説明

記録再生装置

【課題】管理情報全体を世代毎にバックアップすると、記憶容量が必要で、ファイル単位での復元も困難となる。
【解決手段】第1の記録媒体に記録された映像データを第1の記録媒体上の配置情報を用いて管理し、映像データを第1の記録媒体に記録すると共に配置情報を更新するファイルシステムと、配置情報から映像データの配置情報を抜き出して復元用データとして作成する復元用データ作成部と、第2の記録媒体に低ビットレート映像データと共に復元用データを記録する記録部と、第1の記録媒体に記録された映像データに対応する復元用データを第2の記録媒体から読み込み、映像データの配置情報を復元する復元部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にファイルとして映像データとファイルの管理情報を記録する記録再生装置に関し、特に、記録媒体のフォーマットや映像データの削除を誤って行ってしまった際に管理情報を復旧することができる記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルビデオカメラ等で得られた映像データや音声データ等のコンテンツをファイルとしてフラッシュメモリや光ディスク、磁気ディスク等の記録媒体に記録することが行われている。このような機器では、ユーザーにより撮影したコンテンツを選択して削除したり、記録媒体のフォーマットを容易に行ったりすることができる。したがって、ユーザーが誤って重要なコンテンツを削除してしまったり、記録媒体をフォーマットしてしまったりすることが起こり得る。そのような場合、コンテンツを復元できるような仕組みが必要となる。
【0003】
通常、ファイルの削除や記録媒体のフォーマットを行う場合、対象となるデータをすべて消去するには処理時間が掛かり、また記録媒体がフラッシュメモリのような書き込み回数に制限がある媒体の場合は書き込み回数を減らすため、ファイルのデータは実際には消去せずにデータの記録媒体上での配置を管理する管理情報において対象となるデータ領域部分を未使用状態にすることで行う。このような場合、ファイルのデータ自体は記録媒体上に存在したままであるため、管理情報を復元できれば削除されたファイルや、フォーマットされた記録媒体において、これらを再びファイルとして参照することができる。
【0004】
管理情報を復元する従来の手法としては、管理情報の更新前に、不揮発性メモリに設けられるバックアップ領域に、更新される管理情報のバックアップを行い、復元する場合にはバックアップした管理情報を書き戻すことで行う手法がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−115856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記手法は書き込み等の処理時における突然の電源遮断に対する復旧方法であり、管理情報全体をバックアップするため、更新毎に管理情報を保存するためにはそれだけの記憶容量が必要となる。また、記録媒体上の全ファイルの状態がそのバックアップ時点に戻るため、ファイル単位での復元が困難となる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、少ない記憶容量でかつ管理が容易となるような構成でファイルを復元可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明によって解決される。すなわち、本発明に係る記録再生装置は、映像データをファイルとして第1の記録媒体に記録すると共に、映像データから映像データよりも低ビットレートの低ビットレート映像データを作成して第2の記録媒体に記録する記録再生装置であって、第1の記録媒体に記録された映像データを第1の記録媒体上の配置情報を用いて管理し、映像データを第1の記録媒体に記録すると共に配置情報を更新するファイルシステムと、配置情報から映像データの配置情報を抜き出して復元用データとして作成する復元用データ作成部と、第2の記録媒体に低ビットレート映像データと共に復元用データを記録する記録部と、第1の記録媒体に記録された映像データに対応する復元用データを第2の記録媒体から読み込み、映像データの配置情報を復元する復元部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の記録再生装置によれば、映像データ復元に必要な配置情報のみを低ビットレート映像データ中にバックアップするため、記憶容量が少なくて済み、映像データの配置情報に異常がある場合や、映像データがファイルシステム上で削除された場合にも、映像データが書かれていたデータ領域が別のデータに上書きされない限り、映像データに対応する低ビットレート映像データとともに記録された復元用データを読み込み、映像データの配置情報を復元することで映像データにアクセス可能となる。また映像データと関連が深いプロキシデータに映像データの配置情報を付加することで管理も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の記録再生装置100の構成を示すブロック図である。記録再生装置100は、システム制御部101と、記録媒体110と、記録媒体111と、ユーザによる指示を受け付ける入力手段120と、映像信号や音声信号を入力する映像・音声入力手段121と、映像信号や音声信号の符号化を行うエンコーダHigh122およびエンコーダLow123と、映像信号や音声信号を復号化するデコーダ125と、複号化された映像信号や音声信号を出力する映像・音声出力手段124と、映像データのサムネイル等を表示するLCDモニタ126とを含む。
【0011】
システム制御部101は、例えば、CPUとメモリとを含むコンピュータによって実現される。このシステム制御部101には、クリップファイル処理手段102、配置情報処理手段103、GUI(Graphical User Interface)処理手段104、記録バッファメモリ105、再生バッファメモリ106、ファイルシステム107、ファイルシステム用メモリ108を備えている。システム制御部101に含まれる各手段は、CPUで各種のプログラムを実行することによって実現される。システム制御部101に含まれる各メモリは、例えば、用途ごとにそれぞれメモリを用いてもよく、また、単一のメモリを用途ごとに領域を分けて使うことによって実現してもよい。
【0012】
システム制御部101内のファイルシステム107はファイルをブロック単位で管理し、前記ファイルが記録されているブロックの配置情報を有しているものである。例えばFAT(File Allocation Table)ファイルシステムが好ましい。FATファイルシステムではクラスタと呼ばれるブロックでデータを管理し、ファイルおよびディレクトリは、ディレクトリエントリと呼ばれる情報からファイル名・作成日時・ファイル属性・ファイルサイズ・開始クラスタ等が取得できる。また、FATテーブルと呼ばれるデータの配置を管理するテーブルにはファイルが使用するクラスタの位置・順番等の情報が記録されている。データ領域の最初のクラスタにはルートディレクトリエントリと呼ばれる、最上位のディレクトリにあるファイルやディレクトリのディレクトリエントリが記録されている。また、ディレクトリのディレクトリエントリから取得される開始クラスタには、同様に、そのディレクトリにあるファイルやディレクトリのディレクトリエントリが記録されている。これらの情報をもとに、ファイルやディレクトリを参照することができる。
【0013】
記録媒体110は着脱可能で高転送レートのものが好ましい。例えば半導体メディアであるP2(Professional Plug−in)カードは最大640Mbpsのデータ転送が可能であり放送業務用のビデオカメラの記録媒体として適している。また、記録媒体111は着脱可能で記録媒体110に比べ安価なものが好ましい。例えば半導体メディアであるSD(Secure Digital)メモリーカードはデジタルカメラ等で使用され、多く普及しており価格も年々低下してきているため適している。
【0014】
記録媒体110と記録媒体111は各々がFAT等のファイルシステムでフォーマットされており、各記録媒体へのファイルの書き込みは、システム制御部101内のファイルシステム107によりFATテーブルの更新とデータ書き込み動作により行われる。
【0015】
映像・音声入力手段121から入力される映像信号は、エンコーダHigh122によって放送に使用可能な高解像度で順次圧縮されて高解像度符号化データとされる。高解像度符号化データは、クリップファイル処理手段102によりMXF(Material Exchange Format)形式にファイル化され、ファイルシステム107により記録媒体110に記録される。
【0016】
このとき、クリップファイル処理手段102は、高解像度符号化データの先頭フレームのデータをビットマップ形式の画像ファイルであるサムネイル画像として作成し、ファイルシステム107がこれを記録媒体110および記録媒体111に記録する。このサムネイル画像データは、LCDモニタ126にサムネイル一覧として表示される。サムネイル画像データは、所望の映像を記録媒体から探しやすくしたりするものである。したがって、画像サイズは大きい必要はなく縦80ピクセル、横60ピクセル、1ピクセルあたり24ビットの画像データに圧縮される。
【0017】
また、映像・音声入力手段121から入力される音声信号は、エンコーダHigh122によって圧縮されて高音質オーディオデータとされる。高音質オーディオデータは、クリップファイル処理手段102によりWave形式にファイル化され、ファイルシステム107により記録媒体110に記録される。
【0018】
なお、映像データと音声データを別ファイルとするのは、放送局などの業務用途の編集作業では、映像と音声とを独立して編集作業を行うことが多く、業務用途のノンリニア編集機では映像と音声とを別ファイルとするのが一般的なためである。上記映像ファイルと音声ファイルとの組み合わせをクリップと呼ぶ。
【0019】
クリップファイル処理手段102は、映像データや音声データのフレームレートやフレーム数、データのサイズをフレーム数で表したデュレーション等の情報を管理したり関連付けを行ったりするためのクリップ管理情報を作成し、テキスト形式にファイル化する。クリップ管理情報も、ファイルシステム107により記録媒体110および記録媒体111に記録される。クリップには、クリップ管理情報も含まれる。
【0020】
同様にして、映像・音声入力手段121から入力される映像信号は、エンコーダLow123によってMPEG(Moving Picture Experts Group)に規定のフォーマットにより、遠隔地の編集装置などと無線または有線等でストレスなく送受信可能なデータ量となるように、高解像度符号化データよりも低解像度で順次圧縮されて低解像度符号化データとされる。低解像度符号化データは、クリップファイル処理手段102によりファイル化され、ファイルシステム107により記録媒体111に記録される。
【0021】
また、エンコーダLow123は、必要に応じて映像・音声入力手段121から入力される音声信号を圧縮し、高音質オーディオデータよりも圧縮率の高い低音質オーディオデータとされる。低音質オーディオデータは、クリップファイル処理手段102によりWave形式にファイル化され、ファイルシステム107により記録媒体111に記録される。
【0022】
低解像度符号化データ(及び低音質オーディオデータ)はプロキシデータと呼ばれる。なお、映像信号及び音声信号は、エンコーダLow123においてひとつの低解像度符号化データに多重化され、記録媒体111にプロキシデータとして記録されるようにしてもよい。以下では説明のため、プロキシデータは、低解像度符号化データ、クリップ管理情報、サムネイル画像データ、復元用データを含むものとし、それぞれをプロキシ映像データ、プロキシクリップ管理情報、プロキシサムネイル画像データ、プロキシ復元用データと呼ぶ。
【0023】
プロキシデータは、近年一般的に行われている、いわゆるノンリニア編集を行うためのデータであり、パーソナルコンピュータ等に取り込まれた後、編集の素材とされる。すなわち、パーソナルコンピュータ等でノンリニア編集を行う場合、その処理能力が不足し、上述したような高解像度符号化データや高音質オーディオデータからなる本線データを、直接、編集の素材とすることができない場合がある。このように、プロキシデータを素材として行われる編集はプロキシ編集と呼ばれることがあり、このプロキシ編集は、例えば、撮影現場などで簡易な編集として行われる。プロキシ編集の結果は、最終的な放送用データを作成するスタジオの装置等に、SDメモリーカード等に記録された状態で配送されたり、ネットワークを介して送信される。そして、スタジオにおいて、プロキシ編集の結果に基づく本線データの編集が行われ、最終的な、放送用コンテンツが作成される。したがって、プロキシデータは本線データと深い関わりを持っていると言える。
【0024】
配置情報処理手段103は、クリップを構成する各ファイルの記録媒体110における配置情報を、記録媒体110のFATテーブルをもとにプロキシ復元用データとして作成し、クリップファイル処理手段102によりファイル化し、プロキシデータとして、ファイルシステム107により記録媒体111に記録する。
【0025】
プロキシ復元用データの作成について図2を用いて説明する。クリップファイルはクリップ管理情報ファイル、サムネイル画像ファイル、映像ファイル、および音声ファイルを備えている。図2(e)は、記録媒体110のデータ領域の一部分について、その状態の一例を示している。データ領域には各ファイルがクラスタ毎に記録される。また各クラスタにはクラスタ番号が順に割り振られている。図2(d)は、記録媒体110のFATテーブルのうち、図2(e)に対応する部分について、その状態を示したものである。FATテーブルは一定サイズ(FAT32では32ビット)毎にデータ領域のクラスタに対応しており、対応しているクラスタにデータが記録されていない場合は未使用を表す00hが記録される。データが記録されている場合は続きのデータが記録されているクラスタ番号が記録される。クラスタに記録されているデータが終端のときには終端を表すEOFが記録される。
【0026】
まず、記録媒体110からプロキシ復元用データの元となるデータとして図2(d)のFATテーブルからクリップファイルの部分を抜き出す。ここで、クリップとは関係ないファイル部分については未使用を表す00hに置き換える。このようにして作成したプロキシ復元用データは非圧縮データとなる。図2(c)は、この非圧縮データの状態を示したものである。
【0027】
また、映像・音声データを数フレーム単位ごとに記録する場合には、記録パターンを決めることが出来る。例えば、記録する映像データの1フレームのデータサイズが288000バイトに対し、音声データの1フレームのデータサイズが3840バイトのとき、映像データのデータサイズは音声データのデータサイズの75倍となる。このとき、音声データが1クラスタサイズに達するまで、記録バッファメモリ105にデータを蓄積し、1クラスタサイズに達したときに記録媒体に書き込むとすると、映像データが75クラスタ分書き込まれるのに対し、音声データは1クラスタ分書き込まれる。図2では説明のため、記録パターンとしてクリップ管理情報ファイル及びサムネイル画像ファイルがまず1クラスタずつ記録され、以後は映像ファイルが3クラスタ、音声ファイルが2クラスタのパターンが続く例を示している。記録パターンは記録レートや、音声チャンネル数などに依存する。例えば、25Mbpsの映像データに比べ50Mbpsの映像データはサイズが倍になるため映像データと音声データの比率が変わる。また音声チャンネル数が増えればファイル数も増える。このことは、機器間で、記録フォーマット毎の記録パターンを統一しておけば、記録フォーマットから記録パターンを知ることが出来るといえる。このように記録パターンが決まっている場合には、この記録パターンと、映像ファイルおよび音声ファイルが記録されている先頭クラスタ番号と、各ファイルのサイズと、各クラスタの使用・未使用とがわかればFATテーブルを復元できる。したがって、FATテーブルにおけるクリップファイル部分を、使用部分を1とおき未使用部分を0と置くようなビットマップ化を行うことでプロキシ復元用データのサイズを小さくすることができる。このようにして作成したプロキシ復元用データはビットマップ化データとなる。図2(b)は、このビットマップ化データの状態を示したものである。
【0028】
さらに、映像・音声データは記録速度を向上させるため、連続した空き領域に記録することが多い。このような場合、使用クラスタが連続するため、RLE(Run Length Encoded)を用いて圧縮を行うと効率がよくなる。RLEはデータの中に同じ符号が連続して並んでいる場合に、その符号と連続する個数によって表現することで圧縮する手法である。このようにして作成したプロキシ復元用データはRLEデータとなる。図2(a)は、このRLEデータの状態を示したものである。なお、圧縮手法はRLEでなくとも他の可逆である手法を用いてもよい。
【0029】
プロキシ復元用データを上記のどのタイプで作成するかは、クリップの記録フォーマットによって決めることで行う。例えば、フレーム間圧縮を行う記録フォーマットでは、動きが少ない映像の場合、動きが多い場合に比べサイズが小さくなるため、映像データと音声データの比率は変動する。このような記録フォーマットの場合は上記の非圧縮データをプロキシ復元用データとする。また、クリップを記録するクラスタのクラスタ番号が昇順になるとは限らないような場合も、非圧縮データをプロキシ復元用データとする。
【0030】
また、フレーム内圧縮を行いフレームデータのサイズが固定の記録フォーマットでは、上記のように記録パターンを決めることができる。このとき、クリップを記録するクラスタのクラスタ番号が昇順になるように記録できる場合でかつ、記録レートが低く、クリップデータを連続した空き領域に記録する必要がない場合には、クリップデータが記録されているクラスタの間に、他のファイルのデータが記録されることが多くなるため、上記のビットマップ化データをプロキシ復元用データとする。また、記録レートが高く、連続した空き領域に記録する場合には、上記のRLEデータをプロキシ復元用データとする。
【0031】
以下、プロキシ復元用データはRLEで圧縮されたRLEデータであるものとして説明する。
【0032】
以上の方法で作成したプロキシ復元用データをもとに、クリップファイル処理手段102によりプロキシ復元用データファイルを作成する。プロキシ復元用データファイルにはFATテーブルを復元する際に必要となる情報を記録する。図3はプロキシ復元用データファイルのデータ構造を示す図である。図3に示されるようにプロキシ復元用データファイルはテキスト形式のファイルとして記録され、プロキシ復元用データファイルを構成する各要素はタグで囲まれている。例えば、MediaIDのタグで囲まれた要素はクリップが記録されている記録媒体110のシリアル番号であり、記録媒体を特定するためのものである。StartClusterのタグで囲まれた要素はクリップファイルが記録されている先頭のクラスタ番号を示しており、図2のクリップファイルの記録配置の場合、クリップ管理情報ファイルが記録されているクラスタ番号である“06h”が記録される。Patternのタグで囲まれた要素は記録パターンを示しており、Video、Audioのタグで囲まれた要素でそれぞれの記録されるクラスタ数を示している。なお、プロキシ復元用データを作成する機器と、プロキシ復元用データから復元する機器との間で、記録フォーマット毎の記録パターンが統一されていればPatternのタグは必要ない。Tableのタグで囲まれた要素はプロキシ復元用データを示しており、Typeのタグで囲まれた要素でデータ形式を示し、Dataのタグで囲まれた要素には上記で作成したプロキシ復元用データが記録される。ここではRLEで圧縮されたRLEデータが記録されている。なお、図3ではテキスト形式の例を示したが、バイナリ形式のファイルとしてもよい。
【0033】
次に、プロキシ復元用データファイルを用いて本線データを復旧する方法について説明する。
【0034】
図4は、クリップの配置情報復元方法のフローチャートである。ステップS401において、記録媒体111からプロキシデータを読み込み、GUI処理手段104によりLCDモニタ126にプロキシサムネイル画像一覧を表示する。ユーザは入力手段120を通して、GUI処理手段104により、LCDモニタ126に表示されているカーソルを移動してプロキシデータを選択する。選択されたプロキシデータのプロキシ映像データはファイルシステム107を通して読み込まれ、再生バッファメモリ106に蓄積される。再生バッファメモリ106のデータはデコーダ125によって復号された後、映像・音声出力手段124により出力される。ユーザは出力された映像・音声を確認することで復元したい映像データに対するプロキシデータを選ぶ。
【0035】
ステップS402において、選択されたプロキシデータのプロキシ復元用データファイルからプロキシ復元用データを読み込み、配置情報処理手段103によって、映像データのFATテーブルのデータとなるように復号する。ここで、復号方法について図5を用いて説明する。まず、図5において、図2(a)に示したRLEデータを図2(b)のビットマップ化データに復号することは容易である。すなわち、値を一つ読み込み、長さを求めた後、後ろに続くデータを長さ分書き出す。以後続けることでビットマップ化データに復号することができる。
【0036】
次に、ファイルシステム107により、プロキシ復元用データファイルからクリップの先頭クラスタ番号を読み込み、図5のようにビットマップ化データの各ビットに対しクラスタ番号を割り当てる。さらに、プロキシ復元用データファイルから記録パターンを読み込むことで、ビットマップ化データの使用部分に対し、各ファイルを対応付けすることができる。各ビットに対し、クラスタ番号とファイルとを対応付けすることができたので、各ファイルにおいてクラスタチェーンをつなぐことで図5のように、元のFATテーブルデータである非圧縮データに復号することができる。
【0037】
なお、プロキシ復元用データファイルに記録パターンが記録されておらず、プロキシ復元用データを作成する機器と、プロキシ復元用データから復元する機器との間で、記録フォーマット毎の記録パターンが統一されている場合にはプロキシクリップ管理情報ファイルから記録レートや音声チャンネル数などを取得し記録パターンを決める。
【0038】
ここで、本線データ及びプロキシデータの各ファイルは、図6に示すようなディレクトリ構成の下に配置される。本線データは記録媒体110に記録され、プロキシデータは記録媒体111に記録される。また、本線データの各ファイルとプロキシデータの各ファイルの名前(ファイル名を構成する、拡張子の左側部分)はクリップ毎に統一してあり、拡張子をファイルのフォーマットにしたがって変えてある。例えば図6においては、クリップ名が“0001”であり、このクリップのプロキシ映像ファイルは“0001.mp4”である。したがって、クリップが削除されたり、記録媒体110がフォーマットされたりして本線データのクリップの各ファイル名が不明になっても、プロキシデータからファイル名を復元することができる。また、本線データのクリップの各ファイルのサイズは、プロキシクリップ管理情報ファイルを参照することで取得できる。すなわち、プロキシクリップ管理情報ファイルからクリップの全フレーム数を表すデュレーションD(フレーム)と本線データの記録レートR(ビット/秒)とフレームレートF(フレーム/秒)とを取得でき、ファイルサイズS(ビット)は、S=D/F×Rで算出することができる。なお、プロキシクリップ管理情報ファイル及びプロキシサムネイル画像ファイルは本線データに記録されているクリップ管理情報ファイルおよびサムネイル画像ファイルと同一のものである。プロキシクリップ管理情報ファイルがない場合は、プロキシ復元用データを記録する際に各ファイルのファイルサイズ、またはファイルサイズを求めるのに必要なデュレーション、記録レート及びフレームレートを一緒に記録しておく必要がある。
【0039】
次にディレクトリエントリについて説明する。ディレクトリエントリはディレクトリやファイルの情報を示すものであり、ディレクトリやファイルの名前、データが記録されている先頭のクラスタ番号、データサイズ、及び作成日時などが記録される。また、ディレクトリ構成の最上階層のディレクトリはルートディレクトリと呼ばれ、このディレクトリ内のディレクトリやファイルに対するディレクトリエントリはFAT32の場合、クラスタ番号が02hのクラスタに記録される(FAT12及びFAT16の場合はルートディレクトリ専用の領域が存在する)。図7は図6のディレクトリ構成における、ディレクトリエントリ情報を示すものである。(a)ルートディレクトリにあるCONTENTSディレクトリに対するディレクトリエントリが指し示すクラスタ番号03hには(b)CONTENTSディレクトリ内のディレクトリやファイルに対するディレクトリエントリが記録されている。同様にすることで(c)VIDEOディレクトリや(d)AUDIOディレクトリなどを参照することができる。また、ファイルに対するディレクトリエントリが指し示す各クラスタ番号には、そのファイルのデータが記録されている。ここで、クリップが削除された場合にはクリップの各ファイルのディレクトリエントリが消去される。また、記録媒体をフォーマットした場合には(a)ルートディレクトリ内のディレクトリエントリがすべて消去される。ディレクトリを作成するとそのディレクトリ内のディレクトリエントリはすべて消去されるため、再度CONTENTSディレクトリ以下のディレクトリを作成するとクリップファイルに対するディレクトリエントリはすべて消去される。したがって、クリップファイルを復元するには、クリップファイルのディレクトリエントリを復元する必要がある。ディレクトリエントリ内の情報でファイルアクセスに必要なものは、ファイル名、ファイルサイズ及び開始クラスタであり、これらの情報はプロキシに記録されている。したがって、これらの情報をファイルシステム107によりプロキシ復元用データファイルから読み出すことでクリップファイルに対するディレクトリエントリを復元することが出来る。なお、作成日時等の情報は、復元するときの日時を記録すればよいが、必要であればプロキシ復元用データファイルを記録する際に、CreateDate等のタグを追加記録し、この情報を読み込むことで復元してもよい。以上のことで、プロキシ復元用データファイルからクリップの配置情報を復元することが出来る。
【0040】
次に、ステップS403において、ステップS402で復元した映像データのFATテーブルを記録媒体110のFATテーブルに書き戻す際に、書き戻す先がFATテーブル上で「未使用」であることを確認する。「未使用」である場合はステップS406に進む。「未使用」でない場合は、映像データが記録されていた領域に別のデータが記録されている可能性があるのでステップS404に進み、ユーザーに対しエラーを出力する。その後、ステップS405において、処理を続行するかどうかをユーザーに問い合わせる。続行しない場合は処理を終了する。続行する場合はステップS406に進む。
【0041】
ステップS406において、ステップS402で復元した映像データのFATテーブルを用いて記録媒体110から映像データを読み出し、映像の再生を行う。このとき、映像ファイルや音声ファイルのフォーマット規格は既知であるため、各ファイルのフォーマットを調べ、フォーマット規格と一致しない場合には、映像データの記録領域に別のデータが記録された可能性があるため、ステップS407に進みエラーを出力して処理を終了する。一致した場合はステップS408に進む。
【0042】
ステップS408において、ユーザーに対し、ステップS402で作成した映像データのFATテーブルを記録媒体110のFATテーブルに書き戻すかどうかを問い合わせる。書き戻さない場合は処理を終了する。書き戻す場合はステップS409に進み、ステップS402で作成した映像データのFATテーブルを記録媒体110のFATテーブルに書き戻す。このときステップS402で復元した映像データのFATテーブルの値が0である未使用部分は書き戻さないようにする。さらに、上述の通り、ディレクトリエントリの修復を行い、処理を終了する。
【0043】
なお、ディレクトリエントリが修復できない場合やFATテーブルを書き戻したくない場合は、図に記載していない他の記録媒体に、ステップS402で復元した映像データのFATテーブルを使用して、記録媒体110から読み込んだデータを新たにファイルとして記録してもよい。
【0044】
以上のステップを行うことで、誤ってフォーマットしてしまったり、クリップを削除してしまったりした記録媒体からクリップを復元することができる。
【0045】
なお、上述の例ではプロキシデータを記録再生装置に装着されている記録媒体に記録したが、無線LANや有線LAN経由でネットワーク先の別の機器の記録媒体に記録してもよい。また、プロキシ復元用データをファイルとして、個別に記録したが、プロキシ映像ファイル等に組み込んでもよい。例えば、プロキシ映像ファイルがMPEG4ファイルフォーマットで記録される場合、MPEG4ファイルフォーマットは、オブジェクト構造を有し、幾つかのボックスにより構成されており、その中のフリースペースボックスやスキップボックスと呼ばれる、ユーザーデータや、パディングのためのパディングデータを格納するためのボックスがあるため、その領域にプロキシ復元用データを記録してもよい。
【0046】
(実施の形態2)
実施の形態1では、プロキシ復元用データを用いて、映像ファイルの管理情報に異常があった場合に管理情報を復元する方法について説明したが、実施の形態2では、プロキシ復元用データを、映像データの再生や映像データの取得のための情報として使用する方法について説明する。
【0047】
図8は、実施の形態2が用いられる放送システムの略構成を示す図である。図8の記録再生装置100は実施の形態1の記録再生装置と同等の構成をしており、記録媒体110には高解像度の本線データが記録され、記録媒体111には低解像度のプロキシデータが記録される。
【0048】
また、編集端末800はプロキシ編集を行うものであり、図示しない記録媒体I/Fに記録媒体111を接続しプロキシデータを読み込む。なお、プロキシデータは、無線LAN等のネットワーク経由で転送してもよい。
【0049】
データサーバ820は、記録再生装置100で撮影された映像データをバックアップするためのサーバであり、システム制御部101と同等の制御部を有している。図示しない記録媒体I/Fに記録媒体110を接続し、データを読み込み、データサーバ820に接続されている記録媒体830にコピーする。なお、記録媒体830は、大容量のものが好ましく、ハードディスクなどが適している。
【0050】
ここで、記録媒体110から記録媒体830へのデータのコピー方法について図9を用いて説明する。管理領域110aには、FATテーブルを含むファイルの管理情報が記録されており、データ領域110bには、データが記録されている。すなわち、データ領域110bは、FATテーブルが指し示すクラスタ群である。
【0051】
ファイルシステム107により、記録媒体830にデータ領域110bをイメージコピーする。なお、イメージコピーは物理コピーとも呼ばれ、記録媒体の領域を順番に読み出し、コピー先の記録媒体に書き込むことで物理的な配置もコピーされる。すなわち、データ領域110bの全データをデータの物理的配置を変えることなくコピーし、イメージファイル830aとして記録する。このとき、記録媒体110からのデータであることがわかる識別情報を付加する。例えば、記録媒体110のシリアル番号に拡張子を付けたものを、イメージファイルのファイル名とする。シリアル番号が“0703230001”の場合、ファイル名は“0703230001.img”となる。
【0052】
以上のことにより、データサーバ820には映像データが蓄積されていく。
【0053】
ネットワーク810は、インターネットやイントラネットなどのネットワークであり、編集端末800とデータサーバ820との通信を可能とする。編集端末800はプロキシ編集が完了したら、編集情報とプロキシ復元用データをネットワーク810を経由してデータサーバ820に送信する。
【0054】
データサーバ820は、受信したプロキシ復元用データをファイルシステム用メモリ108に保持する。プロキシ復元用データには、上述したように、記録再生装置100で記録される際に、記録媒体を識別するためのシリアル番号がMediaIDタグに囲まれて記録されているので、ファイルシステム107によりこのシリアル番号を取り出す。このシリアル番号に対応するファイル名のイメージファイル830aに対して、プロキシ復元用データのファイル配置情報をもとに、映像データを読み込む。すなわち、ファイルシステム107により、プロキシ復元用データから実施の形態1と同様にして、クリップファイルのFATテーブル及びディレクトリエントリを復元する。復元したFATテーブル及びディレクトリエントリはファイルシステム用メモリ108に保持する。イメージファイル830aは記録媒体110の物理的な配置が変化することなく記録されているため、復元したFATテーブル及びディレクトリエントリを使用することでクリップファイルを参照することができる。このようにして読み込んだ映像データは、編集端末800に送信されたり、受信した編集情報を元に編集され、放送(オンエア)することができる。なお、上記では記録媒体830に管理領域110aをコピーせずにデータ領域110bのみをイメージコピーすることでイメージファイル830aを作成した。このことで、管理領域110a分の容量を節約することができ、またプロキシ復元用データを使用する場合のみクリップデータを参照できるようになるため、第三者からの参照を防ぐことが出来る。
【0055】
以上のことで、プロキシ復元用データを映像データの再生や映像データの取得のための情報として使用することができる。このことは、以下のような場合にも有効である。
【0056】
通常、ファイルにアクセスするには配置情報から先頭クラスタ番号を参照し、そのクラスタにアクセスする。次のクラスタにアクセスするには再度、配置情報から次のクラスタ番号を参照し、そのクラスタにアクセスする。このことを順に繰り返すことでファイルにアクセスすることができる。したがって、クラスタを参照するためには配置情報−クラスタ間のシーク処理が発生する。一般には、このシーク処理を回避するために配置情報をファイルシステム用メモリ108のようなメモリに読み込んでおき、これを参照することでシーク処理を回避する。ただし、組み込み機器などメモリ容量が十分に用意できない場合には配置情報をすべてメモリに読み込まず、必要な部分のみを一定サイズ読み込む。したがって、参照する配置情報がメモリにない場合は記録媒体から読み込む必要があり、シーク処理が発生する。
【0057】
一方本発明では、取得したい本線データに関する配置情報だけをプロキシ復元用データとしてあらかじめプロキシデータ中に記録している。プロキシ復元用データは、配置情報全体よりもサイズが小さく、プロキシ復元用データをメモリに読み込んで参照することができれば本線データの取得が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる記録再生装置では、映像データ毎に配置情報をバックアップすることで、映像データが書かれていたデータ領域が別のデータに上書きされない限り復元することができ、また映像データと関連が深いプロキシデータに映像データの配置情報を付加することで管理も容易になるため、後工程でプロキシ編集を行うような映像を記録する記録再生装置等においても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1の記録再生装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1におけるクリップデータの配置情報復元用データ作成方法を説明するための図
【図3】本発明の実施の形態1におけるプロキシ復元用データファイルのデータ構造を示す図
【図4】本発明の実施の形態1に係るクリップの配置情報復元方法のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1におけるクリップデータの配置情報復元方法を説明するための図
【図6】本発明の実施の形態1におけるクリップのディレクトリ配置を示す図
【図7】本発明の実施の形態1におけるディレクトリ構成におけるディレクトリエントリ情報を示す図
【図8】本発明の実施の形態2の放送システムの略構成を示す図
【図9】本発明の実施の形態2における映像データのコピー方法を説明するための図
【符号の説明】
【0060】
100 記録再生装置
101 システム制御部
102 クリップファイル処理手段
103 配置情報処理手段
104 GUI処理手段
105 記録バッファメモリ
106 再生バッファメモリ
107 ファイルシステム
108 ファイルシステム用メモリ
110 記録媒体
111 記録媒体
120 入力手段
121 映像・音声入力手段
122 エンコーダHigh
123 エンコーダLow
124 映像・音声出力手段
125 デコーダ
126 LCDモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データをファイルとして第1の記録媒体に記録すると共に、前記映像データから前記映像データよりも低ビットレートの低ビットレート映像データを作成して第2の記録媒体に記録する記録再生装置であって、
前記第1の記録媒体に記録された映像データを前記第1の記録媒体上の配置情報を用いて管理し、前記映像データを前記第1の記録媒体に記録すると共に前記配置情報を更新するファイルシステムと、
前記配置情報から前記映像データの配置情報を抜き出して復元用データとして作成する復元用データ作成部と、
前記第2の記録媒体に前記低ビットレート映像データと共に前記復元用データを記録する記録部と、
前記第1の記録媒体に記録された前記映像データに対応する前記復元用データを前記第2の記録媒体から読み込み、前記映像データの配置情報を復元する復元部と、
を有する記録再生装置。
【請求項2】
前記ファイルシステムは、記録される映像データを所定サイズのブロック単位で管理し、
前記復元用データ作成部は、前記配置情報から前記映像データの配置情報を抜き出し、前記ブロック単位で前記第1の記録媒体において前記映像データが記録されているかどうかを1ビットであらわすビットマップデータに変換して前記復元用データとする、請求項1記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記復元用データ作成部は、前記ビットマップデータにさらに圧縮処理を施して前記復元用データとする、請求項2記載の記録再生装置。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図1】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−310889(P2008−310889A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158260(P2007−158260)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】