説明

表面を印刷する装置

【課題】表面を印刷する装置であって、運動可能な複数の印刷ヘッドを備え、印刷ヘッドは、それぞれ個別に制御可能な複数のノズルを備えており、印刷ヘッドのための少なくとも1つの印刷位置および少なくとも1つの休止位置を備え、印刷ヘッドは、各位置に移動可能であるものを改良して、任意に成形された表面の印刷を実現するものを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの第1の印刷ヘッド3aと第2の印刷ヘッド3b〜3dとが、それぞれ異なるノズル配置構造10a〜10dを備えており、第1のモードでは、第1の印刷ヘッド3aは、印刷位置5aに配置されていて、第2の印刷ヘッド3b〜3dは、休止位置5b〜5dに配置されており、第2のモードでは、第1の印刷ヘッド3aは、休止位置5b〜5dに配置されていて、第2の印刷ヘッド3b〜3dは、印刷位置5aに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の構成を有する、表面を印刷する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術において、可動のインクジェット印刷ヘッドを備えたいわゆるインクジェット印刷機が公知である。インクジェット印刷機は、紙を多色刷りで印刷するために家庭およびオフィスで用いられる。各色のインキに個別の印刷ヘッドが提供される。個々の印刷ヘッドもしくは個々の印刷ヘッドのノズル配置構造は同一である。多色刷り印刷を行う際に、複数のヘッドは、同時に紙に対して移動して、その際に同時にインク滴を吐出し、つまり全てのヘッドが作動している。印刷後に、全ての印刷ヘッドは、多くの場合ヘッドのクリーニングも行われる共通の休止位置にもたらされ、つまり全てのヘッドは非作動である。さらにインクジェットヘッドの産業上の利用が公知であり、その際、ヘッドは、たとえば比較的大きなXYフレームもしくはXYステージに収容されていて、大面積のペーパーシートまたは材料ウェブを印刷するために用いられる。既に空間内で自由に可動のロボットアームにインクジェットヘッドを取り付けることも公知であり、このようにすると平らな表面だけでなく(任意の)カーブした表面、たとえば車両の車体部分を印刷することができる。車体部分を印刷(塗装)する際に、多くの場合スプレーノズルが用いられ、つまり車体部分に噴霧が吹き付けられる。そのようなスプレーノズルは、インクジェットヘッドとは異なり、個々の滴を個々の制御パルスで吐出することができない。したがって不均一であり、特にビットマップ画像の画素をベースに(局所的な多色の)画像情報を形成するのが困難であるが、その代わりに、たとえば車体部分は、多くの場合専ら単色または多色に(つまり全体的に多色、局所的に単色に)塗装される。以下に背景技術の例を説明する。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4120293号公報には、XYフレームに設けられた回動可能な(個別に制御可能なノズルを備え、たとえば圧電効果の原理に従った)インクジェットヘッドが記載されており、このインクジェットヘッドにより、同一の塗工厚さで任意の経過をしたカーブを印刷することができる。多色刷り(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のために、相応の複数の、もちろん同一の複数のヘッドを設けることができる。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008053178号明細書には、たとえば車両の車体部分のための被覆装置が記載されており、そこでは(個別に制御可能なノズルを備え、たとえば圧電効果の原理に従った)インクジェットヘッドが、ロボットアームに収容されており、したがって任意の位置にもたらされ、任意の軌道に沿って移動可能である。印刷ヘッドは、被覆剤を連続的に吐出する部分と滴の吐出を行う部分とを備えることができる。印刷ヘッドは、様々なサイズのノズル開口を備えてもよく、たとえば比較的大きなノズルを有するノズル列と比較的小さなノズルを有するノズル列とを備えてよい。カーブした構成部分の表面に対する良好な適合を実現するために、相互に旋回可能である同一の複数の印刷ヘッドを備えてもよい(ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008053178号明細書の図22参照)。
【0005】
欧州特許公開第970811号明細書において、複数の塗料のための噴霧ピストルを備えた、車両用の自動塗装装置が記載されている。同一の多数の噴霧ピストルは、XYフレームに収容されていて、その都度の間隔で、個別に車両表面に対してZ方向に移動可能である。
【0006】
背景技術において、複数のヘッドを使用する際に、常に同一のヘッド、つまり同一のノズル配置構造が用いられる。さらに常に全てのヘッドは、同時に作動化され印刷を行うか、非作動化され印刷を行わない。カーブした構成部材の表面に対する適合は、構成部材に接近するようにヘッドをガイドして、間隔を維持しながら構成部材に沿ってガイドするか、または、複数のヘッドを相対的に位置決めすることにより行われる。したがって(比較的小さな曲率半径の)大きくカーブした表面、特に(片持ち式に突出し、たとえば別の表面区分に対する自由なアプローチを妨げる表面区分を有する)いわゆるアンダカットを備えた表面の印刷は、引き続き問題である。
【0007】
別の問題は、印刷ヘッドの寸法設定から生じることがある。長さLのインクジェット印刷ヘッドでは、印刷されるべき表面に対する所定の作業間隔Aおよび幾何学性質に基づく作業間隔の所定のトレランスTAでは、最小曲率半径Rminを有する表面しか印刷されない(LおよびA:図1参照)。
【0008】

【表1】

【0009】
表1から判るように、Rminは、Lが増加するにつれ増加し、TAが増加するにつれ減少する。Rminは、理論上のものであり、つまり純粋に幾何学的な観点からAに依存している。したがってAは、10mmの有効値で設定される。実際には、Rminは、もちろんAに依存しているが、印刷ヘッドにおいて表面に対するあらゆる間隔Aで同じ解像度が得られ、したがってRminはAが増加するにつれ(所定の解像度で)減少する、ということが予測されるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第4120293号公報
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008053178号明細書
【特許文献3】欧州特許公開第970811号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたような、表面を印刷する装置を改良して、上述の問題を解消し、任意に成形された、特に任意の大きさでカーブした表面の印刷を実現するかもしくはそのために好都合な条件を成すものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために本発明の構成では、表面を印刷する装置であって、運動可能な複数の印刷ヘッドを備え、印刷ヘッドは、それぞれ個別に制御可能な複数のノズルを備えており、印刷ヘッドのための少なくとも1つの印刷位置および少なくとも1つの休止位置を備え、印刷ヘッドは、各位置に移動可能であるものにおいて、少なくとも1つの第1の印刷ヘッドと第2の印刷ヘッドとが、それぞれ異なるノズル配置構造を備えており、第1のモードでは、第1の印刷ヘッドは、印刷位置に配置されていて、第2の印刷ヘッドは、休止位置に配置されており、第2のモードでは、第1の印刷ヘッドは、休止位置に配置されていて、第2の印刷ヘッドは、印刷位置に配置されている。
【0013】
本発明の好適な態様は、従属請求項ならびに発明を実施するための形態および付属の図面の記載から明らかである。
【0014】
好適には、それぞれ異なるノズル配置構造は、それぞれノズルの数で異なっており、第1の印刷ヘッドのノズル配置構造のノズルの数は、第2の印刷ヘッドのノズル配置構造のノズルの数よりも少ない。
【0015】
好適には、それぞれ異なるノズル配置構造は、それぞれノズルの空間的な配置構造において異なっている。
【0016】
好適には、少なくとも1つの印刷ヘッドのノズル配置構造におけるノズルの空間的な配置構造は、リニア状である。
【0017】
好適には、少なくとも1つの印刷ヘッドのノズル配置構造におけるノズルの空間的な配置構造は、フック状である。
【0018】
好適には、少なくとも1つの印刷ヘッドのノズル配置構造におけるノズルの空間的な配置構造は、カーブ状である。
【0019】
好適には、少なくとも1つの第1の印刷ヘッドおよび第2の印刷ヘッドは、共通の搬送装置に配置されており、搬送装置は、印刷ヘッドを、各位置に移動させる。
【0020】
好適には、共通の搬送装置は、回転装置、または、循環走行するベルトを備えた搬送装置である。
【0021】
好適には、共通の搬送装置は、ロボットアームに配置されている。
【0022】
また、このような印刷装置とロボットアームとから成るシステムが好適である。
【発明の効果】
【0023】
印刷されるべき表面は、好適には、任意に成形された、特に任意の大きさでカーブした表面である。表面は、アンダカットを備えてもよい。本発明によれば、様々なノズル配置構造の選択により、たとえば平らな面区分だけでなく(大きく)カーブした表面区分をも印刷する条件が成される。好適には、位相幾何学においてそれぞれ異なる表面区分を有する表面を印刷することもできる。その際、平らな、カーブしたまたは大きくカーブした区分またはアンダカットを有する区分のために設計された各ノズル配置構造がその都度局所的に用いられる。したがってこのような印刷装置により、ヘッド間の交換が許容され、つまり、どのノズル配置構造を有するヘッドを作動させ、どれを非作動にするか決定することができる。
【0024】
ヘッドは、好適には空間内で自由に可動であり、したがって好適には任意に成形された表面(区分)に接近ガイド可能であり、任意に成形された軌道上を表面(区分)に沿ってガイド可能である。任意に成形された面に対して所定の作業間隔を維持することができる。
【0025】
ノズルは、好適には、1次元または2次元的な配置構造を有する、滴を形成するインクジェットノズルである。ノズルは、好適には、噴霧を形成するノズルではなく、もしくはそのようなノズルとは異なるものである。
【0026】
休止位置は、種々の印刷ヘッドにとって同一であってよい。択一的に、各印刷ヘッドに、個別の休止位置を設けてもよい。印刷位置に関しても同じことが当てはまる。
【0027】
比較的大きな平らな面の高速印刷および比較的小さなカーブした面の低速印刷にとって好適で、したがって本発明による装置の好適な別の態様によれば、それぞれ異なるノズル配置構造は、それぞれノズルの数で異なっており、第1の印刷ヘッドのノズル配置構造のノズルの数は、第2の印刷ヘッドのノズル配置構造のノズルの数よりも少ない。たとえば1つの印刷ヘッドが11個以上のノズルを備え、1つの印刷ヘッドが9個以下のノズルを備えてよい。「低速」および「高速」という概念は、本願において、印刷基体(対象)とノズルとの間の相対速度に関するものではなく、時間あたり印刷される面積、つまりたとえば単位(1分あたりの面積)に関するものである。
【0028】
比較的大きな平らな面の高速印刷および比較的小さなカーブした面の低速印刷にとって好適で、したがって本発明による装置の好適な別の態様によれば、それぞれ異なるノズル配置構造は、それぞれノズルの空間的な配置構造で異なっている。たとえば印刷ヘッドは、カーブしないライン状(リニア状)の配置構造を有してよく、また、印刷ヘッドは、カーブした(カーブ状の)ライン状の配置構造を有してよい。さらにノズル配置構造はフック状であってよく、したがって縁部または折返し部分を印刷するために用いられる。
【0029】
印刷ヘッドの交換にとって好適で、したがって本発明による装置の好適な態様によれば、少なくとも1つの第1の印刷ヘッドおよび第2の印刷ヘッドは、共通の搬送装置に配置されており、搬送装置は、印刷ヘッドを各位置に移動させる。搬送装置により、作動中の印刷ヘッドは休止位置に移動可能であり、非作動の印刷ヘッドは印刷位置に移動可能であり、その際、作動状態が変化する。好適には、搬送装置は回転装置であり、回転装置を用いると、回転装置に収容された個々の印刷ヘッドが回動により任意の位置(および作動状態)を変更することができる。択一的に、循環走行するベルトまたは(たとえば電気式の)リニア駆動装置を設けてもよい。
【0030】
空間的に自由な位置決めおよび運動にとって好適で、したがって本発明による装置の好適な態様によれば、共通の搬送装置が、制御可能で複数の構成部材から成るロボットアームまたはXYZフレームに配置されており、その際、XYZは、3方向を表しており、これらの方向に、搬送装置が、フレームにより、相互に独立して運動可能である。
【0031】
本発明ならびに本発明の構造的かつ/または機能的に好適な実施の形態を、付属の図面を用いて、少なくとも1つの好適な態様に関して詳説する。図面には、それぞれ対応する構成部材には同一の符号を用いた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による表面を印刷する装置の好適な態様を示す概略側面図である。
【図2】アンダカット印刷状態を示す図である。
【図3】本発明による表面を印刷する装置の別の好適な態様を示す概略側面図である。
【図4a】本発明による表面を印刷する装置の好適な態様を示す概略投影図である。
【図4b】本発明による表面を印刷する装置の好適な態様を示す概略投影図である。
【図4c】本発明による表面を印刷する装置の好適な態様を示す概略投影図である。
【図4d】本発明による表面を印刷する装置の好適な態様を示す概略投影図である。
【図4e】本発明による表面を印刷する装置の好適な態様を示す概略投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳説する。
【0034】
図1は、本発明による、任意に成形された表面(略して:3D表面)を印刷する装置の好適な態様を示す概略側面図である。図1に示すように、表面1は、少なくとも1つのカーブを有している。表面は、たとえば車両の、塗装されるべき車体部分であってよい。本発明による印刷装置2を用いると、カーブしたまたは任意に成形された表面を単色または多色で塗装するか、または多色の情報(画像、パターンまたはテキスト)を付けることができる。
【0035】
印刷装置2は、種々の幾何学形状を有する可動で複数の印刷ヘッド3a〜3cを備えており、印刷ヘッド3a〜3cは、それぞれ個別に制御可能な複数のノズル4a〜4cを備えている。図示の態様では、3つの印刷ヘッドが例示されている。3つの印刷ヘッド3a〜3cは、それぞれ(作動中の)印刷位置5aまたは(非作動の)休止位置5bまたは5cに移動可能である。印刷位置5aは、印刷ヘッド3aがトレランスTAの範囲内で表面1に対して作業間隔Aを有して配置された位置である。作業間隔は、いわゆるインクジェットヘッドを用いる際に、たとえば到達距離、つまり実質的に妨害のない条件におけるインク滴の飛翔距離により制限される。作業間隔は、たとえば衝突を回避するための最小間隔によっても制限される。図1では、印刷ヘッド3aは、印刷位置5aにあり、これに対して2つの印刷ヘッド3b,3cは、それぞれ休止位置5b,5cにある。これらの休止位置は、印刷ヘッドが印刷せず、クリーニング可能な位置である。非作動の印刷ヘッドのクリーニングは、作動中の印刷ヘッドの印刷中に行うことができる。
【0036】
図1に示すように、3つの印刷ヘッド3a〜3cは、回転装置7(矢印7’参照)として構成された共通の搬送装置6に配置されており、搬送装置6は、印刷ヘッド3a〜3cを、各位置5a〜5cに移動もしくは回動させる。択一的に、4つ以上または2つの印刷ヘッドを設けてもよい。個別の各印刷ヘッド3a〜3cは、回転装置7に回動可能に収容することができる(矢印7’’参照)。
【0037】
反時計回り方向の120°の回動7’により、第1の(作動中の)印刷ヘッド3aは、印刷位置5aから休止位置5cへ移動し、第2の(非作動の)印刷ヘッド3bは、休止位置5bから印刷位置5aへ移動する(したがって第2の印刷ヘッドは作動であり、第1の印刷ヘッドは非作動である)。第3の印刷ヘッド3cは、2つの休止位置5cと5bとの間で変化する。回転装置7は、図示のように、幾つかの印刷ヘッドのための回動可能な中心の支持体8を備えてよい。回動は、電動モータにより行うか、または空気力式に行うことができる。360°以上の回動の代わりに、双方向の回動を行ってもよい。
【0038】
回転装置の使用により、特にヘッドの交換およびこれに応じた画像データの交換のために行われる迅速な制御および/または調整に関して、その都度使用される印刷ヘッド間の迅速で正確な交換が許容される。印刷ヘッド3a〜3cのノズル4a〜4cのその都度の位置は、作動中の印刷ヘッドを交換する際に、画像移行部において印刷画像に不都合な効果が生じない、つまり第1の印刷ヘッドの印刷画像が第2の印刷ヘッドの印刷画像に繋ぎ目なく続く、またはその逆であるように、選択されている。
【0039】
個々の印刷ヘッド3a〜3cは、種々の塗料、ワニスまたはインキのため、特にいわゆるCMYK印刷(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のためのノズル4a〜4cを備えることができる。選択的に、個々の印刷ヘッド3a〜3cは、それぞれ1つの塗料で印刷する、複数、好適には4つの部分ヘッドから構成してもよい。画像形成により得られる色空間は、たとえば6色印刷(CMYK、ライトシアンおよびライトマゼンタ)ならびに別の表色系により拡張することができる。特に追加的に白色の塗料、ワニスまたはインキにより、得られる色空間を拡張することができる。
【0040】
さらにインクジェットヘッドの管路系におけるインク印刷(もしくはノズルの吐出開口におけるその都度のインクメニスカス)を一定に維持するための静水力学的な補整機構が印刷ヘッドと共に1つのユニットを成すようにしてもよい。したがってこのユニットは、印刷位置から休止位置へ変化する際にその全体が移動させられる。
【0041】
第1のモードでは、第1の印刷ヘッド3aが、印刷位置5aに配置されており、第2の印刷ヘッド3bが、休止位置5bに配置されている。第2のモードでは、第1の印刷ヘッド3aは、休止位置5bまたは5cに配置されており、第2の印刷ヘッド3bは、印刷位置5aに配置されている。選択的に、2つの印刷ヘッドを同時に印刷位置に移動させ、交互に印刷ヘッドを切り換えることができ、このようにして不都合な作用を生じさせることなく画像移行部を形成することができる。その際、第3のヘッドは、休止位置に留まる。
【0042】
各休止位置5bまたは5cでは、印刷ヘッド3a〜3cは、搬送装置に取り付けたままにするか、または搬送装置から分離して、たとえば格納することができる。好適には、印刷ヘッドのためのインキ供給部は、印刷ヘッドを格納する際に、搬送装置と結合したままである。
【0043】
さらに図1に示すように、共通の搬送装置6は、制御可能で複数の構成部材から成るロボットアーム9に配置されている。ロボットアーム9により、搬送装置は、印刷ヘッド3a〜3cと共に、表面1に対して位置決めし、印刷するために表面1に沿ってガイドし、つまり表面に対して相対運動することができる。ロボットアームにより、任意の運動を行い、したがって作業間隔A(トレランスTAの範囲内)で任意の軌道上を移動することができる。従来慣用のロボットアームやフレキシブルなアーム(たとえばいわゆるbionischer Handling Assistent Festo社、Esslingen)を用いることができる。択一的に、搬送装置は、XYZフレームに配置してもよい。
【0044】
図面に例示する印刷ヘッド3a〜3cは、それぞれ個別に制御可能な複数のノズル4a〜4cを備えている。好適には、印刷ヘッドは、好ましくは圧電式に作動可能なノズルをベースとするいわゆるインクジェットヘッドである。さらに搬送装置6に、インクジェットヘッド3a〜3cに対して追加的に噴霧を形成する少なくとも1つのヘッド(つまり個別に制御可能な複数のノズルを備えていないヘッド)を設けてもよく、このヘッドは、大面積で単色の塗装の際に用いられる。さらに本発明によれば、いわゆる「continuous wave(連続波)」システム、いわゆる「valve jet(バルブジェット)」印刷システム、またはいわゆる「bubble jet(バブルジェット)」システムを用いることができる。
【0045】
図1に例示する印刷ヘッド3a〜3cは、それぞれ異なるノズル配置構造10a〜10cを備えている。それぞれ異なるノズル配置構造は、それぞれノズルの数で異なっており、たとえば第1の印刷ヘッド3aのノズル配置構造のノズル4aの数は、第2の印刷ヘッド3bのノズル配置構造10bのノズル4bの数よりも少ない。第1の印刷ヘッドは、個別に制御可能な少数のノズルしか備えていない。これに対して第2の印刷ヘッドは、個別に制御可能な多数のノズルを備えている。したがって第1の印刷ヘッドは、好適には、比較的小さな曲率半径R1を有する表面1の(低速)印刷に適切であり、第2の印刷ヘッドは、比較的大きな曲率半径R2を有する表面または平らな表面の(高速)印刷に適切である。図示のように、表面は、凸状または凹状の区分を備えてよい。比較的小さな印刷ヘッド3aは、特に比較的小さな曲率半径を有する凹状の部分の印刷に適切である。したがって本発明によれば、印刷されるべき表面セグメントの位相幾何学に応じて適切な印刷ヘッド3a〜3cをセグメントの傍の印刷位置5aにもたらすことができる。
【0046】
図1には、たとえば溝により形成され得るいわゆるアンダカット11を備えた、印刷されるべき表面1の区分を示す。車体部分において、そのようなアンダカットは、たとえばドアグリップまたは曲げ返された外縁に形成されることがある。この区分の印刷は、比較的小さな印刷ヘッド3cでしか行うことができない。第3の印刷ヘッド3cは、特にそのようなアンダカットを印刷するために設計されている。このために第3の印刷ヘッドは、極めて小さなノズル配置構造10cを備えている。このノズル配置構造は、印刷ヘッドのカーブした区分12に取り付けられており、この区分12により、アンダカットの内側にノズル配置構造をガイドすることができる。図2には、そのような状況を例示する。
【0047】
種々の印刷ヘッド3a〜3cは、相互に一定の間隔で回転装置7に取付可能である。これに対して択一的に、種々の印刷ヘッドは、相互に異なる間隔で回転装置に取り付けてもよく、異なる間隔により、回転装置と印刷ヘッドとから成るシステム全体はバランスがとれている。さらに選択的に、回転装置に個別のバランスウェイト13を取り付けてもよい。
【0048】
図3には、本発明による表面を印刷する装置の別の好適な態様を概略側面図で示す。図1に示す回転装置の代わりに、循環走行するベルト14が設けられており、ベルト14に、それぞれ異なるノズル配置構造10a〜10dを有する種々の印刷ヘッド3a〜3cが配置されている。ベルトは、その都度の位置5a〜5dに印刷ヘッドを移動させる機能を有している。印刷ヘッド3aが印刷位置5aに位置し、全ての別の印刷ヘッド3b〜3dが休止位置5b〜5dに位置する際に、印刷ヘッド3dは、同時にクリーニング位置5dを占める。印刷位置では、作動中の印刷ヘッドは、たとえば非作動の印刷ヘッドの列から突出し、このようにして問題なく表面1に対して作業間隔Aにもたらすことができる。
【0049】
ベルト14、または、ベルトならびにベルトのガイドローラを備えた装置は、ロボットアーム6またはXYZフレームに配置可能である。回転装置またはベルト装置に対して択一的に、印刷ヘッド3a〜3dを移動させるためのリニア駆動装置を設けてもよい。
【0050】
図4a〜図4eは、本発明による印刷装置の好適な態様を示す概略投影図である。図4aから看取されるように、印刷ヘッド3aのノズル配置構造10aにおけるノズル4aの空間的な配置構造は、ライン状(リニア状)であり、比較的多数のノズルを備えている。図4bには、比較的少数のノズル4aを有する同様の印刷ヘッド3aを示す。両方の印刷ヘッド3aは、フック状またはL字状の構成により、アンダカット11を印刷するために用いられるものである。図4cに示すように、ノズル配置構造10a自体のノズル4aの空間的な配置構造は、フック状またはL字状であってよく、相応に成形された表面1を印刷することができる。図4dには、ノズル配置構造10aのノズル4aの空間的な配置構造を示し、この配置構造は、カーブ状であり、特に円弧状に構成されている。このノズル配置構造は、凸状の表面1を印刷するために用いられるものである。図4eには、ノズル配置構造のノズル4aの空間的な配置構造を示し、この配置構造も同様にカーブ状であり、特に円弧状に構成されている。このノズル配置構造は、凹状の表面1を印刷するために用いられるものである。図4a〜図4eから看取されるように、それぞれ異なるノズル配置構造10aは、ノズル4aの空間的な配置構造で異なっている。
【符号の説明】
【0051】
1 印刷されるべき表面、 2 印刷装置、 3a (作動中の)印刷ヘッド、 3b〜3d (非作動の)印刷ヘッド、 4a〜4c ノズル、 5a 印刷位置、 5b,5c 休止位置、 5d 休止/クリーニング位置、 6 搬送装置、 7 回転装置、 7’ 回動運動、 7’’ 回動運動、 8 支持体、 9 ロボットアーム、 10a〜10d ノズル配置構造、 11 アンダカット、 12 カーブした区分、 13 バランスウェイト、 14 ベルト、 A 作業間隔、 TA 作業間隔のトレランス、 R1,R2 曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を印刷する装置であって、
−運動可能な複数の印刷ヘッド(3a〜3d)を備え、該印刷ヘッド(3a〜3d)は、それぞれ個別に制御可能な複数のノズル(4a〜4d)を備えており、
−印刷ヘッド(3a〜d)のための少なくとも1つの印刷位置(5a)および少なくとも1つの休止位置(5b〜5d)を備え、印刷ヘッド(3a〜3d)は、各位置(5a〜5d)に移動可能であるものにおいて、
−少なくとも1つの第1の印刷ヘッド(3a)と第2の印刷ヘッド(3b〜3d)とが、それぞれ異なるノズル配置構造(10a〜10d)を備えており、
−第1のモードでは、第1の印刷ヘッド(3a)は、印刷位置(5a)に配置されていて、第2の印刷ヘッド(3b〜3d)は、休止位置(5b〜5d)に配置されており、
−第2のモードでは、第1の印刷ヘッド(3a)は、休止位置(5b〜5d)に配置されていて、第2の印刷ヘッド(3b〜3d)は、印刷位置(5a)に配置されている、
ことを特徴とする、表面を印刷する装置。
【請求項2】
それぞれ異なるノズル配置構造(10a〜10d)は、それぞれノズル(4a〜4d)の数で異なっており、第1の印刷ヘッド(3a)のノズル配置構造(10a)のノズル(4a)の数は、第2の印刷ヘッド(3b)のノズル配置構造(10b)のノズル(4b)の数よりも少ない、請求項1記載の装置。
【請求項3】
それぞれ異なるノズル配置構造(10a〜10d)は、それぞれノズル(4a〜4d)の空間的な配置構造で異なっている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの印刷ヘッド(3a〜3d)のノズル配置構造(10a〜10d)におけるノズル(4a〜4d)の空間的な配置構造は、リニア状である、請求項3記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの印刷ヘッド(3a〜3d)のノズル配置構造(10a〜10d)におけるノズル(4a〜4d)の空間的な配置構造は、フック状である、請求項3記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの印刷ヘッド(3a〜3d)のノズル配置構造(10a〜10d)におけるノズル(4a〜4d)の空間的な配置構造は、カーブ状である、請求項3記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの第1の印刷ヘッド(3a)および第2の印刷ヘッド(3b〜3d)は、共通の搬送装置(6)に配置されており、該搬送装置(6)は、印刷ヘッド(3a〜3d)を、各位置(5a〜5d)に移動させる、請求項1記載の装置。
【請求項8】
共通の搬送装置(6)は、回転装置(7)、または、循環走行するベルト(14)を備えた搬送装置である、請求項7記載の装置。
【請求項9】
共通の搬送装置(6)は、ロボットアーム(9)に配置されている、請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
請求項1から8までいずれか1項記載の装置とロボットアームとから成るシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【公開番号】特開2012−206116(P2012−206116A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−73885(P2012−73885)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, D−69115 Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】