説明

表示装置

【課題】点灯時と非点灯時とで明確に区別をつけることが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光出射部(40)と非出射部(41)を備えた発光体(15)と、発光体の光出射側に設けられたλ/4位相差層(13)と、λ/4位相差層に対して発光体の反対側に設けられた偏光層(12)とを有することを特徴とする表示装置(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字や図形等を印刷した操作パッド、ELシート及びスイッチ層等から構成される照光スイッチが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図1に、このような照光スイッチを示す。図1(a)は照光スイッチが点灯している場合を示し、図1(b)は(a)のAA´断面図を示し、図1(c)は照光スイッチが非点灯している場合を示し、図1(d)は(c)のAA´断面図を示している。
【0004】
図1に示す照光スイッチは、数字をかたどったマスク1、シート状のキー操作パッド2、接着層3、スペーサ4、接着層5、ELシート6、接着層7、ベース8、固定接点9、可動接点10等から構成される。また、ユーザの指によって、シート状のキー操作パッド2が押圧されて、可動接点10が固定接点9と接触すると、入力信号が、不図示の制御部へ入力される。
【0005】
また、照光スイッチが点灯されている場合には、不図示の制御部から駆動制御されてELシート6が発光し、ELシート6からの発光光M1によってマスク1の数字の内側が発光するように構成されており(図1(a)及び(b)参照)、照光スイッチが非点灯されている場合には、ELシート6は発光しない状態に維持される(図1(c)及び(d))。
【0006】
照光スイッチが非点灯されている場合には、マスク1の数字の内側は暗い状態とされていることが好ましいしいが、外部から照光スイッチのマスク1の開口部(数字の内側部分)を通過して内部に侵入した外光L1はELシート6の表面で反射し、再度マスク1の開口部を通過して照光スイッチの外部へ出射する(図1(d))。したがって、マスク1の数字の内側は、完全に暗い状態とすることができず、照光スイッチが点灯されている場合と、非点灯されている場合とで、高いコントラスト差を得ることが難しかった。したがって、特に照光スイッチが明るい場所にある場合には、ユーザにとって、点灯しているとスイッチと点灯されていないスイッチの区別が明確ではないという不具合があった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−273831号公報(図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明では、上記問題点を解消することが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明では、点灯時と非点灯時とで明確に区別をつけることが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る表示装置は、光出射部と非出射部を備えた発光体と、発光体の光出射側に設けられたλ/4位相差層と、λ/4位相差層に対して前記発光体の反対側に設けられた偏光層を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る表示装置では、発光体は、マスクにより光出射部と非出射部が形成されていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る表示装置では、発光体はEL素子からなり、EL素子がパターニングされることにより、光出射部と非出射部が形成されていることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係る表示装置では、偏光層とλ/4位相差層との間に配置された半透過反射層を更に有することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る表示装置では、発光体に対してλ/4位相差層の反対側に配置された入力信号を発生するためのスイッチ層を更に有することが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る表示装置では、偏光層に対してλ/4位相差層の反対側に配置されたキー操作層を更に有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示装置に外部から侵入した外光が内部で反射して外部に射出しないように構成されているため、表示装置の点灯時と非点灯時のコントラストを高くすることが可能となった。また、それによって、ユーザが点灯時と非点灯時の区別がつき易くすることが可能となった。
【0017】
さらに、本発明によれば、半透過反射板を利用した場合には、発光層からの発光光を効率良く利用することができるので、表示装置の点灯時と非点灯時のコントラストをより高くすることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明に係る表示装置について説明する。
【0019】
図2は、本発明に係る表示装置100を携帯電話のテンキーに応用した例を示した図である。図2(a)は正面図であり、図2(b)は(a)のBB´断面図である。
【0020】
表示装置10は、シート状のキー操作パッド11、偏光層12、λ/4位相差層13、マスク層14、発光体15、スイッチ層16等から構成される。
【0021】
シート状のキー操作パッド11は、数字の1〜9に対応する凸部21〜29を有した、透明なプラスチックフィルム層であり、各凸部21〜29は携帯電話機の外枠20から外部に突出されている。
【0022】
マスク層14は、数字の内側部分のみ透明で、他は黒色に着色されている薄膜シート層である。
【0023】
発光体15は、エリア毎に発光箇所の切替可能なELシートから構成されており、ELシートは、透明電極層、発光層、絶縁層、背面電極層等を含んでいる。発光体15は、不図示の制御部からの駆動信号に応じて、各数字に対応する箇所のみを選択的に発光できるように構成されている。なお、発光体15は、有機ELシート及び無機ELシートの何れであっても良いし、LED光源等を利用した導光シートであっても良い。発光体15は、マスク層14によって光出射部40と非出射部41とを備えることとなる。図2の場合、結果的に光出射部40は、数字の1〜9の形を有することとなる。なお、ELシート自体がパターニングされることにより、光出射部40と非出射部41とを備えるように構成しても良い。
【0024】
スイッチ層は、凸部21〜29の何れかが押圧された場合に(図2(b)の矢印30参照)、機械的、静電容量的等によって、押圧を感知して、入力信号を発生し、不図示の制御部へ送信することができるように構成されている。即ち、凸部21に対応する感知箇所17、凸部22に対応する感知箇所18、凸部23に対応する感知箇所19等がスイッチ層16に配置されている。例えば、機械的に押圧を感知する場合には、図1に示すように、固定接点及び可動接点の組を各感知箇所に設けるようにする。
【0025】
以下、表示装置100の点灯時と非点灯時の機能について説明する。
【0026】
発光体15の凸部21(数字の1に対応)に対応する箇所が選択的に発光した場合(表示装置100の点灯時)、発光体15から出射した光M2は、マスク層14の開口部を通過して、λ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13通過して、位相差π/2を与えられた光は、偏光層12へ入射する。この時、偏光層12の偏光方向と同一の光のみ偏光層12を通過し、他の光は偏光層12に吸収される。偏光層12を通過した光は、シート状のキー操作パッド11を通過して表示装置100の外部に出射される。したがって、図2(a)に示す様に、数字の1の内側のみが発光しているようにユーザに視認されることとなる。
【0027】
発光体15の凸部22(数字の2に対応)に対応する箇所が発光していない場合(表示装置100の非点灯時)、表示装置100の外部から入射した外光L2は、シート状のキー操作パッド11を通過し、偏光層12に入射する。外光L2の内、偏光層12の透過軸と平行な直線偏光を有する光のみが、偏光層12を通過してλ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13では、入射光に位相差π/2を与えるため、偏光層12を通過した直線偏光光は右及び左の何れか一方の円偏光光に変換される。λ/4位相差層13を通過した円偏光光は、マスク層14の開口部を通過して発光体15の表面で反射し、反射と同時に円偏光の方向が反転される。
【0028】
発光体15から反射して反転された円偏光光は、再度マスク層14の開口部を通過しλ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13に入射した光は、最初にλ/4位相差層13に入射した時とは90度方向が異なる直線偏光光に変換される。したがって、λ/4位相差層13を透過した光の偏光方向は、偏光層12の透過軸の方向と90度異なっているので、偏光層12を通過することなく、偏光層12で吸収される。
【0029】
このように、発光体15が点灯していない場合に、表示装置100に外部から侵入した外光L2は、外部に反射して出射することが無いので、マスク層14の開口部の内側も暗い状態に維持することができる(図2(a)の凸部22参照)。したがって、本発明に係る表示装置100では、点灯時(点灯箇所)と非点灯時(非点灯箇所)におけるコントラストを高くすることができ、点灯時(点灯箇所)と非点灯時(非点灯箇所)の区別が明確になる。
【0030】
図3は、本発明に係る他の表示装置110を携帯電話のテンキーに応用した例を示した図である。
【0031】
図3において、図2と同様の構成には同じ番号を付した。また、表示装置110の正面図は、図2(a)と同様である。図3に記載される表示装置110と図2に記載される表示装置100との差異は、図3に示す表示装置110が、偏光層12とλ/4位相差層13との間に、半透過反射板101を有する点である。図2の場合と同様に、図3に示す表示装置でも発光体15はマスク層14によって光出射部40と非出射部41とを備えることとなる。
【0032】
半透過反射板101は、透過軸と、透過軸に対して90度傾いた反射軸とを有し、透過軸と平行な直線偏光光を透過させ、反射軸と平行な直線偏光光を反射する機能を有する。図3の例では、半透過反射板101の透過軸と偏光層12の透過軸とが平行になるように配置した。
【0033】
以下、表示装置110の点灯時と非点灯時の機能について説明する。
【0034】
発光体15の凸部21(数字の1に対応)に対応する箇所が選択的に発光した場合(表示装置110の点灯時)、発光体15から出射した光M3は、マスク層14の開口部を通過して、λ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13を通過して、位相差π/2を与えられた光は、半透過反射板101に入射する。この時、半透過反射板101の透過軸と平行な直線偏光光M4のみが、半透過反射板101を透過する。さらに、半透過反射板101を透過した光M4は、半透過反射板の透過軸と偏光層12の透過軸が平行であるので、偏光層12を透過し、シート状のキー操作パッド11を通過して表示装置110の外部に出射される。
【0035】
また、半透過反射板101に入射した光の内、半透過反射板101の反射軸と平行な光M5は、反射されてλ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13に入射した光は、直線偏光光から円偏光光に変換されて、マスク層14を通過して発光体15の表面で反射され、反射と同時に円偏光の方向が反転される。
【0036】
発光体15から反射して反転された円偏光光M6は、再度マスク層14の開口部を通過しλ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13に入射した光M6は、最初にλ/4位相差層13に入射した時とは90度方向が異なる直線偏光光に変換される。したがって、λ/4位相差層13を透過した光M6の偏光方向は、半透過反射板101の透過軸と平行となっているので、半透過反射板101、偏光層12及びシート状のキー操作パッド11を通過して表示装置110の外部に出射される。
【0037】
このように、図3に示す表示装置110では、発光体15からの発光光の一部が偏光層12で吸収されずに、再度外部に射出するので、発光体15からの発光光を有効に利用することが可能となる。即ち、発光体15の光量が同じであれば、図3に示す表示装置110の方が、図2に示す表示装置100よりも、明るく数字の内部を照明することが可能となる。
【0038】
発光体15の凸部22(数字の2に対応)に対応する箇所が発光していない場合(表示装置110の非点灯時)、表示装置100の外部から侵入した外光L3は、シート状のキー操作パッド11を通過し、偏光層12に入射する。外光L3の内、偏光層12と偏光方向が同じ光のみが、偏光層12及び半透過反射板101を通過して、λ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13では、入射光に位相差π/2を与えるため、偏光層12及び半透過反射板101を通過した直線偏光光は右及び左の何れか一方の円偏光光に変換される。λ/4位相差層13を通過した円偏光光は、マスク層14の開口部を通過して発光体15の表面で反射し、反射と同時に円偏光の方向が反転される。
【0039】
発光体15から反射して反転された円偏光光は、再度マスク層14の開口部を通過しλ/4位相差層13に入射する。λ/4位相差層13に入射した光は、最初にλ/4位相差層13に入射した時とは90度方向が異なる直線偏光光に変換される。したがって、λ/4位相差層13を透過した光の偏光方向は、半透過反射軸101の透過軸の方向と90度異なっているので、半透過反射軸101で反射される。
【0040】
このように、発光体15が発光していない場合に、表示装置110に外部から侵入した外光L3は、外部に反射して出射することが無いので、マスク層14の開口部の内側も暗い状態に維持することができる(図2(a)の凸部22参照)。したがって、本発明に係る表示装置110でも、点灯時(点灯箇所)と非点灯時(非点灯箇所)におけるコントラストを高くすることができ、点灯時(点灯箇所)と非点灯時(非点灯箇所)の区別が明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の表示装置の例を示す図である。
【図2】本発明に係る表示装置の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る他の表示装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
100、110 表示装置
11 シート状のキー操作パッド
12 偏光層
13 λ/4位相差層
14 マスク層
15 発光体
16 スイッチ層
40 光出射部
41 非出射部
101 半透過反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射部と非出射部を備えた発光体と、
前記発光体の光出射側に設けられたλ/4位相差層と、
前記λ/4位相差層に対して前記発光体の反対側に設けられた偏光層と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記発光体は、マスクにより前記光出射部と前記非出射部が形成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記発光体はEL素子からなり、前記EL素子がパターニングされることにより、前記光出射部と前記非出射部が形成される、請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記偏光層と前記λ/4位相差層との間に配置された半透過反射層を更に有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光体に対して前記λ/4位相差層の反対側に配置された入力信号を発生するためのスイッチ層を更に有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記偏光層に対して前記λ/4位相差層の反対側に配置されたキー操作層を更に有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−166067(P2008−166067A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352835(P2006−352835)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】