説明

複合材料の製造方法

【課題】 基材上に、機能性材料からなる微細なパターンを、鮮明に且つ少ない工程で形成する方法、当該方法を用いて複合材料を簡易に効率よく製造する方法、及び前記方法で得られる広範な分野で利用可能な複合材料を提供する。
【解決手段】 本発明の機能性材料からなるパターンの製造方法は、(A)基材上に、高分子成分を含むインクを用いて所望のパターンを有する印刷層を設ける工程、(B)印刷層を相転換法により多孔質化して、多数の微小孔を有する多孔質層を形成する工程、及び(C)機能性材料を多孔質層に対応するパターンに描写して機能性付与層を形成する工程を含んでいる。本発明の複合材料の製造方法は、上記本発明の方法を用いて基材上に機能性材料からなるパターンを形成して複合材料を得る方法である。前記方法で製造される複合材料としては、例えば回路基板、放熱板、電磁波制御材、及びアンテナ等が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体などの機能性材料からなるパターンを製造する方法及びこの方法を用いた複合材料の製造方法に関する。このような複合材料は、回路基板、ヒートシンクや放熱板などの放熱材、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、アンテナなどに利用できる。
【背景技術】
【0002】
種々の有用な電子材料は、基材上に、導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体や色素を所望のパターンに描写(パターニング)する方法で製造されている。例えば、樹脂上に銅や銀等の導電体をパターニングすることで、回路基板、放熱材(ヒートシンク、放熱板)、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、アンテナ等を作成することができる。その他にも、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、ICカード、ICタグ、太陽電池、LED素子、有機トランジスタ、コンデンサー(キャパシタ)、電子ペーパー、フレキシブル電池、フレキシブルセンサ、メンブレンスイッチ、タッチパネル、EMIシールド等に機能性材料がパターニングされた材料が使用されている。
【0003】
これまで、回路基板を構成する電子回路配線は、いわゆるフォトエッチング(フォトリソグラフィ)によって作成されてきた。フォトエッチングは、例えば以下の工程からなるサブトラクティブ法(エッチング法)呼ばれる配線形成法を用いて行われている。すなわち、エポキシ樹脂やポリイミド等の基板に銅箔を張り合わせた銅張り積層板を作成する積層工程、銅箔上にフォトレジストを塗布する塗布工程、フォトマスクを乗せて露光した後に現像して配線に相当する部分のレジスト膜を残す露光・現像工程、銅エッチングを施してレジストの下の銅を残すエッチング工程、及びレジストを除去する工程を経て、基板上に配線が形成される方法である。このように、フォトエッチングは、複雑な操作を含む多くの工程を要し、しかも実施には、フォトレジストの塗布装置、露光装置、エッチング槽、洗浄乾燥装置などの多くの装置が必要であるという問題があった。
【0004】
近年、エッチング法に代わる、製造コストの低減効果が期待される方法により電子回路配線を形成するための種々の試みがなされている。例えば、アクティブ法は、基板上に、必要な配線物質を回路パターン状に選択的に形成していく方法であって、工程数が少ない点で有利である(株式会社工業調査会発行 電子材料 2006年4月号 23頁)。しかし、工業的に利用するには困難な方法であった。
【0005】
【非特許文献1】株式会社工業調査会発行 電子材料 2006年4月号 23頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、基材上に、機能性材料からなる微細なパターンを、鮮明に且つ少ない工程で形成する方法、当該方法を用いて複合材料を簡易に効率よく製造する方法、及び前記方法で得られる広範な分野で利用可能な複合材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、高分子成分を含むインクを所望のパターンに印刷した後、多孔質化させて形成される多孔質層の表面に、機能性成分を含む塗布液を印刷することにより、微細なパターンからなる機能性付与層を簡易な方法で効率よく形成することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)基材上に、高分子成分を含むインクを用いて所望のパターンを有する印刷層を設ける工程、(B)印刷層を相転換法により多孔質化して、多数の微小孔を有する多孔質層を形成する工程、及び(C)機能性材料を多孔質層に対応するパターンに描写して機能性付与層を形成する工程を含む機能性材料からなるパターンの製造方法を提供する。
【0009】
前記工程(A)において、インクに含まれる高分子成分としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0010】
基材を構成する材料には、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂等が含まれる。
【0011】
工程(A)において、インクに含まれる高分子成分として、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、及び芳香族ポリアミド系樹脂等が用いられ、基材を構成する材料として、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等が用いられる。前記工程(A)に用いるインクには、メッキ触媒が含まれていても良い。前記工程(A)に用いるインクとして、例えば、高分子成分8〜25重量%、水溶性ポリマー5〜50重量%、水0〜10重量%、水溶性極性溶媒30〜82重量%、メッキ触媒0〜10重量%からなる混合溶液を利用できる。
【0012】
前記工程(C)は、(C-1)機能性材料を用いて多孔質層にメッキを施す方法、(C-2)機能性材料を含む塗布液を用いて多孔質層上に印刷を施す方法、及び(C-3)機能性材料を含む塗布液を多孔質層側の面全体に塗布した後、洗浄する方法から選択される少なくとも一つの方法を用いる工程である等で形成することができる。前記機能性材料としては、例えば導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体、着色剤、耐薬品性材料等を利用できる。工程(C)で形成される機能性付与層は、金属メッキ層又は磁性メッキ層であってもよい。
【0013】
前記工程(B)における多孔質層は、例えば、平均孔径0.01〜10μmの微小孔を有し、空孔率が30〜80%である。また、本発明においては、多孔質層が耐薬品高分子により被覆されていてもよい。
【0014】
また、本発明は、上記本発明の方法を用いて基材上に機能性材料からなるパターンを形成して複合材料を得る複合材料の製造方法を提供する。前記方法で製造される複合材料としては、例えば回路基板、放熱板、電磁波制御材、及びアンテナ等が挙げられる。
【0015】
さらに、本発明は、上記本発明の方法で得られる複合材料を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の方法によれば、印刷パターンを多孔質化して得られたパターン形状を有する多孔質層に、機能性材料を蓄積させることにより、機能性材料からなる微細なパターンを少ない工程で簡易に形成することができる。このため、導電体などの機能性材料を用いて微細なパターンが形成される複合材料を、従来法と比較して工程を簡素化でき、低コストで製造することができる。また、平面に限定されず、凹凸や曲面など立体表面に対しても、機能性材料からなるパターンを容易に形成することができる。このため、回路基板、ヒートシンクや放熱板などの放熱材、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、アンテナなどの広範な分野の複合材料を製造する方法として好適に利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の機能性材料からなるパターンの製造方法の一例を示す概略工程図である。図1中、(A)は、基材1の片面に、高分子成分を含むインクを用いて印刷を施すことにより印刷層21aを形成する工程、(B)は、印刷層21aを相転換法により多孔質化して、多数の微小孔を有する多孔質層21bを形成する工程、(C)は、機能性材料を多孔質層21bに対応するパターンに描写して機能性付与層31bを形成する工程を示している。
【0018】
工程(A)に用いる基材1を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、樹脂、金属、ガラス、シリコン、セラミックなどを主な成分とし、必要に応じて添加物を用いることができる。基材1を構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。また、上記樹脂の共重合体(グラフト重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体等)を単独で又は組み合わせて用いることも可能である。さらに、上記樹脂の骨格(ポリマー鎖)を主鎖又は側鎖に含む重合物を用いることも可能である。このような重合物の具体例として、ポリシロキサンとポリイミドの骨格を主鎖に含むポリシロキサン含有ポリイミド等が挙げられる。
【0019】
基材1を構成する金属としては、例えば、銅、アルムニウム、鉄、ニッケル、金、銀、錫、亜鉛、チタン等の他、ステンレス等の合金等が挙げられる。これらの金属は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。さらに各種の添加物が加えられたものであっても良い。本発明における基材1としては、上記金属を構成成分とする金属箔やシート等を利用することもできる。
【0020】
基材1は、本発明に用いられる溶剤等に対して不溶性又は難溶性を示し、溶剤に接触しても変質や変形等がないか生じにくい材料で構成されていることが好ましい。具体的には、印刷層の形成に用いるインクや、相転換法に用いる凝固液等に含まれる溶剤等への耐性を有する材料が好ましく用いられる。耐溶剤性が低すぎる基材は、溶剤との接触により溶解したり、膨潤や軟化などの激しい変形により膜質が変化し、パターンの歪みを引き起こしてしまうため、例えば、配線基板の寸法安定性を低下させてしまう等の問題が生じやすい。従って、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドなどの耐溶剤性に優れた材料からなる基材が好ましく用いられる。
【0021】
また、透明な基材1は、電磁波シールドフィルムや、ディスプレイ、パネルなどの光学部品を構成する部材として好ましく用いられる。透明な基材1を構成する材料としては、例えば、ガラス;PETやPENなどの透明な樹脂等が挙げられる。
【0022】
基材1の形状は、特に限定されず、シート状、フィルム状、板状などの平面形状であってもよく、直方体や立方体、円筒状、円柱状、球状などの曲面や凹凸を有する立体形状であってもよい。平面形状の基材1として、例えばフィルム状の基材は、ロールツーロールで連続的に製造することにより、生産効率を著しく向上させることができる。また、立体形状の基材は、例えば、熱可塑性樹脂等を素材とするフィルム状、板状等の平面形状の基材を熱プレス等の公知の加工手段を用いて形成することができる。また、貫通穴のみを有する基材を用いることもでき、このような基材として、例えば、織布、メッシュクロス、パンチングフィルム、金網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、エッチングメタル、不織布等を例示できる。
【0023】
基材1は単層であってもよく、同一又は異なる素材からなる複数の層からなる複合フィルムであってもよい。複合フィルムは、複数のフィルムを必要に応じて接着剤等を用いて積層した積層フィルムであってもよく、コーティング、蒸着、スパッタ等の処理が施されて得られるものでもよい。
【0024】
基材1には、易接着処理、静電気防止処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、ケミカルエッチング処理、ウォーターマット処理、火炎処理、熱処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理、シランカップリング剤処理等表面処理が施されていてもよく、このような表面処理が施された市販品も使用可能である。このような基材1としては、例えば易接着処理や静電気防止処理が施されたPETフィルムや、プラズマ処理されたポリイミドフィルム等が挙げられる。特に、機能性付与層形成時に無電解メッキが施される場合には、パターン非形成面へメッキ層が形成されるのを防ぐため、粗面処理が施されていない基材を使用することが望ましい。
【0025】
また、上記表面処理を複数組み合わせて行うことも可能である。例えば、基材に対して、まず、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、紫外線照射処理等の何れかの処理を施した後に、シランカップリング剤処理を行う方法等を利用できる。基材の種類によっては、上記方法は、シランカップリング剤の単独処理と比較して処理が強化される場合があり、特にポリイミド系基材で高い効果が期待できる。シランカップリング剤としては、信越化学工業社製やジャパンエナジー社製の製品を挙げることができる。
【0026】
本発明における基材としては、以下に例示される市販品のフィルム等を用いることもできる。ポリイミド系樹脂フィルムとしては、東レ・デュポン株式会社製の「カプトン」、株式会社カネカ製の「アピカル」、宇部興産株式会社の「ユーピレックス」等が市販されている。ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとしては、帝人デュポンフィルム株式会社製の「テイジンテトロンフィルム」、「メリネックス」、「マイラー」等が市販されている。ポリエチレンナフタレート系樹脂フィルムとしては、帝人デュポンフィルム株式会社製の「テオネックス」等が市販されている。
【0027】
液晶性ポリエステル系樹脂として、ポリプラスチックス株式会社製の「ベクトラ」、東レ株式会社製の「シベラス」、住友化学工業株式会社製の「スミカスーパーLCP」等の市販の樹脂をフィルム化して用いる事が可能である。
また、株式会社クラレ製の「ベクスター」、ジャパンゴアテックス株式会社「バイアック」の液晶性ポリエステル系樹脂フィルムを使用することもできる。
【0028】
オレフィン系樹脂フィルムとして最も汎用的に使用されるフィルムにはポリプロピレンのフィルムが挙げられ、市販のものを容易に入手する事ができる。その他にも環状構造を持つ環状オレフィン系樹脂製のフィルムを使用することもでき、例えば三井化学株式会社製の「TPX」、日本ゼオン株式会社製の「ゼオノア」、ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS」等の市販の樹脂をフィルム化して用いる事が可能である。
【0029】
基材1の厚みは、特に限定されないが、フィルム状の基材の場合は、例えば1〜300μm程度で用いられる場合が多く、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜100μmである。厚みが薄くなりすぎると取り扱いが困難になり、一方厚すぎる場合には柔軟性が低下する場合がある。上記に例示の市販の基材フィルムには、厚みが12μm、12.5μm、25μm、50μm、75μm、125μm等のものがあり、いずれも利用できる。
【0030】
また、貫通穴のみを有する基材を用いる場合には、貫通穴を多数有する基材の厚みは、例えば1〜1000μm、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜100μmである。貫通穴を多数有する基材の厚みが薄くなりすぎると取り扱いが困難になり、一方厚すぎる場合には柔軟性が低下する場合がある。
【0031】
工程(A)に用いるインクは、少なくとも高分子成分を含んでいる。高分子成分は、多孔質層を構成する成分であって、水溶性極性溶媒に溶解性を有し相転換法により容易に多孔質可能であることが好ましい。このような高分子成分としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。これらの高分子成分は単独で又は2種以上混合して使用してもよく、また、上記樹脂の共重合体(グラフト重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体等)を単独で又は組み合わせて用いることも可能である。さらに、上記樹脂の骨格(ポリマー鎖)を主鎖又は側鎖に含む重合物を用いることも可能である。このような重合物の具体例として、ポリシロキサンとポリイミドの骨格を主鎖に含むポリシロキサン含有ポリイミド等が挙げられる。さらに、前記高分子成分として、上記に例示の樹脂の原料となる重合性成分(モノマー、オリゴマー等)、及びイミド化前化合物や環化前化合物等の前駆体等を用いてもよい。
【0032】
なかでも、耐熱性に優れる点で、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂等のイミド含有樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂等の樹脂、及びこれらの原料や前駆体等が用いられる場合が多く、特に、十分な耐熱性を有し、しかも熱変形が可能であるため加工しやすく、機械的強度、耐薬品性、電気特性に優れていることからポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂等のイミド含有樹脂、及びその原料や前駆体等が好ましく用いられる。
【0033】
このようなインクは、高分子成分以外に、水溶性ポリマー、水溶性極性溶媒、必要に応じて水からなる混合溶液等を用いることができ、さらに、印刷用インクを構成する成分として公知のものを適宜選択して用いることができる。
【0034】
前記水溶性ポリマーや水は、膜構造をスポンジ状に多孔化するために効果的である。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、多糖類等やその誘導体、及びこれらの混合物などが挙げられる。なかでもポリビニルピロリドンは、フィルム内部におけるボイドの形成を抑制し、フィルムの機械的強度を向上しうる点で好ましい。これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。多孔化の観点から、多孔化のためには、水溶性ポリマーの分子量は200以上が良く、好ましくは300以上、特に好ましくは400以上(例えば、400〜20万程度)であり、特に分子量1000以上であってもよい。水の添加によりボイド径を調整でき、例えばポリマー溶液への水の添加量を増やすとボイド径を大きくすることが可能となる。
【0035】
水溶性ポリマーは、膜構造をスポンジ状にするのに非常に有効であり、水溶性ポリマーの種類と量を変更する事により多様な構造を得ることが可能である。このため、水溶性ポリマーは、所望の空孔特性を付与する目的で、多孔質層を形成する際の添加剤として極めて好適に用いられる。一方、水溶性ポリマーは、最終的には多孔質層を構成しない、除去すべき不要な成分である。湿式相転換法を利用する本発明の方法においては、水溶性ポリマーは水等の凝固液に浸漬して相転換する工程において洗浄除去される。これに対し、乾式相転換法においては、多孔質層を構成しない成分(不要な成分)は加熱により除去され、水溶性ポリマーは通常加熱除去に不向きであるため添加剤として利用することは極めて困難である。このように、乾式層転換法によっては多様な空孔構造を形成することは困難であるのに対し、本発明の方法は、所望の空孔特性を有する多孔質層を容易に製造することができる点で有利である。
【0036】
水溶性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン及びこれらの混合物などが挙げられ、前記高分子成分として使用する樹脂の化学骨格に応じて溶解性を有するもの(高分子成分の良溶媒)を使用することができる。
【0037】
本発明に用いるインクとしては、例えば、高分子成分8〜25重量%、水溶性ポリマー5〜50重量%、水0〜10重量%、水溶性極性溶媒30〜82重量%からなる混合溶液などが好ましい。この際に、高分子成分の濃度が低すぎると多孔質層の厚みが不十分となったり、所望の空孔特性が得られにくく、また高すぎると空孔率が小さくなる傾向にある。水溶性ポリマーは、多孔質層内部を均質なスポンジ状の多孔構造にするために添加するが、この際に濃度が低すぎるとフィルム内部に10μmを超えるような巨大ボイドが発生し均質性が低下する。また水溶性ポリマーの濃度が高すぎると溶解性が悪くなる他、50重量%を超える場合には、多孔質層の強度が弱くなるなどの不具合が生じやすい。水の添加量はボイド径の調整に用いることができ、添加量を増やすことで径を大きくすることが可能となる。
【0038】
本発明におけるインクは、さらに、メッキ触媒を含んでいてもよい。メッキ触媒を含むインクによれば、多孔質層にメッキ触媒核を形成するためメッキ層を積層しやすい多孔質層を提供することができる。
【0039】
メッキ触媒としては、特に限定されないが、パラジウム、白金、銀、銅、ニッケル等の金属等の他、メッキ触媒の前駆体を用いることもできる。メッキ触媒の前駆体には、例えば、メッキ触媒を構成する金属の塩、錯体、酸化物、水酸化物等が含まれる。これらのメッキ触媒は微粒子の形態で用いられる場合が多く、当該粒子の平均粒子径が0.001〜10μm程度の範囲内であるのが好ましい。、特に無電解メッキ処理の触媒として作用する金属の塩を使用できる。具体的には、例えば、金、銀及び銅からなる銅族元素、パラジウム及び白金等の白金族元素、並びにニッケル等の鉄族元素から選ばれる金属のオキシカルボン酸塩(クエン酸塩、酒石酸塩等)又は無機金属塩(硫酸塩、塩酸塩等)などが挙げられる。これらのメッキ触媒は粒子形状のものが多く、水溶性極性溶媒に溶解しないものの場合は平均粒子径が0.001〜10μm程度の範囲内である粒子が好ましく用いられる。
【0040】
メッキ触媒を含むインクの代表的な例としては、例えば、高分子成分8〜25重量%、水溶性ポリマー5〜50重量%、水0〜10重量%、水溶性極性溶媒30〜82重量%、メッキ触媒0.1〜10重量%からなる混合溶液等が挙げられる。
【0041】
メッキ触媒としてメッキ触媒の前駆体を用いる場合には、さらに還元剤を用いて金属に還元することによりメッキ触媒核を形成する工程が設けられる。前記工程は、印刷されたメッキ触媒核を利用した積層工程、例えば後述する工程(C-1)より前に設けられ各工程と同時、前後、工程間のいずれに設けてもよい。還元剤としては、慣用のものを用いることができ、例えば、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸の塩、ヒドラジン又はその塩、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素系化合物、アミノボラン系化合物、ブドウ糖、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸、グリオキシル酸等のなどが挙げられる。還元処理は、例えば、0.5〜10重量%の還元剤水溶液を、室温〜50℃程度の温度で多孔質層に接触させる方法で行われる。
【0042】
インクを印刷する方法としては、特に限定されず、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、メタルマスク印刷、ディスペンサ印刷、凸版印刷(フレキソ印刷)、昇華(溶融)型印刷、オフセット印刷、レーザープリンタ印刷(トナー印刷)、感熱印刷、凹版印刷(グラビア印刷)、コンタクト印刷、マイクロコンタクト印刷などの何れであってもよい。これらの印刷法は公知乃至慣用の方法で行うことができる。
【0043】
印刷によりパターンを形成する代表的な方法としては、例えば、(i)基材表面に、インクをインクジェット方式で印刷してパターンを形成する方法、(ii)所望のパターンに凹凸を形成した版にインクを塗布し、これを基板表面に転写してパターンを形成する方法、(iii)基材表面に、インクをシリンジから押出し、描写することでパターンを形成する方法、(iv)基材表面に、インクをスクリーン印刷により描写することでパターンを形成する方法、(v)基材上にメタルマスクを載せて密着させ、その上にインク又はペーストを展開し、ヘラでメタルマスクの開口部に液を充填した後、余分な液をすり切り、メタルマスクをゆっくり除去することでパターンを形成するメタルマスク印刷による方法などが挙げられる。
【0044】
なお、図1では、基材1の片面にのみ印刷層が設けられているが、本発明においてはこれに限定されず、基材1の両面に印刷層が設けられていても良い。
【0045】
本発明においては、基材1と印刷層(後の多孔質層)との密着性の観点から、インクに含まれる高分子成分が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系、及びポリアミド系樹脂から選択される少なくとも一種であり、基材1を構成する材料が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂から選択される少なくとも一種で構成されていることが好ましい。同様の観点から、複合材料の好ましい態様として、基材と印刷層(後の多孔質層)を構成する各成分の一部又は全部が同一、例えば両層を構成する高分子化合物のモノマー単位の少なくとも一部が共通である構成が挙げられる。このような複合材料の具体例として、例えば、基材/多孔質層を構成する材料が、ポリイミド/ポリイミド、ポリアミドイミド/ポリイミド、ポリイミド/ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド/ポリイミド、ポリイミド/ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド/ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミド/ポリアミドイミドなどの組み合わせからなる積層体が含まれる。
【0046】
本発明において、貫通孔のみを有する基材で複合材料を構成する場合には、同基材と印刷層(後の多孔質層)との密着性の観点から、インクに含まれる高分子成分が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系、及びポリアミド系樹脂から選択される少なくとも一種であり、貫通穴のみを有する基材を構成する材料が、織布、不織布、メッシュクロス、パンチングフィルム、金網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、エッチングメタルから選択される少なくとも一種で構成されていることが好ましい。
【0047】
本発明において、金属箔基材で複合材料を構成する場合には、同基材と印刷層(後の多孔質層)との密着性の観点から、インクに含まれる高分子成分が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系、及びポリアミド系樹脂から選択される少なくとも一種であり、金属箔基材を構成する材料が、銅箔、アルミ箔、鉄箔、ニッケル箔、金箔、銀箔、錫箔、亜鉛箔、ステンレス箔から選択される少なくとも一種で構成されていることが好ましい。
【0048】
印刷層は、基材の少なくとも片面に形成されていればよく、両面に形成することもできる。
【0049】
工程(B)における相転換法とは、高分子成分を含むインクを高加湿下などに置き相分離を起こさせた後に凝固液に接触させて多孔質化する方法である。成分として使用する高分子の種類によって適宜選択されるが、例えば、ポリ相転換法に用いる凝固液としては、高分子成分を凝固させる溶剤であればよく、高分子アミドイミド系樹脂又はポリアミック酸を凝固させる溶剤であればよく、例えば、水;メタノール、エタノール等の1価アルコール、グリセリン等の多価アルコールなどのアルコール;ポリエチレングリコール等の水溶性高分子;これらの混合物などの水溶性凝固液などが使用できる。特に、前記工程(A)で形成された印刷層がメッキ触媒を含む場合には、相転換法に用いる凝固液として、メッキ触媒の作用を損なわないものが好ましく用いられる。
【0050】
凝固液に接触させて多孔質化する方法としては、例えば、湿式相転換法によりフィルムを得る方法(例えば、特開2001−145826号公報参照)、乾式相転換法(例えば、国際公開公報WO98/25997号パンフレット等参照)、及び溶媒置換速度調整材を用いる方法(例えば、特開2000−319442号公報、特開2001−67643号公報参照)等の公知の方法を利用可能である。
【0051】
相転換法は、具体的には、例えば、高分子成分を含むインクからなる印刷層を、相対湿度70〜100%、温度15〜90℃からなる雰囲気下に0.2〜15分間保持した後、高分子成分の非溶剤からなる凝固液に導く方法により行うことができる。基材上に印刷層が形成された積層体を上記条件におくことにより、均質で連通性の高い多孔質層を得ることができる。この理由としては、加湿下に置くことにより水分が印刷層表面から内部へと侵入し、高分子成分を含むインクの相分離を効率的に促進するためと考えられる。特に好ましい条件は、相対湿度90〜100%、温度30〜80℃であり、相対湿度約100%(例えば、95〜100%)、温度40〜70℃である。空気中の水分量がこれよりも少ない場合は、表面の開孔率が充分でなくなる不具合が発生する場合がある。
【0052】
本発明の方法によれば、凝固液に導いて多孔質化した後、そのまま乾燥に付すことにより、基材の表面に多孔質層が直接積層された積層体を得ることができる。乾燥は、凝固液等の溶剤成分を除去しうる方法であれば特に限定されず、加熱下でもよく、室温による自然乾燥であってもよい。加熱処理の方法は特に制限されず、熱風処理、熱ロール処理、あるいは、恒温槽やオーブン等に投入する方法でもよく、多孔膜積層体を所定の温度にコントロールできるものであればよい。加熱温度は、例えば室温〜600℃程度の広範囲から選択することができる。加熱処理時の雰囲気は空気でも窒素や不活性ガスでもよい。空気を使用する場合が最も安価であるが、酸化反応を伴う可能性がある。これを避ける場合は、窒素や不活性ガスを使用するのがよく、コスト面からは窒素が好適である。加熱条件は、生産性、多孔質層及び基材の物性等を考慮して適宜設定される。
【0053】
一般に、多数の微小孔を有する多孔質層は柔軟なため、多孔質層を構成するフィルム単体では取扱にくく積層工程が困難であるが、基材に積層された印刷層を多孔質化とする本発明の方法によれば、このような問題を回避でき、優れた空孔特性を有する多孔質層と基材とが直接積層された積層体を容易に得ることができる。
【0054】
上記方法によれば、例えば、連通性を有する多数の微小孔を有しする多孔質層を容易に形成することができる。
【0055】
多孔質層の厚みは、印刷層の厚みと同程度であり、例えば0.1〜100μm、好ましくは0.5〜70μm、さらに好ましくは1〜50μmである。厚みが薄くなりすぎると安定して製造するのが困難になり、一方厚すぎる場合には、孔径分布が不均一となる傾向にある。
【0056】
多孔質層が有する微小孔の平均孔径は、例えば0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmである。平均孔径が上記範囲外である場合には、用途に応じた所望の効果が得られにくい点で空孔特性に劣り、例えばサイズが小さすぎる場合には、クッション性能の低下、インクの浸透性の低下、絶縁性や断熱性の低下等を引き起こし、大きすぎる場合にはインクが拡散したり、微細な配線を形成しにくくなるという問題がある。
【0057】
多孔質層の内部の平均開孔率(空孔率)は、例えば30〜80%、好ましくは40〜80%、さらに好ましくは45〜80%である。空孔率が上記範囲外である場合には、用途に対応する所望の空孔特性が得られにくく、例えば空孔率が低すぎると、めっきが形成されにくくなったり、インクが浸透しなかったり、断熱性が低下したり、機能性材料を充填しても所望の効果が得られない場合があり、空孔率が高すぎると、強度や耐折性に劣る可能性がある。また、多孔質層の表面の開孔率(表面開孔率)としては、例えば48%以上(例えば30〜80%)であり、好ましくは40〜80%程度である。表面開孔率が低すぎるとめっきが形成されにくくなったり、インクが浸透しなかったりする他、空孔に機能性材料を充填してもその機能が十分に発揮できないことがあり、高すぎると強度、耐折性が低下しやすくなる。
【0058】
本発明における多孔質層の微小孔の径、空孔率、開孔率は、上記のように、高分子溶液の構成成分の種類や量、水の使用量、流延時の湿度、温度及び時間などを適宜選択することにより所望の値に調整することができる。
【0059】
図1中、多孔質層は基材の片面にのみ形成されているが、これに限定されず、基材の両面に多孔質層を形成することもできる。基材の両面に多孔質層を形成することにより、その空孔特性を生かして、両面に低誘電率性、クッション性、インク受像性、断熱性等が付与された複合材料を得ることができる。また、両面に印刷層が形成された基材に対し、片面のみ多孔質化することもできる。
【0060】
多孔質層は、所望の特性を付与するため、必要に応じて熱処理や被膜形成処理を施されていてもよい。例えば、多孔質層形成後の積層体に対し、さらに、熱、可視光線、紫外線、電子線、放射線等を用いて架橋処理を施してもよい。前記処理により、多孔質層を構成する前駆体の重合、架橋、硬化等が進行して高分子化合物を形成し、多孔質層を構成する高分子成分の架橋や硬化等が進行し、剛性や耐薬品性等の特性が一層向上した多孔質層を有する多孔膜積層体を得ることができる。例えば、ポリイミド系前駆体を用いて成形した多孔質層には、さらに熱イミド化あるいは化学イミド化等を施すことによりポリイミド多孔質層を得ることができる。ポリアミドイミド系樹脂を用いて成形された多孔質層には熱架橋を施すことができる。なお、熱架橋は、凝固液に導いた後、乾燥に付すための加熱処理と同時に施すことも可能である。また、架橋処理は、工程(C)の前、同時又は後に施すこともできる。
【0061】
上記の架橋処理は、場合により多孔質層と基材の間でも架橋反応を引き起こすことがある。これにより、基材と多孔質層との密着性が向上する。例えば、ポリイミド系前駆体の多孔質層を形成したポリイミドフィルム基材を熱処理すると、前駆体はポリイミドになると同時にポリイミドフィルムに密着する。また、ポリアミドイミド樹脂の多孔質層を形成したポリイミドフィルム基材を熱処理すると多孔質層はポリイミドフィルムに密着する。
【0062】
工程(C)における機能性材料としては、例えば、導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体、顔料等の着色剤、耐薬品性材料等の所望の機能を付与することができる公知の無機物、有機物など用いることができる。無機物の例としては、金属(金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなど)やガラス、無機EL材料(ZnS、Mn/CdSSe、ZnS:TbOF、ZnS:Tb、SrS:Ce、(SrS:CeZnS)、CaCa:Ce、SrGa:Ce、SrS:Ce/ZnS:Mnなど)、カーボン、その他無機材料(シリカ、ジルコニアなどのセラミック材料など)を用いることができる。有機物としてはメチレンブルーなどの有機染料、有機顔料、導電性高分子、有機半導体材料(ペンタセン類やチオフェン類など)、耐薬品性高分子等を用いることができる。これらの機能性材料は単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
【0063】
これらの機能性材料が固形物である場合、その形状は特に限定されず、粒子状、フレーク状、繊維状など燐片状、中空粒子、中空繊維状など様々な形状のものを使用することができる。機能性材料が粒子である場合、粒子サイズは特に限定されないが、例えば平均粒径数μm程度のものから、数nmのいわゆるナノ粒子も使用できる。これらの粒子は複数の種類を混合して使用することもできる。
【0064】
上記に例示の機能性材料のなかでも、導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体等の電子素材を用いることにより、配線が形成された回路基板、アンテナ、コンデンサー(キャパシタ)、トランジスタなどの電子部品等を製造することができる。
【0065】
導電体は、配線等を形成できるため、フレキシブル基板やTAB基板などの回路基板、アンテナ等を製造することができる。このような導電体としては、例えば、銀、金、銅、ニッケル、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化亜鉛、カーボン、カーボンナノチューブ等の導電性を有する無機粒子;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性の有機高分子からなる粒子を挙げることができる。前記ポリチオフェンとしては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等を挙げることができる。
【0066】
なかでも、無機粒子からなる導電体粒子が好ましく、特に電気特性やコストのバランスから、銀粒子や銅粒子が特に好ましく用いられる。粒子の形状としては、球状、鱗片状(フレーク状)等が挙げられる。
【0067】
これらの導電体は、溶液やコロイド状のインクの形態で用いることができる。なかでも、ITOや酸化亜鉛などの透明な導電体は、透明度の高い配線を形成しうるため、液晶パネルや有機ELなどのフラット・パネル・ディスプレイ、太陽電池、抵抗膜方式のタッチパネル等の光学分野に用いられる構成部材等として好ましく用いられる。
【0068】
誘電体は、コンデンサー(キャパシタ)等を形成できる。このような誘電体としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等を挙げることができる。
【0069】
半導体は、トランジスタ等を形成することができる。このような半導体としては、ペンタセン、液状シリコン、フルオレン−ビチオフェンコポリマー(F8T2)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)等を挙げることができる。
【0070】
前記耐薬品性高分子とは、多孔質層に薬品への耐性を付与する機能を有する材料である。ここで薬品とは、従来の多孔体(多孔性フィルムなど)を構成する樹脂を溶解、膨潤、収縮、分解して、多孔性フィルムとしての機能を低下させるものとして公知のものであり、多孔質層及び基材の構成樹脂の種類によって異なり一概に言うことは出来ないが、このような薬品の具体例として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン、シクロヘキサノン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロルエタン、テトラヒドロフラン(THF)等の強い極性溶媒;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩;トリエチルアミン等のアミン類;アンモニア等のアルカリを溶解した水溶液や有機溶媒等のアルカリ溶液;塩化水素、硫酸、硝酸等の無機酸;酢酸、フタル酸等のカルボン酸を持つ有機酸等の酸を溶解した水溶液や有機溶媒等の酸性溶液;及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0071】
耐薬品性高分子としては、強い極性溶媒、アルカリ、酸等の薬品に優れた耐性を有していれば特に制限されないが、例えば、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、アルキド系樹脂、トリアジン系樹脂、フラン系樹脂、不飽ポリエステル、エポキシ系樹脂、ケイ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂;ポリビニルアルコール、酢酸セルロース系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂、フタル酸系樹脂、マレイン酸系樹脂、飽和ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、キチン、キトサンなどの熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの高分子化合物は、一種または二種以上混合して使用することができる。また、高分子化合物は、共重合物でもよく、グラフト重合物であってもよい。
【0072】
このような耐薬品性高分子により被覆された多孔質層で構成されている複合材料は、前記強い極性溶媒、アルカリ、酸等の薬品と接触した場合にも、多孔質層が溶解したり、膨潤して変形するなどの変質が全く生じないか、使用目的や用途に影響のない程度に変質を抑制することができる。例えば、多孔質層と薬品とが接触する時間が短い用途では、その時間内で変質しない程度の耐薬品性が付与されていればよい。
【0073】
なお、前記耐薬品性高分子化合物は、同時に耐熱性を有する場合が多いため、多孔質層が耐薬品性高分子化合物で被覆される前と比較して耐熱性が低下するおそれは少ない。
【0074】
また、多孔質層を構成する微小孔に充填する目的で用いられる機能性材料として好ましい素材として、フェライト微粒子、金属微粒子(金属酸化物微粒子等の金属含有微粒子を含む)、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化チタン、チタン酸バリウム等を例示できる。機能性材料の充填条件は、特に限定されないが、サブミクロン〜ミクロン単位の分解能で充填することにより、多孔質層が本来有する空孔特性の損失を抑え、しかも機能性材料の充填量を調整しやすいなどの取扱性、操作性を向上でき好ましい。機能性材料を充填する場合、多孔質層の微小孔が小さすぎると機能性材料が充填されにくく、大きすぎると機能性材料の充填をサブミクロン〜ミクロン単位に制御することが困難となるため、微小孔の平均孔径は上記数値範囲内であることが好ましく、フィルム表面の最大孔径は15μm以下が好ましい。
【0075】
これらの機能性材料は、溶剤、その他の成分と組み合わせて溶液やコロイド状の印刷インク又はペースト等として用いられる。このような溶剤としては、機能性材料の種類及びその他の成分の種類等により適宜選択でき、例えば、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、フェノール系溶剤、ケトン系溶剤、脂肪酸・酸無水物、エステル系溶剤、含窒素・含硫黄極性溶剤、水などを使用できる。具体的には、例えば、トルエン、テルピネオール、デカリン、テトラデカン、デカノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブタノール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、エチレングリコール、グリセリン、水などが挙げられる。これらの溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なお、インク溶剤については、特開2004−319281号公報、特開2004−111057号公報、特開2006−059669号公報、特開2004−143325号公報などに技術開示されている。なかでも、多孔質層へ良好に吸収される点で、粘度が0.00001〜1Pa・sである溶剤が好ましく用いられる。
【0076】
工程(C)における機能性付与層は、前記機能性材料を、多孔質層に対応するパターンに描写することにより形成される。機能性付与層は、図1(C)に示されるように、多孔質層表面全体に薄い機能性材料の被覆として形成されていてもよく、図2に示されるように、多孔質層表面の一部に機能性材料の被膜として形成されていもよく、図3に示されるように、多孔質層自体が機能性材料で形成されるか又は層内部の空孔の壁に機能性材料の被膜として形成された形態であってもよく、図4に示されるように、多孔質層内部の空孔に機能性材料が充填された形態であってもよく、更に、図1(C)、及び図2〜図4に表される形態の組合せであってもよい。機能性付与層は、単層であってもよく、複数の層で構成されていても良い。機能性付与層の形態は、層形成に用いる機能性材料の種類や形状、形成方法等に応じて制御することができる。
【0077】
機能性付与層を形成する方法としては、例えば、(C-1)機能性材料を用いて多孔質層にメッキを施す方法、(C-2)機能性材料を含む塗布液を用いて多孔質層上に印刷を施す方法、(C-3)機能性材料を含む塗布液を多孔質層側の面全体に塗布した後、洗浄する方法等が挙げられる。こうして得られる機能性付与層は、多孔質層表面の全部又は一部に積層された形態、多孔質層内部の全部又は一部の微小孔に機能性材料が充填された形態等で構成される。機能性付与層は、単層又は複数の層で構成することができ、例えば、前記方法(C-3)に従って層形成した後、さらにメッキ層などの同一又は異なる機能性付与層が積層された構成であってもよい。
【0078】
前記(C-1)の方法は、メッキを施す方法を用いるため、多孔質層表面及び/又は内部に機能性材料からなるメッキ層を所望のパターンを容易に形成できる。前記メッキ層には、例えば、金属メッキ層、磁性メッキ層等が含まれ、メッキ処理に利用可能な公知の材料を用いて形成することができる。
【0079】
前記磁性メッキ層を構成する材料としては、磁性を有する化合物であれば特に限定されず、強磁性体及び常磁性体の何れであってもよく、例えばニッケル−コバルト、コバルト−鉄−りん、コバルト−タングステン−りん、コバルト−ニッケル−マンガン等の合金;メトキシアセトニトリル重合体等のラジカルを発生し得る部位を有する化合物、デカメチルフェロセンの電荷移動錯体等の金属錯体系化合物、グラファイト化途上炭素材料であるポリアクリロニトリルなどの化合物からなる有機磁性体等が例示できる。
【0080】
本発明においては、機能性付与層が金属メッキ層であることが好ましい。金属メッキを施す方法によれば、導体配線などの機能性材料からなるパターンを容易に形成することができる。金属メッキ層を構成する金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、金、すず、ビスマス、亜鉛、アルミニウム、鉛、クロム、鉄、インジウム、コバルト、ロジウム、白金、パラジウムやこれらの合金等を挙げることができる。さらにニッケル−りん、ニッケル−銅−りん、ニッケル−鉄−りん、ニッケル−タングステン−りん、ニッケル−モリブデン−りん、ニッケル−クロム−りん、ニッケル−ホウ素−りん等多種多様の金属以外の元素を含む合金皮膜も挙げることができる。金属メッキ層は、上記の金属を単独で又は複数を組み合わせて用いてもよく、単層であってもよく、複数の層を積層してもよい。
【0081】
金属メッキ層の形成に用いるメッキ液は、各種の組成のものが知られており、メーカーが販売しているものを入手することもできる。メッキ液の組成は特に制限されず、各種の要望(美観、硬さ、耐磨耗性、耐変色性、耐食性、電気伝導性、熱伝導性、耐熱性、摺動性、撥水性、ぬれ性、半田ぬれ性、シール性、電磁波シールド特性、反射特性等)に合ったものを選択すればよい。
【0082】
金属メッキ層は、例えば無電解メッキ及び電気メッキ等の公知の方法を用いて形成できる。本発明においては、多孔質層が高分子成分で構成されている点で、無電解メッキが好ましく用いられる。また、無電解メッキと電気メッキを組み合わせて用いることも好ましい。特に、無電解メッキの後に、電気メッキを施す方法によれば、無電解メッキによって多孔質層表面に形成された金属被膜により導電性が付与されるため、続く電気メッキの効率が向上され、より短時間で厚い金属めっき層を得ることが可能となり好ましい。
【0083】
電気メッキは、導電性を有する表面に適用でき、表面に導電性を備えた多孔質層を硫酸銅等のメッキ液に接触させる方法等により行うことができる。表面に導電性を備えた多孔質層としては、例えば、導電性物質を含むインクで形成された多孔質層や、無電解メッキ等で表面にメッキ処理が施された多孔質層等が挙げられる。
【0084】
無電解メッキは、一般的にプラスチック等で形成された樹脂層に金属を積層する方法として有用であることが知られている。無電解メッキ処理は、例えば、例えば無電解銅メッキ液、無電解ニッケルメッキ液等が用いた公知の方法で行うことができる。
【0085】
無電解メッキが施される多孔質層表面は、金属との密着性を向上する目的で、予め脱脂、洗浄、中和、触媒処理等の処理が施されてもよい。
【0086】
前記触媒処理としては、例えば被処理面に金属の析出を促進しうる触媒金属を付着させる触媒金属核形成法等を利用できる。また、本発明においては、工程(A)においてメッキ触媒を含むインクを用いることにより、多孔質層の形成と同時にメッキ触媒核も形成しうるため、別途触媒処理を施すことなく密着性に優れたメッキ層を効率よく形成することができる。特に無電解メッキによるメッキ層の形成に好適である。
【0087】
触媒金属核形成法は、触媒金属(塩)を含むコロイド溶液に接触させた後、酸若しくはアルカリ溶液又は還元剤に接触させて化学メッキを促進させる方法(キャタライザー(触媒)−アクセレータ(促進剤)法);触媒金属の微粒子を含むコロイド溶液に接触させた後、加熱等により溶媒や添加剤等を除去して触媒金属核を形成する方法(金属微粒子法);還元剤を含む酸又はアルカリ溶液に接触させた後、触媒金属の酸又はアルカリ溶液に接触させてアクチベーティング(賦活化)液を接触させて触媒金属を析出させる方法(センシタイジング(感作)−アクチベーティング(賦活化)法)等が挙げられる。
【0088】
キャタライザー−アクセレータ法における触媒金属(塩)含有溶液としては、例えば、すず−パラジウム混合溶液、硫酸銅等の金属(塩)含有溶液などを用いることができる。キャタライザー−アクセレータ法は、例えば多孔質層を硫酸銅水溶液中に浸漬した後、必要に応じて過剰な硫酸銅を洗浄除去し、次いで水素化ホウ素ナトリウムの水溶液に浸漬することにより、多孔質層表面に銅微粒子からなる触媒核を形成できる。
【0089】
金属微粒子法は、例えば、銀のナノ粒子が分散したコロイド溶液を多孔質層表面に接触させた後、加熱して界面活性剤やバインダー等の添加剤を除去することにより、多孔質層表面に銀粒子からなる触媒核を析出させることができる。センシタイジング−アクチベーティング法は、例えば、塩化すずの塩酸溶液に接触させた後、塩化パラジウムの塩酸溶液に接触させることによりパラジウムからなる触媒核を析出させることができる。これらの処理液に多孔質層を接触させる方法としては、金属メッキ層を積層させる多孔質層表面に塗布する方法、多孔質層を処理液に浸漬する方法等を用いることができる。
【0090】
上記触媒金属核形成法において、基材上に所望のパターンで積層されている多孔質層を処理液に浸漬させる場合には、基材が均質な層で形成されていることが好ましい。均質な基材を有する多孔質層を処理液に浸漬した場合、多孔質層表面のみならず、基材表面にも触媒核が形成されるが、表面積が大きい多孔質層表面には多量の触媒核が付着し、しかも保持されやすいのに対し、均質な基材には、基材表面は平滑であるため触媒核が析出しにくく、また脱落しやすい。こうして触媒核が十分量形成された多孔質層表面には、続く無電解メッキにより金属メッキ層を選択的に形成することが可能となる。
【0091】
無電解メッキに用いられる主な金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、金、ニッケル−りん等を挙げることができる。無電解メッキに用いるメッキ液には、例えば、上記金属又はその塩が含まれている他、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、グリオキシル酸等の還元剤、酢酸ナトリウム、EDTA、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリシン等の錯化剤や析出制御剤等が含まれており、これらの多くは市販されており簡単に入手することができる。無電解メッキは、上記メッキ液に上記処理を施した多孔質層を浸漬することにより行われる。また、基材の多孔質層非形成面に保護シートを貼った状態で無電解メッキを施すことにより、多孔質層にのみ無電解メッキが施されるため、基材上への金属の析出を防止することができる。
【0092】
金属メッキ層の厚みは、特に限定されず用途に応じて適宜選択でき、例えば0.01〜20程度、好ましくは0.1〜10程度である。金属メッキ層の厚みを効率よく厚くするため、例えば無電解メッキと電気メッキとを組み合わせて金属メッキ層を形成する方法が行われる場合がある。すなわち、無電解メッキにより金属被膜が形成された多孔質層表面は導電性が付与されるため、次いでより効率のよい電気メッキを施すことによりにより短時間で厚い金属メッキ層を得ることが可能となる。
【0093】
前記方法(C-2)は、印刷法を用いるため次のような利点を有している。すなわち、(1)シンプルなプロセスで製造でき、(2)廃棄物の少ない低環境負荷プロセスであり、(3)低エネルギー消費によって短時間で製造でき、(4)初期投資額が大幅に低減できるなどの点で有利である。その一方、これまでにない高精細な印刷が要求され、技術的に困難であることも事実である。従って、特に電子材料の製造に利用される印刷に関しては、印刷機械の性能だけでなく、被印刷面の特性が印刷結果に大きな影響を与える。本発明においては、多孔質層が基材に密着しており、多孔質層の微細な多孔構造はインクを吸ったり、インクを精密に固定することができるため、これまでにない高精細な印刷を達成することができ、非常に好ましく用いられる。また、多孔質層が基材に密着しているため、取り扱う上で十分な強度を確保することができ、例えば、ロールツーロールで連続的に印刷することもでき、生産効率を著しく向上することができる。
【0094】
方法(C-2)に用いられる機能性材料を含む塗布液としては、上記に例示の印刷インク又はペースト等を利用できる。印刷は、工程(A)に例示の印刷法を用いることができる。なかでも、印刷インクを用いたインクジェット印刷、グラビア印刷、及びペーストを用いたスクリーン印刷、メタルマスク印刷等が好ましく用いられる。
【0095】
印刷インク又はペーストは、種々の粘度で用いることができる。なお、印刷インク又はペーストの粘度は、固形分の種類や濃度、樹脂等の添加物の種類や濃度、溶剤の種類等を変えることにより調整できる。
【0096】
印刷インクやペーストが機能性材料からなる粒子を含む場合、多孔質層表面に存在する空孔の大きさ(開孔径)、印刷インクやペーストに含まれる粒子の大きさ、及び空孔径と粒子径の比を適宜選択することにより、多孔質層表面に対する機能性材料の密着性を制御することができる。具体的には、多孔質層表層の平均開孔径をR1、印刷インクやペーストに含まれる粒子の平均粒子径をR2とした場合、R1が0.01〜10μm程度、R2が0.001〜10μm程度の範囲内であると、多孔質層表面又は内部に機能性材料を十分に密着させることができ好ましい。すなわち、式: 0.0001≦R2/R1≦1000を満たす関係が好ましい。特に、多孔質層表面に、導電体粒子を含むインクを用いた印刷技術によって導電体が形成されている複合材料の例では、導電体粒子の平均粒子径をR2としたときに上記関係式を満たしていることが好ましい。
【0097】
インクジェット印刷の場合は、インクがノズルに詰まるのを避けるため、インクの粘度は低く、インクに添加する粒子は小さい粒子径のものが好ましい。従って、R1が0.01〜5μm程度、R2が0.001〜0.2μm程度であるのが好ましい。すなわち、式: 0.0002≦R2/R1≦20を満たす関係が好ましい。
【0098】
スクリーン印刷の場合は、粘度が低すぎるとスクリーンにインクを保持しにくいので、むしろ粘度がある程度高い方が好ましく、インクに含まれる粒子の粒子径は大きくても特に問題はなく、また、粒子径が小さい場合は溶剤量を低減することが好ましい。従って、R1が0.01〜10μm程度、R2が0.001〜10μm程度であるのが好ましい。すなわち、式: 0.0001≦R2/R1≦1000を満たす関係が好ましい。
【0099】
以下に、印刷インク及びペーストの代表例として、導電性のインクである銀インク(銀ペースト)を用いて多孔質層上に印刷する態様について説明するが、これに限定されず、他の種類のインクにも適用可能である。
【0100】
銀インクは、その構成成分として、一般に銀粒子、界面活性剤、バインダー、溶剤等が含まれている。また、他の例として、酸化銀が加熱により還元される性質を利用して、酸化銀の粒子を含むインクを印刷し、後で加熱還元して銀配線とするものもある。さらに他の例として、有機銀化合物を含むインクを印刷し、後で加熱分解して銀配線とするものもある。有機銀化合物には、溶剤に溶解するものも利用できる。銀インクを構成する粒子として、銀粒子、酸化銀、有機銀化合物等は単独で又は複数を組み合わせて用いてもよく、また異なる粒子径のものを混合して用いることもできる。
【0101】
銀インクを所望のパターンに印刷して回路配線等を形成した後、インクを硬化させる際の温度(焼成温度)は、インクの組成、粒子径等に応じて適宜選択できるが、通常、100〜300℃程度の範囲内であることが多い。本発明における多孔質層は高分子成分で構成されるため、劣化を回避するため焼成温度は比較的低温であることが好ましいが、配線の電気抵抗を小さくするため、一般に高温で焼成されることが好ましいため、適当な硬化温度をもつインクを選択して用いる必要がある。このような銀インクの市販品としては、大研化学工業(株)製の商品名「CA−2503」、藤倉化成(株)製の商品名「ナノ・ドータイトXA9053」、ハリマ化成(株)製の商品名「NPS」、「NPS−J」(平均粒子径約5nm)、日本ペイント(株)製の商品名「ファインスフェアSVW102」(平均粒子径約30nm)等が知られている。
【0102】
前記方法(C-3)は、図5に示されるように、機能性材料を含む塗布液35aを多孔質層側の面全体に塗布した後、必要に応じて洗浄により、基材表面の多孔質層のパターンが形成されていない領域xから機能性材料を含む塗布液を除去して、多孔質層表面又は内部にのみ機能性付与層35が形成されたパターンを製造する方法である。なお、基材が塗布液をはじく場合、洗浄工程なしに選択的に塗布液を多孔質層に塗布することも可能となる。
【0103】
前記方法(C-3)において、機能性材料を含む塗布液を多孔質層側の面全体に塗布する方法としては、機能性材料を含むインク又はペーストを用いてベタ印刷する方法、機能性材料を含む混合液に多孔質層を浸漬(ディップコート)する方法、機能性材料を含む混合液を多孔質層表面全体にスプレーする方法等を利用できる。特にディップコートする際には、基材における多孔質層非形成面をマスクすることにより、多孔質層側表面選択的に効率よく機能性材料を塗布することができる。
【0104】
機能性材料を含む塗布液を塗布した後の洗浄は、イオン交換水を用いる場合が多いが、特に限定されず、基材及び多孔質層の構成成分や塗布液の組成に応じて適宜のものを用いることができる。
【0105】
本発明の機能性材料からなるパターンの製造方法は、広範な分野に適用することにより、パターンが形成される表面が平面のものに限定されず、立体形状の部材など多様な部材に対して鮮明なパターンを簡易な方法で形成することができる。しかも、必要な設備や工程数を抑制できるため少ないコストでパターンを形成することができる。そのため、本発明の機能性材料からなるパターンの製造方法を適用して種々の複合材料を製造することができ、特に電子部品用途の複合材料を製造する方法に好適に利用できる。
【0106】
本発明の複合材料の製造方法は、上記本発明の方法を用いて基材上に機能性材料からなるパターンを形成して複合材料を得ることを特徴としている。本発明の複合材料の製造方法においては、上記工程(A)〜(C)を含む方法により形成された機能性材料からなるパターンをそのまま利用しても良いが、さらに公知の処理や加工等が施されてもよい。具体的には、基材表面における、機能性材料からなるパターンが形成されていない領域に、樹脂等を積層する方法等を挙げることができる。
【0107】
本発明の方法で得られる複合材料としては、例えば回路基板、アンテナ、放熱材(ヒートシンク、放熱板)、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、電池用セパレーター、コンデンサー(紙コンデンサー、プラスチックフィルムコンデンサー、セラミックコンデンサー、マイカコンデンサー、電解コンデンサー、電気二重層キャパシタなど)、低誘電率材料、セパレーター、クッション材、インク受像シート、試験紙、絶縁材、断熱材、細胞培養基材、触媒基材(触媒担体)等が挙げられる。
【0108】
また、基材の両面に多孔質層が設けられている場合、両面の多孔質層に機能性付与層を形成して得られる複合材料は、回路基板、放熱材(ヒートシンク、放射板)、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、電池用セパレーター、コンデンサー(紙コンデンサー、プラスチックフィルムコンデンサー、セラミックコンデンサー、マイカコンデンサー、電解コンデンサーなど)、低誘電率材料、セパレーター、クッション材、インク受像シート、試験紙、絶縁材、断熱材、細胞培養基材、触媒基材(触媒担体)等の広範囲な基板材料としての利用が可能である。この際、両面の空孔に違った機能性材料からなる機能性付与層を形成することで複数の機能を与えることもできる。もちろん、片面を空孔のまま、他方に機能性付与層を形成した複合材料として利用する事もできる。
【0109】
本発明の複合材料の製造方法は、特に回路基板、放熱材、電磁波制御材、及びアンテナ等に用いられる複合材料を得る方法として好適である。これらの複合材料について以下に詳述する。
【0110】
回路基板は、一般にガラス・エポキシ樹脂やポリイミド等を素材とする基板表面に銅箔を貼り合わせ、エッチングにより銅箔の不要な部分を除去することにより配線を形成する方法により製造されていた。しかし、このような従来法では、高密度化する回路基板に対応しうる微細な配線の形成が困難になりつつあった。配線の微細化を進めるためには、非常に薄い銅箔をガラス・エポキシ樹脂やポリイミド等を素材とする基板に強く密着させる必要があるが、薄い銅箔は取扱性にきわめて劣り、基板への積層工程が非常に困難であった。また、薄い銅箔の製造はそれ自体が困難で、高価であり、しかも、基材の素材に用いられるガラス・エポキシ樹脂やポリイミドと銅箔はもともと密着力が大きくないため、微細化を進めると配線が基板から剥離してしまうという問題があった。さらに、配線を形成するために多くの高価な設備を要し、製造工程数が多いために生産効率が悪く、コストを抑制しにくいという問題もあった。
【0111】
このような背景において、本発明の複合材料の製造方法は、多孔質層表面に直接微細配線を形成して回路基板を製造する方法として極めて有用である。この方法によれば、多孔質層に強固に絡みついた微細配線を形成することができるため、配線を構成する金属メッキ層を十分に密着でき、しかも精度よく簡単に配線を形成することができる。こうして得られる回路基板は、金属メッキ層が多孔質層の表層部に存在する空孔に充填されて、金属が多孔質層に絡みついた形態で成形されているため、微細な配線であっても強い密着力を発揮することができる。特に、メッキ触媒核を有する多孔質層によれば、別途メッキ触媒核を形成するための触媒処理等を省略可能なため工程を短縮でき、簡便な方法で細線描写性に優れた配線を形成することができる点で有利である。回路基板用材料を構成する場合には、金属メッキ層は、銅、ニッケル、銀等で構成されていることが好ましい。
【0112】
基材の片面にパターンを有する多孔質層が積層されている場合は片面配線を形成でき、基材の両面にパターンを有する多孔質層が積層されている場合は両面配線を形成できる。両面をつなぐビア配線が必要な場合は従来から用いられているドリル又はレーザーによりビアホールを形成できる。ビアホール内は、導電ペーストの充填やメッキを施すことにより配線を形成することができる。これまで、多孔体に無電解メッキ法を用いて配線を形成する方法が知られているが、従来の多孔体は強度が弱いため取扱性に劣り、製造工程中に破損するなどの問題があった。これに対し、本発明の複合材料は、多孔質層が基材に密着して成形されるため、十分な強度を確保することができ、取扱性に優れた回路基板を提供することができる。
【0113】
導電体で形成された配線の表面は、メッキ処理を施したり、絶縁体を被覆して使用することができる。特に、銀配線は、銅配線と比較したときに、エレクトロマイグレーションやイオンマイグレーションを起こしやすいとの指摘がある(日経エレクトロニクス2002.6.17号75頁)。そのため、配線の信頼性を向上する目的で、銀インクで形成した配線表面にメッキ処理を施して被膜を形成することが有効である。メッキの種類としては、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ等が挙げられる。メッキ処理は公知の方法で行うことができる。
【0114】
さらに、導電性のインクで形成した配線表面を樹脂で被覆して使用することもできる。上記構成は、配線の保護、配線の絶縁、配線の酸化やマイグレーションの防止、屈曲性向上などの目的に好適に利用できる。例えば、銀配線は酸化により酸化銀に、銅配線は酸化銅となって導電性が低下していくおそれがあるが、配線表面を前記樹脂で被覆することにより、配線が酸素や水分と接触するのを回避でき、導電性の低下を抑制することができる。配線表面を選択的に樹脂被覆する方法としては、例えば、後述する硬化性樹脂や可溶性樹脂を用いた、スポイト、ディスペンサ、スクリーン印刷、インクジェット等の方法が挙げられる。
【0115】
配線以外の部分はそのままであってもよいし、配線間に樹脂等を充填するなど配線基板の用途に応じて適宜選択できる。例えば、図6に示されるように、基材1表面に形成された配線40間に樹脂50を充填した場合は、樹脂等で配線が保護されるため、配線が切断されにくくなったり、絶縁信頼性も増すという利点がある。
【0116】
配線間に充填される樹脂としては、特に限定されないが、例えば、無溶剤で用いられる硬化性樹脂や、溶剤に溶解して利用される可溶性樹脂等が挙げられる。可溶性樹脂を使用する場合には、溶剤が揮発したときの体積減少分を考慮して充填する必要がある。可溶性樹脂は、上述のように、充填時に体積減少分により樹脂の厚みが減少する可能性がある。そのため、配線間を樹脂で完全に充填する目的においては、無溶剤の硬化性樹脂がより好ましく用いられる。
【0117】
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエーテル樹脂等を挙げることができる。
【0118】
エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型やビスフェノールF型等のビスフェノール系、フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のノボラック系等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂及びこれらの変性樹脂等の多様な樹脂が含まれる。エポキシ樹脂の市販品としては、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社の「アラルダイト」、ナガセケムテックス社の「デナコール」、ダイセル化学工業社の「セロキサイド」、東都化成社の「エポトート」等を利用できる。エポキシ樹脂硬化物は、例えば、エポキシ樹脂に硬化剤を混合して得た硬化性樹脂組成物により硬化反応を開始させ、加熱により反応を促進させる方法により得ることができる。前記エポキシ樹脂の硬化剤には、例えば有機ポリアミン、有機酸、有機酸無水物、フェノール類、ポリアミド樹脂、イソシアネート、ジシアンジアミド等を利用できる。
【0119】
エポキシ樹脂硬化物は、また、エポキシ樹脂に潜在性硬化剤と言われる硬化触媒を混合して得た硬化性樹脂組成物に、加熱又は紫外線などの光照射によって硬化反応を開始させる方法により得ることもできる。前記潜在性硬化剤としては、三新化学工業社の「サンエイドSI」等の市販品を利用できる。
【0120】
エポキシ樹脂硬化物として、可撓性の高いものを用いれば、フレキシブル基板のような柔軟性のあるものとすることができる。また、耐熱性や高い寸法安定性が要求される場合は、硬化性樹脂組成物として硬化後に硬度が高くなる組成物を用いることで、リジッド基板(硬質基板)として用いることも可能である。
【0121】
エポキシ樹脂を空孔に充填するためには、充填時の硬化性樹脂組成物は低粘度であることが好ましい。このような特徴を持つものとして、ビスフェノールF系の組成、脂肪族ポリグリシジルエーテル系の組成を挙げることができる。
【0122】
オキセタン樹脂としては、東亞合成社の「アロンオキセタン」等をあげることができる。オキセタン樹脂硬化物は、オキセタン樹脂に、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のカチオン系光重合開始剤「IRGACURE 250」等を混合し、紫外線照射することで硬化反応を開始させる方法により得ることができる。
【0123】
可溶性樹脂としては、三菱ガス化学社製の低誘電性樹脂「オリゴ・フェニレン・エーテル」、東洋紡績社製のポリアミドイミド樹脂「バイロマックス」、宇部興産社製のポリイミドインク「ユピコート」、東都化学工業製のポリイミドインク「エバーレック」、エヌアイマテリアル社製のポリイミドインク「ULIN COAT」、ピーアイ技術研究所製のポリイミドインク「Q−PILON」、日本合成化学社製の飽和ポリエステル樹脂「ニチゴーポリエスター」、アクリル溶剤型粘着剤「コーポニール」、紫外線・電子線硬化型樹脂「紫光」等の市販品を用いることができる。
【0124】
充填時に用いられる可溶性樹脂を溶解する溶剤としては、公知の有機溶剤から樹脂の種類に応じて適宜選択して用いることができる。可溶性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液(可溶性樹脂溶液)の代表的な例としては、例えば、「オリゴ・フェニレン・エーテル」をメチルエチルケトンやトルエンなどの汎用溶剤に溶解した樹脂溶液;「バイロマックス」をエタノール/トルエン混合溶媒に溶解した樹脂溶液(商品名「HR15ET」);「ユピコート」をトリグライムに溶解した樹脂溶液等を用いることができる。
【0125】
配線間へ樹脂を充填する方法としては、特に限定されないが、スポイト、さじ、ディスペンサ、スクリーン印刷、インクジェット等の手段を用いて、上記の硬化性樹脂組成物や可溶性樹脂溶液を複合材料表面へ展開(塗布)し、必要に応じてヘラ等で余分な樹脂を除去する方法等を用いることができる。前記ヘラとして、例えば、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂、シリコーンゴム等のゴム、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂製;ステンレス等の金属製のものを使用できる。なかでも、配線を傷つけにくい点で樹脂製のヘラが好ましく用いられる。また、ヘラ等を使用することなく、スポイト、ディスペンサ、スクリーン印刷、インクジェット等の吐出量をコントロール可能な手段を用いて、適量を複合材料表面に滴下する方法も可能である。
【0126】
配線間に樹脂をスムーズに充填するため、未硬化の樹脂として粘度の低いものが好ましく用いられる。また、粘度が高い樹脂は、適温で加熱するなどの手段を用いて粘度を下げて用いることにより充填性を上げることが可能である。但し、硬化性樹脂を用いる場合には、加熱により硬化反応速度を上昇させてしまうため、必要以上の加熱は作業性や充填性を悪化させるため好ましくない。
【0127】
上記樹脂成分を複合材料表面へ展開し、配線間へ充填させた後、樹脂の硬化を促進したり、溶剤を揮発する目的で加熱処理が施されることが好ましい。加熱方法は、特に限定されないが、急激な加熱は、樹脂や硬化剤が揮発したり、溶剤が激しく揮発することによりムラができるおそれがあるため、穏やかに昇温する方法が好ましい。昇温は、連続的、逐次的のいずれであってもよい。硬化や乾燥における温度及び時間は、樹脂や溶剤の種類に応じて適宜調整することが好ましい。
【0128】
透明な基材は、例えば配線基板に用いた場合に配線の検査を容易にすることができ、また配線基板をデバイスに組み付ける際には部品の位置関係を認識しやすいなどの取扱性に優れる点で有利である。さらに、基材を、PET、PEN等の無色透明の基材で構成した場合には、配線部以外の領域の透明度が非常に高い。このような複合材料によれば、ディスプレイ画面自体に配線や回路を形成できるため、回路基板を省略してディスプレイ自体の薄型化が可能となり、また、構造の簡略化によりコストダウンを図ることが可能となる。
【0129】
複合材料における基材に透明な材料を選択することにより、上述のような用途へ展開する可能性が生まれる。透明性に優れた複合材料を得るためには、基材は、構成する樹脂自体の色が薄いもの、層の厚みが薄いものが好ましく、また配線間に充填する樹脂も、樹脂自体の色が薄く、透明性の高いものが好ましく用いられる。
【0130】
また、近年では低誘電率基板を用いた回路基板が求められている。ブロードバンド時代の到来により、大容量の情報を高速で伝達する必要が生じている。そのため、電子機器で使用される周波数も高まってきており、その中で使われる電子部品も高周波信号に対応する必要がある。これまでの配線基板(主にガラスエポキシ樹脂)を高周波回路に使用すると、(1)高い誘電率による伝達信号の遅れ、(2)高い誘電損失による、信号の混信・減衰の発生、消費電力の増加、回路内の発熱などの問題が生じる。これらの問題を解決するための高周波用配線基板材料として低誘電率基板の利用が増えつつある。液晶性ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(PPS)、オレフィン系樹脂(環状オレフィン系樹脂等を含む)等の低誘電率材料からなる基材に多孔質層パターンを積層した後に多孔質パターン部に金属を集合させることで低誘電率基材を用いた回路基板とすることができる。
【0131】
アンテナは、導電体を含むインクで印刷して配線を形成する方法を用いて製造することができる。最近では、多くの無線機器が使われており、信号の送受信にはアンテナが必要となる。携帯電話、無線LANカードなどの普及は著しい。ICカード等にはループ状のRFIDアンテナが使われており現状これらは、サブトラクティブ法(エッチング法)により作られており、手間とコストがかかっている。本発明の方法をアンテナの製造に適用すると、より簡単な方法を用いて低コスト化を実現しうるという点で有利である。
【0132】
放熱材(放熱板等)は、ノートパソコン、光ディスク装置、プロジェクタ、携帯電話など多くの機器の筐体内に設置して利用される。近年、高密度に実装する技術の進歩とデバイスの高出力、高速化が進むにつれて部品の発熱量が増加し、今後もこの傾向はいっそう進むため、放熱冷却技術の重要性が増す中、拡散したり、放熱したりする放熱材(ヒートシンク、放熱板)の使用機会が増えてきている。本発明の複合材料によれば、上記のように優れた空孔特性を有する多孔質層により放熱面積が広く放熱効率に優れ、コンパクト化でき、しかも金属メッキ層により優れた熱伝導を付与することができるため、優れた放熱材として利用可能である。上記の効果を向上しうる点で、放熱材を構成する金属メッキ層は熱伝導度の高い金属で形成されることが好ましく、例えば、銅、銀、金、コバルト、クロム、ニッケル、すず、亜鉛等が好適である。
【0133】
電磁波制御材は、電磁波を遮断(シールド)又は吸収する材料として、周囲の電磁環境に及ぼす影響や、機器自体が周囲の電磁環境から受ける影響を軽減又は抑制するために利用されている。デジタル電子機器の普及、パソコンや携帯電話など、われわれの身近には、電気・電子機器や無線機器、システムなど、多くの電磁波発生源が存在し、それらは様々な電磁波を放射している。これらの機器から放射される電磁波は、周囲の電磁環境に影響を及ぼす可能性があり、また、機器自体も周囲の電磁環境から影響を受ける。これらの対策として電磁波シールド材料、電磁波吸収体材料等の電磁波制御材が年々重要となってきている。本発明の複合材料は、例えば、金属メッキ層による導電性の付与によって電磁波を遮断して電磁波シールド性を付与でき、また、多孔質層を構成する空孔に電磁波吸収材料を充填して電磁波吸収性を付与できるため、優れた電磁波制御材として極めて有用である。
【0134】
電磁波制御材を構成する金属メッキ層は、導電性を付与することができるものが好ましく、例えば、ニッケル、銅、銀等で形成されることが効果的である。また、複合材料が、無電解メッキで多孔質層表面に磁性メッキ層が形成された層構成を有する場合には電磁波吸収体材料として有用である。無電解メッキにより磁性メッキ層を形成する際に用いる材料としては、例えば、ニッケル、ニッケル−コバルト、コバルト−鉄−りん、コバルト−タングステン−りん、コバルト−ニッケル−マンガン等の合金等の磁性材料が挙げられる。本発明の複合材料は、非常に薄く柔軟性の高いものが得られ、メッキにより形成された金属や磁性体は多孔質層に絡み付いているため、メッキ層が剥離しにくく、折り曲げ耐性(耐折性)を改善する事ができる。このような複合材料は、電子機器の任意の場所に設置したり、貼り付けたりして使用することができる。
【0135】
また、PDP等のディスプレイからは電磁波が発生し、周辺機器への悪影響(ノイズ)を生じさせる。このような電磁波を防止(シールド)するため、PDP前面に配置されるフィルターには、電磁波遮蔽機能を付与することが必要とされており、このようなフィルターとして、格子状の配線が設けられたフィルムが用いられている。
【0136】
上記用途の電磁波シールドフィルムは、一般に、高い透明性を有するフィルム(高透明フィルム)に金属層が積層された構成を有している。このようなフィルムは、例えば高透明フィルムに金属層をスパッタリングで設ける方法;高透明フィルムに銅箔等を貼り付けた後にエッチングを行って金属メッシュを設ける方法等により形成できる。このような電磁波シールドフィルムの一例としては、線幅20〜30μmでピッチ(繰り返し間隔)約300μmの格子状パターンのものを挙げることができる。
【0137】
本発明によれば、透明な基材フィルム上に格子状の多孔質層パターンを形成した後にめっき又は印刷により格子状の配線を形成することにより、上記構成の電磁波シールドフィルムを提供することができる。この際、スクリーン印刷などの印刷法を用いて多孔質層パターンを形成したり、めっきや印刷で配線を形成したりするなど簡単に作成することで、コストダウンを図ることが可能になると考えられる。
【0138】
さらに、透明(可視光の透過率が約90%)な導電体であるITO(酸化インジウムスズ)インクを用いて印刷することでさらに配線部の透明度を上げることも可能となる。シーアイ化成社製のITOインクやアルバックマテリアル社製のITOインク「ナノメタルインク」等を使用することができる。透明な導電体を使用することで、液晶パネルや有機ELなどのフラット・パネル・ディスプレイ、太陽電池、抵抗膜方式のタッチパネル等に使用できる可能性がある。他の透明な導電体として酸化亜鉛インクを用いて配線を形成する方法を挙げることもできる。
【0139】
配線間の空間をそのまま残す場合は、樹脂充填は行わない。ただし、配線の保護、配線の絶縁、配線の酸化防止、屈曲性向上の目的のために、上記に例示の方法で配線部だけを樹脂で被覆してもよい。
【0140】
本発明の複合材料は、配線と基材の密着性を上げるためや配線部の透明度を上げるために、溶剤処理により多孔質層の空孔構造が失われている構成であってもよい。具体的には、多孔質層パターン上に配線を形成後、多孔質層を溶剤に濡らし、膨潤・軟化させた後、乾燥することにより、多孔構造を消失させることができる。
【0141】
本発明の複合材料は、多孔質層の空孔率を上げたり、孔径を微小化していくと、多孔構造ゆえに、多孔質層部の強度が弱くなったり、基材との密着強度が低下したりする場合がある。上記の方法により、多孔構造を消失させることで、多孔質層部の強度を強くしたり、基材との密着強度を上げることが可能となる。また、多孔構造を消失させることで、可視光の乱反射をおさえ、より透明度を上げることができる。
【0142】
多孔質層の透明化は、例えば、配線を形成した複合材料を溶剤に濡らすことで多孔質層部が膨潤・軟化し、さらにその後乾燥させることで多孔質部の空孔構造が消失することにより実現される。複合材料を溶剤に濡らす方法としてはディッピングでもいいし、スプレーによる噴霧でもよい。溶剤に濡らした後の乾燥は、自然乾燥でもよいし、加熱によるものでも構わない。溶剤の沸点等を考慮して選択すればよい。均質に透明化するためにはゆっくり乾燥させていくのが好ましい。
【0143】
多孔構造を消失させるのに適当な溶剤は多孔質層の樹脂によって違っており一概には言えないが、多孔質層の樹脂を膨潤・軟化できるものであれば制限されない。しかし、多孔質層の樹脂を完全に溶解し、流動化してしまうものは好ましくないので、避けなければならない。多孔質上に形成された配線パターンが崩壊してしまうからである。溶剤は必ずしも単一のものである必要は無く、二種以上の溶剤を混合したものでも構わない。むしろ、溶剤を混合することにより、適当なレベルで膨潤・軟化させることが可能となる。
【0144】
具体例として、例えば多孔質層に使用することができるポリアミドイミドは、多くの溶剤に対して難溶であるが、幾つかの極性溶剤(NMP、DMF、DMSO、DMAc等)には可溶である。複合材料をこれらの極性溶剤そのものに濡らすと多孔質層が溶解し、配線パターンが崩壊してしまうが、これらの極性溶媒と混合でき、多孔質層を溶解しない溶剤(水、アセトン、THF、メタノール、エタノール、IPA、メチルエチルケトン等)と混合することで、多孔質層を膨潤・軟化することができるようになる。
【0145】
このような混合溶剤系では二段階で乾燥することもできる。例えば、低沸点の溶剤(水、アセトン、THF、メタノール、エタノール、IPA、メチルエチルケトン等)を自然乾燥又は相対的に低い温度で乾燥させた後に、高沸点の溶剤(NMP、DMF、DMSO、DMAc等)を乾燥機等で高温で乾燥させることが考えられる。最終的な乾燥温度と時間は、高沸点の溶剤が十分に揮発する条件を選択すればよい。他の方法として、室温からゆっくりと昇温していく方法を挙げることができる。ディスプレイ用途などで高い透明性を要求される場合は、多孔質層にはより無色で透明度の高い樹脂を選択するのが好ましいし、多孔質層の厚みも極力薄くする方が好ましい。さらに基材もPETやPEN等のような透明度の高いものを選択するのが好ましい。
【0146】
多孔質層を溶剤で膨潤・軟化させて多孔構造を消失させてしまう場合、複合材料の基材は使用する溶剤に対して不溶または難溶なものが好ましい。多孔質層と同じように基材が膨潤・軟化を起こすと基材の変形が起こり、配線基板としての寸法安定性を低下させてしまうことになるからである。基材によって不適切な溶剤は違っており一概には言えないが、PETやPEN、ポリイミドは多くの溶剤に対して不溶又は難溶であるために好ましいものである。
【0147】
配線間への樹脂充填のところで述べたように、透明な導電体であるITOや酸化亜鉛のインクを用いて配線を形成すればさらに透明度を上げることも可能となり、そのような特性が要求される用途への展開が図れるようになる。上記の方法で多孔構造を消失させて透明化することができるが、この場合、配線は裸のままである恐れがある。これまで述べてきたような樹脂による被覆をしたり、カバーレイを形成したりしてきちんと絶縁することが好ましい。
【0148】
配線基板は、通常、電気を流すためにハンダやコネクタ等で他の部品や基板と接合される。よってその接点部分は、マスキングをした状態で樹脂充填したり、接点部分を避けて樹脂で被覆したりしなければならない。このような樹脂としては、配線間に充填する樹脂として上記例示の硬化性樹脂や可溶性樹脂を用いることができる。
【0149】
また、配線基板は配線だけで形成されるだけではなく、TABやCOF等のように半導体チップ、コンデンサ、抵抗などをハンダやワイヤー・ボンディング等で配線基板上に接合することができる。さらに、配線形成や部品実装は複合材料の片面だけではなく両面にすることもできるし、基板を複数積層して多層化することも可能である。
【0150】
本発明の複合材料は、また、配線パターン上にカバーレイが積層されていてもよい。例えば、フレキシブル基板の場合は、一般的に配線は、配線の保護、配線の絶縁、配線の酸化防止、屈曲性向上の目的で、ポリイミドフィルムやPETフィルム等の樹脂フィルムからなるカバーレイで覆われることが多い。このようなカバーレイ用フィルムとしては、ニッカン工業社製の「ニカフレックス」や有沢製作所製の製品を挙げることができる。
【0151】
カバーレイを積層する方法としては、例えば、配線間への樹脂充填後すぐに直接、ポリイミドフィルム等のカバーレイを被せる方法;配線間への樹脂充填、硬化後に、ポリイミドフィルムやPETフィルム等のカバーレイの片面に接着剤が塗布されたカバーレイ用フィルムを加熱圧着する方法等が挙げられる。カバーレイ用フィルムの接着剤としては、公知のものを用いることができ、取り扱いやすいように、半硬化(Bステージ)の状態である場合が多い。
【0152】
配線間への樹脂充填や配線の樹脂被覆だけで十分に配線の保護、配線の絶縁、配線の酸化防止、屈曲性確保ができる場合は、必ずしもカバーレイは必要というわけではなく、省略することも可能である。
【0153】
ところで、プリント配線基板は一般的に平面により構成されている。もちろん、フレキシブル配線基板は平面の配線部分を曲げることは可能であるが、複雑な3次元形状(立体)にすることはできない。しかし、プリント配線基板の形状の自由度を高めることができれば、3次元形状が可能な特性を生かして機器内部の空間を有効活用できるため、様々な形態の機器を実現できる可能性がある。特に、小型化が強く要求される各種携帯機器に適用できる可能性がある。携帯電話機等の筐体に配線を形成したりLSIやチップ部品などを実装したりして、筐体を配線基板として用いることが出来るようになれば、新たな実装法の可能性が生まれる。
【0154】
曲面などの3次元形状に成型可能なプリント配線基板として日本油脂株式会社のポリオレフィン系熱可塑性樹脂を使用した配線基板が知られている(日経エレクトロニクス2005.6.20号36頁)。しかし、この配線基板は平面のプリント配線基板を作製した後に、成形機を用いて加熱しながら曲面に成型したものであり、成型時に配線の切断が起こったり、配線の短絡が起こったりする等の問題が発生する恐れがある。これに対し、本発明のパターン形成方法によれば、配線のパターン形成は印刷法により行われるため、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ディスペンサ印刷、凸版印刷(フレキソ印刷)、昇華型印刷、オフセット印刷、凹版印刷(グラビア印刷)、コンタクト印刷、及びマイクロコンタクト印刷等の曲面へ印刷可能な手段を用いて、円柱や円筒への印刷が可能である。特に凹版印刷の中の凹版転写印刷(別名、タコ印刷、パッド印刷、タンポ印刷)では柔軟性のある様々な形状のシリコン製パッドに凹版からインキを転移し、凹凸のある基材に印刷することができる。凹版転写印刷では他の印刷方式では不可能とされている湾曲面や複雑な凹凸面にも正確に印刷出来るので、陶磁器、漆器、キーボード、携帯電話やカメラの筐体印刷等に広く利用されており、この印刷法では複雑な曲面への多孔質層パターン形成が可能となる。そして、この多孔質層パターンを用いて配線を形成することで、曲面上への配線形成が可能となる。配線形成後に曲面を形成するのではないために、配線の切断や配線の短絡が発生する可能性は小さくなる。
【0155】
本発明の複合材料(多孔質層パターン積層体)を構成する多孔質層部に選択的に導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体や色素等を集合させるさらに別の方法として、多孔質層が形成された側の表面全体に導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体や色素等を塗布した後、洗浄により多孔質層パターン部以外の導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体や色素等を除去する方法がある。
【0156】
例えば、パターンを形成する多孔質層上に銀インクをスポイトで滴下したり、スプレーで噴霧したりすることで、塗布することができる。銀インク中にディッピングすることで塗布することもできる。これを溶剤で適切に洗浄することで、基材上の塗布層(印刷層)を除去し、多孔質層上の塗布層(印刷層)を残すことができる。この方法で多孔質層パターン上にのみ選択的に銀インクを集合させることができる。この後に導電性を確保するために焼成をすることもできる。さらに、めっきを行い、さらに導電性を上げることも可能である。
【0157】
例えば、メチレンブルーのような色素を用いて、銀インクの時と同じように塗布し、洗浄することで、多孔質層パターン上にのみ選択的にメチレンブルーを集合させることも可能である。
【実施例】
【0158】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。テープ剥離試験(削除)、平均孔径、空孔率は以下の方法で算出、測定した。これらの平均孔径及び空孔率は、電子顕微鏡写真の最も手前に見えている微小孔のみを対象として求められており、写真奥に見えている微小孔は対象外とした。
【0159】
(測定方法)
平均孔径
電子顕微鏡写真から、積層体の表面又は断面の任意の30点以上の孔についてその面積を測定し、その平均値を平均孔面積Saveとした。孔が真円であると仮定し、下記式を用いて平均孔面積から孔径に換算した値を平均孔径とした。ここでπは円周率を表す。
表面又は内部の平均孔径[μm]=2×(Save/π)1/2
【0160】
空孔率
多孔質層内部の空孔率は下記式より算出した。パターン形成した多孔質層内部の空孔率を直接測定するのは困難である。よって基材としてPETフィルム(帝人デュポン社製、製品名「Sタイプ」)を用い原液をPETフィルム上にキャスト後水中に浸漬して凝固させ、ついでPETフィルムから剥離して、乾燥させて得た多孔性フィルムを用いて測定し、内部の空孔率を下記式より算出した。Vはフィルムの体積[cm]、Wは多孔質層の重量[g]、ρは多孔質層素材の密度[g/cm]を示す。ポリアミドイミドの密度は1.45[g/cm]、ポリイミドの密度は1.42[g/cm]とした。
空孔率[%]=100−100×W/(ρ・V)
【0161】
調製例1
ポリアミドイミド系樹脂溶液(東洋紡績社製の商品名「バイロマックスHR11NN」;固形分濃度15重量%、溶剤NMP、溶液粘度20dPa・s/25℃)100重量部に、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(分子量5万)30重量部を加えて製膜用の原液Aとした。
【0162】
調製例2
ポリイミド前駆体のポリアミック酸溶液(宇部興産社製の商品名「U−ワニス−A」;固形分濃度18重量%、溶剤NMP、溶液粘度5Pa・s/30℃)、水溶性ポリマーとしてのポリビニルピロリドン(分子量5万)、及び溶剤としてのNMPを、ポリアミック酸/NMP/ポリビニルピロリドンとの重量比が15/85/33.3となる割合で混合して製膜用の原液Bとした。
【0163】
実施例1
基材である東レ・デュポン社製のポリイミドフィルム(カプトン100H、厚み25μm)上に、調製例1で得た原液Aを用いて、凸版印刷法によりライン幅300μm、スペース700μmのラインアンドスペースのパターンを印刷した。印刷には、ゴムの凸部高さ約1mmのゴム判を用いた。印刷後、速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸積して凝固させ、次いで基材から剥離させることなく室温下で自然乾燥することによって基材上に多孔質層が積層された積層体を得た。多孔質層の厚みは約10μmであり、積層体の総厚みは約35μmであった。
【0164】
得られた積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がポリイミドフィルムに密着しており多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約1μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約1μmの連通性を持つ微小孔が存在していた。多孔質層内部の空効率は70%であった。
【0165】
実施例2
基材である東レ・デュポン社製のポリイミドフィルム(カプトン100H、厚み25μm)上に、調製例1で得た原液Aを用いて、厚み100μmのステンレス製メタルマスクを介して、ライン幅500μm、スペース500μmのラインアンドスペースのパターンを印刷した。具体的には、ポリイミドフィルム上にメタルマスクを載せて密着させ、その上に原液Aを展開し、テフロン(登録商標)製のヘラでメタルマスクの開口部に液を充填した後、余分な液をすり切り、メタルマスクをゆっくり除去する方法で印刷を行った。印刷後、速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸積して凝固させ、次いで基材から剥離させることなく室温下で自然乾燥することによって基材上に多孔質層が積層された積層体を得た。多孔質層の厚みは約35μmであり、積層体の総厚みは約60μmであった。
【0166】
得られた積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がポリイミドフィルムに密着しており多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約1μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約1μmの連通性を持つ微小孔が存在していた。多孔質層内部の空効率は70%であった。
【0167】
実施例3
基材である東レ・デュポン社製のポリイミドフィルム(カプトン100H、厚み25μm)上に、調製例1で得た原液Aを用いて、厚み100μmのステンレス製メタルマスクを介して、直径4.5mmの円形パターンを印刷した。具体的には、ポリイミドフィルム上にメタルマスクを載せて密着させ、その上に原液Aを展開し、テフロン(登録商標)製のヘラでメタルマスクの開口部に液を充填した後、余分な液をすり切り、メタルマスクをゆっくり除去する方法で印刷を行った。印刷後、速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸積して凝固させ、次いで基材から剥離させることなく室温下で自然乾燥することによって基材上に多孔質層が積層された積層体を得た。多孔質層の厚みは約50μmであり、積層体の総厚みは約75μmであった。
【0168】
得られた積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がポリイミドフィルムに密着しており多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約1μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約1μmの連通性を持つ微小孔が存在していた。多孔質層内部の空効率は70%であった。
【0169】
実施例4
基材である帝人デュポン社製のPETフィルム(商品名「Sタイプ」、厚み100μm)上に、調製例1で得た原液Aを用いて、厚み100μmのステンレス製メタルマスクを介して、ライン幅500μm、スペース500μmのラインアンドスペースのパターンを印刷した。具体的には、PETフィルム上にメタルマスクを載せて密着させ、その上に原液Aを展開し、テフロン(登録商標)製のヘラでメタルマスクの開口部に液を充填した後、余分な液をすり切り、メタルマスクをゆっくり除去する方法で印刷を行った。印刷後、速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸積して凝固させ、次いで基材から剥離させることなく室温下で自然乾燥することによって基材上に多孔質層が積層された積層体を得た。多孔質層の厚みは約35μmであり、積層体の総厚みは約135μmであった。
【0170】
得られた積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がPETフィルムに密着しており多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約1μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約1μmの連通性を持つ微小孔が存在していた。多孔質層内部の空効率は70%であった。
【0171】
実施例5
基材である東レ・デュポン社製のポリイミドフィルム(カプトン100H、厚み25μm)上に、調製例2で得た原液Bを用いて、厚み100μmのステンレス製メタルマスクを介して、ライン幅500μm、スペース500μmのラインアンドスペースのパターンを印刷した。具体的には、ポリイミドフィルム上にメタルマスクを載せて密着させ、その上に原液Bを展開し、テフロン(登録商標)製のヘラでメタルマスクの開口部に液を充填した後、余分な液をすり切り、メタルマスクをゆっくり除去する方法で印刷を行った。印刷後、速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に8分間保持した。その後、水中に浸積して凝固させ、基材から剥離させることなく温度30℃の温度槽で乾燥した。次いで基材から剥離させることなく温度30℃の温度槽で乾燥した。次いで、270℃の温度槽の中で30分間加熱して多孔質層を構成するポリアミック酸をイミド化することによって、基材上にポリイミドからなる多孔質層が積層された積層体を得た。多孔質層の厚みは約30μmであり、積層体の総厚みは約55μmであった。
【0172】
得られた積層体を電子顕微鏡で観察したところ、多孔質層がポリイミドフィルムに密着しており多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約0.3μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約0.3μmの連通性を持つ微小孔が存在していた。多孔質層内部の空効率は70%であった。
【0173】
実施例6
実施例2で得た積層体(基材/多孔質層がポリイミド/ポリアミドイミド)を270℃の温度槽の中で30分間加熱処理を施すことにより、多孔質層を構成するポリアミドイミドを熱架橋させて不溶化させ、多孔質層に耐薬品性を付与した。加熱処理により耐溶剤性が付与された多孔質層を有する積層体は、NMPに浸漬して10分後でも溶解しなかったのに対し、実施例2で得た積層体(加熱処理前)はNMPに浸漬して数秒以内に溶解してしまった。
【0174】
得られた積層体を電子顕微鏡で観察したところ、新たに成形された多孔質層が基材に密着しており、この多孔質層の表面に存在する孔の平均孔径は約1μmであり、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約1μmの連通性を持つ微小孔が存在していた。また、新たに成形された多孔質層内部の空孔率は70%であった。
【0175】
実施例7
ノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名「YDCN−701」)をキシレンで希釈し、ノボラック型エポキシ樹脂/溶剤が5重量部/100重量部である耐薬品性改善処理液を調製した。この耐薬品性改善処理液に、実施例2で得た積層体(基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリアミドイミド)を3分間浸漬した後、塗布液から取り出して自然乾燥させた。乾燥後の積層体をテフロン(登録商標)製のプレート上にポリイミドテープで固定し、220℃の温度槽中で30分間加熱してノボラック型エポキシ樹脂を硬化させた。得られた積層体を電子顕微鏡で観察したところ、実施例2で得た積層体と同様、多孔質層内部はほぼ均質で全域に亘って連通性を有する微小孔で構成されていた。
【0176】
実施例8
積層体として実施例1で得た積層体[基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリアミドイミド]を用い、触媒処理としてセンシタイジング−アクチベーティング法を用いて配線パターンを作成した。センシタイジング−アクチベーティング法は、具体的には下記の方法により行った。
【0177】
0.89mol/mSnCl、2.4mol/mHClからなる塩化第一すず溶液を調製し、センシタイジング液として用いた。また、0.56mol/mPdCl、12.0mol/mHClからなる塩化パラジウム溶液を調製し、アクチベーティング液として用いた。
多孔質層が形成された積層体を、センシタイジング液に120秒間浸漬した後、イオン交換水で洗浄した。次に、アクチベーティング液に60秒間浸漬した後、イオン交換水で洗浄することにより、積層体表面の多孔質層に触媒処理(触媒核形成による活性化処理)を施した。
イオン交換水100mlに、NiSO・6HO3gを溶解した後、クエン酸ナトリウム二水和物1gを加えて溶解し、次いで次亜リン酸ナトリウム一水和物1gを加えて溶解して得られた溶液を、ニッケルメッキ液として用いた。
【0178】
触媒処理後の積層体を、90℃に加熱したニッケルメッキ液に浸漬したところ、すぐに泡が発生し、多孔質層にニッケルの被膜が形成された。10分後に多孔膜積層体を取り出し、イオン交換水で洗浄した後、自然乾燥した。ニッケルの被膜は、多孔質層に析出していた。基材(均質なポリイミド層)にはニッケルの被膜のわずかな析出が見られたが、続いてイオン交換水を用いた洗浄によりニッケル被膜は全て脱落した。こうして得られた積層体は、触媒処理により表面積の大きい多孔質層に触媒が多量に付着したことでニッケルの析出が加速され、さらに析出したニッケルは多孔質層に絡みつくことで強固に固定されたためと考えられる。基材表面は触媒の付着量が著しく少ない上に、均質な表面で構成されているためニッケルは絡みつくことはできないため、ニッケル被膜は形成できなかったと考えられる。
【0179】
実施例9
実施例8において、積層体として実施例2で得た積層体[基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリアミドイミド]を用いた点以外は実施例8と同様の方法により配線パターンを作成した。
【0180】
実施例10
実施例8において、積層体として実施例4で得た積層体[基材/多孔質層がPETフィルム/ポリアミドイミド]を用いた点以外は実施例8と同様の方法により配線パターンを作成した。
【0181】
実施例11
実施例8において、積層体として実施例5で得た積層体[基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリイミド]を用いた点以外は実施例8と同様の方法により配線基板用材料を作成した。
【0182】
実施例12
実施例8において、積層体として実施例6で得た積層体[基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリアミドイミド]を用いた点以外は実施例8と同様の方法により配線基板用材料を作成した。
【0183】
実施例13
実施例8において、積層体として実施例7で得た積層体[基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリアミドイミド]を用いた点以外は実施例8と同様の方法により配線パターンを作成した。
【0184】
実施例14
積層体として実施例1で得た積層体[基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリアミドイミド]を用い、銀ナノインクを用いて配線パターンを作成した。配線パターンは具体的には以下の方法により作成した。
日本ペイント社製の銀ナノインク(商品名「ファンスフェアSVW102」;銀含有量30重量%、溶媒、イオン交換水、銀平均粒子径約30nm)をスポイトで積層体上に滴下した。溶媒が揮発していくに従い、銀光沢の皮膜が得られた。これをイオン交換水中で洗浄したところ、基材を構成するポリイミドの緻密層上の銀が脱落し、多孔質層の銀のみが残留した。これを200℃の温度槽中で30分間加熱して銀の焼成を行った。
【0185】
実施例15
積層体として実施例3で得た積層体[基材/多孔質層がポリイミドフィルム/ポリアミドイミド]を用い、多孔質層が色素(メチレンブルー)により染色されたパターンを形成した。染色は具体的には以下の方法により行った。
一リットルのイオン交換水に0.1gのメチレンブルーを溶解し、メチレンブルー水溶液を調製し、ここへ実施例3で得た積層体を浸積して10分間経過した後に引き上げ、イオン交換水で30秒間洗浄することにより、直径4.5mmの円形パターンのみがメチレンブルーに染色され、ポリイミドフィルムには全く染色されていないパターンを形成した。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本発明の機能性材料からなるパターンの製造方法の一例を示す概略工程図であり、(A)は、基材1の片面に、高分子成分を含むインクを用いて印刷を施すことにより印刷層21aを形成する工程、(B)は、印刷層21aを相転換法により多孔質化して、多数の微小孔を有する多孔質層21bを形成する工程、(C)は、機能性材料を多孔質層21bに対応するパターンに描写して機能性付与層31bを形成する工程である。
【図2】本発明の方法で形成される機能性材料からなるパターンの一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の方法で形成される機能性材料からなるパターンの他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の方法で形成される機能性材料からなるパターンのさらに他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の機能性材料からなるパターンの製造方法における工程(C)の一例を示す概略工程図であって、(i)機能性材料を含む塗布液35aを多孔質層1側の面全体に塗布する工程、及び(ii)洗浄により過剰な機能性材料を含む塗布液35aを除去して、多孔質層表面のみに機能性付与層35からなるパターンを形成する工程である。
【図6】本発明の複合材料の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0187】
1 基板
21a 印刷層
21b 多孔質層
31b 32 33 34 35 36 機能性付与層
35a 機能性材料を含む塗布液
x 多孔質層のパターンが形成されていない領域
40 配線
50 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基材上に、高分子成分を含むインクを用いて所望のパターンを有する印刷層を設ける工程、
(B)印刷層を相転換法により多孔質化して、多数の微小孔を有する多孔質層を形成する工程、及び
(C)機能性材料を多孔質層に対応するパターンに描写して機能性付与層を形成する工程
を含む機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項2】
工程(A)に用いるインクに含まれる高分子成分が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂からなる群より選択された少なくとも一種である請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項3】
工程(A)において、基材を構成する材料が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂からなる群より選択された少なくとも一種である請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項4】
工程(A)に用いるインクに含まれる高分子成分が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、及び芳香族ポリアミド系樹脂から選択される少なくとも一種であり、基材を構成する材料が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂から選択される少なくとも一種である請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項5】
工程(A)に用いるインクがさらにメッキ触媒を含んでいる請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項6】
工程(A)に用いるインクが、高分子成分8〜25重量%、水溶性ポリマー5〜50重量%、水0〜10重量%、水溶性極性溶媒30〜82重量%、メッキ触媒0〜10重量%を含む混合溶液である請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項7】
工程(C)が、
(C-1)機能性材料を用いて多孔質層にメッキを施す方法、
(C-2)機能性材料を含む塗布液を用いて多孔質層上に印刷を施す方法、及び
(C-3)機能性材料を含む塗布液を多孔質層側の面全体に塗布した後、洗浄する方法
から選択される少なくとも一つの方法を用いる工程である請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項8】
工程(C)に用いる機能性材料が、導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体、着色剤、耐薬品性材料から選択された少なくとも一つである請求項1又は6記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項9】
工程(C)における機能性付与層が金属メッキ層又は磁性メッキ層である請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項10】
工程(B)で形成される多孔質層が、平均孔径0.01〜10μmの微小孔を有し、空孔率が30〜80%である請求項1記載の機能性材料からなるパターンの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかの項に記載の方法を用いて基材上に機能性材料からなるパターンを形成して複合材料を得る複合材料の製造方法。
【請求項12】
回路基板、放熱板、電磁波制御材又はアンテナに用いられる複合材料を得る請求項11記載の複合材料の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12記載の方法で得られる複合材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−283012(P2008−283012A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126375(P2007−126375)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】