記録装置および記録方法
【課題】ダイレクトセンサのセンシング不能時間を低減することができる記録装置を実現する。
【解決手段】シートを所定方向に搬送する搬送機構と、前記シートに画像を記録する記録部と、前記シートを撮像する撮像デバイスを有し、前記撮像デバイスの出力の信号処理によって前記シートの移動量を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、前記撮像デバイスを前記所定方向の成分を含む方向に移動させる移動機構と、前記搬送機構、前記記録部及び前記移動機構を制御する制御部とを有する記録装置。
【解決手段】シートを所定方向に搬送する搬送機構と、前記シートに画像を記録する記録部と、前記シートを撮像する撮像デバイスを有し、前記撮像デバイスの出力の信号処理によって前記シートの移動量を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、前記撮像デバイスを前記所定方向の成分を含む方向に移動させる移動機構と、前記搬送機構、前記記録部及び前記移動機構を制御する制御部とを有する記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、高品位な画像を実現するため、シート状の記録メディア(本明細書においては、単にシートという)の搬送精度にも高い精度が要求される。近年、より高精度な搬送制御を目的として、シート表面を撮像して画像処理によってシートの移動量を直接検知するダイレクトセンサが実用化されつつある。例えば特許文献1にはダイレクトセンサを用いて搬送制御を行なう技術が開示されている。ここに開示される装置では、ダイレクトセンサが、記録ヘッドを搭載するキャリッジ上、あるいは記録ヘッドの吐出口面と対向する位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−82289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この構成ではダイレクトセンサはシートの搬送方向において固定された位置でしかシートを撮像できない。そのため、シート搬送中に、ダイレクトセンサの計測位置にシートが存在せずセンシングできない時間(以下、センシング不能時間という)が生じてしまう。例えば、シートの後端あるいは先端に記録時にマルチパス方式で画像記録を行なうことを想定すると、記録中にシート端部が計測位置から外れてセンシング不能になると高精度な搬送制御ができず、その部分の画質が保証できないという課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することができる記録装置を提供することを目的とする。より具体的な目的のひとつは、ダイレクトセンサのセンシング不能時間を低減することができる記録装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、シートを所定方向に搬送する搬送機構と、前記シートに画像を記録する記録部と、前記シートを撮像する撮像デバイスを有し前記撮像デバイスの出力の信号処理によって前記シートの移動を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、前記撮像デバイスを前記所定方向の成分を含む方向に移動させる移動機構と、前記搬送機構、前記記録部及び前記移動機構を制御する制御部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダイレクトセンサのセンシング不能時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態における記録装置の外観を示す斜視図。
【図2】記録装置の斜視図。
【図3】機構部の斜視図。
【図4】機構部の斜視図。
【図5】機構部の断面図。
【図6】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図。
【図7】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図8】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図9】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図10】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図11】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図12】装置動作のシーケンスを示すフローチャート。
【図13】第2の実施形態におけるキャリッジユニットを示す斜視図。
【図14】レバーガイドに凸部が接触する直前の状態を示す上面図。
【図15】プラテンの非基準側を示す上面図。
【図16】スイングアームの動作を示す図。
【図17】装置動作のシーケンスを示すフローチャート。
【図18】第3の実施形態におけるセンサを説明するための斜視図。
【図19】プラテンを示す上面図。
【図20】第4の実施形態における記録装置を表す斜視図。
【図21】ダイレクトセンサが移動している状態を示す上面図。
【図22】ダイレクトセンサが移動している状態を示す上面図。
【図23】装置動作のシーケンスを示すフローチャート。
【図24】画像データを信号処理して移動を計測する手順を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図1〜図12に沿って説明する。本実施形態の記録装置は、給送部2、搬送部3、キャリッジ部5、排紙部4、Uターン・自動両面搬送部8、クリーニング部6、記録ヘッド7、外装部9、制御部10、電源部12から構成されている。これらを項目に分けて順次説明していく。本明細書において、「シート」とは紙、プラスチック、フィルム、金属板等、様々なシート状の物品を意味するものとする。また、本明細書において上流・下流とは、シートに画像記録を行なう際のシートの搬送方向を基準とした上流・下流を意味するものとする。
【0010】
給送部2はシートPを積載する圧板21、シートPを給送する給送ローラ28、シートPを分離する分離ローラ241、シートPを積載位置に戻す為の戻しレバー22、等がベース20に取り付けられる構成となっている。積載されたシートPを保持する為の給送トレイ26が、ベース20に取り付けられている。圧板21はベース20に結合された回転軸を中心に回転可能で、圧板バネ212により給送ローラ28に付勢される。給送ローラ28と対向する圧板21の部位には、積載最終近くののシートPの重送を防止するために摩擦係数の大きい材質からなる分離シート213が設けられている。ベース20には、シートPを一枚ずつ分離するための分離ローラ241を取り付けた分離ローラホルダ24が分離ベース20に設けられた回転軸を中心に回転可能に設けられている。分離ローラホルダ24は分離ローラバネにより給送ローラ28に付勢される。
【0011】
搬送部3はシートPを搬送する搬送ローラ36を有し、シートを所定方向(第1方向)に搬送する。搬送ローラ36には従動する複数のピンチローラ37が当接して設けられている。シートPが搬送されてくる搬送部3の入口には、シートPをガイドするペーパーガイドフラッパー33及びプラテン34が配設されている。また、ピンチローラホルダ30にはシートPの先端、後端検出を光学センサであるPEセンサに伝えるPEセンサレバー321が設けられている。プラテン34はシャーシ11に取り付けられ、位置決めされる。
【0012】
搬送部3に送られたシートPはピンチローラホルダ30及びペーパーガイドフラッパー33に案内されて、搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対に送られる。このとき、PEセンサレバー321で搬送されてきたシートPの先端を検知して、これによりシートPのプリント開始位置を決定している。また、シートPは搬送モータ35によりローラ対36、37が回転することでプラテン34上を搬送される。
【0013】
DCモータからなる搬送モータ35の回転力をタイミングベルト351で搬送ローラ36の軸上に設けたプーリ361に伝達して、搬送ローラ36に駆動力を与えている。搬送ローラ36の軸上には、搬送ローラ36による搬送量を検出する為の150〜300lpi(line per inch)のピッチでマーキングを形成したコードホイール362が設けられている。そして、それを読み取るエンコーダセンサ363がシャーシ11のコードホイール362が隣接する位置に取り付けられている。コードホイール362とエンコーダセンサ363及び信号処理部によって、搬送ローラ36の回転を検出するロータリーエンコーダが構成されている。
【0014】
キャリッジ部5は、記録ヘッド7を取り付けるキャリッジ50を有している。キャリッジ50と記録ヘッド7により記録部が構成されている。記録ヘッド7はそれぞれが別体で交換可能な複数色用のインクタンクが搭載されたインクジェット記録ヘッドが用いられている。記録ヘッド7は、ヒータによりインクに熱を与えることでノズルからインクが吐出する。なお、記録ヘッドはヒータを用いた方式に限らず、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、別のインクジェット方式であってもよい。さらに、記録ヘッドはインクジェット方式に限らず、熱昇華型や熱転写型などのサーマル記録方式、あるいはその他の記録方式であっても良い。
【0015】
キャリッジ50は、第1方向であるシートPの搬送方向に対して交差する第2方向(ここでは直交方向)に往復移動する。キャリッジ50は、ガイドシャフト52及びキャリッジ50の後端を保持して記録ヘッド7とシートPとの隙間を維持するガイドレール111によって支持されている。ガイドシャフト52はシャーシ11に取り付けられている。ガイドレール111はシャーシ11に一体に形成されている。キャリッジ50はシャーシ11に取り付けられたキャリッジモータ54によりタイミングベルト541を介して駆動される。このタイミングベルト541は、アイドルプーリ542によって張設、支持されている。タイミングベルト541はキャリッジ50とゴム等からなるダンパを介して結合されており、キャリッジモータ54等の振動を減衰することで、画像ムラ等を低減している。キャリッジ50の位置を検出する為の150〜300lpiのピッチでマーキングを形成したコードストリップ561がタイミングベルト541と平行に設けられている。それを読み取るエンコーダセンサがキャリッジ50に搭載したキャリッジ基板に設けられている。記録ヘッド7をキャリッジ50に固定する為に、キャリッジ50には、位置決めの為の突き当て部と押し付け固定する為の押圧手段が設けられている。押圧手段はヘッドセットレバー51に搭載され、ヘッドセットレバー51を回転支点中心に回してセットする。ガイドシャフト52の両端には偏心カム521が設けられており、クリーニング部6のメインカムにより、ギア列591を介し、偏心カム521まで駆動を伝達することによってガイドシャフト52を上下に昇降させる。
【0016】
キャリッジ50の上には、記録開始位置まで搬送されたシートPの先端位置、及び記録中のシート搬送量や移動速度を検知するためのダイレクトセンサ59が取り付けられている。ダイレクトセンサ59は半導体レーザ発光素子によりシートPを照明し、照明された領域(撮像位置)を撮像デバイスで撮像し、撮像デバイスの信号を信号処理することで、シートの先端位置や移動量を計測することができる。ダイレクトセンサ59の詳細に関しては後述する。
【0017】
シートPに画像形成するときは、第1方向にローラ対36、37がシートPを1ステップずつ搬送する(副走査)。それと同期してキャリッジモータ80によりキャリッジ50が第2方向に移動する(主走査)。この副走査と主走査を交互に繰り返す。主走査に同期して記録ヘッド7がインクを吐出してシートPの記録面に画像が形成される。
【0018】
排紙部4は、2本の排紙ローラ40、41、排紙ローラ40、41に所定圧で当接、従動して回転可能な如く構成された拍車42、搬送ローラの駆動を排紙ローラ40、41伝達する為のギア列、等から構成されている。排紙ローラ40、41はプラテン34に取り付けられている。シートPの搬送方向で下流側の排紙ローラ40は金属軸に、複数のゴム部401が設けられている。搬送ローラ36からの駆動がアイドラギア364を介し、排紙ローラ40に伝達されることによって駆動される。
【0019】
装置前面に設けられたカセット81にシートPが収納される。このシートPを分離給送する為に、シートPを積載し、給送ローラ821と当接させる圧板822がカセット81に設けられている。シートPを給送する給送ローラ821、前記給送部と同様の機能を持つシートPを分離する分離ローラ、シートPを積載位置に戻す為の戻しレバー824、圧板822への加圧部材等が本体のベース84に取り付けられている。ベース84には、シートPを一枚ずつ分離するための分離ローラを取り付けた分離ローラホルダがベース84に設けられた回転軸を中心に回転可能で、分離ローラバネにより給送ローラ821に付勢される。分離ローラ831は、内部にクラッチバネが取り付けられ、所定以上の負荷がかかると、分離ローラが回転できる構成になっている。分離ローラは分離ローラリリースシャフトとコントロールカムよって、給送ローラ821に、当接、離間できるように構成されている。これらの圧板822、戻しレバー824、分離ローラの位置はUTセンサによって検知される。
【0020】
クリーニング部6は、記録ヘッド7のクリーニングを行うポンプ60と記録ヘッド7の乾燥を抑えるためのキャップ61、記録ヘッド7のノズル周辺のフェース面をクリーニングするブレード62、などから構成されている。ポンプ60で吸引された廃インクは後述の下ケース99に設けられた廃インク吸収体に吸収される。
【0021】
前述までの各ユニットはシャーシ11に組み込まれ、プリンタの機構部分を形成している。その回りを覆うように外装を取り付けている。外装は、主に、下ケース99、上ケース98、アクセスカバー97、フロントカバー95、サイドカバー96、から構成されている。制御部10は、CPU、メモリ、各種I/Oインターフェースを搭載したコントローラボードを有し、記録装置全体の各種動作の制御を司る。電源部12は記録装置の各部に電力を供給する。
【0022】
次に、本実施形態の特徴的な部分の詳細について図6〜図12を用いて説明する。図11はキャリッジ上に搭載されたダイレクトセンサ59の周辺の側面図である。ダイレクトセンサ1000(第1ダイレクトセンサ)とダイレクトセンサ59(第2ダイレクトセンサ)の基本構造及び計測原理は同じである。
【0023】
図6において、プラテン34にはプラテン34を貫通した穴である開口部1001、1002が設けられている。後述するようにダイレクトセンサ1000は開口部1001,1002のいずれに対応した位置に選択的に移動可能になっている。したがって、開口部1001,1002のいずれか一方を通して、プラテン34のシート支持面側から下方にはダイレクトセンサ1000の一部が見える。逆にいえば、ダイレクトセンサ1000からはプラテンのシート支持面に支持されたシートの裏面(記録面の反対側の面)が見える。
記録ヘッド7には、シート搬送方向に沿って異なる色に対応した複数のノズル(ノズル列(吐出口列))が並べられている。そして、開口部1001にダイレクトセンサ1000が位置しているときには、ノズル列を構成する複数のノズルのうちのシート搬送方向最上流側のノズルよりもシート搬送方向上流側でシート移動を計測することが可能である。他方、開口部1002に位置しているときには、前記複数ノズルのうちのシート搬送方向最下流側のノズルよりも搬送方向下流側でシート移動を計測することが可能である。
【0024】
図6はプラテン下のダイレクトセンサ1000をシート搬送方向上流側の開口部1001に対応して位置させた様子を示す。ダイレクトセンサ1000はレーザ発光素子1003と撮像デバイス1004と信号処理部(AD変換器やアナログフロントエンド)とをユニット化したものである。レーザ発光素子1003のレーザ波長は0.5〜2μmである。ダイレクトセンサ1000は、一定時間間隔で発光したレーザ光で照明した領域をCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像デバイス1004で撮像して、撮像デバイス1004の出力を信号処理して演算する。シートが光沢紙等の平滑性の高いシートの場合でも、移動距離を正確に得ることが可能である。シート面の移動距離検出の解像度は1/3600インチである。なお、ダイレクトセンサは、レーザ発光素子の代わりにLEDやOLED(有機EL)などどの発光素子を用いても構わない。
【0025】
図24は、ダイレクトセンサによる移動計測原理を示す説明図である。図24(a)において、任意時刻T1において取得されたシート表面からの第1画像データ2401を得たとする。この画像に対して、図24(b)の特定領域2501(相関窓領域)内の画像データが相関窓内パターン2502として記憶される。続いて、時刻T1とは別時刻T2に第2画像データ2402を得る。ここで、相関窓内パターン2502が第2画像データ2402のどの領域に存在するかが画像相関処理により判定される。ここで光学倍率等を考慮し、撮像デバイスに撮像されている紙面上領域の大きさが判明すれば、前記相関窓内パターンの画像上の移動からシートの移動を計測することができる。取得したシート搬送量と比較する画像を取得した時間差の情報とを用いて、シートの移動速度も得ることができる。撮像デバイスで取得した画像データを基にした移動計測のための信号処理は制御部10で行なう。変形例として、ダイレクトセンサのユニット内の信号処理部で行なうようにしてもよい。
【0026】
なお、本実施形態は、撮像素子で取得した画像データから画像処理によって移動を計測する方式のダイレクトセンサに限らない。移動物体の移動速度の変化に応じて移動物体での反射光がドップラシフトによって周波数変化する原理が知られる。物体の計測位置をレーザで照明し、反射光を光学センサで検出して信号処理によって周波数変化を捉えることで物体の移動速度を直接計測する、所謂ドップラ計測方式のダイレクトセンサを用いたものであってもよい。つまり、ダイレクトセンサは、シートの表面を光学的に検出してシートの移動を直接計測するものであれば方式は問わない。
【0027】
図7、図8において、ダイレクトセンサ1000はシート搬送方向に移動可能なセンサホルダ1005に固定される。センサホルダ1005の両側面にはスライドさせるためのガイドボス1006が計4箇所突出している。このガイドボスは、センサスライドガイド1007に設けられたスライド穴1008と、クリーニングベース63に設けられた同形状の対向する穴と嵌合する。この構成により、センサホルダ1005とダイレクトセンサ1000は25mmスライド可能となっている。センサホルダ1005の下部にはラック1009が一体形成される。このラック1009にはピニオン1010が噛み合う。ピニオン1010はクリーニングベース63とセンサスライドガイド1007に軸支持され、その軸端にはベルトプーリ1011が固定される。ベルトプーリ1011と、モータ1014の軸に圧入されたモータプーリ1013との間にはベルト1012が掛けられる。モータ1014はモータブラケット1015にビス止めされ、モータブラケット1015はベース20にビス固定される。
【0028】
図9の状態では、クリーニングベース63に設けられた第1のストッパ1016にセンサホルダ1005が突き当たって位置決め停止している。この状態から、モータ1014を駆動してピニオン1010を時計方向に回転すると、センサホルダ1005とダイレクトセンサ1000はシート搬送方向下流側に移動する。その結果、図10に示すように、センサホルダ1005が第2のストッパ1017に突き当たった位置で停止する。本実施形態では、記録中はセンサホルダ1005をシート搬送方向の上流側及び下流側の2箇所で突き当て停止する構成のため、モータ用ロータリーエンコーダ等を用いたフィードバック制御は行っていない。
【0029】
本実施形態では開口部1001、1002は、シート搬送方向(所定方向)に沿って並んでおり、ダイレクトセンサ1000も同方向に移動可能となっているが、これに限定されず、搬送方向に対して傾きを持った方向であってもよい。つまり、シート搬送方向の成分を含む、シートの面と平行な方向に沿ってダイレクトセンサ1000を移動可能として、開口部1001、1002も同方向に沿って形成すればよい。また、開口部の数は2つに限定されず、3つ以上の開口部を設けてダイレクトセンサ1000をいずれかの開口部と対応した位置に選択的に移動可能に構成してもよい。
【0030】
図11において、キャリッジ50に設けられたダイレクトセンサ59はレーザ発光素子1020と撮像デバイス1021と信号処理部(AD変換器やアナログフロントエンド)からなる。ダイレクトセンサ59における光軸の位置は記録ヘッド7のノズル列よりもシート搬送方向の上流側で、プラテン下のダイレクトセンサ1000が図9に示されるようにシート搬送方向上流側に移動したときと略同じ位置である。このダイレクトセンサ59が紙面上に相対した位置でキャリッジ50が走査移動し、かつ走査移動中に記録紙等のシートが搬送される際には、ダイレクトセンサ59で読み取ったデータから副走査方向の移動距離のみを抽出して搬送距離を算出することも可能である。プラテン下のダイレクトセンサ1000と、キャリッジ上のダイレクトセンサ59とは、記録モードによって色々な組み合わせでの使用がなされる。
【0031】
キャリッジ50の往復走査移動の両方向(往復路)で記録するモードの場合、キャリッジの加減速時間中に1行分の搬送を終了している必要がある。そのため、両方向記録モードでは、ダイレクトセンサ59では搬送量を検知せず、プラテン下のダイレクトセンサ1000のみによる搬送量検知を行なう。しかしながら、次の方法を実施すれば、ダイレクトセンサ59でも検知可能である。すなわち、記録速度を犠牲にしてキャリッジ減速後、記録するシートの上面にダイレクトセンサ59が対向するまで、キャリッジを一時戻す。それから、シートの搬送を行って搬送量を検知し、加速開始位置(減速終了位置)まで再度戻ってキャリッジ走査移動を開始する。
【0032】
また、シートPの幅方向左右端(シート搬送方向と直角な方向のシート両端)の搬送量は搬送抵抗の左右差に起因して完全に一致するわけではなく差異が生じる。特に、A4以上の長いシートの後端が給送部のパスに残っている状態で記録する先端から中程の記録においては、ASFやUターンのパス形状により搬送抵抗の左右差が生じやすい。そのため、片側だけに白筋・黒筋や画像むらが発生することがある。記録スピードよりも画像品位を優先する装置やモードの場合、シート左右端の搬送量を検知してその平均搬送量を基に搬送量を制御すると、シートの左右とも画像弊害の抑えられた記録装置が実現可能となる。片方向記録(往走査時のみの記録)の場合、キャリッジリターン中に1行分のシート搬送を終了すればよい。そのため、キャリッジが非基準側(クリーニング部と反対側)付近を走査移動している間に1行搬送を終了すれば、プラテン下のダイレクトセンサ1000の出力と合わせ、おおむねシート左右の搬送量を検知できる。本実施形態においては、A4以上のシートで、片方向記録時の後端以外の領域のみ、ダイレクトセンサ59も兼用した制御を行っている。このように、各記録モードの記録スピードと画像品位の要求に応じて、2つのダイレクトセンサを使い分けることが好ましい。
【0033】
次に、装置動作のシーケンスを、図12のフローチャートを使用して説明する。これらの装置動作は制御部10の制御によって実行される。STEP1で電源がオンすると、記録装置はASFセンサやPEセンサをチェックし、その状態に応じて主走査系(キャリッジ走査系)及び副走査系(シート搬送系)の初期化処理を行う(STEP2)。続いてプラテン下のダイレクトセンサ1000の位置の初期化が実施される(STEP3)。すなわち、ダイレクトセンサ1000を搬送方向上流側に移動させる方向にモータ1014を駆動して、第1のストッパ1016にセンサホルダ1005が突き当たるようにする。正常な終了状態ではセンサホルダ1005はもともと搬送方向上流側の位置にあるが、モータで一定距離相当移動するだけの駆動を行うことにより、確実に初期位置に置くことができる。パーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器から記録信号が入力されると(STEP4)、給送部からシートPがピックアップされ、分離ローラにて1枚だけ分離されて給送される(STEP5)。PEセンサにてシートPの先端通過を検知し(STEP6)、先端通過を検知すれば、次ステップへ移行する。検知しなければ「紙なし」あるいは「紙ジャム」と判断し、給送動作を停止し、外装上のLEDでエラー表示を行う(STEP7)。続いてSTEP8で、停止した搬送ローラ36にシートPの先端が突き当たり、ループを作ってシートPの斜行を防止する、いわゆるレジ取りが実施される。さらにSTEP9で、記録信号で設定されたシートの幅に対応する、クリーニング部6と反対側の端の位置から、シート内側に10mmの位置に、ダイレクトセンサ59の光軸が位置するようにキャリッジ50が移動する。さらにSTEP10で、搬送ローラ36と給送ローラ821が略同じ周速度で同時回転する。同時回転している途中で分離ローラ831はリリースされ、ループは解消する。
【0034】
シートPがプリント開始位置まで搬送される途中、ダイレクトセンサ59、1000で得たデータから、シートP先端がダイレクトセンサ59、1000に対向した位置に侵入してからシートPがプリント開始位置で停止する位置までの搬送距離が算出される。ダイレクトセンサ1000及びダイレクトセンサ59の絶対位置は既知なので、この算出値からシートPの幅方向2箇所のシート先端をセットする頭出し位置(シートの先端位置)を検出する(STEP11)。シートの幅方向左右各々の頭出し位置が所定の位置から±1.5mmを越えるか、あるいはシートの幅方向左右の頭出し位置の差を2つのダイレクトセンサ1000、59間の主走査方向距離で除した値が0.01を越えたかが判定される(STEP12)。こうして、シート先端状態の良否が判定される。その結果、越えた場合にはプリントが中止され、シートが排出され、そしてユーザーにシートの再セット・給送を促す表示がパーソナルコンピュータ上のドライバ画面にエラー表示される(STEP13)。このプロセスにより、極端にカールしたシートやシートセットの不具合によって頭出し位置不良や斜行などシート先端状態の不良を判別して、プリント不具合を未然に防止することが可能となる。
【0035】
STEP14で片方向記録モードかどうかが判定され、その結果両方向記録であることが判定できた場合には、プラテン下のダイレクトセンサ1000のみでシート搬送量を検知しつつ記録を行う(STEP15)。STEP16で、片方向キャリッジ走査移動とシートの搬送ローラによる行送りとを繰り返して記録が行われる。このとき、シート搬送量はダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ59の両方によって検知され、その平均搬送量を基に搬送量制御される。両方のダイレクトセンサ1000、59はプリント開始位置よりもシート搬送方向の上流側に位置しているので、シート先端部からの直接計測が可能である。また、プリント開始時には、ダイレクトセンサ1000の上にすでにシートPが来ているため、記録ヘッドから吐出するインクミストがダイレクトセンサ1000上に付着してレンズ等を汚して検知機能を低下させることが防止される。
【0036】
記録が続行し、PEセンサはシートPの後端が通過するタイミングを検知する(STEP17)。あらかじめシートPのサイズはパーソナルコンピュータ等から入力されている。そのため、PEセンサでのシート先端検知から所定の搬送量の1.5倍を越えてもシート後端が検出されない場合には記録装置は排紙エラーを表示する(STEP18)。そして、ユーザーに処理を促す。
【0037】
シートPの後端がPEセンサを通過する送り動作が実施された後に、モータ1014が駆動されて、ダイレクトセンサ1000が、シート搬送方向下流側の開口部1002に対向する位置まで移動する(STEP19)。このように移動することにより、後端記録が終了するまで、ダイレクトセンサ1000の上にシートPが来ているため、前記と同様に、センサ検知機能の低下を防止している。後端記録時には、ダイレクトセンサ1000のみを基にした搬送量制御が行われる(STEP20)。以上ように、PEセンサによって搬送方向におけるシートの位置情報を取得して、該位置情報に応じて、1枚のシートの記録ジョブの最中に、移動機構にてダイレクトセンサ1000(撮像デバイス)を上流側から下流側に移動させ、計測位置を変化させるものである。
【0038】
記録が終了して排紙信号が入力されると、排紙が行われる(STEP21)。STEP22で次ページ記録信号が存在すれば、ダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP23)したあと、ページ間予備吐出・空吸引が実施(STEP24)される。STEP3に戻ってダイレクトセンサ位置の初期化からの動作が繰り返される。次ページ記録信号がなければ、同様にダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP25)したあと、キャップ前予備吐出・空吸引が行われる(STEP26)。その後、記録ヘッドはキャップされ(STEP27)、電源オフ(STEP28)により上述の動作が終了する。良好な記録を行うための記録ヘッドのメンテナンス動作として、各種予備吐出をキャップ61内で行う。更にキャップ内インクの溢れを防止するためキャップ61に記録ヘッド7が当接していない状態で空吸引を行う。この際、図6に示されるようにキャップ61とダイレクトセンサ1000の位置が近いため、シートが来ていない状態で予備吐出をすると、開口部を通してインクミストが侵入してダイレクトセンサ1000が汚れてしまう可能性がある。これを防止するため、予備吐出の際には、ダイレクトセンサ1000を開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動させて、いずれの開口部からもダイレクトセンサ1000が見えないようにしている。以上、給送部から給送して記録した場合の説明を行ったが、上述のUターン・自動両面部から搬送部にシートを搬送して記録する場合も、動作は同様なので説明を省略する。
【0039】
本実施形態では、PEセンサによるシートPの後端検知をトリガーとしてダイレクトセンサ1000を移動させる。しかし、これに限ることなく、ダイレクトセンサ1000やPEセンサによる先端検知とシート長データの組み合わせで移動タイミングを決定してもよい。 また、この移動するタイミングに関しては、シートPの先端がダイレクトセンサ1000の位置を通過した後で、後端記録時に搬送量検知可能なタイミングならばいつでもよい。
【0040】
本実施形態では、ダイレクトセンサ1000あるいはダイレクトセンサ59にシートPが対向している場合に、これらのセンサの検知出力を基にシートの搬送量制御が行われる。シートPが対向していないセンシング不能時間(給送期間や排紙期間)には、搬送部のエンコーダセンサ363がコードホイール362のスリットを読み取った検知情報を基に搬送モータ35が制御される。なお、制御方法はこれに限らない。ダイレクトセンサ1000あるいはダイレクトセンサ59にシートPが対向した後は、ダイレクトセンサ1000あるいはダイレクトセンサ59とエンコーダセンサ363で検知した搬送量の差分を補正値としてメモリに格納する方法でもよい。このメモリ方式の場合は、エンコーダセンサ363の検知搬送量に前記補正値を加えた搬送量を基に実際の搬送量が制御される。この補正値は、搬送ローラ36にシートが狭持されている期間と、搬送ローラ36からシート後端が抜けて、2本の排紙ローラ40、41で搬送している期間とで異なる。従って、搬送ローラ36からシートが抜けるタイミングの前後で別個の補正値を設定し、各々をメモリに格納する方法が採られてもよい。記録時には、プリンタドライバによって、シートの種類や記録モードが指定されるので、これらに応じて補正値を設定し、次回の記録では、前回メモリに格納された補正値を利用すればよい。
【0041】
本実施形態は、ダイレクトセンサで計測した出力を基にシートの搬送量制御を行なうものであるが、本発明はこれには限定されない。例えば、ダイレクトセンサでの計測に基づいて、局所的な搬送量又は搬送速度の変化をキャンセルするように、画像を形成する際の記録ヘッドの記録タイミングを変えるようにしてもよい。また、ダイレクトセンサでの計測に基づいて、局所的な搬送量又は搬送速度の変化をキャンセルするように、記録ヘッドを駆動するための画像データ自体を補正するようにしてもよい。つまり、ダイレクトセンサの出力に基づいて搬送機構と記録部の少なくとも一方を制御して、搬送機構の搬送精度が記録する画像に与える影響が低減されるようにすれば、いずれの方法であっても結果として良好な画像を得ることができる。これは、以下に説明する別の実施形態についても同様に言える。
【0042】
本実施形態は、ダイレクトセンサをシート搬送方向に移動させることで計測位置を変化させるものであるが、本発明はこれには限定されない。例えば、複数の計測位置にそれぞれダイレクトセンサを設けて、計測に使用するダイレクトセンサを切り換えることで計測位置を変化させるものであってもよい。これは、以下に説明する別の実施形態についても同様に言える。
[第2実施形態]
第2の実施形態を説明する。図13において、キャリッジ2000が記録ヘッド7を搭載して記録部を構成していることは第1実施形態と同様である。キャリッジ2000の側面にはスライドガイド溝A2001及びスライドガイド溝B2002が一体的に設けられている。これら2つの溝2001,2002にはキャリッジセンサホルダ2004が嵌まり込み、両溝に沿って移動可能にガイドされる。キャリッジセンサホルダ2004にはダイレクトセンサ2003が固定される。このダイレクトセンサ2003は第1の実施形態のダイレクトセンサ59と同じものである。
【0043】
キャリッジセンサホルダ2004からボス2005が突出している。スイングアーム2006の長穴部2007がこのボス2005に嵌合し、止めリング2008で抜け止めされる。スイングアーム2006はキャリッジ2000から突出した回転中心軸2009を中心に回転でき、止めリング2010で抜け止めされる。キャリッジ2000とスイングアーム2006の間にはバネ2011が掛けられる。図13の状態ではこのバネ2011はスイングアーム2006を時計方向に付勢する方向に引っ張っている。キャリッジセンサホルダ2004はこれにつれて図13の図面左側(シート搬送方向上流側)に移動し、キャリッジ上のストッパで突き当て停止している。スイングアーム2006に一体に設けられた凸部2012は、その左右の円筒形状に後述するレバーガイド2013が接触することにより、上記の付勢方向と反対方向に押される。結果、スイングアーム2006は回転し、反対側の位置で突き当て停止することになる。このように、キャリッジセンサホルダ2004は図13の図面左右の複数箇所に移動可能となり、バネにより付勢されてガタなく位置決めされる。図16はスイングアーム2006の動作によって、ダイレクトセンサ2003が搬送方向の上流側(図16(a))と下流側(図16(b))の複数箇所(2箇所)移動した状態を示す。
【0044】
図14はレバーガイド2013に凸部2012が接触する直前の上面図である。第1の実施形態と同じ部品の説明は省略する。レバーガイド2013はシャーシ11にビスで固定される。レバーガイド2013には2つのテーパー部2014と2015が一体に設けられる。キャリッジ2000が図14のように非基準側(キャリッジ走査方向における記録装置のクリーニング部とは反対側)に移動すると、凸部2012と2つのテーパー部2014あるいは2015と接触する。その結果、スイングアーム2006が反対方向に回転して、上述のようにキャリッジセンサホルダ2004は図13の図面左右の2箇所位置に移動する。
【0045】
図15は本実施形態のプラテンの非基準側の上面図である。この図において、プラテン2016のシート搬送方向上流側にのこぎり状断面のセンサ位置判別部2017が形成される。ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向上流側に位置しているときダイレクトセンサ2003の光軸はこのセンサ位置判別部2017に対向する。このとき、レーザ光はのこぎり形状により乱反射するので、キャリッジ2000をセンサ位置判別部2017上で走査移動しながら受光することにより、特異的な受光パターンを示す。
【0046】
一方、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向下流側に位置しているときに走査移動した際には、平坦部による反射となるので、シート搬送方向上流側に位置する場合のパターンと異なったパターンとなる。従って、キャリッジ走査移動しながら、センサ信号を検出することにより、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向の上流位置にあるか下流位置にあるかを判別することができる。
【0047】
本実施形態の動作シーケンスを図17のフローチャートを使用して説明する。STEP1で、電源がオンすると、記録装置はASFセンサやPEセンサをチェックし、その状態に応じて主走査系及び副走査系の初期化処理を行う(STEP2)。このとき、キャリッジ2000が、センサ位置判別部2017に対応する主走査位置を通過するので、センサ位置の判別も行われる。そしてSTEP3で、キャリッジ上センサ位置(ダイレクトセンサ2003の位置)がシート搬送方向の上流側か否かが判別される。その結果、搬送方向の下流側であれば、STEP4で凸部2012がレバーガイド2013に接触するまでキャリッジ2000が非基準側に移動して、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向上流側に移動してから、記録待機位置へキャリッジ2000が移動する。
【0048】
続いて、ダイレクトセンサ1000の位置の初期化が実施される(STEP5)。パーソナルコンピュータ等から記録信号が入力されると(STEP6)、給送部からシートPがピックアップされ、分離ローラにて1枚だけ分離されて給送される(STEP7)。PEセンサにてシートPの先端通過の検出が実施され(STEP8)、先端通過が検知されると、次ステップへ移行する。先端通過が検知されなければ、記録装置は「紙なし」あるいは「紙ジャム」と判断し、給送動作を停止し、外装上のLEDでエラー表示を行う(STEP9)。STEP10で、停止した搬送ローラ36にシートPの先端が突き当たり、ループを作ってシートPの斜行を防止する、いわゆるレジ取りが実施される。さらにSTEP11で、記録信号で設定されたシートの幅に対応する、クリーニング部と反対側の端の位置から、シート内側に10mmの位置に、ダイレクトセンサ2003の光軸が位置するようにキャリッジ2000が移動する。さらにSTEP12で、搬送ローラ36と給送ローラ821が略同じ周速度で同時回転する。同時回転している途中で分離ローラ831はリリースされ、ループは解消する。
【0049】
シートPがプリント開始位置まで搬送される途中、ダイレクトセンサ1000と2003で得たデータから、シートP先端がダイレクトセンサ1000、2003に対向した位置に侵入してからシートPがプリント開始位置で停止する位置までの搬送距離が算出される。ダイレクトセンサ1000、2003の絶対位置は既知なので、この算出値からシートPの幅方向2箇所のシート先端をセットする頭出し位置(シートの先端位置)を検出する(STEP13)。シートの幅方向左右各々の頭出し位置が所定の位置から±1.5mmを越えるか、あるいは、シートの幅方向左右の頭出し位置の差を2つのダイレクトセンサ1000、2003間の主走査方向距離で除した値が0.01を越えたかが判定される(STEP14)。こうして、シート先端状態の良否が判定される。その結果、越えた場合にはプリントが中止され、シートが排出され、そしてユーザーにシートの再セット・給送を促す表示がパーソナルコンピュータ上のドライバ画面にエラー表示される(STEP15)。STEP16で片方向記録モードかどうかが判定され、その結果両方向記録であることが判定できた場合には、プラテン下のダイレクトセンサ1000のみでシート搬送量を検知しつつ記録を行うことが実施される(STEP17)。STEP18で、片方向キャリッジ走査移動とシートの搬送ローラによる行送りとを繰り返して記録が行われる。このとき、シート搬送量はダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ2003の両方によって検知され、その平均搬送量を基に搬送量制御される。記録が続行し、PEセンサはシートPの後端が通過するタイミングを検知する(STEP19)。あらかじめシートPのサイズはパーソナルコンピュータ等から入力されているので、PEセンサでのシート先端検知から所定の搬送量の1.5倍を越えてもシート後端が検出されない場合には記録装置は排紙エラーを表示してユーザーに処理を促す(STEP20)。
【0050】
シートPの後端がPEセンサを通過する送り動作が実施された後に、モータ1014が駆動されて、ダイレクトセンサ1000が、シート搬送方向下流側の開口部1002に対向する位置まで移動する(STEP21)。続いて、STEP22で、凸部2012がレバーガイド2013に接触するまでキャリッジ2000を非基準側に移動して、ダイレクトセンサ2003をシート搬送方向下流側に移動する。さらにSTEP23で、搬送量がダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ2003の両方によって検知され、その平均搬送量を基に搬送量は制御される。シートの先端から後端まで該シートの全領域に渡って該シートの幅方向左右両方の搬送量を検知しつつ、平均値をもとに搬送量制御するため、高品位な記録が実現できる。以上のように、PEセンサによって搬送方向におけるシートの位置情報を取得して、該位置情報に応じて、1枚のシートの記録ジョブの最中に、移動機構にてダイレクトセンサ1000,2003のそれぞれを上流側から下流側に移動させるものである。
【0051】
記録が終了して排紙信号が入力されると排紙が行われる(STEP24)。STEP25で次ページ記録信号が存在すれば、ダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP26)した後、ページ間予備吐出・空吸引が実施(STEP27)される。そして、STEP3に戻ってダイレクトセンサ位置の初期化からの動作が繰り返される。次ページ記録信号がなければ、同様にダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP28)したあと、キャップ前予備吐出・空吸引が行われる(STEP29)。その後、記録ヘッドはキャップされ(STEP30)、電源オフ(STEP31)により上述の動作が終了する。
【0052】
本実施形態では、ダイレクトセンサ2003の位置検知手段として、プラテン側からの反射光センサ信号を検出することにより、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向の上流位置にあるか下流位置にあるかを判別するものである。しかしこれに限られない。例えばメカスイッチあるいは光学センサを用いて、ダイレクトセンサ2003を保持する部材の位置を検知する方法でもよく、前記位置検知センサはキャリッジ上にあっても、記録装置本体側にあってもよい。また、モータやソレノイドを使用して、ダイレクトセンサ1000と同様に動作させる方式も採用可能である。
[第3実施形態]
第3の実施形態を説明する。図19において、プラテン3004には4つ開口部3000、3001、3002、3003が形成されている。第1の実施形態と同様に、記録ヘッドのノズル列のうちのシート搬送方向の最上流側ノズルよりも上流側の位置に開口部3000が、該ノズル列のうちのシート搬送方向の最下流側ノズルよりも下流側の位置に開口部3001が設けられている。開口部3002は開口部3000から非基準側へ123.5mm離れた位置にあり、開口部3003はそこからシート搬送方向に25mm離れた位置にある。図19の状態では第1のダイレクトセンサ3005が開口部3000から露出し、第2のダイレクトセンサ3006は開口部3002から露出している。
【0053】
図18、図19において、モータ1014の駆動により、第1の実施形態と同様に第1のダイレクトセンサ3005がシート搬送方向に移動可能となっている。第1の実施形態と異なる点は、ピニオン3008とピニオン軸3016とが、図18の図面左右からベルトプーリ3007と同軸上に固定され一体回転できるようにした点である。モータ1014の駆動はベルト1012、ベルトプーリ3007を介して、ピニオン3008及びピニオン軸3016と一体のピニオン部3009に伝達される。2つのセンサホルダ1005は同一形状のものが図面左右(記録装置の主走査方向の両側)に搭載され、上部にダイレクトセンサ1000が各々搭載される。それぞれセンサホルダ1005をガイドしてシート搬送方向に移動可能にするセンサスライドガイド1007が装置のベースに固定される。
【0054】
上述の構成により、モータ1014を回転駆動すると、2つのダイレクトセンサ3005、3006が同時に移動する。ダイレクトセンサ3005,3006はそれぞれL版写真用光沢紙の幅から内側に2〜5mmの位置にある。この構成により、第1の実施形態でダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ59を兼用して行った頭出し位置の検出を、2つのダイレクトセンサ3005,3006によって行うことができる。ダイレクトセンサ3005,3006の主走査方向のピッチに関しては、A4サイズのシートの頭出し位置を検知する場合には200mm相当にしたほうが、検知精度はより高くなる。しかしながら、ダイレクトセンサを使用した場合には、解像度が高く、L版相当の幅でも、斜行検知目的に十分使用可能である。
【0055】
本実施形態は、L版幅で、シートの先端から後端まで該シートの全領域に渡って該シートの幅方向左右両方の搬送量を基にした制御が可能である。その上、第1、第2の実施形態と同様に、記録スピードを低下させること無しに、該シートの幅方向左右の2箇所の搬送量を検知し、その検知結果を基に制御することが可能である。したがって、シートの片側だけに白筋・黒筋や画像むらが発生する等の不具合のない画像品位の高い記録装置を実現できる。
【0056】
使用するシートがL版とA4等、確定している場合には、搬送量検知センサ(プラテン下のダイレクトセンサ)を主走査方向に3箇所以上設ける構成が可能である。また画像品位の必要性によっては、基準側の1個のセンサのみ搬送方向に移動可能で、残りのセンサはプラテン下に固定という構成も可能である。
[第4実施形態]
第4の実施形態を説明する。図20〜図22において、ダイレクトセンサ4000は、第1〜第3の実施形態のものと同一品である。ダイレクトセンサ4000はセンサホルダ4001に固定される。センサホルダ4001にはベルト4003を挿入して固定するベルト止め部4002が一体に設けられている。ベルト4003は、クリーニング部4014に隣接して設けられたステッピングモータ4004のシャフトに圧入されたプーリ4005に掛けられる。ベルト4003の他方はアイドラプーリ4006に掛けられる。アイドラプーリ4006はテンションバネ4007で図21の左方向に付勢されるので、ベルト4003には一定のテンションが与えられる。ステッピングモータ4004はモータブラケット4008に固定され、アイドラプーリ4006はプーリブラケット4009に空いた3つのスリット4010にガイドされて主走査方向にスライド可能に支持される。
【0057】
プラテン4011には2つの開口部4012,4013が設けられていて、センサホルダ4001をプラテンのシート支持面側から覗けるようになっている。2つの開口部4012,4013は121.5mm離れている。センサホルダ4001には遮蔽フラグが一体に設けられ、フォトセンサをこの遮蔽フラグが遮蔽することにより、センサホルダ4001のホームポジション(図21の位置)が確定する。センサホルダ4001には突起が計4個設けられ、センサホルダガイドのスライド溝にこれら突起がはまり込むことによってセンサホルダ4001がガイドされ主走査方向に移動可能となっている。ステッピングモータ4004を回転駆動することにより、主走査方向にセンサホルダ4001が移動し、ダイレクトセンサ4000が開口部4012と開口部4013のいずれかから露出する(それぞれ図21、図22)。L判シートの横幅が127mmなので、L版以上の幅を持つシートに関してはシートの幅方向左右2箇所の搬送量を計測できる構成となっている。そのほかの構成に関しては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
次に、図23を使用して本実施形態の動作シーケンスを説明する。なお、第1の実施形態と同様の動作に関しては、簡略な説明に留める。STEP1で電源がオンすると、記録装置は主走査系及び副走査系の初期化処理を行う(STEP2)。次に、プラテン下のダイレクトセンサ位置の主走査方向位置の初期化が実施される(STEP3)。すなわち、ダイレクトセンサ4000が非基準側に10mm分動かされた後、基準側に動かされ、センサホルダ4001の遮蔽フラグがフォトセンサを遮蔽した位置から3mmの位置(ホームポジション)でセンサホルダ4001が停止する。センサホルダ4001の位置がどこであっても、この措置により、ホームポジションにセンサホルダ4001を位置させることができる(図21の位置)。パーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器から記録信号が入力されると(STEP4)、給送部からシートPがピックアップされ、分離ローラにて1枚だけ分離されて給送される(STEP5)。PEセンサにてシートPの先端通過の検出が実施され(STEP6)、先端通過が検知されると、次ステップへ移行する。先端通過が検知されなければ、記録装置は「紙なし」あるいは「紙ジャム」と判断し、給送動作を停止し、外装上のLEDでエラー表示を行う(STEP7)。STEP8で、停止した搬送ローラ36にシートPの先端が突き当たり、ループを作ってシートPの斜行を防止する、いわゆるレジ取りが実施される。さらにSTEP9で、搬送ローラ36と給送ローラ821が略同じ周速度で同時回転する。同時回転している途中で分離ローラ831はリリースされ、ループは解消する。STEP10で、シートPの基準側の頭出し位置がダイレクトセンサ4000で検出される。このとき、プラテン下のダイレクトセンサ4000で得たデータから、シートPの先端がダイレクトセンサ4000に対向した位置に侵入してきてからシートPがプリント開始位置で停止する位置までの搬送距離が算出される。ダイレクトセンサ4000の絶対位置は既知なので、この算出値からシートPの基準側の頭出し位置(シート先端側の位置)を検出することができる。
【0059】
次いで、ダイレクトセンサ4000が非基準側(図22の位置)に移動し、頭出し位置の検出がダイレクトセンサ4000で行われる。このとき、一旦、搬送ローラ36が逆転され、シートPの先端が、ダイレクトセンサ4000の光軸よりシート搬送方向上流側に移動したのち、再度正転され、基準側と同様に頭出し位置の検出が行われる。シートの斜行量はレジ取り時点でほぼ決まり、搬送ローラに狭持されたあと変化することはないので、この方法によって斜行が検出可能である(STEP11)。ここで、シートの幅方向左右の頭出し位置が所定の位置から±1.5mmを越えるか、あるいは、シートの幅方向左右の頭出し位置の差をセンサ移動の主走査方向距離で除した値が0.01を越えたかが判定される(STEP12)。その結果、越えた場合にはプリントが中止され、シートが排出され、そしてユーザーにシートの再セット・給送を促す表示がパーソナルコンピュータ上のドライバ画面にエラー表示される(STEP13)。このプロセスにより、極端にカールしたシートやシートセットの不具合によって頭出し位置不良や斜行などのシートの先端状態の不良が判別でき、プリント不具合を未然に防止することが可能となる。STEP14で、ダイレクトセンサ4000が基準側のホームポジションに戻される。続いてSTEP15で、キャリッジ走査移動と搬送ローラ36による行送りとを繰り返して記録が行われる。このとき、搬送量はダイレクトセンサ4000によって検知され、その搬送量を基に実際の搬送量が制御される。また、1回のシート送りごとにダイレクトセンサ4000を反対側に交互に移動する。そして、前回の搬送量と今回の搬送量の平均値をもとに実際の搬送量を目標値に近づけるように搬送量が制御される。この方法により、シートの幅方向左右の搬送量を交互に検知しつつ、制御することになるので、シートの幅方向左右の搬送量差が緩和され、主走査全域で黒筋・白筋の目立たない画像が実現する。以上のように、1枚のシートの記録ジョブの最中に、移動機構にてダイレクトセンサ4000の撮像デバイスを移動させ、計測位置を変化させるものである。
【0060】
記録が続行し、PEセンサはシートPの後端が通過するタイミングを検知する(STEP16)。あらかじめシートPのサイズはパーソナルコンピュータ等から入力されているので、PEセンサでのシート先端検知から所定の搬送量の1.5倍を越えてもシート後端が検出されない場合には記録装置は排紙エラーを表示してユーザーに処理を促す(STEP17)。記録が終了して排紙信号が入力されると、排紙が行われる(STEP18)。STEP19で次ページ記録信号が存在すれば、ダイレクトセンサ4000が開口部4012と開口部4013の中間位置まで移動(STEP20)した後、ページ間予備吐出・空吸引が実施(STEP21)される。そして、STEP3に戻ってダイレクトセンサ位置の初期化からの動作が繰り返される。次ページ記録信号がなければ、同様にダイレクトセンサ4000が開口部4012と開口部4013の中間位置まで移動(STEP22)したあと、キャップ前予備吐出・空吸引が行われる(STEP23)。その後、記録ヘッドはキャップされ(STEP24)、電源オフ(STEP25)により上述の動作が終了する。なお、予備吐出の際にインクミストがセンサに付着しないように、ダイレクトセンサ4000を、開口部4012,4013に対応しない中間位置まで移動している。
【0061】
本実施形態では、副走査方向(シート搬送方向)へのセンサ移動を行わないため、シート全域での搬送量検知はできない。しかし、この構成に限ることなく、第1の実施形態との組み合わせや、センサホルダ4001上の副走査方向に2つの移動量検知センサを設けて、シートの先端から後端まで全域において搬送量を検知できる構成も可能である。また、本実施形態のようにシート先端の頭出し(セット)位置と、シートの搬送量を両方検知する構成ではなく、いずれか一方だけ検知する方式も実施可能である。また、ダイレクトセンサ4000の主走査方向の移動距離や、ダイレクトセンサ4000を露出する開口部の数に関しても、上述の設定に限られない。例えば、プラテンにL版とA4相当幅の2箇所と基準側の計3箇所に開口部を設け、シートのサイズによって、停止位置を変更し、セット位置又は搬送量を検知する方式でもよい。シートの斜行量やシートの幅方向左右の搬送量差を精度良く検知するためには、シートの幅方向端部に近い位置で実施したほうがよい。
【0062】
以上説明してきた各実施形態では、1枚のシートの記録ジョブの最中にダイレクトセンサの計測位置を上流側から下流側に変化させる。これにより、ダイレクトセンサのセンシング不能時間をより低減することができる。そして、搬送中に1枚のシートの全領域に渡ってダイレクトセンサでセンシングを行なうことができる。また、シート端部の記録中に、搬送方向に沿って並べられた記録ヘッドの複数ノズル列のうち、どのノズル列の直下にシート端部が位置しても、ダイレクトセンサでセンシングを行なうことができる。仮に、ダイレクトセンサがシート搬送方向に移動しないと、シート後端又は先端の記録中にセンシング不能時間が生じてしまう。つまり、以上の実施形態によれば、記録中にシートの全領域においてダイレクトセンサを用いてセンシングを行なうことができ、シート端部も含めて良好な画像形成が可能となる。
【0063】
加えて、搬送精度を確保するために、大径のエンコーダホイールが不要で、シートの全域においてダイレクトセンサで直接計測が可能になるので、高品位画像を出力できる小型の記録装置が実現する。また、搬送精度を確保するためにシート先端・後端領域の1度に搬送する搬送量を小さくする必要がないため、シートの先端と後端を含めた搬送量を大きくして、記録スピードを早くすることができる。またシートの先端・後端を含めた記録全域において、搬送機構の高精度化及び高摩擦係数の達成が不要なので、コストが低く量産性に優れた記録装置が実現する。
【符号の説明】
【0064】
1000:ダイレクトセンサ 1001:開口部 1002:開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、高品位な画像を実現するため、シート状の記録メディア(本明細書においては、単にシートという)の搬送精度にも高い精度が要求される。近年、より高精度な搬送制御を目的として、シート表面を撮像して画像処理によってシートの移動量を直接検知するダイレクトセンサが実用化されつつある。例えば特許文献1にはダイレクトセンサを用いて搬送制御を行なう技術が開示されている。ここに開示される装置では、ダイレクトセンサが、記録ヘッドを搭載するキャリッジ上、あるいは記録ヘッドの吐出口面と対向する位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−82289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この構成ではダイレクトセンサはシートの搬送方向において固定された位置でしかシートを撮像できない。そのため、シート搬送中に、ダイレクトセンサの計測位置にシートが存在せずセンシングできない時間(以下、センシング不能時間という)が生じてしまう。例えば、シートの後端あるいは先端に記録時にマルチパス方式で画像記録を行なうことを想定すると、記録中にシート端部が計測位置から外れてセンシング不能になると高精度な搬送制御ができず、その部分の画質が保証できないという課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することができる記録装置を提供することを目的とする。より具体的な目的のひとつは、ダイレクトセンサのセンシング不能時間を低減することができる記録装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、シートを所定方向に搬送する搬送機構と、前記シートに画像を記録する記録部と、前記シートを撮像する撮像デバイスを有し前記撮像デバイスの出力の信号処理によって前記シートの移動を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、前記撮像デバイスを前記所定方向の成分を含む方向に移動させる移動機構と、前記搬送機構、前記記録部及び前記移動機構を制御する制御部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ダイレクトセンサのセンシング不能時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態における記録装置の外観を示す斜視図。
【図2】記録装置の斜視図。
【図3】機構部の斜視図。
【図4】機構部の斜視図。
【図5】機構部の断面図。
【図6】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図。
【図7】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図8】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図9】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図10】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図11】ダイレクトセンサを含む機構部分の詳細図
【図12】装置動作のシーケンスを示すフローチャート。
【図13】第2の実施形態におけるキャリッジユニットを示す斜視図。
【図14】レバーガイドに凸部が接触する直前の状態を示す上面図。
【図15】プラテンの非基準側を示す上面図。
【図16】スイングアームの動作を示す図。
【図17】装置動作のシーケンスを示すフローチャート。
【図18】第3の実施形態におけるセンサを説明するための斜視図。
【図19】プラテンを示す上面図。
【図20】第4の実施形態における記録装置を表す斜視図。
【図21】ダイレクトセンサが移動している状態を示す上面図。
【図22】ダイレクトセンサが移動している状態を示す上面図。
【図23】装置動作のシーケンスを示すフローチャート。
【図24】画像データを信号処理して移動を計測する手順を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図1〜図12に沿って説明する。本実施形態の記録装置は、給送部2、搬送部3、キャリッジ部5、排紙部4、Uターン・自動両面搬送部8、クリーニング部6、記録ヘッド7、外装部9、制御部10、電源部12から構成されている。これらを項目に分けて順次説明していく。本明細書において、「シート」とは紙、プラスチック、フィルム、金属板等、様々なシート状の物品を意味するものとする。また、本明細書において上流・下流とは、シートに画像記録を行なう際のシートの搬送方向を基準とした上流・下流を意味するものとする。
【0010】
給送部2はシートPを積載する圧板21、シートPを給送する給送ローラ28、シートPを分離する分離ローラ241、シートPを積載位置に戻す為の戻しレバー22、等がベース20に取り付けられる構成となっている。積載されたシートPを保持する為の給送トレイ26が、ベース20に取り付けられている。圧板21はベース20に結合された回転軸を中心に回転可能で、圧板バネ212により給送ローラ28に付勢される。給送ローラ28と対向する圧板21の部位には、積載最終近くののシートPの重送を防止するために摩擦係数の大きい材質からなる分離シート213が設けられている。ベース20には、シートPを一枚ずつ分離するための分離ローラ241を取り付けた分離ローラホルダ24が分離ベース20に設けられた回転軸を中心に回転可能に設けられている。分離ローラホルダ24は分離ローラバネにより給送ローラ28に付勢される。
【0011】
搬送部3はシートPを搬送する搬送ローラ36を有し、シートを所定方向(第1方向)に搬送する。搬送ローラ36には従動する複数のピンチローラ37が当接して設けられている。シートPが搬送されてくる搬送部3の入口には、シートPをガイドするペーパーガイドフラッパー33及びプラテン34が配設されている。また、ピンチローラホルダ30にはシートPの先端、後端検出を光学センサであるPEセンサに伝えるPEセンサレバー321が設けられている。プラテン34はシャーシ11に取り付けられ、位置決めされる。
【0012】
搬送部3に送られたシートPはピンチローラホルダ30及びペーパーガイドフラッパー33に案内されて、搬送ローラ36とピンチローラ37とのローラ対に送られる。このとき、PEセンサレバー321で搬送されてきたシートPの先端を検知して、これによりシートPのプリント開始位置を決定している。また、シートPは搬送モータ35によりローラ対36、37が回転することでプラテン34上を搬送される。
【0013】
DCモータからなる搬送モータ35の回転力をタイミングベルト351で搬送ローラ36の軸上に設けたプーリ361に伝達して、搬送ローラ36に駆動力を与えている。搬送ローラ36の軸上には、搬送ローラ36による搬送量を検出する為の150〜300lpi(line per inch)のピッチでマーキングを形成したコードホイール362が設けられている。そして、それを読み取るエンコーダセンサ363がシャーシ11のコードホイール362が隣接する位置に取り付けられている。コードホイール362とエンコーダセンサ363及び信号処理部によって、搬送ローラ36の回転を検出するロータリーエンコーダが構成されている。
【0014】
キャリッジ部5は、記録ヘッド7を取り付けるキャリッジ50を有している。キャリッジ50と記録ヘッド7により記録部が構成されている。記録ヘッド7はそれぞれが別体で交換可能な複数色用のインクタンクが搭載されたインクジェット記録ヘッドが用いられている。記録ヘッド7は、ヒータによりインクに熱を与えることでノズルからインクが吐出する。なお、記録ヘッドはヒータを用いた方式に限らず、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、別のインクジェット方式であってもよい。さらに、記録ヘッドはインクジェット方式に限らず、熱昇華型や熱転写型などのサーマル記録方式、あるいはその他の記録方式であっても良い。
【0015】
キャリッジ50は、第1方向であるシートPの搬送方向に対して交差する第2方向(ここでは直交方向)に往復移動する。キャリッジ50は、ガイドシャフト52及びキャリッジ50の後端を保持して記録ヘッド7とシートPとの隙間を維持するガイドレール111によって支持されている。ガイドシャフト52はシャーシ11に取り付けられている。ガイドレール111はシャーシ11に一体に形成されている。キャリッジ50はシャーシ11に取り付けられたキャリッジモータ54によりタイミングベルト541を介して駆動される。このタイミングベルト541は、アイドルプーリ542によって張設、支持されている。タイミングベルト541はキャリッジ50とゴム等からなるダンパを介して結合されており、キャリッジモータ54等の振動を減衰することで、画像ムラ等を低減している。キャリッジ50の位置を検出する為の150〜300lpiのピッチでマーキングを形成したコードストリップ561がタイミングベルト541と平行に設けられている。それを読み取るエンコーダセンサがキャリッジ50に搭載したキャリッジ基板に設けられている。記録ヘッド7をキャリッジ50に固定する為に、キャリッジ50には、位置決めの為の突き当て部と押し付け固定する為の押圧手段が設けられている。押圧手段はヘッドセットレバー51に搭載され、ヘッドセットレバー51を回転支点中心に回してセットする。ガイドシャフト52の両端には偏心カム521が設けられており、クリーニング部6のメインカムにより、ギア列591を介し、偏心カム521まで駆動を伝達することによってガイドシャフト52を上下に昇降させる。
【0016】
キャリッジ50の上には、記録開始位置まで搬送されたシートPの先端位置、及び記録中のシート搬送量や移動速度を検知するためのダイレクトセンサ59が取り付けられている。ダイレクトセンサ59は半導体レーザ発光素子によりシートPを照明し、照明された領域(撮像位置)を撮像デバイスで撮像し、撮像デバイスの信号を信号処理することで、シートの先端位置や移動量を計測することができる。ダイレクトセンサ59の詳細に関しては後述する。
【0017】
シートPに画像形成するときは、第1方向にローラ対36、37がシートPを1ステップずつ搬送する(副走査)。それと同期してキャリッジモータ80によりキャリッジ50が第2方向に移動する(主走査)。この副走査と主走査を交互に繰り返す。主走査に同期して記録ヘッド7がインクを吐出してシートPの記録面に画像が形成される。
【0018】
排紙部4は、2本の排紙ローラ40、41、排紙ローラ40、41に所定圧で当接、従動して回転可能な如く構成された拍車42、搬送ローラの駆動を排紙ローラ40、41伝達する為のギア列、等から構成されている。排紙ローラ40、41はプラテン34に取り付けられている。シートPの搬送方向で下流側の排紙ローラ40は金属軸に、複数のゴム部401が設けられている。搬送ローラ36からの駆動がアイドラギア364を介し、排紙ローラ40に伝達されることによって駆動される。
【0019】
装置前面に設けられたカセット81にシートPが収納される。このシートPを分離給送する為に、シートPを積載し、給送ローラ821と当接させる圧板822がカセット81に設けられている。シートPを給送する給送ローラ821、前記給送部と同様の機能を持つシートPを分離する分離ローラ、シートPを積載位置に戻す為の戻しレバー824、圧板822への加圧部材等が本体のベース84に取り付けられている。ベース84には、シートPを一枚ずつ分離するための分離ローラを取り付けた分離ローラホルダがベース84に設けられた回転軸を中心に回転可能で、分離ローラバネにより給送ローラ821に付勢される。分離ローラ831は、内部にクラッチバネが取り付けられ、所定以上の負荷がかかると、分離ローラが回転できる構成になっている。分離ローラは分離ローラリリースシャフトとコントロールカムよって、給送ローラ821に、当接、離間できるように構成されている。これらの圧板822、戻しレバー824、分離ローラの位置はUTセンサによって検知される。
【0020】
クリーニング部6は、記録ヘッド7のクリーニングを行うポンプ60と記録ヘッド7の乾燥を抑えるためのキャップ61、記録ヘッド7のノズル周辺のフェース面をクリーニングするブレード62、などから構成されている。ポンプ60で吸引された廃インクは後述の下ケース99に設けられた廃インク吸収体に吸収される。
【0021】
前述までの各ユニットはシャーシ11に組み込まれ、プリンタの機構部分を形成している。その回りを覆うように外装を取り付けている。外装は、主に、下ケース99、上ケース98、アクセスカバー97、フロントカバー95、サイドカバー96、から構成されている。制御部10は、CPU、メモリ、各種I/Oインターフェースを搭載したコントローラボードを有し、記録装置全体の各種動作の制御を司る。電源部12は記録装置の各部に電力を供給する。
【0022】
次に、本実施形態の特徴的な部分の詳細について図6〜図12を用いて説明する。図11はキャリッジ上に搭載されたダイレクトセンサ59の周辺の側面図である。ダイレクトセンサ1000(第1ダイレクトセンサ)とダイレクトセンサ59(第2ダイレクトセンサ)の基本構造及び計測原理は同じである。
【0023】
図6において、プラテン34にはプラテン34を貫通した穴である開口部1001、1002が設けられている。後述するようにダイレクトセンサ1000は開口部1001,1002のいずれに対応した位置に選択的に移動可能になっている。したがって、開口部1001,1002のいずれか一方を通して、プラテン34のシート支持面側から下方にはダイレクトセンサ1000の一部が見える。逆にいえば、ダイレクトセンサ1000からはプラテンのシート支持面に支持されたシートの裏面(記録面の反対側の面)が見える。
記録ヘッド7には、シート搬送方向に沿って異なる色に対応した複数のノズル(ノズル列(吐出口列))が並べられている。そして、開口部1001にダイレクトセンサ1000が位置しているときには、ノズル列を構成する複数のノズルのうちのシート搬送方向最上流側のノズルよりもシート搬送方向上流側でシート移動を計測することが可能である。他方、開口部1002に位置しているときには、前記複数ノズルのうちのシート搬送方向最下流側のノズルよりも搬送方向下流側でシート移動を計測することが可能である。
【0024】
図6はプラテン下のダイレクトセンサ1000をシート搬送方向上流側の開口部1001に対応して位置させた様子を示す。ダイレクトセンサ1000はレーザ発光素子1003と撮像デバイス1004と信号処理部(AD変換器やアナログフロントエンド)とをユニット化したものである。レーザ発光素子1003のレーザ波長は0.5〜2μmである。ダイレクトセンサ1000は、一定時間間隔で発光したレーザ光で照明した領域をCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像デバイス1004で撮像して、撮像デバイス1004の出力を信号処理して演算する。シートが光沢紙等の平滑性の高いシートの場合でも、移動距離を正確に得ることが可能である。シート面の移動距離検出の解像度は1/3600インチである。なお、ダイレクトセンサは、レーザ発光素子の代わりにLEDやOLED(有機EL)などどの発光素子を用いても構わない。
【0025】
図24は、ダイレクトセンサによる移動計測原理を示す説明図である。図24(a)において、任意時刻T1において取得されたシート表面からの第1画像データ2401を得たとする。この画像に対して、図24(b)の特定領域2501(相関窓領域)内の画像データが相関窓内パターン2502として記憶される。続いて、時刻T1とは別時刻T2に第2画像データ2402を得る。ここで、相関窓内パターン2502が第2画像データ2402のどの領域に存在するかが画像相関処理により判定される。ここで光学倍率等を考慮し、撮像デバイスに撮像されている紙面上領域の大きさが判明すれば、前記相関窓内パターンの画像上の移動からシートの移動を計測することができる。取得したシート搬送量と比較する画像を取得した時間差の情報とを用いて、シートの移動速度も得ることができる。撮像デバイスで取得した画像データを基にした移動計測のための信号処理は制御部10で行なう。変形例として、ダイレクトセンサのユニット内の信号処理部で行なうようにしてもよい。
【0026】
なお、本実施形態は、撮像素子で取得した画像データから画像処理によって移動を計測する方式のダイレクトセンサに限らない。移動物体の移動速度の変化に応じて移動物体での反射光がドップラシフトによって周波数変化する原理が知られる。物体の計測位置をレーザで照明し、反射光を光学センサで検出して信号処理によって周波数変化を捉えることで物体の移動速度を直接計測する、所謂ドップラ計測方式のダイレクトセンサを用いたものであってもよい。つまり、ダイレクトセンサは、シートの表面を光学的に検出してシートの移動を直接計測するものであれば方式は問わない。
【0027】
図7、図8において、ダイレクトセンサ1000はシート搬送方向に移動可能なセンサホルダ1005に固定される。センサホルダ1005の両側面にはスライドさせるためのガイドボス1006が計4箇所突出している。このガイドボスは、センサスライドガイド1007に設けられたスライド穴1008と、クリーニングベース63に設けられた同形状の対向する穴と嵌合する。この構成により、センサホルダ1005とダイレクトセンサ1000は25mmスライド可能となっている。センサホルダ1005の下部にはラック1009が一体形成される。このラック1009にはピニオン1010が噛み合う。ピニオン1010はクリーニングベース63とセンサスライドガイド1007に軸支持され、その軸端にはベルトプーリ1011が固定される。ベルトプーリ1011と、モータ1014の軸に圧入されたモータプーリ1013との間にはベルト1012が掛けられる。モータ1014はモータブラケット1015にビス止めされ、モータブラケット1015はベース20にビス固定される。
【0028】
図9の状態では、クリーニングベース63に設けられた第1のストッパ1016にセンサホルダ1005が突き当たって位置決め停止している。この状態から、モータ1014を駆動してピニオン1010を時計方向に回転すると、センサホルダ1005とダイレクトセンサ1000はシート搬送方向下流側に移動する。その結果、図10に示すように、センサホルダ1005が第2のストッパ1017に突き当たった位置で停止する。本実施形態では、記録中はセンサホルダ1005をシート搬送方向の上流側及び下流側の2箇所で突き当て停止する構成のため、モータ用ロータリーエンコーダ等を用いたフィードバック制御は行っていない。
【0029】
本実施形態では開口部1001、1002は、シート搬送方向(所定方向)に沿って並んでおり、ダイレクトセンサ1000も同方向に移動可能となっているが、これに限定されず、搬送方向に対して傾きを持った方向であってもよい。つまり、シート搬送方向の成分を含む、シートの面と平行な方向に沿ってダイレクトセンサ1000を移動可能として、開口部1001、1002も同方向に沿って形成すればよい。また、開口部の数は2つに限定されず、3つ以上の開口部を設けてダイレクトセンサ1000をいずれかの開口部と対応した位置に選択的に移動可能に構成してもよい。
【0030】
図11において、キャリッジ50に設けられたダイレクトセンサ59はレーザ発光素子1020と撮像デバイス1021と信号処理部(AD変換器やアナログフロントエンド)からなる。ダイレクトセンサ59における光軸の位置は記録ヘッド7のノズル列よりもシート搬送方向の上流側で、プラテン下のダイレクトセンサ1000が図9に示されるようにシート搬送方向上流側に移動したときと略同じ位置である。このダイレクトセンサ59が紙面上に相対した位置でキャリッジ50が走査移動し、かつ走査移動中に記録紙等のシートが搬送される際には、ダイレクトセンサ59で読み取ったデータから副走査方向の移動距離のみを抽出して搬送距離を算出することも可能である。プラテン下のダイレクトセンサ1000と、キャリッジ上のダイレクトセンサ59とは、記録モードによって色々な組み合わせでの使用がなされる。
【0031】
キャリッジ50の往復走査移動の両方向(往復路)で記録するモードの場合、キャリッジの加減速時間中に1行分の搬送を終了している必要がある。そのため、両方向記録モードでは、ダイレクトセンサ59では搬送量を検知せず、プラテン下のダイレクトセンサ1000のみによる搬送量検知を行なう。しかしながら、次の方法を実施すれば、ダイレクトセンサ59でも検知可能である。すなわち、記録速度を犠牲にしてキャリッジ減速後、記録するシートの上面にダイレクトセンサ59が対向するまで、キャリッジを一時戻す。それから、シートの搬送を行って搬送量を検知し、加速開始位置(減速終了位置)まで再度戻ってキャリッジ走査移動を開始する。
【0032】
また、シートPの幅方向左右端(シート搬送方向と直角な方向のシート両端)の搬送量は搬送抵抗の左右差に起因して完全に一致するわけではなく差異が生じる。特に、A4以上の長いシートの後端が給送部のパスに残っている状態で記録する先端から中程の記録においては、ASFやUターンのパス形状により搬送抵抗の左右差が生じやすい。そのため、片側だけに白筋・黒筋や画像むらが発生することがある。記録スピードよりも画像品位を優先する装置やモードの場合、シート左右端の搬送量を検知してその平均搬送量を基に搬送量を制御すると、シートの左右とも画像弊害の抑えられた記録装置が実現可能となる。片方向記録(往走査時のみの記録)の場合、キャリッジリターン中に1行分のシート搬送を終了すればよい。そのため、キャリッジが非基準側(クリーニング部と反対側)付近を走査移動している間に1行搬送を終了すれば、プラテン下のダイレクトセンサ1000の出力と合わせ、おおむねシート左右の搬送量を検知できる。本実施形態においては、A4以上のシートで、片方向記録時の後端以外の領域のみ、ダイレクトセンサ59も兼用した制御を行っている。このように、各記録モードの記録スピードと画像品位の要求に応じて、2つのダイレクトセンサを使い分けることが好ましい。
【0033】
次に、装置動作のシーケンスを、図12のフローチャートを使用して説明する。これらの装置動作は制御部10の制御によって実行される。STEP1で電源がオンすると、記録装置はASFセンサやPEセンサをチェックし、その状態に応じて主走査系(キャリッジ走査系)及び副走査系(シート搬送系)の初期化処理を行う(STEP2)。続いてプラテン下のダイレクトセンサ1000の位置の初期化が実施される(STEP3)。すなわち、ダイレクトセンサ1000を搬送方向上流側に移動させる方向にモータ1014を駆動して、第1のストッパ1016にセンサホルダ1005が突き当たるようにする。正常な終了状態ではセンサホルダ1005はもともと搬送方向上流側の位置にあるが、モータで一定距離相当移動するだけの駆動を行うことにより、確実に初期位置に置くことができる。パーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器から記録信号が入力されると(STEP4)、給送部からシートPがピックアップされ、分離ローラにて1枚だけ分離されて給送される(STEP5)。PEセンサにてシートPの先端通過を検知し(STEP6)、先端通過を検知すれば、次ステップへ移行する。検知しなければ「紙なし」あるいは「紙ジャム」と判断し、給送動作を停止し、外装上のLEDでエラー表示を行う(STEP7)。続いてSTEP8で、停止した搬送ローラ36にシートPの先端が突き当たり、ループを作ってシートPの斜行を防止する、いわゆるレジ取りが実施される。さらにSTEP9で、記録信号で設定されたシートの幅に対応する、クリーニング部6と反対側の端の位置から、シート内側に10mmの位置に、ダイレクトセンサ59の光軸が位置するようにキャリッジ50が移動する。さらにSTEP10で、搬送ローラ36と給送ローラ821が略同じ周速度で同時回転する。同時回転している途中で分離ローラ831はリリースされ、ループは解消する。
【0034】
シートPがプリント開始位置まで搬送される途中、ダイレクトセンサ59、1000で得たデータから、シートP先端がダイレクトセンサ59、1000に対向した位置に侵入してからシートPがプリント開始位置で停止する位置までの搬送距離が算出される。ダイレクトセンサ1000及びダイレクトセンサ59の絶対位置は既知なので、この算出値からシートPの幅方向2箇所のシート先端をセットする頭出し位置(シートの先端位置)を検出する(STEP11)。シートの幅方向左右各々の頭出し位置が所定の位置から±1.5mmを越えるか、あるいはシートの幅方向左右の頭出し位置の差を2つのダイレクトセンサ1000、59間の主走査方向距離で除した値が0.01を越えたかが判定される(STEP12)。こうして、シート先端状態の良否が判定される。その結果、越えた場合にはプリントが中止され、シートが排出され、そしてユーザーにシートの再セット・給送を促す表示がパーソナルコンピュータ上のドライバ画面にエラー表示される(STEP13)。このプロセスにより、極端にカールしたシートやシートセットの不具合によって頭出し位置不良や斜行などシート先端状態の不良を判別して、プリント不具合を未然に防止することが可能となる。
【0035】
STEP14で片方向記録モードかどうかが判定され、その結果両方向記録であることが判定できた場合には、プラテン下のダイレクトセンサ1000のみでシート搬送量を検知しつつ記録を行う(STEP15)。STEP16で、片方向キャリッジ走査移動とシートの搬送ローラによる行送りとを繰り返して記録が行われる。このとき、シート搬送量はダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ59の両方によって検知され、その平均搬送量を基に搬送量制御される。両方のダイレクトセンサ1000、59はプリント開始位置よりもシート搬送方向の上流側に位置しているので、シート先端部からの直接計測が可能である。また、プリント開始時には、ダイレクトセンサ1000の上にすでにシートPが来ているため、記録ヘッドから吐出するインクミストがダイレクトセンサ1000上に付着してレンズ等を汚して検知機能を低下させることが防止される。
【0036】
記録が続行し、PEセンサはシートPの後端が通過するタイミングを検知する(STEP17)。あらかじめシートPのサイズはパーソナルコンピュータ等から入力されている。そのため、PEセンサでのシート先端検知から所定の搬送量の1.5倍を越えてもシート後端が検出されない場合には記録装置は排紙エラーを表示する(STEP18)。そして、ユーザーに処理を促す。
【0037】
シートPの後端がPEセンサを通過する送り動作が実施された後に、モータ1014が駆動されて、ダイレクトセンサ1000が、シート搬送方向下流側の開口部1002に対向する位置まで移動する(STEP19)。このように移動することにより、後端記録が終了するまで、ダイレクトセンサ1000の上にシートPが来ているため、前記と同様に、センサ検知機能の低下を防止している。後端記録時には、ダイレクトセンサ1000のみを基にした搬送量制御が行われる(STEP20)。以上ように、PEセンサによって搬送方向におけるシートの位置情報を取得して、該位置情報に応じて、1枚のシートの記録ジョブの最中に、移動機構にてダイレクトセンサ1000(撮像デバイス)を上流側から下流側に移動させ、計測位置を変化させるものである。
【0038】
記録が終了して排紙信号が入力されると、排紙が行われる(STEP21)。STEP22で次ページ記録信号が存在すれば、ダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP23)したあと、ページ間予備吐出・空吸引が実施(STEP24)される。STEP3に戻ってダイレクトセンサ位置の初期化からの動作が繰り返される。次ページ記録信号がなければ、同様にダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP25)したあと、キャップ前予備吐出・空吸引が行われる(STEP26)。その後、記録ヘッドはキャップされ(STEP27)、電源オフ(STEP28)により上述の動作が終了する。良好な記録を行うための記録ヘッドのメンテナンス動作として、各種予備吐出をキャップ61内で行う。更にキャップ内インクの溢れを防止するためキャップ61に記録ヘッド7が当接していない状態で空吸引を行う。この際、図6に示されるようにキャップ61とダイレクトセンサ1000の位置が近いため、シートが来ていない状態で予備吐出をすると、開口部を通してインクミストが侵入してダイレクトセンサ1000が汚れてしまう可能性がある。これを防止するため、予備吐出の際には、ダイレクトセンサ1000を開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動させて、いずれの開口部からもダイレクトセンサ1000が見えないようにしている。以上、給送部から給送して記録した場合の説明を行ったが、上述のUターン・自動両面部から搬送部にシートを搬送して記録する場合も、動作は同様なので説明を省略する。
【0039】
本実施形態では、PEセンサによるシートPの後端検知をトリガーとしてダイレクトセンサ1000を移動させる。しかし、これに限ることなく、ダイレクトセンサ1000やPEセンサによる先端検知とシート長データの組み合わせで移動タイミングを決定してもよい。 また、この移動するタイミングに関しては、シートPの先端がダイレクトセンサ1000の位置を通過した後で、後端記録時に搬送量検知可能なタイミングならばいつでもよい。
【0040】
本実施形態では、ダイレクトセンサ1000あるいはダイレクトセンサ59にシートPが対向している場合に、これらのセンサの検知出力を基にシートの搬送量制御が行われる。シートPが対向していないセンシング不能時間(給送期間や排紙期間)には、搬送部のエンコーダセンサ363がコードホイール362のスリットを読み取った検知情報を基に搬送モータ35が制御される。なお、制御方法はこれに限らない。ダイレクトセンサ1000あるいはダイレクトセンサ59にシートPが対向した後は、ダイレクトセンサ1000あるいはダイレクトセンサ59とエンコーダセンサ363で検知した搬送量の差分を補正値としてメモリに格納する方法でもよい。このメモリ方式の場合は、エンコーダセンサ363の検知搬送量に前記補正値を加えた搬送量を基に実際の搬送量が制御される。この補正値は、搬送ローラ36にシートが狭持されている期間と、搬送ローラ36からシート後端が抜けて、2本の排紙ローラ40、41で搬送している期間とで異なる。従って、搬送ローラ36からシートが抜けるタイミングの前後で別個の補正値を設定し、各々をメモリに格納する方法が採られてもよい。記録時には、プリンタドライバによって、シートの種類や記録モードが指定されるので、これらに応じて補正値を設定し、次回の記録では、前回メモリに格納された補正値を利用すればよい。
【0041】
本実施形態は、ダイレクトセンサで計測した出力を基にシートの搬送量制御を行なうものであるが、本発明はこれには限定されない。例えば、ダイレクトセンサでの計測に基づいて、局所的な搬送量又は搬送速度の変化をキャンセルするように、画像を形成する際の記録ヘッドの記録タイミングを変えるようにしてもよい。また、ダイレクトセンサでの計測に基づいて、局所的な搬送量又は搬送速度の変化をキャンセルするように、記録ヘッドを駆動するための画像データ自体を補正するようにしてもよい。つまり、ダイレクトセンサの出力に基づいて搬送機構と記録部の少なくとも一方を制御して、搬送機構の搬送精度が記録する画像に与える影響が低減されるようにすれば、いずれの方法であっても結果として良好な画像を得ることができる。これは、以下に説明する別の実施形態についても同様に言える。
【0042】
本実施形態は、ダイレクトセンサをシート搬送方向に移動させることで計測位置を変化させるものであるが、本発明はこれには限定されない。例えば、複数の計測位置にそれぞれダイレクトセンサを設けて、計測に使用するダイレクトセンサを切り換えることで計測位置を変化させるものであってもよい。これは、以下に説明する別の実施形態についても同様に言える。
[第2実施形態]
第2の実施形態を説明する。図13において、キャリッジ2000が記録ヘッド7を搭載して記録部を構成していることは第1実施形態と同様である。キャリッジ2000の側面にはスライドガイド溝A2001及びスライドガイド溝B2002が一体的に設けられている。これら2つの溝2001,2002にはキャリッジセンサホルダ2004が嵌まり込み、両溝に沿って移動可能にガイドされる。キャリッジセンサホルダ2004にはダイレクトセンサ2003が固定される。このダイレクトセンサ2003は第1の実施形態のダイレクトセンサ59と同じものである。
【0043】
キャリッジセンサホルダ2004からボス2005が突出している。スイングアーム2006の長穴部2007がこのボス2005に嵌合し、止めリング2008で抜け止めされる。スイングアーム2006はキャリッジ2000から突出した回転中心軸2009を中心に回転でき、止めリング2010で抜け止めされる。キャリッジ2000とスイングアーム2006の間にはバネ2011が掛けられる。図13の状態ではこのバネ2011はスイングアーム2006を時計方向に付勢する方向に引っ張っている。キャリッジセンサホルダ2004はこれにつれて図13の図面左側(シート搬送方向上流側)に移動し、キャリッジ上のストッパで突き当て停止している。スイングアーム2006に一体に設けられた凸部2012は、その左右の円筒形状に後述するレバーガイド2013が接触することにより、上記の付勢方向と反対方向に押される。結果、スイングアーム2006は回転し、反対側の位置で突き当て停止することになる。このように、キャリッジセンサホルダ2004は図13の図面左右の複数箇所に移動可能となり、バネにより付勢されてガタなく位置決めされる。図16はスイングアーム2006の動作によって、ダイレクトセンサ2003が搬送方向の上流側(図16(a))と下流側(図16(b))の複数箇所(2箇所)移動した状態を示す。
【0044】
図14はレバーガイド2013に凸部2012が接触する直前の上面図である。第1の実施形態と同じ部品の説明は省略する。レバーガイド2013はシャーシ11にビスで固定される。レバーガイド2013には2つのテーパー部2014と2015が一体に設けられる。キャリッジ2000が図14のように非基準側(キャリッジ走査方向における記録装置のクリーニング部とは反対側)に移動すると、凸部2012と2つのテーパー部2014あるいは2015と接触する。その結果、スイングアーム2006が反対方向に回転して、上述のようにキャリッジセンサホルダ2004は図13の図面左右の2箇所位置に移動する。
【0045】
図15は本実施形態のプラテンの非基準側の上面図である。この図において、プラテン2016のシート搬送方向上流側にのこぎり状断面のセンサ位置判別部2017が形成される。ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向上流側に位置しているときダイレクトセンサ2003の光軸はこのセンサ位置判別部2017に対向する。このとき、レーザ光はのこぎり形状により乱反射するので、キャリッジ2000をセンサ位置判別部2017上で走査移動しながら受光することにより、特異的な受光パターンを示す。
【0046】
一方、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向下流側に位置しているときに走査移動した際には、平坦部による反射となるので、シート搬送方向上流側に位置する場合のパターンと異なったパターンとなる。従って、キャリッジ走査移動しながら、センサ信号を検出することにより、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向の上流位置にあるか下流位置にあるかを判別することができる。
【0047】
本実施形態の動作シーケンスを図17のフローチャートを使用して説明する。STEP1で、電源がオンすると、記録装置はASFセンサやPEセンサをチェックし、その状態に応じて主走査系及び副走査系の初期化処理を行う(STEP2)。このとき、キャリッジ2000が、センサ位置判別部2017に対応する主走査位置を通過するので、センサ位置の判別も行われる。そしてSTEP3で、キャリッジ上センサ位置(ダイレクトセンサ2003の位置)がシート搬送方向の上流側か否かが判別される。その結果、搬送方向の下流側であれば、STEP4で凸部2012がレバーガイド2013に接触するまでキャリッジ2000が非基準側に移動して、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向上流側に移動してから、記録待機位置へキャリッジ2000が移動する。
【0048】
続いて、ダイレクトセンサ1000の位置の初期化が実施される(STEP5)。パーソナルコンピュータ等から記録信号が入力されると(STEP6)、給送部からシートPがピックアップされ、分離ローラにて1枚だけ分離されて給送される(STEP7)。PEセンサにてシートPの先端通過の検出が実施され(STEP8)、先端通過が検知されると、次ステップへ移行する。先端通過が検知されなければ、記録装置は「紙なし」あるいは「紙ジャム」と判断し、給送動作を停止し、外装上のLEDでエラー表示を行う(STEP9)。STEP10で、停止した搬送ローラ36にシートPの先端が突き当たり、ループを作ってシートPの斜行を防止する、いわゆるレジ取りが実施される。さらにSTEP11で、記録信号で設定されたシートの幅に対応する、クリーニング部と反対側の端の位置から、シート内側に10mmの位置に、ダイレクトセンサ2003の光軸が位置するようにキャリッジ2000が移動する。さらにSTEP12で、搬送ローラ36と給送ローラ821が略同じ周速度で同時回転する。同時回転している途中で分離ローラ831はリリースされ、ループは解消する。
【0049】
シートPがプリント開始位置まで搬送される途中、ダイレクトセンサ1000と2003で得たデータから、シートP先端がダイレクトセンサ1000、2003に対向した位置に侵入してからシートPがプリント開始位置で停止する位置までの搬送距離が算出される。ダイレクトセンサ1000、2003の絶対位置は既知なので、この算出値からシートPの幅方向2箇所のシート先端をセットする頭出し位置(シートの先端位置)を検出する(STEP13)。シートの幅方向左右各々の頭出し位置が所定の位置から±1.5mmを越えるか、あるいは、シートの幅方向左右の頭出し位置の差を2つのダイレクトセンサ1000、2003間の主走査方向距離で除した値が0.01を越えたかが判定される(STEP14)。こうして、シート先端状態の良否が判定される。その結果、越えた場合にはプリントが中止され、シートが排出され、そしてユーザーにシートの再セット・給送を促す表示がパーソナルコンピュータ上のドライバ画面にエラー表示される(STEP15)。STEP16で片方向記録モードかどうかが判定され、その結果両方向記録であることが判定できた場合には、プラテン下のダイレクトセンサ1000のみでシート搬送量を検知しつつ記録を行うことが実施される(STEP17)。STEP18で、片方向キャリッジ走査移動とシートの搬送ローラによる行送りとを繰り返して記録が行われる。このとき、シート搬送量はダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ2003の両方によって検知され、その平均搬送量を基に搬送量制御される。記録が続行し、PEセンサはシートPの後端が通過するタイミングを検知する(STEP19)。あらかじめシートPのサイズはパーソナルコンピュータ等から入力されているので、PEセンサでのシート先端検知から所定の搬送量の1.5倍を越えてもシート後端が検出されない場合には記録装置は排紙エラーを表示してユーザーに処理を促す(STEP20)。
【0050】
シートPの後端がPEセンサを通過する送り動作が実施された後に、モータ1014が駆動されて、ダイレクトセンサ1000が、シート搬送方向下流側の開口部1002に対向する位置まで移動する(STEP21)。続いて、STEP22で、凸部2012がレバーガイド2013に接触するまでキャリッジ2000を非基準側に移動して、ダイレクトセンサ2003をシート搬送方向下流側に移動する。さらにSTEP23で、搬送量がダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ2003の両方によって検知され、その平均搬送量を基に搬送量は制御される。シートの先端から後端まで該シートの全領域に渡って該シートの幅方向左右両方の搬送量を検知しつつ、平均値をもとに搬送量制御するため、高品位な記録が実現できる。以上のように、PEセンサによって搬送方向におけるシートの位置情報を取得して、該位置情報に応じて、1枚のシートの記録ジョブの最中に、移動機構にてダイレクトセンサ1000,2003のそれぞれを上流側から下流側に移動させるものである。
【0051】
記録が終了して排紙信号が入力されると排紙が行われる(STEP24)。STEP25で次ページ記録信号が存在すれば、ダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP26)した後、ページ間予備吐出・空吸引が実施(STEP27)される。そして、STEP3に戻ってダイレクトセンサ位置の初期化からの動作が繰り返される。次ページ記録信号がなければ、同様にダイレクトセンサ1000が開口部1001と開口部1002の中間位置まで移動(STEP28)したあと、キャップ前予備吐出・空吸引が行われる(STEP29)。その後、記録ヘッドはキャップされ(STEP30)、電源オフ(STEP31)により上述の動作が終了する。
【0052】
本実施形態では、ダイレクトセンサ2003の位置検知手段として、プラテン側からの反射光センサ信号を検出することにより、ダイレクトセンサ2003がシート搬送方向の上流位置にあるか下流位置にあるかを判別するものである。しかしこれに限られない。例えばメカスイッチあるいは光学センサを用いて、ダイレクトセンサ2003を保持する部材の位置を検知する方法でもよく、前記位置検知センサはキャリッジ上にあっても、記録装置本体側にあってもよい。また、モータやソレノイドを使用して、ダイレクトセンサ1000と同様に動作させる方式も採用可能である。
[第3実施形態]
第3の実施形態を説明する。図19において、プラテン3004には4つ開口部3000、3001、3002、3003が形成されている。第1の実施形態と同様に、記録ヘッドのノズル列のうちのシート搬送方向の最上流側ノズルよりも上流側の位置に開口部3000が、該ノズル列のうちのシート搬送方向の最下流側ノズルよりも下流側の位置に開口部3001が設けられている。開口部3002は開口部3000から非基準側へ123.5mm離れた位置にあり、開口部3003はそこからシート搬送方向に25mm離れた位置にある。図19の状態では第1のダイレクトセンサ3005が開口部3000から露出し、第2のダイレクトセンサ3006は開口部3002から露出している。
【0053】
図18、図19において、モータ1014の駆動により、第1の実施形態と同様に第1のダイレクトセンサ3005がシート搬送方向に移動可能となっている。第1の実施形態と異なる点は、ピニオン3008とピニオン軸3016とが、図18の図面左右からベルトプーリ3007と同軸上に固定され一体回転できるようにした点である。モータ1014の駆動はベルト1012、ベルトプーリ3007を介して、ピニオン3008及びピニオン軸3016と一体のピニオン部3009に伝達される。2つのセンサホルダ1005は同一形状のものが図面左右(記録装置の主走査方向の両側)に搭載され、上部にダイレクトセンサ1000が各々搭載される。それぞれセンサホルダ1005をガイドしてシート搬送方向に移動可能にするセンサスライドガイド1007が装置のベースに固定される。
【0054】
上述の構成により、モータ1014を回転駆動すると、2つのダイレクトセンサ3005、3006が同時に移動する。ダイレクトセンサ3005,3006はそれぞれL版写真用光沢紙の幅から内側に2〜5mmの位置にある。この構成により、第1の実施形態でダイレクトセンサ1000とダイレクトセンサ59を兼用して行った頭出し位置の検出を、2つのダイレクトセンサ3005,3006によって行うことができる。ダイレクトセンサ3005,3006の主走査方向のピッチに関しては、A4サイズのシートの頭出し位置を検知する場合には200mm相当にしたほうが、検知精度はより高くなる。しかしながら、ダイレクトセンサを使用した場合には、解像度が高く、L版相当の幅でも、斜行検知目的に十分使用可能である。
【0055】
本実施形態は、L版幅で、シートの先端から後端まで該シートの全領域に渡って該シートの幅方向左右両方の搬送量を基にした制御が可能である。その上、第1、第2の実施形態と同様に、記録スピードを低下させること無しに、該シートの幅方向左右の2箇所の搬送量を検知し、その検知結果を基に制御することが可能である。したがって、シートの片側だけに白筋・黒筋や画像むらが発生する等の不具合のない画像品位の高い記録装置を実現できる。
【0056】
使用するシートがL版とA4等、確定している場合には、搬送量検知センサ(プラテン下のダイレクトセンサ)を主走査方向に3箇所以上設ける構成が可能である。また画像品位の必要性によっては、基準側の1個のセンサのみ搬送方向に移動可能で、残りのセンサはプラテン下に固定という構成も可能である。
[第4実施形態]
第4の実施形態を説明する。図20〜図22において、ダイレクトセンサ4000は、第1〜第3の実施形態のものと同一品である。ダイレクトセンサ4000はセンサホルダ4001に固定される。センサホルダ4001にはベルト4003を挿入して固定するベルト止め部4002が一体に設けられている。ベルト4003は、クリーニング部4014に隣接して設けられたステッピングモータ4004のシャフトに圧入されたプーリ4005に掛けられる。ベルト4003の他方はアイドラプーリ4006に掛けられる。アイドラプーリ4006はテンションバネ4007で図21の左方向に付勢されるので、ベルト4003には一定のテンションが与えられる。ステッピングモータ4004はモータブラケット4008に固定され、アイドラプーリ4006はプーリブラケット4009に空いた3つのスリット4010にガイドされて主走査方向にスライド可能に支持される。
【0057】
プラテン4011には2つの開口部4012,4013が設けられていて、センサホルダ4001をプラテンのシート支持面側から覗けるようになっている。2つの開口部4012,4013は121.5mm離れている。センサホルダ4001には遮蔽フラグが一体に設けられ、フォトセンサをこの遮蔽フラグが遮蔽することにより、センサホルダ4001のホームポジション(図21の位置)が確定する。センサホルダ4001には突起が計4個設けられ、センサホルダガイドのスライド溝にこれら突起がはまり込むことによってセンサホルダ4001がガイドされ主走査方向に移動可能となっている。ステッピングモータ4004を回転駆動することにより、主走査方向にセンサホルダ4001が移動し、ダイレクトセンサ4000が開口部4012と開口部4013のいずれかから露出する(それぞれ図21、図22)。L判シートの横幅が127mmなので、L版以上の幅を持つシートに関してはシートの幅方向左右2箇所の搬送量を計測できる構成となっている。そのほかの構成に関しては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
次に、図23を使用して本実施形態の動作シーケンスを説明する。なお、第1の実施形態と同様の動作に関しては、簡略な説明に留める。STEP1で電源がオンすると、記録装置は主走査系及び副走査系の初期化処理を行う(STEP2)。次に、プラテン下のダイレクトセンサ位置の主走査方向位置の初期化が実施される(STEP3)。すなわち、ダイレクトセンサ4000が非基準側に10mm分動かされた後、基準側に動かされ、センサホルダ4001の遮蔽フラグがフォトセンサを遮蔽した位置から3mmの位置(ホームポジション)でセンサホルダ4001が停止する。センサホルダ4001の位置がどこであっても、この措置により、ホームポジションにセンサホルダ4001を位置させることができる(図21の位置)。パーソナルコンピュータ等の外部ホスト機器から記録信号が入力されると(STEP4)、給送部からシートPがピックアップされ、分離ローラにて1枚だけ分離されて給送される(STEP5)。PEセンサにてシートPの先端通過の検出が実施され(STEP6)、先端通過が検知されると、次ステップへ移行する。先端通過が検知されなければ、記録装置は「紙なし」あるいは「紙ジャム」と判断し、給送動作を停止し、外装上のLEDでエラー表示を行う(STEP7)。STEP8で、停止した搬送ローラ36にシートPの先端が突き当たり、ループを作ってシートPの斜行を防止する、いわゆるレジ取りが実施される。さらにSTEP9で、搬送ローラ36と給送ローラ821が略同じ周速度で同時回転する。同時回転している途中で分離ローラ831はリリースされ、ループは解消する。STEP10で、シートPの基準側の頭出し位置がダイレクトセンサ4000で検出される。このとき、プラテン下のダイレクトセンサ4000で得たデータから、シートPの先端がダイレクトセンサ4000に対向した位置に侵入してきてからシートPがプリント開始位置で停止する位置までの搬送距離が算出される。ダイレクトセンサ4000の絶対位置は既知なので、この算出値からシートPの基準側の頭出し位置(シート先端側の位置)を検出することができる。
【0059】
次いで、ダイレクトセンサ4000が非基準側(図22の位置)に移動し、頭出し位置の検出がダイレクトセンサ4000で行われる。このとき、一旦、搬送ローラ36が逆転され、シートPの先端が、ダイレクトセンサ4000の光軸よりシート搬送方向上流側に移動したのち、再度正転され、基準側と同様に頭出し位置の検出が行われる。シートの斜行量はレジ取り時点でほぼ決まり、搬送ローラに狭持されたあと変化することはないので、この方法によって斜行が検出可能である(STEP11)。ここで、シートの幅方向左右の頭出し位置が所定の位置から±1.5mmを越えるか、あるいは、シートの幅方向左右の頭出し位置の差をセンサ移動の主走査方向距離で除した値が0.01を越えたかが判定される(STEP12)。その結果、越えた場合にはプリントが中止され、シートが排出され、そしてユーザーにシートの再セット・給送を促す表示がパーソナルコンピュータ上のドライバ画面にエラー表示される(STEP13)。このプロセスにより、極端にカールしたシートやシートセットの不具合によって頭出し位置不良や斜行などのシートの先端状態の不良が判別でき、プリント不具合を未然に防止することが可能となる。STEP14で、ダイレクトセンサ4000が基準側のホームポジションに戻される。続いてSTEP15で、キャリッジ走査移動と搬送ローラ36による行送りとを繰り返して記録が行われる。このとき、搬送量はダイレクトセンサ4000によって検知され、その搬送量を基に実際の搬送量が制御される。また、1回のシート送りごとにダイレクトセンサ4000を反対側に交互に移動する。そして、前回の搬送量と今回の搬送量の平均値をもとに実際の搬送量を目標値に近づけるように搬送量が制御される。この方法により、シートの幅方向左右の搬送量を交互に検知しつつ、制御することになるので、シートの幅方向左右の搬送量差が緩和され、主走査全域で黒筋・白筋の目立たない画像が実現する。以上のように、1枚のシートの記録ジョブの最中に、移動機構にてダイレクトセンサ4000の撮像デバイスを移動させ、計測位置を変化させるものである。
【0060】
記録が続行し、PEセンサはシートPの後端が通過するタイミングを検知する(STEP16)。あらかじめシートPのサイズはパーソナルコンピュータ等から入力されているので、PEセンサでのシート先端検知から所定の搬送量の1.5倍を越えてもシート後端が検出されない場合には記録装置は排紙エラーを表示してユーザーに処理を促す(STEP17)。記録が終了して排紙信号が入力されると、排紙が行われる(STEP18)。STEP19で次ページ記録信号が存在すれば、ダイレクトセンサ4000が開口部4012と開口部4013の中間位置まで移動(STEP20)した後、ページ間予備吐出・空吸引が実施(STEP21)される。そして、STEP3に戻ってダイレクトセンサ位置の初期化からの動作が繰り返される。次ページ記録信号がなければ、同様にダイレクトセンサ4000が開口部4012と開口部4013の中間位置まで移動(STEP22)したあと、キャップ前予備吐出・空吸引が行われる(STEP23)。その後、記録ヘッドはキャップされ(STEP24)、電源オフ(STEP25)により上述の動作が終了する。なお、予備吐出の際にインクミストがセンサに付着しないように、ダイレクトセンサ4000を、開口部4012,4013に対応しない中間位置まで移動している。
【0061】
本実施形態では、副走査方向(シート搬送方向)へのセンサ移動を行わないため、シート全域での搬送量検知はできない。しかし、この構成に限ることなく、第1の実施形態との組み合わせや、センサホルダ4001上の副走査方向に2つの移動量検知センサを設けて、シートの先端から後端まで全域において搬送量を検知できる構成も可能である。また、本実施形態のようにシート先端の頭出し(セット)位置と、シートの搬送量を両方検知する構成ではなく、いずれか一方だけ検知する方式も実施可能である。また、ダイレクトセンサ4000の主走査方向の移動距離や、ダイレクトセンサ4000を露出する開口部の数に関しても、上述の設定に限られない。例えば、プラテンにL版とA4相当幅の2箇所と基準側の計3箇所に開口部を設け、シートのサイズによって、停止位置を変更し、セット位置又は搬送量を検知する方式でもよい。シートの斜行量やシートの幅方向左右の搬送量差を精度良く検知するためには、シートの幅方向端部に近い位置で実施したほうがよい。
【0062】
以上説明してきた各実施形態では、1枚のシートの記録ジョブの最中にダイレクトセンサの計測位置を上流側から下流側に変化させる。これにより、ダイレクトセンサのセンシング不能時間をより低減することができる。そして、搬送中に1枚のシートの全領域に渡ってダイレクトセンサでセンシングを行なうことができる。また、シート端部の記録中に、搬送方向に沿って並べられた記録ヘッドの複数ノズル列のうち、どのノズル列の直下にシート端部が位置しても、ダイレクトセンサでセンシングを行なうことができる。仮に、ダイレクトセンサがシート搬送方向に移動しないと、シート後端又は先端の記録中にセンシング不能時間が生じてしまう。つまり、以上の実施形態によれば、記録中にシートの全領域においてダイレクトセンサを用いてセンシングを行なうことができ、シート端部も含めて良好な画像形成が可能となる。
【0063】
加えて、搬送精度を確保するために、大径のエンコーダホイールが不要で、シートの全域においてダイレクトセンサで直接計測が可能になるので、高品位画像を出力できる小型の記録装置が実現する。また、搬送精度を確保するためにシート先端・後端領域の1度に搬送する搬送量を小さくする必要がないため、シートの先端と後端を含めた搬送量を大きくして、記録スピードを早くすることができる。またシートの先端・後端を含めた記録全域において、搬送機構の高精度化及び高摩擦係数の達成が不要なので、コストが低く量産性に優れた記録装置が実現する。
【符号の説明】
【0064】
1000:ダイレクトセンサ 1001:開口部 1002:開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定方向に搬送する搬送機構と、
前記シートに画像を記録する記録部と、
前記シートを撮像する撮像デバイスを有し、前記撮像デバイスの出力信号を処理することによって前記シートの移動量を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、
前記撮像デバイスを前記所定方向の成分を含む方向に移動させる移動機構と、
前記搬送機構、前記記録部及び前記移動機構を制御する制御部と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ダイレクトセンサの計測に基づいて、前記搬送機構の搬送精度が前記記録する画像に与える影響が低減されるように、前記搬送機構と前記記録部の少なくとも一方を制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、1枚のシートの記録ジョブの最中に、前記移動機構にて前記撮像デバイスを移動させるように制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記所定方向における前記シートの位置情報を取得するためのセンサを有し、前記制御部は、前記位置情報に応じて前記撮像デバイスを上流側から下流側に移動させるように制御する、請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録部は記録ヘッドを有し、前記撮像デバイスは前記記録ヘッドと対向する位置に設けられ、前記シートの裏面の側から前記シートを撮像する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記搬送機構は前記記録部で記録するシートを支持するプラテンを有し、前記プラテンには前記所定方向の沿った複数箇所に開口が形成され、前記移動機構は、前記複数箇所の開口に対応した位置に前記撮像デバイスを移動させることが可能であり、前記撮像デバイスは前記開口のいずれかを通して前記シートを撮像することが可能である、請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記録部が有する記録ヘッドのメンテナンス動作を行なう際には、前記移動機構によって、前記複数箇所の開口に対応しない位置に前記撮像デバイスを移動させるように制御する、請求項6記載の記録装置。
【請求項8】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に沿って往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記制御部は、前記搬送機構によるシートの搬送と前記キャリッジによる移動を交互に繰り返して前記シートに画像を記録するように制御する、請求項1記載の記録装置。
【請求項9】
前記撮像デバイスは前記キャリッジ上に設けられ、且つ前記移動機構は前記撮像デバイスを前記キャリッジ上で前記所定方向の成分を含む方向に移動可能とする、請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記ダイレクトセンサは、前記キャリッジと対向する位置に、前記キャリッジが移動する方向に沿って設けられた複数の撮像デバイスを有し、前記移動機構は、前記複数の撮像デバイスの少なくとも1つを前記所定方向に移動可能とし、
前記制御部は、前記記録ヘッドの下方に前記シートが給送された際にシート先端を前記複数の撮像デバイスを用いて検知するように制御して、前記シート先端の検知に基づいてシートの頭出し位置を算出することが可能である、請求項1に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記シートの裏面を撮像する撮像デバイスを有する第1ダイレクトセンサと、前記キャリッジに設けられ前記シートの記録面を撮像する撮像デバイスを有する第2ダイレクトセンサを有し、
前記移動機構は、前記第1及び第2ダイレクトセンサの少なくとも一方の前記撮像デバイスを前記所定方向に移動可能とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記ダイレクトセンサは、前記キャリッジと対向する位置に、前記キャリッジの移動の方向に沿って設けられた複数の撮像デバイスを有し、前記移動機構は、前記複数の撮像デバイスの少なくとも1つを前記所定方向に移動可能とし、
前記制御部は、前記複数の撮像デバイスのそれぞれに対応して計測される移動量の平均値に基づいて、前記搬送機構を制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項13】
前記搬送機構はローラと、前記ローラの回転を検出するエンコーダを有し、前記制御部は前記ダイレクトセンサで計測された値を用いて前記エンコーダから得られる出力の補正値を算出して前記算出した補正値を用いて前記移動機構を制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録部はインクジェット方式の記録ヘッドを有し、前記所定方向に沿って複数のノズル列が並べられている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項15】
シートを第1方向に搬送する搬送機構と、
記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記第1方向と交差する第2方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、前記シートに対して画像を記録する記録部と、
前記記録部で記録される前記シートの記録面の裏面を撮像する撮像デバイスを有し、前記撮像デバイスの出力信号を処理することによって前記シートの移動量を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、
前記撮像デバイスを前記第2方向に移動させる移動機構と、
前記移動機構で前記撮像デバイスを移動させて前記第2方向に沿った複数の位置で前記ダイレクトセンサにより取得した複数の値に基づいて前記搬送機構を制御する制御部と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項16】
搬送機構によってシートを所定方向に搬送するステップと、
記録部で搬送されるシートに画像を記録するステップと、
前記搬送機構によって搬送されるシートの表面を、計測位置にて光学的に検出してシートの移動を直接計測するステップと、
前記計測に基づいて、前記搬送機構の搬送精度が前記記録する画像に与える影響が低減されるように前記搬送機構と前記記録部の少なくとも一方を制御するステップと、
1枚のシートの記録ジョブの最中に、前記計測位置を前記所定方向の成分を含む方向に変化させるステップと、を有することを特徴とする記録方法。
【請求項17】
1枚のシートの記録ジョブの最中に、前記シートの所定方向への搬送に伴って、前記計測位置を前記シートの搬送方向の上流側から下流側に移動させる、請求項16に記載の記録方法。
【請求項1】
シートを所定方向に搬送する搬送機構と、
前記シートに画像を記録する記録部と、
前記シートを撮像する撮像デバイスを有し、前記撮像デバイスの出力信号を処理することによって前記シートの移動量を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、
前記撮像デバイスを前記所定方向の成分を含む方向に移動させる移動機構と、
前記搬送機構、前記記録部及び前記移動機構を制御する制御部と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ダイレクトセンサの計測に基づいて、前記搬送機構の搬送精度が前記記録する画像に与える影響が低減されるように、前記搬送機構と前記記録部の少なくとも一方を制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、1枚のシートの記録ジョブの最中に、前記移動機構にて前記撮像デバイスを移動させるように制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記所定方向における前記シートの位置情報を取得するためのセンサを有し、前記制御部は、前記位置情報に応じて前記撮像デバイスを上流側から下流側に移動させるように制御する、請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録部は記録ヘッドを有し、前記撮像デバイスは前記記録ヘッドと対向する位置に設けられ、前記シートの裏面の側から前記シートを撮像する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記搬送機構は前記記録部で記録するシートを支持するプラテンを有し、前記プラテンには前記所定方向の沿った複数箇所に開口が形成され、前記移動機構は、前記複数箇所の開口に対応した位置に前記撮像デバイスを移動させることが可能であり、前記撮像デバイスは前記開口のいずれかを通して前記シートを撮像することが可能である、請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記録部が有する記録ヘッドのメンテナンス動作を行なう際には、前記移動機構によって、前記複数箇所の開口に対応しない位置に前記撮像デバイスを移動させるように制御する、請求項6記載の記録装置。
【請求項8】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に沿って往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記制御部は、前記搬送機構によるシートの搬送と前記キャリッジによる移動を交互に繰り返して前記シートに画像を記録するように制御する、請求項1記載の記録装置。
【請求項9】
前記撮像デバイスは前記キャリッジ上に設けられ、且つ前記移動機構は前記撮像デバイスを前記キャリッジ上で前記所定方向の成分を含む方向に移動可能とする、請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記ダイレクトセンサは、前記キャリッジと対向する位置に、前記キャリッジが移動する方向に沿って設けられた複数の撮像デバイスを有し、前記移動機構は、前記複数の撮像デバイスの少なくとも1つを前記所定方向に移動可能とし、
前記制御部は、前記記録ヘッドの下方に前記シートが給送された際にシート先端を前記複数の撮像デバイスを用いて検知するように制御して、前記シート先端の検知に基づいてシートの頭出し位置を算出することが可能である、請求項1に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記シートの裏面を撮像する撮像デバイスを有する第1ダイレクトセンサと、前記キャリッジに設けられ前記シートの記録面を撮像する撮像デバイスを有する第2ダイレクトセンサを有し、
前記移動機構は、前記第1及び第2ダイレクトセンサの少なくとも一方の前記撮像デバイスを前記所定方向に移動可能とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録部は、記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記所定方向と交差する方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、
前記ダイレクトセンサは、前記キャリッジと対向する位置に、前記キャリッジの移動の方向に沿って設けられた複数の撮像デバイスを有し、前記移動機構は、前記複数の撮像デバイスの少なくとも1つを前記所定方向に移動可能とし、
前記制御部は、前記複数の撮像デバイスのそれぞれに対応して計測される移動量の平均値に基づいて、前記搬送機構を制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項13】
前記搬送機構はローラと、前記ローラの回転を検出するエンコーダを有し、前記制御部は前記ダイレクトセンサで計測された値を用いて前記エンコーダから得られる出力の補正値を算出して前記算出した補正値を用いて前記移動機構を制御する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項14】
前記記録部はインクジェット方式の記録ヘッドを有し、前記所定方向に沿って複数のノズル列が並べられている、請求項1に記載の記録装置。
【請求項15】
シートを第1方向に搬送する搬送機構と、
記録ヘッドを搭載して前記シートの面に沿って前記第1方向と交差する第2方向に往復移動することが可能なキャリッジを有し、前記シートに対して画像を記録する記録部と、
前記記録部で記録される前記シートの記録面の裏面を撮像する撮像デバイスを有し、前記撮像デバイスの出力信号を処理することによって前記シートの移動量を計測するのに用いられるダイレクトセンサと、
前記撮像デバイスを前記第2方向に移動させる移動機構と、
前記移動機構で前記撮像デバイスを移動させて前記第2方向に沿った複数の位置で前記ダイレクトセンサにより取得した複数の値に基づいて前記搬送機構を制御する制御部と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項16】
搬送機構によってシートを所定方向に搬送するステップと、
記録部で搬送されるシートに画像を記録するステップと、
前記搬送機構によって搬送されるシートの表面を、計測位置にて光学的に検出してシートの移動を直接計測するステップと、
前記計測に基づいて、前記搬送機構の搬送精度が前記記録する画像に与える影響が低減されるように前記搬送機構と前記記録部の少なくとも一方を制御するステップと、
1枚のシートの記録ジョブの最中に、前記計測位置を前記所定方向の成分を含む方向に変化させるステップと、を有することを特徴とする記録方法。
【請求項17】
1枚のシートの記録ジョブの最中に、前記シートの所定方向への搬送に伴って、前記計測位置を前記シートの搬送方向の上流側から下流側に移動させる、請求項16に記載の記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図10】
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【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−95387(P2010−95387A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209228(P2009−209228)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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