説明

複合型ガス警報装置

【課題】ガスライターの内炎ガス中に含まれるCOとH2 を点検ガスとして使用して、雑ガスによる誤動作を生じることなく点検を行える複合型ガス警報装置を提供する。
【解決手段】第1の点検手段10a−1は、点検期間中に不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する。第2の点検手段10a−2は、点検期間中に過渡部と低温部で出力を検出し、過渡部での出力が点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する。第2の点検手段10a−2が有するH2 点検レベル設定手段10a−21は、第1の点検手段が低温部で検出した出力が予め定めた設定変更判定レベルに達するまで、H2 点検レベルを、過渡部で検出される出力が到達しない高レベルに設定し、設定変更判定レベルに達した後、H2 点検レベルを、過渡部で検出される出力が到達する低レベルに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス漏れと不完全燃焼を警報する機能を有する複合型ガス警報装置に係り、より詳細には、可燃性を有するメタンガス(CH4 )と毒性を有するCOを検知し、該検知したメタンガス(CH2 )とCOの濃度を監視してガス漏れと不完全燃焼を検出警報する機能と、該検出警報機能を点検する機能とを有する複合型ガス警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のガス警報装置として、ヒータ兼用電極の中に中心電極を配設し、これらをSnO2 等の金属酸化物半導体中に埋設した構成の半導体ガスセンサを、周期的に温度変化させて、高温部のセンサ出力でCH4 を検出し、低温部のセンサ出力でCOを検出するガス検出装置を利用して構成したものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
一般に、ガス警報装置の場合、その設置時に、警報対象ガスを検出して警報を発する一連の警報機能を点検して、設置した装置の警報機能が正常に働く状態にあることを確認することが必要とされ、検出ガスと同種の点検ガスを個別にガス注入口より注入して擬似的に警報動作させる点検作業が行われる。
【0004】
しかし、同種の点検ガスを個別に注入して行う点検作業は非常に面倒で、点検時間も長くならざる終えない。そこで、上述した半導体式ガスセンサを使用して構成した複合型ガス警報装では、半導体式ガスセンサが高温部から低温部への移行により温度が低下する過渡部において、H2 を検出できることと(例えば特許文献2参照。)、CH4 検知ポイントとH2 検知ポイントとの相関によりCH4 の点検をH2 で代用できることと、ガスライターの内炎ガスからCO+H2 ガスを簡単に入手できることとに着目し、このCO+H2 ガスを点検ガスとして使用してガス漏れと不完全燃焼を検出警報する機能を簡易的に点検することが考えられている。
【特許文献1】特開平10−283583号公報
【特許文献2】特願2001−208711
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガスライターの内炎ガスのCOとH2 は1.5%と0.7%程度の濃度であり、点検ガス濃度としては非常に薄く、温度変化の周期を高温部を例えば5秒、低温部を例えば15秒として動作させた場合、点検ガスの注入タイミングによっては、図 に示すように、半導体式ガスセンサが反応するH2 濃度が500ppmと非常に低レベルとなってしまい、これを検知してH2 の存在を検出するためには、点検レベルを非常に低く設定しておくことが必要になる。
【0006】
点検期間とはいえ、点検レベルが500ppm程度の濃度のH2 の存在を検出できる程度に低く設定されると、点検ガス以外の例えばアルコールなどの雑ガスが発生したとき、H2 検知ポイントのセンサ出力が判定レベルを超えて変動してしまい、点検ガスを注入していないにも拘わらず、ガス漏れ警報機能の点検動作が誤って行われてしまうようになる。
【0007】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、ガスライターの内炎ガス中に含まれるCOとH2 を、ガス漏れと不完全燃焼の検出警報機能の両方を点検するための点検ガスとして使用しても、雑ガスによる誤動作を生じることなく点検を行うことができる複合型ガス警報装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る複合型ガス警報装置は、図1のブロック図に示すように、半導体式ガスセンサ1を周期的に温度変化させて高温部と低温部での出力をそれぞれ検出し、前記高温部で検出した出力がCH4 濃度警報レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力し、前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力する複合型ガス警報装置であって、点検期間中に前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する第1の点検手段10a−1と、前記点検期間中に前記高温部から前記低温部への移行により温度が低下する過渡部と前記低温部で出力を検出し、前記過渡部で検出した出力が点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する第2の点検手段10a−2とを備え、前記第2の点検手段10a−2は、前記第1の点検手段が前記低温部で検出した出力が予め定めた設定変更判定レベルに達するまで、前記H2 点検レベルを、前記過渡部で検出される出力が到達しない高レベルに設定し、前記設定変更判定レベルに達した後、前記H2 点検レベルを、前記過渡部で検出される出力が到達する低レベルに設定するH2 点検レベル設定手段10a−21を有することを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、第1の点検手段10a−1は、点検期間中に低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する。そして、第2の点検手段10a−2は、点検期間中に高温部から低温部への移行により温度が低下する過渡部と低温部で出力を検出し、過渡部で検出した出力が点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する。第2の点検手段10a−2が有するH2 点検レベル設定手段10a−21は、第1の点検手段が低温部で検出した出力が予め定めた設定変更判定レベルに達するまで、H2 点検レベルを、過渡部で検出される出力が到達しない高レベルに設定し、設定変更判定レベルに達した後、H2 点検レベルを、過渡部で検出される出力が到達する低レベルに設定する。
【0010】
したがって、点検期間中、低温部で検出される出力が設定変更判定レベルに到達するほど大きくなり、設定変更判定レベルに相当する濃度のCOが低温部で検出されるまで、H2 点検レベルが高レベルに設定され、設定変更判定レベルに相当する濃度のCOが検出されたとき、H2 点検レベルが低レベルに設定されるので、点検ガスとしてCOと同時に存在するH2 を過渡部で確実に検出してガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検することができる。
【0011】
請求項2に係る複合型ガス警報装置は、請求項1記載の複合型ガス警報装置において、前記H2 点検レベル設定手段は、前記点検期間中の前記低温部で検出した出力が一度前記設定変更判定レベルに達した後、前記設定変更判定レベル以下に低下したとき、前記H2 点検レベルを元の高レベルに戻すことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、H2 点検レベル設定手段10a−21は、点検期間中の低温部で検出した出力が一度設定変更判定レベルに達した後、設定変更判定レベル以下に低下したとき、H2 点検レベルを元の高レベルに戻すので、必要以上に点検レベルを低レベルにしておく時間を減らすことができる。
【0013】
請求項3に係る複合型ガス警報装置は、請求項1記載の複合型ガス警報装置において、前記第2の点検手段は、前記過渡部で検出した出力が前記H2 点検レベルに達している間前記警報信号を出力し続け、前記H2 点検レベル設定手段は、前記第2の点検手段が前記警報信号を出力した後直ちに、前記H2 点検レベルを元の高レベルに戻すことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、第2の点検手段は、過渡部で検出した出力がH2 点検レベルに達している間警報信号を出力し続けるが、H2 点検レベル設定手段は、第2の点検手段が警報信号を出力した後直ちに、H2 点検レベルを元の高レベルに戻すので、点検により警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能の点検が終わった後に直ちに警報信号を出力しなくできる。
【0015】
請求項4に係る複合型ガス警報装置は、請求項1〜3の何れかに記載の複合型ガス警報装置において、前記第2の点検手段は、前記過渡部で検出した出力又は前記H2 点検レベルを雰囲気温度によって補正する温度補正手段10a−22を有することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、前記第2の点検手段が有する温度補正手段は、過渡部で検出した出力又はH2 点検レベルを雰囲気温度によって補正するので、雰囲気温度によって点検ガスのH2 を検出する精度が低下することがない。
【0017】
請求項5に係る複合型ガス警報装置は、ガスセンサ1を周期的に温度変化させて高温部と低温部で出力をそれぞれ検出し、前記高温部で検出した出力がCH4 濃度警報レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力し、前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力する複合型ガス警報装置において、点検期間中に前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する第1の点検手段10a−1と、前記点検期間中に前記高温部から前記低温部への移行により温度が低下する過渡部と前記低温部で出力を検出し、前記過渡部で検出した出力がH2 点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する第2の点検手段10a−2とを備え、前記第2の点検手段は、前記第1の点検手段が前記低温部で検出した出力に応じたレベルに前記H2 点検レベルを設定するH2 点検レベル設定手段10a−21を有することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、第1の点検手段10a−1は、点検期間中に低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する。そして、第2の点検手段10a−2は、点検期間中に高温部から低温部への移行により温度が低下する過渡部と低温部で出力を検出し、過渡部で検出した出力が点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する。第2の点検手段10a−2が有するH2 点検レベル設定手段10a−21は、第1の点検手段が低温部で検出した出力に応じたレベルにH2 点検レベルを設定する。したがって、COガスに対するセンサの出力特性に応じて変化したレベルに点検レベルを設定することができる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、点検ガスとしてCOと同時に存在するH2 を過渡部で確実に検出してガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検することができ、点検ガスとしてCOと同時に存在しない雑ガスを過渡部において検出して点検誤動作を生じることを防ぐことができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、必要以上に点検レベルを低レベルにしておく時間を減らすことができるので、点検誤動作の発生する可能性をさらに少なくすることができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、点検により警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能の点検が終わった後に直ちに警報信号を出力しなくできるので、点検のための警報を最小限で止め、点検時間を短縮することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、雰囲気温度によって点検ガスのH2 を検出する精度が低下することがないので、CH4 に代替して使用している点検ガスのH2 を精度良く検出できるようになり、点検レベルの設定を厳密に行っても、点検誤動作の生じる可能性をさらに少なくすることができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、COガスに対するセンサの出力特性に応じて変化したレベルに点検レベルを設定することができるので、精度良く点検ガスを検出できるようになって、点検ガスとしてCOと同時に存在しない雑ガスを過渡部においてH2 として検出して点検誤動作を生じる可能性を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る複合型ガス警報装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図2は一実施形態に係る複合型ガス警報装置の電気的な概略構成を示すブロック図であり、同図において、半導体式ガスセンサ1と、温度補正用の感温素子としてのサーミスタ2と、電源インジケータ3aと、不完全燃焼警報インジケータ3bと、ガス漏れ警報インジケータ3cと、スピーカ4と、スピーカ4から出力する音声メッセージが複数格納された音声IC5と、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)10とにより構成され、マイコン10のCPU10aには、半導体式ガスセンサ1と、サーミスタ2と、電源インジケータ3aと、不完全燃焼警報インジケータ3bと、ガス漏れ警報インジケータ3cと、音声IC5とが接続されている。
【0026】
マイコン10は、CPU10aの他にRAM10b及びROM10cを有しており、これらRAM10b及びROM10cもCPU10aに接続されている。半導体式ガスセンサ1としては、図3に示すように、コイル状のヒータ兼用電極1aのコイル中央部に中心電極1bを貫通させ、これらを金属酸化物焼結体1c内に埋設した構成のものが使用される。
【0027】
RAM10bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、ROM10cには、CPU10aに各種処理動作を行わせるための制御プログラムが格納されている。
【0028】
そして、マイコン10のCPU10aは、ガス警報装置の電源コード(図示せず)がコンセントに接続されて電源が供給されると、電源インジケータ3aを緑色で低周期点滅させ、その後、予め定められた待機時間(例えば1分)が経過すると、予め定められた時間(例えば4分)の点検期間に入り、ROM10cに格納された処理プログラムに従って行われるガス漏れ及び不完全燃焼の検出警報機能を点検する検出警報機能点検処理を実行する。点検期間の経過後又は点検処理の終了後、電源インジケータ3aを緑色常時点灯させて通常モードに入り、ROM10cに格納されたガス漏れ及び不完全燃焼の検出警報に関する処理プログラムに従って、ガス漏れと不完全燃焼の検出警報のための検出警報処理を実行する。
【0029】
検出警報機能点検処理の説明に先立ち、通常モードにおいて行われるガス漏れと不完全燃焼の検出警報処理について説明する。この処理においては、マイコン10のCPU10aは、半導体式ガスセンサ1のヒータ兼用電極1aに、図4のタイミングチャートに示すように、例えば0.9Vの高電圧VHを5秒間、例えば0.2Vの低電圧VLを15秒間、交互に繰り返し印加して通電すること(ヒータサイクル)によって、金属酸化物焼結体1cを高低2段階に交互加熱させ、同図中の高温部のA点(CH4 検知ポイント)における半導体式ガスセンサ1のコイル兼用電極1aと中央電極1b間の抵抗値に応じた半導体式ガスセンサ1の出力を検出し、この検出した出力が予め定められたCH4 濃度警報レベルに達しているか否かを確認する。
【0030】
半導体式ガスセンサ1出力がCH4 濃度警報レベルに達すると、ガス漏れ警報インジケータ3cを赤色点灯させると共に、「ピッピッピッ、ガスが漏れていませんか。」等の音声メッセージを音声IC5から読み出してスピーカ4により音声出力させる。
【0031】
同様に、マイコン10のCPU10aは、図4中の低温部のB点(CO検知ポイント)におけるコイル兼用電極1aと中央電極1b間の抵抗値に応じた半導体式ガスセンサ1の出力が例えば150ppmのCO低濃度警報レベル又は例えば250ppmのCO高濃度警報レベルに達しているか否かを確認する。
【0032】
半導体式ガスセンサ1の出力がCO低濃度警報レベル又はCO高濃度警報レベルに達すると、不完全燃焼警報ガスインジケータ3bを黄色点灯させると共に、「ピッポッピッポッ、空気が汚れて危険です。窓を開けて換気をして下さい。」等の音声メッセージを音声IC5から読み出してスピーカ4により音声出力させる。
【0033】
次に、検出警報機能点検処理について説明する。この処理は、ガス警報装置の商用電源への接続により動作を開始するマイコン10のCPU10aによって、待機時間(例えば1分)が経過した後の例えば4分間の点検モードにおいて実行される。点検モードにおいては、点検ガスとしてCO+H2 を含むガスライターの内炎ガスを使用し、マイコン10のCPU10aは、半導体式ガスセンサ1の出力をCO検知ポイントとH2 検知ポイントにおいて検出する。
【0034】
ガスライターの内炎ガスからなるCO+H2 を含む点検ガスのうちのCO濃度は十分に高いので、マイコン10のCPU10aは、不完全燃焼検出機能を点検するための点検レベルとしてはCO低濃度警報レベル及び高濃度警報レベルを流用している。図4中の低温部のB点(CO検知ポイント)におけるコイル兼用電極1aと中央電極1b間の抵抗値に応じた半導体式ガスセンサ1の出力がCO低濃度警報レベル又は高濃度警報レベルに達しているか否かを確認し、点検ガスが点検ガス注入口から注入され、半導体式ガスセンサ1のCO検知ポイントにおける出力が何れかの濃度警報レベルに達すると、不完全燃焼警報インジケータ3bを黄色点灯させると共に、「ピッポッピッポッ、空気が汚れて危険です。窓を開けて換気をして下さい。」等の音声メッセージを音声IC5から読み出してスピーカ4により音声出力させることで、複合型ガス警報装置の不完全燃焼を検出警報する機能が正常に機能することを点検作業者に知らせる。
【0035】
なお、その後のCO検知ポイントにおける半導体式ガスセンサ1の出力がCO低濃度警報レベルに到達しなくなると、不完全燃焼警報インジケータ3bを黄色点灯と音声出力が自動的に停止される。
【0036】
これに対し、ガス漏れ検出警報機能の点検では、ガスライターの内炎ガスからなるCO+H2 を含む点検ガスのうちのH2 をCH4 (メタンガス)に代用している。このため、マイコン10のCPU10aは、ガス漏れ検出警報機能を点検するためCH4 濃度警報レベルとは別個に点検レベルを設定するとともに、図4中の高温部から低温部への移行により温度が低下する過渡部のC点(H2 検知ポイント)におけるコイル兼用電極1aと中央電極1b間の抵抗値に応じた半導体式ガスセンサ1の出力を読み込んで検出し、この検出した出力が上記点検レベルに達しているか否かを確認する。半導体式ガスセンサ1のH2 検知ポイントにおける出力が設定した点検レベルに達すると、ガス漏れ警報インジケータ3cを赤色点灯させると共に、「ピッピッピッ、ガスが漏れていませんか。」等の音声メッセージを音声IC5から読み出してスピーカ4により音声出力させることで、複合型ガス警報装置のガス漏れを検出警報する機能が正常に機能することを点検作業者に知らせる。
【0037】
ガスライターの内炎ガスを点検ガスとして使用した場合、高電圧VHの印加時点からの時間で表した注入タイミングによって、H2 検知ポイントで半導体式ガスセンサ1が感知しうるH2 ガス濃度は図5に示すように変化し、注入タイミングによっては、500ppmと非常に低濃度になってしまう。このような低濃度のH2 を検出してガス漏れ検出警報機能を点検するためには、点検レベルを300ppmの低レベルに設定しなければならないが、H2 検知ポイントでの点検レベルが300ppmのような低レベルであると、点検期間中に、アルコールのような雑ガスを検出してしまい、点検誤動作の要因となりうる。
【0038】
そこで、上記点検レベルは、本発明では、点検期間の間一定レベルに設定するのでなく、同時に注入されるCOを利用して点検レベルを切替設定するようにしている。具体的には、特定の半導体式ガスセンサについて、H2 検知ポイントまでの時間を種々に変えて点検ガスを注入したときのガス反応特性(ガス濃度に応じて減少するセンサ抵抗)を測定して、図6のように変化する特性グラフを得るとともに、これに対応するCO検知ポイントまでの時間に対するガス反応特性(センサ抵抗)を測定して、図7に示すように変化する特性グラフを得る。H2 が先に検出された場合、H2 を検出するまでに要する最大時間は、COの存在を検出できない時間(仮にCOの検出レベルによる設定変更判定レベルをLaとした場合、3秒、図7参照)とCO検知ポイントからH2 検知ポイントまでの時間(6秒、図6参照)を足した9秒となる。したがって、点検ガスを注入してから9秒後のH2 ガス濃度を低レベルの点検レベルとして設定する。一方、COを先に検出した場合、H2 を検出するまでに要する最大時間は20秒(図6参照)であるので、20秒後のH2 ガス濃度を高レベルの点検レベルとして設定する。
【0039】
このように高低2つのレベルを点検レベルとして使用することによって、COが検出されない限り、H2 検知ポイントでの点検レベルを下げられることがなくなり、点検誤動作を防止できるとともに、ヒータサイクルのどのタイミングで点検ガスを注入しても検出警報動作の点検を確実に行うことができる。
【0040】
具体的には、マイコン10のCPU10aは、CO検知ポイントまでの時間に対するガス反応特性を表す図8に示すように、例えばCO濃度警報レベルの低濃度警報レベルと高濃度警報レベルとの間に相当するCOガス濃度レベルを設定変更判定レベルLaとして使用し、点検モードが開始すると、この設定変更判定レベルに対応する高レベルの点検レベルを設定する。CO検知ポイントで検出した出力が設定変更判定レベルに達したところで、点検ガスが注入されたと判断して、上述した20秒後のH2 ガス濃度レベルに相当する低レベルの点検レベルを設定する。そして、H2 検知ポイントで検出した出力が各点検レベルに達していれば、ガス漏れ警報インジケータ3cを赤色点灯させると共に、音声出力させることで、複合型ガス警報装置のガス漏れを検出警報する機能が正常に機能することを知らせる。また、低レベルの点検レベルを設定した後、CO検知ポイントで検出した出力が設定変更判定レベルに達しなくなったときには点検レベルを元の高レベルに戻す。このように、常時低レベルの点検レベルが設定されていないことによって、雑ガスによるガス漏れ検出警報機能の誤点検動作が防止される。
【0041】
なお、低レベルに設定されたH2 点検レベルは、その後のCO検知ポイントにおける半導体式ガスセンサの出力が設定変更判定レベルに達している間は低レベルに維持され、この状態で、H2 検知ポイントにおける半導体式ガスセンサ1の出力が低下して低レベルのH2 点検レベルに到達しなくなると、ガス漏れ警報インジケータ3cの赤色点灯と音声出力を停止する。なお、H2 検知ポイントにおける半導体式ガスセンサ1の出力が低レベルのH2 点検レベルに到達している間は赤色点灯と音声出力が継続している。
【0042】
また、低レベルに設定されたH2 点検レベルは、その後のCO検知ポイントにおける半導体式ガスセンサの出力が設定変更判定レベルに到達しなくなったとき、元の高レベルに戻され、この状態で、H2 検知ポイントにおける半導体式ガスセンサ1の出力が低下してこの高レベルのH2 点検レベルに到達しなくなると、ガス漏れ警報インジケータ3cの赤色点灯と音声出力を停止する。なお、H2 検知ポイントにおける半導体式ガスセンサ1の出力が低下してこの高レベルのH2 点検レベルに到達している間は赤色点灯と音声出力が継続している。
【0043】
なお、赤色点灯と音声出力を開始してから1ヒータサイクルが経過した後に点検レベルを低レベルから高レベルに戻し、この状態で、H2 検知ポイントにおける半導体式ガスセンサ1の出力が高レベルの点検レベルに到達している間は赤色点灯と音声出力が継続しているが、到達しなくなったところで、赤色点灯と音声出力を停止する。
【0044】
さらに、マイコン10のCPU10aは、サーミスタ2が検知した雰囲気温度と、予め格納してある温度補正係数とに基づいて、CO検知ポイント、CH4 検知ポイント、H2 検知ポイントにおいて検出した半導体式ガスセンサ1の出力を温度補正を行い、温度補正した出力によってレベル判定を行っている。
【0045】
以上、複合型ガス警報装置の概略構成と動作を説明したが、続いて、ROM11cに格納されたプログラムに従いCPU10aが行う処理を示す図9〜図11のフローチャートを参照してその詳細を説明する。
【0046】
ガス警報装置の電源への接続によりマイコン10が起動すると、CPU10aは、点検モード開始処理を行う(ステップS1)。この点検モード開始処理においては、4分タイマをスタートさせ、半導体式ガスセンサ1のヒータ兼用電極1aに対し、図4のタイミングチャートのような高電圧と低電圧を交互に印加して通電を開始する。半導体式ガスセンサ1の特性が安定する例えば1分の待機時間が経過してから、同図中に示すCO検知ポイント(B点)とH2 検知ポイント(C点)において半導体式ガスセンサ1の出力を検出する動作を4分タイマがタイムオーバとならないうちは(ステップS2がyesのときときは)行い(ステップとして図示せず)、タイムオーバとなったら(ステップS2がnoとなったら)通常モードに移行する(ステップS3)。
【0047】
そして、まずCO検出警報点検処理を行う。CO検出警報点検処理においては、まず、CO検知ポイント(B点)で検出した半導体式ガスセンサ1の出力がCO高濃度警報レベル(図8参照)に達しているか否かを、COセンサ抵抗値RsCOがCO高濃度警報レベルに対応する抵抗値β以下であるか否かによって確認する(ステップS4)。CO検知ポイントでの出力がCO高濃度警報レベルに達しているとき(ステップS4がyesのとき)には、不完全燃焼警報インジケータ3bを黄色点灯させると共に、「ピッポッピッポッ、空気が汚れて危険です。窓を開けて換気をして下さい。」等の音声メッセージを音声IC5から読み出してスピーカ4により音声出力させるCO高濃度警報動作を開始する(ステップS5)。
【0048】
CO検知ポイントでの出力がCO高濃度警報レベルに達していないとき(ステップS4がnoのとき)には、CO検知ポイントでの出力がCO低濃度警報レベル(図8参照)に達しているか否かを、COセンサ抵抗値RsCOがCO高濃度警報レベルに対応する抵抗値α以下であるか否かによって確認する(ステップS6)。CO検知ポイントでの出力がCO低濃度警報レベルに達しているとき(ステップS6がyesのとき)には、不完全燃焼警報インジケータ3bを黄色点灯させると共に、「ピッポッピッポッ、空気が汚れて危険です。窓を開けて換気をして下さい。」等の音声メッセージを音声IC5から読み出してスピーカ4により音声出力させるCO低濃度警報動作を開始する(ステップS7)。
【0049】
CO検知ポイントでの出力がCO低濃度警報レベルに達していないとき(ステップS6がnoのとき)には、CO濃度警報動作が行われていれば、その動作を停止させる(ステップS8)。
【0050】
濃度警報動作を開始させるかその動作を停止させるかした後(ステップS5、ステップS7又はステップS8の後)、CO検知ポイントで検出した半導体式ガスセンサ1の出力が設定変更判定レベルLaに達しているか否かを、COセンサ抵抗値RsCOが設定変更判定レベルに対応する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS9)。CO検知ポイントでの出力が設定変更判定レベルに達しているとき(ステップS9がyesのとき)には、それまで高レベルにあった点検レベルを低レベルに設定してから(ステップS10)、H2 検知ポイントで検出した出力が低レベルの点検レベルに達しているか否かを、H2 センサ抵抗値RsH2 が低レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS11)。H2 センサ抵抗値RsH2 が低レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下でないとき(ステップS11がnoのとき)には、上述したステップS2に戻って上述した処理を繰り返す。
【0051】
2 センサ抵抗値RsH2 が低レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるとき(ステップS11がyesのとき)には、ガス漏れ警報インジケータ3cを赤色点灯させると共に、「ピッピッピッ、ガスが漏れていませんか。」等の音声メッセージを音声IC5から読み出してスピーカ4により音声出力させるガス漏れ警報動作を開始する(ステップS12)。
【0052】
また、CO検知ポイントでの出力が設定変更判定レベルに達していないとき(ステップS9がnoのとき)には、H2 検知ポイントで検出した出力が高レベルの点検レベルに達しているか否かを、H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS13)。H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるとき(ステップS13がyesのとき)には、ガス漏れ警報動作を開始する(ステップS12)。H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下でないとき(ステップS13がnoのとき)には、上述したステップS2に戻って上述した処理を繰り返す。
【0053】
図9のフローチャートを参照して行った説明から明らかなように、マイコン10のCPU10aは、点検期間中に低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する第1の点検手段10a−1、点検期間中に高温部から低温部への移行により温度が低下する過渡部と前記低温部で出力を検出し、過渡部で検出した出力が点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する第2の点検手段10a−2として働く他、第1の点検手段が低温部で検出した出力が予め定めた設定変更判定レベルに達するまで、H2 点検レベルを、過渡部で検出される出力が到達しない高レベルに設定し、設定変更判定レベルに達した後、H2 点検レベルを、過渡部で検出される出力が到達する低レベルに設定するH2 点検レベル設定手段10a−21としても働いている。
【0054】
上述したステップS12においてガス漏れ警報動作を開始した後には、例えば、図10のフローチャートに示す処理によって警報動作が停止される。すなわち、ガス漏れ警報動作の開始後、CO検知ポイントでのセンサ出力が設定変更判定レベルに達しない程に小さくなっているか否かを、COセンサ抵抗値RsCOが設定変更判定レベルに対応する抵抗値より大きいか否かによって確認する(ステップS20)。CO検知ポイントでのセンサ出力が設定変更判定レベルに達しないとき(ステップS20がyesのとき)には、点検レベルを高レベルに設定し(ステップS21)、H2 検知ポイントで検出した出力が高レベルの点検レベルに達しているか否かを、H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS22)。H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるとき(ステップS22がyesのとき)には、ステップS12に戻ってガス漏れ警報動作を継続する(ステップS22)。H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるとき(ステップS22がnoのとき)には、ガス漏れ警報動作を停止して(ステップS23)からステップS2戻る。
【0055】
上記ステップS20においてCO検知ポイントでのセンサ出力が設定変更判定レベルを超えていると判定されたとき(ステップS20がnoのとき)には、点検レベルを現在の低レベルに維持し(ステップS24)、H2 検知ポイントで検出した出力が低レベルの点検レベルに達しているか否かを確認する(ステップS25)。H2 検知ポイントで検出した出力が低レベルの点検レベルに達しているとき(ステップS25がyesのとき)には、ステップS12に戻ってガス漏れ警報動作を継続し、低レベルの点検レベル以下になったとき(ステップS25がnoのとき)には、ガス漏れ警報動作を停止して(ステップS26)からステップS2戻る。
【0056】
図10のフローチャートを参照して行った説明から明らかなように、マイコン10のCPU10aは、点検期間中の低温部で検出した出力が一度設定変更判定レベルに達した後、設定変更判定レベル以下に低下したとき、H2 点検レベルを元の高レベルに戻すH2 点検レベル設定手段10a−2として働いている。
【0057】
図10のフローチャートに示す処理では、CO検知ポイントでのセンサ出力が設定変更判定レベルに達しないとき(ステップS20がyesのとき)には、点検レベルを高レベルに設定している(ステップS21)ので、それだけ早くガス漏れ警報動作を停止することができるが、CO検知ポイントでのセンサ出力が設定変更判定レベルに達しているとき、点検レベルが低レベルに維持されるので、CO検知ポイントでのセンサ出力が設定変更判定レベル以下になるまで、ガス漏れ警報動作をなかなか停止することができない。
【0058】
この点、図11のフローチャートに示す処理によって、ガス漏れ警報動作を早急に停止することができるようになる。すなわち、警報動作を開始してから1ヒータサイクル経過した時点で(ステップS31)、点検レベルを高レベルに設定している(ステップS32)。H2 検知ポイントで検出した出力が高レベルの点検レベルになるとき(ステップS33がyesのとき)には、ステップS12に戻ってガス漏れ警報動作を継続するが、H2 検知ポイントで検出した出力が高レベルの点検レベル以下となったとき(ステップS33がnoのとき)には、ガス漏れ警報動作を停止して(ステップS34)からステップS2戻る。したがって、CO検知ポイントでのセンサ出力が長い時間設定変更判定レベル以下にならなくても、警報動作を開始してから1ヒータサイクル経過した後、H2 検知ポイントでの検出出力が高い点検レベル以下になった時点で、早急にガス漏れ警報動作を停止することができる。
【0059】
図11のフローチャートを参照して行った説明から明らかなように、マイコン10のCPU10aは、第2の点検手段が警報信号を出力した後直ちに、H2 点検レベルを元の高レベルに戻すH2 点検レベル設定手段10a−21として働いている。
【0060】
図9のフローチャートに示した実施の形態では、1つの設定変更判定レベルLaで点検レベルを2段階に設定しているが、図12に示すように、第1の設定変更判定レベルLaの他に、第2の設定変更判定レベルLbを使用し、、図13に示すように、点検レベルを低レベル、中レベル、高レベルの3段階に設定することができるように変形することができる。なお、第2の設定変更判定レベルLbはCO検知ポイントまでの時間が6秒の時点のCOガス濃度レベルに相当し、中レベルの点検レベルはH2 検知ポイントまでの時間が12秒の時点のH2 ガス濃度レベルに相当するように定められている。
【0061】
この変形例の概略構成と動作を、ROM11cに格納されたプログラムに従いCPU10aが行う処理を示す図14のフローチャートを参照してその詳細を説明する。なお、図14のフローチャートでは、図9のフローチャート中のCO検出警報点検処理を省略するとともに、同様のステップには同一の符号を付し、説明を省略している。
【0062】
CO検知ポイントで検出した半導体式ガスセンサ1の出力が第1の設定変更判定レベルLaに達しているか否かを、COセンサ抵抗値RsCOが設定変更判定レベルLaに対応する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS41)。CO検知ポイントでの出力が設定変更判定レベルLaに達しているとき(ステップS41がyesのとき)には、点検レベルを低レベルに設定してから(ステップS42)、H2 検知ポイントで検出した出力が低レベルの点検レベルに達しているか否かを、H2 センサ抵抗値RsH2 が低レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS43)。H2 センサ抵抗値RsH2 が低レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下でないとき(ステップS43がnoのとき)には、ステップS2に戻って処理を繰り返す。
【0063】
2 センサ抵抗値RsH2 が低レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるとき(ステップS43がyesのとき)には、ガス漏れ警報インジケータ3cを赤色点灯するとともに音声出力させるガス漏れ警報動作を開始する(ステップS12)。
【0064】
また、CO検知ポイントでの出力が第1の設定変更判定レベルLaに達していないとき(ステップS41がnoのとき)には、CO検知ポイントで検出した半導体式ガスセンサ1の出力が第1の設定変更判定レベルLaと第2の設定変更判定レベルLbとの間にあるか否かを、COセンサ抵抗値RsCOが設定変更判定レベルLa及びLbに対応する抵抗値の間にあるか否かによって確認する(ステップS44)。CO検知ポイントでの出力が設定変更判定レベルLa及びLb間にあるとき(ステップS44がyesのとき)には、点検レベルを中レベルに設定してから(ステップS45)、H2 検知ポイントで検出した出力が中レベルの点検レベルに達しているか否かを、H2 センサ抵抗値RsH2 が中レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS46)。H2 センサ抵抗値RsH2 が中レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下でないとき(ステップS46がnoのとき)には、ステップS2に戻って処理を繰り返す。H2 センサ抵抗値RsH2 が中レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるとき(ステップS46がyesのとき)には、ガス漏れ警報インジケータ3cを赤色点灯するとともに音声出力させるガス漏れ警報動作を開始する(ステップS12)。
【0065】
さらに、CO検知ポイントでの出力が設定変更判定レベルLa及びLb間にないとき、すなわち、設定変更判定レベルLbより大きいとき(ステップS44がnoのとき)には、点検レベルを高レベルに設定してから(ステップS47)、H2 検知ポイントで検出した出力が高レベルの点検レベルに達しているか否かを、H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるか否かによって確認する(ステップS48)。H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下でないとき(ステップS48がnoのとき)には、ステップS2に戻って処理を繰り返す。H2 センサ抵抗値RsH2 が高レベルの点検レベルに相当する抵抗値以下であるとき(ステップS48がyesのとき)には、ガス漏れ警報インジケータ3cを赤色点灯するとともに音声出力させるガス漏れ警報動作を開始する(ステップS12)。
【0066】
図14のフローチャートを参照して行った説明から明らかなように、マイコン10のCPU10aは、第1の点検手段が低温部で検出した出力に応じたレベルにH2 点検レベルを設定するH2 点検レベル設定手段10a−21として働いている。
【0067】
上述したステップS12においてガス漏れ警報動作を開始した後には、図9の実施形態同様に、図10及び図11のフローチャートに示す処理によって警報動作を停止することができる。
【0068】
なお、図9〜図11及び図14中、IIで示す部分の処理では、詳細は省くが、サーミス
タ2が検知した雰囲気温度と、予め格納してある温度補正係数とに基づいて、H2 検知ポイントにおいて検出した半導体式ガスセンサ1の出力を温度補正しており、温度補正された出力はその後の判定ステップにおいて点検レベルと比較される。また、III で示す部分の処理では、詳細は省くが、サーミスタ2が検知した雰囲気温度と、予め格納してある温度補正係数とに基づいて、CO検知ポイントにおいて検出した半導体式ガスセンサ1の出力を温度補正を行っており、温度補正された出力はその後の判定ステップにおいて点検レベルと比較される。
【0069】
図9〜図11及び図14中、IIで示す部分の処理によって、マイコン10のCPU10
aは、過渡部で検出した出力又はH2 点検レベルを雰囲気温度によって補正する温度補正手段10a−22として働いている。
【0070】
上述した実施形態では特に言及していないが、ガスライタの内炎ガスを点検ガスとしたとき、点検ガス中のH2 ガス濃度が0.6〜1.0%と低く、図15(a)に示す装置ケース100の点検ガス注入口101では、半導体式ガスセンサ1に実際に吹き付けられるH2 ガス濃度はその10分の1程度になってしまう。これに対し、図15(b)に示すように、点検ガス注入口101から半導体式ガスセンサ1のガス導入部1dに至るガス案内路101aを点検ガス注入口101に連設することによって、案内路101aのないものに比べて半導体式ガスセンサのガス導入部1dに導入されるH2 ガス濃度を1.5倍程度に高めることができる。このように、半導体式ガスセンサ1のガス導入部1dに導入されるH2 ガス濃度が高くなることによって、点検レベルを高くしても点検ガスのH2 を確実に検出することができるようになり、点検レベルが低いことによって発生する点検誤動作を起こり難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による複合型ガス警報装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による複合型ガス警報装置の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】半導体式ガスセンサの概略構成を示す一部破断図である。
【図4】ヒータサイクルを示すタイミングチャート図である。
【図5】点検ガス注入タイミングによるH2 ガス濃度の変化を示す図である。
【図6】H2 の検知ポイントまでの時間によるセンサ抵抗の変化と点検レベルの関係を示す図である。
【図7】COの検知ポイントまでの時間によるセンサ抵抗の変化と設定変更判定レベルの関係を示す図である。
【図8】センサ抵抗と警報レベル設定変更判定レベルの関係を示す図である。
【図9】図2中のCPUが行う処理の一部を示すフローチャートである。
【図10】図2中のCPUが行う処理の多の一部を示すフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートの変形例を示すフローチャートである。
【図12】COの検知ポイントまでの時間によるセンサ抵抗の変化と設定変更判定レベルの関係を示す図である。
【図13】H2 の検知ポイントまでの時間によるセンサ抵抗と点検レベルの関係を示す図である。
【図14】図9のフローチャートの変形例を示すフローチャートである。
【図15】点検ガス注入口と半導体式ガスセンサの県警を示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 半導体式ガスセンサ
10a−1 第1の点検手段(CPU)
10a−2 第2の点検手段(CPU)
10a−21 H2 点検レベル設定手段(CPU)
10a−22 温度補正手段(CPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体式ガスセンサを周期的に温度変化させて高温部と低温部での出力をそれぞれ検出し、前記高温部で検出した出力がCH4 濃度警報レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力し、前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力する複合型ガス警報装置であって、
点検期間中に前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する第1の点検手段と、
前記点検期間中に前記高温部から前記低温部への移行により温度が低下する過渡部と前記低温部で出力を検出し、前記過渡部で検出した出力がH2 点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する第2の点検手段とを備え、
前記第2の点検手段は、前記第1の点検手段が前記低温部で検出した出力が予め定めた設定変更判定レベルに達するまで、前記H2 点検レベルを、前記過渡部で検出される出力が到達しない高レベルに設定し、前記設定変更判定レベルに達した後、前記H2 点検レベルを、前記過渡部で検出される出力が到達する低レベルに設定するH2 点検レベル設定手段を有する
ことを特徴とする複合型ガス警報装置。
【請求項2】
前記H2 点検レベル設定手段は、前記点検期間中の前記低温部で検出した出力が一度前記設定変更判定レベルに達した後、前記設定変更判定レベル以下に低下したとき、前記H2 点検レベルを元の高レベルに戻す
ことを特徴とする請求項1記載の複合型ガス警報装置。
【請求項3】
前記第2の点検手段は、前記過渡部で検出した出力が前記H2 点検レベルに達している間前記警報信号を出力し続け、
前記H2 点検レベル設定手段は、前記第2の点検手段が前記警報信号を出力した後直ちに、前記H2 点検レベルを元の高レベルに戻す
ことを特徴とする請求項1記載の複合型ガス警報装置。
【請求項4】
前記第2の点検手段は、前記過渡部で検出した出力又は前記H2 点検レベルを雰囲気温度によって補正する温度補正手段を有する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の複合型ガス警報装置。
【請求項5】
半導体式ガスセンサを周期的に温度変化させて高温部と低温部での出力をそれぞれ検出し、前記高温部で検出した出力がCH4 濃度警報レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力し、前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力する複合型ガス警報装置において、
点検期間中に前記低温部で検出した出力がCO濃度警報レベルに達したとき不完全燃焼を示す警報信号を出力して不完全燃焼を検出警報する機能を点検する第1の点検手段と、
前記点検期間中に前記高温部から前記低温部への移行により温度が低下する過渡部と前記低温部で出力を検出し、前記過渡部で検出した出力がH2 点検レベルに達したときガス漏れを示す警報信号を出力してガス漏を検出警報する機能を点検する第2の点検手段とを備え、
前記第2の点検手段は、前記第1の点検手段が前記低温部で検出した出力に応じたレベルに前記H2 点検レベルを設定するH2 点検レベル設定手段を有する
ことを特徴とする複合型ガス警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−176657(P2008−176657A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10734(P2007−10734)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】