説明

袋内への棒状定形物充填方法及び装置

【課題】一対のグリッパー11,11に両側縁を把持されて吊され上向きに開口した袋9内に、比較的長い棒状定形物(スプーン1)を横向きで充填する。
【解決手段】袋幅方向に沿って左右に配置された断面凹溝形の一対のガイド部材12,13の凹溝内に、スプーン1を横向きで供給し前記凹溝内に支持し、次いで前記ガイド部材12,13を同時に内向きに略90度回動させる。これにより、ガイド部材12,13の一部を開口した袋口から袋9内に挿入して、ガイド部材12,13により袋口の袋幅方向両端を押し広げて袋口の開口形状を偏平形状に整形し、かつスプーン1を横向きのまま袋9内に落下させる。続いて押込板32をガイド部材12,13を通して下降させ、袋9内に落下したスプーン1を上から押さえ、横向き姿勢に矯正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上向きに開口した袋に袋口から棒状定形物を横向きで充填する方法及び装置に関し、特に比較的袋幅の狭い袋に比較的長い棒状定形物を横向きで充填する場合に適する棒状定形物の充填方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被充填物を開口した袋口から投入するにあたり、被充填物が比較的大きく袋口の開口の大きさに十分な余裕がない場合、例えば特許文献1,2に示すように、開閉可能な嘴状のホッパーを袋口に挿入し、袋口で開き、開いたホッパーを通して被充填物を袋内に充填することが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−178314号公報
【特許文献2】特許第3342262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば袋の収容部の深さが棒状定形物の長さより浅い場合、棒状定形物を横向き(寝かせた状態)で充填しなければならない。この場合、袋の収容部の袋幅方向長さが棒状定形物の長さより十分に大きいのであれば、例えば上記ホッパーを開口した袋口に挿入し、袋口で開き、開いたホッパーを通して定形棒状物を横向きで投入することができる。しかし、例えば棒状物の長さが袋の収容部の袋幅方向長さよりやや短い程度に長く、棒状定形物を充填する際に袋口を大きく開口できない(大きく開口すると袋の収容部の袋幅方向長さが縮まり棒状定形物を横向きで充填できなくなる)場合、棒状定形物を通過させるホッパーを袋内に挿入するのが困難であり、該ホッパーを利用しての棒状定形物の充填はできなくなる。
また、棒状定形物が例えばスプーンのように長手方向の重心が中央からずれているようなものの場合、ホッパー内を落下する棒状定形物の姿勢が縦向きに変化して、袋内に横向きで収容できなくなるという問題もある。
【0005】
従って、本発明は、例えば袋の収容部の深さが棒状定形物の長さより浅い場合などに、棒状定形物を袋内に横向きで充填する場合において、例えば棒状物の長さが袋の収容部の袋幅方向長さよりやや短い程度に長く、棒状定形物を充填する際に袋口を大きく開口できない場合でも、さらに棒状定形物の長手方向の重心が中央からずれている場合でも、棒状定形物を袋内に横向きで充填できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の方法は、一対のグリッパーに両側縁を把持されて吊され上向きに開口した袋内に棒状定形物を横向きで充填する充填方法であり、袋幅方向に沿って左右に配置された断面凹溝形の一対のガイド部材の凹溝内に、前記凹溝の底壁が略水平に向いているとき上方から棒状定形物を供給して前記棒状定形物を前記凹溝内に横向きに支持し、次いで前記一対のガイド部材を互いに対称的に同時に内向きに略90度回動させて、前記ガイド部材の一部を開口した袋口から袋内に挿入し、前記ガイド部材により袋口の袋幅方向両端を押し広げて袋口の開口形状を所定形状に整形するとともに、前記棒状定形物を前記ガイド部材の凹溝に沿って横向きのまま袋内に落下させることを特徴とする。
【0007】
上記充填方法では、前記ガイド部材の凹溝の上端近傍において前記棒状定形物をいったん横向きに位置決めした後、前記凹溝内に供給するようにしてもよい。また、前記一対のガイド部材を略90度回動させるとき、必要に応じて、前記一対のグリッパーの互いの間隔を所定距離開いて袋口の開口長さ(袋幅方向の開口長さ)を広げるようにしてもよい。また、一対のガイド部材を略90度回動させた後、必要に応じて、上方から一対のガイド部材の凹溝を通して押込板を袋内に下降させ、前記棒状定形物を上から押さえるようにしてもよい。
【0008】
本発明の装置は、一対のグリッパーに両側縁を把持されて吊され上向きに開口した袋内に棒状定形物を横向きで充填する充填装置であり、袋幅方向に沿って左右に配置され、かつ袋幅方向に沿った鉛直面内において対称的に同時に回動可能とされた断面凹溝形の一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材を回動させる駆動機構を備え、前記一対のガイド部材は、前記駆動機構により、凹溝の底壁が略水平となる受入位置と前記底壁が略鉛直になる投入位置の間で回動し、かつ前記ガイド部材の前記受入位置から投入位置までの回動及び投入位置から受入位置までの回動はともに内向きに行われ、前記ガイド部材の凹溝の内幅は前記棒状定形物の幅より大きく設定されて前記棒状定形物を凹溝内に受入可能であり、前記ガイド部材が投入位置にあるときの各ガイド部材の凹溝の底壁間の距離は前記棒状定形物の長さより長く設定されて前記棒状定形物が横向きで落下可能であり、前記ガイド部材は、前記受入位置において袋の直上位置に位置し、前記受入位置から投入位置に回動する過程で一部が開口した袋口から袋内に挿入され、袋口を所定形状に整形するように、袋口上縁からの高さが設定されていることを特徴とする。
【0009】
上記充填装置は、必要に応じて、待機位置と位置決め位置の間で進退可能とされた位置決め部材と、前記位置決め部材を進退させる駆動機構を備える。この場合、前記位置決め部材は前記位置決め位置において前記シュートに堰をし前記棒状定形物の滑落を止めて前記シュート上で横向きに位置決めし、前記待機位置に復帰したとき前記堰を解除して前記棒状定形物の滑落を許容する。より具体的な形態として、前記位置決め部材は板状で、前記一対のガイド部材の上の待機位置と下降した位置決め位置の間で昇降可能とされ、前記位置決め位置において前記受入位置にある前記ガイド部材の凹溝内に位置し、この位置決め位置において前記シュートの下端に堰をする。
また、上記充填装置は、必要に応じて一対のガイド部材より上の待機位置と下降した押込位置の間で昇降可能とされた押込板と、前記押込板を昇降させる駆動機構を備える。この場合、押込板は投入位置にあるときの一対のガイド部材の凹溝内を通過して下降可能であり、押込位置においてその下端がガイド部材より下方に達する。この押込板は、さらに中間の位置決め位置(前記位置決め部材の位置決め位置と同じ、すなわち前記受入位置にある前記ガイド部材の凹溝内の位置)において停止可能としてもよい。この場合、押込板は位置決め部材としても機能することになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、断面凹溝形の一対のガイド部材の凹溝内に棒状定形物を供給して、凹溝内において横向きに保持し、次いで一対のガイド部材を互いに対称的に同時に内向きに略90度回動させて、ガイド部材の一部を開口した袋口から袋内に挿入する。このとき一対のガイド部材は袋口の中心に近い部分(袋口の開口幅(袋幅方向に垂直な方向の開口幅)が最も広い部分)から袋内に挿入されるため、ガイド部材の袋内への挿入は問題なく行われ、かつ略90度回動することにより、凹溝の底壁が袋口の袋幅方向両端を内側から押し広げ、袋口の開口形状を所定の偏平形状に整形する。また、棒状定形物は凹溝の底壁による支持が解除されて横向きのまま、前記凹溝の側壁間をガイドされながら袋内に落下する。
【0011】
このように、ガイド部材により袋口の袋幅方向両端を内側から押し広げて袋口の開口形状を所定の偏平形状に整形し、前記ガイド部材の凹溝内を棒状定形物が落下するようにしたため、袋の収容部の袋幅方向長さよりやや短い程度に長い棒状定形物でも、容易に袋内に投入することができる。
なお、ガイド部材を回動させるとき、同時に袋の両側縁を把持するグリッパーの間隔を広げることもできる。これは、棒状定形物が長く、これを横向きのままで袋口から入れようとすると、相当程度袋口の開口長さ(袋幅方向の開口長さ)を長くとる必要があり、それにより袋口の開口幅(袋幅方向に垂直な方向の開口幅)が狭まる結果、回動するガイド部材が袋口に引っ掛かる可能性が出てくる場合などに有効である。グリッパーの間隔を広げる前は袋口の開口幅が広くなっているため、ガイド部材が回動して袋口に挿入されるとき袋口に引っ掛かるのが防止され、かつグリッパーの間隔を拡げると袋口の開口長さを長くできるので、長い棒状定形物でも袋内に充填できる。
また、落下前の棒状定形物は受入位置にあるガイド部材の凹溝内に袋口の直上において支持されている(ガイド部材と袋口上縁との距離が長いと、ガイド部材が内向きに回動してもガイド部材が袋内に挿入されない)から、落下距離は短く、棒状定形物の姿勢が落下中に縦向きに変化するのも防止される。
【0012】
また、ガイド部材の凹溝の上端近傍において棒状定形物をいったん横向きに位置決めした後、前記凹溝内に供給する場合、棒状定形物を横向きでガイド部材の凹溝内に供給し、該凹溝内に確実に横向きで支持させることができる。前記棒状定形物は、特に重心が長手方向の中心から大きくずれている場合、例えば棒状定形物を供給装置からシュート上に落下させ、さらにシュート上を滑落させる間に、横向きから縦向きに回転しようとし、大きく縦向きに回転した場合はガイド部材の凹溝内に横向きで収まらない可能性がある。しかし、上記のようにガイド部材の凹溝の上端近傍においていったん位置決めした後、該凹溝に供給することにより、そのようなことが防止される。
【0013】
さらに、一対のガイド部材を略90度回動させた後、ガイド部材の凹溝を通して押込板を下降させた場合、まんいち棒状定形物がガイド部材の凹溝内に引っ掛かって袋内に落下しなかった場合でも、該棒状定形物を押し下げて袋内に押し込むことができる。また、例えば粒状物充填後の袋に対して棒状定形物を充填した場合に、落下した棒状定形物が粒状物の上でひどく傾斜した状態になっていたとしても、押込板の下端で棒状定形物を押さえ横向きに矯正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図10を参照して、本発明に係る充填方法及び装置について説明する。
図1〜5に示す充填装置は、周知の間欠回転テーブル式袋詰め包装機に付設されるもので、棒状定形物(スプーン)1を供給するバケットコンベア2と、バケットコンベア2からスプーン1を受け取るシュート3と、シュート3からスプーン1を受け取り、次いで下方に落下させる投入部4と、投入部4の上に設置された押込部5からなり、シュート3、投入部4及び押込部5が、袋詰め包装機の機台6上に立設するスタンド7に固定されたフレーム8に設置されている。
なお、上記袋詰め包装機は、複数対のグリッパーが間欠回転するテーブルの周囲に設置され、前記テーブルの間欠回転に伴い、各停止位置においてグリッパー対への袋の供給、グリッパー対に把持された袋の袋口開口、袋への粒状物(コメ)の充填、袋への棒状定形物(スプーン)の充填及び袋口のシール等の各包装工程を順次行うものであり、図1,5には、コメ充填後の袋(自立袋)に対しスプーンの充填が行われる停止位置に停止した袋9が示されている。図1,5において、袋9はグリッパー対11,11により両側縁を把持され、吊り下げられている。図3において9aは袋9の被充填物の収容部を画定する周知のチャック(袋のシールを破った後でも収容部を密閉できるチャック)である。
【0015】
投入部4は、図2に示すように、一対のガイド部材12,13と、フレーム8に固定された軸受部材14,15にそれぞれ回動自在に支持された回動軸16,17と、各回動軸16,17にそれぞれ固定されたギア18,19と、フレーム8に固定された支持軸21,22にそれぞれ回動自在に支持され、互いに噛み合うとともにそれぞれ前記ギア18,19とも噛み合うギア23,24と、フレーム8とギア24の間に設置されたエアシリンダ25と、フレーム8とギア23の間に設置された引張ばね26と、ガイド部材12,13の両側においてフレーム8に固定された側部ガイド部材27からなる。
エアシリンダ25の下端はフレーム8に回動自在に取り付けられ、ピストンロッド28の先端に固定されたジョイント29が連結ピン31を介してギア24に回動自在に取り付けられている。なお、軸受部材14,15から連結ピン31までの一連の機構(側部ガイド部材27を除く)が、本発明でいう「一対のガイド部材を回動させる駆動機構」である。
【0016】
ガイド部材12,13は、図5又は図8に示すように、それぞれ断面(側面視)凹溝形をなす。ただし、凹溝を構成する一方の側壁12a,13aは円弧状(1/4円)に形成され、他方の側壁12b,13bは底壁12c,13cからの高さが一定高さに形成され、側壁12b,13bの高さは側壁12a,13aより低く(最も高い部位の半分程度の高さ)設定され、側壁12b,13bの側がシュート3側に配置されている。各側壁12a,13a,12b,13bは鉛直面内に存在する。なお、側壁12a,13aを円弧状に形成したり、側壁12a,13aの高さを側壁12b,13bより高くすることは、望ましくはあっても必須ではない。
ガイド部材12,13は、図2に示すように、それぞれ底壁12c,13cの下面の外側端部近傍において回動軸16,17に固定され、袋幅方向(図3に示す袋9の袋幅方向参照)に沿って左右に対向配置されている。
【0017】
エアシリンダ25が作動していないとき、ばね26の付勢力によりピストンロッド28が縮み、図2に示すように、ガイド部材12,13は、凹溝の底壁12c,13cが略水平となり、かつ左右に連なる位置(本発明でいう受入位置)で停止する。エアシリンダ25が作動してピストンロッド28が伸びると、ギア23,24、ギア18,19を介して回動軸16,17が回動し、ガイド部材12,13は前記受入位置から、袋幅方向に沿った鉛直面内において対称的に同時に内向きに90度回動し、図3の仮想線又は図6(b)に示す位置(本発明でいう投入位置)で停止する。このとき凹溝の底壁12c,13cは略鉛直となる。
この投入位置においてエアシリンダ25の作動を止めると、ばね26の付勢力によりピストンロッド28が縮み、ガイド部材12,13は前記投入位置から図2に示す受入位置まで内向きに逆回動する。
【0018】
側部ガイド部材27は、図2,4及び図5に示すように、受入位置にあるガイド部材12,13の両側において凹溝の延長上に、該凹溝の端を閉鎖するような形で設置され、ガイド部材12,13の凹溝内に落下したスプーン1が、ガイド部材12,13の中心位置から凹溝に沿って左右(スプーンの長さ方向)に大きく位置ずれを起こしたときのストッパーとして機能する。
【0019】
押出部5は、図1〜5に示すように、断面が細長い長方形の押込板32と、フレーム8の上方延長部に固定されたエアシリンダ33と、フレーム8に固定された支持軸34,35に回転自在に軸支されたガイド溝付きローラ36,37と、押込板32の裏面に固定したピン38(フレーム8の延長部に形成された長穴39内に位置する)と、ピン38とフレーム8の延長部の裏面に固定したピン41の間に設置された引張ばね42からなる。押込板32は上端がエアシリンダ33のピストンロッド43の先端に固定され、左右の辺がガイド溝付きローラ36,37の溝内にはまり、該ローラ36,37により昇降をガイドされる。なお、エアシリンダ33からピストンロッド43までの一連の機構が、本発明でいう「押込板を昇降させる駆動機構」である。
【0020】
エアシリンダ33が作動していないとき、ばね42の付勢力によりピストンロッド43が縮み、図2に示すように、ガイド部材12,13の上方位置(本発明でいう待機位置)に停止する。エアシリンダ33が作動してピストンロッド43が伸びると、押込板32は前記待機位置から下降し、投入位置で停止した一対のガイド部材12,13の凹溝に囲まれた空間を通過し(図8の仮想線参照)、図3の仮想線又は図6(c)に示す位置(本発明でいう押込位置)で停止する。この押込位置では、押込板32の下端はガイド部材12,13より下方位置に達する。なお、図8の仮想線に示すように、押込板32の断面は、前記空間を通過するサイズであり、かつ棒状定形物(この例ではスプーン1)の平面視外形輪郭と同等かやや大きめに形成されている。
この押込位置においてエアシリンダ33の作動を止めると、ばね42の付勢力によりピストンロッド43が縮み、押込板32は前記押込位置から図2,3等に示す待機位置まで上昇する。
【0021】
シュート3は、図4,5に示すように、傾斜した底壁44と両側の側壁45,46からなり、ガイド部材12,13の側壁12b,13b側に配置され、取付用梁部47によりフレーム8に固定されている。底壁44は前方に傾斜して、その下端がガイド部材12,13の側壁12b,13bの直上位置に配置されている。
バケットコンベア2は、仕切り部材48の付いた無端状のチェーン49が一方向に間欠回転し、仕切り部材48,48間に1個ずつ掬う部分を上向きにして載置されたスプーン1を、先端からシュート3に向けて1個ずつ落下させる。シュート3上に落下したスプーン1は、シュート3の傾斜した底壁44に沿って滑落し、ガイド部材12,13の側壁12a,13aの内面に当たって下方に向きを変え、掬う部分を側方に向け、ガイド部材12,13の凹溝内に受け入れられる(図6(a)参照)。シュート3から滑落したスプーン1が落下の衝撃で跳ねて長さ方向に位置がずれても、側部ガイド部材27に止められる。
【0022】
次に図6〜8を参照して、ガイド部材12,13に横向きで(長さ方向を略水平に向けて)受け入れられたスプーン1を袋9に充填する工程について説明する。
図6(a)は、スプーン1が受入位置にあるガイド部材12,13の凹溝内に横向きで受け入れられ、支持された状態を示す。図7はその平面図を示すもので、ガイド部材12,13の直下に袋9が停止し、この袋9には前工程においてコメが充填されている。このとき、グリッパー対11,11の間隔はコメ充填時よりやや広げられ、その結果、袋口の開口幅(袋幅方向に垂直な方向の開口幅)Wはコメ充填時の最大開口状態より狭められ(これを半開口状態ということもできる)、袋口の開口長さ(袋幅方向の開口長さ)Lは長くなっている。これは、コメ充填時の最大開口状態のままであると袋口の開口長さが短く、短い開口長さのままで袋口の開口形状を整形しても、スプーン1を横向きで袋内に投入できるだけの空間がガイド部材12,13により確保できないためである。ただし、グリッパー対11,11の間隔を広げるといっても、図7に示すように、袋口の中央付近の開口幅Wは、回動するガイド部材12,13が袋口に引っ掛からない程度に十分広く設定されている。
【0023】
ここでエアシリンダ25が作動し、ガイド部材12,13が回動軸16,17を回動中心として内向きに90度回動し、投入位置で停止する。この状態を図6(b)に示す。ガイド部材12,13が受入位置から投入位置に回動するのに伴い、ガイド部材12,13はその中心側の端部から袋9の袋口内に入り、回動の過程で袋口の袋幅方向両端部を押し広げ、投入位置で停止する。このとき、図8に示すように、袋口の開口形状はガイド部材12,13の外形に沿って所定の偏平形状(略板状)に整形されている。一方、スプーン1はガイド部材12,13が回動することにより、底壁12a,13aによる支持を失い落下を開始する。
また、この例では、ガイド部材12,13が投入位置まで回動する間に、エアシリンダ33が作動して、押込板32が下降を始めている。
【0024】
押込板32はさらに、袋9内に落下するスプーン1を追いかけるように、ガイド部材12,13の凹溝に囲まれた空間を通過して下降し、袋9内において落下したスプーン1を下向きに押し付け、スプーン1の袋9内での姿勢を矯正する。その状態を図6(c)に示す。
続いてエアシリンダ33の作動が停止し、引張ばね42の作用により押込板32が元の待機位置に上昇し、さらにエアシリンダ25の作動が停止して、引張ばね26の作用によりガイド部材12,13が元の受入位置に逆回動する。
【0025】
なお、上記の例では、ガイド部材12,13の回動スピードが速く、底壁12c,13cによる支持を失ったスプーン1がほぼ自由落下するかたちになっていたが、ガイド部材12,13の回動スピードを緩くすることで、スプーン1の両端部を傾斜を深める底壁12c,13c上で滑らせながら、スプーン1全体としてはほぼ横向きの状態で落下するようにしてもよい。
また、上記の例では、押込板32の下降は、スプーン1が落下した後該スプーン1を押さえるようにタイミング設定されていたが、スプーン1の落下の途中で該スプーン1に追いついて押さえるようにタイミング設定してもよい。
【0026】
図9に、これまで示したものと全く同じ充填装置を用い、ガイド部材12,13を回動させるとき、同時に袋9の両側縁を把持するグリッパー対11,11の間隔を広げるようにした例を示す。
図9(a)はガイド部材12,13が回動する前の状態(受入位置にある)を示し、グリッパー対11,11の間隔がコメ充填時のままであって、袋9は袋口の開口幅Wが広い。従って、ガイド部材12,13を回動させて袋口に挿入するとき、ガイド部材12,13が袋口に引っ掛かるのが確実に防止される。一方、袋口の開口幅Wが広いということは、袋口の開口長さLが短いということであり、このままではガイド部材12,13を90度回動させたり、ガイド部材12,13からスプーン1を袋内に横向きのままで落下させるのに支障が出かねない。従って、この例では、ガイド部材12,13を回動させるとほぼ同時に、グリッパー11,11の間隔を広げて開口長さLを長くしている。図9(b)はガイド部材12,13を90度回動させたときの状態(投入位置にある)を示すもので、グリッパー対11,11の間隔が広がり、ガイド部材12,13も支障なく回動し、袋口は所定の偏平形状(図8に示すものと同じ)に整形されている。
【0027】
図10に、これまで示したものとほぼ同じ充填装置(エアシリンダ33のストロークのみが異なる)を用い、ガイド部材12,13の凹溝の上端近傍においてスプーン1をいったん横向きに位置決めした後、前記凹溝内に供給するようにした例を示す。
図10において、51は板状の位置決め部材(図5等に示す押込部材32と同じ形状であり、呼び名のみが異なる)であり、ガイド部材12,13の上の待機位置(図5等に示す押込部材32の待機位置と同じ位置)と、図10に示す下降した位置決め位置の間で昇降可能とされている。前記位置決め位置において、位置決め部材51は受入位置にあるガイド部材12,13の凹溝内に挿入される。なお、図10において部材の番号は位置決め部材51を除いて図5等と同じとしている。
【0028】
ガイド部材12,13が受入位置にあるとき、エアシリンダ33が作動して位置決め部材51がガイド部材12,13の凹溝内に入り、次いでバケットコンベア2からスプーン1が横向きでシュート3上に落下し、シュート3の傾斜した底壁44に沿って滑落し、位置決め部材51の側面に当たって停止する。このとき、落下及び滑落する間にスプーン1が横向きから縦向きに多少回転していても、位置決め部材に当接することで横向きに矯正され、回転していなければそのまま横向きで、ガイド部材12,13の凹溝の上端近傍に位置決めされる。ただし、エアシリンダ33の作動のタイミングは上記に限られない。要は、滑落するスプーン1を止められるタイミングで位置決め位置にきていればよい。
【0029】
続いてエアシリンダ33の作動が停止し、引張ばね42の作用により位置決め板51が上昇して、ガイド部材12,13の凹溝から抜け出すと、スプーン1は位置決めされていた位置から傾斜した底壁44を滑落し、ガイド部材12,13の凹溝内に受け入れられる(図5参照)。次いでエアシリンダ25が作動してガイド部材12,13が受入位置から投入位置に回動し、スプーン1は袋9内に落下する。
なお、図10の例では、位置決め部材51は待機位置と位置決め位置の間を昇降していたが、スプーン1を、ガイド部材12,13の凹溝の上端近傍においてシュート3の底壁44上に、所定のタイミングで位置決めできるのであれば、位置決め部材の待機位置と位置決め位置の間の移動(進退)は鉛直面での昇降に限られないし、位置決め部材の形状も板状に限られない。
【0030】
また、図10の例では、位置決め部材51は待機位置と位置決め位置の間のみで昇降し、一方、図5の例では、押込板32が待機位置と押込位置の間のみで昇降していたが、エアシリンダを2段ストロークとし、位置決め部材51(押込板32)が、待機位置、位置決め位置及び押込位置のどの位置からでも他の位置に向けて昇降可能として、位置決め部材と押込部材の両方の機能を持つようにすることもできる。この場合の位置決め部材51(押込板32)の昇降のタイミングは、例えば、スプーン1がバケットコンベア2から落下する直前に待機位置から位置決め位置に下降し、落下してきたスプーン1をガイド部材12,13の凹溝の上端近傍においてシュート3の底壁44上に位置決めし、続いて待機位置に上昇してスプーン1をガイド部材12,13の凹溝内に落下させ、続いてガイド部材12,13が投入位置に向けて回動を始めた直後に押込位置に向けて下降し、押込位置に到達後直ちに待機位置に向けて上昇するという設定が考えられる。この場合、位置決め部材が押込板を兼ねることになる(逆に押込板が位置決め部材を兼ねるともいえる)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る棒状定形物充填装置の左側面図である。
【図2】図1に示す棒状定形物充填装置の要部正面図である。
【図3】図1に示す棒状定形物充填装置の要部背面図である。
【図4】図1に示す棒状定形物充填装置の要部平面図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】図1に示す棒状定形物充填装置において、ガイド部材に受け入れた棒状定形物を落下させ袋内に充填する工程を順に説明する図である。
【図7】ガイド部材が受入位置に位置するときの要部平面図である。
【図8】ガイド部材が投入位置に位置するときの要部平面図である。
【図9】図1に示す棒状定形物充填装置において、ガイド部材に受け入れた棒状定形物を落下させる際、ガイド部材の回動と同時にグリッパーの間隔を広げるようにした場合の、袋口の開口形状及びグリッパーの位置を説明する平面図である。
【図10】同様の棒状定形物充填装置において、棒状定形物をガイド部材の手前でいったん位置決めする場合の位置決め部材の作動を説明する断面図(図5と同じ断面)である。
【符号の説明】
【0032】
1 スプーン(棒状定形物)
9 袋
11 グリッパー
12,13 ガイド部材
12a,13a,12b,13b ガイド部材の側壁
12c,13c ガイド部材の底壁
25 エアシリンダ
32 押込板
33 エアシリンダ
51 位置決め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のグリッパーに両側縁を把持されて吊され上向きに開口した袋内に棒状定形物を横向きで充填する充填方法であり、袋幅方向に沿って左右に配置された断面凹溝形の一対のガイド部材の凹溝内に、前記凹溝の底壁が略水平に向いているとき上方から棒状定形物を供給して前記棒状定形物を前記凹溝内に横向きに支持し、次いで前記一対のガイド部材を互いに対称的に同時に内向きに略90度回動させて、前記ガイド部材の一部を開口した袋口から袋内に挿入し、前記ガイド部材により袋口の袋幅方向両端を押し広げて袋口の開口形状を所定形状に整形するとともに、前記棒状定形物を前記ガイド部材の凹溝に沿って横向きのまま袋内に落下させることを特徴とする袋内への棒状定形物充填方法。
【請求項2】
前記ガイド部材の凹溝の上端近傍において前記棒状定形物をいったん横向きに位置決めした後、前記凹溝内に供給することを特徴とする請求項1に記載された棒状定形物充填方法。
【請求項3】
前記一対のガイド部材を略90度回動させるとき、前記一対のグリッパーの互いの間隔を所定距離開いて袋口の開口長さを広げることを特徴とする請求項1又は2に記載された袋内への棒状定形物充填方法。
【請求項4】
粒状物充填後の袋に対し前記棒状定形物を充填することを請求項1〜3のいずれかに記載された袋内への棒状定形物充填方法。
【請求項5】
前記一対のガイド部材を略90度回動させた後、上方から前記一対のガイド部材の凹溝を通して押込板を下降させ、前記棒状定形物を上から押さえることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された袋内への棒状定形物充填方法。
【請求項6】
一対のグリッパーに両側縁を把持されて吊され上向きに開口した袋内に棒状定形物を横向きで充填する充填装置であり、袋幅方向に沿って左右に配置され、かつ袋幅方向に沿った鉛直面内において対称的に同時に回動可能とされた断面凹溝形の一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材を回動させる駆動機構を備え、前記一対のガイド部材は、前記駆動機構により、凹溝の底壁が略水平となる受入位置と前記底壁が略鉛直になる投入位置の間で回動し、かつ前記ガイド部材の前記受入位置から投入位置までの回動及び投入位置から受入位置までの回動はともに内向きに行われ、前記ガイド部材の凹溝の内幅は前記棒状定形物の幅より大きく設定されて前記棒状定形物を凹溝内に受入可能であり、前記ガイド部材が投入位置にあるときの各ガイド部材の凹溝の底壁間の距離は前記棒状定形物の長さより長く設定されて前記棒状定形物が横向きで落下可能であり、前記ガイド部材は、前記受入位置において袋の直上位置に位置し、前記受入位置から投入位置に回動する過程で一部が開口した袋口から袋内に挿入され、袋口を所定形状に整形するように、袋口上縁からの高さが設定されていることを特徴とする袋内への棒状定形物充填装置。
【請求項7】
さらに前記一対のガイド部材の上方に設置されたシュートと、前記シュートに前記棒状定形物を横向きで供給する供給装置を備え、前記シュートは供給された前記棒状定形物を前記受入位置にある前記一対のガイド部材の前記凹溝内に上方から滑落させることを特徴とする請求項6に記載された袋内への棒状定形物充填装置。
【請求項8】
さらに待機位置と位置決め位置の間で進退可能とされた位置決め部材と、前記位置決め部材を進退させる駆動機構を備え、前記位置決め部材は前記位置決め位置において前記シュートに堰をし前記棒状定形物の滑落を止めて前記シュート上で横向きに位置決めし、前記待機位置に復帰したとき前記堰を解除して前記棒状定形物の滑落を許容することを特徴とする請求項7に記載された袋内への棒状定形物充填装置。
【請求項9】
さらに前記一対のガイド部材の上の待機位置と下降した位置決め位置の間で昇降可能とされた板状の位置決め部材と、前記位置決め部材を昇降させる駆動機構を備え、前記位置決め部材は前記位置決め位置において前記受入位置にある前記一対のガイド部材の凹溝内に位置し、このとき前記シュートの下端に堰をし前記棒状定形物の滑落を止めて前記シュート上で横向きに位置決めし、前記待機位置に復帰したとき前記堰を解除して前記棒状定形物の滑落を許容することを特徴とする請求項7に記載された袋内への棒状定形物充填装置。
【請求項10】
さらに前記一対のガイド部材の上の待機位置と下降した押込位置の間で昇降可能とされた押込板と、前記押込板を昇降させる駆動機構を備え、前記押込板は前記投入位置にあるときの前記一対のガイド部材の凹溝内を通過して下降可能であり、前記押込位置においてその下端が前記ガイド部材より下方に達することを特徴とする請求項6又は7に記載された袋内への棒状定形物充填装置。
【請求項11】
前記押込板は、さらに中間の位置決め位置において停止可能とされ、前記位置決め位置において前記受入位置にある前記一対のガイド部材の凹溝内に位置し、このとき前記シュートの下端に堰をし、前記棒状定形物の滑落を止めて前記シュート上で横向きに位置決めし、前記待機位置に復帰したとき前記堰を解除して前記棒状定形物の滑落を許容することを特徴とする請求項10に記載された棒状定形物充填装置。
【請求項12】
さらに前記棒状定形物の前後をガイドする一対の側部ガイド部材を備え、前記側部ガイド部材は前記受入位置にある前記ガイド部材の両側において前記凹溝の延長上に設置されていることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載された袋内への棒状定形物充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−120400(P2008−120400A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304378(P2006−304378)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】