説明

表示器

【課題】 暗闇の中や夜間における停電時にあっても表示部を発光させて看者が明確に視認でき、かつ、省電力性に優れた表示器を得る。
【解決手段】 耐雨、耐光性を有する透明アクリル板からなり表面又は裏面の一方に不透明な表示部3を有する表示板4と、表示板4の裏面に設けられる隠蔽層をもたない蓄光剤を混入しただけの蓄光シート5と、蓄光シート5の裏面に設けられかつ光を均一状に分散しながら透過する乳白色プレート6と、乳白色プレート6の裏面に設けられる導光板7と、導光板7の裏面位置に配設されかつリチューム電池又は太陽電池などを発電源として蓄光シート5に光を照射するLEDライト8,8と、LEDライト8,8と導光板7の裏面側に設けられ蓄光シート5の隠蔽層機能を有する鏡面反射板9とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示器、詳しくは避難誘導標識や各種看板等に用いられ、夜間などの薄暗い場所においても明確に視認できる機能を備えた表示器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば避難誘導標識や各種看板を夜間などの薄暗い場所においても表示できるように、蓄光材を用いて作られた表示体を備えた表示器が知られている。蓄光材は、外部の光を吸収して蓄積し、その蓄積後、暗中で蓄積した光を自発光する機能を有するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、蓄光材は、日中の太陽光を吸収して蓄積するものの、その蓄積した光は、暗くなり始めた日没と共に短時間で放出してしまうものであった。そのため、表示器の近くに蛍光灯などの光が常に必要であり、たとえば夜が更けて蛍光灯などの光を消灯したり或いは停電したりすると、蓄光材に蓄積した光はやはり短時間で放出してしまうものであった。その結果、暗闇の中や夜間における停電時にあっては蓄光材による発光が殆どみられず、表示部を明確に認識できなくなり、避難誘導標識や各種看板の本来の機能を果たせなくなるといった問題を有していた。
【0004】
そこで、本発明は、暗闇や夜間における停電時にあっても表示部を発光させて看者が明確に視認でき、かつ、省電力性に優れた表示器の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した問題を解決するために、本願の請求項1記載の発明は、耐雨、耐光性を有する透明アクリル板からなり表面又は裏面の一方に不透明な表示部3を有する表示板4と、表示板4の裏面に設けられる隠蔽層をもたない蓄光剤を混入しただけの蓄光シート5と、蓄光シート5の裏面に設けられかつ光を均一状に分散しながら透過する乳白色プレート6と、乳白色プレート6の裏面に設けられる導光板7と、導光板7の裏面位置に配設されかつリチューム電池又は太陽電池などを発電源として蓄光シート5に光を照射するLEDライト8,8と、LEDライト8,8と導光板7の裏面側に設けられ蓄光シート5の隠蔽層機能を有する鏡面反射板9とを備え、LEDライト8,8から照射された光を導光板7及び乳白色プレート6を介して蓄光シート5に直接的に裏面照射すると共に、乳白色プレート6にて光を均一化しながら蓄光シート5に照射して蓄光シート5において均一状でかつ多量に蓄光するようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、本願の請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載のLEDライト8,8が、少なくとも暗闇の中や夜間においてその1分間の点灯と、30分間の消灯とを交互に繰り返すように設定されていることを特徴する。
【0007】
本発明によれば、上記した構成によりLEDライト8,8から照射された光を導光板7と乳白色プレート6を介して蓄光シート5に直接的に効率よく裏面照射することができると共に、乳白色プレート6にて光を均一化しながら蓄光シート5に照射することができ、これにより蓄光シート5において均一状でかつ多量に蓄光することができる。その結果、LEDライト8,8の点灯時間をごく短時間に抑えることができ、しかも、蓄光シート5に多量に確保した蓄光を長時間にわたって所定以上の輝度を維持しながら発光させることができる。したがって、昼間は太陽光による蓄光シート5,5の発光により表示板4の表示部3を明確に視認でき、また、暗闇の中や夜間においては、リチューム電池又は太陽電池などを発電源12とするLEDライト8,8の間歇的な点灯と消灯の繰り返しによる蓄光シート5,5の発光により、表示板4の表示部3が後ろからライトアップされて、表示板4の表示部3を暗闇の中や夜間の停電時においても明確に視認でき、かつ、省電力性に優れている。
【0008】
また、暗闇の中や夜間においてLEDライト8,8をごく僅かな1分間の点灯と、30分間の消灯とを交互に繰り返すように設定しても蓄光シート5を十分に発光させて表示部3を明確に視認させることが可能で、特に省電力性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0010】
図1及び図2は本発明の表示器を示し、該表示器1は、ケース本体2と、ケース本体2の上部2a内に設けられる耐雨、耐光性を有する透明アクリル板からなり表面に不透明な表示部3を有する表示板4と、表示板4の裏面に設けられる隠蔽層をもたない蓄光剤を混入しただけの肉厚の蓄光シート5と、蓄光シート5の裏面に設けられかつ光を均一状に分散しながら透過する乳白色プレート6と、乳白色プレート6の裏面に設けられる導光板7と、導光板5の裏面位置に配設されかつリチューム電池又は太陽電池などを発電源として蓄光シート5に光を直接的に照射するLEDライト8,8と、LEDライト8,8と導光板7の裏面側に設けられ上記蓄光シート5の隠蔽層機能を有する鏡面反射板9と、鏡面反射板9の裏面に設けられる保持板10と、ケース本体2の下部2b内に設けられLEDライト8,8にソケット11,11などの適宜接続手段を介して接続されるリチューム電池又は太陽電池などの発電源12を備えている。
【0011】
表示板4は、例えば透明フィルムや透明板に任意の図形や文字等(例えば避難誘導用の標識)からなる不透明な表示部3が印刷等により形成されている。表示部3は光が透過することがないので、表示板4における表示部3以外の残りの部分に光を透すことにより、暗闇のなかでも表示部3を看者に認識させることができる。表示部3は印刷による他、塗布、熱転写、貼り付けなどにより形成してもよい。また、表示部3は図に示すように、表示板4の表面に設ける他、表示板4の裏面に設けてもよい。
【0012】
蓄光シート5は、適宜蓄光剤を混合した厚めのシートで形成され、この蓄光シート5自体には、裏面側からの光を直接的に受け止めて多量の光を効果的に蓄光できるようにするため隠蔽層を有していない。
【0013】
乳白色プレート6は、アクリル樹脂にチタンの粉末を混入したもので、光透過性を有しながらも蓄光シート5にLEDライト8,8からの光を均一状に分散したうえで照射する機能を有している。
【0014】
導光板7は、アクリル樹脂板、ポリカーボネート導光板、光学ガラス板などの光透過性の良好な透明板からなる。また、鏡面板9は、アルミニウム蒸着樹脂フィルム又はシートからなる。
【0015】
表示板4、蓄光シート5、乳白色プレート6、導光板7、LEDライト8,8、鏡面反射板9、保持体10は、ケース本体2の上部2aにアルミ製の保持板14,14を介して前後方向に積層状態に収容されると共に、LEDライト8,8は蓄光シート5に光を直接的に照射して短時間で多量の蓄光ができるように導光板7の裏面位置に取り付けられている。また、LEDライト8,8の色としては任意に選択できるが、たとえば表示器1を屋外に設置する場合、人の心を落ち着かせ犯罪の抑制効果がある青色発光の蓄光顔料のものを使用するのが好ましい。
【0016】
また、リチューム電池又は太陽電池などの発電源12はケース本体2の下部2bに収容されている。太陽電池を用いる場合、たとえばケース本体2の上方パネル部2aの上面などに、ソーラーパネルを設ければよい。
【0017】
また、LEDライト8,8と発電源12との接続手段には、光センサー15が接続されたスイッチ回路(図示せず)が設けられている。そして、光センサー15によって検知される明るさが所定の明るさ以下になるとスイッチ回路がオン動作され、LEDライト8,8を1分間点灯し、その後、LEDライト8,8を30分間消灯し、この点灯、消灯を光センサー15が所定の明るさを検知するまで繰り返し行うように構成されている。
【0018】
次に、上記した表示器1の作用を実験例に基づいて説明する。
【0019】
実験例では、LEDライト8,8を1分間点灯して、LEDライト8,8から照射された光を導光板7及び乳白色プレート6を介して蓄光シート5に直接的に裏面照射し、その後、LEDライト10,10を30分間消灯し、この点灯、消灯を24時間繰り返し行った。この間の表示器1における1分間点灯した直後における輝度は約1200mcd/mと非常に高い輝度が得られ、また、その30分後における輝度は下記の表1に示す通り90mcd/m以上であり、表示部(標識)3を看者が明確に視認できる輝度を十分に維持できるものであった。
【表1】

【0020】
以上のように、本発明の表示器1によれば、LEDライト8,8から照射された光を導光板7と乳白色プレート6を介して蓄光シート5に直接的に効率よく裏面照射することができると共に、乳白色プレート6にて光を均一化しながら蓄光シート5に照射することができ、これにより蓄光シート5において均一状でかつ多量に蓄光することができる。その結果、LEDライト8,8の点灯時間をごく短時間に抑えることができ、しかも、蓄光シート5に多量に確保した蓄光を長時間にわたって所定以上の輝度を維持しながら発光させることができる。したがって、昼間は太陽光による蓄光シート5,5の発光により表示板4の表示部3を明確に視認でき、また、暗闇の中や夜間においては、リチューム電池又は太陽電池確に視認でき、また、暗闇の中や夜間においては、リチューム電池又は太陽電池などを発電源12とするLEDライト8,8の間歇的な点灯と消灯の繰り返しによる蓄光シート5,5の発光により、表示板4の表示部3が後ろからライトアップされて、表示板4の表示部3を暗闇の中や夜間の停電時においても明確に視認でき、かつ、省電力性に優れている。
【0021】
また、LEDライト6,6を、ごく僅かな1分間の点灯と、30分間の消灯とを交互に繰り返すように設定しても蓄光シート5を十分に発光させて表示部3を明確に視認でさせることができるので、特に省電力性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明の表示器の概略正面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 表示器
3 表示部
4 表示板
5 蓄光シート
6 乳白色プレート
7 導光板
8 LEDライト
9 鏡面反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐雨、耐光性を有する透明アクリル板からなり表面又は裏面の一方に不透明な表示部3を有する表示板4と、表示板4の裏面に設けられる隠蔽層をもたない蓄光剤を混入しただけの蓄光シート5と、蓄光シート5の裏面に設けられかつ光を均一状に分散しながら透過する乳白色プレート6と、乳白色プレート6の裏面に設けられる導光板7と、導光板7の裏面位置に配設されかつリチューム電池又は太陽電池などを発電源として蓄光シート5に光を照射するLEDライト8,8と、LEDライト8,8と導光板7の裏面側に設けられ蓄光シート5の隠蔽層機能を有する鏡面反射板9とを備え、LEDライト8,8から照射された光を導光板7及び乳白色プレート6を介して蓄光シート5に直接的に裏面照射すると共に、乳白色プレート6にて光を均一化しながら蓄光シート5に照射して蓄光シート5において均一状でかつ多量に蓄光するようにしたことを特徴とする表示器。
【請求項2】
LEDライト8,8が、少なくとも暗闇の中や夜間においてその1分間の点灯と、30分間の消灯とを交互に繰り返すように設定されていることを特徴する請求項1記載の表示器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−65116(P2011−65116A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236661(P2009−236661)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(502185582)エルティーアイ株式会社 (3)
【出願人】(508122541)比果産業株式会社 (3)
【出願人】(594081423)京都樹脂株式会社 (1)
【Fターム(参考)】