認証装置および認証方法
【課題】 必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる認証装置および認証方法を提供する。
【解決手段】 筆記安定判定部7の安定判定結果が「安定」であれば、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を受けると、使用情報記憶部6に記憶されている情報を読み込み、類似度の平均値が算出される。算出された類似度の平均値が、筆記した人が本人であるか否かを認証する認証閾値Dthに変更される。あるいは、使用情報記憶部6に記憶されている最大類似度Dmaxまたは最小類似度Dminが読み込まれ、最大類似度Dmaxまたは最小類似度Dminが、筆記した人が本人であるか否かを認証する認証閾値Dthに変更される。
【解決手段】 筆記安定判定部7の安定判定結果が「安定」であれば、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を受けると、使用情報記憶部6に記憶されている情報を読み込み、類似度の平均値が算出される。算出された類似度の平均値が、筆記した人が本人であるか否かを認証する認証閾値Dthに変更される。あるいは、使用情報記憶部6に記憶されている最大類似度Dmaxまたは最小類似度Dminが読み込まれ、最大類似度Dmaxまたは最小類似度Dminが、筆記した人が本人であるか否かを認証する認証閾値Dthに変更される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書きで筆記パターンを筆記した人が、本人であるか否かを認証する認証装置および認証方法に関し、より詳細には、タッチパネルやタブレットなどのポインティングデバイスを使って筆記した筆記パターンを入力し、認証用に予め登録された認証パターンとの照合を行い、本人か否かを判定する認証装置および認証方法において、ユーザが筆記した認証パターンの認証レベルを自動的に変更する認証装置および認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、手書きで筆記された筆記パターンと、認証用に筆記され予め登録されている認証パターンとが照合され、本人か否かの判定がされる。筆記パターンは、タッチパネルまたはタブレットなどのポインティングデバイスから、指やペンで筆記されるパターンである。判定は、類似している度合を示す類似度が算出され、算出された類似度と予め定められた閾値とに基づいて行われる。閾値が低く設定されると、本人は確実に認証されるが、他人も容易に認証される危険性が高くなる。他人が容易に認証されることを防止するために閾値が高く設定されると、他人が認証される危険性は低くなるが、本人も認証されにくくなる。
【0003】
認証の難易度を調整するために、認証レベルを自由に設定できる機能を備えた認証装置が考えられる。手書きパターンのバラツキが小さい場合には、認証レベルを高く設定することができ、本人は認証されるが他人は容易に認証されないようにすることができる。ところが、設定した認証レベルが、適切な認証レベルであるか否かは分からない。設定した認証レベルが、適切な認証レベルより高い場合には、他人が認証される危険性は低くなるが、本人が認証されにくくなる。設定した認証レベルが適切な認証レベルより低い場合には、他人が認証される危険性が高くなる。
【0004】
特許文献1には、経年変化によって、認証レベルが適切な認証レベルではなくなっている場合には、認証のための手書きデータの再登録が要求され、または警告メッセージが出力されることが開示されている。ユーザは、再登録の要求または警告メッセージを確認して、認証のための手書きデータを登録し直す。
【0005】
経年変化を起こしていると判定されるのは、認証パターンが登録されてから所定の時間が経過した場合、または前回認証が成功したときから今回の認証が成功するまでの経過時間が所定の時間を越えている場合である。
【0006】
認証が失敗したと判定された評価値(以下、「失敗評価値」という)は、過去に算出された評価値と日時とを表すリストデータに加えられる。失敗評価値がリストデータに追加された回数が、所定の回数を越えた場合に、経年変化を起こしていると判定される。あるいは、所定の期間内において、失敗評価値がリストデータに追加された回数が、所定の回数を越えた場合に経年変化を起こしていると判定される。評価値の増加割合が所定の閾値を越えた場合にも経年変化を起こしていると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−338299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1において、所定の時間が経過したときに経年変化を起こしていると判断する場合には、本人を認証しているにもかかわらず認証パターンの再登録が要求されることになる。認証が失敗したときの評価結果で経年変化を起こしていると判断する場合には、認証が失敗しないと経年変化の判定が行われない。当初に登録した認証パターンが、他人も認証されやすいパターン、たとえば、単純な筆記パターンや他人が想起しやすい誕生日や電話番号などの筆記パターンなどである場合、他人も認証されやすいパターンのまま変更されないので、他人に認証される危険性がある。
【0009】
本発明の目的は、必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる認証装置および認証方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力手段と、
筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶手段と、
入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、認証データ記憶手段に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定手段と、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶手段と、
継続情報記憶手段によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定手段によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定手段と、
安定判定手段の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更手段とを含むことを特徴とする認証装置である。
【0011】
また本発明は、前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度の平均値を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度のうち最小の類似度を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人であると判定された人に対応する認証レベルを上位の認証レベルに変更することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理される認証方法であって、
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、
入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、
算出ステップで算出する類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、
安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むことを特徴とする認証方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力手段と、
筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶手段と、
入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、認証データ記憶手段に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定手段と、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶手段と、
継続情報記憶手段によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定手段によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定手段と、
安定判定手段の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更手段とを含むので、本人は認識されるが他人は認証されない認証レベルが自動的に設定され、ユーザ自身が認証レベルを設定する必要がない。必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0020】
また本発明によれば、筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理される認証方法であって、
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、
入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、
算出ステップで算出ステップで類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、
安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むので、必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る手書き認証装置1のブロック図である。
【図2】認証処理部12の詳細と、関連する部位のブロック図である。
【図3】表示部9を示す概略図である。
【図4】認証パターンが表示された表示部9aを示す図である。
【図5】時系列に表された認証パターンが表示された表示部9b,9cを示す図である。
【図6】使用情報記憶部6に記憶されている情報を示す図である。
【図7】筆記安定判定部7による第1の判定処理フローである。
【図8】筆記安定判定部7による第2の判定処理フローである。
【図9】認証レベルおよび閾値情報を示す図である。
【図10】第1の認証レベル変更の処理フローである。
【図11】第2の認証レベル変更の処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る手書き認証装置1のブロック図である。図2は、認証処理部12の詳細と、関連する部位のブロック図である。本発明に係る認証方法は、手書き認証装置1で処理される。手書き認証装置1は、入力部2と、認証処理部12と、認証パターン記憶部5と、使用情報記憶部6と、筆記安定判定部7と、表示部9と、制御部10と、特徴パターン生成部11とを備える。認証処理部12は、パターンマッチング部3と、本人判定部4と、認証レベル変更部8とを備える。入力手段である入力部2は、タッチパネルまたはタブレットなどに筆記された筆記パターンの座標データを時系列に検出し、検出した座標データを時系列に表す筆記データを入力する。筆記データは、筆記パターンを表すデータでもある。
【0024】
図3は、表示部9を示す概略図である。表示部9は、入力部2に積層された表示一体型の形態である。表示部9は、ユーザが筆記した筆記パターンおよび後述する認証結果を表示する。表示部9には、筆記パターンを記入する入力領域50と、認証開始を指示する認証ボタン51と、認証パターンの設定を行うための画面の表示を指示する設定ボタン52と、手書き認証の終了を指示する終了ボタン53とが表示される。認証パターンは、筆記する人を認証するためのパターンである。
【0025】
認証パターンを表す認証データを記憶させるために、設定ボタン52を押すと、認証ボタン51の位置に記憶ボタン(図示せず)、入力領域50の位置に筆記パターン(図示せず)の表示を行う。入力部2と表示部9との形態は、これに限定されるものではない。入力部2と表示部9とは、別々に設けられてもよい。たとえば、表示部9は、液晶画面を備えた表示装置であって、入力部2は、表示装置の表示に対応する入力領域を備え、認証ボタン51と設定ボタン52と終了ボタン53とが設けられたタブレットなどのポインティングデバイスであってもよい。制御部10は、表示部9に表示されているボタンの位置データとボタンに対応する処理を対応付けた機能テーブルとを保持する。制御部10は、ユーザが押した位置の座標データと機能テーブルの位置データとを比較して、押されたボタンを認識し、認識したボタンに対応する処理を実行する。
【0026】
認証データ記憶手段である使用情報記憶部6は、認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する。算出手段であるパターンマッチング部3は、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、使用情報記憶部6に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する。本人判定手段である本人判定部4は、パターンマッチング部3によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人(以下単に「本人」という)であるか否かを判定する。
【0027】
継続情報記憶手段である使用情報記憶部6は、継続して認証が行われたことを示す使用情報を記憶する。安定判定手段である筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定部4によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する。認証レベル変更手段である認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する。
【0028】
ユーザが筆記した筆記パターンの認証処理の動作を以下に説明する。ユーザが、筆記した筆記パターンを入力部2に入力すると、入力部2は、筆記パターンの座標データを検出する。認証開始の指示のために認証ボタン51を押すと、入力部2は、検出した座標データを制御部10に転送する。制御部10は、機能テーブルのボタンの位置データと比較し、認証ボタン51が押されたことを検知し、入力部2から転送された座標データを内部バッファ(図示せず)に保持する。制御部10は、同時に、内部バッファに保持した座標データが表す筆記パターンを表示部9に表示する。制御部10は、ユーザが筆記した筆記パターンの筆記位置に一致させて筆記パターンを表示する。
【0029】
制御部10は、内部バッファに保持している座標データが示す筆記パターンの座標情報を特徴パターン生成部11に転送し、入力された筆記パターンから特徴データ(以下「入力特徴データ」という)を生成することを指示する。特徴パターン生成部11は、筆記パターンの座標データから入力特徴データを生成し、生成した入力特徴データを制御部10に送る。制御部10は、受け取った入力特徴データを認証処理部12に転送し、認証処理を開始することを指示する。
【0030】
図4は、認証パターンが表示された表示部9aを示す図である。図5(a),(b)は、時系列に表された認証パターンが表示された表示部9b,9cを示す図である。図4に示すような認証パターンを表す認証データが、認証パターン記憶部5に記憶される。認証パターンは、時系列に筆記される。認証パターンは、たとえば図5(a)に示すように中心部の丸が筆記された後に、「か」が書き始められ、「かぎ」が筆記された後に、図5(b)に示すように、丸で囲まれた「かぎ」が四角で囲まれる。
【0031】
パターンマッチング部3は、入力特徴データと、認証パターン記憶部5に記憶されている認証パターンの認証データとの類似度を算出する。類似度は、類似している度合を示す。本人判定部4は、算出された類似度に基づいて本人か他人かを判定する。本人判定部4は、判定結果を制御部10に送り、同時に認証処理が終了したことを制御部10に通知する。制御部10は、認証結果を表示部9に表示する。
【0032】
次にユーザの筆記パターンが安定しているか否かの判定結果に基づいて認証レベルを変更する処理について説明する。図6は、使用情報記憶部6に記憶されている情報を示す図である。使用情報記憶部6は、時刻情報tsと時間数Tthと認証回数Cntと認証回数閾値Cthと類似度累積値DNと最大類似度Dmaxと最小類似度Dminと類似度情報数DCntと類似度Diと認証時刻tiなどの情報を記憶する。
【0033】
時間数Tthは、期間情報であり時間を表わしたパラメータである。時刻情報tsは、筆記パターンを筆記した人が本人であると認証した継続期間を算出するための時刻情報である。認証回数Cntは、連続して筆記パターンを筆記した人が本人であるという認証結果を得た回数である。認証回数閾値Cthは、筆記が安定しているか否かを判定する基準となる認証回数である。類似度累積値DNは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dを累積した値である。最大類似度Dmaxは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dの最大値である。最小類似度Dminは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dの最小値である。類似度情報数DCntは、類似度情報の個数を表す。類似度Diは、類似している度合を示す。
【0034】
図7は、筆記安定判定部7による第1の判定処理フローである。ステップS101で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証閾値Dthとを比較して、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定する。認証閾値Dthは、筆記した人が本人か否かを判定する基準となる類似度である。認証閾値Dthについては後述する。D≧Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人であると判定され、ステップS102に進む。ステップS102で、本人判定部4は、筆記パターンを筆記した人が本人であるという認証結果を筆記安定判定部7に通知する。筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6が記憶している時刻情報tsを読み込み、時刻情報tsと認証時刻tとから時間数Tを算出する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している期間情報の時間数Tthを読み込む。
【0035】
ステップS103で、筆記安定判定部7は、時間数Tと時間数Tthとを比較して、筆記安定条件を満足しているか否かを判定する。T≧Tthであれば、筆記安定条件が満足されていると判定され、ステップS104に進む。ステップS104で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。T<Tthであれば、筆記安定条件が満足されていないと判定され、ステップS105に進む。ステップS105で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0036】
ステップS104で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS105で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS106に進む。ステップS106で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tが追加されて一連の処理が終了する。
【0037】
ステップS101で、D<Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS107に進む。ステップS107で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS108に進む。ステップS108で、使用情報記憶部6に記憶されている時刻情報tsが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0038】
次に、類似度Dが認証閾値Dth以上であるときが連続する回数に基づいて、筆記が安定しているか否かを判定する場合について図7に示した第1の判定処理フローで説明する。認証回数Cntは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dが連続して認証閾値Dth以上である回数を表わす。認証回数Cntの初期状態は0である。ステップS101で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証閾値Dthとを比較する。D≧Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定される。筆記パターンを筆記した人が本人であると判定されると、ステップS102に進む。ステップS102で、本人判定部4は、筆記パターンを筆記した人が本人であるという認証結果を筆記安定判定部7に通知する。筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数Cntを読み込み、認証回数Cntに1を加算して、筆記安定判定部7の内部バッファ(図示せず)にカウンタ情報ICntとして保持する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数閾値Cthを読み込む。
【0039】
ステップS103で、筆記安定判定部7は、カウンタ情報ICntと認証回数閾値Cthとを比較して、筆記安定条件を満足しているか否かを判定する。ICnt≧Cthであれば、筆記安定条件が満足されていると判定され、ステップS104に進む。ステップS104で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。ICnt<Cthであれば、筆記安定条件が満足されていないと判定され、ステップS105に進む。ステップS105で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0040】
ステップS104で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS105で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS106に進む。ステップS106で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tが追加されて一連の処理が終了する。
【0041】
ステップS101で、D<Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS107に進む。ステップS107で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS108に進む。ステップS108で、使用情報記憶部6に記憶されている認証回数Cntが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0042】
図8は、筆記安定判定部7による第2の判定処理フローである。図9は、認証レベルおよび閾値情報を示す図である。本人判定部4は、認証閾値Dthと認証レベルLiと認証レベルLjに対応する認証閾値Dth(Lj)などの情報を記憶する。認証閾値Dthは、筆記した人が本人か否かを判定する基準となる類似度である。認証レベルLiは、筆記した人が本人か否かを判定する基準となるレベルである。認証閾値Dth(Lj)は、筆記した人が本人か否かを判定する基準となるレベルに対応する類似度である。
【0043】
複数段階の認証レベルが有り、本人判定部4は、各認証レベルに対応する閾値を内部に保持している場合について説明する。ステップS110で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証レベルLjに対応する認証閾値Dth(Lj)とを比較して、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定する。D≧Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人であると判定する。本人判定部4は、判定結果と認証時刻tiとを筆記安定判定部7に通知し、ステップS111に進む。ステップS111で、ステップS110で判定した認証レベルLjより上位の認証レベルであるLj+1の認証閾値Dth(Lj+1)と類似度Dとが比較される。
【0044】
D≧Dth(Lj+1)であれば、ステップS112に進む。ステップS112で、筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している時刻情報tsを読み込み、時刻情報tsと認証時刻tとから時間数Tを算出する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶されている期間情報の時間数Tthを読み込む。ステップS113で、筆記安定判定部7は、時間数Tと時間数Tthとを比較して、筆記安定条件を満足するか否かを判定する。T≧Tthであれば、ステップS114に進み、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。T<Tthであれば、ステップS115に進み、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0045】
ステップS114で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS115で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS116に進む。ステップS116で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tとが追加されて一連の処理を終了する。
【0046】
ステップS111で、D<Dth(Lj+1)であれば、筆記安定判定部7は、ステップS117で、筆記安定判定結果に「不定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている時刻情報tsが初期化される。ステップS110で、D<Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS118に進む。ステップS118で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている時刻情報tsが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0047】
次に、類似度Dが認証閾値Dth以上であるときが連続する回数に基づいて、筆記が安定しているか否かを判定する場合について、図8に示した第2の処理フローで説明する。認証回数Cntは、類似度Diが連続して認証閾値Dth以上である回数を表わす。認証回数Cntの初期状態は0である。ステップS110で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証レベルLjに対応する認証閾値Dth(Lj)とを比較して、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定する。D≧Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人であると判定される。本人判定部4は、判定結果と認証時刻tiとを筆記安定判定部7に通知し、ステップS111に進む。ステップS111で、ステップS110で判定した認証レベルLjより上位の認証レベルであるLj+1の認証閾値Dth(Lj+1)と類似度Dとが比較される。
【0048】
D≧Dth(Lj+1)であれば、ステップS112に進む。ステップS112で、筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数Cntを読み込み、認証回数Cntに1を加算して、筆記安定判定部7の内部バッファ(図示せず)にカウンタ情報ICntとして保持する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数閾値Cthを読み込む。
【0049】
ステップS113で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定部7は、カウンタ情報ICntと認証回数閾値Cthとを比較して、筆記安定条件を満足しているか否かを判定する。ICnt≧Cthであれば、筆記安定条件が満足されていると判定され、ステップS114に進む。ステップS114で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。ICnt<Cthであれば、ステップS115に進み、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0050】
ステップS114で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS115で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS116に進む。ステップS116で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tとが追加されて一連の処理を終了する。
【0051】
ステップS111で、D<Dth(Lj+1)であれば、ステップS117に進む。筆記安定判定部7は、ステップS117で、筆記安定判定結果に「不定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている認証回数Cntが初期化される。ステップS110で、D<Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS118に進む。ステップS118で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている認証回数Cntが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0052】
図10は、第1の認証レベル変更の処理フローである。第1または第2の判定処理が終了した後の認証レベル変更について説明する。認証閾値Dthを類似度の平均値に変更する場合について説明する。制御部10は、筆記安定判定部7から安定判定結果を受け取り、筆記安定判定部7の処理が完了したことを検知する。ステップS121で、制御部10は、筆記安定判定結果が「安定」か否かを判定する。筆記安定判定結果が「安定」であれば、ステップS122に進む。ステップS122で、閾値を計算する。すなわち、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を検知すると、使用情報記憶部6に記憶されている類似度情報数DCntとDCnt分の類似度を読み込み、類似度の平均値を算出する。
【0053】
ステップS123で、認証レベル変更部8は、閾値の更新を行う。すなわち、本人判定部4に記憶されている認証閾値Dthを類似度の平均値に変更し、制御部10に処理が終了したことを通知する。制御部10は、認証レベル変更部8の処理が完了したことを検知すると、一連の認証処理を終了する。ステップS121で、筆記安定結果が「不安定」または「不定」であれば、一連の認証処理は終了する。
【0054】
次に、認証閾値Dthを最大類似度Dmaxに変更する場合について、図10に示した第1の認証レベル変更の処理フローで説明する。制御部10は、筆記安定判定部7から安定判定結果を受け取り、筆記安定判定部7の処理が完了したことを検知する。ステップS121で、制御部10は、筆記安定判定結果が「安定」か否かを判定する。筆記安定判定結果が「安定」であれば、ステップS122に進む。ステップS122で、閾値を計算する。すなわち、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を検知すると、使用情報記憶部6に記憶されている最大類似度Dmaxを読み込む。
【0055】
ステップS123で、認証レベル変更部8は、閾値の更新を行う。すなわち、本人判定部4に記憶されている認証閾値Dthを最大類似度Dmaxに変更し、制御部10に処理が終了したことを通知する。制御部10は、認証レベル変更部8の処理が完了したことを検知すると、一連の認証処理を終了する。ステップS121で、筆記安定結果が「不安定」または「不定」であれば、一連の認証処理は終了する。
【0056】
最大類似度Dmaxを認証閾値Dthとすると、認証レベルが急激に高くなる場合がある。認証レベルが急激に高くなるのを防止するために、ステップS122で、使用情報記憶部6に記憶されている最小類似度Dminを読み込むことができる。ステップS123で、認証閾値Dthを最小類似度Dminに変更することによって、認証レベルの変更を緩やかなものとすることができる。
【0057】
図11は、第2の認証レベル変更の処理フローである。使用情報記憶部6に記憶している類似度情報を用いた認証閾値Dthの変更について説明したが、多段の認証レベルに基づいて認証レベルを変更する動作について説明する。制御部10は、筆記安定判定部7から安定判定結果を受け取り、筆記安定判定部7の処理が完了したことを検知する。ステップS131で、制御部10は、筆記安定判定結果が「安定」か否かを判定する。
【0058】
筆記安定判定結果が「安定」であれば、ステップS132に進む。ステップS132で認証レベルを取得する。すなわち、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を検知すると、本人判定部4に記憶されている認証レベルLjを読み込む。ステップS133で、上位認証レベルへの変更を行う。すなわち、認証レベル変更部8は、認証レベルLjを上位認証レベルLj+1に変更し、処理が終了したことを制御部10に通知する。制御部10は、認証レベル変更部8の処理が完了したことを検知すると、一連の認証処理を終了する。ステップS131で、制御部10は、筆記安定結果が「不安定」または「不定」であれば、一連の認証処理を終了する。
【0059】
このように、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力部2と、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する使用情報記憶部6と、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、使用情報記憶部6に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度Dを算出するパターンマッチング部3と、パターンマッチング部3によって算出された類似度Dと、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める認証閾値Dthとに基づいて、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定部4と、継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する使用情報記憶部6と、使用情報記憶部6によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定部4によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する筆記安定判定部7と、筆記安定判定部7の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更部8とを含むので、本人は認証されるが他人は認証されない認証レベルが自動的に設定され、ユーザ自身が認証レベルを設定する必要がない。必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0060】
さらに、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、使用情報記憶部6に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0061】
さらに、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、使用情報記憶部6に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0062】
さらに、認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、本人判定部4は、パターンマッチング部3によって算出された類似度Dが、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、使用情報記憶部6に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0063】
さらに、認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、本人判定部4は、パターンマッチング部3によって算出された類似度Dが、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、使用情報記憶部6に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0064】
さらに、認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度Dの平均値を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0065】
さらに、認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度のうち最小の類似度を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更するので、認証レベルが急激に高くなるのを防止することができる。
【0066】
さらに、認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人であると判定された人に対応する認証レベルを上位の認証レベルに変更するので、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0067】
さらに、筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理するにあたって、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、算出ステップで算出した類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むので、必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 手書き認証装置
2 入力部
3 パターンマッチング部
4 本人判定部
5 認証パターン記憶部
6 使用情報記憶部
7 筆記安定判定部
8 認証レベル変更部
9,9a,9b,9c 表示部
10 制御部
11 特徴パターン生成部
12 認証処理部
50 入力領域
51 認証ボタン
52 設定ボタン
53 終了ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書きで筆記パターンを筆記した人が、本人であるか否かを認証する認証装置および認証方法に関し、より詳細には、タッチパネルやタブレットなどのポインティングデバイスを使って筆記した筆記パターンを入力し、認証用に予め登録された認証パターンとの照合を行い、本人か否かを判定する認証装置および認証方法において、ユーザが筆記した認証パターンの認証レベルを自動的に変更する認証装置および認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、手書きで筆記された筆記パターンと、認証用に筆記され予め登録されている認証パターンとが照合され、本人か否かの判定がされる。筆記パターンは、タッチパネルまたはタブレットなどのポインティングデバイスから、指やペンで筆記されるパターンである。判定は、類似している度合を示す類似度が算出され、算出された類似度と予め定められた閾値とに基づいて行われる。閾値が低く設定されると、本人は確実に認証されるが、他人も容易に認証される危険性が高くなる。他人が容易に認証されることを防止するために閾値が高く設定されると、他人が認証される危険性は低くなるが、本人も認証されにくくなる。
【0003】
認証の難易度を調整するために、認証レベルを自由に設定できる機能を備えた認証装置が考えられる。手書きパターンのバラツキが小さい場合には、認証レベルを高く設定することができ、本人は認証されるが他人は容易に認証されないようにすることができる。ところが、設定した認証レベルが、適切な認証レベルであるか否かは分からない。設定した認証レベルが、適切な認証レベルより高い場合には、他人が認証される危険性は低くなるが、本人が認証されにくくなる。設定した認証レベルが適切な認証レベルより低い場合には、他人が認証される危険性が高くなる。
【0004】
特許文献1には、経年変化によって、認証レベルが適切な認証レベルではなくなっている場合には、認証のための手書きデータの再登録が要求され、または警告メッセージが出力されることが開示されている。ユーザは、再登録の要求または警告メッセージを確認して、認証のための手書きデータを登録し直す。
【0005】
経年変化を起こしていると判定されるのは、認証パターンが登録されてから所定の時間が経過した場合、または前回認証が成功したときから今回の認証が成功するまでの経過時間が所定の時間を越えている場合である。
【0006】
認証が失敗したと判定された評価値(以下、「失敗評価値」という)は、過去に算出された評価値と日時とを表すリストデータに加えられる。失敗評価値がリストデータに追加された回数が、所定の回数を越えた場合に、経年変化を起こしていると判定される。あるいは、所定の期間内において、失敗評価値がリストデータに追加された回数が、所定の回数を越えた場合に経年変化を起こしていると判定される。評価値の増加割合が所定の閾値を越えた場合にも経年変化を起こしていると判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−338299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1において、所定の時間が経過したときに経年変化を起こしていると判断する場合には、本人を認証しているにもかかわらず認証パターンの再登録が要求されることになる。認証が失敗したときの評価結果で経年変化を起こしていると判断する場合には、認証が失敗しないと経年変化の判定が行われない。当初に登録した認証パターンが、他人も認証されやすいパターン、たとえば、単純な筆記パターンや他人が想起しやすい誕生日や電話番号などの筆記パターンなどである場合、他人も認証されやすいパターンのまま変更されないので、他人に認証される危険性がある。
【0009】
本発明の目的は、必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる認証装置および認証方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力手段と、
筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶手段と、
入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、認証データ記憶手段に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定手段と、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶手段と、
継続情報記憶手段によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定手段によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定手段と、
安定判定手段の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更手段とを含むことを特徴とする認証装置である。
【0011】
また本発明は、前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度の平均値を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度のうち最小の類似度を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人であると判定された人に対応する認証レベルを上位の認証レベルに変更することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理される認証方法であって、
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、
入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、
算出ステップで算出する類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、
安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むことを特徴とする認証方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力手段と、
筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶手段と、
入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、認証データ記憶手段に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定手段と、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶手段と、
継続情報記憶手段によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定手段によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定手段と、
安定判定手段の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更手段とを含むので、本人は認識されるが他人は認証されない認証レベルが自動的に設定され、ユーザ自身が認証レベルを設定する必要がない。必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0020】
また本発明によれば、筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理される認証方法であって、
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、
入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、
算出ステップで算出ステップで類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、
安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むので、必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る手書き認証装置1のブロック図である。
【図2】認証処理部12の詳細と、関連する部位のブロック図である。
【図3】表示部9を示す概略図である。
【図4】認証パターンが表示された表示部9aを示す図である。
【図5】時系列に表された認証パターンが表示された表示部9b,9cを示す図である。
【図6】使用情報記憶部6に記憶されている情報を示す図である。
【図7】筆記安定判定部7による第1の判定処理フローである。
【図8】筆記安定判定部7による第2の判定処理フローである。
【図9】認証レベルおよび閾値情報を示す図である。
【図10】第1の認証レベル変更の処理フローである。
【図11】第2の認証レベル変更の処理フローである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る手書き認証装置1のブロック図である。図2は、認証処理部12の詳細と、関連する部位のブロック図である。本発明に係る認証方法は、手書き認証装置1で処理される。手書き認証装置1は、入力部2と、認証処理部12と、認証パターン記憶部5と、使用情報記憶部6と、筆記安定判定部7と、表示部9と、制御部10と、特徴パターン生成部11とを備える。認証処理部12は、パターンマッチング部3と、本人判定部4と、認証レベル変更部8とを備える。入力手段である入力部2は、タッチパネルまたはタブレットなどに筆記された筆記パターンの座標データを時系列に検出し、検出した座標データを時系列に表す筆記データを入力する。筆記データは、筆記パターンを表すデータでもある。
【0024】
図3は、表示部9を示す概略図である。表示部9は、入力部2に積層された表示一体型の形態である。表示部9は、ユーザが筆記した筆記パターンおよび後述する認証結果を表示する。表示部9には、筆記パターンを記入する入力領域50と、認証開始を指示する認証ボタン51と、認証パターンの設定を行うための画面の表示を指示する設定ボタン52と、手書き認証の終了を指示する終了ボタン53とが表示される。認証パターンは、筆記する人を認証するためのパターンである。
【0025】
認証パターンを表す認証データを記憶させるために、設定ボタン52を押すと、認証ボタン51の位置に記憶ボタン(図示せず)、入力領域50の位置に筆記パターン(図示せず)の表示を行う。入力部2と表示部9との形態は、これに限定されるものではない。入力部2と表示部9とは、別々に設けられてもよい。たとえば、表示部9は、液晶画面を備えた表示装置であって、入力部2は、表示装置の表示に対応する入力領域を備え、認証ボタン51と設定ボタン52と終了ボタン53とが設けられたタブレットなどのポインティングデバイスであってもよい。制御部10は、表示部9に表示されているボタンの位置データとボタンに対応する処理を対応付けた機能テーブルとを保持する。制御部10は、ユーザが押した位置の座標データと機能テーブルの位置データとを比較して、押されたボタンを認識し、認識したボタンに対応する処理を実行する。
【0026】
認証データ記憶手段である使用情報記憶部6は、認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する。算出手段であるパターンマッチング部3は、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、使用情報記憶部6に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する。本人判定手段である本人判定部4は、パターンマッチング部3によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人(以下単に「本人」という)であるか否かを判定する。
【0027】
継続情報記憶手段である使用情報記憶部6は、継続して認証が行われたことを示す使用情報を記憶する。安定判定手段である筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定部4によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する。認証レベル変更手段である認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する。
【0028】
ユーザが筆記した筆記パターンの認証処理の動作を以下に説明する。ユーザが、筆記した筆記パターンを入力部2に入力すると、入力部2は、筆記パターンの座標データを検出する。認証開始の指示のために認証ボタン51を押すと、入力部2は、検出した座標データを制御部10に転送する。制御部10は、機能テーブルのボタンの位置データと比較し、認証ボタン51が押されたことを検知し、入力部2から転送された座標データを内部バッファ(図示せず)に保持する。制御部10は、同時に、内部バッファに保持した座標データが表す筆記パターンを表示部9に表示する。制御部10は、ユーザが筆記した筆記パターンの筆記位置に一致させて筆記パターンを表示する。
【0029】
制御部10は、内部バッファに保持している座標データが示す筆記パターンの座標情報を特徴パターン生成部11に転送し、入力された筆記パターンから特徴データ(以下「入力特徴データ」という)を生成することを指示する。特徴パターン生成部11は、筆記パターンの座標データから入力特徴データを生成し、生成した入力特徴データを制御部10に送る。制御部10は、受け取った入力特徴データを認証処理部12に転送し、認証処理を開始することを指示する。
【0030】
図4は、認証パターンが表示された表示部9aを示す図である。図5(a),(b)は、時系列に表された認証パターンが表示された表示部9b,9cを示す図である。図4に示すような認証パターンを表す認証データが、認証パターン記憶部5に記憶される。認証パターンは、時系列に筆記される。認証パターンは、たとえば図5(a)に示すように中心部の丸が筆記された後に、「か」が書き始められ、「かぎ」が筆記された後に、図5(b)に示すように、丸で囲まれた「かぎ」が四角で囲まれる。
【0031】
パターンマッチング部3は、入力特徴データと、認証パターン記憶部5に記憶されている認証パターンの認証データとの類似度を算出する。類似度は、類似している度合を示す。本人判定部4は、算出された類似度に基づいて本人か他人かを判定する。本人判定部4は、判定結果を制御部10に送り、同時に認証処理が終了したことを制御部10に通知する。制御部10は、認証結果を表示部9に表示する。
【0032】
次にユーザの筆記パターンが安定しているか否かの判定結果に基づいて認証レベルを変更する処理について説明する。図6は、使用情報記憶部6に記憶されている情報を示す図である。使用情報記憶部6は、時刻情報tsと時間数Tthと認証回数Cntと認証回数閾値Cthと類似度累積値DNと最大類似度Dmaxと最小類似度Dminと類似度情報数DCntと類似度Diと認証時刻tiなどの情報を記憶する。
【0033】
時間数Tthは、期間情報であり時間を表わしたパラメータである。時刻情報tsは、筆記パターンを筆記した人が本人であると認証した継続期間を算出するための時刻情報である。認証回数Cntは、連続して筆記パターンを筆記した人が本人であるという認証結果を得た回数である。認証回数閾値Cthは、筆記が安定しているか否かを判定する基準となる認証回数である。類似度累積値DNは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dを累積した値である。最大類似度Dmaxは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dの最大値である。最小類似度Dminは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dの最小値である。類似度情報数DCntは、類似度情報の個数を表す。類似度Diは、類似している度合を示す。
【0034】
図7は、筆記安定判定部7による第1の判定処理フローである。ステップS101で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証閾値Dthとを比較して、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定する。認証閾値Dthは、筆記した人が本人か否かを判定する基準となる類似度である。認証閾値Dthについては後述する。D≧Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人であると判定され、ステップS102に進む。ステップS102で、本人判定部4は、筆記パターンを筆記した人が本人であるという認証結果を筆記安定判定部7に通知する。筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6が記憶している時刻情報tsを読み込み、時刻情報tsと認証時刻tとから時間数Tを算出する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している期間情報の時間数Tthを読み込む。
【0035】
ステップS103で、筆記安定判定部7は、時間数Tと時間数Tthとを比較して、筆記安定条件を満足しているか否かを判定する。T≧Tthであれば、筆記安定条件が満足されていると判定され、ステップS104に進む。ステップS104で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。T<Tthであれば、筆記安定条件が満足されていないと判定され、ステップS105に進む。ステップS105で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0036】
ステップS104で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS105で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS106に進む。ステップS106で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tが追加されて一連の処理が終了する。
【0037】
ステップS101で、D<Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS107に進む。ステップS107で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS108に進む。ステップS108で、使用情報記憶部6に記憶されている時刻情報tsが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0038】
次に、類似度Dが認証閾値Dth以上であるときが連続する回数に基づいて、筆記が安定しているか否かを判定する場合について図7に示した第1の判定処理フローで説明する。認証回数Cntは、パターンマッチング部3で算出された類似度Dが連続して認証閾値Dth以上である回数を表わす。認証回数Cntの初期状態は0である。ステップS101で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証閾値Dthとを比較する。D≧Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定される。筆記パターンを筆記した人が本人であると判定されると、ステップS102に進む。ステップS102で、本人判定部4は、筆記パターンを筆記した人が本人であるという認証結果を筆記安定判定部7に通知する。筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数Cntを読み込み、認証回数Cntに1を加算して、筆記安定判定部7の内部バッファ(図示せず)にカウンタ情報ICntとして保持する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数閾値Cthを読み込む。
【0039】
ステップS103で、筆記安定判定部7は、カウンタ情報ICntと認証回数閾値Cthとを比較して、筆記安定条件を満足しているか否かを判定する。ICnt≧Cthであれば、筆記安定条件が満足されていると判定され、ステップS104に進む。ステップS104で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。ICnt<Cthであれば、筆記安定条件が満足されていないと判定され、ステップS105に進む。ステップS105で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0040】
ステップS104で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS105で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS106に進む。ステップS106で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tが追加されて一連の処理が終了する。
【0041】
ステップS101で、D<Dthであれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS107に進む。ステップS107で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS108に進む。ステップS108で、使用情報記憶部6に記憶されている認証回数Cntが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0042】
図8は、筆記安定判定部7による第2の判定処理フローである。図9は、認証レベルおよび閾値情報を示す図である。本人判定部4は、認証閾値Dthと認証レベルLiと認証レベルLjに対応する認証閾値Dth(Lj)などの情報を記憶する。認証閾値Dthは、筆記した人が本人か否かを判定する基準となる類似度である。認証レベルLiは、筆記した人が本人か否かを判定する基準となるレベルである。認証閾値Dth(Lj)は、筆記した人が本人か否かを判定する基準となるレベルに対応する類似度である。
【0043】
複数段階の認証レベルが有り、本人判定部4は、各認証レベルに対応する閾値を内部に保持している場合について説明する。ステップS110で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証レベルLjに対応する認証閾値Dth(Lj)とを比較して、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定する。D≧Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人であると判定する。本人判定部4は、判定結果と認証時刻tiとを筆記安定判定部7に通知し、ステップS111に進む。ステップS111で、ステップS110で判定した認証レベルLjより上位の認証レベルであるLj+1の認証閾値Dth(Lj+1)と類似度Dとが比較される。
【0044】
D≧Dth(Lj+1)であれば、ステップS112に進む。ステップS112で、筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している時刻情報tsを読み込み、時刻情報tsと認証時刻tとから時間数Tを算出する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶されている期間情報の時間数Tthを読み込む。ステップS113で、筆記安定判定部7は、時間数Tと時間数Tthとを比較して、筆記安定条件を満足するか否かを判定する。T≧Tthであれば、ステップS114に進み、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。T<Tthであれば、ステップS115に進み、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0045】
ステップS114で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS115で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS116に進む。ステップS116で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tとが追加されて一連の処理を終了する。
【0046】
ステップS111で、D<Dth(Lj+1)であれば、筆記安定判定部7は、ステップS117で、筆記安定判定結果に「不定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている時刻情報tsが初期化される。ステップS110で、D<Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS118に進む。ステップS118で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている時刻情報tsが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0047】
次に、類似度Dが認証閾値Dth以上であるときが連続する回数に基づいて、筆記が安定しているか否かを判定する場合について、図8に示した第2の処理フローで説明する。認証回数Cntは、類似度Diが連続して認証閾値Dth以上である回数を表わす。認証回数Cntの初期状態は0である。ステップS110で、本人判定部4は、パターンマッチング部3で算出された類似度Dと認証レベルLjに対応する認証閾値Dth(Lj)とを比較して、筆記パターンを筆記した人が本人か否かを判定する。D≧Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人であると判定される。本人判定部4は、判定結果と認証時刻tiとを筆記安定判定部7に通知し、ステップS111に進む。ステップS111で、ステップS110で判定した認証レベルLjより上位の認証レベルであるLj+1の認証閾値Dth(Lj+1)と類似度Dとが比較される。
【0048】
D≧Dth(Lj+1)であれば、ステップS112に進む。ステップS112で、筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、安定判定のパラメータを取得する。筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数Cntを読み込み、認証回数Cntに1を加算して、筆記安定判定部7の内部バッファ(図示せず)にカウンタ情報ICntとして保持する。さらに、筆記安定判定部7は、使用情報記憶部6に記憶している認証回数閾値Cthを読み込む。
【0049】
ステップS113で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定部7は、カウンタ情報ICntと認証回数閾値Cthとを比較して、筆記安定条件を満足しているか否かを判定する。ICnt≧Cthであれば、筆記安定条件が満足されていると判定され、ステップS114に進む。ステップS114で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「安定」をセットする。ICnt<Cthであれば、ステップS115に進み、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不定」をセットする。
【0050】
ステップS114で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「安定」をセットし、または、ステップS115で、筆記安定判定部7が、筆記安定判定結果に「不定」をセットすると、ステップS116に進む。ステップS116で、使用情報記憶部6に記憶されている情報が更新される。使用情報記憶部6の認証回数Cntに1が加算され、類似度累積値DNに類似度Dが加算される。さらに類似度情報数DCntに1が加算され、類似度Diと認証時刻tiのペアの次の位置に類似度Dと認証時刻tとが追加されて一連の処理を終了する。
【0051】
ステップS111で、D<Dth(Lj+1)であれば、ステップS117に進む。筆記安定判定部7は、ステップS117で、筆記安定判定結果に「不定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている認証回数Cntが初期化される。ステップS110で、D<Dth(Lj)であれば、筆記パターンを筆記した人が本人ではないと判定され、ステップS118に進む。ステップS118で、筆記安定判定部7は、筆記安定判定結果に「不安定」をセットし、ステップS119に進む。ステップS119で、使用情報記憶部6に記憶されている認証回数Cntが初期化される。筆記安定判定部7は、安定判定結果を制御部10に転送し、安定判定処理が終了したことを制御部10に通知する。
【0052】
図10は、第1の認証レベル変更の処理フローである。第1または第2の判定処理が終了した後の認証レベル変更について説明する。認証閾値Dthを類似度の平均値に変更する場合について説明する。制御部10は、筆記安定判定部7から安定判定結果を受け取り、筆記安定判定部7の処理が完了したことを検知する。ステップS121で、制御部10は、筆記安定判定結果が「安定」か否かを判定する。筆記安定判定結果が「安定」であれば、ステップS122に進む。ステップS122で、閾値を計算する。すなわち、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を検知すると、使用情報記憶部6に記憶されている類似度情報数DCntとDCnt分の類似度を読み込み、類似度の平均値を算出する。
【0053】
ステップS123で、認証レベル変更部8は、閾値の更新を行う。すなわち、本人判定部4に記憶されている認証閾値Dthを類似度の平均値に変更し、制御部10に処理が終了したことを通知する。制御部10は、認証レベル変更部8の処理が完了したことを検知すると、一連の認証処理を終了する。ステップS121で、筆記安定結果が「不安定」または「不定」であれば、一連の認証処理は終了する。
【0054】
次に、認証閾値Dthを最大類似度Dmaxに変更する場合について、図10に示した第1の認証レベル変更の処理フローで説明する。制御部10は、筆記安定判定部7から安定判定結果を受け取り、筆記安定判定部7の処理が完了したことを検知する。ステップS121で、制御部10は、筆記安定判定結果が「安定」か否かを判定する。筆記安定判定結果が「安定」であれば、ステップS122に進む。ステップS122で、閾値を計算する。すなわち、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を検知すると、使用情報記憶部6に記憶されている最大類似度Dmaxを読み込む。
【0055】
ステップS123で、認証レベル変更部8は、閾値の更新を行う。すなわち、本人判定部4に記憶されている認証閾値Dthを最大類似度Dmaxに変更し、制御部10に処理が終了したことを通知する。制御部10は、認証レベル変更部8の処理が完了したことを検知すると、一連の認証処理を終了する。ステップS121で、筆記安定結果が「不安定」または「不定」であれば、一連の認証処理は終了する。
【0056】
最大類似度Dmaxを認証閾値Dthとすると、認証レベルが急激に高くなる場合がある。認証レベルが急激に高くなるのを防止するために、ステップS122で、使用情報記憶部6に記憶されている最小類似度Dminを読み込むことができる。ステップS123で、認証閾値Dthを最小類似度Dminに変更することによって、認証レベルの変更を緩やかなものとすることができる。
【0057】
図11は、第2の認証レベル変更の処理フローである。使用情報記憶部6に記憶している類似度情報を用いた認証閾値Dthの変更について説明したが、多段の認証レベルに基づいて認証レベルを変更する動作について説明する。制御部10は、筆記安定判定部7から安定判定結果を受け取り、筆記安定判定部7の処理が完了したことを検知する。ステップS131で、制御部10は、筆記安定判定結果が「安定」か否かを判定する。
【0058】
筆記安定判定結果が「安定」であれば、ステップS132に進む。ステップS132で認証レベルを取得する。すなわち、制御部10は、認証レベル変更部8に認証レベル変更処理を行うことを指示する。認証レベル変更部8は、制御部10からの認証レベル変更処理の指示を検知すると、本人判定部4に記憶されている認証レベルLjを読み込む。ステップS133で、上位認証レベルへの変更を行う。すなわち、認証レベル変更部8は、認証レベルLjを上位認証レベルLj+1に変更し、処理が終了したことを制御部10に通知する。制御部10は、認証レベル変更部8の処理が完了したことを検知すると、一連の認証処理を終了する。ステップS131で、制御部10は、筆記安定結果が「不安定」または「不定」であれば、一連の認証処理を終了する。
【0059】
このように、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力部2と、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する使用情報記憶部6と、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、使用情報記憶部6に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度Dを算出するパターンマッチング部3と、パターンマッチング部3によって算出された類似度Dと、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める認証閾値Dthとに基づいて、入力部2によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定部4と、継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する使用情報記憶部6と、使用情報記憶部6によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定部4によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する筆記安定判定部7と、筆記安定判定部7の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更部8とを含むので、本人は認証されるが他人は認証されない認証レベルが自動的に設定され、ユーザ自身が認証レベルを設定する必要がない。必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0060】
さらに、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、使用情報記憶部6に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0061】
さらに、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、使用情報記憶部6に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0062】
さらに、認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、本人判定部4は、パターンマッチング部3によって算出された類似度Dが、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、使用情報記憶部6に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0063】
さらに、認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、本人判定部4は、パターンマッチング部3によって算出された類似度Dが、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、筆記安定判定部7は、本人判定部4によって本人であると判定された人が、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、使用情報記憶部6に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0064】
さらに、認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度Dの平均値を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更するので、安定した筆記を認証レベルとすることができ、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0065】
さらに、認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人判定部4によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度のうち最小の類似度を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更するので、認証レベルが急激に高くなるのを防止することができる。
【0066】
さらに、認証レベル変更部8は、筆記安定判定部7によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人であると判定された人に対応する認証レベルを上位の認証レベルに変更するので、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証レベルを設定することができる。
【0067】
さらに、筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理するにあたって、筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、算出ステップで算出した類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むので、必要に応じて、本人は認証されるが他人は認証されにくい認証方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 手書き認証装置
2 入力部
3 パターンマッチング部
4 本人判定部
5 認証パターン記憶部
6 使用情報記憶部
7 筆記安定判定部
8 認証レベル変更部
9,9a,9b,9c 表示部
10 制御部
11 特徴パターン生成部
12 認証処理部
50 入力領域
51 認証ボタン
52 設定ボタン
53 終了ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力手段と、
筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶手段と、
入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、認証データ記憶手段に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定手段と、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶手段と、
継続情報記憶手段によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定手段によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定手段と、
安定判定手段の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更手段とを含むことを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項4】
前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項5】
前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項6】
前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度の平均値を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項7】
前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度のうち最小の類似度を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項8】
前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人であると判定された人に対応する認証レベルを上位の認証レベルに変更することを特徴とする請求項4または5に記載の認証装置。
【請求項9】
筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理される認証方法であって、
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、
入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、
算出ステップで算出する類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、
安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むことを特徴とする認証方法。
【請求項1】
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力手段と、
筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶手段と、
入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンと、認証データ記憶手段に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出手段と、
算出手段によって算出された類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力手段によって入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定手段と、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶手段と、
継続情報記憶手段によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定手段によって本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定手段と、
安定判定手段の判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更手段とを含むことを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め定める回数情報を含み、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項4】
前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる期間を表す予め定める期間情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの期間が、前記継続情報記憶手段に記憶される継続情報に含まれる予め定める期間情報が示す期間以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項5】
前記認証レベルは、複数段階の認証レベルであり、認証レベルごとに異なる閾値が対応し、
前記継続情報は、本人であるか否かを判定するために用いる回数を表す予め情報を含み、
前記本人判定手段は、前記算出手段によって算出された類似度が、複数の認証レベルのうち本人であると判定した人に対応する認証レベルより上位の認証レベルの予め定める閾値以上であるとき、本人であると判定し、
前記安定判定手段は、前記本人判定手段によって本人であると判定された人が、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの回数が、前記継続情報記憶手段に記憶される回数情報に含まれる予め定める回数情報が示す回数以上であるとき、認証パターンが安定していると判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項6】
前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度の平均値を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項7】
前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、前記本人判定手段によって継続して本人であると判定された時点のうち最初の時点から、最後の時点までの類似度のうち最小の類似度を、本人であると判定された人に対応する認証レベルに対応する新たな閾値として変更することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項8】
前記認証レベル変更手段は、前記安定判定手段によって認証パターンが安定していると判定されたとき、本人であると判定された人に対応する認証レベルを上位の認証レベルに変更することを特徴とする請求項4または5に記載の認証装置。
【請求項9】
筆記された筆記パターンと筆記する人を認証するための認証パターンとに基づいて筆記した人が認証パターンを筆記した本人であるか否かを認証する認証装置で処理される認証方法であって、
筆記された筆記パターンを表す筆記データを入力する入力ステップと、
入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンと、筆記する人を認証するための認証パターンを表す認証データを、認証パターンを筆記した人ごとに記憶する認証データ記憶部に記憶される認証データが示す認証パターンとが類似している度合を示す類似度を算出する算出ステップと、
算出ステップで算出する類似度と、認証される人ごとに定められる各認証レベルに対応する予め定める閾値とに基づいて、入力ステップで入力された筆記データが示す筆記パターンを筆記した人が、認証パターンを筆記した本人であるか否かを判定する本人判定ステップと、
継続して認証が行われたことを示す継続情報を記憶する継続情報記憶部によって記憶される継続情報に基づいて、本人判定ステップで本人であると判定された人の認証パターンが安定しているか否かを判定する安定判定ステップと、
安定判定ステップでの判定結果に基づいて、認証レベルを変更する認証レベル変更ステップとを含むことを特徴とする認証方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−191481(P2010−191481A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31948(P2009−31948)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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