説明

補給方式

【課題】適応が困難であったゴミを嫌う液、粒子成分を含む液、時間経過で硬化促進する液、嫌気性接着剤等を適応出来る補給方式を提供する。
【解決手段】ブロック1に大シリンジ12と、小シリンジ14と、ノズル15を夫々連結するポート6を設け、夫々のポート6に繋がるブロック1内の管路5を内部で連結し、大シリンジ12の管路5にシリンジ12からの流入のみを許し、逆方向の流れは止めるチェツクバルブ16を設置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬品、接着剤、ペースト等を充填したシリンジの液体を分析、液送、塗布に使用する微量液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペーストやエポキシ樹脂等高粘度液を充填した大シリンジと、吐出用の小シリンジと、吐出ノズルを三方弁に装着し、小シリンジ内の液を少しずつ押してノズルより液を吐出し、小シリンジ内の液が無くなると三方弁を切り替え、大シリンジより液を小シリンジに補給する方式のエア圧送式またはピストン押し込み式液体吐出装置は次の欠点がある。
▲1▼三方弁を切り替える際に液中の粒子や洩れた液が三方弁の摺動部に侵入し、摺動部を磨耗さし、磨耗粉が液内に混入する。
▲2▼三方弁の回転用アクチェーター(エア駆動が多い)、カップリング、ソレノイドバルブ、電気制御等が必要で高価である。
▲3▼三方弁の分解、清掃が困難である。
▲4▼アクチェーターの駆動時間が必要でその間は吐出ができず、塗布自動機等のロス時間が発生し、生産性が悪くなる。
【課題】
【0003】
前記欠点を解消する補給方式を提供し、適応が困難であったゴミを嫌う液、粒子成分を含む液、時間経過で硬化促進する液、嫌気性接着剤等を適応出来る様にする。
【解決手段】
【0004】
ブロックに、大シリンジと、小シリンジと、ノズルを夫々連結するポートを設け、夫々のポートに繋がるブロック内の管路を内部で連結し、大シリンジの管路に大シリンジからの流入のみを許し、逆方向の流れは止めるチェックバルブを設置する。大シリンジは広く流通している市販品で、ペースト、樹脂等を充填して供給される。
【作用】
【0005】
小シリンジ内を大気開放又は負圧にしてから、液を充填した大シリンジに圧力エアを印加すると、液はチェックバルブを開けて管路を通り小シリンジ内に流入して小シリンジを充満する。ノズル側にも液は流れるが、微量吐出用のノズルは細いので抵抗が大きく、流れ出る量は微量か、又は流れ出ない。小シリンジに液を補給できたら大シリンジへの圧力エアの印加を停止する。
【0006】
次に、小シリンジに時間と圧力を制御された圧力エアを印加するか、ピストンを押し込むかすると、液は大シリンジ側へはチェックバルブで止められ、ノズルより吐出する。
【効果】
【0007】
外部からの機械的な動きを与えることなく、大シリンジか小シリンジのどちらかに圧力を印加するだけで液の補給又は吐出に切り替えることが出来る。
【実施例1】
【0008】
ブロック1はポート2とその管路3、ポート4とその管路5、ポート6とその管路7を刻設し、この3つの管路を連結する管路8を刻設している。ブロック1は管路8の部分で上ブロック9と下ブロック10とに分割し、この分割面に管路8を露出さし、ボルト11で一体に固定している。
【0009】
ポート2に大シリンジ12を着脱自在に連結する連結具13を設置し大シリンジ12を装着する。ポート4に小シリンジ14を連結し、ポート6にノズル15を連結する。大シリンジ12は広く流通している市販品で、ペースト、樹脂等高粘度液を充填して供給される。小シリンジ14は直径、長さを小さくして容積を小さく構成する。
【0010】
連結具13は矢印方向に自由流れ作用のあるチェックバルブ16を内蔵する。
【0011】
大シリンジ12の後端にエア継ぎ手17を設ける。小シリンジ14の後端には小穴を貫通さしたスペーサー18を挟んでエア継ぎ手19を設ける。
【0012】
大シリンジ12のエア継ぎ手17はエア配管20で電磁弁21に連結し、小シリンジ14のエア継ぎ手19はエア配管22で電磁弁23に連結する。電磁弁21,23は無励磁時にエア配管20,22内を大気に開放し、励磁した時圧力エアをシリンジに印加する。
【0013】
電磁弁21には圧力調整弁24で調圧されたエアを供給し、電磁弁23には圧力調整弁25で調圧されたエアを供給する。
【0014】
電気制御部26は電磁弁21,23の励磁および励磁開放を制御プログラムに沿って制御する。制御プログラムは電磁弁23を吐出信号を受けて指定時間励磁し、指定吐出回数に達すると電磁弁21を指定時間励磁する。
【実施例1の作用】
【0015】
補給信号を制御部26に入力すると電磁弁21が指定時間励磁され、加圧エアが大シリンジ12内に印加され、内部の液は加圧されチェックバルブ16を通過し小シリンジ14内に流入充満し補給を完了する。ノズル15側にも液は流れるが、小シリンジ14は電磁弁23で大気に開放され抵抗がほとんど無く、抵抗が大きいノズル先からは流失しないか、又はわずかな流失で済む。小シリンジ14後端のスペーサー18は小穴が液の通過の抵抗となりエア配管22への液の流入を防止する。エア配管20に圧力センサを設置し、スペーサー18の小穴に液が達すると圧力が上昇するので、その圧力を検知して電磁弁21を無励磁にする制御も容易である。
【0016】
次に吐出信号を制御部26に入力すると電磁弁23が指定時間励磁され、加圧エアが小シリンジ14内を印加し、内部の液はチェックバルブ16への通過は遮断され、ノズル15より吐出する。吐出信号を指定回数入力すると小シリンジ内の液がほぼ無くなるように指定回数をプログラムする。吐出信号が指定回数終了すると再び補給信号により小シリンジ14に液を補給する。
【0017】
以上の作用により大シリンジ12内の液を小シリンジ14に小分けして補給し、小シリンジ14内の液をノズルより分注し、水頭差を無くした微量精密吐出を計れる。
【実施例1の効果】
【0018】
外部からの機械的な動きを与えることなく、大シリンジか、小シリンジかのどちらかに圧力を印加するだけで液の補給又は吐出に切り替えることが出来る。
【0019】
ブロック1はボルト11を緩めるだけで上ブロック9と下ブロック10とに分離出きるので、管路8を露出さし洗浄が容易である。
【0020】
構造が簡単で安価に提供でき、従来のエアディスペンサーの簡易さを損なうことなく高精度吐出を計れる。
【0021】
従来の三方弁のような摺動部がなく、磨耗粉が液内に混入することが無い。適応が困難であったゴミを嫌う液、粒子成分を含む液、時間経過で硬化促進する液、嫌気性接着剤にも適応できる。
【実施例2】
【0022】
実施例2はピストン押し込み方式のディスペンサーで、ピストン31を押し込み装置32で押し込み、小シリンジ30内部の液をノズルより吐出するが、実施例1とは小シリンジの構造が異なるのみなので同一の構造部は説明を省略する。
【0023】
ブロック33(ブロック1と同じ)は押し込み装置32に固定される。
【0024】
小シリンジ30の先端はピストン31の外径より大きい内径の逃し室34を刻設する。他端にはドレンポート36を備えた後端キャップ35を装着する。ピストン31に連接するピストンロッド37は押し込み台38に固定する。押し込み台38は押し込み装置32のボールネジ等の送り機構で押し引きされ、電気制御部39で制御される。
【0025】
大シリンジ40(大シリンジ12と同じ)はエア配管41で電磁弁42(電磁弁21と同じ)に連結し、圧力調整弁43で供給圧力を調整する。
【実施例2の作用】
【0026】
小シリンジ30に液の無いとき補給信号を制御部39に入力すると、押し込み台38はピストン31を逃し室34内に押し込み、電磁弁42を励磁して大シリンジ40に加圧エアを印加する。内部の空気は逃し室34でピストン31の外側を通りドレンポート36より外部に排出される。加圧エアの印加を続けると液が小シリンジ30内に流入してくる。液がピストン31の外側に回りこんだときピストン31を逃し室34より引き込み、液の流失を止める。さらにピストン31を引き込むと小シリンジ30に液を補給する。ピストン31が上昇端にきたら電磁弁42の励磁を切り、大シリンジ40の加圧エアを開放する。
【0027】
次に吐出信号を制御部39に入力すると指定量ピストン31が押し込まれ、内部の液はノズル44より液を吐出する。吐出信号を繰り返しピストン31が逃し室34に突入する直前に補給信号を制御部39に入力して小シリンジ31に液を補給する。
【実施例2の効果】
【0028】
実施例1と同様の効果と、ピストン31の位置と連動して電磁弁42の励磁タイミングをプログラムできるので、実施例1のタイマ、カウンタ等の設定が不要になる。
【0029】
ブロック33は押し込み台38に直結できる大きさで構成でき、全体がコンパクトになる。
【0030】
ブロック33は高剛性構造にでき、高圧吐出が計れる。
【0031】
本発明の趣旨は微量精密吐出を計るものであり、小シリンジを出来るだけ小容量に設計すると、より微量精密吐出が可能になる。ブロック1の管路5を小シリンジとして適応できる。例えばハンダペーストを0.3ミリ直径に塗布すると、その体積は10ナノリットル程度になる。基板上に1000点塗布するとしても、その総量は10マイクロリットルに過ぎない。管路5を直径2ミリ、長さ10ミリに設定すると30マイクロリットルになる。管路5を小シリンジとするのは簡単である。実施例1で小シリンジ14の代わりにエア継ぎ手を直結すればよい。10マイクロリットルの液を補給するには1秒あれば充分なので、実質的に本ディスペンサーは大シリンジの液が無くなるまで連続使用が可能である。電子部品を実装するためのハンダペースト塗布ロボットに於いて微小ドットの連続塗布に有用で、ハンダペーストの印刷より微細なパターンの塗布を可能にする。
【0032】
ブロック1は実施例1のエアディスペンサー用、実施例2のピストン押し込みディスペンサー用のどちらにも同様の構成で適応でき、汎用性が高い。
【0033】
従来ピストン押し込みディスペンサーに於いて、供給、吐出の両管路にチェックバルブを設け、ピストン引き込み時に液を吸入補給し、ピストン押し込み時に吐出する方式がある。この方式は薬液等ピストン引き込み時に自吸できる低粘度液に適応できるもので、本発明と同様に大シリンジ側に圧力を印加するとノズルから液が吐出してしまう。本発明は高粘度液のノズルからの吐出抵抗、逃し室、ピストンの移動速度、電磁弁の励磁を関連つけて高粘度液に適応さしている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】 実施例1の断面図
【図2】 実施例2の断面図
【符号の説明】
【0034】
1、ブロック 5、管路 12、大シリンジ 14、小シリンジ 15、ノズル 16、チェックバルブ 23、電磁弁 26、電気制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックに、大シリンジと、小シリンジと、ノズルを夫々連結するポートを設け、夫々のポートに繋がるブロック内の管路を内部で連結し、大シリンジの管路に大シリンジからの流入のみを許し、逆方向の流れは止めるチェックバルブを設置し、大シリンジに加圧エアを印加する電磁弁と小シリンジに加圧エアを印加する電磁弁を設置し、電磁弁の励磁、無励磁を制御する制御部を設けたことを特徴とするエア圧送式液体吐出装置。
【請求項2】
ブロックに、ブロックに、大シリンジと、小シリンジと、ノズルを夫々連結するポートを設け、夫々のポートに繋がるブロック内の管路を内部で連結し、大シリンジの管路に大シリンジからの流入のみを許し、逆方向の流れは止めるチェックバルブを設置し、大シリンジに加圧エアを印加する電磁弁と小シリンジのピストン押し込み装置とで構成することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1のエア圧送式液体吐出装置を装着したことを特徴とする高粘度液塗布装置。
【請求項4】
請求項2の液体吐出装置を装着したことを特徴とする高粘度液塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−68245(P2008−68245A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278129(P2006−278129)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000212407)
【Fターム(参考)】