説明

記録装置

【課題】小型化を図ることが可能な記録装置の提供。
【解決手段】光硬化性を有する機能液47を液滴の状態でワークWに向けて吐出する吐出ヘッド33と、吐出ヘッド33を支持するキャリッジ7と、キャリッジ7を主走査方向に沿って往復移動させるキャリッジ移動装置と、ワークWに付着した機能液47に向けて紫外光51を照射する照射装置15と、ワークWに付着した機能液47を加熱する加熱装置17と、を含み、照射装置15及び加熱装置17は、それぞれ、キャリッジ7に設けられている、ことを特徴とする記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録媒体に紫外線硬化型インクで記録を行うことができる記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−276584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された記録装置は、搬送ベルトと、複数の記録ヘッドと、複数の第1光照射装置と、1つの第2光照射装置と、を有している。この記録装置では、記録ヘッドから吐出するインクの色が、複数の記録ヘッド間で相互に異なっている。
搬送ベルトは、記録媒体を所定方向に搬送する。複数の記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向に順次に並んでいる。複数の第1光照射装置は、それぞれ、記録ヘッドごとに設けられている。各第1光照射装置は、各記録ヘッドの下流側に設けられている。第2光照射装置は、複数の記録ヘッドよりも下流側に設けられている。
【0005】
この記録装置では、記録媒体に付着したインクに、第1光照射装置及び第2光照射装置のそれぞれから紫外光が照射される。インクは、第1光照射装置から紫外光を受けることによって初期硬化する。次いで、インクは、第2光照射装置から紫外光を受けることによって、完全に硬化する。
この記録装置では、上述したように、第1光照射装置が記録ヘッドごとに設けられている。従って、この記録装置では、記録ヘッドの数量と同じ数量だけ第1光照射装置が必要となる。
つまり、従来の記録装置では、小型化を図ることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0007】
[適用例1]光硬化性を有する液状体を液滴の状態で記録媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドを支持するキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に沿って往復移動させるキャリッジ移動装置と、前記記録媒体に付着した前記液状体に向けて前記光を照射する照射装置と、前記記録媒体に付着した前記液状体を加熱する加熱装置と、を含み、前記照射装置及び前記加熱装置は、それぞれ、前記キャリッジに設けられている、ことを特徴とする記録装置。
【0008】
この適用例の記録装置は、吐出ヘッドと、キャリッジと、キャリッジ移動装置と、照射装置と、加熱装置と、を含む。
吐出ヘッドは、光硬化性を有する液状体を液滴の状態で記録媒体に向けて吐出する。光硬化性は、光の照射を受けて硬化が促進する性質である。
キャリッジは、吐出ヘッドを支持する。
キャリッジ移動装置は、キャリッジを主走査方向に沿って往復移動させる。これにより、記録媒体に対する吐出ヘッドの位置を主走査方向に沿って変化させながら、吐出ヘッドから液滴を吐出させることによって、記録媒体に液状体で記録を行うことができる。
照射装置は、記録媒体に付着した液状体に向けて光を照射する。これにより、記録媒体に付着した液状体の硬化が促進する。
加熱装置は、記録媒体に付着した液状体を加熱する。これにより、硬化が遅れている液状体を蒸発させやすくすることができる。この結果、液状体の硬化を一層促進させることができる。
この記録装置では、照射装置及び加熱装置が、それぞれ、キャリッジに設けられている。このため、吐出ヘッドの数が1つでも複数でも、照射装置を兼用することができる。また、吐出ヘッドの数が1つでも複数でも、加熱装置を兼用することができる。この結果、記録装置の小型化を図りやすくすることができる。
【0009】
[適用例2]上記の記録装置であって、前記吐出ヘッド、前記照射装置、及び前記加熱装置が、前記主走査方向に沿って並んでいる、ことを特徴とする記録装置。
【0010】
この適用例では、吐出ヘッド、照射装置、及び加熱装置が、主走査方向に沿って並んでいるので、照射装置及び加熱装置のそれぞれを吐出ヘッドに追従させることができる。このため、吐出ヘッドから液滴を吐出させながら、記録媒体に付着した液状体の硬化を促進させやすくすることができる。
【0011】
[適用例3]上記の記録装置であって、前記吐出ヘッド、前記照射装置、及び前記加熱装置が、この順に並んでいる、ことを特徴とする記録装置。
【0012】
この適用例では、吐出ヘッド、照射装置、及び加熱装置が、この順に並んでいるので、記録媒体に付着した液状体に光を照射してから加熱を行うことができる。この結果、記録媒体に付着した液状体を、吐出ヘッドから吐出された順に硬化させやすくすることができる。
【0013】
[適用例4]上記の記録装置であって、少なくとも2つの前記照射装置が前記吐出ヘッドを挟んで対峙し、且つ、少なくとも2つの前記加熱装置が、前記2つの照射装置よりも外側から前記吐出ヘッドを挟んで対峙している、ことを特徴とする記録装置。
【0014】
この適用例では、少なくとも2つの照射装置が吐出ヘッドを挟んで対峙している。且つ、少なくとも2つの加熱装置が、2つの照射装置よりも外側から吐出ヘッドを挟んで対峙している。このため、例えば、キャリッジの往復移動における往動及び復動のそれぞれにおいて、吐出ヘッドから液滴を吐出させたときに、往動及び復動のいずれにおいても、記録媒体に付着した液状体を、吐出ヘッドから吐出された順に硬化させやすくすることができる。
【0015】
[適用例5]上記の記録装置であって、前記記録媒体を前記主走査方向とは交差する方向である副走査方向に移動させる記録媒体移動装置を有しており、前記吐出ヘッドと前記加熱装置とが、前記主走査方向とは交差する方向に沿って並んでいる、ことを特徴とする記録装置。
【0016】
この適用例の記録装置は、記録媒体移動装置を有している。記録媒体移動装置は、記録媒体を副走査方向に移動させる。副走査方向は、主走査方向とは交差する方向である。これにより、記録媒体を副走査方向に移動させることによって、記録における改行を行うことができる。
また、この記録装置では、吐出ヘッドと加熱装置とが、主走査方向とは交差する方向に沿って並んでいる。このため、記録媒体に付着した液状体を、改行してから加熱することができる。
【0017】
[適用例6]上記の記録装置であって、前記加熱装置は、熱源として赤外線ランプを有している、ことを特徴とする記録装置。
【0018】
この適用例では、加熱装置が熱源として赤外線ランプを有しているので、加熱装置で液状体を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるキャリッジを図1中のA視方向に見たときの正面図。
【図3】本実施形態におけるヘッドユニットの底面図。
【図4】図2中のB−B線における断面図。
【図5】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示すブロック図。
【図6】本実施形態における描画処理の流れを示す図。
【図7】本実施形態における吐出ヘッド及び加熱装置の配置における他の例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照しながら、実施形態について説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
【0021】
実施形態における液滴吐出装置1は、概略の構成を示す斜視図である図1に示すように、ワーク搬送装置3と、キャリッジ7と、キャリッジ搬送装置9と、メンテナンス装置11と、とを有している。
キャリッジ7には、ヘッドユニット13と、2個の照射装置15と、2個の加熱装置17と、が設けられている。
液滴吐出装置1では、ヘッドユニット13と基板などのワークWとの平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット13から液状体を液滴として吐出させることによって、ワークWに液状体で所望のパターンを描画することができる。なお、図中のY方向はワークWの移動方向を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している。また、X方向及びY方向によって規定されるXY平面と直交する方向は、Z方向として規定される。
【0022】
このような液滴吐出装置1は、例えば、液晶表示パネル等に用いられるカラーフィルターの製造や、有機EL装置の製造などに適用され得る。
赤、緑及び青の3色のフィルターエレメントを有するカラーフィルターの場合、液滴吐出装置1は、例えば、基板に赤、緑及び青の各着色層を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット13から各着色層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれのフィルターエレメントのパターンが描画される。
また、有機EL装置の製造では、例えば、赤、緑及び青の画素ごとに、各色に対応する機能層(有機層)を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット13から各色の機能層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれの機能層のパターンが描画される。
【0023】
ここで、液滴吐出装置1の各構成について、詳細を説明する。
ワーク搬送装置3は、図1に示すように、定盤21と、ガイドレール23aと、ガイドレール23bと、ワークテーブル25と、テーブル位置検出装置27と、を有している。
定盤21は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、定盤21の上面21a上に配設されている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール23aとガイドレール23bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
【0024】
ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bを挟んで定盤21の上面21aに対向した状態で設けられている。ワークテーブル25は、定盤21から浮いた状態でガイドレール23a及びガイドレール23b上に載置されている。ワークテーブル25は、ワークWが載置される面である載置面25aを有している。載置面25aは、定盤21側とは反対側(上側)に向けられている。ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bによってY方向に沿って案内され、定盤21上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
テーブル位置検出装置27は、定盤21の上面21aに設けられており、Y方向に延在している。テーブル位置検出装置27は、ガイドレール23aとガイドレール23bとの間に設けられている。テーブル位置検出装置27は、ワークテーブル25のY方向における位置を検出する。
【0025】
ワークテーブル25は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、ワークテーブル25をY方向に沿って移動させるための動力源として、後述するワーク搬送モーターが採用されている。ワーク搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
ワーク搬送モーターからの動力は、移動機構を介してワークテーブル25に伝達される。これにより、ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。つまり、ワーク搬送装置3は、ワークテーブル25の載置面25aに載置されたワークWを、Y方向に沿って往復移動させることができる。
【0026】
ヘッドユニット13は、キャリッジ7を図1中のA視方向に見たときの正面図である図2に示すように、ヘッドプレート31と、吐出ヘッド33と、を有している。
吐出ヘッド33は、底面図である図3に示すように、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。なお、図3では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
吐出ヘッド33において、複数のノズル37は、Y方向に沿って配列する8本のノズル列39を構成している。8本のノズル列39は、X方向に互いに隙間をあけた状態で並んでいる。各ノズル列39において、複数のノズル37は、Y方向に沿って所定のノズル間隔Pで形成されている。
【0027】
以下において、8本のノズル列39のそれぞれが識別される場合に、ノズル列39a、ノズル列39b、ノズル列39c、ノズル列39d、ノズル列39e、ノズル列39f、ノズル列39g、及びノズル列39hという表記が用いられる。
吐出ヘッド33において、ノズル列39aとノズル列39bとは、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。ノズル列39c及びノズル列39dも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。同様に、ノズル列39e及びノズル列39fも、互いにY方向にP/2の距離だけずれており、ノズル列39g及びノズル列39hも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。
【0028】
吐出ヘッド33は、図2中のB−B線における断面図である図4に示すように、ノズルプレート41と、キャビティープレート42と、振動板43と、複数の圧電素子44と、を有している。
ノズルプレート41は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート41に設けられている。
キャビティープレート42は、ノズルプレート41のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート42には、複数のキャビティー45が形成されている。各キャビティー45は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー45には、図示しないタンクから機能液47(液状体)が供給される。
【0029】
振動板43は、キャビティープレート42のノズルプレート41側とは反対側の面に設けられている。振動板43は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー45内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電素子44は、それぞれ、振動板43のキャビティープレート42側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子44は、各キャビティー45に対応して設けられており、振動板43を挟んで各キャビティー45に対向している。各圧電素子44は、駆動信号に基づいて、伸張する。これにより、振動板43がキャビティー45内の容積を縮小する。このとき、キャビティー45内の機能液47に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液47が液滴49として吐出される。吐出ヘッド33による液滴49の吐出法は、インクジェット法の1つである。インクジェット法は、塗布法の1つである。
【0030】
上記の構成を有する吐出ヘッド33は、図2に示すように、ノズル面35がヘッドプレート31から突出した状態で、ヘッドプレート31に支持されている。
キャリッジ7は、図2に示すように、ヘッドユニット13を支持している。ここで、ヘッドユニット13は、ノズル面35がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ7に支持されている。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子44が採用されているが、機能液47に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
【0031】
本実施形態では、機能液47として、光の照射を受けることによって硬化が促進する液状体が採用されている。本実施形態では、機能液47の硬化を促進させる光として、図2に示すように、紫外光51が採用されている。
機能液47は、樹脂材料、光重合開始剤及び溶媒を、成分として含んでいる。これらの成分に、顔料や染料等の色素や、親液性や撥液性等の表面改質材料などの機能性材料を添加することによって固有の機能を有する機能液47を生成することができる。顔料や染料等の色素を含有する機能液47は、例えば、ワークWに描画する画像を形成するための機能液47として採用され得る。以下において、ワークWに描画する画像を形成するための機能液47としての液状体は、画像塗料と呼ばれる。
【0032】
また、機能液47の成分としての樹脂材料に、例えば、アクリル系の樹脂材料などの光透過性を有する樹脂材料を採用することによって、光透過性を有する機能液47を構成することができる。このような光透過性を有する機能液47は、例えば、クリアインクとしての用途が考えられる。以下において、光透過性を有する機能液47は、透光塗料と呼ばれる。
クリアインクの用途としては、例えば、画像を被覆するオーバーコート層としての用途や、画像を形成する前の下地層としての用途などが考えられる。以下において、下地層として適用される機能液47は、下地塗料と呼ばれる。
下地塗料としては、透光塗料だけでなく、透光塗料に種々の顔料を添加した機能液47を採用することもできる。
機能液47における樹脂材料は、樹脂膜を形成する材料である。このような樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによってポリマーとなる材料であれば特に限定されない。樹脂材料としては、粘性が小さいものが好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。さらに、樹脂材料としては、モノマーの形態であることが一層好ましい。
光重合開始剤は、ポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤である。光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが採用され得る。
溶媒は、樹脂材料の粘度を調整するためのものである。
【0033】
本実施形態では、機能液47として、相互に色が異なる4種類の画像塗料が採用されている。4種類の画像塗料において、相互に異なる色は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)である。
なお、以下において、4種類の機能液47を色ごとに識別する場合に、機能液47Y、機能液47M、機能液47C、及び機能液47Kという表記が用いられる。
本実施形態では、異なる4色の画像塗料(機能液47)が採用されているので、画像におけるカラー表示が実現され得る。
吐出ヘッド33において、前述した8本のノズル列39(図3)は、機能液47の色ごとに区分されている。本実施形態では、ノズル列39a及びノズル列39bに属するノズル37は、機能液47Kを液滴49として吐出する。ノズル列39c及びノズル列39dに属するノズル37は、機能液47Cを液滴49として吐出する。ノズル列39e及びノズル列39fに属するノズル37は、機能液47Mを液滴49として吐出する。ノズル列39g及びノズル列39hに属するノズル37は、機能液47Yを液滴49として吐出する。
【0034】
2個の照射装置15は、図2に示すように、それぞれ、X方向にヘッドユニット13を挟んで互いに対峙する位置に設けられている。以下において、2個の照射装置15のそれぞれを識別する場合に、照射装置15a及び照射装置15bという表記が用いられる。
照射装置15a及び照射装置15bは、それぞれ、紫外光51を発する光源53を有している。光源53からの紫外光51は、吐出ヘッド33から吐出された機能液47の硬化を促進させる。機能液47は、紫外光51の照射を受けると、硬化が促進する。
光源53としては、例えば、LED、LD、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の種々の光源53が採用され得る。
【0035】
2個の加熱装置17は、図2に示すように、それぞれ、2個の照射装置15よりも外側からX方向にヘッドユニット13を挟んで互いに対峙する位置に設けられている。以下において、2個の加熱装置17のそれぞれを識別する場合に、加熱装置17a及び加熱装置17bという表記が用いられる。
加熱装置17a及び加熱装置17bは、それぞれ、赤外光55を発する光源57を有している。光源57からの赤外光55は、ワークWに付着した機能液47を加熱する。つまり、加熱装置17a及び加熱装置17bは、それぞれ、熱源として光源57を有している。機能液47は、赤外光55の照射を受けて加熱する。
【0036】
ここで、機能液47では、紫外光51の照射を受けても、未重合のモノマーが残存することがある。本実施形態では、加熱装置17で機能液47を加熱することによって、残存するモノマーの少なくとも一部を蒸発させることができる。これにより、機能液47における重合率を高めることができる。このため、機能液47における硬化を一層強固にすることができる。
なお、光源57としては、例えば、赤外線ランプ等の種々の光源57が採用され得る。
2個の照射装置15と、吐出ヘッド33と、2個の加熱装置17は、X方向に沿って並んでいる。
【0037】
ところで、本実施形態では、ワークテーブル25に、吸引式のワーク吸着装置が設けられている。ワーク吸着装置は、ワークテーブル25に設けられた吸引孔25bを介して空気を吸引する。これにより、ワークテーブル25に載置されたワークWは、ワークテーブル25の載置面25aに吸着する。この結果、ワークWは、ワークテーブル25の載置面25aに固定され得る。また、例えば、ワークWに反りなどの変形が生じていた場合、ワークWの変形は、ワーク吸着装置によって矯正され得る。
しかしながら、ワークWの変形の程度によっては、ワーク吸着装置では、ワークWの変形を十分に矯正できないことがある。ところが、本実施形態では、加熱装置17が設けられている。加熱装置17からの熱は、ワークWにも及ぶ。このため、ワークWは、加熱装置17からの熱によって温められる。温められたワークWは、柔軟性が高まる。この結果、ワーク吸着装置でワークWの変形を十分に矯正しやすくすることができる。この結果、ワークWと吐出ヘッド33との衝突を避けやすくすることができる。
【0038】
キャリッジ搬送装置9は、図1に示すように、架台61と、ガイドレール63と、キャリッジ位置検出装置65と、を有している。
架台61は、X方向に延在しており、ワーク搬送装置3及びメンテナンス装置11をX方向にまたいでいる。架台61は、ワークテーブル25の定盤21側とは反対側で、ワーク搬送装置3及びメンテナンス装置11のそれぞれに対向している。架台61は、支柱67aと支柱67bとによって支持されている。支柱67a及び支柱67bは、定盤21を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。支柱67a及び支柱67bは、それぞれ、ワークテーブル25よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台61とワークテーブル25との間、及び架台61とメンテナンス装置11との間には、それぞれ隙間が保たれている。
【0039】
ガイドレール63は、架台61の定盤21側に設けられている。ガイドレール63は、X方向に沿って延在しており、架台61のX方向における幅にわたって設けられている。
前述したキャリッジ7は、ガイドレール63に支持されている。キャリッジ7がガイドレール63に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向においてワークテーブル25側に向いている。キャリッジ7は、ガイドレール63によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール63に支持されている。なお、平面視で、キャリッジ7がワークテーブル25に重なっている状態において、ノズル面35とワークテーブル25の載置面25aとは、互いに隙間を保った状態で対向する。
キャリッジ位置検出装置65は、架台61とキャリッジ7との間に設けられており、X方向に延在している。キャリッジ位置検出装置65は、キャリッジ7のX方向における位置を検出する。
【0040】
キャリッジ7は、図示しない移動機構及び動力源によって、X方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、キャリッジ7をX方向に沿って移動させるための動力源として、後述するキャリッジ搬送モーターが採用されている。キャリッジ搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ7に伝達される。これにより、キャリッジ7は、ガイドレール63に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置9は、キャリッジ7に支持されたヘッドユニット13を、X方向に沿って往復移動させることができる。
【0041】
メンテナンス装置11は、図1に示すように、定盤71と、ガイドレール73aと、ガイドレール73bと、保守テーブル75と、キャッピングユニット76と、フラッシングユニット77と、ワイピングユニット79と、を有している。
定盤71は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、X方向に支柱67aを挟んで定盤21と対峙する位置に設けられている。
ガイドレール73a及びガイドレール73bは、定盤71の上面71a上に配設されている。ガイドレール73a及びガイドレール73bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール73aとガイドレール73bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
保守テーブル75は、ガイドレール73a及びガイドレール73bを挟んで定盤71の上面71aに対向した状態で設けられている。保守テーブル75は、定盤71から浮いた状態でガイドレール73a及びガイドレール73b上に載置されている。
【0042】
保守テーブル75には、キャッピングユニット76や、フラッシングユニット77、ワイピングユニット79などの保守ユニットが載置される。本実施形態では、保守ユニットは、キャッピングユニット76と、フラッシングユニット77と、ワイピングユニット79と、を含んでいる。
保守テーブル75は、ガイドレール73a及びガイドレール73bによってY方向に沿って案内され、定盤71上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
フラッシングユニット77は、保守テーブル75の定盤71側とは反対側に設けられている。
ここで、ワークWへのパターンの描画とは無関係に、吐出ヘッド33から液状体を吐出させる動作は、フラッシング動作と呼ばれる。フラッシング動作には、例えば、ノズル37内に滞留する液状体がノズル37内で固化してしまうことを予防する効果がある。フラッシングユニット77は、フラッシング動作のときに、吐出ヘッド33から吐出される液状体を受ける装置である。
【0043】
キャッピングユニット76は、吐出ヘッド33に蓋をする装置である。吐出ヘッド33から吐出される液状体では、液体成分が蒸発することがある。一般的に、液状体における液体成分が蒸発すると、液状体の粘度が高くなる。吐出ヘッド33内の液状体の粘度が高くなると、ノズル37における液滴49を吐出する性能(以下、吐出性能と呼ぶ)が低下することがある。吐出性能の低下としては、例えば、ノズル37から吐出された液滴49の進行方向が曲がってしまったり(飛行曲がり)、ノズル37から液滴49が吐出されなかったり(不吐出)することなどが挙げられる。なお、キャッピングユニット76で吐出ヘッド33に蓋をする動作は、キャッピング動作と呼ばれる。
【0044】
キャッピングユニット76は、吐出ヘッド33に蓋をすることで、液状体における液体成分がノズルから蒸発することを低く抑える。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。
ワイピングユニット79は、吐出ヘッド33のノズル面35を拭く装置である。液滴吐出装置1では、ノズル面35に液状体が付着することがある。ノズル面35に液状体が付着すると、吐出ヘッド33における吐出性能が低下することがある。ワイピングユニット79は、ノズル面35を拭くことによって、ノズル面35に付着している液状体を払拭する。これにより、吐出ヘッド33における吐出性能を維持しやすくすることができる。なお、ワイピングユニット79でノズル面35を拭く動作は、ワイピング動作と呼ばれる。
【0045】
保守テーブル75は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、保守テーブル75をY方向に沿って移動させるための動力源として、後述するテーブル搬送モーターが採用されている。テーブル搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
テーブル搬送モーターからの動力は、移動機構を介して保守テーブル75に伝達される。これにより、保守テーブル75は、ガイドレール73a及びガイドレール73bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。
つまり、メンテナンス装置11は、キャッピングユニット76や、フラッシングユニット77、ワイピングユニット79などの保守ユニットを、Y方向に沿って往復移動させることができる。これにより、平面視で吐出ヘッド33がメンテナンス装置11に重なっている状態において、吐出ヘッド33をキャッピングユニット76、フラッシングユニット77及びワイピングユニット79のそれぞれに対向させることができる。
【0046】
液滴吐出装置1は、図5に示すように、上記の各構成の動作を制御する制御部111を有している。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)113と、駆動制御部115と、メモリー部117と、を有している。駆動制御部115及びメモリー部117は、バス119を介してCPU113に接続されている。
また、液滴吐出装置1は、キャリッジ搬送モーター121と、ワーク搬送モーター123と、テーブル搬送モーター125と、ワーク吸着装置127と、入力装置129と、表示装置131と、を有している。
キャリッジ搬送モーター121、ワーク搬送モーター123、テーブル搬送モーター125、及びワーク吸着装置127は、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。また、入力装置129及び表示装置131も、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0047】
キャリッジ搬送モーター121は、キャリッジ7を駆動するための動力を発生させる。ワーク搬送モーター123は、ワークテーブル25を駆動するための動力を発生させる。テーブル搬送モーター125は、保守テーブル75を駆動するための動力を発生させる。入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。表示装置131は、加工条件や、作業状況を表示する装置である。液滴吐出装置1を操作するオペレーターは、表示装置131に表示される情報を確認しながら、入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
なお、キャリッジ位置検出装置65、テーブル位置検出装置27及び吐出ヘッド33も、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。また、2個の照射装置15、2個の加熱装置17、及びメンテナンス装置11も、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0048】
CPU113は、プロセッサーとして各種の演算処理を行う。駆動制御部115は、各構成の駆動を制御する。メモリー部117は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)などを含んでいる。メモリー部117には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト135を記憶する領域や、各種のデータを一時的に展開する領域であるデータ展開部137などが設定されている。データ展開部137に展開されるデータとしては、例えば、描画すべきパターンが示される描画データや、描画処理等のプログラムデータなどが挙げられる。
駆動制御部115は、モーター制御部141と、位置検出制御部143と、吐出制御部145と、吸着制御部147と、照射制御部149と、加熱制御部151と、保守制御部153と、表示制御部155と、を有している。
【0049】
モーター制御部141は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ搬送モーター121の駆動と、ワーク搬送モーター123の駆動と、テーブル搬送モーター125の駆動とを、個別に制御する。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65と、テーブル位置検出装置27とを、個別に制御する。
位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ位置検出装置65にキャリッジ7のX方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
また、位置検出制御部143は、CPU113からの指令に基づいて、テーブル位置検出装置27にワークテーブル25のY方向における位置を検出させ、且つ検出結果をCPU113に出力する。
【0050】
吐出制御部145は、CPU113からの指令に基づいて、吐出ヘッド33の駆動を個別に制御する。
吸着制御部147は、CPU113からの指令に基づいて、ワーク吸着装置127の駆動を制御する。
照射制御部149は、CPU113からの指令に基づいて、照射装置15a及び照射装置15bのそれぞれにおける光源53の発光状態を個別に制御する。
加熱制御部151は、CPU113からの指令に基づいて、加熱装置17a及び加熱装置17bのそれぞれにおける光源57の発光状態を個別に制御する。
保守制御部153は、CPU113からの指令に基づいて、メンテナンス装置11におけるキャッピングユニット76や、フラッシングユニット77、ワイピングユニット79などの保守ユニットの駆動を個別に制御する。
表示制御部155は、CPU113からの指令に基づいて、表示装置131の駆動を制御する。
【0051】
ここで、液滴吐出装置1における描画処理について説明する。
液滴吐出装置1では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェース133及びバス119を介して描画データを受け取ると、CPU113によって図6に示す描画処理が開始される。
ここで、描画データは、機能液47(液状体)でワークWに描画すべきパターンを指示するものであり、描画すべきパターンがビットマップ状に表現されている。ワークWへのパターンの描画は、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴49を所定周期で吐出させることによって行われる。
【0052】
描画処理では、CPU113は、まず、ステップS1において、ワーク吸着指令を吸着制御部147(図5)に出力する。このとき、吸着制御部147は、ワーク吸着装置127の駆動を制御して、ワークWをワークテーブル25(図1)の載置面25aに吸着させる。
次いで、ステップS2において、キャリッジ搬送指令をモーター制御部141(図5)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7を描画エリアの往路開始位置に移動させる。ここで、描画エリアは、図1に示すワークテーブル25によってY方向に沿って描かれる軌跡と、吐出ヘッド33によってX方向に沿って描かれる軌跡とが重なり合う領域である。往路開始位置は、キャリッジ7を往復移動させるときの往路が開始する位置である。本実施形態では、往路開始位置は、X方向において、メンテナンス装置11とワークテーブル25との間に位置している。往路開始位置は、平面視で、ワークテーブル25の外側に位置している。
次いで、ステップS3において、CPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141(図5)に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWを描画エリアに移動させる。
【0053】
次いで、ステップS4において、CPU113は、キャリッジ走査指令をモーター制御部141(図5)に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7の往復移動を開始させる。
ここで、キャリッジ7の往復移動では、キャリッジ7は、上述した往路開始位置と復路開始位置との間を往復移動する。つまり、往路開始位置から復路開始位置で折り返して往路開始位置に戻る経路がキャリッジ7の1往復である。このため、本実施形態では、往路開始位置から復路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の往路である。他方で、復路開始位置から往路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の復路である。
なお、復路開始位置は、X方向にワークテーブル25(図1)を挟んで往路開始位置に対峙する位置である。復路開始位置は、平面視で、ワークテーブル25の外側に位置している。このため、往路開始位置と復路開始位置とは、平面視で、ワークテーブル25をX方向に挟んで互いに対峙している。
【0054】
次いで、ステップS5において、CPU113は、照射装置15aに対する照射指令を照射制御部149(図5)に出力する。このとき、照射制御部149は、照射装置15aの光源53の駆動を制御して、照射装置15aの光源53を点灯させる。
次いで、ステップS6において、CPU113は、加熱装置17aに対する加熱指令を加熱制御部151(図5)に出力する。このとき、加熱制御部151は、加熱装置17aの光源57の駆動を制御して、加熱装置17aの光源57を点灯させる。
次いで、ステップS7において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145(図5)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴49を吐出させる。これにより、往路での描画が行われる。
次いで、ステップS8において、CPU113は、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS9に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0055】
ステップS9において、CPU113は、照射装置15aに対する照射停止指令を照射制御部149(図5)に出力する。このとき、照射制御部149は、照射装置15aの光源53の駆動を制御して、照射装置15aの光源53を消灯させる。
次いで、ステップS10において、CPU113は、加熱装置17aに対する加熱停止指令を加熱制御部151(図5)に出力する。このとき、加熱制御部151は、加熱装置17aの光源57の駆動を制御して、加熱装置17aの光源57を消灯させる。
次いで、ステップS11において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図5)に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY方向に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画エリアに移動させる。
【0056】
次いで、ステップS12において、CPU113は、照射装置15bに対する照射指令を照射制御部149(図5)に出力する。このとき、照射制御部149は、照射装置15bの光源53の駆動を制御して、照射装置15bの光源53を点灯させる。
次いで、ステップS13において、CPU113は、加熱装置17bに対する加熱指令を加熱制御部151(図5)に出力する。このとき、加熱制御部151は、加熱装置17bの光源57の駆動を制御して、加熱装置17bの光源57を点灯させる。
次いで、ステップS14において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145(図5)に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴49を吐出させる。これにより、復路での描画が行われる。
次いで、ステップS15において、CPU113は、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS16に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0057】
ステップS16において、CPU113は、照射装置15bに対する照射停止指令を照射制御部149(図5)に出力する。このとき、照射制御部149は、照射装置15bの光源53の駆動を制御して、照射装置15bの光源53を消灯させる。
次いで、ステップS17において、CPU113は、加熱装置17bに対する加熱停止指令を加熱制御部151(図5)に出力する。このとき、加熱制御部151は、加熱装置17bの光源57の駆動を制御して、加熱装置17bの光源57を消灯させる。
次いで、ステップS18において、CPU113は、描画データが終了したか否かを判定する。このとき、描画データが終了した(Yes)と判定されると、処理がステップS19に移行する。他方で、描画データが終了していない(No)と判定されると、処理がステップS20に移行する。
【0058】
ステップS19において、CPU113は、吸着解除指令を吸着制御部147(図5)に出力してから、処理を終了させる。吸着解除指令を受けた吸着制御部147は、ワーク吸着装置127の駆動を制御して、ワークWの吸着を解除させる。
ステップS20において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141(図5)に出力してから、処理をステップS5に移行させる。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY方向に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画エリアに移動させる。
【0059】
本実施形態において、ワークWが記録媒体に対応し、X方向が主走査方向に対応し、Y方向が副走査方向に対応し、キャリッジ搬送装置9がキャリッジ移動装置に対応し、ワーク搬送装置3が記録媒体移動装置に対応している。
本実施形態では、照射装置15及び加熱装置17が、それぞれ、キャリッジ7に設けられている。このため、機能液47の種類が複数でも、照射装置15を兼用することができる。また、機能液47の種類が複数でも、加熱装置17を兼用することができる。この結果、液滴吐出装置1の小型化を図りやすくすることができる。
また、本実施形態では、吐出ヘッド33、照射装置15及び加熱装置17が、X方向に沿って並んでいるので、照射装置15及び加熱装置17のそれぞれを吐出ヘッド33に追従させることができる。吐出ヘッド33から液滴49を吐出させながら、ワークWに付着した機能液47の硬化を促進させやすくすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、キャリッジ7の往路において、吐出ヘッド33、照射装置15a及び加熱装置17aが、この順に並んでいる。また、キャリッジ7の復路において、吐出ヘッド33、照射装置15b及び加熱装置17bが、この順に並んでいる。つまり、吐出ヘッド33、照射装置15及び加熱装置17が、この順に並んでいるので、ワークWに付着した機能液47を、吐出ヘッド33から吐出された順に硬化させやすくすることができる。
また、本実施形態では、2つの照射装置15が吐出ヘッド33を挟んでX方向に対峙している。且つ、2つの加熱装置17が、2つの照射装置15よりも外側から吐出ヘッド33を挟んでX方向に対峙している。このため、キャリッジ7の往路及び復路のそれぞれにおいて、吐出ヘッド33から液滴49を吐出させたときに、往路及び復路のいずれにおいても、ワークWに付着した機能液47を、吐出ヘッド33から吐出された順に硬化させやすくすることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、吐出ヘッド33、照射装置15及び加熱装置17が、X方向に沿って並んでいる構成が採用されているが、液滴吐出装置1の構成は、これに限定されない。液滴吐出装置1の構成としては、吐出ヘッド33と加熱装置17とが、X方向とは交差する方向に沿って並んでいる構成も採用され得る。この場合、例えば、図7に示すように、吐出ヘッド33と加熱装置17とが、Y方向に沿って並んでいる構成が採用され得る。この構成では、ワークWに付着した機能液47を、ワークWをY方向に移動(改行)させてから加熱することができる。また、この構成では、吐出ヘッド33の位置と加熱装置17の位置とがY方向にずれているので、往路での描画や復路での描画のときに、加熱装置17でワークWの端辺部を加熱しやすい。これにより、反りなどの変形が発生しやすいワークWの端部を矯正しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1…液滴吐出装置、3…ワーク搬送装置、7…キャリッジ、9…キャリッジ搬送装置、13…ヘッドユニット、15,15a,15b…照射装置、17,17a,17b…加熱装置、25…ワークテーブル、25a…載置面、25b…吸引孔、33…吐出ヘッド、35…ノズル面、37…ノズル、47…機能液、49…液滴、51…紫外光、53…光源、55…赤外光、57…光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性を有する液状体を液滴の状態で記録媒体に向けて吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドを支持するキャリッジと、
前記キャリッジを主走査方向に沿って往復移動させるキャリッジ移動装置と、
前記記録媒体に付着した前記液状体に向けて光を照射する照射装置と、
前記記録媒体に付着した前記液状体を加熱する加熱装置と、を含み、
前記照射装置及び前記加熱装置は、それぞれ、前記キャリッジに設けられている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記吐出ヘッド、前記照射装置、及び前記加熱装置が、前記主走査方向に沿って並んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記吐出ヘッド、前記照射装置、及び前記加熱装置が、この順に並んでいる、
ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
少なくとも2つの前記照射装置が前記吐出ヘッドを挟んで対峙し、
且つ、少なくとも2つの前記加熱装置が、前記2つの照射装置よりも外側から前記吐出ヘッドを挟んで対峙している、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体を前記主走査方向とは交差する方向である副走査方向に移動させる記録媒体移動装置を有しており、
前記吐出ヘッドと前記加熱装置とが、前記主走査方向とは交差する方向に沿って並んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記加熱装置は、熱源として赤外線ランプを有している、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−136303(P2011−136303A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299061(P2009−299061)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】