説明

記録媒体搬送装置、転写装置及び画像形成装置

【課題】複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置に備えられた、感光体、中間転写体、印刷ドラム等の像担持体に対向して配置され、回転により像担持体との対向領域に用紙等の記録媒体を搬送する、弾性を有するベルト状の搬送部材を備えた記録媒体搬送装置であって、記録媒体の搬送を安定して行う記録媒体搬送装置、この記録媒体搬送装置を有し搬送部材が像担持体に担持されている像を記録媒体に転写するための転写部材である転写装置、これらを有するかかる画像形成装置の提供。
【解決手段】設定切換手段30により、駆動手段48による搬送部材41の回転駆動の非作動の設定が行われていないときは、搬送部材41は駆動手段48によって回転駆動されて対向領域32で記録媒体を搬送し、かかる設定が行われているときは、搬送部材41は像担持体5に従動回転して対向領域32で記録媒体を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置に備えられた、感光体、中間転写体、印刷ドラム等の像担持体に対向して配置され、回転により像担持体との対向領域で用紙等の記録媒体を搬送する、弾性を有するベルト状の搬送部材を備えた記録媒体搬送装置、この記録媒体搬送装置を有し搬送部材が像担持体に担持されている像を記録媒体に転写するための転写部材である転写装置、これらを有するかかる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
〔特許文献1〕、〔特許文献2〕等に記載されているように、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置において、感光体、中間転写体、印刷ドラム等の像担持体に対向して配置され、回転により像担持体との対向領域で用紙等の記録媒体を搬送する搬送部材を備えている構成が広く知られている。このような記録媒体搬送装置では、記録媒体の搬送を安定して行うことが要求される。
【0003】
例えば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕に記載の技術おいては、記録媒体搬送装置は、搬送部材が像担持体に担持されている像を記録媒体に転写するための転写部材である転写装置として備えられており、記録媒体を転写部材と像担持体との対向領域に搬送している間に像担持体に担持されている像が記録媒体に転写されるため、記録媒体の搬送を安定して行ってかかる像を記録媒体に良好に転写することがきわめて重要である。同様に、記録媒体搬送装置が転写装置でない場合においても、記録媒体の搬送を安定して行うことは重要である。
【0004】
ところが、種々の要因により、記録媒体の搬送速度に変動を生ずることが多いのが実情である。
要因としては、例えば、搬送部材その他これを駆動するギア等の部品の成形精度、これら部品の組み立て精度、かかるギア列のバックラッシュ等が挙げられる。
【0005】
このような事情に鑑み、〔特許文献1〕に記載されているように、搬送部材を、弾性を有するベルト状の部材とする技術が提案されている。この技術は、〔特許文献2〕に記載されているような、搬送部材をローラ状の部材とした構成に比べ、上述の要因による記録媒体の搬送速度の変動が、搬送部材の弾性によって緩和ないし防止される点で優れている。また、かかる技術によれば、搬送部材が記録媒体に面的に当接するため、記録媒体の搬送機能そのものにおいても優れている。
したがって、弾性を有するベルト状の部材を搬送部材として用いる技術が広く普及してきている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−265077号公報
【特許文献2】特許第2971615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、かかる技術にも、記録媒体の搬送速度に変動を生ずる問題が生じ得ることが分かった。この問題について、搬送部材が、像担持体に連れ回りする場合と、〔特許文献1〕に記載されているように、像担持体とは別に駆動される場合とに分けて説明する。
【0008】
まず、搬送部材が像担持体とは別に駆動される場合について説明する。この場合、像担持体の回転速度と搬送部材の回転速度とを完全に一致させることは困難であり、これらの回転速度には、通常、速度差が生じることとなる。そして、かかる回転速度の大小関係が、部品の成形精度、組み立て精度、ギア列のバックラッシュ等によって時間的に入れ替わるときには、記録媒体の搬送主体が、像担持体になったり、搬送部材になったりすることとなり、記録媒体の搬送速度が不安定となる。このような場合、記録媒体搬送装置を転写装置として用いると、記録媒体の搬送方向においてトナーやインキの濃度が変動する、バンディングと呼ばれる異常画像が発生する。
【0009】
そのため、像担持体の回転速度と搬送部材の回転速度との大小関係が一定となるように、これらの回転速度にある程度の差を設けることが考えられる。しかし、この場合には、搬送部材の弾性によって、速度差に起因する歪が、搬送部材に蓄積され、歪による応力が搬送部材と像担持体あるいは記録媒体との間の摩擦力より大きくなった瞬間に一気に開放され、搬送部材の回転速度に変動が生じるため、やはり記録媒体の搬送速度に変動を生じる。このような場合、記録媒体搬送装置を転写装置として用いると、横線状にトナーやインキの濃度が高くなる黒横帯と呼ばれる異常画像が発生する。また搬送部材の伸縮量が大きい場合には、ショックジターと呼ばれる顕著な異常画像が生じることもある。
【0010】
一方、搬送部材が像担持体に連れ回りする場合は、搬送部材の回転速度が像担持体の回転速度よりも大きくなることがなく、またかかる歪が搬送部材に蓄積されることがないため、これらの問題は生じない。しかし、記録媒体の摩擦係数によっては、搬送部材の回転に要するトルクの影響で、記録媒体と搬送部材との間で滑りが生じ、搬送部材の回転が停止したままとなったり搬送部材の回転がランダムになったりして、記録媒体の搬送速度に変動が生じる。このような場合、記録媒体搬送装置を転写装置として用いると、記録媒体に、搬送部材との擦れに起因する異常画像が発生する。
【0011】
この点、〔特許文献2〕には、ローラ状の搬送部材を、トルクリミッタを介して回転駆動する構成が開示されており、このような構成によれば、トルクリミッタによって像担持体との回転速度差を解消することで、記録媒体の搬送速度の変動の防止を図ることが可能であるとも考えられる。
【0012】
しかし、かかる構成でも、記録媒体の摩擦係数や、像担持体、搬送部材の回転に要するトルク、またトルクリミッタにおいて設定されているトルクいかんでは、やはり記録媒体の搬送速度に変動を生じ、この構成を採用した転写装置では、記録媒体に、搬送部材又は像担持体との擦れや、トナーやインキとの擦れに起因する異常画像が発生する。
【0013】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置に備えられた、感光体、中間転写体、印刷ドラム等の像担持体に対向して配置され、回転により像担持体との対向領域に用紙等の記録媒体を搬送する、弾性を有するベルト状の搬送部材を備えた記録媒体搬送装置であって、記録媒体の搬送を安定して行う記録媒体搬送装置、この記録媒体搬送装置を有し搬送部材が像担持体に担持されている像を記録媒体に転写するための転写部材である転写装置、これらを有するかかる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、像担持体に対向して配置され、回転により像担持体との対向領域で記録媒体を搬送する、弾性を有するベルト状の搬送部材と、この搬送部材を回転駆動するための駆動手段と、この駆動手段による前記搬送部材の回転駆動の非作動の設定を行うことが可能な設定切換手段とを有し、前記設定切換手段により、前記設定が行われていないときは、前記搬送部材は前記駆動手段によって回転駆動されることで前記対向領域で記録媒体を搬送し、前記設定切換手段により、前記設定が行われているときは、前記搬送部材は像担持体に従動回転することで前記対向領域で記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置にある。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の記録媒体搬送装置において、前記設定切換手段が前記設定を行うタイミングは、記録媒体が前記対向領域に所定長さ進入するタイミングであることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の記録媒体搬送装置において、記録媒体の種類を検知する記録媒体種類検知手段を有し、前記設定切換手段は、前記記録媒体種類検知手段によって検知された記録媒体の種類が所定の種類であるときに前記設定を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の記録媒体搬送装置において、前記記録媒体種類検知手段は、摩擦係数に関する記録媒体の種類を検知することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の記録媒体搬送装置において、前記記録媒体種類検知手段は、記録媒体の搬送方向において前記搬送部材の上流側に位置する、回転駆動される駆動部材と、この駆動部材に従動回転する従動部材と、この従動部材の回転速度を検知する回転速度検知手段と、この回転速度検知手段によって検知された前記回転速度に基づいて記録媒体の摩擦係数を判断する摩擦係数判断手段とを有することを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の記録媒体搬送装置において、前記駆動手段は、前記設定切換手段が前記設定を行うときに同設定切換手段によって駆動される電磁クラッチを有することを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の記録媒体搬送装置において、前記電磁クラッチは、前記搬送部材を支持している部材とは別の部材に設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の記録媒体搬送装置を有し、前記搬送部材は、像担持体に担持されている像を記録媒体に転写するための転写部材である転写装置にある。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の記録媒体搬送装置、または、請求項8記載の転写装置を有する画像形成装置にある。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の画像形成装置において、前記像担持体に担持される像がトナー像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、像担持体に対向して配置され、回転により像担持体との対向領域で記録媒体を搬送する、弾性を有するベルト状の搬送部材と、この搬送部材を回転駆動するための駆動手段と、この駆動手段による前記搬送部材の回転駆動の非作動の設定を行うことが可能な設定切換手段とを有し、前記設定切換手段により、前記設定が行われていないときは、前記搬送部材は前記駆動手段によって回転駆動されることで前記対向領域で記録媒体を搬送し、前記設定切換手段により、前記設定が行われているときは、前記搬送部材は像担持体に従動回転することで前記対向領域で記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置にあるので、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、この装置を転写装置として用いた場合におけるバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【0025】
前記設定切換手段が前記設定を行うタイミングは、記録媒体が前記対向領域に所定長さ進入するタイミングであることとすれば、搬送部材が記録媒体を介して像担持体に従動回転し記録媒体を良好に搬送する状態となったタイミングでかかる設定を行うことによって、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、この装置を転写装置として用いた場合におけるバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【0026】
記録媒体の種類を検知する記録媒体種類検知手段を有し、前記設定切換手段は、前記記録媒体種類検知手段によって検知された記録媒体の種類が所定の種類であるときに前記設定を行うこととすれば、記録媒体の種類に応じてかかる設定を行うことによって、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、この装置を転写装置として用いた場合におけるバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【0027】
前記記録媒体種類検知手段は、摩擦係数に関する記録媒体の種類を検知することとすれば、摩擦係数に関する記録媒体の種類に応じてかかる設定を行うことによって、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、この装置を転写装置として用いた場合におけるバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【0028】
前記記録媒体種類検知手段は、記録媒体の搬送方向において前記搬送部材の上流側に位置する、回転駆動される駆動部材と、この駆動部材に従動回転する従動部材と、この従動部材の回転速度を検知する回転速度検知手段と、この回転速度検知手段によって検知された前記回転速度に基づいて記録媒体の摩擦係数を判断する摩擦係数判断手段とを有することとすれば、記録媒体と搬送部材との間の滑りを測定することによって判断された摩擦係数に関する記録媒体の種類に応じてかかる設定を行うことによって、比較的簡易かつ安価な構成で、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、この装置を転写装置として用いた場合におけるバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【0029】
前記駆動手段は、前記設定切換手段が前記設定を行うときに同設定切換手段によって駆動される電磁クラッチを有することとすれば、比較駅簡易な構成で精度良く記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、この装置を転写装置として用いた場合におけるバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【0030】
前記電磁クラッチは、前記搬送部材を支持している部材とは別の部材に設けられていることとすれば、比較駅簡易な構成で精度良く記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、また、電磁クラッチの作動による振動が搬送部材に伝達されることを防止ないし抑制し、記録媒体の擦れ汚れや、この装置を転写装置として用いた場合におけるバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な記録媒体搬送装置を提供することができる。
【0031】
本発明は、かかる記録媒体搬送装置を有し、前記搬送部材は、像担持体に担持されている像を記録媒体に転写するための転写部材である転写装置にあるので、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れやバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な 転写装置を提供することができる。
【0032】
本発明は、かかる記録媒体搬送装置、または、かかる転写装置を有する画像形成装置にあるので、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、転写の際のバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0033】
本発明は、前記像担持体に担持される像がトナー像であることとすれば、記録媒体の搬送状況を適切な状況に設定し、記録媒体と搬送部材との滑りを防止ないし抑制するとともに搬送部材の伸縮を防止ないし抑制し記録媒体の搬送を安定して行うことが可能であり、記録媒体の擦れ汚れや、転写の際のトナー像のバンディング、ショックジター等の異常画像を防止ないし抑制することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置1は、レーザ複写機とプリンタとファクシミリとのモノクロの複合機であるが、カラー機など他のタイプの複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置1は、この画像形成装置1で読み取った原稿の画像データ、または外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置1は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
【0035】
画像形成装置1は、筐体1Aの高さ方向で略中央部に配設された画像形成部4と、画像形成部4の上方に配設された排紙部たる排紙収納部としての排紙トレイ2と、排紙トレイ2を隔てて画像形成部4の上方に位置する、原稿を読み取る読み取り部としての原稿読み取り部3と、画像形成部4の下方に配設された給紙部としての給紙装置11と、画像形成装置1の全般的な制御を行う制御手段としての図2に示す制御部30と、操作者がコピーボタン押下等による画像形成開始指示、片面画像形成を行うか両面画像形成を行うかの指示等の各種操作を行うことが可能となった図示しない操作パネルとを有している。
【0036】
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体1A内で排紙が行われる胴内排紙型の画像形成装置であって、排紙トレイ2が、画像形成部4と原稿読み取り部3との間に位置しており、画像形成が行われた記録媒体としての転写紙である用紙Pが、排紙トレイ2上に排紙収納されるようになっている。
【0037】
画像形成部4は、ドラム状の潜像担持体である像担持体としての感光体ドラム5を有している。感光体ドラム5は、像担持体駆動手段である駆動源としての図2に示すメインモータ31によって図中、反時計方向であるX方向に所定の速度で回転する。
【0038】
図1に示すように、画像形成部4はまた、感光体ドラム5に対向するようにして感光体ドラム5の周囲にその回転方向Xに沿って配設された、感光体ドラム5の表面に帯電処理を行う帯電手段としての帯電装置6と、形成すべき画像に対応した画像情報に基づいて、帯電装置6によって帯電した感光体ドラム5の表面を走査するビームLを照射する露光装置としての書き込み手段である書き込み装置7と、ビームLによって露光された感光体ドラム5の表面に形成された潜像としての静電潜像をトナーによって現像し可視化する現像手段としての現像装置8と、感光体ドラム5上の静電潜像を現像して形成されたトナー像の濃度を検知する光反射型のセンサ35と、感光体ドラム5上の静電潜像を現像して形成されたトナー像を転写対象である用紙Pに転写する転写手段としての転写装置9と、転写装置9による転写後に感光体ドラム5の表面に残留しているトナー等の不要物を除去し回収する像担持体クリーニング手段としてのクリーニング装置10と、感光体ドラム5上の残電荷を除電して感光体ドラム5の除電処理を行う除電手段としての除電装置36とを有している。
【0039】
図1に示すように、画像形成部4はまた、感光体ドラム5と転写装置9との図2に示すニップとしての転写部である対向領域32を通る、二点鎖線の矢印で示す用紙Pの搬送経路Yと、搬送経路Yから分岐した、破線の矢印で示す用紙Pの搬送経路Zとを有している。
【0040】
画像形成部4はまた、搬送経路Yにおける用紙Pの搬送方向の上流側から、給紙装置11から給送されてきた用紙Pの搬送を引き継いで搬送方向Y下流側にさらに搬送する搬送ローラ対33と、搬送ローラ対33から給送されてきた用紙Pの搬送を引き継いで搬送方向Y下流側にさらに搬送する搬送ローラ対34と、搬送方向Yにおいて搬送ローラ対34の下流側かつ転写装置9の上流側に配設され対向領域32に用紙Pを給送するレジストローラ14と、搬送方向Yにおいて転写装置9の下流側かつ排紙トレイ2の上流側に配設された、定着手段としての定着器である定着装置12と、定着装置12を通過後の用紙Pの後端の通過を検知し用紙Pの排紙トレイ2への排出等を検知するための排紙センサ25と、正逆転する排紙ローラであって正転時に用紙Pを排紙トレイ2上に排出して筐体1A外部に排出する排紙手段としての排紙装置13とを、この順で有している。
【0041】
画像形成部4はまた、搬送経路Zの一部をその内部に備え画像形成装置1の本体51に対して開閉する開閉体としてのカバー31と、搬送経路Y内の用紙Pを搬送経路Z内に導くことを可能にするための分岐爪20とを有している。
【0042】
原稿読み取り部3には、原稿載置台としてのコンタクトガラス3Eと、コンタクトガラス3E上に載置された原稿Gを走査するための、原稿照明用光源としての光源3Aおよび光路変換用反射鏡3Bを備えた読み取り走行体3Fと、読み取り走行体3Fによって形成された原稿からの反射光を透過するレンズを含む読み取り光学系3Cと、読み取り光学系3Cを透過した光が入射し、これを画像信号として読み取るCCDなどの光学素子3Dとを有している。光学素子3Dによって読み取られた原稿の画像情報は、制御部30に出力され、デジタル化され、画像処理される。
【0043】
書き込み装置7は、制御部に入力された原稿の画像情報等に応じて照射を行うレーザダイオードとしての半導体レーザ7Aと、半導体レーザ7Aの発光による光を結像させるための結像光学系をなす図示しない反射鏡および結像レンズと、反射鏡および結像レンズを経た半導体レーザからの光を走査する偏向手段としてのポリゴンミラー7Bと、ポリゴンミラー7Bを回転駆動する駆動手段7Cとを有し、ポリゴンミラー7Bによって走査された光をビームLとし、感光体ドラム5上に照射して静電潜像を形成するようになっている。
【0044】
半導体レーザ7Aは、制御部30からの画像信号に基づいて発光制御されるようになっており、制御部30では、原稿読み取り部3からの画像情報だけでなく、プリンタとして用いられる場合の印字信号およびファクシミリ装置として用いられる場合の送信信号に応じた画像信号によって半導体レーザの駆動制御を行う。これにより、画像形成装置1が、複写機だけでなくプリンタおよびファクシミリ装置としての機能を持つデジタル複合機としての機能を持っている。
【0045】
給紙装置11は、用紙Pを積載するとともに積載した用紙Pを画像形成部4に供給するものであって、用紙Pを積載する周知構造の給紙カセットとしての給紙トレイ11Aと、給紙トレイ11Aに積載された用紙Pのうちの最上位の用紙Pに当接してその回転により画像形成部4、具体的にはレジストローラ14に向けて繰り出す繰り出しローラとしてのピックアップコロである給紙ローラ11Bと、給紙ローラ11Bによって繰り出された用紙Pが複数枚である場合に最上位の用紙Pを他の用紙Pから分離して搬送ローラ対33に向けて送り出す分離ローラ対11Cとを備えたものである。なお、給紙装置11には、必要に応じ、別の給紙装置を増設可能となっている。
【0046】
分離ローラ対11Cは、用紙Pの上面側に位置する給紙コロ17と、用紙Pの下面側に位置するリバースコロ18とを有している。給紙コロ17は、図示しない駆動手段により、用紙Pを搬送ローラ対33に向けて送り出す方向である、同図における反時計方向に回転駆動されている。リバースコロ18は、図示しないトルクリミッタを備えた図示しない駆動手段により、用紙Pを搬送ローラ対33に向けて送り出す方向とは逆の方向の、同図における時計方向に回転駆動されている。
【0047】
給紙コロ17とリバースコロ18との間に用紙Pが進入していないときには、リバースコロ18は、トルクリミッタの機能により、給紙コロ17との摩擦力により、給紙コロ17に連れ回る。また給紙コロ17とリバースコロ18との間に用紙Pが1枚のみ進入しているときにも、リバースコロ18は、トルクリミッタの機能により、用紙Pの裏面との摩擦力により、給紙コロ17および用紙Pに連れ回る。しかし、給紙コロ17とリバースコロ18との間に用紙Pが2枚進入したときは、リバースコロ18は、その駆動手段によって、当接している下側の用紙Pを給紙トレイ11Aに戻す向きである、同図における時計方向に回転するため、給紙コロ17に当接している1枚の用紙Pのみが搬送ローラ対33に向けて送り出される。よって、給紙装置11によれば、用紙Pは、一枚ずつ、搬送ローラ対33に向けて送り出される。
【0048】
レジストローラ14は、図示しないレジストモータにより回転駆動されるものであり、給紙装置11から給送されてくる用紙Pの先端を突き当てられてその搬送を一時止めるとともに、感光体ドラム5表面のトナー像の先端と用紙Pの先端との位置関係が一致する所定のタイミングで回転を開始するようになっている。搬送方向Yにおけるレジストローラ14と対向領域32との間の距離すなわち、レジストローラ14のニップの最下流位置から、対向領域32の最上流までの、搬送方向Yに沿った距離は、50mmとされている。レジストモータは通電によって回転するものであり、レジストモータに対する通電制御は制御部30によって行われる。
【0049】
搬送ローラ33、34、レジストローラ14、感光体ドラム5、転写ベルト41の回転速度言い換えると用紙Pの搬送速度の設計値は、230mm/secとされている。なお、この値はあくまで設計値であり、各部品の成形誤差、設置誤差、組み立て等の誤差や、用紙Pとの滑り等により、これらの実際の回転速度や用紙Pの実際の搬送速度との間には、若干の差がある場合がある。
【0050】
定着装置12は、用紙Pを挟持搬送可能なように互いに対向して当接することにより連動回転が可能な定着ローラ12Aと、定着ローラ12Aに対向して配設された加圧部材としての加圧ローラ12Bとを有しており、転写装置9により表面にトナー像を転写された用紙Pを、定着ローラ12Aと加圧ローラ12Bとの間に通し、このとき加熱および加圧を行うことで、トナー像を用紙Pに融着し、定着させるものである。
【0051】
分岐爪20は、通常、定着装置12によって一方の面にトナー像が定着された用紙Pを排紙装置13に導くホームポジションを占めているが、操作パネル等によって両面画像形成を行うことが指示されているときは、定着装置12によって一方の面にトナー像が定着された用紙Pの後端の通過が排紙センサ25によって検知されると、その先端が上方に搖動するようになっている。
【0052】
排紙装置13は、定着装置12によってトナー像を定着された用紙Pを、正転によって排紙トレイ2上に排出するが、操作パネル等によって両面画像形成を行うことが指示されているときには、分岐爪20の先端が上方に搖動すると逆転し、用紙Pをその後端から搬送経路Zに進入させる。
【0053】
搬送経路Zは、搬送経路Yから進入した用紙Pを、カバー31内を通過させた後、再度用紙Pの搬送経路Yに進入させる。搬送経路Zが用紙Pを搬送経路Yに進入させる位置は、搬送経路Yにおける用紙Pの搬送方向にて搬送ローラ対34の上流側、かつ、搬送ローラ対33の下流側である。
【0054】
よって、搬送経路Yから搬送経路Zを経て再度搬送経路Yに進入した用紙Pは、スイッチバックされて反転された状態となっており、すでにトナー像を定着された面とは逆の面が感光体ドラム5側を向くように、搬送ローラ対34を経てレジストローラ14によって感光体ドラム5と転写装置9との間の転写部に給送されることとなる。
【0055】
なお、分岐爪20は、先端が上方に搖動している状態において搬送経路Zに用紙Pの全体が進入すると、先端が下方に搖動し、ホームポジションに復帰する。分岐爪20は、上述した、用紙Pを搬送経路Yから搬送経路Zに導くとき以外は、ホームポジションを占めた状態を維持される。
【0056】
感光体ドラム5と、帯電装置6と、現像装置8と、センサ35と、クリーニング装置10と、除電装置36とは、プロセスカートリッジ15の一部を構成している。プロセスカートリッジ15は、感光体ドラム5、帯電装置6、現像装置8、センサ35、クリーニング装置10、除電装置36のほか、これらを一体に支持する図示しない支持体を有している。支持体は、本体51に着脱自在に設けられている。
【0057】
よって、プロセスカートリッジ15は、感光体ドラム5、帯電装置6、現像装置8、センサ35、クリーニング装置10、除電装置36を一体で、本体51に着脱可能とするものとなっている。これにより、感光体ドラム5、帯電装置6、現像装置8、センサ35、クリーニング装置10、除電装置36のメンテナンス、交換などの作業性を向上している。
【0058】
帯電装置6は、詳細な図示を省略するが、感光体ドラム5に対向し当接するように配設され感光体ドラム5を−1000Vに一様に帯電する帯電部材としての帯電ローラと、帯電ローラに付着したトナーや紙粉等の異物を除去してクリーニングするための帯電ローラクリーナとしてのクリーニング装置とを有している。帯電ローラの径はφ14mmである。
【0059】
クリーニング装置は、クリーニング対象物としての帯電ローラに当接して連れ回り、すなわち従動回転するクリーニング部材としてのクリーニングローラと、クリーニングローラを帯電ローラに向けて加圧し付勢するための付勢部材としての圧縮スプリングであるばねとを有している。
なお、帯電装置6は、本形態では感光体ドラム5に当接して配置された当接型の帯電装置であるが、感光体5に近接して配置される近接型の帯電装置であっても良い。
【0060】
現像装置8は、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤を用いる現像装置であり、図2に示すように、感光体ドラム5に当接した現像ローラ24と、現像ローラ24に現像剤を供給する剤供給部材23とを有している。現像ローラ24は感光体ドラム5との対向位置において感光体ドラム5と同じ方向に回転するものであり、表面に有する図示しない現像スリーブに2成分現像剤を担持し、2成分現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム5に供給して静電潜像に対応した現像を行う。現像ローラ24の径はφ19mmである。高画質の現像を行うため、かかる現像剤は球形トナーを含んでいる。現像装置8には、図示しないトナー補給装置が接続されており、図示しないトナー補給口を介してトナーが補給される。
【0061】
センサ35は、光の反射を利用して感光体ドラム5上のトナー濃度を検知するものであり、制御部30により、検知されたトナー濃度に基づいて、帯電ローラへの印加電圧および現像装置8内の現像剤のトナー濃度が制御される。
【0062】
クリーニング装置10は、感光体ドラム5の表面に当接し同表面上の不要物を掻き取ってクリーニングするクリーニングブレード等を有する周知の構成である。
除電装置36は、図示しない除電ランプを有しており、除電ランプの光の照射により、クリーニング装置10によってクリーニングされた後の感光体ドラム5の表面を除電し、感光体ドラム5の表面電位を0〜−150Vの基準電位に平均化する。
【0063】
ビームLは、帯電装置6が感光体ドラム5に当接した位置と、現像装置8、具体的には現像ローラ24が感光体ドラム5に当接した位置との間の位置にて感光体ドラム5に照射される。感光体ドラム5表面の、ビームLが照射された部分は、電位が0〜−200V程度とすることで、感光体ドラム5の表面に、現像装置8によってトナーが付着することで現像される静電潜像が形成される。
【0064】
転写装置9は、カバー31を閉じた状態において対向領域32に用紙Pが進入していないときに感光体ドラム5に当接するように配設され、対向領域32においてX方向に沿うT方向に回転することで、用紙Pを搬送する、ベルト状の搬送部材である転写ベルト41と、転写ベルト41を張架して支持した支持回転体としての支持ローラ42、43と、T方向において支持ローラ42および対向領域32よりも下流側かつ支持ローラ43より上流側の位置で転写ベルト41の内側に対向当接するように配設されたバイアス印加部材としてのバイアスローラ44と、バイアスローラ44に電圧を印加する図示しない電圧印加手段とを有している。
【0065】
転写装置9はまた、支持ローラ43を介して転写ベルト41をT方向に回転するための、搬送部材駆動手段としての駆動源であるモータ45と、モータ45によって得られる駆動力を支持ローラ43に伝達するか否かを切り換える切換手段としての電磁クラッチ46と、支持ローラ43に対向する位置で転写ベルト41に付着したトナーや紙粉等の異物を除去してクリーニングするための搬送部材クリーニング手段としてのクリーニング装置47と、後述するように設定切換手段として機能する制御部30と、後述する記録媒体種類検知手段59とを有している。
【0066】
転写ベルト41は、ゴム材からなる弾性体であって、支持ローラ42、43、電磁クラッチ46等の成形精度、支持ローラ42、43等の偏心、支持ローラ42、43、電磁クラッチ46等の組み立て精度、モータ45、電磁クラッチ46、支持ローラ43相互間が噛合している場合のバックラッシュ等に起因する転写ベルト41の回転速度の変動を緩和ないし防止し、これにより用紙Pの搬送速度の変動を抑制ないし防止している。また、転写ベルト41は用紙Pに面的に当接し、またゴム材で構成することで比較的摩擦係数が大きいため、用紙Pの搬送機能そのものにおいても優れている。
【0067】
転写ベルト41は、カバー31を閉じ且つ用紙Pが対向領域32に進入していない状態で、搬送方向Y、T方向において、長さ8mmにわたって感光体ドラム5に当接している。すなわち、搬送方向Y、T方向における対向領域32の長さは、8mmとなっている。
【0068】
支持ローラ43は、電磁クラッチ46に噛合する図示しないギアを一体に有しており、電磁クラッチ46を介してモータ45によって回転駆動され転写ベルト41を回転駆動する駆動ローラとなっている。支持ローラ42は、転写ベルト41を介して支持ローラ43に従動する従動ローラとなっている。支持ローラ42、43はともに、カバー31に回転自在に支持されている。よって、転写ベルト41もカバー31に支持されている。
【0069】
バイアスローラ44は、電圧印加手段によって印加される電圧により、転写ベルト41を介して感光体ドラム5に転写電流を流し、感光体ドラム5上に担持されているトナー像を、対向領域32において、対向領域32に進入した用紙Pに転写する。転写装置9は、感光体5と用紙P表面との間に転写電界を形成させる間接印加方式を採用している。バイアスローラ44は、用紙Pを転写ベルト41に静電吸着させ、転写ベルト41による用紙Pの搬送機能を確保することにも寄与している。
【0070】
モータ45は、制御部30により駆動を制御されるものであり、入力電流の正負の切り換えにより、正逆回転されるようになっている。モータ45は、筐体1Aに固定されており、これにより本体51に固定支持されている。すなわち、モータ45は、転写ベルト41を支持している部材であるカバー31とは別の部材に設けられている。
【0071】
電磁クラッチ46は、支持ローラ43に噛合する図示しないギアを一体に有しており、後述するように設定切換手段として機能する制御部30により駆動を制御され、モータ45の駆動力を支持ローラ43に伝達するか否かを切り換えるものとなっている。具体的には、電磁クラッチ46は、制御部30により通電をオンにされると、モータ45の駆動力が支持ローラ43に伝達され、モータ45の駆動力によって転写ベルト41が回転駆動される。また電磁クラッチ46は、制御部30により通電をオフにされると、モータ45の駆動力が支持ローラ43に伝達さなくなり、転写ベルト41は、感光体ドラム5に従動回転される状態となる。電磁クラッチ46は、筐体1Aに固定されており、これにより本体51に固定支持されている。すなわち、電磁クラッチ46は、転写ベルト41を支持している部材であるカバー31とは別の部材に設けられている。
【0072】
支持ローラ43、電磁クラッチ46、モータ45は、転写ベルト41を駆動するための駆動手段48を構成している。制御部30は、電磁クラッチ46を駆動することにより駆動手段48による転写ベルト41の回転駆動の非作動の設定を行うことが可能な設定切換手段として機能するようになっている。
【0073】
また、転写装置9は、設定切換手段として機能する制御部30によりかかる設定が行われていないときは転写ベルト41がモータ45によって回転駆動されることで対向領域32で用紙Pを搬送し、設定切換手段として機能する制御部30によりかかる設定が行われているときは転写ベルト41が用紙Pを介して感光体ドラム5に従動回転することで対向領域32で用紙Pを搬送する記録媒体搬送装置を構成している。
【0074】
クリーニング装置47は、詳細な図示を省略するが、支持ローラ43との対向領域である弾性分離搬送ベルトクリーニング部において転写ベルト41に当接し転写ベルト41に付着したトナーや紙粉等の異物を除去してクリーニングするクリーニング部材としてのクリーニングブレードを有している。クリーニング装置47は、カバー31に固定支持されている。
【0075】
クリーニング装置47は、画像形成装置1の起動時、ジョブ終了後等感光体ドラム5上のトナー像を構成するトナーの濃度調整を行うプロセスコントロール時等のタイミングにおいて、制御部30が電磁クラッチ46への通電をオンにした状態でモータ45を正転させ、転写ベルト41を、用紙Pを搬送する方向であるT方向に回転駆動させると、転写ベルト41上の異物を除去し、続いて、制御部30が電磁クラッチ46への通電をオンにした状態でモータ45を逆転させ、転写ベルト41を、T方向とは逆の方向に回転駆動させると、クリーニングブレードのカット面上に溜まった異物、クリーニングブレードのエッジ部に挟まった異物を除去する。
【0076】
転写ベルト41と、支持ローラ42、43と、バイアスローラ44と、クリーニング装置47は、用紙Pを搬送するとともに転写機能を有する転写搬送ユニット49を構成している。転写搬送ユニット49は、支持ローラ43に一体のギアが、電磁クラッチ46に一体のギアとの噛合を解除されることにより、電磁クラッチ46、モータ45と別体となるように構成されている。また、転写搬送ユニット49は、カバー31に着脱自在に支持されている。
【0077】
カバー31は、その下端部に、カバー31を本体51に対して開閉するときにカバー31の回転中心をなす開閉体支持軸としての軸39を有している。カバー31は、転写搬送ユニット49を支持しており、本体51に対して開くと、支持ローラ43に一体のギアが、電磁クラッチ46に一体のギアとの噛合を解除され、これにより、転写搬送ユニット49を電磁クラッチ46、モータ45と別体とするとともに、転写ベルト41を感光体ドラム5から離間する。よって、カバー31を本体51に対して開き、転写搬送ユニット49を分離した状態とすることで、転写装置9に対するメンテナンスが容易に行われる状態となる。また、カバー31を本体51に対して開くと、転写搬送ユニット49が容易に取り出せるので、クリーニング装置47において異物が満杯になった場合など、転写搬送ユニット49を取り出してメンテナンスを行う必要がある場合に、容易にメンテナンスが行われる。
【0078】
さらに、転写搬送ユニット49を支持している部材が、筐体1Aと別体のカバー31であることにより、電磁クラッチ46、モータ45の作動時におけるこれらの振動が、転写搬送ユニット49に伝達されにくくなり、転写搬送ユニット49による用紙Pの搬送が安定化されている。なお、図2においては、カバー31、その他、原稿読み取り部3、給紙装置11等の図示を省略している。
【0079】
搬送ローラ対33、34はそれぞれ、用紙Pの、転写ベルト41側を向く面に当接する、図示しない駆動手段によって回転駆動される駆動部材としての駆動ローラ33a、34aと、用紙Pの、感光体ドラム5側を向く面に当接する、駆動ローラ33a、34aまたはこれによって駆動力を得た用紙Pによって駆動され連れ回る、すなわち従動回転する従動部材としての従動ローラ33b、34bとを有している。
【0080】
駆動ローラ33a表面の摩擦係数は、感光体ドラム5表面の摩擦係数と等しいか略同じとなるように調整されている。従動ローラ34bの材質は、転写ベルト41と同一であり、従動ローラ34b表面の摩擦係数は、転写ベルト41表面の摩擦係数と同一である。搬送ローラ対34による用紙Pの搬送力の形成条件は、搬送方向Yにおける対向領域32の全体に用紙Pが進入している状態での対向領域32における用紙Pの搬送力の形成条件とほぼ一致しているとともに、従動ローラ34bの回転条件は、設定切換手段として機能する制御部30が転写ベルト41の回転駆動の非作動の設定を行った場合における転写ベルト41の回転条件とほぼ一致している。これらの条件は、従動ローラ34bと駆動ローラ34aとの当接圧を、図示しないバネ等の付勢手段によって調整することで形成している。
【0081】
従動ローラ34bは、従動ローラ34bの回転速度を検知するために従動ローラ34bと一体に設けられ従動ローラ34bと一体で回転する回転速度検知手段としてのエンコーダ38を有している。
【0082】
搬送ローラ対34によって用紙Pを搬送しているときにエンコーダ38によって検知された従動ローラ34bの回転速度は、設定切換手段として機能する制御部30が転写ベルト41の回転駆動の非作動の設定を行った場合において搬送方向Yにおける対向領域32の全体に用紙Pが進入しているときにおける、転写ベルト41の回転速度を予測したものとなる。つまり、検知された従動ローラ34bの回転速度が、駆動ローラ34aの回転速度より遅いときには、用紙Pと従動ローラ34bとの間で滑りが生じているため、対向領域32においても、用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生ずると推測される。これらの滑りは、用紙Pの摩擦係数に依存するため、かかる回転速度により、用紙Pの摩擦係数を大まかに知ることができる。よって、かかる回転速度を測定することにより、摩擦係数に関して用紙Pがどのような種類であるか、例えば転写ベルト41が従動回転する摩擦係数を有する種類であるか否かを知ることができる。エンコーダ38によって検知された従動ローラ34bの回転速度は制御部30に入力される。
【0083】
操作パネルは、画像形成の開始等を指示するスタートキー、画像形成を用紙Pの片面に行うことを指示する片面プリントキー、画像形成を用紙Pの両面に行うことを指示する両面プリントキー、画像形成枚数等を入力するテンキー等を備えている。
【0084】
制御部30は、詳細な図示を省略するが、CPUと、画像形成装置1の動作プログラム及びこの動作プログラムの動作に必要な各種データを記憶した第1の記憶手段としてのROMと、画像形成装置1の動作に必要なデータを記憶する第2の記憶手段としてのRAMと、所定の時間を計測するタイマ等を備えた構成となっている。
【0085】
ROMには、用紙Pと従動ローラ34bとの間で滑りを生じていないときにエンコーダ38によって検知されるべき従動ローラ34bの回転速度すなわち基準回転速度が記憶されている。ここに、ROMは、基準回転速度記憶手段として機能するものとなっている。
【0086】
CPUは、エンコーダ38から入力された従動ローラ34bの実測の回転速度が、基準回転速度の何%であるかを計算する。ここに、CPUは、回転速度低下割合算出手段として機能する。
【0087】
CPUは、搬送ローラ対34によって用紙Pを搬送しているときの実測の回転速度が基準回転速度の90%を下回ったとき、すなわち、従動ローラ34bの回転速度に10%の遅れが生じたときに、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じると判断する。言い換えると、用紙Pの種類が、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じる種類であり、用紙Pの摩擦係数が、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じる摩擦係数であると判断する。
【0088】
ここに、CPUは、滑り発生判断手段として機能しており、また制御部30は、搬送ローラ対34によって用紙Pを搬送しているときの実測の回転速度に基づいて用紙Pの摩擦係数を判断する摩擦係数判断手段として機能する。搬送ローラ対34と、摩擦係数判断手段として機能する制御部30とは、摩擦係数に関する用紙Pの種類を検知する記録媒体種類検知手段59を構成している。
【0089】
また、設定切換手段として機能する制御部30は、記録媒体種類検知手段59によって検知された用紙Pの種類が、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じる摩擦係数を有する種類であるときには、対向領域32に用紙Pが進入しているとき、駆動手段48による転写ベルト41の回転駆動の非作動の設定を行うことなく、モータ45による転写ベルト41の回転駆動を継続する。その一方、設定切換手段として機能する制御部30は、記録媒体種類検知手段59によって検知された用紙Pの種類が、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じない摩擦係数を有する種類であるときには、対向領域32に用紙Pが進入している後述のタイミングで、駆動手段48による転写ベルト41の回転駆動の非作動の設定を行い、モータ45による転写ベルト41の回転駆動を停止し、転写ベルト41を、用紙Pを介して感光体ドラム5に従動回転させる。非作動の設定を行う場合におけるこの設定を行うタイミングについて次に述べる。
【0090】
ここで、本発明者が、かかるタイミングと用紙Pの擦れ汚れとの関係を調べたところ、図3に示すようになった。擦れ汚れとは、用紙Pと転写ベルト41との間の滑りによって生じるものである。なお、用紙Pの種類は、搬送方向Yにおける対向領域32の全体に用紙Pが進入している状態で、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じない摩擦係数を有する種類であるものとする。
【0091】
図3において、擦れ汚れランクは、数字が大きいほど擦れ汚れが小さいことを示す。具体的には、ランク1は擦れ汚れが汚れとして認識される状態であり、ランク2は擦れ汚れが軽微に発生している状態であり、ランク3は擦れ汚れが発生していない状態であることを示す。
【0092】
またかかるタイミングは、用紙Pの先端が、搬送方向Yにおける転写領域32の最上流側位置に達した時を基点としたタイミングであって、図3では、用紙Pの先端が、かかる最上流側位置から搬送方向Y、T方向に沿って搬送され進んだ距離L(mm)を、かかるタイミングとして用いている。言い換えると、用紙Pの先端が、かかる最上流側位置に達したときから、距離Lだけ搬送されるまでに要した時間を、かかるタイミングとしている。
【0093】
同図から、距離Lが長くなるほど擦れ汚れが低減していることが分かる。詳細には、距離Lが8mm以上となると、擦れ汚れが発生しなくなることが分かる。距離Lが長くなるほど擦れ汚れが低減する理由としては、次のようなことが考えられる。
【0094】
設定切換手段としての制御部30が電磁クラッチ46への通電をオフの状態として電磁クラッチ46を切り、モータ45の駆動力が転写ベルト41に伝達されず、転写ベルト41が感光体ドラム5に連れ回りする状態であるとする。
【0095】
このとき、用紙Pが対向領域32に進入する前は転写ベルト41は対向領域32の全体で感光体ドラム5に当接しているため、転写ベルト41と感光体ドラム5との間に転写ベルト41を回転駆動させるのに十分な摩擦力が生じ、転写ベルト41は感光体ドラム5に従動回転する。しかし、用紙Pが対向領域32に進入した当初は、用紙Pの厚みにより、転写ベルト41と感光体ドラム5との間に隙間ができるため、転写ベルト41と感光体ドラム5との間の摩擦力が転写ベルト41を回転駆動させるのに不十分となる。
【0096】
したがって、感光体ドラム5との間に摩擦力によって搬送される用紙Pと転写ベルト41との間に速度差が生じ、すなわち用紙Pと転写ベルト41との間に滑りが生じ、擦れ汚れが生ずる。
【0097】
ただし、用紙Pが感光体ドラム5によって搬送されていき、用紙Pと転写ベルト41との当接面積が大きくなっていくと、かかる隙間が次第に解消されていき、用紙Pと転写ベルト41との間の摩擦力が大きくなるとともに、バイアスローラ44の作用により用紙Pが転写ベルト41に静電吸着される面積が増加していくため、用紙Pが対向領域32に進入した長さが所定長さとなると、転写ベルト41が用紙Pを介して感光体ドラム5に連れ回りするようになる。この所定長さが、上述の距離Lにおける8mmという長さである。
【0098】
したがって、設定切換手段としての制御部30が電磁クラッチ46への通電をオンの状態として電磁クラッチ46をつなぎ、モータ45の駆動力が転写ベルト41に伝達され、転写ベルト41がモータ45の駆動力によって回転駆動される状態において、対向領域32に通紙を行った場合、距離Lが8mmとなった時点で電磁クラッチ46への通電をオフにして電磁クラッチ46を切っても、この時点で、転写ベルト41は、用紙Pとの摩擦力、静電吸着力が十分に確保されているため、転写ベルト41が用紙Pを介して感光体ドラム5に従動回転する。よって、擦れ汚れも生じず、擦れ汚れランクが3となる。
【0099】
一方、距離Lがたとえば6mmであるときには、転写ベルト41と用紙Pとの摩擦力、静電吸着力は、生じてはいるものの十分に確保された状態には至っておらず、転写ベルト41が用紙Pを介して感光体ドラム5に従動回転するものの、転写ベルト41と用紙Pとの間で滑りも生じる。よって、擦れ汚れが軽微に発生し、擦れ汚れランクが2となる。
【0100】
以上のような理由により、転写装置9では、用紙Pの種類が、上述のように、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じない摩擦係数を有する種類である場合には、距離Lが10mmとなるタイミングすなわち用紙Pが対向領域32に10mmの長さで進入するタイミングで、設定切換手段としての制御部30により電磁クラッチ46への通電をオフにして電磁クラッチ46を切り、転写ベルト41を、用紙Pを介して感光体ドラム5に従動回転させるようになっている。
【0101】
距離Lを、8mmではなく10mmとしたのは、上述のように、用紙Pの搬送速度の設計値と、実際に搬送される用紙Pの搬送速度との間には、若干の差がある場合があるため、これを見越したものである。
【0102】
電磁クラッチ46への通電をオンにしてモータ45による転写ベルト41の駆動を開始するタイミングは、節電等の観点から、レジストローラ14の回転開始のタイミングに一致させている。
【0103】
よって、レジストローラ14と電磁クラッチ46とのオンオフのタイミングチャートは図4に示すようになる。電磁クラッチ46への通電継続時間が同図又は図5におけるステップS4に示された数式によって算出される時間となっているのは、レジストローラ14から対向領域32までの長さが50mmであり、用紙Pの搬送速度が230mmであるためである。
【0104】
なお、レジストローラ14の通電継続時間は、用紙Pをその全長にわたって対向領域32に向けて搬送するのに十分な時間とされている。また、用紙Pの種類が、搬送方向Yにおける対向領域32の全体に用紙Pが進入している状態でも、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じる摩擦係数を有する種類である場合には、電磁クラッチ46への通電継続時間は、用紙Pの全体が対向領域32を通過するまでの時間、すなわち、図5におけるステップS3に示されている数式で表されるように、搬送方向Yに沿った、レジストローラ14から対向領域32までの長さである50mmと、対向領域32の長さと、用紙Pの長さAとを足した長さを、用紙Pの搬送速度230mmで除した時間となる。
【0105】
このような時間とするのは、用紙Pと転写ベルト41との間で滑りは生じるものの、転写ベルト14を積極的に回転駆動することで用紙Pの搬送を補助するため、及び、転写装置9による転写工程を良好に行うためすなわち用紙Pに対する感光体ドラム5上のトナー像の転写性能を良好に発揮させるためである。ここで、すでに述べたように、感光体ドラム5、転写ベルト41の回転速度の設計値は、230mm/secとされているが、実際の回転速度との間には、若干の差がある場合がある。そして、これらの回転速度に差がある場合には、すでに述べたことから明らかなように、バンディングやショックジターが生じ得る。そのため、転写ベルト41が、モータ45のみならず感光体ドラム5による駆動力も受けると、かかるバンディングやショックジターが生じ得るとも考えられる。しかしながら、用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じるため、バンディングやショックジターは生じることがない。また、擦れ汚れも、転写ベルト41が積極的に回転駆動されており、用紙Pと転写ベルト41との間で生じる滑りは極めて軽微であることから、生じない。
【0106】
一方、用紙Pの種類が、上述のように、対向領域32において用紙Pと転写ベルト41との間で滑りが生じない摩擦係数を有する種類である場合に、かかる距離Lが10mmであるということは、用紙Pが対向領域32に進入してから10mm搬送されるまでは、転写ベルト41は、モータ45の駆動力を受けるとともに、感光体ドラム5による駆動力も受け得る。またすでに述べたように、感光体ドラム5、転写ベルト41の回転速度の設計値は、230mm/secとされているが、実際の回転速度との間には、若干の差がある場合がある。そして、これらの回転速度に差がある場合には、すでに述べたことから明らかなように、バンディングやショックジターが生じ得る。そのため、転写ベルト41が、モータ45のみならず感光体ドラム5による駆動力も受けると、かかるバンディングやショックジターが生じ得るとも考えられる。しかしながら、かかる距離Lが10mm程度であれば、バンディングやショックジター、特に転写ベルト14への歪の蓄積が原因のショックジターは全く生じず、またかりにバンディングが生じたとしても、その程度は極めて軽微であり無視できる程度である。なお、かかる距離Lは、擦れ汚れが生じず、またバンディングやショックジターが生じないように、適宜調整して設定される長さである。
【0107】
以上の構成の画像形成装置1の動作について、図5を参照し、主に転写装置9の動作に焦点を当てて説明する。
操作パネルのテンキーで画像形成枚数が指定され、続いてスタートキーが押下されることにより画像形成開始操作が行われると、感光体ドラム5表面へのトナー像の形成とともに給紙装置11による給紙が開始される(ステップS1)。指定された画像形成枚数である画像形成指定枚数はRAMに記憶される。
【0108】
給紙装置11によって給紙された用紙Pが搬送ローラ対34において搬送される際に、エンコーダ38の検知信号に基づいて、記録媒体種類検知手段59により、用紙Pの種類が対向領域32で転写ベルト41との滑りが生じるものであるか否かが、従動ローラ34bの回転速度が基準回転速度に比べて10%遅れたか否かによって判断される(ステップS2)。
【0109】
ステップS2において、10%以上遅れていると判断された場合には、用紙Pの種類が対向領域32で転写ベルト41との滑りが生じるものであるとし、電磁クラッチ46への通電継続時間Bとして、用紙Pの全体が対向領域32を通過するまでの時間がRAMに記憶される(ステップS3)。
【0110】
ステップS2において、10%以上遅れていないと判断された場合には、用紙Pの種類が対向領域32で転写ベルト41との滑りが生じないものであるとし、電磁クラッチ46への通電継続時間Bとして、用紙Pの先端が対向領域32に進入してから10mm搬送されるまでの時間がRAMに記憶される(ステップS4)。
【0111】
搬送ローラ対34によって搬送された用紙Pの先端はレジストローラ14に突き当てられて一端停止し、感光体ドラム5上に形成されたトナー像が対向領域32に到達するのと同期するように、レジストローラ14が回転駆動され(ステップS5)、用紙Pが対向領域32に向けて給送されるとともに、電磁クラッチ46への通電がオンされ(ステップS6)、転写ベルト41がモータ45によって回転駆動される。
【0112】
ステップS5によるレジストローラ14の回転駆動開始及びステップS6による転写ベルト41の回転駆動開始と同時に、RAMに記憶されている電磁クラッチ46への通電継続時間Bが読み出され、タイマ46による通電継続時間Bの経過の監視が開始される(ステップS7)。
【0113】
ステップS7において通電継続時間Bが経過したと判断されると、電磁クラッチ46への通電がオフされ(ステップS8)、モータ45による転写ベルト41の回転駆動が停止される。
【0114】
また、対向領域32を通過している用紙Pに対し、転写装置9により、感光体ドラム5上のトナー像が転写されるが、転写完了のタイミングと、ステップS7における電磁クラッチ46への通電のオフのタイミングとの関係は、用紙Pの種類が対向領域32で転写ベルト41との滑りが生じるものである場合には、後者のタイミングは前者のタイミング以降とされ、用紙Pの種類が対向領域32で転写ベルト41との滑りが生じないものである場合には、後者のタイミングは前者のタイミングより先とされる。
【0115】
トナー像を転写され担持した用紙Pは、定着装置12において、担持しているトナー像を定着された後、排紙装置13により、排紙トレイ2上に排出され、画像形成済枚数がカウントされRAMに記憶される。
【0116】
ステップS8が行われると、RAMから画像形成指定枚数及び画像形成済枚数が読み出されるとともにこれらが比較されて、画像形成済枚数が画像形成指定枚数に達したか否か、すなわちジョブ終了か否かが制御部30で判断され(ステップS9)、ジョブ終了でない場合にはステップS1の給紙開始以降のステップが繰り返され、ジョブ終了の場合には画像形成開始操作の指示待ち状態となる。
【0117】
以上は、画像形成装置1がモノクロ機の場合について説明したが、本発明は、カラー機についても同様に適用することができる。
図6に本発明を適用したカラー機である画像形成装置1を示す。モノクロ機について説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。またモノクロ機についての説明と重複する説明は省略し、主に異なる部分について説明する。
【0118】
図6に示した符号であって末尾にY、M、C、Kが付いているものはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成するための作像系およびそれを構成する各要素の位置関係を示すものであり、上述のモノクロ機に付した符号の後ろにY、M、C、Kを付したものであって、その作用、動作、位置等は、対応する符号のモノクロ機の構成、位置と同様である。
【0119】
図6に示すカラー機であるタンデム式の画像形成装置1は、中間転写体としてのベルト状の像担持体であるベルト19にトナー像を担持させる1次転写装置26を有しているとともに、ベルト19に担持されたトナー像を用紙Pに転写する2次転写装置としての転写装置9を有している。
【0120】
1次転写装置26は、中間転写手段としての中間転写装置であり、1次転写手段として備えられており、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に形成された各色のトナー像を、これに備えられたベルト19に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で重畳転写する転写バイアスローラ52Y、52M、52C、52Kと、ベルト19から不要物を回収する回収手段として、上述のクリーニングブレード36と同様のクリーニングブレード54とを有している。転写バイアスローラ52Y、52M、52C、52Kはそれぞれ、かかる1次転写を行う1次転写バイアスローラとして機能する。
このような構成の画像形成装置1においても、転写装置9は、上述のモノクロ機における場合と同様に作用し、同様の機能を発揮する。
【0121】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0122】
例えば、搬送部材の駆動手段は電磁クラッチを備えていなくともよく、設定切換手段は、モータ等の駆動源への通電制御で駆動手段による搬送部材の回転駆動の非作動の設定を行うようにしてもよい。ただし、駆動負荷低減の観点からは、電磁クラッチを用いることが好ましい。
【0123】
搬送部材の駆動手段の駆動源は、像担持体の駆動源と共通化しても良い。この場合、設定切換手段により搬送部材の回転駆動の非作動の設定を行うため、駆動手段は、駆動源から搬送部材への駆動力の伝達の可否を切り換えるため、電磁クラッチ等の切換手段を備えている必要がある。
【0124】
画像形成装置は、記録媒体搬送装置を、転写機能を備えず単に像担持体との対向領域で記録媒体を搬送する構成として備えていても良い。
記録媒体種類検知手段は、上述のように、記録媒体の摩擦係数を測定することで記録媒体の種類を検知する構成でなく、たとえば普通紙、厚紙、OHPシート、封筒の種別を判別する周知の構成であっても良い。また、設定切換手段は、単に、このような記録媒体種類検知手段によって判別された種別に応じて、搬送部材の回転駆動の非作動の設定を行うようにしても良いし、かかる種別を摩擦係数に関する記録媒体の種類に換算し、この種類に応じてかかる設定を行うようにしても良い。
【0125】
像担持体は、感光体、潜像担持体のような、トナー像を像として担持するものに限らず、インキによって形成される像を担持する版胴等の像担持体その他の、何らかの像を担持する像担持体であれば良い。これに伴って、画像形成装置は、像担持体として、感光体、潜像担持体のような、トナー像を像として担持するものを備えているのに限らず、インキによって形成される像を担持する版胴等を像担持体として備えた孔版印刷装置等の印刷装置その他の、何らかの像を担持する像担持体を備えた画像形成装置であれば良い。そして例えばインキによる画像形成を行う場合には、記録媒体搬送装置を転写装置として用いることで、インキの転写ズレやこすれの防止ないし抑制によりインキ像のバンディングやショックジターが防止ないし抑制される。
【0126】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略正面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられた記録媒体搬送装置、転写装置及びその周辺の拡大概略図である。
【図3】転写部材の駆動を停止するタイミングと擦れ汚れランクとの相関図である。
【図4】図2に示した転写装置における、転写部材の駆動制御のタイミングと、像担持体と転写部材との対向領域への給紙の駆動制御のタイミングとの相関を示すタイミングチャートである。
【図5】図1に示した画像形成装置における、主に転写装置の制御に関する制御フローである。
【図6】本発明を適用した他の構成の画像形成装置の概略図である。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置
1A 搬送部材を支持している部材とは別の部材
5 像担持体、トナー像を担持する像担持体
9 記録媒体搬送装置、転写装置
19 像担持体、トナー像を担持する像担持体
30 設定切換手段、摩擦係数判断手段
31 搬送部材を支持している部材
32 対向領域
34a 駆動部材
34b 従動部材
38 回転速度検知手段
41 搬送部材、転写部材
46 電磁クラッチ
48 駆動手段
59 記録媒体種類検知手段
P 記録媒体
Y 記録媒体の搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向して配置され、回転により像担持体との対向領域で記録媒体を搬送する、弾性を有するベルト状の搬送部材と、
この搬送部材を回転駆動するための駆動手段と、
この駆動手段による前記搬送部材の回転駆動の非作動の設定を行うことが可能な設定切換手段とを有し、
前記設定切換手段により、前記設定が行われていないときは、前記搬送部材は前記駆動手段によって回転駆動されることで前記対向領域で記録媒体を搬送し、
前記設定切換手段により、前記設定が行われているときは、前記搬送部材は像担持体に従動回転することで前記対向領域で記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の記録媒体搬送装置において、
前記設定切換手段が前記設定を行うタイミングは、記録媒体が前記対向領域に所定長さ進入するタイミングであることを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の記録媒体搬送装置において、
記録媒体の種類を検知する記録媒体種類検知手段を有し、
前記設定切換手段は、前記記録媒体種類検知手段によって検知された記録媒体の種類が所定の種類であるときに前記設定を行うことを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項3記載の記録媒体搬送装置において、
前記記録媒体種類検知手段は、摩擦係数に関する記録媒体の種類を検知することを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項4記載の記録媒体搬送装置において、
前記記録媒体種類検知手段は、記録媒体の搬送方向において前記搬送部材の上流側に位置する、回転駆動される駆動部材と、この駆動部材に従動回転する従動部材と、この従動部材の回転速度を検知する回転速度検知手段と、この回転速度検知手段によって検知された前記回転速度に基づいて記録媒体の摩擦係数を判断する摩擦係数判断手段とを有することを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の記録媒体搬送装置において、
前記駆動手段は、前記設定切換手段が前記設定を行うときに同設定切換手段によって駆動される電磁クラッチを有することを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項7】
請求項6記載の記録媒体搬送装置において、
前記電磁クラッチは、前記搬送部材を支持している部材とは別の部材に設けられていることを特徴とする記録媒体搬送装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つに記載の記録媒体搬送装置を有し、
前記搬送部材は、像担持体に担持されている像を記録媒体に転写するための転写部材である転写装置。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れか1つに記載の記録媒体搬送装置、または、請求項8記載の転写装置を有する画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成装置において、前記像担持体に担持される像がトナー像であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−181072(P2009−181072A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21947(P2008−21947)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】