説明

複合機

【課題】製品コストの低廉化及び小型化を実現できる複合機を提供する。
【解決手段】複合機1は、複数の機能を実現する各種の内部機器と、低圧電源部100と、通信回路部130とを備える。低圧電源部100は、外部電源P1から給電される一次側100Aと、内部機器の少なくとも一部(通信回路部130、高圧電源部200及び制御基板300)に対し、外部電源P1よりも低い電圧を供給する二次側100Bとを有する。通信回路部130は、回線L1を介して外部機器に接続される回線側130Aと、低圧電源部100の二次側100Bから低い電圧が供給されるとともに、内部機器の少なくとも一部(制御基板300)に接続される本体側130Bとを有して通信機能を実現する。低圧電源部100と通信回路部130とは一つの統合基板150上に設けられ、統合基板150は少なくとも耐火性を有する一つのエンクロージャ180内に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の複合機の例が開示されている。この複合機は、シートに画像を形成する画像形成機能と、回線を介して外部機器と情報の送受信を行なう通信機能とを含む複数の機能を備えるものである。
【0003】
この複合機は、複数の機能を実現するための各種の内部機器と、低圧電源部と、通信回路部とを備えている。低圧電源部は、外部電源から電圧が供給される一次側と、内部機器の少なくとも一部に対し、前記外部電源からの電圧よりも低い電圧を供給する二次側とを有する。また、通信回路部は、回線を介して外部機器に接続される回線側と、低圧電源部の二次側から低い電圧が供給されるとともに、内部機器の少なくとも一部に接続される本体側とを有して通信機能を実現するものである。
【0004】
低圧電源部は電源基板上に設けられ、通信回路部はNCU基板上に設けられている。そして、電源基板が複合機内の底面側に配設され、NCU基板が複合機内の背面側に配設されることにより、電源基板とNCU基板とが離れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−146100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複合機では、電源基板上の低圧電源部やNCU基板上の通信回路部が稀に発火した場合であっても装置全体に悪影響が及ぶことを防止するため、電源基板やNCU基板を少なくとも耐火性を有するエンクロージャ内に収容するのが一般的である。
【0007】
しかしながら、上記従来の複合機では、電源基板とNCU基板とが離れているため、電源基板を収容するエンクロージャと、NCU基板を収容するエンクロージャとを別々に設ける必要がある。その結果、上記従来の複合機では、エンクロージャの数や、電源基板とNCU基板とを接続するワイヤハーネス等の部品点数が増加し易くなり、製品コストの低廉化が難しいという問題がある。
【0008】
また、この複合機は、別々のエンクロージャを設置するためのスペースや、電源基板とNCU基板とを接続するワイヤハーネス等を設置するためのスペースが必要となるため、装置全体の小型化も難しい。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、製品コストの低廉化及び小型化を実現できる複合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の複合機は、シートに画像を形成する画像形成機能と、回線を介して外部機器と情報の送受信を行なう通信機能とを含む複数の機能を備える複合機であって、
前記複数の機能を実現するための各種の内部機器と、
外部電源から電圧が供給される一次側と、前記内部機器の少なくとも一部に対し、前記外部電源からの電圧よりも低い電圧を供給する二次側とを有する低圧電源部と、
前記回線を介して前記外部機器に接続される回線側と、前記低圧電源部の二次側から前記低い電圧が供給されるとともに、前記内部機器の少なくとも一部に接続される本体側とを有して前記通信機能を実現する通信回路部とを備え、
前記低圧電源部と前記通信回路部とは一つの統合基板上に設けられ、
前記統合基板は、少なくとも耐火性を有する一つのエンクロージャ内に収容されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の複合機によれば、低圧電源部と通信回路部とが一つの統合基板上に形成されることで、低圧電源部から通信回路部に給電し易くなる。その結果、従来必要であった、電源基板と通信基板といった別々の専用基板を接続するためのワイヤハーネス等の部品を削減できる。
【0012】
また、低圧電源部と通信回路部とが別々の専用基板に形成されて各専用基板が別々のエンクロージャに収容される場合と比較して、エンクロージャの数を削減でき、製品コストの低廉化を実現できる。
【0013】
さらに、別々の専用基板を採用する場合と比較して、統合基板を採用する方が設置スペースを小さくでき、また、別々の専用基板を接続するためのワイヤハーネスも不要となって、そのワイヤハーネスのための設置スペースを確保しなくてもよい。その結果、この複合機は、装置全体の小型化を実現できる。
【0014】
したがって、本発明の複合機によれば、製品コストの低廉化及び小型化を実現できる。
【0015】
また、本発明の複合機においては、低圧電源部の二次側と通信回路部の本体側とは、統合基板上で隣接していることが望ましい。この構成によれば、統合基板上で低圧電源部の二次側と通信回路部の本体側とを接続する電気配線の長さを短くできるので、統合基板を小型化し易い。
【0016】
また、本発明の複合機においては、低圧電源部の一次側における外部電源との接続部は、統合基板の一端側に配設され、通信回路部の回線側における外部機器との接続部は、統合基板の他端側に配設されていることが望ましい。この構成によれば、通信回路部の回線側における外部機器との接続部に対して、低圧電源部の一次側における外部電源との接続部を遠ざけることができる。その結果、外部電源から低圧電源部の一次側に供給される電圧によって、通信回路部でノイズが発生することを抑制できる。
【0017】
さらに、本発明の複合機は、筐体と、筐体内に設けられ、静電潜像が形成される像担持体を有して画像形成機能を実現する電子写真方式の画像形成部とを備えることが望ましい。また、この複合機は、低圧電源部の二次側から電圧が供給される一次側と、像担持体を含む画像形成部に対し、外部電源からの電圧よりも高い電圧を供給する二次側とを有し、筐体内に設けられる高圧電源部と、筐体内に設けられ、低圧電源部の二次側から電圧が供給されて、少なくとも画像形成機能及び通信機能を制御する制御基板とを備えることが望ましい。そして、統合基板は、筐体の底面側に配設され、高圧電源部と制御基板とは、高圧電源部が低圧電源部の一次側と近接し、かつ制御基板が低圧電源部の二次側と近接するように、筐体の互いに対向する側壁にそれぞれ配設されていることが望ましい。
【0018】
この構成によれば、制御基板と、低圧電源部の二次側とを接続するワイヤハーネスを短くでき、そのワイヤハーネスの取り回しも簡素化できる。また、低圧電源部の二次側に対して、高圧電源部を遠ざけることができるので、高圧電源部からのノイズの影響を受け難くすることができ、低圧電源部の二次側でノイズが発生することを抑制できる。さらに、統合基板が筐体の底面側に配設され、高圧電源部と制御基板とが筐体の互いに対向する側壁にそれぞれ配設されるレイアウトにより、筐体の中央に画像形成部等の設置スペースを確保し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1の複合機の概略断面図である。
【図2】実施例1の複合機に係り、統合基板、高圧電源部及び制御基板並びにそれらをそれぞれ収容する複数のエンクロージャの相対位置関係を説明する背面図である。
【図3】実施例1の複合機に係り、図2のA−A断面において、統合基板、高圧電源部及び制御基板並びにそれらをそれぞれ収容する複数のエンクロージャを抜き出して示して、それらの相対位置関係を説明する断面図である。
【図4】実施例1の複合機に係り、画像形成部、画像読取部、統合基板、高圧電源部及び制御基板等の電気的接続を説明する概略ブロック図である。
【図5】実施例2の複合機に係り、画像形成部、画像読取部、統合基板、高圧電源部及び制御基板等の電気的接続を説明する概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例1)
図1に示すように、実施例の複合機1は、一般的にマルチ・ファンクショナル・プリンタと呼ばれるものであり、画像形成機能、通信機能及び画像読取機能等の複数の機能を備える。図1では、複合機1の操作部50側(図1の紙面右側)を装置の前側と規定し、操作部50に向かって左(図1の紙面手前側)を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1等に基づいて、複合機1の具体的構成を説明する。
【0022】
<複合機の全体構成>
図1に示すように、複合機1は、本体ハウジング61と、本体ハウジング61の上側に設けられた開閉ハウジング62とを備える。本体ハウジング61は、本発明の筐体の一例である。
【0023】
また、複合機1は、本体ハウジング61内に収容され、用紙やOHPシート等であるシート9に画像を形成する画像形成部10と、本体ハウジング61内の上方に収容され、原稿の画像を読み取る画像読取部20とを備える。
【0024】
さらに、複合機1は、排出空間30と、取り出し口31と、操作部50とを備える。排出空間30は、本体ハウジング61内における画像形成部10と画像読取部20との間に設けられている。排出空間30には、画像が形成されたシート9が排出される。取り出し口31は、本体ハウジング61の前面に開口し、排出空間30と本体ハウジング61の外部とを連通させている。取り出し口31は、排出空間30に排出されたシート9をユーザが取り出し可能とする。操作部50は、取り出し口31の上方に設けられている。操作部50は、入力キーにより、ユーザから画像形成部10又は画像読取部20に対する入力操作を受けたり、表示部により、画像形成部10又は画像読取部20に関する設定情報や稼働状況を表示する周知の構成を有する。
【0025】
開閉ハウジング62は、本体ハウジング61の背面側上部に設けられた左右方向を向く揺動軸X1に揺動可能に支持されている。開閉ハウジング62は、通常は水平状態となって閉じている。この場合、開閉ハウジング62は、本体ハウジング61の上面に設けられた載置面21Aを覆う。そして、開閉ハウジング62は、その前端側が持ち上げられて、図1に二点鎖線で示す傾斜状態となることにより、本体ハウジング61の載置面21Aを開放する。その結果、画像を読み取られる原稿を載置面21Aに載置することができる。
【0026】
なお、開閉ハウジング62内には、後述する読取部22に向けて原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)40が収容されている。自動原稿搬送機構40は周知の構成を有するものであるので説明は省略する。
【0027】
<画像形成部>
画像形成部10は、シート9を収容する供給カセット11と、供給カセット11内のシート9を一枚ずつ取り出して搬送経路P1に沿って搬送し、排出空間30に排出する搬送機構12と、供給カセット11の上方、且つ排出空間30の下方に設けられた画像形成部本体13とを有する。
【0028】
画像形成部本体13は、カラー印刷が可能な、いわゆるダイレクトタンデム方式のものであり、現像トナーカートリッジ15、スキャナ部14及び定着器ユニット16等を有する。現像トナーカートリッジ15は、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色のトナーに対応し、搬送経路P1の略水平部分に沿って直列する4つのカートリッジの集合体である。現像トナーカートリッジ15は、各色のトナーにそれぞれ対応する4個の感光ドラム15Aや、図示しない現像ローラ、帯電器及びトナー収容部等を有する。スキャナ部14は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等から構成されており、上方からレーザビームを現像トナーカートリッジ15内の各感光ドラム15Aに照射する。定着ユニット16は、現像トナーカートリッジ15の下方を通過したシート9を加熱ローラ16Aと加圧ローラ16Bとをより加熱加圧する。
【0029】
上記構成である画像形成部本体13は、以下のようにして、搬送経路P1に沿って搬送されるシート9に画像を形成する。すなわち、各感光ドラム15Aの表面は、その回転に伴って、帯電器により一様に正帯電された後、スキャナ部14から照射されるレーザビームの高速走査により露光される。これにより、各感光ドラム15Aの表面には、シート9に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次に、トナー収容部からトナーが静電潜像に対応して各感光ドラム15Aの表面に供給され、それらの表面上に担持されたトナーがシート9に転写される。そして、トナーが転写されたシート9は定着ユニット16で加熱加圧されて、トナーがシート9に定着する。その後、画像形成が完了したシート9は、排出空間30に排出される。
【0030】
このようにして画像形成機能を実現する画像形成部10は、図2〜図4を示して後述するように、制御基板300から制御を受けて動作する。この際、画像形成部10を構成する駆動モータやセンサ等に対して、低圧電源部100から制御基板300を介して、低い電圧が供給される。また、画像形成部本体13を構成する感光ドラム15Aや帯電器に対して、高圧電源部200から高い電圧が供給される。低圧電源部100、及び高圧電源部200については、後述する。
【0031】
<画像読取部>
図1に示すように、画像読取部20は、いわゆるフラットベット方式のものであり、本体ハウジング61の上面が開口されて、その開口がプラテンガラス21によって塞がれている。プラテンガラス21の上面は、画像を読み取られる原稿が載置される載置面21Aとされている。
【0032】
プラテンガラス21の下方には、読取部22が収容されている。読取部22としては、密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサを採用できる。読取部22は、図示しないスライド機構により左右方向、すなわち、図1の紙面に対して垂直な方向に進退可能とされている。
【0033】
上記構成である画像読取部20では、載置面21Aに原稿が載置され、操作部50を介して読み取り開始の指示があると、載置面21Aの下側で、読取部22が原稿の画像の一部を前後方向に長いライン状(主走査方向)に読み取りながら、左右方向(副走査方向)に移動する。こうして、画像読取部20は、原稿の画像の全体を読み取ることができる。また、この画像読取部20では、自動原稿搬送機構40により、複数枚の原稿を1枚ずつ搬送して、所定の位置に停止した読取部22の上方を通過させることにより、複数枚の原稿を自動的に読み取ることもできる。
【0034】
このようにして画像読取機能を実現する画像読取部20及び自動原稿搬送機構40は、図2〜図4を示して後述するように、制御基板300から制御を受けて動作する。この際、画像読取部20や自動原稿搬送機構40を構成する駆動モータやセンサ等に対して、低圧電源部100から制御基板300を介して、低い電圧が供給される。
【0035】
<複合機の電気的構成>
図1〜図3に示すように、複合機1は、統合基板150と、統合基板150を収容するエンクロージャ180と、高圧電源部200と、制御基板300とを備える。
【0036】
統合基板150及びエンクロージャ180は、本体ハウジング61内の底面側に配設されている。統合基板150及びエンクロージャ180は、供給カセット11の後部側の上方に位置して、略水平に延在している。エンクロージャ180は、統合基板150を収容する内部空間を有する略箱状体であり、本体ハウジング61内に設けられた図示しないフレーム部材に支持されている。エンクロージャ180は、少なくとも耐火性を有するものであり、例えば、難燃性樹脂の射出成形品や、パンチングメタル等の金属板材が折り曲げ加工されてなる略箱状体等を採用できる。後者の場合、耐火性に加え、電磁波遮蔽性も有する。エンクロージャ180が耐火性を有することにより、低圧電源部100又は通信回路部130が稀に発火した場合であっても、装置全体に悪影響が及ぶことを防止できる。
【0037】
統合基板150及びエンクロージャ180の左端側は、本体ハウジング61の左壁61L近くまで延在している。また、統合基板150及びエンクロージャ180の右端側は、本体ハウジング61の右壁61R近くまで延在している。
【0038】
高圧電源部200は、本体ハウジング61内において左壁61Lに沿うように配設されている。高圧電源部200は、本体ハウジング61内に設けられた図示しないフレーム部材に支持されて、統合基板150及びエンクロージャ180より上方、かつ画像形成部本体13より左方に位置している。高圧電源部200は、ワイヤハーネス200Wを介して、統合基板150と接続されている。
【0039】
制御基板300は、本体ハウジング61内において右壁61Rに沿うように配設されている。制御基板300は、本体ハウジング61内に設けられた図示しないフレーム部材に支持されて、統合基板150及びエンクロージャ180より上方、かつ画像形成部本体13より右方に位置している。制御基板300は、ワイヤハーネス300Wを介して、統合基板150と接続されている。
【0040】
図3に示すように、本体ハウジング61の背面において、左側には電源コネクタ129が設けられ、右側には回線コネクタ149が設けられている。電源コネクタ129は、統合基板150の左端側に位置し、回線コネクタ149は統合基板150の右端側に位置している。そして、図4に示すように、電源コネクタ129は、100Vの交流である外部電源P1(例えば、家庭用コンセント)に接続される。回線コネクタ149は、電話回線又はイーサネット(登録商標)等である回線L1を介して、電話機、FAX、電子計算機、通信処理装置又は交換機等の外部機器に接続される。
【0041】
図3及び図4に示すように、統合基板150上には、左側に位置する低圧電源部100と、右側に位置する通信回路部130とが設けられている。
【0042】
<低圧電源部>
低圧電源部100は、周知の構成を備えるものであるので図示及び説明は簡略するが、図4に示すように、外部電源P1から電源コネクタ129を介して給電される高い電圧(100V)の交流を整流平滑回路101、スイッチング回路102、高周波トランス103、整流平滑回路104及び制御回路105により、低い電圧(例えば、+24V又は+5V)に変換する。高い電圧が供給される整流平滑回路101側が低圧電源部100の一次側100Aであり、低い電圧を出力する整流平滑回路104側が低圧電源部100の二次側100Bである。
【0043】
低圧電源部100の二次側100Bは、統合基板150上の電気配線パターン100Cを介して、通信回路部130に接続されている。また、低圧電源部100の二次側100Bは、ワイヤハーネス200Wを介して、高圧電源部200の一次側200Aに接続されている。さらに、低圧電源部100の二次側100Bは、ワイヤハーネス300Wを介して、制御基板300に接続されている。これにより、低圧電源部100は、通信回路部130、高圧電源部200及び制御基板300に対し、外部電源P1からの電圧よりも低い電圧を供給する。なお、ワイヤハーネス300Wは、低圧電源部100と制御基板300とを接続する電気配線と、制御回路部130と制御基板300とを接続する複数本の電気配線とから構成されている。
【0044】
<通信回路部>
通信回路部130は、周知の構成を備えるものであるので図示及び説明は簡略するが、入出力インターフェース回路131、起動リレー132、トランス133、信号増幅回路134及び入出力切替リレー135により、回線L1を通じて、外部機器と通話やデータの送受信を行う。回線コネクタ149と接続される入出力インターフェース回路131側が通信回路部130の回線側130Aであり、ワイヤハーネス300Wを介して制御基板300に接続される信号増幅回路134側が通信回路部130の本体側130Bである。通信回路部130の本体側130Bは、低圧電源部100の二次側100Bと統合基板150上で隣接し、かつ電気配線パターン100Cを介して接続されている。
【0045】
<高圧電源部>
高圧電源部200は、周知の構成を備えるものであるので図示及び説明は簡略するが、ワイヤハーネス200Wを介して、低圧電源部100の二次側100Bから供給される電圧を図示しない昇圧回路により昇圧し、外部電源P1からの電圧よりも高い電圧を画像形成部本体13の感光ドラム15Aや帯電器等に供給する。低圧電源部100の二次側100Bから電圧が供給される側が高圧電源部200の一次側200Aであり、感光ドラム15A等に高い電圧を供給する側が高圧電源部200の二次側200Bである。
【0046】
高圧電源部200は、低圧電源部100の一次側100Aと近接しており、低圧電源部100の二次側100B及び通信回路部130に対して遠ざけられている。
【0047】
<制御基板>
制御基板300は、周知の構成を備えるものであるので図示及び説明は簡略するが、ワイヤハーネス300Wを介して、低圧電源部100の二次側100Bから電圧が供給されて、画像形成部10、画像読取部20及び自動原稿搬送機構40を構成する駆動モータやセンサ等や制御部50を制御することにより、画像形成機能及び画像読取機能を制御する。
【0048】
また、制御基板300は周知のモデムにより、通信回路部130から伝達される情報を変換し、画像データとして画像形成部10に伝達したり、画像読取部20が読み取った原稿の画像情報を変換し、通信回路部130、回線コネクタ149及び回線L1を介して外部機器に伝達したり、図示しない送受話器を使用して、通信回路部130及び回線L1を介した通話を実現する。こうして、制御基板300は、通信機能も制御する。
【0049】
制御基板300は、低圧電源部100の二次側100Bと近接している。これにより、ワイヤハーネス300Wを短くできるとともに、ワイヤハーネス300Wの取り回しを簡素化できる。
【0050】
<作用効果>
実施例1の複合機1によれば、低圧電源部100と通信回路部130とが一つの統合基板150上に形成されることで、低圧電源部100から通信回路部130に給電し易くなる。その結果、従来必要であった、電源基板と通信基板といった別々の専用基板を接続するためのワイヤハーネス等の部品を削減できる。
【0051】
また、低圧電源部100と通信回路部130とが別々の専用基板に形成されて各専用基板が別々のエンクロージャに収容される場合と比較して、エンクロージャの数を削減でき、製品コストの低廉化を実現できる。
【0052】
さらに、別々の専用基板を採用する場合と比較して、統合基板150を採用する方が設置スペースを小さくでき、また、別々の専用基板を接続するためのワイヤハーネスも不要となって、そのワイヤハーネスのための設置スペースを確保しなくてもよいので、装置全体の小型化を実現できる。
【0053】
したがって、実施例1の複合機1によれば、製品コストの低廉化及び小型化を実現できる。
【0054】
また、この複合機1においては、低圧電源部100の二次側100Bと通信回路部130の本体側130Bとは、統合基板150上で隣接している。この構成により、統合基板150上で低圧電源部100の二次側100Bと通信回路部130の本体側130Bとを接続する電気配線パターン100Cの長さを短くできるので、統合基板150を小型化し易い。
【0055】
また、この複合機1においては、低圧電源部100の電源コネクタ129は、統合基板150の左端側、すなわち、本体ハウジングの左壁61L側に配設されている。その一方、通信回路部130の回線コネクタ149は、統合基板150の右端側、すなわち、本体ハウジングの右壁61R側に配設されている。この構成により、回線コネクタ149に対して、電源コネクタ129を遠ざけることができる。その結果、外部電源P1から低圧電源部100の一次側100Aに供給される電圧によって、通信回路部130でノイズが発生することを抑制できる。
【0056】
さらに、この複合機1においては、統合基板150は、本体ハウジング61の底面側に配設されている。そして、高圧電源部200と制御基板300とは、高圧電源部200が低圧電源部100の一次側100Aと近接し、かつ制御基板300が低圧電源部100の二次側100Bと近接するように、本体ハウジング61の左壁61Lと右壁61Rとにそれぞれ配設されている。この構成により、低圧電源部100の二次側100B及び通信回路部130に対して、高圧電源部200を遠ざけることができるので、高圧電源部200からのノイズの影響を受け難くすることができ、低圧電源部100の二次側100B及び通信回路部130でノイズが発生することを抑制できる。さらに、統合基板150が本体ハウジング61の底面側に配設され、高圧電源部200と制御基板300とが左壁61Lと右壁61Rとにそれぞれ配設されるレイアウトにより、図2に示すように、本体ハウジング61の中央に画像形成部本体13等の設置スペースを確保し易くなる。
【0057】
(実施例2)
図5に示すように、実施例2の複合機は、実施例1の複合機1における回線コネクタ149の位置を左壁61Lにおける電源コネクタ129の近傍に移動し、統合基板150上の低圧電源部100及び通信回線部130のレイアウトを変更したものである。実施例2の複合機のその他の構成は、実施例1の複合機と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
【0058】
実施例2の複合機では、低圧電源部100の一次側100Aは統合基板150上の左方の電源コネクタ129近傍に位置し、低圧電源部100の二次側100Bは統合基板150上の右方に位置している。また、通信回線部130の回線側130Aは電源コネクタ129及び回線コネクタ149の近傍に位置し、通信回線部130の本体側130Bは統合基板150上の左方に位置している。
【0059】
このような構成である実施例2の複合機も、エンクロージャの数を削減でき、また、低圧電源部100と通信回路部130とを接続するワイヤハーネス等も不要となるので、部品点数を削減できる。また、統合基板150の設置スペースを小さくでき、また、別々の専用基板を接続するワイヤハーネスのための設置スペースを確保しなくてもよいので、装置本体の小型化を実現できる。
【0060】
したがって、実施例2の複合機によれば、実施例1の複合機と同様に、製品コストの低廉化及び小型化を実現できる。また、この複合機は、電源コネクタ149と回線コネクタ129とが接近しているので、電源コネクタ149に接続される電源ケーブルと回線コネクタ129に接続される回線L1とを束ねて取り回すことが容易になる。
【0061】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は複合機に利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…複合機、61…筐体(本体ハウジング)、L1…回線、P1…外部電源
10…画像形成部、15A…像担持体(感光ドラム)、9…シート
100…低圧電源部、100A…低圧電源部の一次側、100B…低圧電源部の二次側
130…通信回路部、130A…通信回路部の回線側、130B…通信回路部の本体側
150…統合基板、180…エンクロージャ、300…制御基板
129…低圧電源部の一次側における外部電源との接続部(電源コネクタ)
149…通信回路部の回線側における外部機器との接続部(回線コネクタ)
200…高圧電源部、200A…高圧電源部の一次側、200B…高圧電源部の二次側
61L、61R…筐体の互いに対向する側壁(61L…本体ハウジングの左壁、61R…本体ハウジングの右壁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成機能と、回線を介して外部機器と情報の送受信を行なう通信機能とを含む複数の機能を備える複合機であって、
前記複数の機能を実現するための各種の内部機器と、
外部電源から電圧が供給される一次側と、前記内部機器の少なくとも一部に対し、前記外部電源からの電圧よりも低い電圧を供給する二次側とを有する低圧電源部と、
前記回線を介して前記外部機器に接続される回線側と、前記低圧電源部の二次側から前記低い電圧が供給されるとともに、前記内部機器の少なくとも一部に接続される本体側とを有して前記通信機能を実現する通信回路部とを備え、
前記低圧電源部と前記通信回路部とは一つの統合基板上に設けられ、
前記統合基板は、少なくとも耐火性を有する一つのエンクロージャ内に収容されていることを特徴とする複合機。
【請求項2】
前記低圧電源部の二次側と前記通信回路部の本体側とは、前記統合基板上で隣接している請求項1記載の複合機。
【請求項3】
前記低圧電源部の一次側における前記外部電源との接続部は、前記統合基板の一端側に配設され、
前記通信回路部の回線側における前記外部機器との接続部は、前記統合基板の他端側に配設されている請求項1又は2記載の複合機。
【請求項4】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、静電潜像が形成される像担持体を有して前記画像形成機能を実現する電子写真方式の画像形成部と、
前記低圧電源部の二次側から電圧が供給される一次側と、前記像担持体を含む前記画像形成部に対し、前記外部電源からの電圧よりも高い電圧を供給する二次側とを有し、前記筐体内に設けられる高圧電源部と、
前記筐体内に設けられ、前記低圧電源部の二次側から電圧が供給されて、少なくとも前記画像形成機能及び前記通信機能を制御する制御基板とを備え、
前記統合基板は、前記筐体の底面側に配設され、
前記高圧電源部と前記制御基板とは、前記高圧電源部が前記低圧電源部の一次側と近接し、かつ前記制御基板が前記低圧電源部の二次側と近接するように、前記筐体の互いに対向する側壁にそれぞれ配設されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の複合機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−253611(P2012−253611A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125497(P2011−125497)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】