説明

血液学的基準対照および製法

【課題】血液学的基準対照細胞およびその製法を提供。
【解決手段】白血球(WBC)からなるWBC分画を含む血液学的対照懸濁液であって、前記哺乳類WBCが当該細胞の細胞性多角度光散乱特性と同様の予め設定した細胞性多角度光散乱特性を有しており、所望の細胞特性が破壊される前に、前記哺乳類WBCを溶解し、細胞を固定する固定プロセスにかけてある。さらに有核赤血球(NRBC)を含み、NRBC分画の細胞が鳥類の赤血球、魚類の赤血球および哺乳類のリンパ球からなる群から選択され、選択された細胞が当該NRBCの細胞性多角度光散乱特性と同様の予め設定した多角度光散乱特性を有しており、所望の細胞特性が破壊される前に、前記選択された細胞を、細胞質を溶解し、核を固定する溶解および固定プロセスにかけてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液学的対照組成物、その製法および基準品への使用に関する。より詳細には、本発明は、安定化した白血球(WBC)および哺乳類のWBCまたは鳥類もしくは魚類の赤血球の核を含有する血液学的基準対照縣濁液に関する。さらに詳細には、本発明は、安定化した状態で多角度光散乱特性を保持するように、製造中に全血溶解プロセスにかけてある安定化したWBCを含有する血液学的基準対照縣濁液に関する。この結果、この安定化した細胞は、多角度光散乱信号にのみ基づいてWBCを識別する血液学的分析器で使用したときに、全血のWBC信号を模倣した多角度光散乱信号を生成することができる。
【背景技術】
【0002】
現在、いくつかの異なる銘柄の自動血液学的測定機器が市販されている。これらの種々の分析装置では、好中球、リンパ球、単球、好酸球および好塩基球を定量するために種々の検出手法を使用している。使用されている検出手法には、電子的インピーダンス、前方光散乱、偏光90゜光散乱、吸光、高周波およびそれらの組み合わせがある。光学ベンチ設計が異なると、安定化した対照細胞から得られる光学信号の特性に大きく影響する。これらの測定機器は白血球分類分析(WBC/Diff)に種々の検出法を使用しているため、特定な種類の機器で実施する場合に、全血球細胞と類似した対照細胞特性を得るためには、種々の型のWBC/Diff対照溶液の使用が必要となる。
【0003】
現在ある種類の機器では、細胞を他の細胞から識別し、決定するために、インピーダンス、インピーダンスと光散乱(必ずしも、多角度光散乱でなくてもよい)、または、光散乱とインピーダンスと高周波数信号を使用する必要がある。さらに、これらの現在利用できる血液学的測定機器では有核赤血球(NRBC)の定量はできない。NRBCは正確なWBC/Diff分析を妨害する。現在利用できる血液学的測定機器は試料中にNRBCの存在することを「知らせる」だけである。しかし、まもなく発売されるAbbott Cell−Dyn(登録商標) 4000血液学的分析器システムでは、WBC/DiffとNRBCの同時全血分析が実施できるであろう。Cell−Dyn(登録商標)の測定機器は、WBCとNRBCとを識別するために蛍光を適宜使用することを含めて、多角度光散乱のみを使用して同時に全血を分析する。そのため、WBC/DiffとNRBCを分析するための新しい血液学的対照の開発が必要となった。この新しい基準対照の対照細胞は、それらが模倣すると思われる全血試料の細胞の多角度光散乱能を全て有している必要がある。
【0004】
現在、当業界では、現在の種類の分析器、すなわち、多角度光散乱によるWBC/Diff分析のみを実施するのではない分析器用の血液学的基準対照を製造するための方法および試薬系を記載している特許がいくつかある。本出願人らは、WBCおよびNRBCの多角度光散乱分析用の血液学的基準対照の製造および使用のための方法および試薬系について記載したものはまったく知らない。
【0005】
Coulter Instrument社に譲渡されたCarver他の米国特許第4704364号はヒト白血球の主要三成分を模倣する3成分系の製造法を開示している。しかし、これらの模倣細胞はインピーダンスによる検出系で検出されるが、多角度光散乱検出系では検出されない。Carver他は、ヒト顆粒球を模倣するためにテンジクザメ由来の固定した赤血球(RBC)を、ヒト単核細胞を模倣するためにシチメンチョウ由来の固定したRBCを、ヒトリンパ球を模倣するために固定したヒトRBCを使用している。白血球の三つの成分は大きさ(インピーダンス)によってのみ識別され、光学特性では識別されないため、Carver他の教示により製造した血液学的対照は、三成分についてのWBC/Diffの電子的インピーダンスによる測定にのみ有用である。
【0006】
Carver他の方法で製造したこれらの三つの成分は、ヒトWBCと類似の細胞表面構造や、実質的にヒトWBCと等しい細胞質粒度を有していない。従って、この三成分は多角度光散乱に基づく系の基準対照としては使用できない。本出願人らは、まもなく市販されるCell−Dyn(登録商標) 4000分析器でこれらの模倣細胞を調べ、Carver他の対照中の模倣されたWBCの光散乱特性から、正常な血液試料と非常に異なる多角度光散乱信号が生じることを見出した。第1a図〜第1c図は正常血についてCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的分析器で得られた点のプロットを再現したものである。
【0007】
以下の図面で軸を表示するために使用する略号を示す。
【0008】
【表1】

【0009】
第4a図〜第4c図は、Coulter社の製品4C(登録商標) Plus Cell対照で具体化されたCarver他の模倣WBC対照について、Cell−Dyn(登録商標) 4000分析器で得られた結果を示している。第4a図〜第4c図から判るように、これらのクラスタは同定できない。
【0010】
Ryanの米国特許第5270208号は、WBC/Diff分析のための血液学的基準対照を製造する別の方法を開示している。Ryanの方法では、アルデヒドで固定したヒトWBCを、全血から得られるものと実質的に同様のWBC特徴プロフィールが得られる混合物を提供するのに十分な量のリポタンパク質を含む等張水性媒質に縣濁する。Ryanはクレームを支持するために、横軸をDF1とし、縦軸を容積として、Coulter社のSTK−S(登録商標)分析器の点のプロットでWBCの分布を示した。RyanのWBC調製物は、Streck LaboratoriesからPARA 12(登録商標)(低、中、高)三レベル血液学対照という名前で市販されていると考えられる。本出願人はこの市販の物質について、多角度光散乱(軸方向の光の消失、多次元光散乱および蛍光)によりWBC/DiffとNRBCを同時に分析するCell−Dyn(登録商標) 4000分析器で調べた。この結果(第5a図〜第5c図参照)から、Ryanの調製物のWBC成分は全血から得られたものと有意に異なる光散乱特性を示すことが明らかとなった。第5a図〜第5c図から明らかなように、この製品の好中球成分は全血のものに比べ軸方向の光の消失および偏光側の散乱信号が非常に少なく、好中球からの偏光解消光側の散乱信号が好酸球の信号から分離するには非常に大きく、単球クラスタは好中球クラスタからまったく分離されず、リンパ球成分は全血に比べ非常に大きな中間角度の散乱(7゜)信号を生じ、その結果、好塩基球の領域と重なり、この領域がなくなってしまう。
【0011】
Young他の米国特許第5320964号は白血球類似体を製造するための方法および試薬組成物を開示している。Young他のリンパ球類似体は低張リン酸塩緩衝溶液(15〜25mOsm/kg)中で固定したアヒルRBCから調製し、単球類似体は低張緩衝溶液(15〜25mOsm/kg)中で固定したワニRBCから調製し、好酸球類似体も低張緩衝溶液(75〜85mOsm/kg)中で固定したワニRBCから調製し、好中球類似体は低張緩衝溶液(45〜65mOsm/kg)中で固定したワニRBCから調製している。アヒルのRBCとワニのRBCのいずれも楕円形で、有核であり、滑らかな細胞表面を有している。Young他は、かれらの手法で調製した固定細胞は、各々がヒト白血球の物理特性を少なくとも二つ有している少なくとも二つの異なるヒト白血球を模倣すると主張している。これらの特性は、(a)直流電流で測定される容積、(b)高周波数(RF)サイズ、(c)不透明性、(d)光散乱から選択される。光散乱の種類を特定していないが、Young他のアヒルおよびワニのRBCから調製した模倣WBC成分は細胞表面構造および細胞質の粒度については、哺乳類のWBCと同じ特性は有していない。従って、これらの細胞は、ヒト全血WBCと実質的に等しいかまたは類似の偏光および偏光解消光90゜光散乱の多角度光散乱信号と軸方向の光の消失の信号は発生しない。従って、Young他の製品は多角度光散乱、軸方向の光の消失および蛍光信号を使用する、Cell−Dyn(登録商標) 4000分析器などの高度な血液学的機器で、例えば、WBC/DiffおよびNRBCの定量に血液学的標準対照として使用することはできない。実際、Young他の細胞を低張緩衝溶液で固定すると、次の二つ、すなわち、溶液の浸透圧が非常に低い(5〜25mOsm/kg)場合、細胞の細胞質が溶解する。あるいは、浸透圧が約85mOsm/kgの場合、細胞容積が大きくなる、のいずれかになる。
【0012】
第18a図〜第18d図は、対照細胞として固定したワニのRBCを含む対照細胞溶液を多パラメータの光散乱に基づいて分析した結果を示している。図から明らかなように、固定したワニのRBCは検出可能なPSS信号を発生せず、IAS信号はリンパ球と好塩基球の間にあり、ALL信号は好中球および好酸球のいずれとして計測するにも低すぎる。
【0013】
第6a図〜第6c図は、別の市販の対照である、R&D Systems社のCBC−3k(商標)血液学的対照についての結果を示している。CBC−3k(商標)の製品が特許査定されているかどうかは判らない。図に示すように、クラスタは同定できない。
【発明の開示】
【0014】
本発明のこれらの特徴およびその他の特徴ならびに利点は以下の本発明の好適実施形態の説明から明らかとなろう。
【0015】
本発明の一つの目的は、多次元光散乱WBC/Diff分析を使用するAbbott Laboratories Cell−Dyn(登録商標) 3000機器などの自動血液学的測定機器の血液学的基準対照を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、WBC/DiffとNRBCを同時に分析するために、多次元光散乱、軸方向の光の消失および蛍光を利用するAbbott Laboratories Cell−Dyn(登録商標) 4000機器などの自動血液学的システムの血液学的基準対照を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、WBC/DiffおよびNRBCを同時に分析するために、多次元光散乱、軸方向の光の消失および蛍光を使用するAbbott Laboratories Cell−Dyn(登録商標) 4000機器などの自動血液学的測定システムで使用できる、安定化したRBC、血小板、好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球およびNRBC成分を含有する安定な血液学的基準対照を提供することである。
【0018】
広範には、本発明は、安定なWBCおよびNRBC成分ならびにこれらの成分を一つまたは複数含有する血液学的基準対照溶液の製造方法に関する。この方法では、ヒト全血細胞の電子光学信号と類似の信号を発生する、しっかりと固定し、安定化したWBCおよび模倣NRBCが製造され、その結果、新鮮なヒト血液試料用の分析器で使用するものと同じアルゴリズムを使用する完全なWBC/Diff/NRBC分析が可能となる。本発明方法で製造される固定したWBCおよび模倣NRBCはクランプを含まず、適当な血漿様媒質中で冷蔵下、長期にわたり安定であり、多パラメータ光散乱を使用する機器などの日常的な臨床血液学測定機器のWBC/Diff/NRBC用の血液学的対照として使用できる。これらの利点は従来技術に対する実質的な改良に相当する。
【0019】
図面の簡単な説明
本発明およびその利点ををより完全に理解するために、添付図面と共に以下の説明を参照する。
【0020】
第1a図〜第1c図は、多角度光散乱に基づく分析器で実施した正常血のWBCサイトグラムである。
【0021】
第2a図〜第2c図は、1.78k/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【0022】
第3a図〜第3c図は、40.4K/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【0023】
第4a図〜第4c図は、Coulter(登録商標) 4C(登録商標) Plus Cell Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0024】
第5a図〜第5c図は、正常レベルのStreck LaboratoriesのPARA 12(登録商標) Multi−Parameter Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0025】
第6a図〜第6d図は、R&D SystemのCBC−3K(商標) Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0026】
第7a図〜第7c図は、本発明の血液学的基準対照について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0027】
第8a図〜第8c図は、本発明方法で製造した固定したマスの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0028】
第9a図〜第9c図は、第8a図〜第8c図の固定したマスの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0029】
第10a図〜第10c図は、本発明方法で製造した固定したニワトリの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0030】
第11a図〜第11c図は、第10a図〜第10c図の固定したニワトリの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0031】
第12a図〜第12c図は、本発明方法で製造した固定したシチメンチョウの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0032】
第13a図〜第13c図は、第12a図〜第12c図の固定したシチメンチョウの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0033】
第14a図〜第14c図は、本発明方法で製造した固定したブタのリンパ球の核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0034】
第15a図〜第15c図は、本発明方法で製造したウシのWBCの核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0035】
第16a図〜第16c図は、すべての操作は本発明に従って実施した、固定したブタのリンパ球でスパイクした固定したウシWBCについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0036】
第17a図〜第17d図は、本発明方法で製造した固定したウシのWBCについてインピーダンスと光散乱の両者を使用する分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【0037】
第18a図〜第18d図は、対照細胞として固定したワニのRBCを含有する対照細胞溶液について、多パラメータ光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
細胞を検出し、分類するための自動システムではいずれも、そのシステムが適切に作動していることを確認するために基準対照の使用が必要である。これはどんな検出システムを使用した場合にもいえる。
【0039】
新しい検出方式、主として試料中のWBCのサブポピュレーションおよびNRBCを分類し、識別するために多角度/パラメータ光散乱信号のみを使用する(他のすべての非光信号を除く)検出方式が出現したため、新しい対照が必要となった。当業界の現在の基準対照はこのような多パラメータシステムで適切に機能しない。
【0040】
本発明者らは、現在の対照が、多角度光散乱に基づく血液学的分析器で機能しない理由を発見し、機能する対照を製造する方法を考案した。本発明の対照は多パラメータ光散乱に基づくシステムで機能するだけではなく、他の検出法に基づくシステムでも機能するはずである。これは、新しい対照の細胞が、処理しただけの血液試料中で認められる細胞と同じであるためである。従って、新しい対照の細胞はそれらの細胞の光散乱特性を保持している。
【0041】
本発明の基準対照縣濁液の細胞性成分は、多パラメータ光散乱に基づく検出システムにかけると、全血試料中のWBCまたはNRBCの多パラメータ光散乱特性を実質的に模倣する。
【0042】
本発明では、多パラメータ、多角度または多次元光散乱とは、当該細胞を測定または分類するために、偏光および偏光解消光90゜光散乱および軸方向の光の消失の信号およびこれらを組み合わせたもののみ(すなわち、非の付くものを除く)を使用することを含む。この測定には、その他の光ベースではない信号は使用できない。蛍光などのその他の種類の光信号も使用できるが、インピーダンスおよびその他の光ベースではない信号は使用できない。しかし、例えば、光ベースではない信号、または光散乱とインピーダンスとの組み合わせを使用する機器にも本発明の対照は役立つが、現在のところ、多角度光散乱に基づく測定機器には、利用できるこのような対照がないため、このような機器に最も役立つであろう。
【0043】
本発明の対照縣濁液のWBC成分は、(血液試料を分析していた分析器内における環境と同様な)非常に緩和な溶解環境におき、次いで固定してある血液から得たWBCである。NRBC成分についても同様であり、核を溶解環境に露出し、固定してその細胞特性を保存する。しかし、NRBC成分については、哺乳類の有核赤血球は遊離した核の源として使用できる唯一の細胞ではない。鳥類または魚類の赤血球もこの分画に使用できる。
【0044】
対照細胞が当該細胞の光散乱特性を模倣できるのは、先ず、細胞組成(すなわち光散乱特性)により細胞を選択したためである。製造プロセスの間に、最初に緩和な溶解環境においてRBCを溶解し、次いで、所望の細胞特性が溶解環境で破壊される前に、残存するWBCおよびNRBCの核を固定することにより、対照細胞のこれらの細胞成分が保存される。この製造プロセスは、「本当の」血球が分析器の内部を通過する際におかれる環境を模倣している。対照細胞は「固定」されているため、分析器を通過するときに溶解環境の影響はそれほど受けず、その結果、所望の特性を保持する。さらに、固定した細胞は対照溶液中で安定であるが、全血細胞は安定ではない。しかし、細胞の光散乱特性を主として決定する屈折率が実質的に同じとなるようにするには、試料中の血球が分析器中でおかれる溶解環境と同じまたは同様の環境に対照細胞をおく必要があると考えられている。このように、対照細胞はその機器により、「機器で溶解した」当該細胞とみなされ、そのように記録される。
【0045】
また、同じ本発明の細胞成分は、溶解環境におかれる前に「固定する」と、多角度光散乱に基づくシステムで満足に機能しないことも判明した。これらの細胞は「固定する」前に、溶解環境におく必要がある。その後、これらの細胞が分析中で対照細胞として処理されると、これらの処理された細胞は分析器によって当該の血球と「みなされる」。これは、多パラメータ光散乱に基づく分析器は、分析器の内部処理環境で全血細胞を認識するようにしかプログラムされていないためである。従って、基準の対照細胞または細胞成分が適当な細胞特性を保持しており、その結果、全血と実質的に同様に反応または行動(光および/または蛍光を散乱)しない限り、分析器によって異なる細胞であるまたは完全に認識できないと「みなされる」。
【0046】
従って、本発明の主な方法では、細胞または細胞成分を、「固定」の前に、基準対照を製造するプロセスの間、基準対照として使用されるときに、分析器内で遭遇するであろう溶解環境におく。
【0047】
以下の実施例では、次の試薬処方を使用した。
(実施例)
【0048】
溶解試薬:
約0.75M〜約1.10Mの塩化アンモニウム(NH4Cl)
約0.1M〜約0.4Mのホルムアルデヒド(HCHO)
約10mM〜約25mMの酢酸ナトリウム(CH3COONa)
約10mM〜約25mMの重炭酸カリウム(KHCO3)
約50mg/L〜約250mg/Lのサポニン
約0.2g/L〜約0.4g/LのProclin 300
WBC−Cyto−Lyse:
約2.5g/L〜約5.0g/Lのマレイン酸、コハク酸またはフタル酸
約10.0g/Lから約30.0g/LのBrij 35、Tween 20またはTriton X−100
固定剤:
約3.0g/Lから約5.0g/Lのリン酸一ナトリウム
約6.0g/Lから約7.0g/Lのリン酸二ナトリウム
約100ml/Lから約200ml/Lのホルマリン(37〜40%のホルムアルデヒド溶液)
第2a図〜第2c図および第3a図〜第3c図は各々、NRBC
を1.78k/mLおよび40.4k/mL含む臨床血液試料についてAbbott Laboratories Cell−Dyn(登録商標) 4000多パラメータ光散乱ベースのシステムで得られたWBC/NRBC分布のサイトグラムである。これらの図面は、本明細書の図面中に記載され、示された種々の方法で製造される対照または細胞との比較の目的で示している。
【0049】
本発明の鳥類、魚類および哺乳類の固定したWBCおよび細胞の核は挿入物のため、任意の緩衝食塩水に再縣濁でき、緩衝食塩水はクランピングを防止するなんらかのタンパク質を含んでいてもよい。しかし、これらの固定した細胞は、全域対応型血液学的対照を製造するためには、固定していないが、安定化したRBCと合わせる必要があり、細胞再縣濁媒質は安定化したRBCを溶解から保護できなければならない。下記の処方は、本発明の対照細胞と共に良好に使用できることが判っている再縣濁用媒質の例である。この処方は、固定したWBCおよび核のクランピングを防ぎ、対照溶液中のRBC成分を溶解から保護する血漿様細胞再縣濁液である。
【0050】
【表2】

【0051】
本発明方法で製造した血液学的対照を、多次元光散乱、軸方向の光の消失および蛍光によりWBC/Diff/NRBCを分析するCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器で使用すると、試薬と共にシステムの性能を毎日モニターできる。Cell−Dyn(登録商標) 4000システムでこの製品を使用して結果の質をモニターできるパラメータは以下の通りである。
【0052】
【表3】

【実施例1】
【0053】
この実施例では、上記の溶解試薬および固定剤を使用する。以下の手順で、安定で、クランプを含まない、固定したヒトWBCを調製する。この実施例の固定したヒトWBCについてCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器で得られたWBCのサイトグラムの例を第7a図〜第7c図に示す。
1.ヒトのバフィコート層1部を(予め42℃に温めた)溶解試薬5部と混合した。直ちに、緩和に渦状に回転させて、成分を混合し、室温に50秒間放置して、RBCを完全に溶解させた。
2.ステップ1の溶解したWBC縣濁液1部を固定剤10部と混合し、直ちに60℃〜70℃の水浴に入れ、ゆっくりと混合することにより10分間固定させた。
3.固定させた細胞の縣濁液を室温に冷却し、10℃で、2,500rpmで5分間遠心して、固定剤を除去し、中性pHの等張リン酸塩緩衝食塩水(PBS)を使用して、同じ遠心速度で3回洗浄した後、CRSMに再縣濁させた。
4.最終生成物のアリコートをCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器にかけて、WBC数および分布を調べた。
5.固定した細胞の濃度を、正常レベルの対照については、最終濃度が再縣濁用媒質中約7,500/μLとなるよう調整した。
【実施例2】
【0054】
実施例1に使用したものと同じ溶解試薬および固定試薬を使用したが、RBCの溶解およびWBCの固定を下記プロトコールに従って実施した。
1.ヒトのバフィコート層1部を溶解試薬溶液5部と共に緩和に渦状に回転させて、直ちに混合させ、室温に10分間放置して、RBCを完全に溶解させた。
2.ステップ1の溶解したWBC縣濁液1部を固定剤10部と合わせ、混合し、室温で2〜3時間固定した。
3.固定した細胞の縣濁液を10℃、2,500rpmで5分間遠心して、固定剤を除去し、中性pHのリン酸塩緩衝食塩水(PBS)を使用して、同じ遠心速度で3回洗浄し、CRSMに再縣濁した。
4.最終生成物のアリコートをCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器にかけて、WBC数および分布を調べた。
5.固定した細胞の濃度を、低濃度の対照については、最終濃度が約2,000/μLとなるように調整した。
【実施例3】
【0055】
次のプロトコールおよびCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器の例示に従ってシチメンチョウの赤血球からNRBC分画を調製した。固定したシチメンチョウの赤血球の核および固定したシチメンチョウの赤血球の核でスパイクした正常ヒトのNRBCサイトグラムを各々第12a図〜第12e図および第13a図〜第13c図に示す。
A.材料:
1.シチメンチョウ全血
2.溶解試薬:実施例1に記載の通り
3.固定剤:w/デキストロース:リン酸一ナトリウム 4グラム/L、リン酸二ナトリウム 6.5グラム/L、ホルマリン 150ml/L、デキストロース 100g/L、pH約6.8
4.細胞洗浄液:リン酸塩緩衝食塩水(PBS)
5.CRSM:上記と同じCRSM
B.シチメンチョウ赤血球核固定用プロトコール:
1.リジン試薬のアリコート10mlを37℃まで加温する。
2.シチメンチョウ全血を3000rpmで10分間遠心して、血漿層を分離し、バフィコート層を除去する。濃縮赤血球層に血漿を戻し、混合する。
3.予熱した溶解試薬溶液にRBC層1.0mlを加え、蓋をして、直ちに3回上下混合する。全速で約10秒間渦状に回転させ、RBCの細胞質の溶解を促進する。約10分間または細胞質の溶解が完了するまで室温に放置する。細胞質が完全に溶解していることを顕微鏡下で確認する。
4.2000rpmで15分間遠心し、細胞ペレットを再縣濁するのに調度十分な量を残して、上清をすべてサイホンで除去する。細胞のクランプが見えなくなるまで緩和に攪拌して細胞を再懸濁する。
5.ステップ4と同じ遠心条件でPBSを使用して、細胞を3回洗う。
6.固定剤10mlを加え、混合し、直ちに60℃の水浴に入れ、細胞のクランピングを防ぐために撹拌を続けながら、少なくとも5分間固定させる。
7.細胞縣濁液を室温に30分または一晩放置する。
8.混合し、ステップ4および5を2回繰り返す。
9.固定した核をCRSMに再縣濁する。
10.Cell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器にかけて、FL3+の核の濃度とクラスタの位置を測定する。
【実施例4】
【0056】
実施例3に記載したものと同じ試薬およびプロトコールを使用して、マスの赤血球からNRBC分画を調製した。固定したマスの赤血球の核および固定したマスの赤血球の核でスパイクした正常な全血をCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器にかけて得られたNRBCサイトグラムの例を第8a図〜第8c図および第9a図〜第9c図に示す。
【実施例5】
【0057】
下記の材料および方法によりブタのリンパ球からNRBC分画を調製し、固定したブタのリンパ球の核をCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器にかけて得られたNRBCサイトグラムの例を第14a図〜第14c図に示す。
A.材料:
ブタのバフィコート層(血小板を既に除去したもの)
Cyto−Lyse:
Brij 35:15.0g/L
フタル酸:5.5g/L
溶解試薬:実施例1と同様
固定剤:実施例1と同様
リン酸緩衝食塩水(PBS)
B.手順:
1.ブタのリンパ球高含有層1部を溶解試薬5部で希釈し、室温に5分間放置して、細胞縣濁液に残っているRBCの溶解を完了させる。
2.細胞縣濁液を3000rpmで3回遠心し、上清を注ぎ出し、細胞ペレットを取り出す。
3.この細胞をCyto−Lyseと1対10の比で混合し、室温に2時間放置する。
4.核をCyto−Lyseに再縣濁し、3000rpmで3分間回転させ、上清を注ぎ出す。
5.核を少なくとも2倍容の固定剤に再縣濁し、混合する。
6.60℃で10分間(または室温で4時間)固定し、室温に冷却する。
7.核を3000rpmで3分間回転させ、上清を注ぎ出す。
8.細胞ペレットをPBSに再縣濁し、核を3回洗浄する。
9.核をCRSMに再縣濁する。
【実施例6】
【0058】
ウシのWBCを実施例1に記載のプロトコールで固定し、実施例4に記載の手順に従って調製した固定したブタの核と混合する。固定したウシのWBCのみおよびブタのリンパ球核と混合した固定したウシのWBCについてCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器で得られたWBCチャネルサイトグラムの例を第15a図〜第15c図および第16a図〜第16f図に示す。
【実施例7】
【0059】
実施例3に記載のプロトコールに従ってニワトリの赤血球からNRBC分画を調製し、固定したニワトリの赤血球核および固定したニワトリの赤血球核でスパイクした正常なヒトの全血についてCell−Dyn(登録商標) 4000血液学的測定機器で得られたNRBCサイトグラムの例を第10a図〜第10c図および第11a図〜第11c図に示す。
【0060】
本発明の方法で製造した血液学的対照は、Cell−Dyn(登録商標) 3000または3500血液学的測定機器にかけて次のパラメータをモニターするのに使用できる。上記機器は光散乱およびインピーダンス信号の両者を使用して、次のWBC/Diffパラメータを追跡できる。
【0061】
【表4】

【0062】
第17a図〜第17d図は、本発明方法で製造した、固定したウシWBCについて、光散乱パラメータ(軸方向の光の消失または蛍光ではない)を使用してWBC/Diff分析を実施し、インピ−ダンスを使用してRBCおよび血小板を測定するCell−Dyn(登録商標) 3500分析機器で得たWBCサイトグラムである。この図では、WBC分画と、固定した血小板および安定化したが固定していないRBCとを合わせて、全域対応型対照縣濁液を製造した。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1a】多角度光散乱に基づく分析器で実施した正常血のWBCサイトグラムである。
【図1b】多角度光散乱に基づく分析器で実施した正常血のWBCサイトグラムである。
【図1c】多角度光散乱に基づく分析器で実施した正常血のWBCサイトグラムである。
【図2a】1.78k/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【図2b】1.78k/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【図2c】1.78k/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【図3a】40.4K/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【図3b】40.4K/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【図3c】40.4K/μLのNRBCを含有する臨床試料について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBC/NRBCサイトグラムである。
【図4a】Coulter(登録商標) 4C(登録商標) Plus Cell Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図4b】Coulter(登録商標) 4C(登録商標) Plus Cell Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図4c】Coulter(登録商標) 4C(登録商標) Plus Cell Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図5a】正常レベルのStreck LaboratoriesのPARA 12(登録商標) Multi−Parameter Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図5b】正常レベルのStreck LaboratoriesのPARA 12(登録商標) Multi−Parameter Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図5c】正常レベルのStreck LaboratoriesのPARA 12(登録商標) Multi−Parameter Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図6a】R&D SystemのCBC−3K(商標) Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図6b】R&D SystemのCBC−3K(商標) Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図6c】R&D SystemのCBC−3K(商標) Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図6d】R&D SystemのCBC−3K(商標) Hematology Controlについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図7a】本発明の血液学的基準対照について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図7b】本発明の血液学的基準対照について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図7c】本発明の血液学的基準対照について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図8a】本発明方法で製造した固定したマスの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図8b】本発明方法で製造した固定したマスの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図8c】本発明方法で製造した固定したマスの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図9a】第8a図〜第8c図の固定したマスの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図9b】第8a図〜第8c図の固定したマスの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図9c】第8a図〜第8c図の固定したマスの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図10a】本発明方法で製造した固定したニワトリの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図10b】本発明方法で製造した固定したニワトリの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図10c】本発明方法で製造した固定したニワトリの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図11a】第10a図〜第10c図の固定したニワトリの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図11b】第10a図〜第10c図の固定したニワトリの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図11c】第10a図〜第10c図の固定したニワトリの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図12a】本発明方法で製造した固定したシチメンチョウの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図12b】本発明方法で製造した固定したシチメンチョウの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図12c】本発明方法で製造した固定したシチメンチョウの赤血球核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図13a】第12a図〜第12c図の固定したシチメンチョウの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図13b】第12a図〜第12c図の固定したシチメンチョウの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図13c】第12a図〜第12c図の固定したシチメンチョウの赤血球核でスパイクした正常な全血について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図14a】本発明方法で製造した固定したブタのリンパ球の核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図14b】本発明方法で製造した固定したブタのリンパ球の核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図14c】本発明方法で製造した固定したブタのリンパ球の核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図15a】本発明方法で製造したウシのWBCの核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図15b】本発明方法で製造したウシのWBCの核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図15c】本発明方法で製造したウシのWBCの核について多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図16a】すべての操作は本発明に従って実施した、固定したブタのリンパ球でスパイクした固定したウシWBCについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図16b】すべての操作は本発明に従って実施した、固定したブタのリンパ球でスパイクした固定したウシWBCについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図16c】すべての操作は本発明に従って実施した、固定したブタのリンパ球でスパイクした固定したウシWBCについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図16d】すべての操作は本発明に従って実施した、固定したブタのリンパ球でスパイクした固定したウシWBCについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図16e】すべての操作は本発明に従って実施した、固定したブタのリンパ球でスパイクした固定したウシWBCについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図16f】すべての操作は本発明に従って実施した、固定したブタのリンパ球でスパイクした固定したウシWBCについて多角度光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図17a】本発明方法で製造した固定したウシのWBCについてインピーダンスと光散乱の両者を使用する分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図17b】本発明方法で製造した固定したウシのWBCについてインピーダンスと光散乱の両者を使用する分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図17c】本発明方法で製造した固定したウシのWBCについてインピーダンスと光散乱の両者を使用する分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図17d】本発明方法で製造した固定したウシのWBCについてインピーダンスと光散乱の両者を使用する分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図18a】対照細胞として固定したワニのRBCを含有する対照細胞溶液について、多パラメータ光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図18b】対照細胞として固定したワニのRBCを含有する対照細胞溶液について、多パラメータ光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図18c】対照細胞として固定したワニのRBCを含有する対照細胞溶液について、多パラメータ光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。
【図18d】対照細胞として固定したワニのRBCを含有する対照細胞溶液について、多パラメータ光散乱に基づく分析器で得られたWBCサイトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に哺乳類の白血球(WBC)からなるWBC分画を含む血液学的対照懸濁液であって、前記哺乳類WBCが当該細胞の細胞性多角度光散乱特性と同様の予め設定した細胞性多角度光散乱特性を有しており、所望の細胞特性が破壊される前に、前記哺乳類WBCを溶解し、細胞を固定する固定プロセスにかけてある血液学的対照懸濁液。
【請求項2】
さらに有核赤血球(NRBC)を含み、NRBC分画の細胞が鳥類の赤血球、魚類の赤血球および哺乳類のリンパ球からなる群から選択され、選択された細胞が当該NRBCの細胞性多角度光散乱特性と同様の予め設定した多角度光散乱特性を有しており、所望の細胞特性が破壊される前に、前記選択された細胞を、細胞質を溶解し、核を固定する溶解および固定プロセスにかけてある請求の範囲第1項に記載の血液学的対照懸濁液。
【請求項3】
安定化した赤血球(RBC)分画と、
安定化した血小板(PLT)分画と、
安定化した白血球(WBC)分画と、
再縣濁および保存用媒質と
を含む血液学的全血対照縣濁液であって、WBC分画が当該細胞の細胞性多角度光散乱特性と同様の予め設定した細胞性多角度光散乱特性を有しており、所望の細胞特性が破壊される前に、前記哺乳類WBCを、細胞を固定する溶解および固定プロセスにかけてある血液学的全血対照縣濁液。
【請求項4】
さらに有核赤血球(NRBC)分画を含み、NRBC分画の細胞が鳥類の赤血球、魚類の赤血球および哺乳類のリンパ球からなる群から選択され、選択された細胞が当該NRBCの細胞性多角度光散乱特性と同様の予め設定した多角度光散乱特性を有しており、所望の細胞特性が破壊される前に、前記選択された細胞を、細胞質を溶解し、核を固定する溶解および固定プロセスにかけてある請求の範囲第3項に記載の血液学的縣濁液。
【請求項5】
血液学的対照溶液の白血球(WBC)分画を製造する方法であって、
a.哺乳類の全血またはバフィコート層を提供するステップと、
b.全血と溶解試薬とを、血液またはバフィコート層約1部に対して溶解試薬約12部の割合で約1分間から5分間合わせて、存在する赤血球を除去し、ここで、溶解試薬は溶解物約1部に対して希釈剤約12部の割合で存在するステップと、
c.ステップbの溶解し、希釈した細胞縣濁液を固定剤と合わせて、約60℃〜約70℃で約10分間までインキュベートして、細胞を固定し、安定化させるステップと、
d.ステップcの混合物を室温まで冷却し、沈殿させるステップと、
e.ステップdで形成された上清を捨て、ステップbおよびcの活性試薬を除去するのに十分、得られた固定細胞を洗浄するステップと、
f.固定し、洗浄した細胞を、固定細胞の長期保存に適した再縣濁用媒質に再縣濁するステップと
を含む方法。
【請求項6】
血液学的対照溶液の有核赤血球分画を製造する方法であって、
a.全血または鳥類および魚類の赤血球からなる群から選択される赤血球を提供するステップと、
b.赤血球と溶解試薬を、赤血球1部に対して溶解試薬約12部の割合で、約1分〜5分間合わせて核を露出させるステップと、
c.ステップbの溶解し、希釈した細胞縣濁液と固定剤とを合わせ、約60℃〜約70℃で約10分間インキュベートして、核を固定し、安定化し、ここで固定剤と細胞縣濁液の比は約1:8から約1:11であるステップと、
d.ステップcの混合物を室温まで冷却し、縣濁液を沈殿させるステップと、
e.ステップdで形成された上清を捨て、ステップbおよびcの活性試薬を除去するのに十分、得られた固定した核を洗うステップと、
f.固定し、洗浄した核を固定した核の長期保存に適する再縣濁用媒質に再縣濁するステップと
を含む方法。
【請求項7】
血液学的対照溶液の有核赤血球分画を製造する方法であって、
a.哺乳動物のリンパ球を提供するステップと、
b.リンパ球と溶解試薬を、リンパ球と溶解試薬との比約1:5から約1:30で、約5分〜3時間合わせて核を露出させるステップと、
c.ステップbの核縣濁液と固定剤とを合わせ、約55℃〜約60℃で約10分間インキュベートして、核を固定し、安定化し、ここで固定剤と細胞縣濁液の比は約1:1から約1:10であるステップと、
d.ステップcの混合物を室温まで冷却し、縣濁液を沈殿させるステップと、
e.ステップdで形成された上清を捨て、ステップbおよびcの活性試薬を除去するのに十分、得られた固定した核を洗うステップと、
f.固定し、洗浄した核を固定した核の長期保存に適する再縣濁用媒質に再縣濁するステップと
を含む方法。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図1c】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図6d】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図7c】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図8c】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図9c】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図10c】
image rotate

【図11a】
image rotate

【図11b】
image rotate

【図11c】
image rotate

【図12a】
image rotate

【図12b】
image rotate

【図12c】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate

【図13c】
image rotate

【図14a】
image rotate

【図14b】
image rotate

【図14c】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate

【図15c】
image rotate

【図16a】
image rotate

【図16b】
image rotate

【図16c】
image rotate

【図16d】
image rotate

【図16e】
image rotate

【図16f】
image rotate

【図17a】
image rotate

【図17b】
image rotate

【図17c】
image rotate

【図17d】
image rotate

【図18a】
image rotate

【図18b】
image rotate

【図18c】
image rotate

【図18d】
image rotate


【公開番号】特開2008−26317(P2008−26317A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−182849(P2007−182849)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【分割の表示】特願平10−503029の分割
【原出願日】平成9年5月29日(1997.5.29)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】