説明

記憶装置

【課題】揮発性メモリからアドレステーブルが消失された場合であっても、予備ブロックに対してデータのアクセスを行うことができる記憶装置を提供すること。
【解決手段】データブロック領域と予備ブロック領域とを備える不揮発性メモリ44bと、不良ブロックの先頭アドレスと当該不良ブロックを代替する予備ブロックの先頭アドレスとを対応させて構成されるアドレス対を記憶する揮発性メモリ44aと、アドレス対を参照することによって不良ブロックに代替された予備ブロックにアクセスする制御部45と、を備える。制御部45は、揮発性メモリ44aからアドレス対が消失している場合、予備ブロック領域へアクセスし、予備ブロックの先頭アドレスと当該予備ブロックに記憶されている不良ブロックの先頭アドレスを読み出し、予備ブロックの先頭アドレスと不良ブロックの先頭アドレスのアドレス対を生成し、生成したアドレス対を揮発性メモリ44aに記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のメモリを有する記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、携帯電話等の電子機器は、データを記憶する記憶媒体として、アドレスが付されたブロックという記憶単位でデータの管理を行うフラッシュメモリが使用されることが多い。
【0003】
ここで、特許文献1には、どのような種類のフラッシュメモリ(例えば、NANDフラッシュメモリ)に対しても対応可能な制御部を提供する技術が記載されている。ところで、フラッシュメモリ内には、例えば、ハードウェアの欠陥等によってデータを正常に書き込んだり読み込んだりすることができない、不良ブロック(バッドブロック)と呼ばれるブロックが発生することがある。
【0004】
バッドブロックになってしまったブロックは、二度とアクセス(データのバッドブロックみ、消去)できなくなる。よって、バッドブロックに保存されていたデータは、別のブロックに代わりに保存される。このようにバッドブロックに代替して記憶するブロックのことを予備ブロックという。
【0005】
また、電子機器では、フラッシュメモリに記憶されているデータに対するアクセス(データの読み出し、書き込み、消去)がアドレス(フラッシュメモリのページ番号やブロック番号を含む。)の指定によって行われるため、データの保存先がバッドブロックから予備ブロックに変わったことに伴って、データが現に保存されているブロックのアドレスに指定アドレスを変更する必要がある。
【0006】
現在は、ファイルシステム等のクライアントは、主に、バッドブロックのアドレスと予備ブロックのアドレスとを対にして記憶されているテーブルを参照することによって、新しいアドレス先の予備ブロックにアクセスしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−158991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したテーブル(以下では、アドレステーブルと呼ぶ)は、ファイルシステム等にクライアントによって、高速にアクセスできることが要求される。そのため、従来の電子機器は、高速に応答することが可能なメモリ(例えば、SDRAM(Synchronous DRAM))上にアドレステーブルを記憶し、かつ、不慮の事故(電源のシャットダウン等)によるメモリの初期化に備えて不揮発性のメモリ(フラッシュメモリ)にもアドレステーブルを記憶している。ここで、SDRAMは、揮発性のメモリであるため、電源の供給がなくなると、記憶しているデータを保持できず、消失してしまう。また、上述したように、フラッシュメモリは、構造上、バッドブロックが発生する。
【0009】
したがって、従来の電子機器では、電源の供給が無くなってSDRAMからアドレステーブルが消失し、その後電源の供給を再開したときに、アドレステーブルが格納されているブロックがバッドブロックになると、アドレステーブルが読み出せなくなり、予備ブロックに保存されているデータにアクセスができなくなってしまう。
【0010】
本発明では、不揮発性メモリにアドレステーブルを記憶せず、揮発性メモリからアドレステーブルが消失された場合であっても、予備ブロックに対してデータのアクセスを行うことができる記憶装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る記憶装置は、上記課題を解決するために、ブロック単位で管理され、前記ブロックには固有のアドレスが付されており、データが書き込まれる複数のブロックで構成されるデータブロック領域と、当該データブロック領域のブロックが不良ブロックとなった場合に、当該不良ブロックに記憶されていたデータを代わりに記憶する複数の予備ブロックで構成される予備ブロック領域と、を備える不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに不良ブロックが存在する場合、当該不良ブロックの先頭アドレスと、当該不良ブロックを代替する予備ブロックの先頭アドレスとを対応させて構成されるアドレス対を記憶する揮発性メモリと、前記不揮発性メモリの不良ブロックにアクセスする場合、前記揮発性メモリに記憶された前記アドレス対を参照することによって、前記不良ブロックに代替された予備ブロックにアクセスする制御部と、を備え、前記制御部は、不良ブロックが発生した場合に、当該不良ブロックに代替される予備ブロックに当該不良ブロックのアドレスを、データと併せて記憶し、前記揮発性メモリから前記アドレス対が消失している場合、前記予備ブロック領域へアクセスし、予備ブロックの先頭アドレスと当該予備ブロックに記憶されている不良ブロックの先頭アドレスを読み出し、前記予備ブロックの先頭アドレスと前記不良ブロックの先頭アドレスのアドレス対を生成し、当該生成したアドレス対を前記揮発性メモリに記憶する。
【0012】
また、記憶装置では、前記予備ブロックは、データの記憶領域以外にスペア領域を有しており、前記制御部は、当該スペア領域に不良ブロックのアドレスを記憶することが好ましい。
【0013】
また、記憶装置では、前記予備ブロックは、データの誤り訂正を実行する誤り訂正機能を前記スペア領域内に有し、前記制御部は、前記揮発性メモリに前記アドレス対が存在する場合、前記誤り訂正機能を有効状態に切り替えて、前記不揮発性メモリへアクセスし、前記揮発性メモリに前記アドレス対が存在しない場合、前記誤り訂正機能を無効状態に切り替えて前記不揮発性メモリへアクセスすることにより前記スペア領域内の不良ブロックのアドレスを読み出して前記アドレス対を生成することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、不揮発性メモリにアドレステーブルを記憶せず、揮発性メモリからアドレステーブルが消失された場合であっても、予備ブロックに対してデータのアクセスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】携帯電話装置の外観斜視図である。
【図2】携帯電話装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】不揮発性メモリの構成を模式的に示す図である。
【図4】アドレステーブルの構成を模式的に示す図である。
【図5】アドレステーブルが存在する場合と、存在しない場合とにおける制御部の動作につていの説明に供する図である。
【図6】アドレステーブルを生成する方法についての説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る記憶装置を内蔵する携帯電話装置1の外観斜視図を示す。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが一つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でも良い。
【0017】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12を備えて構成される。操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15から構成されている。
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)表示部21と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ22を備えて構成されている。
【0018】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話装置1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0019】
また、図2は、携帯電話装置1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話装置1は、図2に示すように、操作部11と、マイク12と、メインアンテナ40と、RF回路部41と、LCD制御部42と、音声処理部43と、メモリ44と、制御部45が操作部側筐体部2に備えられ、LCD表示部21と、スピーカ22と、LCDドライバ23が表示部側筐体部3に備えられている。
【0020】
メインアンテナ40は、第1の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局等と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯(例えば、1.5GHz)に対応できるデュアルバンド対応構成である。なお、本実施の形態では、第1の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であっても良い。また、メインアンテナ40は、第1の使用周波数帯で外部装置と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯に対応できるアンテナを別途設けても良い。
【0021】
RF回路部41は、メインアンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部45に供給する。そして、制御部45から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40を介して外部装置(基地局)に送信する。また、その一方で、メインアンテナ40によって受信している信号の強度を制御部45に通知する。
【0022】
LCD制御部42は、制御部45の制御にしたがって、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをLCDドライバ23に出力する。LCDドライバ23は、LCD制御部42から供給された画像データをフレームメモリに蓄え、所定のタイミングでLCD表示部21又はサブLCD表示部30に出力する。
音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声処理部43から供給された信号を外部に出力する。
【0023】
また、音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号をRF回路部41に出力する。RF回路部41は、音声処理部43から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をメインアンテナ40に出力する。
【0024】
メモリ44は、揮発性メモリ44a(例えば、SDRAM(Synchronous DRAM)である。)と不揮発性メモリ44b(例えば、NAND型フラッシュメモリである。)を含んで構成されている。また、揮発性メモリ44aは、制御部45による演算処理に利用されるワーキングメモリとしての機能を有する。不揮発性メモリ44bは、複数のアプリケーションや当該アプリケーションが必要とする各種のテーブル等が記憶されている。
制御部45は、携帯電話装置1の全体を制御しており、中央処理装置(CPU)等を用いて構成される。
【0025】
ここで、不揮発性メモリ44bの構造について説明する。不揮発性メモリ44bは、フローティング・ゲートの絶縁部の消耗により、メモリセルの書き込みが規定時間で完了しなくなることがある。このようなブロックは、プログラムの実行を行ってもエラーとなるため、不良ブロック(バッドブロック)として以降のメモリ管理対象から除外される必要がある。また、バッドブロックが発生した時点では、そのブロックの中に有効なデータがまだ格納されている場合がある。この場合には、有効なデータを正常なブロックに移動したうえで、バッドブロックをメモリ管理対象から除外する。
【0026】
従来の携帯電話装置では、バッドブロックから正常なブロック(例えば、予備ブロック)にデータを移動した際に、退避元のアドレス(バッドブロックのアドレス)と、退避先のアドレス(予備ブロックのアドレス)を関連付けたテーブル(以下、アドレステーブルと呼ぶ)を作成して、このテーブルを揮発性メモリ44aと不揮発性メモリ44bに格納していた。
【0027】
本実施形態に係る携帯電話装置1では、不揮発性メモリ44bにアドレステーブルを記憶させず、かつ、揮発性メモリ44aからアドレステーブルが消失された場合であっても、予備ブロックに対してデータのアクセスを行うことが可能な機能を有している。
【0028】
携帯電話装置1は、制御部45と、メモリ44の協調動作によって当該機能を発揮する。ここで、制御部45とメモリ44の詳細な構成と動作について説明する。
【0029】
不揮発性メモリ44bは、所定の容量で規定されるブロック単位で管理されている。当該ブロックは、複数のページで構成され、固有のアドレスが付されている。また、不揮発性メモリ44bは、図3に示すように、データが書き込まれる複数のブロックB1〜Bn(ただし、nは、1以上の自然数)で構成されるデータブロック領域A1と、当該データブロック領域A1のブロックが不良ブロック(バッドブロック)BBとなった場合に、当該バッドブロックBBに記憶されていたデータを代わりに記憶する複数の予備ブロックRB1〜RBn(ただし、nは、1以上の自然数)で構成される予備ブロック領域A2とを備える。
【0030】
また、揮発性メモリ44aは、不揮発性メモリ44bにバッドブロックBBが存在する場合、当該バッドブロックBBの先頭アドレスと、当該バッドブロックBBを代替する予備ブロックRBの先頭アドレスとを対応させて構成されるアドレス対(アドレステーブル)ATを記憶する。ここで、アドレステーブルATは、例えば、図4に示すように、退避元のアドレス(バッドブロックBBのアドレス)と、退避先のアドレス(予備ブロックRBのアドレス)が関連付けられて構成される。
【0031】
制御部45は、不揮発性メモリ44bのバッドブロックBBにアクセスする場合、揮発性メモリ44aに記憶されたアドレステーブルATを参照することによって、バッドブロックBBに代替された予備ブロックRBにアクセスする。また、制御部45は、バッドブロックBBが発生した場合に、当該バッドブロックBBに代替される予備ブロックRBに当該バッドブロックBBのアドレスを、データと併せて記憶する。そして、制御部45は、揮発性メモリ44aからアドレステーブルATが消失している場合には、予備ブロック領域A2へアクセスし、予備ブロックRBの先頭アドレスと当該予備ブロックRBに記憶されているバッドブロックBBの先頭アドレスを読み出し、予備ブロックRBの先頭アドレスとバッドブロックBBの先頭アドレスのアドレステーブルATを生成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶(復旧)する。
【0032】
例えば、制御部45は、図3に示す不揮発性メモリ44bのデータブロック領域A1のブロックB2がバッドブロックBBとなり、ブロックB2のデータを予備ブロック領域A2の予備ブロックRB2に退避させた場合には、予備ブロックRB2の所定の場所に退避元のブロックB2のアドレスを記憶する。つぎに、制御部45は、予備ブロックRB2の先頭アドレスと、所定の場所に記憶されているブロックB2のアドレスに基づいて、アドレステーブルATを作成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶する。
【0033】
制御部45は、揮発性メモリ44aに記憶されているアドレステーブルATを参照することにより、予備ブロックRB2にアクセスすることができ、ブロックB2に記憶されていたデータを読み出すことが可能となる。
【0034】
また、揮発性メモリ44aは、電源のシャットダウンによって記憶しているデータを消失する。この場合には、制御部45は、電源が供給された後に、予備ブロック領域A2にアクセスし、各予備ブロックRB1〜RBnにデータが記憶されている場合には、上述したようにアドレステーブルATを生成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶させる。
【0035】
また、電源のシャットダウン以外の理由によって揮発性メモリ44aに記憶させたアドレステーブルATを消失してしまった場合には、例えば、電源をシャットダウンさせ、再び電源を供給することによって、制御部45は、上述したように、新たにアドレステーブルATを生成して揮発性メモリ44aに記憶するように制御する。
【0036】
このようにして、携帯電話装置1は、不揮発性メモリ44bにアドレステーブルATを記憶させず、かつ、揮発性メモリ44aからアドレステーブルATが消失された場合であっても、予備ブロックRB1〜RBnに対してデータのアクセスを行うことができる。
【0037】
また、予備ブロックRB1〜RBnは、データの記憶領域以外にスペア領域SAを有している。制御部45は、スペア領域SAにバッドブロックのアドレスを記憶する。
例えば、制御部45は、図3に示す不揮発性メモリ44bのデータブロック領域A1のブロックB2がバッドブロックBBとなり、ブロックB2のデータを予備ブロック領域A2の予備ブロックRB2に退避させた場合には、予備ブロックRB2のスペア領域SA2に退避元のブロックB2のアドレスを記憶する。つぎに、制御部45は、予備ブロックRB2の先頭アドレスと、スペア領域SA2に記憶されているブロックB2のアドレスに基づいて、アドレステーブルATを作成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶する。
【0038】
スペア領域SAは、データの誤りを検出し、正しい値に訂正する誤り訂正(ECC、Error Check and Correct)に利用される領域である。制御部45は、このスペア領域SA内の空き領域に退避元のブロックB2のアドレスを記憶するように制御する。
【0039】
このようにして、携帯電話装置1は、退避元のブロックB2のアドレスを記憶するために、新たに領域を設けることなく、既存のスペア領域SAを有効に活用することにより、不揮発性メモリ44bにアドレステーブルATを記憶させず、かつ、揮発性メモリ44aからアドレステーブルATが消失された場合であっても、予備ブロックRB1〜RBnに対してデータのアクセスを行うことができる。
【0040】
また、携帯電話装置1では、データブロック領域A1のブロックB1がバッドブロックになった場合には、ブロックB1に記憶されていたデータは、予備ブロックRB1に記憶されるように、退避元となるデータブロック領域A1のブロックB1〜Bnと、退避先となる予備ブロック領域A2の予備ブロックRB1〜RBnは、予め対応付けられていても良い。
【0041】
このように構成されることにより、携帯電話装置1は、アドレステーブルATを不揮発性メモリ44bに記憶しておかなくても、予備ブロック領域A2の予備ブロックRB1〜RBnを参照することによって、いつでもアドレステーブルを作成又は復旧することができ、不揮発性メモリ44bを無駄なく有効に活用することができる。
【0042】
ここで、アドレステーブルATの復旧(作成)方法について説明する。なお、以下では、電源のシャットダウン等によって、揮発性メモリ44aからアドレステーブルATが消失した場合を想定して説明する。また、予備ブロック領域A2は、所定のアドレス(0h〜40h)が付されているものとする。
【0043】
データブロック領域A1のブロックB320と、ブロックB400がバッドブロックになった場合、制御部45は、予備ブロックRB0にブロックB320のデータを記憶し、予備ブロックRB0のスペア領域SA0に退避元のブロックのアドレス(320h)を記憶させ、また、同様に、予備ブロックRB1にブロックB400のデータを記憶し、予備ブロックRB1のスペア領域SA1に退避元のブロックのアドレス(400h)を記憶させる(図5(a)を参照)。
【0044】
制御部45は、予備ブロックRB0と予備ブロックRB1を参照して、退避元と退避先の対応関係を示すアドレステーブルATを生成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶する。
【0045】
電源がシャットダウンされ、その後、電源が供給された場合には、揮発性メモリ44aからアドレステーブルATが消失しているので、この段階では、図5(b)に示すように、制御部45は、退避先のアドレスが分からないため、バッドブロックのデータを読み出すことができない。
【0046】
そこで、制御部45は、揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが見当たらないときには、予備ブロック領域A2を参照して、アドレステーブルATの作成(復旧)を試みる。本実施例では、制御部45は、予備ブロックRB0と予備ブロックRB1を参照して、退避元と退避先の対応関係を示すアドレステーブルATを再び生成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶する。
【0047】
制御部45は、揮発性メモリ44aに記憶されているアドレステーブルATを参照することによって、バッドブロックのデータを退避先のブロック(予備ブロックRB0、RB1)から読み出すことができる(図5(c)を参照)。
【0048】
つぎに、携帯電話装置1によりアドレステーブルATを生成する方法について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップST1において、制御部45は、揮発性メモリ44aにアクセスして、アドレステーブルATを検索する。なお、ステップST1の工程は、アドレステーブルATが検索されるまで所定回数(所定時間)検索を実行する。
【0049】
ステップST2において、制御部45は、ステップST1の工程により、揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが発見されたか否かを判断する。揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが発見された場合(Yes)には、ステップST3に進み、揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが発見されなかった場合(No)には、ステップST4に進む。
【0050】
ステップST3において、制御部45は、アドレステーブルATを参照して、メモリアクセス処理を実行する。
また、ステップST4において、制御部45は、アドレステーブルATの復旧処理を実行する。具体的には、制御部45は、予備ブロック領域A2を参照して、各予備ブロックRB1〜RBnに基づいて、退避元と退避先の対応関係を示すアドレステーブルATを生成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶する。
【0051】
なお、上述した方法によるアドレステーブルATの生成は、電源が供給される度に行っても良いし、電源が供給された後、所定期間ごとに行っても良い。
【0052】
また、制御部45は、揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが存在する場合、誤り訂正する機能を有効状態に切り替えて、不揮発性メモリ44bへアクセスし、揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが存在しない場合、誤り訂正する機能を無効状態に切り替えて不揮発性メモリ44bへアクセスするように制御する。
【0053】
誤り訂正する機能が有効状態に切り替えられている場合には、制御部45は、スペア領域に記憶されている退避元のブロックB2のアドレスを読み出すことができない。そこで、制御部45は、アドレステーブルATを作成する必要がある場合、すなわち、揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが存在しない場合に、誤り訂正する機能を無効状態に切り替える。
【0054】
例えば、制御部45は、図3に示す不揮発性メモリ44bのデータブロック領域A1のブロックB2がバッドブロックBBとなり、ブロックB2のデータを予備ブロック領域A2の予備ブロックRB2に退避させた場合には、予備ブロックRB2のスペア領域SA2に退避元のブロックB2のアドレスを記憶する。つぎに、制御部45は、予備ブロックRB2の先頭アドレスと、スペア領域SA2に記憶されているブロックB2のアドレスに基づいて、アドレステーブルATを作成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶する。この状態においては、揮発性メモリ44aにはアドレステーブルATが存在するので、制御部45は、誤り訂正する機能を有効状態に切り替える。
【0055】
制御部45は、揮発性メモリ44aにアクセスし、アドレステーブルATが存在しない場合には、不揮発性メモリ44bの誤り訂正する機能を無効状態に切り替える。そして、制御部45は、予備ブロックRB2の先頭アドレスと、スペア領域SA2に記憶されているブロックB2のアドレスに基づいて、アドレステーブルATを作成し、生成したアドレステーブルATを揮発性メモリ44aに記憶する。その後、制御部45は、誤り訂正する機能を有効状態に切り替える。
【0056】
このようにして、携帯電話装置1は、揮発性メモリ44aにアドレステーブルATが記憶されているか否かに応じて、誤り訂正する機能を有効状態又は無効状態に切り替えることによって、誤り訂正する機能と競合することなく、既存のスペア領域SAを有効に活用することができ、不揮発性メモリ44bにアドレステーブルATを記憶させず、かつ、揮発性メモリ44aからアドレステーブルATが消失された場合であっても、予備ブロックRB1〜RBnに対してデータのアクセスを行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯電話装置
44 メモリ
44a 揮発性メモリ
44b 不揮発性メモリ
45 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック単位で管理され、前記ブロックには固有のアドレスが付されており、データが書き込まれる複数のブロックで構成されるデータブロック領域と、当該データブロック領域のブロックが不良ブロックとなった場合に、当該不良ブロックに記憶されていたデータを代わりに記憶する複数の予備ブロックで構成される予備ブロック領域と、を備える不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに不良ブロックが存在する場合、当該不良ブロックの先頭アドレスと、当該不良ブロックを代替する予備ブロックの先頭アドレスとを対応させて構成されるアドレス対を記憶する揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリの不良ブロックにアクセスする場合、前記揮発性メモリに記憶された前記アドレス対を参照することによって、前記不良ブロックに代替された予備ブロックにアクセスする制御部と、を備え、
前記制御部は、不良ブロックが発生した場合に、当該不良ブロックに代替される予備ブロックに当該不良ブロックのアドレスを、データと併せて記憶し、
前記揮発性メモリから前記アドレス対が消失している場合、前記予備ブロック領域へアクセスし、予備ブロックの先頭アドレスと当該予備ブロックに記憶されている不良ブロックの先頭アドレスを読み出し、前記予備ブロックの先頭アドレスと前記不良ブロックの先頭アドレスのアドレス対を生成し、当該生成したアドレス対を前記揮発性メモリに記憶する記憶装置。
【請求項2】
請求項1記載の記憶装置であって、
前記予備ブロックは、データの記憶領域以外にスペア領域を有しており、
前記制御部は、当該スペア領域に不良ブロックのアドレスを記憶する記憶装置。
【請求項3】
請求項2記載の記憶装置であって、
前記予備ブロックは、データの誤り訂正を実行する誤り訂正機能を前記スペア領域内に有し、
前記制御部は、前記揮発性メモリに前記アドレス対が存在する場合、前記誤り訂正機能を有効状態に切り替えて、前記不揮発性メモリへアクセスし、
前記揮発性メモリに前記アドレス対が存在しない場合、前記誤り訂正機能を無効状態に切り替えて前記不揮発性メモリへアクセスすることにより前記スペア領域内の不良ブロックのアドレスを読み出して前記アドレス対を生成する記憶装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−154548(P2011−154548A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15870(P2010−15870)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】