説明

親水性ポリウレタン被膜

本発明は、基材を被覆するための特定のポリウレタンウレア被覆剤の使用であって、ポリウレタンウレアが(1)ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなるコポリマー単位によって終端されており、かつ(2)少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリカーボネートポリオールを含んでなる使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性被膜の製造におけるポリウレタン分散体としての被覆組成物の使用、特に、デバイス、とりわけメディカルデバイスの被覆における被覆組成物の使用に関する。加えて、本発明の親水性被覆剤は、結露から表面を保護するため、清浄または自己清浄しやすい表面を製造するため、およびそのような表面によって汚れの取り込みを低減するために使用することもできる。本発明の親水性被覆剤は更に、表面上の水斑の形成を低減または回避することができる。
【0002】
また、本発明のポリウレタン分散体を用いて、水中に生息している有機体で著しい程度までもはや覆われることのない(防汚性)親水性表面を製造することもできる。本発明の被覆剤の更なる応用分野は、印刷産業における用途、化粧品のための用途、および活性成分放出システム(医療技術における用途以外でも)のための用途である。
【背景技術】
【0003】
メディカルデバイス(例えばカテーテル)の使用は、該デバイスに親水性表面を付与することによって大きく改善することができる。血液または尿との接触時に親水性表面が水膜を吸着するので、導尿カテーテルまたは血管カテーテルの挿入および移動が容易になる。結果的に、血管壁に対するカテーテル表面の摩擦が低減し、それによってカテーテルの挿入および移動がより容易になる。均一な水膜の形成によって摩擦を低減するために、操作前にデバイスを直接湿潤させることもできる。関係している患者の痛みはより軽減され、それによって、血管壁を傷つける危険性が低減する。カテーテルを血液と接触させて使用する場合は更に、血栓が生じる危険性が常に存在する。これに関して、親水性被膜は、抗血栓性被膜として有用であると一般に考えられている。
【0004】
対応するポリウレタンの溶液または分散体から製造されたポリウレタン被膜が、基本的に、対応する表面の製造に適している。
【0005】
例えば、US−A 5,589,563は、生物医学分野で使用されるポリマーのための表面変性末端基含有被膜の使用であって、該ポリマーがメディカルデバイスを被覆するためにも使用され得る使用を記載している。得られた被膜は、溶液または分散体から製造され、該ポリマー被膜は、アミン、フッ素化アルカノール、ポリジメチルシロキサンおよびアミン末端ポリエチレンオキシドから選択される異なった末端基を含有する。しかしながら該ポリマーは、メディカルデバイス用被膜としての特性、特に要求される親水性に関する特性を十分有していない。
【0006】
DE−A 199 14 882は、
(a)少なくとも1種のポリオール成分、
(b)少なくとも1種のジイソシアネート成分、トリイソシアネート成分および/またはポリイソシアネート成分、
(c)イソシアネート基に対して反応性である少なくとも1個の基と少なくとも1つの親水性ポリエーテル鎖とを含有する化合物、および/または任意に少なくとも部分的に中和された状態で存在してよく塩を形成できる少なくとも1個の基とイソシアネート基に対して反応性である少なくとも1個の基とを含有する化合物からなる、少なくとも1種の親水性の非イオン性または潜在イオン性連鎖延長成分、
(d)32〜500の範囲に分子量を有し、イソシアネート基に対して反応性である少なくとも1個の基を含有する、成分(a)〜(c)とは異なる少なくとも1種の連鎖延長成分、および
(e)少なくとも1種の単官能性ブロッキング剤
からなる、分散または溶解した状態の、ポリウレタン、ポリウレタンウレアおよびポリウレアに関する。結果的に必ず単官能性ブロッキング剤を含有する該ポリマー分散体は、例えば、サイズ剤に使用されている。
【0007】
DE−A 199 14 885は、好ましくは、
(a)少なくとも1種のポリオール成分、
(b)少なくとも1種のジイソシアネート成分、トリイソシアネート成分および/またはポリイソシアネート成分、
(c)任意に、NCO基に対して反応性である少なくとも1個の基と任意に少なくとも部分的に中和された状態で存在してよく塩を形成できる少なくとも1個の基とを含有する化合物からなる、少なくとも1種の(潜在)イオン性連鎖延長成分、
(d)任意に、イソシアネート付加反応において一官能性〜四官能性であり、かつ少なくとも1つの親水性ポリエーテル鎖を含有する化合物からなる、少なくとも1種の非イオン性親水性連鎖延長成分、
(e)任意に、32〜2500の範囲に分子量を有し、イソシアネート基に対して反応性である基を含有する、成分(a)〜(d)とは異なる少なくとも1種の連鎖延長成分、および
(f)0.1〜15重量%の、少なくとも50%のジメチルピラゾールからなる少なくとも1種の単官能性ブロッキング剤
の反応生成物である、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレアおよびポリウレアに基づく分散体であって、成分(a)〜(f)の和は100%であり、成分(c)または(d)のいずれかは0でなくてよく、かつ安定な分散体が形成される量で使用される、分散体に関する。
【0008】
該分散体は、特に、無機基材の被覆において、木材および木材由来製品のラッカー塗りおよびシーリングにおいて、金属表面のラッカー塗りおよび被覆において、プラスチックのラッカー塗りおよび被覆において、並びに布地および皮革の被覆において使用される。
【0009】
従来技術から知られているこれらのポリウレタンウレア分散体は、医療目的、即ちメディカルデバイスを被覆するために使用されていない。
【0010】
更に、今まで知られているポリウレタンウレア被膜は、メディカルデバイス用被膜として使用するのに十分な親水性を有していないといった欠点をしばしば有する。
【0011】
これに関して、US−A 5,589,563は、メディカルデバイスを被覆するために使用できる生物医学的ポリマーに表面変性末端基を導入することを推奨している。該ポリマーは、アミン、フッ素化アルカノール、ポリジメチルシロキサンおよびアミン末端ポリエチレンオキシドから選択される異なった末端基を含有する。しかしながら、メディカルデバイス用被膜として、該ポリマーもまた十分な特性、特に要求される親水性に関する十分な特性を有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】US−A 5,589,563
【特許文献2】DE−A 199 14 882
【特許文献3】DE−A 199 14 885
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、メディカルデバイスに親水性表面を付与または被覆するために使用できるポリウレタンウレア分散体を提供することである。該表面は、血液と接触させてしばしば使用されるので、該材料表面は、良好な血液適合性も有すべきであり、特に血栓が生じる危険性を低減すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、メディカルデバイスを提供するのに望ましいような親水性表面、および防汚性を有する表面の製造における、特定のポリウレタンウレア分散体の使用を提供する。
【0015】
本発明に従って使用されるポリウレタンウレア分散体は、
(1)ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマー単位によって終端されている少なくとも1種のポリウレタンウレア、および
(2)少なくとも1種のポリカーボネートポリオール
を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
これらの特定のポリウレタンウレアを含んでなる組成物が、例えば、挿入性を改善すると同時にメディカルデバイスでの処置の過程における血栓形成の危険性を低減するために多くのメディカルデバイスにおいて望まれているような親水性を有する被膜に、および例えば造船において望まれているような防汚性を有する表面を製造するために、著しく適していることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の範囲におけるポリウレタンウレアは、
(a)以下の一般構造:
【化1】

で示されるウレタン基を含有する反復構成単位を少なくとも2個、および
以下の一般構造:
【化2】

で示されるウレア基を含有する反復構成単位を少なくとも1個
含有するポリマー化合物である。
【0018】
本発明に従って使用される被覆組成物は、実質的にイオン変性されていないポリウレタンウレアに基づく。これは、本発明の範囲では、本発明に従って使用されるポリウレタンウレアがイオン性基(特に、スルホネート基、カルボキシレート基、ホスフェート基またはホスホネート基)を実質的に含有しないことを意味すると理解される。
【0019】
本発明の範囲において、用語「実質的にイオン変性されていない」とは、イオン変性が2.50重量%以下、好ましくは2.00重量%以下、特に1.50重量%以下、特に好ましくは1.00重量%以下、とりわけ0.50重量%以下の量で存在し、最も好ましい場合は、本発明に従って供給されるポリウレタンウレアにイオン変性が全く存在しないことを意味すると理解される。
【0020】
本発明のポリウレタンウレアは、好ましくは実質的に直鎖分子であるが、分枝であってもよい。本発明において、実質的に直鎖分子とは、容易に予備架橋され、かつ好ましくは1.7〜2.3、特に1.8〜2.2、特に好ましくは1.9〜2.1の平均ヒドロキシル官能価を有するポリカーボネートポリオールを含有する系であると理解される。そのような系はまだ、十分な程度に分散することができる。
【0021】
本発明で好ましく使用されるポリウレタンウレアの数平均分子量は、好ましくは1000〜200,000、特に好ましくは5000〜100,000である。数平均分子量は、30℃で、ジメチルアセトアミド中、標準としてのポリスチレンに対して測定される。
【0022】
ポリウレタンウレア
以下に、本発明のポリウレタンウレアを詳細に記載する。
本発明のポリウレタンウレアは、少なくとも1種のポリカーボネートポリオール成分、ポリイソシアネート成分、ポリオキシアルキレンエーテル成分、ジアミンおよび/またはアミノアルコール成分、および任意にポリオール成分を含んでなる連鎖延長成分の反応によって調製される。
以下に、個々の連鎖延長成分を詳細に記載する。
【0023】
(a)ポリカーボネートポリオール
本発明のポリウレタンウレアは、少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリカーボネート(ポリカーボネートポリオール)に基づく単位を含有する。
【0024】
ヒドロキシル基含有ポリカーボネートに基づく単位を導入するために、基本的に、1.7〜2.3、好ましくは1.8〜2.2、特に好ましくは1.9〜2.1の平均ヒドロキシル官能価を有するポリカーボネートポリオール(即ちポリヒドロキシ化合物)が適している。従って、ポリカーボネートは、好適には、実質的に直鎖であり、僅かな三次元架橋しか示さない。
【0025】
適当なヒドロキシル基含有ポリカーボネートは、例えば炭酸誘導体(例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲン)とポリオール(好ましくはジオール)との反応によって得られる、好ましくは400〜6000g/mol、特に好ましくは500〜5000g/mol、とりわけ600〜3000g/molの分子量(OH価を介して測定された分子量;DIN 53240)を有するポリカーボネートである。そのようなジオールとして適しているものは、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、およびラクトン変性ジオールである。
【0026】
ジオール成分は、好ましくは、40〜100重量%のヘキサンジオール、好適には1,6−ヘキサンジオールおよび/またはヘキサンジオール誘導体、好ましくは末端OH基の他にエーテル基またはエステル基も含有するヘキサンジオール誘導体(例えば、1molのヘキサンジオールと少なくとも1mol、好ましくは1〜2molのカプロラクトンとの反応によって、或いはジへキシレングリコールまたはトリへキシレングリコールを与えるヘキサンジオール同士のエーテル化によって、得られる生成物)を含有する。ポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することもできる。ヒドロキシルポリカーボネートは、実質的に直鎖であるほうがよい。しかしながら任意に、ヒドロキシルポリカーボネートは、多官能性成分、特に低分子量ポリオールの配合の結果として、やや分枝していてもよい。この目的に適しているものは、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシドまたは1,3,4,6−ジアンヒドロヘキサイトである。1,6−ヘキサンジオールに基づくポリカーボネート、および例えば1,4−ブタンジオールのような変性作用を有するコジオールに基づくポリカーボネート、またはε−カプロラクトンに基づくポリカーボネートが好ましい。更に好ましいポリカーボネートジオールは、1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−ブタンジオールの混合物に基づくポリカーボネートジオールである。
【0027】
(b)ポリイソシアネート
本発明のポリウレタンウレアは更に、少なくとも1種のポリイソシアネートに基づく単位を含有する。
【0028】
ポリイソシアネート(b)として、当業者に知られており、1以上、好ましくは2以上の平均NCO官能価を有する、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式イソシアネートを、それらがホスゲン法またはホスゲンフリー法のどちらによって調製されたかに関係なく、単独でまたは互いの所望の混合物として使用することができる。ポリイソシアネートは、イミノオキサジアジンジオン、イソシアヌレート、ウレトジオン、ウレタン、アロファネート、ビウレット、ウレア、オキサジアジントリオン、オキサゾリジノン、アシルウレアおよび/またはカルボジイミド構造を含有してもよい。ポリイソシアネートは、単独でまたは互いの所望の混合物として使用してよい。
【0029】
3〜30個、好ましくは4〜20個の炭素原子の(存在するNCO基を除く)炭素骨格構造を好適には含有する、脂肪族または脂環式の例の群からのイソシアネートを使用することが好ましい。
【0030】
成分(b)の特に好ましい化合物は、脂肪族的および/または脂環式的に結合したNCO基を含有する前記した種類、例えば、ビス(イソシアナトアルキル)エーテル、ビス−およびトリス−(イソシアナトアルキル)−ベンゼン、−トルエン、および−キシレン、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート(例えば、一般に2,4,4および2,2,4異性体の混合物としての、トリメチル−HDI(TMDI))、ノナントリイソシアネート(例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート)、デカンジイソシアネート、デカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、ドデカントリイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)またはビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)に相当する。
【0031】
成分(b)の特に好ましい化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチル−HDI(TMDI)、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート(MPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート(IMCI)および/または4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)或いはこれらイソシアネートの混合物である。更なる例は、3個以上のNCO基を含有するウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を含有する、前記ジイソシアネートの誘導体である。
【0032】
本発明に従って使用される被覆組成物中の成分(b)の量は、各々の場合に本発明に従って使用される被覆組成物の成分(a)に基づいて、好ましくは1.0〜4.0mol、特に好ましくは1.2〜3.8mol、とりわけ1.5〜3.5molである。
【0033】
(c)ポリオキシアルキレンエーテル
本発明のポリウレタンウレアは、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマーに基づく単位を含有する。該コポリマー単位は、末端基としてポリウレタンウレア中に存在する。
【0034】
非イオン性親水化化合物(c)は、例えば、適当なスターター分子のアルコキシル化によってそれ自体既知の方法で得られるような、統計的平均で一分子あたり5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有する単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである(例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 第4版、第19巻、Verlag Chemie, ヴァインハイム、第31頁〜第38頁)。
【0035】
適当なスターター分子は、例えば、飽和モノアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール(各種異性体)、ヘキサノール(各種異性体)、オクタノール(各種異性体)およびノナノール(各種異性体)、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール(各種異性体)またはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル))、不飽和アルコール(例えば、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール)、芳香族アルコール(例えば、フェノール、クレゾール(各種異性体)またはメトキシフェノール(各種異性体))、芳香脂肪族アルコール(例えば、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール)、第二級モノアミン(例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス−(2−エチルヘキシル)−アミン、N−メチル−およびN−エチル−シクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン)、並びに複素環式第二級アミン(例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾール)である。好ましいスターター分子は、飽和モノアルコールである。スターター分子として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを使用することが特に好ましい。
【0036】
アルコキシル化反応では、アルキレンオキシドであるエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを、任意の順でまたは混合物として使用できる。
【0037】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、エチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルであり、そのアルキレンオキシド単位は、好ましくは少なくとも30mol%、特に好ましくは少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位からなる。好ましい非イオン性化合物は、少なくとも40mol%のエチレンオキシド単位および60mol%以下のプロピレンオキシド単位を含有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0038】
ポリオキシアルキレンエーテルの平均分子量は、好ましくは500g/mol〜5000g/mol、特に好ましくは1000g/mol〜4000g/mol、とりわけ1000g/mol〜3000g/molである。
【0039】
本発明に従って使用される被覆組成物中の成分(c)の量は、各々の場合に本発明に従って使用される被覆組成物の成分(a)に基づいて、好ましくは0.01〜0.5mol、特に好ましくは0.02〜0.4mol、とりわけ0.04〜0.3molである。
【0040】
ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの混合ポリオキシアルキレンエーテルに基づく末端基を含有するポリウレタンウレアが、親水性の高い被膜を製造するのに特に適していることを、本発明によって明らかにすることができた。後に示すように、もっぱらポリエチレンオキシドによって終端されたポリウレタンウレアと比べて、本発明の被膜は、著しく小さい接触角をもたらし、従って、より親水性である。
【0041】
(d)ジアミンまたはアミノアルコール
本発明のポリウレタンウレアは、少なくとも1種のジアミンまたはアミノアルコールに基づく単位を含有する。
【0042】
本発明のポリウレタン被覆剤の調製において、いわゆる連鎖延長剤(d)を用いる。そのような連鎖延長剤は、ジアミンまたはポリアミンおよびヒドラジド、例えば、ヒドラジン、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンおよび1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−キシリレンジアミンおよび1,4−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および−1,4−キシリレンジアミンおよび4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルエチレンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンおよび他の(C〜C)ジ−およびテトラ−アルキルジシクロヘキシルメタン、例えば4,4’−ジアミノ−3,5−ジエチル−3’,5’−ジイソプロピルジシクロヘキシルメタンである。
【0043】
ジアミンまたはアミノアルコールとして、一般に、NCO基に対して異なった反応性を有する活性水素を含有する低分子量のジアミンまたはアミノアルコール、例えば、第一級アミノ基の他に第二級アミノ基も含有するか、或いはアミノ基(第一級または第二級)の他にOH基も含有する化合物が考えられる。その例は、第一級および第二級アミン、例えば、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノ−1−エチルアミノプロパン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、3−アミノ−1−メチルアミノブタン、およびアミノアルコール、例えば、N−アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3−アミノプロパノール、ネオペンタノールアミン、特に好ましくはジエタノールアミンである。
【0044】
本発明に従って使用される被覆組成物の成分(d)は、組成物の調製において、連鎖延長剤としておよび/または連鎖停止剤として使用され得る。
【0045】
本発明に従って使用される被覆組成物中の成分(d)の量は、各々の場合に本発明に従って使用される被覆組成物の成分(a)に基づいて、好ましくは0.05〜3.0mol、特に好ましくは0.1〜2.0mol、とりわけ0.2〜1.5molである。
【0046】
(e)ポリオール
別の態様では、本発明のポリウレタンウレアは、少なくとも1種の他のポリオールに基づく単位を付加的に含有する。
【0047】
ポリウレタンウレアの合成において使用される更なる低分子量ポリオール(e)は、一般に、ポリマー鎖の剛直および/または分枝をもたらす。分子量は、好ましくは62〜500g/mol、特に好ましくは62〜400g/mol、とりわけ62〜200g/molである。
【0048】
適当なポリオールは、脂肪族基、脂環式基または芳香族基を含有してよい。本発明で挙げることができる例は、一分子あたり約20個までの炭素原子を含有する低分子量ポリオール、例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、およびトリメチロールプロパン、グリセロールまたはペンタエリスリトール、並びにそれらのおよび任意に他の低分子量ポリオールとの混合物を包含する。エステルジオール、例えば、α−ヒドロキシブチル−ε−ヒドロキシ−カプロン酸エステル、ω−ヒドロキシヘキシル−γ−ヒドロキシ−酪酸エステル、アジピン酸(β−ヒドロキシエチル)エステルまたはテレフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)エステルを使用してもよい。
【0049】
本発明に従って使用される被覆組成物中の成分(e)の量は、各々の場合に本発明に従って使用される被覆組成物の成分(a)に基づいて、好ましくは0.1〜1.0mol、特に好ましくは0.2〜0.9mol、とりわけ0.2〜0.8molである。
【0050】
(f)更なるアミン含有構成単位および/またはヒドロキシ含有構成単位(連鎖延長成分)
イソシアネート含有成分(b)と、ヒドロキシ官能性化合物またはアミン官能性化合物である成分(a)、(c)、(d)および任意に(e)との反応は、通常、反応性ヒドロキシ化合物または反応性アミン化合物に対してややNCO過剰を維持しながら実施する。水への分散によって、残留イソシアネート基は加水分解されてアミン基になる。しかしながら特定の場合では、ポリウレタンを分散する前に、残留イソシアネート基をブロックすることが重要であり得る。
【0051】
従って、本発明に従って供給されるポリウレタンウレア被覆剤は、各々の場合に鎖末端に位置して鎖をキャップする連鎖延長成分(f)を含んでなることもできる。これらの構成単位は、一方では、NCO基に対して反応性である単官能性化合物、例えばモノアミン、特に第二級モノアミン、またはモノアルコールに由来する。
【0052】
本発明で挙げることができる例は、エタノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、イソノニルオキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチル(メチル)アミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジンおよびそれらの適当な置換誘導体を包含する。
【0053】
構成単位(f)は、実質的にNCO過剰を解消するため、本発明の被覆剤に使用されるので、望ましい量は、実質的にNCO過剰量に依存し、一般的に明記することはできない。
【0054】
本発明の好ましい態様では、成分(f)を使用しない。その場合、本発明のポリウレタンウレアは成分(a)〜(d)および任意に成分(e)をもっぱら含んでなる。本発明のポリウレタンウレアが成分(a)〜(d)および任意に成分(e)からなる、即ち他の連鎖延長成分を含有しない場合が更に好ましい。
【0055】
(g)更なる成分
更に、本発明のポリウレタンウレアは、意図した目的に一般的な更なる成分、例えば添加剤および充填剤を含んでなることができる。その例は、薬理的活性成分、薬理的活性成分の放出を促進する添加剤(薬剤溶出添加剤)、および薬剤である。
【0056】
メディカルデバイス上の本発明の被膜に使用できる薬剤は、一般に、例えば、抗血栓剤、抗生物質、抗腫瘍剤、成長ホルモン、抗ウィルス剤、抗血管形成剤、血管形成剤、抗有糸分裂剤、抗炎症剤、細胞周期調節因子、遺伝因子、ホルモン、およびそれらの同族体、誘導体、断片、薬物塩、並びにそれらの組み合わせである。
【0057】
従って、そのような薬剤の特定例は、抗血栓剤(抗血栓形成剤)、または動脈の急性血栓症、狭窄症または晩発性再狭窄症を抑制するための他の剤、例えば、ヘパリン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、抗トロンボキサンB剤;抗−Bトロンボグロブリン、プロスタグランジン−E、アスピリン、ジピリジモール、抗トロンボキサンA剤、マウス・モノクローナル抗体7E3、トリアゾロピリミジン、シプロステン、ヒルジン、チクロピジン、ニコランジルなどを包含する。成長因子も同様に、動脈狭窄部位での内膜下線維筋性過形成を抑制するために薬剤として使用できる。或いは、狭窄部位では、所望のあらゆる細胞増殖阻害剤を使用することができる。
【0058】
薬剤は、血管痙攣を防ぐために、血管拡張剤、例えばパパベリンのような鎮痙剤からなり得る。薬剤は、カルシウム拮抗薬のような血管作用薬自体、或いはα−およびβ−アドレナリン作用薬または拮抗薬であり得る。加えて、治療薬は、例えば組織弁を冠動脈壁に結合するために使用される、医療グレードのシアノアクリレートまたは線維素のような生物起源接着剤であり得る。
【0059】
治療薬はまた、(例えば、腫瘍部位で継続して制御放出される抗新生物薬を適用するための)剤用制御放出賦形剤を好ましくは伴った、5−フルオロウラシルのような抗新生物薬であり得る。
【0060】
治療薬は、体内の感染の局所病巣でメディカルデバイスの被膜から継続放出するための制御放出賦形剤と好ましくは組み合わせた、抗生物質であり得る。同様に治療薬は、局所組織における炎症を抑制する目的または他の理由のため、ステロイドを含んでなることもできる。
【0061】
適当な薬剤の特定の例は、以下を包含する:
(a)ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヒルジン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼを包含する細胞溶解物質、それらの同族体、類似体、断片、誘導体および薬物塩;
(b)抗生物質、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、アミノグリコシド、キノロン、ポリミキシン、エリスロマイシン;テトラサイクリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、スルホンアミド、それらの同族体、類似体、誘導体、薬物塩およびそれらの混合物;
(c)パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムスまたはエベロリムスのような免疫抑制剤、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファランおよびイホスファミドを包含するアルキル化剤;メトトレキサート、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシルおよびシタラビンを包含する代謝拮抗剤;ビンブラスチンを包含する植物性アルカロイド;ビンクリスチンおよびエトポシド;ドキソルビシン、ダウノマイシン、ブレオマイシンおよびマイトマイシンを包含する抗生物質;カルムスチンおよびロムスチンを包含するニトロソウレア;シスプラチンを包含する無機イオン;インターフェロンを包含する生体反応変性剤;アンギオスタチンおよびエンドスタチン;アスパラギナーゼを包含する酵素;およびタモキシフェンおよびフルタミドを包含するホルモン、それらの同族体、類似体、断片、誘導体、薬物塩並びにそれらの混合物;
(d)抗ウィルス剤、例えば、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、イドクスウリジン、ビダラビン、トリフルリジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ジドブジン、ホスホノホルメート、インターフェロン、それらの同族体、類似体、断片、誘導体、薬物塩並びにそれらの混合物;および
(e)抗炎症剤、例えば、イブプロフェン、デキサメタゾンまたはメチルプレドニゾロン。
【0062】
好ましい態様では、本発明に従って供給される被覆組成物は、
(a)少なくとも1種のポリカーボネートポリオール;
(b)少なくとも1種のポリイソシアネート;
(c)少なくとも1種の、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単官能性混合ポリオキシアルキレンエーテル;および
(d)少なくとも1種のジアミンまたはアミノアルコール
から合成されるポリウレタンウレアを含んでなる。
【0063】
防汚性を有する表面を製造するため、本発明の被覆組成物は、従来技術から知られている防汚活性成分を含んでなることができる。その存在は一般に、本発明の被覆組成物自体で製造された表面の既に著しい防汚性を増強する。
【0064】
本発明の別の態様では、本発明に従って使用される被覆組成物は、
(a)少なくとも1種のポリカーボネートポリオール;
(b)少なくとも1種のポリイソシアネート;
(c)少なくとも1種の、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単官能性混合ポリオキシアルキレンエーテル;
(d)少なくとも1種のジアミンまたはアミノアルコール;および
(e)少なくとも1種のポリオール
からなるポリウレタンウレアを含んでなる。
【0065】
本発明の別の態様では、本発明に従って使用される被覆組成物は、
(a)少なくとも1種のポリカーボネートポリオール;
(b)少なくとも1種のポリイソシアネート;
(c)少なくとも1種の、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単官能性混合ポリオキシアルキレンエーテル;
(d)少なくとも1種のジアミンまたはアミノアルコール;
(e)少なくとも1種のポリオール;および
(f)ポリマー鎖末端に位置する、少なくとも1種のアミン含有モノマーまたはヒドロキシル含有モノマー
からなるポリウレタンウレアを含んでなる。
【0066】
既に記載したように、本発明の特に好ましい態様では、本発明に従って使用される組成物を調製するために使用されるポリウレタンウレアは、成分(a)〜(d)および任意に(e)のみからなる。
【0067】
本発明によれば、
(a)400g/mol〜6000g/molの平均分子量および1.7〜2.3のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1種のポリカーボネートポリオール、またはそのようなポリカーボネートポリオールの混合物;
(b)ポリカーボネートポリオール1molにつき1.0〜4.0molの量の、少なくとも1種の脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート或いはそのようなポリイソシアネートの混合物;
(c)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.01〜0.5molの量の、500g/mol〜5000g/molの平均分子量を有する少なくとも1種の、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単官能性混合ポリオキシアルキレンエーテルまたはそのようなポリエーテルの混合物;
(d)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.05〜3.0molの量の、いわゆる連鎖延長剤としての、少なくとも1種の脂肪族または脂環式ジアミン或いは少なくとも1種のアミノアルコール或いはそのような化合物の混合物;
(e)任意に、ポリカーボネートポリオール1molにつき0.1〜1.0molの量の、62g/mol〜500g/molの分子量を有する1種以上の短鎖脂肪族ポリオール;および
(f)任意に、ポリマー鎖末端に位置してポリマー鎖をキャップする、アミン含有構成単位またはOH含有構成単位
からなるポリウレタンウレアも好ましい。
【0068】
本発明によれば、
(a)500g/mol〜5000g/molの平均分子量および1.8〜2.2のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1種のポリカーボネートポリオール、またはそのようなポリカーボネートポリオールの混合物;
(b)ポリカーボネートポリオール1molにつき1.2〜3.8molの量の、少なくとも1種の脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート或いはそのようなポリイソシアネートの混合物;
(c)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.02〜0.4molの量の、1000g/mol〜4000g/molの平均分子量を有する少なくとも1種の、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単官能性混合ポリオキシアルキレンエーテルまたはそのようなポリエーテルの混合物;
(d)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.1〜2.0molの量の、いわゆる連鎖延長剤としての、少なくとも1種の脂肪族または脂環式ジアミン或いは少なくとも1種のアミノアルコール或いはそのような化合物の混合物;
(e)任意に、ポリカーボネートポリオール1molにつき0.2〜0.9molの量の、62g/mol〜400g/molの分子量を有する1種以上の短鎖脂肪族ポリオール;および
(f)任意に、ポリマー鎖末端に位置してポリマー鎖をキャップする、アミン含有構成単位またはOH含有構成単位
からなるポリウレタンウレアが更に好ましい。
【0069】
本発明によれば、
(a)600g/mol〜3000g/molの平均分子量および1.9〜2.1のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1種のポリカーボネートポリオール、またはそのようなポリカーボネートポリオールの混合物;
(b)ポリカーボネートポリオール1molにつき1.5〜3.5molの量の、少なくとも1種の脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート或いはそのようなポリイソシアネートの混合物;
(c)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.04〜0.3molの量の、1000g/mol〜3000g/molの平均分子量を有する少なくとも1種の、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単官能性混合ポリオキシアルキレンエーテルまたはそのようなポリエーテルの混合物;
(d)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.2〜1.5molの量の、いわゆる連鎖延長剤としての、少なくとも1種の脂肪族または脂環式ジアミン或いは少なくとも1種のアミノアルコール或いはそのような化合物の混合物;
(e)任意に、ポリカーボネートポリオール1molにつき0.2〜0.8molの量の、62g/mol〜200g/molの分子量を有する1種以上の短鎖脂肪族ポリオール;および
(f)任意に、ポリマー鎖末端に位置してポリマー鎖をキャップする、アミン含有構成単位またはOH含有構成単位
からなるポリウレタンウレアがまた更に好ましい。
【0070】
本発明に従って使用される被覆組成物を、例えばメディカルデバイスに適用する。
【0071】
分散体の状態で本発明に従って使用される被覆組成物は、メディカルデバイス上に被膜を形成するために使用できる。
【0072】
用語「メディカルデバイス」とは、本発明の範囲において広く理解される。(機器も含む)メディカルデバイスの適当な非限定例は、以下である:コンタクトレンズ;カニューレ;カテーテル、例えば、導尿カテーテルまたは尿管カテーテルのような泌尿器カテーテル;中心静脈カテーテル;静脈カテーテルまたは入口カテーテルおよび出口カテーテル;拡張バルーン;血管形成および生検のためのカテーテル;ステント、移植組織または大静脈フィルターを挿入するために使用するカテーテル;バルーンカテーテルまたは他の拡張性メディカルデバイス;内視鏡;喉頭鏡;気管内チューブ、呼吸装置および他の気管吸引デバイスのような気管デバイス;気管支肺胞洗浄カテーテル;冠動脈血管形成術で使用するカテーテル;ガイドロッド、挿入器など;代用血管;ペースメーカー部品;人工内耳;栄養補給のための歯科インプラントチューブ、ドレナージ管;およびガイドワイヤー。
【0073】
更に、本発明の被覆液は、保護被膜、例えば、手袋、ステントおよび他のインプラント;体外血液チューブ(血液ガイドチューブ);膜、例えば透析のための膜;血液フィルター;循環支援のためのデバイス;創傷処置のための処置材料;蓄尿袋および蓄便袋を製造するために使用され得る。医学上の有効成分、例えば、ステントまたはバルーン表面または避妊具のための医学上の有効成分を含有するインプラントも包含される。
【0074】
メディカルデバイスは通常、カテーテル、内視鏡、喉頭鏡、気管内チューブ、栄養補給チューブ、ガイドロッド、ステントおよび他のインプラントから形成される。
【0075】
被覆される表面に適した基材は、多くの材料、例えば、金属、布地、セラミックまたはプラスチックであり、プラスチックの使用が、メディカルデバイスの製造には好ましい。
【0076】
メディカルデバイスを被覆するために前記タイプの非イオン的安定化ポリウレタン水性分散体を用いることにより、極めて親水性である、従って滑動できる血液適合性表面を有するメディカルデバイスを製造できることが本発明に従って見出された。前記した被覆組成物を、好ましくは水性分散体として得、メディカルデバイス表面に適用する。
【0077】
メディカルデバイス用被覆剤として使用されるのに加えて、前記被覆組成物は、医療以外の分野での別の技術的用途にも使用され得る。
【0078】
医療用被膜以外の用途のための基材は、例えば、金属、プラスチック、セラミック、布地、皮革、木材、紙、前記基材全ての被覆表面、およびガラスである。被覆剤を基材に直接適用するか、または基材に予め適用された下塗に適用することができる。
【0079】
従って、本発明に従って得られた被膜は、結露から表面を保護するため、清浄または自己清浄しやすい表面を製造するために使用される。本発明の親水性被膜はまた、汚れの取り込みを低減し、かつ水斑の形成を防ぐ。外部領域における可能な用途は、例えば、窓ガラス、天窓、ガラスファサードまたはプレキシガラス製屋根である。内部領域では、そのような被覆剤は、衛生分野において表面を被覆するために使用され得る。別の用途は、凝縮水による結露または水滴形成を回避するための、光学ガラスおよびレンズ、例えば、眼鏡用レンズ、双眼用接眼レンズおよび対物レンズ、カメラ用対物レンズの被覆、または包装材料(例えば食料品の梱包材料)の被覆である。
【0080】
本発明に従って使用される被覆剤は同様に、汚れを防ぐための、水と接触する表面への適用にも適している。この作用は、防汚作用としても知られている。この防汚作用の極めて重要な用途は、船体用水中塗料の分野における用途である。防汚性を有さない船体は、極めて迅速に海洋生物で覆われ、これは、上昇する摩擦の故に、可能な速度の低下と燃費の悪化とをもたらす。本発明の被覆剤は、海洋生物での汚染を低減または防止し、そのような汚染による前記不都合を防ぐ。防汚被膜分野における別の用途は、漁業用物品(例えば漁網)、および水中で使用される金属基材(例えば、パイプライン、掘削基地、ロック室および水門)などである。本発明の被覆材料を用いて製造された表面を有する船体は、特に喫水線のすぐ下で、低減された摩擦抵抗を有するので、そのような特性を有する船は低下された燃費を有するかまたはより速い速度を達成する。このことは特に、レジャー用の船舶およびヨットの製造の分野において興味深い。
【0081】
前記親水性被覆剤の使用の更に重要な分野は、印刷産業である。本発明の被膜によって疎水性表面を親水化でき、結果として、極性印刷インキで印刷できるかまたはインクジェット技術に適用できる。
【0082】
本発明に従って使用される親水性被膜の適用の更なる分野は、化粧用途のための組成物である。
【0083】
本発明の親水性被覆剤に基づく活性成分放出システムは、医療技術以外で考えることもでき、その例は、活性成分用担体としての作物保護における用途である。そこでは概して該被覆剤を活性成分放出システムとして扱い、例えば種子(穀粒)を被覆するために使用できる。該被覆剤の親水性の結果として、種子の発芽能が損なわれることなく、存在する活性成分は湿った土に現れることができ、意図された作用を発現できる。しかしながら乾燥状態では、例えば種まき機によって種子穀粒が土に投入される際には、活性成分が分離しないように(その結果として、例えば存在する動物相に、望ましくない作用がもたらされる(土の中で昆虫による攻撃から種子を守る殺虫剤によって、ミツバチは危険にさらされる)ことのないように)、被覆組成物は活性成分を種子にしっかりと固定する。
【0084】
被覆分散体の調製
一般に、先に詳細に記載した被覆剤の成分は、まず、成分(a)、(b)、(c)および任意に(e)の反応によってウレア基不含有イソシアネート官能性プレポリマーを調製するように反応させる。イソシアネート基の、ポリカーボネートポリオールのイソシアネート反応性基に対する比は、好ましくは0.8〜4.0、特に好ましくは0.9〜3.8、とりわけ1.0〜3.5である。
【0085】
別の態様では、まず、成分(a)を独立してイソシアネート(b)と反応させることもできる。その後、成分(c)および(e)を添加して反応させることができる。続いて一般に、水への分散前、分散中または分散後に、残留イソシアネート基をアミノ官能性連鎖延長または連鎖停止に付す。連鎖延長に使用する化合物のイソシアネート反応性基の、プレポリマーの遊離イソシアネート基に対する当量比は、好ましくは40〜150%、特に好ましくは50〜120%、とりわけ60〜120%である(成分d)。
【0086】
本発明のポリウレタン分散体は、好ましくは、いわゆるアセトン法によって調製される。アセトン法によりポリウレタン分散体を調製するために、一般に、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーの調製のための、第一級または第二級アミノ基を含有しない、成分(a)、(c)および(e)の全てまたは一部、並びにポリイソシアネート成分(b)を反応器に導入し、場合により、イソシアネート基に対して不活性である水混和性溶媒で希釈する。そして、50〜120℃の範囲の温度まで加熱する。イソシアネート付加反応を促進するために、ポリウレタン化学で知られている触媒を使用でき、その例はジラウリン酸ジブチル錫である。触媒を使用せずに合成することが好ましい。
【0087】
適当な溶媒は、通常の脂肪族ケト官能性溶媒、例えば、アセトン、ブタノンであり、それらは、調製の開始時だけでなく、開始後に場合より少しずつ添加してもよい。アセトンおよびブタノンが好ましい。例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキサン、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテート、およびエーテル単位またはエステル単位含有溶媒のような他の溶媒も同様に使用でき、蒸留によって完全にまたは部分的に除去してもよいし、または分散体中に完全に残してもよい。
【0088】
その後、反応開始時に添加しなかった成分(c)および(e)を計量添加する。
【0089】
好ましい方法では、溶媒を添加せずにプレポリマーを調製し、連鎖延長のためだけに、適当な溶媒(好ましくはアセトン)で希釈する。
【0090】
ポリウレタンプレポリマーの調製では、イソシアネート基のイソシアネート反応性基に対する比は、好ましくは0.8〜4.0、特に好ましくは0.9〜3.8、とりわけ1.0〜3.5である。
【0091】
プレポリマーをもたらす反応は、部分的にまたは完全に、好ましくは完全に行う。このようにして、遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーを、溶媒なしでまたは溶液として得る。
【0092】
続いて、更なる処理工程で、まだ行っていないかまたは部分的にしか行っていないならば、得られたプレポリマーを脂肪族ケトン(例えばアセトンまたはブタノン)で溶解する。
【0093】
その後、可能なNH官能性成分、NH官能性成分および/またはOH官能性成分を、残留イソシアネート基と反応させる。この連鎖延長/連鎖停止は、分散前または分散中に溶媒中で行ってもよいし、或いは分散後に水中で行ってもよい。水中での分散前に連鎖延長を行うことが好ましい。
【0094】
NH基またはNH基を含有する成分(d)の定義に従う化合物を連鎖延長に使用するならば、プレポリマーの連鎖延長は、好ましくは分散前に行う。
【0095】
連鎖延長度、換言すれば、連鎖延長に使用する化合物のNCO反応性基の、プレポリマーの遊離NCO基に対する当量比は、好ましくは40〜150%、特に好ましくは50〜120%、とりわけ60〜120%である。
【0096】
本発明の方法では、アミン成分(d)を、任意に水または溶媒で希釈した状態で、単独でまたは混合物として使用でき、基本的に、いかなる順序で添加してもよい。
【0097】
水または有機溶媒を希釈剤として付随的に使用するならば、希釈剤含有量は好ましくは70〜95重量%である。
【0098】
プレポリマーからのポリウレタン分散体の調製は、連鎖延長に続いて行う。この目的のために、溶解および連鎖延長したポリウレタンコポリマーを、任意に強く剪断しながら(例えば激しく撹拌しながら)、分散水に導入するか、または逆に分散水をプレポリマー溶液に撹拌しながら添加する。溶解したプレポリマーに水を添加することが好ましい。
【0099】
その後、通常は、分散工程後に分散体中になお存在する溶媒を、蒸留によって除去する。分散中に除去を行うことも可能である。
【0100】
合成後のポリウレタン分散体の固形分は、20〜70重量%、好ましくは20〜65重量%である。被覆試験のため、被膜厚さを可変的に調節する目的で、要求通りに分散体を水で希釈できる。1〜60重量%の濃度の全てが可能である。1〜40重量%の範囲の濃度が好ましい。
【0101】
例えば数百nm〜数百μmのような所望の被膜厚さを達成することができ、本発明の範囲では、より厚い被膜厚さおよびより薄い被膜厚さも可能である。
【0102】
メディカルデバイスを被覆するためのポリウレタン材料は、本発明の水性分散体を水で希釈することによって、所望の値に希釈できる。更に、必要に応じてポリウレタン分散体の粘度を上昇させることを可能にするために、増粘剤を添加することができる。更なる添加剤、例えば、酸化防止剤、pH値を調節するための緩衝物質、または顔料を添加することもできる。また、任意に、更なる添加剤、例えば、風合い助剤、着色剤、艶消し剤、紫外線安定剤、光安定剤、疎水化剤、親水化剤および/または流動性向上剤を使用してもよい。
【0103】
続いて、これら分散体から出発して、前記した方法によって、医療用被膜を製造する。
【0104】
得られたメディカルデバイス上被膜が分散体から製造されたのかまたは溶液から製造されたのかによって、該被膜が異なることが本発明に従って見出された。
【0105】
メディカルデバイス上の本発明の被膜は、前記被覆組成物の分散体から得られた場合、利点を有する。なぜなら、本発明の被覆系の分散体は、有機溶媒残留物を含有しないメディカルデバイス上被膜をもたらす、即ち、一般に毒物学的に無害であると同時に、より著しい親水性をもたらす(これは例えば小さい接触角から明らかになる)からである。この点については、後に記載する試験および比較試験を参照する。
【0106】
メディカルデバイスは、様々な方法によって、本発明の親水性ポリウレタン分散体で被覆され得る。この目的に適した被覆技術は、例えば、ナイフ塗り、印刷、転写式塗布、噴霧、スピンコーティングまたは浸漬である。
【0107】
被膜を製造するための出発材料として使用されるポリウレタン水性分散体は、所望の方法で調製できる。しかしながら、前記したアセトン法が好ましい。
【0108】
金属、布地、セラミックおよびプラスチックのような多くの異なった基材を被覆できる。金属製またはプラスチック製のメディカルデバイスを被覆することが好ましい。挙げ得る金属の例は、医療用のステンレス鋼またはニッケル−チタン合金を包含する。被覆されるメディカルデバイスは、単独または組み合わされた、様々なポリマー材料(例えば、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、天然ゴムおよび合成ゴム、スチレンおよび不飽和化合物(例えば、エチレン、ブチレンおよびイソプレン)のブロックコポリマー、ポリエチレン、またはポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、シリコーン;ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリウレタン)からなることができる。親水性ポリウレタンのメディカルデバイスへの良好な接着のために、該親水性被覆剤を適用する前に、更なる適当な被膜(下塗、接着促進剤)をアンダーコートとして適用することができる。
【0109】
本発明に従って製造される被膜は、滑り能を改善する親水性に加えて、高度な血液適合性も特徴とする。結果的に、この被膜での加工は、とりわけ血液との接触においても特に有利である。従来技術のポリマーと比べて、本発明の材料は、血液との接触において低減された凝血傾向を有する。
【0110】
親水性ポリウレタン被膜で本発明に従って被覆されたカテーテルの利点を、比較試験によって以下の実施例において説明する。
【実施例】
【0111】
本発明の実施例および比較例に記載した樹脂のNCO含有量は、DIN EN ISO 11909に従って滴定によって測定した。
固形分はDIN EN ISO 3251に従って測定した。1gのポリウレタン分散体を、赤外線乾燥機を用いて、恒量に達するまで115℃で乾燥した(15〜20分)。
ポリウレタン分散体の平均粒度は、Malvern Instruments製の高性能粒度測定器(HPPS 3.3)を用いて測定した。
特に記載のない限り、%で記載した量は重量%として理解され、得られる水性分散体に基づく。
【0112】
使用した物質および略語:
・Desmophen(登録商標) C2200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
・Desmophen(登録商標) C1200:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
・Desmophen(登録商標) XP 2613:ポリカーボネートポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
・PolyTHF 2000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56mgKOH/g、数平均分子量2000g/mol(BASF AG(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェン在))
・Polyether(登録商標) LB 25:エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250g/mol、OH価25mgKOH/g(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))
【0113】
実施例1:
本発明のポリウレタンウレア分散体の調製:
277.2gのDesmophen(登録商標) C 2200、33.1gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。3時間40分後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は15分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。41.5%の固形分および164nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0114】
実施例2:
本発明のポリウレタンウレア分散体の調製:
269.8gのDesmophen(登録商標) C 2200、49.7gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を100℃に加熱した。21.5時間後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。41.3%の固形分および109nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0115】
実施例3:
本発明のポリウレタンウレア分散体の調製:
277.2gのDesmophen(登録商標) C 1200、33.1gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。2.5時間後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。40.4%の固形分および146nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0116】
実施例4:
本発明のポリウレタンウレア分散体の調製:
282.1gのDesmophen(登録商標) C 2200、22.0gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。21.5時間後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。41.7%の固形分および207nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0117】
実施例5:
本発明のポリウレタンウレア分散体の調製:
269.8gのDesmophen(登録商標) XP 2613、49.7gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。70分後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。41.2%の固形分および112nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0118】
実施例6:
本発明のポリウレタンウレア分散体の調製:
249.4gのDesmophen(登録商標) C 2200、33.1gのPolyether LB 25、1.9gのトリメチロールプロパン、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。4時間20分後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを720gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン3.3gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は15分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。38.9%の固形分および144nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0119】
実施例7:
282.1gのDesmophen(登録商標) XP 2613、22.0gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。70分後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。38.3%の固形分および215nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0120】
実施例8:
本発明の実施例1に対する比較生成物としてのポリウレタンウレア分散体の調製。Desmophen(登録商標) C 2200をPoly THF 2000に置き換える。
277.2gのPoly THF 2000、33.1gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。18時間後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。40.7%の固形分および166nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0121】
実施例9:
本発明の実施例2に対する比較生成物としてのポリウレタンウレア分散体の調製。Desmophen(登録商標) C 2200をPoly THF 2000に置き換える。
269.8gのPoly THF 2000、49.7gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を100℃に加熱した。17.5時間後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。41.6%の固形分および107nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0122】
実施例10:
本発明の実施例4に対する比較生成物としてのポリウレタンウレア分散体の調製。Desmophen(登録商標) C 2200をPoly THF 2000に置き換える。
282.1gのPoly THF 2000、22.0gのPolyether LB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。21.5時間後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。37.5%の固形分および195nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0123】
実施例11:被膜の製造および静的接触角の測定
静的接触角を測定するための被膜を、スピンコーター(RC5 Gyrset 5、Karl Suess(ドイツ国ガルヒング在))を用いて、25×75mm寸法のスライドガラス上に製造した。この目的のため、スライドガラスをスピンコーターの試料台に固定し、約2.5〜3gの未希釈ポリウレタン水性分散体で均一に被覆した。試料台を1300rpmで20秒間回転することによって均一な被膜を得た。被膜を100℃で15分間、次いで50℃で24時間乾燥した。得られた被覆スライドガラスを、直ちに接触角測定に付した。
【0124】
得られたスライドガラス上被膜の上で静的接触角の測定を実施する。コンピューター制御注入器を備えたDataphysics社製のビデオ付き接触角測定装置OCA20を用い、10滴のミリポア水を試料に適用し、その静的濡れ角を測定した。(存在するならば)試料表面上の静電荷を、予め帯電防止乾燥機を用いて除去した。
【0125】
【表1】

【0126】
表1が示しているように、本発明の実施例1〜7のポリカーボネート含有被覆剤は、45°以下の静的接触角を有する極めて親水性の被膜を生じる。実施例1〜6の被覆剤は、30°未満の静的接触角を有する特に親水性の被膜を生じる。その一方、比較例7〜10のPoly THF含有被膜は、これら被膜の組成が実施例1、2および4の組成とPoly THF以外同一であるといった事実にもかかわらず、実質的に極性がより低い。
【0127】
更に、"Evaluation of a poly(vinylpyrollidone)-coated biomaterial for urological use";M.M. Tanney, S.P. Gorman, Biomaterials 23 (2002), 4601-4608に開示されているデータは、ポリウレタンの接触角が約97°であり、PVP被覆ポリウレタンの接触角が約50°であることを示している。
【0128】
実施例12:凝血パラメーターの測定
実施例1のポリウレタン分散体をガラス上にスピンコーティングすることによって、血液との接触を調べるための被膜を製造した。試料表面を、オートクレーブ処理したインキュベーションチャンバーに導入し、1.95mlの血液を用いてインキュベートした。適した試験設備は、U. Strellerら、J. Biomed. Mater. Res B, 2003, 66B, 379-390に記載されている。
【0129】
試験に必要な静脈血を、少なくとも10日間薬剤を服用しなかった男性提供者から19Gカニューレを介して採取した。ヘパリン(2iU/mL)を添加することによって凝血を防いだ。次いで、このように調製した血液を、ポリウレタン表面を含み、37℃で予備加熱したインキュベーションチャンバーに導入し、37℃でチャンバーを定速回転させながら2時間インキュベートした。比較材料として、ガラスおよびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用した。ガラスは、血液凝固にとって高活性化表面であり、PTFEは、多くの用途に許容できるポリマー材料である(U. Strellerら、J. Biomed. Mater. Res B, 2003, 66B, 379-390参照)。
【0130】
インキュベーションを行った後、3つのパラメーターを測定した。
トロンビン−抗トロンビン複合体(Enzygnost TAT micro, Dade Behring GmbH(ドイツ国マールブルク在))
血小板第4因子(Haemochrom Diagnostica GmbH(ドイツ国エッセン在)製ELISA PF 4完成キット)
自動細胞計測システム(Coulter社(ドイツ国クレーフェルト在)製AcTdiff)によって、EDTA抗凝固処理血液中の血小板低下を測定した。
【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
【表4】

【0134】
測定した3つの血液パラメーターは全て、実施例1の親水性ポリウレタンが、非常に穏やかな程度にしか凝血を活性化しないことを示している。固有凝血カスケードの活性化の尺度としてのトロンビン−抗トロンビン複合体は、ポリウレタン自体が、極めて高い血液適合性を有するとされているPTFEと比べても、より低い値を示し、従って、より低い活性化をもたらすことを示している。
【0135】
血小板第4因子は、血小板活性化の指標である。凝血に関するこの細胞部分もまた、親水性ポリウレタンによって低い程度にしか活性化されない。高い血液適合性を有するPTFEは、より高い活性化をもたらす。血小板低下もまた、ガラスおよびPTFEについて見られる。このことは、血小板の一部がそれらの表面に付着したことを意味する。対照的に、実施例1の親水性ポリウレタンの場合、ほとんど低下が見られない。
【0136】
実施例13
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーによって終端されたポリウレタンを用いた本発明の実施例に対する比較材料としての、末端ポリエチレンオキシド単位含有水性分散体の合成。本発明の範囲において使用したPolyether LB 25を、この実施例では、等モル量の同等の純ポリエチレンオキシドエーテルに置き換える。
277.2gのDesmophen(登録商標) C 2200、29.4gのPolyethylene Glycol 2000モノメチルエーテル(供給元:Fluka、CAS番号9004-74-4)、および6.7gのネオペンチルグリコールを65℃で反応器に導入し、5分間の撹拌によって均質化した。この混合物に65℃で、まず71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)を、次いで11.9gのイソホロンジイソシアネートを、1分の間に添加した。この混合物を110℃に加熱した。35分後、理論NCO値に達した。完成したプレポリマーを711gのアセトンに50℃で溶解し、次いで、40℃で、エチレンジアミン4.8gの水16g溶液を10分の間に計量添加した。続く撹拌時間は5分間であった。次いで、590gの水を添加することにより、15分の間に分散を行った。その後、減圧下で蒸留することにより、溶媒を除去した。40.0%の固形分および130nmの平均粒度を有する貯蔵安定なポリウレタン分散体を得た。
【0137】
実施例11に記載したように、ガラス上に被膜をスピンコーティングによって製造し、被膜の静的接触角を測定した。45°の静的接触角を得た。この値と実施例1の被膜についての値(10°未満、実施例11における表1参照)とを比べると、混合ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドモノオールLB 25を使用することにより、純ポリエチレンオキシドモノオールと比べて、接触角が著しく小さくなり、従って被膜がより親水性になることがわかる。
【0138】
実施例14
有機溶液という比較例としての、本発明の実施例1のポリウレタンウレアポリマーの合成:
277.2gのDesmophen(登録商標) C 2200、33.1gのLB 25、および6.7gのネオペンチルグリコールの混合物に、71.3gの4,4’−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)および11.9gのイソホロンジイソシアネートを60℃で添加する。混合物を110℃に加熱し、2.4umの一定NCO含有量まで反応させた。混合物を放冷し、475gのトルエンおよび320gのイソプロパノールで希釈した。室温で、エチレンジアミン4.8gの1−メトキシ−2−プロパノール150g溶液を添加した。添加を完了した後、撹拌を2時間実施した。23℃で607mPasの粘度を有する、30.2%のトルエン/イソプロパノール/1−メトキシ−2−プロパノール中ポリウレタンウレア溶液1350gを得た。
【0139】
実施例11に記載したように、ガラス上で被膜をスピンコーティングによって製造し、被膜の静的接触角を測定した。27°の静的接触角を得た。この値と、構造的に同様だが水中分散体である実施例1の被膜についての値(10°未満、実施例11における表1参照)とを比べると、対応する溶液から得られた被膜と比べて水性分散体から得られた被膜の方がより親水性であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのコポリマー単位によって終端されており、かつ
(2)少なくとも1種のヒドロキシル基含有ポリカーボネートポリオールを含んでなる
ポリウレタンウレアを含んでなる分散体状被覆組成物の、基材の被覆における使用。
【請求項2】
ポリウレタンが、少なくとも1種の脂肪族、脂環式または芳香族イソシアネートに基づく単位を含有することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ポリウレタンウレアが2.5重量%の最大イオン変性(ionic modification)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
被覆剤が、
(a)400g/mol〜6000g/molの平均分子量および1.7〜2.3のヒドロキシル官能価を有する少なくとも1種のポリカーボネートポリオール、またはそのようなポリカーボネートポリオールの混合物;
(b)ポリカーボネートポリオール1molにつき1.0〜4.0molの量の、少なくとも1種の脂肪族、脂環式または芳香族ポリイソシアネート或いはそのようなポリイソシアネートの混合物;
(c)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.01〜0.5molの量の、500g/mol〜5000g/molの平均分子量を有する少なくとも1種の、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドの単官能性混合ポリオキシアルキレンエーテルまたはそのようなポリエーテルの混合物;
(d)ポリカーボネートポリオール1molにつき0.05〜3.0molの量の、いわゆる連鎖延長剤としての、少なくとも1種の脂肪族または脂環式ジアミン或いは少なくとも1種のアミノアルコール或いはそのような化合物の混合物;
(e)任意に、ポリカーボネートポリオール1molにつき0.1〜1.0molの量の、62g/mol〜500g/molの分子量を有する1種以上の短鎖脂肪族ポリオール;および
任意に、ポリマー鎖末端に位置してポリマー鎖をキャップする、アミン含有構成単位またはOH含有構成単位
からなるポリウレタンウレアを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
(A)(I)請求項4に記載の成分(a)、(b)、(c)および任意に(e)を反応器に導入し、場合よりそれらを、水と混和性であるがイソシアネート基に対して不活性である溶媒で希釈してよく;
(II)工程(I)から得られる組成物を、50〜120℃の範囲の温度まで加熱し;
(III)反応開始時に添加しなかった成分(c)および(e)を計量添加し;
(IV)得られたプレポリマーを脂肪族ケトンで溶解し;
(V)成分(d)を添加して連鎖延長させ;
(VI)水を添加して分散させ;そして
(VII)好ましくは蒸留によって、脂肪族ケトンを除去する
ことによって被覆組成物を調製する工程、および
(B)工程(A)に従って得られた被覆組成物で基材を被覆する工程
を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
少なくとも1種のメディカルデバイスの被覆における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
医療以外の分野での技術的基材(technical substrate)の被覆における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
清浄または自己清浄しやすい表面の製造における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
ガラスおよび光学ガラスおよびレンズの被覆における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
衛生分野での基材の被覆における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
包装材料の被覆における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
被覆表面の汚れを低減するための、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
水に対する基材の摩擦抵抗を低減するための、水上基材および水中基材の被覆における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
印刷用基材を作成するための、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
化粧品用組成物の製造における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
種子を被覆するための活性成分放出システムの製造における、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2011−524431(P2011−524431A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510870(P2011−510870)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003543
【国際公開番号】WO2009/143977
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】