説明

表示装置

【課題】放熱ケースの放熱により回路基板に配設された発光素子の冷却性能の向上を図ることができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示用の発光素子2群が前面に配設された回路基板1と、回路基板1の背面側に配設された放熱ケース6とを備えている表示装置であって、回路基板1の裏面に接合された複数の第1の金属スペーサ7と、放熱ケース6の回路基板1側に配設されて第1の金属スペーサ7に支持された熱拡散板9とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子群を発光させて表示を行う表示装置に関し、発光に伴う発熱に起因する昇温、並びに温度分布を抑制できる防水機能を備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置でなく照明装置であるため、用途が異なるが、従来の冷却技術として特許文献1(特開2009−49405号公報)に示すものがある。
【0003】
放熱ケースの設置部の内部に回路基板を設け、その回路基板の下部に一定間隔で多数の発光ダイオード(Light Emitting Diode : LED)を設置するものの、発光ダイオードの作動過程で発生した熱を放熱ケースに伝達することによって、放熱ケースにより冷却が行われるようにしたものである。
【0004】
発光ダイオードが設けられる位置には通孔部を形成し、その内部に鉛のように熱伝導性に優れた熱伝達部材を充填し、通孔部の上面には上記熱伝達部材と密着しつつ、熱伝達部材と同様に熱伝導性に優れた熱伝達板を設けることによって、発光ダイオードの点灯により発生した熱は、発光ダイオードが設けられる位置に形成された通孔部を満たしている熱伝達部材に伝達された後、その熱伝達部材と密着するように回路基板の上部に設けられた熱伝達板に伝達される。
【0005】
発光ダイオードの点灯により発生した熱が熱伝達板まで伝達された状態で、上記のように熱伝達板の上面に熱伝達部が密着しているため、熱伝達板の熱が熱伝達部を通じて放熱ケースの上部に伝達される。
【0006】
このように発光ダイオードの点灯過程で発生した熱は、熱伝達部材、熱伝達板、熱伝達部を経て放熱ケースの上部に伝達されるが、放熱ケースは上面に多数の冷却ピンを形成して、その冷却ピンを外部に露出させることによって、放熱ケースの冷却が行われるため、放熱ケースの過熱及び発光ダイオードの過熱を防止することになる。
【0007】
また、表示装置の防水構造としては、特許文献2(特開平5−61422号公報)に示すものがある。
【0008】
角筒状のユニットケースの前面開口を回路基板により閉じている。回路基板はその内面に駆動回路の回路素子を取り付けて駆動回路を構成する一方、その外(前)面に発光ダイオード等の複数の発光素子を所要のピッチで植設し、駆動回路により発光素子の点灯を制御することにより文字や図形等を表示するようになっている。
【0009】
ユニットケースの前面には偏平角筒状の背面板である化粧枠、長方形板状の防水パッキンおよび前面板をこの順に順次同心状に重ね合せて固定するようになっている。
【0010】
化粧枠と前面板はその外形寸法がユニットケースの前面と同一であるが、防水パッキンはこれより若干大きい外形寸法を有し、この防水パッキンを化粧枠と前面板とにより同心状に挟持したときに、この防水パッキンの外縁部が外側方へ若干突出するようになっている。
【0011】
また、化粧枠、防水パッキンおよび前面板には各発光素子を板厚方向に挿通せしめる挿通孔をそれぞれ穿設している。
【0012】
但し、防水パッキンの各挿通孔は化粧枠と前面板の各挿通孔よりも若干小さく形成され、あるいは、防水パッキンが化粧枠と前面板とにより前後方向から挟持されたときに弾性変形して挿通孔が収縮し、この挿通孔の開口周縁部が、この挿通孔を挿通する各発光素子の外側周面に水密に密着して各発光素子を防水するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−49405号公報
【特許文献2】特開平5−61422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従来の特許文献2(特開平5−61422号公報)に示された防水構造を有する表示装置においては、発光素子の冷却構造については述べられていないが、上述した従来の特許文献1(特開2009−49405号公報)に示された照明装置の冷却技術を応用することが考えられる。
【0015】
すなわち、放熱ケースを兼ねた防水ケースとしてのユニットケースに取り付けられた発光素子を冷却する場合、回路基板とユニットケース間に棒状の熱伝達部を配設することが考えられる。このような構造の場合、防水構造を実現することは容易であるが、回路基板と接触する箇所の構造が複雑になる。
【0016】
また、回路基板とユニットケース間に棒状の熱伝達部を配設した場合、回路基板とユニットケース熱伝達部間の位置関係が決まる。回路基板の背面に発光素子を駆動させるための駆動素子が搭載される場合、駆動素子の配設位置に制約が発生して、回路設計の自由度が狭まる。
【0017】
さらに、上述した従来技術では、上記棒状の熱伝達部の接触部が発光素子を配設した位置と一致させている。映像装置のような表示装置においては画像高精細化のため発光素子が回路基板に密に配設されていることから、一致させることが困難である。
【0018】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、放熱ケースの放熱により回路基板に配設された発光素子の冷却性能の向上を図ることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明に係わる表示装置は、表示用の発光素子群が前面に配設された回路基板と、前記回路基板の背面側に配設された放熱ケースとを備えて表示装置において、前記回路基板の裏面に接合された複数の第1の金属スペーサと、前記放熱ケースの前記回路基板側に配設されて前記第1の金属スペーサに支持された熱拡散板とを設けたものである。
【0020】
この発明に係わる表示装置は、表示用の発光素子群が前面に配設された回路基板と、前記回路基板の背面側に配設された放熱ケースとを備えて表示装置において、前記回路基板の裏面に接合された複数の第1の金属スペーサと、前記放熱ケースの前記回路基板側に配設されて前記第1の金属スペーサに支持された熱拡散板と、前記回路基板の裏面の外縁部に接合された複数の第2の金属スペーサと、前記放熱ケースの外縁部と前記回路基板の外縁部との間に配設されて前記第2の金属スペーサに支持された金属板と、前記回路基板の裏面の外縁部と前記金属板との間に配設された第1の樹脂製シールと、前記金属板と前記放熱ケースの外縁部との間に配設された第2の樹脂製シールとを設けたものである。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係わる表示装置によれば、放熱ケースの放熱により回路基板に配設された発光素子の冷却性能の向上を図ることができる表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる表示装置を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる表示装置を示す図1のII−II線における断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わる表示装置における第1の金属スペーサを示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わる表示装置における第1の金属スペーサの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1〜図4に基づいて説明するが、これら各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係わる表示装置を示す断面図である。図2はこの発明の実施の形態1に係わる表示装置を示す図1のII−II線における断面図である。図3はこの発明の実施の形態1に係わる表示装置における第1の金属スペーサを示す断面図である。図4はこの発明の実施の形態1に係わる表示装置における第1の金属スペーサの他の例を示す断面図である。
【0024】
これら各図において、1は回路基板であり、銅配線パターンと絶縁体が積層された多層基板で構成されている。2は例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode : LED)からなる発光素子であり、この発光素子2は回路基板1の前面に一定の間隔で多数配設されている。3は各発光素子2の近傍に外光を遮光する庇であり、例えば各発光素子2の上側に庇3をそれぞれ配設している。
【0025】
ところで、回路基板1の前面側からの水の浸入を防ぐため、発光素子2の表面全体を覆う透明の樹脂板(図示せず)が配設されている。状況によっては、発光素子2の表面全体に樹脂(図示せず)を塗布する、あるいは、発光素子2の光の射出面以外の部分と回路基板1の前面に樹脂(図示せず)を塗布して、回路基板1の前面及び側面から回路基板1へ水が浸入することを防ぐ場合もある。
【0026】
また、回路基板1の背面には外部電源から電流を取り入れるために、ブスバー4のブスバー取付部5が配設されている。図2にブスバー4、及び、ブスバー取付部5の配置例を示す。回路基板1の背面には、図示はしないが、発光素子2を駆動させる半導体素子からなる駆動素子、制御信号を外部から入力するためのコネクタ等も配設されている。
【0027】
6は回路基板1の背面側に配設された例えばアルミニウムからなる放熱ケースであり、放熱ケース6の外縁部6aは回路基板1側に突出している。7は回路基板1の裏面に接合された複数の第1の金属スペーサである。第1の金属スペーサ7は、例えば、回路基板1の裏面に半田により接合され、ネジ溝7aが形成されている。また、第1の金属スペーサ7の材料は、ステンレス、アルミニウム等の金属が一般的であるが、熱伝導率の高い材料であれば良い。
【0028】
また、第1の金属スペーサ7の半田接合部の底面には位置決めピン8が設置され、回路基板1側のスルーホール(図示せず)に嵌め込むことにより、所定の位置に配設することが容易になっている。
【0029】
9は放熱ケース6の回路基板1側に配設されて第1の金属スペーサ7に支持された熱拡散板である。熱拡散板9は、例えば、アルミニウムからなり、ネジ(図示せず)により締め付けられて第1の金属スペーサ7に接合されて固定される。ネジ(図示せず)は第1の金属スペーサ7のネジ溝7aに螺着される。
【0030】
また、第1の金属スペーサ7と熱拡散板9との固定は、熱伝導率の高い接着剤、または半田付けでも良い。これら第1の金属スペーサ7と熱拡散板9との固定は、第1の金属スペーサ7の熱が熱拡散板9に効率良く伝われば、全ての第1の金属スペーサ7部で必要ではなく、ある第1の金属スペーサ7は固定し、また、ある第1の金属スペーサ7は接触しているだけで良い。
【0031】
また、熱拡散板9は放熱ケース6と少なくとも一部が接触する構造となっている。この実施の形態では熱拡散板9にネジ溝9aを設け、熱拡散板9のネジ溝9aに防水コーティング材が施されたネジ10を螺着して固定することにより、熱拡散板9と放熱ケース6との接触状態を確実に実現しているが、防水コーティング材が施されたネジ10は必ずしも必要なわけではない。
【0032】
また、防水コーティング材が施されたネジ10ではなく、防水ワッシャ等と用いてネジで固定しても、防水構造の実現は可能である。
【0033】
11は回路基板1の裏面の外縁部1aに接合された複数の第2の金属スペーサである。第2の金属スペーサ11は、例えば、回路基板1の裏面に半田により接合され、ネジ溝11aが形成されている。また、第2の金属スペーサ11の材料は、ステンレス、アルミニウム等の金属が一般的であるが、熱伝導率の高い材料であれば良い。
【0034】
12は放熱ケース6の外縁部6aと回路基板1の外縁部1aとの間に配設されて第2の金属スペーサ11に支持された金属板である。金属板12は、例えば、アルミニウムからなり、ネジ(図示せず)により締め付けられて第2の金属スペーサ11に接合されて固定される。ネジ(図示せず)は第2の金属スペーサ11のネジ溝11aに螺着される。
【0035】
また、第2の金属スペーサ11と金属板12との固定は、熱伝導率の高い接着剤、または半田付けでも良い。これら第2の金属スペーサ11と金属板12との固定は、第2の金属スペーサ11の熱が金属板12に効率良く伝われば、全ての第2の金属スペーサ11部で必要ではなく、ある第2の金属スペーサ11は固定し、また、ある第2の金属スペーサ11は接触しているだけで良い。
【0036】
13は回路基板1の裏面の外縁部1aと金属板12との間に配設された第1の樹脂製シールであり、回路基板1と放熱ケース6に覆われた内部を防水構造にするためのものである。図1では、例えば、第1の樹脂製シール13に開口部13aを設けて、開口部13aに第2の金属スペーサ11を通しており、第2の金属スペーサ11を第1の樹脂製シール13の位置決め用の指標としても使用している。もちろん、位置決め、防水構造(シール)等に問題がなければ、第2の金属スペーサ11の設置位置は回路基板1と放熱ケース6に覆われた内部でも、その外側に設置してもかまわない。
【0037】
14は金属板12と放熱ケース6の外縁部6aとの間に配設された第2の樹脂製シールであり、回路基板1と放熱ケース6に覆われた内部を防水構造にするためのものである。第2の樹脂製シール14は金属板12に密着して設けられるとともに放熱ケース6の外縁部6aが例えば圧入されてシール性が高められている。
【0038】
15は金属板12と放熱ケース6との間に配設された複数の第3の金属スペーサである。第3の金属スペーサ15は、例えば、金属板12に圧入されることにより接合され、ネジ溝15aが形成されている。また、第3の金属スペーサ15の材料は、ステンレス、アルミニウム等の金属が一般的であるが、熱伝導率の高い材料であれば良い。
【0039】
第3の金属スペーサ15は金属板12、放熱ケース6のどちらに固定されてもかまわないが、通常、回路基板1の上に金属板12、熱拡散板9、放熱ケース6の順番で取り付けるため、この実施の形態では、金属板12に固定された場合を示している。
【0040】
固定方法は金属板12に第3の金属スペーサ15を圧入により取り付けている。すなわち、金属板12に下穴を開け、この下穴に圧入側が逆テーパとなっている第3の金属スペーサ15をプレスします。プレスにより第3の金属スペーサ15の先端部が周囲の金属周囲にめり込み逆テーパ部の周囲の金属がテーパ部分へ流動し、固定される。これに限らず、ネジ止め等でも問題は無い。
【0041】
そして、放熱ケース6はネジ(図示せず)により締め付けられて第3の金属スペーサ15に接合されて固定される。ネジ(図示せず)は第3の金属スペーサ15のネジ溝15aに螺着される。
【0042】
第3の金属スペーサ15と放熱ケース6の固定には、防水コーティング材が施されたネジ(図示せず)を使用している。
【0043】
また、第3の金属スペーサ15と放熱ケース6との固定は、熱伝導率の高い接着剤、または半田付けでも良い。これら第3の金属スペーサ15と放熱ケース6との固定は、第3の金属スペーサ15の熱が放熱ケース6に効率良く伝われば、全ての第3の金属スペーサ15部で必要ではなく、ある第3の金属スペーサ15は固定し、また、ある第3の金属スペーサ15は接触しているだけで良い。
【0044】
なお、この実施の形態では、第3の金属スペーサ15は回路基板1と放熱ケース6に覆われた内部に設置されているが、これに限定されるものではなく、第2の樹脂製シール14部に開口部を配設して、その開口部に第3の金属スペーサ15を通す構造にしても良く、同様の効果を奏する。
【0045】
次に、以上のように構成された表示装置において、表示装置で発生する熱の放熱状態について説明する。回路基板1に取り付けられた発光素子2もしくは駆動素子から発生した熱は、回路基板1の前面、もしくは、回路基板1の背面から放熱される。以下、回路基板1の背面から放熱される熱の経路の概略に関して説明する。
【0046】
回路基板1に取り付けられた発光素子2、もしくは、駆動素子から発生した熱は、回路基板1内で広がる。この熱の一部は輻射や空気の熱伝導、対流により、放熱ケース6に伝わる。ファン等を用いない防水構造(密閉筐体)の表示装置の場合、対流による伝熱効果が小さく、そのため、この発明の実施の形態のように、伝熱を促進する放熱構造が必要となる。
【0047】
この発明の実施の形態においては、2種類の伝熱経路を形成している。一つの伝熱経路は、回路基板1の中央部に配設された第1の金属スペーサ7を通り、熱拡散板9を経由して、放熱ケース6に伝わる放熱経路である。もう一つ伝熱経路は、回路基板1の周辺部である外縁部1aに配設された第2の金属スペーサ11もしくは第1の樹脂製シール13を経由して金属板12に伝わり、さらに、金属板12から、第3の金属スペーサ15もしくは第2の樹脂製シール14を経由して、放熱ケース6に伝わる放熱経路である。
【0048】
第1の金属スペーサ7、及び、第2の金属スペーサ11は、発光素子2を駆動させる半導体素子等の駆動素子を回路基板1に接合する半田リフローの際に、同時に半田付けされる。従って、回路基板1に取り付けるための追加コストは第1の金属スペーサ7及び第2の金属スペーサ11の材料費のみである。
【0049】
さらに、駆動素子の位置変更等がある場合でも、各金属スペーサの設置位置は回路基板1の設計側で決めることができるため、基板回路設計に自由度がある。
【0050】
ところで、ブスバー4等の大電流が流れる導線は、一般にアルミニウム,銅等の電気抵抗の小さい材料が用いられるが、大電流が流れた場合、発熱により、ブスバー4の温度が上昇する。ブスバー4は回路基板1と放熱ケース6に覆われた内部に設置されており、当然のことながら、熱拡散板9や放熱ケース6より、回路基板1に対して近い距離にあるため、ブスバー4近傍の回路基板1の温度が高くなる。また、ブスバー取付部5は、ブスバー4に接触しており、回路基板1におけるブスバー取付部5の温度は上昇する。このような現象は、放熱ケース6内部にファンを配設しておらず、対流の影響が小さい場合、顕著になる。
【0051】
回路基板1におけるブスバー取付部5の温度上昇を抑制するため、図2に示すように、回路基板1の裏面に接合されるとともに熱拡散板9と接合される金属体16を2対となるブスバー4の間に局所的に複数配設している。
【0052】
このように、ブスバー4の近傍、ブスバー取付部5の近傍に金属体16を集中的に複数配設することにより、局所的な温度上昇を抑制することが可能となる。この実施の形態ではブスバー4と平行に、ブスバー4に沿って、金属体16を配設している。
【0053】
同様に、例えば、駆動素子が集中的に配置されている場合、その周辺部の金属スペーサを多く配設することで、局所的な温度上昇の抑制が可能である。
【0054】
この発明の実施の形態において、第1の金属スペーサ7と熱拡散板9と、熱拡散板9と放熱ケース6は、ネジで固定して、接触を確実にしている。しかしながら、ネジ止めは組立工程時間を増やし、コスト増加要因となるため、極力減らす事が好ましい。特に、放熱ケース6と熱拡散板9を固定する防水コーティング材が施されたネジはコスト高で、取り付けに時間がかかることから、歩留まりを上げるために、極力減らす事が好ましい。
【0055】
ところで、第1の金属スペーサ7と熱拡散板9、熱拡散板9と放熱ケース6は、ネジで固定していなくても、空気層の厚みが小さければ、熱伝導で熱は伝わる。熱抵抗は、一般に以下の式で与えられる。
【0056】
熱抵抗[K/W]=距離[m]/(熱伝導率[W/mK]×面積[m2])
=1/(熱通過率[W/m2K]×面積[m2]),
従って、熱通過率[W/m2K]=熱伝導率[W/mK]/距離[m]
【0057】
例えば、一般的に放熱ケース6から外気へ伝わる自冷熱伝達率はヒートシンク等を用いていない場合、概略10W/m2K程度である。空気の熱伝導率を0.023W/mK、空気層の厚み0.1mmとすれば、熱通過率は0.023W/mK/0.0001m=230W/m2Kであり、一桁以上高い。
【0058】
従って、第1の金属スペーサ7と熱拡散板9の全てがネジで固定されていなくても、空気層の厚みが小さい、もしくは表面の一部が接触している程度に距離が短ければ、熱は伝わる。従って、第1の金属スペーサ7と熱拡散板9、熱拡散板9と放熱ケース6を、最低減固定するネジは必要であるが、それ以外のネジは費用対効果次第で、不要の場合がある。
【0059】
また、熱拡散板9において、第1の金属スペーサ7から熱拡散板9に伝わった熱は、熱拡散板9内で広がる。熱拡散板9と放熱ケース6は広い面で接触しており、上述の式から分かるように、熱は伝熱面積が大きい程、良く伝わる。従って、熱拡散板9と放熱ケース6を固定するネジは、更に少なくすることが可能である。
【0060】
なお、当然のことながら、ネジを設置しない場合、ネジ溝のない金属スペーサの使用が可能である(材料コスト低減となる)。
【0061】
また、第1の金属スペーサ7と熱拡散板9の固定および第2の金属スペーサ11と金属板12との固定は、ネジ以外の方法、接着剤や半田でも良く、その場合、例えば、第1の金属スペーサ7は図4のようにネジ溝の無い断面を持つ。これらネジ以外での固定の場合でも、ネジの場合と同様全ての金属スペーサが固定されていなくても良い。
【0062】
なお、この発明の実施の形態では回路基板1の一つに対して、一つの放熱ケース6を配設しているが、例えば縦方向に回路基板1を複数台配設して、1つの放熱ケース6で配設する構造にすると、部品点数が減るため好ましい。
【0063】
なお、第1の金属スペーサ7、第2の金属スペーサ11は必ずしも発光素子2上に設置する必要はない。なぜなら、回路基板1には熱伝導率の良い銅が配線として使用されており、回路基板1内である程度は熱が拡散するためである。
【0064】
なお、放熱ケース6は冷却性能を増やすため、ヒートシンク等を放熱ケース6に取り付けても良い。その場合、防水構造を維持するため、ヒートシンクの固定は防水リベットを使用する必要がある。
【0065】
なお、冷却性能次第では、熱拡散板9に開口部を設けて、軽量化しても良い。
【0066】
また、最終的に、放熱ケース6は強風にも耐えうる支柱に取り付けられる。この発明の実施の形態における表示装置の放熱ケース6面を支柱に面接触で取り付けることで、放熱ケース6の熱は支柱にも伝わり、冷却効果が増強される。
【0067】
従って、このような構成によれば、防水構造の表示装置の冷却能力増強が低コストで実現できる。特に、防水機能を有することで、筐体内部に冷却ファンやエアフィルタが不要となり、保守性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明は、放熱ケースの放熱により回路基板に配設された発光素子の冷却性能の向上を図ることができる表示装置の実現に好適である。
【符号の説明】
【0069】
1 回路基板
1a 外縁部
2 発光素子
4 ブスバー
6 放熱ケース
6a 外縁部
7 第1の金属スペーサ
9 熱拡散板
10 締め付けネジ
11 第2の金属スペーサ
12 金属板
13 第1の樹脂製シール
14 第2の樹脂製シール
16 金属体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用の発光素子群が前面に配設された回路基板と、前記回路基板の背面側に配設された放熱ケースとを備えて表示装置において、前記回路基板の裏面に接合された複数の第1の金属スペーサと、前記放熱ケースの前記回路基板側に配設されて前記第1の金属スペーサに支持された熱拡散板とを設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
表示用の発光素子群が前面に配設された回路基板と、前記回路基板の背面側に配設された放熱ケースとを備えて表示装置において、前記回路基板の裏面に接合された複数の第1の金属スペーサと、前記放熱ケースの前記回路基板側に配設されて前記第1の金属スペーサに支持された熱拡散板と、前記回路基板の裏面の外縁部に接合された複数の第2の金属スペーサと、前記放熱ケースの外縁部と前記回路基板の外縁部との間に配設されて前記第2の金属スペーサに支持された金属板と、前記回路基板の裏面の外縁部と前記金属板との間に配設された第1の樹脂製シールと、前記金属板と前記放熱ケースの外縁部との間に配設された第2の樹脂製シールとを設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
前記熱拡散板と前記放熱ケースとは締め付けネジにより固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記熱拡散板と前記放熱ケースとを固定する前記締め付けネジのネジ数が、前記第1の金属スペーサの本数以下であることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
第1の金属スペーサと熱拡散板が締め付けネジにより固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
第1の金属スペーサと熱拡散板が接着剤により固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項7】
第1の金属スペーサと熱拡散板が半田により固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項8】
第1の金属スペーサと熱拡散板の固定において、第1の金属スペーサは必ずしも全てが熱拡散板に固定されていないことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記回路基板の裏面に配置されたブスバー近傍に配設され、前記回路基板の裏面に接合されるとともに前記熱拡散板と接合される金属体を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−99718(P2012−99718A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247472(P2010−247472)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】