説明

触媒材料の製造方法及び製造装置

【課題】触媒金属が、効果的に触媒活性を発現させることが可能な態様で触媒担持体に担持されている触媒材料の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】蒸着室3a及び3c内で導電性担持体の微粒子を基板Wに蒸着させ、蒸着室3b及び3d内で触媒金属の微粒子を基板Wに蒸着させる。蒸着室3a及び3cの圧力を、蒸着室3b及び3dの圧力より高くすることによって、蒸着室3a及び3c内で蒸着される導電性担持体の微粒子相互間の結合を弱くし、蒸着室3b及び3d内で蒸着される触媒金属の微粒子の、導電性担持体への担持を強くする。これにより、導電性担持体に触媒対象物が浸透しやすく、触媒反応における触媒金属の凝集が発生しない触媒材料を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒金属の微粒子を導電性担持体に担持させてなる触媒材料の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の電極、排ガス浄化装置等には触媒として白金、ルテニウム等の触媒として機能する金属(以下、触媒金属)をカーボン等の触媒担持体に担持させた触媒材料が多く用いられる。この触媒材料では、一般的に微粒子状の触媒担持体に、より小さい微粒子状の触媒金属が担持されて形成される。触媒金属は不均一系触媒であり、触媒対象物質と接触することによって化学反応を促進するため、担持の物理的態様が触媒活性に大きく影響する。具体的には、触媒金属の触媒対象物質との接触性、触媒担持体への密着度等が挙げられる。
【0003】
触媒反応は、触媒金属の表面に触媒対象物質が吸着されて進行するため、触媒金属に触媒対象物質が接触する必要がある。すなわち、触媒金属への触媒対象物質の接触性が反応速度に寄与する。触媒担持体に触媒対象物質が浸透し易い構造とすることによって、触媒対象物質と触媒金属の接触性を高めることができる。これは例えば、触媒担持体の粒子間の結合を緩くし、粒子間に(気体あるいは液体の)触媒対象物質を浸透させることによって達成される。また、触媒金属の触媒担持体への密着度は、触媒の耐久性に影響を与える。触媒反応の進行と共に、触媒金属が触媒担持体から脱落あるいは互いに凝集することによって、当然、触媒活性は失われるからである。
【0004】
触媒金属を触媒担持体へ担持させる方法は、液相を利用するウェットプロセスが多く用いられる。
例えば、下記特許文献1には、液相を利用するウェットプロセスにより白金合金を導電性担体上に担持させる方法が開示されている。この方法では、水系の溶媒に白金の化合物を溶解させ、導電性担体を分散させた後、還元剤を添加することにより導電性担体上に白金粒子を担持させる。次に、白金と合金化させる金属化合物を水系の溶媒に溶解させ、白金粒子を担持させた導電性担体を分散させ、蒸発乾固させることにより、白金合金を導電性担体に担持させる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−252966号公報(段落[0087])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなウェットプロセスでは、触媒金属の、触媒担持体への密着度が弱く、触媒反応が進行するにつれて触媒金属の微粒子どうしが凝集する。これにより、触媒金属の表面積が減少し、触媒活性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、触媒金属が、効果的に触媒活性を発現させることが可能な態様で触媒担持体に担持されている触媒材料の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る触媒材料の製造方法は、第1の減圧雰囲気下で導電性担持体の微粒子を基板上に真空アーク蒸着法により蒸着させることを含む。
触媒金属の微粒子は、上記第1の減圧雰囲気よりも圧力の低い第2の減圧雰囲気下で上記基板上に真空アーク蒸着法により蒸着させられる。
【0009】
本発明の別の形態に係る触媒材料の製造装置は、基板上に第1の蒸着材料と第2の蒸着材料を蒸着させる真空アーク蒸着装置であって、第1の蒸着室と、第2の蒸着室と、排気手段と、搬送機構とを有する。
上記第1の蒸着室は、上記第1の蒸着材料を有する第1の蒸着源を含む。
上記第2の蒸第室は、上記第2の蒸着材料を有する第2の蒸着源を含む。
上記排気手段は、上記第1の蒸着室よりも上記第2の蒸着室の圧力が低くなるように、上記第1の蒸着室と上記第2の蒸着室を排気する。
上記搬送機構は、上記第2の蒸着室と上記第2の蒸着室との間で上記基板を搬送する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る触媒材料の製造方法は、第1の減圧雰囲気下で導電性担持体の微粒子を基板上に真空アーク蒸着法により蒸着させることを含む。
触媒金属の微粒子は、上記第1の減圧雰囲気よりも圧力の低い第2の減圧雰囲気下で上記基板上に真空アーク蒸着法により蒸着させられる。
PVD(Physical Vapor Deposition)法の一種である真空アーク蒸着法においては、後述するが、蒸着の際の減圧雰囲気の圧力は上記密着度に影響を与える。蒸着の際の圧力が高い場合、低い場合に比べ、蒸着対象物の蒸着被対象物に対する密着度が低下する。導電性担持体を減圧雰囲気下で蒸着させ、触媒金属をそれよりも低い圧力である減圧雰囲気下で蒸着させることによって、導電性担持体の微粒子相互間が緩やかに結合し、触媒金属が導電性担持体に強力に結合する。すなわち、この触媒材料の製造方法によれば、触媒対象物質の触媒金属への接触性及び触媒金属の耐久性が向上する。
【0011】
上記触媒材料の製造方法は、さらに、上記第1の減圧雰囲気に維持された第1の蒸着室の中で前記導電性担持体の微粒子を蒸着させることを含んでもよい。
この場合、上記触媒金属の微粒子は、上記第2の減圧雰囲気に維持された第2の蒸着室の中で蒸着させられる。そして、基板は、上記導電性担持体の微粒子を蒸着された後、上記第1の蒸着室から上記第2の蒸着室へ基板を搬送される。
この触媒材料の製造方法によれば、導電性担持体を基板上に蒸着させた後、より低い圧力の減圧雰囲気下である別の蒸着室で触媒金属を蒸着させるため、蒸着材料に応じて蒸着室の圧力を変更する必要がない。
【0012】
上記触媒材料の製造方法は、さらに、上記触媒金属の微粒子を蒸着させた後、上記第2の蒸着室から上記第1の蒸着室へ基板を搬送させることを含んでもよい。
この触媒材料の製造方法によれば、基板を第1の蒸着室と第2の蒸着室の間で往復させ、各蒸着室で蒸着することにより、導電性担持体と触媒金属が積層された触媒材料を形成することが可能である。
【0013】
上記触媒材料の製造方法は、基板の搬送方向に沿って前記第1の蒸着室と上記第2の蒸着室が複数交互に設置されており、上記基板は、上記第1の蒸着室と上記第2の蒸着室とへ交互に搬送されることを含んでもよい。
この触媒材料の製造方法によれば、基板を第1の蒸着室と第2の蒸着室で蒸着することにより導電性担持体と触媒金属が積層された触媒材料を形成することが可能である。
【0014】
上記触媒材料の製造方法は、前記導電性担持体の微粒子を蒸着させることと、前記触媒金属の微粒子を蒸着させることとを交互に複数回繰り返してもよい。
この触媒材料の製造方法によれば、導電性担持体と触媒金属が積層された触媒材料を形成することが可能である。導電性担持体と触媒金属が蒸着される蒸着室は、共通の蒸着室でもよいし、別の蒸着室でもよい。
【0015】
上記触媒材料の製造方法は、上記導電性担持体は、炭素系材料であり、上記触媒金属は、白金またはその合金であるとすることができる。
この触媒材料の製造方法によれば、導電性担持体として、導電性に優れ、大きな担持面積を有する炭素系材料と、触媒金属として触媒活性に優れる白金またはその合金を用いることによって、高い触媒活性を有する触媒材料を得ることが可能となる。
【0016】
本発明の一実施の形態に係る製造装置は、基板上に導電性担持体の微粒子と触媒金属の微粒子を蒸着させる真空アーク蒸着装置であって、第1の蒸着室と、第2の蒸着室と、排気手段と、搬送機構とを具備する。
上記第1の蒸着室は、上記導電性担持体の微粒子を有する第1の蒸着源を含む。
上記第2の蒸着室は、上記触媒金属の微粒子を有する第2の蒸着源を含む。
上記排気手段は、上記第1の蒸着室よりも上記第2の蒸着室の圧力が低くなるように、上記第1の蒸着室と上記第2の蒸着室を排気する。
上記搬送機構は、上記第1の蒸着室と上記第2の蒸着室との間で上記基板を搬送する。
この蒸着装置によれば、第1の蒸着室において導電性担持体の微粒子を蒸着させ、第1の蒸着室よりも圧力の低い第2の蒸着室において触媒金属の微粒子を蒸着させることが可能となる。
【0017】
上記蒸着装置では、上記第1の蒸着室と上記第2の蒸着室は、複数交互に設置されており、上記搬送機構は、上記基板を前記第1の蒸着室と前記第2の蒸着室とへ交互に搬送してもよい。
上記搬送機構は、上記基板を上記第1の蒸着室と上記第2の蒸着室とへ交互に搬送する。
この蒸着装置によれば、導電性担持体と触媒金属が積層された触媒材料を形成することが可能である。
【0018】
上記蒸着装置は、上記導電性担持体は、炭素系材料であり、上記触媒金属は、白金またはその合金であるとしてもよい。
この蒸着装置によれば、導電性担持体として、導電性に優れ、大きな担持面積を有する炭素系材料と、触媒金属として触媒活性に優れる白金またはその合金を用いることによって、高い触媒活性を有する触媒材料を形成することが可能となる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0020】
本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る触媒材料の製造装置としての真空蒸着装置(以下、単に蒸着装置という)の構成を示す図である。
【0021】
同図に示すように、蒸着装置1は、真空槽2と、排気系21と、ガス導入系26とを有する。
【0022】
蒸着装置1は、真空槽2を有する。真空槽2は、その槽内と槽外の圧力差に耐えられる構造に形成されている。本実施形態に係る蒸着装置1では、真空槽2の形状は略円筒形状である。真空槽2の内部には、4室の蒸着室3(3a、3b、3c、3d)、4室の差動排気室4(4p、4q、4r、4s)、基板搬送空間5が形成されている。
【0023】
真空槽2は、基板搬送空間5を有する。基板搬送空間5には基板支持体31が設けられている。図2に基板支持体31の構成を示す。基板支持体31はその軸心(以下、軸mとする)を中心として間欠的または連続的に回転可能に設けられている。基板支持体31は真空槽2の槽壁に気密に挿通された図示しない回転導入機構に接続されている。基板支持体31は、その軸mに平行な面に基板Wを載置可能に構成されている。本実施形態においては、基板支持体31は4面を有し、それぞれの面に基板Wを載置可能に構成されている。また、基板支持体31の、基板Wが載置される面の裏側には、図示しない基板加熱ヒータが設けられていてもよい。なお、図1は、軸mの線上から見た図である。
【0024】
真空槽2は、蒸着室3を有する。蒸着室3は、アーク蒸着源10を有し、排気系21と接続されている。蒸着室3は、その室内で、所定の減圧雰囲気下において基板支持体31に載置された基板Wに蒸着材料を蒸着することが可能に構成されている。本実施形態においては、真空槽2の槽壁と、槽壁から基板搬送空間5に向けて設けられた隔壁によって、基板搬送空間5(基板W)に面する開口を有する室が軸mを中心として環状に4室形成されている。
【0025】
4室の蒸着室3のうち、2室は、導電性担持体であるカーボンを蒸着するためのC蒸着室3a及び3cであり、他の2室は、触媒金属である白金を蒸着するためのPt蒸着室3b及び3dである。4室の蒸着室は、C蒸着室3a、Pt蒸着室3b、C蒸着室3c、Pt蒸着室3dの順に基板Wの搬送方向に沿って配置されている。すなわち、C蒸着室3a及び3c(Pt蒸着室3b及び3d)は軸mに関して対称になっている。C蒸着室3a及び3cは、ガス導入系26と接続されている。
【0026】
アーク蒸着源10は、各蒸着室3に一つずつ設けられる。C蒸着室3aに設けられているアーク蒸着源をアーク蒸着源10a、Pt蒸着室3bに設けられているアーク蒸着源をアーク蒸着源10b、C蒸着室3cに設けられているアーク蒸着源をアーク蒸着源10c、Pt蒸着室3dに設けられているアーク蒸着源をアーク蒸着源10dとする。(以下、同様に、各々の蒸着室3a、3b、3c、3dに配置、接続等されている機器に、符号a、b、c、dを付して表記する。)
【0027】
各アーク蒸着源10は、射出口側端部10hと電極側端部10iを有している。各アーク蒸着源10は、各蒸着室3の室内において射出口側端部10hが、基板支持体31(基板W)と対向するように、槽壁を貫通して配置されている。各アーク蒸着源10の電極側端部10iは電源系15と接続されている。
【0028】
図3に、本実施形態に係るアーク蒸着源10の構成を示す。図3(A)はアーク蒸着源10の斜視図、図3(B)はアーク蒸着源10の断面及び電源系15との接続の様子を示す図である。アーク蒸着源10は、アノード電極11と、カソード電極12と、トリガ電極13を有する。なお、本実施形態に係るアーク蒸着源10は、同軸型真空アーク蒸着源とするが、他種のアーク蒸着源を用いてもよい。
【0029】
アノード電極11は、例えば一端に開口を有するステンレス製の円筒からなり、当該開口側端部が射出口側端部10hを構成している。カソード電極12は円筒形であるアノード電極11の内部に離間して軸心部に配置される、例えば円柱状の電極であり、蒸着材料と一体的あるいは蒸着材料そのものによって形成されている。本実施形態に係るカソード電極12は、蒸着材料12hと、電極部12iによって形成されている。トリガ電極13は、例えば円筒形状のステンレスからなり、カソード電極12の外周に、碍子14を介して設置されている。
【0030】
アーク蒸着源10a及び10cの蒸着材料12hはカーボン、アーク蒸着源10b及び10dの蒸着材料12hは白金によって形成されている。このように、蒸着材料12hがカーボンからなるアーク蒸着源10a及び10cが設けられた蒸着室がC蒸着室3a及び3cであり、蒸着材料12hが白金からなるアーク蒸着源10b及び10dが設けられた蒸着室がPt蒸着室3b及び3dである。
【0031】
電源系15は、各アーク蒸着源10に対し、一つずつが設けられてもよく、一つあるいは複数の電源系15が、各々のアーク蒸着源10に接続されてもよい。本実施形態においては、各アーク蒸着源10に対し、一つずつの電源系15(15a、15b、15c、15d)が接続されている。
【0032】
各々の電源系15は、アーク電源17、トリガ電源18、コンデンサユニット19を備える。
【0033】
アーク電源17は、コンデンサユニット19に電荷を充電する電源である。アーク電源17は、例えば出力400V、数Aの直流電源であり、その正極はアノード電極11及びグランド電位に接続され、その負極はカソード電極12及びトリガ電源18の負極に接続されている。また、アーク電源17の正極、負極間にはコンデンサユニット19が並列接続されている。
【0034】
トリガ電源18は、トリガ電極13とカソード電極12との間にトリガ放電を起こすためのパルス電圧を発生する電源である。トリガ電源18は、例えばパルストランスからなり、入力200V、マイクロ秒のパルス電圧を昇圧し、3400V、数μAに出力する。その正極はトリガ電極13に接続され、その負極は、上述のようにアーク電源17の負極に接続されている。トリガ電源18は図示しないコントローラと接続されている。トリガ電源18は、コントローラからの制御信号を受信し、パルス電圧を発生させる。
【0035】
コンデンサユニット19は、アノード電極11とカソード電極12の間に流す電荷を貯蓄する。コンデンサユニット19は、例えば、容量が360μFの5つのコンデンサを並列に接続されてなり、容量は1800μFとされている。コンデンサユニット19は、上述のようにアーク電源17に並列に接続されている。
【0036】
真空槽2は差動排気室4を有する。差動排気室4は、排気系21と接続されており、各蒸着室3の間に設けられている。これは、隣接する二つの蒸着室3を、異なる圧力雰囲気に維持することが可能なように構成されている。後述するように、本実施形態においては、真空槽2の槽壁と、槽壁から基板搬送空間5に向けて設けられた隔壁によって、基板搬送空間5(基板W)に面する開口を有する室が軸mを中心として環状に、各蒸着室3の間に4室形成されている。
【0037】
本実施形態においては、差動排気室4は、C蒸着室3a及び3c内の圧力がPt蒸着室3b及び3dよりも高い圧力雰囲気になるように構成されている。
すなわち、差動排気室4は、隣接する二つの蒸着室3のうち、より高い圧力雰囲気を有するC蒸着室3a及び3c内から、基板搬送空間5を介して、より低い圧力雰囲気を有する蒸着室3b及び3d側に漏出する気体分子を、排気する。これによりC蒸着室3a及び3c内の圧力をPt蒸着室3b及び3d内の圧力よりも高い状態に維持することが可能である。
【0038】
C蒸着室3aとPt蒸着室3bの間に設けられている差動排気室を差動排気室4p、Pt蒸着室3bとC蒸着室3cの間に設けられている差動排気室を差動排気室4q、C蒸着室3cとPt蒸着室3dの間に設けられている差動排気室を差動排気室4r、Pt蒸着室3dとC蒸着室3aの間に設けられている差動排気室を差動排気室4sとする。(以下、各々の差動排気室4p、4q、4r、4sに配置、接続等されている機器に、符号p、q、r、sを付して表記する。)
【0039】
蒸着装置1は、排気系21を有する。排気系21は、各蒸着室3及び各差動排気室4の室内を減圧することが可能に構成されている。本実施形態の排気系21は、バルブ22h、ターボ分子ポンプ23、バルブ22i、ロータリーポンプ24が直列になるように、真空配管25を介して接続されている。排気系21は、接続された蒸着室3あるいは差動排気室の圧力を1.0×10−5Pa程度に減圧することが可能に構成されている。
【0040】
排気系21は、各々の蒸着室3と各々の差動排気室に対し、一つずつ設けられてもよく、一つあるいは複数の排気系21が、各々の蒸着室3及び差動排気室4に接続されてもよい。一つの排気系21が、複数の蒸着室3あるいは差動排気室4と接続されている場合、一つの排気系21と、各蒸着室3及び各差動排気室4とを接続する真空配管25の径により、その排気系21と接続されている2室以上の蒸着室3あるいは差動排気室4の圧力に差を設けることが可能である。真空配管25の径により排気速度に差が生じるからである。
【0041】
本実施形態の排気系21は、各々の蒸着室3及び各々の差動排気室4に対して一つずつ形成されている。すなわち、蒸着室3に接続されている排気系21a、21b、21c、21dと、各差動排気室4に接続されている排気系21p、21q、21r、21sが設けられている。
【0042】
蒸着装置1はガス導入系26を有する。ガス導入系26は、蒸着室3a及び3cに不活性ガスを導入し、加圧することが可能に構成されている。ガス導入系26は、蒸着室3a及び3cに一つずつ設けられてもよく、一つのガス導入系26から、蒸着室3a及び3cに接続されてもよい。本実施形態では、C蒸着室3a及び3cに対して一つずつガス導入系26a及び26cが設けられている。
【0043】
本実施形態のガス導入系26は、蒸着室3aあるいは3cに、バルブ27h、マスフローコントローラ28、バルブ27i、ガスボンベ29が直列になるように、ガス配管30を介して接続されている。マスフローコントローラ28は、ガスボンベ29から導入されるガスの流量を制御する。ガスボンベ29に充填されるガスは、不活性ガスであれば種類は限られない。本実施形態のガスボンベ29にはHeガスが充填されている。
【0044】
上記排気系21とガス導入系26とにより、「排気手段」が構成される。なお、本実施形態では、各蒸着室3及び各差動排気室4に排気系21が設けられ、C蒸着室3a及び3cにガス導入系26が設けられている。しかし、これらは一例であり、C蒸着室3a及び3cを、Pt蒸着室3b及び3dより高い圧力雰囲気に維持することが可能な他の構成により、排気手段としてもよい。例えば、C蒸着室3a及び3cに接続されている真空配管25の径を、Pt蒸着室3b及び3cに接続されている真空配管25の径より細くすることによって、排気速度に差を設け、C蒸着室3a及び3cをPt蒸着室3b及び3dより高い圧力雰囲気に維持することも可能である。この場合、ガス導入系26を設ける必要はない。
【0045】
次に、以上のように構成される、本実施形態に係る蒸着装置1の動作について説明する。
【0046】
予め、基板支持体31に、基板Wが載置される。基板Wは、基板支持体31の有する4面のすべて、あるいは一部の面に、任意の枚数が載置される。基板Wの素材も特に限定されない。本実施形態においては、当該4面に1枚ずつ、多孔質グラファイトからなる基板Wが載置される。
【0047】
各排気系21が駆動され、各蒸着室3及び各差動排気室の室内が1.3×10−4Pa程度に減圧される。これは例えば、各排気系21のロータリーポンプ24が駆動され、十分に室内が減圧された後、各排気系のターボ分子ポンプ23が駆動されることによって達成される。
【0048】
ガス導入系26が操作され、C蒸着室3a及び3cが6.5×10Pa程度に加圧される。これは例えば、各ガス導入系26のバルブ27iが開放され、マスフローコントローラ28により流量が10sccmに調整されたHeガスがC蒸着室3a及び3cに供給されることによってされる。供給されたHeガスの気体分子(以下、気体分子)は、蒸着室3a及び3cを充たして圧力を上昇させ、C蒸着室3a及び3cの圧力は、Pt蒸着室3b及び3dより高くなる。同時に、気体分子は、C蒸着室3a及び3cに接続されている排気系21a及び21cに排気されると供に、蒸着室3a及び3cの基板搬送空間5に面する開口から漏出し、隣接する差動排気室4(C蒸着室3aについて、差動排気室4p及び4s、C蒸着室3cについて、差動排気室4q及び4r)から排気される。なお、一部漏出する気体分子により、Pt蒸着室3b及び3dの圧力も上昇し、6.5×10−3Pa程度の圧力となる。
【0049】
ここで、この漏出する気体分子をPt蒸着室3b及び3dに侵入させないように、例えば、各差動排気室4に接続されている排気系21の排気速度を、Pt蒸着室3b及び3dに接続されている排気系21の排気速度より(真空配管25の径を太くする等により)速くする等の操作がされてもよい。すなわち、各蒸着室3及び各差動排気室4の排気速度と、ガス導入系26のガス供給速度を調整することによって、C蒸着室3a及び3cと、Pt蒸着室3b及び3dを所定の圧力に維持することができる。
【0050】
なお、各蒸着室3の圧力を調整する操作は、上述したものに限られない。例えば、排気系21の排気速度の調整のみによって(ガス導入系26からガスを供給することなく)各蒸着室3の圧力を調整してもよい。
以上のような操作により、C蒸着室3a及び3cの圧力は6.5×10Pa程度、Pt蒸着室3b及び3dの圧力は6.5×10−3Pa程度に維持される。
【0051】
上述のように調整された圧力下において、蒸着材料12hが基板Wに蒸着される。
図3を参照し、蒸着について説明する。
【0052】
アーク電源17により150Vの電圧が印加され、コンデンサユニット19に電荷が充電される。コントローラからの制御信号を受けたトリガ電源18が、カソード電極12とトリガ電極13の間に3.4kVのパルス電圧を印加し、碍子14の表面を介して沿面放電(トリガ放電)を発生させる。トリガ放電が発生すると、アノード電極11と蒸着材料12hの間の絶縁耐圧が低下し、アノード電極11と蒸着材料12hとの間にアーク放電が誘起される。アーク放電が誘起されると、コンデンサユニット19が放電されて、カソード電極12(蒸着材料12h)とアノード電極11との間にアーク電流が流れる。このアーク電流により、蒸着材料12hの表面が加熱されて溶融、蒸発し、蒸着材料12h(の一部の)のプラズマが形成される。
【0053】
アーク放電が形成されることにより、円筒形状のアノード電極11の内部には、軸心方向に沿って電磁力が発生する。この電磁力は、上記プラズマ中の荷電粒子を、アノード電極11の軸心方向に向けて加速させるローレンツ力として作用する。これにより、当該荷電粒子は、アーク蒸着源10が配向されている方向、すなわち、基板Wの方向に偏向されて、アーク蒸着源10の射出口側端部10hから射出される。
【0054】
荷電粒子が有する電荷の大きさにより、受けるローレンツ力の大きさが異なるため、荷電粒子は、その電荷質量比に応じて偏向される。電荷質量比が過大、あるいは過小である荷電粒子は、大きく偏向され、あるいはほとんど偏向されず、基板Wに到達しない。すなわち、適当な大きさである蒸着材料12hの粒子のみを基板Wの方向に偏向して射出することができる。なお、一般的に触媒金属は、触媒担持体よりも小さい粒径に形成される。触媒金属の粒径を小さくすることによって、比表面積を大きくすることができる。本実施形態では、白金微粒子の粒径が、カーボン微粒子の粒径より小さくなるように、蒸着される。
【0055】
射出された蒸着材料の粒子は、蒸着室3内の空間を飛翔し、基板W(あるいは基板W上の物質)上に微粒子として固着する。ここで、蒸着室3内の圧力は、固着の強度に影響を与える。上述のように飛翔する蒸着材料の粒子が有する運動エネルギーが気体分子と接触することにより低下するためである。よって、蒸着室3内の圧力が低い(高真空である)と運動エネルギーの損失が少なく、蒸着材料の粒子は、固着対象物と、あるいは、当該粒子相互間と強く固着し、蒸着室3内の圧力が高い(低真空である)と弱く固着する。
以上のようにして蒸着が進行する。
【0056】
本実施形態では、プラズマの発生を誘起するトリガ放電が、パルス電圧の印加により発生するため、上述した蒸着材料粒子の射出、すなわち蒸着もパルス(間欠)的である。以下では、1パルスの電圧により生じる蒸着を1回の蒸着とする。
【0057】
蒸着装置1のC蒸着室3a及び3cでは、蒸着材料12hとしてカーボンが基板Wに蒸着される。上述のように、C蒸着室3a及び3cの圧力は、Pt蒸着室3b及び3dの圧力よりも高くなるように調整されており、カーボン微粒子が基板あるいは、カーボン粒子間で相互に固着する強度が低減される。C蒸着室3a及び3c内では、カーボンが、例えば30回程度、基板Wに蒸着される。
【0058】
蒸着装置1のPt蒸着室3b及び3dでは、蒸着材料12hとして白金が基板Wに蒸着される。上述のように、Pt蒸着室3b及び3dの圧力は、C蒸着室3a及び3cの圧力よりも低くなるように調整されており、C蒸着室3a及び3cと同程度の圧力である場合に比べ、白金微粒子が基板あるいは、カーボン粒子に強力に固着する(担持される)。このため、本実施形態によって製造された触媒材料を触媒反応に用いる際、触媒反応が進行しても、白金微粒子同士の凝集が発生しない。このPt蒸着室3b及び3d内では、白金が、例えば30回程度、基板Wに蒸着される。
【0059】
各蒸着室3において、白金あるいはカーボンが所定の量(回数)蒸着された後、基板支持体31が、例えば90°回転し、載置されている基板Wが異なる蒸着室3に搬送される。上述のように、差動排気室4が形成されているため、基板Wが搬送される際に、C蒸着室3a及び3c、Pt蒸着室3b及び3dの圧力は維持される。蒸着装置1は、搬送された基板Wに、搬送前に蒸着された材料とは異なる(白金あるいはカーボンのいずれかの)蒸着材料を蒸着する。
【0060】
C蒸着室3a及び3bとPt蒸着室3b及び3dは、同時に異なる圧力に維持されているため、C蒸着室3aあるいは3bにおいてカーボンを蒸着すると同時に、Pt蒸着室3bあるいは3dにおいて白金を蒸着することが可能である。
【0061】
このようにして、蒸着材料の蒸着と基板の搬送が任意の回数繰り返され、基板上にカーボン及び白金が積層された触媒材料が形成される。上述のようにして作製した触媒材料のサンプルの一例を図5に示す。図5は、当該サンプルのTEM(Transmission Electron Microscope)像である。
【0062】
本発明の第2の実施形態を説明する。
これ以降の説明では、第1の実施形態に係る蒸着装置が有する構成や機能等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
図4は、本実施形態に係る触媒材料の製造装置としての真空蒸着装置(以下、単に蒸着装置という)の構成を示す図である。
【0063】
同図に示すように、蒸着装置32は、真空槽33と、排気系34と、ガス導入系35とを有する。
【0064】
蒸着装置32は、真空槽33を有する。真空槽33の内部には、4室の蒸着室36、3室の差動排気室37、基板搬送空間38が形成されている。
本実施形態に係る蒸着装置32の蒸着室36と差動排気室37は、第1の実施形態に係る蒸着装置1とは異なり、直線上に配列している。
【0065】
基板搬送空間38は、直線上に形成されている。基板搬送空間38には、当該直線上に基板Wを搬送するための、例えばベルトコンベア等である基板搬送機構39が設けられている。基板搬送機構39上には、基板ステージ40が設けられ、基板Wがその上に載置される。基板ステージ40の数は、単数でもよいし、複数でもよい。一つの基板ステージ40に、複数の基板Wが載置可能なように形成されていてもよい。本実施形態に係る蒸着装置32では、3つの基板ステージ40が設けられており、1つの基板ステージ40には一枚の基板Wが載置可能なように構成されている。
【0066】
各蒸着室36と、各差動排気室37は、基板搬送空間38に面する開口を有している。
各蒸着室36と、各差動排気室37は、蒸着室36と差動排気室37が基板Wの搬送方向に沿って交互になるように配置されている。
【0067】
4室の蒸着室36のうち、2室は、導電性担持体であるカーボンを蒸着するためのC蒸着室36a及び36cであり、他の2室は、触媒金属である白金を蒸着するためのPt蒸着室36b及び36dである。
4室の蒸着室は、C蒸着室36a、Pt蒸着室36b、C蒸着室36c、Pt蒸着室36dの順に配置されている。
【0068】
各蒸着室36は、基板ステージ40上の基板Wに、蒸着材料を蒸着させることが可能なように構成されている。各蒸着室36は、アーク蒸着源41を有する。各蒸着室36は、排気系42と、真空配管45を介して接続されており、C蒸着室36a及び36cは、ガス導入系43と接続されている。各アーク蒸着源41は、各々が電源系44と接続されている。
【0069】
差動排気室37は、排気系34と、真空配管45を介して接続されており、各蒸着室36の間に設けられている。これは、隣接する二つの蒸着室36を、異なる圧力雰囲気に維持することが可能なように構成されている。
【0070】
C蒸着室36aとPt蒸着室36bの間に設けられている差動排気室を差動排気室37p、Pt蒸着室36bとC蒸着室36cの間に設けられている差動排気室を差動排気室37q、C蒸着室36cとPt蒸着室36dの間に設けられている差動排気室を差動排気室37rとする。
【0071】
蒸着装置32は、排気系34を有する。本実施形態の排気系34は、各々の蒸着室3及び各々の差動排気室4に対して一つずつ設けられている。すなわち、蒸着室36に接続されている排気系34a、34b、34c、34dと、各差動排気室37に接続されている排気系34p、34q、34rが設けられている。
【0072】
蒸着装置32はガス導入系35を有する。本実施形態のガス導入系35は、C蒸着室36a及び36cに対して一つずつ設けられており、ガス配管46を介して接続されている。すなわちC蒸着室36aに接続されているガス導入系35aと、C蒸着室36cに接続されているガス導入系35cが設けられている
【0073】
次に、以上のように構成される、本実施形態に係る蒸着装置1の動作について説明する。
【0074】
予め、基板ステージ40に、基板Wが載置される。本実施形態においては、3つの基板ステージ40に多孔質グラファイトからなる基板Wが1枚ずつ載置される。
【0075】
第1の実施形態と同様に、排気系34及びガス導入系35によって、各蒸着室3の圧力が調整される。C蒸着室36a及び36cの圧力が6.5×10Pa程度、Pt蒸着室36b及び36dの圧力が6.5×10−3Pa程度に維持される。
【0076】
上述のように調整された圧力下において、蒸着材料が基板Wに蒸着される。
第1の実施形態と同様に、各蒸着室36において、蒸着材料が所定の量(回数)蒸着された後、基板搬送機構39が駆動され、基板Wが(カーボンあるいは白金の蒸着材料のうち)異なる蒸着材料を蒸着するための蒸着室36に搬送される。
【0077】
搬送された先の蒸着室において、当該異なる蒸着材料が基板Wに蒸着される。このようにして、蒸着材料の蒸着と基板の搬送が任意の回数繰り返され、触媒材料が形成される。
【0078】
本発明に係る実施の形態は、以上説明した実施の形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
【0079】
上述した実施形態では、カーボンが蒸着される蒸着室と、白金が蒸着される蒸着室が形成された蒸着装置について説明した。しかし、カーボンと白金を同一の蒸着室において蒸着することも可能である。この場合、一室の蒸着室に、蒸着材料としてカーボンが接合されたアーク蒸着源と、蒸着材料として白金が接合されたアーク蒸着源の二つのアーク蒸着源が設けられる。この場合は、例えば、基板に白金が蒸着された後、ガス導入系により蒸着室の圧力を上昇させ、次いで、カーボンが蒸着される。
【0080】
上述した実施形態では、カーボンが蒸着される2室の蒸着室と、白金が蒸着される2室の蒸着室を備える蒸着装置について説明した。しかし、これらの室の数は2室ずつに限られない。例えば、カーボンが蒸着される1室の蒸着室と、白金が蒸着される1室の蒸着室を備えるように構成することも可能である。
【0081】
上述した実施形態では、導電性担持体としてカーボン、触媒金属として白金の2種類の蒸着材料を蒸着させる蒸着装置について説明した。しかし、蒸着材料の種類はこれらに限られない。導電性担持体あるいは触媒金属であり、真空アーク蒸着により蒸着させることができる材料であれば、適用することが可能である。また、その種類も2種類に限られず、例えば、上述した実施形態のように、4室の蒸着室を有する蒸着装置であれば、最大で4種類の蒸着材料を蒸着させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1の実施形態に係る蒸着装置の構成を示す図である。
【図2】基板支持体の構成を示す図である。
【図3】アーク蒸着源の構成を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る蒸着装置の構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係る蒸着装置により製造した触媒材料のTEM像である。
【符号の説明】
【0083】
3a、3b…C蒸着室
3b、3d…Pt蒸着室
21…排気系
26…ガス導入系
31…基板支持体
36a、36c…C蒸着室
36b、36d…Pt蒸着室
34…排気系
35…ガス導入系
39…基板搬送機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の減圧雰囲気下で導電性担持体の微粒子を基板上に真空アーク蒸着法により蒸着させ、
前記第1の減圧雰囲気よりも圧力の低い第2の減圧雰囲気下で触媒金属の微粒子を前記基板上に真空アーク蒸着法により蒸着させる
触媒材料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒材料の製造方法であって、
前記導電性担持体の微粒子を蒸着させることは、前記第1の減圧雰囲気に維持された第1の蒸着室の中で前記導電性担持体の微粒子を蒸着させ、
前記触媒金属の微粒子を蒸着させることは、前記第2の減圧雰囲気に維持された第2の蒸着室の中で前記触媒金属の微粒子を蒸着させ、
前記触媒材料の製造方法は、さらに、
前記導電性担持体の微粒子を蒸着させた後、前記第1の蒸着室から前記第2の蒸着室へ基板を搬送させる
触媒材料の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の触媒材料の製造方法であって、
前記触媒金属の微粒子を蒸着させた後、前記第2の蒸着室から前記第1の蒸着室へ基板を搬送させる
触媒材料の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の触媒材料の製造方法であって、
基板の搬送方向に沿って前記第1の蒸着室と前記第2の蒸着室が複数交互に設置されており、前記基板は、前記第1の蒸着室と前記第2の蒸着室とへ交互に搬送される
触媒材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の触媒材料の製造方法であって、
前記導電性担持体の微粒子を蒸着させることと、前記触媒金属の微粒子を蒸着させることとを交互に複数回繰り返す
触媒材料の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の触媒材料の製造方法であって、
前記導電性担持体は、炭素系材料であり、
前記触媒金属は、白金またはその合金である
触媒材料の製造方法。
【請求項7】
基板上に導電性担持体の微粒子と触媒金属の微粒子を蒸着させる真空アーク蒸着装置であって、
前記導電性担持体を有する第1の蒸着源を含む第1の蒸着室と、
前記触媒金属を有する第2の蒸着源を含む第2の蒸着室と、
前記第1の蒸着室よりも前記第2の蒸着室の圧力が低くなるように、前記第1の蒸着室と前記第2の蒸着室を排気する排気手段と、
前記第1の蒸着室と前記第2の蒸着室との間で前記基板を搬送する搬送機構と
を具備する蒸着装置。
【請求項8】
請求項7に記載の蒸着装置であって、
前記第1の蒸着室と前記第2の蒸着室は、前記搬送機構による前記基板の搬送方向に沿って複数交互に設置されている
蒸着装置。
【請求項9】
請求項7に記載の蒸着装置であって、
前記導電性担持体は、炭素系材料であり、
前記触媒金属は、白金またはその合金である
蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−274009(P2009−274009A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127655(P2008−127655)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】