説明

複合体電極及びこれを用いた電子デバイス

【課題】内部抵抗による損失を抑制できる複合体電極及びこれを用いた電子デバイスを提供すること。
【解決手段】複合体電極は、板状導電体12、板状導電体面に立設された補助電極、補助電極の間に形成された活物質層16を有し、補助電極の高さがhである時、対向する補助電極の中心間隔又は間隔がh以上、2h以下である。補助電極は柱状導電体又は壁状導電体15である。柱状導電体は、例えば、カーボンナノチューブからなり、中心間隔が(√2)h以上で正方格子状に配置され、或いは、中心間隔が(√3)h以上で六方格子状に配置される。壁状導電体は、例えば、金属からなり、平行に配置され対をなしハニカム状構造を形成している。活物質層16を流れる電流は最短距離で板状導電体へ、又は、補助電極を介して板状導電体へ到達するので、内部抵抗による損失が抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部抵抗による損失を抑制することができる複合体電極及びこれを用いた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器、電気自動車等に利用されるリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタの小型化、軽量化、大容量化の検討が進んでいる。これらのリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタには活物質が使用されている。
【0003】
リチウムイオン電池の負極活物質として、黒鉛等の炭素材料、リチウムと合金化するSi、Sn、Geやこれらの酸化物等が知られており、正極活物質として、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24等のリチウム含有金属酸化物が知られている。電気二重層キャパシタの分極性電極には、高い比表面積を有する活性炭が使用されている。
【0004】
しかし、負極活物質として使用可能なSi、Sn、Geやこれらの酸化物、正極活物質として使用可能なリチウム含有金属酸化物は、電子伝導性が乏しく、また、電気二重層キャパシタの分極性電極に使用される活性炭も電子伝導性が乏しいという問題がある。
【0005】
負極活物質、正極活物質、活性炭等に、これらよりも電子伝導性が高い導電剤を混合して、電子伝導性を向上させる検討がなされてきている。このような、導電剤として、カーボンブラック、カーボンナノチューブが知られている。また、導電体上にカーボンナノチューブを形成することが知られている。
【0006】
図12(A)は、従来技術における電気二重層キャパシタの概略構造を説明する断面図である。
【0007】
図12(A)に示すように、電気二重層キャパシタは、セパレータ13を挟んで配置された分極性電極(正極)10a及び分極性電極(負極)10bと、分極性電極(正極)10aに接合された正極集電体12aと、分極性電極(負極)10bに接合された負極集電体12bと、電解質液17に対して不溶性、耐食性を有し、セパレータ13と分極性電極10a、10bの間の隙間を防ぎ、電解質液17の漏れを防ぎ、密封、封止するための電気絶縁性樹脂からなるガスケット14から構成されている。
【0008】
カーボンナノチューブを用いた電極又は複合集電体に関して、いくつかの報告がある。
【0009】
例えば、「電極、電極の製造方法、蓄電器及び発光素子」と題する後記の特許文献1には、導電体101上にカーボンナノチューブまたは炭素繊維103を気相成長せしめ、複数のカーボンナノチューブまたは炭素繊維の間に、炭素や活性炭等の活物質、結着剤、添加剤等よりなる活物質類104を配設した電極が記載されている。
【0010】
また、「集電体及びその表面に結合したカーボンナノファイバを含む複合集電体、並びにその製造方法」と題する後記の特許文献2には、集電体及びその表面に結合したカーボンナノファイバを含む複合集電体が、活物質粒子を含む活物質層を担持しており、活物質層には、活性炭以外に、樹脂結着剤、導電剤等を、本発明の効果を大きく損なわない範囲で含めることができることが記載されている。
【0011】
更に、「カーボンナノチューブを用いた電極及びその製造方法」と題する後記の特許文献3には、集電体とこの集電体表面に実質上垂直に配向された複数本のカーボンナノチューブとからなる電極において、カーボンナノチューブ間の隙間に炭化物が形成されて隙間を埋めており、炭化物は、上記の隙間に含浸したモノマーを重合させ生じた重合物を炭化させたものであり、モノマーの代表例は、フェノール、メタクリル酸メチル等が挙げられることの記載がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
活物質は、エネルギーの貯蔵、放出に関与する物質であり、リチウムイオン電池における正極活物質、負極活物質は、充電反応、放電反応の電極反応に関与する物質であり、電気二重層キャパシタにおける電極活物質は静電容量の発現に関与する物質である。
【0013】
電気二重層キャパシタでは、大きな比表面積を有する活性炭が電極活物質として主に用いられており、分極性電極の表面積を大きくすることによって、電気容量が増大する。電気二重層キャパシタの単位体積・単位重量当りの容量を向上させるためには、分極性電極の厚さを厚くし、表面積を増大させることが必要であるが、分極性電極の厚さを厚くすると、活性炭は一般的に電気伝導度が小さく、活性炭のみでは分極性電極の抵抗が大きくなってしまうという問題があり、キャパシタの大容量化に限界がある。
【0014】
このため、分極性電極の抵抗を下げるために、分極性電極中に導電助剤を含有させて電気伝導度を上げることにより大容量化を図る試みが行われてきた。例えば、活性炭、導電助剤を結合剤(バインダ樹脂)によって結着させて、分極性電極を形成する方法があった。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が用いられ、導電助剤として、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が用いられている。
【0015】
活性炭、導電助剤を結合剤(バインダ)によって結着させる方法によって形成した分極性電極を用いて電気二重層キャパシタの容量を、及び、活物質(負極活物質、正極活物質)、導電助剤を結合剤(バインダ樹脂)によって結着させる方法によって形成した電極(正極、負極)を用いて、リチウムイオン電池の容量を向上させることは可能であるが、更なる容量の向上が求められている。
【0016】
しかし、このような方法によって形成された電気二重層キャパシタ用の分極性電極、リチウムイオン電池用の電極では、充電、放電の繰返しにより生じる膨張、収縮によって、分極性電極、電極を構成する粒子間の結合(結着)が弱くなり、抵抗が大きくなり、サイクル特性の劣化の原因となる。
【0017】
図12(B)は、従来技術における電気二重層キャパシタの分極性電極における電流の流れを説明する図であり、充電(蓄電)時において、分極性電極(負極)10bに正電位、分極性電極(正極)10aに負電位がそれぞれ印加された状態を示している。
【0018】
図12(B)において、集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)の電子伝導性が、電極(分極性電極(正極)10a、分極性電極(負極)10b)の電子伝導性より十分高いとして、電極(分極性電極(正極)10a、分極性電極(負極)10b)におけるA地点とB地点に注目する。この場合、注目する点から集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)に対して垂直な方向に電流が流れ、注目する点から集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)までの垂直距離(電流パスの長さ)に比例した内部抵抗による損失が生じる。つまり、電極(分極性電極(正極)10a、分極性電極(負極)10b)の厚さが厚くなると、この電極内の集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)からの垂直距離が大きくなる点ほど、電流パスの長さが増加するため内部抵抗が増加し、電気二重層キャパシタの性能に悪影響を与える。
【0019】
例えば、電極(分極性電極(正極)10a、分極性電極(負極)10b)を形成する際に、プレス圧を強くして、電極(分極性電極(正極)10a、分極性電極(負極)10b)の厚さを薄くなるようにして、電流パスの長さに比例した内部抵抗を低減させる方法も考えられるが、この場合、イオンが移動する空隙が小さくなり、イオン伝導性が低下する問題が発生する。
【0020】
なお、先述した特許文献1〜特許文献3に、集電体表面に垂直に配向された複数のカーボンナノチューブを形成しその間隙に活物質を設ける記載があるが、これらの特許文献には、カーボンナノチューブの間隔や配置について言及がなく、これらをどのような条件とすれば望ましいのか明らかにされていない。
【0021】
本発明では、電気伝導性に優れた補助電極を集電体電極に付着させて形成した構成を詳細に検討した結果、内部抵抗による損失を低減させるための条件を新しく見出した。
【0022】
なお、以下の説明において、補助電極(柱状導電体又は壁状導電体)の中心間距離(又は中心間隔)Dは、補助電極が柱状導電体である場合には、対向する柱状導電体の中心軸の間の距離を意味し、補助電極が壁状導電体である場合には、対向する壁状導電体を構成する壁厚(板厚)の中心を結ぶ面(以下、「壁厚中心面」という。)の間の距離を意味するものとする。
【0023】
また、補助電極の間隔dは、補助電極が柱状導電体である場合には、対向する柱状導電体の間の距離を意味し、補助電極が壁状導電体である場合には、対向する壁状導電体の間の距離を意味するものとする。
【0024】
更に、柱状導電体がカーボンナノチューブからなる場合には、1本のカーボンナノチューブによって柱状導電体が形成されていてもよいし、複数本のカーボンナノチューブの集合からなる構造体として柱状導電体が形成されていてもよいものとする。
【0025】
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内部抵抗による損失を抑制することができる複合体電極及びこれを用いた電子デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
即ち、本発明は、板状導電体(例えば、後述の実施の形態における板状導電体12、110、正極集電体12a、負極集電体12b、正極側集電層30、負極側集電層70)と、この板状導電体面に一端が接続され立設された複数の補助電極(例えば、後述の実施の形態における柱状導電体又は壁状導電体15、柱状導電体120、壁状導電体130、ハニカム状導電体135、カーボンナノチューブ15a、15b、90a、90b、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135a)と、前記板状導電体と接し、前記補助電極の間に形成された活物質層(例えば、後述の実施の形態における活物質層16、多孔質炭素16a、16b、正極活物質層40、負極活物質層64)とを有し、前記補助電極の高さがhであるとき、対向する前記補助電極の中心間隔、或いは、対向する前記補助電極の間隔が、h以上、2h以下である、複合体電極に係るものである。
【0027】
また、本発明は、上記の複合体電極を有する、電子デバイスに係るものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、板状導電体と、この板状導電体面に一端が接続され立設された複数の補助電極と、前記板状導電体と接し、前記補助電極の間に形成された活物質層とを有し、前記補助電極の高さがhであるとき、対向する前記補助電極の中心間隔、或いは、対向する前記補助電極の間隔が、h以上、2h以下であるので、前記活物質層の各点から流れる電流が、距離h未満の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失がより小さくされた状態で前記板状導電体に集電することができる複合体電極を提供することができる。また、補助電極を形成することなく板状導電体の面に厚さHの活物質層が形成された電極であり、活物質層の各点から流れる電流パスの内部抵抗が距離Hに相当するRH以下である電極と比較すると、前記補助電極の中心間隔又は前記補助電極の間隔が2Hであり、前記補助電極の高さがαH(但し、α≧1とする。)である複合体電極は、前記活物質層の厚さ即ち容積が増大するにも係らず、前記活物質層の各点から前記板状導電体へ流れる電流パスの内部抵抗はRH以下であるので、内部抵抗を増大させることなく、前記活物質層の各点からの電流を前記板状導電体へ集電することができ、高性能な複合体電極を提供することができる。
【0029】
また、本発明によれば、上記の複合体電極を有するので、高性能な電子デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態における、柱状導電体又は壁状導電体を有する複合体電極の構造を説明する断面図である。
【図2】同上、柱状導電体又は壁状導電体を有する複合体電極の構造及び複合体電極の製造方法を説明する図である。
【図3】同上、複合体電極における電流の方向を説明する断面図である。
【図4】同上、複合体電極における柱状導電体又は壁状導電体の配置を説明する図である。
【図5】同上、複合体電極における柱状導電体の配置の他の例を説明する図である。
【図6】同上、複合体電極における壁状導電体の配置を説明する図である。
【図7】同上、複合体電極における壁状導電体の配置の他の例を説明する図である。
【図8】同上、電気二重層キャパシタの概略構造を説明する断面図である。
【図9】同上、リチウムイオン電池の概略構造を説明する断面図である。
【図10】同上、複合体電極における柱状導電体、壁状導電体の配置の他の例を説明する平面図である。
【図11】同上、柱状導電体又は壁状導電体を有する複合体電極の構造の他の例を説明する断面図である。
【図12】従来技術における、電気二重層キャパシタの概略構造を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の複合体電極では、前記補助電極が柱状導電体である構成とするのがよい。このような構成によれば、前記板状導電体上で前記補助電極の間に形成される前記活物質層の占める容積比が大きな複合体電極を提供することができる。
【0032】
また、前記板状導電体と前記柱状導電体が接続される点が正方格子状に配置された構成とするのがよい。このような構成によれば、前記分極性電極を構成する前記活物質層の各点から流れる電流が、距離h未満の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができる複合体電極を提供することができる。
【0033】
また、対向する前記柱状導電体の中心間隔が、(√2)h以上である
構成とするのがよい。このような構成によれば、前記分極性電極を構成する前記活物質層の各点から流れる電流が、距離h未満の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができ、例えば、前記柱状導電体の中心間隔を(√2)hとすれば、前記分極性電極を構成する前記活物質層の各点から流れる電流が、距離h/(√2)以下の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができる複合体電極を提供することができる。
【0034】
また、前記板状導電体と前記柱状導電体が接続される点が六方格子状に配置された構成とするのがよい。このような構成によれば、前記分極性電極を構成する前記活物質層の各点から流れる電流が、距離h未満の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができる複合体電極を提供することができる。
【0035】
また、対向する前記柱状導電体の中心間隔が、(√3)h以上である構成とするのがよい。このような構成によれば、前記分極性電極を構成する前記活物質層の各点から流れる電流が、距離h未満の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができ、例えば、前記柱状導電体の中心間隔を(√3)hとすれば、前記分極性電極を構成する前記活物質層の各点から流れる電流が、距離(√3)h/2以下の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができる複合体電極を提供することができる。
【0036】
また、前記柱状導電体が導電性のカーボンナノチューブからなる構成とするのがよい。このような構成によれば、前記柱状導電体の径は前記補助電極の中心間隔に対して無視できる大きさとすることができるので、前記板状導電体上で前記補助電極の間に形成される前記活物質層の占める容積比を確実に大きくできる複合体電極を提供することができる。
【0037】
また、前記柱状導電体が金属ナノワイヤ又は金属ナノチューブからなる
構成とするのがよい。このような構成によれば、前記柱状導電体の径は前記補助電極の中心間隔に対して無視できる大きさとすることができるので、前記板状導電体上で前記補助電極の間に形成される前記活物質層の占める容積比を確実に大きくできる複合体電極を提供することができる。
【0038】
また、前記補助電極が、平行に配置され対をなす壁状導電体である構成とするのがよい。
【0039】
また、前記壁状導電体は、平行に配置され対をなす前記壁状導電体によって形成された領域を有するハニカム状構造が形成され、前記領域に前記活物質層が形成された構成とするのがよい。
【0040】
また、前記領域が正方形の形状を有する構成とするのがよい。
【0041】
また、前記領域が正六角形の形状を有する構成とするのがよい。
【0042】
また、前記壁状導電体が導電性のカーボンナノウォールからなる構成とするのがよい。
【0043】
また、前記壁状導電体が金属である構成とするのがよい。
【0044】
補助電極が平行に配置され対をなす壁状導電体である以上のような各構成によれば、前記補助電極の単純な配置によって、前記活物質層の各点から流れる電流が、短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失がより小さくされた状態で前記板状導電体に集電することができる複合体電極を提供することができる。
【0045】
また、本発明の電子デバイスでは、前記複合体電極がセパレータを介して対向して配置され、前記複合体電極の少なくとも一方が分極性電極として形成され、電気二重層キャパシタとして構成されるのがよい。このような構成によれば、前記分極性電極を構成する前記活物質層の各点から流れる電流が、距離h未満の短い電流経路(電流パス)で前記活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができ、充放電容量の低下を防止することができ、充放電特性に優れた電気二重層キャパシタを提供することができる。
【0046】
また、正極集電体と正極活物質層からなる正極と、負極集電体と負極活物質層からなる負極と、前記正極と前記負極の間に配置された電解質層とを有し、前記正極と前記負極の少なくとも一方が前記複合体電極によって形成され、二次電池として構成されるのがよい。このような構成によれば、前記正極活物質層、前記負極活物質層の各点から流れる電流が、距離h未満の短い電流経路(電流パス)で前記正極活物質層、前記負極活物質層を流れ、内部抵抗による損失を抑制することができ、充放電容量の低下を防止することができ、充放電特性に優れた二次電池を提供することができる。
【0047】
また、前記二次電池がリチウムイオン二次電池である構成とするのがよい。このような構成によれば、高性能なリチウムイオン電池を提供することができる。
【0048】
(発明の概略)
本発明の複合体電極は、板状導電体と、板状導電体面に一端が接続され立設された複数の導電性の補助電極と、板状導電体と接し補助電極の間に形成された活物質層とを有しており、補助電極の高さがhであるとき、対向する補助電極の中心間隔が、h以上、2h以下である。補助電極は直立して形成されていてもよいし、直立した状態から傾斜した状態で立設されていてもよい。
【0049】
補助電極は柱状導電体又は壁状導電体である。柱状導電体は、カーボンナノチューブ、金属柱等からなり、対向する中心間隔が(√2)h以上で正方格子状に配置され、或いは、対向する中心間隔が(√3)h以上で六方格子状に配置される。
【0050】
壁状導電体は、カーボンナノウォール又は金属からなり、平行に配置され対をなし正方形又は六方形の形状の空部をもつハニカム状構造を形成している。
【0051】
活物質層の各点からの電流は最短距離の電流パスで板状導電体へ、或いは、補助電極を介して板状導電体へ到達するので、内部抵抗による損失を抑制することができる。対向する補助電極の中心間隔が、例えば、2h、(√3)h、(√2)h、hである場合、活物質層の各点からの電流は、これらの中心間隔に対応してそれぞれ、h、(√3)h/2、h/(√2)、h/2以下の最短距離の電流パスで板状導電体へ、或いは、補助電極を介して板状導電体へ到達し、内部抵抗による損失は小さなものとなる。
【0052】
補助電極を形成することなく板状導電体の面に厚さHの活物質層が形成された電極であり、活物質層の各点から流れる電流パスの内部抵抗が距離Hに相当するRH以下である電極と比較すると、補助電極の中心間隔又は補助電極の間隔が2Hであり、補助電極の高さがαH(但し、α≧1とする。)であり、補助電極を形成しない電極における活物質層の厚さHのα倍の厚さαHを有する複合体電極では、活物質層の厚さ従って容積を増大させても、活物質層の各点から板状導電体へ流れる電流パスの内部抵抗はRH以下であるので、内部抵抗を増大させることなく、活物質層の各点からの電流を集電することができる、高性能な複合体電極を実現することができる。
【0053】
複合体電極は、電気二重層キャパシタに好適に適用され、対をなす少なくとも一方が分極性電極として構成された複合体電極がセパレータを介して対向され配置される。
【0054】
また、複合体電極は、リチウムイオン電池に好適に適用され、正極集電体と正極活物質層からなる正極、負極集電体と負極活物質層からなる負極の少なくとも一方が複合体電極によって構成される。
【0055】
電気二重層キャパシタにあっては、分極性電極を構成する活物質層における電流経路(電流パス)の内部抵抗による損失を、リチウムイオン電池にあっては、活物質層(正極活物質層、負極活物質層)における電流経路(電流パス)の内部抵抗による損失をそれぞれ、抑制することができ充放電容量の低下を防止することができ、充放電特性に優れた電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池を実現することができる。
【0056】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0057】
[実施の形態]
<柱状導電体又は壁状導電体を有する複合体電極>
図1は、本発明の実施の形態における、補助電極として柱状導電体又は壁状導電体を有する複合体電極の構造を説明する断面図であり、図1(A)は補助電極の間隔が補助電極の高さの2倍に等しい場合の活物質層における電流パス(電流経路)を説明する図、図1(B)、図1(C)は補助電極の間隔が補助電極の高さに等しい場合の活物質層における電流パスを説明する図、図1(D)は補助電極が形成されていない場合の活物質層における電流パスを説明する図である。
【0058】
図1に示す例では、導電性の補助電極(柱状導電体又は壁状導電体15)が板状導電体12の面に直立して形成され、補助電極の間に活物質像16が設けられ、活物質層16における電流の流れる方向19を示している。
【0059】
なお、図1、及び、後述する図2(B)、図2(C)、図3、図4、図5においては、電気二重層キャパシタにおける複合体電極を示し、充電(蓄電)時に正電位が印加された複合体電極を示している。
【0060】
図1に示すように、高さHを有する補助電極の端部が板状導電体12の面に直立して接続されている。Δは、柱状導電体の場合では直径を示し、壁状導電体の場合ではこれを構成する壁厚(板厚)を示している。柱状導電体又は壁状導電体15は、活物質層16の電気抵抗より小さい電気抵抗を有する材料によって形成される。
【0061】
図1に示す例では、補助電極が柱状導電体である時その中心軸が、補助電極が壁状導電体である時その壁面が、板状導電体12の面に対して直立した状態で形成されている例を示すが、中心軸、壁面が直立した状態から傾斜した状態で形成されていてもよい。
【0062】
また、柱状導電体が形成される立設方向で直線状をなしていても、立設方向で屈曲していてもよいし、壁状導電体の壁のなす面は、壁状導電体が形成される立設方向及びこれに交差する方向において、平面状をなしていても、凹凸をもち蛇行する面をなしていてもよい。
【0063】
図1(A)は、補助電極が、高さH、間隔d=2H、補助電極の中心間距離D=2H+Δであるように形成された場合における、活物質層16の各点から補助電極又は板状導電体12に到達する電流パス(電流経路)を示している。
【0064】
図1(A)に示すように、活物質層16の各点からは最短距離で板状導電体12又は補助電極に到達するように流れ、電流の流れる方向19は板状導電体12又は補助電極に垂直な方向である。
【0065】
補助電極から垂直距離Hにあり、板状導電体12から垂直距離Hにある直線上の点における活物質層16からの電流は、最短距離Hの電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。補助電極の間の活物質層16において、上記直線上の点を除いた活物質層16の各点からの電流は、距離H未満の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、電流パスが長さ(距離H)に相当する内部抵抗がRHであるとすると、上記直線上の点からの電流パスではRHに等しく、上記直線上の点を除いた点からの電流パスではRH未満となる。
【0066】
図1(B)は、補助電極が、高さH、間隔d=H、補助電極の中心間距離D=H+Δであるように形成された場合における、活物質層16の各点から補助電極又は板状導電体12に到達する電流パス(電流経路)を示している。
【0067】
図1(B)示すように、活物質層16の各点からの電流は最短距離で板状導電体12又は補助電極に到達するように流れるので、補助電極の間の活物質層16の各点からの電流は、距離(1/2)H以下の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は(RH/2)未満となる。
【0068】
図1(C)は、補助電極が、高さ2H、間隔d=2H、補助電極の中心間距離D=2H+Δであるように形成された場合における、活物質層16の各点から補助電極又は板状導電体12に到達する電流パス(電流経路)を示している。
【0069】
図1(C)示すように、活物質層16の各点からの電流は最短距離で板状導電体12又は補助電極に到達するように流れるので、補助電極から垂直距離Hにあり、板状導電体12から垂直距離H以上、2H以下にある直線群上の点における活物質層16からの電流は、最短距離Hの電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。
【0070】
補助電極の間の活物質層16において、上記直線群上の点を除いた活物質層16の各点からの電流は、距離H未満の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、上記直線群上の点からの電流パスではRHに等しく、上記直線群上の点を除いた点からの電流パスではRH未満となる。
【0071】
図1(D)は補助電極が形成されていない場合における、活物質層(厚さはHである。)の各点から板状導電体12に到達する電流パス(電流経路)を示している。活物質層16の各点から板状導電体12までの最短距離は、各点から板状導電体12に下ろした垂線の長さであるので、電流パスはH以下の長さであり、電流パスの内部抵抗はRH以下となる。
【0072】
図1(A)、図1(B)、図1(C)に示す何れの複合体電極でも、活物質層16における各点からの電流は距離H以下の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達するので、電流パスの内部抵抗は、RH以下となる。
【0073】
図1(B)と図1(C)は、補助電極が、補助電極の間隔が補助電極の高さに等しくなるように形成されている点で同じ構造であるが、複合体電極の性能は大きく異なっている。図1(C)に示す補助電極の構成では、活物質層16の厚さは図1(D)に示す電極における活物質層16の厚さの2倍であり、電流パスの内部抵抗はRH以下であり、内部抵抗を増大させることなく、活物質層16の各点からの電流を集電することができという特徴を有している。
【0074】
図1(B)に示す複合体電極の補助電極の高さはHであるが、補助電極が形成されず活物質層が形成された電極における活物質層の厚さをHとすると、補助電極の高さがα≧1としてαHである時も、補助電極の間隔dが、(H/2)≦d≦Hを満たしていれば、上記と同様の特徴を有することは明らかである。
【0075】
また、図1(C)に示す複合体電極の補助電極の高さは2Hであるが、補助電極が形成されず活物質層が形成された電極における活物質層の厚さをHとすると、補助電極の高さがα≧1としてαHである時も、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たしていれば、上記と同様の特徴を有することは明らかである。
【0076】
図1(D)に示すような、補助電極を形成することなく板状導電体の面に厚さHの活物質層16が形成された電極であり、活物質層の各点から流れる電流パスの内部抵抗が距離Hに相当するRH以下である電極と比較すると、補助電極の高さがαH(但し、α≧1とする。)である場合にも、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極では、活物質層16の厚さ即ち容積を増大させても、活物質層16の各点から板状導電体12へ到達する電流パスの内部抵抗はRH以下であり、内部抵抗を増大させることなく、活物質層16の各点からの電流を板状導電体12に集電することができる、高性能な複合体電極を実現することができる。
【0077】
以上の説明したように、補助電極の高さがαH(α≧1)であり、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極はその内部抵抗を、活物質層16の厚さがHであり補助電極を有しない電極における内部抵抗RH以下とすることができる。
【0078】
図1において、D>dであるので、H≦dであればH<Dであり、D≦2Hであればd<2Hであり、従って、H<D≦2Hであり、また、補助電極によって活物質層16が形成されない領域をできるだけ小さくするために、ΔをD或いはdに対して十分に小さくすることが望ましく、このような場合には、ΔがD或いはdに対して十分に小さく無視できるので、H≦d≦2Hの条件と、H<D≦2Hの条件は等価なものに近く、H≦d≦2Hの条件と、H≦d≦2Hの条件は殆ど等価と見做してよい。
【0079】
図2は、本発明の実施の形態における、補助電極として柱状導電体又は壁状導電体を有する複合体電極の構造及び複合体電極の製造方法を説明する図であり、図2(A)は柱状導電体又は壁状導電体の形成を説明する断面図、図2(B)は活物質層の形成、及び、活物質層における電流の流れを説明する断面図、図2(C)は活物質層における電流の流れる方向を説明する断面図、図2(D)は活物質層を近似する抵抗網を説明する斜視図である。
【0080】
図2に示す例では、導電性の補助電極(柱状導電体又は壁状導電体15)が板状導電体12の面に直立して形成された場合を示す。
【0081】
(補助電極)
図2(A)は、xy面に平行に配置された板状導電体12の面に、柱状導電体又は壁状導電体15がz方向に直立して形成された状態を示すxz断面図である。
【0082】
図2(A)に示すように、補助電極として、高さhを有する柱状導電体又は壁状導電体15が、その端部が板状導電体12の面に接続され、板状導電体12の面に直立している。rは、柱状導電体の場合では直径を示し、壁状導電体の場合ではこれを構成する壁厚(板厚)を示すものとする。x方向において、補助電極の間隔はd、補助電極の中心間距離Dである。柱状導電体又は壁状導電体15は、活物質層16の電気抵抗より小さい電気抵抗を有する材料によって形成される。
【0083】
補助電極の高さh、補助電極の中心間距離D、補助電極の径又は壁厚(板厚)rが、r<D≦2hの関係を満たすように、補助電極が形成されていれば、活物質層16を補助電極の間に形成することができる。差(D−r)が大きいほど、板状導電体12上で補助電極の間に形成される活物質層16の占める容積比((活物質層16の占める容積)/(補助電極の占める容積と、補助電極の間の容積であり活物質層16の占める容積との和)×100%として定義される。)を大きくすることができる。
【0084】
上記容積比が大きな複合体電極を用いた装置、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池では、充放電容量を大きなものとすることができるので、補助電極の径又は壁厚(板厚)rはできるだけ小さく、上記容積比が大きいことが望ましい。上記容積比は、可能な限り大きいことが望ましく、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
【0085】
柱状導電体又は壁状導電体15の間隔d、或いは、柱状導電体又は壁状導電体15の中心間距離Dが、柱状導電体又は壁状導電体15の高さhに対して、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成される。柱状導電体にあってはその径を、壁状導電体状導電体にあってはその壁厚をできるだけ小さくする。
【0086】
このように柱状導電体又は壁状導電体15を板状導電体12の面に形成し電気的に接続する構成によって、柱状導電体又は壁状導電体15の間に形成される活物質層16の各点から流れる電流は、距離h以下の短い電流パスで流れるので、内部抵抗による損失が抑制された状態で板状導電体に集電されることになる。
【0087】
柱状導電体又は壁状導電体15の間隔d、或いは、柱状導電体又は壁状導電体15の中心間距離Dを、柱状導電体又は壁状導電体15は高さhに対して、過剰に小さくすると、柱状導電体又は壁状導電体15の間に形成される活物質層16の各点から流れる電流を、短い電流パスで流して、内部抵抗による損失がより小さくされた状態で板状導電体に集電することができるが、複合体電極に使用される活物質の量が少なくなってしまうので、複合体電極を使用した装置の性能、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池の充放電容量が低下してしまうので好ましくない。
【0088】
上記のように、柱状導電体又は壁状導電体15をh≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成すること、柱状導電体にあってはその径を、壁状導電体状導電体にあってはその壁厚をできるだけ小さくすることによって、内部抵抗による損失を抑制し、且つ、複合体電極を使用した装置の性能低下を抑制することができる。
【0089】
図2(A)に示すように、D=(d+r)であるので、D≦2hが成立していれば、(d+r)≦2h、r>0であるから、d<2h、即ち、(d/2)<hが成立している。
【0090】
図2(A)に示す例では、柱状導電体の中心軸が、板状導電体12の面に対して直立した状態で形成されている例を示すが、中心軸が直立した状態から傾斜した状態で形成されていてもよい。また、柱状導電体が形成される立設方向で直線状をなしていても、立設方向で屈曲していてもよい。
【0091】
また、図2(A)に示す例では、壁状導電体の壁面が、板状導電体12の面に対して直立した状態で形成されている例を示すが、壁状導電体の壁面が直立した状態から傾斜した状態で形成されていてもよい。また、壁状導電体の壁のなす面は、壁状導電体が形成される立設方向及びこれに交差する方向において、平面状をなしていても、凹凸をもち蛇行する面をなしていてもよい。
【0092】
図1、図2において、導電性の補助電極として使用される柱状導電体として、カーボンナノチューブ、カーボンナノウォール、金属ナノチューブ、金属ナノロッド、金属ナノワイヤ等からなる導電性構造体がある。また、壁状導電体として、導電性基板の表面に立設するように迷路状に形成され、壁状の構造を有する二次元的な広がりを有するカーボンナノ構造体であるカーボンナノウォール、金属からなるハニカム状構造体等がある。
【0093】
(活物質層の形成)
図2(B)に示すように、図2(A)に示されるような柱状導電体又は壁状導電体15と板状導電体12によって形成される凹部空間に、活物質層16が、柱状導電体又は壁状導電体15と板状導電体12の各面に接触して形成される。活物質層16は、例えば、次のようにして、上記の凹部空間に形成される。
(1)活物質を有機溶剤中に分散させたペーストを凹部空間に塗布、挿入し、有機溶剤を揮散させる。
(2)活物質と結合剤(バインダ)を有機溶剤中に分散させたペーストを凹部空間に塗布、挿入し、有機溶剤を揮散させる。
(3)活物質と結合剤(バインダ)と導電助剤を有機溶剤中に分散させたペーストを凹部空間に塗布、挿入し、有機溶剤を揮散させる。
(4)活物質を有機溶剤と共にポリマーゲル中に分散させ凹部空間に塗布、挿入する。
(5)有機溶剤を使用しないでポリマーマトリックスに活物質を分散、保持させ凹部空間に塗布、挿入する。
(6)凹部空間を埋めるように活物質をスパッタリング法によって形成する。
(7)活物質として多孔質炭素を使用する場合には、例えば、凹部空間に、フェノール化合物、アルデヒド化合物、触媒化合物の混合溶液を充填し、加熱させて重合物を形成させ、次に、これを高温加熱することによって炭化させることによって、多孔質炭素を形成することができる。
【0094】
(活物質層における電流の流れ)
次に、図2(B)、図2(C)によって、活物質層から流れる電流の流れを説明する。
【0095】
図2(B)に示すように、柱状導電体又は壁状導電体15は補助電極として板状導電体12の面に接触し直立して形成されている。補助電極は、活物質層16に比べて十分、電気抵抗が小さい、例えば、カーボンナノチューブ等の材料等で形成されている。
【0096】
板状導電体12の面に形成する補助電極の密度をむやみに大きくすると、静電容量の発現に関与する活物質層16が少なくなってしまい、容量の低下をきたすことになる。このため、先述したように、柱状導電体にあってはその径を、壁状導電体状導電体にあってはその壁厚をできるだけ小さくして、補助電極としての柱状導電体又は壁状導電体15を、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成することによって、内部抵抗による損失を抑制し、且つ、容量の低下を抑制する。
【0097】
図2(B)に示すように、隣接する補助電極から等しい距離にあり、板状導電体12の面から距離gにある点Cに注目し、補助電極が活物質層16に対して十分、電気抵抗が小さいとすると、補助電極の抵抗は無視できる。内部抵抗の原因となる活物質層16内を電流が流れる時、点線で示すように板状集電体12に対して垂直に電流が流れ到達する第1の経路(第1の電流パス)、及び、点線で示すように補助電極に対して垂直に電流が流れ到達する第2の経路(第2の電流パス)が考えられる。
【0098】
本発明では、第1の経路、第2の経路のうちのより短い経路(電流パス)を電流が流れるように、先述したように、柱状導電体にあってはその径を、壁状導電体状導電体にあってはその壁厚をできるだけ小さくして、補助電極(柱状導電体又は壁状導電体15)を、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成し、複合体電極を構成するのである。
【0099】
このような複合体電極の構成によれば、活物質層16における電流パスをより短いものとすることができ内部抵抗がより小さくなるので、(1)損失を抑制できる、(2)容量の低下を抑制することができる、(3)電気二重層キャパシタの出力ロスを低減できる、(4)活物質層16の厚さを厚くすることができ、(5)内部抵抗による発熱を低減することができる等の効果を奏することができる。
【0100】
図2(C)は、板状導電体12に対して直立する柱状導電体又は壁状導電体15が、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成される場合における、活物質層における電流の流れる方向19を説明する図である。
【0101】
図2(D)は、活物質層16を、微小距離を結ぶ2点間を1つの抵抗で置換えた3次元抵抗網によって近似することを説明する図である。
【0102】
柱状導電体又は壁状導電体15が、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成されるので、図2(C)において、辺長が(d/2)の2個の正方形の領域の活物質層16から流れる電流の流れる方向19は、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に向かう垂直方向である。また、長辺がd、短辺が(h−(d/2))の矩形の領域にある活物質層16から流れる電流の流れる方向19は、柱状導電体又は壁状導電体15に向かう垂直方向である。
【0103】
補助電極である柱状導電体又は壁状導電体15がなければ、板状導電体12から距離がh以下の領域にある活物質層16から流れる電流の流れる方向19は、板状導電体12に向かう垂直方向である。図2(C)に示す例では、柱状導電体又は壁状導電体15を設け、D≦2hとすることによって、(d/2)<hであるので、活物質層16から流れる電流は最短の電流パスを流れ、低抵抗となり、柱状導電体又は壁状導電体15、板状導電体12に到達することになり、内部抵抗による損失を抑制することができる。
【0104】
このように、図2(C)に示す例では、板状導電体12から垂直距離hにある点から流れる電流は、距離hよりも短い距離(d/2)の電流パスを流れ板状導電体12に到達するので、高抵抗となることがない。
【0105】
図2(C)において、対向する補助電極の間の距離がd=2hである場合には、対向する補助電極から垂直距離hにあり、板状導電体12から垂直距離hにある直線上の点における活物質層16からの電流は、最短距離hの電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。
【0106】
対向する補助電極の間の活物質層16において、上記直線上の点を除いた活物質層16の各点からの電流は、距離h未満の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、電流パスが長さ(距離h)に相当する内部抵抗がRhであるとすると、上記直線上の点からの電流パスではRhに等しく、上記直線上の点を除いた点からの電流パスではRh未満となる。
【0107】
また、図2(C)において、対向する補助電極の間の距離がd=hである場合には、対向する補助電極の間の活物質層16における全ての点からの電流は、距離(h/2)以下の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、(Rh/2)以下となる。
【0108】
図2(C)において、補助電極の高さhを改めて高さ2hとおいて、D=2hとおくと、この場合、高さ2hを有する補助電極が、この高さ等しい中心間隔で配置されていることになる。また、図2(C)において、補助電極の高さhを改めて高さ2hとおいて、d=2hとおくと、この場合、高さ2hを有する補助電極が、この高さ等しい間隔で配置されていることになる。
【0109】
D=2h、d=2hとおいた何れの場合にも、補助電極の間において高さ2hの活物質層16における各点からの電流は距離h以下の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、Rh以下となる。
【0110】
補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さhの活物質層が形成された電極では、活物質層の各点から流れる電流パスの長さは距離h以下であり、内部抵抗はこの長さhに相当する抵抗以下となる。距離hの電流パスの内部抵抗をRhとすると、上記のように、D=2h、d=2hとおいた何れの場合にも、内部抵抗はRh以下となる。
【0111】
このことは、補助電極を形成しない電極における活物質層の厚さ(H=hとする。)の2倍の高さ(2Hとなる。)を有する補助電極を設けこれらの間に活物質層16を形成する、即ち、補助電極の中心間隔、或いは、補助電極の間隔を補助電極の高さと等しくすることによって、補助電極を形成しない電極における活物質層の厚さの2倍の厚さを有する複合体電極を構成することができ、活物質層16の容積を増大させても、活物質層16の各点から板状導電体12へ流れる電流パスの内部抵抗はRh以下であり、内部抵抗を増大させることなく、活物質層16の各点からの電流を集電することができる、高性能な複合体電極を実現することができる。
【0112】
また、補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さH(=h)の活物質層が形成された電極と比較すると、補助電極の中心間隔又は補助電極の間隔が2Hであり、補助電極の高さがαH(但し、α≧2とする。)である複合体電極では、活物質層16の容積を増大させても、活物質層16の各点から板状導電体12へ流れる電流パスの内部抵抗はRh以下であり、内部抵抗を増大させることなく、活物質層16の各点からの電流を集電することができる、高性能な複合体電極を実現することができる。
【0113】
次に、板状導電体12の面に対して直立しないで傾斜して、補助電極として柱状導電体又は壁状導電体15が形成された場合を説明する。
【0114】
<複合体電極における電流の方向>
図3は、本発明の実施の形態における、複合体電極における電流の方向を説明する断面図である。
【0115】
図3(A)は、補助電極(柱状導電体又は壁状導電体15)が板状導電体12の面に直立して形成されている図2(C)において、柱状導電体又は壁状導電体15の中心間距離Dが、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たさないように形成される場合における、活物質層における電流の流れる方向19を説明する図である。
【0116】
図3(A)において、辺長がh(=L)の2個の正方形の領域の活物質層16から電流は、その流れる方向19が、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に向かう垂直方向であり、距離hよりも短い電流パスで、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に到達する。
【0117】
また、長辺がh(=L)、短辺が(d−2h)の矩形の領域にある活物質層16から電流の流れる方向19は、板状導電体12に向かう垂直方向であり、この矩形の辺のうち板状導電体12に対向する辺(太線で示す。)上の各点(端点を含む。)は、板状導電体12から垂直距離h(=L)にある。長辺がh(=L)、短辺が(d−2h)の矩形の領域にある活物質層16から電流は、距離hの電流パスで、板状導電体12に到達する。
【0118】
上記各点から流れる電流は距離hの電流パスを流れ、高抵抗となり、内部抵抗による損失を抑制することができない。このように、板状導電体12に対向する辺(端点を含む)上記各点は抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)(太線上の点)11となる。
【0119】
図3(A)に示す例では、対向する柱状導電体又は壁状導電体15の間の活物質層16における上記各点を除く全ての点からの電流は、距離h以下の電流パスで柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12へ到達する。
【0120】
図3(B)に示す例は、板状導電体12の面(xy面)と角度θで傾斜して、長さLを有する円柱導電体12が、間隔dをもって立設され、或いは、柱状導電体又は壁状導電体15の中心間距離Dをもって立設され、板状導電体12の面に高さhを有する円柱導電体12が形成されている状態を示している。
【0121】
図3(C)は、図3(B)に示すように、板状導電体12の面に対して柱状導電体又は壁状導電体15が直立しないで角度θで傾斜して立設され、柱状導電体又は壁状導電体15が、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たさないように形成される場合における、活物質層における電流の流れる方向19を説明する図である。なお、図3(C)に示す例において、d=2hとすると、辺長がL、(d−2h)の平行四辺形の領域が存在しなくなる。
【0122】
図3(C)において、辺長がL、hの右側の平行四辺形の領域の活物質層16から流れる電流は、その流れる方向19が、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に向かう垂直方向であり、距離hよりも短い電流パスで、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に到達する。
【0123】
辺長がL、hの左側の平行四辺形の領域の活物質層16から流れる電流は、その流れる方向19が、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に向かう垂直方向、及び、柱状導電体又は壁状導電体15に向かう板状導電体12の面に平行な方向であり、距離hよりも短い電流パスで、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に到達する。
【0124】
また、辺長がL、(d−2h)の平行四辺形の領域にある活物質層16から流れる電流は、その流れる方向19が、板状導電体12に向かう垂直方向であり、この平行四辺形の辺のうち板状導電体12に対向する辺(太線で示す。)上の各点(端点を含む。)は、板状導電体12から垂直距離hにある。辺長がL、(d−2h)の平行四辺形の辺11の領域にある活物質層16から流れる電流は、距離hの電流パスで、板状導電体12に到達する。
【0125】
上記各点から流れる電流は距離hの電流パスを流れ、高抵抗となり、内部抵抗による損失を抑制することができない。このように、板状導電体12に対向する辺(端点を含む)上記各点は抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)(太線上の点)11となる。
【0126】
図3(C)に示す例では、対向する柱状導電体又は壁状導電体15の間の活物質層16における上記各点を除く全ての点からの電流は、距離h以下の電流パスで柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12へ到達する。
【0127】
図3(D)は、板状導電体12の面に対して柱状導電体又は壁状導電体15が直立しないで角度θで傾斜して形成され、柱状導電体又は壁状導電体15が、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成される場合における、活物質層における電流の流れる方向19を説明する図である。
【0128】
図3(D)において、辺長がL、hの右側の平行四辺形の領域の活物質層16から流れる電流は、その流れる方向19が、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に向かう垂直方向であり、距離hよりも短い電流パスで、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に到達する。
【0129】
辺長がL、hの左側の平行四辺形の領域の活物質層16から流れる電流は、その流れる方向19が、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に向かう垂直方向、及び、柱状導電体又は壁状導電体15に向かう板状導電体12の面に平行な方向であり、距離hよりも短い電流パスで、柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12に到達する。
【0130】
図3(D)に示す例では、対向する柱状導電体又は壁状導電体15の間の活物質層16における全ての点からの電流は、距離hよりも短い電流パスで柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12へ到達する。
【0131】
図3(D)に示す例では、図3(A)、図3(B)のように、抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)11を生じることがない。板状導電体12から垂直距離hにある点から流れる電流は、距離hよりも短い電流パスを流れ板状導電体12に到達するので、高抵抗となることがなく、内部抵抗による損失を抑制することができきる。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層16の距離hに相当する抵抗未満となる。
【0132】
図3(D)に示す例において、d=hとすると、対向する柱状導電体又は壁状導電体15の間の活物質層16における全ての点からの電流は、距離(h/2)よりも短い電流パスで柱状導電体又は壁状導電体15、或いは、板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層16の距離(h/2)に相当する抵抗未満となる。
【0133】
なお、図3(D)に示す例において、d=2hとすると、図3(D)は、図3(C)に示す例において、辺長がL、(d−2h)の平行四辺形の領域が存在しない図に一致する。
【0134】
図3(D)において、補助電極の高さhを改めて高さ2hとおいて、D=2hとおくと、この場合、高さ2hを有する補助電極が、この高さと等しい中心間隔で配置されていることになる。また、図2(D)において、補助電極の高さhを改めて高さ2hとおいて、d=2hとおくと、この場合、高さ2hを有する補助電極が、この高さ等しい間隔で配置されていることになる。
【0135】
D=2h、d=2hとおいた何れの場合にも、補助電極の間において高さ2hの活物質層16における各点からの電流は距離h以下の電流パスで補助電極又は板状導電体12へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層16の距離hに相当する抵抗未満となる。
【0136】
補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さhの活物質層が形成された電極では、活物質層の各点から流れる電流パスの長さは距離h以下であり、内部抵抗はこの長さに相当する抵抗以下となる。距離hの電流パスの内部抵抗をRhとすると、上記のように、D=2h、d=2hとおいた何れの場合にも、内部抵抗はRh以下となる。
【0137】
このことは、補助電極を形成しない電極における活物質層の厚さ(H=hとする。)の2倍の高さ(2Hとなる。)を有する補助電極を設けこれらの間に活物質層16を形成する、即ち、補助電極の中心間隔、或いは、補助電極の間隔を補助電極の高さと等しくすることによって、補助電極を形成しない電極における活物質層の厚さの2倍の厚さを有する複合体電極を構成することができ、活物質層16の容積を増大させても、活物質層16の各点から板状導電体12へ流れる電流パスの内部抵抗はRh以下であり、内部抵抗を増大させることなく、活物質層16の各点からの電流を集電することができる、高性能な複合体電極を実現することができる。
【0138】
また、補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さH(=h)の活物質層が形成された電極と比較すると、補助電極の中心間隔又は補助電極の間隔が2Hであり、補助電極の高さがαH(但し、α≧2とする。)である複合体電極では、活物質層16の容積を増大させても、活物質層16の各点から板状導電体12へ流れる電流パスの内部抵抗はRh以下であり、内部抵抗を増大させることなく、活物質層16の各点からの電流を集電することができる、高性能な複合体電極を実現することができる。
【0139】
<柱状導電体の正方格子配置を有する複合体電極>
図4は、本発明の実施の形態における、複合体電極における補助電極である柱状導電体の正方格子配置を説明する図であり、図4(A)は板状導電体の面に直立して形成された柱状導電体の正方格子配置を示す斜視図、図4(B)、図4(C)は正方格子の断面図である。
【0140】
図4(A)に示すように、断面が直径rの円、高さがhである柱状導電体120が、板状導電体110の面に直立し、間隔dを置いて板状導電体110の面にx方向、y方向に形成されている。柱状導電体120の中心軸の間の距離は、D=d+rである。柱状導電体120と板状導電体110との接続点、及び、この接続点と反対側の柱状導電体120の端点がそれぞれ、四回対称軸をなし正方格子をなすように、柱状導電体120は、その中心軸が直立した状態で板状導電体110の面に形成されている。
【0141】
柱状導電体120の中心軸が、板状導電体110の面に対して直立した状態であっても、直立した状態から傾斜した状態であってもよい。また、柱状導電体120はその軸方向で直線状をなしていても、軸方向で屈曲し蛇行していてもよい。
【0142】
図4(B)は、D=2hとする場合の正方格子のxy面に平行な断面図を示、図4(C)は、D=(√2)hとする場合の正方格子のxy面に平行な断面図を示すが、図を簡略化するために柱状導電体120を図示せず、柱状導電体の中心軸120aを示している。
【0143】
図4(B)に示す断面図は、板状導電体110の面から距離hにある断面内において、柱状導電体の中心軸120aから距離hにある点を、点線で示す4個の4分の1円によって示している。ハッチングを付した領域にある点は、柱状導電体の中心軸120aから距離hをこえる点であるが、板状導電体110の面から距離hにある。ハッチングを付した領域(上記の4個の3分の1円の周上の点を含む。)の活物質層(図示せず。)の点から流れる電流は、距離hの電流パスを流れ、板状導電体110又は柱状導電体120に到達する。
【0144】
この電流パスは、上記の点線で示す4個の4分の1円の内部の活物質層(図示せず。)の各点から流れる電流の板状導電体110又は柱状導電体120に到達する電流パスの長さよりも大きくなり、高抵抗となり、内部抵抗による損失が大きくなってしまう。このように、ハッチングを付した領域は、抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)140となる。
【0145】
この抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)140の面積は、柱状導電体120の径を無視しゼロと仮定する時、1つの正方格子の面積の21.5%となる。
【0146】
図4(C)に示す断面図は、板状導電体110の面から距離hにある断面内において、柱状導電体の中心軸120aから距離hにある点を、点線で示す4個の4分の1円によって示しているが、図4(B)に示す断面図におけるハッチングを付した領域は生じない。従って、図4(B)に示す例のように、内部抵抗による損失が大きくなってしまうことはない。
【0147】
図4(C)に示す例では、D=(√2)hであり、柱状導電体の中心軸120aの間の活物質層(図示せず。)の各点からの電流は、距離h/(√2)以下(0.707h以下)の電流パスで板状導電体110又は柱状導電体120に到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離0.707hに相当する抵抗以下となる。
【0148】
以上説明したように、柱状導電体120が、(√2)h≦D≦2h、或いは、(√2)h≦d≦2hを満たすように形成されていれば、上記のハッチングを付した領域(内部抵抗による損失が大きい領域)の活物質層(図示せず。)を除いて、活物質層(図示せず。)の各点からの電流は、距離h未満の電流パスで板状導電体110又は柱状導電体120に到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離hに相当する抵抗未満となる。
【0149】
柱状導電体120の径を無視しゼロと仮定する時、(√2)h≦D≦2hを満たせば、活物質層(図示せず。)のうち、板状導電体110の面から距離hにおける1つの正方格子の面積の21.5%のみの領域の各点から流れる電流の電流パスが距離hであり、その他の活物質層(図示せず。)の各点から流れる電流の電流パスが距離h未満である。即ち、殆どの電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離hに相当する抵抗未満となる。
【0150】
柱状導電体120の間の距離がd=hである場合には、柱状導電体120の間の活物質層(図示せず。)における全ての点からの電流は、距離(h/2)以下の電流パスで柱状導電体120又は板状導電体110へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離(h/2)に相当する抵抗以下となる。
【0151】
なお、図1(D)に示すような、補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さHの活物質層16が形成された電極(活物質層の各点から流れる電流パスの内部抵抗が距離Hに相当するRH以下である。)電極と比較すると、図4(B)において、補助電極(柱状導電体120)の高さをαH(但し、α≧1とする。)とした場合、H=hとして、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極では、柱状導電体の中心120aから半径hにある領域の活物質層(図示せず。)の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRH以下となるが、板状導電体110から高さhを越える抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)140の活物質層(図示せず。)の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRHを超えるものとなる。
【0152】
一方、図4(C)において、H=hとして、補助電極(柱状導電体120)の高さをαH(但し、α≧1とする。)とした場合、H=hとして、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極では、補助電極の間の活物質層(図示せず。)の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRH以下となる。
【0153】
<柱状導電体の六方格子配置を有する複合体電極>
図5は、本発明の実施の形態における、複合体電極における補助電極である柱状導電体の配置の他の例を説明する図であり、図5(A)は板状導電体の面に垂直に形成された柱状導電体の六方格子配置を示す斜視図、図5(B)、図5(C)は六方格子の断面図である。
【0154】
図5に示すように、複合体電極における柱状導電体の配置は、図4に示す例の他に、柱状導電体120と板状導電体110との接続点、及び、この接続点と反対側の柱状導電体120の端点がそれぞれ、六回対称軸をなし六方格子をなすように、柱状導電体120はその中心軸が直立した状態で板状導電体110の面に形成されていてもよい。柱状導電体120の中心軸の間の距離は、D=d+rである。
【0155】
柱状導電体120の中心軸が、板状導電体110の面に対して直立した状態であっても、直立した状態から傾斜した状態であってもよい。また、柱状導電体120はその軸方向で直線状をなしていても、軸方向で屈曲し蛇行していてもよい。
【0156】
図5(B)は、D=2hとする場合の六方格子のxy面に平行な断面図を示し、図5(C)は、D=(√3)hとする場合の六方格子のxy面に平行な断面図を示すが、図を簡略化するために柱状導電体120を図示せず、柱状導電体の中心軸120aを示している。
【0157】
図5(B)に示す断面図は、板状導電体110の面から距離hにある断面内において、柱状導電体の中心軸120aから距離hにある点を、点線で示す円、6個の3分の1円によって示している。ハッチングを付した領域にある点は、柱状導電体の中心軸120aから距離hをこえる点であるが、板状導電体110の面から距離hにある。ハッチングを付した領域(上記の点線で示す円、6個の3分の1円のそれぞれの周上の点を含む。)の活物質層(図示せず。)の点から流れる電流は、距離hの電流パスを流れ、板状導電体110又は柱状導電体120に到達する。
【0158】
この電流パスは、上記の点線で示す円、6個の3分の1円のそれぞれの内部の活物質層(図示せず。)の各点から流れる電流の板状導電体110又は柱状導電体120に到達する電流パスの長さよりも大きくなり、高抵抗となり、内部抵抗による損失が大きくなってしまう。このように、ハッチングを付した領域は、内部抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)140となる。
【0159】
この抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)140の面積は、柱状導電体120の径を無視しゼロと仮定する時、1つの六方格子の面積の9.3%となる。
【0160】
図5(C)に示す断面図は、板状導電体110の面から距離hにある断面内において、柱状導電体の中心軸120aから距離hにある点を、点線で示す円、点線で示す6個の3分の1円によって示しているが、図5(B)に示す断面図におけるハッチングを付した領域は生じない。従って、図5(B)に示す例のように、内部抵抗による損失が大きくなってしまうことはない。
【0161】
図5(C)に示す例では、D=(√3)hであり、柱状導電体の中心軸120aの間の活物質層(図示せず。)の各点からの電流は、距離(√3)h/2以下(0.866h以下)の電流パスで板状導電体110又は柱状導電体120に到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離0.866hに相当する抵抗以下となる。
【0162】
以上説明したように、柱状導電体120が、(√3)h≦D≦2h、或いは、(√3)h≦d≦2hを満たすように形成されていれば、上記のハッチングを付した領域(内部抵抗による損失が大きい領域)の活物質層(図示せず。)を除いて、活物質層(図示せず。)の各点からの電流は、距離h未満の電流パスで板状導電体110又は柱状導電体120に到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離hに相当する抵抗未満となる。
【0163】
柱状導電体120の径を無視しゼロと仮定する時、(√3)h≦D≦2hを満たせば、活物質層(図示せず。)のうち、板状導電体110の面から距離hにおける1つの正方格子の面積の9.3%のみの領域の各点から流れる電流の電流パスが距離hであり、その他の活物質層(図示せず。)の各点から流れる電流の電流パスが距離h未満である。即ち、殆どの電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離hに相当する抵抗未満となる。
【0164】
柱状導電体120の間の距離がd=hである場合には、柱状導電体120の間の活物質層(図示せず。)における全ての点からの電流は、距離(h/2)以下の電流パスで柱状導電体120又は板状導電体110へ到達する。即ち、電流パスの内部抵抗は、活物質層(図示せず。)の距離(h/2)に相当する抵抗以下となる。
【0165】
なお、図1(D)に示すような、補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さHの活物質層16が形成された電極(活物質層の各点から流れる電流パスの内部抵抗が距離Hに相当するRH以下である。)電極と比較すると、図5(B)において、補助電極(柱状導電体120)の高さをαH(但し、α≧1とする。)とした場合、H=hとして、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極では、柱状導電体の中心120aから半径hにある領域の活物質層(図示せず。)の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRH以下となるが、板状導電体110から高さhを越える抵抗の大きい領域(内部抵抗による損失が大きい領域)140の活物質層(図示せず。)の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRHを超えるものとなる。
【0166】
一方、図5(C)において、H=hとして、補助電極(柱状導電体120)の高さをαH(但し、α≧1とする。)とした場合、H=hとして、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極では、補助電極の間の活物質層(図示せず。)の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRH以下となる。
【0167】
(柱状導電体の形成)
図4、図5、及び、後述する図10に示す柱状導電体120は、例えば、次のようにしてカーボンナノチューブ、金属によって形成することができる。柱状導電体120の軸方向に垂直な断面形状は円形、楕円形、正方形、矩形等の任意の形状とすることができる。
【0168】
補助電極としてカーボンナノチューブからなる柱状導電体120は、次のようにして板状導電体110の面に形成することができる。所望の断面形状と所望の配列を有して柱状導電体120が、板状導電体110の面に形成されるように、カーボンナノチューブの成長の核となる触媒金属微粒子を、板状導電体110のパターニング化された領域の面に形成する必要がある。
【0169】
このため、上記所望の断面形状に対応する形状を有する開口部が上記所望の配列に対応して形成されたマスクを使用して、例えば、スパッタ蒸着等によって触媒となる金属を板状導電体110の表面に蒸着し、厚さが制御された触媒金属薄層をパターニング化された上記領域に形成する。触媒となる金属は、例えば、Fe、Pd、Co、Ni、W、Mo、Mn、又はこれらの合金等である。
【0170】
形成された触媒金属薄層を高温で加熱することによって、パターニング化された上記領域に触媒金属微粒子(この触媒金属微粒子の粒径は触媒金属薄層の厚さによって規定される。)が形成される。化学的気相成長(CVD)法等によって、触媒金属微粒子が形成された領域に、垂直配向成長した複数本のカーボンナノチューブの集合からなる構造体として、柱状導電体120を形成させることができる。
【0171】
補助電極として金属からなる柱状導電体120を形成する場合には、板状導電体110の表面に絶縁膜を形成し、この絶縁膜に所望の形状と配列を有する孔のパターンを形成し、スパッタ法、CVD法、メッキ法等により、Al合金、Cu等の金属を孔に埋め込んだ後、化学的機械研磨(CMP)等によって除去し、所望の高さhを有する金属柱(柱状導電体120)を上記のパターンで形成することができる。
【0172】
或いは、板状導電体110の表面に所望の高さを有するAl合金、Cu等によって金属膜(厚さhを有する。)を形成し、所望の断面形状と配列を有する金属柱(柱状導電体120)が形成されるようなマスクを使用して金属膜をエッチング処理することによって、所望の断面形状、配列、高さhを有する金属柱(柱状導電体120)を形成することができる。
【0173】
<壁状導電体を有する複合体電極>
図6は、本発明の実施の形態における、複合体電極における補助電極である壁状導電体の配置を説明する図であり、図6(A)は斜視図、図6(B)は平面図である。
【0174】
図6(A)に示すように、壁導電体130が板状導電体110の面に形成され、図6(B)に示すように、壁状導電体130の間に活性物質が充填され活性物質層16が形成されている。
【0175】
図6(A)に示すように、壁厚tと高さhを有する壁状導電体130が、間隔dを置いて板状導電体110の面にx方向に形成されている。壁状導電体130は、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成されている。壁状導電体130は、活物質層16の電気抵抗より小さい電気抵抗を有する材料によって形成される。壁状導電体130の壁厚中心面の間の距離はD=d+tである。壁状導電体130はその壁厚中心面が直立した状態で板状導電体110の面に形成されている。
【0176】
図6に示す例では、壁状導電体130は、その壁厚中心面が板状導電体110の面に対して直立した状態で立設されているが、直立した状態から傾斜した状態で立設されていてもよい。
【0177】
図6(A)に示す壁状導電体130の壁厚中心面はzy面に平行であるが、zy面に非平行であってもよい。また、板状導電体110の面に形成される壁状導電体130の壁厚中心面は、z方向及び/又はy方向で凹凸をなし、蛇行する面をなしていてもよい。
【0178】
なお、図1(D)に示すような、補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さHの活物質層16が形成された電極(活物質層の各点から流れる電流パスの内部抵抗が距離Hに相当するRH以下である。)電極と比較すると、図6(B)において、補助電極(壁状導電体130)の高さをαH(但し、α≧1とする。)とした場合、H=hとして、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極では、補助電極の間の活物質層16の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRH以下となる。
【0179】
<ハニカム状導電体を有する複合体電極>
図7は、本発明の実施の形態における、複合体電極における補助電極である壁状導電体の配置の他の例を説明する図であり、ハニカム状導電体を有する複合体電極の構造の例を説明する図であり、図7(A)は正方形をなす空部を有するハニカム状導電体の配置を示す平面図及び斜視図、図7(B)は正六角形をなす空部を有するハニカム状導電体の配置を示す平面図及び斜視図である。
【0180】
図7(A)に示す例は、板状導電体110の面に平行な断面が正方形をなす空部150を有するハニカム状導電体の配置を示す図であり、複合体電極は、高さh、壁厚tを有し内径dの貫通孔を有するハニカム状導電体135が板状導電体110の面に接続された構造を有しており、空部150に活物質が充填されている。なお、壁の中心間距離Dは(d+t)であり、(√2)h≦D≦2h、或いは、(√2)h≦d≦2hを満たすように設定されている。
【0181】
図7(B)に示す例は、板状導電体110の面に平行な断面が正六方形をなす空部150を有するハニカム状導電体の配置を示す図であり、複合体電極は、高さh、壁厚tを有し、間隔dで対向する壁と内部の辺長aの貫通孔を有するハニカム状導電体135が板状導電体110の面に接続された構造を有しており、空部150に活物質が充填されている。なお、壁の中心間距離Dは(d+t)であり、(√3)h≦D≦2h、或いは、(√3)h≦d≦2hを満たすように設定されている。
【0182】
図7に示す例では、間隔dで対向する壁が板状導電体110の面に直立して形成される場合を示しているが、間隔dで対向する壁が板状導電体110の面に対して傾斜して形成されていてもよい。
【0183】
なお、図1(D)に示すような、補助電極を形成することなく板状導電体12の面に厚さHの活物質層16が形成された電極(活物質層の各点から流れる電流パスの内部抵抗が距離Hに相当するRH以下である。)電極と比較すると、図7において、補助電極(壁状導電体135)の高さをαH(但し、α≧1とする。)とした場合、H=hとして、補助電極の間隔dが、H≦d≦2Hを満たす複合体電極では、補助電極の間の活物質層(図示せず。)の各点から板状導電体110へ到達する電流パスの内部抵抗はRH以下となる。
【0184】
(壁状導電体の形成)
図6、図7、及び、後述する図10に示す壁状導電体130、ハニカム状導電体135、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135aは、は、例えば、次のようにしてカーボンナノチューブ、金属によって、板状導電体110の面に形成することができる。
【0185】
補助電極としてカーボンナノチューブからなる壁状導電体130、ハニカム状導電体135、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135aを形成する場合には、次のようにして板状導電体110の面に形成することができる。所望の断面形状と所望の配列を有して壁状導電体が、110導電体の面に形成されるように、カーボンナノチューブの成長の核となる触媒金属微粒子を、板状導電体110のパターニング化された領域の面に形成する必要がある。
【0186】
このため、上記所望の断面形状に対応する形状を有する開口部が上記所望の配列に対応して形成されたマスクを使用して、例えば、スパッタ蒸着等によって触媒となる金属を板状導電体110の表面に蒸着し、厚さが制御された触媒金属薄層をパターニング化された上記領域に形成する。触媒となる金属は、例えば、Fe、Pd、Co、Ni、W、Mo、Mn、又はこれらの合金等である。
【0187】
形成された触媒金属薄層を高温で加熱することによって、パターニング化された上記領域に触媒金属微粒子(この触媒金属微粒子の粒径は触媒金属薄層の厚さによって規定される。)が形成される。化学的気相成長(CVD)法等によって、触媒金属微粒子が形成された領域に、垂直配向成長した複数本のカーボンナノチューブの集合からなる構造体として、壁状導電体を形成させることができる。
【0188】
補助電極として金属からなる壁状導電体130、ハニカム状導電体135、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135aを形成する場合には、板状導電体110の表面に絶縁膜を形成し、この絶縁膜に所望の形状と配列を有する、壁状導電体130、ハニカム状導電体135、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135aを形成するための孔のパターンを形成し、スパッタ法、CVD法、メッキ法等により、Al合金、Cu等の金属を孔に埋め込んだ後、化学的機械研磨(CMP)等によって除去し、所望の高さhを有する、壁状導電体130、ハニカム状導電体135、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135aを上記のパターンで形成することができる。
【0189】
或いは、板状導電体110の表面に所望の高さを有するAl合金、Cu等によって金属膜(厚さhを有する。)を形成し、所望の断面形状と配列を有する、壁状導電体130、ハニカム状導電体135、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135aが形成されるようなマスクを使用して金属膜をエッチング処理することによって、所望の断面形状、配列、高さhを有する、壁状導電体130、ハニカム状導電体135、壁状導電体片130a、ハニカム状導電体片135aを形成することができる。
【0190】
<複合体電極が分極性電極として使用される電気二重層キャパシタ>
図8は、本発明の実施の形態における、電気二重層キャパシタの概略構造を説明する断面図であり、図8(A)は全体を示す図、図8(B)は多孔質炭素における電流の流れる方向19を説明する部分拡大図である。
【0191】
図8(A)に示すように、電気二重層キャパシタ(Electric Double Layer Capacitor:EDLC))は、セパレータ13を挟んで配置された分極性電極(正極)10a及び分極性電極(負極)10bと、分極性電極(正極)10aに接合された正極集電体12aと、分極性電極(負極)10bに接合された負極集電体12bと、電解質液17に対して不溶性、耐食性を有し、セパレータ13と分極性電極10a、10bの間の隙間を防ぎ、電解質液17の漏れを防ぎ、密封、封止するためのガスケット14から構成されている。正極集電体12a、負極集電体12bは、先述した板状導電体12(図1、図2、図3)、板状導電体110(図4〜図7)に対応している。
【0192】
(分極性電極)
分極性電極(正極)10aは活物質である多孔質炭素16a、カーボンナノチューブ15aからなる補助電極からなり、分極性電極(負極)10bは活物質である多孔質炭素16b、カーボンナノチューブ15bからなる補助電極からなる。
【0193】
正極集電体12aに接続して形成されたカーボンナノチューブ15aの間は多孔質炭素16aによって、負極集電体12bに接続して形成されたカーボンナノチューブ15bの間は多孔質炭素16bによって充填されている。
【0194】
多孔質炭素16a、多孔質炭素16b、セパレータ13には、電解質が非プロトン性溶媒に溶解された電解質液17が含浸されている。多孔質炭素16a、多孔質炭素16bと電解質液17との間に形成される界面(電気二重層)に電荷が蓄えられ、電気エネルギーが貯蔵される。
【0195】
多孔質炭素16a、16bは、導電性炭素材料であり、例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、木炭や石炭等を原料とする活性炭類、合成繊維や石油ピッチ系原料等を炭化した炭素繊維類、フェノール樹脂等の有機樹脂の焼成体、コークス等の粉状体等である。
【0196】
分極性電極10a、10bの形成において、多孔質炭素16a、16bは、導電助剤、結着剤と共に使用される。
【0197】
導電助剤は、多孔質炭素16a、16bの間の電気的接触を補助して導電性を向上させ、電極の成形性を向上させる目的で使用され、例えば、黒鉛系炭素材料(カーボンブラックや天然黒鉛等)、金属微粒子或いは金属繊維(Al、Ni、Cu、Ag、Au、Pt等)、導電性金属酸化物微粒子(酸化ルテニウム、酸化チタン等)、導電性高分子(ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等)が使用される。
【0198】
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等が使用される。
【0199】
(カーボンナノチューブ)
補助電極としての柱状導電体であるカーボンナノチューブ15a、15bは、例えば、次のようにして集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)の面に形成することができる。所望の断面形状と所望の配列を有して柱状導電体が、集電体の面に形成されるように、カーボンナノチューブの成長の核となる触媒金属微粒子を、集電体のパターニング化された領域の面に形成する必要がある。
【0200】
このため、上記所望の断面形状に対応する形状を有する開口部が上記所望の配列に対応して形成されたマスクを使用して、例えば、スパッタ蒸着等によって触媒となる金属を集電体の表面に蒸着し、厚さが制御された触媒金属薄層をパターニング化された上記領域に形成する。触媒となる金属は、例えば、Fe、Pd、Co、Ni、W、Mo、Mn、又はこれらの合金等である。
【0201】
形成された触媒金属薄層を高温で加熱することによって、パターニング化された上記領域に触媒金属微粒子(この触媒金属微粒子の粒径は触媒金属薄層の厚さによって規定される。)が形成される。化学的気相成長(CVD)法等によって、触媒金属微粒子が形成された領域に、垂直配向成長した複数本のカーボンナノチューブの集合からなる構造体として、柱状導電体を形成させることができる。
【0202】
(電解質液)
電解質として、例えば、(C254NBF4、(C254NPF4、(C254NClO4、(C253CH3NBF4、(CH34NBF4等のテトラアルキルアンモニウム塩やアルキレン基を有する4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、これらのアルキル基やアルキレン基のHの少なくとも1つがF等のハロゲンに置換されたハロゲン化アンモニウム塩等のオニウム塩等イオン解離性塩が使用される。
【0203】
非プロトン性溶媒として、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン等の環状炭酸エステル類、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル類、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状カルボン酸エステル類、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル類、スルホラン、トリメチルホスフェート等が使用される。
【0204】
(セパレータ)
セパレータ13は、イオン透過度が大きく、電解質に対して不溶性、耐食性を有し、セルロース、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ガラス繊維やセラミクス等からなる多孔質フィルム、不織布又は抄紙等からなり、電解質液17が含浸されており、分極性電極(正極)10aと分極性電極(負極)10bの短絡を防ぎ、電解質イオンが移動できる孔経路を有している。
【0205】
(集電体)
正極集電体12a、負極集電体12bとしては、例えば、ニッケル、アルミニウム、チタン、銅、金、銀、白金、アルミニウム合金、ステンレス等の金属、その他の導電性材料が使用される。
【0206】
(ガスケット)
ガスケット14としては、例えば、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素樹脂等が使用できる。
【0207】
図8(B)は、本発明の実施の形態における、電気二重層キャパシタの概略構造を説明する部分拡大断面図であり、電流の流れる方向を説明する図であり、電気二重層キャパシタの充電(蓄電)時での活物質層(多孔質炭素16a、16b)における電流の流れる方向を示し、正極集電体12aに負の電位、負極集電体12bに正電位がそれぞれ印加された状態を示している。
【0208】
図8(B)に示すように、集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)の面に柱状導電体(カーボンナノチューブ15a、15b)が、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成されている。辺長が(d/2)の2個の正方形の領域の活物質層(多孔質炭素16a、16b)から流れる電流の流れる方向19は、カーボンナノチューブ15a、15b、又は、集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)に向かう垂直方向である。また、長辺がd、短辺が(h−(d/2))の矩形の領域にある活物質層(多孔質炭素16a、16b)から流れる電流の流れる方向19は、カーボンナノチューブ15a、15bに向かう垂直方向である。
【0209】
カーボンナノチューブ15a、15bがなければ、集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)から距離がh以下の領域にある活物質層(多孔質炭素16a、16b)から流れる電流の流れる方向19は、集電体に向かう垂直方向である。
【0210】
図8に示す例では、カーボンナノチューブ15a、15bを設け、D≦2hとすることによって、(d/2)<hであるので、活物質層(多孔質炭素16a、16b)から流れる電流は最短の電流パスを流れ、低抵抗となり、カーボンナノチューブ90a、90b、集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)に到達することになり、内部抵抗による損失を抑制することができる。
【0211】
このように、図8示す例では、集電体(正極集電体12a、負極集電体12b)から垂直距離hにある点から流れる電流は、距離hよりも短い電流パスを流れ集電体に到達するので、高抵抗となることがない。
【0212】
<複合体電極が活物質電極として使用される固体リチウムイオン電池>
図9は、本発明の実施の形態における、リチウムイオン電池の概略構造を説明する断面図であり、図9(A)は全体を示す図、図9(B)は負極活物質層及び正極活物質層における電流の流れる方向を説明する部分拡大図である。
【0213】
図9(A)に示すように、リチウムイオン電池は、正極側集電体層30、正極活物質層40、電解質層50、負極活物質層64、負極側集電体層70が、順次、電気絶縁性基板20の上に形成された積層体を有している。この積層体の全体を覆うように、例えば、紫外線硬化樹脂からなる全体保護層80が形成されている。正極側集電体層30、負極側集電体層70は、先述した板状導電体12(図1、図2、図3)、板状導電体110(図4〜図7)に対応している。
【0214】
負極側集電体層に接続して形成されたカーボンナノチューブ90aの間は負極活物質層64によって、正極側集電体層70に接続して形成されたカーボンナノチューブ90bの間は正極活物質層40によって充填されている。
【0215】
図9(A)に示すリチウムイオン電池の層構成は、電気絶縁性基板/正極側集電体層/正極活物質層/電解質層/負極活物質層/負極側集電体層/全体保護層である。電解質層として、固体電解質、ゲル電解質を使用することができる。
【0216】
なお、電気絶縁性基板20の上に、上記の積層体の複数が、順次、積層されて形成され、直列に電気的に接続され、全体保護層80によって被覆された構成とすることもできる。また、電気絶縁性基板20の上に、上記の積層体の複数が並置されて形成され、並列又は直列に電気的に接続され、全体保護層80によって被覆された構成とすることもできる。
【0217】
また、上記の積層体の形成において、負極側集電体層70、負極活物質層64、電解質層50、正極活物質層40、正極側集電体層30の順に、電気絶縁性基板20の上に形成することもできる。即ち、電池の層構成を、電気絶縁性基板/負極側集電体層/負極活物質層/電解質層/正極活物質層/正極側集電体層/全体保護層とすることもできる。
【0218】
(電気絶縁性基板)
電気絶縁性基板20として、無機絶縁性基板の他に、ポリカーボネート(PC)樹脂基板、フッ素樹脂基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリブチレンテレフタレート(PBT)基板、ポリイミド(PI)基板、ポリエーテルスルホン(PES)基板、ポリフェニレンスルフィド(PPS)基板、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基板等の有機絶縁性基板を使用することができる。
【0219】
(正極活物質層)
正極活物質層40は、例えば、LiMnO2、LiMn24、Li2Mn24、LiCoO2、LiCo24、LiNiO2、LiNi24、LiMnCoO4、V25、MnO2、Li4Ti512、LiTi24、LiFePO4等を使用して形成することができる。
【0220】
なお、負極活物質層64、正極活物質層40は、金属単体を使用する場合を除けば、例えば、酸化物等を使用する場合には、柱状導電体(例えば、カーボンナノチューブ90a、90b)が形成された集電体(正極側集電体30、負極側集電体70)に対して、スパッタリング法等の薄膜成膜プロセスを適用して形成することができる。
【0221】
(負極活物質層)
負極活物質層64は、例えば、金属リチウム、リチウム合金(例えば、Al、Zn、Pb、Si、Sn、Mg、In、Ca、Sbを含む合金)、Si合金(例えば、Sn、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、Sb、Crの何れかを含む合金)、Sn合金(例えば、Si、Ni、Cu、Fe、Co、Mn、Zn、In、Ag、Ti、Ge、Bi、Sb、Crの何れかを含む合金)、金属硫化物(例えば、NiS、MoS、LiTiS2等)、金属酸化物(例えば、酸化鉄(FeO2等)、酸化タングステン(WO2)、酸化マンガン(MnO2)、LiWO2、LiMoO2、In23、ZnO、SnO2、NiO、TiO2、V25、Nb25等)、金属窒化物(例えば、LiN3、BC2N等)、リチウム複合酸化物、黒鉛やコークス等の炭素材料を使用して形成することできる。
【0222】
なお、負極活物質層64、正極活物質層40は、必要に応じて、先述した電気二重層キャパシタの分極性電極10a、10bの形成において使用したものと同様の、導電助剤、結着剤を使用して形成することができる。
【0223】
(カーボンナノチューブ)
補助電極としての柱状導電体であるカーボンナノチューブ90a、90bは、例えば、次のようにして集電体(負極側導電体層70、正極側導電体層30)の面に形成することができる。所望の断面形状と所望の配列を有して柱状導電体が集電体の面に形成されるように、カーボンナノチューブの成長の核となる触媒金属微粒子を、集電体のパターニング化された領域の面に形成する必要がある。
【0224】
このため、上記所望の断面形状に対応する形状を有する開口部が上記所望の配列に対応して形成されたマスクを使用して、例えば、スパッタ蒸着等によって触媒となる金属を集電体の表面に蒸着し、厚さが制御された触媒金属薄層をパターニング化された上記領域に形成する。触媒となる金属は、例えば、Fe、Pd、Co、Ni、W、Mo、Mn、又はこれらの合金等である。
【0225】
形成された触媒金属薄層を高温で加熱することによって、パターニング化された上記領域に触媒金属微粒子(この触媒金属微粒子の粒径は触媒金属薄層の厚さによって規定される。)が形成される。化学的気相成長(CVD)法等によって、触媒金属微粒子が形成された領域に、垂直配向成長した複数本のカーボンナノチューブの集合からなる構造体として、柱状導電体を形成させることができる。
【0226】
(集電体)
集電体(正極側集電体30、負極側集電体70)として、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等を使用することができる。集電体の形状は、例えば、箔状、板状、メッシュ(グリッド)状である。
【0227】
(電解質層)
電解質層50として、無機電解質、ゲル電解質、真性ポリマー電解質を使用することができる。
【0228】
真性ポリマー電解質は、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンエーテル系高分子化合物に、リチウムスルホンイミド、LiClO4、LiO(SO2CF3)等のリチウム塩をポリマーマトリックスに保持させることによって得られる。
【0229】
ゲル電解質は、例えば、リチウム塩を含有した非プロトン性溶媒をポリマーマトリックスに保持させて得られる電解質である。例えば、LiClO4を炭酸プロピレン−炭酸エチレン(PC−EC)中に溶かしたもの)をポリアクリルニトリル(PAN)等のポリマーマトリックスに保持させることによって得られる。
【0230】
ゲル電解質、真性ポリマー電解質の形成に使用することができる高分子として、例えば、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレノキシドジアクリレート、エチレンオキシド等を含むアクリレートと多官能基のアクリレートとの共重合体、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HEP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルクロライド(PVC)等を用いることができる。
【0231】
無機電解質としては、例えば、Li3PO4、Li3PO4に窒素を添加したLi3PO4x(一般に、LiPONと呼ばれている。)、LiBO2x、Li4SiO4−Li3PO4、Li4SiO4−Li3VO4等を使用することができる。柱状導電体(例えば、カーボンナノチューブ90a)と負極活物質層64が形成された負極側集電体70、或いは、柱状導電体(例えば、カーボンナノチューブ90b)と正極活物質層40が形成された正極側集電体30に対して、スパッタリング法等の薄膜成膜プロセスを適用して形成することができる。
【0232】
(全体保護層)
全体保護層80は、吸湿性が低く耐湿性を有し、リチウムイオン電池を構成する各層を保護するものであり、アクリル系紫外線硬化樹脂、エポキシ系紫外線硬化樹脂、パリレン樹脂等を使用することができる。
【0233】
図9(B)は負極活物質層64及び正極活物質層40における流れる方向19を説明する部分拡大図であり、リチウムイオン電池の放電時での活物質層(負極活物質層64、正極活物質層40)における電流の流れる方向を示している。
【0234】
図9(B)に示すように、補助電極として柱状導電体であるカーボンナノチューブ90a、90bが、h≦D≦2h、或いは、h≦d≦2hを満たすように形成されている。
【0235】
図9(B)において、活物質層(負極活物質層64)から補助電極(カーボンナノチューブ90a)、又は、集電体(負極側導電体層70)へ電流が流れる。
【0236】
辺長が(d/2)の2個の正方形の領域の活物質層(負極活物質層64)から流れる電流の流れる方向19は、補助電極(カーボンナノチューブ90a)、又は、集電体(負極側導電体層70)に向かう垂直方向である。また、長辺がd、短辺が(h−(d/2))の矩形の領域にある活物質層(負極活物質層64)から流れる電流の流れる方向19は、補助電極(カーボンナノチューブ90a)に向かう垂直方向である。
【0237】
補助電極(カーボンナノチューブ90a)がなければ、集電体(負極側導電体層70)から距離がh以下の領域にある活物質層(負極活物質層64)から流れる電流の流れる方向19は、集電体(負極側導電体層70)に向かう垂直方向である。
【0238】
図9に示す例では、補助電極(カーボンナノチューブ90a)を設け、D≦2hとすることによって、(d/2)<hであるので、活物質層(負極活物質層64)から流れる電流は最短の電流パスを流れ、低抵抗となり、補助電極(カーボンナノチューブ90a)、集電体(負極側導電体層70)に到達することになり、内部抵抗による損失を抑制することができる。
【0239】
このように、図9に示す例では、集電体(負極側導電体層70)から垂直距離hにある点から流れる電流は、距離hよりも短い電流パスを流れ集電体(負極側導電体層70)に到達するので、高抵抗となることがない。
【0240】
図9(B)において、集電体(正極側導電体層30)、又は、補助電極(カーボンナノチューブ90b)から活物質層(正極活物質層40)へ電流が流れる。辺長が(d/2)の2個の正方形の領域の活物質層(正極活物質層40)から流れる電流の流れる方向19は、補助電極(カーボンナノチューブ90b)、又は、集電体(正極側導電体層30)に対して垂直方向である。また、長辺がd、短辺が(h−(d/2))の矩形の領域にある活物質層(正極活物質層40)から流れる電流の流れる方向19は、カーボンナノチューブ90bに対して垂直方向である。
【0241】
カーボンナノチューブ90bがなければ、集電体(正極側導電体層30)から距離がh以下の領域にある活物質層(正極活物質層40)から流れる電流の流れる方向19は、集電体(正極側導電体層30)に対して垂直方向である。
【0242】
図9に示す例では、カーボンナノチューブ90bを設け、D≦2hとすることによって、(d/2)<hであるので、活物質層(正極活物質層40)から流れる電流は最短の電流パスを流れ、低抵抗となり、カーボンナノチューブ90b、集電体(正極側導電体層30)に到達することになり、内部抵抗による損失を抑制することができる。
【0243】
このように、図9に示す例では、集電体(正極側導電体層30)から垂直距離hにある点から流れる電流は、距離hよりも短い電流パスを流れ集電体(正極側導電体層30)に到達するので、高抵抗となることがない。
【0244】
<複合体電極における柱状導電体、壁状導電体の配置の例>
図5〜図7に示した柱状導電体、壁状導電体の配置の他に、例えば、次に示す配置をとることができる。
【0245】
図10は、本発明の実施の形態における、複合体電極における補助電極である柱状導電体、壁状導電体の配置の他の例を説明する平面図であり、図10(A)は柱状導電体の配置を示す図、図10(B)は壁状導電体片の配置を示す図、図10(C)は柱状導電体片と柱状導電体が混在した配置を示す図、図10(D)はハニカム状導電体片の配置を示す図である。
【0246】
(柱状導電体の配置)
図10(A)は高さがhである柱状導電体の配置を示す図であり、図を簡略化するために柱状導電体120を図示せず、柱状導電体の中心軸120aを示しており、(A1)は矩形格子配列、(A2)は平行四辺形格子配列を示す。
【0247】
図10(A)の(A1)に示す例では、柱状導電体120と板状導電体110との接続点が矩形格子をなすように、柱状導電体の中心軸120aの間隔が、x方向においてD、y方向においてeであるように、柱状導電体の中心軸120aが直立した状態で板状導電体110の面に形成されている。但し、D>eであり、Dはh≦D≦2hを満たすように設定される。
【0248】
図10(A)の(A2)に示す例では、柱状導電体120と板状導電体110との接続点が平行四辺形格子をなすように、柱状導電体の中心軸120aの間隔が、x方向においてD、x方向と交差する方向においてfであるように、柱状導電体の中心軸120aが直立した状態で板状導電体110の面に形成されている。但し、D>fであり、Dはh≦D≦2hを満たすように設定される。
【0249】
(壁状導電体片の配置)
図10(B)に示す例では、図6に示した壁状導電体130が、厚さt、長さuを有する壁状導電体片130aが間隔dを置いてy方向に繰返された配列体に置換えられ、この配列体が間隔dを置いてx方向に繰返され、板状導電体110の面に形成されている。なお、Dはh≦D≦2hを満たすように設定される。
【0250】
図10(C)に示す例では、柱状導電体120と壁状導電体片130aが混在した配置を示し、図10(B)における壁状導電体片130aの配置において、壁状導電体片130aの長さをvとし、x方向及びy方向に繰返される壁状導電体片130aの間に柱状導電体120が配置されている。柱状導電体120の中心軸は、これに近接する4つの壁状導電体片130aのそれぞれの端点から等しい距離の位置に配置されている。なお、Dはh≦D≦2hを満たすように設定される。
【0251】
図10(B)、図10(C)に示す壁状導電体の配置の例では、図6に示す壁状導電体の配置の例に比較して、板状導電体(図示せず。)上で補助電極の間に形成される活物質の容積比を大きくでき充填率を高めることができる。
【0252】
(ハニカム状導電体片の配置)
図10(D)に示す例は、ハニカム状導電体片の配置を示す図であり、図7に示すような、板状導電体の面に平行な断面が正方形、正六角形をなす空部を有するハニカム状導電体において、空部を形成する対向する壁の一部を欠いた構造を有しており、ハニカム状導電体片135aの配列の集合によって、図7に示す複合体電極におけるハニカム状導電体と類似の構造を構成している。
【0253】
図10(D)に示す右図は、図7(A)において、正方形をなす空部を形成する対向する壁の一部を長さtだけ欠いて得られる構造を示し、左図は、図7(B)において、正六角形をなす空部を形成する対向する壁の一部を長さtだけ欠いて得られる構造を示している。空部を形成する対向する壁の一部を欠く長さはtより大きくてもよい。なお、Dはh≦D≦2hを満たすように設定される。
【0254】
なお、図10(D)に示す壁状導電体の配置の例では、図7に示す壁状導電体の配置の例に比較して、板状導電体上で補助電極の間に形成される活物質の容積比を大きくでき充填率を高めることができる。
【0255】
図10(A)、図10(C)に示す柱状導電体120、120aは、図4、図5に示した柱状導電体120と同様にして形成することができ、また、図10(B)、図10(C)、図10(D)に示す壁状導電体片130a又はハニカム状導電体片135aは、図6、図7に示した壁状導電体130又はハニカム状導電体135と同様にして形成することができる。
【0256】
<複合体電極における柱状導電体、壁状導電体の高さと活物質層の厚さ>
図11は、本発明の実施の形態における、柱状導電体又は壁状導電体を有する複合体電極の構造の他の例を説明する断面図である。
【0257】
柱状導電体、壁状導電体15の板状導電体12の面からの高さをh、活物質層16の厚さをwとするときw=hであってもよいが、図11に示すように、w−h=p>0であってもよく、pは所望の値とすることができ、例えば、p=(2h−d)とすることができる。なお、図11において、θは直角であり、長さLを有する柱状導電体、壁状導電体15は板状導電体12の面に直立していてもよく、この場合、h=Lである。
【0258】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形が可能である。
【0259】
例えば、複合体電極を電気二重層キャパシタに使用し、補助電極を金属で形成する場合には、集電体と補助電極を一体として形成することができる。補助電極を構成する金属柱又は金属壁が所望の断面形状と配列を有して形成されるようなマスクを使用して、hより大きな厚さの金属板を、補助電極の高さが所望の値hとなるようにエッチング処理することによって、所望の断面形状、配列、高さhを有する補助電極を集電体と一体で形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0260】
本発明によれば、内部抵抗による損失を抑制することができる複合体電極を提供することができ、また、これを用いた電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池等の高性能な電子デバイスを提供することができる
【符号の説明】
【0261】
10a…分極性電極(負極)、10b…分極性電極(正極)、
11、140…抵抗の大きい領域、12、110…板状導電体、
12a…正極集電体、12b…負極集電体、13…セパレータ、14…ガスケット、
15…柱状導電体又は壁状導電体、15a、15b…カーボンナノチューブ、
16…活物質層、16a、16b…多孔質炭素、17…電解質液、
19…電流の流れる方向、20…電気絶縁性基板、30…正極側集電体層、
40…正極活物質層、50…固体電解質層、64…負極活物質層、
70…負極側集電体層、80…全体保護層、90a、90b…カーボンナノチューブ、
120…柱状導電体、130…壁状導電体、135…ハニカム状導電体、150…空部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0262】
【特許文献1】特開2004−87213号公報(段落0011〜0017、図1)
【特許文献2】特開2006−179431号公報(段落0014、段落0036、段落0081〜0082、段落0140〜0144)
【特許文献3】特開2007−35811号公報(段落0008〜0010)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状導電体と、
この板状導電体面に一端が接続され立設された複数の補助電極と、
前記板状導電体と接し、前記補助電極の間に形成された活物質層と
を有し、前記補助電極の高さがhであるとき、対向する前記補助電極の中心間隔、或いは、対向する前記補助電極の間隔が、h以上、2h以下である、複合体電極。
【請求項2】
前記補助電極が柱状導電体である、請求項1に記載の複合体電極。
【請求項3】
前記板状導電体と前記柱状導電体が接続される点が正方格子状に配置された、請求項2に記載の複合体電極。
【請求項4】
対向する前記柱状導電体の中心間隔が、(√2)h以上である、請求項3に記載の複合体電極。
【請求項5】
前記板状導電体と前記柱状導電体が接続される点が六方格子状に配置された、請求項2に記載の複合体電極。
【請求項6】
対向する前記柱状導電体の中心間隔が、(√3)h以上である、請求項5に記載の複合体電極。
【請求項7】
前記柱状導電体が導電性のカーボンナノチューブからなる、請求項2に記載の複合体電極。
【請求項8】
前記柱状導電体が金属ナノワイヤ又は金属ナノチューブからなる、請求項2に記載の複合体電極。
【請求項9】
前記補助電極が、平行に配置され対をなす壁状導電体である、請求項1に記載の複合体電極。
【請求項10】
前記壁状導電体は、平行に配置され対をなす前記壁状導電体によって形成された領域を有するハニカム状構造が形成され、前記領域に前記活物質層が形成された、請求項9に記載の複合体電極。
【請求項11】
前記領域が正方形の形状を有する、請求項10に記載の複合体電極。
【請求項12】
前記領域が正六角形の形状を有する、請求項10に記載の複合体電極。
【請求項13】
前記壁状導電体が導電性のカーボンナノウォールからなる、請求項9に記載の複合体電極。
【請求項14】
前記壁状導電体が金属である、請求項9に記載の複合体電極。
【請求項15】
請求項1から請求項14の何れか1項に記載の複合体電極を有する、電子デバイス。
【請求項16】
前記複合体電極がセパレータを介して対向して配置され、前記複合体電極の少なくとも一方が分極性電極として形成され、電気二重層キャパシタとして構成された、請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
正極集電体と正極活物質層からなる正極と、
負極集電体と負極活物質層からなる負極と、
前記正極と前記負極の間に配置された電解質層と
を有し、前記正極と前記負極の少なくとも一方が前記複合体電極によって形成され、二次電池として構成された、請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記二次電池がリチウムイオン二次電池である、請求項17に記載の電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−151279(P2011−151279A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12768(P2010−12768)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】