説明

解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置と画像保管通信システムの連携システム

【課題】
三次元画像表示装置を使用した画像解析に必要な操作ステップと操作時間を低減する。
【解決手段】
解析プロトコルに基づいた前処理装置が事前に解析し,蓄積したパラメータに基づいて三次元画像処理を実行する三次元画像表示装置と検査データを蓄積しているPACSを連携させ,画像診断装置で実施した検査データに所見を検知した場合,それをトリガーとして,PACSに蓄積されている検査データを探索,取得,解析することを可能にした。解析エンジンの改良・追加のイベントをトリガーとして,これまでに解析した検査データを再度解析する。従来は解析できなかった種類の画像診断装置の検査データの解析を可能にする解析エンジンの追加のイベントをトリガーとして,PACSに蓄積されている該当する画像診断装置の検査データを探索,取得,解析することを可能にした。三次元画像の表示と解析に必要な操作ステップと操作時間の低減を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,解析プロトコルに基づいた前処理装置が事前に求めたパラメータに基づいて三次元画像処理を実行する三次元画像表示装置と画像保管通信システムを連携したシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の医用画像診断装置の技術的進歩に伴って,一回の検査で得られる医用画像データのデータ量は,急激に増加している。例えば,X線CT検査においては,最近の多列検出器を使用したX線CT装置の普及によって,体軸方向の検査の精度が向上し,細かいスライス間隔でデータが作成されるようになった。これに伴い,一回の検査で作成される画像データの枚数は大幅に増加している。従来は,一回の検査で作成される画像データをフィルムに焼き付けるか,画像表示装置に表示して読影が行われていた。しかし,一回の検査で作成される画像データの枚数が多くなると,フィルムまたは画像表示装置ですべての画像を観察することが困難になっている。このため,検査で得られた画像データから三次元画像を作成し,これを観察することが行われている。
【0003】
しかしながら,人体の三次元画像は多くの臓器が重なった画像であるので,医師などの医療従事者が関心のある臓器を観察するためには,その関心臓器や関心空間領域を選択的に表示し,その他の臓器やその他の空間領域を表示しないようにする必要がある。例えば,肺野の観察を行いたい場合には,肺野の領域のみを抽出し,周囲の肋骨の影響を取り除くなどの操作を行う必要がある。しかし,このような操作は特定CT値範囲のみを抽出する画像処理とか,特定空間領域を指定してその領域を抽出する画像処理など,多くのステップの画像処理を必要とする。また,操作者の人体構造に対する医学的知識と経験が必要になる。
【0004】
これらの画像処理は操作者が操作器から指示を順次発行し,画像処理装置がこの指示に基づいて画像処理を実行し,画像表示装置に表示される画像処理の結果を操作者が目で確認しながら,逐次的に実施している。これらの画像処理は処理時間がかかるため,操作者は最終的な結果を得るまでかなりの長時間を費やすことになる。X線CT装置やMR装置の高速化が進み,検査に要する時間は短縮されていて,一日あたり多数の検査が実行されているが,医師などの医療従事者が三次元画像処理によって詳しい情報を得ようとすると,一検査あたりの三次元画像処理に長時間を費やすことになる。したがって,医師などの医療従事者の効率が悪く,せっかく開発されてきた三次元画像処理を使用した診断が普及していない。
【0005】
本発明の発明者等による特願2006−105747「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」は,三次元画像処理を使用した高度な診断を普及させるために,医師などの医療従事者が三次元画像処理装置を使用する時間を短縮する手段を提供するために考案された。
「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」において,X線CT装置などの画像診断装置による患者の検査が終了すると,画像診断装置は検査で得られた画像データを,前処理装置に転送する。前処理装置はX線CT検査などの検査を指示した病院情報システムや放射線部門情報システムの指示データなどを使用して検査の目的,検査部位,被検者の年齢,性別などを把握し,これをもとに検査で得られた画像データを解析する。この解析には前処理装置が持っている人体構造の立体図である人体アトラスや人体の部位ごとのCT値などの先見情報,また前処理装置が過去に行った解析データなどを集積した知識データベースを使用する。この解析により,検査部位や検査の目的を把握し,これらに基づいて複数の解析プロトコルを決定する。検査で得られた画像データに対して,解析プロトコルに基づいた画像処理パラメータで画像処理を実行し,各種のパラメータを抽出し,得られた各種パラメータを蓄積する。
医師などの医療従事者は,三次元画像処理装置を使用して,検査で得られた画像データに,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を施し,解析プロトコルが要求する処理結果を得る。
【特許文献1】特願2006−105747「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」
【0006】
前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を実行することによって,医師などの医療従事者が行う操作を大幅に省略することが可能であり,医師などの医療従事者が画像データの読影に費やす時間を大幅に短縮することができる。
最新の三次元画像処理技術の成果を画像診断に適用する場合に,三次画像診断に要する時間が長大になってしまう問題に対応することが可能になった。
また,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を実行することによって,医師などの医療従事者が画像の読影に費やす時間を大幅に短縮することが可能になったので,多くの種類の解析プロトコルを検査データに適用することが現実的になった。これによって従来は医師などの医療従事者の読影時間の制約から実現が難しかった複数の解析プロトコルに基づいた画像の読影が容易になった。
【0007】
ここで,特願2006−105747「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」の概要について説明する。図4はブロック図である。
101は,X線CT装置,MR装置などの画像診断装置の例示。
102は,PACSなどの画像データ保管システムの例示
103は,放射線部門情報システム(RIS)などの情報システムの例示。
104は,病院情報システム(HIS)などの情報システムの例示。
105は,病院内のネットワークなどの例示。
111は,X線CT装置,MR装置などの画像診断装置101が被検者を検査した画像データ。
112は,X線CT装置などの画像診断装置またはPACSなどの画像データ保管システムから三次元画像表示装置に送られる画像データ。
113は,放射線部門情報システム(RIS)などの情報システム,病院情報システム(HIS)などの情報システム,臨床検査情報システムなどの情報システムから三次元画像表示装置の前処理部へ供給される検査関連情報。
221は,前処理装置を示す。
222は,磁気ディスクなどで構成される画像データ蓄積装置。
223は,データ処理装置。
224は,パラメータ蓄積装置。
225は,データ解析装置。
226は,知識データベース。
231は,データ蓄積装置からデータ処理装置に送られる画像データ。
232は,データ蓄積装置からデータ解析装置へ送られる画像付帯情報。
233は,データ解析装置からデータ処理装置へ送られる信号。
234は,データ処理装置からデータ解析装置に送られる信号。
235は,データ処理装置からパラメータ蓄積装置に送られる信号。
241は,三次元画像表示装置を示す。
243は,画像処理装置を示す。
244は,画像表示装置を示す。
245は,操作器を示す。
246は,三次元画像表示装置を操作する操作者の例示である。
251は,パラメータ蓄積装置から操作器に送られる信号。
252は,操作者が行う操作。
253は,操作器から画像処理装置に伝達される制御情報。
254は,データ蓄積装置から画像処理装置に送られる画像データ。
255は,画像処理装置が画像処理した画像データ。
256は,画像表示装置に表示された画像を操作者が観察するプロセス。
257は,操作者が画像表示装置に表示された画像を観察し,画像処理パラメータの指示を修正する過程を示す。
【0008】
データ解析装置225はデータ蓄積装置222から送られる画像付帯情報232に含まれるDICOM情報と,RIS 103から送られる患者オーダー情報113を基に,知識データベース226を参照して,データ解析を行う。データ解析装置225の出力信号233は,画像処理装置223に送られ,画像データ231に適用され,画像処理を行う。画像処理の結果234はデータ解析装置225に戻され,比較される。このような処理を繰り返すことによって,画像データ231に含まれる各種の画像処理パラメータおよび解析パラメータを抽出する。抽出したパラメータはパラメータ蓄積装置224に蓄積される。操作者246は操作器245に表示されるRIS情報113およびパラメータ蓄積装置224からの情報から,読影を行う検査を選択し,解析プロトコルを指定する操作252を行う。操作器から信号253が画像処理装置243に送られると,画像処理装置243はデータ蓄積装置222から検査データを読みこむと共に,パラメータ蓄積装置224から解析パラメータを読み込むことによって,画像処理を行い,画像処理された画像データ255を画像表示装置244に送る。画像表示装置244はこの画像データを表示する。操作者246は画像表示装置244に表示された画像およびデータを観察し,パラメータを変更する必要を感じた場合は,パラメータの修正を行う。
【0009】
図5は前処理装置の部分のフローチャートである。
(1)X線CT装置などの画像診断装置101で患者を検査する。
(2)データ蓄積装置222はCT装置101で検査した画像データを蓄積する。
(3)データ解析装置225は検査した画像データをDICOM情報,RIS情報,アトラスなどから解析する。
(4)データ解析装置225は画像データの解析結果から,処理を行う複数の解析プロトコルを決定する。
(5)データ解析装置225は処理を実行する解析プロトコルを選択する。
(6)データ解析装置225は解析プロトコルを実現するために必要な画像処理の種類とパラメータをデータ処理装置に指示する。
(7)データ処理装置223は指定された画像処理を行い,結果をデータ解析装置225に送る。
(8)データ解析装置は処理結果を確認する。不満足の場合はパラメータを修正し再処理を指示する。
(9)処理結果はOK。NOの場合(7)へ。
(10)全ての画像処理を実施したか。NOの場合(6)へ。
(11)実行した解析プロトコルの結果をパラメータ蓄積装置224に蓄積する。
(12)全ての解析プロトコルを実施したか。YESの場合(END)へ。NOの場合(5)へ。
【0010】
図6は三次元画像表示装置の部分のフローチャートである。
(1)操作者246は操作器245で患者・検査と解析プロトコルを選択する。
(2)操作器245は解析プロトコルに対応するパラメータを選択し,画像処理装置243に指示する。
(3)画像処理装置243は画像データをデータ蓄積装置222,パラメータをパラメータ蓄積装置224から取得する。
(4)画像処理装置243は指定された画像処理を行い,結果を画像表示装置244に表示する。
(5)操作者246は処理結果を確認する。不満足の場合はパラメータを修正し再処理を指示する。
(6)処理結果はOK。NOの場合(4)へ。
【0011】
本発明は,特願2006−105747「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」による解析プロトコルに基づいた前処理装置が事前に求めたパラメータに基づいて三次元画像処理を実行する三次元画像表示装置と画像保管通信システム(PACS)とを連携させることによって,より広い適用範囲と効能を実現するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
最近の医用画像診断装置の技術的進歩に伴って,一回の検査で得られる医用画像データのデータ量は,急激に増加している。例えば,X線CT検査においては,最近の多列検出器を使用したX線CT装置の普及によって,体軸方向の検査の精度が向上し,細かいスライス間隔でデータが作成されるようになった。これに伴い,一回の検査で作成される画像データの枚数は大幅に増加している。従来は,一回の検査で作成される画像データをフィルムに焼き付けるか,画像表示装置に表示して読影が行われていた。しかし,一回の検査で作成される画像データの枚数が多くなると,フィルムまたは画像表示装置ですべての画像を観察することが困難になっている。このため,検査で得られた画像データから三次元画像を作成し,これを観察することが行われている。
しかしながら,人体の三次元画像は多くの臓器が重なった画像であるので,医師などの医療従事者が関心のある臓器を観察するためには,その関心臓器や関心空間領域を選択的に表示し,その他の臓器やその他の空間領域を表示しないようにする必要がある。例えば,肺野の観察を行いたい場合には,肺野の領域のみを抽出し,周囲の肋骨の影響を取り除くなどの操作を行う必要があるが,このような操作は特定CT値範囲のみを抽出する画像処理とか,特定空間領域を指定してその領域を抽出する画像処理など,かなり多くのステップの画像処理を必要とする。また,操作者の人体構造に対する医学的知識と経験が必要になる。
これらの画像処理は操作者が操作器から指示を順次発行し,画像処理装置がこの指示に基づいて画像処理を実行し,画像表示装置に表示される画像処理の結果を操作者が目で確認しながら,逐次的に実施している。これらの画像処理は処理時間がかかるため,操作者は最終的な結果が得られるまでかなりの長時間を費やすことになる。X線CT装置やMR装置の高速化が進み,検査に要する時間は短縮されていて,一日あたり多数の検査が実行されているが,医師などの医療従事者が三次元画像処理によって詳しい情報を得ようとしても,一検査あたりの三次元画像処理に長時間を費やすことになるので,医師などの医療従事者の効率が悪く,せっかく開発されてきた三次元画像処理を使用した診断が普及していない。
【0013】
本発明の発明者等は,特願2006−105747「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」を考案した。
この発明は,三次元画像処理を使用した高度な診断を普及させるために,医師などの医療従事者が三次元画像処理装置を使用する時間を短縮する手段を提供する。
X線CT装置は,患者の検査が終了すると,検査で得られた画像データを,前処理装置に転送する。前処理装置はX線CT検査を指示した病院情報システムや放射線部門情報システムの指示データなどを使用して検査の目的,検査部位,被検者の年齢性別などを把握し,これをもとに検査で得られた画像データを解析する。この解析には前処理装置が持っている人体構造の立体図である人体アトラスや人体の部位ごとのCT値などの先見情報,また前処理装置が過去に行った解析データなどを集積した知識データベースを使用する。この解析により,検査部位や検査の目的を把握し,これらに基づいて複数の解析プロトコルを決定する。検査で得られた画像データに解析プロトコルに基づいた画像処理パラメータで画像処理を実行し,各種のパラメータを抽出し,得られた各種パラメータを蓄積する。
医師などの医療従事者は,三次元画像処理装置を使用して,検査で得られた画像データに,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を施し,解析プロトコルが要求する処理結果を得る。
前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を実行することによって,医師などの医療従事者が行う操作を大幅に省略することが可能であり,医師などの医療従事者が画像の読影に費やす時間を大幅に短縮することができる。
最新の三次元画像処理技術の成果を画像診断に適用する場合に,三次画像診断に要する時間が長大になってしまう問題に対応することが可能になった。
また,前処理装置で得られた各種パラメータを適用して画像処理を実行することによって,医師などの医療従事者が画像の読影に費やす時間を大幅に短縮することが可能になったので,多くの種類の解析プロトコルを検査した画像データに適用することが現実的になった。これによって従来は医師などの医療従事者の読影時間の制約から実現が難しかった複数の解析プロトコルに基づいた画像の読影が容易になった。
【0014】
特願2006−105747「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」で確立した技術をさらに発展させ,解析プロトコルに基づいた前処理装置が事前に解析し,蓄積したパラメータに基づいて三次元画像処理を実行する三次元画像表示装置と検査データを蓄積しているPACSを連携したシステムを考案した。これによって,画像診断装置から送られてくる検査データを処理して何らかの所見を検知した場合,それをトリガーとして,解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置がPACSに蓄積されている検査データを探索,取得,解析する機能が有用であることが認識された。
【0015】
解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置は,医師の実施する画像診断を学習し,知識データベースに蓄積することなどによって,解析エンジンを改良する。また,他の施設で改良した知識データベースや解析エンジンを移植することがある。これらの場合,解析エンジンを改良した,または解析エンジンを追加したというイベントをトリガーとして,これまでに解析を行った検査データを改良または追加された解析エンジンによって再度解析する。また,従来の解析エンジンでは解析できなかった種類の画像診断装置からの検査データを解析することを可能にする解析エンジンが追加された場合には,解析エンジンの改良または追加のイベントをトリガーとして,PACSに蓄積されている該当する画像診断装置の検査データを検索,取得,解析する機能が有用であることが認識された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は,特願2006−105747「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」で確立した技術をさらに発展させた,解析プロトコルに基づいた前処理装置が事前に求めたパラメータに基づいて三次元画像処理を実行する三次元画像表示装置と検査データを蓄積しているPACSなどの外部システムを連携したシステムを考案した。これによって,画像診断装置から送られてくる検査データを処理して何らかの所見を検知した場合,それをトリガーとして,解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置がPACSなどに蓄積されている検査データを検索,取得し,この検査データを解析することを可能にした。
【0017】
本発明は,次の機能を持つ前処理装置を備えた。
(1)画像診断装置で実施した検査の検査関連情報を含む画像データを受信および/または蓄積する機能,
(2)人体アトラスなどを含む画像データを理解するために使用する知識データベースの機能,
(3)画像診断,画像読影などのための画像解析の手順を決めた解析プロトコルを定義する機能,
(4)画像診断装置で実施した検査の検査関連情報を含む画像データおよび病院情報システム(HIS)および/または放射線部門情報システム(RIS)からの情報,人体アトラスなどを含む知識データベースからの情報,それまでに実施されている画像診断装置で実施した検査の情報などから検査目的および検査部位などを解析する機能,
(5)解析プロトコルを実現するために必要な画像解析のシーケンスとその画像解析を実現する解析エンジンの機能,
(6)解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアの機能,
(7)画像診断装置で実施した検査の画像データに対して,検査の目的および検査部位の解析を行い,それに対応する解析プロトコルを選択し,解析プロトコルに基づき画像解析のシーケンスを解析エンジンにより順次実施し,画像解析アプリケーションソフトウェアによって必要とする各種解析パラメータおよび特性値を自動的に求め,それらを出力し,蓄積する機能,
(8)同時期および/または異なる時期に,同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値を比較する機能,
(9)この比較結果に基づき,再度画像データに対して解析を実行する機能,
(10)装置内部および外部システムが発生する何らかのイベントを受信し,これを解析し,この解析結果に基づき,必要な検査データを探索する要求を,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の外部システムへ送信し,それらのシステムに要求した検査データが存在する場合は,その検査データおよび関連する解析結果などのデータを取得・受信し,これらのデータを解析することを可能にする機能。
【0018】
本発明は,次の機能を持つ画像表示装置を具備した。
(1)画像データの画像読影または/および画像診断のために,当該画像データに対して前処理装置で求めた各種解析パラメータおよび特性値を使用して,解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアを作動させて,操作者の要求する解析画像を表示し,解析データ,特性値などを再現することを可能にする機能と,
(2)画像解析アプリケーションソフトウェアを構成する画像解析シーケンスの各ステップで前処理装置で求めた各種パラメータおよび特性値を操作者が修正することを可能とする機能。
【0019】
本発明は,装置内部および外部システムが発生する何らかのイベントを受信し,これを解析し,この解析結果に基づき,必要な検査データを探索する要求を,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の外部システムへ送信する。それらのシステムに要求した検査データが存在する場合は,その検査データおよび関連する解析結果などのデータを取得・受信し,これらのデータを解析することを可能にする機能を使用することによって,解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置を,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の外部システムと連携させたシステムを実現した。
【0020】
処理の流れの一例を示す。
(1)解析の過程および解析結果に基づいて当該装置が発生する何らかのイベントおよびネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置,画像診断装置,画像保管通信システム(PACS),病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムなどが発生する何らかのイベントを受信し,これを解析する。
(2)この解析結果に基づいて,必要な検査データを探索する要求を,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置,画像保管通信システム(PACS),病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムなどへ送信する。
(3)それらのシステムに要求した検査データが存在する場合は,その検査データおよび関連する解析結果などのデータを取得・受信し,これらのデータを解析することを可能にした。
【0021】
外部システムには,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置,画像診断装置,画像保管通信システム(PACS),病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムなどを含む。画像診断装置としてX線CT装置,MR装置,PET,超音波装置などを含む。
画像データには,三次元画像データのほか,二次元画像データ,四次元画像データ,Fusion画像データおよび/または解析データなどの複合・多時相・三次元・四次元データである多次元画像データなどを含む。検査データには,画像データ,臨床検査データ,生体検査データ,各種のバイタルデータなどを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明は,医師などの医療従事者が三次元画像処理装置を使用する時間を短縮する手段を提供し,三次元画像処理を使用した高度な診断を普及させるために,下記の特徴をもつ三次元画像表示装置を実現した。
(1)画像データの画像読影,画像診断などの画像解析における操作者の負荷を,あらかじめ各種解析パラメータおよび特性値を求めておくことによって軽減する,
(2)従来の三次元画像表示装置では操作が煩雑なために操作者が省略する可能性がある解析プロトコルを,容易な操作で実施することを可能にしたため,適用可能なものは全て実施することを可能にする。
【0023】
前処理装置は,あらかじめ想定されるメニューにしたがって,画像解析と画像処理を行い,各種の解析パラメータを抽出し,蓄積しておく。医師などの医療従事者が検査で得られた画像データを使用して,読影や画像診断を行う場合に,これらの蓄積されている各種の解析パラメータをレビューし,医師などの医療従事者が必要と判断した解析パラメータを再確認することが可能になった。これによって医師などの医療従事者が手作業による画像処理によって解析パラメータを求めている場合と比較して,医師などの医療従事者が行う操作を大幅に省略することが可能で,短時間に多くの解析プロトコルの確認が可能になった。
【0024】
画像診断装置から送られてくる検査データを解析処理して何らかの所見を検知した場合,それをトリガーとして,PACSなどに蓄積されている検査データを探索,取得し,検査データを解析することが可能になった。
【0025】
医師の実施する画像診断を学習し,知識データベースに蓄積することなどによって,解析エンジンを改良する。また,他の施設で改良した知識データベースや解析エンジンを移植することがある。これらの場合,解析エンジンを改良した,または解析エンジンを追加したというイベントをトリガーとして,これまでに解析を行った検査の画像データを改良または追加された解析エンジンによって再度解析することが可能になった。
【0026】
従来の解析エンジンでは解析できなかった種類の画像診断装置からの検査データを解析することを可能にする解析エンジンが追加された場合には,解析エンジンの改良または追加のイベントをトリガーとして,PACSに蓄積されている該当する画像診断装置の検査データを検索,取得,解析することが可能になった。
【0027】
装置が発生する何らかのイベントおよびネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の画像診断装置,画像保管通信システム(PACS),病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムなどから何らかのイベントを受け,これを解析し,必要な検査データを探索する要求を,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の画像保管通信システム(PACS),病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムへ送信し,それらのシステムに要求した検査データが存在する場合は,その検査データおよび関連する解析結果などのデータを取得・受信し,これらのデータを解析することが可能になった。
【0028】
同時期および/または異なる時期に,同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値を比較する機能と,この比較結果に基づき,再度画像データに対して解析を実行する機能とを備えた。これによって,同一の被検者に対して,同時期および/または異なる時期に,同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値を比較し,この比較結果に基づき,再度画像データに対して解析を実行することが可能になった。
また,基準画像データと考えられる同時期および/または異なる時期に,同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した検査の画像データに対して求めた解析パラメータおよび特性値と比較し,この比較結果に基づき,再度画像データに対して解析を実行することを可能にした。
また,複数の被検者に対して,同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値を比較する機能を備え,この比較した結果を加味して,知識データベースの性能の向上,および/または解析処理エンジンの機能向上を可能にした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を実施するための形態について説明する。図1は本発明による解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置と画像保管通信システムの連携システムを示すブロック図である。
101は,X線CT装置,MR装置などの画像診断装置の例示;
102は,PACSなどの画像データ保管システムの例示;
103は,放射線部門情報システム(RIS)などの情報システムの例示;
104は,病院情報システム(HIS)などの情報システムの例示;
105は,医療施設内のネットワークなどの例示;
106は,臨床検査情報システムなどの情報システムの例示;
111は,X線CT装置,MR装置などの画像診断装置101が被検者を検査した画像データ;
112は,X線CT装置,MR装置などの画像診断装置101やPACSサーバーなどの画像データ保管システム102,502,放射線部門情報システム(RIS)などの情報システム103,病院情報システム(HIS)などの情報システム104,臨床検査情報システムなどの情報システム106から三次元画像表示装置へ供給される画像データで,データ蓄積装置222に保存する;
113は,放射線部門情報システム(RIS)などの情報システム103,病院情報システム(HIS)などの情報システム104,臨床検査情報システムなどの情報システム106から三次元画像表示装置へ供給される患者・検査関連情報で,データ蓄積装置222に保存する;
210は,解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置;
221は,前処理装置;
222は,磁気ディスクなどで構成されるデータ蓄積装置;
223は,データ処理装置;
224は,パラメータ蓄積装置;
225は,データ解析装置;
226は,知識データベース;
227は,イベントトリガー装置;
228は,前処理装置および三次元画像表示装置の構成ユニット間の信号線;
231は,データ蓄積装置からデータ処理装置に送られる画像データ;
232は,データ蓄積装置からデータ解析装置へ送られる画像付帯情報および患者・検査関連情報;
233は,データ解析装置からデータ処理装置へ送られる信号;
234は,データ処理装置からデータ解析装置に送られる信号;
235は,データ処理装置からパラメータ蓄積装置に送られ信号;
236は,知識データベースからデータ処理装置に送られる信号;
237は,パラメータ蓄積装置とイベントトリガー装置の間の信号;
238は,イベントトリガー装置とデータ解析装置の間の信号;
241は,画像表示装置;
243は,画像処理装置;
244は,画像表示器;
245は,操作器;
246は,三次元画像表示装置を操作する操作者;
251は,パラメータ蓄積装置から操作器に送られる信号;
252は,操作者が行う操作;
253は,操作器から画像処理装置に伝達される制御情報;
254は,データ蓄積装置から画像処理装置に送られる画像データ;
255は,画像処理装置が画像処理した画像データ;
256は,画像表示器に表示された画像を操作者が観察するプロセス;
257は,操作者が画像表示器に表示された画像を観察し,画像処理パラメータを修正する過程;
258は,操作器からパラメータ蓄積装置に送られる信号;
259は,パラメータ蓄積装置から画像処理装置に送られる信号;
301は,イベントトリガー装置227からPACSサーバーなどの画像データ保管システム102,他の医療施設に設置されているPACSサーバーなどの画像データ保管システム502,放射線部門情報システムRISなどの情報システム103,病院情報システムHISなどの情報システム104に対して送られるトリガー信号;
500は,複数の医療施設間を接続する通信ネットワークなどの例示;
502は,他の医療施設に設置されているPACSサーバーなどの画像データ保管システムの例示;
505は,他の医療施設に設置されている施設内ネットワークの例示。
【0030】
X線CT装置などの画像診断装置101で被検者を検査する。データ蓄積装置222は画像診断装置101から送られてくる検査の画像データ112を蓄積する。また,RISおよび/またはHISから送られる患者基本情報,患者オーダー情報などの患者・検査関連情報113などを蓄積する。データ解析装置225は画像データ112に含まれる画像付帯情報(DICOM情報)と,RISおよび/またはHISから送られる患者・検査関連情報113などの情報232をデータ蓄積装置222から取得し,知識データベース226を参照して,データ解析を行い,検査の目的,撮影部位などを解析する。データ解析装置225は検査の目的,撮影部位などの情報から複数の解析プロトコルを決定する。データ解析装置225はデータ処理を実行する解析プロトコルを選択する。データ解析装置225は解析プロトコルを実現するために必要な画像処理の種類と画像処理パラメータ,画像解析パラメータを含む信号233をデータ処理装置223に送信する。データ処理装置223は指定された画像処理を行い,処理結果をデータ解析装置225に送信する。データ解析装置は処理結果を検討する。不満足の場合はパラメータを修正し再処理を指示する。このような処理を繰り返すことによって,画像データ231に適用する各種の画像処理パラメータおよび画像解析パラメータを抽出する。抽出したパラメータ235はパラメータ蓄積装置224に蓄積される。操作者246は操作器245に表示されるRISおよび/またはHIS情報113およびパラメータ蓄積装置224から送られる情報251から,画像診断,読影を行う検査を選択し,解析プロトコルを指定する操作252を行う。
操作器から信号253が画像処理装置243に送られると,画像処理装置243はデータ蓄積装置222から該当する画像データ254を読みこむとともに,パラメータ蓄積装置224から該当する解析パラメータ258を読み込むことによって,画像処理を行い,画像処理された画像データ255を画像表示器244に送る。画像表示器244はこの画像データを表示する。操作者246は画像表示器244に表示された画像およびデータを観察し,パラメータを変更する必要を感じた場合は,パラメータの修正を行う。
【0031】
図2は本実施例を説明するフローチャートの前処理装置の部分である。
X線CT装置などの画像診断装置で検査した画像データの解析:START_1から始める。
(1)X線CT装置などの画像診断装置101で患者を検査する。
(2)データ蓄積装置222はX線CT装置などの画像診断装置101で検査した画像データを蓄積する。
(3)データ解析装置225は検査した画像データを画像付帯情報,RIS情報,アトラスなどから解析し,処理を行う複数の解析プロトコルを決定する。
(4)データ解析装置225は処理を実行する解析プロトコルを選択する。
(5)データ解析装置225は解析プロトコルを実現するために必要な画像処理の種類とパラメータをデータ処理装置に指示する。
(6)データ処理装置223は指定された画像処理を行い,結果をデータ解析装置225に送る。
(7)データ解析装置は処理結果を確認する。不満足の場合はパラメータを修正し再処理を指示する。
(8)処理結果はOKか。NOの場合(6)へ。
(9)全ての画像処理を実施したか。NOの場合(5)へ。
(10)実行した解析プロトコルの結果をパラメータ蓄積装置224に蓄積する。
(11)全ての解析プロトコルを実施したか。YESの場合(12)へ。NOの場合(4)へ。
(12)他の検査の画像データの解析結果と比較したいか。YESの場合(15)へ。NOの場合は(END)へ。他の検査の解析結果と比較したい場合で,解析が行われていない場合は,該当する画像データを取得し,解析する。
【0032】
他の検査の画像データの解析結果と比較する場合:
(15)データ解析装置225は画像データの解析要求の内容を解析する。
(16)該当する検査の画像データは解析済みか。YESの場合(4)へ。NOの場合(17)へ。
(17)データ解析装置225は取得する画像データを決定する。過去の同種類の画像診断装置の検査データを取得する。または,他種類の画像診断装置検査データを取得する。
(18)イベントトリガー装置227はPACS等に取得を希望する画像データの探索と取得を要求する。
(19)PACS等は要求された画像データを探索し,該当する画像データが存在する場合はそれを取得し,前処理装置221に送信する。(2)へ。
【0033】
臨床検査システムなどの情報システム106で所見が発見された場合:START_2から始める。
(14)臨床検査情報システムなどの情報システム106は,何らかの所見を検出した場合,画像データの解析を要求する。
(15)データ解析装置225は,臨床検査情報システムなどの情報システム106からの画像データの解析要求を解析する。
(16)該当する検査の画像データは解析済みか。YESの場合(4)へ。NOの場合(17)へ。
(17)データ解析装置225は取得する画像データを決定する。
(18)イベントトリガー装置227はPACS等に取得を希望する画像データの探索と取得を要求する。
(19)PACS等は要求された画像データを探索し,該当する画像データが存在する場合はそれを取得し,前処理装置221に送信する。(2)へ。
【0034】
図3は本実施例を説明するフローチャートの三次元画像表示装置の部分である。
(1)操作者246は操作器245で患者・検査と解析プロトコルを選択する。
(2)操作器245は解析プロトコルに対応するパラメータを選択し,画像処理装置243に指示する。
(3)画像処理装置243は画像データをデータ蓄積装置222,パラメータをパラメータ蓄積装置224から取得する。
(4)画像処理装置243は指定された画像処理を行い,結果を画像表示装置244に表示する。
(5)操作者246は処理結果を確認する。不満足の場合は操作器245でパラメータを修正し再処理を指示する。
(6)処理結果はOK。NOの場合(4)へ。
(7)操作器245は修正したパラメータをパラメータ蓄積装置224に登録する。
【0035】
前処理装置はX線CT検査を指示した病院情報システムや放射線部門情報システムの指示データなどを使用して検査の目的,検査部位,被検者の年齢性別などを把握し,これをもとに検査で得られた画像データを解析する。
(1)病院情報システムHISから提供されるX線CT検査オーダーに含まれる患者情報,検査の目的,検査部位などの情報
(2)放射線部門情報システムから提供されるX線CT検査実施時の検査位置などの情報
(3)DICOM画像データのDICOMヘッダー情報に含まれる情報
【0036】
前処理装置が持っている人体構造の立体図である人体アトラスや人体の部位ごとのCT値などの先見情報,また前処理装置が過去に行った解析データなどを集積した知識データベースを使用する解析により,検査部位を把握する。検査部位の例としては下記がある。
(1)頭部―動脈
(2)頚部―頚動脈,脊椎
(3)胸部―心臓,左心室,肺,乳房,胸大動脈
(4)腹部―大動脈,胴,大腸,動脈
(5)骨盤―腰椎
(6)四肢―腕,脚
(7)一般―血管,組織
【0037】
前処理装置のデータ処理装置は多くの解析エンジンを備えている。一例を下記に示す。
(1)CT患者テーブル削除
ターゲットモダリティ:CT
適用:画像データからCTの患者テーブルを除去する
出力:CT患者テーブルを識別するマスク
【0038】
(2)骨/血管分類器
ターゲットモダリティ:CT
機能:データ中の骨格および血管を識別する。血管は中心線を見つける
出力:骨と血管を識別するマスク,血管中心線のリストなど
【0039】
(3)肺―肺,小結節
ターゲットモダリティ:CT
機能:1)肺データの小結節の位置を識別する。2)経時的データで結節の一致を求める
出力:結節の位置:
エンジン:CADベンダーによって提供されるエンジン
【0040】
(4)大腸―大腸,走行経路,ポリープ
ターゲットモダリティ:CT
機能:大腸データ中のポリープの位置を識別する
出力:ポリープの位置
エンジン:CADベンダーによって提供されるエンジン
【0041】
(5)位置あわせ
(5.1) CT/CTAサブトラクション
ターゲットモダリティ:CT
機能:1)患者のCTおよびCTAの空間的レジストレーション。2)CTAからCTデータをサブトラクション
出力:1)レジストレーションマトリックス。2)サブトラクション下DSA DICOMデータ
(5.2) CT/PET
ターゲットモダリティ:CTおよびPET
機能:同じ患者のCTおよびPETの空間的レジストレーション
出力:レジストレーションマトリックス
(5.3) MR
ターゲットモダリティ:四次元MR
機能:基準MRにMRの時間シリーズを空間的レジストレーションする
出力:レジストレーションマトリックス
【0042】
(6)脳潅流
ターゲットモダリティ:CT
機能:脳データの時間濃度分析を行う。入出力機能を自動的に識別する。結果の二次取得画像を作成する
出力:様々なマップの二次取得画像
【0043】
(7)心臓分析
(7.1)三次元/四次元胸郭削除
ターゲットモダリティ:三次元および四次元CT
機能:胸郭削除,あるいは四次元マスク
出力:胸郭を識別するマスク
(7.2) 冠状動脈
ターゲットモダリティ:三次元および四次元CT
機能:心臓症例からの冠状動脈を識別して分離する
出力:動脈および各動脈などのセンターラインを識別するマスク
(7.3) 壁運動
ターゲットモダリティ:四次元CT
機能:心臓の解析
出力:セグメント化したLV,時間ボリュームカーブ,極マップ
(7.4) カルシウムスコアリング
ターゲットモダリティ:三次元CT
機能:カルシウムスコアリングを実行
出力:識別されたカルシウムのマスク
【0044】
知識データベースには,症状,検査,レポート内容を総合的にデータベース化し,主治医が特定の症状に対し撮影をオーダーする際に,院内における既存のプロトコルを基に,そのオーダーが適当であるかを判断し,特定の検査が欠落している場合は,それを指摘することが可能である。例えば,胸痛の場合,ある医療施設ではX線CTおよびMRの両方の検査をオーだとするプロトコルを有するとした場合,ある医師などの医療従事者がその症状をもとにX線CT検査のみをオーダーした場合には,MRによる検査が欠落していることを指摘することが可能になる。
【0045】
本発明の三次元画像表示装置では,操作者は,前処理装置が行った解析シーケンスの各ステップを,蓄積されている各種解析パラメータおよび特性値を使用して,逐次再現することが可能であり,また,必要に応じて,各種解析パラメータおよび特性値を変更することが可能である。これによって,ステップ数の多い解析シーケンスを,操作者にストレスを与えることなく実行できることを特徴としている。
【0046】
画像診断装置から送られてくる検査データを処理して何らかの所見を検知した場合,前処理装置221はPACSサーバーなどの画像データ保管システム102,他の医療施設に設置されているPACSサーバーなどの画像データ保管システム502,放射線部門情報システムRIS 103,病院情報システムHIS 104などの情報システムに対してトリガー信号301を送信し,PACSなどに蓄積されている検査データを探索し,取得し,取得した検査データ112を前処理装置221に送信することを指示する。
【0047】
解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置は,医師の実施する画像診断を学習し,知識データベースに蓄積することなどによって,解析エンジンを改良する。また,他の施設で改良した知識データベースや解析エンジンを移植することがある。
これらの場合,解析エンジンの改良または追加のイベントをトリガーとして,前処理装置221はPACSサーバーなどの画像データ保管システム102,他の医療施設に設置されているPACSサーバーなどの画像データ保管システム502,放射線部門情報システムRIS103,病院情報システムHIS 104などの情報システムに対してトリガー信号301を送信し,PACSなどに蓄積されている検査データを探索し,取得し,得した検査データ112を前処理装置221に取送信することを指示する。前処理装置221は検査データ112を改良または追加された解析エンジンによって再度解析する。
【0048】
従来の解析エンジンでは解析することができなかった種類の画像診断装置からの検査データを解析することを可能にする解析エンジンが追加された場合には,解析エンジンの改良または追加のイベントをトリガー301として,PACSなどに蓄積されている該当する画像診断装置の検査データを探索し,取得し,前処理装置221に取得した検査データを送信することを指示する。
前処理装置221は検査データを改良または追加された解析エンジンによって再度解析する。
【0049】
このPACSは「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」のネットワーク的に近傍に設置されている場合もあり,ネットワークで接続された病院内のPACSや病院情報システムのことがある。また,「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」や,病院内のPACSや病院情報システムと通信することができる他の医療施設のPACSや病院情報システムのことがある。
【0050】
解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置は,医師の実施する画像診断を学習し,知識データベースに蓄積することなどによって,解析エンジンを改良する。また,他の施設で改良した知識データベースや解析エンジンを移植することがある。これらの場合,解析エンジンの改良または追加のイベントをトリガーとして,これまでに解析を行った検査データを改良または追加された解析エンジンによって再度解析する。また,従来の解析エンジンでは解析することができなかった画像診断装置からの検査データを解析することを可能にする解析エンジンが追加された場合には,解析エンジンの改良または追加のイベントをトリガーとして,PACSに蓄積されている該当する画像診断装置の検査データを検索,取得,解析することを意図している。このPACSは「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」のネットワーク的に近傍に設置されている場合もあり,ネットワークで接続された病院内のPACSや病院情報システムのことがある。また,「解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置」や,病院内のPACSや病院情報システムと通信することができる他の医療施設のPACSや病院情報システムのことがある。
【0051】
前処理装置は,同一の被検者に対して,同時期および/または異なる時期に実施した同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値を比較する機能と,この比較結果に基づき,再度画像データに対して解析を実行する機能を備える。また基準画像データと考えられる,同時期および/または異なる時期に実施した同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値を比較する機能と,この比較結果に基づき,再度画像データに対して解析を実行する機能を備える。
【0052】
前処理装置は,複数の被検者に対して,同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値を比較する機能を備え,この比較した結果を加味して,知識データベースの性能の向上,および/または解析処理エンジンの機能向上を可能にする機能を備える
【実施例】
【0053】
医師などの医療従事者が,解析プロトコルとそれから得られる各種パラメータおよび/または特性値に対する臨床的なレビューと検証,妥当性確認を可能とする機能を備えた三次元画像表示装置。
【0054】
前処理装置は,読影レポート作成に必要とする各種パラメータおよび特性値を出力する機能を備え,操作者が各種パラメータおよび特性値のレビューと再確認を行って,読影レポートを作成する機能を備えた三次元表示装置。
【0055】
前処理装置と画像表示装置を,同一のハードウェアに実装した三次元表示装置。
【0056】
前処理装置と画像表示装置を,別のハードウェアに実装した三次元表示装置。
【0057】
前処理装置と画像表示装置を,ネットワーク上に分散して配置した三次元表示装置。
【0058】
画像診断装置としてX線CT装置,MR装置,PET,超音波装置などの各種画像診断装置を含む。また,三次元画像データだけでなく,二次元画像データ,四次元画像データ,Fusion画像データの四次元画像データや機能解析データなどの複合データである多次元画像データの解析も同様に含む。
【0059】
前処理装置が発生するイベントには,検査データの解析による解析結果に基づくイベントを含む。
【0060】
前処理装置が発生するイベントには,医師の画像診断による所見に基づくイベントを含む。
【0061】
前処理装置が発生するイベントには知識データベースの強化などによる解析プロトコルの性能向上に伴う再解析指示のイベントを含む。
【0062】
前処理装置が発生するイベントには解析プロトコルが新しい種類の画像診断装置の検査データへ対応したことに伴う解析指示のイベントを含む。
【0063】
同一施設内および同一施設外の画像診断装置,画像保管通信システム(PACS)などからのイベントには,他の場所で行われた画像診断などの所見に基づくイベントを含む。
【0064】
同一施設内および同一施設外の病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムからのイベントには,臨床検査などの検査データの所見に基づくイベントを含む。
【0065】
同一施設内および同一施設外の病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムからのイベントには,家庭などで収集した検査データの所見に基づくイベントを含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例を説明するブロック図
【図2】本発明の実施例を説明するフローチャート1
【図3】本発明の実施例を説明するフローチャート2
【図4】従来の解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置を説明するブロック図
【図5】従来の解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置を説明するフローチャート1
【図6】従来の解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置を説明するフローチャート2
【符号の説明】
【0067】
101:X線CT装置,MR装置などの画像診断装置
102:PACSなどの画像データ保管システム
103:放射線部門情報システム(RIS)などの情報システム
104:病院情報システム(HIS)などの情報システム
105:医療施設内ネットワーク
106:臨床検査情報システムなどの情報システム
111:X線CT装置などが被検者を検査した画像データ
112:X線CT装置などの画像診断装置またはPACSなどの画像データ保管システムから三次元画像表示装置に送られる画像データ
113:放射線部門情報システム(RIS)などの情報システム,病院情報システム(HIS)などの情報システム,臨床検査情報システムなどの情報システムから三次元画像表示装置の前処理部へ供給される検査関連情報
210:解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置
221:前処理装置
222:磁気ディスクなどで構成される画像データ蓄積装置
223:データ処理装置
224:パラメータ蓄積装置
225:データ解析装置
226:知識データベース
227:イベントトリガー装置
228:前処理装置および三次元画像表示装置の構成ユニット間の信号線
231:データ蓄積装置からデータ処理装置に送られる画像データ
232:データ蓄積装置からデータ解析装置へ送られる画像付帯情報
233:データ解析装置からデータ処理装置へ送られる信号
234:データ処理装置からデータ解析装置に送られる信号
235:データ処理装置からパラメータ蓄積装置に送られ信号
236:知識データベースからデータ処理装置に送られる信号
237:パラメータ蓄積装置とイベントトリガー装置の間の信号
238:イベントトリガー装置とデータ解析装置の間の信号
241:画像表示装置
243:画像処理装置
244:画像表示器
245:操作器
246:三次元画像表示装置を操作する操作者
251:パラメータ蓄積装置から操作器に送られる信号
252:操作者が行う操作
253:操作器から画像処理装置に伝達される制御情報
254:データ蓄積装置から画像処理装置に送られる画像データ
255:画像処理装置が画像処理した画像データ
256:画像表示器に表示された画像を操作者が観察するプロセス
257:操作者が画像表示器に表示された画像を観察し,画像処理パラメータを修正する過程
258:操作器からパラメータ蓄積装置に送られる信号
259:パラメータ蓄積装置から画像処理装置に送られる信号
301:イベントトリガー装置227からPACSサーバーなどの画像データ保管システム102,他の医療施設に設置されているPACSサーバーなどの画像データ保管システム502,放射線部門情報システムRISなどの情報システム103,病院情報システムHISなどの情報システム104に対して送られるトリガー信号
500:複数の医療施設間を接続する通信ネットワークなどの例示
502:他の医療施設に設置されているPACSサーバーなどの画像データ保管システムの例示
505:他の医療施設に設置されている施設内ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置で実施した検査の検査関連情報が含まれる画像データを受信および/または蓄積する機能と,人体アトラスなどが含まれる画像データを理解するために使用する知識データベースの機能と,画像診断,画像読影などのための画像解析の手順を決めた解析プロトコルを定義する機能と,画像診断装置で実施した検査の検査関連情報を含む画像データおよび病院情報システム(HIS)および/または放射線部門情報システム(RIS)からの情報,人体アトラスなどを含む知識データベースからの情報,それまでに実施されている画像診断装置で実施した検査の情報などから検査目的および検査部位などを解析する機能と,解析プロトコルを実現するために必要な画像解析のシーケンスとその画像解析を実現する解析エンジンの機能と,解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアの機能と,画像診断装置で実施した検査の画像データに対して,検査目的および検査部位の解析を行い,それに対応する解析プロトコルを選択し,解析プロトコルに基づき画像解析のシーケンスを解析エンジンにより順次実施し,画像解析アプリケーションソフトウェアによって必要とする各種解析パラメータおよび特性値を自動的に求め,それらの解析結果を出力し,蓄積する機能と,同時期および/または異なる時期に,同種類および/または異なる種類の画像診断装置で実施した複数の検査の画像データに対して求めた複数の解析パラメータおよび特性値などの解析結果を比較する機能と,この比較結果に基づき,画像データに対して再度解析を実行する機能と,装置内部および外部システムが発生する何らかのイベントを受信し,これを解析し,この解析結果に基づき,必要な検査データおよび/または関連する解析結果などのデータを探索する要求を,ネットワークに接続されている外部システムへ送信し,それらのシステムに要求した検査データおよび/または関連する解析結果などのデータが存在する場合は,その検査データおよび/または関連する解析結果などのデータを取得・受信し,これらのデータを解析することを可能にする機能と,を備える前処理装置と;
画像データの画像読影および/または画像診断のために,当該画像データに対して前記前処理装置で求めた各種解析パラメータおよび特性値を使用して解析プロトコルに対応する画像解析アプリケーションソフトウェアを作動させて,操作者の要求する解析画像を表示し,解析データ,特性値などを再現することを可能にする機能と,画像解析アプリケーションソフトウェアを構成する画像解析シーケンスの各ステップで前記前処理装置により求めた各種パラメータおよび特性値を操作者が修正することを可能とする機能とを備える画像表示装置と;を具備した
解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置をネットワークに接続し,
装置内部および外部システムが発生する何らかのイベントを受信し,これを解析し,この解析結果に基づき,必要な検査データを探索する要求を,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の外部システムへ送信し,
それらのシステムに要求した検査データが存在する場合は,その検査データおよび関連する解析結果などのデータを取得・受信し,
これらのデータを解析することを可能にする機能を使用することによって,解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置とネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の外部システムとを連携させる機能を備えることを特徴とする連携システム。
【請求項2】
前記外部システムは,ネットワークに接続されている同一施設内および同一施設外の解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置,画像診断装置,画像保管通信システム(PACS),病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムなどを含むことを特徴とする請求項1に記載の連携システム。
【請求項3】
画像データの画像読影,画像診断などの画像解析における操作者の負荷を,あらかじめ各種解析パラメータおよび特性値を求めておくことによって軽減するとともに,従来の三次元画像表示装置では操作が煩雑なために操作者が省略する可能性がある解析プロトコルを適用可能なものは全て実施することを可能とする機能を備えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の連携システムに使用する三次元画像表示装置
【請求項4】
前記解析プロトコルとそれから得られる各種パラメータおよび/または特性値に対する臨床的なレビューと検証,妥当性確認を可能とする請求項3に記載の三次元画像表示装置。
【請求項5】
前記前処理装置は,読影レポート作成に必要とする各種パラメータおよび特性値を出力する機能を備え,操作者がこれにレビューと再確認を行って,読影レポートを作成することを可能とする請求項3に記載の三次元画像表示装置。
【請求項6】
前記前処理装置および画像表示装置を,同一のハードウェアに実装するようにした請求項3に記載の三次元表示装置。
【請求項7】
前記前処理装置および画像表示装置を,別のハードウェアに実装するようにした請求項3に記載の三次元表示装置。
【請求項8】
前記前処理装置および画像表示装置を,ネットワーク上に分散して配置した請求項3に記載の三次元表示装置。
【請求項9】
前記画像診断装置はX線CT装置,MR装置,PET,超音波装置などを含み、前記画像データは三次元画像データだけでなく,二次元画像データ,四次元画像データ,Fusion画像データおよび/または解析データなどの複合・多時相・三次元・四次元データである多次元画像データなどを含み、前記検査データは画像データ,臨床検査データ,生体検査データ,各種のバイタルデータなどを含む請求項1に記載の連携システム。
【請求項10】
前記イベントは検査データの解析による解析結果に基づくイベントを含む請求項1に記載の連携システム。
【請求項11】
前記イベントは医師の画像診断による所見に基づくイベントを含む請求項1に記載の連携システム。
【請求項12】
前記イベントは知識データベースの強化による解析プロトコルの性能向上に伴う再解析指示のイベントを含む請求項1に記載の連携システム。
【請求項13】
前記イベントは解析プロトコルの新しい種類の画像診断装置の検査データへの対応に伴う解析指示のイベントを含む請求項1に記載の連携システム。
【請求項14】
前記同一施設内および同一施設外の画像診断装置,画像保管通信システム(PACS)などからのイベントは,他の画像診断などの診断所見に基づくイベントを含む請求項1に記載の連携システム。
【請求項15】
前記同一施設内および同一施設外の病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムからのイベントは,臨床検査などの検査データの検査所見に基づくイベントを含む請求項1に記載の連携システム。
【請求項16】
前記同一施設内および同一施設外の病院情報システム(HIS),放射線部門情報システム(RIS),臨床検査情報システムからのイベントは,家庭などで収集した検査データの検査所見に基づくイベントを含む請求項1に記載の連携システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−82451(P2009−82451A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256193(P2007−256193)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(599059933)テラリコン・インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】