説明

試料検査方法及び試料検査装置

【課題】 本発明は探針による試料電位分布像の取得方法及び装置に関し、試料の微小電圧変動を捉えることが可能な探針による試料電位分布像の取得方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 試料14のパターン面に接触させる第1の探針と第2の探針とからなる2本の探針11,12と、試料14上を電子ビーム又はイオンビームで走査する走査手段と、試料14上の任意の位置の電位を前記2本の探針を用いて検出する電位検出手段18と、該電位検出手段18の出力と電子ビーム又はイオンビームとを同期させて試料電位分布像を取得する取得手段21とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探針を用いた試料検査方法及び試料検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走査電子顕微鏡(SEM)中で試料の物性を測定する試料検査装置としては、電子ビーム誘導電流(EBIC)法を用いた検査装置、電子ビームLSIテスタ、カソードルミネッセンス法を用いた検査装置等が知られている。これらのうち、カソードルミネッセンス法を用いた検査装置は、光物性の手法で試料の物性を測定するものである。また、EBIC法を用いた検査装置は、通常、パッドと呼ばれる面積の広い電極に接触された探針に接続された配線、又はパッドにワイヤボンディングされた配線をSEMの試料室の外に引き出し、SEM外でEBICを測定するものである。
【0003】
従来のこの種の装置としては、試料に集束電子線を照射し、集束電子線の照射位置を制御する手段と、2次電子検出器と、尖った先端を有する複数の探針と、該探針間に電圧を印加するための電圧源と、探針間に流れる電流を計測するための電流計と、探針間に流れる電流値を電子線照射位置に対応させて記憶する手段を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、SEMを基体とし、この中に2本以上の金属性のマイクロ探針を装着させ、これを精度よく作動させ、セラミックスの微細領域の電気的特性を正しく把握できるようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、電子顕微鏡又はFIB(Focused Ion Beam)装置を用いて試料の欠陥を検査する方法がある。この方法は、試料を電子ビーム又はイオンビームで走査した時の試料上の電位をコントラストの差として観察できるようにしたものである。この電位コントラスト観察法は、試料上に電子ビーム又はイオンビームを照射した際の、チャージアップ現象から得られる異常電位を2次電子の輝度変化として画像化するものである。
【0006】
【特許文献1】特開2001−185593号公報(第4頁、第5頁、図1)
【特許文献2】特開平10−214584号公報(第3頁、第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電位コントラスト観察法は、試料における正の帯電部位と負の帯電部位との2次電子放射効率の差を画像として認識していたため、微小電圧変動を捉えることが不可能であった。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、試料の微小電圧変動を捉えることにより試料の検査を行うことができる試料検査方法及び試料検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく第1の試料検査方法は、探針を試料上の所定の位置に接触させ、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、前記探針から取り出される信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて検出することにより試料電位分布像を取得することを特徴とする。
【0010】
本発明に基づく第2の試料検査方法は、探針を試料上の所定の位置に接触させ、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査した時に、該探針に流れる吸収電流、或いは該探針の電圧を、当該電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像を取得することを特徴とする。
【0011】
本発明に基づく第3の試料検査方法は、試料上に設けられた配線パターンの一端を接地し、前記配線パターンの他端に、探針を介して電圧検出器を接続し、試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査した時に、前記電圧検出器により検出された信号を、当該電子ビーム又はイオンビーム走査に同期させて画像を取得し、これにより取得された画像と、前記ビーム走査により得られる2次電子像又は反射電子像とを加算することを特徴とする。
【0012】
本発明に基づく第4の試料検査方法は、第1及び第2の探針を、それぞれ試料の配線上における第1の位置及び第2の位置に接触させ、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、前記探針のうちの一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出するとともに、前記探針のうちの他方の探針を介して当該ビーム走査時における電流を検出し、検出された電圧及び電流に基づいて、前記試料上での前記探針間に位置する配線部分の抵抗値を取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に基づく第1の試料検査装置は、試料上に接触させる探針と、試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査する走査手段と、前記探針を介して試料上の電位を検出する電位検出手段と、該電位検出手段の出力と電子ビーム又はイオンビームの走査とを同期させて試料電位分布像を取得する画像取得手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明に基づく第2の試料検査装置は、試料上に接触させる探針と、試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査する走査手段と、試料を流れる吸収電流又は試料の電圧を前記探針を介して検出する検出手段と、検出された信号と電子ビーム又はイオンビームの走査とを同期させて画像を取得する画像取得手段とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明に基づく第3の試料検査装置は、試料に接触される第1及び第2の探針と、前記試料上に電子ビーム又はイオンビームを走査させる走査手段と、前記探針のうちの一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出する電圧検出手段と、前記探針のうちの他方の探針を介してビーム走査時における電流を検出する電流検出手段と、検出された電圧及び電流に基づいて抵抗値を取得する抵抗値取得手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に基づく第1の試料検査方法によれば、探針から得られる信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像を取得することができ、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0017】
本発明に基づく第2の試料検査方法によれば、探針に流れる吸収電流又は探針の電圧の信号を、電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像するようにしているので、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0018】
本発明に基づく第3の試料検査方法によれば、試料に設けられた配線の電圧信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて得られた画像と、試料の2次電子像又は反射電子像とを加算することにより、試料上での異常部位の位置を特定することができる。
【0019】
本発明に基づく第4の試料検査方法によれば、一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出するとともに、他方の探針を介して当該ビーム走査時における電流を検出し、検出された電圧及び電流に基づいて、試料上での両探針間に位置する配線部分の抵抗値を取得するようにしているので、当該配線部分の抵抗値を容易に検出することができる。
【0020】
また、本発明に基づく第1の試料検査装置によれば、探針を介して得られる試料上の電位信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像を取得することができ、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0021】
本発明に基づく第2の試料検査装置によれば、探針を介して得られる吸収電流又は試料の電圧の信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて画像を取得するようにしているので、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0022】
本発明に基づく第3の試料検査装置によれば、一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出するとともに、他方の探針を介して当該ビーム走査時における電流を検出し、検出された電圧及び電流に基づいて、試料上での両探針間に位置する配線部分の抵抗値を取得するようにしているので、当該配線部分の抵抗値を容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の第1の実施の形態例を示す構成図である。同図において、1は入射電子ビーム/イオンビームである。ここで、記号「/」は「又は」の意味に用いる(以下同じ)。2は走査コイルを駆動する走査コイル駆動回路、3は該走査コイル駆動回路2で駆動される走査コイルである。4は対物レンズを駆動する対物レンズ駆動回路、5は該対物レンズ駆動回路4で駆動される対物レンズである。
【0025】
6は試料から発生する信号(例えば2次電子信号)を検出する検出器、7は該検出器6の出力を増幅するアンプ、8は該アンプ7の出力をディジタル画像データに変換するA/D変換器である。9は探針(詳細後述)を移動させるための制御信号を発生する探針移動制御回路、10は該探針移動制御回路9の出力を受ける探針移動回路、11は該探針移動回路10によりその位置が移動される第1の探針、12は第2の探針である。13a、13bはこれら探針11,12を駆動するマニピュレータである。該マニピュレータ13a,13bとしては、例えばピエゾ素子が用いられる。
【0026】
14は試料、15は該試料14を移動させる試料ステージである。16は試料ステージ15を移動させるための制御信号を発生するステージ駆動制御回路、17は該ステージ駆動制御回路16の出力を受けて試料ステージ15をX,Y,Z,R,T方向に駆動するステージ駆動回路である。19は第2の探針12からの電圧信号を伝達する同軸ケーブル、18は該同軸ケーブル19に接続され、試料上の所定の位置の電圧信号を増幅する電圧検出アンプ・電圧計である。図では示されていないが、電圧検出アンプ・電圧計18の出力は、図示しないA/D変換器でディジタル画像データに変換された後に、バス20に与えられるようになっている。
【0027】
バス20は、走査コイル駆動回路2、対物レンズ駆動回路4、A/D変換器8、移動制御回路9、電圧検出アンプ・電圧計18及びステージ駆動制御回路16と接続される。21は該バス20と接続され、前記各構成要素の制御を行なうコンピュータ(画像取得手段)である。22はコンピュータ21に接続され、所定の情報を記憶するメモリである。23はコンピュータ21と接続され、試料14の電位分布像等を表示する画像表示部である。該画像表示部23としては、例えばCRTや液晶表示器等が用いられる。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0028】
入射電子ビーム/イオンビームは、走査コイル3によって試料14上を走査しており、試料14上の走査点から発生する2次電子は、検出器6により検出される。検出器6からの検出信号はアンプ7で増幅された後、A/D変換器8でディジタル信号データに変換される。A/D変換器8の出力は、バス20を介してコンピュータ21に入り、コンピュータ21で画像化され、これにより画像が取得される。この画像は画像表示部23に表示される。コンピュータ21は、この画像に基づいて針当てする部位を特定する。
【0029】
画像内で特定された部位に針当てするため、コンピュータ21からバス20経由で、マニピュレータを駆動する探針移動制御回路9を制御する信号を発生し、この信号を受ける探針移動回路10で、マニピュレータ13a,13bを駆動する。そして、マニピュレータ13a,13bの先端に取り付けた探針11,12を操作する。探針11,12は電気的に他の部位から絶縁されており、電圧の検出が可能となっている。
【0030】
試料14上での特定の部位に接触した探針12の先端から同軸ケーブル19,アンプ・電圧計18を経由して電圧測定を行なう。この時、探針移動制御回路9,探針移動回路10は、電子顕微鏡又はイオンビーム装置内で正確な位置決めを実現するため、10nm以下の移動分解能を有しており、また探針11,12は試料14へのアプローチを容易にするため、30度以上傾斜させている。また、アプローチ期間は探針及び試料を接地しておき、放電による探針の破損を防止している。
【0031】
コンピュータ21は、検出器6及びアンプ7を介して得られた情報を、リアルタイムに観察画面上に表示し、かつ2次電子像、電位分布像の加算を行なう。このようにすれば、試料の走査画像は位置情報を持っているので、試料の電位分布像に試料の走査像を重ねて表示することにより、異常部位の位置を確認することができる。
【0032】
この実施の形態例によれば、第1の探針11に対する第2の探針12から得られる信号を電子ビーム/イオンビーム走査に同期させて画像表示部23に階調表示することができ、試料の物性の微小変動を捉えることが可能となる。
【0033】
図2は本発明の要部の第1の実施例を示す図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図は、試料14に形成された配線パターン(配線)14aの所定の位置に第1の探針11と第2の探針12が接触した状態を示している。第1の探針11は接地されており、第2の探針12は試料14の所定の位置に接触され、固定されている。そして、該第2の探針12から取り出された電圧信号は、同軸ケーブル19を介して続く電圧検出アンプ・電圧計18に入り、電位分布像として取り出される。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0034】
2本の探針11,12を目標位置に接触させた後、探針11を接地する。探針12は電圧検出アンプ・電圧計18へシーケンシャルに接続される。集束された電子ビーム/イオンビームが配線パターン14a上での図のB点に照射されると、B点から2次電子が発生する。この時のビーム照射による照射電流と2次電子発生による電流の差が吸収電流となる。この吸収電流は、配線14内において、例えば接地点からB点に向けて流れる。電子ビーム/イオンビームがA点を照射した場合も同様に吸収電流が流れる。
【0035】
この時、配線4aは同一物質で作成されるため、2次電子放出効率は一様である。従って、照射電流が一定であれば、吸収電流量は配線上どの点でも等しくなる。このように、接地点からB点に流れる吸収電流と、接地点からA点に流れる吸収電流とが等しい場合、接地点とB点間における配線部分の抵抗値は、接地点とA点間における配線部分の抵抗値より小さくなり(A点に比べてB点の方が接地点に近いので)、等しい吸収電流による電圧降下(電圧変化)はB点に対してA点の方が大きくなる。これを電圧検出アンプ・電圧計18により検出し、電子ビーム/イオンビームの走査に同期させ、階調表示すると試料に設けられた配線の電位分布像が得られる。このように、この実施の形態例によれば、第1の探針11に対する第2の探針12から得られる信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて画像メモリ22に一旦取り込む。この場合において、電位分布像を取り込みながら画像表示部23に表示させることができる。或いは、画像メモリに取り込んだ画像データを任意のタイミングで読み出して画像表示部23に表示することができ、試料14の微小電圧変動を捉えることが可能となる。
【0036】
なお、この場合において、第2の探針12から得られた信号を同軸ケーブル19を介して電圧検出アンプ・電圧計18に入力する場合において、電圧検出アンプ・電圧計18を真空内に設置することも可能である。電圧検出アンプ・電圧計18は鏡筒の外側に設置することも、鏡筒内の真空内に設置することも可能である。真空内に設置すると、同軸ケーブル19を介して外部より侵入するノイズを低減することができ、ノイズの影響を排除して電位分布像のみを見ることが可能となる。
【0037】
この結果、配線内に抵抗分布の不連続、不均一な箇所があれば、それは画像上濃淡のコントラストから特定が可能となる。得られた電圧分布は、各画素毎に電位情報を有している。そこで、画像を表示する際、その電圧情報から等電圧表示(等電位線表示)機能を選
択して表示するようにすることができる。
【0038】
図3は本発明の要部の第2の実施例を示す図である。図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。この第2の実施例では、抵抗を介して第1の探針11を接地している例を示している。図では、抵抗として可変抵抗25を用いたものを示している。図では、吸収電流は探針11から接地点の方向に流れるように記載されているが、これに限るものではなく、接地電位から探針11の方へ流れる場合もある。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0039】
配線14aの抵抗値が小さく、電圧の検知が困難な場合、抵抗25を介して第1の探針11を接地する。抵抗25には吸収電流が流れるので、電圧降下が生じる。即ち、第1の探針11にはオフセットが乗る。従って、第2の探針12もオフセットが乗った状態で信号を取り出すことになる。このように、この実施の形態例によれば、オフセットを乗せ、低抵抗配線を備える試料14の電位分布像を得ることが可能となる。なお、第1の探針11が接続される抵抗としては、固定抵抗、可変抵抗の何れも使用することができる。可変抵抗を用いると、オフセットの量を容易に最適化することができる。
【0040】
図4は本発明の要部の第3の実施例を示す図である。図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。図に示す実施の形態例は、電圧検出アンプ・電圧計18の出力側に微分回路26を設けて、微分回路26の出力を画像表示部23(図1参照)に表示するようにしたものである。電圧検出アンプ・電圧計18の出力をEとし、微分回路26の出力をVとすると、Vは次式で表わされる。
【0041】
V=dE/dx
ここで、xは試料14に設けられた配線パターン14a内の単位長さを示す。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。第1の探針11を接地しておき、第2の探針12を図に示す位置で配線パターン14aに接触させておく。この状態で試料14を電子ビーム/イオンビームで走査すると、試料14の表面からは2次電子が発生する。この発生した2次電子は、検出器6で検出され、アンプ7で増幅された後、続くA/D変換器8でディジタル画像データに変換される。コンピュータ21は、このディジタル画像データに所定の画像処理を施した後、画像表示部23に表示させる。
【0042】
一方、電子ビーム/イオンビームが試料14の表面を走査するにつれて、第1の探針11には、入射ビーム電流と2次電子との差に相当する吸収電流が流れる。吸収電流が配線パターンを流れることにより、所定の走査位置に発生する電圧信号は、電圧検出アンプ・電圧計18で検出される。検出された電位分布像信号は、続く微分回路26で微分される。この結果、輝度の変化の激しい部位では、微分値が高くなる。輝度の変化の少ない部位では微分値が低くなる。このような信号を、電子ビーム/イオンビームの走査に同期して検出し、検出した信号を画像表示部23に供給して、試料電位分布像を階調表示させると、電位分布像の変化の激しい部分が強調された画像が得られることになる。このように、この実施例によれば、位置毎の変化点の変化の大小を目視で確認することができる。なお、上述の実施の形態例では、電圧検出アンプ・電圧計18の出力を微分した場合を例にとった。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、探針12の出力振幅が大きい場合には、この探針12の出力を微分するようにすることもできる。
【0043】
ここで、微分値が所定の一定の大きさを越える部位をカラーで表示することができる。このようにすれば、変化の大きい部位の目視観察が更に分かりやすくなる。
【0044】
図5は本発明の第2の実施の形態例を示す構成図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図5において、図1と異なる構成部分のみについて説明する。その他の構成は図1と同じである。図において、30は試料ステージ15に載置された絶縁部で
ある。該絶縁部30の上に試料14が載置されている。31は試料14の所定の位置にマーキングするデポジションユニット、32は該デポジションユニット31を制御する制御回路である。33は第2の探針12からの電圧信号を受ける電圧アンプ、34は第1の探針11からの吸収電流を受ける電流アンプである。電圧アンプ33及び電流アンプ34の出力はバス20に接続されている。これら電圧アンプ33の出力と、電流アンプ34の出力は、図示しないA/D変換器によりディジタル画像データに変換された後、バス20に与えられるようになっている。
【0045】
図6は試料ステージ部の実施例を示す図である。試料ステージ15の上には絶縁部30が設けられ、該絶縁部30の上には試料14が載置されている。試料ステージ15は接地されている。試料14は、スイッチSW1を介して試料ステージ15と電気的に接続される。従って、スイッチSW1の共通接点dがa接点と接続されると、試料14の電位は試料ステージ15を介して接地電位となり、またスイッチSW1の共通接点dがb接点と接続されると、試料14は電気的に浮いた状態(試料ステージ15と絶縁された状態)となる。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0046】
入射電子ビーム/イオンビームは、走査コイルによって試料上を走査しており、試料上の走査点から発生する2次電子は、検出器6により検出された後、アンプ7で増幅された後、続くA/D変換器8によりディジタル画像データに変換された後、バス20を経由してコンピュータ21に入る。コンピュータ21は、このディジタル画像データを画像表示部23に表示し、この表示された画像に基づいて針当てする部位を特定する。
【0047】
画像内で特定された部位に針当てするため、コンピュータ21からバス20経由で探針移動制御回路9を制御し、探針移動回路10でマニピュレータ13a、13bの先端に取り付けた探針11,12を操作する。探針11,12は電気的に他の部位から絶縁されており、電圧の検出もしくは電流の検出が可能となっている。試料14の特定の部位に接触した探針11,12は、それぞれにおいて、電圧アンプ33又は電流アンプ34又は接地点への接続の切り替えが可能である。接触させる部位にアプローチしている間は、探針を接地しておき、放電による探針の破損を防止している。
【0048】
試料14において、断線部位を特定する場合は、探針11は電流アンプ34に接続され、抵抗異常箇所を特定する場合は、電圧アンプ33に切り替えが可能である。また、試料において、複数の探針を用いて特定の部位を接地端子として電位を検出する場合は、スイッチSW1をb接点側に切り替え、絶縁部30によって試料ステージ15(接地電位)から切り離される。
【0049】
この実施例では、配線内に抵抗分布の不連続、不均一な箇所があれば、電位分布像の画像上の濃淡のコントラストから不良箇所の特定が可能となる。試料のパターンに断線部がある場合、試料の断線部位からは吸収電流が検出されないので、断線部位を特定することができる。
【0050】
この実施の形態例によれば、電子ビーム又はイオンビームで試料上を走査し、得られた画像より針当てする部位を特定し、特定した部位に探針を移動機構を用いて接触させ、該探針に流れる吸収電流又は電圧信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて画像表示部23に表示するようにしているので、試料の微小電圧変動を捉えることが可能となる。
【0051】
このようにして試料の異常箇所が特定されると、コンピュータ21は制御回路32を駆動し、デポジションユニット31から試料の特定部位にマーキングを行なうことで、試料の不良部位がどこにあるかを目視で確認することができる。
【0052】
さらに、図7に、この実施の形態において適用される変形例を示す。当該変形例においては、探針11(第1の探針)を、試料14上に設けられた配線パターン14aの第1のパッド14b(第1の位置)に接触させる。また、探針12(第2の探針)を、この配線パターン14aの第2のパッド14c(第2の位置)に接触させる。各探針11,12のパッド14b,14cへの接触後、探針11は電圧アンプ33に接続され、探針12は電流アンプ34に接続される。
【0053】
この状態で、試料14上を電子ビーム又はイオンビームで走査する。そして、このビーム走査時において、探針11を介して電圧アンプ33により電圧を検出するとともに、探針12を介して電流アンプ34により電流を検出する。
【0054】
このようにして電圧アンプ33及び電流アンプ34により検出された各検出信号(電流信号及び電圧信号)は、バス20を介してコンピュータ21に送られる。コンピュータ21は、検出された電圧値及び電流値に基づいて、試料14上での2つの探針11,12間に位置する配線部分の抵抗値を演算により求める。この抵抗値を求める際には、当該電圧値を当該電流値により除算し、この除算結果が抵抗値となる。コンピュータ21により求められた抵抗値は、画像表示部23により表示される。
【0055】
なお、探針11,12は、配線パターン14aの両端に設けられたパッド14b,14cに接触させる場合に限定されず、当該パッド14b,14c間に位置する配線パターン14a上の任意の位置を第1の位置及び第2の位置として接触するようにしてもよい。
【0056】
例えば、試料14上を電子ビーム又はイオンビームで走査した際に検出される試料の吸収電流像若しくは電位分布像から配線パターン14aの欠陥点(不良部位)が特定されている場合には、配線パターン14a上において、当該欠陥点を間に挟む第1の位置及び第2の位置に探針11,12を接触させる。
【0057】
すなわち、図7に示す配線パターン14aのC点が高抵抗となる欠陥点であることが特定されている際には、配線パターン14aにおいて当該C点を間に挟むC1点及びC2点を第1の位置及び第2の位置とする。そして、当該C1点に探針11を接触させるとともに、当該C2点に探針12を接触させる。
【0058】
この状態で、上述のごとく電圧値及び電流値から抵抗値を算出すれば、当該欠陥点(C点)の抵抗値をより正確に求めることができる。
【0059】
図8は本発明の第3の実施の形態例を示す構成図である。図5と同一のものは、同一の符号を付して示す。この実施の形態例は、電子ビーム照射装置に加えて、イオンビーム照射装置が設けられている点が特徴である。イオンビーム照射装置において、40は入射イオンビーム、41はイオンビームを偏向させるビーム偏向器、42はイオンビームを試料14上に照射する対物レンズである。43はビーム偏向器41を制御する偏向器駆動回路である。その他の構成は、図5と同じである。イオンビーム用鏡筒は、電子ビームで観察する視野と同一部分の観察が行なえるように配置されている。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0060】
先ず、前述したものと同様の操作により、電子ビーム照射装置を用いて試料14の電位分布像を得る。この電位分布像から試料14の異常部位をコンピュータ21が特定する。このようにして異常部位が特定されたら、コンピュータ21はバス20を介して偏向駆動回路43に偏向制御信号を送り、試料14の特定の部位をイオンビーム40で削って試料14を薄片化する。
【0061】
図9は試料の薄片化の説明図である。試料14の特定の位置をイオンビームを照射することにより削ると、図9の試料斜視図に示すような薄片45が形成される。図10は薄片の断面を示す。このように試料14を薄片化した後、薄片45の断面を電子ビーム照射装置を用いて照射し、薄片45の断面のSEM像を得る。このSEM像から異常箇所の様子を認識することができる。また、当該薄片45のTEM像を得ることができれば、そのTEM像から異常箇所の様子を認識することもできる。このように、この実施の形態例によれば、特定した不良部位をイオンビームで照射することにより薄片化し、当該薄片化した断面を電子ビーム照射により画像として表示させるので、不良部位の状態を目視で確認することができる。
【0062】
また、この実施の形態例によれば、微小ピンセットを用いて薄片化した試料を他の場所へ移すことが可能になったため、複数の異常箇所を効率よく薄片化し、その場所を見失うことがなくなる。
【0063】
なお、図8の実施の形態例では、電子ビーム鏡筒が垂直、イオンビーム鏡筒が傾斜する場合を示しているが、本発明はこれに限るものではなく、イオンビーム鏡筒を垂直、電子ビーム鏡筒を傾斜する構成にすることもできる。
【0064】
図11は本発明の要部の第4の実施例を示す図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、1は電子ビーム、14は試料である。試料14は接地されている。46は異物、12は試料14の所定の位置に接触された探針である。47は該探針12からの電圧信号をスイッチSW2で受けて増幅する電圧アンプである。スイッチSW2の共通接点dがa接点に接続される場合は、探針12の取り出し信号がそのまま電圧アンプ47に接続される。CはスイッチSW2のb接点と接続されたコンデンサである。スイッチSW2の共通接点dがb接点に接続される場合には、探針12の取り出し信号がコンデンサCを介して電圧アンプ47に接続される。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0065】
試料14を接地した場合、試料内部における抵抗と吸収電流の流入経路により、試料表面の電位は変化する。電子ビーム1が異物46に照射された場合、異物46からの2次電子放出によって、試料吸収電流が試料14の内部に流入する。この時、異物46の抵抗が大きいと、探針12により検出される電圧は大きくなり、吸収電流が少ないと電圧は小さくなる。この検出電圧信号を電圧アンプ47で増幅して画像化することが可能である。また、電圧アンプ46の前段にコンデンサCを配置し、探針12からの取り出し信号の内の変動成分のみを検出するようにして、ベース電位の影響を受けない電位分布像の取得が可能となる。
【0066】
図12は本発明の第4の実施の形態例を示す構成図である。図5と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、48は試料14の温度を一定に制御する冷却加熱ステージ、49は該冷却加熱ステージ48と接続され、試料14の温度を測定すると共に該試料冷却加熱ステージ48を駆動する温度測定・制御ユニットである。該温度測定制御ユニット49はコンピュータ21により制御される。その他の構成は、図5と同じである。このように構成される装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0067】
図12に示す電位分布像測定・表示機能は、図5に示す装置と同じである。この場合において、温度によって顕在化する不良、故障、異物の特定のため、電位分布測定装置において、試料冷却加熱ステージ48を温度測定・制御ユニット49によって駆動することにより、試料温度を変化させることができる。このように構成すれば、試料温度を変化させることにより試料の不具合部分を顕在化することができ、試料温度毎の電位分布像を得ることができる。
【0068】
上述の実施の形態例では、探針を2本用いた場合を例にとったが、本発明はこれに限るものではなく、3本以上の探針を用いることができる。これにより、試料上の複数回路の電位分布を検出することが可能となる。
【0069】
以上、説明した本発明の効果を以下に列挙する。
【0070】
1.電子顕微鏡/イオンビーム装置内において、電子ビーム照射部位の電圧を検出することが可能になり、試料の電位分布を画像表示することが可能になる。
【0071】
2.探針移動機構は10nm以下の移動分解能を有するため、微小領域へ探針を接触することが可能となる。
【0072】
3.探針移動機構を複数設置することにより、複数点の電位分布を同時に検出することが可能となる。
【0073】
4.探針の設置角度は30度以上であり、試料へのアプローチが容易となる。
【0074】
5.試料上に設けられた配線パターンの一端を接地させ、他端に電圧計を接続し、この状態で配線パターンに沿って当該配線パターンに電子ビーム/イオンビームを照射し、電圧計により電圧(接地電位に対する電位差)を検知し、その高低を電子ビーム/イオンビーム走査に同期させて画像表示することにより、電子ビーム照射領域の電位分布像を取得することが可能になる。
【0075】
6.アンプ・電圧計を真空内に設置できるので、高感度、低ノイズの電位分布像を検出することが可能となる。
【0076】
7.探針を目標位置に接触させる前は、探針をグランド(GND)電位に固定し、接触後、アンプ・電圧計に接続するシーケンスを有するため、探針の放電による試料ダメージを無くすことが可能となる。
【0077】
8.得られた電位分布を等電位線で表示する機能、或いはフィルタを設けることにより、所定の電圧部分、所定範囲の電圧部位を選択表示する機能を設けることによって、不良部位の特定が容易になる。
【0078】
9.得られた電位分布像と2次電子像をリアルタイムに観察画面上に表示し、また加算する機能を設けることによって、不良部位の形状情報と不良部位情報を同時に観察することが可能になる。
【0079】
10.電子ビーム又はイオンビームを用いた顕微鏡に、単数〜複数の探針移動機構を備
え、電位検出アンプ、吸収電流検出アンプを搭載したため、抵抗異常箇所、断線部位両方を1台の装置で特定することが可能になる。
【0080】
11.電子ビーム又はイオンビームによる電位検出法、吸収電流法により不良部位を特定し、その部位を同一試料室内においてイオンビームで薄片化することができるため、工程のスループットを向上させることができる。
【0081】
12.電子ビーム又はイオンビームによるデポジション機能を有し、不良部位にマーキングすることができる。
【0082】
13.微小ピンセットを用いて薄片化した試料を他の場所へ移すことが可能になったため、複数の異常箇所を効率よく薄片化し、その場所を見失うことがなくなる。
【0083】
14.単位長さ当たりの電圧変化が一定の大きさを越える部位をカラー表示することによって、不良箇所の絞り込みが容易になる。
【0084】
15.試料冷却機能を有することで、特定温度で発現する不良部位を特定することが可能になる。
【0085】
16.検出部分で信号を微分し画像化することによって、電圧分布の変化率が異なる不良箇所が容易に特定可能となる。
【0086】
17.表示画面にカラー表示機能を加え、部位特定を自動で行なうことが可能になる。
【0087】
このように、本発明に基づく第1の試料検査方法は、探針を試料上の所定の位置に接触させ、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、前記探針から取り出される信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて検出することにより試料電位分布像を取得する。よって、探針から得られる信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像を取得することができ、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0088】
また、本発明に基づく第2の試料検査方法は、探針を試料上の所定の位置に接触させ、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査した時に、該探針に流れる吸収電流、或いは該探針の電圧を、電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像を取得する。よって、探針に流れる吸収電流又は探針の電圧の信号を、電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像するようにしているので、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0089】
さらに、本発明に基づく第3の試料検査方法は、試料上に設けられた配線パターンの一端を接地し、前記配線パターンの他端に、探針を介して電圧検出器を接続し、試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査した時に、前記電圧検出器により検出された信号を、当該電子ビーム又はイオンビーム走査に同期させて画像を取得し、これにより取得された画像と、前記ビーム走査により得られる2次電子像又は反射電子像とを加算する。よって、試料に設けられた配線の電圧信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて得られた画像と、試料の2次電子像又は反射電子像とを加算することにより、試料上での異常部位の位置を特定することができる。
【0090】
そして、本発明に基づく第4の試料検査方法は、第1及び第2の探針を、それぞれ試料の配線上における第1の位置及び第2の位置に接触させ、前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、前記探針のうちの一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出するとともに、前記探針のうちの他方の探針を介して当該ビーム走査時における電流を検出し、検出された電圧及び電流に基づいて、前記試料上での前記探針間に位置する配線部分の抵抗値を取得する。よって、一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出するとともに、他方の探針を介して当該ビーム走査時における電流を検出し、検出された電圧及び電流に基づいて、試料上での両探針間に位置する配線部分の抵抗値を取得するようにしているので、当該配線部分の抵抗値を容易に検出することができる。
【0091】
また、本発明に基づく第1の試料検査装置は、試料上に接触させる探針と、試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査する走査手段と、前記探針を介して試料上の電位を検出する電位検出手段と、該電位検出手段の出力と電子ビーム又はイオンビームの走査とを同期させて試料電位分布像を取得する画像取得手段とを有する。よって、探針を介して得られる試料上の電位信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像を取得することができ、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0092】
さらに、本発明に基づく第2の試料検査装置は、試料上に接触させる探針と、試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査する走査手段と、試料を流れる吸収電流又は試料の電圧を前記探針を介して検出する検出手段と、検出された信号と電子ビーム又はイオンビームの走査とを同期させて画像を取得する画像取得手段とを有する。よって、探針を介して得られる吸収電流又は試料の電圧の信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて画像を取得するようにしているので、試料の微少電圧変動を捉えることが可能となる。
【0093】
そして、本発明に基づく第3の試料検査装置は、試料に接触される第1及び第2の探針と、前記試料上に電子ビーム又はイオンビームを走査させる走査手段と、前記探針のうちの一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出する電圧検出手段と、前記探針のうちの他方の探針を介してビーム走査時における電流を検出する電流検出手段と、検出された電圧及び電流に基づいて抵抗値を取得する抵抗値取得手段とを有する。よって、一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出するとともに、他方の探針を介して当該ビーム走査時における電流を検出し、検出された電圧及び電流に基づいて、試料上での両探針間に位置する配線部分の抵抗値を取得するようにしているので、当該配線部分の抵抗値を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施の形態例を示す構成図である。
【図2】本発明の要部の第1の実施例を示す図である。
【図3】本発明の要部の第2の実施例を示す図である。
【図4】本発明の要部の第3の実施例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態例を示す構成図である。
【図6】試料ステージ部の構成例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を用いた変形例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態例を示す構成図である。
【図9】試料の薄片化の説明図である。
【図10】図9のA−A断面を示す図である。
【図11】本発明の要部の第4の実施例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0095】
1 入射電子ビーム又はイオンビーム
2 走査コイル駆動回路
3 走査コイル
4 対物レンズ駆動回路
5 対物レンズ
6 検出器
7 アンプ
8 A/D変換器
9 探針移動制御回路
10 探針移動回路
11 探針
12 探針
13a マニピュレータ
13b マニピュレータ
14 試料
15 試料ステージ
16 ステージ駆動制御回路
17 ステージ駆動回路
20 バス
21 コンピュータ
22 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探針を試料上の所定の位置に接触させ、
前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、
前記探針から取り出される信号を電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて検出することにより試料電位分布像を取得することを特徴とする試料検査方法。
【請求項2】
探針を試料上の所定の位置に接触させ、
前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、
前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査した時に、該探針に流れる吸収電流、或いは該探針の電圧を、当該電子ビーム又はイオンビームの走査に同期させて試料電位分布像を取得することを特徴とする試料検査方法。
【請求項3】
前記試料電位分布像から得られた情報を基に試料の不良部位を特定し、デポジション制御ユニットを駆動して、当該不良部位にマーキングを行なうことを特徴とする請求項1若しくは2記載の試料検査方法。
【請求項4】
前記試料電位分布像から得られた情報を基に試料の不良部位を特定し、
特定した不良部位にイオンビームを照射して当該不良部位を薄片化し、
薄片化した部分の断面画像を電子ビーム照射により取得することを特徴とする請求項3記載の試料検査方法。
【請求項5】
試料上に設けられた配線パターンの一端を接地し、
前記配線パターンの他端に、探針を介して電圧検出器を接続し、
試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査した時に、前記電圧検出器により検出された信号を、当該電子ビーム又はイオンビーム走査に同期させて画像を取得し、
これにより取得された画像と、前記ビーム走査により得られる2次電子像又は反射電子像とを加算することを特徴とする試料検査方法。
【請求項6】
前記配線パターンの一端は、抵抗を介して接地されていることを特徴とする請求項5記載の試料検査方法。
【請求項7】
前記探針を介して検出される信号は、前記試料が配置される真空室内に設置された増幅器により増幅されることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の試料検査方法。
【請求項8】
前記増幅器により増幅された信号は、当該増幅器の出力側に設置された微分回路により微分され、これにより微分された信号に基づいて画像を取得することを特徴とする請求項7記載の試料検査方法。
【請求項9】
前記微分回路の出力信号の変化が一定の大きさを越える画像の領域を、カラー表示することを特徴とする請求項8記載の試料検査方法。
【請求項10】
前記試料の温度は調整可能となっており、試料温度に応じた画像を取得することができることを特徴とする請求項1乃至9何れか記載の試料検査方法。
【請求項11】
試料上に接触させる探針と、
試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査する走査手段と、
前記探針を介して試料上の電位を検出する電位検出手段と、
該電位検出手段の出力と電子ビーム又はイオンビームの走査とを同期させて試料電位分布像を取得する画像取得手段と、
を有することを特徴とする試料検査装置。
【請求項12】
試料上に接触させる探針と、
試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査する走査手段と、
試料を流れる吸収電流又は試料の電圧を、前記探針を介して検出する検出手段と、
検出された信号と電子ビーム又はイオンビームの走査とを同期させて画像を取得する画像取得手段と、
を有することを特徴とする試料検査装置。
【請求項13】
前記画像取得手段により取得された画像から得られた情報を基に試料の不良部位を特定し、
特定した不良部位にイオンビームを照射して当該不良部位を薄片化し、
薄片化した部分の断面画像を電子ビーム照射により取得することを特徴とする請求項12若しくは13記載の試料検査装置。
【請求項14】
第1及び第2の探針を、それぞれ試料の配線上における第1の位置及び第2の位置に接触させ、
前記試料上を電子ビーム又はイオンビームで走査し、
前記探針のうちの一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出するとともに、前記探針のうちの他方の探針を介して当該ビーム走査時における電流を検出し、
検出された電圧及び電流に基づいて、前記試料上での前記探針間に位置する配線部分の抵抗値を取得することを特徴とする試料検査方法。
【請求項15】
試料に接触される第1及び第2の探針と、
前記試料上に電子ビーム又はイオンビームを走査させる走査手段と
前記探針のうちの一方の探針を介してビーム走査時における電圧を検出する電圧検出手段と、
前記探針のうちの他方の探針を介してビーム走査時における電流を検出する電流検出手段と、
検出された電圧及び電流に基づいて抵抗値を取得する抵抗値取得手段と、
を有することを特徴とする試料検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−105960(P2006−105960A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151157(P2005−151157)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】