説明

誘導加熱調理器

【課題】加熱庫内に着脱可能なヒータが適切に設置されているか否かを使用者に伝えることのできる誘導加熱調理器を得る。
【解決手段】箱状の加熱庫1と、高周波電流が供給されて高周波磁束を発生するコイル74と、加熱庫1内に対して取り出し可能に収容される容器10と、容器10の外周面から給電部42、46が突出するようにして容器10と一体的に設けられる上ヒータ41、下ヒータ45と、加熱庫1内に設けられ、コイル74から生じる磁束と鎖交するようにして上ヒータ41、下ヒータ45の給電部42、46を収容可能な上部溝部72、下部溝部73と、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73に収容されているか否かを検知する給電部検知手段としての制御部50と、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73に収容されているか否かに関する情報を報知する報知部52とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関し、特に、グリル、オーブン、ロースタ等の加熱庫において誘導電流式のヒータを熱源に用いた誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、組み込み式の加熱調理器を備えたシステムキッチンが普及している。このような組み込み式の加熱調理器として、上面に鍋やフライパンを加熱する発熱部を備えるとともに、筐体内にグリル、オーブン、ロースタ等と呼ばれる加熱庫を備えたものが知られている。加熱庫内には、シーズヒータやラジエントヒータあるいはセラミックヒータ等の電気抵抗式ヒータが設けられているのが一般的である。また、加熱庫内にヒータを有する加熱調理器としては、他にもオーブンレンジやオーブントースタ等が知られている。このような加熱庫内に加熱源を有する加熱調理器として、加熱庫内から引出し可能な調理プレート等が設けられており、この調理プレート上に食品を載置して加熱するように構成されているものが知られている。
【0003】
上記のような加熱調理器として、「加熱台11を筐体10より引き出し、プレート15の上に加熱容器27を載せ、加熱台11を筐体10に戻し、操作部21の主電源スイッチ22を入れ、加熱したい箇所に相当した番号の個別スイッチ23を押すとその番号の加熱コイル16に駆動回路20から電力が供給され、加熱容器27を誘導加熱することができる。」ように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、「引き出し体2を、図4に示す開き状態から、図5に示す収納位置へ押し込んだときに、可動レール10の最奥位置10aに設けられている作動レバー25は仕切り壁23の窓23aに入り込んで、マイクロ波発振停止用スイッチ26をオン動作させる。」ように構成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−125858号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2006−38299号公報(第6頁、図4、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に記載された従来の加熱調理器は、引き出し可能な加熱台(引き出し体)が加熱庫から引き出された際には加熱が停止するようになっている。言い替えると、加熱庫内に加熱台が適切に設置されなければ加熱できない構成である。このような構成は、引き出された状態での加熱を防止するという点では安全性の向上に寄与している。
【0007】
しかしながら、加熱庫内に対して着脱可能な部材(加熱台)が適切に設置されないまま、加熱開始が指示される場合がある。例えば、加熱庫内に加熱台が適切に設置されていないにもかかわらず、使用者が適切に設置したつもりでいる場合、加熱が開始されないことを使用者が故障と勘違いする、あるいは加熱が開始されないことにしばらく気付かないというおそれもある。
また、このようなことを防ぐために、使用者が加熱台の設置に細かく気を配らなければならないとすると、使用者にとって使い勝手が悪く不便である。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、加熱庫内に着脱可能なヒータが適切に設置されているか否かを使用者に伝えることのできる誘導加熱調理器を提供するものである。また、加熱庫内に着脱可能なヒータの設置不備を低減することのできる誘導加熱調理器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る誘導加熱調理器は、箱状の加熱庫と、高周波電流を供給されて高周波磁束を発生するコイルと、前記加熱庫内に対して取り出し可能に収容される容器と、前記容器の外周面から給電部が突出するようにして前記容器と一体的に設けられるヒータと、前記加熱庫内に設けられ、前記コイルから生じる磁束と鎖交するようにして前記ヒータの前記給電部を収容可能な給電部収容部と、前記給電部が前記給電部収容部に収容されているか否かを検知する給電部検知手段と、前記給電部が前記給電部収容部に収容されているか否かに関する情報を報知する報知手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着脱可能なヒータの給電部が、前記給電部収容部に収容されているか否かに関する情報を報知する。このため、使用者は、給電部が適切に給電部収容部に収容されているか否かを容易に認識できるので、ヒータの設置不備を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係る加熱庫の断面模式図である。
【図2】実施の形態1に係る加熱庫の前扉を開放した状態を示す断面模式図である。
【図3】実施の形態1に係る容器の斜視図である。
【図4】実施の形態1に係る加熱庫の加熱動作を説明する要部模式図である。
【図5】実施の形態2に係る容器とトレイの斜視図である。
【図6】実施の形態3に係る容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。
【図7】実施の形態3に係る他の態様の容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。
【図8】実施の形態3に係る他の態様の容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。
【図9】実施の形態3に係る他の態様の容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。
【図10】実施の形態4に係る容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。
【図11】実施の形態5に係る容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱庫の断面模式図、図2は、実施の形態1に係る加熱庫の前扉を開放した状態を示す断面模式図、図3は、実施の形態1に係る容器の斜視図である。なお、図1〜図3を含め、図面に示す各構成の大きさや位置関係は、実際のものとは異なる場合がある。また、説明のため、図1の紙面左側に相当する方向を「前」、紙面右側に相当する方向を「後」、紙面上側に相当する方向を「上」、紙面下側に相当する方向を「下」と称する場合がある。
【0013】
図1、図2に示すように、加熱調理器100は、鉄板やステンレス板あるいは銅やアルミなどの金属板で形成された筐体101を有し、この筐体101の内部には誘導加熱により庫内の食材等を加熱する加熱庫1が配置されている。加熱調理器100の筐体101内には、制御部50と、電源回路51とを備え、加熱庫1の上方には報知部52としてのスピーカ53と視覚的な報知を行う光源54が設けられている。本実施の形態1では、加熱調理器100が、天板102上に載置された鍋等を誘導加熱コイルにより加熱するいわゆるIHクッキングヒータである場合を例に説明するが、加熱調理器100はオーブンレンジ、オーブントースターなどであってもよい。
【0014】
加熱庫1は、加熱調理器100の前面に開口した箱型形状を有し、上壁2a、下壁2b、側壁2c、側壁2d(図示せず。側壁2cと対向する側壁を表す。)、後壁2eを備えている。なお、上壁2a、下壁2b、側壁2c、側壁2d、後壁2eを壁部2と総称する場合がある。これら壁部2は、鉄板(亜鉛めっき鋼板、炭素鋼板などの鋼板を含む)、磁性または非磁性のステンレスなどの鋼板、銅やアルミあるいはそれらの合金などの非磁性金属板などで形成されている。
【0015】
加熱庫1の前面には、耐熱ガラスや金属などの耐熱性の材料からなる前扉4が設けられている。前扉4は、開閉自在に設けられている。前扉4の加熱庫1側の面の下部には、奥側に向かって延びる左右一対のアーム5が設けられている。このアーム5は、加熱庫1の側壁2c、側壁2dに奥行き方向に沿って設けられた左右一対のレール3に摺動可能に載置される。アーム5の上には、左右一対のアーム5に渡すようにしてトレイ6(容器載置台)が取り付けられる。このトレイ6は、容器10や食材等の被加熱物を載置するためのものである。前扉4を引き出しあるいは押し込むと、アーム5がレール3上を摺動し、アーム5上に載置されたトレイ6がこれに連動して出し入れされるようになっている。なお、前扉4の開閉に関する構造はこれに限定するものではなく、開閉可能な構造であれば任意のものを採用することができる。
【0016】
加熱庫1の後部には、コイルユニット7が設けられている。コイルユニット7は、セラミックスなどの非磁性の絶縁物からなる耐熱性の耐熱基材71を有し、この耐熱基材71が加熱庫1の後壁2eを形成している。したがって、上壁2a、下壁2b、側壁2c、側壁2d、前扉4、及び耐熱基材71からなる後壁2eにより、加熱庫1は概略直方体の箱型を形成しているといえる。
【0017】
耐熱基材71は、上部と下部の中央部を断面コ字状に外側へ折り曲げて、加熱庫1の後壁2eにおいて水平方向に延びる上部溝部72と下部溝部73を形成している。上部溝部72、下部溝部73を外側から囲うように、断面略コ字状の上部断熱材75と下部断熱材76とが配置されている。上部断熱材75と下部断熱材76の外側にはそれぞれ、導線を平面上に巻いて形成したコイル74が配置されている。コイル74は、その一部のコイル束分が上部断熱材75の背後に配置され、別のコイル束分が下部断熱材76の背後に配置されている。また、上部断熱材75と下部断熱材76の背後に位置するコイル束分と、上部溝部72、下部溝部73とを囲うように、断面コ字状の上部磁性体77と下部磁性体78とがそれぞれ配置されている。
【0018】
上部断熱材75と下部断熱材76は、加熱庫1内の熱がコイル74に伝わり、コイル74が高温になるのを防止する目的で設けられる。上部断熱材75と下部断熱材76の材質は、例えばセラミックウール材やガラスウール等である。また、上部断熱材75と下部断熱材76に代えて、これらの断熱材が設けられる空隙を空気断熱層として構成してもよい。さらに、上部断熱材75、下部断熱材76とコイル74との間に空隙を設け、その空隙に空気を流通させることもできる。
【0019】
コイル74は、例えば直径が0.2mmの銅線を樹脂などで被覆したものを90本撚り線にしたいわゆるリッツ線を、後壁2eにほぼ平行な平面上にほぼ長方形状(各角部が湾曲した長方形状またはほぼ楕円形状も含む)に、例えば複数回(17回)巻回して形成されたものである。コイル74は、高周波電流を供給する電源回路51に接続されており、電源回路51からコイル74に例えば20kHz〜100kHzの高周波電力が供給されるようにしてある。
【0020】
電源回路51は、一般的なIHクッキングヒータ等で採用されているIGBTやMOSFETなどの半導体スイッチング素子を用いたフルブリッジ回路やハーフブリッジ回路あるいは一石共振型回路を用いることができる。高周波電流がコイル74に供給されることにより、これらの複数のリッツ線は、同一方向の電流(磁束)を形成する。
【0021】
上部磁性体77と下部磁性体78には、一般的なIHクッキングヒータのトッププレートの下部に配置された加熱コイルに用いられる、フェライトコアと同等の磁性材料を用いることができる。あるいは、厚さ0.1mm程度の電磁鋼板などを積層して形成した積層鉄心コアを、上部磁性体77と下部磁性体78として用いてもよい。
【0022】
コイルユニット7の背後には、コイルユニット7全体を囲うように、断面略コ字状の防磁カバー8が配置されている。防磁カバー8の背面には、通風口(図示せず)を介してファン9が取り付けられている。ファン9は、防磁カバー8内のコイル74を冷却するためのものであり、通電時にコイル74の温度が銅線の被覆材料の耐熱温度以下に保持できるように設計されている。
【0023】
防磁カバー8は、例えば銅やアルミニウム等の非磁性で、かつ、高導電率の板部材で形成されている。これによりコイルユニット7からの漏洩磁束で加熱調理器100の筐体101を誘導加熱することを抑制し、無駄な電力消費を抑制する。具体的には、コイルユニット7からの漏洩磁束が防磁カバー8に到達すると、電磁誘導によって防磁カバー8には漏洩磁束を打ち消す誘導電流が流れ、防磁カバー8から外側に漏れる磁束を相殺できる。防磁カバー8は高伝導率の金属で形成されているので、漏洩磁束により発生する誘導電流がジュール熱として消費する電力は小さく、漏洩磁束が加熱調理器100の筐体101に到達して筐体101を誘導加熱するときの消費電力に比べ、無駄な消費電力を抑制できる。なお、防磁カバー8は、コイルユニット7を冷却するための風洞としても機能する。
【0024】
加熱庫1の内部には、容器10がトレイ6の上に載置されている。図1〜図3に示すように、容器10は箱形の形状を有し、内部に食材を収容する容器本体20と、容器本体20に対して取り外し可能な蓋30とを有する。容器本体20と蓋30には、それぞれ、下ヒータ45と上ヒータ41が設けられている。なお、容器10の形状は一例であり、例えば、平面視で円形状、楕円形状のようなものにしてもよい。
【0025】
容器本体20は、底板21と、外周面22とを有し、内部に食材を収容するための収容空間を有している。なお、外周面22を、便宜上、前面22a、背面22b、側面22c、側面22dと称する場合がある。ここで、容器本体20の外周面22の「前面」とは、加熱庫1内に容器10を適切に設置した状態における、加熱庫1の前側に位置する面をいい、「背面」とは、後述する給電部46が突出する面をいう。
また、容器本体20の底板21の上側には、食材を載置する載置板23が所定の空隙を介して配置されている。この底板21と載置板23との間の空隙は、下ヒータ45の一部を収容するための空間であり、ヒータ収容部24と称する。容器本体20の背面22bには、2つの開口25が設けられており、この開口25からは下ヒータ45の一部が突出している。容器本体20の側面22c、側面22dには、外方に向かって突出する一対の取っ手26が設けられている。
【0026】
蓋30は、天板31と、外周面32とを有する。なお、外周面32を、便宜上、前面32a、背面32b、側面32c、側面32dと称する場合がある。なお、ここでいう蓋30の外周面32の「前面」とは、加熱庫1内に容器10を適切に設置した状態における、加熱庫1の前側に位置する面であり、「背面」とは、後述する給電部46が突出する面をいう。
蓋30の内部において天板31の下側には、内板33が所定の空隙を介して配置されている。この天板31と内板33との間の空隙は、上ヒータ41の一部を収容するための空間であり、ヒータ収容部34と称する。蓋30の背面32bには、2つの開口35が設けられており、この開口35からは上ヒータ41の一部が突出している。蓋30の側面32c、側面32dには、外方に向かって突出する一対の取っ手36が設けられている。
【0027】
ヒータ収容部24とヒータ収容部34の内部空間には、例えばセラミックス等の耐熱性絶縁部材が充填され、上ヒータ41、下ヒータ45と容器10の外郭との絶縁が確保されている。
容器10の材質は、非磁性金属でもよいが、通電の際、上ヒータ41、下ヒータ45の周囲に発生する高周波磁束が容器10外側に漏洩することを防ぎ、容器10を加熱するための電力が効率的に消費されるため、鉄等の強磁性金属が好ましい。また、金属でなく炭素などの導電材料で容器10を構成してもよい。
なお、容器10の上にはハンバーグ等の食材が載せられる。このため、容器10の内面には、テフロン(登録商標)加工やフッ素加工等の防汚加工を行うことが好適である。
【0028】
蓋30のヒータ収容部34には上ヒータ41が収容され、容器本体20のヒータ収容部24には下ヒータ45が収容される。
本実施の形態1に係る加熱庫1は、コイル74から生じる高周波磁束により上ヒータ41と下ヒータ45に高周波電流が誘導され、この高周波電流により容器10に渦電流を発生させて容器10内の食材を加熱する仕組みである。このため、上ヒータ41、下ヒータ45に高周波電流が誘導され、蓋30、容器本体20が効果的に誘導加熱される距離となるよう、上ヒータ41、下ヒータ45はそれぞれ蓋30、容器本体20の外郭に対して所定距離をもって設置してある。
【0029】
上ヒータ41、下ヒータ45は、ループ状の金属部材で構成されており、閉ループ(閉回路)を構成している。
上ヒータ41、下ヒータ45は、ステンレスの棒やパイプあるいは板で形成してもよいが、銅や銅合金、またはアルミやアルミ合金等の電気抵抗が小さい金属の棒やパイプ、板等で形成してもよい。上ヒータ41、下ヒータ45を電気抵抗が小さい金属で形成する場合、強度補強や腐食防止のため、上ヒータ41や下ヒータ45の外周を非磁性ステンレスや高ニッケル合金等の非磁性金属で覆ったり、セラミックス等のコーティングを施したりしてもよい。また、上ヒータ41、下ヒータ45を、加熱庫1の奥行き方向及び幅方向に複数回折り曲げた形状としてもよい。このようにすることで、容器10の温度分布を均一にすることができる。
【0030】
また、上ヒータ41、下ヒータ45は、その一部が背面32b、22bから突出するようにしてヒータ収容部34、24に収容されている。この突出している部位を、給電部42、給電部46と称する。
上ヒータ41、下ヒータ45の給電部42、46は、耐熱基材71の水平方向に延びる凹状の上部溝部72、下部溝部73(給電部収容部)内に嵌合される。上ヒータ41、下ヒータ45の給電部42、46は、上部溝部72、下部溝部73に対して取り外し可能に嵌合されている。使用者が前扉4を引き出すことで、上ヒータ41、下ヒータ45の給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73から外れるので、上ヒータ41、下ヒータ45は加熱庫1内に対して着脱可能である。
【0031】
上ヒータ41は、側面から見た断面形状において、耐熱基材71の上部溝部72近傍からほぼまっすぐに延びて、蓋30のヒータ収容部34内に挿入されている。ヒータ収容部34内では、上ヒータ41は、斜め上方に折り曲げられ、そこから天板31とほぼ平行になるように折り曲げられている。
下ヒータ45は、側面から見た断面形状において、耐熱基材71の下部溝部73近傍からほぼまっすぐに延びて、容器本体20のヒータ収容部24内に挿入されている。ヒータ収容部24内では、下ヒータ45は、斜め下方に折り曲げられ、そこから底板21とほぼ平行になるように折り曲げられている。
【0032】
報知部52は、音声により報知を行うスピーカ53と、視覚的な報知を行う光源54とを備える。スピーカ53と光源54は信号線によって制御部50と接続されており、制御部50に制御されて、加熱調理器の動作状態や使用者に対して情報を報知する。報知部52としては、スピーカ53や光源54のほか、例えば液晶画面等を設けてもよい。
【0033】
制御部50は、例えばマイクロコンピュータやCPUやDSP等で構成されており、図示しない操作部からの信号を受けて、電源回路51を制御して加熱庫1における加熱動作を制御する。そのほか、制御部50は加熱調理器100の全体的な動作を制御する。また、制御部50は、上部溝部72、下部溝部73への給電部42、46の収容状態を検知する、給電部検知手段としての機能を有している。
【0034】
次に、加熱庫1の加熱動作について説明する。図4は、実施の形態1に係る加熱庫の加熱動作を説明する要部模式図である。
電源回路51からコイル74に20kHz〜100kHzの高周波電流が供給されると、コイル74にコイル電流が流れ、コイル74の周囲に高周波磁束Φが発生する。コイル74から生じた高周波磁束Φは、磁気抵抗が小さい上部磁性体77、下部磁性体78を通って、上ヒータ41と下ヒータ45に鎖交する。このとき、電気的に閉じた(閉ループを構成する)上ヒータ41、下ヒータ45に、鎖交した高周波磁束Φによる誘導電流(ヒータ電流)が発生する。このヒータ電流は、上ヒータ41、下ヒータ45の周囲に高周波磁束を発生する。この上ヒータ41、下ヒータ45に流れるヒータ電流により発生した高周波磁束が、容器本体20、蓋30に到達すると、容器本体20、蓋30に渦電流が発生し、容器本体20、蓋30は渦電流によるジュール熱で一様に加熱される。つまり、上ヒータ41、下ヒータ45に流れるヒータ電流によって、蓋30、容器本体20が誘導加熱される。
【0035】
上ヒータ41、下ヒータ45も自身の電気抵抗によって発生するジュール熱により発熱するが、この熱も蓋30、容器本体20を加熱するのに役立つ。上ヒータ41、下ヒータ45は、強磁性金属の蓋30、容器本体20に収容されているため、容器10の外側に高周波磁束が漏洩しにくく、加熱庫1の壁部2が誘導加熱されるのを抑制する。このため、蓋30、容器本体20を加熱するための電力が効率的に消費されるといえる。なお、加熱庫1の壁部2が誘導加熱されても、その熱は加熱庫1の内部の空気(雰囲気)を加熱し、間接的に容器10内の食材を加熱するが、容器10の外部に磁束が漏れるのを抑制した方が、より効率的に容器10を加熱するための電力が消費されるので、効率よく加熱調理が行われる。
【0036】
このようにして、容器10は、上ヒータ41と下ヒータ45により誘導加熱された蓋30と容器本体20の発熱により、所定温度に昇温する。その結果、容器10内に入れられた食材は効率よく加熱調理される。また、容器本体20、蓋30の内部に下ヒータ45、上ヒータ41と下ヒータ45を収容して一体化したので、使用者が取り扱う部品数が減少するので取り扱いが容易になるという効果を有する。
【0037】
なお、本実施の形態1では、容器10の容器本体20および蓋30が共に金属材料で形成され、上ヒータ41と下ヒータ45を流れる高周波の誘導電流によって、容器本体20と蓋30が誘導加熱される場合について詳しく述べたが、容器本体20と蓋30の両方あるいはいずれか一方がセラミックスや耐熱ガラスなどの絶縁物で形成されていてもよい。容器本体20や蓋30が絶縁物で形成されている場合には、上ヒータ41や下ヒータ45を流れる高周波の誘導電流によっては誘導加熱されないが、誘導電流によるジュール熱で発熱して高温になった上ヒータ41や下ヒータ45からの熱伝導により容器本体20や蓋30が加熱されるので、これにより食材を加熱することができる。容器本体20や蓋30を絶縁物で形成した場合には、上ヒータ41や下ヒータ45は電気抵抗が大きい金属材料が好ましく、例えばステンレスやニッケル、鉄、クロムなどを主成分とする高耐食合金などの棒やパイプ、板などで形成するのがよい。
【0038】
加熱庫1では上記のようにして加熱動作が行われるため、コイルユニット7の上部溝部72、下部溝部73にそれぞれ給電部42、46が適切に収容されていないと、容器10内の食材を適切に加熱することができない。このため、本実施の形態1の加熱庫1は、上部溝部72、下部溝部73への給電部42、46の収容状態を検知し、適切に収容されていない場合には報知を行う以下のような動作を行う。
【0039】
制御部50は、上部溝部72、下部溝部73への給電部42、46の収容状態を検知する。具体的には、たとえば、制御部50は電源回路51を制御してコイル74に通電させ、このときにコイル74に流れる電流値を検出し、これに基づいてコイル74から見た負荷の抵抗値を検出する。そして、負荷(上ヒータ41、下ヒータ45)の有無や負荷とコイル74との結合係数の変化によってコイル74から見た抵抗値が異なることを利用して、上ヒータ41、下ヒータ45が上部溝部72、下部溝部73内に収容されているか否か、及び、上部溝部72、下部溝部73への挿入深度が適切かを検知する。なお、上部溝部72、下部溝部73への給電部42、46の収容状態を検知する具体的な方法は、これに限らない。
【0040】
そして、制御部50は、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73に適切に収容されていなければ、スピーカ53と光源54に電気信号を出力して、適切に給電部42、46が収容されていない旨の注意喚起を行う。
【0041】
このような給電部42、46の収容状態の検知と、検知結果に基づく注意喚起の報知は、加熱調理器100の電源オン中に周期的に行うことができる。
例えば、使用者が加熱庫1に容器10を出し入れしようとして前扉4を引き出すと、前扉4の引き出し操作に伴って容器10と上ヒータ41、下ヒータ45も引き出される。そうすると、上ヒータ41、下ヒータ45の給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73から外れるので、これを制御部50が検知して報知部52による報知を行う。
また、使用者が前扉4を押し込むと、これに伴って容器10と上ヒータ41、下ヒータ45も加熱庫1内に収容され、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73に収容される。このとき、前扉4の押し込み不足等により給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73へ収容されていない場合、あるいは不十分な収容状態である場合には、報知部52による報知が継続される。このため、使用者は、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73に適切に収容されていないことを容易に認識できるので、前扉4を適切に閉じ直すことができる。したがって、給電部42、46の収容状態が不十分なままで使用者が加熱開始操作を行うのを抑制できる。そして、前扉4を押し込んだときに給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73が適切に収容されれば、これを制御部50が検知して報知部52による報知を停止させる。
【0042】
また、給電部42、46の収容状態の検知と、検知結果に基づく注意喚起の報知は、使用者により加熱開始の指示が行われたタイミングで行ってもよい。
例えば、図示しない操作ボタンが操作されて加熱庫1による加熱が指示されると、制御部50は、上部溝部72、下部溝部73への給電部42、46の収容状態を検知する。そして、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73へ収容されていない場合、あるいは不十分な収容状態である場合には、報知部52による報知を行う。このようにすることで、使用者は、加熱を開始しようとしたタイミングで、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73に適切に収容されていないことを容易に認識できる。そして、使用者が改めて前扉4を押し込んで上部溝部72、下部溝部73に給電部42、46を適切に収容させ、操作ボタンを操作して加熱開始を指示すると、制御部50は報知を行わず、加熱庫1における加熱動作を開始する。
【0043】
また、報知部52による報知方法としては、以下のような例が挙げられる。例えば、給電部42、46が適切に収容されているときには光源54を常時点灯させておき、給電部42、46が適切に収容されていないときには光源54を点滅させる、あるいは異なる色で点灯させる、あるいは消灯させる。このようにしても、給電部42、46が適切に収容されているか否かを使用者に容易に認識させることができる。給電部42、46が適切に収容されていないときには、併せてスピーカ53による音声報知を行ってもよい。
【0044】
以上のように、本実施の形態1によれば、給電部が前記給電部収容部に適切に収容されているか否かに関する情報を報知する。このため、使用者は、給電部が適切に給電部収容部に収容されているか否かを容易に認識できる。したがって、適切に加熱されないまま使用者が気付かずにいたり、不適切な加熱状態のまま加熱が継続されたりといったことを回避でき、使い勝手を向上させることができる。
【0045】
実施の形態2.
前述の実施の形態1は、給電部42、46が上部溝部72、下部溝部73に適切に収容されているか否かに関する情報を報知することで、不適切な加熱状態となることを回避するものであった。
本実施の形態2では、給電部42、46の適切な上部溝部72、下部溝部73への設置を、より容易に行うことができるようにするための構成を説明する。なお、本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または対応する構成には同一の符号を付す。
【0046】
図5は、実施の形態2に係る容器とトレイの斜視図であり、図5(a)、図5(b)のそれぞれに容器とトレイを例示している。
【0047】
図5(a)に示す例では、トレイ6には、容器本体20の底部が嵌合可能な凹部61が形成されている。容器本体20の底部の形状と、凹部61の形状は、嵌合させたときに所定のクリアランスを有するが、ほぼ同形状となるように形成されている。また、容器本体20の前面22a側の底面には凹部27が形成されており、トレイ6には凹部27に嵌合する凸部62が形成されている。凹部27の形状と、凸部62の形状は、嵌合させたときに所定のクリアランスを有するが、ほぼ同形状となるように形成されている。図5(a)に示す例では、凹部61及び凸部62が本発明の第一嵌合部に相当し、容器本体20の底部形状及び凹部61が、本発明の第二嵌合部に相当する。
【0048】
図5(b)に示す例では、容器本体20の外周面22において、前面22aから両側面に連なる角部分の形状と、背面22bから両側面に連なる角部分の形状とを、異ならせている。前面22aの左右の角部分に対し、背面22bの左右の角部分は丸みを帯びた形状である。蓋30の外周面32も、容器本体20の外周面22と同じようにして形成されている。
そして、トレイ6には、容器本体20の底部が嵌合可能な凹部63が形成されている。容器本体20の底部の形状と、凹部63の形状は、嵌合させたときに所定のクリアランスを有するが、ほぼ同形状となるように形成されている。
図5(b)に示す例では、凹部63が本発明の第一嵌合部に相当し、容器本体20の底部形状が、本発明の第二嵌合部に相当する。
【0049】
このように構成することにより、容器10をトレイ6に載置するとき、容器10の前後左右方向の設置間違いを抑制することができる。例えば、図5(a)に示す例の場合、容器10が前後逆に(すなわち、前面22aが加熱庫1の後壁2e側に位置するようにして)トレイ6に載置された場合、凹部27と凸部62とが互いに嵌合しないため、トレイ6から容器10の一部が浮いたような状態となる。このため、使用者は、トレイ6に対して適切な向きで容器10を載置していないことを容易に認識できる。
【0050】
実施の形態1で述べたとおり、容器10は、背面22b、32b側から給電部42、46を突出させており、この給電部42、62が適切に上部溝部72、下部溝部73に収容されなければ、適切な加熱が行われない仕組みである。したがって、本実施の形態2のように、前後左右の方向を間違えることなく容器10をトレイ6に載置できるようにすることで、容器10の前後を間違えたために加熱が行われない、という事態を回避できる。すなわち、加熱庫1の後壁2e側に設けられた上部溝部72、下部溝部73への、給電部42、46の適切な収容に寄与する。
【0051】
実施の形態3.
前述の実施の形態2では、容器10とトレイ6の構造により、給電部42、46を上部溝部72、下部溝部73に適切に収容できるようにするものであった。
本実施の形態3では、容器10の取っ手26、36と給電部42、46とを工夫して、給電部42、46を上部溝部72、下部溝部73に適切に収容できるようにする構成を説明する。
【0052】
図6は、実施の形態3に係る容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。図6において、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は容器が加熱庫に適切に収納された状態の図、(e)(f)は、容器が加熱庫に不適切に収納された状態の図を示している。なお、説明の便宜上、図6(a)の紙面上下方向を容器10の奥行き方向、紙面左右方向を容器10の幅方向と称する。なお、このことは、本実施の形態3で説明する図7〜図9についても同様に当てはまる。また、本実施の形態3において、給電部42と給電部46とは同様の形状に構成され、また、取っ手26と取っ手36も同様の形状に構成されているものとして説明する。
【0053】
図6(a)〜(c)に示すように、給電部42、46の幅W1と、取っ手26、取っ手36の幅W2とが異なっている。また、給電部42、給電部46、取っ手26、及び取っ手36は、いずれも、容器10の底面からの取り付け高さが異なるように構成されている。
また、図6(d)に示すように、加熱庫1の後壁2eには、給電部42、46を収容する上部溝部72、下部溝部73が、給電部42、46に対応する位置に設けられている。
【0054】
次に、作用について説明する。
図6(d)に示すように、給電部42、46が加熱庫1の後壁2e側に向くようにして加熱庫1内に収納された場合、給電部42、46は適切に上部溝部72、下部溝部73に収容される。そして、前扉4も適切に閉じることができる。
【0055】
図6(e)に示すように、取っ手26、36が加熱庫1の後壁2e側に向くようにして加熱庫1に挿入されたとする。この場合、取っ手26、36は、上部溝部72、下部溝部73に収容されない。例えば図6(e)のように取っ手26、36が加熱庫1の前面開口から飛び出して前扉4を閉じることができないような寸法関係で、容器10と加熱庫1の奥行き長さを設計すれば、使用者は誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0056】
図6(f)に示すように、給電部42、46が加熱庫1の前扉4側に向くようにして加熱庫1に挿入されたとする。この場合、給電部42、46は、上部溝部72、下部溝部73に収容されない。例えば図6(f)のように給電部42、46が加熱庫1の前面開口から飛び出して前扉4を閉じることができないような寸法関係で、容器10と加熱庫1の奥行き長さを設計すれば、使用者は、誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0057】
また、図6(e)、(f)とは異なり、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しても前扉4を閉じることができるような寸法関係で、容器10と加熱庫1を構成した場合でも、実施の形態1の容器10の収容状態の報知機能を組み合わせることで、使用者は、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0058】
図7は、実施の形態3に係る他の態様の容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。図7では、前述の図6との相違点を中心に説明する。
【0059】
図7(a)〜(c)に示すように、給電部42、46の幅W1と、取っ手26、取っ手36の幅W2とが異なっている。また、突出長さW3と、取っ手26、36の突出長さW4とが異なっている。
また、加熱庫1の後壁2eに設けられた上部溝部72、下部溝部73の奥行き方向の長さV1(凹部の深さ)は、突出長さW3と同じか長いが、取っ手26、36の突出長さW4よりも短いものとする。
【0060】
次に、作用について説明する。
図7(e)に示すように、取っ手26、36が加熱庫1の後壁2e側に向くようにして加熱庫1に挿入されたとする。この場合、取っ手26、36の先端部分は上部溝部72、下部溝部73に挿入されるが、取っ手26、36のすべては挿入されない。このため、例えば図7(e)のように取っ手26、36が加熱庫1の前面開口から飛び出して前扉4を閉じることができないような寸法関係で、容器10と加熱庫1の奥行き長さと、取っ手26、36の突出長さW4とを設計すれば、使用者は誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0061】
図8は、実施の形態3に係る他の態様の容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。図8では、前述の図6との相違点を中心に説明する。
【0062】
図8(a)〜(c)に示すように、給電部42、46の上下方向の厚みW5と、取っ手26、取っ手36の上下方向の厚みW6とが異なっている。
また、加熱庫1の後壁2eに設けられた上部溝部72、下部溝部73の凹部内部の高さV2は、厚みW5と同じか長いが、取っ手26、36の厚みW6よりも短いものとする。
【0063】
次に、作用について説明する。
図8(e)に示すように、取っ手26、36が加熱庫1の後壁2e側に向くようにして加熱庫1に挿入されたとする。この場合、取っ手26、36は、上部溝部72、下部溝部73に収容されない。このため、例えば図8(e)のように取っ手26、36が加熱庫1の前面開口から飛び出して前扉4を閉じることができないような寸法関係で、容器10と加熱庫1の奥行き長さを設計すれば、使用者は誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0064】
図9は、実施の形態3に係る他の態様の容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。図9では、前述の図6との相違点を中心に説明する。
【0065】
図9(a)〜(c)に示すように、取っ手26、36は、側面から見るとカギ状に曲がった形状を有している。また、取っ手26、36の端部の厚みW8は、給電部42、46の厚みW7よりも大きい。
また、加熱庫1の後壁2eに設けられた上部溝部72、下部溝部73の凹部内部の高さV3は、厚みW7と同じか長いが、取っ手26、36の厚みW8よりも短いものとする。
【0066】
次に、作用について説明する。
図9(e)に示すように、取っ手26、36が加熱庫1の後壁2e側に向くようにして加熱庫1に挿入されたとする。この場合、取っ手26、36は、上部溝部72、下部溝部73に収容されない。このため、例えば図9(e)のように取っ手26、36が加熱庫1の前面開口から飛び出して前扉4を閉じることができないような寸法関係で、容器10と加熱庫1の奥行き長さを設計すれば、使用者は誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0067】
以上のように、本実施の形態3によれば、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しようとした場合でも、使用者は誤りを容易に認識できる。このため、容器10を加熱庫1に収容するときの向きを間違えたために加熱が行われない、という事態を回避できる。すなわち、加熱庫1の後壁2e側に設けられた上部溝部72、下部溝部73への、給電部42、46の適切な収容に寄与する。
【0068】
また、実施の形態1で述べた、容器10の収容状態の報知機能を組み合わせることで、使用者は、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しようとしていることをより容易に認識できる。
【0069】
また、本実施の形態3では、給電部42と給電部46とは同様の形状に構成され、また、取っ手26と取っ手36も同様の形状に構成されているものとして説明したが、給電部42と給電部46、取っ手26と取っ手36は、異なる形状としてもよく、本実施の形態3を適用できる。
【0070】
実施の形態4.
本実施の形態4では、容器10の外寸と加熱庫1の内寸とを工夫して、給電部42、46を上部溝部72、下部溝部73に適切に収容できるようにする構成を説明する。
【0071】
図10は、実施の形態4に係る容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。図10において、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は容器が加熱庫に適切に収納された状態の図、(e)(f)は、容器が加熱庫に不適切に収納された状態の図を示している。なお、説明の便宜上、図10(a)の紙面上下方向を容器10の奥行き方向、紙面左右方向を容器10の幅方向と称する。
【0072】
図10(a)〜(c)に示すように、容器10の奥行き方向の長さU1と、幅方向の長さU2とが異なっている。
また、前扉4を占めた状態における、加熱庫1の奥行き方向と幅方向の長さ(内寸)は、容器10の奥行き方向の長さU1と幅方向の長さU2とに対応させ、互いに異なるように構成している。また、加熱庫1の奥行き方向の長さは、容器10の幅方向の長さU2よりも短い。
【0073】
次に、作用について説明する。
図10(d)に示すように、給電部42、46が加熱庫1の後壁2e側に向くようにして加熱庫1内に収納された場合、給電部42、46は適切に上部溝部72、下部溝部73に収容される。そして、前扉4も適切に閉じることができる。
【0074】
図10(e)に示すように、容器10の側面22cまたは側面22dが、加熱庫1の後壁2e側に向くようにして加熱庫1に挿入されたとする。この場合、加熱庫1の前面開口部から容器10の一部が飛び出し、前扉4を閉じることができない。このため、使用者は、誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0075】
図10(f)に示すように、給電部42、46が加熱庫1の前扉4側に向くようにして加熱庫1に挿入されたとする。この場合、給電部42、46は、上部溝部72、下部溝部73に収容されない。例えば図10(f)のように給電部42、46が加熱庫1の前面開口から飛び出して前扉4を閉じることができないような寸法関係で、容器10と加熱庫1の奥行き長さを設計すれば、使用者は誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0076】
また、図10(f)とは異なり、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しても前扉4を閉じることができるような寸法関係で容器10と加熱庫1を構成した場合でも、実施の形態1の容器10の収容状態の報知機能を組み合わせることで、使用者は、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しようとしていることを容易に認識できる。
【0077】
以上のように、本実施の形態4によれば、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しようとした場合でも、使用者は誤りを容易に認識できる。このため、容器10を加熱庫1に収容するときの向きを間違えたために加熱が行われない、という事態を回避できる。すなわち、加熱庫1の後壁2e側に設けられた上部溝部72、下部溝部73への、給電部42、46の適切な収容に寄与する。
【0078】
また、実施の形態1で述べた容器10の収容状態の報知機能を組み合わせることで、使用者は、加熱庫1に対して誤った向きで容器10を収容しようとしていることをより容易に認識できる。
【0079】
実施の形態5.
本実施の形態5では、蓋30と容器本体20とを入れ替えて使用でき、また、給電部42、46を上部溝部72、下部溝部73に適切に収容することができる構成例を説明する。本実施の形態5では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一または対応する構成には同一の符号を付す。
【0080】
図11は、実施の形態5に係る容器と、この容器の加熱庫への収納態様を説明する図である。図11において、(a)は容器本体20が下、蓋30が上になるようにして加熱庫1に容器10を収容した状態、(b)は蓋30が下、容器本体20が上になるようにして加熱庫1に容器10を収容した状態を示している。なお、図11では説明の都合上、主要部のみを簡略化して記載している。
【0081】
図11に示すように、蓋30の天板31の天面から給電部42までの高さ方向の長さと、容器本体20の底板21の外底面から給電部46までの高さ方向の長さとを、同じ長さaとしている。
【0082】
このように構成することにより、図11(b)に示すように、容器本体20と蓋30の上下を入れ替えた場合でも、給電部46は上部溝部72に適切に収容され、また、給電部42も下部溝部73に適切に収容される。したがって、容器本体20と蓋30とを入れ替えて適切に加熱することのできる加熱庫1を得ることができる。また、容器本体20と蓋30とを入れ替えて使用できるので、食材に応じて容器10を使い分けることができ、使い勝手がよい。
【0083】
以上説明した複数の実施の形態は、互いに組み合わせることが可能である。
また、上記実施の形態では、容器本体20と蓋30とを有する容器10を例に説明したが、蓋30を使用せず、容器本体20のみで加熱調理を行うようにしてもよい。この場合、実施の形態1における容器10の収容状態の報知機能においては、容器本体20だけを使用することを使用者が設定できるようにしておく。このようにすることで、容器本体20だけを使用して加熱調理することができるとともに、下部溝部73への給電部46の収容状態を使用者は容易に認識することができ、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0084】
1 加熱庫、2 壁部、2a 上壁、2b 下壁、2c 側壁、2d 側壁、2e 後壁、3 レール、4 前扉、5 アーム、6 トレイ、7 コイルユニット、8 防磁カバー、9 ファン、10 容器、20 容器本体、21 底板、22 外周面、22a 前面、22b 背面、22c 側面、22d 側面、23 載置板、24 ヒータ収容部、25 開口、26 取っ手、27 凹部、30 蓋、31 天板、32 外周面、32a 前面、32b 背面、32c 側面、32d 側面、33 内板、34 ヒータ収容部、35 開口、36 取っ手、41 上ヒータ、42 給電部、45 下ヒータ、46 給電部、50 制御部、51 電源回路、52 報知部、53 スピーカ、54 光源、61 凹部、62 凸部、63 凹部、71 耐熱基材、72 上部溝部、73 下部溝部、74 コイル、75 上部断熱材、76 下部断熱材、77 上部磁性体、78 下部磁性体、100 加熱調理器、101 筐体、102 天板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の加熱庫と、
高周波電流が供給されて高周波磁束を発生するコイルと、
前記加熱庫内に対して取り出し可能に収容される容器と、
前記容器の外周面から給電部が突出するようにして前記容器と一体的に設けられるヒータと、
前記加熱庫内に設けられ、前記コイルから生じる磁束と鎖交するようにして前記ヒータの前記給電部を収容可能な給電部収容部と、
前記給電部が前記給電部収容部に収容されているか否かを検知する給電部検知手段と、
前記給電部検知手段の検知結果に基づいて、前記給電部が前記給電部収容部に収容されているか否かに関する情報を報知する報知手段とを備えた
ことを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
箱状の加熱庫と、
高周波電流が供給されて高周波磁束を発生するコイルと、
前記加熱庫内に対して取り出し可能に収容される容器と、
前記容器の外周面から給電部が突出するようにして前記容器と一体的に設けられるヒータと、
前記加熱庫内に設けられ、前記コイルから生じる磁束と鎖交するようにして前記ヒータの前記給電部を収容可能な給電部収容部と、
前記加熱庫の開口部を開閉自在に覆う扉と、
前記扉の開閉動作に伴って前記加熱庫内に出し入れされ、前記容器を載置可能な容器載置台とを備え、
前記容器載置台には第一嵌合部が設けられ、
前記容器には前記第一嵌合部と嵌合する第二嵌合部が設けられており、
前記第一嵌合部に前記第二嵌合部を嵌め合わせることにより、前記給電部収容部に前記給電部が収容される向きで、前記容器が前記容器載置台に載置される
ことを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項3】
箱状の加熱庫と、
高周波電流が供給されて高周波磁束を発生するコイルと、
前記加熱庫内に対して取り出し可能に収容される容器と、
前記容器の外周面から給電部が突出するようにして前記容器と一体的に設けられるヒータと、
前記加熱庫内に設けられ、前記コイルから生じる磁束と鎖交するようにして前記ヒータの前記給電部を収容可能な給電部収容部とを備え、
前記容器の外周面のうち前記給電部が突出する外周面とは異なる外周面が、前記給電部収容部と対向するようにして前記容器が前記加熱庫内に入れられた場合、前記加熱庫の開口部から前記容器の一部が突出するよう、前記容器の外寸と前記加熱庫の内寸とが設定されている
ことを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記容器の外周面から突出する取っ手を備え、
前記取っ手は、前記給電部収容部に収容不能に構成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記取っ手の設置高さと前記給電部の設置高さとを違えた
ことを特徴とする請求項4記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記取っ手の突出長さと、前記給電部の突出長さとを違えた
ことを特徴とする請求項4記載の誘導加熱調理器。
【請求項7】
前記容器は、容器本体と、前記容器本体に対して取り外し可能な蓋とを備え、
前記容器本体と前記蓋に、それぞれ前記ヒータを設けた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項8】
前記容器本体の外底面から前記容器本体に設けられた前記ヒータの前記給電部までの高さ方向の距離と、前記蓋の外上面から前記蓋に設けられた前記ヒータの前記給電部までの高さ方向の距離とを、同じ距離とした
ことを特徴とする請求項7記載の誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−174593(P2012−174593A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37253(P2011−37253)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】