説明

計測装置及び計測方法

【課題】記録媒体上で薄い層を形成する透明記録材の量を計測する計測装置を提供できるようにする。
【解決手段】透明記録材が記録された記録媒体である被計測試料を照明する照明手段と、前記照明手段で照明された前記被計測試料からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した複数の色成分ごとの反射光量から、前記被計測試料の透明記録材の量を算出する算出手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計測装置及び計測方法に関し、特に、良好な印刷物を得るために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に記録材を定着させることで記録媒体上に画像を形成する画像形成装置が広く利用されている。このような方式の代表例として、記録材にインクを利用するインクジェット記録装置がある。
【0003】
画像形成は、キャリッジを移動させながらインク吐出を行う一方で、キャリッジの移動方向(主走査方向)と直交する方向(副走査方向)に記録媒体を搬送することにより行う。複数の色の色インクの他に透明インクを利用するインクジェット記録装置も実用化されている。
【0004】
例えば、色インクに顔料インクを利用するインクジェット記録装置では、光沢用紙へ印刷する場合に、色毎に光沢性が異なる色間光沢むらや、画像に映り込む照明の色が照明本来の色とは異なる色に色付いて観察されるブロンズ現象、干渉色といった画質課題がある。その解決のため、記録媒体に適切な量の透明インクを付着させる処理が行われる。
【0005】
また、インクジェット記録装置の別の課題として、記録ヘッドの製造ばらつきや経時変化などによって、記録ヘッドからのインク吐出量が正しい吐出量で吐出されない吐出量ばらつきがある。記録材が透明インクの場合、インクが正しい吐出量で吐出されないと、記録媒体に適切な量の透明インクを付着させることができないため、上記の画質課題を解決する処理が機能せず、色間光沢むらやブロンズ現象、干渉色が悪化する。
【0006】
透明記録材の記録材量を取得する方法としては、特許文献1が提案されている。透明記録材は吸収光量が小さいため、典型的には、記録材量が変化しても、濃度、すなわち、拡散反射光の光量はほとんど変化しない。
【0007】
特許文献1によれば、透明記録材が付着した被測定部を照明し、この被測定部からの正反射光の光量(光沢度)を検知することで、前記透明記録材の記録材量を取得する。ここで、正反射光の光量は、被測定部の表面材質の表面反射率に関係する。被測定部の下地の材質の表面反射率と、透明記録材の表面反射率とが異なる場合、被測定部からの正反射光の光量は、下地と透明記録材とが、被測定部表面をどのような割合で被覆しているかに応じて変化する。
【0008】
例えば、透明記録材の表面反射率が下地の表面反射率よりも大きい場合、透明記録材の記録材量が増加し、被測定部表面に占める透明記録材の被覆率が増加すると、正反射光の光量は多くなる。特許文献1は、正反射光の光量を検知することで、被測定部表面に占める透明記録材の被覆率に係る透明記録材の記録材量を取得する方法である。
【0009】
また、有色記録材の記録材量と透明記録材の記録材量とを共に計測する方法として、特許文献2が提案されている。特許文献2によれば、被測定部にレーザ光を照射し、被測定部からの反射レーザ光による空間的な光量分布(スペックル)を検出し、この光量分布から光量のばらつき(平均光量との差の絶対値の和)を算出し、この光量のばらつきから被測定部の記録材量を取得する。
【0010】
ここで、光量分布の光量のばらつきは、被測定部の表面の粗さに関係し、被測定部の表面が粗いほど光量のばらつきが大きく、被測定部の表面が滑らかだと光量のばらつきは小さい。また、被測定部の表面の粗さは記録材量に関係し、例えば普通紙では、記録材量が少ない場合は表面が粗く、記録材量が多くなるにつれて表面が滑らかになる。すなわち、特許文献2は、空間的な光量分布を検出し、その光量のばらつきを算出することで、被測定部の表面の粗さに係る記録材量を取得する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−275250号公報
【特許文献2】特開2007−286182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
記録材が記録媒体上で数μm以下の非常に薄い層を形成するような透明記録材である場合、前記従来技術では記録材量を取得することができない課題がある。まず、特許文献1の方法は、一般には、記録材の被覆率が100%を超えて層を構成するような場合、記録材量が変化しても正反射光の光量が変わらないため、記録材量を取得できない。
【0013】
ところが、透明記録材が数μm以下の非常に薄い層を形成するような場合には、正反射光の光量は記録材量に応じて変化する。しかし、この場合においても、正反射光の光量は、記録材量の増加に伴って、増加、減少を繰り返すため、正反射光の光量から記録材量を一意に決定することができない。
【0014】
また、特許文献2の方法は、被測定部の表面粗さに基づいて記録材量を取得するものであり、記録材が平滑な層を形成するような場合には、記録材量が変化しても表面粗さが変わらないため、記録材量を取得することはできない。
【0015】
本発明は前述の問題点に鑑み、記録媒体上で薄い層を形成する透明記録材の量を計測する計測装置の提供を目的とする。
また、前記透明記録材を利用する画像形成装置の階調補正テーブルを生成する色処理方法を提供することを第2の目的とする。
また、前記透明記録材を利用する画像形成装置であって、当該透明記録材の記録材量のばらつきを補正する画像形成装置を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る計測装置は、記録媒体上の透明記録材の量を計測する計測装置であって、前記透明記録材が記録された記録媒体である被計測試料を照明する照明手段と、前記照明手段で照明された前記被計測試料からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した複数の色成分ごとの反射光量から、前記被計測試料の透明記録材の量を算出する算出手段とを有する。
【0017】
本発明に係る色処理装置は、透明記録材を利用する画像形成装置の階調補正テーブルを作成する画像処理装置であって、離散的な記録材信号の各々に対応する前記画像形成装置の透明記録材画像を照明した時の正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量情報を取得する取得手段と、前記反射光情報取得手段で取得した複数の色成分ごとの反射光量情報から、透明記録材の階調補正テーブルを生成する生成手段とを有する。
【0018】
本発明に係る計測方法は、記録媒体上の透明記録材の量を計測する計測方法であって、前記透明記録材が記録された記録媒体である被計測試料を照明手段により照明する照明工程と、前記照明手段で照明された前記被計測試料からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した複数の色成分ごとの反射光量から、前記被計測試料の透明記録材の量を算出する算出工程とを有する。
【0019】
本発明に係る色処理方法は、透明記録材を利用する画像形成装置の階調補正テーブルを作成する画像処理方法であって、離散的な記録材信号の各々に対応する前記画像形成装置の透明記録材画像を照明した時の正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量情報を取得する取得工程と、前記反射光情報取得工程で取得した複数の色成分ごとの反射光量情報から、透明記録材の階調補正テーブルを生成する生成工程とを有する。
【0020】
本発明に係る画像形成方法は、透明記録材を利用する画像形成方法であって、形成された透明記録材画像を照明する照明工程と、前記照明工程で照明された前記透明記録材画像からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出工程と、前記検出工程で検出した複数の色成分ごとの反射光量に基づき、透明記録材の記録材量を制御する制御工程とを有する。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、透明記録材を利用する画像形成装置であって、形成された透明記録材画像を照明する照明手段と、前記照明手段で照明された前記透明記録材画像からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した複数の色成分ごとの反射光量に基づき、透明記録材の記録材量を制御する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、記録媒体上で薄い層を形成する透明記録材の量を計測することが可能となる。
また、本発明の他の特徴によれば、前記透明記録材を利用する画像形成装置の階調補正テーブルを生成することが可能となる。
また、本発明のその他の特徴によれば、前記透明記録材を利用する画像形成装置において、当該透明記録材の記録材量のばらつきを補正することが可能となる。その結果、記録ヘッドの製造ばらつきや経時変化などによらず、記録媒体に適切な量の透明記録材を付着させることが可能となる。これにより、例えば、色インクに顔料インクを利用するインクジェット記録装置において、色間光沢ムラやブロンズ現象、干渉色の無い好適な印刷画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像の表面構造を示す模式図である。
【図2】透明インクの記録材信号と、当該記録材信号に対応する印字画像の正反射光量との関係を示す模式図である。
【図3】薄膜干渉を説明する模式図である。
【図4】薄膜干渉における正反射光の分光反射率を示す図である。
【図5】第1の実施形態の対応テーブルの例を示す図である。
【図6】第1の実施形態の光学系を示す図である。
【図7】第1の実施形態のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図8】第1の実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図9】第1の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップS905の詳細を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施形態の変形例2の光学系を示す図である。
【図12】インク層の厚さと色度点との関係を示す模式図である。
【図13】第1の実施形態の変形例2における対応テーブルの例を示す図である。
【図14】第1の実施形態の変形例2の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】図14のステップS1403の詳細を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施形態の光学系を示す図である。
【図17】第3の実施形態の画像処理装置に係る画像形成装置の信号の流れを示す図である。
【図18】第3の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】第3の実施形態のパッチ画像の例を示す図である。
【図20】第3の実施形態の階調テーブルの例を示す図である。
【図21】図18のステップS1806で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。
【図22】図21のステップS2103で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。
【図23】第3の実施形態のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図24】第3の実施形態の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図25】第4の実施形態の画像形成装置の基本構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る実施形態として、透明記録材の記録材量を計測する計測装置について説明する。まず、図1乃至4を用いて、計測原理を説明する。
図1は、透明インクを利用するインクジェットプリンタで印字された画像の表面構造を示す模式図である。図1において、101は透明インク、102は下地の印刷用紙を示す。
【0025】
図1の(a)は、透明インクの記録材信号が小さい時の表面構造であり、画像表面は透明インクで覆われた領域(インク部)と下地の印刷用紙が露出した領域(下地部)の2つの領域からなる。図1の(b)は、透明インクの記録材信号が大きい時の表面構造であり、画像表面は100%インク部で、透明インクが下地の印刷用紙の上に層を形成している。
【0026】
一般に、記録材信号が0の時、画像表面のインクの量は0となり、画像表面は100%下地部となる。記録材信号が大きくなるに従ってインク部が大きくなり、記録材信号が十分大きくなると画像表面は100%インク部となる。さらに記録材信号が大きくなるとインク部が形成する層の厚さが厚くなっていく。画像表面が図1の(a)に示す表面構造である場合、この画像を所定の方向から照明した時の正反射方向への反射光の光量(正反射光量)は、インク部と下地部の割合に応じて変化する。これは、正反射方向への反射光量が表面反射光の反射光量でほぼ決まるためである。
【0027】
例えば、インク部の表面反射率が下地部の表面反射率よりも大きい場合、透明インクの記録材信号が増加して画像表面に占めるインク部の割合が大きくなると、正反射方向への反射光量は多くなる。画像表面におけるインク部の割合はインクの量に関係する。よって、画像表面が図1の(a)に示す表面構造である場合、正反射光量を検出することで、透明インクのインク量に係る値を取得することができる。一方、画像表面が図1の(b)に示す表面構造である場合、前記のメカニズムに従うならば、正反射光量は透明インクのインク量に係らず一定となる。これは、インク量が増加しても画像表面におけるインク部の割合は一定(100%)であり、変化しないためである。しかしながら、インク層の厚さが数μm以下の薄い層である場合、正反射光量は、記録材信号に関して図2に示すように変化する。
【0028】
図2は、透明インクの記録材信号と、当該記録材信号に対応する印字画像の正反射光量との関係を示す模式図であり、横軸は透明インクの記録材信号、縦軸は正反射光量を示す。また、図2において、横軸のN1は、画像表面におけるインク部の割合が100%となる最小の記録材信号を示す。すなわち、図2によれば、画像表面におけるインク部の割合が100%となる記録材信号がN1以上の領域においても、正反射光量は一定値とならない。この原因については、後述する。問題は、正反射光量が記録材信号に関して図2に示すように変化する場合、正反射光量を検出しても、対応する記録材信号を一意に決定することができないことである。
【0029】
例えば、図2において、正反射光量がS1となる記録材信号は、N2、N3、N4、N5が考えられる。すなわち、画像表面が図1の(b)に示す表面構造である場合、正反射光量を検出しても、透明インクのインク量に係る値を一意に取得することはできない。記録材信号がN1以上の領域において、正反射光量が一定値とならない原因は、薄膜干渉であると考えられる。
【0030】
図3は、薄膜干渉を説明する模式図であり、301は空気層、302はインク層、303は下地層(印刷用紙)を示す。図3に示すように、正反射方向への反射光は、空気層301と透明インク層302との界面で反射した表面反射光304(実線)と、空気層301と透明インク層302との界面で屈折する。そして、透明インク層302と下地層303との界面で反射し、さらに、空気層301と透明インク層との界面で屈折した裏面反射光305(破線)との干渉光である。
【0031】
干渉光の光量(強度)は、表面反射光304と裏面反射光305との光路差(屈折率と距離との積)と、光の波長に関係する。光路差が光の波長の整数倍である時、表面反射光304と裏面反射光305は強め合い、光路差が光の波長の整数倍+当該波長の1/2である時、表面反射光304と裏面反射光305は弱め合う。光の波長によって強めあったり弱めあったりするため、正反射方向への反射光は、透明インク層302の厚さに応じた色付きが観察される。記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明記録材は、当該透明記録材の量に応じて層の厚さが変化し、層の厚さに応じて反射光の色が変化する。すなわち、被計測試料からの反射光の色情報を検出することによって、透明記録材の量を求めることができる。
【0032】
図4は、薄膜干渉における正反射光の分光反射率を示す図であり、横軸が光の波長、縦軸が反射率を示す。また、401乃至404は、透明インク層302の厚さを変化させた時の正反射光の分光反射率を示す。同図に示すように、反射光の色情報の一つである分光反射率は、透明インク層302の厚さによって変化する。しかも、分光反射率は、透明インク層の厚さに関してユニークである。言い換えれば、分光反射率と透明インク層の厚さは1対1の関係があり、分光反射率からインク層の厚さを一意に求めることができる。
【0033】
また、インク層の厚さは、インク量(=記録材量)の増加に伴って単調に増加するから、インク層の厚さと記録材量にも1対1の関係があり、インク層の厚さから記録材量を一意に求めることができる。さらに、画像表面が図1の(a)のような表面構造であっても、下地の記録媒体の反射率と記録材料の反射率とが異なれば、分光反射率と記録材量には1対1の関係がある。よって、予め透明インクの記録材量と、当該記録材量に対応する画像の正反射光の分光反射率との対応関係を保持した対応テーブルを用意しておけば、被計測試料の正反射光の分光反射率を検出することによって、記録材量を一意に求めることができる。
【0034】
図5は、本実施形態における対応テーブルの例を示す図である。同図に示すように対応テーブルは、離散的な記録材量について、当該記録材量と、当該記録材量に対応する透明インク画像の正反射光の分光反射率との対応関係を保持するテーブルである。なお、記録材量には、透明インクの重さや体積のような物理量を用いてもよいし、無次元のデジタル量であってもよい。例えば、基準プリンタのインク吐出数のような値でもよい。
【0035】
次に、図6を用いて、本実施形態の計測装置の光学系について説明する。図6において、601は被計測試料、602は光源、603は投光レンズ、604は受光レンズ、605は絞り、606は分光測光器を示す。光源602からの光は、投光レンズ603によって平行光となって被計測試料601を照明角φで照明し、受光レンズ604と絞り605によって、被計測試料601からの正反射光を分光測光器606に集光する。光源602は、可視波長全域にパワーのあるハロゲンランプである。分光測光器606は、回折格子を利用した分光器とCMOSセンサで構成され、各波長の放射輝度を計測する。なお、光源602は、ハロゲンランプに限らず、白色LEDやキセノンランプ等でもよい。また、分光測光器も、回折格子に限らず、フィルタを用いて分光する分光器や、液晶と位相板を用いて分光する分光器を用いてもよい。同様にCMOSセンサに限らず、CCDセンサやPD等を用いてもよい。さらに、投光レンズ603や受光レンズ604を用いない簡易な光学系であっても構わない。
【0036】
次に、図7を用いて、本実施形態の計測装置のハードウエア構成について説明する。
図7において、CPU701は、RAM702及びROM703に記憶されたプログラムに従ってこの計測装置全体の動作を制御する。RAM702は、CPU701のメインメモリとして使用され、CPU701により実行されるプログラムがロードされる。また、RAM702は、CPU701による制御動作時に各種データを一時的に保存するワークエリアを提供する。ROM703は、ブートプログラムや各種データを不揮発に記憶している。入力部704はキーボード、マウス等のポインティングデバイスを有し、ユーザの操作による各種データの入力に使用される。表示部705は、CRTや液晶などの表示ユニットを有し、処理対象のデータやユーザインタフェース(以下、UIと表記する)画面等の表示に使用される。外部記憶装置706は大容量の記憶装置で、オペレーティング・システム(OS)、各種アプリケーションプログラムやデータなどが予めインストールされている。各アプリケーションプログラムの起動が指示されると、そのプログラムはRAM702にロードされて実行される。ネットワークインターフェース707は、LAN等の通信回線とのインターフェースを制御する。このネットワークインターフェース707を介して、各種データをサーバと送受信する。
【0037】
次に、図8を用いて、本実施形態の計測装置の機能構成を説明する。
本実施形態の計測装置は、入出力部801と、制御部802と、光源制御部803と、反射光量検出部804と、分光反射率算出部805と、記録材量算出部806と、データ格納部807と、対応テーブル格納部808とによって構成される。
【0038】
データ格納部807は前述したRAM702によって実装され、反射光量検出部804は前述した図6の光学系によって実装される。その他の各部を構成する機能は、本実施形態では、CPU701と各部のプログラムによって実装されているが、ハードウエアで構成されていてもよい。入出力部801は、制御部802の指示に基づき、前記対応テーブルを入力し、対応テーブル格納部808に格納する。対応テーブルは、離散的な記録材量について、当該記録材量と、当該記録材量に対応する透明インク画像の正反射光の分光反射率との対応関係を保持するテーブルである。また、入出力部801は、制御部802の指示に基づき、反射光量検出部804が検出した反射光量や、記録材量算出部806が算出した記録材量を表示部705や外部記憶装置706へ出力する。
【0039】
制御部802は、入出力部801を介して外部からの指示を受け、各部を制御して記録材量を算出し、入出力部801を介して出力する。光源制御部803は、光源が安定するように制御を行う。反射光量検出部804は、制御部802の指示に基づき、基準試料及び被計測試料からの正反射光について、波長毎の反射光量を検出してデータ格納部807に格納する。分光反射率算出部805は、制御部802の指示に基づき、データ格納部807に格納された基準試料及び被計測試料の波長毎の反射光量から被計測試料の分光反射率を算出し、データ格納部807に格納する。
【0040】
記録材量算出部806は、制御部802の指示に基づき、対応テーブル格納部808に格納された対応テーブルを参照し、データ格納部807に格納された被計測試料の分光反射率に対応する記録材量を算出し、データ格納部に格納する。データ格納部807は、入出力部801が入力した基準試料及び被計測試料の反射光量や、分光反射率算出部805が算出した被計測試料の分光反射率や、記録材量算出部806が算出した記録材量を格納する。対応テーブル格納部808は、入出力部801が入力した対応テーブルを格納する。
【0041】
次に、図9を用いて、本実施形態の計測装置の計測手順を説明する。本実施形態の計測装置は、次の手順によって、透明記録材の量を算出する。
まず、ステップS901において、入出力部801は、透明記録材量の算出に必要な情報を入力し、データ格納部807へ格納する。入力する情報の1つは、離散的な透明記録材量について、当該記録材量と、当該記録材量に対応する画像の正反射光の分光反射率Rs(λ)との対応関係が記述された図5の対応テーブルである。好適には、透明記録材を定着させる記録媒体毎に複数の対応テーブルを用意しておき、外部からの指示に応じて適切な対応テーブルを入力する。前記情報のもう1つは、基準試料の分光反射率データR0(λ)である。
【0042】
次に、ステップS902において、反射光量検出部804は、前記基準試料からの反射光の波長毎の反射光量S0(λ)を検出しデータ格納部807へ格納する。
次に、ステップS903において、反射光量検出部804は、被計測試料からの反射光の波長毎の反射光量S(λ)を検出してデータ格納部807へ格納する。
次に、ステップS904において、分光反射率算出部805は、ステップS901で設定した基準試料の分光反射率R0(λ)と、ステップS902で検出した反射光量S0(λ)とステップS903で検出した反射光量S1(λ)とを用いる。そして、次の式(1)で被計測試料の分光反射率R(λ)を算出し、データ格納部807へ格納する。
R(λ)=S1(λ)/S0(λ)xR0(λ) ・・・(1)
【0043】
次に、ステップS905において、分光反射率算出部805は、ステップS904で算出した被計測試料の分光反射率と、ステップS901で設定した対応テーブルとから記録材量を算出し、データ格納部807へ格納する。最後にステップS906において、入出力部801は、ステップS905で算出した記録材量を出力する。
【0044】
図10は、図9のステップS905における記録材量の算出方法を詳細に説明するフローチャートである。本実施形態の計測装置は、次の手順によって、透明記録材の量を算出する。まず、ステップS1001において、記録材量の算出に必要な情報を設定する。1つは、ステップS901で入力した対応テーブルから、最小の記録材量と最大の記録材量を取得し、それぞれ評価記録材量Pと最大記録材量Qに設定する。また、記録材量検索ステップΔに記録材量を検索する際の刻み幅を設定する。記録材量検索ステップΔに小さい値を設定する程、記録材量を高い分解能で算出することができる。さらに、最良スコアAに大きな値、例えば99999を設定する。
【0045】
次に、ステップS1002において、ステップS901で設定した対応テーブルを参照して、評価記録材量Pに対応する分光反射率Rp(λ)を設定する。ステップS901で設定した対応テーブルは、図5に示すように、離散的な記録材量と、当該記録材量に対応する正反射光の分光反射率Rs(λ)との対応関係が記述されたテーブルである。評価記録材量Pに一致する記録材量が前記テーブルにあれば、当該記録材量に対応する分光反射率をRp(λ)に設定する。
【0046】
評価記録材量Pに一致する記録材量が前記テーブルになければ、評価記録材量Pに対応する分光反射率を補間によって求め、Rp(λ)に設定する。次にステップS1003において、評価記録材量Pの評価値を算出する。具体的には、ステップS1002で設定した分光反射率Rp(λ)と、ステップS904で算出したR(λ)とから次の式(2)で評価値Eを算出する。
E=Σ(R―Rp)^2 ・・・(2)
式(2)に示すように、評価値Eは、各波長においてRとRpとの差の2乗を求め、これを全波長について積算したものである。
【0047】
次にステップS1004において、評価値Eと前記最良スコアAとを比較し、評価値Eが最良スコアAよりも小さければ、最良スコアAに評価値Eを設定し、かつ、候補記録材量Mに評価記録材量Pを設定する。次に、ステップS1005において、評価記録材量Pに記録材量検索ステップΔを加える。次にステップS1006において、評価記録材量Pと最大記録材量Qを比較し、評価記録材量Pが最大記録材量Qよりも小さければ、ステップS1002に進み、その他の場合はステップS1007に進む。ステップS1007では、候補記録材量Mを記録材量として、データ格納部807へ格納する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の計測装置は、透明記録材が定着した記録媒体である被計測試料を照明し、照明された前記被計測試料からの正反射光について、波長毎の反射光量を検出し、検出した反射光量から分光反射率を算出する。これにより、記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明記録材の量を計測可能にする。
【0049】
<第1の実施形態の変形例1>
前述した第1の実施形態では、基準試料からの反射光量と、被計測試料からの反射光量とを検出し、これら2つの反射光量から被計測試料の分光反射率を求め、当該分光反射率から対応テーブルを参照して透明な記録材料を制御する記録材量制御を行っている。しかしながら、基準試料の反射光量を検出することなく、透明記録材の量を求めるように構成してもよい。この場合、対応テーブル格納部808には、離散的な記録材量について、当該記録材量と、当該記録材量に対応する透明記録材画像からの各波長の正反射光量との対応関係が記述されたテーブルが格納される。記録材量算出部806は、この対応テーブルを参照し、反射光量検出部804が検出した被計測試料の反射光量に対応する記録材量を直接算出する。
【0050】
本変形例の計測装置は、透明記録材が定着した記録媒体である被計測試料を照明し、照明された被計測試料からの正反射光について、波長毎の反射光量を検出することで、記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明記録材の量を計測可能にする。
【0051】
<第1の実施形態の変形例2>
上記実施形態では、反射光の色情報として波長毎の反射光量を検出したが、色情報が検出できれば、波長毎の反射光量を検出することは必ずしも必要でない。
【0052】
変形例2では、反射光の赤(R)、緑(G)、青(B)の色情報を検出し、この色情報から被計測試料の透明記録材の量を計測する計測装置について説明する。前述の実施形態と同じ構成には同じ番号を付与し、説明を省略する。なお、以下の説明では、第1の実施形態の変形例1で説明した基準試料を利用しない構成の計測装置について説明するが、第1の実施形態で説明したように、基準試料を利用するように構成しても構わない。
【0053】
まず、図11を用いて、変形例2の計測装置の光学系について説明する。
図11において、601は被計測試料、602は光源、603は投光レンズ、604は受光レンズ、605は絞り、1101は受光素子(R)、1102は受光素子(G)、1103は受光素子(B)を示す。
【0054】
光源602からの光は、投光レンズ603によって平行光となって被計測試料601を照明角φで照明し、受光レンズ604と絞り605によって、被計測試料601からの正反射光を受光素子1101乃至1103上に集光する。受光素子(R)1101は、被計測試料601からの正反射光の赤色成分の光量を検出する素子で、赤色成分を透過するバンドバスフィルタとフォトディテクタで構成される。
【0055】
同様に受光素子(G)1102は、緑色成分の光量を検出する素子で、緑色成分を透過するバンドバスフィルタとフォトディテクタで構成される。受光素子(B)1103は、青色成分の光量を検出する素子で、青色成分を透過するバンドバスフィルタとフォトディテクタで構成される。受光素子は、赤色、緑色、青色の3つのバンドパスフィルタとフォトディテクタとの構成に限らず、分光特性が等色関数に合致し、三刺激値XYZを検出可能なXYZセンサでもよい。また、4色以上の色成分を検出するマルチバンドセンサ、青色と緑色の2つの色成分を検出するセンサ等を利用してもよい。なお、色情報が少ない場合、記録材量と色情報とは1対1の関係にならない場合がある。この場合の対処方法について次に説明する。
【0056】
図12は、記録材量に係わるインク層の厚さと、2つの色情報である色度点との関係を示す模式図であり、インク層の厚さを離散的に変化させた時の正反射光の色度点をプロットした色度図である。図の横軸はCIELAB表色系のa*、横軸はb*を示す。プロットを結ぶ線分は、インク層の厚さ変化に伴う色度点の軌跡を示す。
【0057】
図12に示すように、正反射光の色度点はインク層の厚さによって変化する。しかし、図12中の点Aのように、色度点の軌跡には交差している点があるため、色度点はインク層の厚さに関してユニークではない。言い換えれば、色度点を検出してもインク層の厚さを一意に求めることができない。このような場合は、反射光の色情報に加えて、被計測試料の記録材量の範囲を限定する記録材量情報を利用する。色度点軌跡に沿った連続する数プロット内に色度点軌跡が重なる点はないため、インク層の厚さの範囲、またはインク層の厚さに関する記録材量の範囲が分かれば、色度点を検出することで、透明インクの記録材量に係わる値を一意に求めることができる。
【0058】
変形例2の計測装置の反射光量検出部804は、前述した図11の光学系によって実装される。反射光量検出部804は、被計測試料からの正反射光の赤色成分の光量と、緑色成分の光量と、青色成分の光量を検出する。また、対応テーブル格納部808には、離散的な記録材量について、当該記録材量と、当該記録材量に対応する透明記録材画像からの正反射光の各色成分の光量との対応関係が記述されたテーブルが格納される。
【0059】
図13は、第1の実施形態の変形例2における対応テーブルの例を示す図である。記録材量算出部806は、この対応テーブルを参照し、反射光量検出部804が検出した被計測試料の各色成分の反射光量に対応する記録材量を算出する。
【0060】
次に、図14を用いて、変形例2の計測装置の計測手順を説明する。
まず、ステップS1401において、入出力部801は、透明記録材量の算出に必要な情報を入力し、データ格納部807に格納する初期設定を行う。情報の1つは、前記の対応テーブルであり、好適には、透明記録材を定着させる記録媒体毎に複数の対応テーブルを用意しておき、外部からの指示に応じて適切な対応テーブルを入力する。入力するもう1つの情報は、記録材量の検索範囲である。被計測試料の透明記録材量の取り得る範囲に基づき、最小記録材量Pminと最大記録材量Pmaxとを入力する。最小記録材量Pminは、対応テーブルに記述された最も小さい記録材量よりも小さくならないようにする。また、最大記録材量Pmaxは、対応テーブルに記述された最も大きい記録材量よりも大きくならないようにする。
【0061】
次に、ステップS1402において、反射光量検出部804は、被計測試料からの正反射光の赤色成分の光量SRと、緑色成分の光量SGと、青色成分の光量SBとを検出し、データ格納部807に格納する。
【0062】
次に、ステップS1403において、記録材量算出部806は、以下の処理を行う。すなわち、ステップS1402で検出した被計測試料からの正反射光の各色成分の光量と、ステップS1401で入力した対応テーブル及び検索材量の検索範囲である最小記録材量Pminと最大記録材量Pmaxとから記録材量を算出する。そして、データ格納部807に格納する。最後にステップS1404において、入出力部801は、ステップS1403で算出した記録材量を出力する。
【0063】
図15は、図14のステップS1403における記録材量の算出方法を詳細に説明するフローチャートである。まず、ステップS1501において、記録材量の算出に必要な情報を設定する。また、記録材量検索ステップΔに記録材量を検索する際の刻み幅を設定する。記録材量検索ステップΔに小さい値を設定する程、記録材量を高い分解能で算出することができる。さらに、最良スコアAに大きな値、例えば99999を設定する。
【0064】
次に、ステップS1502において、評価記録材量PにPminを設定する。
次に、ステップS1503において、ステップS1401で入力した対応テーブルを参照して、評価記録材量Pに対応する赤色成分の光量HR、緑色成分の光量HG、青色成分の光量HBとを設定する。ステップS1401で設定した対応テーブルは、図13に示すように、離散的な記録材量について、当該記録材量と、当該記録材量に対応する透明記録材画像からの正反射光の各色成分の光量との対応関係が記述されたテーブルである。
【0065】
評価記録材量Pに一致する記録材量が前記テーブルにあれば、当該記録材量に対応する各色成分の光量をHR、HG、HBに設定する。また、評価記録材量Pに一致する記録材量が前記テーブルになければ、評価記録材量Pに対応する各色成分の光量を補間によって求め、HR、HG、HBに設定する。
【0066】
次に、ステップS1504において、評価記録材量Pの評価値を算出する。具体的には、ステップS1503で設定したHR、HG、HBと、ステップS1402で取得したSR、SG、SBとから次の式(3)で評価値Eを算出する。
E=(SR−HR)^2+(SG−HG)^2+(SB−HB)^2 ・・・(3)
【0067】
次に、ステップS1505において、評価値Eと前記最良スコアAとを比較し、評価値Eが最良スコアAよりも小さければ、最良スコアAに評価値Eを設定し、かつ、候補記録材量Mに評価記録材量Pを設定する。
【0068】
次に、ステップS1506において、評価記録材量Pに記録材量検索ステップΔを加える。次に、ステップS1507において、評価記録材量Pと最大記録材量Pmaxを比較し、評価記録材量Pが最大記録材量Pmaxよりも小さければ、ステップS1503に進み、その他の場合はステップS1508に進む。ステップS1508では、候補記録材量Mを記録材量に設定する。
【0069】
本変形例の計測装置は、透明記録材が定着した記録媒体である被計測試料を照明し、照明された被計測試料からの正反射光について、赤色成分の反射光量と、緑色成分の反射光量と、青色成分の反射光量とを検出する。これにより、記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明記録材の量を計測可能にする。
【0070】
<第1の実施形態の変形例3>
前述した実施形態では、被計測試料からの正反射光の光量から透明記録材の量を求めている。一方、図12に示すように、透明インク層の厚さが変わると色相角θが変化する。よって、被計測試料からの反射光の色相情報から透明記録材の量を求めるように構成してよい。この場合、対応テーブル格納部808には、離散的な記録材量について、当該記録材量と、当該記録量に対応する透明記録材画像からの正反射光の色相情報が記述されたテーブルが格納される。
【0071】
また、図8の機能構成に加えて、色相情報算出部を有し、当該色相情報算出部は、反射光量検出部804が検出した反射光量データから色相情報を算出してデータ格納部807に格納する。記録材量算出部806は、対応テーブル格納部808に格納された前記対応テーブルを参照し、データ格納部807に格納された被計測試料の色相情報に対応する記録材量を算出する。色相情報の算出は、例えば、次の手順で実施する。
【0072】
まず、反射光量検出部804が検出した反射光量データから三刺激値XYZに相当する信号を算出する。反射光量検出部804が波長毎の反射光量(放射量の相対分光分布)を検出する構成の場合には、JISZ8701の変換式に基づいて、三刺激値XYZに相当する信号に変換する。また、反射光量検出部804がRGBの反射光量データを検出する構成の場合には、3x3のマトリクスを用いて三刺激値XYZに相当する信号に変換する。次に、JISZ8729の変換式に基づいて三刺激値XYZからCIELAB表色系のa*、b*に相当する信号に変換する。最後に、同じくJISZ8729の変換式に基づいて、a*、b*から色相角に相当する信号に変換する。
【0073】
本変形例の計測装置は、透明記録材が定着した記録媒体である被計測試料を照明し、照明された被計測試料からの正反射光について、色相情報を検出することで、記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明記録材の量を計測可能にする。
【0074】
<第2の実施形態>
前述した第1の実施形態は、白色光源で照明し、被計測試料からの反射光を分光することで、被計測試料の分光反射率を得ているが、分光反射率は、波長毎の単色光で照明し、被計測試料からの反射光の光量を検出することでも取得できる。
同様に、第1の実施形態の変形2は、白色光源で照明し、被計測試料からの反射光の色成分の光量を検出することで記録材量を得ているが、記録材量は、複数の色の光源で照明し、各光源で照明された被計測試料からの反射光の光量を検出することでも取得できる。本実施形態は、前記のいずれの構成でも構わない。
【0075】
第2の実施形態では、被計測試料を赤(R)、緑(G)、青(B)の光源で照明し、各光源で照明された被計測試料からの反射光の光量を検出することで被計測試料の透明記録材の量を計測する計測装置について説明する。前述の実施形態と同じ構成には同じ番号を付与し、説明を省略する。なお、以下の説明では、第1の実施形態の変形例1で説明した基準試料を利用しない構成の計測装置について説明するが、第1の実施形態で説明したように、基準試料を利用するように構成しても構わない。
【0076】
まず、図16を用いて、本実施形態の計測装置の光学系について説明する。
図16において、601は被計測試料、603は投光レンズ、604は受光レンズ、605は絞り、1601は光源(R)、1602は光源(G)、1603は光源(B)、1604は受光素子を示す。
【0077】
光源1601乃至1603からの光は、投光レンズ603によって平行光となって被計測試料601を照明角φで照明し、受光レンズ604と絞り605によって、被計測試料601からの正反射光を受光素子1604上に集光する。
【0078】
光源(R)1601は、被計測試料601を赤色成分の光で照明する光源で、赤色成分を透過するバンドバスフィルタと白色光源で構成される。同様に光源(G)1602は被計測試料601を緑色成分の光で照明する光源で、緑色成分を透過するバンドパスフィルタと白色光源で構成される。光源(B)1603は被計測試料601を青色成分の光で照明する光源で、青色成分を透過するバンドパスフィルタと白色光源で構成される。
【0079】
光源は、赤色、緑色、青色の3つのバンドパスフィルタと白色光源との構成に限らず、4色以上の光源で照明してもよいし、青色と緑色の2色の光源で照明するように構成してもよい。受光素子1604は、PD(フォトディテクタ)で、前記各色光源の発光波長に関して感度のあるセンサを利用する。
【0080】
本実施形態の計測装置のハードウエア構成は、第1の実施形態と同じである。
次に、本実施形態と第1の実施形態との機能構成の違いについて説明する。本実施形態の反射光量検出部804は、前述した図16の光学系によって実装される。
【0081】
光源制御部803は、制御部802の指示に基づき、被計測試料を光源(R)1601、光源(G)1602、光源(B)1603で照明する。反射光量検出部804は、制御部802の指示に基づき、光源(R)1601で被計測試料を照明したときの当該被計測試料からの正反射光の光量を検出し、データ格納部807に格納する。
【0082】
同様に、反射光量検出部804は、制御部802の指示に基づき、光源(G)1602で被計測試料を照明したときの当該被計測試料からの正反射光の光量と、光源(B)1603で被計測試料を照明したときの当該被計測試料からの正反射光の光量を検出する。そして、データ格納部807に格納する。
【0083】
また、対応テーブル格納部808には、離散的な記録材量について格納されている。すなわち、当該記録材量に対応する透明記録材画像を光源(R)1601で照明したときの正反射光量が格納されている。及び前記画像を光源(G)1602で照明したときの正反射光量が格納されている。及び前記画像を光源(B)1603で照明したときの正反射光量との対応関係が記述されたテーブルが格納されている。
【0084】
本実施形態の計測装置は、前記第1の実施形態の変形例2と概略同じ計測手順によって透明記録材の量を計測する。次に、本実施形態と、第1の実施形態の変形例2との計測手順の違いについて説明する。
【0085】
まず、ステップS1401において入力する対応テーブルは、離散的な記録材量について、当該記録材量と、当該記録材量に対応する透明記録材画像を光源(R)1601で照明したときの正反射光量。及び前記画像を光源(G)1602で照明したときの正反射光量。及び前記画像を光源(B)1603で照明したときの正反射光量との対応関係が記述されたテーブルである。
【0086】
次に、ステップS1402において、反射光量検出部804は、光源(R)1601で被計測試料を照明したときの当該被計測試料からの正反射光の光量SR。光源(G)1602で被計測試料を照明したときの当該被計測試料からの正反射光の光量SG。さらに、光源(B)1603で被計測試料を照明したときの当該被計測試料からの正反射光の光量SBを検出し、データ格納部807に格納する。
【0087】
また、ステップS1503において設定するHR、HG、HBは、それぞれ、光源(R)1601で照明したときの正反射光量、光源(G)1602で照明したときの正反射光量、光源(B)1603で照明したときの反射光量である。
【0088】
以上説明したように、本実施形態の計測装置は、透明記録材が定着した記録媒体である被計測試料を複数の色の光源で照明する。そして、各光源で照明された被計測試料からの正反射光について、光源毎の反射光量を検出することで、記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明記録材の量を計測可能にする。
【0089】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、プリンタの階調補正テーブルを作成する画像処理装置であって、透明インクの階調補正テーブルを作成して色処理を行う画像処理装置について説明する。なお、画像処理装置は、前述した実施形態の計測装置のいずれかの処理を組み込むことを特徴とする。本実施形態では、第1の実施形態の変形例2で説明した計測装置の処理を組み込む構成について説明するが、他の実施形態における処理を組み込む構成であってもよい。
【0090】
まず、図17を用いて、本実施形態の画像処理方法に係る画像形成装置のシグナルフローを説明する。
図17に示すように、本実施形態の画像処理方法に係る画像形成装置は、入力画像データを構成する色信号RGBをカラーマッチング部1701、色分解部1702、階調補正部1703、2値化部1704とを有する。そして、記録ヘッドへ転送されるインク吐出信号C''M''Y''K''Gy''N''へ変換する。
【0091】
カラーマッチング部1701は、カラーテーブル格納部1705に格納されたカラーテーブルを参照し、前記入力画像データを構成する色信号RGBから画像形成装置に依存した色信号R'G'B'を算出して出力する。カラーテーブル格納部1705に格納されたカラーテーブルには、離散的な色信号RGBに対応する色信号R'G'B'が記述されており、色信号R'G'B'は、前記カラーテーブルを用いた公知の3次元ルックアップテーブル法によって算出される。好適には、色再現の目的や印刷媒体の種類に応じた複数のカラーテーブルが用意されており、外部からの指示で、印刷の目的や使用する印刷媒体の種類に好適なカラーテーブルがカラーテーブル格納部1705に設定される。
【0092】
色分解部1702は、色分解テーブル格納部1706に格納された色分解テーブルを参照する。そして、カラーマッチング部1701が出力した前記色信号R'G'B'から印刷に用いるインクセット、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラック、グレイ、透明、に対応した記録材信号CMYKGyNを算出して出力する。
【0093】
なお、印刷に用いるインクセットは、前記と異なるセットであってもよい。例えば、レッドやグリーンといった特色インクやライトシアン、ライトマゼンタといった淡色インクを含むインクセットであってもよい。色分解テーブル格納部1706に格納された色分解テーブルには、離散的な色信号R'G'B'に対応する記録材信号CMYKGyNが記述されている。記録材信号CMYKGyNは、色分解テーブルを用いた公知の3次元ルックアップテーブル法によって算出される。
【0094】
好適には、印刷媒体の種類等に応じた色分解テーブルが複数用意されており、外部からの指示で使用する印刷媒体の種類に好適な色分解テーブルが色分解テーブル格納部1706に設定される。階調補正部1703は、階調補正テーブル格納部1707に格納された階調補正テーブルを参照する。そして、色分解部1702が出力した前記記録材信号CMYKLGyNから階調補正後の記録材信号C'M'Y'K'Gy'N'を算出して出力する。階調補正によって、記録ヘッドの製造ばらつきや経時変化などに起因する記録ヘッドの吐出量ばらつきを補正する。
【0095】
階調補正テーブル格納部1707に格納された階調補正テーブルには、各インクについて、離散的な記録材信号に対応する階調補正後の記録材信号が記述されている。階調補正後の記録材信号C'、M'、Y'、K'、Gy'、N'は、前記階調補正テーブルを用いた公知の1次元ルックアップテーブル法によって算出される。
【0096】
2値化部1704は、階調補正部1703が出力した前記色材信号C'M'Y'K'Gy'N'で構成される画像データを2値化し、2値信号C''M''Y''K''Gy''N''を出力する。具体的には、公知の誤差拡散法やディザ法等によって、階調補正後の記録材信号C'M'Y'K'Gy'N'で構成される各色多階調の濃度画像データから各色インクのドット密度によって当該濃度画像データを実質的に忠実に再現する2値画像データを生成する。
【0097】
出力される2値信号C''M''Y''K''Gy''N''は、各インクの2値画像データを構成する信号値であり、例えば、1であればインクを吐出し、0であればインクを吐出しないことを示す。本実施形態の画像処理装置は、階調補正テーブル格納部1707に格納される透明インクの階調補正テーブルを作成する装置である。
【0098】
次に、図18を用いて、本実施形態の画像処理方法の処理手順を説明する。
本実施形態の画像処理方法は、次の手順によって、透明インクの階調補正テーブルを作成する。まず、ステップS1801において、階調補正テーブル生成に必要な情報を設定する。具体的には、離散的な透明インクの記録材信号と、当該記録材信号に対応する反射光量データとの対応関係を記述した基準階調テーブルを設定する。記録材信号は、例えば、0、16、32、48、・・・、240、255の17階調である。
【0099】
また、反射光量データは、基準画像からの正反射光の赤色成分、緑色成分、青色成分である。前記基準画像は、補正のターゲットとなる基準プリンタで印刷した画像である。前述したように、反射光量データは透明インクの量に対応する。よって、前記基準階調テーブルは、当該記録材信号に対応する基準プリンタの透明インク量を示す。前記反射光量データは、例えば、デジタルカメラで画像を撮影することで取得する。
【0100】
この場合、撮影画像から各パッチの領域を抽出し、抽出した領域の平均RGB値を算出し、平均RGB値のR、G、Bを各色成分とする。また、反射光量データは、三刺激値を出力する輝度計を搭載したゴニオフォトメータを利用して取得してもよい。この場合、各パッチ領域の三刺激値XYZを計測し、所定の3x3のマトリクスを用いて計測したXYZをRGBに変換し、このR、G、Bを各色成分とする。次に、ステップS1802において、前記の離散的な記録材信号に対応する透明インクのパッチ画像データを生成する。
【0101】
パッチ画像データは、通常のRGBデータではなく、前述した画像形成装置のシグナルフローにおける階調補正後の記録材信号C'M'Y'K'Gy'N'で構成される。図19は、パッチ画像の一例を示す模式図である。
【0102】
1901は記録材信号が(C'、M'、Y'、K'、Gy'、N')=(0、0、0、0、0、0)のパッチである。1902は記録材信号が(C'、M'、Y'、K'、Gy'、N')=(0、0、0、0、0、16)のパッチ。以下同様で、1903は記録材信号が(C'、M'、Y'、K'、Gy'、N')=(0、0、0、0、0、255)のパッチである。パッチの位置が容易に分かるように、パッチ部は有色インクで縁取りされる。
【0103】
次に、ステップS1803において、ステップS1802で生成したパッチ画像データを被補正プリンタに送信し、パッチ画像を印刷する。被補正プリンタは、作成した階調補正テーブルを適用するプリンタである。パッチ画像を印刷する際は、被補正プリンタの印刷モードを階調補正テーブル作成モードに設定して印刷する。
【0104】
被補正プリンタは、階調補正テーブル作成モードが設定されると、前述したシグナルフローのカラーマッチング部1701、色分解部1702、階調補正部1703の処理をスキップし、入力データを2値化部1704へ直接入力する。
【0105】
次に、ステップS1804において、ステップS1803で印刷した各記録材信号に対応するパッチ画像の反射光量データを取得する。反射光量データは、前記パッチ画像からの正反射光の赤色成分、緑色成分、青色成分であり、被補正プリンタの透明インク量に対応する。また、反射光量データは、前述したようにデジタルカメラやゴニオフォトメータを利用して取得する。
【0106】
次に、ステップS1805において、ステップS1804で取得した反射光量データから階調テーブルを設定する。図20は、ステップS1805で設定する階調テーブルの例を示す図である。同図に示すように、階調テーブルは、各パッチ画像に対応する記録材信号N'とステップS1804で取得した正反射光の赤色成分の光量、緑色成分の光量、青色成分の光量とのテーブルである。
【0107】
次に、ステップS1806において、ステップS1801で設定した基準階調テーブルと、ステップS1805で設定した階調テーブルとから、階調補正テーブルを作成する。詳細は、後述する。最後に、ステップS1807において、ステップS1806で作成した階調補正テーブルを出力する。
【0108】
図21は、図18のステップS1806における階調補正テーブルの作成手順を詳細に説明するフローチャートである。
まず、ステップS2101において、記録材信号N'に0(離散記録材信号の最小値)を設定する。
【0109】
次に、ステップS2102において、ステップS2101で設定した基準階調テーブルを参照して、記録材信号N'に対応する赤色成分の光量SR、緑色成分の光量SG、青色成分の光量SBを取得する。前記SR、SG、SBは、記録材信号N'に対応する基準プリンタの透明インク量に対応する。
【0110】
次に、ステップS2103において、ステップ1805で設定した階調テーブルを参照して、反射光量データの各色成分がステップS2102で取得したSR、SG、SBとなる記録材信号Nを算出する。ここで、記録材信号N'と記録材信号Nとの間には次の関係がある。すなわち、基準プリンタに記録材信号N'を入力して印刷した画像の透明インク量と、被補正プリンタに記録材信号Nを入力して印刷した画像の透明インク量とは等しい。よって、被補正プリンタで印刷する画像の透明インク量を基準プリンタで印刷した画像の透明インク量に合わせるには、入力記録材信号がN'であった場合、これをNに変換して出力するような階調補正を行えばよい。
【0111】
そこで、次のステップS2104において、入力N'に対応する出力Nの関係を階調補正テーブルに記述する。次に、ステップS2105において、記録材信号N'と255(離散記録材信号の最大値)とを比較し、両者が等しい場合はステップS1807に進み、異なる場合はステップS2106に進む。ステップS2606では、記録材信号N'を次の記録材信号に更新し、ステップS2102へ進む。
【0112】
図22は、図21のステップS2103における記録材信号Nの算出手順を詳細に説明するフローチャートである。
まず、ステップS2201において、記録材信号Nの算出に必要な情報を設定する。具体的には、検索範囲Wに記録材信号Nの検索範囲、例えば16を設定する。また、最良スコアAに大きな値、例えば99999を設定する。
【0113】
次に、ステップS2202において、評価記録材信号PにN'−Wを設定する。N'−Wが0よりも小さい場合は、評価記録材信号Pに0を設定する。
次に、ステップS2203において、ステップS1805で設定した階調テーブルを参照して、評価記録材信号Pに対応する赤色成分の光量HR、緑色成分の光量HG、青色成分の光量HBとを設定する。
【0114】
ステップS1805で設定した階調テーブルは、図20に示すように、離散的な記録材信号と、当該記録材信号に対応する正反射光の赤色成分の光量、緑色成分の光量、青色成分の光量とのテーブルである。評価記録材信号Pに一致する記録材信号が前記テーブルにあれば、当該記録材信号に対応する各色成分の光量をHR、HG、HBに設定する。評価記録材信号Pに一致する記録材信号が前記テーブルになければ、評価記録材信号Pに対応する各色成分の光量を補間によって求め、HR、HG、HBに設定する。次に、ステップS2204において、評価記録材信号Pの評価値を算出する。具体的には、ステップS2203で設定したHR、HG、HBと、ステップS2102で取得したSR、SG、SBとから次の式(4)で評価値Eを算出する。
【0115】
E=(SR−HR)^2+(SG−HG)^2+(SB−HB)^2 ・・・(4)
次に、ステップS2205において、評価値Eと前記最良スコアAとを比較し、評価値Eが最良スコアAよりも小さければ、最良スコアAに評価値Eを設定し、かつ、候補記録材信号Mに評価記録材信号Pを設定する。
【0116】
次に、ステップS2206において、評価記録材信号Pに1を加える。次に、ステップS2207において、評価記録材信号PとN'+Wを比較し、評価記録材信号PがN'+Wよりも小さければ、ステップS2208に進み、その他の場合はステップS2209に進む。ステップS2208では、評価記録材信号Pと256とを比較し、両者が等しい場合はステップS2209に進み、異なる場合はステップS2203に進む。ステップS2209では、記録材信号Nに候補記録材信号Mを設定する。
【0117】
次に、図23を用いて、本実施形態の画像処理装置のハードウエア構成について説明する。図23において、CPU2301は、RAM2302及びROM2303に記憶されたプログラムに従ってこの画像処理装置全体の動作を制御する。RAM2302は、CPU2301のメインメモリとして使用され、CPU2301により実行されるプログラムがロードされる。また、RAM2302は、CPU2301による制御動作時に各種データを一時的に保存するワークエリアを提供する。
【0118】
ROM2303は、ブートプログラムや各種データを不揮発に記憶している。入力部2304はキーボード、マウス等のポインティングデバイスを有し、ユーザの操作による各種データの入力に使用される。表示部2305は、CRTや液晶などの表示ユニットを有し、処理対象のデータやユーザインタフェース(以下、UIと表記する)画面等の表示に使用される。
【0119】
外部記憶装置2306は大容量の記憶装置で、オペレーティング・システム(OS)、各種アプリケーションプログラムやデータなどが予めインストールされている。各アプリケーションプログラムの起動が指示されると、そのプログラムはRAM2302にロードされて実行される。
【0120】
ネットワークインターフェース2307は、LAN等の通信回線とのインターフェースを制御する。ネットワークインターフェース2307を介して、各種データをサーバと送受信する。プリンタインターフェース2308は、接続された被補正プリンタ(不図示)とのインターフェースを制御する。プリンタインターフェース2308を介して、印刷モードの設定や、パッチ画像データの送信を行う。
【0121】
次に、図24を用いて、本実施形態の画像処理装置の機能構成を説明する。本実施形態の画像処理装置は、入出力部2401と、制御部2402と、プリンタ制御部2403と、パッチ画像生成部2404と、階調テーブル設定部2405とを有する。また、基準記録材信号設定部2406と、基準光量データ設定部2407と、記録材信号算出部2408と、基準階調テーブル格納部2409と、パッチ画像格納部2410、反射光量データ格納部2411と、階調テーブル格納部2412とを有する。さらに、基準記録材信号格納部2413と、基準光量データ格納部2414と、階調補正テーブル格納部2415とを有する。
【0122】
各格納部は、前述したRAM2302によって実装される。その他の各部を構成する機能は、本実施形態では、CPU2301と各部のプログラムによって実装されているが、ハードウエアで構成されていてもよい。
【0123】
入出力部2401は、制御部2402の指示に基づき、基準プリンタの階調特性である基準階調テーブルや、被補正プリンタで印刷したパッチ画像の反射光量データ等を入力する。また、入出力部2401は、制御部2402の指示に基づき、作成した階調補正テーブルを表示部2305や外部記憶装置2306へ出力する。
【0124】
制御部2402は、入出力部2401を介して外部からの指示を受け、各部を制御して階調補正テーブルを作成し、入出力部2401を介して出力する。プリンタ制御部2403は、制御部2402の指示に基づき、接続されたプリンタ(不図示)の印刷モードの変更や、パッチ画像格納部2410に格納されたパッチ画像の印刷や、作成した階調補正テーブルの登録を行う。
【0125】
パッチ画像生成部2404は、制御部2402の指示に基づき、パッチ画像を生成し、パッチ画像格納部2410に格納する。階調テーブル設定部2405は、反射光量データ格納部2411に格納された反射光量データから被補正プリンタの階調テーブルを作成し、階調テーブル格納部2412に格納する。
【0126】
基準記録材信号設定部2406は、制御部2402の指示に基づき、基準記録材信号N'を設定し、基準記録材信号格納部2413に格納する。基準光量データ設定部2407は、制御部2402の指示に基づき、基準階調テーブル格納部2409に格納された基準階調テーブルから、基準記録材信号格納部2413に格納された基準記録材信号N'に対応する基準光量データを抽出する。そして、基準光量データ格納部2414に格納する。
【0127】
記録材信号算出部2408は、制御部2402の指示に基づき、階調テーブル格納部2412に格納された被補正プリンタの階調テーブルを参照し、基準光量データ格納部2414に格納された基準光量データに対応する被補正プリンタの記録材信号Nを算出する。そして、基準記録材信号格納部2413に格納された基準記録材信号N'と算出した記録材信号Nを階調補正テーブル格納部に格納される階調補正テーブルに記述する。
【0128】
基準階調テーブル格納部2409は、入出力部2401が入力した基準階調テーブルを格納する。パッチ画像格納部2410は、パッチ画像生成部2404が生成したパッチ画像を格納する。反射光量データ格納部2411は、入出力部2401が入力した被補正プリンタで印刷したパッチ画像の反射光量データを格納する。
【0129】
階調テーブル格納部2412は、階調テーブル設定部2405が設定した階調テーブルを格納する。基準記録材信号格納部2413は、基準記録材信号設定部2406が設定した基準記録材信号N'を格納する。基準光量データ格納部2414は、基準光量データ設定部2407が設定した基準光量データを格納する。階調補正テーブル格納部2415は、基準記録材信号格納部が格納する基準記録材信号N'と記録材信号算出部2408が算出した記録材信号Nとの対応関係を記述した階調補正テーブルを格納する。
【0130】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置は、離散的な記録材信号に対応する、被補正プリンタの透明インク画像について、照明された当該透明インク画像からの正反射光に関する複数の色成分ごとの反射光情報取得を行う。これにより、記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明インクの階調補正テーブルの作成を可能にする。
【0131】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、画像形成装置の実施形態として、透明インクの階調補正機能を有するインクジェットプリンタについて説明する。なお、画像形成装置は、前述した計測装置及び画像処理装置を組み込むことを特徴とする。
【0132】
まず、図25を用いて、本実施形態の画像形成装置の基本構成を説明する。
図25において、2501は記録ヘッドとインクタンクとが一体的に構成されているヘッドカートリッジである。このヘッドカートリッジ2501はキャリッジ2502に交換可能に搭載されている。ヘッドカートリッジ2501は、複数の吐出口からなる記録ヘッドとこの記録ヘッドへインクを供給するインクタンクを有し、また、記録ヘッドの各吐出口を駆動するための信号などを授受するためのコネクタが設けられている。
【0133】
ヘッドカートリッジ2501はキャリッジ2502に位置決めして交換可能に搭載されており、キャリッジ2502には、前記コネクタを介してヘッドカートリッジ2501に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダが設けられている。2503はガイドシャフトである。キャリッジ2502は、このガイドシャフト2503に沿って往復移動可能となっている。
【0134】
具体的には、キャリッジ2502は主走査モータ2504を駆動源としてモータ・プーリ2505、従動プーリ2506及びタイミング・ベルト2507等の駆動機構を介して駆動されるとともにその位置及び移動が制御される。なお、このキャリッジのガイドシャフト2503に沿った移動を「主走査」といい、移動方向を「主走査方向」という。プリント用紙などの記録媒体2508はオートシートフィーダ(以下ASF)2510に搭載されており、記録時には給紙モータ2511の駆動によってギアを介してピックアップローラ2512を回転させ、ASF2510から一枚ずつ分離給紙される。更に搬送ローラ2509の回転により、キャリッジ2502上のヘッドカートリッジ2501の吐出口面と対向する記録開始位置に搬送される。
【0135】
搬送ローラ2509はLFモータ2513の回転によりギアを介して行われる。その際、給紙されたかどうかの判定と給紙時の頭出し位置の確定は、ペーパエンドセンサ2515を記録媒体2508が通過した時点で行われる。キャリッジ2502に搭載されたヘッドカートリッジ2501は、吐出口面がキャリッジ2502から下方へ突出して記録媒体2508と平行になるように保持されている。
【0136】
記録動作は、次のようにして行われる。まず、記録媒体2508が所定の記録開始位置に搬送されると、キャリッジ2502が記録媒体2508上をガイドシャフト2503に沿って移動し、その移動の際に記録ヘッドの吐出口よりインクが吐出される。そして、キャリッジ2502がガイドシャフト2503の一方端まで移動すると、搬送ローラ2509が所定量だけ記録媒体2508をキャリッジ2502の走査方向に垂直な方向に搬送する。以下、これを「紙送り」または「副走査」といい、この搬送方向を「紙送り方向」または「副走査方向」という。
【0137】
記録媒体2508の所定量の搬送が終了すると、キャリッジ2502はガイドシャフト2503に沿って再度移動する。このように、記録ヘッドのキャリッジ2502による走査と紙送りとを繰り返すことにより記録媒体2508全体に画像が形成される。
【0138】
2514は、記録媒体2508に記録されたパッチ画像からの反射光量を検出する反射光量検出部である。反射光量検出部2514は、前述した計測装置の反射光量検出部である。例えば、前述した第1の実施形態の変形例2の計測装置における反射光量検出部804と同じ機能を有し、図11の光学系で実装される。
【0139】
反射光量検出部2514は、キャリッジ2502に搭載され、ヘッドカートリッジ2501と共にガイドシャフト2503に沿って移動する。反射光量の検出時は、キャリッジ2502の走査と搬送ローラ2509による紙送りとによって、反射光量検出部2514が被計測パッチ画像と対向する位置にくるように制御される。
【0140】
本実施形態の画像形成装置のシグナルフローは、前述した図17のシグナルフローである。入力画像データを構成する色信号RGBは、カラーマッチング部1701、色分解部1702、階調補正部1703、2値化部1704とによって、記録ヘッドへ転送されるインク吐出信号C''M''Y''K''Gy''N''へ変換される。さらに、本実施形態の画像形成装置は、階調補正テーブル格納部1707に格納される透明インクの階調補正テーブルを作成する機能を有する。階調補正テーブルを作成するための機能構成及び階調補正テーブルの作成手順は、前述した第3の実施形態の画像処理装置と概略同じである。
【0141】
以下に、第3の実施形態の画像処理装置との主な違いについて説明する。
まず、第3の実施形態の画像処理装置における被補正プリンタは、本実施形態では、本実施形態の画像形成装置そのものを示す。プリンタ制御部2403は、外部からの指示に基づき、前述した記録ヘッド、主走査モータ2504、LFモータ2513を制御して画像の印刷を行う。
【0142】
また、制御部2402は、外部からの指示または所定のタイミングに基づき、階調補正テーブルの作成を行う。ステップS1801で入力する基準階調テーブルは、離散的な透明インクの記録材信号と、反射光量検出部2514または、反射光量検出部2514と同等の構成を持つ装置によって取得した反射光量データとの対応関係を記述したテーブルである。
【0143】
また、ステップS1804では、まず、キャリッジ2502の走査と搬送ローラ2509による紙送りとによって、反射光量検出部2514がパッチ画像と対向する位置にくるように制御する。その後、反射光量検出部2514によって、パッチ画像を照明して当該パッチ画像からの正反射光の各色成分の光量を計測し、計測結果を反射光量データ格納部2411に格納する。
【0144】
これを繰り返すことで、全ての記録材信号に対応するパッチ画像の反射光量を取得する。反射光量の計測は、印刷の終了したパッチ画像の計測を記録ヘッドが残りのパッチ画像を印刷するのと同時に行ってもよいし、全てのパッチ画像の印刷が終了してから行ってもよい。
【0145】
また、本実施形態の階調補正テーブル格納部2415は、シグナルフローの説明における階調補正テーブル格納部1707を指す。ステップS1807の階調補正テーブルの出力は行わない。なお、反射光量検出部2514は、第1の実施形態の変形例2の構成に限らず、第1の実施形態や他の変形例の構成であっても構わない。
【0146】
また、第1の実施形態の変形例3で説明したように、反射光量の変わりに色相情報を利用する構成でも構わない。この場合、基準階調テーブル格納部2409に格納される基準階調テーブルや、階調テーブル格納部2412に格納される階調テーブルは、透明記録材信号と、当該透明記録材信号に対応する画像からの正反射光の色相情報とのテーブルである。また、基準光量データ設定部2407は光量データの代わりに色相情報を設定し、記録材信号算出部2408は、階調テーブル格納部2412に格納される前記階調テーブルを参照して、当該色相情報に対応する記録材信号を算出する。
【0147】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置は、透明インク画像を印刷し、照明された当該透明インク画像からの正反射光に関する複数の色成分ごとの反射光量情報を取得する。これにより、記録媒体上で数μm以下の薄い層を形成する透明インクの階調補正を可能にする。
【0148】
<その他の実施形態>
第4の実施形態では、透明インクの階調補正を行う画像形成装置に関して説明したが、画像形成装置の行う処理は階調補正に限らない。例えば、透明インク画像からの正反射光に関して、複数の色成分ごとの反射光量を取得することで透明記録材の量を求め、当該透明記録材の量が所定の範囲に入っていない場合には、記録ヘッドを交換するように報知する構成であってもよい。
【0149】
また、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給する実施形態でもよい。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0150】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることが出来る。
【0151】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部を行う。そして、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0152】
さらに、記憶媒体から読み出されたコンピュータプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0153】
601 被計測試料、602 光源、603 投光レンズ、604 受光レンズ、605 絞り、606 分光測光器1101 受光素子(R)、1102 受光素子(G)、1103 受光素子(B)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上の透明記録材の量を計測する計測装置であって、
前記透明記録材が記録された記録媒体である被計測試料を照明する照明手段と、
前記照明手段で照明された前記被計測試料からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出した複数の色成分ごとの反射光量から、前記被計測試料の透明記録材の量を算出する算出手段とを有することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記照明手段は、前記被計測試料を複数の色の光源でそれぞれ照明することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
透明記録材を利用する画像形成装置の階調補正テーブルを作成する色処理装置であって、
離散的な記録材信号の各々に対応する前記画像形成装置の透明記録材画像を照明した時の正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した複数の色成分ごとの反射光量情報から、透明記録材の階調補正テーブルを生成する生成手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記透明記録材画像を複数の色の光源で照明した時の正反射光について、光源毎の反射光量情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の色処理装置。
【請求項5】
記録媒体上の透明記録材の量を計測する計測方法であって、
前記透明記録材が記録された記録媒体である被計測試料を照明手段により照明する照明工程と、
前記照明手段で照明された前記被計測試料からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した複数の色成分ごとの反射光量から、前記被計測試料の透明記録材の量を算出する算出工程とを有することを特徴とする計測方法。
【請求項6】
前記照明工程は、前記被計測試料を複数の色の光源の照明手段により照明することを特徴とする請求項5に記載の計測方法。
【請求項7】
透明記録材を利用する画像形成装置の階調補正テーブルを作成する色処理方法であって、
離散的な記録材信号の各々に対応する前記画像形成装置の透明記録材画像を照明した時の正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した複数の色成分ごとの反射光量情報から、透明記録材の階調補正テーブルを生成する生成工程とを有することを特徴とする色処理方法。
【請求項8】
前記取得工程は、前記透明記録材画像を複数の色の光源で照明した時の正反射光について、光源毎の反射光量情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の色処理方法。
【請求項9】
透明記録材を利用する画像形成方法であって、
形成された透明記録材画像を照明する照明工程と、
前記照明工程で照明された前記透明記録材画像からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出工程と、
前記検出工程で検出した複数の色成分ごとの反射光量に基づき、透明記録材の記録材量を制御する制御工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記照明工程は、前記透明記録材画像を複数の色の光源で照明することを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
透明記録材を利用する画像形成装置であって、
形成された透明記録材画像を照明する照明手段と、
前記照明手段で照明された前記透明記録材画像からの正反射光について、複数の色成分ごとの反射光量を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出した複数の色成分ごとの反射光量に基づき、透明記録材の記録材量を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記照明手段は、前記透明記録材画像を複数の色の光源で照明することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
請求項5〜10の何れか1項に記載の方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−128118(P2011−128118A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289638(P2009−289638)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】