説明

計量器

【課題】 データ量の多い供給情報を電波にて伝送することができる安価な計量器を提供
することができるようにする。
【解決手段】
計量器100内のICタグ109に外部電波によりデータリクエストコードが書き込ま
れたことを検出した場合、当該データリクエストコードに対応した供給情報データをIC
タグ109に記憶させ、外部からの電波にてこのデータを読み出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被測定系の使用量等、供給情報に関するデータを取得する計量器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般家庭や工場、事業所の使用ガス量、使用電力量、使用水量を測定する計
量器が普及している。当該計量器は、被測定系の使用ガス量、使用電力量、使用水量を測
定する使用量検出手段と、使用量検出手段で検出した使用量をデータに編集する制御部と
、制御部にて編集されたデータを表示する表示部とを具備している。
【0003】
また、計量データを収集する方法としては計量器外部にICタグを具備し当該ICタグ
に計量データ等必要なデータをハンディターミナル等により人手により記憶させておく検
針システム(例えば特許文献1)や、計量器の内部または外部にICタグを設けておき計
量データ等必要なデータを記憶しておく計量器がある(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−323686号公報(第6頁、図1)
【特許文献2】特開2001−147144号公報(第5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の計量器ではICタグの記憶容量が小さいため記憶容量を多く必要
とする例えば計量データや供給系の異常情報等の供給情報データは伝送することができな
かった。一方大量のデータを伝送するためには例えば特定小電力無線等を利用した電波送
受信回路にて伝送することが考えられるが、このような電波送受信回路を計量器に搭載す
ることは、計量器が高価なものになってしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は、データ量の多い供給情報データを伝送することができる安価な計量器を提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による計量器は、供給情報検出手段と、前記供給情
報検出手段により検出されたデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前
記データをICタグに記憶させる書き込み手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、データ量の多い供給情報データを無線電波にて伝送することができる
安価な計量器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明による計量器の実施例1であるガスメータについて図1を参照して説明する。
【0010】
100は計量器本体でガスメータ、電力量計、水道メータのような計量器がこれに相当
する。
101は供給情報検出手段としての使用量検出部で、超音波をガス流に重畳させその超
音波の伝播時間からガス流速を求めガス流量を算出するガス量検出装置等により構成され
、ガス流量ならびにガスの逆流を検出し電気信号に変換する。なお、電力量計の場合は電
力量検出装置により構成されており、外部から供給される電圧、負荷側で使用される使用
電流を検出し、乗算し電力量に対応した電気信号に変換する。また、水道メータの場合は
水量検出装置により構成され、水量を検出し電気信号に変換する。
【0011】
102は供給情報検出手段としての圧力検出部で、圧力センサ等により構成され、ガス
管内のガスの異常圧力を検出し、電気信号に変換する。
【0012】
103は供給情報検出手段としての振動検出部で、感振センサ等により構成され、地震
等による振動を検出し、電気信号に変換する。
【0013】
104は表示部で液晶表示器等により構成されており、使用ガス量データ等を表示する。
【0014】
105は時刻識別手段で、日本標準時電波信号受信回路を有する時計回路により構成され
、日本標準時電波信号を受信し、水晶発振等によるクロックパルスを計数し年月日時分秒
の時刻データを作成する。
【0015】
106は制御部でマイクロコンピュータ等により構成され、使用量検出部101により検
出されたガス量を使用ガス量データに編集する。ここで使用ガス量データとは総積算使用
ガス量ならびに各時間帯毎の使用ガス量等をいう。また、制御部106は逆流を検出した
場合はガス流量検出部101から、ガス管内の異常圧力を検出した場合は圧力検出部10
2から、地震等の振動を検出した場合は振動検出部103からそれぞれ検出信号を受け、
これらの検出データに時刻識別手段105からの時刻データをその発生時刻として付加し
異常データを作成する。制御部106は使用ガス量データと異常データを供給情報データ
として記憶手段107に記憶させる。また、制御部106は使用ガス量データを表示部1
04に表示させる。
【0016】
107は記憶手段でRAMのような半導体メモリにより構成され、供給情報データを記憶
する。なおここで供給情報データとは前記のように使用ガス量データであるところの総積
算使用ガス量ならびに各時間帯毎の使用ガス量等の使用量データならびに、ガス流量検出
部101により検出された逆流データ、圧力検出部102により検出された異常圧力デー
タ、振動検出部103にて検出された振動データ等に発生日時を付加した異常データをい
う。
【0017】
108は入出力手段で、シリアル信号送受信回路等により構成され、ICタグ109に
対しデータの書き込み、ならびに読み出しを行う。
【0018】
109はICタグで、電波によりデータの呼び出しができる不揮発性半導体メモリ等で
構成され、データリクエストコードならびにこれに対応した供給情報データを記憶する。
データリクエストコードは電波送受信機能を持つ外部装置等外部から電波にて書き込まれ
入出力手段108を介し制御部106により読み出される。供給情報データはシリアルデ
ータ等にて入出力手段108を介し制御部106により書き込まれ、外部から電波にて読
み出される。
【0019】
次に、ICタグ109の内部構成詳細について図2を参照して説明する。201はアンテ
ナで、例えば電波発生機能を持つハンディターミナル等の外部装置と電波信号の送受信を
行う。202は送受信部で、アンテナ201にて受信した電波発生機能を持つハンディタ
ーミナル等の外部装置から送信される各種データリクエストコードを受信し、記憶部20
3が記憶している供給情報データをアンテナ201から電波にて送信する。203は記憶
部で不揮発性のメモリ、例えば強誘電メモリ(F−RAM)等により構成され、データリ
クエストコードならびに供給情報データを記憶する。データリクエストコードは電波送受
信機能を持つハンディターミナル等の外部装置から電波にてアンテナ201、送受信部2
02を介して書き込まれ、シリアルデータ等にて制御回路204から読み出される。供給
情報データはシリアルデータ等にて制御回路204を介し書き込まれ、外部装置からの電
波にて送受信部202、アンテナ201を介して読み出される。
【0020】
次に、本実施例の動作を、図3ならびに図4のプログラム構成図を参照しつつ、説明す
る。本プログラムは制御部106内のプログラムメモリ内に記憶され、制御部106の動
作を制御している。
【0021】
供給情報データを計量器100から読み出すには、検針員等の操作者が電波発生機能を持
つハンディターミナル等の外部装置を操作しデータ取得を行う。図3において300は外
部装置でハンディーターミナル等がこれにあたる。301は操作部でキーボードスイッチ
等により構成され操作者により操作される。302は制御部でマイクロコンピュータ等か
ら構成され、操作部301からの入力を受けタグ伝送部303並びに記憶部304を制御
する。タグ伝送部303は無線電波送受信回路により構成され、制御部302の制御のも
と電波を送出し計量器100内のICタグ109にデータリクエストコードを書き込み、
またICタグ109内の供給情報データを読み出す。304は記憶部でRAMのような半
導体メモリにより構成され、制御部302がタグリーダ部303を介しICタグ109か
ら取得した供給情報データを記憶する。
【0022】
先ず、供給情報データを計量器100から読み出すにあたり操作者は外部装置300の操
作部301を操作しICタグ109と伝送を行うよう入力する。すると、外部装置300
内の制御部302はタグ伝送部303を制御し電波を送出し計量器100内のICタグ1
09にデータリクエストコードを記憶させる。ここでデータリクエストコードは計量器1
00に伝送を命じる旨の伝送命令コードと、伝送するデータの種別を表すデータ種別コー
ドから構成されている。ICタグ109の記憶容量は大きくないため計量器が持つすべて
の供給情報データを一度に記憶することができない。従って、ICタグ109の記憶容量
を越えるデータ量の伝送を行う場合は、何回にも回数を分けて伝送を行うことが必要にな
る。この場合データの種別を特定する必要があるが、当該データ種別コードは、外部装置
側にてその種別を指定するためのものである。データリクエストコードのデータ種別コー
ドは例えば、計量値データの伝送をリクエストする計量値データリクエストコード、逆流
データの伝送をリクエストする逆流データリクエストコード、圧力データの伝送をリクエ
ストする圧力データリクエストコード、振動データの伝送をリクエストする振動データリ
クエストコード等の種類がある。また、さらに計量値データリクエストコードは総積算使
用ガス量データリクエストコードならびに各時間帯毎の時間帯使用ガス量データリクエス
トコードに分けられる。
一方、計量器100内では制御部106が常時監視しておりICタグ109にデータリク
エストコードが記録されたかを検出する(ステップ401)。
【0023】
データリクエストコードを検出した制御部106は当該コードが計量値データリクエスト
コードであるか(ステップ402)、逆流データリクエストコードであるか(ステップ4
04)、圧力データリクエストコードであるか(ステップ406)振動データリクエスト
コードであるか(ステップ408)を判断し、計量値データリクエストコードである場合
は当該コード中に指定された総積算使用ガス量データまたは対応する時間帯使用ガス量デ
ータを(ステップ403)、逆流データリクエストコードである場合は逆流データを(ス
テップ405)、圧力データリクエストコードである場合は圧力データを(ステップ40
7)、振動データリクエストコードである場合は振動データを(ステップ409)ICタ
グ109中の各種データリクエストコードが記憶されている領域と異なる領域に記憶させ
る。さらに制御部106はステップ403、405、407、409にてデータをICタ
グに記憶させた後、ICタグに記憶されている各種データリクエストコードを消去する(
ステップ410)。
【0024】
その後、外部装置300において制御部302は当該ICタグ109に記憶された各種供
給情報データをタグ伝送部303を介し電波にて読み出し、記憶部304に記憶させる。
尚、データ数が多い場合、制御部302は各種データリクエストコードを複数回送信し上
記動作を繰り返し供給情報データを計量器100から取得する。
【0025】
このようにして、データ量の多い供給情報データでもICタグ109を介しハンディータ
ーミナル等の外部装置300に取得することができる。
【0026】
また、本実施例を用いれば計量器が検出した逆流、異常圧力、振動等の異常データを取得
することができる。当該逆流は所謂脈動と呼ばれ、ガス管等供給系内の圧力が下がること
により発生するが、発生場所や時刻は一定ではない。脈動がどこの地域で何時発生するか
を把握することはガスを安定供給しようとするガス事業者にとって重要な事項である。ま
た、地震や振動が発生した場合、ガス管のような供給設備が破損していることもあり、当
該振動がどこの地域で何時発生したかを把握することは、ガスを安定供給しようとするガ
ス事業者にとって重要な事項である。本実施例を用いればガス事業者に判断材料となる異
常データを供給することが可能である。
【0027】
以上のように、本発明を用いれば、データ量の多い供給情報データを伝送することがで
きる安価な計量器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による計量器の実施例1の構成を示す内部構成図
【図2】本発明による計量器にかかるICタグの構成を示す内部構成図
【図3】本発明による計量器の使用方法を示す説明図
【図4】本発明による実施例1のプログラムを示すプログラム構成図
【符号の説明】
【0029】
100 計量器本体
101 使用量検出部
102 圧力検出部
103 振動検出部
104 表示部
105 時刻識別手段
106 制御部
107 記憶手段
108 入出力手段
109 ICタグ
201 アンテナ
202 送受信部
203 記憶部
204 制御回路
300 端末機器
301 操作部
302 制御部
303 タグ伝送部
304 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用量データおよび異常データのうち少なくとも一つのデータを検出する供給情報検出手
段と、
前記供給情報検出手段により検出されたデータを記憶する記憶手段と、
ICタグに記憶されたデータリクエストコードを検出するデータリクエストコード検出手
段と、
前記データリクエストコードに対応した前記記憶手段に記憶されている前記データを前記
ICタグに書き込む書き込み手段と
を具備したことを特徴とする計量器。
【請求項2】
使用量データおよび異常データのうち少なくとも一つのデータを検出する供給情報検出手
段と、
時刻を識別する時刻識別手段と、
前記供給情報検出手段により検出されたデータを、前記時刻識別手段により検出された発
生時刻情報とともに記憶する記憶手段と、
ICタグに記憶されたデータリクエストコードを検出するデータリクエストコード検出手
段と、
前記データリクエストコードに対応した前記記憶手段に記憶されている前記データならび
に前記発生時刻情報を前記ICタグに書き込む書き込み手段と
を具備したことを特徴とする計量器。
【請求項3】
前記時刻識別手段は日本標準時電波信号受信部を具備したことを特徴とする請求項2記載
の計量器。
【請求項4】
前記供給情報検出手段はガス流の逆流検出手段であることを特徴とした請求項1乃至3の
いずれか1項記載の計量器。
【請求項5】
前記供給情報検出手段はガス圧力検出手段であることを特徴とした請求項1乃至3のいず
れか1項記載の計量器。
【請求項6】
前記供給情報検出手段は振動検出手段であることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか
1項記載の計量器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−114975(P2007−114975A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305037(P2005−305037)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】