説明

試料ホルダ及びそれを用いた試料分析装置

【課題】試料分析装置において、観察しようとする試料に形成されたデバイスに含まれるプラグや配線構造をはじめとする試料特定箇所に、単一または多数系統の外部電圧を印加し、デバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析できるものにおいて、試料を自由に回転・傾斜させることを可能にする。
【解決手段】試料傾斜機構を備えた試料ホルダ本体を有する試料分析装置において、サンプルキャリアは、第一の固定部材と、第二の固定部材と、前記第一の固定部材と前記第二の固定部材とを接続する変型可能な接続部と、当該接続部上に形成され前記第一の固定部材と第二の固定部材とを導通させる単一または多数の配線構造と、を備える。前記試料傾斜機構を操作して傾斜角を調整し、試料ホルダ本体先端に設けた回転ピボットを中心に試料ホルダ本体を回して回転角を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過電子顕微鏡をはじめとする試料分析装置において、観察しようとする試料に形成されたデバイスに含まれるプラグや配線構造をはじめとする試料特定箇所に、単一または多数系統の外部電圧を印加可能な試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡をはじめとする荷電粒子線装置は空間分解能が高く、それに付随する様々な分析機能も開発されてきており、半導体デバイスなど各種電子デバイスの故障解析や特性評価のためのツールとして非常に有効である。透過電子顕微鏡をはじめとする荷電粒子線装置を用いて試料を観察したり分析したりするにあたっては、例えば特許文献1のような集束イオンビーム装置等の試料作製装置を用いた、いわゆるマイクロサンプリング法により粒子線が透過できる程度の厚さに薄膜化した試料を用いることが多い。しかし、このようにして作製した試料は外部と電気的に切り離されており、デバイスは停止した状態である。一方、半導体デバイスは電圧を印加して動作させるため、半導体デバイスの特性評価は動作状態で行うことが望ましい。
【0003】
観察しようとする試料に形成されたデバイスに含まれるプラグや配線構造をはじめとする試料特定箇所に、単一または多数系統の外部電圧を印加し、デバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析する方法として、特許文献2には、試料ホルダの一部である試料台に導電パターンをあらかじめ設けておき、電圧端子を有する半導体試料を、試料台上の導電パターンに合わせて設置する方法に関して記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、試料そのものに電極を設け、それに対応した通電用端子を試料ホルダに設けておき、試料押さえを用いて試料を試料ホルダに押し付けて固定する方法に関して記載されている。また、特許文献4には、薄膜化した試料に対して、チップまたは微細導線を直接取り付ける方法に関して記載されている。また、特許文献5には、多数の探針を試料に接触させ、探針を介して試料に外部電圧を印加する方法に関して記載されている。また、特許文献6には、あらかじめ集束イオンビーム装置内に複数のプローブを設けておき、前記プローブを半導体デバイスのコンタクトプラグに接着して電流導入端子とする方法に関して記載されている。
【0005】
また、特許文献7には、サンプルキャリアに配線構造を直接設けることにより、薄膜化した観察試料に外部電圧を印加する装置構成及び試料評価方式に関して記載されている。特許文献7の図11には、配線構造を有し試料を取り付けるメッシュとして、ソケットへの脱着が容易なカートリッジ1101を採用したものが開示されている。試料交換を行う際は、このカートリッジを交換する。さらに、カートリッジは2つのピボットを回転中心として2軸に回転・傾斜されるように構成されている。
【0006】
さらに、特許文献8には、試料交換の際に良好な電気的接続を得て、交換作業が容易に行え、かつ、試料ホルダの厚みを薄くすることが出来る試料ホルダを実現するために、試料を試料台に押止する押止部材と電圧印加するための端子を共用する一対の板バネを備えた電子顕微鏡用試料ホルダが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−108810号公報
【特許文献2】特開平06−310069号公報
【特許文献3】特開平10−185781号公報
【特許文献4】特開2003−35682号公報
【特許文献5】特開2005−91199号公報
【特許文献6】特開2007−212202号公報
【特許文献7】特開2007−303946号公報
【特許文献8】特開2003−263969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、透過電子顕微鏡をはじめとする試料分析装置において、観察しようとする試料に形成されたデバイスに含まれるプラグや配線構造をはじめとする試料特定箇所に、単一または多数系統の外部電圧を印加し、前記デバイスの構造、組成、電子状態の変化を分析する方法について、種々の検討がなされてきている。例えば、透過電子顕微鏡で上記の分析を行うために、微細導線やチップなどからなる電流導入端子を薄膜化した観察試料に設け、前記電流導入端子を介して観察試料に電圧を印加する方法に関して、特許文献4から6に記載されている。しかし、この手法で観察試料を回転・傾斜させると、前記電流導入端子を介して観察試料に力が加わり、最悪の場合薄膜化した観察試料を破損する可能性がある。
【0009】
すなわち、外部電圧を印加してデバイス動作状態のまま観察可能な試料に対して、外部から当該試料に直接力を加えることなく、電子顕微鏡内で観察試料を回転・傾斜させることのできる試料分析装置が求められている。
【0010】
一方、特許文献7及び特許文献8には、電子顕微鏡内で観察試料を回転・傾斜させることのできる装置が開示されている。すなわち、配線構造を有し試料を取り付けるメッシュとして、ソケットへの脱着が容易なカートリッジ1101を採用したものが開示されている。カートリッジは2つのピボットを回転中心として2軸に回転・傾斜されるように構成されており、観察しようとする試料を回転・傾斜させることにより、電子線をはじめとする荷電粒子線を所望の入射角度で試料に当てることができる。特許文献7では、デバイス構造が形成された配線構造として複数の空中配線を含んでおり、これらの空中配線を2軸に回転・傾斜されるカートリッジ上の各独立配線に接続する構成となっている。
【0011】
しかし、近年、観察対象となる試料のデバイス構造は、ナノメートルオーダーまたはマイクロメートルオーダーの大きさをもつ微細な配線構造を有するものが多く、このようなデバイス構造に接続される試料ホルダの配線構造も、マイクロメートルオーダーあるいはそれ以下の微細なものとなっている。上記のような微細なデバイス構造を観察対象とする用途を前提に考えた場合、特許文献7の構造を採用して配線構造の接続作業を確実に行うことは困難である。また、回転・傾斜機構の一部を兼ねる空中配線を微細な配線構造とした場合、外力による破損や変形・短絡などの不具合も予想される。
【0012】
また、特許文献8に開示されたものは、一対の板バネを介して試料に給電するものであり、少なくとも数百マイクロメートルオーダーあるいは数ミリメートルオーダーの配線構造を前提としており、試料のデバイス構造が微細化された用途には適さない。
【0013】
本発明の目的は、観察対象の試料が微細なデバイス構造を有し、外部電圧を印加してデバイス動作状態のまま観察可能な試料に対して、外部から当該試料に直接力を加えることなく、電子顕微鏡内で観察試料を回転・傾斜させることのできる試料ホルダ及びそれを用いた試料分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的なものを示せば、次の通りである。すなわち、本発明は、試料分析装置用の試料ホルダであって、試料ホルダ本体と、開口部を有し、該試料ホルダ本体に回転可能に保持された傾斜台と、前記傾斜台を傾斜させる試料傾斜機構と、前記傾斜台とは離間して前記試料ホルダ本体に設けられた給電端子と、試料の固定部を有し、該固定部に固定された前記試料が前記開口部内に面するようにして前記試料ホルダ本体に保持されるサンプルキャリアとを備え、前記サンプルキャリアは、単一または複数の配線構造が該配線構造を覆う絶縁材料と一体形成され、前記給電端子に接続される第一の固定部材と、前記配線構造と前記絶縁材料が一体形成され、前記試料の固着部に接続される第二の固定部材と、前記配線構造と前記絶縁材料が一体形成され、前記第一の固定部材及び前記第二の固定部材に対して柔構造に形成された接続部とを備えており、前記第一の固定部材、前記第二の固定部材及び前記柔構造の接続部の前記配線構造を介して、前記給電端子と前記試料の固着部とを電気的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、試料分析装置において、微細なデバイス構造を有する観察対象の試料に対して、単一または多数系統の外部電圧を印加し、デバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析する場合に、外部から当該試料に直接力を加えることなく、試料を自由に回転・傾斜できる試料ホルダ及びそれを用いた試料分析装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の代表的な実施例によれば、試料傾斜機構を備えた試料ホルダを有する試料分析装置において、サンプルキャリアは、第一の固定部材と、第二の固定部材と、前記第一の固定部材と前記第二の固定部材とを接続する変型可能な接続部と、単一または多数の配線構造と、を備える。そして、観察試料の外部電圧印加箇所に、前記配線構造を介して、試料分析装置の外部から電圧を印加したり電流を流したりする。このとき、前記試料傾斜機構を操作して傾斜角を調整し、試料ホルダ先端に設けた回転ピボットを中心に試料ホルダを回して回転角を調整することにより、観察試料を自由に回転・傾斜させる。
【0017】
本発明の代表的な実施例によれば、透過電子顕微鏡をはじめとする試料分析装置において、観察しようとする試料に形成されたデバイスに含まれるプラグや配線構造をはじめとする試料特定箇所に、単一または多数系統の外部電圧を印加し、デバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析できる試料分析装置であって、前記試料を自由に回転・傾斜させることが可能な試料分析装置を提供することができる。
【0018】
本発明は、半導体デバイスの分析などの半導体産業、電子顕微鏡・イオンビーム装置をはじめとする試料分析装置などの計測装置産業に利用可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の第1の実施例になる試料分析装置用の試料ホルダを、図1〜図4で説明する。
【0020】
図1(図1A、図1B、図1C)に、傾斜機構を備え、試料分析装置等に用いる試料ホルダの第1の実施例を示す。図1Aは、電子線の照射方向の逆側から見る方向(透過電子顕微鏡においては、観察室から電子銃を見る方向)から試料ホルダ100の主要部を見た図である。図1Bは、図1AのA−A´断面図、図1Cは図1Aのサンプルキャリアのみを取り出して示した平面図である。また、図2に、本実施例の試料ホルダ100の全体的な構成の縦断面を示す。
【0021】
101は試料、102は試料101を保持するサンプルキャリア、106はサンプルキャリア102を保持する試料ホルダ本体、107は試料ホルダ本体106に回転自在に取り付けられ右端部が傾斜面となっている傾斜台、108は試料ホルダ本体106の先端部に設けられた回転ピポット、109は傾斜台107の両側面に設けられ試料ホルダ本体の外枠に設けられた穴で傾斜台107を回転自在に支持する傾斜ピボット、110は傾斜台107の右端部の傾斜面に接する位置を変えることでこの傾斜台の傾斜を調整するロッド、111は傾斜台107の左端に接しこの傾斜台が回転ピボット109を中心にして上下変動するのを抑制するための押さえバネである。試料ホルダ本体106には、サンプルキャリア102をはさみこみ固定する機能(このような機能を有する試料ホルダ本体の一部分を、特に、ソケット104と呼ぶ。)が予め設けられている。また、傾斜台107には、電子線112を試料101に向けて通過させるための開口部130が設けられている。
【0022】
図2に示すように、本実施例の試料ホルダ100は、試料ホルダ本体106と、この試料ホルダ本体を駆動する電流導入端子115付きの試料ホルダ駆動機構617、及びこの試料ホルダ駆動機構を制御する電流導入端子付き試料ホルダ駆動機構制御回路618を備えている。
【0023】
上記の構成において、ロッド110が試料ホルダ駆動機構617により駆動され、長軸(A−A´)方向に移動すると、ロッド110の先端が傾斜面に接する位置が変わることにより傾斜台107は傾斜ピボット109(短軸)を中心にして時計方向あるいは反時計方向に回転する。また、試料ホルダ本体106の先端には回転ピボット108を設置しているので、ロッド110が回転すると、試料ホルダ本体106が長軸(A−A´)を中心にして時計方向あるいは反時計方向に回転、傾斜可能である。すなわち、試料ホルダ本体106上の試料101は2つのピボット108、109を回転中心として長軸、短軸の2軸に回転・傾斜される。これにより、図1Bに破線で示した電子線112をはじめとする荷電粒子線を、所望の入射角度で試料101に当てることができるようになる。この試料分析装置により、観察しようとする試料に含まれるプラグや配線構造をはじめとする試料の特定箇所に、単一または多数系統の外部電圧を印加し、試料に形成されたデバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析することができる。
【0024】
試料ホルダ本体106は、試料101と試料ホルダ駆動機構制の制御回路618に設けられた外部電圧・電流源との間を接続するための給電端子として、少なくとも1つの配線構造(以下、試料ホルダ本体106に設けられた電気的な配線構造を、第一の配線構造103と呼ぶ。)を備える。すなわち、第一の配線構造103は、観察しようとする試料101の外部電圧印加箇所と外部電圧・電流源を接続できる構造である。第一の配線構造103は、外部からの電流・電圧を印加するための電流導入端子115と、サンプルキャリア102へ電流・電圧を印加するための電流配線端子(201)と、前記電流導入端子115と前記電流配線端子とを結ぶ配線ケーブル116と、を含んでよい。
【0025】
サンプルキャリア102は、図1Cに示したように、試料ホルダ本体106に設けられた第一の配線構造103に接続される第一の固定部材201と、傾斜台106に固定される第二の固定部材202と、前記第一の固定部材と第二の固定部材とを接続する変型可能な接続部203と、当該接続部上に形成され前記第一の固定部材201と第二の固定部材202とを導通させる配線構造(以下、サンプルキャリアに設けられた電気的な配線構造を、第二の配線構造105と呼ぶ。)と、試料の固定部204とを備える。接続部203は、両端の第一の固定部材201や第二の固定部材202に比べて中間部が幅の狭く厚みも薄い帯状部からなり、変形の容易な柔構造になっている。なお、サンプルキャリア102の構造の詳細については後に述べる。
【0026】
観察試料101が固定された試料ホルダ本体106は、図2に示すように、電流導入端子115を配線ケーブル116に接続した状態で、試料ホルダ駆動機構617により駆動される。この試料ホルダ駆動機構617は、試料ホルダ駆動機構の制御回路618を介して中央処理装置にて制御されると共に、所定の電圧が印加される。
【0027】
試料観察に先立って、電子線をはじめとする粒子線が透過できる程度の厚さに薄膜化した試料101を、サンプルキャリア102に取り付ける「薄膜試料作製プロセス」を行う必要がある。本プロセスに関しては特許文献7に記載されているので、その引用をもって本プロセスの詳細な説明に代える。このとき、観察しようとする試料は、1つのサンプルキャリア102につき、観察試料1つのみを設置するに限るものではなく、複数の観察試料を設置しても差し支えない。
【0028】
ここで、上述した薄膜試料の作製プロセスについて、簡単に述べる。薄膜試料の作製に当たっては、試料作製装置にサンプルキャリア102のみを導入し、試料作製装置の内部で、薄膜化した試料101をサンプルキャリア102に取り付け、その後、試料作製装置の内部もしくは外部で、試料101をサンプルキャリア102ごと試料ホルダ本体106に載置すれば良い。または、あらかじめサンプルキャリア102を試料ホルダ本体106に載置しておき、試料分析装置と共用のサイドエントリ式試料ホルダとして試料作製装置に導入し、試料作製装置の内部で、薄膜化した試料101を前記サンプルキャリア102に取り付けてもよい。なお、前記試料作製装置は、集束イオンビーム装置を用いてよく、マイクロサンプリング法を利用しても差し支えない。
【0029】
一方、本発明による試料分析装置により、実際に試料の分析・評価を行うにあたって、測定しようとする試料が、大気をはじめとする気体や液体、あるいは蒸気等に触れると、試料表面の酸化や汚染が起こる可能性がある。そこで、試料作製装置、および試料分析装置の両方の機能を一台の装置にもたせれば、試料作製プロセスから試料の分析・評価までの一連の工程を、一台の装置内で連続して行うことができる。このことは、例えば、走査電子顕微鏡や、透過電子顕微鏡や、走査透過電子顕微鏡をはじめとする電子顕微鏡と、集束イオンビーム装置と、を組み合わせることによって実現しても差し支えない。このようにすれば、試料作製や、試料の外部電圧印加箇所と外部電源との接続や、試料の分析・評価を一台の装置で平行して進めることが可能となるため、試料分析にかかる時間の短縮につながる。また、装置内部を真空に保つことにより試料表面の酸化や汚染を防ぐことができるようになるため、試料の分析・評価をより正確に行うことが可能となる。
【0030】
次に、予め試料101が取り付けられたサンプルキャリア102を、試料ホルダ本体106に設置する一の方法を、図3(図3A、図3B、図3C)を用いながら説明する。
【0031】
まず、図3Aは、サンプルキャリア102が設置されていない状態の試料ホルダ本体106および傾斜台107を示すものである。この状態で、試料ホルダ本体106および傾斜台107の上に、予め観察試料101を固定部204に固定したサンプルキャリア102を載せ、試料ホルダ本体106のソケット104にサンプルキャリア102の一端を挟み込み固定する(図3B)。次に、サンプルキャリア102の上に、サンプルキャリア押さえ113を載せ、サンプルキャリア押さえ固定ネジ114を用いて、サンプルキャリア押さえ113を傾斜台107にねじ止めにより固定する(図3C)。
【0032】
このとき、試料ホルダ本体106と、サンプルキャリア102とをしっかりと固定し、第一の配線構造103と第二の配線構造105とを確実に接続すると便利である。
【0033】
また、サンプルキャリア102に設けた第二の配線構造105に対応するように、試料ホルダ本体106のソケット104の内部に第一の配線構造103を作りこんでおけば、ソケット104にサンプルキャリア102の一部である第一の固定部材201を挿入することにより、サンプルキャリア102をソケット104に固定でき、同時に、第一の配線構造103と第二の配線構造105とを電気的に接続できる。
【0034】
本実施例では、傾斜台107の上に載せたサンプルキャリア102の上に、サンプルキャリア押さえ113を載せて、サンプルキャリア押さえ固定ネジ114を用いて、サンプルキャリア押さえ113を傾斜台107にねじ止めする。この方法では、着脱時にサンプルキャリア押さえ固定ネジ114を回す必要があり、着脱に手間と時間が必要となるが、振動によってサンプルキャリア102が傾斜台107より脱落することを防ぐことができる効果がある。なお、サンプルキャリア押さえ113を傾斜台107に固定する方法として、ねじ止め固定する方法だけに限られるわけではなく、例えばバネを用いて止めても差し支えない。
【0035】
ここで、試料ホルダ駆動機構617により試料101の傾斜角度を変える操作について、図4(図4A、図4B、図4C)で説明する。まず、図4Aでは、ロッド110が長軸(A−A´)方向に右側に後退した位置にあり、傾斜台107の傾斜面の下部で接しているため、試料101の傾斜角度がθ1(負)の状態となっている。このとき、サンプルキャリア102の水平方向の長さはL1である。次に、図4Bでは、ロッド110が長軸(A−A´)方向に左側にやや前進した位置にあり、傾斜台107の傾斜面に接する位置が傾斜面の中央付近にあるため、試料101の傾斜角度がθ2(負)と小さくなっている。傾斜台107の傾斜角が変化するのに伴いサンプルキャリア102も変形し、その水平方向の長さはL2(<L1)である。さらに、図4Cでは、ロッド110が長軸(A−A´)方向に左側の位置にあり、傾斜台107の傾斜面に接する位置が傾斜面の上部にあるため、試料101の傾斜角度がθ3(正)となっている。このとき、傾斜台107の傾斜角の変化に伴い変形したサンプルキャリア102の水平方向の長さはL3(>L2)である。このように、サンプルキャリアが変形自在なため、ロッド110が長軸方向に移動することで、傾斜台107、ひいては試料101の傾斜が簡単かつ正確に調整される。本実施例によれば、試料101の傾斜角度を、一例として、±15度の範囲で、正確に調整可能である。
【0036】
本実施例によれば、観察しようとする試料に含まれるプラグや配線構造をはじめとする試料の特定箇所に、単一または多数系統の外部電圧を印加し、試料に形成されたデバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析できる試料分析装置において、試料101を遠隔操作により自由に回転・傾斜できるようになる。
【0037】
また、本実施例で示した方法をとれば、観察試料をあらかじめ取り付けたサンプルキャリア102を試料ホルダ本体106から取り外し、新しいサンプルキャリアを試料ホルダ本体106に固定することにより、簡便にかつ短時間のうちに観察試料を交換できる。
【0038】
以上述べたように、本発明によれば、試料分析装置において、微細なデバイス構造を有する観察対象の試料に対して、単一または多数系統の外部電圧を印加し、デバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析する場合に、外部から当該試料に直接力を加えることなく、試料を自由に回転・傾斜できる試料ホルダを提供することができる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第2の実施例を図5(図5A、図5B)で説明する。
試料ホルダ本体106の第一の配線構造103は、サンプルキャリア102の第二の配線構造105との接続が容易な構造であれば良く、本発明の第1の実施例で示した構成に限定されるものではない。図5Aは第2の実施例の平面図、図5Bはその断面図である。
【0040】
すなわち、第一の配線構造103と第二の配線構造105との電気的な接続をより確かなものとするため、(1)前記第一の配線構造103と前記第二の配線構造105の一方または両方に配線接触用ばね401を設けたり、(2)前記第一の配線構造103と前記第二の配線構造105の一方または両方に熊手型の接触端子を設けたりしてもよい。
【0041】
(1)の実施例としては、配線接触用ばね401は一例として板ばねを描いたが、もちろん板ばねに限られるものではなく、皿ばね、コイルばねなど他の種類のばねをも用いることができる。(2)の実施例としては、第一の配線構造として、熊手型の接触端子402を設け、これを第二の配線構造105とを接続するような構造を記載した。これ以外にも、サンプルキャリア102に凹凸形状など案内形状をあらかじめ設け、試料ホルダ本体106にも前記サンプルキャリアに設けた前記案内形状に対応する形状を設け、そして、両者を例えばスライドさせながら組み付けることにより、サンプルキャリア102を試料ホルダ本体106に固定することとしても差し支えない。これらの方法を用いることにより、第一の配線構造103と第二の配線構造105との接続をより確かなものにできるため、振動に起因する試料脱落を抑えることができる。
【0042】
本発明によれば、試料分析装置において、微細なデバイス構造を有する観察対象の試料に対して、単一または多数系統の外部電圧を印加し、デバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析する場合に、外部から当該試料に直接力を加えることなく、試料を自由に回転・傾斜できる試料ホルダを提供することができる。
【実施例3】
【0043】
次に、サンプルキャリア102の構成について、詳細に説明する。図1Cや図6(図6A、図6B)に示したように、サンプルキャリア102は、試料ホルダ本体に接続される第一の固定部材201と、固定部204に試料101が接続固定される第二の固定部材202と、前記第一の固定部材201と第二の固定部材202とを接続する変型可能な接続部203と、これら第一の固定部材201と第二の固定部材202及び接続部203に形成された電気的配線パターンである第二の配線構造105と、を備えている。接続部203は、第一の固定部材201や第二の固定部材202に対して機械的に柔構造となっている。例えば、第一の固定部材201と第二の固定部材202の幅WBに対して、接続部203の幅WAは狭くなっており、サンプルキャリア102は、この狭い幅の帯状部を有することで、変型が容易な構造となっている。さらには、接続部203の厚みを両固定部材よりも薄くしても良い。
【0044】
サンプルキャリア102の平面形状は、図1Cに示した構成に限定されるものではない。例えば、変型可能な接続部203は第一の固定部材201と第二の固定部材202の中央部を接続するように構成しても良い。すなわち、第3の実施例として、図6Aのように、サンプルキャリア102は、試料ホルダ本体に着脱自由な形状を有するものとし、かつ、その一部または全部が変型可能な構造を有してよい。第一の固定部材201と第二の固定部材202の平面形状は、矩形に限られるものではなく、多角形としても良く、円形または楕円形、あるいは円形や楕円形に多角形を組み合わせた形状としてもよい。また、図6Bのように、サンプルキャリア102に持ち手501やねじ穴508を設ければ、操作者がサンプルキャリア102を試料ホルダ本体に着脱する際などに便利である。
【0045】
サンプルキャリアの第一の固定部材201と第二の固定部材202とを電気的に導通させる第二の配線構造105は、単一または多数の導電性を有する配線構造として構成される。この第二の配線構造105をサンプルキャリア102にあらかじめつくりこむことにより、観察しようとする試料をサンプルキャリア102上に固定して一体化できる。第二の配線構造105の形状は、例えば、長方形や正方形に限らず多角形にすることができる。また、第二の配線構造105に、単一または多数のパッド502を含めれば、測定しようとする試料の任意の箇所と第二の配線構造105との電気的な接続がとりやすくなる。さらに、第二の配線構造105の一部に微細な配線構造503を設ければ、ナノメートルオーダーまたはマイクロメートルオーダーの大きさをもつデバイス構造が形成された試料と、ミリメートルオーダーの大きさをもつサンプルキャリア102との間を接続するのに都合が良くなり、また、配線の系統数が増大した場合に便利である。
【0046】
サンプルキャリア102の厚さは、均一なものでも良いが、必ずしも均一とする必要はない。たとえば、第一の固定部材201と第二の固定部材202の厚みに対し、これら2つの固定部材を接続する変型可能な接続部203の厚みを薄く作りこめば、サンプルキャリア102そのものの変型が容易になる。あるいはまた、第二の固定部材202において、試料101を搭載する面を薄く作っておけば、透過電子顕微鏡や走査透過電子顕微鏡を用いた試料観察時に、サンプルキャリア102がつくる影が試料101を隠し、試料の観察領域を狭めることを防ぐことができる。逆に、第二の配線構造103に接続される第一の固定部材201や、傾斜台106に固定される第二の固定部材202を厚く作りこめば、前記領域がしなったり折れ曲がったりすることを抑えられ、薄膜化した観察試料の破損が抑制できる。
【0047】
ここで、サンプルキャリア102の表面および裏面を以下のように定義する。すなわち、試料分析装置の内部において、荷電粒子の発生源(電子顕微鏡においては、電子銃。)に対向する面を表面とし、その逆側の面を裏面とする。第二の配線構造105(以下、本実施例においては、第二の配線構造105には、パッド502、微細な配線構造503を含めても差し支えないものとする。)は、サンプルキャリア102の表面または裏面のどちらか片面のみに設けてもよいし、表面および裏面の両面に設けてもよい。なお、第二の配線構造105がサンプルキャリア102の表面にむき出しになっていると、評価・分析時に荷電粒子による帯電等の影響を受ける可能性があるため、第一の配線構造103に荷電粒子が直接当たらないようにするための対策を行っても差し支えない。例えば、第二の配線構造105は、おのおの、その一部または全部をサンプルキャリア102の内部に埋め込むこととしてもよいし、サンプルキャリア102または試料ホルダ本体106に電子線遮蔽のための導電膜を設け、前記導電膜を接地してもよい。
【0048】
次に、サンプルキャリア102に設けられる配線構造に関し、第二の配線構造105を例にとり説明する。図7に、サンプルキャリア102の断面形状として種々の実施例を示す。第二の配線構造105は、サンプルキャリア102本体とは電気的に独立しており、サンプルキャリア102に多数の第二の配線構造105を設置する場合、第二の配線構造105は各々電気的に独立する必要がある。
【0049】
そこで、図7の(a)、(b)のように、導電性を有するサンプルキャリア102(母材=基板材料506)の表面の一部または全部を絶縁膜505で覆い、この絶縁膜の一部または全部の上に導電膜504を形成し、これを第二の配線構造105とするとよい。換言すると、第二の配線構造105として、基板材料506の上または内部に一体的に、電気的に独立した複数の導電膜504を形成することで、多数の導電性を有する柔構造の配線構造が得られる。
【0050】
または、図7(c)のように、絶縁膜505を導電膜504の周囲にも形成して導電膜504の一部または全部を包み込んでも良い。あるいは、図7(d)のように、導電膜504の一部または全部を上下2枚の基板材料506にて挟み込んだりする構造を設け、これを第二の配線構造105としてもよい。このように、第二の配線構造105の一部または全部を絶縁膜505に埋め込むことにより、構造上、第二の配線構造105や導電体が外部にむき出しになることを防ぐことができ、外部からの磨耗や荷電粒子線による帯電の影響を抑えることができる。
【0051】
さらに、図7の(e)、(f)のように、絶縁材料507の表面に導電膜504を直接備えたり、絶縁材料507の内部に導電膜504を備えたりして、これを第二の配線構造105とすれば、より簡単な構造となる。このとき、絶縁材料507としてガラスやポリイミド樹脂を用い、第二の配線構造105としてニッケルや銅の配線パターンを設けたり、蒸着により金属薄膜やカーボン膜を作製したりしてもよい。
【0052】
なお、サンプルキャリア102に設けられる第二の配線構造105はごく薄い層からなっている。一例として、ポリイミド樹脂性の絶縁膜の厚みは30μm〜100μmであり、銅もしくはニッケルを材料とする導電膜の厚みは約5μmである。ポリイミド樹脂は柔軟性を有するので、ロッド110が操作されることによりサンプルキャリア102が変形しても、第二の配線構造105の断線の可能性は極めて少ない。あるいはまた、サンプルキャリア102が変形しても、第二の配線構造105に接続された試料のデバイス構造が、機械的な力を受けて破損する可能性は極めて少ない。
【0053】
なお、図7で説明した配線構造は、後で述べる本発明の他の実施例における、柔構造を必要とする配線構造にも適用できることは言うまでも無い。
【実施例4】
【0054】
次に、図8にて、荷電粒子線装置のひとつである電子顕微鏡に本発明を適用した実施例を説明する。なお、ここでは一例として電子顕微鏡の一つである走査透過電子顕微鏡における実施例を説明するが、必ずしも、対象は走査透過電子顕微鏡に限るものではなく、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡などをはじめとする電子顕微鏡や、荷電粒子線装置を対象とすることができる。
【0055】
電子銃626から放射された1次電子線602は、アノード627、照射レンズ603、コンデンサ絞り605、軸ずれ補正用偏向器607、収差補正器609、イメージシフト用偏向器611と対物レンズ615等の照射光学系により、観察しようとする試料101に収束、照射される。また照射光学系の制御は、電子銃制御回路601、照射レンズ制御回路604、コンデンサ絞り制御回路606、軸ずれ補正用偏向器制御回路608、収差補正器制御回路610、イメージシフト用偏向器制御回路612、走査用偏向器制御回路614、対物レンズ制御回路616等の制御系により制御されている。
試料101を保持する試料ホルダ本体106は、試料ホルダ駆動機構617で駆動される。すなわち、中央処理装置622にて制御される電流導入端子付き試料ホルダ駆動機構制御回路618及び試料ホルダ駆動機構617を介して、試料ホルダ本体106が、1次電子線602を所望の入射角度で試料101に当てるように調整される。
【0056】
1次電子線602は走査用偏向器613にて試料面上で2次元的に走査されることから、透過電子線619の強度を電子検出器620で検出し、電子検出器制御回路621、中央処理装置622を介し、走査位置と同期を取って表示装置623に画像表示することにより、試料構造や組成、電子状態に対応したコントラストを有する透過電子線像を表示装置623に示すことが可能である。
【0057】
先に述べたように、試料ホルダ本体106に装着されたサンプルキャリアは、2つのピボットを回転中心として2軸に回転・傾斜される。さらに、操作者は、情報入力手段624を用いて、試料の分析・評価にあたって有用な様々なパラメータを入力できる。情報入力手段624には、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス、などを含めてもよく、パラメータには、例えば、試料の位置(x軸方向、y軸方向およびz軸方向)、試料の回転・傾斜角度、試料への印加電圧値、試料へ流し込む電流値、などを含めてもよい。情報入力手段624により入力されたパラメータは、中央処理装置622にて制御され、その状況は表示装置623にて、逐次、表示を行ったり、記録装置625にて記録したりする。
【0058】
本発明によれば、試料分析装置において、微細なデバイス構造を有する観察対象の試料に対して、単一または多数系統の外部電圧を印加し、デバイスをオン・オフさせたときの構造、組成、電子状態の変化を分析する場合に、外部から当該試料に直接力を加えることなく、試料を自由に回転・傾斜できる試料分析装置を提供することができる。
【実施例5】
【0059】
次に、図8に示した電子顕微鏡の表示装置623にて提供される、ユーザーインターフェース機能として、外部電圧・電源印加のための操作画面および操作方法の一実施例を、図9を用いて説明する。
【0060】
外部電圧・電流印加システム701(以下、単にシステム701と述べる。)には、操作画面として、(a)サンプルキャリアが試料ホルダ本体に正しく載置されていることを確認したり、(b)サンプルキャリアや試料ホルダ本体に設けた各種配線の接触抵抗を計測したりするための「テスト画面」を設けてもよい。このテスト画面においては、各種パラメータを入力する手段として、「傾斜・回転調整」702を配置できる。操作画面701で「傾斜・回転調整」702を選択すると、「傾斜・回転調整」のパラメータ設定画面に遷移する。このとき表示される操作画面には、各種パラメータとして、第一の配線構造103と、第二の配線構造105とが電気的に確かに接続されていることを確認するのに必要な情報を含むことが望ましく、印加電圧値、電流値、の一部または全部を含めて差し支えない。前記各種パラメータを入力する手段としては、つまみやボタン、計器、あるいは設定値を直接入力するための入力スペース、あるいはプルダウンなどを用いることとして差し支えない。
【0061】
実際に(a)サンプルキャリアが試料ホルダ本体に正しく載置されていることを確認するためには、あるサンプルキャリアに設けた第二の配線構造の端子間をあらかじめ短絡させておき、その短絡された端子間に電圧を印加すれば、端子間に電流が流れる。したがって、このようなサンプルキャリアを準備しておき、前記短絡された端子間の電流を検出することにより、サンプルキャリアが試料ホルダ本体に正しく載置されたことが確認できる。一方(b)サンプルキャリアや試料ホルダ本体に設けた各種配線の接触抵抗は、端子間に電圧を印加した際に端子間に流れる電流を計測することによって評価可能である。各種配線の接触抵抗を計測することにより、観察試料の電流電圧特性の変化を校正することが可能となる。
【0062】
また、システム701には、試料を観察・評価したり、荷電粒子線装置を制御したりするにあたって必要となる各種パラメータを設定するための「設定画面」を設けてもよい。前記設定画面においては、各種パラメータを入力する手段を配置できる。前記各種パラメータは、試料分析装置を作動させ、また、外部電源の電圧や電流値を決定するために必要な情報であって、例えば、ビーム電流、焦点、露出計、ビーム電流の電流計、倍率、使用するカメラの種類、励磁条件、試料の位置(x軸方向、y軸方向およびz軸方向)、試料の回転・傾斜角度、試料への印加電圧値、試料へ流し込む電流値、の一部または全部を含めて差し支えない。また、前記パラメータを入力する手段としては、つまみやボタン、計器、あるいは設定値を直接入力するための入力スペース、あるいはプルダウンなどを用いることとして差し支えない。
【0063】
図9では、4系統の直流の外部電源を独立して操作できるようになっているが、系統数は4系統に限らなくともよいし、外部電源として交流電源、あるいは、直流電源と交流電源を重畳したうえで試料に接続できるようにしてもよい。
【0064】
操作者は、情報入力手段624を用いて、システム701に設けたパラメータ入力手段を操作することにより、前記各種パラメータを設定したり、変更したりすることができる。設定されたり変更されたりした各種パラメータは、中央処理装置622にて制御されて試料分析装置における分析・評価の条件として用いられる。
【0065】
前記システム701において、「テスト画面」、「設定画面」に加えて、試料の分析・評価結果を表示する「結果画面」も併せて表示できるようにすると、操作者はパラメータ設定および分析・評価結果の検討を一つの画面上で行うことができて便利である。前記「結果画面」は、分析・評価作業を通じて撮影した像や収得したスペクトルをはじめとして、記録装置625により記憶されている過去のデータなど様々なデータを表示できることとして差し支えない。
【0066】
前記システムにおいて提供される画面には、「テスト画面」「設定画面」「結果画面」を同時に表示してもよいし、また必要に応じて、このうちの任意の画面が表示されるよう構成してもよい。これら「テスト画面」「設定画面」「結果画面」に表示される画像やスペクトル像、あるいは前記各種パラメータの設定値を印刷したり、フロッピーディスク(登録商標)やハードディスク、あるいはUSBメモリをはじめとする外部記憶媒体に記録したりする装置を本システムに含めても差し支えない。
【0067】
ここで、サンプルキャリアや試料ホルダ本体に設けた配線構造を介して、試料に印加する電圧値や、試料に流れ込む電流値が増大すると、サンプルキャリアや試料ホルダ本体に設けた配線構造や、試料そのものなどが破壊する恐れがある。そこで、前記「テスト画面」「設定画面」にて入力、設定、または変更されるパラメータ(試料への印加電圧値、試料へ流し込む電流値)を監視し、ある一定以上の印加電圧値や電流値を設定しようとしたとき、当該電圧値や電流値を強制的に零にしたり、または、ある一定の値以下に書き換えたりする機能を有する「誤入力防止機能」を設けても差し支えない。また、前記、実際に試料に印加する電圧値や、実際に試料に流れ込む電流値を監視し、ある電圧設定値以上の電圧を試料に印加したり、ある電流設定値以上の電流が試料に流れ込んだりしたとき、試料と外部電源との接続を切ったり、または、電圧値や電流値を前記電圧設定値や前記電流設定値以下に落としたりする機能を有する「電圧電流制限機能」を設けても差し支えない。
【0068】
さらに、観察しようとする試料は、ひとつのサンプルキャリアにつき、観察試料1つのみを設置するに限るものではなく、複数の観察試料を設置して差し支えないことは既に述べたとおりである。システム701においては、前記複数の観察試料に外部電圧・電源印加が可能な構造となっていても差し支えない。また、システム701には、本実施例で前述した各種パラメータに、複数の観察試料に電圧・電流を印加する順序や、電圧・電流印加時間を前記パラメータに加えても差し支えない。
【実施例6】
【0069】
本発明の第6の実施例として、サンプルキャリアを2つの部品に分割した例を、図10および図11を用いて説明する。
【0070】
まず、図10(図10A、図10B)に、サンプルキャリアを、第一のサンプルキャリア801、および第二のサンプルキャリア802に分割した例を示す。図10Aはサンプルキャリアを搭載した試料ホルダ本体106の平面図、図10Bは図10Aの側断面図である。第一のサンプルキャリア801は、試料ホルダ本体に設けた第一の配線構造103に接続される第一の固定部材201と、傾斜台に固定される第二の固定部材202と、前記第一の固定部材と第二の固定部材とを接続する変型可能な接続部203と、当該接続部上に形成され前記第一の固定部材と前記第二の固定部材とを導通させる第二の配線構造105とを備えることを特徴とする。このとき、第一のサンプルキャリア801は、ソケット804に差し込むことによって傾斜台107に固定するようにしても差し支えない。また、第二のサンプルキャリア802は、試料を保持する部材806と、第三の配線構造807とを備えることを特徴とする。このとき、第二のサンプルキャリア802は、実施例1で述べた方法で傾斜台107に固定することとして差し支えない。
【0071】
ここで、傾斜台107に、第一のサンプルキャリア801に設けた第二の配線構造105と、第二のサンプルキャリア802に設けた第三の配線構造807とを接続するための配線構造805を設けるとよい(図10B)。このようにすれば、試料ホルダ本体に設けた第一の配線構造103と、第一のサンプルキャリア801に設けた第二の配線構造105と、傾斜台107に設けた配線構造805と、第二のサンプルキャリア802に設けた第三の配線構造807と、を介して、試料に外部電圧を印加することが可能となる。
【0072】
さらに、図11(図11A、図11B)に、サンプルキャリアを、第一のサンプルキャリア、および第二のサンプルキャリアに分割した他の例を示す。図11Aはサンプルキャリアを搭載した試料ホルダ本体106の底面図、図11Bは図11Aの側断面図である。この例では、第一のサンプルキャリアと試料ホルダ本体に設けた配線ケーブルとを一体化した柔構造の第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体901を試料ホルダ本体に設け、その端を、ソケット804に差し込むことによって傾斜台107に固定するようにしている。第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体901は配線ケーブル116を兼ねており、試料ホルダ本体106に設けられた給電端子、例えば図2の電流導入端子115を兼ねた給電端子に接続されている。また、第二のサンプルキャリア802は、実施例1で述べた方法で傾斜台107に固定することとして差し支えない。このとき、傾斜台107に、第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体901と、第二のサンプルキャリア802に設けた第三の配線構造807とを接続するための、配線構造805を設けるとよい。このようにすれば、第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体901と、傾斜台107に設けた配線構造805と、第二のサンプルキャリア802に設けた第三の配線構造807と、を介して、観察試料に外部電圧を印加することが可能となる。
【0073】
これらの方法を用いれば、先の実施例で説明した薄膜試料作製プロセスを行う際、サンプルキャリア全体でなく第二のサンプルキャリア802のみを試料作製装置に導入すればよいことから、試料作製装置を小型化でき、薄膜試料作製プロセスが容易になる。また、観察試料を交換する際、すべてのサンプルキャリアを着脱する必要がなくなり、その一部である第二のサンプルキャリア802のみを着脱すれば十分となるため、観察試料着脱時のハンドリングが容易となる。なお、荷電粒子線装置のひとつである電子顕微鏡での観察方法や、外部電圧・電源印加のための操作画面および操作方法に関しては、先に述べた実施例と同様で差し支えない。
【実施例7】
【0074】
本実施例では、荷電粒子線装置のひとつである透過電子顕微鏡に本発明を適用した試料分析手法の一実施例を説明する。前記透過電子顕微鏡を応用した試料の観察、分析の手法の一つとして、電子線ホログラフィ法が有力である。前記電子線ホログラフィ法は、電子の波としての性質を利用する手法で、試料を透過した電子波の位相情報から、前記試料の内部電位の二次元的な分布を取得できる。前記電子線ホログラフィ法は原理的に良好な定量性や分解能を有しており、取得した試料の内部電位の二次元的な分布から、当該試料のキャリア密度のプロファイルや、ドーパントプロファイルと称されるイオン注入領域の形状を見積もることができる。前記電子線ホログラフィ法を実現するための装置構成や結像原理は、例えば特許文献7に記載されている。
【0075】
前記電子線ホログラフィ法でデバイスを観察するためには、観察するデバイスを含むように、いわゆるマイクロサンプリング法などにより、粒子線が透過できる程度の厚さに薄膜化した試料を準備する。しかし、従来の方式では、薄膜化した試料は外部と電気的に切り離されており、デバイスは停止した状態である。一方で、半導体デバイスはプラグ、ゲートなどに電圧を印加して動作させるので、前記半導体デバイスの特性評価は、より正確には動作状態で行うことが望ましい。例えば、半導体デバイス内部のキャリア密度分布は、電圧を印加した状態と電圧を印加しない状態とでは異なるため、前記半導体デバイスの内部電位分布も、電圧を印加した状態と電圧を印加しない状態とでは異なると考えられる。また、ゲート絶縁膜の耐性を評価する際も、基板とゲート間に動作電圧を印加した状態で評価することが望ましい。
【0076】
そこで、透過電子顕微鏡を応用した試料分析手法の一実施例として、図12を用いて、試料に外部電圧を印加しながら電子線ホログラフィ法による計測を行う方法を説明する。
【0077】
(1)電子源より照射される電子線1001の一部は、観察しようとする試料1002の観察領域を透過させる。この電子線を物体波1003と呼ぶ。一方、前記試料1002は、前記観察領域(すなわち、前記物体波1003が透過する領域)の近傍に真空領域をあらかじめ設けておくものとし、前記電子線1001の一部は、前記真空領域を通過させる。この電子線を透過波1004と呼ぶ。
【0078】
(2)前記物体波1003と前記透過波1004は、対物レンズ1005を通った後、対向電極1006と電子線バイプリズム1007によって曲げられ、両者が重なり合って干渉縞1008を形成する。
【0079】
(3)撮像装置1009を用いて前記干渉縞1008を記録する。このとき、撮像装置1009として、蛍光板や、写真フィルムや、イメージングプレートや、CCDカメラなどを使用して前記干渉縞1008を記録することにしても差し支えない。
【0080】
(4)前記撮像装置1010によって記録された前記干渉縞1008を、解析装置1010を用いて解析する。前記解析装置1010における解析のプロセスは、前記干渉縞1008から前記物体波1003の位相情報を得るプロセスを含んだり、前記試料1002の観察領域における内部電位分布を抽出したりするプロセスを含んだりしても差し支えない。
【0081】
(5)前記解析装置1010で得られた解析結果を、結果表示装置1011にて表示する。図12では、解析結果表示装置1011としてディスプレイ状のものを示したが、実施例1で示した表示装置623に含めても差し支えない。また、情報入力手段1012を設け、試料の分析・評価にあたって有用な様々なパラメータを入力すると便利である。前記情報入力手段には、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス、などを含めても差し支えない。また、前記解析装置1010で得られた解析結果を印刷したり、各種記録媒体にデータを書き出したりするための記録装置1013を設けると便利である。さらに、図12では、前記撮像装置1009と、前記解析装置1010と、前記結果表示装置1011と、前記情報入力手段1012と、前記記録装置1013は接続されているが、一部または全部を一つの装置にまとめても差し支えないし、または、一部または全部を接続せず独立させてももちろん差し支えない。
【0082】
なお、前記試料1002を試料ホルダ本体106に設置する方法と、外部電圧を印加する方法と、に関しては、実施例1と同様の方法で行って差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1A】本発明の一実施例になる試料ホルダの主要部を、電子線の照射方向の逆側から見る方向(透過電子顕微鏡においては、観察室から電子銃を見る方向)からを見た平面図である。
【図1B】図1AのA−A´断面図である。
【図1C】図1Aのサンプルキャリアのみを取り出して示した平面図である。
【図2】本実施例の試料ホルダの全体的な構成の縦断面を示す図である。
【図3A】サンプルキャリアが設置されていない状態の本実施例の試料ホルダ本体および傾斜台を示す図である。
【図3B】試料ホルダ本体のソケットにサンプルキャリアの一端を挟み込み固定した状態を示す図である。
【図3C】サンプルキャリア押さえ固定ネジを用いて、サンプルキャリア押さえを傾斜台にねじ止めにより固定した状態を示す図である。
【図4A】試料ホルダ駆動機構により試料の傾斜角度を変える操作を説明する図である。
【図4B】試料ホルダ駆動機構により試料の傾斜角度を変える操作を説明する図である。
【図4C】試料ホルダ駆動機構により試料の傾斜角度を変える操作を説明する図である。
【図5A】本発明の第2の実施例の平面図である。
【図5B】図5Aの断面図である。
【図6A】サンプルキャリアの一実施例を示す図である。
【図6B】サンプルキャリアの一実施例を示す図である。
【図7】本発明の各実施例サンプルキャリアの断面形状として種々の実施例を示す図である。
【図8】荷電粒子線装置の1つである電子顕微鏡に本発明を適用した実施例を説明する図である。
【図9】図8の実施例の装置で、表示装置にて提供される操作画面の一実施例を示す図である。
【図10A】本発明の他の実施例として、2つの部品に分割されたサンプルキャリアを搭載した試料ホルダ本体の平面図である。
【図10B】図10Aの側断面図である。
【図11A】本発明の他の実施例として、2つの部品に分割されたサンプルキャリアを搭載した試料ホルダ本体の平面図である。
【図11B】図11Aの側断面図である。
【図12】本発明の透過電子顕微鏡を応用した試料分析手法の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
100:試料ホルダ、101:試料、102:サンプルキャリア、103:第一の配線構造、104:ソケット、105:第二の配線構造、106:試料ホルダ本体、107:傾斜台、108:回転ピボット、109:傾斜ピボット、110:ロッド、111:押さえバネ、112:電子線、113:サンプルキャリア押さえ、114:サンプルキャリア押さえ固定ネジ、115:電流導入端子、116:配線ケーブル、201:第一の固定部材、202:第二の固定部材、203:変型可能な接続部、
401:配線接触用ばね、402:熊手型の接触端子、501:持ち手、502:パッド、503:微細配線構造、504:導電膜、505:絶縁膜、506:基板材料、507:絶縁材料、508:ねじ穴、601:電子銃制御回路、602:1次電子線、603:照射レンズ、604:照射レンズ制御回路、605:コンデンサ絞り、606:コンデンサ絞り制御回路、607:軸ずれ補正用偏向器、608:軸ずれ補正用偏向器制御回路、609:収差補正器、610:収差補正器制御回路、611:イメージシフト用偏向器、612:イメージシフト用偏向器制御回路、613:走査用偏向器、614:走査用偏向器制御回路、615:対物レンズ、616:対物レンズ制御回路、617:電流導入端子付き試料ホルダ駆動機構、618:電流導入端子付き試料ホルダ駆動機構制御回路、619:透過電子線、620:電子検出器、621:電子検出器制御回路、622:中央処理装置、623:表示装置、624:情報入力手段、625:記録装置、626:電子銃、627:アノード、701:外部電圧・電流印加システム、801:第一のサンプルキャリア、802:第二のサンプルキャリア、804:ソケット、805:配線構造、806:試料を保持する部材、807:第三の配線構造、901:第一のサンプルキャリアと試料ホルダ本体に設けた配線構造とを一体化した構造、1001:電子線、1002:試料、1003:物体波、1004:透過波、1005:対物レンズ、1006:対向電極、1007:電子線バイプリズム、1008:干渉縞、1009:撮像装置、1010:解析装置、1011:結果表示装置、1012:情報入力手段、1013:記録装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料分析装置用の試料ホルダであって、
試料ホルダ本体と、
開口部を有し、該試料ホルダ本体に回転可能に保持された傾斜台と、
前記傾斜台を傾斜させる試料傾斜機構と、
前記傾斜台とは離間して前記試料ホルダ本体に設けられた給電端子と、
試料の固定部を有し、該固定部に固定された前記試料が前記開口部内に面するようにして前記試料ホルダ本体に保持されるサンプルキャリアとを備え、
前記サンプルキャリアは、
単一または複数の配線構造が該配線構造を覆う絶縁材料と一体形成され、前記給電端子に接続される第一の固定部材と、
前記配線構造と前記絶縁材料が一体形成され、前記試料の固着部に接続される第二の固定部材と、
前記配線構造と前記絶縁材料が一体形成され、前記第一の固定部材及び前記第二の固定部材に対して柔構造に形成された接続部とを備えており、
前記第一の固定部材、前記第二の固定部材及び前記柔構造の接続部の前記配線構造を介して、前記給電端子と前記試料の固着部とを電気的に接続する
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項2】
請求項1において、
前記傾斜台とは離間して前記試料ホルダ本体に設けられ、前記給電端子に接続された第一の配線構造を備えた案内部と、
試料の固定部を有し、前記試料ホルダ本体及び前記傾斜台に保持されるサンプルキャリアとを備え、
前記サンプルキャリアは、
前記案内部に接続可能な前記第一の固定部材と、
前記傾斜台に固定される前記第二の固定部材と、
前記第一の固定部材と前記第二の固定部材とを接続する前記柔構造の接続部と、
前記第一の固定部材、前記接続部、及び前記第二の固定部材と一体的に形成され、前記第一の配線構造と前記試料の固着部とを電気的に接続する第二の配線構造とを備える
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項3】
請求項1において、
前記サンプルキャリアは、
前記第一の固定部材、前記接続部、前記第二の固定部材及び前記第二の配線構造が単一の部材として一体的に形成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項4】
請求項1において、
前記サンプルキャリアは、
前記第一の配線構造の一部を構成する部材として、前記試料ホルダ本体に保持される熊手型の接触端子を有し、該接触端子を介して前記第二の配線構造と電気的に接続するように構成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項5】
請求項1において、
前記サンプルキャリアは、
前記第一の固定部材と、前記第二の固定部材と、前記接続部と、前記第二の配線構造が単一の部材として一体的に形成された第一のサンプルキャリアと、
前記試料の固定部と、該試料の固着部と電気的に接続された第三の配線構造とが単一の部材として一体的に形成された第二のサンプルキャリアとを備え、
前記試料ホルダ本体は、前記第二の配線構造と第三の配線構造とを電気的に接続する第四の配線構造を備えている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項6】
請求項1において、
前記第二の配線構造は、絶縁材料層の表面に形成された導電膜で構成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項7】
請求項1において、
前記第二の配線構造は、絶縁材料層内部に形成された導電膜で構成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項8】
請求項1において、
前記配線構造は、導電性を有する母材の表面の一部または全部を絶縁膜で覆い、該絶縁膜の一部または全部の上に形成された導電膜で構成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項9】
請求項8において、
前記導電膜は、絶縁膜で全部が包み込まれている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項10】
請求項1において、
前記第一の配線構造、および前記第二の配線構造を介して、前記給電端子から前記試料に電圧を印加する手段を備える
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項11】
試料分析装置用の試料ホルダであって、
試料ホルダ本体と、
開口部を有し、該試料ホルダ本体に回転可能に保持された傾斜台と、
前記傾斜台を傾斜させる試料傾斜機構と、
前記傾斜台とは離間して前記試料ホルダ本体に設けられた給電端子と、
観察用試料の固定部を有し、該固定部に固定された前記試料が前記開口部内に面するようにして前記試料ホルダ本体に保持されるサンプルキャリアと、
前記傾斜台に設けられた第四の配線構造とを備え、
前記サンプルキャリアは、第一のサンプルキャリアと第二のサンプルキャリアの2部材で構成されており、
前記第一のサンプルキャリアと前記試料ホルダ本体に設けた配線ケーブルとを一体化した第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体が前記試料ホルダ本体に設けられ、
前記第二のサンプルキャリアは、前記試料の固定部と、該試料の固着部と電気的に接続された第三の配線構造とが単一の部材として一体的に形成され、
前記第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体と、前記傾斜台に設けられた第四の配線構造と、前記第二のサンプルキャリアに設けられた前記第三の配線構造を介して、前記給電端子から前記観察試料に外部電圧を印加するように構成され、
前記第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体は、前記第三の配線構造及び前記第四の配線構造に対して柔構造に形成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項12】
請求項11において、
前記第一のサンプルキャリア兼配線ケーブルの構造体は、絶縁材料層の表面もしくは内部に形成された導電膜で構成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項13】
試料傾斜機構を備えた試料ホルダを有する試料分析装置であって、
試料を保持するサンプルキャリアと、
前記試料に荷電粒子線を照射する荷電粒子線照射光学系と、
前記荷電粒子線の照射により生じる二次的な荷電粒子線を検出する検出器を少なくとも備え、
前記試料ホルダは、
試料ホルダ本体と、
開口部を有し、該試料ホルダ本体に回転可能に保持された傾斜台と、
前記傾斜台を傾斜させる試料傾斜機構と、
前記傾斜台とは離間して前記試料ホルダ本体に設けられた給電端子と、
試料の固定部を有し、該固定部に固定された前記試料が前記開口部内に面するようにして前記試料ホルダ本体に保持されるサンプルキャリアとを備え、
前記サンプルキャリアは、
単一または複数の配線構造が該配線構造を覆う絶縁材料と一体形成され、前記給電端子に接続される第一の固定部材と、
前記配線構造と前記絶縁材料が一体形成され、前記試料の固着部に接続される第二の固定部材と、
前記配線構造と前記絶縁材料が一体形成され、前記第一の固定部材及び前記第二の固定部材に対して柔構造に形成された接続部とを備えており、
前記第一の固定部材、前記第二の固定部材及び前記柔構造の接続部の前記配線構造を介して、前記給電端子と前記試料の固着部とを電気的に接続する
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記傾斜台とは離間して前記試料ホルダ本体に設けられ、前記給電端子に接続された第一の配線構造を備えた案内部と、
試料の固定部を有し、前記試料ホルダ本体及び前記傾斜台に保持されるサンプルキャリアとを備え、
前記サンプルキャリアは、
前記案内部に接続可能な前記第一の固定部材と、
前記傾斜台に固定される前記第二の固定部材と、
前記第一の固定部材と前記第二の固定部材とを接続する前記柔構造の接続部と、
前記第一の固定部材、前記接続部、及び前記第二の固定部材と一体的に形成され、前記第一の配線構造と前記試料の固着部とを電気的に接続する第二の配線構造とを備える
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項15】
請求項13において、
前記サンプルキャリアは、
前記第一の固定部材、前記接続部、前記第二の固定部材及び前記第二の配線構造が単一の部材として一体的に形成されている
ことを特徴とする試料分析装置用の試料ホルダ。
【請求項16】
請求項13において、
前記第二の配線構造は、絶縁材料層の表面に形成された導電膜で構成されている
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項17】
請求項13において、
前記検出器で検出した信号を画像化する手段を備え、
当該画像を表示する表示手段を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項18】
請求項13において、
前記試料ホルダがサイドエントリ式の試料ホルダを含むことを特徴とする試料分析装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記サイドエントリ式の試料ホルダは、
前記試料を作製するための試料作製装置と共通使用可能であることを特徴とする試料分析装置。
【請求項20】
請求項13において、
前記試料ホルダは、前記試料を作製するための試料作製装置と共通使用可能であることを特徴とする試料分析装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−44999(P2010−44999A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209948(P2008−209948)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】