説明

表示装置

【課題】視認者との相対的な位置関係に応じて形成する視差バリアの形状を変化させる表示装置において、クロストークの発生を抑制する。
【解決手段】各画素が有する複数の副画素の一部において表示を行い、その他の副画素において表示を行わない。すなわち、当該画素に占める表示面積を低減する。よって、クロストークの発生を抑制することが可能である。また、副画素が正方形状又は略正方形状を有する。よって、視認者との相対的な位置関係に応じて表示を行う副画素が選択される場合であっても、画素における表示面積(表示を行う複数の副画素)の形状が大きく変化することがない。したがって、当該位置関係が変化する場合(配設される視差バリアが変化する場合)であっても、当該位置関係に依存せずにクロストークの発生を抑制することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。特に、3次元表示が可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機などの大型表示装置から携帯電話などの小型表示装置に至るまで表示装置の普及が進んでいる。今後は、より付加価値の高い製品が求められており開発が進められている。近年では、より臨場感のある画像を再現するため、3次元表示が可能な表示装置の開発が進められている。
【0003】
3次元表示を行う表示方式としては、左目に視認される画像と右目に視認される画像を分離するための眼鏡を用いる方式(画像分離方式ともいう)と、表示部において左目に視認される画像と右目に視認される画像を分離するための構成を追加し、裸眼での3次元表示を可能にする裸眼方式と、がある。裸眼方式による3次元表示は、眼鏡を別途準備する必要がなく、利便性に優れている。裸眼方式による3次元表示は、携帯電話及び携帯型遊技機等で普及しつつある。
【0004】
裸眼方式による3次元表示としては、表示部に視差バリアを追加する、所謂視差バリア方式(パララックスバリア方式とも言う)が知られている。視差バリア方式における視差バリアはストライプ状の遮光部であり、3次元表示から2次元表示に切り替えた際に解像度を低下させる原因になる。そのため、視差バリア方式では、2次元表示と3次元表示を切り替える場合に、パターニングされた透明電極を有する液晶パネルを用いる構成が提案されている(特許文献1参照)。この場合、当該透明電極に印加する電圧を制御することで液晶層による透光または遮光を制御し、視差バリアの有無を切り替えることが可能である。
【0005】
さらに、視認者に対する携帯電話等の表示部の向きが変化した場合に、視差バリアを配設する方向を変化させる携帯電話等も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−258013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の視差バリアは、表示部に存在する複数の画素の一部を視認者の左目に視認させ、当該複数の画素の残部を当該利用者の右目に視認させるために設けられる。例えば、視差バリアが配設される基板(以下、シャッタパネルともいう)において、当該視認者の左目と右目を結ぶ直線に対して垂直方向又は略垂直方向にストライプ状に配設された光学シャッタによって表示を遮る。これにより、視認者の左目又は右目に選択的に複数の画素の表示を視認させることが可能となる。
【0008】
ただし、当該視差バリア方式による3次元表示では、視認者と表示装置の相対的な位置関係が所望の位置関係でない場合にクロストークを生じることがある。ここで、クロストークとは、右(左)目用画素の表示の一部が左(右)目に視認されることを言うこととする。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、視認者との相対的な位置関係に応じて視差バリアの形状を変化させる表示装置において、クロストークの発生を抑制することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の表示装置は、表示素子単位となる画素が、正方形状又は略正方形状の複数の副画素を有する。そして、当該複数の副画素の一部において表示を行い、且つその他の副画素においては表示を行わない(黒表示を行う)。なお、この場合には、ストライプ状に配設される視差バリアの長軸方向に沿って直線的に配設される副画素において表示を行う。
【0011】
具体的には、本発明の一態様は、マトリクス状に配設された複数の画素を有する表示パネルと、マトリクス状に配設された複数の光学シャッタを有するシャッタパネルと、表示パネルにおける複数の画素を用いた表示及びシャッタパネルにおける複数の光学シャッタを用いた視差バリアの配設を制御する制御部と、を有し、画素は、正方形状又は略正方形状の、第1の副画素と、第1の副画素の第1の方向に配設された少なくとも一の第2の副画素と、第1の方向と直交又は略直交する第2の方向に配設された少なくとも一の第3の副画素と、を有し、制御部が、表示パネルが有する複数の画素のそれぞれにおいて、第1の副画素及び第2の副画素を用いて表示を行い、且つ第3の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、シャッタパネルが有する複数の光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第1の表示状態と、制御部が、表示パネルが有する複数の画素のそれぞれにおいて、第1の副画素及び第3の副画素を用いて表示を行い、且つ第2の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、第1の表示状態において遮光状態とされた複数の光学シャッタの一部とは異なる、シャッタパネルが有する複数の光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第2の表示状態と、を有する表示装置である。
【0012】
また、マトリクス状に配設された複数の画素を有する表示パネルと、マトリクス状に配設された複数の光学シャッタを有するシャッタパネルと、表示パネルにおける複数の画素を用いた表示及びシャッタパネルにおける複数の光学シャッタを用いた視差バリアの配設を制御する制御部と、を有し、画素は、それぞれが正方形状又は略正方形状であるA行B列(A、Bは2以上の自然数)に配設されたA×B個の副画素を有し、制御部が、表示パネルが有する複数の画素のそれぞれにおいて、特定の1行に配設されたB個の副画素を用いて表示を行い、且つ特定の1行以外の(A−1)行に配設された(A−1)×B個の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、シャッタパネルが有する複数の光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第1の表示状態と、制御部が、表示パネルが有する複数の画素のそれぞれにおいて、特定の1列に配設されたA個の副画素を用いて表示を行い、且つ特定の1列以外の(B−1)列に配設されたA×(B−1)個の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、第1の表示状態において遮光状態とされた複数の光学シャッタの一部とは異なる、シャッタパネルが有する複数の光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第2の表示状態と、を有する表示装置も本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様の表示装置においては、各画素が有する複数の副画素の一部において表示を行い、その他の副画素において表示を行わない。すなわち、当該画素に占める表示面積を低減する。よって、クロストークの発生を抑制することが可能である。
【0014】
また、本発明の一態様の表示装置においては、副画素が正方形状又は略正方形状を有する。よって、視認者との相対的な位置関係に応じて任意に表示を行う副画素を選択する場合であっても、画素における表示面積(表示を行う複数の副画素)の形状が大きく変化することがない。したがって、当該位置関係が変化する場合(配設される視差バリアの形状が変化する場合)であっても、当該位置関係に依存せずにクロストークの発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】表示装置の構成例を示す図。
【図2】表示パネルの構成例を示す断面図。
【図3】(A)、(B)表示パネルの構成例を示す断面図。
【図4】(A)画素が有する副画素の配設例を示す図、(B)画素の等価回路例を示す図。
【図5】(A)〜(F)画素が有する副画素の配設例を示す図。
【図6】(A)画素の等価回路例を示す図、(B)各種表示状態における各種配線の電位を示す図。
【図7】(A)、(B)表示装置の表示状態の一例を示す図。
【図8】(A)、(B)表示装置の表示状態の一例を示す図。
【図9】(A)、(B)電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0017】
本発明の一態様の表示装置について図1〜図8を参照して説明する。
【0018】
<表示装置の構成例>
図1は、本発明の一態様に係る表示装置の構成例を示す図である。なお、図1では、視認者による視認の状況を表すため、視認者の左目31及び右目32を併記している。図1に示す表示装置は、複数の画素100がマトリクス状に配設された表示パネル10と、複数の光学シャッタ200がマトリクス状に配設されたシャッタパネル20と、表示パネル10における画像又は動画の表示及びシャッタパネル20における視差バリアの配設を制御する制御部30とを有する。なお、複数の光学シャッタ200は、複数の画素よりも高精細に配設されている。換言すると、シャッタパネル20が有する光学シャッタ200の個数は、表示パネル10が有する画素100の個数よりも多い。
【0019】
表示パネル10は、画素100毎に所望の色の表示を行うことで、マトリクス状に配設された複数の画素100全体において特定の画像を表示することが可能である。また、当該画像を連続的に切り替えることによって動画を表示することが可能である。例えば、表示パネル10として、液晶によって光の偏光を制御することによって表示を行うパネル(いわゆる、液晶表示装置)、又は有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELともいう)を利用して表示を行うパネルなどを適用することが可能である。
【0020】
シャッタパネル20は、表示パネル10から光が放出される方向、すなわち表示装置を視認者が視認する側に設けられている。シャッタパネル20は、複数の光学シャッタ200を透光状態又は遮光状態とする。そして、シャッタパネル20において、選択的に複数の光学シャッタ200を遮光状態とすることで、視差バリアを配設することが可能である。例えば、シャッタパネル20として、液晶によって光の偏光を制御することによって透光状態又は遮光状態を選択するパネル(一般的な液晶表示装置から、バックライト及びカラーフィルタなどの構成要件を除去したパネル)などを適用することが可能である。
【0021】
制御部30は、所望の画像又は動画を表示させるための信号等を表示パネル10に供給する。また、制御部30は、当該表示装置において2次元表示及び3次元表示のいずれの表示を行うかを選択する機能を有する。そして、3次元表示を行う場合には、表示パネル10に対する信号等のみならず、視差バリアを配設するための信号等をシャッタパネル20に対して供給する。さらに、制御部30は、視認者に対する表示装置の向きが変化したことを検知し、当該検知した向きに応じて表示パネル10及びシャッタパネル20に供給する信号を変更する機能を有する。具体的には、当該検知した向きに応じて表示パネル10における表示を90°単位で、且つシャッタパネル20における視差バリアの長軸方向を90°単位で変更する。例えば、制御部30に加速度センサ、重力センサ、又は角度センサ(ジャイロセンサ等)等のセンサを設け、当該センサに検知された情報に応じて表示パネル10及びシャッタパネル20に出力する信号を制御する構成とすることができる。また、当該制御に画像認識機能を設け、当該機能によって検知される視認者の顔の向きなどの情報に応じて表示パネル10及びシャッタパネル20に出力する信号を制御する構成とすることもできる。
【0022】
<表示パネル10の構成例>
上述した表示パネル10の構成例について、図2を参照して説明する。なお、図2は、有機エレクトロルミネッセンスを利用して白色を呈する光を発光する発光素子と、発光素子が発光する白色を呈する光に含まれる特定の波長帯域の光を透過させることで白色を呈する光から有彩色を呈する光へと変化させるカラーフィルタと、を有する3つの副画素240a、240b、240cの断面図である。
【0023】
図2に示す表示パネルは、図2に矢印で示す方向に光を発する(表示を行う)。すなわち、発光層218が形成された第1の基板201を介することなく、第2の基板251を介して発光する所謂上面射出構造(トップエミッション構造)の表示パネルである。なお、発光層218は、有機エレクトロルミネッセンスを使用して白色を呈する光を発光する。
【0024】
図2に示すように、第1の基板201と、第2の基板251との間に、青色を呈する光を射出するか否かが選択される副画素240a、緑色を呈する光を射出するか否かが選択される副画素240b、及び赤色を呈する光を射出するか否かが選択される副画素240cが形成されている。また、第1の基板201上には、発光素子の駆動を制御するトランジスタ230と、トランジスタ230に電気的に接続された反射電極層214と、を有している。
【0025】
なお、副画素240aには、青色の領域に発光強度を有する発光素子が形成され、副画素240bには、緑色の領域に発光強度を有する発光素子が形成され、副画素240cには、赤色の領域に発光強度を有する発光素子が形成されている。なお、これらの発光素子は、微小光共振器(マイクロキャビティ)としての機能を備えることで、所望の発光スペクトルを増強させている。
【0026】
副画素240aにおいては、青色の領域に発光強度を有する発光素子として、反射電極層214の上に発光層218が直接形成され、発光層218の上に半透過電極層219が形成されている。
【0027】
また、副画素240bにおいては、緑色の領域に発光強度を有する発光素子として、反射電極層214の上に第1の透明電極層220aが形成され、第1の透明電極層220aの上に発光層218が形成され、発光層218の上に半透過電極層219が形成されている。
【0028】
また、副画素240cにおいては、赤色の領域に発光強度を有する発光素子として、反射電極層214の上に第2の透明電極層220bが形成され、第2の透明電極層220bの上に発光層218が形成され、発光層218の上に半透過電極層219が形成されている。
【0029】
このように、それぞれの副画素(副画素240a、240b、240c)の発光素子で反射電極層214と半透過電極層219の間の構成が異なる。
【0030】
また、第2の基板251は、第2の基板251の上に、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜252と、カラーフィルタ254と、オーバーコート256を有している。カラーフィルタ254は、有色層であり、各発光素子からの発光の色(青、緑、赤)に対応する光を透過し、その他の光を吸収する。すなわち、発光層218が発する光の一部がカラーフィルタ254及び第2の基板251を介して射出され、当該光の残部がカラーフィルタ254によって吸収される。
【0031】
このように、それぞれの副画素(副画素240a、240b、240c)の発光素子で反射電極層214と半透過電極層219の光学的距離が異なっていると言える。この光学的距離は、各画素の発光素子が必要なスペクトルが共振効果により増幅される光学的距離とすればよい。また、副画素240aに配置された青色の領域に発光強度を有する発光素子のみ、反射電極層214の上に発光層218が直接形成され、発光層218の上に半透過電極層219が形成されている。すなわち、透明電極層(第1の透明電極層220a、及び第2の透明電極層220b)が形成されない。
【0032】
このような構造とすることにより、副画素240aに形成する透明電極層が不要となるため、工程数の削減、及びコストの削減が実現できる。
【0033】
なお、第1の基板201と第2の基板251の間にある空間260は、特に限定はなく、透光性を有していれば良い。ただし、空間260は、屈折率が空気よりも大きい透光性を有した材料で充填した方が好ましい。屈折率が小さい場合、発光層218から射出された斜め方向の光が、空間260によりさらに屈折し、場合によっては隣接の画素から光が射出してしまう。従って、空間260としては、例えば、第1の基板201と第2の基板251とが、接着可能な屈折率が大きい透光性の接着剤を用いることができる。また、窒素やアルゴンなどの不活性な気体なども用いることができる。
【0034】
続けて、図2に示した表示パネルの詳細な説明、及び作製方法の説明を行う。
【0035】
まず、発光素子の駆動を制御するトランジスタ230、及び発光層218等が形成された第1の基板201の作製方法を以下に示す。
【0036】
絶縁表面を有する基板である第1の基板201上に、導電層を形成した後、第1のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去してゲート電極層202を形成する。図2のように、ゲート電極層202の端部にテーパー形状が形成されるようにエッチングすると、積層する膜の被覆性が向上するため好ましい。
【0037】
第1の基板201に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。第1の基板201にはガラス基板を用いることができる。
【0038】
ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。なお、酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いることが好ましい。
【0039】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。当該表示パネルは、第2の基板251を介して発光を取り出すトップエミッション構造であるので、第1の基板201としては、非透光性の金属基板等の基板を用いることもできる。
【0040】
下地膜となる絶縁膜を第1の基板201とゲート電極層202との間に設けてもよい。下地膜は、第1の基板201からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜から選ばれた一又は複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0041】
ゲート電極層202は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0042】
次に、ゲート電極層202上にゲート絶縁層204を形成する。ゲート絶縁層204は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素層、窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層、又は酸化アルミニウム層を単層で又は積層して形成することができる。例えば、成膜ガスとして、SiH、NOを用いてプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を形成すればよい。
【0043】
次に、半導体層を形成し、第2のフォトリソグラフィ工程により島状の半導体層206を形成する。
【0044】
半導体層206は、シリコン半導体又は酸化物半導体を用いて形成することができる。シリコン半導体としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、又はアモルファスシリコンなどを用いることができる。また、酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Zn−O系酸化物半導体、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体、In−Ga−O系酸化物半導体、一元系金属酸化物であるIn−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用いることができる。なお、本明細書においては、例えば、In−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、インジウム(In)、錫(Sn)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する金属酸化物、という意味であり、その化学量論的組成比は特に問わない。また、上記酸化物半導体は、シリコンを含んでいてもよい。ただし、半導体層206としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物である酸化物半導体を用いて、オフ電流の低い半導体層とすることで、オフ時のリーク電流が抑制できるため、好ましい。
【0045】
次に、ゲート絶縁層204、及び半導体層206上に導電膜を形成し、第3のフォトリソグラフィ工程によりソース電極層及びドレイン電極層208を形成する。
【0046】
ソース電極層及びドレイン電極層208に用いる導電膜としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方または双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。また、ソース電極層及びドレイン電極層208に用いる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0047】
次に、半導体層206、及びソース電極層及びドレイン電極層208上に、絶縁層210を形成する。絶縁層210としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0048】
次に、絶縁層210上に第2の絶縁層212を形成する。
【0049】
第2の絶縁層212としては、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択するのが好適である。例えば、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、第2の絶縁層212を形成してもよい。
【0050】
次に、第4のフォトリソグラフィ工程により、第2の絶縁層212、及び絶縁層210にソース電極層及びドレイン電極層208に達する開口を形成する。開口方法は、ドライエッチング、ウェットエッチングなど適宜選択すれば良い。
【0051】
次に、絶縁層212、ソース電極層及びドレイン電極層208上に導電膜を形成し、第5のフォトリソグラフィ工程により、反射電極層214を形成する。
【0052】
反射電極層214としては、発光層218(後に形成される)が発する光を効率よく反射する材料が好ましい。なぜなら光の取り出し効率を向上できるためである。なお、反射電極層214を積層構造としてもよい。例えば、発光層218に接する側に金属酸化物による導電膜、またはチタン等を薄く形成し、他方に反射率の高い金属膜(アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または銀など)を用いることができる。このような構成とすることで、発光層218と反射率の高い金属膜(アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または銀など)との間に形成される絶縁膜の生成を抑制することができるので好適である。
【0053】
次に、反射電極層214上に透明導電膜を成膜し、第6のフォトリソグラフィ工程により、第1の透明電極層220aを形成する。
【0054】
次に、反射電極層214、及び第1の透明電極層220a上に透明導電膜を成膜し、第7のフォトリソグラフィ工程により第2の透明電極層220bを形成する。なお、副画素240aのみ第1の透明電極層、及び第2の透明電極層は形成されない。
【0055】
第1の透明電極層220a、及び第2の透明電極層220bに使用できる材料としては、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0056】
なお、第1の透明電極層220a、及び第2の透明電極層220bの形成方法はこれに限定されない。例えば、第2の透明電極層220bに必要な膜厚の透明導電膜を成膜し、第1の透明電極層220aとなる部分のみドライエッチング、またはウェットエッチング等を行い、第1の透明電極層220aに必要な膜厚まで、透明導電膜を除去する方法なども用いることもできる。また、第2の透明電極層220bは、第1の透明電極層220aに使用した透明導電膜との積層構造としてもよい。
【0057】
このように、副画素240aのみ透明電極層を形成しない構成とすることで、マスク枚数の削減や、不要な工程の削減によりコストの低減が実現できる。
【0058】
次に、反射電極層214、第1の透明電極層220a、及び第2の透明電極層220bの上に隔壁216を形成する。
【0059】
隔壁216としては、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、副画素240aでは、反射電極層214上に開口部を形成し、副画素240bでは、第1の透明電極層220a上に開口部を形成し、副画素240cでは、第2の透明電極層220b上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0060】
次に、反射電極層214、第1の透明電極層220a、第2の透明電極層220b、及び隔壁216上に発光層218を形成する。発光層218は、単層の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良く、発光層218が発する光は、スペクトルが赤、緑、青のそれぞれの波長領域にピークを有する光であることが好ましい。
【0061】
次に、発光層218上に半透過電極層219を形成する。
【0062】
なお、反射電極層214、または半透過電極層219は、いずれか一方が発光層218の陽極として機能し、他方は発光層218の陰極として機能する。陽極として機能する電極には、仕事関数の大きな物質が好ましく、陰極として機能する電極には仕事関数の小さな物質が好ましい。
【0063】
以上の工程により、発光素子の駆動を制御するトランジスタ230、及び発光層218が設けられた第1の基板201が形成される。
【0064】
次に、遮光膜252、カラーフィルタ254、及びオーバーコート256が形成された第2の基板251の作製方法を以下に示す。
【0065】
まず、第2の基板251上に導電膜を形成し、第8のフォトリソグラフィ工程を行い、遮光膜252を形成する。遮光膜252により、それぞれの副画素間での混色を防止することができる。ただし、遮光膜252は設けなくてもよい。
【0066】
遮光膜252としては、チタン、クロムなどの反射率の低い金属膜、または、黒色顔料や黒色染料が含浸された有機樹脂膜などを用いることができる。
【0067】
次に、第2の基板251、及び遮光膜252の上に、カラーフィルタ254を形成する。
【0068】
カラーフィルタ254については、特定の波長帯域の光を透過する有色層である。例えば、赤色の波長帯域の光を透過する赤色(R)のカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過する緑色(G)のカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過する青色(B)のカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、公知の材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成する。
【0069】
なお、ここでは、RGBの3色を用いた方法について説明したが、これに限定されず、RGBY(黄色)の4色を用いた構成、または、5色以上の構成としてもよい。
【0070】
次に、遮光膜252、及びカラーフィルタ254の上にオーバーコート256を形成する。オーバーコート256は、アクリル、ポリイミド等の有機樹脂膜により形成することができる。オーバーコート256により、カラーフィルタ254に含有された不純物成分等を発光層218側への拡散を防止することができる。また、オーバーコート256は、有機樹脂膜と無機絶縁膜との積層構造としてもよい。無機絶縁膜としては、窒化シリコン、酸化シリコンなどを用いることができる。なお、オーバーコート256は、形成しない構成としてもよい。
【0071】
以上の工程により、遮光膜252、カラーフィルタ254、及びオーバーコート256が設けられた第2の基板251が形成される。
【0072】
また、第1の基板201と、第2の基板251と、をアライメントして張り合わせを行い表示パネルとする。第1の基板201と第2の基板251の張り合わせは、特に限定はなく、接着可能な屈折率が大きい透光性の接着剤などを用いて行うことができる。
【0073】
以上のように、当該表示パネルは、青色の領域に発光強度を有する発光素子が形成された副画素と、緑色の領域に発光強度を有する発光素子が形成された副画素と、赤色の領域に発光強度を有する発光素子が形成された副画素と、発光素子の光学的距離を変更している。各発光素子でマイクロキャビティにより所望のスペクトルを増強させることで、色純度の高い表示パネルを実現できる。また、青色の波長を射出する発光素子が形成された副画素のみ透明電極層を用いていないため、工程数の削減、及びコストの削減を実現できる。
【0074】
なお、ここでは、白色発光する発光素子及びカラーフィルタを組み合わせたトップエミッション構造(以下、白色+CF+TE構造と省略する)の表示パネルについて説明したが、当該表示パネルとして、塗り分け方式により形成した発光素子のトップエミッション構造(以下、塗り分け+TE構造)の表示パネルを適用することも可能である。なお、塗りわけ方式とは、各画素にRGBの材料を蒸着法などにより塗り分ける方式である。
【0075】
ここで、白色+CF+TE構造の表示パネルと、塗り分け+TE構造の表示パネルとについて、以下比較を行う。
【0076】
まず、カラー化に対しては、白色+CF+TE構造の場合、カラーフィルタを用いてカラー化を行う。そのため、カラーフィルタが必要になる。一方、塗り分け+TE構造の場合、各画素を蒸着等により塗り分けてカラー化を行うため、カラーフィルタは不要である。したがって、塗り分け+TE構造の場合、高輝度発光又は低電力駆動が可能となる。
【0077】
ただし、白色+CF+TE構造では、カラーフィルタが必要であるが、塗り分け+TE構造では、塗り分けを行うためにメタルマスク等が必要となる。また、メタルマスクを用いずにインクジェット等を利用して塗り分けを行うことも可能であるが、技術的な課題が多く困難である。なお、メタルマスクを使用した場合、蒸着材料がメタルマスクにも蒸着されてしまうため、材料使用効率が悪く、コストが高いといった課題もある。また、メタルマスクと発光素子とが接触し、発光素子の破壊、または接触によるキズ、パーティクル等が発生するため歩留まりが低下してしまう。したがって、製造コスト又は生産性という観点においては、白色+CF+TE構造の方が有利である。
【0078】
また、白色+CF+TE構造の場合、偏光板を不要とすることが可能である。一方、塗り分け+TE構造においては、偏光板が必要となる。また、マイクロキャビティを利用した色純度の向上は、白色+CF+TE構造、及び塗りわけTE構造ともに利用することは可能である。
【0079】
次に、画素サイズに対しては、塗りわけ+TE構造では、各画素の色を塗り分ける必要があり、画素間に塗り分けに必要な領域を設ける必要がある。そのため、1画素のサイズを大きくすることが出来ない。これによって、開口率が大幅に低減してしまう。一方、白色+CF+TE構造の場合、画素間に塗り分けに必要な領域を設ける必要がないため、1画素のサイズを大きくすることができ、これに伴い開口率を向上させることができる。
【0080】
表示パネルを大型化する場合、表示パネルの製造技術が必要不可欠な要素となる。塗り分け+TE構造の場合、塗り分けのためにメタルマスクが必要となり、大型対応のメタルマスクの技術、及び生産設備が確立しておらず困難である。また、仮に大型対応のメタルマスクの技術、及び生産設備が確立したとしても、蒸着材料がメタルマスクにも蒸着されるといった材料使用効率の課題は解決しない。一方、白色+CF+TE構造の場合、メタルマスクが不要となるため、従来までの生産設備を用いて製造が可能であり好適である。
【0081】
また、表示パネルの生産性については、表示パネルの製造装置が重要な要素となる。例えば、発光素子を複数段の積層構造とする場合、表示パネルを製造する装置をインラインまたは、マルチチャンバーとして複数の蒸着源を一度に、または連続して基板に形成することが好ましい。塗りわけ+TE構造の場合、各画素の色を塗り分ける必要があるため、所望の位置に形成するためにメタルマスクを交換して形成する必要がある。メタルマスクを交換するために、製造装置をインラインまたは、マルチチャンバーとすることが困難である。一方、白色+CF+TE構造の場合、メタルマスクを用いる必要がないため、インライン化、またはマルチチャンバー化の製造装置の構成とするのが容易である。
【0082】
<表示パネル10の変形例>
図2に示した表示パネル10と異なる表示パネル10の構成例について、図3(A)、(B)を参照して説明する。なお、図3(A)、(B)は、有機エレクトロルミネッセンスを利用して白色を呈する光を発光する発光素子と、発光素子が発光する白色を呈する光に含まれる特定の波長帯域の光を透過させることで白色を呈する光から有彩色を呈する光へと変化させるカラーフィルタと、を有する副画素の断面図である。
【0083】
図2に示した表示パネル10においては、トランジスタ及び発光素子が形成された基板とは、逆側の面から光を取り出すトップエミッション構造(上面射出構造)について例示したが、以下においては、ボトムエミッション構造(下面射出構造)の表示パネルについて例示する。
【0084】
ボトムエミッション構造の表示パネル10について、図3(A)を参照して説明する。
【0085】
図3(A)は、第1の基板300と、第2の基板350と、第1の基板300及び第2の基板350に挟持されたトランジスタ330及び発光素子320と、第1の基板300の表示面(発光素子320が発光する光が放出される面)側に設けられたカラーフィルタ354とにより構成されている。
【0086】
第1の基板300に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。第1の基板300にはガラス基板を用いることができる。
【0087】
ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。なお、酸化ホウ素と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いることが好ましい。
【0088】
トランジスタ330としては、図2に示したトランジスタ230と同様に形成することができる。
【0089】
また、発光素子320としては、トランジスタ330上に形成された絶縁層310、及び、隔壁312上に形成されており、トランジスタ330と電気的に接続された第1の電極314上に、発光層316、第2の電極318が順に積層されている。
【0090】
また、絶縁層310としては、トランジスタ330の存在に起因する凹凸を平坦化できる材料が好ましい。また、発光素子320からの光を透過できる材料が好ましい。例えば、絶縁層310として透光性の高いアクリル樹脂を適用することが可能である。また、隔壁312としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、エポキシ等の有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを適用することが可能である。
【0091】
第1の電極314としては、可視光を透過する導電膜を用いる。可視光を透過する導電膜としては、例えば、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、ITO、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、1nm〜30nm程度)の金属薄膜を用いることもできる。
【0092】
発光層316としては、図2に示した発光層218と同様な手法により形成することができる。
【0093】
第2の電極318としては、発光層316が発する光を効率よく反射する材料が好ましい。なぜなら光の取り出し効率を向上できるためである。なお、第2の電極318を積層構造としてもよい。例えば、第2の電極318としては、発光物質を含む発光層316に接する側に金属酸化物による導電膜、またはチタン等を薄く形成し、他方に反射率の高い金属膜(アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または銀など)を用いることができる。このような構成とすることで、発光層316と反射率の高い金属膜との間に形成される絶縁膜の生成を抑制することができるので好適である。
【0094】
第2の基板350としては、発光素子320、及びトランジスタ330を封止できる材料であればよい。また、図3(A)に示す発光装置は、ボトムエミッション構造のため、透光性を有していない基板でも良い。例えば、第2の基板350として使用できる基板としては、ガラス基板、金属基板など適宜用いることができる。
【0095】
また、空間322としては、空間260と同様の材料、及び手法により形成することができる。また、空間322に発光素子320に進入する水分等を取り除くことができる乾燥剤などを封入してもよい。
【0096】
また、光が放射される側の第1の基板300の面には、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜352と、カラーフィルタ354と、オーバーコート356が設けられている。カラーフィルタ354は、有色層であり、各発光素子が発光する白色を呈する光を有彩色(例えば、青、緑、赤)を呈する光へと変化させる。
【0097】
また、本発明の一態様に係る表示パネル10において、カラーフィルタ354及びオーバーコート356が第1の基板300及び第2の基板350によって挟持される構成とすることも可能である(図3(B)参照)。
【0098】
<画素100の構成例>
上述した表示パネル10が有する画素100の構成例について、図4(A)、(B)を参照して説明する。なお、図4(A)は、画素100が有する副画素の配設例を示す図であり、図4(B)は、図4(A)に示す画素の等価回路例を示す図である。
【0099】
図4(A)に示す画素100は、赤色(R)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Rと、緑色(G)を呈する光を射出するか否かが選択される副画素100Gと、青色(B)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Bとを有する。そして、画素100においては、副画素100Gを中心として、行方向(図4(A)中、下向き矢印の方向)及び列方向(図4(A)中、右向き矢印の方向)に副画素100R、100Bが配設されている。
【0100】
図4(A)に示す副画素100R、100G、100Bのそれぞれは、共通の回路構成を有する(図4(B)参照)。具体的には、副画素100R、100G、100Bのそれぞれは、トランジスタ101及びトランジスタ103と、キャパシタ102と、有機EL素子104とを有する。なお、トランジスタ101は、副画素に対する画像信号の入力を制御する素子である。また、トランジスタ103は、当該画像信号に応じた電流を有機EL素子104に供給する素子である。また、キャパシタ102は、当該画像信号を保持する機能を有する素子である。また、有機EL素子104は、トランジスタ103を介して入力される電流値に応じて輝度が変化する発光素子である。
【0101】
以下、詳細にこれらの素子の接続関係について述べる。
【0102】
トランジスタ101のゲートは走査線105に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は信号線106に電気的に接続されている。
【0103】
また、キャパシタ102の一方の電極はトランジスタ101のソース及びドレインの他方に電気的に接続され、他方の電極が電源線107に電気的に接続されている。
【0104】
また、トランジスタ103のゲートはトランジスタ101のソース及びドレインの他方並びにキャパシタ102の一方の電極に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は電源線107に電気的に接続されている。
【0105】
また、有機EL素子104のアノードはトランジスタ103のソース及びドレインの他方に電気的に接続され、カソードは共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。
【0106】
なお、走査線105は、トランジスタ101のスイッチングを制御するための信号を供給する配線である。また、信号線106は、副画素に対する画像信号を供給する配線である。また、電源線107は、当該共通電位と異なる電位が供給される配線である。ここでは、電源線107には、当該共通電位よりも高電位が供給されることとする。ただし、図4(B)においては、トランジスタ103としてPチャネル型トランジスタを適用し、且つ電源線107に供給される電位が共通電位よりも高電位となる構成について例示したが、トランジスタ103としてNチャネル型トランジスタを適用し、且つ電源線107に供給される電位を当該共通電位よりも低くする構成とすることも可能である。また、図4(B)においては、トランジスタ101としてNチャネル型トランジスタを適用する構成について例示したが、トランジスタ101としてPチャネル型トランジスタを適用する構成とすることも可能である。さらに、電源線107に供給される電位を適宜変化させる構成(可変電位)とすることも可能である。また、当該共通電位を適宜変化させる構成とすることも可能である。
【0107】
図4(B)に示す副画素においては、走査線105の電位がハイレベルの電位となる場合における信号線106の電位が画像信号として入力される。走査線105の電位がハイレベルの電位となることによってトランジスタ101が導通状態となるためである。そして、走査線105の電位がロウレベルの電位となることで、当該画像信号がキャパシタ102によって保持される。走査線105の電位がロウレベルの電位となることによってトランジスタ101が非導通状態となるためである。ここで、当該画像信号は、トランジスタ103のゲートに与えられるため、当該画像信号(特定の電位)に応じてトランジスタ103の電流駆動能力が決められることになる。よって、当該画像信号に応じて有機EL素子104に生じる電流値が決定されることになる。その結果、有機EL素子104は、当該電流値によって決められる輝度による発光を行う。すなわち、副画素に入力される画像信号を制御することで、有機EL素子104の発光輝度を制御することが可能である。
【0108】
図4(B)に示す画素においては、5つの副画素のそれぞれに入力される画像信号を制御することで、赤色(R)を呈する光、緑色(G)を呈する光、及び青色(B)を呈する光の混色によって所望の色を呈する光を形成することが可能である。
【0109】
<画素100の変形例>
図4に示した画素100と異なる画素100の構成例について、図5(A)乃至(F)を参照して説明する。なお、図5(A)乃至(F)は、画素100が有する副画素の配設例を示す図である。
【0110】
図5(A)に示す画素100は、白色(W)を呈する光を射出するか否かが選択される3つの副画素100Wを有する。なお、図5(A)に示す画素100においては、副画素100Wの一を中心として、行方向及び列方向に2つの副画素100Wが配設されている。図5(A)に示す画素100を有する表示装置は、モノクロ表示を行う表示装置である。
【0111】
図5(B)に示す画素100は、赤色(R)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Rと、緑色(G)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Gと、青色(B)を呈する光を射出するか否かが選択される副画素100Bとを有する。なお、図5(B)に示す画素100においては、角に配設された副画素100Bに対して、行方向及び列方向に副画素100R、100Gが配設されている。図5(B)に示す画素100においては、図4(A)、(B)に示す画素100と同様に混色によって所望の色を呈する光を形成することが可能である。
【0112】
図5(C)に示す画素100は、赤色(R)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Rと、緑色(G)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Gと、青色(B)を呈する光を射出するか否かが選択される副画素100Bと、白色(W)を呈する光を射出するか否かが選択される副画素100Wとを有する。なお、図5(C)に示す画素100においては、角に配設された副画素100Bに対して、行方向及び列方向に副画素100R、100Gが配設され、且つ中心に副画素100Wが配設されている。図5(C)に示す画素においては、図4(A)、(B)に示す画素100と同様に混色によって所望の色を呈する光を形成することが可能である。さらに、図5(C)に示す画素100においては、副画素100Wの発光輝度を制御することで、コントラスト比の高い表示を行うことが可能である。
【0113】
図5(D)に示す画素100は、3行3列に配設された、赤色(R)を呈する光を射出するか否かが選択される3つの副画素100Rと、緑色(G)を呈する光を射出するか否かが選択される3つの副画素100Gと、青色(B)を呈する光を射出するか否かが選択される3つの副画素100Bとを有する。なお、図5(D)に示す画素100においては、3種の副画素100R、100G、100Bのそれぞれが、各行及び各列に一つずつ配設されている。図5(D)に示す画素においては、図4(A)、(B)に示す画素100と同様に混色によって所望の色を呈する光を形成することが可能である。さらに、図5(D)に示す画素100においては、2次元表示を行う際の開口率を向上させること、及び各行又は各列に配設された3つの副画素を表示素子単位とすることで高精細な表示を行うことが可能である。
【0114】
図5(E)に示す画素100は、赤色(R)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Rと、緑色(G)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Gと、青色(B)を呈する光を射出するか否かが選択される副画素100Bと、黄色(Y)を呈する光を射出するか否かが選択される2つの副画素100Yとを有する。なお、図5(E)に示す画素100においては、右下部に配設された副画素100Bに対して、行方向及び列方向に副画素100R、100G、100Yが配設されている。図5(E)に示す画素においては、図4(A)、(B)に示す画素100と同様に混色によって所望の色を呈する光を形成することが可能である。さらに、図5(E)に示す画素100においては、形成される光の色域を拡大することが可能である。
【0115】
図5(F)に示す画素100は、4行4列に配設された、赤色(R)を呈する光を射出するか否かが選択される4つの副画素100Rと、緑色(G)を呈する光を射出するか否かが選択される4つの副画素100Gと、青色(B)を呈する光を射出するか否かが選択される4つの副画素100Bと、黄色(Y)を呈する光を射出するか否かが選択される4つの副画素100Yとを有する。なお、図5(F)に示す画素100においては、4種の副画素100R、100G、100B、100Yのそれぞれが、各行及び各列に一つずつ配設されている。図5(F)に示す画素においては、図4(A)、(B)に示す画素100と同様に混色によって所望の色を呈する光を形成することが可能である。さらに、図5(F)に示す画素100においては、2次元表示を行う際の開口率を向上させること、及び各行又は各列に配設された4つの副画素を表示素子単位とすることで高精細な表示を行うこと、並びに形成される光の色域を拡大することが可能である。
【0116】
なお、画素100が有する副画素が配設される構成は、図4(A)、図5(A)乃至(F)の構成に限定されない。例えば、5種以上の副画素のそれぞれが各行及び各列に一つずつ配設されている構成とすること、又は複数の副画素がn行m列(n、mは2以上の自然数(n≠m))に配設されている構成とすることも可能である。
【0117】
また、画素100が有する副画素の形状は、正方形状又は略正方形状に限定されない。当該副画素の形状は、複数の副画素を行方向に配設する場合と、当該複数の副画素の一を含む同数の副画素を列方向に配設する場合とにおいて、画素における表示面積(表示を行う複数の副画素)の形状が大きく変化することがなければどのような形状であってもよい。例えば、当該副画素の形状を円状若しくは略円状又は正六角形状若しくは略正六角形状とすることも可能である。ただし、開口率等の観点から、当該副画素の形状は、正方形状又は略正方形状であることが好ましい。
【0118】
また、図5(A)乃至(F)に示す画素100が有する副画素の回路構成として、図4(B)に示す回路を適用することが可能である。
【0119】
また、図5(A)乃至(F)に示す画素100においては、図6(A)に示す回路構成とすることも可能である。なお、図6(A)においては、図5(D)に対応する回路構成を示すこととする。
【0120】
図6(A)に示す画素においては、1行目に配設された3つの副画素のそれぞれが、トランジスタ111_a、トランジスタ113_a、及びトランジスタ114_1aと、キャパシタ112_aと、有機EL素子115_1aとを有する(aは1乃至3のいずれか一の自然数)。また、2行1列及び2行3列に配設された副画素のそれぞれが、トランジスタ114_2bと、有機EL素子115_2bとを有する(bは1又は3)。また、3行目に配設された3つの副画素のそれぞれが、トランジスタ114_3aと、有機EL素子115_3aとを有する。また、2行2列に配設された副画素が、有機EL素子115_22を有する。
【0121】
図6(A)に示す画素において、トランジスタ111_aは、副画素に対する画像信号の入力を制御する素子である。また、トランジスタ113_aは、当該画像信号に応じた電流を供給する素子である。また、トランジスタ114_1a、114_2b、114_3aは、トランジスタ113_aを介して供給される電流を有機EL素子に対して供給するか否かを選択する素子である。また、キャパシタ112_aは、当該画像信号を保持する機能を有する素子である。また、有機EL素子115_1a、115_2b、115_3a、115_22は、供給される電流の値に応じて輝度が変化する発光素子である。
【0122】
以下、詳細にこれらの素子の接続関係について述べる。
【0123】
トランジスタ111_aのゲートは走査線116に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は信号線117_aに電気的に接続されている。
【0124】
キャパシタ112_aの一方の電極はトランジスタ111_aのソース及びドレインの他方に電気的に接続され、他方の電極が電源線118_aに電気的に接続されている。
【0125】
トランジスタ113_aのゲートはトランジスタ111_aのソース及びドレインの他方並びにキャパシタ112_aの一方の電極に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は電源線118_aに電気的に接続されている。
【0126】
トランジスタ114_11、114_13、114_31、114_33のゲートは表示変換制御信号線121に電気的に接続されている。また、トランジスタ114_12、114_32のゲートは行方向表示制御信号線119に電気的に接続されている。また、トランジスタ114_21、114_23のゲートは列方向表示制御信号線120に電気的に接続されている。
【0127】
トランジスタ114_11、114_23、114_32のソース及びドレインの一方はトランジスタ113_1のソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。また、トランジスタ114_12、114_21、114_33のソース及びドレインの一方はトランジスタ113_2のソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。また、トランジスタ114_13、114_31のソース及びドレインの一方はトランジスタ113_3のソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。
【0128】
有機EL素子115_1aのアノードはトランジスタ114_1aのソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。また、有機EL素子115_2bのアノードはトランジスタ114_2bのソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。また、有機EL素子115_3aのアノードはトランジスタ114_3aのソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。また、有機EL素子115_22のアノードはトランジスタ113_3のソース及びドレインの他方に電気的に接続されている。
【0129】
有機EL素子115_aaのカソードは共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。
【0130】
図6(A)に示す画素を図4(B)に示す画素と比較すると、トランジスタ111_a及びトランジスタ113_aと、キャパシタ112_aとが同色を呈する光を射出するか否かが選択される3つの副画素において共有され、且つb行目に配設された副画素及び2行b列に配設された副画素のそれぞれにトランジスタ114_1a、114_2b、114_3aのいずれか一が付加されていることになる。
【0131】
走査線116、信号線117_a、電源線118_aは、図4(B)に示した走査線105、信号線106、電源線107と同様の機能を有する配線であるため、ここでは、上述の説明を援用することとする。
【0132】
行方向表示制御信号線119は、b行2列に配設された副画素において表示を行うか否かを選択する信号を供給する配線である。具体的には、a行2列に配設された副画素を用いて表示を行い、且つa行b列に配設された副画素において黒表示を行うことで3次元表示を行う場合(シャッタパネル20において行方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設される場合)及び2次元表示を行う場合に、トランジスタ114_b2のゲートにロウレベルの電位(L)を供給し、その以外の場合にハイレベルの電位(H)を供給する配線である(図6(B)参照)。
【0133】
列方向表示制御信号線120は、2行b列に配設された副画素において表示を行うか否かを選択する信号を供給する配線である。具体的には、2行a列に配設された副画素を用いて表示を行い、且つb行a列に配設された副画素において黒表示を行うことで3次元表示を行う場合(シャッタパネル20において列方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設される場合)及び2次元表示を行う場合に、トランジスタ114_2bのゲートにロウレベルの電位(L)を供給し、その以外の場合にハイレベルの電位(H)を供給する配線である(図6(B)参照)。
【0134】
表示変換制御信号線121は、b行b列に配設された副画素において表示を行うか否かを選択する信号を供給する配線である。具体的には、2次元表示を行う場合に、トランジスタ114_bbのゲートにロウレベルの電位(L)を供給し、その以外の場合にハイレベルの電位(H)を供給する配線である(図6(B)参照)。
【0135】
図6(A)に示す画素においては、トランジスタ111_aを介して入力される画像信号、並びに行方向表示制御信号線119の電位、列方向表示制御信号線120の電位、及び表示変換制御信号線121の電位によって各副画素が有する有機EL素子の発光輝度が制御される。ここで、図6(A)に示す画素においては、図4(B)に示す画素と比較して副画素が有する有機EL素子に供給される電流値のバラツキを低減することが可能である。なぜなら、図6(A)に示す画素においては、有機EL素子に供給される電流の値は3つの副画素において共有されるトランジスタ113_aによって決められるが、図4(B)に示す画素においては、有機EL素子に供給される電流の値は各副画素が有するトランジスタ103によって決められるからである。すなわち、前者の有機EL素子へ供給される電流の値を決める素子の数(母集団の数)が後者のそれよりも少ない。したがって、前者における統計的なバラツキを後者における統計的なバラツキよりも抑制することが可能となるからである。
【0136】
<表示状態の一例>
図7(A)、(B)は、上述した表示装置の表示状態の一例を示す図である。具体的には、図7(A)は、ある状態において視認者が3次元表示を見る場合の一例を示す図であり、図7(B)は、図7(A)に示す状態から表示装置を左(反時計回り)に90°回転させた状態において視認者が3次元表示を見る場合の一例を示す図である。なお、図7(A)、(B)においては、各画素が3行3列に配設された副画素を有する構成(図5(D)参照)について例示している。また、図7(A)、(B)に示す表示パネル10においては、「R」が付された画素は右目用表示を行う画素を表し、「L」が付された画素は左目用表示を行う画素を表している。また、図7(A)、(B)に示すシャッタパネル20においては、黒塗された領域に存在する光学シャッタは遮光状態にある光学シャッタを表し、その他の光学シャッタは透光状態にある光学シャッタを表している。
【0137】
図7(A)に示す表示状態においては、表示パネル10が有する複数の画素のそれぞれが、行方向に配設された3つの副画素において光を射出することで表示を行い、且つその他の副画素において光を射出しないことで黒表示(K)を行っている。さらに、シャッタパネル20が有する複数の光学シャッタの一部を遮光状態とし、残部を透光状態とすることで、行方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設されている。
【0138】
上述した表示装置においては、各画素が有する9つの副画素のうち3つの副画素において表示を行い、その他の6つの副画素において表示を行わないことが可能である。すなわち、当該画素に占める表示面積を低減することが可能である。よって、クロストークの発生を抑制することが可能である。
【0139】
また、当該表示装置においては、ストライプ状に配設される視差バリアの長軸方向に沿って直線的に配設される3つの副画素において表示を行うことが可能である。よって、クロストークが生じたとしても、当該3つの副画素のいずれか一のみが視認される蓋然性よりも複数の副画素が同時に視認される蓋然性を高くすることができる。一般的に、右目用表示を行う画素であるか左目用表示を行う画素であるかに関わらず近接する画素においては色相の近い表示を行う場合が多い。したがって、当該表示装置においては、クロストークが生じたとしても視認される画像の色相の変化を緩和することが可能である。
【0140】
図7(B)に示す表示状態においては、表示パネル10が有する複数の画素のそれぞれが、列方向に配設された3つの副画素において光を射出することで表示を行い、且つその他の副画素において光を射出しないことで黒表示(K)を行っている。さらに、シャッタパネル20が有する複数の光学シャッタの一部を遮光状態とし、残部を透光状態とすることで、列方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設されている。
【0141】
上述した表示装置においては、副画素が正方形状又は略正方形状を有する。よって、ストライプ状に配設される視差バリアの長軸方向に沿って配設された複数の副画素を、表示を行う副画素として選択する場合であっても、画素における表示面積(表示を行う複数の副画素)の形状が大きく変化することがない。したがって、視認者が見る表示部の向きが変化する場合(配設される視差バリアが変化する場合)であっても、当該向きに依存せずにクロストークの発生を抑制すること及びクロストークが発生した場合における色相の変化を緩和することが可能である。
【0142】
<表示状態の変形例>
図7(A)、(B)に示した表示状態と異なる表示状態の一例について、図8(A)、(B)を参照して説明する。具体的には、図8(A)、(B)においては、シャッタパネル20において市松模様(チェック)状に視差バリアが配設される状態を示している。図8(A)、(B)では、当該視差バリアの形状に応じて、表示パネル10が有する複数の画素のうち右目用表示を行う画素(図8(A)、(B)中、「R」を付した画素)及び左目用表示を行う画素(図8(A)、(B)中、「L」を付した画素)のそれぞれも市松模様(チェック)状に配設されることになる。その他の点については、図7(A)、(B)に示す表示状態と同様であるため、ここでは上述の説明を援用することとする。
【0143】
<本明細書で開示される表示装置を備えた電子機器>
本発明の一態様に係る表示装置は、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどが挙げられる。以下では、これら電子機器の具体例について図9を参照して説明する。
【0144】
図9(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5003または表示部5004に用いることができる。表示部5003または表示部5004に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、利便性に優れた3次元画像の表示を行うことができる携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図9(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0145】
図9(B)は携帯情報端末であり、筐体5401、表示部5402、操作キー5403等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5402に用いることができる。表示部5402に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、利便性に優れた3次元画像の表示を行うことができる携帯情報端末を提供することができる。
【符号の説明】
【0146】
10 表示パネル
20 シャッタパネル
30 制御部
31 左目
32 右目
100 画素
100R 副画素
100G 副画素
100B 副画素
100W 副画素
100Y 副画素
101 トランジスタ
102 キャパシタ
103 トランジスタ
104 有機EL素子
105 走査線
106 信号線
107 電源線
111_1 トランジスタ
111_2 トランジスタ
111_3 トランジスタ
112_1 キャパシタ
112_2 キャパシタ
112_3 キャパシタ
113_1 トランジスタ
113_2 トランジスタ
113_3 トランジスタ
114_11 トランジスタ
114_12 トランジスタ
114_13 トランジスタ
114_21 トランジスタ
114_22 トランジスタ
114_23 トランジスタ
114_31 トランジスタ
114_32 トランジスタ
114_33 トランジスタ
115_11 有機EL素子
115_12 有機EL素子
115_13 有機EL素子
115_21 有機EL素子
115_22 有機EL素子
115_23 有機EL素子
115_31 有機EL素子
115_32 有機EL素子
115_33 有機EL素子
116 走査線
117_1 信号線
117_2 信号線
117_3 信号線
118_1 電源線
118_2 電源線
118_3 電源線
119 行方向表示制御信号線
120 列方向表示制御信号線
121 表示変換制御信号線
200 光学シャッタ
201 基板
202 ゲート電極層
204 ゲート絶縁層
206 半導体層
208 ドレイン電極層
210 絶縁層
212 絶縁層
214 反射電極層
216 隔壁
218 発光層
219 半透過電極層
220a 透明電極層
220b 透明電極層
230 トランジスタ
240a 副画素
240b 副画素
240c 副画素
251 基板
252 遮光膜
254 カラーフィルタ
256 オーバーコート
260 空間
300 基板
310 絶縁層
312 隔壁
314 電極
316 発光層
318 電極
320 発光素子
322 空間
330 トランジスタ
350 基板
352 遮光膜
354 カラーフィルタ
356 オーバーコート
5001 筐体
5002 筐体
5003 表示部
5004 表示部
5005 マイクロホン
5006 スピーカー
5007 操作キー
5008 スタイラス
5401 筐体
5402 表示部
5403 操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配設された複数の画素を有する表示パネルと、
マトリクス状に配設された複数の光学シャッタを有するシャッタパネルと、
前記表示パネルにおける複数の前記画素を用いた表示及び前記シャッタパネルにおける複数の前記光学シャッタを用いた視差バリアの配設を制御する制御部と、を有し、
前記画素は、正方形状又は略正方形状の、第1の副画素と、前記第1の副画素の第1の方向に配設された少なくとも一の第2の副画素と、前記第1の方向と直交又は略直交する第2の方向に配設された少なくとも一の第3の副画素と、を有し、
前記制御部が、前記表示パネルが有する複数の前記画素のそれぞれにおいて、前記第1の副画素及び前記第2の副画素を用いて表示を行い、且つ前記第3の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、前記シャッタパネルが有する複数の前記光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第1の表示状態と、
前記制御部が、前記表示パネルが有する複数の前記画素のそれぞれにおいて、前記第1の副画素及び前記第3の副画素を用いて表示を行い、且つ前記第2の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、前記第1の表示状態において遮光状態とされた複数の前記光学シャッタの一部とは異なる、前記シャッタパネルが有する複数の前記光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第2の表示状態と、を有する表示装置。
【請求項2】
前記第1の副画素乃至前記第3の副画素のそれぞれが、有機エレクトロルミネッセンス素子を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の副画素乃至前記第3の副画素のそれぞれが、画像信号に応じた電流を前記有機エレクトロルミネッセンス素子に供給する素子を有する請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画素が、画像信号に応じた電流を前記第1の副画素乃至前記第3の副画素の少なくとも2つに供給する第1の素子を有し、
前記第1の副画素乃至前記第3の副画素の少なくとも2つのそれぞれが、前記電流を前記有機エレクトロルミネッセンス素子に供給するか否かを選択する第2の素子を有する請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の副画素乃至前記第3の副画素のそれぞれにおいて、異なる色を呈する光を射出するか否かが選択され、且つそれぞれの光を混色することで白色を呈する光が形成される請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の表示状態において、前記第1の方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設され、且つ、前記第2の表示状態において、前記第2の方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設される請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
マトリクス状に配設された複数の画素を有する表示パネルと、
マトリクス状に配設された複数の光学シャッタを有するシャッタパネルと、
前記表示パネルにおける複数の前記画素を用いた表示及び前記シャッタパネルにおける複数の前記光学シャッタを用いた視差バリアの配設を制御する制御部と、を有し、
前記画素は、それぞれが正方形状又は略正方形状であるA行B列(A、Bは2以上の自然数)に配設されたA×B個の副画素を有し、
前記制御部が、前記表示パネルが有する複数の前記画素のそれぞれにおいて、特定の1行に配設されたB個の副画素を用いて表示を行い、且つ前記特定の1行以外の(A−1)行に配設された(A−1)×B個の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、前記シャッタパネルが有する複数の前記光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第1の表示状態と、
前記制御部が、前記表示パネルが有する複数の前記画素のそれぞれにおいて、特定の1列に配設されたA個の副画素を用いて表示を行い、且つ前記特定の1列以外の(B−1)列に配設されたA×(B−1)個の副画素を用いて黒表示を行い、且つ、前記第1の表示状態において遮光状態とされた複数の前記光学シャッタの一部とは異なる、前記シャッタパネルが有する複数の前記光学シャッタの一部を遮光状態とし、且つ残部を透光状態とすることで視差バリアを配設する、第2の表示状態と、を有する表示装置。
【請求項8】
前記副画素が、有機エレクトロルミネッセンス素子を有する請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記副画素が、画像信号に応じた電流を前記有機エレクトロルミネッセンス素子に供給する素子を有する請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記画素が、画像信号に応じた電流を少なくとも2つの前記副画素に供給する第1の素子を有し、
少なくとも2つの前記副画素のそれぞれが、前記電流を前記有機エレクトロルミネッセンス素子に供給するか否かを選択する第2の素子を有する請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
特定の1行に配設された前記副画素のそれぞれにおいて、異なる色を呈する光を射出するか否かが選択され、且つそれぞれの光を混色することで白色を呈する光が形成され、且つ特定の1列に配設された前記副画素のそれぞれにおいて、異なる色を呈する光を射出するか否かが選択され、且つそれぞれの光を混色することで白色を呈する光が形成される請求項7乃至請求項10のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の表示状態において、前記特定の1行に配設されたB個の副画素が並ぶ方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設され、且つ、前記第2の表示状態において、前記特定の1列に配設されたA個の副画素が並ぶ方向に長軸を有するストライプ状の視差バリアが配設される請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1の表示状態及び前記第2の表示状態において、市松模様状の視差バリアが配設される請求項1乃至請求項5のいずれか一項又は請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−215853(P2012−215853A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62936(P2012−62936)
【出願日】平成24年3月20日(2012.3.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】