説明

認知機能を増強する方法

医薬組成物および組成物が、相乗的に有効な量の5−HT1A受容体アンタゴニストおよび向知性薬を使用する、認知力障害を処置するために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、認知機能障害を処置する方法に関する。特に、本方法は、認知機能障害を処置する方法であって、5−HT1A結合物質、特に5−HT1A受容体アンタゴニストを向知性薬と組み合わせて投与することを含む方法に関し、さらに相乗的に有効な量の5−HT1A結合物質および向知性薬を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
認知機能障害、例えば、アルツハイマー病に関連する認知障害に対する現行の治療法は、望ましくない副作用プロフィール、例えば肝臓損傷、胃腸障害(例えば、吐気、下痢、および嘔吐)、消化不良、食欲不振、腹痛、疲労、およびめまい感を示し得る。これらの医薬に関連する副作用の過酷さまたは発症に対する懸念から、組み合わせ治療は一般には避けられる。さらに、現行の療法で得られる積極的な認識作用が、長期に渡って維持されることはないであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、認知機能障害、例えばアルツハイマー病に関連する認知障害を改善もしくは予防するのに有効な化合物および治療計画を同定する必要がある。同様に、副作用発症の危険性の低い化合物および治療計画を同定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
5−HT1A受容体アンタゴニストである化合物を向知性薬と共に投与した場合に、認知増強において相乗作用があることが見いだされた。幾つかの実施形態において、5−HT1Aアンタゴニストおよび向知性薬は、個々の治療量以下の用量で投与される。かくして、5−HT1Aアンタゴニストは、認知機能障害を含む中枢神経系のさまざまな状態に対する潜在的な治療薬として研究されてきたが、単独で異なる生理学的機能を駆動する2つの薬物の治療量以下の用量が、認知における増強を提供するよう相乗的に作用し得たことは驚くべきことであり、また予期し得ないことである。
【発明の効果】
【0005】
したがって、本発明は、それを必要とする患者の認知障害を処置する方法に関する。本方法は、該患者に、相乗的に有効な量の5−HT1Aアンタゴニストである化合物および向知性薬を投与することを含む。1つの実施形態において、それを必要とする患者に投与される向知性薬の量は、5−HT1Aアンタゴニストとは別々に投与される場合に認知を増強するのに有効な量よりも少ない。1つの実施形態において、それを必要とする患者に投与される5−HT1Aアンタゴニスト化合物の量は、向知性薬とは別々に投与される場合に認知を増強するのに有効な量よりも少ない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、新規物体認識(NOR)試験結果の棒グラフであり、賦形剤、0.5mg/kgのアリセプト(登録商標)単独(0.5)、0.3mg/kgの405単独、そして405とアリセプト(登録商標)の組み合わせのいずれかを用いて処理したマウス間の探索の差を示す。
【図2】図2は、NOR試験結果の棒グラフであり、賦形剤、0.5mg/kgのアリセプト(登録商標)単独(0.5)、0.3mg/kgの405単独、そして405とアリセプト(登録商標)の組み合わせのいずれかを用いて処理したマウス間の認識および記憶における統計学的な差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
認識力障害または認知機能障害は、限定するものではないが、軽度認識障害(MCI)、認知症、せん妄、健忘障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、抑うつ症に付随する記憶欠損を含む記憶障害、老年認知症、アルツハイマー病の認知症、例えば、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、アルツハイマー病、抑うつ症および統合失調症(および他の精神異常、例えば妄想症および躁うつ病(mano-depressive illness))を含む精神状態に付随する認知障害または認知機能障害;統合失調症における認知機能障害、注意力および学習の障害、例えば、注意欠陥障害(例えば、注意欠陥多動障害(ADHD))および失読症、発達障害、例えばダウン症候群およびぜい弱X症候群に付随する認知機能障害、実行機能の喪失、学習した情報の喪失、血管性認知症、統合失調症、認識衰退、神経変性障害、ならびに他の認知症、例えば、HIV病、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病によるもの、あるいは複数の病因によるものが、挙げられる。認知関連障害は、また、限定するものではないが、MCIに付随する認知機能障害および認知症、例えば、レビー小体認知症、欠陥性認知症および脳卒中後の認知症が挙げられる。外科手術、外傷性脳損傷もしくは脳卒中に付随する認知機能障害もまた、本発明に従って処置されるであろう。
【0008】
5HT1Aアンタゴニストである化合物は、選択的に5HT1A受容体に結合する化合物である。より具体的には、そのような化合物は、5HT1A受容体の活性を中和する。5HT1Aアンタゴニストである化合物は、標準的な薬理学的試験手順、例えば本明細書に記載されるものを含み、当分野で認められる多くの方法を用いて当業者により容易に同定され得る。
【0009】
本明細書で用いられる用語「投与する」、「投与すること」または「投与」は、化合物、もしくはその化合物の医薬上許容される塩または組成物を動物に直接投与すること、あるいは、動物の体内で有効量の活性化合物になり得る、プロドラッグ誘導体もしくその化合物の類似体もしくはその化合物の医薬上許容される塩または組成物を動物に投与することのいずれかを意味する。
【0010】
本明細書で用いられる用語「動物」は、限定するものではないが、ヒト、マウス、ラット、テンジクネズミ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒ、またはアカゲザルが挙げられる。1つの実施形態において、動物は哺乳類である。他の実施形態において、動物はヒトである。
【0011】
1つの実施形態において、5−HT1Aアンタゴニストである化合物は、米国特許第6,127,357号および第6,465,482号、2006年3月30日に出願された名称「Serotonergic Agents For Treating Sexual Dysfunction」の米国特許出願番号第11/396,307号、2006年6月9日に出願された名称「Piperazine-Piperidine Antagonists And Agonists Of The 5 HT1A Receptor」の米国出願番号第11/450,942号、および国際特許出願番号WO97/03982およびWO95/33743(出典明示により本明細書の一部とされる)に記載された化合物が挙げられる。これらの化合物は、該特許および特許公報に記載される方法に従って調製することができる。1つの実施形態において、5−HT1Aアンタゴニストは、Caliendoら、「Derivatives as 5HT1A Receptor Ligands - Past and Present」、Current Medicinal Chemistry、12:1721-1753(2005)(出典明示により本明細書の一部とされる)に記載された化合物が挙げられる。Caliendoらにより記載された5−HT1Aアンタゴニスの非限定的な例としては、アミノテトラリン(例えば、S−UH301および5−Me−OH−DPAT)、エルゴリン、アリールピペラジン(例えば、SDZ216,525、DU125530、DU125430、表1中の化合物100−106、表2中の化合物124、125、127および128、表3中の化合物114、および表4中の化合物131および132)、インドリルアルキルアミン、アポルフィン(例えば、化合物A)、およびアリールオキシアルキルアミンが挙げられる。
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】
【表3】


【0015】
【表4】


【化1】


化合物A
【0016】
本発明に有用な化合物の非制限的な例には、限定するものではないが:
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミド(レコゾタン(lecozotan))またはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミド(化合物405)またはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−4−メトキシ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−フルオロ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
8−{4−[4−(1H−インドール−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−{4−[4−(5−フルオロ−ベンゾフラン−3−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
7−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩,
6−メトキシ−8−(4−(1−(キノリン−8−イルメチル)ピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−(4−(1−(キノリン−8−イルメチル)ピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−5−トリフルオロメチル−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−[4−(4−キノリン−8−イル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
8−[4−(4−ベンゾフラン−3−イル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−6−クロロ−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
が挙げられる。
【0017】
特定に実施形態において、5−HT1Aアンタゴニスト化合物は、以下:
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミド(レコゾタン)またはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
6−フルオロ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
の化合物のいずれかである。
【0018】
特定の実施形態において、5−HT1Aアンタゴニスト化合物は、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミド(レコゾタン)またはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩のいずれかである。
【0019】
より特定の実施形態において、5−HT1Aアンタゴニスト化合物は、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミド(レコゾタン)またはその医薬上許容される酸付加塩、または
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩のいずれかである。
【0020】
最も特定の実施形態において、5−HT1Aアンタゴニスト化合物は、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミド(レコゾタン)またはその医薬上許容される酸付加塩である。
【0021】
医薬上許容される塩は、一般的には、本明細書に記載の一般式で示される化合物と医薬上許容される酸、例えば、安息香酸、リン酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、粘液酸、硝酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、乳酸、パモン酸、パトテン酸、ベンゼンスルホン酸、アジピン酸またはメタンスルホン酸とから形成され得る、酸付加塩である。本発明の幾つかの実施形態において、酸付加塩は、塩酸またはコハク酸である。他の医薬上許容される当分野で既知の塩が用いられ得る。
【0022】
本発明の5−HT1Aアンタゴニスト化合物と同時に投与される向知性薬は、限定するものではないが、神経伝達物質レベルをモジュレートする薬物(例えば、アセチルコリンエステラーゼまたはコリンエステラーゼ阻害剤、コリン作用性の受容体アゴニストまたはセロトニン受容体アンタゴニスト)、可溶性のAβ、アミロイド繊維形成またはアミロイドプラーク堆積のレベルをモジュレートする薬物(例えば、γ−セレクターゼ阻害剤、β−セレクターゼ阻害剤、抗体療法、および分解酵素)、および神経の完全性を保護する薬物(例えば、抗酸化剤、キナーゼ阻害剤、カスパーゼ阻害剤、およびホルモン類)が挙げられる。
【0023】
本発明の化合物と同時に投与される他の代表的な候補薬物は、コリンエステラーゼ阻害剤、(例えば、タクリン(COGNEX(登録商標))、ドネペジル(ARICEPT(登録商標))、リバスティグミン(EXELON(登録商標))ガランタミン(REMINYL(登録商標))、メトリホナート、フィソスチグミン、およびヒューパジン(Huperzine)A);N−メチル−アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニストおよびアゴニスト(例えば、デキストロメトルファン、メマンチン、マレイン酸ジゾシルピン(MK−801)、キセノン、レマセミド、エリプロジル、アマンタジン、D−シクロセリン、フェルバマート、イフェンプロジル、CP−101606(Pfizer)、デルセミン、および米国特許第6,821,985号および第6,635,270号に記載の化合物);
【0024】
アンパカイン(例えば、シクロチアジド、アニラセタム、CX−516(Ampalex(登録商標))、CX−717、CX−516、CX−614、およびCX−691(Cortex Pharmaceuticals、Inc. Irvine、CA)、7−クロロ−3−メチル−3−4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジンS,S−ジオキシド(Zivkovicら、1995, J. Pharmacol. Exp. Therap.、272:300-309;Thompsonら、1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA、92:7667-7671を参照のこと)、3−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−イル−6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド−1,1−ジオキシド(Yamadaら、1993, J. Neurosc. 13:3904-3915)、7−フルオロ−3−メチル−5−エチル−1,2,4−ベンゾチアジアジン−S,S−ジオキシド、および米国特許第6,620,808号および国際特許公開番号WO94/02475号、WO96/38414号、WO97/36907号、WO99/51240号、およびWO99/42456に記載の化合物);
【0025】
ベンゾジアゼピン(BZD)/GABA受容体複合体モジュレーター(例えば、プロガビド、ゲンガビン(gengabine)、ゼレプロン、および米国特許第5,538,956号、第5,260,331号、および第5,422,355号に記載の化合物);セロトニンアンタゴニスト(例えば、5−HT1Aアンタゴニスト以外の5−HT受容体モジュレーター(5−HT1Aアンタゴニスト以外の5−HT受容体モジュレーターの例としては、限定するものではないが、5−HTアンタゴニスト(該化合物の非限定的な例は、米国特許第6,727,236号、第6,825,212号、第6,995,176号および第7,041,695号に記載されている)));ニコチン様物質(例えば、ナイアシン); ムカスリン様物質(例えば、キサノメリン、CDD−0102、セビメリン、タルサクリジン、オキシブチン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロスピウム(tropsium)およびダリフェナシン(darifenacin));モノアミンオキシダーゼ・タイプB(MAO B)阻害剤(例えば、ラサギリン、セレギリン、デプレニル、ラザベミド、サフィナミド、クロルジリン(clorgyline)、パルギリン、N−(2−アミノエチル)−4−クロロベンズアミドヒドロクロリド、およびN−(2−アミノエチル)−5(3−フルオロフェニル)−4−チアゾールカルボキサミドヒドロクロリド);
【0026】
ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、PDE IV阻害剤、ロフルミラスト、アロフィリン(arofylline)、シロミラスト、ロリプラム、RO−20−1724、テオフィリン、デンブフィリン(denbufylline)、ARIFLO、CDP−840(トリ−アリールエタン)、CP80633(ピリミドン)、RP 73401(Rhone-Poulenc Rorer)、デンブフィリン(SmithKline Beecham)、アロフィリン(Almirall)、CP−77,059(Pfizer)、ピリド[2,3d]ピリダジン−5−オン(Syntex)、EP−685479(Bayer)、T−440(Tanabe Seiyaku)、およびSDZ−ISQ−844(Novartis));Gタンパク質;チャネルモジュレーター;免疫療法薬(例えば、米国特許出願番号第2005/0197356号および第2005/0197379号に記載の化合物);抗アミロイドもしくはアミロイド軽減物質(例えば、バピネオズマブ(bapineuzumab)および米国特許第6,878,742号または米国特許出願第2005/0282825号もしくは第2005/0282826号に記載の化合物);
【0027】
スタチンおよびペルオキソーム増殖活性型受容体(PPARS)モジュレーター(例えば、ゲムフィブロジル(LOPID(登録商標))、フェノフィブラート(TRICOR(登録商標))、マレイン酸ロシグリタゾン(AVANDIA(登録商標))、ピオグリタゾン(Actos(登録商標))、ロシグリタゾン(Avandia(登録商標))、クロフィブレートおよびベザフィブレート);システイニルプロテアーゼ阻害剤;最終糖化産物(advanced glycation endproduct)に対する受容体(RAGE)の阻害物質(例えば、アミノグアニジン、ピリドキサミン(pyridoxaminem)カルノシン、フェナジンジアミン(phenazinediamine)、OPB−9195、およびテニルセタム);直接的もしくは間接的神経向性物質(例えば、セレブロライシン(Cerebrolysin)(登録商標)、ピラセタム、オキシラセタム、AIT−082(Emilieu、2000、Arch. Neurol. 57:454));ベータ−セレクターゼ(BACE)阻害剤;α−セレクターゼ;イムノフィリン;カスパーゼ−3阻害剤;Srcキナーゼ阻害剤;組織プラスミノゲン活性化因子(TPA);AMPA(アルファ−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸)モジュレーター;M4アゴニスト;JNK3阻害剤;LXRアゴニスト;H3アンタゴニスト;およびアンギオテンシンIVアンタゴニストが挙げられる。
【0028】
他の認知向上物質は、限定するものではないが、アセチル−1−カルニチン;シチコリン;ヒューパジン;DMAE(ジメチルアミノエタノール);バコパモンニラ抽出物(Bacopa monneiri extract);セージ抽出物(Sage extract);L−アルファグリセリルホスホリルコリン;ギンコビルバ(Ginko biloba)およびギンコビルバ抽出物;ビンポセチン;DHA;フェニルトロピン(Phenyltropin)、ピカトロピン(Pikatropin)(Creative Compounds、LLC、Scott City、MO由来)、ベシピルジン、リノピルジン、シボピルジン、エストロゲンおよびエストロゲン様化合物を含む向知性薬;イデベノン、T−588(Toyama Chemical, Japan)、およびFK960(Fujisawa Pharmaceutical Co. Ltd.)が挙げられる。米国特許第5,219,857号、第4,904,658号、第4,624,954号および第4,665,183号に記載の化合物もまた、本明細書記載の向知性薬として有用である。1つまたはそれ以上の上記機序を通じて作用する向知性薬はまた、本発明の目的の範囲内にある。
【0029】
本発明により転換される化合物または基質を提供することに関し、明細書で用いられる「提供される」は、化合物または基質を直接投与すること、または体内で当量の化合物または基質を形成し得るプロドラッグ、誘導体または類似体を投与することのいずれかを意味する。プロドラッグは、Design of Prodrugs, Bundgaard, H.ら、(Elsevier, New York 1985);Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, Higuchi, TおよびStella, V. 編(American Chemical Society, Washington, D.C. 1975);Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs, Roche, E. 編(American Pharmaceutical Association Academy of Pharmaceutical Sciences, Washington, D.C., 1977);およびMetabolic Considerations in Prodrug Design, Balant, L.P.およびDoelker, E. in Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 第5版, Wolff, M., 編 Volume 1, pages 949-982, (John Wiley & Sons, Inc. 1995)に記載されるように調製することができる。
【0030】
本明細書に記載されるように、5−HT1Aアンタゴニスト化合物および向知性薬を含む化合物は、認知障害を処置するために使用する、または認知を増強するのに使用する医薬の製造に関して有用である。
【0031】
本発明で用いられるように、組み合わせ投薬は、同時に与えられてもよいし、または、5−HT1Aアンタゴニスト化合物または5−HT1Aアンタゴニスト化合物の医薬上許容される塩を用い、向知性薬とは異なる時に与える交互投薬であってもよい。この時間差は、分、時間、日、週またはそれ以上の2つの投与間隔の種々の範囲であってよい。したがって、用語「組み合わせ用量」は、当然には、同時に投与されること又は単回用量として投与されることを意味しないが、各化合物が所望の処置期間に投与されることを意味する。薬物は、また、異なる経路により投与されてもよい。例えば、5−HT1Aアンタゴニスト化合物またはその医薬上許容される塩、加えて向知性薬の組み合わせにおいて、5−HT1Aアンタゴニスト化合物またはその医薬上許容される塩は、経口もしくは非経口で投与され、一方、向知性薬は、非経口、経口、または他の許容される方法で投与されることが予想される。これらの組み合わせは、時間ごと、日ごと、週ごとまたは1月ごとに投与されてもよい。
【0032】
組み合わせ投薬における各化合物の投薬量は、用いられる特定の化合物、投与形式、状態、および処置される状態の重篤度、ならびに処置される個体に関連する様々な生理学的因子に応じて変更され得ることは理解される。さらに、組み合わせの有効量は、用いられる特定の化合物、投与形式、状態、および処置される状態の重篤度、ならびに処置される個体に関連する様々な生理学的因子に応じて変更されよう。
【0033】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物または5−HT1Aアンタゴニスト化合物の医薬上許容される塩と向知性薬の組み合わせの有効な投薬量は、認知障害を処置または予防するのに有効な量である。加えて、試験管内アッセイまたは生体内アッセイは、最適な投薬範囲を同定するのを助けるために用いられ得る。用いられる正確な用量は、また、投与経路、状態、処置される状態の重篤度、ならびに処置される個体に関連する様々な生理学的因子に依存し得るし、そして、健康管理の開業医の判断に従って決定され得る。当量投薬は、様々な期間を通じて、限定されるものではないが、約2時間ごと、約6時間ごと、約8時間ごと、約12時間ごと、約24時間ごと、約36時間ごと、約48時間ごと、約72時間ごと、およそ毎週、およそ隔週で、およそ1月ごと、そしておよそ2月ごとで投与されてもよい。治療が完治するまでの期間に応じた投薬数および頻度が、健康管理の開業医の判断に従って決定されよう。
【0034】
組み合わせ投薬の一部として投与される5−HT1A化合物またはその化合物の医薬上許容される塩の量は、典型的には、1日につき約0.001mg/kg〜約600mg/kg体重の範囲にあり、1つの実施形態において、1日につき約600mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約400mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約200mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約100mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約10mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約1mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約0.5mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約0.1mg/kg体重未満であり、そして、他の実施形態において、1日につき約0.001mg/kg体重未満である。1つの実施形態において、組み合わせ投薬の一部として投与される5−HT1A化合物またはその化合物の医薬上許容される塩の量は、他の向知性薬が投与されない場合のその有効量未満であろう。このように、5−HT1A化合物またはその化合物の医薬上許容される塩の量は、治療量以下の量または閾値以下の量である。この場合、理論に拘束される訳ではないが、5−HT1A化合物またはその化合物の医薬上許容される塩および向知性薬は相乗的に作用すると考えられる。幾つかの場合には、処置を必要とする患者は、1つまたはそれ以上の他の治療薬を用いて処置される。
【0035】
組み合わせにおける向知性薬の量は、典型的には、1日につき約0.001mg/kg〜約600mg/kg体重の範囲にあり、1つの実施形態において、1日につき約600mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約400mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約200mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約100mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約10mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約1mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約0.5mg/kg体重未満であり、さらに他の実施形態において、1日につき約0.1mg/kg体重未満であり、他の実施形態において、1日につき約0.001mg/kg体重未満である。1つの実施形態において、組み合わせ投薬の一部として投与される向知性薬の量は、5−HT1A化合物またはその化合物の医薬上許容される塩が投与されない場合のその有効量未満であろう。このように、向知性薬の量は、治療量以下の量または閾値以下の量である。この場合、理論に拘束される訳ではないが、5−HT1A化合物またはその化合物の医薬上許容される塩および向知性薬は相乗的に作用すると考えられる。幾つかの場合において、処置を必要とする患者は、1つまたはそれ以上の他の治療薬を用いて処置される。
【0036】
本明細書に記載のように、医薬投与剤形は、5−HT1Aアンタゴニスト化合物もしくは5−HT1Aアンタゴニスト化合物の医薬上の塩または向知性薬のいずれか、あるいは5−HT1Aアンタゴニスト化合物または5−HT1Aアンタゴニスト化合物の医薬上の塩と向知性薬の両方を含む投与剤形であってよい。同様に、本明細書に記載のように、医薬組成物は、薬剤が別々であってもよいし、または2つの薬剤を一緒に1つの組成物としてもよい。
【0037】
1つの実施形態において、医薬組成物は、単位投与剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、乳剤、粒剤、または坐剤である。そのような剤形において、組成物は、適当な量の活性成分を含む単回用量に小分けにされ;単位投与剤形は、パック入りの組成物、例えば、パック入りの粉剤、バイアル、アンプル剤、予め充填された注射器または液体を含むサシェであってよい。単位投与剤形は、例えば、カプセル剤または錠剤自体であってよく、あるいは、パッケージ剤形中の適当数のいずれかの該組成物であってよい。該単位投与剤形は、5−HT1A化合物またはその化合物の医薬上許容される塩の約0.001mg/kg〜約250mg/kgを含んでいてもよく、また、単回用量で、または2回もしくはそれ以上の回数に分けられた用量で与えられてよい。同様に、該単位投与剤形は、約0.001mg/kg〜約250mg/kgの向知性薬を含んでいてもよく、また、単回用量、または2回もしくはそれ以上の回数に分けられた用量で与えられてもよい。投薬剤の種類は、種、処置される患者の体重および状態、および医薬品に対する患者の個性に応じて当然に生じる。
【0038】
1つの実施形態において、単位投与剤形は、約0.001mg〜約1000mgの5−HT1Aアンタゴニスト化合物または5−HT1Aアンタゴニスト化合物の医薬上許容される塩である。他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約500mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約250mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約100mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約50mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約25mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約10mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約5mgであり;そして、他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約10mgである。
【0039】
1つの実施形態において、単位投与剤形は、約0.001mg〜約1000mgの向知性薬である。他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約500mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約250mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約100mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約50mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約25mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約10mgであり;他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約5mg;ならびに、他の実施形態において、単位投与剤形は、約0.01mg〜約10mgである。
【0040】
動物に投与する場合、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、そのままで又は生理学的に許容される担体または賦形剤を含む組成物の成分として投与することができる。本発明の医薬組成物は、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を、生理学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と混合することを含む方法を用いて調製されてもよい。混合は、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩と生理学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と混合することに関する周知の方法を用いて実施することができる。
【0041】
化合物または本発明の化合物の医薬上許容される塩を含む本医薬組成物は、経口投与することができる。本発明の化合物はまた、他のいずれかの一般的な経路、例えば、点滴もしくはボーラス注射によって、上皮もしくは皮膚と粘膜の裏打ちを通じた吸収によって(例えば、口、直腸、膣、および腸粘膜など)投与することができ、さらに、他の治療物質と一緒に投与することもできる。投与は、全身または局所であってよい。リポソーム、微粒子、マイクロカプセルおよびカプセルにおけるカプセル化を含む、様々な既知の送達系を用いることができる。
【0042】
投与方法は、限定するものではないが、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、口、舌下、大脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、あるいは局所、特に耳、鼻、目、または皮膚に対するものが挙げられる。幾つかの例において、投与は、血流中への化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を放出することとなる。投与様式は、開業医の判断による。
【0043】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、経口投与される。
他の実施形態において、本発明の化合物は静脈内投与される。
他の実施形態において、本発明の化合物を局所に投与することが望ましい場合がある。これは、例えば、手術中の局所注入、例えば手術後の傷の包帯と連結した局所適用によって、注射によって、カテーテルの方法によって、坐剤もしくは浣腸(edema)の方法によって、あるいは移植の方法によって実施することができ、該移植は、多孔性、非多孔性もしくはゼラチン性の物質であり、例えばシリコン膜などの膜、または繊維を含む。
【0044】
特定の実施形態において、本発明の化合物を、脳室内注射、髄腔内注射、傍脊椎注射、硬膜外注射、浣腸を含む適当な経路によって、および末梢神経周辺の注射によって、中枢神経系、循環系または胃腸管に導入することは、望ましいであろう。脳室内注射は、脳室内カテーテル、例えば、オマヤリザーバーのような容器を取り付けることによって実行可能であろう。
【0045】
肺内投与は、例えば、吸入器または噴霧器の使用により、またエアロゾル物質を含む製剤、または過フッ化炭化水素もしくは人工の肺性界面活性剤における散布を介して実施され得る。特定の実施形態において、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、典型的な結合剤および賦形剤、例えばトリグリセリドとともに坐剤として製剤化され得る。
【0046】
他の実施形態において、本発明の化合物は、小胞、特にリポソームにおいて送達され得る(Langer, Science 249:1527−1533(1990)およびTreatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer 317-327および353-365(1989)を参照のこと)。
【0047】
さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、制御放出系または徐放系により送達され得る(例えば、Medical Applications of Controlled Release, vol. 2, pp. 115−138(1984)中のGoodsonを参照のこと)。Langer, Science 249:1527‐1533(1990)の報文において論述される他の制御放出系または徐放系を用いることができる。1つ実施形態において、ポンプを用いることができる(Langer, Science 249:1527-1533(1990);Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201(1987);Buchwaldら、Surgery 88:507(1980);およびSaudekら、N. Engl. J Med. 321:574(1989))。他の実施形態において、高分子物質を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release(Langer and Wise編、1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance(SmolenおよびBall編、1984);RangerおよびPeppas、J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 2:61(1983);Levyら、Science 228:190(1935);Duringら、Ann. Neural. 25:351(1989);およびHowardら、J. Neurosurg. 71:105(1989)を参照のこと)。
【0048】
本組成物は、適切な量の生理学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。
そのような生理学的に許容される賦形剤は、水、および鉱油、動物、野生もしくは合成起源のものを含む油状物、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油およびその類似物などの液体であってよい。生理学的に許容される賦形剤は、塩類、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉糊、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、ウレアおよびその類似物であってよい。加えて、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤を用いてもよい。1つの実施形態において、生理学的に許容される賦形剤は、動物に投与される場合には滅菌されている。生理学的に許容される賦形剤は、製造および保管の条件下で安定であるべきで、微生物の汚染作用に対抗して保存されるべきである。水は、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩が静脈内投与される場合、特に有用な賦形剤である。塩類溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、液体賦形剤として、特に注射溶液に用いられ得る。適切な生理学的に許容される賦形剤はまた、澱粉、グルコース、ラクトース、シュークロース、ゼラチン、麦芽、コメ、穀粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールおよびその類似物が挙げられる。所望により、本組成物は、少量の湿潤剤、乳化剤またはpH緩衝剤を含んでいてもよい。
【0049】
液体担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ、およびエリキシル剤を調製するのに用いてもよい。本発明の化合物または医薬上許容される塩は、医薬上許容される液体担体、例えば水、有機溶媒、その混合物、または医薬上許容される油状物または脂肪に溶解または懸濁され得る。液体担体は、溶解補助剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味料、着香料、懸濁化剤、糊料、着色料、粘性調節剤、安定剤、または浸透圧調整剤を含む他の適切な医薬上許容される添加剤を含んでいてもよい。経口および非経口投与についての液体担体の適当な例には、水(特に、上記の添加剤、例えばセルロール誘導体を含有する、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコールを含む)およびその誘導体、ならびに油状物(例えば、画分されたヤシ油および落花生油)が含まれる。非経口投与に関して、担体は、また、油性エステル、例えばオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルであってよい。滅菌された液体担体は、非経口投与のための滅菌液体剤形の組成物に用いられる。加圧組成物のための液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の医薬上許容される噴射剤であってよい。
【0050】
本組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、液剤を含むカプセル剤、粉剤、徐放性の製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル、スプレー剤、懸濁剤の剤形、あるいは使用に適した他の剤形をとってよい。1つの実施形態において、組成物はカプセル剤の剤形である。適切な生理学的に許容される賦形剤の他の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676(Alfonso R. Gennaro、編、第19版. 1995)に記載される。
【0051】
1つの実施形態において、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、日常的な手順に従って、ヒトへの経口投与に適した組成物として製剤化される。経口送達のための組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ、口腔剤、トローチ剤、水性もしくは油性懸濁剤または液剤、顆粒剤、粉剤、乳剤、カプセル剤、液剤を含むカプセル剤、シロップ、エアロゾル、スプレー、またはエリキシル剤の剤形であってよい。経口投与される組成物は、医薬上許容される口当たりのよい調製物を得るために、1つまたはそれ以上の剤、例えば、甘味剤、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリン;着香料、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、またはチェリー;着色剤;および保存剤を含んでいてもよい。粉剤において、担体は、細かく砕かれた固体であってよく、それは、細かく砕かれた化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を含む混合剤であってよい。錠剤において、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、適切な比率で必要な圧縮特性を有する担体とともに混合され、そして所望の形状および大きさに加圧される。粉剤および錠剤は、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を約99%まで含み得る。
【0052】
カプセル剤は、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩と不活性充填剤および/または希釈剤、例えば、医薬上許容される 澱粉(例えば、コーン、ポテト、またはタピオカ澱粉)、糖類、人工甘味剤、粉末セルロース類(例えば、結晶性および微結晶性セルロース)、穀粉、ゼラチン、ガムなどとの混合物を含み得る。
【0053】
錠剤製剤は、一般的な圧縮、湿式造粒法、または乾燥造粒法によって製造することができ、医薬上許容される希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、表面改質剤(界面活性剤を含む)、懸濁化剤または安定化剤(限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、糖類、ラクトース、デキストリン、澱粉、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリジン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンゴム、クエン酸ナトリウム、コンプレックスシリカ、炭酸カルシウム、グリシン、シュークロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、塩化カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる)を利用してもよい。表面改質剤は、非イオン性およいびアニオン性の表面改質剤を含む。表面改質剤の代表例は、限定するものではないが、ポロキサマー188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびトリエタノールアミンが挙げられる。
【0054】
さらに、錠剤または丸剤の剤形の場合、組成物は、胃腸管内で緩やかな崩壊および吸収のためコートされてよく、それによって、長期間に渡って持続した作用を提供することができる。浸透活性のある送達化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を覆う選択的透過膜もまた、経口投与される組成物に適当である。後者のプラットフォームにおいて、カプセル剤を覆う周辺の流体は、送達化合物により吸収され、そして膨張し、開口部を通じて薬物または薬物組成物を置き換える。これらのデリバリープラットフォームは、即時放出製剤の突発的な特性に対して、本質的にゼロ状態の送達特性を提供することができる。遅延物質、例えばグリセロールモノステアレートまたはステアリン酸グリセロールもまた用いることができる。経口組成物は、標準的な賦形剤、例えば、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムを含んでいてもよい。1つの実施形態において、賦形剤は、医薬品等級である。
【0055】
他の実施形態において、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、静脈内投与のために製剤化され得る。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液を含む。必要な場合、該組成物はまた、可溶化剤を含んでいてもよい。静脈内投与のための組成物は、注射する箇所の痛みを軽減するため、局所麻酔、例えば、リグノカインを含んでいてもよい。一般に、成分は、単位投与剤形で、別々にか、または一緒に混合され、例えば、活性物質の量を示すアンプルもしくはサッシェなどの気密シールされた容器内の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、供給される。化合物またはその化合物の医薬上許容される塩が点滴により投与される場合、それは、例えば、滅菌医薬等級の水または食塩水を含む点滴ボトルを用いて調剤することができる。化合物またはその化合物の医薬上許容される塩が注射により投与される場合、注射用の滅菌水または食塩水のアンプルが、その成分を投与前に混合できるよう提供され得る。
【0056】
他の実施形態において、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、経皮パッチの使用を通じて経皮投与され得る。経皮投与は、例えば上皮および粘膜組織を含む体表面および肉体管の内層を横切った投与を含む。そのような投与は、ローション剤、クリーム、泡沫、パッチ、懸濁剤、液剤および坐剤(例えば、直腸または膣用)中の本化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を用いて、実施され得る。
【0057】
経皮投与は、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩、そしてその化合物またはその化合物の医薬上許容される塩に対して不活性な、皮膚に対して無毒な、そして薬物の皮膚を介して血流中への全身吸収のための輸送を可能にする担体を含む経皮パッチの使用を通じて実施され得る。そのような担体は、多くの剤形、例えば、クリームまたは軟膏、ペースト、ゲルまたは閉塞装置を取り得る。クリームまたは軟膏は、水中油または油中水の形式のいずれかの強粘液または半固体乳液であってよい。活性成分を含む鉱油または親水性の鉱油中に分配された吸収性の粉末から成るペーストもまた適していよう。様々な閉塞装置、例えば、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を含み、担体を含むもしくは含まない容器、あるいは活性成分を含有するマトリクスを覆う半透膜もまた、血流中に化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を放出するために用いることができる。
【0058】
本発明の化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、一般的な坐剤の剤形で直腸または経膣投与され得る。坐剤製剤は、ココアバターを含み、その坐剤の融点を改変するためのワックスを含むもしくは含まない、およびグリセリンを含む典型的な材料から調製され得る。水溶性の坐剤基剤、例えば様々な分子量のポリエチレングリコールもまた用いることができる。
【0059】
化合物またはその化合物医薬上許容される塩は、制御放出または徐放の方法により、あるいは当業者に既知の送達装置により投与され得る。そのような投与剤形は、例えば、様々な割合で所望の放出特性を提供するよう、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過性膜、浸透システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはそれらの組み合わせを使用し、1つまたはそれ以上の活性成分の制御放出もしくは徐放を提供するために用いられ得る。本明細書に記載のものを含み当業者に既知の好ましい制御放出または徐放製剤は、本発明の活性成分を用い、使用のために容易に選択することができる。かくして、本発明は、経口投与のための単一ユニットの投与剤形、例えば、限定するものではないが、制御放出または徐放に適した錠剤、カプセル剤、ジェルキャップおよびカプレットを包含する。
【0060】
1つの実施形態において、制御放出または徐放組成物は、最小時間で認知障害を処置もしくは予防するための、最少量の化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を含む。制御または徐放組成物の有利な点は、薬物の長期の活性、減少する投薬頻度、および処置される動物による増加する服薬遵守が挙げられる。加えて、制御放出または徐放組成物は、作用または他の特徴、例えば化合物またはその化合物医薬上許容される塩の血中レベルの開始時間に好都合に影響を及ぼし得るし、かくして、不都合な副作用の発生を低下させ得る。
【0061】
制御放出または徐放組成物は、所望の治療もしくは予防上の効果を迅速に発揮する量の化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を最初に放出し、そして、長期間に渡って治療もしくは予防上の効果のあるレベルを維持するため、別の量の化合物またはその化合物の医薬上許容される塩を順次もしくは連続的に放出することができる。体内の化合物またはその化合物の医薬上許容される塩の一定レベルを維持するために、化合物またはその化合物の医薬上許容される塩は、代謝されそして体から排出される量の化合物またはその医薬上許容される塩を置き換えるような速度で投与剤形から放出され得る。活性成分の制御放出または徐放は、限定されるものではないが、pH変化、温度変化、酵素濃度もしくはその可給度、水濃度もしくはその可給度、または他の生理学的条件もしくは化合物を含む様々な条件により刺激され得る。
【0062】
特定の実施形態に置いて、本発明は、本発明の化合物またはその化合物の医薬上許容される塩のプロドラッグに関する。様々な形態のプロドラッグが、例えば、Bundgaard(編)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985);Widderら、(編)、Methods in Enzymology、vol. 4、Academic Press(1985);Kgrogsgaard-Larsenら、(編);「Design and Application of Prodrugs」Textbook of Drug Design and Development、第5章、113-191(1991);Bundgaardら、Journal of Drug Delivery Reviews、8:1-38(1992);Bundgaardら、J. Pharmaceutical Sciences、77:285 et seq.(1988);ならびにHiguchiおよびStella(編)、Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975)に論述されるように、当分野で知られている。
【0063】
1つの態様において、本発明は、認知障害を処置するための治療における同時、別々または連続的使用のための組み合わせ調剤として、5−HT1Aアンタゴニストおよび向知性薬を含む医薬品を含む。他の態様において、本発明は、認知障害を処置するための医薬の製造における5−HT1Aアンタゴニストおよび向知性薬の使用を含む。別の態様において、本発明は、認知障害を処置するための、5−HT1Aアンタゴニストとともに使用する医薬の製造における向知性薬の使用を含む。他の態様において、本発明は、認知障害を処置するための、向知性薬とともに使用する医薬の製造における5−HT1Aアンタゴニストの使用を含む。
【0064】
実施例
本発明は、以下の実施例および追加の説明を参照することにより例証される。実地の実施例は、例証の目的にのみ提供される。それらは、いかようにも本発明の範囲および内容を限定するものとして解釈されるべきではない。有機合成分野の当業者であれば、本発明の化合物に対するさらなる別の合成経路を認めるこができる。本明細書で用いられる試薬および中間体は、商業的に入手可能であるか、あるいは一般的な文献手順に従って調製される。
【0065】
本発明化合物の認知機能障害における有効性を試験する方法を以下に記載する。該方法は、認知障害を処置するのに有効な5−HT1Aアンタゴニスト(すなわち、5−HT1A受容体アンタゴニスト)および向知性薬を同定するにあたって有用である。認知機能障害における化合物の有効性を試験する別の方法は、当分野で既知であり、例えば、以下のプロトコルが挙げられる:文脈的恐怖条件付けまたは治癒した恐怖条件付け(contextual or cued fear conditioning)(Comery, T.A.ら、Journal of Neuroscience 25(39): 8898-8902(2005年9月28日))、受動回避(Foley, A.G.ら、Neuropsychopharmacology 29: 93-100(2004))、放射状迷路(Boast, C.ら、Neurobiology of Learning and Memory 71: 259-271(1999))、モリス水迷路(Day, M.およびLangston, R.F., Neuroscience 137: 19-28(2006))、および5選択反応課題(Robbins, T.W., Psychopharmacology 163: 362-380(2002))。
【0066】
実施例1
認知向上−新規物体認識(Novel Object Recognition)
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、現在、アルツハイマー病に起因する軽度認知障害を処置するために用いられる。しかしながら、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用は、この類の治療物質を用いた場合にしばしば見られる副作用により妨げられ、限定された効能を有する。5−HT1Aアンタゴニスト(5−フルオロ−4−メトキシ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)キノリンおよび5−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリン)は、代表的なアセチルコリンエステラーゼ阻害物質であるアリセプト(Aricept)(登録商標)の認知向上の特性に相乗効果をもたらすことが、新規物体認識において効能を得るために必要とされる両物質の用量を低下させることにより、示された。
【0067】
新規物体認識モデル(Novel Object Recognition Model):雄のロングエバンス・フーデット・ラット(Long-Evans hooded rats)(試験時〜200g)は、随意に給餌および採水でき、個別に飼育された。新規物体認識(NOR)訓練および試験は、プラスチックで構成された、土床(soiled bedding)(排泄物なし)を含む円形領域(直径〜70cm、高さ30cm)内で行われた。この領域は、外界からの手がかりを隠すために黒い覆いで囲われており、白色雑音(〜65dB)のもと薄暗い明かりの部屋(この領域のレベルは〜10ルクス)に置かれた。動物のふるまいは、ビデオにより追跡され、試験室の外に配置された実験者により監視された。デュプロ(Duplo)(登録商標)ブロック(Lego)で構成された物体を、この領域の端から約10cm付近の区域に均等に配置された4つの場所の1つの床に取りつけた。嗅覚による手がかりの可能性を避けるため、複数コピーした物体を、実験を通して用い、動物間では30%エタノールを用いて洗浄した。
【0068】
視覚認識課題は、3つの区分−習慣づけ、試料試行および選択試行に分けられた。習慣づけの間、動物は2つの同じ黄色の立方体(〜10cm×10cm×10cm)のある領域に置かれ、10分間その領域を探索させた。習慣づけの後、ラットをホームケージに戻した。習慣づけの翌日、動物を薬物(5−HT1Aアンタゴニスト化合物、向知性薬または5−HT1Aアンタゴニスト化合物と向知性薬の両方のいずれか)を用いて投薬し、前処理の合間をおいて、試料試行を開始した。試料試行の間、ラットは領域を探索させ、次に羅針盤方位の反対側に配置された2つの同じ刺激(複雑で、多彩な、デュプロ物体;〜10cm×10cm×10cm)を5分間与えた。物体を探索する時間の量は、全試行について記録された。探索は、物体と<2cm範囲内にあるラットの鼻の物体に対する方向で定義される。試料試行の後、ラットは48時間の合間−試行の間隔でホームケージに戻され、次いで、認識記憶に関する選択試行が試験された。選択試行は、接触時間を記録する研究者を含み、見慣れたすでに探索した物体と新しい物体の両方を含む領域の5分の探索からなる。物体の配置は、処置群全体で釣り合いがとられ、習慣づけ、試料試行および選択試行のあいだ各動物に対して一定に保たれた。
【0069】
試行中の物体探索に関する処置の効果は、総接触時間においては単方向ANOVAを用い、次いでフィッシャー(Fisher)のLSD群平均ペアワイズ比較を用いて試験した。処置郡全体で新しいおよび見慣れた物体を探索する時間の量は、反復測定ANOVAの後にフィッシャーのLSDポストホック比較を用いて分析した。見慣れた物体より新しい物体を探索することに費やされる有意に多い時間は、その処置群における完全な認識記憶を示す。48時間の遅延後、対照および未処理動物は、見慣れた物体および新しい物体探索の間に有意な差は示さなかった、これは試料試験に関する記憶がないことを示す(有意な差はより短い遅延で明白である)。
【0070】
アリセプト(登録商標)および5−HT1Aアンタゴニスト化合物の閾値以下の用量(認識記憶に積極的な効果を提供しない用量)が、試験動物に投与され、それらの認識記憶に関する効果が上記のように記録された。
【0071】
処置:動物は、試料試行前60分に5−HT1Aアンタゴニスト化合物で処理された。各候補化合物は、適当な賦形剤に懸濁され、経口投与された。次いで、同じ動物が、試料試行前30分にアリセプト(登録商標)を用いて処理された。アリセプト(登録商標)は、適当な賦形剤に溶解され、腹膜内投与された。
【0072】
動物は、閾値以下の用量のアリセプト(登録商標)(0.5mg/kg腹腔内)または5−HT1Aアンタゴニスト化合物(0.1mg/kg経口)を別々に投与された。別々に投与された場合、見慣れた環境にいる動物と新しい環境にいる動物の接触時間に、統計学的な差はなかった(P<0.05)。各試薬の別々の投与試験で用いたのと同じ用量のアリセプト(登録商標)と各5−HT1Aアンタゴニストの同時投与は、見慣れた環境に比べて新しい環境に対する接触時間に統計学上有意な増加が得られた(P<0.05)。接触時間の増加は、平均して10秒以上であった。見慣れた物体よりも新規物体を探索する有意に多い時間を費やす動物によって実証されたように、これらのデータは、5−HT1Aアンタゴニスト化合物と向知性薬の同時投与が認識記憶の好ましい影響となることを示す。これらのデータは、この試験が、5−HT1Aアンタゴニスト化合物と向知性薬との認知を増強する相乗効果を同定するのに有効であることを実証する。また、これらのデータは、5−HT1Aアンタゴニスト化合物が向知性薬と相乗的に作用し、認知を増強することを実証する。
【0073】
上記の実施例は、認知機能障害を改善するその能力に関し、本明細書に記載の物質を試験するのに用いることができる方法を例証する。認知機能障害を試験するための当分野で既知の他の方法を用いることができる。
【0074】
実施例2
5−HT1Aアンタゴニスト(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドを用いた認知増強
認知増強は、実施例1で記載される新規物体認識手順を用いて測定された。しかしながら、幾つかの改変を行った。例えば、5−HT1Aアンタゴニスト、(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミド(化合物405)は、0.3mg/動物体重kgの用量で用いた。さらに、化合物405の前処理期間は60分ではなく120分であった。
【0075】
この結果は、マウスの探索時間が、賦形剤を用いて処理したマウス、アリセプト(登録商標)単独で処理したマウス、化合物405単独で処理したマウス、そしてアリセプト(登録商標)と化合物405を含む組み合わせ投薬により処理したマウスとの間で比較的同程度であったことを示した(図1)。アリセプト(登録商標)と化合物405を含む組み合わせ投薬により処理されたマウスは、有意に改善された記憶および認識を示した(図2)。慣れた環境に曝した場合、組み合わせ投薬群は、賦形剤を用いて処理した群またはアリセプト(登録商標)もしくは化合物405のいずれかの個別の用量で処理した群と比較して、接触時間に統計学上有意な減少を示した(図2)。
【0076】
実施例3
試験管内活性
以下のプロトコルは、候補化合物の5−HT1A受容体に対する結合能を実証するために有効である。このプロトコルはまた、候補化合物の拮抗作用を実証するのにも有効である。
【0077】
細胞株
ヒトゲノムライブラリーからのヒト5−HT1A受容体亜型のPCRクローニングはすでに記載されている(Chandaら、Mol. Pharmacol.、43:516(1993))。ヒト5−HT1A受容体亜型を発現する安定チャイニーズハムスター卵巣細胞株(h5−HT1A.CHO細胞)が、この実験を通して用いられる。細胞は、10%ウシ胎児血清、非必須アミノ酸およびペニシリン/ストレプトマイシンを追加されたDMEMにおいて維持される。
【0078】
放射性リガンド結合
放射性リガンド結合試験は、Dunlop, J.ら、J. Pharmacol. and Toxicol. Methods 40: 47-55(1998)(出典明示により本明細書の一部とされる)に記載されたとおりに実施される。細胞は、結合実験のために膜を回収する前に、単層で95〜100%細胞密集度まで生育される。細胞は培養皿から穏やかに擦り取り、遠心管に移し、そして緩衝液(50mM トリス;pH7.5)中での遠心分離(2000rpmで10分、4℃)により2回洗浄した。得られたペレットを小分けにし、−80℃に置いた。試験の日に、細胞を氷上で溶かし、そして緩衝液に再懸濁する。実験は、放射性リガンドとして[H]8−OH−DPATを用いて行われる。この結合試験は、96穴マイクロタイタープレートにて最終的に全量250μLの緩衝液中で行われる。競合実験は、様々な濃度の未標識試薬と最終的なリガンド濃度1.5nMを用いて行われる。非特異的な結合は、10μM 5HT存在下で決定される。飽和分析は、0.3〜30nMの濃度範囲で[H]8−OH−DPATを用いて行われる。30分の室温でのインキュベーションの後、反応は、氷冷緩衝液を添加し、0.5% ポリエチレンイミン中で30分間予浸されたGF/Bフィルターを通じるM−96ブランデル(Brandel)・セル・ハーベスター(Gaithersburg、MD)を用いてすばやく濾過することにより停止される。
【0079】
cAMP測定
測定は、Dunlop, J.ら、(前掲)に記載のとおりに行われる。アッセイは、細胞を25mM HEPES、5mM テオフィリンおよび10μM パルギリンを含むDMEMとともに、37℃で20分間インキュベートすることにより実施される。機能活性は、細胞をフォルスコリン(終濃度1μM)で処理し、次いですぐに試験化合物(6種類の濃度)を用いてさらに37℃で10分間処理することにより評価される。別の実験で、6種類の濃度のアンタゴニストを20分間予めインキュベートし、10nM 8−OH−DPATとフォルスコリンを添加する。この反応は、培地を取り除き、0.5mlの氷冷した試験用緩衝液を添加することにより停止される。プレートを−20℃で保存し、cAMP SPA試験(Amersham)によりcAMP形成を評価する。
【0080】
このプロトコルは、5−HT1Aアゴニスト活性および5−HT1Aアンタゴニスト活性を有する化合物を同定するのに有効である。5−HT1Aアゴニスト活性は、フォルスコリン誘導性のcAMPレベルの増加を阻害することにより実証され、その結果はEC50値として報告される。5−HT1Aアンタゴニスト活性を有する化合物は、それ自体ではフォルスコリン誘導性のcAMPレベルの増加における影響を示さないが、フォルスコリン刺激性のcAMPレベルの増加のための8−OH−DPAT誘導性の阻害をブロックする。結果は、IC50値として得られる。
【0081】
実施例4
生体内機能活性
5−HT1Aアンタゴニストとして生体内で機能する化合物の能力は、フィックスド・レスポンディングモデル(Fixed Responding Model)(「Operant Conditioning: An Experimental Analysis of Behavior」 J. Butcher編、Methuen and Co., Ltd, LondonのD. Blackman)を用いたラットで評価できる。このモデルでは、ラットは、フードペレット強化因子を受けるため、フード提供の定率強化30スケジュールのもとで応答するよう訓練(てこプレス)される。5−HT1Aアゴニスト8−OH−DPATの投与は、(賦形剤偽薬の投与により評価される)対照の応答率を下げる。試験化合物の5−HT1Aアンタゴニスト活性は、この応答率におけるアゴニスト誘導性疾患を弱める能力を測定することにより決定される。完全アンタゴニストの効果は、試験化合物がアンタゴニスト誘導性の応答率を完全に覆し、それを対照レベルに戻すものと考えられる。このように、この試験は、試験化合物について生体内で5−HT1Aアンタゴニストとして機能するその能力を評価するために用いることができる。
【0082】
他の実施形態
本発明は、その精神および本質的特性を逸脱することなく他の特定の形式で具体化できるため、従って、本発明の範囲を示すものとしては、前述の詳細な説明よりも添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者において認知障害を処置する方法であって、該患者に相乗的に有効な量の5−HT1Aアンタゴニストである化合物および向知性薬を投与することを含む、方法。
【請求項2】
認知障害が、認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、アルツハイマー病と関連する認知障害、軽度認識障害、または統合失調症であるところの、請求項1記載の方法。
【請求項3】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
5−フルオロ−4−メトキシ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項1記載の方法。
【請求項4】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−4−メトキシ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−フルオロ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
8−{4−[4−(1H−インドール−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−{4−[4−(5−フルオロ−ベンゾフラン−3−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
7−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−(4−(1−(キノリン−8−イルメチル)ピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−5−トリフルオロメチル−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−[4−(4−キノリン−8−イル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
8−[4−(4−ベンゾフラン−3−イル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−6−クロロ−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項3記載の方法。
【請求項5】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
6−フルオロ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項3〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項3〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項3〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
向知性薬が、コリンエステラーゼ阻害剤であるところの、請求項1〜8いずれか一項記載の方法。
【請求項10】
コリンエステラーゼ阻害剤が、タクリン、ドネペジル、リバスティグミンまたはガランタミンであるところの、請求項9記載の方法。
【請求項11】
向知性薬が、NMDAアンタゴニストまたはNMDAアゴニストであるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
向知性薬が、アンパカイン類化合物であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
向知性薬が、BZD/GABA受容体複合体モジュレーターであるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
向知性薬が、セロトニンアンタゴニストであるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
向知性薬が、ニコチン類化合物であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
向知性薬が、ムスカリン類化合物であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
向知性薬が、MAO−B阻害物質であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
向知性薬が、PDE阻害物質であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
向知性薬が、Gタンパク質類化合物であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
向知性薬が、チャネルモジュレーターであるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
向知性薬が、免疫治療薬類化合物であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
向知性薬が、抗アミロイドもしくはアミロイド低下剤であるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
向知性薬が、スタチンまたはPPARSモジュレーターであるところの、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
5−HT1Aアンタゴニストである化合物の経口送達を含むところの、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
徐放化合物の送達を含むところの、請求項1〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
それを必要とする患者において認知を増強する方法であって、該患者に相乗的に有効な量の5−HT1Aアンタゴニスト化合物および向知性薬を投与することを含む、方法。
【請求項27】
認知障害を処置するための医薬組成物であって、5−HT1Aアンタゴニスト化合物および向知性薬を含む、組成物。
【請求項28】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−4−メトキシ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)−2−(トリフルオロメチル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−フルオロ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
8−{4−[4−(1H−インドール−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−{4−[4−(5−フルオロ−ベンゾフラン−3−イル)−ピペラジン−1−イル]−ピペリジン−1−イル}−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
7−フルオロ−8−(4−(4−(6−メトキシキノリン−8−イル)ピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−(4−(1−(キノリン−8−イルメチル)ピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−5−トリフルオロメチル−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、
5−フルオロ−8−[4−(4−キノリン−8−イル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
8−[4−(4−ベンゾフラン−3−イル−ピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−6−クロロ−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項29】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
6−フルオロ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項27または28記載の医薬組成物。
【請求項30】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
N−[2−[4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル]エチル]−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
6−メトキシ−8−[4−(1−キノリン−8−イル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−キノリンまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項27〜29のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項31】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−4−シアノ−N−{2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−5−イル)−ピペラジン−1−イル]プロピル}−N−ピリジン−2−イル−ベンズアミドまたはその医薬上許容される酸付加塩、あるいは
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項27〜30のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項32】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物が、
(R)−N−(2−メチル−(4−インドリル−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミドまたはその医薬上許容される酸付加塩
であるところの、請求項27〜31のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項33】
向知性薬が、コリンエステラーゼ阻害物質であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項34】
コリンエステラーゼ阻害物質が、タクリン、ドネペジル、リバスティグミンまたはガランタミンであるところの、請求項33記載の医薬組成物。
【請求項35】
向知性薬が、NMDAアンタゴニストまたはNMDAアゴニストであるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項36】
向知性薬が、アンパカイン類化合物であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項37】
向知性薬が、BZD/GABA受容体複合体モジュレーターであるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項38】
向知性薬が、セロトニンアンタゴニストであるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項39】
向知性薬が、ニコチン類化合物であるところの、請求項22〜27のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項40】
向知性薬が、ムスカリン類化合物であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項41】
向知性薬が、MAO−B阻害物質であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項42】
向知性薬が、PDE阻害物質であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項43】
向知性薬が、Gタンパク質類化合物であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項44】
向知性薬が、チャネルモジュレーターであるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項45】
向知性薬が、免疫治療薬類化合物であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項46】
向知性薬が、抗アミロイドもしくはアミロイド低下剤であるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項47】
向知性薬が、スタチンまたはPPARSモジュレーターであるところの、請求項27〜32のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項48】
医薬組成物が、経口送達に適した製剤を含むところの、請求項27〜47のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項49】
医薬組成物が、徐放に適した製剤を含むところの、請求項27〜48のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項50】
5−HT1Aアンタゴニスト化合物および向知性薬が、相乗的に有効な量で存在するところの、請求項27〜49のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項51】
5−HT1Aアンタゴニストおよび向知性薬を含むパッケージであって、その中の取扱説明書が認知障害を処置するための指示を含むところの、パッケージ。
【請求項52】
認知障害を処置するための治療において、同時に、別々に、または順次使用するための、組み合わせ調剤として5−HT1Aアンタゴニストおよび向知性薬を含む、医薬品。
【請求項53】
認知障害を処置するための医薬の製造における、5−HT1Aアンタゴニストおよび向知性薬の使用。
【請求項54】
認知障害を処置するための、5−HT1Aアンタゴニストとともに使用する医薬の製造における、向知性薬の使用。
【請求項55】
認知障害を処置するための、向知性薬とともに使用する医薬の製造における、5−HT1Aアンタゴニストの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−539850(P2009−539850A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514377(P2009−514377)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/013434
【国際公開番号】WO2007/146073
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】