説明

裁縫機及びその駆動制御方法

【課題】本発明は、回転可能なヘッドを備える裁縫機を提供するためのものである。
【解決手段】本発明の回転可能なヘッドを備える裁縫機は、上記裁縫機を支持固定できるように多数の支持ポストと支持バーを用いてボックス形態に形成される裁縫機フレーム、上記裁縫機フレームの上に載置される裁縫機本体、上記裁縫機本体の先端部に設置されて、ヘッド部回動手段を用いて回動可能に形成されるヘッド部、上記ヘッド部の下部に設置されて、ベッド部回動手段を用いて回動可能に形成されるベッド部、上記裁縫機フレームの上に載置された上記裁縫機本体をX軸方向に移送させるX軸移送手段、上記裁縫機フレームの上に載置された上記裁縫機本体をY軸方向に移送させるY軸移送手段、及び上記裁縫機フレームの前面部に備えられて作業対象である被縫製物が支持固定される裁縫物固定フレームを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁縫機及びその駆動制御方法に関し、より詳しくは、エアーバック、かばん、履物などの裁縫時、ヒッチステッチ無しで完壁な裁縫が可能であるように回転可能なヘッドを具備する裁縫機及びその駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エアーバック、かばん、履物などは、裁縫物が厚いだけでなく、円形や曲線、斜線など、裁縫し難い形状の裁縫線がたくさん入るが、既存の裁縫機では裁縫方向によるヒッチステッチ(hitch stitch)が発生し、このようにステッチの形状が均等でないので、製品の品質が低下する問題点が発生した。
【0003】
図1は従来の裁縫機の一例を示すものであって、テーブル10の上側にヘッド部を含んだアーム部40が位置し、上記テーブル10の下側にはフック(Hook)を含んだベッド部(図示せず)が位置し、上記アーム部40とベッド部とを連結する結合部60から構成され、上記ヘッド部とベッド部のフックが協同により裁縫物固定部材50に固定された裁縫対象物を裁縫するようになる。
【0004】
このような裁縫機は、アーム、ベッド構造によって裁縫物固定部材50をX軸またはY軸方向に動くことができるようにして、限定された領域の裁縫対象物の加工が可能であった。
【0005】
しかしながら、このような従来の裁縫機では、上記裁縫物固定部材50がX軸またはY軸方向に直線的に動くので、曲線や円形、斜線のステッチを行う場合、区間別にヒッチステッチ(hitch stitch)が発生する問題点があった。
【0006】
図2a乃至図2bは、従来の裁縫機でヒッチステッチが発生した例を示すものであって、菱形や矩形の場合、4辺のうち、2つの辺がパーフェクトステッチであるP区間(Perfect Stitch)であり、1つの辺は正常と不良ステッチが混合されたH/P区間(Hitch/Perfect Stitch)であり、もう1つの辺はH区間(Hitch Stitch)であることが分かる。
【0007】
また、図2cは裁縫後、区間別H-P Stitch分布図を示すものであって、円形のステッチではP区間(Perfect Stitch)とH区間(Hitch Stitch)の区間が殆ど1:1の割合で表れた。
【0008】
したがって、高級縫裁のために、全区間パーフェクトステッチを具現できる裁縫機の必要性が台頭した。
【0009】
一方、裁縫物のサイズが大きくなる場合、裁縫領域の制限によって裁縫機の大型化が要求されるが、大型パターン裁縫機の設置空間を最小化するために、新概念の裁縫機開発の必要性も求められてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような問題点を解決するために案出したものであって、エアーバック、かばん、履物などを裁縫する裁縫機において、全区間パーフェクトステッチを具現できる裁縫機を提供することをその目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、大型裁縫機を使用しなくてもサイズの大きい裁縫物の裁縫が可能であって、裁縫機の設置空間を最小化できる裁縫機を提供することにある。
【0012】
また、本発明の更に他の目的は、裁縫物の固定フレームを1つ以上の作業領域を持つように形成することによって、別途の作業物交替作業無しで多数の被裁縫物の裁縫作業を連続して遂行することができる裁縫機を提供することにある。
【0013】
また、本発明の更なる他の目的は、多数個の被縫製物を裁縫する場合、被縫製物の情報を認識し、認識された情報に従って裁縫作業を遂行することができる裁縫機を提供することにある。
【0014】
また、本発明の更に他の目的は、エアーバック、かばん、履物などを裁縫する裁縫機において、全区間パーフェクトステッチを具現するようにヘッド部とベッド部を回動させながら裁縫する裁縫機の駆動制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような目的を達成するために、本発明では、上下往復駆動される縫い針を備えたヘッド部、ステッチを形成するために相互協同する縫い針の垂直移動と同時に回転駆動されるシャトルを備えたベッド部、上記ヘッド部の縫い針を上下往復駆動するための上軸駆動モータ、及びシャトルを回転駆動するための下軸駆動モータが別途に備えられた裁縫機であって、上記裁縫機を支持固定できるように多数の支持ポストと支持バーを用いてボックス形態に形成される裁縫機フレーム、上記裁縫機フレームの上に載置される裁縫機本体、上記裁縫機本体の先端部に設置されて、ヘッド部の回動手段を用いて回動可能に形成されるヘッド部、上記ヘッド部の下部に設置されて、ベッド部の回動手段を用いて回動可能に形成されるベッド部、上記裁縫機フレームの上に載置された上記裁縫機本体をX軸方向に移送させるX軸移送手段、及び上記裁縫機フレームの上に載置された上記裁縫機本体をY軸方向に移送させるY軸移送手段を含んで構成される裁縫機が提供される。
【0016】
本発明において、上記ヘッド部回動手段は、動力源である回動モータと、上記回動モータの駆動軸に設置されて回動モータの回転数を減速させるための減速機と、上記減速機により減速された状態で回動する従動軸と、上記従動軸に設置されて上記従動軸を中心に回動可能な裁縫ヘッドとを含むことができる。
【0017】
ここで、上記減速機は上記駆動軸と従動軸とが直角に交差する角度に設置されるベベルギアが適用できる。
【0018】
一方、上記ベッド部回動手段は、動力源である回動モータと、上記回動モータの駆動軸に設置されて回動モータの回転数を減速させるための減速機と、上記減速機により減速された状態で回動する従動軸と、上記従動軸に設置される裁縫ベッドとを含むことができる。
【0019】
上記減速機は、上記駆動軸と従動軸とが直角に交差する角度に設置されるベベルギアが適用できる。
【0020】
上記ベッド部回動手段の回動モータは、上記ヘッド部回動手段の回動モータの運動量に対して同期されて一緒に動くことができる。
【0021】
また、上記ヘッド部と裁縫機本体との間に裁縫ヘッドを作業位置及び待機位置に昇降させるためのヘッド部昇降手段がさらに具備できる。
【0022】
上記ヘッド部昇降手段は、裁縫機本体の内にアクチュエータ支持ブラケットを用いて内設されて、裁縫ヘッドを昇降させるための駆動力を提供する昇降アクチュエータと、前面部の中央には裁縫ヘッドが締結され、後面部の上端には上記昇降アクチュエータの駆動部と連結されたヘッド部連結ブラケットが連結され、後面部の両端にはガイド手段が締結固定される昇降プレートとを含むことができる。
【0023】
また、上記ヘッド部昇降手段は、上記ガイド手段が前面部の両端に形成され、後面部の中央には上記昇降アクチュエータを設置支持するためのアクチュエータ支持ブラケットが締結固定される支持プレートをさらに含むことができる。
【0024】
本発明において、上記裁縫物固定フレームは、1つ以上の作業領域を有するように形成されて、被縫製物がそれぞれの作業領域に支持固定するように形成できる。
【0025】
ここで、1つの作業単位となる被縫製物を個別的に把持する被縫製物支持枠が上記裁縫物固定フレームの上に多数個取り付けられることによって、上記裁縫物固定フレームは複数個の作業領域を有するようになり、上記被縫製物支持枠には作業方法を指示する情報が載っている標識が与えられ、上記ヘッド部には上記標識を認識するための認識器が設けられることによって、上記認識器は上記標識に載っている情報を認識して制御部に印加することができる。
【0026】
上記標識はバーコードであり、上記認識器はバーコードリーダーとなることができる。
【0027】
また、上記のような本発明の目的を達成するために、ヘッド部とベッド部がX軸またはY軸に移送されると共に、Z軸を中心に回動しながら裁縫作業を遂行する裁縫機の駆動制御方法であって、(a)上記ヘッド部の縫い針が針板の上に位置するステップと、(b)X軸移送モータ、Y軸移送モータ、ヘッド部回動モータ、ベッド部回動モータが制御部に入力された情報に従って動作するステップと、(c)上軸駆動モータと下軸駆動モータが動作して縫い針が下降してステッチを形成した後、上記縫い針が上昇して針板の上に位置すれば、上記(b)ステップに戻って上記の動作を繰り返すステップを含んでなされる裁縫機駆動制御方法が提供される。
【0028】
上記上軸駆動モータと下軸駆動モータの回転速度は、上記X軸移送モータ、Y軸移送モータ、ヘッド部回動モータ、ベッド部回動モータの回転速度と互いに比例して増減するようにすることができる。
【0029】
また、上記上軸駆動モータと下軸駆動モータの回転速度が落ちた後、上記ヘッド部回動モータとベッド部回動モータが動作することができる。
【0030】
また、上記ヘッド部とベッド部の回動角度によって上記上軸駆動モータと下軸駆動モータの回転速度が制御できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、裁縫機のヘッド部とベッド部が回動しながら裁縫することで、裁縫された糸の方向が一定に維持できるので、エアーバック、かばん、履物などを裁縫する裁縫機において、全区間パーフェクトステッチを具現することができる。
【0032】
また、裁縫機本体をX軸方向とY軸方向に移動させることが可能であるので、サイズの大きい裁縫物の裁縫が可能であり、裁縫機の設置空間を最小化することができる効果がある。
【0033】
また、裁縫物固定フレームを1つ以上の作業領域を有するように形成することによって、別途の作業物交替作業無しで多数の被縫製物の裁縫作業を連続して遂行することができ、この場合、被縫製物の情報を認識し、認識された情報に従って裁縫作業を遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来の裁縫機の一例を示す斜視図である。
【図2a】従来の裁縫機でヒッチステッチが発生した例を示す図である。
【図2b】従来の裁縫機でヒッチステッチが発生した例を示す図である。
【図2c】裁縫後、区間別H-P Stitch分布図を示す図である。
【図3】本発明の回転が可能なヘッドを具備する裁縫機の第1実施形態を示す全体斜視図である。
【図4】本発明のヘッド部とベッド部が設置されたアームを示す斜視図である。
【図5】本発明のヘッド部を示す斜視図である。
【図6】本発明のベッド部を示す斜視図である。
【図7】本発明のヘッド部昇降手段を示す分解斜視図である。
【図8a】本発明の減速機の一実施形態を示す写真である。
【図8b】本発明の減速機の一実施形態を示す写真である。
【図9】本発明の第2実施形態による裁縫機を示す斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態による裁縫機を示す斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態による裁縫機を示す要部正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態によるバーコード情報処理装置に対するブロック図である。
【図13】図12のバーコード情報処理装置のバーコード情報処理に対する流れ図である。
【図14a】X軸移送手段を示す裁縫機の斜視図である。
【図14b】X軸移送手段を示す裁縫機の要部底面斜視図である。
【図15a】Y軸移送手段を表現するための裁縫機の斜視図である。
【図15b】Y軸移送手段を表現するための裁縫機の底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の裁縫機及びその駆動制御方法の実施形態を添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0036】
図3は本発明の回転が可能なヘッドを具備する裁縫機の一実施形態を示す全体斜視図であり、図4は本発明のヘッド部とベッド部が設置されたアームを示す斜視図であり、図5は本発明のヘッド部を示す斜視図であり、図6は本発明のベッド部を示す斜視図である。
【0037】
本発明の回転可能な裁縫ヘッドを備える裁縫機は、多数の支持ポストと支持バーを用いてボックス形態に形成される裁縫機フレーム400と、上記裁縫機フレーム400に載置される裁縫機本体200と、上記裁縫機本体200の先端部に設置され、上下往復駆動される縫い針を備えた裁縫ヘッド109を設定された範囲内で回動させることができるようにヘッド部回動手段が備えられるヘッド部100と、上記ヘッド部100の下部に設置され、ステッチを形成するために相互協同する縫い針の垂直移動と同時に回転駆動されるシャトルを備えた裁縫ベッド309を設定された範囲内で回動させることができるようにベッド部回動手段が備えられるベッド部300とを含んで構成される。
【0038】
上記裁縫機フレーム400は垂直方向の支持ポスト402が複数個備えられ、上記支持ポスト402を連結する垂直方向の支持バー404が備えられて、上記裁縫機フレーム400の上に上記裁縫機本体200が載置される。
【0039】
上記裁縫機フレーム400の前面部には被縫製物510が支持固定される裁縫物固定フレーム500が備えられている。
【0040】
本発明のヘッド部100とベッド部300は、上記裁縫機本体200の上部と下部に各々設置されるものであって、上記ヘッド部100は上下往復駆動される縫い針が備えられた裁縫ヘッド109と、上記縫い針を駆動させるための上軸駆動モータ105と、上記裁縫ヘッド109を回動させるためのヘッド部回動手段103とを含む。
【0041】
上記ヘッド部回動手段103は、図4及び図5に示すように、動力源である回動モータ101が備えられ、上記回動モータ101の駆動軸に設置されて回動モータ101の回転数を減速させるための減速機102が備えられるが、上記減速機102は装置の内部に取り付けられるものであるので、図面では図示していない。
【0042】
また、上記ヘッド部回動手段103は、上記減速機102により減速された状態で回動する従動軸(図示せず)と、上記従動軸に設置されて上記従動軸を中心に回動可能な裁縫ヘッド109とを含む。
【0043】
上記減速機102は、回動モータ101の回転数を減速した後、減速された回転数で上記裁縫ヘッド109を回動させるためのものであって、本発明の一実施形態では上記減速機102としてベベルギアを適用した。
【0044】
本発明の減速機102に適用されたベベルギアは、上記駆動軸と従動軸とが直角に交差する角度に設置されて上記駆動軸の回転数を減速して従動軸を回動させる。
【0045】
図8a及び図8bは本発明の回動駆動ギアの一実施形態を示す図であって、本発明の一実施形態では入力軸となる回動モータ101の駆動軸101aと出力軸となる上記従動軸101bとが直角に設置され、上記駆動軸101aに設置されたベベルギア102aと、これに噛み合う従動軸101bのベベルギア102bは、図8bに示すように、回転数を急減して出力できる構造からなる。
【0046】
本発明の一実施形態では、バックドライビング(back driving)、即ち、出力軸(従動軸)を回転させて入力軸(駆動軸)が回転する機能と共に、入力軸の回転数を減速させた後、減速された回転数の駆動力が出力軸に伝えられるように減速機能を有する回転駆動ギアを適用して、上記裁縫ヘッド109と裁縫ベッド309の同心及びシーミング(Seaming)セッティングを可能にする。
【0047】
一方、上記ベッド部300は、裁縫ベッド309と、上記裁縫ベッド309の下側に内設されるシャトルを駆動させるための下軸駆動モータ305と、上記裁縫ベッド309を回動させるためのベッド部回動手段303とを含む。
【0048】
上記ベッド部回動手段303は、図6に示すように、動力源である回動モータ301と、上記回動モータ301の駆動軸に設置されて回動モータ301の回転数を減速させるための減速機302と、上記減速機302により減速された状態で回動する従動軸(図示せず)と、上記従動軸に設置されて回動可能な裁縫ベッド309とを含む。
【0049】
上記減速機302は、上記駆動軸と従動軸とが直角に交差する角度に設置されるベベルギアからなり、前述したヘッド部回動手段の減速機102と同一な構造及び特徴を有するので、これに対する説明は省略する。
【0050】
図面で、未説明符号の110、310は、それぞれの上記回動モータに電流を供給するためのスリップリングである。
【0051】
上記裁縫ベッド309の下側に内設される下軸を駆動させるための下軸駆動モータ305は、ヘッド部100の上軸駆動モータ105と同期されて同時に駆動され、上記ベッド部300の回動モータ301は、上記ヘッド部100の回動モータ101の運動量に対して同期されて一緒に駆動されるように設置される。
【0052】
一方、上記裁縫機フレーム400は、上記ヘッド部100と上記ベッド部300とを備えた上記裁縫機本体200をX軸に移送させるX軸移送手段と、Y軸に移送させるY軸移送手段とを含んで構成される。
【0053】
以下、図3、図14a、図14b、図15a、及び図15bを主に参照して、X軸移送手段とY軸移送手段を説明する。図14a及び図14bはX軸移送手段を図示する裁縫機の斜視図と要部底面斜視図であり、図15a及び図15bはY軸移送手段を表現するための裁縫機の斜視図と底面斜視図である。
【0054】
上記X軸移送手段は、裁縫機本体200をX軸方向、即ち、左、右方向への動きを可能にするための装置であって、フレーム400のX軸方向に備えられており、Y軸移送手段は、裁縫機本体200をY軸方向、即ち、前、後方向への動きを可能にするための装置であって、フレーム400のY軸方向に備えられている。
【0055】
上記X軸移送手段とY軸移送手段は公知のものが備えられることができ、本発明の一実施形態において、X軸移送手段はX軸方向に延びたX軸フレーム406と、上記X軸フレーム406に設置される第1ガイドレール406aと、上記裁縫機本体200をX軸方向に移送させるために上記第1ガイドレール406aと締結される第1ガイドブロック480と、上記裁縫機本体200をX軸方向に移送させるための駆動力を提供する駆動源であると共に、第1ガイドレール406aに沿って移動可能に設置されるX軸移送モータ410と、上記X軸移送モータ410の駆動軸に連結されて回転する第1駆動ピニオン412と、X軸フレーム406の延長方向に沿って固定設置されて上記第1駆動ピニオン412と締結される第1ラックギア414とを含む。
【0056】
X軸移送モータ410は、第3減速機416により回転数が減少し、出力トルクが増大できる。
【0057】
本発明の一実施形態におけるY軸移送手段は、Y軸方向に延びたY軸フレーム408と、上記Y軸フレーム408の延長方向に沿って設置される第2ガイドレール408aと、上記裁縫機本体200をY軸方向に移送させるために上記第2ガイドレール408aと締結される第2ガイドブロック490と、上記裁縫機本体200をY軸方向に移送させるための駆動力を提供する駆動源であると共に、第2ガイドレール408aに沿って移動可能に設置されるY軸移送モータ420と、上記Y軸移送モータ420の駆動軸に連結されて回転する第2駆動ピニオン422と、Y軸フレーム408の延長方向に沿って固定設置されて上記第2駆動ピニオン422と締結される第2ラックギア424とを含む。
【0058】
Y軸移送モータ420やはり第4減速機416により回転数は減速し、出力トルクは増大できる。
【0059】
上記ヘッド部100と裁縫機本体200との間には上下往復駆動される縫い針が備えられた裁縫ヘッド109を作業位置に下降させたり、または待機位置に上昇させるヘッド部昇降手段210を備えることが好ましい。
【0060】
上記ヘッド部昇降手段210は、図7に示すように、裁縫機本体200の内にアクチュエータ支持ブラケット242を用いて内設されて、裁縫ヘッド109を昇降させるための駆動力を提供する昇降アクチュエータ240と、前面部の中央には裁縫ヘッド109が締結され、同時に後面部の上端には上記昇降アクチュエータ240の駆動部と連結されたヘッド部連結ブラケット244が連結される昇降プレート230から構成される。
【0061】
上記昇降プレート230の後面部の両端は、安定し、かつ信頼性の高い昇降駆動のためにガイドレール252及びガイド締結具254のようなガイド手段250に締結固定される。
【0062】
上記ガイド手段250は、上記裁縫機本体200の内に設置固定される支持プレート260の前面部の両端に形成され、上記支持プレート260の後面部の中央には上記昇降アクチュエータ240を裁縫機本体200の内に設置支持するためのアクチュエータ支持ブラケット242が締結固定される。
【0063】
上記ヘッド部昇降手段210は、昇降アクチュエータ240の駆動部が駆動されることによって、上記昇降アクチュエータ240の駆動部に連結されたヘッド部連結ブラケット244が駆動され、これに連動して上記ヘッド部連結ブラケット244の前端部と連結される昇降プレート230がガイド手段250に沿って駆動されて上記昇降プレート230の前面部の上に締結される裁縫ヘッド109が昇降される構造で形成される。
【0064】
このように構成された本発明の裁縫機の動作を説明すれば、次の通りである。
【0065】
裁縫をするために裁縫開始スイッチ(図示せず)をオン(on)させると、上記ヘッド部100が下降した後、ヘッド部の上軸駆動モータ105が動作する。この際、ベッド部300の下軸駆動モータ305はヘッド部100の上軸駆動モータ105に同期されて一緒に動く。
【0066】
円形や曲線、斜線などの裁縫のために、上記ヘッド部回動モータ101が駆動すれば、上記減速機102により減速した回転数により上記裁縫ヘッド109が回動する。
【0067】
この際、上記ベッド部回動モータ301は、ヘッド部回動モータ101の運動量に対して同期されて一緒に動くので、上記裁縫ベッド309も回動する。
【0068】
このように、上記裁縫ヘッド109と裁縫ベッド309が回動しながら裁縫をするようになるので、回動角度の変化に従う裁縫品質が向上する。
【0069】
即ち、上記ヘッド部回動モータ101とベッド部回動モータ301によって回動を完壁にした後、上軸駆動モータ105と下軸駆動モータ305が動作するので、裁縫された糸の方向が一定に維持できるので、エアーバック、かばん、履物などを裁縫する裁縫機で全区間パーフェクトステッチを具現することができる。
【0070】
前述した裁縫機の駆動を制御する方法は、次の通りである。
【0071】
上記ヘッド部100の縫い針が針板の上に位置した状態で、X軸移送モータ410、Y軸移送モータ420、ヘッド部回動モータ101、及びベッド部回動モータ301は、制御部に入力された情報に従って動作する。
【0072】
このように、縫い針が針板の上に位置している場合のみにX軸移送モータ410、Y軸移送モータ420、ヘッド部回動モータ101、及びベッド部回動モータ301が動作するようにすることは、使用上の安全のためのものであり、この際、上記縫い針が針板の上に位置していることを感知するための針位置感知手段としては公知の感知手段が使用できる。
【0073】
以後、上軸駆動モータ105と下軸駆動モータ305が動作して縫い針が下降してステッチを形成した後、上記縫い針が上昇して針板の上に位置すれば、上記X軸移送モータ410、Y軸移送モータ420、ヘッド部回動モータ101、ベッド部回動モータ301が動作し、このような動作を繰り返す。
【0074】
ここで、縫い針を上下運動させる上軸駆動モータ105の回転速度に従い、X軸移送モータ410、Y軸移送モータ420、ヘッド部回動モータ101、及びベッド部回動モータ301の回転速度を制御することができる。普通の場合、比例的に、特に線形比例で制御することが一般的である。前述したように、下軸駆動モータ305は上軸駆動モータ105と同期されて同時に駆動されるので、別途の説明を省略する。以下、同様である。
【0075】
また、高速でステッチングする途中で、ヘッド部100とベッド部300が突然に回動すれば、ステッチング作業が円滑でないか、部材にストレスが加えられる問題が生じられる。したがって、ヘッド部100とベッド部300が回動する前に、例えば回動瞬間から5〜10ステッチ(stitch)の前に上軸駆動モータ105の回転速度を一定の範囲まで下げるようにすることができる。必要によっては、上軸駆動モータ105が一時停止されるようにすることもできる。
【0076】
また、ヘッド部100とベッド部300の回動角度によって上軸駆動モータ105の回転速度を制御することができる。上軸駆動モータ105の速度が高ければ、回動モータ101、301が決まった角度まで動くことができる時間が少なくなるため、回動角度と上軸駆動モータ105の回転速度は反比例するようにすることが好ましい。具体的に、例えば、回動角度が30゜以上の場合、上軸駆動モータ105の回転速度を0〜100rpmまで下げた後、回動モータ101、301が駆動されるようにすることができる。そして、回動モータ101、301が駆動できなかったり、決まった角度以下に回転する場合には、上軸駆動モータ105の回転速度は自動的に正常な水準に復帰するようにすることができる。
【0077】
(本発明の他の実施形態)
図9は本発明の他の実施形態による裁縫機を示す斜視図であって、通常、上記裁縫機フレーム400の前面部に備えられて作業対象である被縫製物510が支持固定される裁縫物固定フレーム500は、図3に示すように、1つの作業領域を有するように形成して1つの被縫製物510に対する裁縫作業を遂行し、裁縫作業が完了した後には他の被縫製物510に交替して使用するように形成されるが、図9に示すように、上記裁縫物固定フレーム500を1つ以上の作業領域を有するように形成することによって、多数の被縫製物510または互いに異なる種類の被縫製物510をそれぞれの作業領域に支持固定されるように設置した後、別途の作業物交替作業無しで1種類の裁縫作業を完了した後、裁縫機本体200が他の作業領域に移動して連続的に裁縫作業を遂行するように形成することができる。
【0078】
図9に示すように、5個の作業領域がX軸方向に沿って一列に配置されていることを見ることができる。裁縫機本体200がX軸方向に沿って移送された後、裁縫機は与えられた作業を遂行するようになる。
【0079】
図10は本発明の第3実施形態による裁縫機を示す斜視図であり、図11は本発明の第3実施形態による裁縫機を示す要部正面図であり、図12は本発明の第3実施形態に従うバーコード情報処理装置に対するブロック図であり、図13は図12のバーコード情報処理装置のバーコード情報処理に対する流れ図である。
【0080】
本発明の第3実施形態は、1つの作業単位となる被縫製物510を個別的に把持する被縫製物支持枠520が上記裁縫物固定フレーム500の上に多数個が取り付けられて、上記裁縫物固定フレーム500は複数個の作業領域を有するようになる。
【0081】
上記被縫製物支持枠520には縫製パターン(Pattern)と縫製情報、及び作業方法を指示する情報が載っている標識530が与えられ、上記ヘッド部100には上記標識530を認識するための認識器(reader)540が設けられる。
【0082】
認識器540は標識530に載っている情報を認識して制御部に印加するようになるが、標識530が有している情報はどんな模様(Pattern)で、乃至はどんな方式により裁縫するかが核心となる。
【0083】
標識に載せることができる情報は、前述した縫製模様(Pattern)情報と縫製作業情報の以外にも、実に多様な情報を含むように構成できる。
【0084】
例えば、作業目標量がどれ位残っているのか、今後何個までは標識を無視し同一な模様で作業してもよいのか、素材が丈夫だったり厚いのでステッチング速度をある程度まで遅らせなければならないのかなどがその例となる。
【0085】
このように、標識530及び認識器540を使用することによって、図10に示すように、各被縫製物510毎に互いに異なる模様(P)で裁縫できるようになる。
【0086】
これは、少量多品種を目指す現在の消費市場で生産性向上に大きく寄与するようになる。
【0087】
一方、前述したような標識530と認識器540を利用すれば、次のように、作業誤りを予め検出できる効果が得られる。
【0088】
図12及び図13に示すように、裁縫作業前、先に作業者が入力手段を通じて、または有/無線通信手段を通じて、裁縫機の制御部に縫製パターン情報及び縫製作業情報を入力させ、上記認識器540を通じて標識530に内在された情報を読み込んだ後、裁縫作業前、制御部に入力させた縫製パターン情報及び縫製作業情報と比較して、2つの情報が一致する場合には裁縫部を通じて縫製作業を進行し、反対に、2つの情報が相異する場合にはエラー部を通じて誤り信号を発生させて作業者にこれを認知させる。
【0089】
例えば、裁縫作業前、作業者または有/無線通信手段を通じて裁縫機の制御部に縫製パターン情報と縫製作業情報を事前入力して格納させた後、事前入力により裁縫機の制御部に格納されている縫製作業情報と作業のために現在供給される被縫製物支持枠520の標識530に内在された作業情報が相異する場合、誤り(Error)信号を発生して作業者に通知して認識させた後、作業を中断するようになる。
【0090】
この際、他の方法により裁縫機の制御部に格納されている縫製作業情報と認識器540を通じて認識された被縫製物支持枠520の標識530に内在された作業情報とが相異する場合、該当作業のみ遂行せず、次の被縫製物支持枠520に裁縫機本体200を移動させて次の作業を続けて進行することもできる。
【0091】
これは、全て作業者の意図と異なる誤った作業を強行することによる高価の原緞を損傷させる誤りをなくすことができるようにする。
【0092】
前述したような本発明の内容で使用可能な標識530には、数字、色相、穿孔カード、バーコード、またはRFIDカードなど、多くの方式のうちの1つが必要によって選択できる。
【0093】
本実施形態によれば、低廉で、かつ多い情報を載せることができる方式であるバーコードが使われており、したがって、認識器540は図11に示すように、バーコードリーダーとなるべきである。
【0094】
また、本発明の他の実施形態によれば、被縫製物支持枠520が裁縫物固定台500の上の正しい位置に正しく取り付けられているかを判別するための支持枠取付判別手段(図示せず)がさらに設けられることができる。
【0095】
この際、上記支持枠取付判別手段には、近接センサーまたは抵抗センサーなどが選択的に使用できる。
【符号の説明】
【0096】
100 ヘッド部
101 ヘッド部回動モータ
101a 駆動軸
101b 従動軸
102 減速機
109 裁縫ヘッド
200 裁縫機本体
300 ベッド部
301 ベッド部回動モータ
302 減速機
309 裁縫ベッド
400 裁縫機フレーム
402 支持ポスト
404 支持バー
410、420 X軸及びY軸移送モータ
412、422 第1及び第2駆動ピニオン
414、424 第1及び第2ラックギア
416、426 第3及び第4減速機
520 被縫製物支持枠
530 標識
540 認識器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下往復駆動される縫い針を備えたヘッド部と、
ステッチを形成するために相互協同する縫い針の垂直移動と同時に回転駆動されるシャトルを備えたベッド部と、
前記ヘッド部の縫い針を上下往復駆動するための上軸駆動モータと、
シャトルを回転駆動するための下軸駆動モータが別途に備えられた裁縫機であって、
前記裁縫機を支持固定できるように多数の支持ポストと支持バーを用いてボックス形態に形成される裁縫機フレームと、
前記裁縫機フレームの上に載置される裁縫機本体と、
前記裁縫機本体の先端部に設置されて、ヘッド部回動手段を用いて回動可能に形成されるヘッド部と、
前記ヘッド部の下部に設置されて、ベッド部回動手段を用いて回動可能に形成されるベッド部と、
前記裁縫機フレームの上に載置された前記裁縫機本体をX軸方向に移送させるX軸移送手段と、
前記裁縫機フレームの上に載置された前記裁縫機本体をY軸方向に移送させるY軸移送手段と、
前記裁縫機フレームの前面部に備えられて作業対象である被縫製物が支持固定される裁縫物固定フレームと、
を含んで構成されることを特徴とする、裁縫機。
【請求項2】
前記ヘッド部回動手段は、
動力源である回動モータと、
前記回動モータの駆動軸に設置されて回動モータの回転数を減速させるための減速機と、
前記減速機により減速された状態で回動する従動軸と、
前記従動軸に設置されて前記従動軸を中心に回動可能な裁縫ヘッドと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の裁縫機。
【請求項3】
前記減速機は、前記駆動軸と従動軸とが直角に交差する角度に設置されるベベルギアであることを特徴とする、請求項2に記載の裁縫機。
【請求項4】
前記ベッド部回動手段は、
動力源である回動モータと、
前記回動モータの駆動軸に設置されて回動モータの回転数を減速させるための減速機と、
前記減速機により減速された状態で回動する従動軸と、
前記従動軸に設置される裁縫ベッドと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の裁縫機。
【請求項5】
前記減速機は、前記駆動軸と従動軸とが直角に交差される角度に設置されるベベルギアであることを特徴とする、請求項4に記載の裁縫機。
【請求項6】
前記ベッド部回動手段の回動モータは、前記ヘッド部回動手段の回動モータの運動量に対して同期されて一緒に動くことを特徴とする、請求項1に記載の裁縫機。
【請求項7】
前記ヘッド部と裁縫機本体との間に裁縫ヘッドを作業位置及び待機位置に昇降させるためのヘッド部昇降手段がさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載の裁縫機。
【請求項8】
前記ヘッド部昇降手段は、
裁縫機本体の内にアクチュエータ支持ブラケットを用いて内設されて、裁縫ヘッドを昇降させるための駆動力を提供する昇降アクチュエータと、
前面部の中央には裁縫ヘッドが締結され、後面部の上端には前記昇降アクチュエータの駆動部と連結されたヘッド部連結ブラケットが連結され、後面部の両端にはガイド手段が締結固定される昇降プレートと、
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の裁縫機。
【請求項9】
前記ヘッド部昇降手段は、
前記ガイド手段が前面部の両端に形成され、後面部の中央には前記昇降アクチュエータを設置支持するためのアクチュエータ支持ブラケットが締結固定される支持プレートをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の裁縫機。
【請求項10】
前記裁縫物固定フレームは、
1つ以上の作業領域を有するように形成されて被縫製物がそれぞれの作業領域に支持固定するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の裁縫機。
【請求項11】
1つの作業単位となる被縫製物を個別的に把持する被縫製物支持枠が前記裁縫物固定フレームの上に多数個が取り付けられることによって、前記裁縫物固定フレームは複数個の作業領域を有するようになり、
前記被縫製物支持枠には作業方法を指示する情報が載っている標識が与えられ、前記ヘッド部には前記標識を認識するための認識器が設けられることで、
前記認識器は前記標識に載っている情報を認識して制御部に印加することを特徴とする、請求項1または10に記載の裁縫機。
【請求項12】
前記標識はバーコードであり、前記認識器はバーコードリーダーであることを特徴とする、請求項11に記載の裁縫機。
【請求項13】
ヘッド部とベッド部がX軸またはY軸に移送されると共に、Z軸を中心に回動しながら裁縫作業を遂行する裁縫機の駆動制御方法であって、
(a)前記ヘッド部の縫い針が針板の上に位置するステップと、
(b)X軸移送モータ、Y軸移送モータ、ヘッド部回動モータ、及びベッド部回動モータが制御部に入力された情報に従って動作するステップと、
(c)上軸駆動モータと下軸駆動モータが動作して縫い針が下降してステッチを形成した後、前記縫い針が上昇して針板の上に位置すれば、前記(b)ステップに戻って前記の動作を繰り返すステップと、
を含んでなることを特徴とする、裁縫機の駆動制御方法。
【請求項14】
前記上軸駆動モータと下軸駆動モータの回転速度は、前記X軸移送モータ、Y軸移送モータ、ヘッド部回動モータ、ベッド部回動モータの回転速度と互いに比例して増減するようにすることを特徴とする、請求項13に記載の裁縫機の駆動制御方法。
【請求項15】
前記上軸駆動モータと下軸駆動モータの回転速度が落ちた後、前記ヘッド部回動モータとベッド部回動モータが動作することを特徴とする、請求項13に記載の裁縫機の駆動制御方法。
【請求項16】
前記ヘッド部とベッド部の回動角度によって前記上軸駆動モータと下軸駆動モータの回転速度が制御されることを特徴とする、請求項13に記載の裁縫機の駆動制御方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【公開番号】特開2012−239912(P2012−239912A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115722(P2012−115722)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(512132619)サンスター カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】