学的に、または捕捉により可逆的に結合している治療剤を伴うポリマーが含まれる。治療剤チャンバーに注入することができる様々な好適な持続放出製剤が当技術分野において知られており、これらは、例えば、U.S.Patent Nos.4,865,846、4,115,544、5,185,152、4,078,052、4,241,046、4,853,224、4,865,846、6,309,669、5,326,761、6,071,534、6,132,766および6,277,413、ならびにPCT出願されたWO01/74400、WO03/24420、WO03/028765、WO02/15888およびWO03/070219に開示される(これらの全ては本明細書により参照としてその全体が組み入れられる)。
【0054】
薬物の製剤はまた、経強膜拡散促進剤、例えば、ジメチルスルホキシド、エタノール、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、N-メチルピロリドン、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、極性の非プロトン性溶媒、極性のプロトン性溶媒、ステロイド、糖、ポリマー、小分子、荷電小分子、脂質、ペプチド、タンパク質および界面活性剤などを含むことができる。
【0055】
治療剤は、任意で、薬学的に許容される塩として、例えば、製薬産業において一般に使用されている非毒性の酸付加塩または金属複合体などとして投与することができる。酸付加塩の例には、有機酸、例えば、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸など;ポリマー酸、例えば、タンニン酸またはカルボキシメチルセルロースなど;および無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸など)が含まれる。金属複合体は、カチオン、例えば、カルシウムおよびマグネシウムを含む二価カチオン、亜鉛、鉄などを含む。また、治療剤は、任意で、薬学的に許容されるプロドラッグ(例えば、エステルまたはアミド)として投与することができる。
【0056】
そのような治療において使用される化学化合物は、本明細書に記載されるように、または、医薬品化学の分野における当業者に知られている任意の標準的な技術によって製造および単離することができる。従来の薬学的実施を、眼の疾患、障害または状態に苦しんでいる患者に同定された化合物を投与するための好適な製剤または組成物を提供するために用いることができる。投与は、患者が症状を示す前に、または患者が症状を示している期間中に、または患者が症状を示した後に開始することができる。
【0057】
他の態様
本発明が具体的な態様に関連して記載されているが、本発明はさらなる改変が可能であることが理解される。従って、本出願は、当技術分野に含まれる知られている実施または慣用的な実施において生じる本開示からの発展を含めて、一般には本発明の原理に従う本発明の変化または使用または適合のいずれをも包含することが意図される。
【0058】
本明細書において言及された全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願のそれぞれが参照として具体的かつ個々に組み入れられているのと同じ程度に、本明細書により参照として組み入れられる。
【0059】
他の様々な態様が特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】本発明の装置の断面図である。
【図1B】本発明の装置の注入ポートの断面図である。
【図1C】本発明の装置の側面図である。
【図1D】本発明の装置の底面からの図である。
【図2】装置のドーム部および周縁部の分解組立図である。
【図3A】本発明の装置の底面からの図である。
【図3B】本発明の装置の断面図である。
【図3C】本発明の装置の底面からの図である。
【図4】Aは本発明のシリンジの概略図である。Bは本発明の注入ポートにおける本発明のシリンジの概略図である。
【図5】ペガプタニブナトリウムの構造の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部身体部位に装置を配置するように適合させた外層;
治療剤を含む場合に閉鎖系を形成するために適合させた、該外層の内部におけるリザーバー;
実質的に一定の圧力を該閉鎖系内において維持するように適合させた圧力平衡エレメント;
を含む、治療剤を処置部位に送達するための装置。
【請求項2】
圧力平衡エレメントは、外層の内部に配置されたメンブランを含み、このメンブランにより、外層の内部が圧力平衡化チャンバーおよび治療剤チャンバーに分けられ、圧力平衡化チャンバーの体積が、実質的に一定の圧力を外層の体積内において維持するために治療剤チャンバーにおける体積に応答して変化する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
圧力平衡エレメントは流路を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
メンブランと内部身体表面との間に配置された速度制御メンブランをさらに含む、請求項2記載の装置。
【請求項5】
外層は、該外層を内部身体表面に固定するために適合させた取り付けエレメントをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
取り付けエレメントは周縁部を含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
周縁部と連続し、内部身体部位と接触し、かつリザーバー内に含まれる治療剤が該内部身体部位と接触することを可能にするための一つまたは複数の開口部を有する基部をさらに含む、請求項6記載の装置。
【請求項8】
メンブランは可撓性がある、請求項2記載の装置。
【請求項9】
メンブランは、シリコーン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、ポリ乳酸、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、セルロース、酢酸セルロース、ポリグリコール酸、ポリ乳酸・グリコール酸、セルロースエステル、ポリエーテルスルホン、アクリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ素化エチレンプロピレンシラスチック、ダクロン、マイラー、アルギン酸のイオン性塩、ポリカプロラクトン、ウレタン類、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステルまたはそれらの混合物を含む、請求項8記載の装置。
【請求項10】
治療剤を治療剤チャンバーに注入することができるポートをさらに含む、請求項2記載の装置。
【請求項11】
ポートは第1および第2の隔壁を含み、第1の隔壁により装置の外側が圧力平衡化チャンバーから分離され、第2の隔壁により圧力平衡化チャンバーが治療剤チャンバーから分離される、請求項10記載の装置。
【請求項12】
第1および第2の隔壁は、針が両方の隔壁を同時に貫通できるように配置される、請求項11記載の装置。
【請求項13】
ポートは弁を含む、請求項10記載の装置。
【請求項14】
隔壁は、それを通して治療剤を注入できる再封可能な材料を含む、請求項11記載の装置。
【請求項15】
材料が、シリコーン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、セルロース、酢酸セルロース、セルロースエステル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ素化エチレンプロピレンシラスチック、ダクロン、マイラー、ポリカプロラクトン、ウレタン類、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項14記載の装置。
【請求項16】
外層が生体適合性かつ生物非腐食性の材料から構成される、請求項1記載の装置。
【請求項17】
生体適合性かつ生物非腐食性の材料が、チタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ウレタン、ニッケル、ニチノール、金、タンタル、炭素、エポキシおよびステンレス鋼からなる群より選択される、請求項16記載の装置。
【請求項18】
リザーバーに配置された治療剤をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項19】
治療剤が、小分子、ホルモン、タンパク質、ペプチド、アプタマー、脂質、DNA、RNA、PNA、酵素、糖、糖タンパク質、ポリマー、メタロプロテアーゼ、遷移金属、抗体、キレーター、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項18記載の装置。
【請求項20】
治療剤がアプタマーまたはそのプロドラッグである、請求項19記載の装置。
【請求項21】
治療剤が、抗感染剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、肥満細胞安定化剤、ステロイド系抗炎症剤および非ステロイド系抗炎症剤、充血除去剤、抗緑内障剤、抗酸化剤、栄養補助物、血管形成阻害剤、代謝拮抗剤、線維素溶解剤、創傷調節剤、神経保護薬、アンギオスタチンステロイド(angiostatic steroids)、散瞳薬、毛様体筋麻痺性散瞳薬、縮瞳薬、血管収縮剤、血管拡張剤、抗凝固剤、抗癌剤、免疫調節剤、VEGFアンタゴニスト、免疫抑制剤、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項20記載の装置。
【請求項22】
治療剤が、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン-21-アセテート、チモロール、ベタキソロール、アテノロール、ブリモニジン、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックス、ニモジピン、エリプロジル、コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、スルホンアミド類、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソクサゾール、フルコナゾール、ニトロフラゾン、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ジダノシン、AZT、フォスカルネット、ビダラビン、イドクスウリジン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、抗サイトメガロウイルス剤、メタピリリン、クロルフェニラミン、ピリラミン、フェニラミン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、ピロカルピン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸、ヨウ化エコチオフェート、臭化デメカリウム、硫酸アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、エピネフリン、ヘパリン、抗フィブリノーゲン、フィブリノシン、抗凝固性アクチベース、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、インスリン、アルドース還元酵素阻害剤、サリドマイド、5-フルオロウラシル、アドリアマイシン、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブチル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エトレチナート、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、サルグラモスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、チオグアニン、ウラシルマスタード、ビンブラスチン、ビンデシン、下垂体ホルモン、インスリン、インスリン関連増殖因子、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、熱ショックタンパク質、ムラミルジペプチド、インターフェロン類、インターロイキン-2、サイトカイン類、FK506、腫瘍壊死因子、チモペンチン、トランスフォーミング因子β2、エリスロポイエチン、抗新生タンパク質、モノクローナル抗体、脳神経増殖因子(BNGF)、毛様体神経増殖因子(CNGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、増殖因子に対するモノクローナル抗体またはアプタマー、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項18記載の装置。
【請求項23】
治療剤がペガプタニブナトリウムである、請求項18記載の装置。
【請求項24】
リザーバーと流体的に連絡している(in fluid communication)第1の端部と、投与部位における配置のために適合させた第2の端部とを有するカテーテルをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項25】
強膜に取り付けられる、請求項5記載の装置。
【請求項26】
周縁部の外周全体にわたって強膜に取り付けられる、請求項6記載の装置。
【請求項27】
流体を閉鎖系に注入するか、または流体を閉鎖系から引き出すためのシリンジであって:
a)流体入口端部および圧力生成端部を有する胴部;
b)中空の内腔を有し、流体入口端部に接続されている針;
c)中空の内腔を有し、針に接続されている通気チューブ(ここで、通気チューブおよび針の中空の内腔は流体的に連絡していない);ならびに
d)胴部の圧力生成端部に接続された圧力源
を含むシリンジ。
【請求項28】
針および通気チューブの中空の内腔が互いに同軸に配置される、請求項27記載のシリンジ。
【請求項29】
e)針と流体的に連絡している真空源
をさらに含む、請求項27記載のシリンジ。
【請求項30】
e)針の中空の内腔と流体的に連絡していない中空の内腔を有する第2の針;および
f)第2の針の中空の内腔と流体的に連絡している真空源
をさらに含む、請求項27記載のシリンジ。
【請求項31】
針および第2の針の中空の内腔が互いに同軸である、請求項30記載のシリンジ。
【請求項32】
針、第2の針および通気チューブの中空の内腔が互いに同軸である、請求項31記載のシリンジ。
【請求項33】
真空源が真空キャニスターである、請求項29記載のシリンジ。
【請求項34】
キャニスターの内部を見るための窓をさらに含む、請求項33記載のシリンジ。
【請求項35】
真空キャニスターが取り外し可能かつ密封可能である、請求項33記載のシリンジ。
【請求項36】
真空キャニスターが可撓性のある隔膜をさらに含む、請求項33記載のシリンジ。
【請求項37】
圧力源がプランジャーである、請求項28記載のシリンジ。
【請求項38】
流体を閉鎖系に注入するか、または流体を閉鎖系から引き出すための方法であって:
a)請求項27のシリンジを提供する工程;
b)針および通気チューブを、ポートを介して系内に通す工程;および
c)流体を系に注入するか、または流体を系から引き出す工程
を含む方法であって、
ここで、胴部からの流体が針を介して系に注入されるときは、系内の流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して排出され、系からの流体が針を介して胴部に引き入れられるときは、系の外部の流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して系に進入する方法。
【請求項39】
閉鎖系が、
i)外層と内部身体組織との間にリザーバーを形成するように該身体組織に配置するために適合させた外層;
ii)外層内に配置されたメンブラン(ここで、該メンブランにより、外層の内部が圧力平衡化チャンバーおよび治療剤チャンバーに分けられ、圧力平衡化チャンバーの体積が、実質的に一定の圧力を外層の体積の内部において維持するために治療剤チャンバー内の体積に応答して変化する);および
iii)該外層を内部身体表面に固定するために適合させた取り付けエレメント(そのように取り付けられたとき、該エレメントは治療剤チャンバーと流体的に連絡している領域を規定する)
を含む装置であり、
ここで、工程(b)において、針は治療剤チャンバーと流体的に連絡しており、通気チューブは圧力平衡化チャンバーと流体的に連絡しており、かつ
胴部からの流体が針を介して治療剤チャンバーに注入されるときは、圧力平衡化チャンバーの内部にある流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために通気チューブを介して排出され、また治療剤チャンバーからの流体が針を介して胴部に引き入れられるときは、装置の外部の流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために通気チューブを介して圧力平衡化チャンバーに進入する、
請求項38記載の方法。
【請求項40】
流体を閉鎖系に注入するか、または流体を閉鎖系から引き出すための方法であって:
a)請求項30のシリンジを提供する工程;
b)針、第2の針および通気チューブを、ポートを介して系内に通す工程;および
c)流体を系に注入するか、または流体を系から引き出す工程
を含み、
ここで、胴部からの流体が針を介して系に注入されるときは、系内部の流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して排出され、また系における流体が第2の針を介して真空源に引き入れられるときは、系の外部からの流体が、実質的に一定の圧力を系内において維持するために通気チューブを介して系に進入する方法。
【請求項41】
閉鎖系が、
i)外層と内部身体組織との間にリザーバーを形成するように該身体組織に配置するために適合させた外層;
ii)外層内に配置されたメンブラン(ここで、該メンブランにより、外層の内部が圧力平衡化チャンバーおよび治療剤チャンバーに分けられ、圧力平衡化チャンバーの体積が、実質的に一定の圧力を外層の体積の内部において維持するために治療剤チャンバー内の体積に応答して変化する);および
iii)該外層を内部身体表面に固定するために適合させた取り付けエレメント(そのように取り付けられたとき、該エレメントは治療剤チャンバーと流体的に連絡している領域を規定する)
を含む装置であり、
ここで、工程(b)において、針および第2の針は治療剤チャンバーと流体的に連絡しており、また通気チューブは圧力平衡化チャンバーと流体的に連絡しており、かつ
胴部からの流体が針を介して治療剤チャンバーに注入されるとき、圧力平衡化チャンバーの内部にある流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために通気チューブを介して排出され、また治療剤チャンバーにおける流体が第2の針を介して真空源に引き入れられるとき、装置の外部からの流体が、実質的に一定の圧力を装置内において維持するために通気チューブを介して圧力平衡化チャンバーに進入する、
請求項40記載の方法。
【請求項42】
工程(c)が、
i)流体を治療剤チャンバーから除くために真空源を作動させる工程;および
ii)流体を治療剤チャンバーに注入するために胴部における圧力を増大させる工程
を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
治療剤チャンバーに注入される流体が治療剤を含む、請求項38記載の方法。
【請求項44】
治療剤が、小分子、ホルモン、タンパク質、ペプチド、アプタマー、脂質、DNA、RNA、PNA、酵素、糖、糖タンパク質、ポリマー、メタロプロテアーゼ、遷移金属、抗体、キレーター、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
治療剤がアプタマーまたはそのプロドラッグである、請求項43記載の方法。
【請求項46】
治療剤が、抗感染剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、肥満細胞安定化剤、ステロイド系抗炎症剤および非ステロイド系抗炎症剤、充血除去剤、抗緑内障剤、抗酸化剤、栄養補助物、血管形成阻害剤、代謝拮抗剤、線維素溶解剤、創傷調節剤、神経保護薬、アンギオスタチンステロイド、散瞳薬、毛様体筋麻痺性散瞳薬、縮瞳薬、血管収縮剤、血管拡張剤、抗凝固剤、抗癌剤、免疫調節剤、VEGFアンタゴニスト、免疫抑制剤、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項47】
治療剤が、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン-21-アセテート、チモロール、ベタキソロール、アテノロール、ブリモニジン、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックス、ニモジピン、エリプロジル、コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、スルホンアミド類、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソクサゾール、フルコナゾール、ニトロフラゾン、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ジダノシン、AZT、フォスカルネット、ビダラビン、イドクスウリジン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、抗サイトメガロウイルス剤、メタピリリン、クロルフェニラミン、ピリラミン、フェニラミン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、ピロカルピン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸、ヨウ化エコチオフェート、臭化デメカリウム、硫酸アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、エピネフリン、ヘパリン、抗フィブリノーゲン、フィブリノシン、抗凝固性アクチベース、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、インスリン、アルドース還元酵素阻害剤、サリドマイド、5-フルオロウラシル、アドリアマイシン、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブチル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エトレチナート、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、サルグラモスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、チオグアニン、ウラシルマスタード、ビンブラスチン、ビンデシン、下垂体ホルモン、インスリン、インスリン関連増殖因子、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、熱ショックタンパク質、ムラミルジペプチド、インターフェロン類、インターロイキン-2、サイトカイン類、FK506、腫瘍壊死因子、チモペンチン、トランスフォーミング因子β2、エリスロポイエチン、抗新生タンパク質、モノクローナル抗体、脳神経増殖因子(BNGF)、毛様体神経増殖因子(CNGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、増殖因子に対するモノクローナル抗体またはアプタマー、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項48】
治療剤がペガプタニブナトリウムである、請求項43記載の方法。
【請求項49】
哺乳動物における眼疾患を処置する方法であって:
a)請求項1の装置を哺乳動物の眼の強膜に取り付ける工程、および
b)該疾患状態を処置する治療剤を装置に装着する工程
を含む方法。
【請求項50】
治療剤が、小分子、ホルモン、タンパク質、ペプチド、アプタマー、脂質、DNA、RNA、PNA、酵素、糖、糖タンパク質、ポリマー、メタロプロテアーゼ、遷移金属、抗体、キレーター、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
治療剤がアプタマーまたはそのプロドラッグである、請求項49記載の方法。
【請求項52】
治療剤が、抗感染剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、肥満細胞安定化剤、ステロイド系抗炎症剤および非ステロイド系抗炎症剤、充血除去剤、抗緑内障剤、抗酸化剤、栄養補助物、血管形成阻害剤、代謝拮抗剤、線維素溶解剤、創傷調節剤、神経保護薬、アンギオスタチンステロイド、散瞳薬、毛様体筋麻痺性散瞳薬、縮瞳薬、血管収縮剤、血管拡張剤、抗凝固剤、抗癌剤、免疫調節剤、VEGFアンタゴニスト、免疫抑制剤、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項49記載の方法。
【請求項53】
治療剤が、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン、4,9(11)-プレグナジエン-17α,21-ジオール-3,20-ジオン-21-アセテート、チモロール、ベタキソロール、アテノロール、ブリモニジン、アセタゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックス、ニモジピン、エリプロジル、コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、スルホンアミド類、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソクサゾール、フルコナゾール、ニトロフラゾン、アンフォテリシンB、ケトコナゾール、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ジダノシン、AZT、フォスカルネット、ビダラビン、イドクスウリジン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、抗サイトメガロウイルス剤、メタピリリン、クロルフェニラミン、ピリラミン、フェニラミン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、フルオロメトロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、ピロカルピン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロリン酸、ヨウ化エコチオフェート、臭化デメカリウム、硫酸アトロピン、シクロペントラート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、エピネフリン、ヘパリン、抗フィブリノーゲン、フィブリノシン、抗凝固性アクチベース、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、インスリン、アルドース還元酵素阻害剤、サリドマイド、5-フルオロウラシル、アドリアマイシン、アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブチル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、エストラムスチン、エトポシド、エトレチナート、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、サルグラモスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、チオグアニン、ウラシルマスタード、ビンブラスチン、ビンデシン、下垂体ホルモン、インスリン、インスリン関連増殖因子、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、熱ショックタンパク質、ムラミルジペプチド、インターフェロン類、インターロイキン-2、サイトカイン類、FK506、腫瘍壊死因子、チモペンチン、トランスフォーミング因子β2、エリスロポイエチン、抗新生タンパク質、モノクローナル抗体、脳神経増殖因子(BNGF)、毛様体神経増殖因子(CNGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、増殖因子に対するモノクローナル抗体またはアプタマー、ならびにそれらの組合せおよびプロドラッグからなる群より選択される、請求項49記載の方法。
【請求項54】
治療剤がペガプタニブナトリウムである、請求項49記載の方法。
【請求項55】
治療剤が、該治療剤の持続放出を提供するために適合させた薬学的に許容される担体と混合される、請求項49記載の方法。
【請求項56】
担体が、エマルション、懸濁物、ポリマーマトリックス、マイクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロ粒子、リポソーム、多小胞リポソーム、リポスフェア(liposphere)、ヒドロゲル、塩、および静電的に、化学的に、または捕捉により可逆的に治療剤が結合しているポリマーからなる群より選択される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
薬学的に許容される担体が経強膜拡散促進剤を含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
促進剤が、ジメチルスルホキシド、エタノール、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、N-メチルピロリドン、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、極性の非プロトン性溶媒、極性のプロトン性溶媒、ステロイド、糖、ポリマー、小分子、荷電小分子、脂質、ペプチド、タンパク質および界面活性剤からなる群より選択される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
取り付ける工程が、縫合する工程、接着する工程、または一つもしくは複数の重合可能な化合物により密封する工程を含む、請求項49記載の方法。
【請求項60】
取り付ける工程が、生物学的治癒機構を利用する工程を含む、請求項46記載の方法。
【請求項61】
生物学的治癒機構が、手術後の接着、線維性カプセル封入、または他の異物身体反応である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
工程(b)が同じ装置を用いて2回またはそれ以上行われる、請求項49記載の方法。
【請求項63】
装置が眼の赤道を覆って強膜に取り付けられる、請求項49記載の方法。
【請求項64】
装置が眼の扁平部を覆って強膜に取り付けられる、請求項49記載の方法。
【請求項65】
疾患状態が、黄斑変性、糖尿病網膜症、緑内障、視神経円盤血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、パンヌス、翼状片、黄斑水腫、血管性網膜症、網膜血管閉塞、ヒストプラスマ症、虚血性網膜疾患、網膜変性、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾患、角膜炎、サイトメガロウイルス網膜炎、感染症、結膜炎、嚢胞様黄斑水腫、癌または増殖性硝子体網膜症である、請求項49記載の方法。
【請求項66】
疾患状態が黄斑変性である、請求項65記載の方法。
【請求項67】
治療剤が脈絡膜または網膜に送達される、請求項49記載の方法。
【請求項68】
治療剤がペガプタニブナトリウムを含む、請求項56記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−526430(P2006−526430A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503635(P2006−503635)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004643
【国際公開番号】WO2004/073765
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(501384182)(オーエスアイ) アイテック インク. (1)
【Fターム(参考)】