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血圧降下剤
説明

血圧降下剤

【課題】
本発明は、食生活に簡便に組み込むことができ、血圧の高い症状を予防および/または改善し得る素材を開発し、これを産業上有効活用できる態様の組成物を提供することを課題とした。
【解決手段】ε−ビニフェリン、ε−ビニフェリン含有植物抽出物、また、これらとコラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選択される少なくとも1種との併用物、を有効成分として含有してなる血圧降下剤、該血圧降下剤を配合してなる経口用組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリンを含む植物抽出物、さらには、これらのいずれかとコラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物よりなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分としてなることを特徴とする血圧降下剤、および、該血圧降下剤を含有してなることを特徴とする、高血圧症状を予防および/または改善するための経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我国においても高血圧者やその予備群に該当する者が増加しており、高血圧が健康上の重要な関心事となっている。WHO(世界保健機関)の定義では、収縮期血圧が160mmHg以上、あるいは拡張期血圧が95mmHg以上のいずれかを満たす場合を高血圧者としている。高血圧者は本態性(原発性)高血圧症もしくは二次性(続発性)のいずれかに分類される。本態性高血圧症は生活習慣の関与が大きく、高血圧症の90%以上を占めている。本態性高血圧症の多くは中年以降に発症し、緩徐な経過をたどるが、脳、心臓、腎臓などの主要臓器において脳血管障害や心筋梗塞といった合併症を引き起こし、これらが死亡病因の上位を占めている。
【0003】
血圧を調節する生体内機序として、レニン・アンジオテンシン系及びカリクレイン・キニン系の作用が知られている。レニン・アンジオテンシン系においては、アンジオテンシンIから、血圧上昇作用を有するアンジオテンシンIIが生成される。一方、カリクレイン・キニン系においては血圧降下作用を有するブラジキニンが生成される。アンジオテンシン変換酵素(以下、ACEという)はアンジオテンシンIIの生成とブラジキニンの不活化に関わっているため、この酵素を阻害することにより血圧降下現象が認められる。
【0004】
このような観点から、カプトプリル、エナラプリル等のACE阻害剤が開発され、高血圧症の第一選択薬の一つとして用いられている。一方で、日常的に摂取する食事や各種飲食品を通して高血圧症状を予防・改善する試みもこれまでに数多くなされてきた。その活性成分として、例えば、鰹節の酵素分解物(非特許文献1)、黒酢に含まれるペプチド(特許文献1)、ゴマの加水分解ペプチド(特許文献2)、大豆蛋白質の酵素分解ペプチド(特許文献3)、ローヤルゼリー(特許文献4)等が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらは大量に摂取しなければならないこと、長期間の摂取でも個人差が大きかったり、一定の効果しか得られないこと等、実用面を含めて高血圧症状を有効に予防し改善し得るものは数少なく、十分満足できるものはほとんど見当たらないのが実状であった。したがって、高血圧症状をより効率的に予防あるいは改善することができる実用性の高い素材が強く求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−278893号公報
【特許文献2】特開2009−084294号公報
【特許文献3】特開2010−248134号公報
【特許文献4】特開2010−011847号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Biosci.Biotech.Biochem.、第56巻(第10号)、第1541−1545頁、1992年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる実情に鑑み、本発明は、食生活に簡便に組み込むことが可能であり、血圧の高い症状を予防および/または改善し得る素材を開発するとともにこれを産業上有効活用できる態様の組成物を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明者らは、高血圧症状とこれを予防および/または改善するための素材について鋭意検討を重ねた結果、ε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリンを含む植物抽出物、さらに、これらとコラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類あるいは酵母ペプチドのうち1種または2種以上との組み合わせが、意外にも極めて顕著なACE阻害作用と血圧上昇抑制ないし降下作用を発現することを見出した。また、これらを飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフード等の分野に有効利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第1の特徴は、ε−ビニフェリンを有効成分として含有してなる血圧降下剤にある。また、第2の特徴は、ε−ビニフェリンを含む植物抽出物を有効成分として含有してなる血圧降下剤にある。ここで、前記のε−ビニフェリン含有植物抽出物は、ε−ビニフェリンのほかにトランスレスベラトロールをさらに含有するものが望ましく、また、ε−ビニフェリンのほかにトランスレスベラトロールおよびアンペロプシンAをさらに含有するものが望ましい。さらに、前記のε−ビニフェリン含有植物抽出物における植物は、ブドウ科、タデ科またはマメ科のいずれかに属するものであることが望ましい。
【0011】
本発明の第3の特徴は、前述のε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリン含有植物抽出物と、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選択される少なくとも1種と、を有効成分として含有してなる血圧降下剤にある。ここで、前記のコラーゲンペプチドは、コラーゲンあるいはゼラチンの加水分解物であり、その平均分子量が約200〜約10,000のものであることが望ましい。鶏軟骨抽出物は、鶏軟骨をタンパク質分解酵素で加水分解したものであり、II型コラーゲン(II型コラーゲン由来のペプチド)とコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸を含むものであることが望ましい。チオクト酸類は、チオクト酸、その還元体、ラセミ体を含む光学異性体、それらの塩、エステルならびにアミド、および、これらのシクロデキストリン包接物もしくは脂質被覆物からなる群から選ばれる1種または2種以上のものであることが望ましい。また、酵母加水分解物は、飲食品用途に用いられる酵母、より好適にはサッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)をタンパク質分解酵素で加水分解したものであることが望ましい。
【0012】
本発明の第4の特徴は、前記いずれかの血圧降下剤を配合してなることを特徴とする経口用組成物にある。この経口用組成物は医薬品、飲食品、動物用餌料等の態様であること、とりわけ飲食品であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、品質安定性に優れ、アンジオテンシン変換酵素阻害効果および血圧上昇抑制ないしは降圧効果を奏する血圧降下剤が提供される。この効果は、ε−ビニフェリンに基づくものであり、ε−ビニフェリンを含有する前記特定の植物抽出物の場合では一層増強され、また、ε−ビニフェリンを含有する前記特定の植物抽出物とコラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選ばれる1種以上とを併用する場合ではさらに顕著なものとなる。本発明によれば、また、前記血圧降下剤を配合した経口用組成物が提供され、これを日常の食生活に組み入れて摂取または投与することにより、血圧の高い症状を予防ないしは改善することが可能になり、ACE阻害作用や高血圧症状にともない生じる様々な症状を回復させる可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の血圧降下剤の態様のひとつは、ε−ビニフェリンを有効成分として含有せしめてなるものである。
【0015】
本発明の血圧降下剤に用いるε−ビニフェリン〔(2R)−2β−(4−Hydroxyphenyl)−3α−(3,5−dihydroxyphenyl)−4−(4−hydroxy−trans−styryl)−2,3−dihydrobenzofuran−6−ol〕は、スチルベン系化合物に分類されるものであり、レスベラトロールの二量体である。ε−ビニフェリンやレスベラトロールは、ブドウが微生物や害虫に汚染されると自らを保護するために産生するファイトアレキシンの一種として知られている。これらの化合物は抗酸化作用が強く、また抗ガン作用等が報告されているが、ACE阻害作用に言及したものは見当たらない。
【0016】
本発明に係るε−ビニフェリンの起源や製造方法は特に限定されるものではなく、公知の有機化学的な方法、微生物や酵母等を用いて採取する方法、または、天然物から抽出・精製する方法等を利用して製造されたものでよいが、天然物とりわけ植物から抽出・精製するのが簡便である。かかる植物は、ε−ビニフェリンを含有するものであれば差し支えなく、より好適にはトランスレスベラトロール〔3,4′,5−Trihydroxy−trans−stilbene〕を含有するもの、さらにはトランスレスベラトロールおよびアンペロプシン〔(2R)−2α−(3,4,5−Trihydroxyphenyl)−3β,5,7−trihydroxy−2,3−dihydro−4H−1−benzopyran−4−one〕Aを含有するものである。
【0017】
前記植物の好適な具体例は、ブドウ科、タデ科またはマメ科等の植物であり、これらの果皮、茎、根、葉、蔓、新芽、種子、種皮、花、実等の部位から抽出して得られるものであることが望ましい。ブドウ科に属する植物は後述のものを例示することができる。タデ科の植物としては、例えば、アイ、アレチギシギシ、イシミカワ、イタドリ、イヌタデ、イブキトラノオ、ウラジロサナエタデ、オオイヌタデ、オオケタデ、ギシギシ、クリンユキフデ、サクラタデ、サナエタデ、シャクチリソバ、スイバ、ソバ、ダイオウ、ツルソバ、ツルドクダミ、ナガバノウナギヅル、ニワヤナギ、ヌカボタデ、ハナタデ、ハルタデ、ボントクタデ、ミズヒキ、ミゾソバ、ヤナギタデ等を挙げることができる。また、マメ科植物の例として、アカツメクサ、イソフジ、イヌエンジュ、イヌクララ、エニシダ、エンジュ、カサバルピナス、カスマグサ、キバナノハウチワマメ、クサフジ、クララ、コメツブウマゴヤシ、シマエンジュ、シロツメクサ、スイートピー、センダイハギ、ソラマメ、ツクシムレスズメ、ノダフジ、ハネミイヌエンジュ、ハブソウ、ハリエンジュ、ミヤマトベラ、ムラサキセンダイハギ、落花生、リュウキュウミヤマトベラ等を挙げることができる。
【0018】
本発明に係るε−ビニフェリンのより望ましい基原植物は、ブドウ科ブドウ属(Vitis)に属する植物であり、欧州系ブドウ(Vitis vinifera)、北米系ブドウ(v.labrusca)、東アジア系ブドウ(v.amurensis)、エビヅル(v.ficifolia)、ヤマブドウ(v.coignetiae)、サンカクヅル(v.flexuosa)等を例示することができる。これらの品種は特に限定されるものではなく、例えば、アイレン、アリゴテ、ヴァルディギエ、ヴィオニエ、ヴェルシュリースリング、オルテガ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、ガメ、カリニャン、ガルガーネガ、カルメネール、クシノマヴロ、グリューナー・フェルトリナー、ゲヴュルツトラミネール、ケルナー、甲州、コロンバール、サンソー、サグランティーノ、サンジョヴェーゼ、サン・ローラン、シャスラ、シャルドネ、シュナン・ブラン、ショイレーベ、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、タナ、ツヴァイゲルト、テンプラニーリョ、トラミネール、ドルチェット、ドルンフェルダー、ピノ・ムニエ、プルサール、フルミント、ポルトギーザー、マスカット、マルヴァジーア、マルベック、ミュスカデル、ミュラー・トゥルガウ、ムールヴェードル、ムロン、モリオ・ムスカート、マスカダイン、アムール ブドウ、安芸クイーン、ヴィダル・ブラン、巨峰、瀬戸ジャイアンツ、セイヴァル・ブラン、デラウェア、ナイアガラ、ネオマスカット、バコ・ノワール、バコ・ブラン、ピオーネ、マスカット・ベーリー、藤みのり、ルビーロマン、甲斐路、甲州三尺等を挙げることができる。これらは、日本、チリ、イタリア、フランス、北米等で自生しまたは栽培されているものを適宜に利用すればよく、前記例示した各部位、より好ましくは茎、蔓、新芽、葉または花から抽出するのがよい。
【0019】
本発明に係るε−ビニフェリンは、任意の方法で製造することが可能であるが、前記例示したブドウ等の植物から製造する場合は、その茎、蔓、新芽、葉または花そのもの、あるいは、それらを乾燥、細断、粉砕処理したものを用い、これらを溶媒で一定期間浸漬するか、または、加熱還流している抽出溶媒と接触させて抽出液を得、該抽出液から溶媒を除くことによってε−ビニフェリンを含む植物抽出物となし、該抽出物にシリカゲル、ケイ酸マグネシウム、イオン交換樹脂、活性アルミナ、セルロース、活性炭等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーや溶剤分別等の精製処理を施して高純度のε−ビニフェリン精製物を製造することができる。この精製物はさらに凍結乾燥、噴霧乾燥等の方法で粉末化したものでもよい。食品用途に使用する場合は、前記植物の部位を乾燥し適宜に粉砕した粉末、該乾燥物の細断片や粉末を水または親水性有機溶媒で抽出した抽出物とするのが利便性や製造コストの点から望ましい。また、医薬品用途に利用する場合は、前記の抽出液、抽出物あるいは高純度の精製物が望ましい。
【0020】
親水性有機溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級一価アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、エーテル、石油エーテル、酢酸エチルおよびこれらの含水物や混合物を例示することができる。本発明の所望の効果を奏するための抽出物を効率的に得るには、エタノール、アセトン、酢酸エチルおよびこれらの含水物を抽出用溶媒とすることが好ましい。含水物の水分含量は、例えば、エタノールの場合では約1質量%〜約99質量%、より好ましくは約50質量%以下であり、アセトンの場合には約1質量%〜約50質量%、より好ましくは約10質量%〜約30質量%であり、酢酸エチルの場合は約80質量%〜約99質量%、より好ましくは約85質量%〜約95質量%である。これらの範囲を外れると本発明の所望の効果が減少しまたは抽出物の収量が低下する。
【0021】
以上に述べたように、本発明においては、前記植物を原料にしてε−ビニフェリンを含む植物抽出物および高純度に精製されたε−ビニフェリンを製造することができる。したがって、本発明の血圧降下剤の態様の一つは、このε−ビニフェリンを有効成分として含有せしめてなるものであり、別の態様は、前記のε−ビニフェリン含有植物抽出物を有効成分として含有させてなるものである。
【0022】
また、本発明では、前記植物が好適にはブドウ科、タデ科またはマメ科に属するものである場合、ε−ビニフェリンおよびトランスレスベラトロールを含有する植物抽出物を得ることができ、さらには、前記植物がより好適にはブドウ科に属するものである場合、ε−ビニフェリンとトランスレスベラトロールとアンペロプシンAを含有する植物抽出物を得ることができ、これらの植物抽出物がより一層顕著な血圧降下作用を発現することを見出した。したがって、本発明の血圧降下剤の他の態様は、ε−ビニフェリンおよびトランスレスベラトロールを含有する植物抽出物を有効成分としてなるものであり、また、ε−ビニフェリンとトランスレスベラトロールとアンペロプシンAを含有する植物抽出物を有効成分としてなるものである。
【0023】
本発明の血圧降下剤を調製するには、前記の有効成分、すなわち、ε−ビニフェリン、ε−ビニフェリン含有植物抽出物、ε−ビニフェリンおよびトランスレスベラトロールを含有する植物抽出物、または、ε−ビニフェリンとトランスレスベラトロールとアンペロプシンAを含有する植物抽出物に、公知の賦形剤、流動化剤、安定化剤、希釈剤等の添加物を必要に応じて併用しあるいは併用せずに、常法により粉末状、顆粒状、ペースト状、液体状等の形態に加工して製剤化すればよい。これを飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料等の用途に利用することができる。
【0024】
次に、本発明の血圧降下剤のさらに別の態様について説明する、この態様の血圧降下剤は、前述のε−ビニフェリン、ε−ビニフェリン含有植物抽出物、ε−ビニフェリンおよびトランスレスベラトロールを含有する植物抽出物、または、ε−ビニフェリンとトランスレスベラトロールとアンペロプシンAを含有する植物抽出物のいずれかと、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を有効成分として含有せしめてなるものである。
【0025】
この態様の血圧降下剤に用いるコラーゲンペプチドは、牛、豚、鶏、七面鳥、ダチョウ等の畜類の皮、骨、軟骨もしくは腱等、イトヨリダイ、サケ、サメ、タラ、ティラピア、ナイルパーチ、コイ、メバル、マグロ、ナマズ、ウナギ等の魚類の皮、骨、軟骨もしくは鱗等を原料として、これを常法により処理して得られるコラーゲンあるいはこれを熱変性させたゼラチンを酸、アルカリまたは酵素で加水分解したペプチド(以下、コラーゲンペプチドという)であって、該コラーゲンペプチドおよびこれらを含む抽出物を包含し、これらを任意に用いることができる。該コラーゲンペプチドは市販品を利用するのが簡便である。しかしながら、本発明においては、コラーゲンまたはゼラチンを加水分解したコラーゲンペプチドを用いることが望ましく、その平均分子量は約200〜約10,000のもの、より好ましくは約200〜約5,000、さらに好ましくは約200〜約1,000のものである。
【0026】
鶏軟骨抽出物は、鶏の軟骨を原料として常法により処理した後、これを酸、アルカリまたは酵素で加水分解したものであって、II型コラーゲン等の鶏軟骨成分に由来する抽出物を包含し、これらを任意に用いることができる。該鶏軟骨抽出物は市販品を利用するのが簡便である。しかしながら、本発明においては、鶏の胸骨の軟骨をタンパク質分解酵素で加水分解したものを用いることが望ましく、その含有成分としてII型コラーゲン由来ペプチド、コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸を含むものが好ましい。
【0027】
チオクト酸類は、その起源や種類は特に限定されるものではなく、牛や豚の肝臓等臓器の天然物抽出物や、例えば、エチレンおよびアジピン酸エステルを出発原料とする化学的合成品等公知の方法で採取、製造されたものでよい。なお、チオクト酸(別名:α−リポ酸)は不斉炭素を有するため光学的に鏡像異性体〔(R)−エナンチオマーおよび(S)−エナンチオマー〕が存在するが、本発明に係るチオクト酸はこれらのいずれか単独でも任意割合の混合物でもよく、また、ラセミ混合物やラセミ体でも差し支えない。工業生産レベルの実施においては、安価で容易に入手できる市販ラセミ体を利用するのが簡便であり、ラセミ体を用いると本発明の所望の効果をより強力に発現する傾向が大きいので望ましい。
【0028】
本発明の血圧降下剤に使用するチオクト酸類は、前記のチオクト酸のほか各種誘導体を適宜に利用することができるが、その還元体、光学ラセミ体、それらの塩、エステルならびにアミド、および、これらのシクロデキストリン包接物からなる群から選択される1種または2種以上のものであることが望ましい。チオクト酸の還元体の具体例としてジヒドロチオクト酸、ジヒドロリポ酸、6,8−ジメルカプト−オクタン酸等を挙げることができ、同様に光学ラセミ体としては(R),(S)−チオクト酸、(R),(S)−ジヒドロチオクト酸等、塩としては(R)−チオクト酸、(S)−チオクト酸、(R),(S)−チオクト酸、(R)−ジヒドロチオクト酸、(S)−ジヒドロチオクト酸、(R),(S)−ジヒドロチオクト酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等、エステルとしては(R)−チオクト酸、(S)−チオクト酸、(R),(S)−チオクト酸、(R)−ジヒドロチオクト酸、(S)−ジヒドロチオクト酸、(R),(S)−ジヒドロチオクト酸等と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、エリスリトール、ポリグリセリン等のモノマーないしポリマー)との部分エステルもしくは完全エステル、または、グリセリド類(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド等)、あるいは、炭素数10〜22の高級アルコール類(デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等)とのモノエステル等、アミドとしては(R)−チオクト酸、(S)−チオクト酸、(R),(S)−チオクト酸、(R)−ジヒドロチオクト酸、(S)−ジヒドロチオクト酸、(R),(S)−ジヒドロチオクト酸等のアミドを例示することができる。また、シクロデキストリン包接物はα−、β−、γ−もしくはδ−シクロデキストリンと前記チオクト酸またはその誘導体との包接物を例示することができる。なお、本発明はこれらの例示によって制限されるものではない。
【0029】
本発明では、チオクト酸類として前記のチオクト酸、その還元体、光学ラセミ体、それらの塩、エステルならびにアミド、および、これらのシクロデキストリン包接物からなる群から選ばれる1種または2種以上の結晶、粉末および/または粒子の外表面を脂質類で被覆してなるものも包含し、この態様はチオクト酸類の熱的変質(分解、重合、変色等)、吸湿あるいは酸化的変性を抑制するため実用的には一層望ましいものである。前記脂質類は、本発明の血圧降下剤が利用される産業分野において許容されるものであればよく、公知の食用油脂類または工業用油脂類、脂肪酸グリセリド類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類、高級アルコール類、ワックス類、ステロール類、糖脂質類、リン脂質類等を単独でまたは組合せて利用することができる。これらのうち、好ましい脂質類は、食用油脂類または工業用油脂類、脂肪酸グリセリド類、脂肪酸エステル類およびワックス類のいずれかであり、より好ましくは食用油脂類または脂肪酸グリセリド類である。また、これらと脂肪酸類、高級アルコール類、ステロール類、糖脂質類またはリン脂質類との組み合わせは被覆脂質の融点調整、被覆膜強化等の点からさらに望ましい態様である。なお、被覆作業性および被覆物の安定性、固化性、流動性、溶融性、溶解性等の物性を考慮すると、被覆する脂質類の融点は約30℃以上が望ましく、より好ましくは約40℃〜約70℃であり、さらに好ましくは約40℃〜約60℃である。
【0030】
チオクト酸類の結晶、粉末および/または粒子の外表面を脂質類で被膜するには、公知の方法を利用すればよい。すなわち、ボールミル、フラッシュブレンダー(粉粒体混合機)、V型混合機、高速ミキサー、高速パドルミキサー、加熱溶融混合機、超音波過湿加液型混合機、タンブラー混合機、加圧押出機等を用い、チオクト酸類の結晶、粉末および/または粒子と加熱溶融した脂質類とを均一に混合し、冷却して固化させた後これを粉砕する方法、前記形態のチオクト酸類に適宜加熱して液状化した脂質類を噴霧あるいは滴下して被覆する方法、前記形態のチオクト酸類と粒子状の脂質類とを高速攪拌して混合し、両者を接触または衝突させることによってチオクト酸類の結晶、粉末および/または粒子の表面全体に粒子状の脂質類を均一に付着させて被覆する方法等を利用することができる。
【0031】
チオクト酸類と脂質類との比率は、チオクト酸類の結晶、粉末および粒子の形状やサイズ、脂質類の種類や融点、被覆膜の厚みと性状等の要因から一律に規定することは難しいが、概ね、チオクト酸類1質量部に対して脂質類約0.05質量部〜約10質量部、好ましくは約0.1質量部〜約5質量部である。脂質類が約0.05質量部未満であると被覆状態が十分でなく所望の効果を発現し難くなり、逆に約10質量部を超えると被覆物中のチオクト酸含量が少なく、被覆物を利用する血圧降下剤において配合率等が制限され実用的価値を損なう場合がある。
【0032】
なお、前述したチオクト酸類の脂質類による被覆物は、これを飲料等の水系組成物に適用する場合の有無にかかわらず、さらにその外表面を親水系物質で被覆してなる態様のものにすることができる。ここで、親水系物質は、脂質類による被覆物の外表面をさらに被覆し、水性物質と親和性を有する被覆膜形成能のあるものをいい、具体例として多糖類(キサンタンガム、グアーガム、タマリンド種子ガム、サイリウムシードガム等)、澱粉および化工澱粉、酵母細胞壁成分、グルカン、マンナン、シェラック、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カラギーナン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、大豆たん白、ホエーたん白、ツェイン等を挙げることができる。より好適には多糖類、澱粉、酵母細胞壁成分、シェラック、ゼラチン、大豆たん白、ツェインおよびマンナンからなる群から選ばれる1種または2種以上であり、さらに好ましくは酵母細胞壁成分、シェラックまたはゼラチンである。
【0033】
前記親水系物質を被覆するには、前述の脂質類の被覆方法に準じた方法を採用すればよい。すなわち、前記親水系物質を水、エタノール、その他の溶媒に適宜溶解させて液状物となし、これを予め脂質類で被覆したチオクト酸類の外表面に付着、乾燥して親水系物質の被覆股を形成させることができる。かかる被覆物は親水系物質を最外層とする二重被覆構造物となり、これを配合した本発明の血圧降下剤は、飲食品、飼料、医薬品等に利用する場合、水性の原料や成分との親和性が高まり、これらと水溶解性の低いチオクト酸類との均質な組成物を調製することが容易になる。
【0034】
本発明に係る酵母加水分解物の基原は、飲食品に用いられる酵母であれば良く、その種類は限定されないが、望ましくはサッカロマイセス属に属するものであり、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス カールスベルゲンシス(Sacch.carlsbergensis)、サッカロマイセス ファーメンティー(Sacch.fermentati)、サッカロマイセス バヤナス(Sacch.bayanus)、サッカロマイセス サケ(Sacc.sake)、サッカロマイセス マンドシュリコス(Sacc.mandshuricus)、サッカロマイセス アナメンシス(Sacch.anamensis)、サッカロマイセス ファルモセンシス(Sacch.formosensis)、サッカロマイセス エリプソイデュウス(Sacch.ellipsoideus)、サッカロマイセス コレアヌス(Sacch.coreanus)等を挙げることができる。
【0035】
前記酵母加水分解物の製造に用いる酵素は、タンパク質分解酵素であり、より望ましいタンパク質分解酵素としては、プロタメックス(Protamax)(登録商標)、プロレザーFG−F(Proleather FGF)(登録商標)、フレーバーザイム(Flavourzyme)(登録商標)、プロテアーゼ A(Protease A)(登録商標)、アロアーゼ AP−10(Aroase AP−10)(登録商標)、ペスカラーゼ(Pescalase)、パパイン(Papain)、ブロメライン(Bromelain)、フィシン(Ficin)およびニュートラーゼ(Neutrase)からなる群から選択されるいずれかであり、さらに望ましくはプロタメックスおよびフレーバーザイムである。
【0036】
前記酵母加水分解物は、酵母を培養した培養液に、緩衝液を加えてタンパク質分解酵素の至適pHになるように調整した後、タンパク質分解酵素を加えて加水分解処理したものであり、該加水分解物およびこれらを含む抽出物を包含し、これらを任意に用いることができる。この加水分解物は市販品を利用するのが簡便であるが、本発明においては、前述の飲食品に用いられる酵母を用いて所定の平均分子量になるまで加水分解処理することが望ましく、その分子量は約50,000以下、より好ましくは約30,000以下、さらに好ましくは約10,000以下のものである。
【0037】
本発明の血圧降下剤の前記態様、すなわち、ε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリン含有植物抽出物と、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選択される少なくとも1種と、を有効成分としてなる態様の場合、前者(ε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリン含有植物抽出物)と後者(コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選択される少なくとも1種)との併用比率(質量比)は、一概には規定し難いが、概ね1:1〜100であり、より好ましくは1:1〜30である。前者に対して後者の比率が前記範囲に満たないと所望の併用効果を発現せず、前記範囲を超えても併用効果がさらに増強されることを期待できない。
【0038】
この態様の血圧降下剤を調製するには、前述の他の態様の場合と同様に、前記の有効成分、すなわち、ε−ビニフェリン、ε−ビニフェリン含有植物抽出物、ε−ビニフェリンおよびトランスレスベラトロールを含有する植物抽出物、または、ε−ビニフェリンとトランスレスベラトロールとアンペロプシンAを含有する植物抽出物のいずれかと、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物から構成される群から選ばれる少なくとも1種と、を併用したものに、公知の賦形剤、流動化剤、安定化剤、希釈剤等の添加物を適宜に加えてあるいは加えずに、常法により粉末状、顆粒状、ペースト状、液体状等の形態に加工して製剤化すればよい。これを飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料等の用途に利用することが可能である。
【0039】
本発明の血圧降下剤は、また、これが利用され得る前記用途における公知の添加物を適宜に併用して、常法により含有せしめて経口用組成物として利用することもできる。ここで、公知の添加物は経口摂取するために通常利用されるものでよく、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤、流動化剤、保存剤、界面活性剤、安定剤、希釈剤、溶解剤、等張化剤、殺菌剤、防腐剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料等の添加物質を使用できる。さらには、前記の先行技術文献に記載のものに限定されることなく、ACE阻害作用や降圧作用を有する既知成分やその含有素材を併用してもよい。本発明の血圧降下剤は、さらに、飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料、その他の産業分野の各種経口用製品の配合原料の一部として使用することもできる。とりわけ、ACE阻害、血圧上昇抑制ないしは降圧、これらに関連する症状(動悸、息切れ、胸や心臓の圧迫感、めまい、手足のしびれ等)や疾患(腎機能障害、インスリン感受性改善、糖尿病、心筋不全、メタボリックシンドローム等)の予防・改善等のための製品となすことが可能である。
【0040】
本発明の血圧降下剤を公知の添加物と併用して経口用組成物とする場合の形態は、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤等のタイプの経口用製剤となすことが可能である。かかる経口用組成物における前記有効成分の含有量は、併用する原料の種類や含有量等により一律に規定し難いが、概ね0.1質量%〜100質量%程度、より望ましくは約10質量%〜約100質量%である。前記含有量が約0.1質量%を下回ると本発明の所望効果が認められなくなることがある。本発明の経口用組成物は、これを経口的に摂取または投与する方法で利用する。好適な摂取量または投与量の目安は、該組成物に含まれる前記有効成分ベースで、ヒト成人(体重50kg)1日あたり約1mg〜約1,000mg、より望ましくは約5mg〜約100mg、さらに望ましくは約10mg〜約50mgである。ε−ビニフェリンとして1日あたり約0.5mg〜約2.5mgが推奨される。
【0041】
本発明の血圧降下剤は、これを飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料等の公知の製品の配合原料の一部として利用することができる。実用的な製品の例を以下に述べるが、本発明はこの例示により何ら制限されるものではない。
【0042】
飲食品の具体例として、野菜ジュース、果汁飲料、清涼飲料、茶等の飲料類、即席麺、スープ、ゼリー、プリン、ヨーグルト、ケーキプレミックス製品、菓子類、ふりかけ、味噌、醤油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、植物性クリーム、焼肉用たれや麺つゆ等の調味料、麺類、うどん、蕎麦、スパゲッティ、ハムやソーセージ等の畜肉魚肉加工食品、ハンバーグ、コロッケ、佃煮、ジャム、牛乳、クリーム、バター、スプレッドやチーズ等の粉末状、固形状または液状の乳製品、マーガリン、パン、ケーキ、クッキー、チョコレート、キャンディー、グミ、ガム等の各種一般加工食品のほか、粉末状、顆粒状、丸剤状、錠剤状、ソフトカプセル状、ハードカプセル状、ペースト状または液体状の栄養補助食品、特定保健用食品、機能性食品、健康食品、濃厚流動食や嚥下障害用食品の治療食等を挙げることができる。
【0043】
これらの飲食品を製造するには、本発明の血圧降下剤と公知の原材料を用い、あるいは公知の原材料の一部を本発明の血圧降下剤で置き換え、常法によって製造すればよい。例えば、本発明の血圧降下剤を、必要に応じてグルコース、ブドウ糖、デキストリン、乳糖、澱粉またはその加工物、セルロース粉末等の賦形剤、ビタミン類、ミネラル類、動植物や魚介類の油脂、たん白(動植物や酵母由来の蛋白質、その加水分解物等を含む)、糖質、色素、香料、酸化防止剤、界面活性剤、その他の食用添加物、各種栄養機能成分を含む粉未やエキス類等の食用素材とともに混合して粉末、顆粒、ペレット、錠剤等の形状に加工したり、常法により前記例の一般加工食品の形態に加工したり、混合した粉末や液状物をゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の被覆剤で被覆してカプセルに成形したり、飲料(ドリンク類)の形態に加工して、栄養補助食品や健康食品として利用することは好適である。とくに錠剤、カプセル剤やドリンク剤の形態が望ましい。なお、これらの飲食品に含まれる本発明の血圧降下剤の配合量や摂取量は、前述の経口用組成物の場合とほぼ同様である。
【0044】
本発明の血圧降下剤を用いる医薬品および医薬部外品は、前記の血圧降下剤に本発明の趣旨に反しない範囲で薬学的に許容される公知の賦形剤や添加物を適宜に加え、常法により加工して錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等の製剤となすことができる。これを経口投与して、ACE阻害、血圧上昇抑制ないしは降圧、これらに関連する前記の症状や疾患の予防または改善のために適用する。なお、これらの医薬品および医薬部外品に含まれる本発明の血圧降下剤の配合量や摂取量は、前述の経口用組成物の場合に準ずる。
【0045】
また、本発明の血圧降下剤をペットフードや家畜用飼料に適用するには、前記飲食品の場合と同様に、公知の各種飼料や飲用水に配合したり、公知の原材料、添加物とともに錠剤状、顆粒状、カプセル状等の製剤形態のものに加工することができる。これらの飼料における本発明の血圧降下剤の配合量や摂取量は前述の経口用組成物の場合と略同様である。
【実施例】
【0046】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら制限を受けるものではない。各例において、%、部および比率は特に表示しない限り質量基準である。
【0047】
製造例1(ε−ビニフェリンを含む抽出物)
ブドウ(カベルネ・ソーヴィニヨン種)の茎の天日乾燥物500gに2Lの70%エタノール溶液を加えて還流抽出した後、濾過して濾液を採取した。この濾過残渣に再度70%エタノールを1L加えて還流抽出し、濾過して濾液を採取した。両濾液を合わせて減圧下に濃縮し、デキストリンを加えて噴霧乾燥し、ブドウ茎抽出物の粉末(試料1)を22g得た。該粉末を常法にてHPLC分析した結果、ε−ビニフェリンを6.2%、トランスレスベラトロールを6.5%、アンペロプシンAを2.1%含むものであった。
【0048】
製造例2(コラーゲンペプチド(1))
ナマズの肉および骨を除去した皮1kgに水5Lを加え、常圧下、85℃に加熱して1時間適宜に撹拌してゼラチンを抽出した。このゼラチン溶液を50℃まで冷却し、タンパク質分解酵素(天野エンザイム社製、商品名:パパインW−100)を添加し、2時間酵素反応させた。その後、酵素を失活させ、濾過して濾液を採取した。濾液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥および粉砕して、コラーゲンペプチド(試料2)を190g得た。このコラーゲンペプチドを常法によりHPLC分析したところ、平均分子量は約1,000であった。
【0049】
製造例3(コラーゲンペプチド(2))
テラピアの鱗を0.1N−塩酸で処理した後、多量の水で洗浄し、天日乾燥させた。乾燥鱗1kgに水8Lを加え、常圧下、85℃に加熱して1時間適宜に撹拌してゼラチンを抽出した。このゼラチン溶液を50℃まで冷却し、タンパク質分解酵素(天野エンザイム社製、商品名:プロテアーゼA「アマノ」SD)を添加し、1時間酵素反応させた。その後、酵素を失活させ、濾過して濾液を採取した。濾液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥および粉砕して、コラーゲンペプチド(試料3)を709g得た。このコラーゲンペプチドを常法によりHPLC分析したところ、平均分子量は約5,000であった。
【0050】
製造例4(鶏軟骨抽出物)
鶏の胸骨(軟骨)1kgに水6Lを加え、常圧下で70℃に熱して1時間撹拌した後、タンパク質分解酵素(日本バイオコン社製、商品名:ブロメライン)を添加した。2時間酵素反応を行った後、酵素を失活させ、濾過してろ液を分離した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、凍結乾燥することにより鶏軟骨抽出物(試料4)213gを得た。この鶏軟骨抽出物を常法により分析したところ、II型コラーゲン由来ペプチドが53%、コンドロイチン硫酸が13%、ヒアルロン酸が0.8%含まれていた。
【0051】
製造例5(チオクト酸の脂質被覆物)
結晶粉末のチオクト酸(ドイツ・アルツケム社製、商品名:ALIPURE(登録商標)、ラセミ体)330gに加熱溶融したナタネ硬化油(川研ファインケミカル(株)製、融点:67℃、フレーク状)200gを加え、よく混合して均一に分散させた後、室温に冷却固化させた。次いで、該固化物を高速ミキサーで粉砕し、100メッシュ(タイラーメッシュ。以下同じ)で篩過して粒子径が150μm以下のチオクト酸脂質被覆物(試料5)を得た。
【0052】
製造例6(チオクト酸のシクロデキストリン包接物)
結晶粉末のチオクト酸(ドイツ・アルツケム社製、商品名:ALIPURE(登録商標)、ラセミ体)100gを50%エタノール500mLに溶解させ、α−シクロデキストリン(ドイツ・ワッカーヘミー社製、商品名:CAVAMAX(登録商標)(R)W6)800gを加え、適宜に撹拌した後、濃縮、噴霧乾燥させて、チオクト酸シクロデキストリン包接物(試料6)を得た。
【0053】
製造例7(酵母加水分解物)
サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(ATCC4126)を、モラセス(廃糖密):2%、(NHSO:0.6%、MgSO・7HO:0.1%、KHPO:0.2%、KHPO:0.03%およびNaCl:0.1%を含む液体培地中で30℃にて3日間培養した。培養後、3,000rpmで20分間遠心分離して菌体を回収し、20mMリン酸塩緩衝液(pH7.0)を用いて10%懸濁液を作った。この懸濁液にタンパク質加水分解酵素(ヤクルト薬品工業社製、商品名:パンチダーゼNP−2(登録商標))を0.5%添加し、35℃で6時間加水分解後、95℃で10分間加熱処理し、遠心分離して上澄液を回収した。上澄液を10kDa分離膜(ドイツ・ザートリウス社製、Satocon cassette)を用いて処理し、濾液を回収および凍結乾燥して酵母加水分解物(試料7)を得た。この酵母加水分解物のタンパク質回収率は53.9%であった。
【0054】
試験例1(ACE阻害作用)
ACE阻害作用を以下の方法で調べた。すなわち、200mMのホウ砂緩衝液(pH8.3)に所定濃度の試験試料を溶解させ、試験溶液とした。試験試料は、市販のε−ビニフェリン(和光純薬工業(株)、試薬)、前記のε−ビニフェリンを含む抽出物(試料1)、コラーゲンペプチド(試料2、3)、鶏軟骨抽出物(試料4)、市販のチオクト酸(ドイツ・アルツケム社製、商品名:ALIPURE(登録商標)、ラセミ体)、チオクト酸の脂質被覆物(試料5)、チオクト酸のシクロデキストリン包接物(試料6)、酵母加水分解物(試料7)、市販の鰹節ペプチド((株)マルハチ村松製、商品名:カツオペプチド)、市販の赤ワイン抽出物(メディエンス(株)製、商品名:赤ワイン効果R)、および、ε−ビニフェリンまたは試料1と試料2〜7との併用とした。この試験溶液50μLに、基質溶液であるHip−His−Leu(和光純薬工業(株)製、試薬)溶液250μLを加え、37℃で5分間反応させた。次に、30mU ACE(ウサギ肺由来、シグマ社製、試薬)溶液100μLを加えて撹拌後、37℃で30分間反応させた。反応後、反応停止剤(アセトニトリル:メタノール:酢酸=5:5:1)を1,000μL加えて15秒間撹拌し、反応を停止させた。遠心分離(3,000rpm、10分間)し、HPLCで馬尿酸を定量し、阻害率を算出した。なお、対照としてブランク1と2を作成し、ブランク1は試験試料の代わりに蒸留水を、ブランク2は予め反応停止液を加えたものとした。また、ACE阻害率は、ACE阻害率(%)={(B1−S)/(B1−B2)}×100で算出した。ただし、B1:ブランク1の馬尿酸のピーク面積、B2:ブランク2の馬尿酸のピーク面積、S:試験試料の馬尿酸のピーク面積である。
【0055】
この結果を表1および表2に示す。ここで、表1の試験試料について、ε−ビニフェリンは終濃度で10μg/mLおよび100μg/mLとなるように調整した。その他の試験試料はそれぞれ終濃度で250μg/mLおよび500μg/mLとなるように調整した。また、表2および表3の試験試料は、ε−ビニフェリンまたは試料1を終濃度で10μg/mLとし、併用する各試験試料を終濃度で250μg/mLとなるよう調整した。
【0056】
表1のデータから、本発明に係る試験試料(ε−ビニフェリン純品および試料1)の場合は、それらの添加濃度を考慮すると、極めて強力なACE阻害効果が認められた。特に試料1はε−ビニフェリンのほかトランスレスベラトロールおよびアンペロプシンAを含有するブドウ茎抽出物であり、ε−ビニフェリンのみと比べても顕著なACE阻害効果を発現することが明らかになった。他の試験試料ではいずれもわずかなACE阻害効果にとどまった。また、表2のデータから、ε−ビニフェリンと各試験試料との併用によってACE阻害効果が相乗的に増強することが明らかとなった。特に、チオクト酸や酵母加水分解物においては単独での阻害作用は弱かったものの、ε−ビニフェリンと併用することにより強い相乗効果が認められた。さらに、表3のデータから、試料1(ε−ビニフェリン含有ブドウ茎抽出物)と各試験試料との併用によって、ε−ビニフェリン単品との併用の場合以上に、相乗的にACE阻害作用が増強することが明らかとなった。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
以上のことから、本発明に係るε−ビニフェリン、ε−ビニフェリンを含む植物抽出物、ε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリン含有植物抽出物と、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選択される少なくとも1種との併用によって顕著なACE阻害効果が奏されることが明らかになった。
【0061】
試験例2(ラットにおける血圧降下作用)
13〜15週齢の高血圧自然発症ラット(SHRラット)の収縮期血圧(SBP)を測定し、SBPが180mmHg以上のラットを試験に用いた。使用したラットは温度および湿度の管理下、12時間明暗サイクルで、餌料(日本クレア(株)製、CE−2)および飲用水を自由摂取させて1週間以上の予備飼育を行った後、異常が認められなかったものを選択し、使用した。この後、1群10匹として、13群に群分けを行った。試験試料は、試験例1で用いた市販のε−ビニフェリン(和光純薬工業(株)、試薬)、試料1、試料2、試料4、市販のチオクト酸(ドイツ・アルツケム社製、商品名:ALIPURE(登録商標)、試料7、市販の鰹節ペプチド((株)マルハチ村松製、商品名:カツオペプチド)、および、ε−ビニフェリンと各試験試料との併用とし、それぞれ注射用水に溶解したものを、50mg/kg体重となるように調整し、ラットに単回経口投与した。また、対照群には蒸留水を経口投与した。投与前および投与2時間後に血圧測定を行った。
【0062】
この結果を表4に示す。試験試料を投与する前後でSBPの変化を比較したところ、試験例1の場合と同様に、ε−ビニフェリン含有植物抽出物(試料1)で顕著な降圧効果が認められ、また、すべての試験試料においてε−ビニフェリンと併用することにより強い血圧降下作用が認められた。さらに試験例1の場合と同様に、ε−ビニフェリンとチオクト酸等を併用することによって強い相乗効果による血圧降下が認められた。なお、試験データの記載は省略するが、ε−ビニフェリンに代えてε−ビニフェリン含有植物抽出物(試料1)を用い、これと他の前記試験試料とを併用した場合にも顕著な降圧効果が発現することを確認した。
【0063】
【表4】

【0064】
以上より、本発明に係るε−ビニフェリン、ε−ビニフェリン含有植物抽出物、および、ε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリン含有植物抽出物と、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物から選ばれる1種との併用の場合、SHRラットにおいてもそれらの相乗効果による血圧降下作用が認められることが明らかになった。
【0065】
試作例1(ソフトカプセル)
前記の試料1および試料2の混合物(混合比:1/10)、試料1および試料4の混合物(混合比:1/10)、試料1およびチオクト酸の混合物(混合比:1/10)、試料1および試料7の混合物(混合比:1/10)のいずれか1種:200部に、ミツロウ:40部および精製大豆油:50部を加え、加熱混合して均質化後、カプセル充填機に供して、常法により1粒あたり内容量が250mgのゼラチン被覆ソフトカプセル製剤を試作した。このカプセル製剤は経口摂取可能な栄養補助食品、医薬品または動物用飼料として利用することができる。
【0066】
試作例2(ハードカプセル)
試料1および試料2の混合物(混合比:1/20)、試料1および試料4の混合物(混合比:1/20)、試料1およびチオクト酸の混合物(混合比:1/20)、試料1および試料7の混合物(混合比:1/20)のいずれか1種をカプセル充填機に供して、常法により1粒あたり内容量が200mgのゼラチン被覆ハードカプセル製剤を試作した。このカプセル製剤は経口摂取可能な栄養補助食品、医薬品または動物用飼料として利用することができる。
【0067】
試作例3(飲料)
市販の栄養ドリンク100mLに試料1および試料2の混合物(混合比:1/30)、試料1および試料4の混合物(混合比:1/30)、試料1およびチオクト酸の混合物(混合比:1/30)、試料1および試料7の混合物(混合比:1/30)の各1,000mgをそれぞれ加えて十分に混合し飲料を試作した。これは冷蔵庫で6ヵ月間保存しても外観および風味に異状や違和感は認められなかった。本品は血圧降下のための飲料やドリンク剤として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の、ε−ビニフェリン、ε−ビニフェリン含有植物抽出物、および、ε−ビニフェリンまたはε−ビニフェリン含有植物抽出物と、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を有効成分とする血圧降下剤は、これを経口で摂取または投与することによりアンジオテンシン変換酵素阻害作用、高血圧症状の予防および/または改善作用を有するため、飲食品、医薬品、医薬部外品、飼料等の分野において有効利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ε−ビニフェリンを有効成分として含有してなることを特徴とする血圧降下剤。
【請求項2】
ε−ビニフェリンを含む植物抽出物を有効成分として含有してなることを特徴とする血圧降下剤。
【請求項3】
ε−ビニフェリンを含む植物抽出物が、トランスレスベラトロールをさらに含有するものである請求項2に記載の血圧降下剤。
【請求項4】
ε−ビニフェリンを含む植物抽出物が、トランスレスベラトロールおよびアンペロプシンAをさらに含有するものである請求項2または3に記載の血圧降下剤。
【請求項5】
植物がブドウ科、タデ科またはマメ科に属するものである請求項2〜4のいずれか1項に記載の血圧降下剤。
【請求項6】
請求項1に記載のε−ビニフェリンまたは請求項2〜5のいずれか1項に記載のε−ビニフェリンを含む植物抽出物と、コラーゲンペプチド、鶏軟骨抽出物、チオクト酸類および酵母加水分解物からなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分として含有してなることを特徴とする血圧降下剤。
【請求項7】
コラーゲンペプチドが、コラーゲンあるいはゼラチンの加水分解物であり、平均分子量が約200〜約10,000のものである請求項6に記載の血圧降下剤。
【請求項8】
鶏軟骨抽出物が、鶏軟骨をタンパク質分解酵素で加水分解したものであり、該加水分解物は、II型コラーゲン由来ペプチドとコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸を含むものである請求項6に記載の血圧降下剤。
【請求項9】
チオクト酸類が、チオクト酸、その還元体、ラセミ体を含む光学異性体、それらの塩、エステルならびにアミド、および、これらのシクロデキストリン包接物もしくは脂質被覆物からなる群から選ばれる1種または2種以上のものである請求項6に記載の血圧降下剤。
【請求項10】
酵母加水分解物が、飲食品に用いられる酵母をタンパク質分解酵素で加水分解したものである請求項6に記載の血圧降下剤。
【請求項11】
酵母が、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である請求項10に記載の血圧降下剤。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の血圧降下剤を配合してなることを特徴とする経口用組成物。
【請求項13】
飲食品である請求項12に記載の経口用組成物。

【公開番号】特開2013−43887(P2013−43887A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199964(P2011−199964)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(500081990)ビーエイチエヌ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】