説明

記録再生装置および記録再生方法

【課題】
複数の記録媒体を用いてデータの信頼性を高め、高速に読み書きするとともに、記録媒体を装置から取り外し、単独で利用することができる記録再生装置および記録再生方法の提供。
【解決手段】
データを複数の記録媒体へ分割して記録するとともに別の1つの記録媒体へ分割せずに記録する。同一のデータを2つの記録媒体に記録しているため、データの信頼性を高めることができ、複数の記録媒体にデータを分散して並列処理することで、データを高速に読み書きすることができる。また、データを分割せずに記録した記録媒体を取り外し、単独で他の記録再生装置で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録再生装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、PCに搭載されたHDD(Hard Disc Drive)のデータ保存先あるいはバックアップとして、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu−Ray Disc)などの光ディスクを複数枚制御し記録再生するオートチェンジャ方式のアーカイブ装置の開発が進められている。
【0003】
また、記録するデータの信頼性を高め、高速に読み書きするためのシステムとして、複数の記録媒体を用いたRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)システムが普及している。RAIDにはいくつかの方式があるが、複数の記録媒体にデータを分散して並列処理することで高速化を図るRAID0、複数の記録媒体に同じデータを書き込むことでデータの信頼性を高めるRAID1、複数の記録媒体に誤り訂正符号と共に分散してデータを記録するRAID5が主に使用されている。さらに近年では、RAID1によって複数の媒体に書き込んだデータをRAID0で分散して並列処理を行うRAID10も普及している。これらのRAIDシステムを光ディスクチェンジャー装置において実現する手法として特許文献1がある。
【0004】
しかし、これらのRAIDシステムは主な記録媒体としてHDDなどの固定媒体を想定しているため、光ディスクなどの可搬媒体を装置中から一つ取り出し、単独で利用する事は考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−263924
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
DVDやBDは、簡便に持ち運び可能である点から、複数の装置間の情報移動用媒体として利用されることが予想される。しかし、従来のRAIDシステムを用い、データを複数の媒体に分散した場合、1枚のディスクから意味のあるデータを得ることは出来ない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の記録媒体を用いてデータの信頼性を高め、高速に読み書きするとともに、記録媒体を装置から取り外し、単独で利用することができる記録再生装置および記録再生方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一例として、複数の記録媒体ドライブを制御し、データを複数の記録媒体に分割して記録する手段と、前記複数の記録媒体に分割して記録されたデータを元の1つのデータに復元する手段を備え、データを前記複数の記録媒体へ分割して記録するとともに、別の1つの記録媒体へ分割せずに記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明を用いれば、同一のデータを2つの記録媒体に記録しているため、データの信頼性を高めることができる。また、複数の記録媒体にデータを分散して並列処理することで、データを高速に読み書きすることができる。また、データを分割せずに記録した記録媒体を記録再生装置から取り外し、他の記録再生装置で使用することができる。
【0010】
本発明では、上述の手段を用いることにより、複数の記録媒体を用いてデータの信頼性を高め、高速に読み書きするとともに、記録媒体を装置から取り出し単独で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における記録再生装置の構成図
【図2】実施例1における記録処理のフローチャート
【図3】実施例1における光ディスクに記録されているデータの構成図
【図4】実施例1における不揮発メモリに記録されているデータの構成図
【図5】実施例1における未記録ファイル管理テーブルの構成図
【図6】実施例1における複数の光ディスクに分割して記録されているデータを単一の光ディスクにコピーする処理のフローチャート
【図7】実施例1における再生処理のフローチャート
【図8】実施例1における復旧用データの構成図
【図9】実施例1における復元処理のフローチャート
【図10】実施例1における記録再生方法の構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明の実施例について図1〜図10を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施例の記録再生装置の構成を示した図である。記録再生装置1は、ホストPC2から転送されるデータの記録、および再生したデータをホストPC2へ転送する処理を行う。記録再生装置1は、外部I/F101、システムコントローラ102、メモリ103、不揮発メモリ104、マガジン105、光ディスクドライブ106a〜106d、光ディスク搬送機107からなる。外部I/F101は、LAN(Local Area Network)やSATA(Serial Advanced Technology Attachment)、USB(Universal Serial Bus)などの入出力部を備え、ホストPC2とデータの送受信を行う。これらのインタフェースのうちどれかひとつ搭載されていればよく、複数あってもよい。システムコントローラ102は、不揮発メモリ104への記録再生、格納光ディスクドライブ106a〜106dへの記録再生、および光ディスク搬送機107の制御を行う。メモリ103はシステムコントローラ102の制御処理時に作業領域として使用され、各種データの一時保存場所である。不揮発メモリ104はデータと記録したディスクの組み合わせなど、ディスクの検索や復旧に用いるデータを記録する。マガジン105は光ディスクを複数枚収納する収納部である。光ディスクドライブ106a〜106dは光ディスクに対し記録再生を行う。光ディスク搬送機107はマガジン105内に収納された光ディスクを光ディスクドライブ106a〜106dへ搬送、または光ディスクドライブ106a〜106d内の光ディスクをマガジン105に搬送する機構である。
【0015】
なお本実施例におけるマガジン105の収納枚数は、データを分散記録する光ディスクの枚数の2倍以上とする。本実施例における記録再生装置1では、4台の光ディスクドライブ106a〜106dを備えている。1台はデータを分散させずに記録する必要があるため、最大で3枚の光ディスクにデータを分散記録することができる。この場合、3枚の光ディスクに分散記録したデータと同じデータを分散させずに記録するためには同数の光ディスクが必要であるため、本実施例におけるマガジンの収納枚数は6枚以上とする。
【0016】
次に本記録再生装置による記録および再生処理について説明する。図2は本実施例の記録再生装置による光ディスクへの記録処理について説明した図である。データを記録するディスクの組を光ディスクドライブに搬送すると(S201)、ホストPC2からのデータを受信し、メモリ103に一旦記録する(S202)。メモリ103内のデータを3枚の光ディスク(disk1〜3)に分割記録し、もう1枚の光ディスク(disk4)へはデータを分割せずに記録する(S203)。disk1〜4に復旧用データを記録し(S204)、記録したデータの一部と光ディスクの対応関係を不揮発メモリ104に記録する(S205)。disk4の容量がなくなった場合、disk4をマガジンに収納し、新規の光ディスク(disk5)と交換し、上記処理を繰り返す。disk1〜3と同一のデータを記録するには、3枚の光ディスク(disk4〜6)が必要である。
【0017】
各光ディスクに記録されるデータの様子を図3に示す。各光ディスクにはディスクを識別するための固有IDが付与されており、使用する光ディスクの検索などに用いられる。ホストPC2から受信した「File1」というデータは、メモリ103内でD1〜D9に分割され、disk1〜3に分散記録される。disk4は他の機器での単体利用を可能とするため、「File1」を分割せずに記録する。また、各光ディスクには他の光ディスクが壊れたときの復旧用データを記録する領域がある。復旧用データの詳細は後述する。
【0018】
本実施例において、disk1〜3はRAID0を構成しており、並列処理によりデータへの高速アクセスが可能である。また、disk4〜6はdisk1〜3のバックアップとしてデータの信頼性を高めているとともに、データを分割せずに記録しているため、1枚だけ装置から取り出し、他の記録再生装置で使用することが可能である。
【0019】
図4に不揮発メモリ104に記録するデータの一例を示す。図4の(a)は、同一データを分割記録した光ディスクと分割せずに記録した光ディスクとの組み合わせを管理するディスクセット管理テーブル410である。411は光ディスクのセット番号を示し、412はデータを分割して記録した光ディスクを示す。413は該データを分割せずに記録した光ディスクを示す。ディスクセットの管理テーブル410は、データの復旧作業の際に必要な光ディスクの検索などに用いられる。図4の(b)は、記録データの一部と記録した光ディスクの組み合わせを管理する記録ファイル管理テーブル420である。421はファイル名、422はファイルサイズ、423はファイルの作成日を示す。424は該ファイルを分割記録した光ディスクの組み合わせを示し、425は該ファイルを分割せずに記録した光ディスクを示す。記録ファイル管理テーブル420は該ファイルを読み出す際に必要な光ディスクの検索に用いられる。図4の(c)は、現在マガジンに収納されている光ディスクのリスト430であり、リストにない光ディスクが必要な場合は利用者にマガジン内のディスクを交換するように促す必要がある。
【0020】
なお、本実施例では、複数の光ディスクにデータを分割して記録すると同時に、別の1枚の光ディスクに該データを分割せずに記録したが、先に複数の光ディスクへの分割記録のみを行い、1枚の光ディスクへの書き込みはホストPC2からのデータ要求がないときに行っても良い。その場合は、例えば図5のように書き込みが行われていないファイルとディスクの組み合わせを管理するテーブル510を不揮発メモリ104に記録する。511はデータが分割記録されている光ディスクの組み合わせであり、512は該データを分割せずに記録するための光ディスクである。513は511の光ディスクへの分割記録はされているが、512の光ディスクへの記録はされていないファイルのリストである。複数の光ディスクに分割記録されたデータを1枚の光ディスクに記録する処理手順の一例を図6に示す。ホストPC2からのデータ要求がない場合、未記録ファイル管理テーブル510からデータの書き込みが終了していない光ディスク(disk4)とデータ、及び該データを分散記録している光ディスクの組(disk1〜3)を確認し、ドライブへ搬送する(S601)。disk4への書き込みがされていないデータをdisk1〜3から並列で読み出し、メモリ103に記録する(S602)。各光ディスクのデータをメモリ103で合成し(S603)、disk4へ記録する(S604)。disk1〜4に復旧用データを記録し(S605)、不揮発メモリ104内の未記録ファイル管理テーブル510を更新して(S606)終了する。ホストPC2からの書き込み要求があったときは、複数の光ディスクへの分割記録のみを行うことで、データの書き込みによる利用者の待ち時間を短縮することが出来る。逆に、先に1枚の光ディスクへの記録のみを行い、複数の光ディスクへの分割記録を後で行っても良い。その場合、書き込み時に使用するドライブの台数を減らし、空いたドライブを他の処理にまわすことが出来る。
【0021】
図7は本実施例の記録再生装置による光ディスクからの再生処理について説明した図である。まず複数の光ディスク(disk1〜3)から並列で読み出すか、1枚の光ディスク(disk4)から読み出すかを選択する(S701)。並列処理を選んだ場合、光ディスク搬送機でdisk1〜3を例えば光ディスクドライブ106aから106cへ搬送する(S702)。次に光ディスクドライブ106aから106cでdisk1〜3のデータを並列で再生し、メモリ103に記録する(S703)。そして、メモリ103内で各光ディスクのデータを合成し(S704)、ホストPC2へ出力する(S707)。1枚の光ディスクからの読み出しを選んだ場合、disk4を例えばドライブ106dへ搬送し(S705)、データを読み出す(S706)。並列処理を選択すれば高速での読み出しが可能となり、1枚からの読み出しを選択すれば他の処理に使用できる光ディスクドライブの数が増える。
【0022】
次に本実施例の記録再生装置によるデータの復旧処理について説明する。本実施例では、1つのデータを複数の光ディスクへ分割して記録するとともに、他の1枚の光ディスクへ分割せずに記録している。そのため、分割記録した光ディスクと分割せずに記録した単一の光ディスクが同時に壊れない限り、データの復元が可能である。例えば、図4(a)のディスクセット管理テーブル410のディスクセット番号が1では、disk1〜3が壊れても、disk4〜6を用いて復旧することができる。逆に、disk4〜6が壊れても、disk1〜3を用いて復旧することができる。データ復旧の際には、各光ディスクに記録されている復旧用データを使用する。復旧用データは、各光ディスクに記録されているデータ名などが保存されている。図8にdisk1とdisk4に記録されている復旧用データの一例を示す。disk1〜3には同一の復旧用データが記録されており、disk4〜6の各光ディスクに記録されているデータ名が保存されている。また、disk4〜6の復旧用データには、disk1〜3に記録されているデータ名とdisk4〜6の各光ディスクにおける該データの開始アドレスとデータサイズが格納されている。
【0023】
図9はデータの復旧処理について説明した図である。まず、新規の光ディスクを挿入し、壊れた光ディスクと同じ固有IDを付与する(S901)。同じ固有IDをつけることで、不揮発メモリ104に記録されている内容を変更する必要がなくなる。次に、ディスクセット管理テーブル410からデータを復旧するために必要な光ディスク判別し、ドライブに搬送する(S902)。復旧用データから壊れた光ディスクに記録されていたデータを読み出し、メモリ103に記録(S903)し、メモリ103内のデータを新規の光ディスクに書き込む(S904)。なお、本実施例では、復旧用のデータを各光ディスクに格納したが、記録再生装置内の不揮発メモリ104などに記録しても良い。
【0024】
なお、本実施例では、記録再生装置1がデータの分割や合成、光ディスクの検索や復旧の処理を行っていたが、そのような処理をホストPC2が行っても良い。その場合のシステム構成を図10に示す。不揮発メモリ104をホストPC2の中におき、CPU201で記録再生装置1の制御を行う。
【0025】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0026】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【0027】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…記録再生装置
101…外部I/F
102…システムコントローラ
103…メモリ
104…不揮発性メモリ
105…マガジン
106a、106b、106c、106d…光ディスクドライブ
107…光ディスク搬送機
2…ホストPC
201…CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録媒体ドライブを有する記録再生装置であって、
前記複数の記録媒体ドライブを制御し、データを複数の記録媒体に分割して記録する手段を備え、
前記複数の記録媒体にデータを分割して記録すると同時に、別の記録媒体に前記データを分割せずに記録することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の記録再生装置であって、
前記複数の記録媒体に分割して記録されたデータを元の1つのデータに復元する手段を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
請求項2記載の記録再生装置であって、
前記記録媒体からデータを再生する際に、前記データを分割記録した複数の記録媒体から再生するか、前記データを分割せずに記録した記録媒体から再生するかを選択する手段を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
複数の記録媒体ドライブを有する記録再生装置であって、
前記複数の記録媒体ドライブを制御し、データを複数の記録媒体に分割して記録する手段と、
前記複数の記録媒体に分割して記録されたデータを元の1つのデータに復元する手段を備え、
前記複数の記録媒体にデータを分割して記録した後に、前記データを元の1つのデータに復元し、別の記録媒体にコピーする手段を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
複数の記録媒体ドライブを有する記録再生装置であって、
前記複数の記録媒体ドライブを制御し、データを複数の記録媒体に分割して記録する手段を備え、
データを分割せずに1つの記録媒体に記録した後に、前記記録媒体から前記データを読み出し、別の複数の記録媒体に分割して記録する手段を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
複数の記録媒体ドライブを制御し、
データを複数の記録媒体に分割して記録する記録再生方法であって、
前記複数の記録媒体にデータを分割して記録すると同時に、別の記録媒体に前記データを分割せずに記録することを特徴とする記録再生方法。
【請求項7】
請求項6記載の記録再生方法であって、
前記複数の記録媒体に分割して記録されたデータを元の1つのデータに復元することを特徴とする記録再生方法。
【請求項8】
請求項7記載の記録再生方法であって、
前記記録媒体からデータを再生する際に、前記データを分割記録した複数の記録媒体から再生するか、前記データを分割せずに記録した記録媒体から再生するかを選択することを特徴とする記録再生方法。
【請求項9】
複数の記録媒体ドライブを制御し、
データを複数の記録媒体に分割して記録し、
前記複数の記録媒体に分割して記録されたデータを元の1つのデータに復元する記録再生方法であって、
前記複数の記録媒体にデータを分割して記録した後に、前記データを元の1つのデータに復元し、別の1つの記録媒体に記録することを特徴とする記録再生方法。
【請求項10】
複数の記録媒体ドライブを制御し、
データを複数の記録媒体に分割して記録する記録再生方法であって、
データを分割せずに1つの記録媒体に記録した後に、前記記録媒体から複数の記録媒体に前記データを分割して記録することを特徴とする記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138144(P2012−138144A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289115(P2010−289115)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】