説明

観察条件決定支援装置および観察条件決定支援方法

【課題】検査装置で検出された半導体装置の欠陥に関する検査データに基づいて、欠陥の分類精度の向上が可能な観察条件決定支援装置を提供する。
【解決手段】検査装置4で検出された半導体装置の欠陥に関する検査データに基づいて、詳細観察装置5において予め設定した複数の観察条件で同一の欠陥を撮影した複数の欠陥画像を取得する詳細観察条件の詳細観察結果DB26と、それぞれの欠陥画像に基づいて、複数の同一の欠陥の分類を行い、分類の結果として観察条件毎に同一の欠陥の属する第1カテゴリを決定する欠陥分類手段12と、詳細観察装置5のユーザが同一の欠陥の分類を行い決定した第2カテゴリに、第1カテゴリが一致する比率に基づいて、複数の観察条件の中から半導体装置の製造時に使用する詳細観察条件決定・登録手段15とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置で検出された半導体装置の欠陥に関する検査データに基づいて、観察装置において前記欠陥を撮影し欠陥画像を取得するための観察条件を決定する観察条件決定支援装置および観察条件決定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、ウエハ上の異物等の欠陥は、製品不良の原因になる場合がある。このため、製品の歩留まりを上げるために、欠陥を半導体装置の製造途中に検出し、欠陥の発生原因を迅速に特定して、後続して製造される半導体装置に同じ欠陥を発生させないような対策を講じることが望まれている。
【0003】
欠陥の検出には検査装置が用いられている。また、欠陥の発生原因の特定には詳細観察装置が用いられ、この詳細観察装置は検出された欠陥を拡大して撮影し欠陥画像を生成している。ユーザは、撮影された欠陥の形状を観察することにより、欠陥の発生原因の特定を行っている。
【0004】
そして、詳細観察装置において、欠陥の撮影、観察および発生原因の特定を効率化するために、自動レビュー(ADR:Automatic Defect Review)や自動欠陥分類(ADC:Automatic Defect Classification)の技術が提案されている。自動レビューでは、画像処理技術を用いて自動的に欠陥画像を撮影することができる。自動欠陥分類では、撮影した欠陥画像を解析して欠陥の種類、例えば断線、短絡、さらに、欠陥が下層に存在しているのか等の分類を自動的に行うことができる(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2007−40910号公報
【特許文献2】特開2007−184565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の自動レビューと自動欠陥分類を活用した詳細観察装置では、自動的に欠陥を分類した結果が、詳細観察装置のユーザによる分類結果と異なる場合があり、分類精度の向上が課題となっていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、前記課題を解決すべく、欠陥の分類精度の向上が可能な観察条件決定支援装置および観察条件決定支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決した本発明は、検査装置で検出された半導体装置の欠陥に関する検査データに基づいて、観察装置において予め設定した複数の観察条件で同一の前記欠陥を撮影した複数の欠陥画像を取得し、
それぞれの前記欠陥画像に基づいて、複数の前記同一の欠陥の分類を行い、前記分類の結果として前記観察条件毎に前記同一の欠陥の属する第1カテゴリを決定し、
前記観察装置のユーザが前記同一の欠陥の分類を行い決定した第2カテゴリに、前記第1カテゴリが一致する比率に基づいて、前記複数の観察条件の中から前記半導体装置の製造時に使用する前記観察条件を決定する観察条件決定支援装置および観察条件決定支援方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、欠陥の分類精度の向上が可能な観察条件決定支援装置および観察条件決定支援方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0010】
図1(a)に、半導体装置の製造フローのフローチャートを示し、図1(b)に、本発明の実施形態に係る観察条件決定支援装置10の構成とそれに接続する検査装置4と詳細観察装置5とを示す。
【0011】
図1(a)に示すように、半導体装置は、複数の製造工程7aで製造され、その製造を経て、検査工程8に至る。検査工程8は、検査装置4を用いて実施される。検査工程8では、半導体装置の欠陥が検出され、検査データが生成される。次に、半導体装置は、詳細観察工程9へ進む。詳細観察工程9は、詳細観察装置5で実施され、詳細観察工程9では、前記検査データに基づいて、予め設定した観察条件(撮影条件)で、検査工程8で検出された欠陥を撮影し欠陥画像を生成する。そして、欠陥画像に基づいて、欠陥をカテゴリに分類し、その欠陥が製品に致命的な影響を与えるものかどうか、また、その欠陥の発生原因は何かを特定する。欠陥が製品に致命的な影響を与えないのであれば、半導体装置は、引き続き下流の製造工程7bで処理される。製造工程7a、7bでは、成膜、露光、エッチングなどの工程が繰返し行われる。製造工程7a、7bは数百工程におよび、その製造工程を経ることで半導体装置を完成させることができる。そして、数百工程におよぶ製造工程の間には、図1(a)では1回分示したが、検査工程8と詳細観察工程9とが複数回実施される。
【0012】
半導体装置の製造では、まず、検査工程8と詳細観察工程9の組み込まれた数百工程におよぶ製造工程からなる製造フローが決められる。そして、試作として、この製造フローにしたがって半導体装置が製造される。試作では、検査工程8で検出された欠陥を低減できるように、製造工程7a、7bの成膜、露光、エッチングにおける製造条件の変更が行われる。また、試作では、検査工程8で検出された欠陥を撮影し、撮影した欠陥画像に基づいてカテゴリに分類可能なように、この半導体装置の観察用の観察条件(撮影条件)を決定する。観察条件(撮影条件)が的確で、歩留まりを低下させる欠陥を確実に撮影し所定のカテゴリに分類できれば、容易にその欠陥の発生原因を特定でき、歩留まりも高まるので、試作の回数も削減できる。そして、半導体装置の製造は、試作を経て、量産に移行する。量産では、試作で決定した製造条件で半導体装置を製造し、検査工程8で欠陥の個数が増えた場合に、試作で決定した観察条件(撮影条件)で欠陥の撮影とカテゴリへの分類を行う。これにより、容易にその欠陥の発生原因を特定でき、半導体装置の歩留まりを高く維持できる。このように、的確な観察条件(撮影条件)を迅速に決定することは、非常に重要なことである。また、量産においては、想定外の欠陥が発生する場合がある。この欠陥も検査工程8で検出されるが、詳細観察装置5ではこの欠陥は的確に撮影され所定のカテゴリに分類されない場合がある。このような場合には新たな観察条件(撮影条件)を迅速に決定し、新たな欠陥を確実に撮影し新たに設定したカテゴリに分類できれば、容易にその欠陥の発生原因を特定することができる。このように、半導体装置の製造では、詳細観察工程9の観察条件(撮影条件)を迅速的確に決定することが重要である。
【0013】
そして、観察条件決定支援装置10によれば、観察条件(撮影条件)を迅速的確に決定することができる。図1(b)に示すように、観察条件決定支援装置10は、検査装置4と詳細観察装置5とに、通信回線6によって接続されている。観察条件決定支援装置10は、各処理を行う処理手段1と、各処理の入出力データを記憶する記憶手段2と、各処理の結果を表示したり、各処理の条件をユーザに入力させたりするためのユーザI/F3を有している。また、図示を省略しているが、通信回線6との接続用のネットワークI/Fを有している。なお、ハードウェア的には、処理手段1は、コンピュータのCPUとRAMに相当し、記憶手段2は、コンピュータのRAMとHDに相当している。
【0014】
処理手段1は、観察対象欠陥抽出手段11と、欠陥分類手段12と、分類結果集計手段13と、分類結果表示手段14と、詳細観察条件決定・登録手段15と、詳細観察実施判定手段16と、詳細観察条件読出手段17とを有している。
【0015】
観察対象欠陥抽出手段11は、正味欠陥抽出部11aと、高致命率欠陥抽出部11bとを有している。観察対象欠陥抽出手段11は、検査装置4が検出した欠陥の中から詳細観察装置5で撮影・分類(観察)すべき欠陥(観察対象欠陥)を抽出する。正味欠陥抽出部11aは、前の検査工程8と現在の検査工程8の間の製造工程で発生した正味の欠陥(正味欠陥)のみを観察対象欠陥として抽出する。高致命率欠陥抽出部11bは、半導体装置のレイアウトデータと、検査装置4が検出した欠陥のウエハさらにはチップ上の位置情報から、半導体装置が不良となる確率である致命率を決定し、その致命率が所定の閾値以上のように高致命率の欠陥を観察対象欠陥として抽出する。これによれば、撮影・分類すべき欠陥の数を減らせ、個々の欠陥の撮影・分類に時間がかけられるので高精度化が可能である。
【0016】
欠陥分類手段12は、検査装置4で検出された半導体装置の欠陥(さらには観察対象欠陥)に関する検査データに基づいて、詳細観察装置5において予め設定した複数の観察条件で同一の前記欠陥を撮影した複数の欠陥画像を取得する。さらに、欠陥分類手段12は、それぞれの前記欠陥画像に基づいて、複数の前記同一の欠陥の分類を行い、前記分類の結果として前記観察条件毎に前記同一の欠陥の属する第1カテゴリを決定する。なお、詳細観察装置5において、予め設定した1つの観察条件で前記欠陥を撮影した欠陥画像を生成させ、その欠陥画像に基づいて欠陥の分類を行い欠陥の属する第1カテゴリを決定することができるので、欠陥分類手段12は、単一の観察条件でしか撮影できない詳細観察装置5を、複数の観察条件で同一の欠陥を撮影できるように支援している。これにより、複数の観察条件の比較が可能になる。ここで、第1カテゴリとは、具体的には、欠陥画像上で、円形の欠陥の属するカテゴリであるとか、周囲に突起のある欠陥の属するカテゴリであるとか、角ばった欠陥の属するカテゴリであるとかの、欠陥画像によって識別可能なカテゴリである。
【0017】
分類結果集計手段13は、詳細観察装置5のユーザが前記同一の欠陥の分類を行い決定した第2カテゴリと、前記観察条件毎の第1カテゴリとを、同一の欠陥毎に集計(記憶)させる。分類結果集計手段13は、前記第2カテゴリに、前記第1カテゴリが一致する比率(一致率)を、前記観察条件毎に算出し、この一致率に基づいて、複数の前記観察条件の中から前記半導体装置の製造時に使用する前記観察条件を決定する。これによれば、ユーザの欠陥の分類の傾向に最も近い観察条件を決定でき、観察条件にユーザの欠陥の分類の傾向を反映させることができる。すなわち、的確な観察条件を決定することができる。そして、観察条件を、一致率という数値によって決定できるので、迅速に決定することができる。ここで、第2カテゴリとは、具体的には、第1カテゴリと同様に、欠陥画像上で、円形の欠陥の属するカテゴリであるとか、周囲に突起のある欠陥の属するカテゴリであるとか、角ばった欠陥の属するカテゴリであるとかの、欠陥画像によって識別可能なカテゴリである。
【0018】
分類結果表示手段14は、前記同一の欠陥毎に、前記第2カテゴリと、前記複数の観察条件に対応する複数の第1カテゴリとを一覧表示する。また、分類結果表示手段14は、前記同一の欠陥毎に、複数の前記観察条件で前記同一の欠陥を撮影した複数の前記欠陥画像を一覧表示する。さらに、分類結果表示手段14は、複数の前記観察条件で前記同一の欠陥を撮影した複数の前記欠陥画像を一覧表示するとともに、この一覧表示をユーザが見て前記第2カテゴリを決定し入力するように促す。これによれば、ユーザは容易に第2カテゴリを決定し設定することができる。
【0019】
また、分類結果集計手段13が、前記第2カテゴリに一致していない前記第1カテゴリが決定されている前記欠陥を抽出すると、分類結果表示手段14は、抽出された前記欠陥の前記第1カテゴリと同じカテゴリの前記欠陥の前記欠陥画像と、抽出された前記欠陥の前記第2カテゴリと同じカテゴリの前記欠陥の前記欠陥画像とを並べて表示するとともに、前記第1カテゴリ又は前記第2カテゴリを変更する入力を促す。これによれば、ユーザの欠陥の分類の傾向に、観察条件を近づけることができ、また逆に、ユーザの欠陥の分類の傾向を修正することができる。
【0020】
詳細観察条件決定・登録手段15は、決定された観察条件を、その観察条件による詳細観察を適用する半導体装置の機種に対応付けて記憶手段2に登録(記憶)させる。
【0021】
詳細観察実施判定手段16は、特に量産時において、現在、検査装置4が検出した欠陥の個数が、同機種の半導体装置において、経時的に増加傾向にあるか否か、又は、所定の閾値を超えたか否かを判定する。増加傾向にあると判定された場合、又は、所定の閾値を超えたと判定された場合は、詳細観察実施判定手段16は、現在、検査装置4で検査されている半導体装置に対して、詳細観察装置5で詳細観察工程9を実施させる。一方、増加傾向にないと判定された場合、又は、所定の閾値を超えていないと判定された場合は、詳細観察実施判定手段16は、現在、検査装置4で検査されている半導体装置に対して、詳細観察工程9を省いて、次の製造工程7bを実施させる。
【0022】
詳細観察条件読出手段17は、詳細観察実施判定手段16で、検査装置4が検出した欠陥の個数が、増加傾向にあると判定された場合、又は、所定の閾値を超えたと判定された場合に、現在、検査されている半導体装置の品種に対応する検査条件を読み出す。読み出された検査条件は、詳細観察装置5へ送信され、この検査条件で半導体装置の詳細観察が行われる。
【0023】
記憶手段2は、検査データDB(データベース)21と、詳細観察条件DB22と、レイアウトデータDB23と、詳細観察対象データDB24と、分類用教示データDB25と、詳細観察条件1の詳細観察結果DB26と、観察対象欠陥抽出条件DB28と、致命率決定情報DB29と、詳細観察結果集計データDB30とを有している。
【0024】
検査データDB21は、検査装置4で検出された欠陥に関する検査データを、検査装置4から受信し、記憶している。検査データとしては、ウエハ上、及び、チップ上の欠陥の位置する座標Xと座標Yと、欠陥のX方向のサイズ(サイズX)とY方向のサイズ(サイズY)等を含んでいる。
【0025】
詳細観察条件DB22は、「観察条件1」や「観察条件2」、「観察条件3」などの内容を記憶している。詳細観察条件DB22には、複数の観察条件が予め設定(記憶)されている。
【0026】
レイアウトデータDB23には、半導体装置のレイアウトデータが記憶されている。なお、レイアウトデータDB23は、通信回線6で接続された観察条件決定支援装置10の外部装置であってもよい。
【0027】
詳細観察対象データDB24には、観察対象欠陥抽出手段11によって抽出された観察対象欠陥を他の欠陥と識別する識別情報が記憶されている。
【0028】
分類用教示データDB25には、欠陥分類手段12による分類に用いられる分類用教示用データが記憶されている。
【0029】
詳細観察条件の詳細観察結果DB26には、「観察条件1」や「観察条件2」、「観察条件3」などによる詳細観察で撮影された欠陥画像が記憶されている。
【0030】
観察対象欠陥抽出条件DB28には、観察対象欠陥抽出手段11が、観察対象欠陥を抽出する際に用いる観察対象欠陥抽出条件が記憶されている。
【0031】
致命率決定情報DB29には、高致命率欠陥抽出部11bが、致命率を決定する際に用いる致命率決定情報が記憶されている。
【0032】
詳細観察結果集計データDB30には、分類結果集計手段13によって、前記同一の欠陥毎に、ユーザが決定した第2カテゴリと、複数の観察条件毎の第1カテゴリとが記憶されている。
【0033】
図2に、検査データDB21、及び、詳細観察対象データDB24のデータ構造図を示す。検査データDB21は、検査装置4が検出した欠陥毎に、その欠陥の欠陥IDを記憶するフィールド(項目)201と、その欠陥の位置するウエハ内座標Xを記憶するフィールド202と、ウエハ内座標Yを記憶するフィールド203と、その欠陥の位置するチップ内座標Xを記憶するフィールド204と、チップ内座標Yを記憶するフィールド205と、その欠陥のX方向の欠陥サイズXを記憶するフィールド206と、Y方向の欠陥サイズYを記憶するフィールド207とを有している。
【0034】
詳細観察対象データDB24は、検査装置4が検出した欠陥毎に、その欠陥の欠陥IDを記憶するフィールド201と、その欠陥が正味欠陥か否か識別する正味欠陥フラグを記憶するフィールド208と、その欠陥が半導体装置を不良にする確率(致命率)を記憶するフィールド209と、その欠陥が観察対象欠陥に優先的に選択される順位(選択順位)を記憶するフィールド210と、その欠陥が観察対象欠陥か否か識別する観察対象欠陥フラグを記憶するフィールド211と、その欠陥を詳細観察(撮影・分類)する際に用いる複数の観察条件を記憶するフィールド212とを有している。
【0035】
図3に、詳細観察条件DBのデータ構造図を示す。詳細観察条件DB22は、詳細観察装置5で用いる観察条件の条件項目を記憶するフィールド301と、「観察条件1」における条件項目毎の数値を記憶するフィールド302と、「観察条件2」における条件項目毎の数値を記憶するフィールド303とを有している。なお、条件項目としては、詳細観察装置5における欠陥の撮影に電子線等の荷電粒子線を用いている場合には、荷電粒子の加速電圧や、荷電粒子を走査してつくる画像の積算回数(積算画像数)等を採用することができる。
【0036】
図4に、詳細観察結果集計データDB30のデータ構造図を示す。詳細観察結果集計データDB30は、観察対象欠陥毎に、その観察対象欠陥の欠陥IDを記憶するフィールド401と、その観察対象欠陥をユーザが目視して分類したカテゴリ(目視分類情報)を記憶するフィールド402と、「詳細観察条件1」(「観察条件1」)を用いた詳細観察(撮影・分類)において、その観察対象欠陥が撮影された欠陥画像を記憶するフィールド403と、「詳細観察条件2」(「観察条件2」)を用いた詳細観察(撮影・分類)において、その観察対象欠陥を詳細観察装置5(又は欠陥分類手段12)が分類したカテゴリ(分類結果)を記憶するフィールド404と、「詳細観察条件2」(「観察条件2」)を用いた詳細観察(撮影・分類)において、その観察対象欠陥が撮影された欠陥画像を記憶するフィールド405と、その観察対象欠陥を詳細観察装置5(又は欠陥分類手段12)が分類したカテゴリ(分類結果)を記憶するフィールド406と、「詳細観察条件3」(「観察条件3」)を用いた詳細観察(撮影・分類)において、その観察対象欠陥が撮影された欠陥画像を記憶するフィールド407と、その観察対象欠陥を詳細観察装置5(又は欠陥分類手段12)が分類したカテゴリ(分類結果)を記憶するフィールド408とを有している。
【0037】
図5に、本発明の実施形態に係る観察条件決定支援装置10を用いた観察条件決定支援方法における詳細観察対象データ(観察対象欠陥)抽出処理のフローチャートを示す。
【0038】
まず、ステップS1で、観察対象欠陥抽出手段11は、観察対象欠陥抽出条件DB28から、事前に登録しておいた観察対象欠陥抽出条件を読み出す。観察対象欠陥抽出条件の内容の一例としては、直前の製造工程7aで発生した正味欠陥のみを観察対象欠陥にする処理と、半導体装置のレイアウトデータと欠陥の位置情報から、半導体装置が不良となる確率である致命率を求め、その致命率が所定の閾値以上のものを抽出する処理等のそれぞれの処理を、実施するか否かの条件が設定されている。
【0039】
次に、ステップS2で、観察対象欠陥抽出手段11は、予め検査装置4で検査しておいた直前の検査工程8における対象ウエハの検査データを、検査データDB21から読み出す。
【0040】
ステップS3で、観察対象欠陥抽出手段11は、読み出した観察対象欠陥抽出条件に、正味欠陥のみを観察対象欠陥にする処理を実施するように指定がされているか否か判定する。指定されている場合(ステップS3、Yes)はステップS4へ進み、指定されていない場合(ステップS3、No)はステップS7へ進む。
【0041】
ステップS4で、観察対象欠陥抽出手段11の正味欠陥抽出部11aは、対象ウエハの直前の製造工程より以前に(上流で)行われた上流の検査工程8の検査データを、検査データDB21から読み出す。なお、検査データは、検査を行った検査装置4が記憶しておいてもよく、検査装置4にネットワーク6を介して接続されたサーバ(図示省略)に記憶しておいてもよい。そして、観察対象欠陥抽出手段11は、検査データを、検査装置4やサーバから、ネットワーク6を介して読み出してもよい。
【0042】
ステップS5で、正味欠陥抽出部11aは、直前の検査工程8の検査データのウエハ内座標X、Y、チップ内座標X、Yの中から、上流の検査工程の検査データのウエハ内座標X、Y、チップ内座標X、Yと一致しない欠陥の座標を抽出する。
【0043】
ステップS6で、正味欠陥抽出部11aは、抽出した欠陥座標(ウエハ内座標X、Y、チップ内座標X、Y)に対応する欠陥(欠陥ID)に対応付けて正味欠陥フラグを設定し、詳細観察対象データDB24のフィールド208に書き込む。
【0044】
ステップS7で、観察対象欠陥抽出手段11は、読み出した観察対象欠陥抽出条件に、前記致命率に基づいて観察対象欠陥を抽出する処理を実施するように指定がされているか否か判定する。指定されている場合(ステップS7、Yes)はステップS8へ進み、指定されていない場合(ステップS7、No)はステップS13へ進む。
【0045】
ステップS8で、観察対象欠陥抽出手段11の高致命率欠陥抽出部11bは、事前にレイアウトデータDB23に登録しておいた半導体装置のレイアウトパターンと欠陥との位置関係から致命率を決定可能な致命率決定情報を、致命率決定情報DB29から読み出す。致命率決定情報は、例えば、複数の配線パターンにまたがって欠陥が附着している位置関係に対しては、致命率として80%を設定し、配線パターンから離れて欠陥が付着している位置関係に対しては、致命率として5%を設定するというように、レイアウトパターンと欠陥との位置関係に基づいて致命率を決定可能な情報である。
【0046】
ステップS9で、高致命率欠陥抽出部11bは、対象ウエハ上に製造されている半導体装置のレイアウトデータを、レイアウトデータDB23から読み出す。
【0047】
ステップS10で、高致命率欠陥抽出部11bは、正味欠陥フラグの設定されている場合は、正味欠陥フラグの設定されてる欠陥の位置情報(ウエハ内座標X、Yと、チップ内座標X、Yと、欠陥サイズX、Y)を、レイアウトパターン上の位置座標に変換する。そして、高致命率欠陥抽出部11bは、レイアウトパターン(図9の配線パターンに相当)上の位置座標上に、欠陥の存在範囲35〜38(図9参照)を示す欠陥の位置情報に基づいた矩形や楕円形(図9では円形に相当)を設定する。高致命率欠陥抽出部11bは、致命率決定情報に基づいて、レイアウトパターンと欠陥の存在範囲の位置関係から致命率を決定し、欠陥座標に対応する欠陥IDに対応付けて致命率を、詳細観察対象データDB24のフィールド209に書き込む。
【0048】
ステップS11で、高致命率欠陥抽出部11bは、致命率を決定すべき全ての欠陥に対して、致命率を決定したか否か判定する。全ての欠陥に対して決定している場合(ステップS11、Yes)はステップS12へ進み、全ての欠陥に対して決定していない場合(ステップS11、No)はステップS10へ戻る。
【0049】
ステップS12で、高致命率欠陥抽出部11bは、致命率が所定の閾値以上の欠陥(欠陥ID)を抽出する。抽出した欠陥に対応付けて観察対象欠陥フラグを設定し、詳細観察対象データDB24のフィールド211に書き込む。なお、欠陥の抽出では、閾値に替えて、致命率の大きい方から所定の個数分の欠陥を抽出してもよい。この場合には、高致命率欠陥抽出部11bは、致命率が大きい順番に、その順番である選択順位を、詳細観察対象データDB24のフィールド210に書き込む。そして、高致命率欠陥抽出部11bは、所定の閾値より早い順番の欠陥(欠陥ID)を抽出する。抽出した欠陥に対応付けて観察対象欠陥フラグを設定し、詳細観察対象データDB24のフィールド211に書き込む。前記の通り、ステップS12は、致命率が所定の閾値以上の欠陥を対象としたものである。
【0050】
ステップS13で、観察対象欠陥抽出手段11は、読み出した観察対象欠陥抽出条件に、ウエハ内の欠陥の分布から分類された欠陥の中から観察対象欠陥を抽出する処理を実施するように指定がされているか否か判定する。指定されている場合(ステップS13、Yes)はステップS14へ進み、指定されていない場合(ステップS13、No)は詳細観察対象データ抽出処理を終了させる。なお、終了に際して、正味欠陥フラグが設定されていて、観察対象欠陥フラグが設定されていない場合は、正味欠陥フラグを、観察対象フラグとして、観察対象欠陥フラグのフィールド211にコピーする。
【0051】
ステップS14で、観察対象欠陥抽出手段11は、前記検査データの欠陥の位置情報に基づいたウエハ内の欠陥の分布から、欠陥を、繰返しパターン欠陥、クラスタ欠陥等に分類し、分類された欠陥の中から代表とする観察対象欠陥を抽出する。抽出した欠陥に対応付けて観察対象欠陥フラグ(チェック)を設定し、詳細観察対象データDB24のフィールド211に観察対象欠陥フラグ(チェック)を書き込む。前記により、詳細観察する欠陥を選択(抽出)することができ、詳細観察対象データ抽出処理が終了する。前記から、観察対象欠陥フラグ(チェック)が設定される欠陥の条件をまとめると、正味欠陥フラグが設定されている欠陥の条件と、致命率が所定の閾値以上の欠陥の条件と、ウエハ内の欠陥の分布から繰返しパターン欠陥やクラスタ欠陥等に分類された欠陥を代表する欠陥の条件の中の少なくとも1つ以上の条件を満たすことである。
【0052】
図6に、本発明の実施形態に係る観察条件決定支援装置10を用いた観察条件決定支援方法における詳細観察結果集計処理のフローチャートを示す。
【0053】
詳細観察結果集計処理では、まず、ステップS21で、欠陥分類手段12は、選択した観察対象欠陥に対して、つまり、フィールド211に観察対象欠陥フラグ(チェック)がついたものに対して、実際に詳細観察装置5が詳細観察するときの詳細観察条件(観察条件)を複数個設定し、詳細観察対象データDB24のフィールド212に書き込む。複数の詳細観察条件は、図3に示すように、各条件項目に対して条件値を事前に設定して、詳細観察条件DB22に書き込んでおく。
【0054】
次に、ステップS22で、欠陥分類手段12は、全ての詳細観察条件で詳細観察(撮影・分類)は終了したか否か判定する。終了した場合(ステップS22、Yes)はステップS28へ進み、終了していない場合(ステップS22、No)はステップS23へ進む。なお、ステップS22は繰り返し実施されるが、初回は、まだ、1つ目の詳細観察条件でも詳細観察はスタートしていないので、終了もしておらず、ステップS23へ進む。
【0055】
ステップS23で、欠陥分類手段12は、設定はされているが、まだ読み出されていない詳細観察条件の条件個目を、詳細観察条件DB22から読み出し、詳細観察装置5に送信して設定する。
【0056】
ステップS24で、詳細観察装置5は、対象ウエハの詳細観察を、欠陥分類手段12によって書き込まれた詳細観察条件DB22に基づいて実施する。欠陥分類手段12は、詳細観察に際して用いられる観察対象欠陥の検査データの位置情報を、検査データDB21と詳細観察対象データDB24とを用いて読み出し、詳細観察装置5へ送信する。この支援により、詳細観察装置5は、観察対象欠陥の詳細観察のみを実施することができる。
【0057】
ステップS25で、詳細観察装置5は、詳細観察によって取得した詳細観察結果(欠陥画像とカテゴリ(第1カテゴリに相当))を、詳細観察条件1の詳細観察結果DB26等へ送信し、詳細観察条件1の詳細観察結果DB26等は、詳細観察結果を取得し記憶する。詳細観察結果は、具体的には、詳細観察装置5によって撮影された観察対象欠陥の欠陥画像と分類欠陥のカテゴリである。欠陥画像は、1つの観察条件の1つの観察対象欠陥に対して、1つとは限らず、複数枚でもよい。複数枚の場合は、欠陥への電子線の入射角を変えて撮影することができ、例えば、垂直方向や、斜め方向から撮影することができる。垂直方向から撮影すれば、欠陥の正味の大きさ(面積)を評価することができる。また、斜め方向から撮影すれば、電子ビームの影を撮影でき、欠陥と影の位置関係により、欠陥の凹凸を判断することができる。
【0058】
ステップS26で、欠陥分類手段12および詳細観察装置5は、分類用教示データDB25に記憶された分類用教示データに基づいて、観察対象欠陥毎に、欠陥画像を用いて欠陥の属するカテゴリ(第1カテゴリに対応)を決定する欠陥分類処理を行う。欠陥分類手段12は、決定したカテゴリを対応する欠陥(ID)と対応付けて、詳細観察条件1の詳細観察結果DB26等に記憶させる。
【0059】
ステップS27で、分類結果集計手段13は、詳細観察条件毎に、欠陥画像とカテゴリを、共通同一の欠陥(ID)に対応付けて、詳細観察結果集計データDB30に、順次、追加登録する。そして、全ての詳細観察条件について追加登録がされると、図4に示すように、詳細観察結果集計データDB30に、共通同一の欠陥(ID)毎に、異なる複数の詳細観察条件の欠陥画像と分類結果(カテゴリ)が集計(まとめられて記憶)されることになる。ステップS22に戻る。
【0060】
ステップS28で、分類結果集計手段13は、エンジニア(ユーザ)が観察対象欠陥をカテゴリ(第2カテゴリに対応)に分類する支援をする。分類結果集計手段13は、分類結果表示手段14を用いて、図7に示すような画面710をユーザI/F3の表示画面に表示する。分類結果表示手段14は、共通同一の観察対象欠陥の欠陥ID毎の異なる複数の詳細観察条件の詳細観察結果(条件1欠陥画像、条件2欠陥画像、条件3欠陥画像、条件1分類カテゴリ、条件2分類カテゴリ、条件3分類カテゴリ)を一覧表示すると共に「(欠陥毎に)目視分類を行って下さい。」と表示して、エンジニアに目視分類カテゴリの入力を促す。エンジニアは、複数の詳細観察条件の詳細観察結果(欠陥画像とカテゴリ)を見ながら、さらには、詳細観察装置5を用いて、直接、欠陥を観察しながら、目視分類カテゴリとして、カテゴリを選択し、ユーザI/F3から選択したカテゴリを入力することができる。分類結果集計手段13は、入力した目視分類カテゴリを、対応する欠陥IDに対応させて、詳細観察結果集計データDB30のフィールド402に記憶させる。そして、図7に示すように、分類結果集計手段13は、分類結果表示手段14を用いて、共通同一の観察対象欠陥の欠陥ID毎に、エンジニアが選択した目視分類カテゴリと、複数の詳細観察条件の欠陥画像とカテゴリとをまとめて一覧表示する。
【0061】
ステップS29で、分類結果集計手段13は、詳細観察結果集計データDB30に基づいて、詳細観察条件毎に一致率を算出する。一致率は、欠陥分類手段12が決定した条件1カテゴリ等が、エンジニアが選択した目視分類カテゴリと一致している欠陥の数の、観察対象欠陥の数に対する比率である。算出された一致率は、分類結果表示手段14によって、画面710の領域709に対応する詳細観察条件がわかるように表示される。なお、ボタン711〜713は、エンジニアが選択した観察条件をユーザI/F3のキーボードから入力するためのツールである。
【0062】
ステップS30で、分類結果集計手段13は、分類用教示データDBの修正に支援をする。この支援として、分類結果集計手段13は、目視分類カテゴリに一致していない条件1分類カテゴリ等と、その一致していない欠陥の欠陥IDを抽出する。分類結果集計手段13は、目視分類カテゴリに一致していない条件1分類カテゴリ等に、図7に示すような下線で表示されるリンクを作成する。欠陥IDがID−2であり、その目視分類カテゴリがカテゴリ2であり、観察条件が条件1(観察条件1)である場合の条件1分類カテゴリがカテゴリ1であるので、欠陥IDがID−2である欠陥は、目視分類カテゴリと条件1分類カテゴリとが一致していない。そのため、条件1分類カテゴリのカテゴリ1には、リンクが張られていることを示す下線が付されている。そして、この下線付きのカテゴリ1を、ユーザI/F3のマウス等を用いてクリックすることにより、図8に示すようなリンク先の画面808を、ユーザI/F3の表示画面に表示させることができる。
【0063】
画面808の領域807は、リストボックスになっており、観察を行った全ての観察条件の中から、エンジニアの見たい観察条件を選択できるようになっている。
【0064】
領域804は、リストボックス等を有し、目視分類カテゴリに一致していない条件1分類カテゴリ等が設定された欠陥の欠陥IDを選択できるようになっている。
【0065】
領域801には、欠陥IDがID−2である欠陥を、リンク元の条件1分類カテゴリの属する条件1(観察条件1)を用いて撮影した欠陥画像が表示される。図8では、電子線の照射方向を変えて撮影した複数の2枚の欠陥画像が表示されている場合を示している。
【0066】
領域802には、条件1(観察条件1)で複数の観察対象欠陥を観察(撮影・分類)した場合に、カテゴリ1に分類された複数の観察対象欠陥の欠陥画像のリスト(一覧表)を示している。
【0067】
領域803には、エンジニアによる分類(目視分類)による目視分類カテゴリが、欠陥IDがID−2である欠陥のカテゴリ2と同じである複数の観察対象欠陥の欠陥画像のリスト(一覧表)を示している。
【0068】
エンジニアは、この2つのリストを見ることにより、欠陥IDがID−2である欠陥は、カテゴリ1に属するのか、カテゴリ2に属するのかを、容易に決定することができる。欠陥IDがID−2である欠陥が、カテゴリ2に属すると決定した場合には、条件1分類カテゴリをカテゴリ1からカテゴリ2に変更するために、条件1分類カテゴリ変更のボタン806をクリックする。このクリックにより、分類結果集計手段13は、欠陥IDがID−2である欠陥の条件1分類カテゴリをカテゴリ1からカテゴリ2に変更するだけでなく、分類用教示データDBを、欠陥IDがID−2である欠陥の欠陥画像から、カテゴリ2に分類できるように修正する。この変更操作は、ドラッグ&ドロップで行えるようにしてもよい。
【0069】
一方、欠陥IDがID−2である欠陥が、カテゴリ1に属すると決定した場合には、目視分類カテゴリをカテゴリ2からカテゴリ1に変更するために、目視分類カテゴリ変更のボタン805をクリックする。このクリックにより、分類結果集計手段13は、欠陥IDがID−2である欠陥の目視分類カテゴリをカテゴリ2からカテゴリ1に変更する。これによれば、ユーザの欠陥の分類の傾向に、観察条件を近づけることができ、また逆に、ユーザの欠陥の分類の傾向を修正することができる。そして、どちらの修正後にも、再度、一致率を算出し、画面710の領域709に再表示することが望ましい。
【0070】
ステップS31で、分類結果集計手段13は、分類結果表示手段14を用いて、図7の画面710に、「詳細観察条件(観察条件)を選択して下さい。(選択した条件をクリックして下さい。)」と表示し、さらに、選択した詳細観察条件(観察条件)を入力するためのボタン711〜713を表示し、エンジニアに詳細観察条件(観察条件)の選択と入力を促す。分類結果集計手段13は、エンジニアに対して、一致率の高さに基づいて、容易に観察条件を選択し入力させる支援をすることができる。
【0071】
本実施形態では、欠陥の観察条件(撮影条件)を複数用意し、各々の観察条件で取得した欠陥画像とカテゴリ、及びエンジニアの分類によるカテゴリとを並べて表示することにより、分類結果を総覧することを可能とした。これにより、同一欠陥に対して異なる撮影
条件で撮影した欠陥画像の違い、及びそれに伴うカテゴリの違いを総覧可能となり、最適な撮像条件の選択を可能としている。また、エンジニアによるカテゴリと詳細観察装置5で自動で分類したカテゴリが異なった欠陥に対して、確認/修正が可能となる。同一のカテゴリに属している複数の欠陥をまとめて表示することで、複数の欠陥に共通する特徴での比較が可能となり、エンジニアはその共通する特徴を把握した上で、最適なカテゴリを指定することができる。
【0072】
また、半導体装置(チップ)のレイアウトデータと欠陥の座標データから、欠陥をレイアウト上に重ね合せすることで、致命となる欠陥を効率良く抽出可能となり、解析対象にすべき欠陥に着目した分類が可能となる。さらに、対象ウエハの過去の検査データを蓄積しておくことで現在の検査データから以前にウエハ上で検出した欠陥を除去し、新たに検出された欠陥についてのみの詳細観察を可能にしている。このように絞り込んだ観察対象欠陥に対しての解析が可能となることで、欠陥発生の原因となった製造工程の絞込みが可能となり、それによって欠陥の発生原因の特定が可能となる。
【0073】
図9に、レイアウトデータと検査データとの重ね合わせ表示の画面39の一例を示す。チップ31に対して、拡大したい領域(拡大領域)を、ユーザI/F3を用いて設定し、さらに、拡大率変更ツール33で、拡大領域の拡大率をすることで、レイアウトデータ(配線パターン)32と検査データとの重ね合わせ表示を得ることができる。高致命率欠陥抽出部11bは、レイアウトパターン上の位置座標上に、欠陥の存在範囲を示す欠陥の位置情報に基づいた矩形や楕円形や円を設定する。高致命率欠陥抽出部11bは、致命率決定情報に基づいて、レイアウトパターンと欠陥の存在範囲35〜38の位置関係から、致命率を決定し表示することができる。また、表示されている致命率の例えば80%、40%。5%、2%を書き換えることにより、致命率決定情報DB29を書き換えることができる。
【0074】
図10(a)と図10(b)に、観察対象欠陥に対する詳細観察条件の設定方法の一例を示す。全ての観察対象欠陥42に対して、各観察条件を割り当て、検査を行うことも可能である。しかし、詳細観察工程9の処理時間を短縮するために、図10(a)に示すようにウエハ41の領域を観察条件の数で分割し、分割した各領域に互いに異なる検査条件を割り当ててもよい。また、図9(b)に示すように、欠陥にウエハ内の分布に偏る傾向があっても、各観察条件での観察数が均等になるように、観察対象欠陥42に対して、検査条件をランダムに割り当ててもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】(a)は、半導体装置の製造フローのフローチャートであり、(b)は、本発明の実施形態に係る観察条件決定支援装置の構成図である。
【図2】検査データDB、及び詳細観察対象データDBのデータ構造図である。
【図3】詳細観察条件DBのデータ構造図である。
【図4】詳細観察結果集計データDBのデータ構造図である。
【図5】本発明の実施形態に係る観察条件決定支援方法における詳細観察対象データ抽出処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る観察条件決定支援方法における詳細観察結果集計処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る観察条件決定支援方法における詳細観察結果集計処理のユーザ操作画面の一例を示す図(その1)である。
【図8】本発明の実施形態に係る観察条件決定支援方法における詳細観察結果集計処理のユーザ操作画面の一例を示す図(その2)である。
【図9】レイアウトデータと検査データとの重ね合わせ表示の画面の一例を示す図である。
【図10】(a)は、観察対象欠陥に対する詳細観察条件の設定方法の一例を示す図(その1)であり、(b)は、観察対象欠陥に対する詳細観察条件の設定方法の一例を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0076】
1 処理手段
2 記憶手段
3 ユーザI/F
4 検査装置
5 詳細観察装置
6 通信回線
7a、7b 製造工程
8、9 検査工程
10 観察条件決定支援装置
11 観察対象欠陥抽出手段
12 欠陥分類手段
13 分類結果集計手段
14 分類結果表示手段
15 詳細観察条件決定・登録手段
16 詳細観察実施判定手段
17 詳細観察条件読出手段
21 検査データDB
22 詳細観察条件DB
23 レイアウトデータDB
24 詳細観察対象データDB
25 分類用教示データDB
26 詳細観察条件の詳細観察結果DB
28 観察対象欠陥抽出条件DB
29 致命率決定情報DB
30 詳細観察結果集計データDB
31 チップ(半導体装置)
32 配線パターン
33 拡大率変更ツール
34 拡大領域
35、36、37、38 欠陥の存在範囲
41 ウエハ
42 観察対象欠陥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置で検出された半導体装置の欠陥に関する検査データに基づいて、観察装置において予め設定した複数の観察条件で同一の前記欠陥を撮影した複数の欠陥画像を取得する手段と、
それぞれの前記欠陥画像に基づいて、複数の前記同一の欠陥の分類を行い、前記分類の結果として前記観察条件毎に前記同一の欠陥の属する第1カテゴリを決定する手段と、
前記観察装置のユーザが前記同一の欠陥の分類を行い決定した第2カテゴリに、前記第1カテゴリが一致する比率に基づいて、複数の前記観察条件の中から前記半導体装置の製造時に使用する前記観察条件を決定する手段とを有することを特徴とする観察条件決定支援装置。
【請求項2】
前記同一の欠陥毎に、前記第2カテゴリと、前記複数の観察条件に対応する第1カテゴリとを一覧表示する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の観察条件決定支援装置。
【請求項3】
前記同一の欠陥毎に、複数の前記観察条件で前記同一の欠陥を撮影した複数の前記欠陥画像を一覧表示する手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の観察条件決定支援装置。
【請求項4】
前記欠陥画像を一覧表示する手段では、
複数の前記欠陥画像を一覧表示するとともに、前記ユーザが決定した前記第2カテゴリの入力を促すことを特徴とする請求項3に記載の観察条件決定支援装置。
【請求項5】
前記欠陥画像を取得する手段では、
直前の検査工程より前の検査工程で検出された前記欠陥の座標に一致する座標上の前記欠陥の前記欠陥画像の取得を省くことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の観察条件決定支援装置。
【請求項6】
前記欠陥画像を取得する手段では、
前記半導体装置のレイアウトデータを用いて、前記欠陥によって前記半導体装置が不良となる確率を決定し、
前記確率に基づいて、前記欠陥画像を取得する前記欠陥を抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の観察条件決定支援装置。
【請求項7】
前記欠陥画像を取得する手段では、
複数の前記欠陥の座標に基づいたウエハ内の前記欠陥の分布に基づいて前記欠陥を分類し、分類された前記欠陥の中から前記欠陥画像を取得する前記欠陥を抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の観察条件決定支援装置。
【請求項8】
前記第2カテゴリに一致していない前記第1カテゴリが決定されている前記欠陥を抽出する手段と、
抽出された前記欠陥の前記第1カテゴリと同じカテゴリの前記欠陥の前記欠陥画像と、抽出された前記欠陥の前記第2カテゴリと同じカテゴリの前記欠陥の前記欠陥画像とを並べて表示するとともに、前記第1カテゴリ又は前記第2カテゴリを変更する入力を促す手段とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の観察条件決定支援装置。
【請求項9】
コンピュータが、
検査装置で検出された半導体装置の欠陥に関する検査データに基づいて、観察装置において予め設定した複数の観察条件で同一の前記欠陥を撮影した複数の欠陥画像を取得し、
それぞれの前記欠陥画像に基づいて、複数の前記同一の欠陥の分類を行い、前記分類の結果として前記観察条件毎に前記同一の欠陥の属する第1カテゴリを決定し、
前記観察装置のユーザが前記同一の欠陥の分類を行い決定した第2カテゴリに、前記第1カテゴリが一致する比率に基づいて、前記複数の観察条件の中から前記半導体装置の製造時に使用する前記観察条件を決定することを特徴とする観察条件決定支援方法。
【請求項10】
前記同一の欠陥毎に、前記第2カテゴリと、前記複数の観察条件に対応する第1カテゴリとを一覧表示することを特徴とする請求項9に記載の観察条件決定支援方法。
【請求項11】
前記同一の欠陥毎に、複数の前記観察条件で前記同一の欠陥を撮影した複数の前記欠陥画像を一覧表示することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の観察条件決定支援方法。
【請求項12】
前記欠陥画像を一覧表示することでは、
複数の前記欠陥画像を一覧表示するとともに、前記ユーザが決定した前記第2カテゴリの入力を促すことを特徴とする請求項11に記載の観察条件決定支援方法。
【請求項13】
前記欠陥画像を取得することでは、
直前の検査工程より前の検査工程で検出された前記欠陥の座標に一致する座標上の前記欠陥の前記欠陥画像の取得を省くことを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の観察条件決定支援方法。
【請求項14】
前記欠陥画像を取得することでは、
前記半導体装置のレイアウトデータを用いて、前記欠陥によって前記半導体装置が不良となる確率を決定し、
前記確率に基づいて、前記欠陥画像を取得する前記欠陥を抽出することを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の観察条件決定支援方法。
【請求項15】
前記欠陥画像を取得することでは、
複数の前記欠陥の座標に基づいたウエハ内の前記欠陥の分布に基づいて前記欠陥を分類し、分類された前記欠陥の中から前記欠陥画像を取得する前記欠陥を抽出することを特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載の観察条件決定支援方法。
【請求項16】
前記第2カテゴリに一致していない前記第1カテゴリが決定されている前記欠陥を抽出し、
抽出された前記欠陥の前記第1カテゴリと同じカテゴリの前記欠陥の前記欠陥画像と、抽出された前記欠陥の前記第2カテゴリと同じカテゴリの前記欠陥の前記欠陥画像とを並べて表示するとともに、前記第1カテゴリ又は前記第2カテゴリを変更する入力を促すことを特徴とする請求項9乃至請求項15のいずれか1項に記載の観察条件決定支援方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−129814(P2010−129814A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303674(P2008−303674)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】