説明

設計像と撮影像との重ね合わせ表示方法、表示装置および表示プログラム

【課題】裏面から撮影した画像と設計像とを簡便に重ね合わせ表示する。歪を持った撮影像の歪を簡便に補正し、設計像と位置をあわせ、重ね合わせ表示する。
【解決手段】撮影像の歪を補正する歪補正工程(ステップS2)と、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント工程(ステップS3)と、設計像と撮影像とを重ねて表示する表示工程(ステップS1)と、を含み、歪補正工程は、設計像において垂直軸または水平軸と平行な第1軸が撮影像で垂直軸または水平軸と平行になるように撮影像を回転させる第1の歪補正工程と、設計像において第1軸と平行な第2軸が撮影像で指定され、撮影像上で第2軸中の1点を固定して第1軸で2分した領域のうち第2軸側の領域を第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して移動させる第2の歪補正工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計データから得られる設計像と実際の撮影像とを重ねて表示する方法に関し、特に、両画像の位置合わせの方法、表示装置および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、LSIの故障解析では、故障シミュレータなどによって、LSIの故障の原因となっている箇所(論理故障の候補)を論理的に絞り込み、レイアウトビューアなどで論理故障の候補名を検索して表示することで、論理故障の候補をレイアウトで確認することが行われていた。
【0003】
LSIに物理的な異常がある場合は、エミッション顕微鏡、OBIRCH解析装置、FIB(Field Ion Beam)装置、SEM(Secondary Electron Microscopic)装置などの解析装置によって、物理的に故障箇所を絞り込むことができる。例えばエミッション顕微鏡では発熱箇所を検出した像を取得でき、OBIRCH解析装置ではOBIRCH反応を検出した像を取得できる。SEM装置、FIB装置ではLSIの実際の像を取得できる。
【0004】
解析装置によって発見された物理的な異常個所が論理異常を起こしたことがわかれば、そこで発見された物理的な異常個所がLSIの故障の原因と特定することができる。そこで、論理故障の候補を表示したレイアウト像(設計像)と解析装置で得られた解析像(撮影像)を簡便に重ね合わせることができれば、故障箇所の特定が容易になる。例えば、特許文献1には、レイアウト像と、電子ビームテスタ等の解析装置で得られた解析像との位置合わせを行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−163283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解析像(撮影像)を表示させて解析する際、LSIに対して垂直な解析像を得られない場合や、撮影時に像が流れてしまう場合など、実物と比べて解析像が歪を持っていることがある。そのため、特許文献1に記載されたような方法では、うまく位置合わせができない場合がある。LSIの微細化が進むにつれて、この微細な位置ずれ等によって故障箇所の特定が困難になることがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つのアスペクト(側面)に係る設計像と撮影像とを重ねて表示する表示装置における表示方法は、4点を結んだ4角形が設計像において垂直軸および水平軸と平行な矩形となる4点であって撮影像上で指定された4点を、撮影像において前記4点を結んだ4角形が垂直軸および水平軸と平行な矩形となるように撮影像の歪を補正する歪補正工程と、設計像と撮影像との少なくとも一方に対して、左右反転、上下反転、移動、回転、拡大、縮小の一以上を施して、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント工程と、前記設計像と撮影像とを重ねて表示する表示工程と、を含み、前記歪補正工程は、設計像において垂直軸または水平軸と平行な第1軸が撮影像上で指定され、第1軸が垂直軸または水平軸と平行になるように撮影像を回転させる第1の歪補正工程と、設計像において前記第1軸と平行な第2軸が撮影像上で指定され、撮影像上で、前記第2軸が前記第1軸と平行になるように第2軸中の1点を固定して、第1軸で2分した領域のうち第2軸側の領域を第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して移動させる第2の歪補正工程を含んでいる。
【0008】
また、本発明の別なアスペクトに係る設計像と撮影像とを重ねて表示する表示装置は、4点を結んだ4角形が設計像において垂直軸および水平軸と平行な矩形となる4点であって撮影像上で指定された4点を、撮影像において前記4点を結んだ4角形が垂直軸および水平軸と平行な矩形となるように撮影像の歪を補正する歪補正部と、設計像と撮影像との少なくとも一方に対して、左右反転、上下反転、移動、回転、拡大、縮小の一以上を施して、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント部と、前記設計像と撮影像とを重ねて表示する表示部と、を含み、前記歪補正部は、設計像において垂直軸または水平軸と平行な第1軸が撮影像上で指定され、第1軸が垂直軸または水平軸と平行になるように撮影像を回転させる第1歪補正部と、設計像において前記第1軸と平行な第2軸が撮影像上で指定され、撮影像上で、前記第2軸が前記第1軸と平行になるように第2軸中の1点を固定して、第1軸で2分した領域のうち第2軸側の領域を第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して撮影像を移動させる第2歪補正部を含んでいる。
【0009】
さらに、本発明の別なアスペクトに係るプログラムは、表示装置がコンピュータを含み、コンピュータに上記表示方法を実行させるか、または、コンピュータを上記表示装置として機能させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設計像と撮影像との重ね合わせ表示について、撮影像が垂直な位置から撮影されたものでない場合や、撮影時に像が流れてしまった場合など、撮影像が歪を持っている場合でも容易に設計像と位置あわせができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例の設計像と撮影像との重ね合わせ表示方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施例における表示装置についてコンピュータを用いて構成した場合のブロック図である。
【図3】本発明の一実施例の歪補正工程における撮影像の補正の一例である。
【図4】本発明の一実施例の位置アライメント工程におけるアライメント点の指定の一例である。
【図5】本発明の一実施例における設計像と撮影像との重ね合わせ表示の一例である。
【図6】本発明の一実施例における第1の歪補正工程の一例である。
【図7】本発明の参考例における第2の歪補正工程の一例である。
【図8】本発明の一実施例における第2の歪補正工程の一例である。
【図9】本発明の参考例における第3の歪補正工程の一例である。
【図10】本発明の一実施例における第3の歪補正工程の一例である。
【図11】本発明の一実施例における第4の歪補正工程の一例である。
【図12】本発明の一実施例におけるクロスカーソルの一例である。
【図13】本発明の一実施例におけるクロスカーソルの別な例である。
【図14】本発明の一実施例におけるクロスカーソルのさらに別な例である。
【図15】本発明の参考例における第2の歪補正工程で回転して補正する例である。
【図16】本発明の一実施例における第2の歪補正工程で回転して補正する例である。
【図17】本発明の参考例における第3の歪補正工程で回転して補正する例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態の設計像と撮影像とを重ねて表示する表示装置における表示方法は、撮影像の歪を補正する歪補正工程と、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント工程と、設計像と撮影像とを重ねて表示する表示工程と、を含んでいる。
【0013】
上記歪補正工程は、4点を結んだ4角形が設計像において垂直軸および水平軸と平行な矩形となる4点であって撮影像上で指定された4点を、撮影像においても上記4点を結んだ4角形が垂直軸および水平軸と平行な矩形となるように撮影像の歪を補正する処理を含む。上記処理は、たとえば、図3の四角形a−b−c−dを四角形a’−b’−c’−d’に補正する処理を含み、より具体的には、図6〜図16に開示されている。
【0014】
また、上記設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント工程は、設計像と撮影像との少なくとも一方に対して、左右反転、上下反転、移動、回転、拡大、縮小の一以上を施して、設計像と撮影像の位置を合わせる処理が含まれる。
【0015】
このアライメント工程には、設計像において指定された3点とそれぞれに対応して撮影像において指定された3点とから、設計像に対して撮影像が表裏反転しているか否かを判定し、反転している場合に、設計像または撮影像に対して、左右反転または上下反転を施し、表裏反転を直す処理が含まれてもよい。
【0016】
例えば、フリップチップ方式でLSIが実装されている場合や、検出信号が上層配線の影響を受けないようにするために、LSIの裏面から解析像を取得せざるを得ない場合がある。その場合はレイアウト像を表裏反転してから解析像と重ね合わせなければ、解析時に見える像と同じ向きの重ね合わせ象は得られない。そのような場合に、撮影像が表面と裏面のどちらで撮影された場合でも、設計像上で3点を指定し、それぞれに対応して撮影像上でも3点を指定することにより、設計像と撮影像とが表裏反転しているか否かを自動的に判定し、設計像と撮影像との向きを自動的に揃えることができる。具体的には、図4の設計像(レイアウト像)において指定された3点(1、2、3)とそれぞれに対応して撮影像(解析像)において指定された3点(1’、2’、3’)とから設計像に対して撮影像が表裏反転しているか否かを判定し、反転している場合には設計像または撮影像を左右もしくは上下反転して、位置を合わせることができる。なお、このアライメント工程は、3点の指定以外はすべて自動で行うものであってもよいが、必要に応じてオペレータが指示を入力するものであってもよい。
【0017】
さらに、設計像と撮影像とを重ねて表示する表示工程は、上記歪補正工程と、アライメント工程により、歪が補正され、設計像と位置がアライメントされた撮影像が設計像と重ねて表示する処理を含む。その重ねて表示された画像の一例を図5に示す。図5の周辺部では、設計像のみが表示され、中央部には、その設計像に撮影像が重ねて表示されている。
【0018】
なお、上記表示工程は、最終的に歪が補正され、位置がアライメントされた画像が表示されるものであれば、歪補正やアライメントする前の撮影像と設計像とを重ねて表示するものも含んでもよい。したがって、図1に記載するように、表示工程は、歪補正工程や位置アライメント工程より先に処理が行われるものであってもよい。
以下、実施例に即し、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0019】
[全体の処理]
まず最初に、本発明の第1の実施例の設計像と撮影像を重ねて表示する表示装置における表示方法の全体の処理の流れについて説明する。図1は、本発明の第1の実施例の設計像と撮影像とを重ねて表示する表示装置における表示方法の処理手順を示すフローチャートである。図1では、最初に設計像と撮影像が重ねて表示される(表示工程S1)。この段階で、撮影像が歪んでいる場合には、撮影像の歪補正が行われる(歪補正工程S2)。
【0020】
歪補正は、図3(a)歪補正前の図面に示すように、設計像において4点を結んだ4角形が垂直軸および水平軸と平行な矩形となる4点を撮影像上で指定する。半導体集積回路のレイアウト設計においては、通常、配線、ゲートは、垂直軸、水平軸の方向に配置、配線される。したがって、対象となる撮影像が半導体集積回路の撮影像であれば、配線およびゲートの配置、配線方向を視認することで、オペレータは、設計像における垂直軸や水平軸の方向を容易に認識できる。したがって、設計像において4点を結んだ4角形が垂直軸および水平軸と平行な矩形となる4点を撮影像上で指定することも容易である。歪補正工程は、こうして撮影像上で4点が指定された四角形(図3のa−b−c−d)を、撮影像においても垂直軸および水平軸と平行な矩形(図3のa’−b’−c’−d’)となるように撮影像の歪を補正する。
【0021】
さらに、上記歪補正工程に加えて、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメントが行われる(位置アライメント工程S3)。この位置アライメントでは、設計像(レイアウト像)上で1直線上にはない任意の3点(たとえば、図4(b)の「1」「2」「3」)を指定する。さらに、上記3点とそれぞれ同じ位置を示す3点を撮影像(解析像)上で指定する(たとえば、図4(a)の「1’」「2’」「3’」)。この3点を指定する順番は、設計像上と、撮影像上で同一の順番で行う。この3点を指定する順番が右回りで指定されたか、左回りで指定されたか、設計像と撮影像で同一か、異なるか判定することで、設計像と撮影像で表、裏が逆になっているか否か判定する。たとえば、図4(b)の設計像では、「1」「2」「3」と左回りに指定しているのに対して、図4(a)の撮影像では、「1’」「2’」「3’」と右回りで指定しているので、設計像と撮影像で表裏が逆になっていることが自動的に確認できる。この場合は、設計像または撮影像のどちらかを左右もしくは上下反転して、さらに位置アライメントを行う。図4から撮影像の左右を反転させ、設計像または撮影像を水平方向、垂直方向に移動させ、拡大、縮小して設計像と撮影像との位置を合わせたのが、図5である。なお、ここで、撮影像の左右を反転させるのに代えて、撮影像の上下を反転させて、180度回転させても、結果は同じになる。図5では、設計像が全体に表示され、撮影像は、中央部でのみ重ねて表示されている。
【0022】
なお、設計像と撮影像の表裏を合わせるための補正は、設計像または撮影像の一方に対して、上下反転または左右反転を1回行えばよい。また、位置アライメント工程では、表裏を合わせるため以外に、180度の回転に代えて、上下反転と左右反転を行ってもよい。
【0023】
最終的に撮影像の歪が補正され、設計像と撮影像が位置あわせされ、重ね合わされた図5のような画像を表示して処理は終了となる。
【0024】
[クロスカーソルの使用]
なお、歪補正工程での四角形の頂点または補正軸の指定および位置アライメント工程でのアライメント点の指定では、設計像の水平および垂直方向と平行な線であるクロスカーソルを表示しながら指定する。そうすることで、設計像でのアライメント点を正確に指定することができる。また、設計像に対応する撮影像のアライメント点を容易に認識できるようになる。また、補正軸を指定する際に、設計像の水平および垂直方向のクロスカーソルを表示しながら指定することで、補正軸の水平または垂直方向からのずれを容易に認識できるようになる。
【0025】
クロスカーソルのいくつかの例を図12、図13および図14に示す。クロスカーソルは設計像の垂直および水平軸と平行な線で表示される。クロスカーソルは実線、点線などの線であり、識別しやすい色に変更できる。図12では、クロスカーソル12を画面に垂直なラインと水平なラインの交点により表示している。図13では、クロスカーソル13を点線により表示している。さらに、図14では、クロスカーソル14を4つの矢印とその交点を示す点により表示している。
【0026】
[歪補正の詳細]
次に歪補正の詳細について、図6〜図11、図15〜図17を用いて説明する。この実施例の歪補正工程は、最大で4回の軸補正工程からなり、それぞれの軸補正工程では、最初に撮影像の2点を指定してこの2点を通る直線を補正軸とし、次に設計像の垂直軸あるいは水平軸と平行になるように補正軸を回転、移動することにより歪補正を行う。
【0027】
(第1の歪補正工程)
1回目の軸補正では、図6に示すように、指定された2点を通る直線内の1点を中心として、補正軸5が垂直もしくは水平となるように撮影像を回転する。この2点の指定は、撮影像を見て、設計像上で水平もしくは垂直な位置関係となる2点をクロスカーソルにより指定して行う。撮影像がLSIのレイアウトパターンである場合は、配線やゲートの並びから設計像上で水平もしくは垂直な位置関係となる2点は容易に認識できる。なお、もし撮影像に歪がない場合は、この第1の歪補正工程だけで歪補正工程を終了させることができる。
【0028】
(第2の歪補正工程)
2回目の軸補正では、2回目の補正軸(以降では第2軸と記述)が1回目の補正軸(以降では第1軸と記述)と撮影像の中で交差する場合は、図7に示すように、第1軸5と第2軸6の交点gを中心として、第2軸6が第1軸5と直交するように、第1軸5と平行する方向に撮影像を平行移動及び/または撮影像を回転する。
【0029】
平行移動させる場合は、第2軸6が第1軸5と直交するように、撮影像をすべて第1軸と平行な方向へ移動させる。平行移動する距離は、図7から容易に理解できるように、第1軸からの距離に比例することになる。
【0030】
第2軸6が第1軸5と直交するように、撮影像を回転させる場合は、図15を参照して説明する。第1軸5と第2軸6との交点gを中心として第1軸5と直交させるために第2軸を回転させる角度をθとする。また、撮影像の各点の座標についてg点を中心として、第1軸の方向を0°とする極座標で表したときの各点の第1軸からの角度をαとする。そして、撮影像の各点について、g点を中心に、α*θ/(90°+θ)だけ回転させる。すなわち、図15において、b点、c点は、b’点、c’点に回転移動させる。
【0031】
なお、平行移動させる場合と、回転させる場合で、補正後の撮影像の座標は厳密には同一とはならないが、歪が大きくなければ、その差異は実用上問題にならない。また、平行移動させるか、回転移動させるかは、たとえば、表示装置の初期設定で一方を選択して、オプションで他方を選択できるようにしてもよい。また、平行移動と回転を併用し、第2軸を回転させる角度の半分を回転移動させておいて、残りの半分を平行移動させることも可能である。
【0032】
次に、第2軸6が第1軸5と撮影像の中で交差しない場合は、図8に示すように、第2軸6と撮影像との境界の交点i、hのうち第1軸と距離が近い交点hを中心として、第1軸5で2分した領域のうち第2軸6側の領域に対して、第2軸と第1軸とが平行になるように、第1軸と直交する方向に、第1軸からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。また、移動量は、交点hから第1軸5に下ろした垂線からの距離にも比例することになる。結果として、第1軸5で2分した領域のうち、第2軸6側の領域は、上記垂線からの距離に比例して第1軸5と直交する方向に圧縮または伸張されることになる。
【0033】
また、上記の第2軸6が第1軸5と撮影像の中で交差しない場合の撮影像の移動も、第1軸に直交する方向に平行移動させることに代えて、h点を中心に回転させることも可能である。この回転移動について、図16を用いて説明する。まず、第2軸6についてh点を中心として第1軸5と平行になるまで回転させる角度をθとする。次に撮影像の各点について、h点を中心とする極座標を考える。撮影像上の移動対象となる点を仮にx点として、h点からx点までの距離を半径とするh点を中心とする円を考える。この円と第1軸5との交点をx”とする。すると、x点についてh点を中心に回転させる角度は、
∠xhx'=θ・∠xhx”/∠ahx” (1)式
で求められる。なお、∠xhx'は、x点のh点を中心とする移動角度である。また、∠xhx”は、x点とh点とを結ぶ直線とx”点とh点とを結ぶ直線とのなす角度である。また、∠ahx”は、x”点とh点とを結ぶ直線と、第2軸6とのなす角度である。
【0034】
なお、撮影像上の移動対象となる点(仮にy点とする)がh点に近く、h点を中心とするy点までの距離を半径とする円が第1軸5と交わらない場合は、(1)式において、x”点を撮影像の境界と第1軸との交点(図16のy”)に代えて計算を行えばよい。
【0035】
上記の場合も、第2軸と第1軸が交わる場合と同様に、平行移動と回転は任意に選択できるし、両者を併用することもできる。
【0036】
また、この第2軸の指定も撮影像上でクロスカーソルを用いて、設計像において第1軸と直交または平行となる軸を指定して行う。以上述べた2回目の軸補正により、歪が実用上問題のならない程度に収まった場合は、第2回目の軸補正までで歪補正を終了することもできる。
【0037】
(第3の歪補正工程ケース1:第3軸は第1軸、第2軸と直交)
3回目の軸補正では、第1軸5と第2軸6が平行の場合は、図10に示すように、3回目の補正軸7(以降では第3軸と記述)と第1軸5(もしくは第2軸6)の交点jを中心として、第3軸7が第1軸5(もしくは第2軸6)と直交するように、第1軸5と並行する方向に撮影像を平行移動する。ここで、第3軸7と第1軸5との交点jを選択するか、第3軸7と第2軸6との交点を選択するかは任意に選択することができる。オペレータが選択してもよいし、表示装置が自動的に選択してもよい。なお、3回目の軸補正においても平行移動に代えて、または、平行移動と併用して回転させることも可能である。回転させる場合は、図10において、第1軸5と第2軸6に挟まれる領域の撮影像について、第1軸5と第3軸7との交点jを中心に回転させればよい。
【0038】
(第3の歪補正工程ケース2:第3軸は第1、2軸の一方と平行、他方と直交)
3回目の軸補正で、第1軸5と第2軸6が直交し、なおかつ第3軸7と第1軸5(もしくは第2軸6)が撮影像の中で交差する場合は、図9に示すように、第3軸7と第1軸5(もしくは第2軸6)との交点kを中心として、第2軸6(もしくは第1軸5)で2分した領域のうち第3軸7側の領域に対して、第3軸7と第2軸6(もしくは第1軸5)とが平行になるように、第2軸6(もしくは第1軸5)と直交する方向に、第2軸6(もしくは第1軸5)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。このとき、第2軸6で2分した領域のうち、第3軸7側の領域は、第2軸に直交する方向に圧縮または伸張されることになる。
【0039】
なお、このケースで撮影像を回転させる場合は、第1軸、第2軸のうち、第3軸と平行となる軸で2分される領域のうち、第3軸側の領域について、第1軸、第2軸のうち、第3軸と直交する軸と第3軸との交点を中心に撮影像を回転させる。ここで、撮影像の回転について、図面を用いてもう少し詳しく説明する。図17は、このケースで、撮影像の回転のさせ方を説明する図面である。第3軸を回転させる角度をαとする。また、撮影像21中のa点、b点について、それぞれ、k点からの直線と、第1軸とのなす角度をβ、γとする。すると、a点は、α*β/(90+α)、b点は、α*γ/(90−α)だけ回転させればよい。回転後のa点、b点の位置をそれぞれ、a’、b’で示す。
【0040】
(第3の歪補正工程ケース3:第3軸は第1、2軸の一方と平行、他方と直交)
3回目の軸補正で、第1軸と第2軸が直交し、なおかつ第3軸が撮影像の中で第1軸および第2軸と交差しない場合は、第3軸を第1軸(もしくは第2軸)と平行とするか直交とするかを選択する。第3軸を第1軸(もしくは第2軸)と平行とする場合は、第3軸と撮影像との境界の交点のうち、第1軸(もしくは第2軸)と距離が近い方の交点を中心として、第1軸(もしくは第2軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第1軸(もしくは第2軸)とが平行になるように、第1軸(もしくは第2軸)と直交する方向に、第1軸(もしくは第2軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。このとき、第1軸(もしくは第2軸)で2分された領域のうち、第3軸側の領域は、第1軸に直交する方向に圧縮または伸張される。
【0041】
第3軸を第1軸(もしくは第2軸)と直交する場合は、第3軸と撮影像との境界の交点のうち、第2軸(もしくは第1軸)と距離が近い方の交点を中心として、第2軸(もしくは第1軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第2軸(もしくは第1軸)とが平行になるように、第2軸(もしくは第1軸)と直交する方向に、第2軸(もしくは第1軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。このとき、第2軸(もしくは第1軸)で2分された領域のうち、第3軸側の領域は、第2軸に直交する方向に圧縮または伸張される。
【0042】
上記第3の歪補正工程ケース3は、設計像において第1軸または第2軸のうち一方と平行し、他方と直交する第3軸が撮影像上で指定され、第1軸、第2軸のうち設計像上で第3軸と平行する軸を平行軸としたとき、撮影像上で、第3軸が平行軸と平行になるように第3軸中の1点を固定して、平行軸で2分した領域のうち第3軸側の領域を平行軸と直交する方向に平行軸からの距離に比例して撮影像を移動させることにおいては、第3の歪補正工程ケース2と同じである。ケース3で違うのは、平行軸を第1軸とするか、第2軸とするかの違いと、撮影像を移動させる場合の第3軸の中心(固定点)をどこにおくかの違いだけである。以上述べた3回目の歪補正により歪が実用上問題のならない程度に収まった場合は、第3回目の軸補正までで歪補正を終了することもできる。
【0043】
(第4の歪補正工程)
4回目の軸補正では、図11に示すように第1軸5から第3軸7の中で平行な補正軸が設定されている2つの軸と4回目の補正軸8(以降では第4軸と記述)との交点のうち何れかの軸を中心として、第1軸から第3軸の中で平行な補正軸が設定されてない軸(以降では対抗軸と記述)で2分した領域のうち第4軸8側の領域に対して、第4軸と対抗軸とが平行になるように、対抗軸と直交する方向に、対抗軸からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。この移動により、撮影像の対抗軸で2分された領域のうち、第4軸側の領域は、対抗軸に直交する方向に圧縮または伸張されることになる。また、4回目の移動でも平行移動に代えて、回転移動を選択することや平行移動と回転移動を併用することも可能である。回転させる場合には、対抗軸で分割された撮影像の2つの領域のうち、第4軸側の領域であって、かつ、対抗軸と直交する2つの軸で挟まれた領域について、第4軸と交差する軸との交点を中心に回転させればよい。
【0044】
以上の処理により、撮影時に像が流れていたり、実物と比べて像が歪を持っていたりする場合でも、最大4つの補正軸に囲まれた箇所を容易に矩形に補正することができる。
【0045】
[実施例1の変形例]
本発明の実施例1の歪補正工程は様々に変形することができる。特に第3の歪補正工程、第4の歪補正工程は以下のように変形することが可能である。
【0046】
(第3の歪補正工程ケース2変形例)
3回目の軸補正において、第1軸と第2軸が直交し、なおかつ第3軸と第1軸(もしくは第2軸)が撮影像の中で交差する場合は、第3軸と撮影像との境界の交点のうち、いずれかの交点を中心として、第2軸(もしくは第1軸)で2分した領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第2軸(もしくは第1軸)とが平行になるように、第2軸(もしくは第1軸)と直交する方向に、第2軸(もしくは第1軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動してもよい。図9を用いて説明した第3の歪補正工程ケース2では、第1軸と第3軸との交点を中心として撮影像を移動させたが、この変形例では、第3軸と撮影像との境界の交点を中心として撮影像を移動させる点が異なる。いずれの場合も、第3軸中のどの点を固定して(中心として)撮影像を移動させるかが異なるだけであり、この場合においても、補正軸に囲まれた箇所を容易に矩形に補正することができる。
【0047】
(第3の歪補正工程ケース3変形例)
3回目の軸補正において、第1軸と第2軸が直交し、なおかつ第3軸が撮影像の中で第1軸および第2軸と交差しない場合は、第3軸を第1軸(もしくは第2軸)と平行とするか直交とするかを選択する。
【0048】
第3軸を第1軸(もしくは第2軸)と平行とする場合は、第3軸と撮影像との境界の交点のうち、第1軸(もしくは第2軸)と距離が遠い方の交点を中心として、第1軸(もしくは第2軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第1軸(もしくは第2軸)とが平行になるように、第1軸(もしくは第2軸)と直交する方向に、第1軸(もしくは第2軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。第3の歪補正工程ケース3では、距離が近い交点を中心として撮影像を移動させたが、この変形例では、距離が遠い交点を中心として撮影像を移動させた点が異なる。
【0049】
第3軸を第1軸(もしくは第2軸)と直交する場合は、第3軸と撮影像との境界の交点のうち、第2軸(もしくは第1軸)と距離が遠い方の交点を中心として、第2軸(もしくは第1軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第2軸(もしくは第1軸)とが平行になるように、第2軸(もしくは第1軸)と直交する方向に、第2軸(もしくは第1軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。第3回軸補正ケース4では、距離が近い交点を中心として平行移動させたが、この変形例では、距離が遠い交点を中心として平行移動させた点が異なる。この場合においても、補正軸に囲まれた箇所を容易に矩形に補正することができる。
【0050】
(第3の歪補正工程ケース3変形例2)
さらに別な変形例によれば、3回目の軸補正において、第1軸と第2軸が直交し、なおかつ第3軸が撮影像の中で第1軸および第2軸と交差しない場合は、第3軸と撮影像の境界との交点のうち何れかの交点を選択する。
【0051】
選択された交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離が、選択されなかった交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離よりも近い場合は、選択された交点を中心として、第1軸(もしくは第2軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第1軸(もしくは第2軸)とが平行になるように、第1軸(もしくは第2軸)と直交する方向に、第1軸(もしくは第2軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。
【0052】
選択された交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離が、選択されなかった交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離よりも遠い場合は、選択された交点を中心として、第2軸(もしくは第1軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第2軸(もしくは第1軸)とが平行になるように、第2軸(もしくは第1軸)と直交する方向に、第2軸(もしくは第1軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。
【0053】
すなわち、この3回目の軸補正ケース3変形例2では、第3軸と撮影像の境界との交点のうち、第1軸との距離が近い方の交点を選択すれば、第3軸は第1軸と平行になるように補正され、遠い方の交点を選択すれば、第3軸は第2軸と平行になるように補正される。この場合においても、補正軸に囲まれた箇所を容易に矩形に補正することができる。
【0054】
(第3の歪補正工程ケース3変形例3)
さらに別な変形例によれば、3回目の軸補正において、第1軸と第2軸が直交し、なおかつ第3軸が撮影像の中で第1軸および第2軸と交差しない場合は、第3軸と撮影像の境界との交点のうち何れかの交点を選択する。
【0055】
選択された交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離が、選択されなかった交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離よりも遠い場合は、選択された交点を中心として、第1軸(もしくは第2軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第1軸(もしくは第2軸)とが平行になるように、第1軸(もしくは第2軸)と直交する方向に、第1軸(もしくは第2軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。
【0056】
選択された交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離が、選択されなかった交点と第1軸(もしくは第2軸)との距離よりも近い場合は、選択された交点を中心として、第2軸(もしくは第1軸)で2分された領域のうち第3軸側の領域に対して、第3軸と第2軸(もしくは第1軸)とが平行になるように、第2軸(もしくは第1軸)と直交する方向に、第2軸(もしくは第1軸)からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。
【0057】
すなわち、この3回目の軸補正ケース3変形例3では、第3軸と撮影像の境界との交点のうち、第1軸との距離が遠い方の交点を選択すれば、第3軸は第1軸と平行になるように補正され、近い方の交点を選択すれば、第3軸は第2軸と平行になるように補正される。この場合においても、補正軸に囲まれた箇所を容易に矩形に補正することができる。
【0058】
(第4の歪補正工程変形例)
また、実施例1の別の変形例によれば、第4の歪補正工程において、第4軸と撮影像との境界の交点のうち何れかの軸を中心として、対抗軸で2分した領域のうち第4軸側の領域に対して、第4軸と対抗軸とが平行になるように、対抗軸と直交する方向に、対抗軸からの距離に比例した量だけ撮影像を移動する。すなわち、第4の歪補正工程のこの変形例では、第4軸と他の軸との交点に代えて第4軸と撮影像との境界との交点を中心として第4軸の傾きを補正している。この場合においても、補正軸に囲まれた箇所を容易に矩形に補正することができる。
【実施例2】
【0059】
次に、本発明の表示装置がコンピュータを含み、コンピュータに本発明の表示方法を実行させる実施例、および、コンピュータを上記表示装置として機能させるプログラムの実施例について説明する。
【0060】
図2は、本発明の表示装置についてコンピュータを用いて構成した場合のブロック図である。第2の実施例による表示装置は、設計像と撮影像を外部から取得するための外部データ取得部P3と、CPU:P4と、設計像と撮影像との重ね合わせ表示を実行するための指示を入力する入力部P1と、出力部P2、記憶部P5とを備えている。記憶部P5は、キャッシュや半導体メモリのような主記憶装置以外に、ハードディスクやCD、DVD等の磁気記憶媒体、光記憶媒体のような補助記憶装置を含んでもよい。
【0061】
記憶部P5には、第1の実施例で説明した撮影像の歪を補正する歪補正処理工程と、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント工程と、設計像と撮影像とを重ねて表示する表示工程と、をCPU:P4に実行させる表示プログラムP6が格納されている。また、外部から取得した設計像データP7と、撮影像データP8も、記憶部P5に格納される。
【0062】
出力部P2には、歪補正処理での補正軸の指定および位置アライメント処理でのアライメント点の指定の際に、設計像の水平および垂直方向と平行な線であるクロスカーソルを表示する。また設計像と撮影像とを重ねて表示する。そして、入力部P1と、CPU:P4と、記憶部P5と、外部データ取得部P3と、出力部P2とは、それぞれバスラインで接続されている。
【0063】
この実施例2では、表示プログラムP6に従って、CPU:P4は、オペレータが入力部P1から指定した4点の座標データまたは、4軸の座標に基づいて、歪補正工程の処理を行い、撮影像データP8を更新する。また、表示プログラムP6に従って、CPU:P4は、オペレータが入力部P1から指定したアライメント座標データに基づいて、アライメント工程の処理を行い、設計像データP7と撮影像データP8の更新を行う。さらに、CPU:P4は、表示プログラムP6に従って、更新された設計像データP7と、撮影像データP8と、を出力部P2からコンピュータのディスプレイに表示し、表示工程の処理を行う。歪補正工程、アライメント工程、表示工程の処理内容は、実施例1と同様である。なお、上述した設計像データP7、撮影像データP8の更新処理では、更新する前のデータは残しておいてもよいし、必要がなければコンピュータから削除してしまってもよい。
【0064】
また、上記表示プログラムがインストールされたコンピュータは、歪補正部、アライメント部、表示部を有する表示装置として機能する。このコンピュータは、ディスプレイ等の出力部、キーボート、マウス等の入力部、DVDやCD−ROM等の補助記憶装置、インターネット接続等の外部インタフェース機能を備えた一般的なエンジニアリングワークステーションやパーソナルコンピュータでもよい。また、上記表示プログラムは、半導体メモリ、磁気記憶装置、光記憶装置等の記憶媒体や、インターネットを介して上記コンピュータにインストールすることができる。
【0065】
以上、説明したように上記各実施例によれば、例えばLSIの故障解析において、撮影時に像が流れていたり、実物と比べて像が歪を持っている場合でも、レイアウトの座標系に対して垂直もしくは水平にしたい解析像の軸を指定し、指定された軸をレイアウトの座標軸の向きに補正する。LSIの配線やゲートが基本的にレイアウトの座標軸に対して垂直もしくは水平に配置されているため、解析者は容易に補正軸を指定できるようになる。
【0066】
また、レイアウト像と解析像のそれぞれ対応する3点とを指定し、レイアウト像の3点と解析像の3点とからレイアウト像に対して解析像が表裏反転しているか否かを自動判定することで、解析像(撮影像)が表面と裏面のどちらで撮影された場合でも、レイアウト(設計像)を解析像と同じ方向に自動で補正することができる。
【0067】
また、上記各実施例によれば、LSIの故障解析では、解析装置によって発見された物理的な異常個所が論理異常を起こしたことがわかれば、そこで発見された物理的な異常個所がLSIの故障の原因と特定することができる。そこで、論理故障の候補を表示したレイアウト像と解析装置で得られた解析像を簡便に重ね合わせることができるため、故障箇所の特定が容易にできる。
【0068】
以上、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0069】
たとえば、歪補正工程が、撮影像で3点を指定して、この3点を結んだ3角形が直角三角形となるように撮影像を補正するものであってもよい。また、撮影像で3角形を指定して、この3角形が直角三角形となるように撮影像を補正するものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1、2、3、4、11、21 撮影像(解析像)
5 補正軸(第1軸)
6 補正軸(第2軸)
7 補正軸(第3軸)
8 補正軸(第4軸)
10 設計像(レイアウト像)
12、13、14 クロスカーソル
S1 表示工程
S2 歪補正工程
S3 位置アライメント工程
P1 入力部
P2 出力部
P3 外部データ取得部
P4 CPU(セントラルプロセシングユニット)
P5 記憶部
P6 表示プログラム
P7 設計像データ
P8 撮影像データ
a、b、c、d 歪補正前の4角形の頂点
a’、b’、c’、d’ 歪補正後の4角形の頂点
g 第1軸と第2軸との交点
h、i 第2軸と撮影像の境界との交点
k、j 第1軸と第3軸との交点
l 第3軸と第4軸との交点
m 第2軸と第4軸との交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計像と撮影像とを重ねて表示する表示装置における表示方法であって、
4点を結んだ4角形が設計像において垂直軸および水平軸と平行な矩形となる4点であって撮影像上で指定された4点を、撮影像において前記4点を結んだ4角形が垂直軸および水平軸と平行な矩形となるように撮影像の歪を補正する歪補正工程と、
設計像と撮影像との少なくとも一方に対して、左右反転、上下反転、移動、回転、拡大、縮小の一以上を施して、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント工程と、
前記設計像と撮影像とを重ねて表示する表示工程と、
を含み、
前記歪補正工程は、
設計像において垂直軸または水平軸と平行な第1軸が撮影像上で指定され、第1軸が垂直軸または水平軸と平行になるように撮影像を回転させる第1の歪補正工程と、
設計像において前記第1軸と平行な第2軸が撮影像上で指定され、撮影像上で、前記第2軸が前記第1軸と平行になるように第2軸中の1点を固定して、第1軸で2分した領域のうち第2軸側の領域を第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して移動させる第2の歪補正工程を含む表示方法。
【請求項2】
前記第2の歪補正工程において、
第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して移動させることに代えて、または、第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して移動させることに加えて、
第2軸中の前記1点をh点として、h点を中心とする極座標を考え、第2軸についてh点を中心として第1軸と並行になるまで回転させる角度をθ、移動対象となる点の移動前の位置をx点、移動後をx’点、h点からx点までの距離を半径とするh点を中心とする円と第1軸との交点をx”、x点のh点を中心とする移動角度を∠xhx'、x点とh点とを結ぶ直線とx”点とh点とを結ぶ直線とのなす角度を∠xhx”、x”点とh点とを結ぶ直線と、第2軸とのなす角度を∠ahx”としたときに、
∠xhx'=θ・∠xhx”/∠ahx”
を満たすようにh点を中心に回転させる請求項1記載の表示方法。
【請求項3】
前記歪補正工程において、設計像において垂直軸と平行な2軸および水平軸と平行な2軸が撮影像上で指定され、この4軸によって仕切られた4角形によって前記4点が指定される請求項1または2記載の表示方法。
【請求項4】
前記歪補正工程は、設計像において前記第1軸および第2軸と直交する第3軸が撮影像上で指定され、撮影像上で、前記第3軸が前記第1軸と直交するように撮影像を第1軸と平行な方向に平行移動、及び/または、前記第3軸が前記第1軸と直交するように前記第1軸と第3軸との交点を中心に撮影像を回転させる第3の歪補正工程を含む請求項1乃至3いずれか1項記載の表示方法。
【請求項5】
前記歪補正工程は、設計像において前記第1乃至第3軸とともに前記垂直軸および水平軸と平行な矩形を仕切ることとなる第4軸が撮影像上で指定され、設計像上で前記第1乃至第3軸の中で第4軸と平行となる軸を対抗軸としたとき、対抗軸で2分した領域のうち第4軸側の前記領域に対して、対抗軸と平行になるように前記第4軸中の1点を固定して、対抗軸と直交する方向に、対抗軸からの処理に比例した距離だけ撮影像を移動させる第4の歪補正工程を含む請求項4記載の表示方法。
【請求項6】
前記アライメント工程が、前記設計像において指定された3点とそれぞれに対応して前記撮影像において指定された3点とから、設計像に対して撮影像が表裏反転しているか否かを判定し、反転している場合に、設計像または撮影像に対して、左右反転または上下反転を施し、表裏反転を直す請求項1乃至5いずれか1項記載の表示方法。
【請求項7】
前記アライメント工程は、
3点が指定される際に、設計像上で指定した順番と撮影像で指定した順番とを1つずつ対応させ、3点の指定する順番が右回りか左回りかを判定し、異なる向きに回っている場合に、設計像または撮影像に対して、左右反転または上下反転を施し、表裏反転を直す請求項6記載の表示方法。
【請求項8】
前記歪補正工程での軸の指定、および前記アライメント工程での3点の指定では、設計像の水平方向および垂直方向と平行な線であるクロスカーソルを表示して指定させる請求項6または7記載の表示方法。
【請求項9】
前記表示装置がコンピュータを含み、前記コンピュータに請求項1乃至8いずれか1項記載の表示方法を実行させるプログラム。
【請求項10】
設計像と撮影像とを重ねて表示する表示装置であって、
4点を結んだ4角形が設計像において垂直軸および水平軸と平行な矩形となる4点であって撮影像上で指定された4点を、撮影像において前記4点を結んだ4角形が垂直軸および水平軸と平行な矩形となるように撮影像の歪を補正する歪補正部と、
設計像と撮影像との少なくとも一方に対して、左右反転、上下反転、移動、回転、拡大、縮小の一以上を施して、設計像と撮影像の位置を合わせるアライメント部と、
前記設計像と撮影像とを重ねて表示する表示部と、
を含み、
前記歪補正部は、設計像において垂直軸または水平軸と平行な第1軸が撮影像上で指定され、第1軸が垂直軸または水平軸と平行になるように撮影像を回転させる第1歪補正部と、
設計像において前記第1軸と平行な第2軸が撮影像上で指定され、撮影像上で、前記第2軸が前記第1軸と平行になるように第2軸中の1点を固定して、第1軸で2分した領域のうち第2軸側の領域を第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して撮影像を移動させる第2歪補正部を含む表示装置。
【請求項11】
前記第2の歪補正部は、
第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して移動させることに代えて、または、第1軸と直交する方向に第1軸からの距離に比例して移動させることに加えて、
第2軸中の前記1点をh点として、h点を中心とする極座標を考え、第2軸についてh点を中心として第1軸と並行になるまで回転させる角度をθ、移動対象となる点の移動前の位置をx点、移動後をx’点、h点からx点までの距離を半径とするh点を中心とする円と第1軸との交点をx”、x点のh点を中心とする移動角度を∠xhx'、x点とh点とを結ぶ直線とx”点とh点とを結ぶ直線とのなす角度を∠xhx”、x”点とh点とを結ぶ直線と、第2軸とのなす角度を∠ahx”としたときに、
∠xhx'=θ・∠xhx”/∠ahx”
を満たすようにh点を中心に回転させる請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
前記歪補正部において、設計像において垂直軸と平行な2軸および水平軸と平行な2軸が撮影像上で指定され、この4軸によって仕切られた4角形によって前記4点が指定される請求項10または11記載の表示装置。
【請求項13】
前記歪補正部は、設計像において前記第1軸および第2軸と直交する第3軸が撮影像上で指定され、撮影像上で、前記第3軸が前記第1軸と直交するように撮影像を第1軸と平行な方向に平行移動、及び/または、前記第3軸が前記第1軸と直交するように前記第1軸と第3軸との交点を中心に撮影像を回転させる第3歪補正部を含む請求項10乃至12いずれか1項記載の表示装置。
【請求項14】
前記歪補正部は、設計像において前記第1乃至第3軸とともに前記垂直軸および水平軸と平行な矩形を仕切ることとなる第4軸が撮影像上で指定され、設計像上で前記第1乃至第3軸の中で第4軸と平行となる軸を対抗軸としたとき、対抗軸で2分した領域のうち第4軸側の前記領域に対して、対抗軸と平行になるように前記第4軸中の1点を固定して、対抗軸と直交する方向に、対抗軸からの処理に比例した距離だけ撮影像を移動させる第4歪補正部を含む請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
前記アライメント部が、前記設計像において指定された3点とそれぞれに対応して前記撮影像において指定された3点とから、設計像に対して撮影像の表裏が反転しているか否かを判定し、反転している場合に、設計像または撮影像に対して、左右反転または上下反転を施し、表裏反転を直す請求項10乃至14いずれか1項記載の表示装置。
【請求項16】
前記アライメント部は、
3点が指定される際に、設計像上で指定した順番と撮影像で指定した順番とを1つずつ対応させ、3点の指定する順番が右回りか左回りかを判定し、異なる向きに回っている場合に、設計像または撮影像に対して、左右反転または上下反転を施し、表裏反転を直す請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記歪補正部での軸の指定、および前記アライメント工程での3点の指定では、設計像の水平方向および垂直方向と平行な線であるクロスカーソルを表示して指定させる請求項15または16記載の表示装置。
【請求項18】
コンピュータを請求項10乃至17いずれか1項記載の表示装置として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−3199(P2011−3199A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151694(P2010−151694)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2008−153007(P2008−153007)の分割
【原出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】