説明

蠕動ポンプのためのポンプチャンバ

本発明は、弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)及び剛体のチャンバ壁(1.3)の間に画成される細長い空洞(1.1)を含んでなる蠕動ポンプのためのポンプチャンバ(1)であって、弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)及び剛体のチャンバ壁(1.3)が、二成分射出成形によってワンピース部材として配置される、上記ポンプチャンバ(1)に関する。本発明は、また、蠕動ポンプのためのポンプチャンバ(1)を製造する方法であって、ポンプチャンバ(1)は、弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)及び剛体のチャンバ壁(1.3)の間に画成される細長い空洞(1.1)を含んでなり、該方法は、弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)及び剛体のチャンバ壁(1.3)を二成分射出成形し、それによってそれらをワンピース部材として成形する工程を含んでなる、上記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前置部に記載の蠕動ポンプのためのポンプチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの薬剤が体内に注射されなければならない。本発明は、特に、経口投与によって失活する又はそれらの効能を著しく低下させる薬剤、例えば、タンパク質(インスリン、成長ホルモン、インターフェロンのような)、炭水化物(例えば、ヘパリン)、抗体及び大部分のワクチンに適用される。そのような薬剤は、主に、注射器、薬剤ペン又は薬剤ポンプによって注射される。
【0003】
小型の小規模の蠕動薬剤ポンプが特許文献1に開示されている。このポンプは、送達ヘッド、送達ヘッドのための駆動ユニット、及び速度制御を含む。駆動ユニットを有するポンプは、薬物送達の後ポンプを廃棄しそれを清浄なものと交換することによって清浄で無菌の処置を維持するために、再使用可能なバックエンドに交換可能に取り付けることができる。
【0004】
特許文献2には、蠕動薬剤ポンプを有する注射装置が開示されており、ここでは、駆動ユニットは、ポンプユニットよりむしろ再使用可能なバックエンドに組み込まれており、従って、比較的高価な駆動ユニットを、ポンプユニットが交換される度に毎回廃棄する必要はない。
【0005】
特許文献3には、蠕動ポンプのためのポンプチャンバが開示されており、このポンプチャンバは、弾性的に変形可能なチューブ内に定められた細長い空洞を含んでなり、ここで、チューブは剛体のチューブベッドに配置され、弾性的に変形可能なチューブ及び剛体のチューブベッドは、2成分射出成形によってワンピース部材として配置される。
【0006】
特許文献4には、ポンプチャンバを画成するローラーポンプ導管が開示されている。ローラーポンプ導管は、充填領域及び送達領域を有するローラー接触部分を含む。充填領域は、ローラーヘッド1回転当たりの体積送達量を規定するように構成された第一のテーパーを有する。送達領域は、第二のテーパーを有する加圧領域及び第三のテーパーを有する排出領域を有する。第三のテーパーは、第二のテーパーに比べて勾配の緩いテーパーを有する。送達領域は、導管から脈動流を生み出すように構成される。更に、ローラー、ローラーポンプ導管を有するポンプが提供される。ローラーポンプのローラーポンプ導管は、充填領域及び送達領域を有し、充填領域は第一のテーパーを有し、そして送達領域は第二及び第三のテーパーを有し、ここで、第三のテーパーは第二のテーパーに比べて勾配の緩いテーパーを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許第19745999号
【特許文献2】国際特許公開第2008/040477(A1)号
【特許文献3】米国特許出願第2006/0177329(A1)号
【特許文献4】国際特許公開第2007/064927(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、蠕動ポンプのための改善されたポンプチャンバ及びそのようなチャンバを製造するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載のポンプチャンバにより、及び請求項18に記載の方法により達成される。
【0010】
本発明の好ましい実施態様は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明によれば、蠕動ポンプのためのポンプチャンバは、弾性的に変形可能なチャンバ壁及び実質的に剛体のチャンバ壁の間に画成された細長い空洞を含む。弾性的に変形可能な壁及び剛体の壁は、二成分射出成形によってワンピース部材として配置される。このように、ポンプチャンバを製造するためにたった1つの工程が必要とされるのみであり、従って、製造及び組み立ての費用を低減することができる。更に、本発明に記載のポンプチャンバは、従来技術の蠕動ポンプで公知のポンプホースに比べて、より容易に所定の位置に保持することができる。
【0012】
好ましくは、弾性的に変形可能なチャンバ壁は、本質的に長手方向に分割されたシリンダー形状を有し、剛体のチャンバ壁は、少なくとも細長い空洞(1.1)の断面において本質的に平面形状を有し、従って、ロータリー式設計におけるポンプロータ又はリニアポンプ設計における別の圧搾具が、弾性的に変形可能なチャンバ壁を剛体のチャンバ壁に対して、2つの部材間にかなりの空隙を残さずに圧搾することができる。
【0013】
ロータリー式設計においては、細長い空洞及びそのような変形可能な及び剛体の壁は円弧プロファイルに配置され、その結果、蠕動ポンプのポンプロータが弾性的に変形可能な壁の相当な長さと係合するのを可能にする。しかしながら、開放端を有する360度円形の形状を有する細長い空洞を伴う、360度蠕動ポンプも、また、設計することができる。
【0014】
ポンプチャンバは、特に、液体薬剤を送達するための注射装置のための蠕動ポンプに応用することができる。ポンプチャンバに加えて、蠕動ポンプは、ポンプチャンバの弾性的に変形可能な壁と係合するための周囲の突起を有するポンプロータを含む。ポンプロータは、同様にポンプチャンバを局部的に圧搾するためにロータに環状に取り付けられる、異なった種類のローラー、シュー又はワイパーを装備することができる。ロータが回転した場合、突起はポンプチャンバに沿って前進し、そのようにして変形可能な壁の圧搾した部分及びポンプチャンバ中の流体(空気及び液体薬剤)を、回転方向に沿ってそれぞれの圧搾部分の前方に前進させる。その結果、流体は強制的にポンプチャンバの開放端から排出される。同時に、前進する圧搾部分の後に減圧が生じ、そのようにしてポンプチャンバの他の開放端から流体を取り入れる。
【0015】
弾性的に変形可能な壁の外側及び/又はポンプロータ若しくは突起には、テフロン(登録商標)(Teflon(R))のような固着防止コーティングを施してよい。そのようにして、ポンプホースとポンプロータの間の動的摩擦は軽減され、その結果効率は向上し、摩耗は低減され、より長い耐用年数が可能になる。
【0016】
蠕動ポンプは、液体薬剤を送達するための注射装置のためのポンプユニットの部分であってよく、ポンプユニットは、更に、薬剤入口及び薬剤出口を含んでなり、ここで、蠕動ポンプは液体薬剤を入口から出口へ送達する役割を有する。
【0017】
薬剤出口は、患者の皮膚に突き刺すために取り付けられる中空の針を有してよい。
【0018】
本質的に剛体のチャンバ壁は、ポンプユニットのハウジングの部分として配置することができる。この場合、ポンプチャンバはハウジングの二成分成型によって製造することができる。
【0019】
ポンプユニットは、液体薬剤を送達するための注射装置の再使用可能なバックエンドに交換可能に取り付け可能であってよい。
【0020】
ポンプロータは、再使用可能なバックエンドの駆動シャフトと係合するためのアダプタを有してよい。駆動ユニットを使い捨てのポンプユニットよりむしろ再使用可能なバックエンドに組み込むことによって、比較的高価な駆動ユニットを、ポンプユニットが交換される度に毎回廃棄する必要がなくなる。
【0021】
ポンプロータは、ロータの部分である突起を伴うワンピース部材の構成要素として設計することができる。
【0022】
好ましくは、薬剤の体積流量を定量するための、そして再使用可能なバックエンドの制御ユニットに連結可能である流量センサがポンプユニットに配置され、そのようにして送達すべき薬剤の体積を制御することを可能にする。
【0023】
ポンプユニット及び再使用可能なバックエンドは、液体薬剤を送達するための注射装置の部分であってよい。再使用可能なバックエンドは、薬剤容器、制御ユニット、駆動ユニット及び駆動ユニットに動力を与えるためのエネルギ源を含む。再使用可能なバックエンドは、注射装置全体の耐用年数にわたって使用することができ、一方、ポンプユニットは、各薬剤送達の後で交換することができる。
【0024】
ポンプユニットは、一方で、薬剤容器(アンプル)、駆動及び制御ユニット、及び他方で、注射針に対して、容易に連結を断つことが可能なインターフェースを有してよい。
【0025】
駆動ユニットのためのエネルギ源は、駆動ユニットが電動モーターを含む場合は、ガルバニ電池又はガルバニ電池のバッテリーであってよい。好ましくは、エネルギ源は、再充電可能なアキュムレータである。再充電可能なアキュムレータは、交換可能か、又は代わりに再使用可能なバックエンドを保持するために配置される外部充電デバイスによって充電可能であってよい。
【0026】
再充電可能なアキュムレータは、再使用可能なバックエンドを保持するために配置される外部充電デバイスによって充電可能であってよい。
【0027】
再使用可能なバックエンドは、使用者との対話処理のための使用者インターフェースを更に有してよい。これは、投薬及び/又はトリガーノブ、又は、例えば、用量体積を表示するための回転体及び/又は表示装置を含んでよい。
【0028】
ポンプチャンバ、蠕動ポンプ、ポンプユニット、再使用可能なバックエンド、又は注射装置は、好ましくは、鎮痛剤、抗凝血剤、インスリン、インスリン誘導体、ヘパリン、ロベノックス(Lovenox)、ワクチン成長ホルモン及びペプチドホルモンの1つを送達するために使われてよい。
【0029】
本発明の更なる応用範囲は、以下の詳細な記述から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な記述及び具体的な実施例は、本発明の好ましい実施態様を示唆するものであるが、単に説明のためだけであることを理解する必要がある。
【0030】
本発明は、以下の詳細な記述、及び説明のためだけに記載され、従って本発明を限定するものではない添付の図面から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】蠕動ポンプのためのポンプチャンバの断面の透視図である。
【図2】組み立てた状態の注射装置の透視断面図である。
【図3】組み立てた注射装置の透視図である。
【図4】充電器に保持された注射装置の透視図である。
【図5】注射装置の概略図である。
【0032】
全ての図面中、対応する部材は同じ参照記号を用いて記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、蠕動ポンプのためのポンプチャンバ1の断面の透視図を示す。
【0034】
蠕動ポンプのためのポンプチャンバ1は、弾性的に変形可能なチャンバ壁1.2及び本質的に剛体のチャンバ壁1.3の間に画成される細長い空洞1.1を含む。弾性的に変形可能なチャンバ壁1.2及び剛体のチャンバ壁1.3は、二成分射出成形によってワンピース部材として配置される。
【0035】
弾性的に変形可能なチャンバ壁1.2は、本質的に長手方向に分割したシリンダー形状を有する。剛体のチャンバ壁1.3は、少なくとも細長い空洞の断面において本質的に平面形状を有する。
【0036】
図2に示すようなロータリーポンプの設計において、細長い空洞1.1、従って、変形可能な壁1.2及び剛体の壁1.3は、少なくとも部分的に円弧上に配置され、その結果、蠕動ポンプのポンプロータ2が弾性的に変形可能な壁1.2のかなりの長さと係合することが可能になる。しかしながら、開放端を有する360度円弧プロファイルを有する細長い空洞1.1を伴う360度蠕動ポンプも、また、設計することができる。
【0037】
図2は、交換可能なポンプユニット4及び再使用可能なバックエンド5を有する、液体薬剤を送達するための注射装置3の透視部分図である。
【0038】
ポンプユニット4は、再使用可能なバックエンド5に交換可能に取り付けられる。ポンプユニット4は、薬剤入口4.1、薬剤出口4.2、及び液体薬剤を入口4.1から出口4.2へ送達するための蠕動ポンプを含む。蠕動ポンプは、ポンプロータ2及びポンプチャンバ1を含む。ポンプチャンバ1は、ポンプロータ2の周辺に沿って部分的に配置される。ポンプロータ2は、ポンプチャンバ1と係合するための突起2.1を示す。突起2.1は、弾性的に変形可能なチャンバ壁1.2を、本質的に剛体のチャンバ壁1.3に対して局部的に圧搾する。ロータ2が回転した場合、突起2.1はポンプチャンバ1に沿って前進し、そのようにしてポンプチャンバ1の圧搾した部分及びポンプチャンバ1の中の流体(空気及び液体薬剤)を、回転方向に沿ってそれぞれの圧搾部分の前方に前進させる。その結果、流体は強制的に薬剤出口4.2から排出される。同時に、前進する圧搾部分の後に減圧が生じ、そのようにして薬剤入口4.1から流体を取り入れる。
【0039】
再使用可能なバックエンド5は、交換可能な薬剤容器5.1、図5の概略図に示される制御ユニット5.2、駆動ユニット5.3、及び駆動ユニット5.3に動力を与えるエネルギ源5.4を含む。
【0040】
薬剤容器5.1は、薬剤入口4.1の後方を向いている針によって孔を開けられる中隔を有してもよい。
【0041】
薬剤出口4.2は、患者Pの皮膚を突き刺すために取り付けられる中空の針4.3を有してもよい。或いは、また、ジェットノズルが備えられてもよい。
【0042】
ポンプロータ2及び/又は弾性的に変形可能なチャンバ壁1.2は、テフロン(登録商標)のような固着防止コーティングを施してよい。
【0043】
ポンプロータ2は、再使用可能なバックエンド5の駆動ユニット5.3に結合する、駆動シャフト5.5と係合するためのアダプタ2.2を有する。
【0044】
ポンプロータ2は、好ましくは、ロータ2の部分である突起2.1及びアダプタ2.2を有する、ワンピース部材の構成要素として設計される。
【0045】
ポンプユニット4は、薬剤のフラックス又は体積流量を定量するための流量センサ4.4(図7に示される)を更に含む。流量センサ4.4は、制御ユニット5.2に連結可能であり、そのようにして送達すべき薬剤の体積を制御することを可能にする。
【0046】
ポンプユニット4は、一方で、薬剤容器5.1(アンプル)、駆動ユニット5.3、及び制御ユニット5.2に対する、及び他方で、中空注射針4.3に対して、容易に連結を断つことが可能なインターフェースを有する。
【0047】
エネルギ源5.4は、駆動ユニット5.3が電動モーターを含む場合は、ガルバニ電池又はガルバニ電池のバッテリーであってよい。好ましくは、エネルギ源5.4は、再充電可能なアキュムレータである。再充電可能なアキュムレータは、交換可能、又は代わりに、再使用可能なバックエンド5を保持するために配置される外部充電デバイス6(図4を参照)により充電可能であってよい。
【0048】
再使用可能なバックエンド5は、使用者との対話処理のための使用者インターフェース5.6を更に有してよい。これは、投薬及び/又はトリガーノブ5.7、又は、例えば、用量体積を表示するための、回転体及び/又は表示装置5.8を含んでよい。
【0049】
再使用可能なバックエンド5は、薬剤容器5.1の内容物を検査するための覗き窓5.9を更に含んでよい。
【0050】
ポンプチャンバ1、蠕動ポンプ、ポンプユニット4、再使用可能なバックエンド4、又は注射装置3は、好ましくは、鎮痛薬、抗凝血剤、インスリン、インスリン誘導体、ヘパリン、ロベノックス、ワクチン、成長ホルモン及びペプチドホルモンの1つを送達するために使われてよい。
【0051】
注射を実施するために、使用者は必要とされる目標用量を使用者インターフェース5.6にて設定する。必要とされる目標容量は制御ユニット5.2へ送られ、そこに保存される。使用者が、例えば、ノブ5.7を押すことにより注射装置を始動するや否や、目標用量は流量センサの設定ポイントに変換され、駆動ユニット5.3が始動する。駆動ユニット5.3は、エネルギ源5.4によって供給される電気エネルギを機械エネルギに変換し、それを蠕動ポンプに送る。そこでエネルギは再び流体エネルギに変換され、薬剤の体積流量をもたらす。組み込まれている流量センサ4.4は体積流量を得て、測定値を制御ユニット5.2に送る。測定値は、特にそれが体積の増分に対応した増分の形態の場合、制御ユニット5.2により積分することができ、駆動ユニット5.3は設定ポイントの体積を送達した時点でスイッチを切る。送達の後、制御ユニット5.2は、表示ユニット5.8によって表示すべき使用者に対するメッセージを作成することができる。
【0052】
本質的に剛体のチャンバ壁1.3は、図1に示すように別々に配置されてよく、又はポンプユニット4のハウジング4.5の部分として配置されてよい。この場合、ポンプチャンバ1は、ハウジング4.5の二成分成型によって製造されてよい。
【0053】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0054】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0055】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0056】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0057】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
【0058】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−3
9)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0059】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0060】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0061】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1−C6アルキル基;場合により置換されるC2−C6アルケニル基;場合により置換されるC6−C10アリール基、又は場合により置換されるC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark
Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0062】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【符号の説明】
【0063】
1 ポンプチャンバ
細長い空洞
弾性的に変形可能なチャンバ壁
本質的に剛体のチャンバ壁
2 ポンプロータ
突起
アダプタ
3 注射装置
4 ポンプユニット
薬剤入口
薬剤出口
中空の針
流量センサ
ハウジング
5 再使用可能なバックエンド
薬剤容器
制御ユニット
駆動ユニット
エネルギ源
駆動シャフト
使用者インターフェース
投薬/トリガーノブ
表示装置
覗き窓
6 外部充電デバイス
P 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)と剛体のチャンバ壁(1.3)の間に画成される細長い空洞(1.1)を含んでなる蠕動ポンプのためのポンプチャンバ(1)であって、弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)及び剛体のチャンバ壁(1.3)が、二成分射出成形によってワンピース部材として配置される、上記ポンプチャンバ(1)。
【請求項2】
弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)が長手方向に分割された中空シリンダーの形状を有し、剛体のチャンバ壁(1.3)が少なくとも細長い空洞(1.1)の断面において平面形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のポンプチャンバ(1)。
【請求項3】
細長い空洞(1.1)は、蠕動ポンプのポンプロータ(2)が弾性的に変形可能な壁(1.2)の相当な長さと係合するのを可能にするために、少なくとも部分的に円弧プロファイルで配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポンプチャンバ(1)。
【請求項4】
弾性的に変形可能な壁(1.2)の外側に固着防止コーティングが施されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポンプチャンバ(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のポンプチャンバ(1)、及びポンプチャンバ(1)の弾性的に変形可能な壁(1.2)と係合するための周囲の突起(2.1)を有するポンプロータ(2)を含んでなる、特に液体薬剤を送達するための注射装置(3)用の、蠕動ポンプ。
【請求項6】
ポンプロータ(2)又は突起(2.1)に固着防止コーティングが施されることを特徴とする、請求項5に記載の蠕動ポンプ。
【請求項7】
液体薬剤を送達する注射装置(3)のためのポンプユニット(4)であって、薬剤入口(4.1)、薬剤出口(4.2)、及び液体薬剤を入口(4.1)から出口(4.2)に送達するための請求項5又は6に記載の蠕動ポンプを含んでなる、上記ポンプユニット(4)。
【請求項8】
剛体のチャンバ壁(1.2)がポンプユニット(4)のハウジング(4.5)の部分であることを特徴とする、請求項7に記載のポンプユニット(4)。
【請求項9】
液体薬剤を送達するための注射装置(3)の再使用可能なバックエンド(5)に交換可能に取り付け可能な、請求項7又は8に記載のポンプユニット(4)。
【請求項10】
ポンプロータ(2)が、再使用可能なバックエンド(5)の駆動シャフト(5.5)と係合するためのアダプタ(2.2)を有することを特徴とする、請求項9に記載のポンプユニット(4)。
【請求項11】
ポンプロータ(2)がワンピース部材の構成要素であることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のポンプユニット(4)。
【請求項12】
薬剤の体積流量を定量するための流量センサ(4.4)が、ポンプユニット(4)に配置され、再使用可能なバックエンド(5)の制御ユニット(5.2)に連結可能であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のポンプユニット(4)。
【請求項13】
再使用可能なバックエンド(5)及び請求項7〜12のいずれか1項に記載の、再使用可能なバックエンド(5)に交換可能に取り付け可能なポンプユニット(4)を含んでなる液体薬剤を送達するための注射装置(3)であって、再使用可能なバックエンド(5)が薬剤容器(5.1)、制御ユニット(5.2)、駆動ユニット(5.3)、及び駆動ユニット(5.3)に動力を与えるためのエネルギ源(5.4)を含んでなる、上記注射装置(3)。
【請求項14】
制御ユニット(5.2)が、ポンプユニット(4)に配置される薬剤の体積流量を定量するための流量センサ(4.4)に連結可能であることを特徴とする、請求項13に記載の注射装置(3)。
【請求項15】
エネルギ源(5.4)が再充電可能なアキュムレータであることを特徴とする、請求項13又は14に記載の注射装置(3)。
【請求項16】
再充電可能なアキュムレータが、再使用可能なバックエンド(5)を保持するように配置される外部充電デバイス(6)によって充電可能であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の注射装置(3)。
【請求項17】
使用者との対話処理のための使用者インターフェース(5.6)が再使用可能なバックエンド(5)に配置されることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか1項に記載の注射装置(3)。
【請求項18】
蠕動ポンプのためのポンプチャンバ(1)を製造する方法であって、ポンプチャンバ(1)は、弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)及び剛体のチャンバ壁(1.3)の間に画成される細長い空洞(1.1)を含んでなり、該方法は、弾性的に変形可能なチャンバ壁(1.2)及び剛体のチャンバ壁(1.3)を二成分射出成形し、それによってそれらをワンピース部材として成形する工程を含んでなる、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533026(P2012−533026A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520019(P2012−520019)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060123
【国際公開番号】WO2011/006921
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】