説明

複合フィルム、デバイス、および複合フィルムの製造方法

【課題】従来の熱伝導フィルムでは、ヒートスポットを十分に抑制できない場合がある。
【解決手段】複合フィルム100は、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い第1熱伝導層110と、第1熱伝導層110の一方の面側に積層されており、厚み方向に貫通する開口を有する第1接着層120とを備える。複合フィルム100は、例えば第1熱伝導層110を介して熱源に対向する位置に開口122が配置されることにより、熱源に対向する部材に発生するヒートスポットを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合フィルム、デバイス、および複合フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に実装されるバッテリまたは半導体素子などの熱源が発熱することにより、電子機器の特定の部分の温度が周囲の温度よりも上昇するヒートスポットが発生することがある。このようなヒートスポットを抑制すべく、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い熱伝導フィルムが利用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1 特開2009−94196号公報
特許文献2 特許第3810734号公報
特許文献3 特許第4498419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の熱伝導フィルムでは、ヒートスポットを十分に抑制できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る複合フィルムは、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い第1熱伝導層と、第1熱伝導層の一方の面側に積層されており、開口を有する第1バッファ層とを備える。
【0005】
上記複合フィルムは、第1熱伝導層を介して熱源に対向する位置に開口が配置されることにより、熱源に対向する部材に発生するヒートスポットを抑制するヒートスポット抑制フィルムでもよい。
【0006】
上記複合フィルムは、熱源に対向する部材の熱源側の面に第1バッファ層が貼り付けられることにより、開口が密閉されてもよい。
【0007】
上記複合フィルムは、第1バッファ層は、熱源に対向する部材と第1熱伝導層とを接着する接着層でもよい。
【0008】
上記複合フィルムにおいて、第1バッファ層は、第1熱伝導層の第1バッファ層側の面を保護する保護層と、熱源に対向する部材と保護層とを接着する接着層を有してもよい。
【0009】
上記複合フィルムにおいて、接着層に開口が設けられてもよい。
【0010】
上記複合フィルムにおいて、接着層は、両面粘着フィルムでもよい。
【0011】
上記複合フィルムにおいて、保護層に開口が設けられてもよい。
【0012】
上記複合フィルムにおいて、開口は、開口が設けられる層を厚み方向に貫通していてもよい。
【0013】
上記複合フィルムは、第1バッファ層は、配列された複数の開口を有してもよい。
【0014】
上記複合フィルムは、第1熱伝導層の第1バッファ層側の面と反対側の面を保護する保護層をさらに備えてもよい。
【0015】
上記複合フィルムは、第1バッファ層の第1熱伝導層側の面とは反対側の面側に積層されており、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い第2熱伝導層と、第2熱伝導層の第1バッファ層側の面とは反対側の面側に積層されており、開口を有する第2バッファ層とをさらに備えてもよい。
【0016】
上記複合フィルムは、第1バッファ層の開口の面積は、第2バッファ層の開口の面積と異なってもよい。
【0017】
上記複合フィルムは、第1バッファ層の開口の面積は、第2バッファ層の開口の面積より小さくてもよい。
【0018】
上記複合フィルムは、第1バッファ層および第2バッファ層は、複数の開口を有し、第1バッファ層が有する複数の開口の合計面積は、第2バッファ層が有する複数の開口の合計面積より小さくてもよい。
【0019】
上記複合フィルムは、第1熱伝導層は、高分子フィルムを熱処理して作製されるグラファイトフィルムでもよい。
【0020】
本発明の一態様に係るデバイスは、熱源と、熱源を収容する筐体と、熱源と筐体の内壁との間に配置される上記複合フィルムとを備え、第1バッファ層は、第1熱伝導層より筐体の内壁側に設けられており、開口は、熱源に対向する位置に配置されている。
【0021】
上記デバイスにおいて、複合フィルムは、筐体の内壁に貼り付けられてもよい。
【0022】
本発明の一態様に係る複合フィルムの製造方法は、両面粘着フィルムに、開口を形成する工程と、開口が形成された両面粘着フィルムを、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い熱伝導フィルムに貼り付ける工程とを備える。
【0023】
本発明の一態様に係る複合フィルムは、厚み方向に貫通する開口を有し、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い熱伝導層と、熱伝導層の一方の面に積層されている第1バッファ層と、熱伝導層の他方の面に積層されている第2バッファ層とを備え、第1バッファ層と第2バッファ層とにより開口が密閉されている。
【0024】
上記複合フィルムは、熱源に対向する位置に開口が配置されることにより、熱源に対向する部材に発生するヒートスポットを抑制するヒートスポット抑制フィルムでもよい。
【0025】
上記複合フィルムにおいて、第1バッファ層は、熱源に対向する部材と熱伝導層とを接着する接着層を有してもよい。
【0026】
上記複合フィルムにおいて、第2バッファ層は、熱伝導層を保護する保護層を有してもよい。
【0027】
上記複合フィルムにおいて、熱伝導層は、高分子フィルムを熱処理して作製されるグラファイトフィルムでもよい。
【0028】
本発明の一態様に係るデバイスは、熱源と、熱源を収容する筐体と、熱源と筐体の内壁との間に配置される上記複合フィルムとを備え、開口は、熱源に対向する位置に配置されている。
【0029】
上記デバイスにおいて、複合フィルムは、筐体の内壁に貼り付けられていてもよい。
【0030】
本発明の一態様に係るデバイスは、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い熱伝導フィルムに、厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、開口が形成された熱伝導フィルムの一方の面に、開口の一方の面側を塞ぐ第1フィルムを貼り付ける工程と、開口が形成された熱伝導フィルムの他方の面に、開口の他方の面側を塞ぐ第2フィルムを貼り付ける工程とを備える。
【0031】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】複合フィルムの平面図である。
【図1B】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図2A】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図2B】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図2C】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図2D】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図3】複合フィルムが貼り付けられたデバイスの断面図を示す図である。
【図4】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図5】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図6A】複合フィルムの平面図である。
【図6B】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図7】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図8】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図9】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図10】複合フィルムの断面図を示す図である。
【図11A】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図11B】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図11C】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図11D】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図11E】複合フィルムの製造方法について説明するための図である。
【図12】評価に使用したサンプルを含む構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0034】
本実施形態に係る複合フィルムは、熱伝導層、およびバッファ層を備える。熱伝導層は、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い異方性を有する素材である。バッファ層は、熱伝導層に積層される層である。バッファ層は、例えば、接着層、保護層、絶縁層、粘着層などから構成され、一層で構成されてもよいし、二層以上であって、同種又は異種の層から構成されていてもよい。
【0035】
図1Aは、本実施形態に係る複合フィルム100の平面図を示す。図1Bは、図1Aに示すA−A線における複合フィルム100の断面図を示す。
【0036】
複合フィルム100は、バッテリまたは半導体素子などの熱源を収容する筐体の人体が接触する外壁の裏面である内壁などに貼り付けられる。これにより、熱源に対向する筐体の外壁などに発生するヒートスポットを抑制する。
【0037】
複合フィルム100は、第1熱伝導層110および第1接着層120を備える。第1接着層120は、第1バッファ層の一例である。第1接着層120は、第1熱伝導層110の一方の面110aに積層され、開口122を有する。本実施形態では、開口122は、第1接着層120において厚み方向に貫通している例について説明する。他の実施形態では、開口122は、厚み方向に貫通していなくてもよい。開口122は、例えば第1接着層120のいずれかの面に形成される凹状の開口でもよい。
【0038】
第1熱伝導層110は、上記の通り、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い異方性を有する素材である。第1熱伝導層110として、例えば高分子フィルムを熱処理することにより生成されるグラファイトフィルムを使用できる。このようなグラファイトフィルムの面方向の熱伝導率は、好ましくは750W/m・K以上であり、より好ましくは900W/m・K以上、さらに好ましくは1100W/m・K以上である。また、このようなグラファイトフィルムの厚み方向の熱伝導率は10W/m・K以下であってもよい。また、第1熱伝導層110として、天然グラファイトなどの結晶化が進んだグラファイト粉末を酸処理および熱処理することにより生成されるグラファイトフィルムを使用することもできる。このようなグラファイトフィルムの面方向の熱伝導率は、好ましくは200W/m・K以上であり、より好ましくは300W/m・K以上、さらに好ましくは400W/m・K以上である。また、このようなグラファイトフィルムの厚みの熱伝導率は10W/m・K以下であってもよい。なお、第1熱伝導層110の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。
【0039】
第1接着層120は、筐体の内壁などの特定の部位に複合フィルム100を接着させる。第1接着層120の厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。
【0040】
第1接着層120として、例えば両面粘着フィルム、接着剤、または粘着剤を使用できる。両面粘着フィルムとして、例えば樹脂フィルムに粘着剤が塗布されたものを使用できる。接着剤として、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を使用できる。また、粘着剤として、例えばアクリル系、シリコーン系等の樹脂を使用できる。
【0041】
図2A〜図2Dは、複合フィルム100の製造方法を示す。なお、図2A〜図2Dは、第1接着層120として両面粘着フィルムを使用した場合の複合フィルム100の製造方法を示す。
【0042】
第1接着層120の一例としての両面粘着フィルムAを準備する(図2A)。ついで、両面粘着フィルムAの特定の部分、例えば中央部などの周縁部以外の部分に、カッターなどを使用して厚み方向に貫通する開口122を形成する(図2B)。また、第1熱伝導層110の一例であるグラファイトフィルムGを準備する(図2C)。次いで、両面粘着フィルムAとグラファイトフィルムGとを貼り付けて、複合フィルム100を作製する(図2D)。以上の通り、開口が形成された両面粘着フィルムをグラファイトフィルムに貼り付けるだけで複合フィルムを作製できる。したがって、製造コストの上昇が抑えられる。
【0043】
なお、第1接着層120として接着剤または粘着剤を使用する場合には、第1熱伝導層110の面110aの開口122に対応する領域に予めマスク層を形成しておく。さらにマスク層が形成された面110aに接着剤または粘着剤を塗布した後に、マスク層を除去することで、複合フィルム100を作製できる。
【0044】
ここで、第1熱伝導層110として高分子フィルムを熱処理することにより生成されるグラファイトフィルムを使用する場合には、以下に示す製造方法により作製されたグラファイトフィルムを使用できる。
【0045】
グラファイトフィルムの製造に適した高分子フィルムとして、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選択された少なくとも一種類以上の高分子フィルムを例示できる。
【0046】
特に、高分子フィルムとして好ましいのは、ポリイミドフィルムである。ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりも、炭化および黒鉛化によりグラファイトの層構造が発達し易いためである。
【0047】
ポリイミドフィルムの複屈折について特に制限はない。しかし、複屈折が0.08以上であれば、フィルムの炭化、黒鉛化が進行し易くなるので、グラファイト層が発達したグラファイトフィルムが得られ易くなる。なお、複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚さ方向の屈折率との差を意味する。
【0048】
高分子フィルムからグラファイトフィルムを得るには、炭化工程、黒鉛化工程は連続で行われてもよいし、非連続で行われてもよい。炭化工程では、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して炭化する。この炭化は、通常1000℃程度の温度で行う。例えば、10℃/分昇温速度で予備加熱処理を行った場合には、1000℃の温度領域で30分程度保持することが望ましい。予備加熱処理の段階では、高分子フィルムの配向性が失われないように面方向の圧力を加えてもよい。炭化工程の次の黒鉛化工程は、炭素化された炭素化フィルムを超高温炉内にセットして行われる。黒鉛化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中で行われるが、不活性ガスとしてはアルゴンが最も適当であり、アルゴンに少量のヘリウムを加えるとさらに好ましい。黒鉛化の熱処理温度としては、最低でも2400℃以上、より好ましくは2600℃以上、さらに好ましくは2800℃以上、特に好ましくは、2900℃以上である。
【0049】
なお、2500℃以上の超高温を作り出すには、例えば、グラファイトヒータに直接電流を流し、そのジュール熱を利用して加熱する方法を挙げることができる。黒鉛化は、前処理で作製した炭素化フィルムをグラファイト構造に軟化することによって行う。高分子フィルムの分子配向は炭素化フィルムの炭素の配列に影響を与える。その影響により黒鉛化工程における炭素―炭素結合の開裂・再結合化のエネルギーが小さくなる。したがって、分子が配向するように分子設計を行い、高度な配向を実現することで低温での黒鉛化と良質のグラファイトフィルムへの軟化が可能になる。
【0050】
図3は、内壁に複合フィルム100が貼り付けられたデバイス200の断面図を示す。デバイス200は、筐体10、基板20、および基板20に実装される電子部品22を備える。複合フィルム100は、熱源になる電子部品22に対向する位置に開口122が位置づけられ、第1接着層120を介して筐体10の内壁10aに貼り付けられている。
【0051】
このように構成することで、電子部品22から発生し、複合フィルム100に伝達された熱は、第1熱伝導層110の面方向に伝達され拡散される。また、開口122は、第1熱伝導層110と内壁10aとにより密閉空間を構成し、その密閉空間が断熱層として機能する。よって、第1熱伝導層110の厚み方向に伝達された熱が、開口122に対向する筐体10の外壁10bの領域に伝達されにくくなる。したがって、本実施形態によれば、第1熱伝導層110により面方向に熱を拡散させる。さらに第1接着層120の開口122が断熱層として機能する。よって、電子部品22が発熱することにより筐体10の外壁10bに発生するヒートスポットを抑制できる。
【0052】
ここで、熱源に対向する位置とは、厚み方向において熱源と少なくとも一部分が重なる位置のほか、厚み方向において熱源と異なる、熱源と重ならない位置も含む。また、熱源に対向する位置とは、熱源となる電子部品22が有するいずれの面に対向する位置でもよい。例えば、熱源に対向する位置とは、電子部品22の基板20への接合面、接合面と反対側の面である上面、あるいは、接合面および上面以外の側面に対向する位置でもよい。
【0053】
図3では、複合フィルム100の厚み方向において電子部品22と開口122とが重なる位置に配置される例を示している。しかし、開口122が配置される位置は、ヒートスポットが発生しうる位置に対応する位置であればよい。したがって、ヒートスポットが発生する位置が、厚み方向において電子部品22とは重ならない位置である場合には、厚み方向において電子部品22と開口122とは重ならない位置に配置される場合もある。例えば、電子部品22と筐体10との間に他の部材が配置される場合、または筐体10の厚みが均一ではない場合には、厚み方向において熱源と重なる位置にヒートスポットが発生するとは限らない。この場合には、開口122は、厚み方向において熱源と重ならない位置に配置されてもよい。
【0054】
図4は、複合フィルム100の変形例である複合フィルム100Aの断面図を示す。複合フィルム100Aは、第1熱伝導層110および第1接着層120に加えて、第1熱伝導層110の熱源側の面110bを保護する保護層130を備える。保護層130は、第1熱伝導層110の面110b側に配置される。よって、開口122を熱源に対向する位置に位置づけて複合フィルム100Aを配置することにより、複合フィルム100Aの熱源とは反対側の面100a側に配置される部材に発生するヒートスポットを抑制できる。さらに、保護層130を設けることにより、例えば第1熱伝導層110を構成するグラファイトフィルムの一部が剥離し、剥離した一部が他の部材に付着することによる不具合を防止できる。
【0055】
なお、保護層130として、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの樹脂フィルムの片面に、アクリル系、シリコーン系、エポキシ系、ポリイミド系等の粘着剤または接着剤が塗布された樹脂テープを使用できる。また、保護層130として、ポリエステル系などのホットメルトタイプ(熱可塑性)のテープを使用することもできる。さらに、保護層130は、エポキシ、フェノールまたはゴム系の塗料などを使用してコーティングすることで、第1熱伝導層110の面110bに積層してもよい。
【0056】
図5は、複合フィルム100の変形例である複合フィルム100Bの断面図を示す。複合フィルム100Bは、第1熱伝導層110の熱源とは反対側の面110aを保護する保護層140を備える。保護層140は、第1バッファ層の一例であり、第1熱伝導層110の面110aに積層され、厚み方向に貫通する開口142を有する。保護層140は、保護層130と同一の材料を使用できる。接着層120'は、厚み方向に貫通する開口を有さず、第2保護層140の一方の面140aに積層される。よって、第1熱伝導層110と第1接着層120'とにより開口142が密閉され、密閉空間が形成される。つまり、開口142が断熱層として機能する。したがって、開口142を熱源に対向する位置に位置づけて複合フィルム100Bを配置することにより、複合フィルム100Bの熱源とは反対側の部材に発生するヒートスポットを抑制できる。なお、接着層120'は、開口142に対応する位置に厚み方向に貫通する開口を有してもよい。この場合には、保護層140と接着層120'が第1バッファ層の一例である。また、第1熱伝導層110の他方の面110bに複合フィルム100Aと同様に保護層130を積層してもよい。
【0057】
以上、上記の実施形態では、第1接着層120、または保護層130に、単一の開口を有する例について説明した。しかし、第1接着層120、または保護層130は、配列された複数の開口を有してもよい。また、開口の形状は、矩形ではなく、円形など他の形状でもよい。
【0058】
図6Aは、複合フィルム100の変形例である複合フィルム100Cの平面図を示す。図6Bは、図6Aに示すA−A線における複合フィルム100Cの断面を示す。複合フィルム100Cは、格子状に配列された複数の開口122を有する第1接着層120を備える。
【0059】
ここで、複数の開口122のそれぞれの面積は、第1接着層120の全体の面積より十分に小さくてもよい。より具体的には、複数の開口122のそれぞれの面積は、第1接着層120の全体の面積の好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0060】
開孔の面積は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、さらに好ましくは20mm以上である。
【0061】
このように、比較的面積の小さい複数の開口122を格子状に配列することにより、開口122により形成される密閉空間が押し潰されにくくなる。よって、複数の開口122のそれぞれがより確実に断熱層として機能できる。
【0062】
なお、第1接着層120に配列された複数の開口122を形成する場合には、第1熱伝導層110の熱源とは反対側の面110aに接着剤または粘着剤をメッシュ状に塗布してもよい。これにより、メッシュ状に配置された複数の開口122を有する第1接着層120を形成し、複合フィルム100Cを作製できる。
【0063】
さらに、上記の実施形態では、開口122の面積は、電子部品22の面積より大きい例について説明した。しかし、開口122の面積は、電子部品22の面積より小さいまたは同一でもよい。
【0064】
また、上記の実施形態では、複合フィルム100は、筐体10の人体が接触する外壁10bの裏面である内壁10aに貼り付けられる例について説明した。しかし、複合フィルム100は、内壁10a以外にも筐体10が実装する他の電子部品または基板に貼り付けられてもよい。また、複合フィルム100は、内壁10aおよび電子部品22のそれぞれに接触していてもよい。
【0065】
図7は、複合フィルム100の変形例である複合フィルム100Dの断面図を示す。複合フィルム100Dは、熱伝導層および接着層(バッファ層)を複数積層することで構成されている。第2熱伝導層150は、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い異方性を有する。第2熱伝導層150は、第1接着層120の一方の面120aに積層される。第2接着層160は、厚み方向に貫通する開口162を有し、第2熱伝導層150の一方の面150aに積層される。このように、熱伝導層および接着層を複数積層することにより、より確実にヒートスポットを抑制できる。なお、第1熱伝導層110および第2熱伝導層150は、面方向および厚み方向の熱伝導率が同一のグラファイトフィルムを使用してもよいし、これらの熱伝導率が異なる他のグラファイトフィルムを使用してもよい。
【0066】
加えて、複合フィルム100を熱伝導層およびバッファ層を複数積層することで構成する場合、それぞれの開口の面積を異なるものにしてもよい。より具体的には、熱源により近いバッファ層の開口の面積は、熱源からより遠い接着層の開口の面積より小さくてもよい。さらに、バッファ層が複数の開口を有する場合には、熱源により近層の複数の開口の合計面積は、熱源からより遠いバッファ層の複数の開口の合計面積より小さくてもよい。
【0067】
図8は、複合フィルム100の変形例である複合フィルム100Eの断面図を示す。複合フィルム100Eは、単一の開口122を有する第1接着層120と、単一の開口162を有する第2接着層160とを備える。第1接着層120の開口122の面積は、第2接着層160の開口162の面積より小さい。
【0068】
図9は、複合フィルム100の変形例である複合フィルム100Fの断面図を示す。複合フィルム100Fは、複数の開口122を有する第1接着層120と、複数の開口162を有する第2接着層160とを備える。第1接着層120が有する複数の開口122の合計面積は、第2接着層160が有する複数の開口162の合計面積より小さい。
【0069】
図8または図9に示すように構成することで、第1接着層120の開口122により構成される断熱層の全体面積が比較的小さい。したがって、熱源により近い第1熱伝導層110から第2熱伝導層150への熱の伝導がしやすくなる。よって、複数の熱伝導層を介した面方向への熱の拡散がよりしやすくなる。一方、熱源からより遠い第2接着層160の開口の全体面積は比較的大きい。したがって、第2接着層160が貼り付けられる筐体などの面への熱の伝達はしにくくなる。よって、このように構成することで、筐体などの面に発生するヒートスポットをより確実に抑制できる。
【0070】
図10は、複合フィルム100の変形例である複合フィルム100Gの断面図を示す。複合フィルム100Gは、熱伝導層または熱伝導フィルムの一例である第1熱伝導層110と第1バッファ層または第1フィルムの一例である接着層120'と第2バッファ層または第2フィルムの一例である保護層130とを備える。第1熱伝導層110は、厚み方向に貫通する開口112を有する。第1熱伝導層110の熱源側の面110aに接着層120'が積層され、熱源とは反対側の面110bに保護層130が積層される。
【0071】
複合フィルム100Gでは、保護層130と接着層120'とにより開口112が密閉され、密閉空間が形成される。つまり、開口112が断熱層として機能する。開口112を熱源に対向する位置に位置づけて複合フィルム100Gを配置した場合、熱源から発生した熱は、保護層130に伝達される。保護層130に伝達された熱の少なくとも一部は、第1熱伝導層110に伝達される。ここで、開口112は断熱層として機能するので、開口112による断熱層よりも保護層130と接触している第1熱伝導層110へより多く熱が伝導される。また、第1熱伝導層110に伝達された熱は、面方向に伝達され拡散される。したがって、開口112に対応する接着層120'の領域に熱は伝達されにくくなる。よって、開口112を熱源に対向する位置に位置づけて複合フィルム100Gを配置することにより、複合フィルム100Gの熱源とは反対側の面に配置された部材に発生するヒートスポットを抑制できる。
【0072】
図11A〜図11Eは、複合フィルム100Gの製造方法を示す。なお、図11A〜図11Dは、第1接着層120'として両面粘着フィルム、保護層130としてPETテープを使用した場合の複合フィルム100の製造方法を示す。
【0073】
第1熱伝導層110としてグラファイトフィルムGを準備する(図11A)。グラファイトフィルムGの特定の部分、例えば中央部などの周縁部以外の部分に、カッターなどを使用して厚み方向に貫通する開口112を形成する(図11B)。PETテープPを準備して、PETテープPの一方の面とグラファイトフィルムGの一方の面とを張り合わせて、開口112の一方側を塞ぐ(図11C)。また、両面粘着フィルムAを準備して、両面粘着フィルムAの一方の面とグラファイトフィルムGの他方の面とを張り合わせ、開口112の他方側を塞ぎ(図11D)、複合フィルム100Gを作製する(図11E)。
【0074】
以上により、グラファイトフィルムGに形成された開口112がPETテープPと両面粘着フィルムAとにより密閉された複合フィルム100Gを作製することができる。なお、開口112が形成されたグラファイトフィルムGに両面粘着フィルムAを貼り合わせた後、PETテープPをグラファイトフィルムGに貼り合わせてもよい。また、開口112が形成されたグラファイトフィルムGに、両面粘着フィルムAおよびPETテープPを同時に貼り合わせてもよい。
【0075】
なお、複合フィルムは、熱源に直接貼り付けられてもよい。この場合、第1バッファ層より第1熱伝導層を熱源側に配置することが好ましい。また、第1バッファ層の構成は、熱源に対向する部材に複合フィルムを貼り付ける場合の構成と同一でもよい。
【0076】
以下において、上述の実施形態に係るいくつかの実施例について、比較例とともに説明する。
【0077】
<評価方法>
図12は、評価に使用したサンプルSを含む構成を示す断面図である。図12では、評価対象の複合フィルムの例として、グラファイトフィルムGと、開口Oを有する接着層Aとを備えるサンプルSを示している。発熱体Hが、エポキシ樹脂製基板Eの中央部に固定されている。サンプルSは、発熱体Hと厚み方向において重なる位置に開口Oが配置されて、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂製の支持体Bに貼り付けられている。
【0078】
発熱体Hの大きさは、10mm×10mm、厚さ1mmであり、消費電力は1Wである。エポキシ樹脂製基板Eの大きさは、50mm×50mm、厚さ1mmである。サンプルSの大きさは、50mm×50mmであり、開口Oの大きさは、10mm×10mmである。支持体Bの大きさは、60mm×60mm、厚さ1.5mmである。
【0079】
図12に示す例では、発熱体Hの中央部とサンプルSの中央部とが厚み方向において同一の位置に配置されている。つまり、発熱体Hと開口Oとは厚み方向において重なる位置に配置されている。このようなサンプルの構成において、発熱開始から600秒経過後(定常状態となったとき)の発熱体Hの中心部の温度(℃)および支持体Bの外面中央部(この部分は発熱体Hの中心部の真上に位置する)の温度(℃)を測定することにより、放熱および断熱特性を評価した。
【0080】
支持体Bの外面中央部の温度の評価は、40℃未満の場合「◎」、40℃〜45℃の場合を「○」、45℃〜50℃の場合を「△」、50℃より高い場合を「×」とした。
【0081】
発熱体Hの中心部の温度の評価は、45℃未満の場合「◎」、45℃〜50℃の場合を「△」、50℃より高い場合を「×」とした。
【0082】
本評価において使用するグラファイトフィルムGは、以下に示す作製方法により作成されたものを使用する。
【0083】
4,4'−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。この溶解を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に予め定められた厚さ(75μm)になるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。以上により、厚さ75μmのポリイミドフィルムを作製した。
【0084】
このように作製されたポリイミドフィルムを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、1000℃まで昇温して炭化処理を行った。炭化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて昇温速度1℃/minで2900℃まで昇温して黒鉛化処理を行い、厚さ40μmのグラファイトフィルムGを得た。
【0085】
本評価において接着層として使用する両面粘着フィルムAは、厚さ10μm(アクリル系粘着剤:4μm/PET:2μm/アクリル系粘着剤:4μm)の両面粘着テープを使用した。
【0086】
本評価において保護層として使用するPETテープPは、厚さ10μm(PET:6μm/アクリル系粘着剤:4μm)のPET(ポリエチレンテレフタレート)テープを使用した。
【0087】
(実施例1)
実施例1では、サンプルSとして図1A,1Bに示す複合フィルム100を使用した。複合フィルム100の大きさは、50mm×50mmである。第1熱伝導層110に、50mm×50mmの大きさであるグラファイトフィルムGを使用した。第1接着層120に、50mm×50mmの大きさである両面粘着フィルムAを使用した。複合フィルム100についての評価結果を、表1に示した。
【0088】
(実施例2)
実施例2では、サンプルSとして図4に示す複合フィルム100Aを使用した。複合フィルム100Aの大きさは、50mm×50mmである。第1熱伝導層110に、50mm×50mmの大きさであるグラファイトフィルムGを使用した。第1接着層120に、50mm×50mmの大きさである両面粘着フィルムAを使用した。保護層130に、50mm×50mmであるPETテープPを使用した。複合フィルム100Aについての評価結果を、表1に示した。
【0089】
(実施例3)
実施例3では、サンプルSとして図5に示す複合フィルム100Bを使用した。複合フィルム100Bの大きさは、50mm×50mmである。第1熱伝導層110に、50mm×50mmの大きさであるグラファイトフィルムGを使用した。第1接着層120'に、50mm×50mmの大きさである両面粘着フィルムAを使用した。保護層140に、50mm×50mmの大きさであるPETテープPを使用した。複合フィルム100Bについての評価結果を、表1に示した。
【0090】
(実施例4)
実施例4では、サンプルSとして図10に示す複合フィルム100Gを使用した。複合フィルム100Gの大きさは、50mm×50mmである。第1熱伝導層110に、50mm×50mmの大きさであるグラファイトフィルムGを使用した。第1接着層120に、50mm×50mmの大きさである両面粘着フィルムAを使用した。保護層130に、50mm×50mmの大きさであるPETテープPを使用した。複合フィルム100Gについての評価結果を、表1に示した。
【0091】
(比較例1)
比較例1では、50mm×50mmの大きさの複合フィルムXを使用した。複合フィルムXは、開口を有さないグラファイトフィルムGの一方の面に、開口を有さない両面粘着フィルムAの一方の面を貼り合わせて作製した。複合フィルムXは、その中心部が発熱体Hの中心部の真上に配置された状態で、両面粘着フィルムAの他方の面を介して支持体Bに貼り付けられた。複合フィルムXについての評価結果は、表1に示した。
【0092】
(比較例2)
比較例2では、50mm×50mmの大きさの複合フィルムYを使用した。複合フィルムYは、開口を有さないPETテープTの一方の面に、開口を有さないグラファイトフィルムGの一方の面を貼り合わせ、グラファイトフィルムGの他方の面に、開口を有さない両面粘着フィルムAの一方の面を貼り合わせて作製した。複合フィルムYは、その中心部が発熱体Hの中心部の真上に配置された状態で、両面粘着フィルムAの他方の面を介して支持体Bに貼り付けられた。複合フィルムYについての評価結果は、表1に示した。
【0093】
(比較例3)
比較例3では、50mm×50mmの大きさの複合フィルムZを使用した。複合フィルムZは、10mm×10mmの大きさの開口を中央に有するPETテープTの一方の面に、10mm×10mmの大きさの開口を中央に有するグラファイトフィルムGの一方の面を貼り合わせ、グラファイトフィルムGの他方の面に、10mm×10mmの大きさの開口を中央に有する両面粘着フィルムAの一方の面を貼り合わせて作製した。つまり、複合フィルムZは、厚み方向にすべての層を貫通する10mm×10mmの開口を有する。複合フィルムYは、開口の中心部が発熱体Hの中心部の真上に配置された状態で、両面粘着フィルムAの他方の面を介して支持体Bに貼り付けられた。複合フィルムZについての評価結果は、表1に示した。
【0094】
【表1】

【0095】
以上のように、本実施形態に係る複合フィルムは、面方向に熱を効率的に拡散させ、かつ密閉空間を形成する開口が断熱層として機能するので、熱源が発熱することにより熱源に対向する部材に発生するヒートスポットをより確実に抑制できる。特に実施例1から3に示す複合フィルムはヒートスポットの抑制に優れた効果を発揮する。
【0096】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0097】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した複合フィルム、デバイス、および複合フィルムの製造方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0098】
10 筐体
20 基板
22 電子部品
100 複合フィルム
110 第1熱伝導層
120 第1接着層
122 開口
130 保護層
200 デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い第1熱伝導層と、
前記第1熱伝導層の一方の面側に積層されており、開口を有する第1バッファ層とを備える複合フィルム。
【請求項2】
前記第1熱伝導層を介して熱源に対向する位置に前記開口が配置されることにより、前記熱源に対向する部材に発生するヒートスポットを抑制するヒートスポット抑制フィルムである請求項1に記載の複合フィルム。
【請求項3】
熱源に対向する部材の前記熱源側の面に前記第1バッファ層が貼り付けられることにより、前記開口が密閉される請求項1または請求項2に記載の複合フィルム。
【請求項4】
前記第1バッファ層は、熱源に対向する部材と前記第1熱伝導層とを接着する接着層である請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項5】
前記第1バッファ層は、
前記第1熱伝導層の前記第1バッファ層側の面を保護する保護層と、
熱源に対向する部材と前記保護層とを接着する接着層とを有する請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項6】
前記開口は、前記第1バッファ層を厚み方向に貫通している請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項7】
前記接着層に前記開口が設けられている請求項4または請求項5に記載の複合フィルム。
【請求項8】
前記接着層は、両面粘着フィルムである請求項7に記載の複合フィルム。
【請求項9】
前記保護層に前記開口が設けられている請求項5に記載の複合フィルム。
【請求項10】
前記開口は、前記開口が設けられる層を厚み方向に貫通している請求項7から請求項9のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項11】
前記第1バッファ層は、配列された複数の前記開口を有する請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項12】
前記第1熱伝導層の前記第1バッファ層側の面と反対側の面を保護する保護層をさらに備える請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項13】
前記第1バッファ層の前記第1熱伝導層側の面とは反対側の面側に積層されており、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い第2熱伝導層と、
前記第2熱伝導層の前記第1バッファ層側の面とは反対側の面側に積層されており、開口を有する第2バッファ層と
をさらに備える請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項14】
前記第1バッファ層の前記開口の面積は、前記第2バッファ層の前記開口の面積と異なる請求項13に記載の複合フィルム。
【請求項15】
前記第1バッファ層の前記開口の面積は、前記第2バッファ層の前記開口の面積より小さい請求項14に記載の複合フィルム。
【請求項16】
前記第1バッファ層および前記第2バッファ層は、複数の前記開口を有し、
前記第1バッファ層が有する前記複数の開口の合計面積は、前記第2バッファ層が有する前記複数の開口の合計面積より小さい請求項15に記載の複合フィルム。
【請求項17】
前記第1熱伝導層は、高分子フィルムを熱処理して作製されるグラファイトフィルムである請求項1から請求項16のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項18】
熱源と、
前記熱源を収容する筐体と、
前記熱源と前記筐体の内壁との間に配置される請求項1から請求項17のいずれか1つに記載の複合フィルムと
を備え、
前記第1バッファ層は、前記第1熱伝導層より前記筐体の内壁側に設けられており、
前記開口は、前記熱源に対向する位置に配置されているデバイス。
【請求項19】
前記複合フィルムは、前記筐体の前記内壁に貼り付けられている請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
両面粘着フィルムに、開口を形成する工程と、
前記開口が形成された前記両面粘着フィルムを、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い熱伝導フィルムに貼り付ける工程と
を備える複合フィルムの製造方法。
【請求項21】
厚み方向に貫通する開口を有し、面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い熱伝導層と、
前記熱伝導層の一方の面に積層されている第1バッファ層と、
前記熱伝導層の他方の面に積層されている第2バッファ層と
を備え、
前記第1バッファ層と前記第2バッファ層とにより前記開口が密閉された複合フィルム。
【請求項22】
熱源に対向する位置に前記開口が配置されることにより、前記熱源に対向する部材に発生するヒートスポットを抑制するヒートスポット抑制フィルムである請求項21に記載の複合フィルム。
【請求項23】
前記第1バッファ層は、熱源に対向する部材と前記熱伝導層とを接着する接着層を有する請求項21または請求項22に記載の複合フィルム。
【請求項24】
前記第2バッファ層は、前記熱伝導層を保護する保護層を有する請求項21から請求項23のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項25】
前記熱伝導層は、高分子フィルムを熱処理して作製されるグラファイトフィルムである請求項21から請求項24のいずれか1つに記載の複合フィルム。
【請求項26】
熱源と、
前記熱源を収容する筐体と、
前記熱源と前記筐体の内壁との間に配置される請求項21から請求項25のいずれか1つに記載の複合フィルムと
を備え、
前記開口は、前記熱源に対向する位置に配置されているデバイス。
【請求項27】
前記複合フィルムは、前記筐体の前記内壁に貼り付けられている請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
面方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率より高い熱伝導フィルムに、厚み方向に貫通する開口を形成する工程と、
前記開口が形成された前記熱伝導フィルムの一方の面に、前記開口の前記一方の面側を塞ぐ第1フィルムを貼り付ける工程と、
前記開口が形成された前記熱伝導フィルムの他方の面に、前記開口の前記他方の面側を塞ぐ第2フィルムを貼り付ける工程と
を備える複合フィルムの製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図11D】
image rotate

【図11E】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−160503(P2012−160503A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17447(P2011−17447)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】