説明

表面特性を特定する装置および方法

【課題】特定された光の特性または照明の種類のもとで、表面の全体的な印象を再現可能に評価決定できるような装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明は、表面特性を特定する装置および方法に関するものであり、検査対象となる測定面に平行化された光線を放射するための少なくとも1つの第1の光線放射装置と、この測定面に非平行化された光線を放射するための少なくとも1つの第2の光線放射装置とを有してなり、測定面の上方の空間はほぼ光線を吸収する特性を有する。本発明に係る装置は、さらに少なくとも1つの光線検出装置を有し、光線検出装置は、検査すべき表面によって反射および/または散乱される光線の少なくとも一部を検出し、この反射および/または散乱される光線の特徴を表す少なくとも1つの測定信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面特性を特定する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目に見える表面の状態は、日常生活における対象物、例えば設置された対象物や自動車など使用する対象物の主たる特性であって、それらの対象物に対して見る者がいだく全体の印象を決定する上で重要な役割を果たす。一例として車体の光沢仕上げ塗装やメタリック塗装が挙げられるが、とりわけこのような光沢仕上げ塗装の表面品質の再現性を持つ評価ができるようにするためには、見る者がいだく全体の印象を決定する上で重要な働きをするまさにその物理的な数値を検出する測定器が必要となる。従来技術においても表面の視覚的な特性、特に反射特性が特定できる様々な方法および装置が周知となっている。
【0003】
このような測定器の欠点は、検査すべき対象の反射特性または散乱特性を特定するのにコリメートされた光、すなわち指向された平行な光線束を主として用いることである。これらの測定器を用いた場合、例えば快晴日における塗装された車体部材の反射作用をシミュレーションすることは可能であるが、それは雲のない状態では太陽光がほぼ平行化された光として認識されるためである。
【0004】
しかしながら、特に塗装された表面の場合、曇天の日でなければ見る者への全体的な印象が定まらないような特性を有することもある。それは、曇天の場合、検査対象となる表面には多数の方向から雲によって散乱させられた光、すなわち平行化されていない光、あるいは拡散性の光が当たるためである。したがって、問題なのは、実際に見る者に与える表面の印象が照明の種類、つまり、コリメートされた光および/またはコリメートされない光、またはそれらが一緒になって作用する光によって生じてくるという点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の理由から、本願の課題は、限定はされないが特に、平行化の度合いに関して特定された光の特性または照明の種類のもとで、表面の全体的な印象を再現可能に評価決定できるような上述の類の装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願による装置では、特に、非平行化された光、すなわち原則的に散乱光または拡散光を作用させた状態での評価対象の表面反射特性も検出することができる。
【0007】
本発明において表面特性または構造化された表面の特性とは、特に見る者に対して表面の外観を決定づけるような表面の物理的特性のことである。この概念に該当する特性は特にマクロ組織およびミクロ組織、トポグラフィー、色彩、色の位置、色の明度、光沢、結像の鮮明さ(英語:DOI)、艶消し、表面の肌理、表面の凹凸(英語:orange peel〔みかん膚〕)などである。
【0008】
本発明によれば上記の課題は請求項1に記載の装置によって解決される。本発明に係る方法は請求項26に記載されている。好適な実施の形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明に係る装置では、少なくとも1つの光源を有する第1の光線放射装置を用いてほぼ平行化された光線をあらかじめ設定された角度で測定面に当てる。この設定角度は好適に変えることができる。
【0010】
さらに本発明による装置には、少なくとも1つの光源を有する少なくとも1つの第2の光線放射装置が設けられ、この装置により主に非平行化されたコリメートされない光線が測定面に当てられる。
【0011】
また、本発明による装置は、少なくとも1つの光線検出装置を有する。これは測定面が反射および/または散乱する光線の少なくとも一部を認識し、反射および/または散乱された光線を特徴づける少なくとも1つの信号を生成するものである。光線検出装置には、当てられた光線をその波長に応じて検出するのに適した装置が設けられることもある。したがって、例えばモノクロメータを設けることができ、つまりは、一般的に少なくとも1つの透過型回折格子あるいは反射型回折格子などの分散的な光学素子を設けることができる。光線検出装置と測定面の幾何学的中心とを結ぶ幾何学的結合軸線と、この結合軸線を測定面へ投影したものとによって形成される角度は変更可能であるが、光線検出装置から測定面までの距離はほぼ一定である。本発明による装置の特徴は、測定面の上方の空間がほぼ光線を吸収する特性を有することであり、そのために光線検出装置が受容する反射および/または散乱光線はほぼ、検査対象となる表面において散乱および/または反射される光線のみとなる。そうでなければ多重反射あるいは多重散乱が生じ、光線検出装置によって特定される表面の特性を表す信号を解釈するのが著しく困難になると考えられる。また、測定面によって反射または散乱された光が、測定面の上方の空間によって反射され、特に非平行化された光として再び測定面に到達することも防止しなければならないであろう。しかしながら処理装置を設け、前記のような作用が及ぼす影響を計算により除去できるような相応の実施の形態も考えられる。
【0012】
ここで「空間」という概念は、周囲に対する測定面の実体的かつ空間的な境界を定めることを意味するだけでなく、単に測定面の上方に設けられた本発明に係る全ての装置を指すものと考えることができる。
【0013】
本発明に係る装置の好適な構成において、少なくとも1つの光線検出装置と測定面の幾何学的中心とを結ぶ第1の幾何学的結合軸線及びこの第1の結合軸線を測定面に投影したものから形成される角度、また好適に第1の光線放射装置と測定面の幾何学的中心とを結ぶ第2の幾何学的結合軸線及びこの第2の結合軸線を測定面に投影したものから形成される角度は、変更することができる。
【0014】
本発明に係る装置においては、第1の光線放射装置と測定面との距離を小型の形状が可能となるように小さく保ち、例えば手で握れる大きさの器具として構成できるようにするのが好ましい。この距離は好適に1cmから30cm,好ましくは2cmから20cm、特に好ましくは2cmから7cmである。
【0015】
本発明のさらなる好適な構成においては、第二の光線放射装置が多数設けられ、非平行化された光線が特に好適に均一に放射される。
【0016】
本発明に係る装置のさらなる好適な構成においては、少なくとも1つの第2の光線放射装置が、少なくとも1つの光線散乱装置を有する。この光線散乱装置は、第2の光線放射装置の1つまたは複数の光源の光線を少なくとも部分的に任意の方向に散乱させて測定面に当てる。
【0017】
光線散乱装置の光を散乱させる部材は、好適に光線散乱板、つや消しガラス板ないしするガラス板、ディフューザーフィルムなどである。
【0018】
散乱効果を得るため、光線散乱装置の有効散乱面、すなわち第2の光線放射装置の光源からの光線が当たってそこから散乱されるちょうどその部分は、光線放射装置と測定面の幾何学的中心とを結ぶ幾何学的結合軸線に対して一定の角度をなして設けられている。このような散乱面の角度は0°から90°が好適であり、30°から90°が好ましく、75°から90°が特に好ましい。
【0019】
本発明による装置のさらなる好適な構成において、少なくとも1つの光線散乱装置の、光線散乱装置と測定面の幾何学的中心とを結ぶ幾何学的結合軸線に対する散乱面の向きと位置は然るべき装置を用いて変えることができる。
【0020】
本発明に係る装置のさらなる好適な構成において、少なくとも1つの第1の光線放射装置及び少なくとも1つの第2の光線放射装置は、測定面の上方のケーシング内に設けられて配置されている。このような構成により、例えば自然光による撹乱光線ないし干渉光線といったノイズの影響を防止することができる。
【0021】
ケーシングの内部空間は、ほぼ光線を吸収する特性を有していることが好ましい。
【0022】
本発明に係る装置の好適な構成において、ケーシングは、ほぼ光線を通さないように、好ましくは光を通さないように構成され、測定面によって散乱および/または反射されなかった光線は、ケーシング内にほぼ入ってこれないようになっている。
【0023】
本発明のさらなる好適な構成において、少なくとも第2の光線放射装置は、測定面の上方の幾何学的球面または回転楕円体の幾何学面に設置されているので、測定面に対し、好適に均一に光線を当てることができる。
【0024】
本発明による装置のさらなる構成において、少なくとも1つの光源を、少なくとも1つの光線パラメータ、例えば光線強度、光線の波長、光線の偏光方向、光線強度の時間的変調などにおいて変更することが好ましい。
【0025】
本発明のさらなる好適な構成において、少なくとも2つの光源の少なくとも1つの光線パラメータは、互いに独立に個別に変更できる。
【0026】
本発明に係る装置の光源は、熱光源を含む光源のグループの中から選択されるのが好適である。ここで、熱光源とは、限定されるわけではないが特に、白熱電球、ハロゲンランプ、コヒーレント半導体光源、非コヒーレント半導体光源、ガス放電光源、レーザーなどである。
【0027】
本発明に係る装置のさらなる好適な構成において、少なくとも2つ、好ましくは3つあるいはそれ以上の光源および/または光線検出装置は、それらのスペクトル特性が区別できるように構成されている。すなわち、これらの光源および/または光線検出装置は、波長に関して固有の異なる光線放射特性、あるいは、反応特性を異なる波長の光線に対して有している。
【0028】
本発明に係る装置のさらなる好適な構成において、少なくとも1つの第1の光線放射装置の光線はコリメートされる。つまり少なくとも1つの光線偏向装置によって平行な光線束が作られる。
【0029】
好適な光線偏向装置としては、特に光を用いる場合、レンズ素子、マイクロレンズ素子、マイクロレンズアレイ、回折素子、反射鏡素子、限定はされないが特に凹面鏡、格子素子、体積回折格子、ホログラフィー素子などが使用される。
【0030】
さらに好適な点は、第1の光線放射装置の平行化された光線束の広がりを、絞り装置、限定はされないが、好適には開口絞り装置によって変えられることである。
【0031】
本発明は、測定面までの光線放射装置の距離がほぼ一定に保たれるようにして測定面に対して相対的に移動可能とされていることが好ましく、これにより、比較的大きな測定面の異なる部分の表面特性を、たった1つの装置を用いて対応する測定信号を検出することにより、特徴づけることができる。
【0032】
本発明に係る装置のさらなる好適な実施の形態においては、少なくとも1つの行程測定装置が設けられている。この装置は、本発明による装置と測定面との間で相対移動により進んだ行程を表す少なくとも1つの測定信号を出力するものである。
【0033】
この場合、少なくとも1つの行程測定装置は、ケーシングの内部または外部に設けられているのが好適である。
【0034】
本発明に係る装置のさらなる好適な構成において、検査すべき表面のコーティングの厚さを特定するための少なくとも1つの層厚測定装置が設けられている。この層厚測定装置は、特定すべき層厚を表す測定信号を出力する少なくとも1つの層厚センサを有し、層厚センサは、検査対象となる表面の素材に応じて磁束密度センサ、渦電流センサ、超音波センサ、機械的厚さセンサなどからなる一群の層厚センサの中から選択される。
【0035】
このようにして検査対象となる表面は、反射特性や散乱特性のほか、コーティングが設けられている場合には、その厚みを測定することによっても特徴づけることができる。
【0036】
この場合、少なくとも1つの層厚測定装置は、ケーシングの内部および/または外部に設けられていることが好ましい。
【0037】
本発明に係る装置のさらなる好適な実施の形態においては、少なくとも1つの処理装置および記憶装置が設けられ、光線検出装置の測定信号、および/または行程測定装置および/または層厚測定装置の測定信号を、特定の場所、限定はされないが特に、測定面のそれぞれ同じ場所に対応させることができる。このためには、例えば測定の開始時に、本発明による装置を測定面に載置する際などに基準点を、好ましくは然るべきスイッチ回路によって自動的に定めさせ、その固有の位置座標を記憶装置に記憶させることが好適である。
【0038】
このような構成は、特定の時点において、異なる複数の測定装置を用いて検査しなければならない測定面の部分が互いに空間的に離れていて、その結果、個々の測定信号を相関させたい場合に、この測定信号を一時的に記憶させ、後から信号どうしの対応付け、そしてそれぞれの測定面上の対応する場所への信号の対応付けを行うことができるようにするのに特に有利である。
【0039】
本発明の課題はまた、表面特性を定量的に特定する方法によって解決される。
【0040】
本発明に係る方法は以下の特徴を有する。すなわち請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の少なくとも1つの第1の光線放射装置と、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の少なくとも1つの第2の光線放射装置とが、これらの装置の少なくとも1つの光源の少なくとも一部を測定面に放射し、少なくとも1つの光線検出装置が設けられて、測定面によって反射および/または散乱される光線の少なくとも一部を受容し、反射および/または散乱される光線を特徴づける少なくとも1つの測定信号を出力するとともに、光線検出装置による測定信号の検出を制御する少なくとも1つの制御装置が設けられ、少なくとも1つの測定結果を出力する少なくとも1つの出力装置が設けられている。
【0041】
本発明に係る方法のさらなる好適な構成においては、少なくとも1つの処理装置が設けられる。処理装置は、測定信号を評価し、それにより少なくとも1つの特性値を導き出す。この数値は、測定面の特性を表し、少なくとも1つの出力装置に出力される。
【0042】
本発明に係る方法のさらなる好適な構成は、少なくとも1つの制御装置が設けられていることを特徴とする。この制御装置は、光線検出装置および/または行程測定装置および/または層厚測定装置の測定信号の検出を制御し、少なくとも1つの記憶装置に記憶させる。
【0043】
本発明に係る方法のさらなる好適な構成においては、第2の光線放射装置の光線は、測定面および/または測定面に対してほぼ平行な面によってほぼ一度だけ反射および/または散乱させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明のさらなる有利点、特徴および応用例は図面に関連させながら以下の実施例の説明に記載する。図面に示すのは以下の通りである。
【0045】
図1において図式的に表された表面特性を特定するための装置は、半球形状のケーシング1を有し、このケーシング内には、測定面7に対して一定の角度αを成して第1の光線放射装置2が設けられている。
【0046】
本図に示す実施例で放射される光線は、人間の目に見える光であるが、本発明に係る装置によれば、赤外線または紫外線などの他の波長の光線を用いることも意義があり有利であろう。
【0047】
光線放射装置2には、図で示すように3つの光源3と、絞り4、およびレンズ装置5が設けられている。光源3のうちの1つから放射された光は、開口に設けられた絞り4によって制限され、レンズ装置5によってコリメートされ、すなわちほぼ平行な光線束とされ、検査対象の測定面7に開口部6を介して当てられる。
【0048】
測定面7によって光の少なくとも一部が反射され、光線検出装置8に入射する。この光線検出装置にも、レンズ9、絞り10、フィルタ11および光センサ12が設けられている。光線検出装置は、測定面7に対して第1の光線放射装置2とほぼ等しい角度αをなして設けられるが、角度αと異なる角度βをなして設けられるのが好ましい。
【0049】
ケーシング1にはさらに、本発明に係る装置としての第2の光線放射装置19が4つ設けられている。例えば光源14を備えた光線放射装置19の光はほぼ散乱板20に当たり、散乱板から任意の方向に、すなわちコリメートされずに散乱して測定面7に当たる。このように非平行化された光が作る円錐体は、符号15で示されている。
【0050】
図に示すとおり、第2の光線放射装置19は、一定の方法で半球形状のケーシング1に設けられている。すなわち、非コリメート光をできるだけ均一に測定面に照射できるように第2の光線放射装置を設けるのが好適である。光線放射装置19は、図1に示す平面内のみならず、立体的にも配分されて設けられている。
【0051】
散乱板20として形成された散乱装置は、第2の光線放射装置19と測定面7の幾何学的中心とを結ぶ幾何学的結合軸線に対してあらかじめ設定された角度をなして設けられている。この角度は、好適な散乱作用を実現するために0°から90°であり、絶対的にとはいえないがちょうど90°であるのが好ましい。
【0052】
第2の光線放射装置19’とそれに対応する散乱板20’を用いて図に示すとおり、散乱板をもうける角度は変更可能である。図1に示す実施の形態は、さらに図に示す車輪21および22を介して測定面の上方を移動可能であるが、そのとき光線放射装置2ならびに光線放射装置19及び光線検出装置8と、測定面との距離はほぼ一定に保たれる。
【0053】
図1に示す実施の形態には、さらに行程測定装置がもうけられ、本実施形態では車輪21に設けられた回転角測定装置23によって形成されている。本発明による装置は、さらに光線検出装置による測定信号の検出を制御する制御装置(図示せず)と、測定値を出力することができる同様に図には示されない表示装置を有している。
【0054】
図1に示す実施の形態は、光線放射装置、すなわち本図の場合は光線検出装置8によって、測定面が散乱させる第2の光線放射装置19の非コリメート光の少なくとも一部が検出され、この光から、図示されぬ処理装置を介して測定面を特徴づけるパラメータが導き出されるという考え方に基づくものである。
【0055】
図2に示す実施の形態は、さらに検査対象となる測定面の層厚を特定するための層厚測定装置24を有している。この装置に設けられた層厚センサは、特定すべき層厚に対応した測定信号を出力する。
【0056】
このような層厚測定装置は、少なくとも部分的にケーシングの内部、および(点線で示すように)ケーシングの外部に設けられる。好適な実施の形態では層厚測定装置は、測定面に接触するゾンデである。図1に示す実施の形態とは異なり、光線検出装置8は、測定面7に対して垂直に設置されている。
【0057】
図2に示す実施の形態には、さらに記憶装置を有する処理装置(図示せず)が設けられ、この処理装置により、例えば光線検出装置および/または層厚測定装置の測定信号を、限定はされないが特に、それぞれ測定面の同じ場所に対応させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明に係る装置のさらなる実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ケーシング
2 第1の光線放射装置
3 光源
4 絞り(絞り装置)
5 レンズ装置(光線偏向装置)
7 測定面
8 光線検出装置
9 レンズ
10 絞り
11 フィルタ
12 光センサ
19 第2の光線放射装置
20 散乱板(光線散乱装置)
23 回転角測定装置(行程測定装置)
24 層厚測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面特性を特定する装置であって、
平行化された光線があらかじめ設定された角度をなして測定面に当たるようにする、少なくとも1つの光源を有する少なくとも1つの第1の光線放射装置と、
前記測定面に非平行化された光線を放射するための、少なくとも1つの光源を有する少なくとも1つの第2の光線放射装置と、
前記測定面によって反射および/または散乱された光線の少なくとも一部を受容し、反射および/または散乱された光線に関して特徴的な少なくとも1つの測定信号を出力する少なくとも1つの光線検出装置と、を有してなる装置において、
表面特性を特定する前記装置は、少なくとも1つの前記第1の光線放射装置と少なくとも1つの前記第2の光線放射装置とを支持するケーシングを前記測定面上に有し、前記ケーシング内の空間は、前記測定面上において光線吸収特性を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光線検出装置と前記測定面の幾何学的中心との間を結ぶ第1の幾何学的結合軸線と該第1の結合軸線の前記測定面への投影とが形成する角度、及び、前記少なくとも1つの第1の光線放射装置と前記測定面の幾何学的中心とを結ぶ第2の幾何学的結合軸線と該第2の結合軸線の前記測定面への投影とが形成する角度は、変更自在とされていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の光線放射装置から前記測定面までの距離が1cmから30cmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記非平行化された光線が多数の第2の光線放射装置によって前記測定面に放射されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2の光線放射装置が少なくとも1つの光線散乱装置を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光線散乱装置が光線散乱板、つや消しガラス板、ディフューザーフィルムを含む一群の光線散乱装置から選択されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光線散乱装置の散乱面は、前記光線放射装置と前記測定面の幾何学的中心とを結ぶ幾何学的結合軸線に対してあらかじめ設定された散乱面角度をなして設けられ、この角度が0°から90°とされていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの光線散乱装置の前記散乱面は、前記光線放射装置と前記測定面の幾何学的中心とを結ぶ幾何学的結合軸線に対する空間的な向きおよび位置が変更可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ケーシングは光線を通さないように形成され、前記測定面によって散乱および/または反射されなかったいかなる光も前記ケーシング内に進入できないように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の光線放射装置は、測定面の上方の幾何学的球面または回転楕円体の幾何学面に設置されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記第1の光線放射装置または前記第2の光線放射装置の少なくとも1つの光源の少なくとも1つの光線パラメータが変更可能とされ、該光線パラメータは、光線強度、光線の波長、光線の偏光方向及び時間的光線強度変調からなる一群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも2つの前記第1の光線放射装置、少なくとも2つの前記第2の光線放射装置、または、少なくとも1つの前記第1の光線放射装置及び前記第2の光線放射装置の少なくとも2つの光源の少なくとも1つの光線パラメータが互いに独立に変更可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの前記第1の光線放射装置または少なくとも1つの前記第2の光線放射装置の少なくとも1つの光源は、熱光源を有する一群の光源から選択され、前記熱光源は、白熱電球、ハロゲンランプ、コヒーレント半導体光源、非コヒーレント半導体光源、ガス放電光源またはレーザーであることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも2つの前記第1の光線放射装置、少なくとも2つの前記第2の光線放射装置、少なくとも1つの前記第1の光線放射装置及び前記第2の光線放射装置、または、少なくとも2つの光線検出装置は、異なるスペクトル光線特性を有していることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の光線放射装置の光線は、少なくとも1つの光線偏向装置によって平行化されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つの前記光線偏向装置は、少なくとも1つの光線偏向素子を有し、該光線偏向素子は、レンズ素子、マイクロレンズ素子、マイクロレンズアレイ、回折素子、反射鏡素子、放物面反射鏡、格子素子、体積回折格子及びホログラフィー素子からなる一群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の光線放射装置は、少なくとも1つの絞り装置を有し、前記絞り装置は、光路上に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記光線放射装置と前記測定面との距離が不変に保たれるようにして前記測定面に対して相対的に移動可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
表面特性を測定する前記装置と前記測定面との間で相対移動により進んだ行程を特徴づける少なくとも1つの測定信号を出力する少なくとも1つの行程測定装置が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの前記行程測定装置は、前記ケーシングの内部および/または外部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
検査対象となる前記測定面のコーティング厚を特定するための少なくとも1つの層厚測定装置が設けられ、該層厚測定装置は、特定すべき層厚の特徴を表す測定信号を出力する少なくとも1つの層厚センサを有することを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つの層厚測定装置は、前記ケーシングの内部および/または外部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つの処理装置および記憶装置が設けられ、該処理装置および記憶装置は、光線検出装置の測定信号および/または行程測定装置および/または層厚測定装置の測定信号を特定の場所に対応付けることを可能にするように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
表面特性を特定するための方法であって、請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の装置を使用する方法において、
請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の少なくとも1つの第1の光線放射装置と、請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の少なくとも1つの第2の光線放射装置と、によって、これらの装置の少なくとも1つの光源の少なくとも一部を測定面に放射し、
少なくとも1つの光線検出装置を設けて、前記測定面によって反射および/または散乱される光線の少なくとも一部を受容させ、反射される光線を特徴づける少なくとも1つの測定信号を出力させるとともに、
少なくとも1つの制御装置を設けて前記光線検出装置による測定信号の検出を制御し、
少なくとも1つの出力装置を設けて少なくとも1つの測定結果を出力することを特徴とする方法。
【請求項25】
少なくとも1つの処理装置を設け、該処理装置により測定信号を評価し、それにより前記測定面の特性を表し、かつ少なくとも1つの出力装置に出力される少なくとも1つの特性値を導き出すことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの制御装置を設け、該制御装置により光線検出装置および/または行程測定装置および/または層厚測定装置の測定信号の検出を制御し、少なくとも1つの記憶装置に記憶させることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の光線放射装置の光線を、前記測定面および/または該測定面に対して平行な面によって一度だけ反射および/または散乱させることを特徴とする請求項24から請求項26のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−58325(P2008−58325A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259997(P2007−259997)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【分割の表示】特願2004−134021(P2004−134021)の分割
【原出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【出願人】(596102241)ビック−ガルトナー・ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】