説明

表示装置の製造方法

【課題】製造効率を良好にして歩留まりを向上させ、且つ、薄型の表示パネルにおいても、基板端面強度を良好とすることができる表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】液晶表示装置10の製造方法は、第1表示素子区画を有するTFT基板42を準備するステップと、第2表示素子区画を有するCF基板41を準備するステップと、準備したTFT基板42及びCF基板41を貼り合わせて大判の貼り合わせ基板43を形成するステップと、大判の貼り合わせ基板43を構成するTFT基板42及びCF基板41の少なくとも一方の外表面において、各表示素子区画に対応する領域にエッチング保護膜61を形成するステップと、エッチング保護膜61を形成した大判の貼り合わせ基板43にエッチングを行うことにより、大判の貼り合わせ基板43の平面視における各表示素子区画の外側部分を除去するステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の製造方法として、従来、複数個の表示素子がパターン形成されたTFT基板とCF基板(カラーフィルタ基板)とを、シール材を介して貼り合わせて装置を製造するものが知られている。
【0003】
より具体的には、一対のガラス基板の各表示素子区画にそれぞれ表示用の透明電極および配向膜等をパターン形成した基板(TFT基板)と、この表示パターンに対応したカラーフィルタ等が形成された基板(CF基板)とを、その各表示素子区画の液晶封入領域をそれぞれ囲んで印刷したシール材を介して接着する。そして、複数個の液晶表示素子が並んだ素子集合体を貼り合わせて液晶表示素子を作製し、この貼り合わせ基板を各々の表示素子区画ごとに分断することにより、効率良く複数の液晶表示装置を同時に形成している。
【0004】
また、近年、携帯電話や携帯情報端末機器及び携帯用ゲーム機等のモバイル機器の持ち運びの利便性を向上させる為、従来は液晶パネルのガラス厚の総厚が1mm以上であったものが、1mmを大きく下回る液晶表示パネルも出現しているように、液晶表示パネルに対する薄型軽量化の要求が非常に強くなっている。
【0005】
そこで、モバイル用の小型液晶表示パネルについては、複数個の液晶表示素子の付いた大判の基板をエッチングで薄型化し、その後、ダイヤモンド等が刃先に設けられた分断ホイールを用いてガラスを分断して単体の液晶表示パネルにする方法が一般的に用いられている。
【0006】
このような方法として、例えば、特許文献1には、液晶表示素子複数個分の面積をもつ一対のガラス基板を、その各素子区画の液晶封入領域をそれぞれ囲むシール材と、前記各素子区画の全てを囲む外周シール材とを介して接着して素子集合体を組立てた後、前記各素子区画の両基板のうちの一方の外面をエッチングしてこの基板の厚さを薄くし、この後前記素子集合体を個々の素子に分離することを特徴とする液晶表示素子の製造方法が開示されている。そして、これによれば、素子集合体の状態で各素子区画の両基板のうちの一方の外面をエッチングしてこの基板の厚さを薄くし、この後前記素子集合体を個々の素子に分離しているため、一方の基板の厚さを薄くした液晶表示素子を能率的に製造することができる。また、基板外面をエッチングして基板の厚さを薄くしているために、基板を均一に薄くすることができるとともに、基板を損傷してしまうこともないため、上記液晶表示素子を歩留よく製造することができる、と記載されている。
【特許文献1】特許第2678325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の製造方法は、素子集合体を個々の素子に分離した後に、1つ1つの液晶表示素子についてその裏面側基板を薄く研磨するものであるため、液晶表示素子の製造効率が悪く、したがって液晶表示素子の製造コストが高くなるという問題があった。
【0008】
さらに、液晶表示パネルのガラス基板等について、その総厚が1mmを下回るものをダイヤモンド等が刃先に設けられた分断ホイールなどを用いて分断すると、ガラス基板端面のクラックの影響から、その端面強度が極端に劣化してしまい、モバイル機器に要求される強度を満足しなくなるという問題があった。
【0009】
しかも、上記従来の製造方法では、ガラス基板の外面を機械的に研磨してその厚さを薄くしているため、基板面の均一な研磨が難しく、そのために薄型化された基板の厚さにばらつきがある。また、研磨中に基板の角部が欠けること等によって生じるガラス屑により基板面が傷ついて、この液晶表示素子が不良品となるため、液晶表示装置の製造歩留も悪いという問題があった。
【0010】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示装置の製造効率を良好にして歩留まりを向上させ、且つ、薄型の表示パネルにおいても、基板端面強度を良好とすることができる表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る表示装置の製造方法は、第1表示素子と第1表示素子に電気的に接続された外部接続端子と、が形成された第1表示素子区画を有する第1基板を準備する第1基板準備ステップと、第2表示素子が形成された第2表示素子区画を有する第2基板を準備する第2基板準備ステップと、準備した第1及び第2基板を、第1表示素子区画と第2表示素子区画とが対向するように貼り合わせて貼り合わせ基板を形成する貼り合わせ基板形成ステップと、貼り合わせ基板を構成する第1及び第2基板の少なくとも一方の外表面において、第1及び第2表示素子区画に対応する領域にエッチング保護膜を形成する保護膜形成ステップと、エッチング保護膜を形成した貼り合わせ基板にエッチングを行うことにより、貼り合わせ基板の平面視における第1及び第2表示素子区画の外側部分を除去する基板エッチングステップと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、貼り合わせ基板に形成された表示素子区画に沿って、その外側を除去する際、表示素子区画に対応する基板表面に保護膜を形成した上で、エッチングにより除去する。このため、貼り合わせ基板を基板分断カッター等で分断する基板分断ステップを別に設けることなく、貼り合わせ基板の薄型化等に用いたエッチング装置を用いて表示素子区画の外側を除去することができる。従って、表示装置の製造効率が良好となる。また、基板の分断に際し、基板分断カッター等で分断する際に生じた基板端面の損傷等が発生しないため、分断によるガラス屑等が基板表面に付着することを抑制することができる。このため、表示装置の製造歩留まりを向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、保護膜形成ステップにおけるエッチング保護膜の形成を、第1及び第2基板の外表面における第1及び第2表示素子区画に対応する領域にそれぞれ行ってもよい。
【0014】
このような構成によれば、第1及び第2基板の外表面における第1及び第2表示素子区画に対応する領域に、それぞれエッチング保護膜を形成した貼り合わせ基板に対し、エッチングを行っているため、第1及び第2基板の外表面をそれぞれ保護することができる。従って、エッチングによる第1及び第2基板に形成された表示素子の損傷を抑制し、表示装置の表示品位がより良好となる。
【0015】
さらに、本発明に係る表示装置の製造方法は、第1基板準備ステップと貼り合わせ基板形成ステップとの間に、第1基板の外部接続端子にエッチング保護膜を形成するステップをさらに備えてもよい。
【0016】
このような構成によれば、第1基板の外部接続端子にエッチング保護膜を形成した後、貼り合わせ基板にエッチングを施しているため、第1基板の外部接続端子のエッチングによる損傷を良好に抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、貼り合わせ基板形成ステップの前に、第1及び/又は第2基板の貼り合わせ面側において表示素子区画を囲うようにシール材を設けるステップをさらに備えてもよい。
【0018】
このような構成によれば、貼り合わせ基板形成ステップの前に、第1及び/又は第2基板の貼り合わせ面側において表示素子区画を囲うようにシール材を設けるステップをさらに備えているため、エッチングに際して、各表示素子区画の内部がエッチング雰囲気にさらされず、表示装置の表示品位の低下を抑制することができる。
【0019】
さらに、本発明に係る表示装置の製造方法は、第1基板は第1表示素子区画を、第2基板は第2表示素子区画を、それぞれ複数有していると共に、保護膜形成ステップにおいて、貼り合わせ基板を構成する第1及び第2基板の少なくとも一方の外表面における、第1及び第2表示素子区画に対応する領域にそれぞれエッチング保護膜を形成し、基板エッチングステップにおいて貼り合わせ基板の平面視における複数の第1及び第2表示素子区画の外側部分をそれぞれ除去してもよい。
【0020】
このような構成によれば、複数の表示素子区画を有する貼り合わせ基板を、一度のエッチングにより各表示素子区画ごとに分離して複数の表示パネルを形成することができる。このため、表示装置の製造効率が良好となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、表示装置の製造効率を良好にして歩留まりを向上させ、且つ、薄型の表示パネルにおいても、基板端面強度を良好とすることができる表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法として、液晶表示装置の製造方法を例にして、図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
(実施形態)
(液晶表示装置10の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る製造方法によって製造される液晶表示装置10の断面図を示す。
【0024】
液晶表示装置10は、液晶表示パネル12と、液晶表示パネル12の裏面に配置されたバックライト13とを備えている。
【0025】
液晶表示パネル12は、ガラス基板を有するTFT基板(第1基板)14と、赤色絵素、緑色絵素及び青色絵素で構成されたカラーフィルタが形成され、ガラス基板を有するCF基板(第2基板)15と、を有している。TFT基板14とCF基板15との間には不図示の液晶層及びスペーサが形成されている。
【0026】
TFT基板14は、ガラス基板上であって、その液晶層側(内側)に、マトリクス状に配列された画素に対応して設けられたそれぞれ不図示の画素電極、画素電極に接続されたTFT、ゲートバスラインおよびソースバスラインなどの回路要素(第1表示素子)が形成されている。これらの回路要素は、基板端部に形成された外部接続端子20に電気的に接続されている。また、この外部接続端子20は、後述のドライバIC等に電気的に接続されている。
【0027】
TFT基板14はCF基板15より平面視において大きく形成されており、それらを貼り合わせた際にTFT基板14の余剰部16が形成される。その余剰部16には、ソースドライバ及びゲートドライバ等のドライバIC17がCOG実装されている。
【0028】
CF基板15は、ガラス基板上であって、その液晶層側(内側)に、いずれも不図示の赤色絵素、緑色絵素及び青色絵素と、これらの間に配置された遮光層および対向電極等の表示素子(第2表示素子)が形成されている。
【0029】
また、TFT基板14及びCF基板15は、それぞれその外側に偏光板18及び保護フィルム19が形成されている。
【0030】
バックライト13は、液晶表示パネル12のTFT基板14側に配置されている。バックライト13は、光源と、光源から出射された光を受けてその中を伝播させながら液晶表示パネル12に向けて出射する導光板と、導光板の裏面から出射された光を導光板に向けて反射する反射板(いずれも不図示)とを有している。
【0031】
(液晶表示装置10の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法について詳細に説明する。
【0032】
(液晶表示パネル12の作製)
(大判のCF基板41の製造工程)
まず、図2に示すように、外形サイズが例えば550mm×650mm程度の大判のガラス基板30を用意する。大判のガラス基板30は、その内部に、マトリクス状に配列された外形サイズがそれぞれ200mm×100mmの小型基板32を合計10枚含むように形成されている。
【0033】
大判のガラス基板30としては、光透過性の高い無機ガラス等が使用され、このような無機ガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、耐熱ガラス、石英ガラスなどが挙げられる。また、大判のガラス基板30は、後述のエッチングされる側の表面が平滑になっていれば、板状に限定されることなく、適当な寸法と形状のものを用いることができる。ここでは、大判のガラス基板30として、透明導電基板として好適な平板状のガラス板を例示して説明する。このガラス基板は、厚さが例えば0.3〜5mm程度に形成されている。
【0034】
次に、大判のガラス基板30上に、複数のマトリクス状に配置された小型基板32の表示領域(第2表示素子区画)を囲むような遮光領域に、例えば幅約5〜50μmのブラックマトリクスをスパッタリング法などにより形成する。次に、ガラス基板上の小型基板32の表示領域に赤の顔料が分散された樹脂フィルム(ドライフィルム)を全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、赤色絵素を形成する。次に、赤色絵素に重ねて、緑色の顔料が分散された樹脂フィルムを全面にラミネートし、露光、現像及びベーク(熱処理)を行って、緑色絵素を形成する。同様に、青色絵素を形成する。
【0035】
尚、各絵素の形成方法は、ドライフィルムをラミネートする代わりに、顔料が分散された感光性樹脂材料をスピン、スリットコートにより全面に塗布してもよい。更に、各絵素の形成順序は、特に限定されず、他の順序でもよい。
【0036】
次に、各絵素上にITOを蒸着して対向電極を形成することにより、図3に示すように、複数の小型基板32に対応する位置にそれぞれ小型のCF基板33を形成する。
【0037】
以上の工程により、複数の小型のCF基板33がマトリクス状に形成された大判のCF基板41が完成する。
【0038】
(大判のTFT基板42の製造工程)
続いて、上述の大判のCF基板41で準備したのと同様の大判のガラス基板30を用意し、例えばTa又はAl/Tiからなるゲート電極をスパッタ法により形成し、パターニングする。次に、例えばゲート絶縁膜としてSiNx、薄膜として半導体a−Si、p−Si又は単結晶Si等を形成する。次いで、エッチングによりパターン形成を行う。次に、コンタクトホール、ドレイン電極及びソース電極を形成する。さらに、同一工程又は別工程によって、基板端部にドライバIC17を設け、TFTを形成する。さらに、所定領域に透明絶縁層を形成する。次に、ITOを真空蒸着後、パターン形成することにより複数の画素電極をマトリクス状に形成し、これらの回路要素に電気的に接続した外部接続端子20をそれぞれその端部に形成して、図4に示すように、各々表示領域(第1表示素子区画)を有する小型のTFT基板34が複数形成された大判のTFT基板42を作製する。
【0039】
次に、図5に示すように、外部接続端子20の表面に、エッチング保護膜35を形成する。エッチング保護膜35は、例えば、スクリーン印刷法、ラミネートフィルム法、レジスト塗布フォトリソ法、或いはパターニング法等によって形成することができる。エッチング保護膜35は、エッチング処理液に耐性を有する材料で形成されている。エッチング保護膜35の厚さは特に限定されるものではなく、エッチング方法や処理時間等によって適宜変更することができる。
【0040】
続いて、セル厚を規定するためのスペーサを、フォトリソグラフィ工程を経て複数形成する。なお、スペーサはCF基板側に形成してもよく、又、球状スペーサを散布する方式を用いてもよい。
【0041】
(大判の貼り合わせ基板43の形成工程)
次に大判のCF基板41及び大判のTFT基板42を貼り合わせて大判の貼り合わせ基板43を形成する工程を説明する。
【0042】
まず、大判のCF基板41の遮光領域上、及び、外周に、図6に示すように、連続して途切れなくシール材50を塗布する。このとき、シール材50によりマトリクス状に配置された複数の小型のCF基板33がそれぞれ囲まれている。さらに、大判のCF基板41に塗布するシール材50は、大判のTFT基板42を貼り合わせた際、その外部接続端子20が、それぞれシール材50の外側に張り出すような位置に設ける。
【0043】
次いで、ディスペンサ等を用いて、例えば1ショット当り2mgの液晶材料を大判のCF基板41に滴下する。この際、液晶材料は小型のCF基板33の外周囲に枠状に塗布されたシール材50の内方に滴下する。
【0044】
続いて、図7に示すように、液晶材料が滴下された大判のCF基板41に大判のTFT基板42を、複数の第1表示素子区画と第2表示素子区画とがそれぞれ対向するように位置合わせして貼り付ける。このとき、貼り付けられた大判のTFT基板42及び大判のCF基板41におけるシール材50で囲まれた複数の領域に、それぞれ液晶表示セルが形成される。TFT基板の外部接続端子20は、このシール材50で囲まれた領域外に張り出している。また、この工程は真空中で行われる。次いで、大気中に戻すと、貼り合わされた大判のTFT基板42及び大判のCF基板41間の液晶材料が大気圧により拡散する。
【0045】
次に、大判のTFT基板42側表面の表示領域に対応する部分に遮光マスクを設けた状態で、大判のTFT基板42側から紫外線を照射する。照射された紫外線は、大判のTFT基板42のシール材対応部から進入し、シール材50を硬化する。
【0046】
次に、遮光マスクを取り除き、加熱・除冷工程を経ることで、大判の貼り合わせ基板43を作製する。
【0047】
(大判の貼り合わせ基板43の薄型化工程)
次に、大判の貼り合わせ基板43の外表面にエッチング処理を施して薄型化する。エッチング処理は、大判の貼り合わせ基板43をエッチング処理槽内に入れて、エッチング処理液で浸漬することにより行なう方法と、エッチング液を大判の貼り合わせ基板43に噴霧する方法がある。浸漬する場合は、エッチング処理槽の底部から、基板表面に発生する副生成物を除去する為の気泡を発生させながらエッチング処理を行うとよい。噴霧する場合は、エッチング処理液を基板外面に対しノズル等から噴霧すると良い。
【0048】
本実施例においては、エッチング処理液で浸漬する方法を示すが、特に限定する訳ではない。
【0049】
エッチング処理液は、特に限定されず、例えば、フッ化水素酸、フッ化ソーダ、フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウム、等のフッ素化合物又は、これらと塩酸等の他の酸化合物との混合物等含有処理液、或いは、水酸化カリウムや水酸化テトラメチルアンモニウム等含有処理液等の、ガラス基板を良好にエッチングすることができる処理液を用いる。このとき、複数の液晶表示素子は、シール材50に周囲を囲まれているため、エッチング処理液で浸食されることはない。さらに、TFT基板42の外部接続端子20についても、エッチング保護膜35が表面に形成されているため、エッチング処理液で浸食されることはない。
【0050】
また、このとき大判の貼り合わせ基板43は、エッチング処理液中において機械的な力がかからない状態でエッチングされるため、基板厚を薄くしても、この大判の貼り合わせ基板43に割れが発生することはない。さらに、大判の貼り合わせ基板43のエッチングは基板面全体にわたって均等に進行するため、基板面全体を均一に薄くすることができる。
【0051】
次に、薄型化処理を行った大判の貼り合わせ基板43の表面を洗浄してエッチング処理液を除去する。
【0052】
(基板表面保護膜形成工程)
次に、図8に示すように、大判の貼り合わせ基板43のTFT基板側表面の各第1表示素子区画に対応する領域に、エッチング保護膜61を形成する。
【0053】
さらに、図9に示すように、大判の貼り合わせ基板43のCF基板側表面の各第2表示素子区画に対応する領域にも、エッチング保護膜61を形成する。
【0054】
ここで、TFT基板42については、外部接続端子20に対応する領域も覆うように、エッチング保護膜61を形成する。エッチング保護膜61は、例えば、スクリーン印刷法、ラミネートフィルム法、レジスト塗布フォトリソ法、或いはパターニング法等によって形成することができる。エッチング保護膜61は、エッチング処理液に耐性を有する材料で形成されている。エッチング保護膜61の厚さは特に限定されるものではなく、エッチング方法や処理時間等によって適宜変更することができる。
【0055】
(基板分離工程)
次に、エッチング保護膜61を基板両面の各表示素子区画に対応する領域に形成した大判の貼り合わせ基板43を、再びエッチング処理槽内に入れ、エッチング処理を施した。このとき、エッチング処理槽の底部から、基板表面に発生する副生成物を除去する為の気泡を発生させながらエッチング処理を行うとよい。エッチング処理液は、特に限定されず、例えば、フッ化水素酸、フッ化ソーダ、フッ化カリウム、酸性フッ化アンモニウム、等のフッ素化合物又は、これらと塩酸等の他の酸化合物との混合物等含有処理液、或いは、水酸化カリウムや水酸化テトラメチルアンモニウム等含有処理液等の、ガラス基板を良好にエッチングすることができる処理液を用いる。
【0056】
このようにエッチング処理を施すうちに、大判の貼り合わせ基板43の表面がエッチングされていき、エッチング保護膜61が形成されていない部分のガラスが完全に溶ける。すなわち、大判の貼り合わせ基板43の平面視における第1及び第2表示素子区画の外側部分が除去され、大判の貼り合わせ基板43が図10に示すように各表示素子区画ごとに分離されて、エッチング処理液の液面上に浮遊する。このように分離されたTFT基板14及びCF基板15で構成される各貼り合わせ基板は、カッター等で分断されて形成されたものに比べてその基板端面に割れ等が生じず、なめらかな端面を有している。
【0057】
次に、各表示素子区画ごとに分離した貼り合わせ基板の両表面を洗浄してエッチング処理液を除去し、両表面の表示領域対応部位に形成されたエッチング保護膜61及び外部接続端子20に形成されたエッチング保護膜35をそれぞれ除去する。
【0058】
次に、各表示素子区画ごとに分離された貼り合わせ基板の両表面に、それぞれ接着層を介して、偏光板18を接着した後、偏光板18の表面に保護フィルム19を貼り付ける。
【0059】
以上により、図11に示すような複数の液晶表示パネル12を作製する。
【0060】
(液晶表示装置10の製造工程)
次に、表面にレンズシートを設けた導光板を用意し、導光板の下方に棒状光源を配置してバックライト13とし、これを液晶表示パネル12のTFT基板14側に設置することにより、液晶表示装置10を作製する。
【0061】
尚、本実施形態では、表示装置として、LCD(liquid crystal display;液晶表示ディスプレイ)を用いてその製造方法を説明したが、PD(plasma display;プラズマディスプレイ)、PALCD(plasma addressed liquid crystal display;プラズマアドレス液晶ディスプレイ)、有機EL(organic electroluminescence )、FED(field emission display;電界放出ディスプレイ)、SED(surface-conduction electron-emitter display;表面電界ディスプレイ)、強誘電液晶、又は、反強誘電液晶等の表示装置に係るものであってもよい。
【実施例】
【0062】
次に、本実施形態に示す表示装置の製造方法に従って製造した液晶表示パネルについて、種々の荷重に対する基板端面強度を検討した。
【0063】
〈試験評価用基板の作製〉
まず、本実施形態と同様の製造方法により、それぞれガラス基板を有するTFT基板及びCF基板で構成された大判の貼り合わせ基板を3枚準備した。これら3枚の大判の貼り合わせ基板は、それぞれ縦×横が550mm×650mmの平板状に形成されており、表面には、縦×横が200mm×100mmの小型基板が2段構成で合計10面配置されている。
【0064】
また、大判の貼り合わせ基板を構成するTFT基板及びCF基板の基板厚は、それぞれ0.7mm程度に形成されている。また、TFT基板の外部接続端子の表面には、後述のエッチング処理液に含まれるフッ酸に耐性を有するラミネートフィルム(エッチング保護膜)を貼り付けている。
【0065】
次に、大判の貼り合わせ基板をフッ酸10%、塩酸5%の混合水溶液で構成されたエッチング処理液を入れたエッチング処理槽内へ入れ、エッチング処理槽底部から基板表面に発生する副生成物を除去する為の気泡を発生させつつ、エッチング処理を行った。このエッチング処理は、大判の貼り合わせ基板の総厚が約0.6mm程度となるまで行った。
【0066】
(実施例)
次に、総厚が約0.6mm程度に薄型化した3枚の大判の貼り合わせ基板から任意に1枚を選び、その両表面に対し、その複数の表示素子区画の外周に配置したシールパターンに合わせてフッ酸に対して耐性のあるラミネートフィルムを貼り付けた。
【0067】
次に、ラミネートフィルムを貼り付けた大判の貼り合わせ基板を再度エッチング処理槽へ入れ、エッチング処理槽底部から基板表面に発生する副生成物を除去する為の気泡を発生させつつ、エッチング処理を行い、表示素子区画ごとに分離して10枚の小型基板110を作製し、ラミネートフィルムを除去して本発明の製造方法に係る実施例とした。
【0068】
(比較例1)
次に、総厚が約0.6mm程度に薄型化した大判の貼り合わせ基板の残り2枚から任意に1枚を選んだ。そして、この大判の貼り合わせ基板に従来のダイヤモンドホイールによるスクライブ分断を行い、外形サイズが200mm×100mmの10枚の小型基板111に分断し、これらを比較例1とした。
【0069】
(比較例2)
次に、総厚が約0.6mm程度に薄型化した大判の貼り合わせ基板の残り1枚に、レーザー分断装置(三星ダイヤモンド社製デモ装置)を用いて、レーザー方式による分断処理を行い、外形サイズが200mm×100mmの10枚の小型基板112に分断し、これらを比較例2とした。
【0070】
〈評価試験〉
上記、それぞれ分離した小型基板110,111,112(実施例、比較例1及び比較例2)を構成するガラス基板(外形サイズ:100mm×200mm)の端面強度を確認すべく、図12で示す構成の強度試験装置100で、強度試験(4点曲げ試験)を以下のように行った。ここで、強度試験装置100は、それぞれ所定間隔を空けて並設され且つ壁状に形成された2つの下部ステンレス製基板受け治具101と、それぞれ所定間隔を空けて並設され且つ壁状に形成された2つの上部ステンレス製基板加圧治具102と、不図示の制御部と、で構成されている。
【0071】
まず、並設された2つの上部ステンレス製加圧冶具102の間隙を20mmに、2つの下部ステンレス製基板受け冶具101の間隙を40mmに設定して、上記作製した小型基板110,111,112に対し、上部ステンレス製加圧冶具102により5mm/minの速度で加圧した。
【0072】
次に、この加圧によって小型基板110,111,112が破壊した際の加圧値を測定して破壊荷重とした。この試験を、実施例、比較例1及び比較例2でそれぞれ作製した10枚の小型基板110,111,112すべてに対し行い、それぞれ表1、表2及び表3にその結果を示した。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
〈評価結果〉
表1及び表2の結果を比較検討すると、実施例の製造方法で作成した小型基板の端面強度の方が、比較例1の製造方法で作製した小型基板の端面強度より大幅に増大すると共に、10枚の基板間における強度のばらつきが小さかった。
【0077】
また、表1及び表3の結果を比較検討しても、同様に、実施例の製造方法で作成した小型基板の端面強度の方が、比較例2の製造方法で作製した小型基板の端面強度より大幅に増大すると共に、10枚の基板間における強度のばらつきが小さかった。
【0078】
これは、大判の貼り合わせ基板から各小型基板への分断をエッチングによって行い、ガラス基板の端面強度に影響するキズ等を溶かして端面をなめらかにすることにより、基板端面の強度が向上するためであると考えられる。
【0079】
以上の結果から、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法によれば、従来技術における液晶表示パネルの薄型化に起因するガラス基板端面強度の劣化という問題点に対し、エッチングにより薄型化と分断とを行うことで、基板端面のガラス強度が飛躍的に向上することが確認された。
【0080】
(作用効果)
次に、作用効果について説明する。
【0081】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法は、第1表示素子と、第1表示素子に電気的に接続された外部接続端子20と、が形成された第1表示素子区画を有するTFT基板42を準備するTFT基板準備ステップと、第2表示素子が形成された第2表示素子区画を有するCF基板41を準備するCF基板準備ステップと、準備したTFT基板42及びCF基板41を、第1表示素子区画と第2表示素子区画とが対向するように貼り合わせて大判の貼り合わせ基板43を形成する貼り合わせ基板形成ステップと、大判の貼り合わせ基板43を構成するTFT基板42及びCF基板41の少なくとも一方の外表面において、第1及び第2表示素子区画に対応する領域にエッチング保護膜61を形成する保護膜形成ステップと、エッチング保護膜61を形成した大判の貼り合わせ基板43にエッチングを行うことにより、大判の貼り合わせ基板43の平面視における第1及び第2表示素子区画の外側部分を除去する基板エッチングステップと、を備えたことを特徴とする。
【0082】
このような構成によれば、大判の貼り合わせ基板43に形成された表示素子区画に沿って、その外側を除去する際、表示素子区画に対応する基板表面にエッチング保護膜61を形成した上で、エッチングにより除去する。このため、大判の貼り合わせ基板43を基板分断カッター等で分断する基板分断ステップを別に設けることなく、大判の貼り合わせ基板43の薄型化等に用いたエッチング装置を用いて表示素子区画の外側を除去することができる。従って、液晶表示装置10の製造効率が良好となる。また、基板の分断に際し、基板分断カッター等で分断する際に生じた基板端面の損傷等が発生しないため、分断によるガラス屑等が基板表面に付着することを抑制することができる。このため、液晶表示装置10の製造歩留まりを向上させることができる。
【0083】
また、本発明の実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法は、保護膜形成ステップにおけるエッチング保護膜61の形成を、TFT基板42及びCF基板41の外表面における第1及び第2表示素子区画に対応する領域にそれぞれ行うことを特徴とする。
【0084】
このような構成によれば、TFT基板42及びCF基板41の外表面における第1及び第2表示素子区画に対応する領域に、それぞれエッチング保護膜61を形成した大判の貼り合わせ基板43に対し、エッチングを行っているため、TFT基板42及びCF基板41の外表面をそれぞれ保護することができる。従って、エッチングによるTFT基板42及びCF基板41に形成された表示素子の損傷を抑制し、液晶表示装置10の表示品位がより良好となる。
【0085】
さらに、本発明の実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法は、TFT基板準備ステップと大判の貼り合わせ基板形成ステップとの間に、TFT基板42の外部接続端子20にエッチング保護膜35を形成するステップをさらに備えることを特徴とする。
【0086】
このような構成によれば、TFT基板42の外部接続端子20にエッチング保護膜35を形成した後、大判の貼り合わせ基板43にエッチングを施しているため、TFT基板42の外部接続端子20のエッチングによる損傷を良好に抑制することができる。
【0087】
また、本発明の実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法は、貼り合わせ基板形成ステップの前に、TFT基板42及びCF基板41の貼り合わせ面側において表示素子区画を囲うようにシール材50を設けるステップをさらに備えることを特徴とする。
【0088】
このような構成によれば、貼り合わせ基板形成ステップの前に、TFT基板42及びCF基板41の貼り合わせ面側において表示素子区画を囲うようにシール材50を設けるステップをさらに備えているため、エッチングに際して、各表示素子区画の内部がエッチング雰囲気にさらされず、液晶表示装置10の表示品位の低下を抑制することができる。
【0089】
さらに、本発明の実施形態に係る液晶表示装置10の製造方法は、TFT基板42は第1表示素子区画を、CF基板41は第2表示素子区画を、それぞれ複数有していると共に、保護膜形成ステップにおいて、大判の貼り合わせ基板43を構成するTFT基板42及びCF基板41の少なくとも一方の外表面における、第1及び第2表示素子区画に対応する領域にそれぞれエッチング保護膜61を形成し、基板エッチングステップにおいて大判の貼り合わせ基板43の平面視における複数の第1及び第2表示素子区画の外側部分をそれぞれ除去することを特徴とする。
【0090】
このような構成によれば、複数の表示素子区画を有する大判の貼り合わせ基板43を、一度のエッチングにより各表示素子区画ごとに分離して複数の液晶表示パネル12を形成することができる。このため、液晶表示装置10の製造効率が良好となる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明したように、本発明は、表示装置の製造方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態に係る製造方法によって製造された液晶表示装置10の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る大判のガラス基板30の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る大判のCF基板41の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る大判のTFT基板42の平面図である。
【図5】外部接続端子20の表面にエッチング保護膜35が形成された大判のTFT基板42の平面図である。
【図6】遮光領域上及び外周に連続して途切れなくシール材50が塗布された大判のCF基板41の平面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る大判の貼り合わせ基板43の平面図である。
【図8】TFT基板側表面の各第1表示素子区画に対応する領域にエッチング保護膜61が形成された大判の貼り合わせ基板43の平面図である。
【図9】CF基板側表面の各第2表示素子区画に対応する領域にエッチング保護膜61が形成された大判の貼り合わせ基板43の平面図である。
【図10】各表示素子区画ごとに分離された複数の貼り合わせ基板の平面図である。
【図11】複数の液晶表示パネル12の平面図である。
【図12】強度試験装置100の模式図である。
【符号の説明】
【0093】
10 液晶表示装置
12 液晶表示パネル
13 バックライト
14 TFT基板
15 CF基板
20 外部接続端子
33 小型のCF基板
34 小型のTFT基板
35,61 エッチング保護膜
41 大判のCF基板
42 大判のTFT基板
43 大判の貼り合わせ基板
50 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示素子と該第1表示素子に電気的に接続された外部接続端子とが形成された第1表示素子区画を有する第1基板を準備する第1基板準備ステップと、
第2表示素子が形成された第2表示素子区画を有する第2基板を準備する第2基板準備ステップと、
上記準備した第1及び第2基板を、上記第1表示素子区画と上記第2表示素子区画とが対向するように貼り合わせて貼り合わせ基板を形成する貼り合わせ基板形成ステップと、
上記貼り合わせ基板を構成する上記第1及び第2基板の少なくとも一方の外表面において、上記第1及び第2表示素子区画に対応する領域にエッチング保護膜を形成する保護膜形成ステップと、
上記エッチング保護膜を形成した貼り合わせ基板にエッチングを行うことにより、該貼り合わせ基板の平面視における上記第1及び第2表示素子区画の外側部分を除去する基板エッチングステップと、
を備えた表示装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置の製造方法において、
上記保護膜形成ステップにおけるエッチング保護膜の形成を、上記第1及び第2基板の外表面における上記第1及び第2表示素子区画に対応する領域にそれぞれ行う表示装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載された表示装置の製造方法において、
上記第1基板準備ステップと上記貼り合わせ基板形成ステップとの間に、該第1基板の上記外部接続端子にエッチング保護膜を形成するステップをさらに備えた表示装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載された表示装置の製造方法において、
上記貼り合わせ基板形成ステップの前に、上記第1及び/又は第2基板の貼り合わせ面側において上記表示素子区画を囲うようにシール材を設けるステップをさらに備えた表示装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載された表示装置の製造方法において、
上記第1基板は上記第1表示素子区画を、上記第2基板は上記第2表示素子区画を、それぞれ複数有していると共に、
上記保護膜形成ステップにおいて、上記貼り合わせ基板を構成する上記第1及び第2基板の少なくとも一方の外表面における、上記第1及び第2表示素子区画に対応する領域にそれぞれエッチング保護膜を形成し、
上記基板エッチングステップにおいて上記貼り合わせ基板の平面視における上記複数の第1及び第2表示素子区画の外側部分をそれぞれ除去する表示装置の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−20479(P2008−20479A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189512(P2006−189512)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】