説明

誘電体磁器組成物およびセラミック電子部品

【課題】比誘電率を向上させつつ、しかも良好な信頼性を有する誘電体磁器組成物および該誘電体磁器組成物が誘電体層に適用されたセラミック電子部品を提供すること。
【解決手段】ABO(AはBa単独、または、BaとCaおよびSrから選ばれる少なくとも1つとであり、BはTi単独、または、TiおよびZrである)で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物と、ScおよびYを含む希土類元素の酸化物と、を含有する誘電体磁器組成物であって、該誘電体磁器組成物が、コアと、少なくともR元素が含まれるシェルと、からなるコアシェル構造を有する誘電体粒子を含んでおり、シェルにおいて、R元素の含有割合が最大となる領域が、コアとシェルとの境界領域である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体磁器組成物およびセラミック電子部品に関し、さらに詳しくは、比誘電率と信頼性とを両立できる誘電体磁器組成物および該誘電体磁器組成物が誘電体層に適用されたセラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、これに伴い、たとえば積層セラミックコンデンサの小型・大容量化が進んでいるが、さらなる特性の向上が求められている。
【0003】
このような要求に対し、誘電体磁器組成物に含まれる誘電体粒子を特性の異なる2つの相で構成することで、種々の特性の向上を図ることが行われている。
【0004】
たとえば、特許文献1では、コアシェル構造を有する誘電体粒子からなる誘電体層を有する積層セラミックコンデンサが記載されている。このコンデンサにおいては、シェル部にMn等のアクセプタ型元素、Mg、希土類元素が含まれており、シェル部に含まれるアクセプタ型元素および希土類元素の濃度が、コア部とシェル部の境界から結晶粒界に向かうにつれ徐々に大きくなる構成を有することが記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたコンデンサでは、シェル部における希土類元素の分布が上記のような分布であるため、比誘電率と信頼性との両立が困難であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2では、実質的に主成分からなる中心層と、中心層の周囲に存在し主成分に希土類元素が拡散した拡散層と、からなる表面拡散構造を有する誘電体粒子で構成された誘電体磁器組成物が記載されている。この誘電体磁器組成物においては、拡散層と結晶粒界との界面付近の希土類元素の濃度よりも、拡散層内部の希土類元素の濃度が高くなっている構成を有することが記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載されている誘電体磁器組成物では、比誘電率が低く、比誘電率と信頼性との両立は不十分となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−230149号公報
【特許文献2】特開2008−222520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、高い比誘電率(たとえば3000以上)を示し、しかも良好な信頼性を有する誘電体磁器組成物および該誘電体磁器組成物が誘電体層に適用されたセラミック電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る誘電体磁器組成物は、
一般式ABO(AはBa単独、または、BaとCaおよびSrから選ばれる少なくとも1つとであり、BはTi単独、または、TiおよびZrである)で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物と、
R元素の酸化物(ただし、R元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1つ)と、を含有する誘電体磁器組成物であって、
前記誘電体磁器組成物が、コアと、前記コアの周囲に存在し、少なくとも前記R元素が含まれるシェルと、からなるコアシェル構造を有する誘電体粒子を含んでおり、
前記シェルにおいて、前記R元素の含有割合が最大となる領域が、前記コアと前記シェルとの境界領域であることを特徴とする。
【0011】
本発明では、コアシェル構造を有する誘電体粒子におけるR元素の存在状態を制御し、R元素の含有割合がコアとシェルとの境界領域において最大となるようにしている。このようにすることで、比誘電率を向上させつつ、しかも良好な信頼性を示す誘電体磁器組成物が得られる。
【0012】
好ましくは、前記R元素が前記コアに実質的に含まれておらず、
前記シェルの外周部から前記境界領域に向かう方向において、前記R元素の含有割合が漸次増加する。
【0013】
好ましくは、前記R元素の含有割合の最大値をRmaxとし、前記シェルにおける前記R元素の含有割合の平均値をRaveとすると、前記Rmaxと前記Raveとが、1.1≦Rmax/Rave≦2.0である関係を満足する。
【0014】
R元素の存在状態を上記のような構成とすることで、本発明の効果をより高めることができる。
【0015】
また、本発明に係るセラミック電子部品は、上記のいずれかに記載の誘電体磁器組成物から構成される誘電体層と、電極と、を有している。セラミック電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】図2は、図1に示す誘電体層2の要部拡大断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る誘電体磁器組成物に含まれる誘電体粒子におけるR元素の含有割合の分布、およびそれを測定する方法の一例を説明するための模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施例および比較例に係る誘電体磁器組成物に含まれる誘電体粒子におけるR元素の含有割合の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0018】
積層セラミックコンデンサ1
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
【0019】
誘電体層2
誘電体層2は、本実施形態に係る誘電体磁器組成物から構成される。該誘電体磁器組成物は、主成分として、一般式ABO(AはBa単独、または、BaとCaおよびSrから選ばれる少なくとも1つとであり、BはTi単独、または、TiおよびZrである)で表される化合物と、副成分として、R元素の酸化物と、を有している。なお、酸素(O)量は、化学量論組成から若干偏倚してもよい。
【0020】
該化合物は、具体的には、組成式(Ba1−x−yCaSr)・(Ti1−mZr)Oで表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物である。また、Aサイト原子として、少なくともBaが含まれ、Bサイト原子として、少なくともTiが含まれている。さらに、Aサイト原子(Ba、SrおよびCa)と、Bサイト原子(TiおよびZr)と、のモル比は、A/B比として表され、本実施形態では、A/B比は、0.98〜1.02であることが好ましい。
【0021】
なお、本実施形態では、上記式において、x=y=m=0、すなわち、チタン酸バリウムが特に好ましい。
【0022】
R元素の酸化物の含有量は、ABOで表される化合物100モルに対して、R元素換算で、好ましくは0.1〜5モルであり、より好ましくは0.5〜2モルである。R元素の酸化物の含有量を上記の範囲とすることで、高い比誘電率と良好な信頼性とを両立させやすいという利点がある。なお、R元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1つであり、Y、Ho、Dy、Ybから選ばれる少なくとも1つが好ましく、Y、Dy、Ybから選ばれる少なくとも1つがより好ましい。
【0023】
なお、本実施形態においては、必要に応じて、その他の成分が含有されていてもよい。
【0024】
たとえば、Mgの酸化物が含有されていてもよい。その含有量は、ABOで表される化合物100モルに対して、Mg元素換算で、好ましくは0.5〜3モルである。該酸化物の含有量を上記の範囲とすることで、誘電体粒子の結晶粒子径を容易に制御でき、R元素の存在状態を所望のものにできるという利点がある。
【0025】
また、たとえば、Mn、Cr、Co、FeおよびCuから選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物が含有されていてもよい。これらの酸化物の含有量は、ABOで表される化合物100モルに対して、各元素換算で、好ましくは0.1〜1モルである。該酸化物の含有量を上記の範囲とすることで、コアへのR元素の拡散を容易に制御でき、R元素の存在状態を所望のものにできるという利点がある。なお、該酸化物のなかでも特性の改善効果が大きいという点から、Mnの酸化物および/またはCrの酸化物を用いることが好ましい。
【0026】
また、たとえば、V、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物が含有されていてもよい。これらの酸化物の含有量は、ABOで表される化合物100モルに対して、各元素換算で、好ましくは0.05〜0.5モルである。該酸化物の含有量を上記の範囲とすることで、コアへのR元素の拡散を容易に制御でき、R元素の存在状態を所望のものにできるという利点がある。なお、該酸化物のなかでも特性の改善効果が大きいという点から、Vの酸化物を用いることが好ましい。
【0027】
また、たとえば、Siを含む酸化物が含有されていてもよい。これらの酸化物の含有量は、ABOで表される化合物100モルに対して、Si元素換算で、好ましくは0.5〜3モルである。該酸化物の含有量を上記の範囲とすることで、焼成温度や保持時間を容易に制御でき、R元素の存在状態を所望のものにできるという利点がある。なお、Siを含む酸化物としては、Siの酸化物、または、Siと、Li、B、Al、BaおよびCaから選ばれる少なくとも1つと、の複合酸化物が好ましい。
【0028】
誘電体層2の厚みは、特に限定されず、所望の特性や用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0029】
誘電体粒子の構造
本実施形態では、上記の誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物に含有される誘電体粒子20は、主成分粒子(ABO粒子)に対し、R元素など(副成分元素)が固溶(拡散)した粒子である。
【0030】
図2に示すように、誘電体粒子20は、実質的に主成分(ABO)からなるコア20aと、コア20aの周囲に存在し、主成分を構成する元素以外の成分が主成分に拡散しているシェル20bと、から構成される。すなわち、誘電体粒子20はコアシェル構造を有している。
【0031】
本実施形態では、コア20aは実質的に主成分からなっており、強誘電性を示す。一方、シェル20bには、R元素が主成分中に拡散(固溶)しており、強誘電性が失われ常誘電性を示す。本実施形態では、シェル20bには、R元素だけではなく、それ以外の元素が存在していてもよい。
【0032】
誘電体粒子20におけるコア20aとシェル20bとを区別する方法としては、特に制限されず、たとえば、走査透過型電子顕微鏡(STEM)による明視野像において、誘電体粒子内に観察されるコントラストが異なる2つの相に基づいて判断してもよい。あるいは走査透過型電子顕微鏡(STEM)に付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDS)を用いて、誘電体粒子内の主成分を構成する元素以外の元素の含有割合の分布から判断してもよい。
【0033】
コアシェル構造を有する誘電体粒子20の存在割合は、誘電体層2を構成する全誘電体粒子の個数を100%とした場合に、個数割合で、好ましくは70〜100%である。
【0034】
なお、通常、誘電体層2の断面写真を基にして、コアとシェルとのコントラストの差あるいは主成分に固溶するR元素の濃淡により、コアシェル構造の有無を判断している。そのため、実際にはコアシェル構造を有しているにもかかわらず、断面写真においてシェル領域のみしか現れていないものがある。このような場合には、コアシェル構造を有するとは判断されないため、見かけ上、コアシェル構造を有する誘電体粒子20である割合の上限は、80%程度となる。
【0035】
次に、コアシェル構造を有する、所定数の誘電体粒子に対し、STEMに付属のEDSを用いて、図3に示すように、誘電体粒子20の略中心を通る直線上で点分析を行う。分析により得られた特性X線を解析して得られたR元素の含有割合の最大値をRmaxとすると、本実施形態では、コア20aとシェル20bとの境界領域において、Rmaxを示す。
【0036】
このように、コアとシェルとの境界領域において、R元素の含有割合が最大となることで、比誘電率を向上させつつ、しかも良好な高温加速寿命を得ることができる。
【0037】
また、強誘電性を示す部分が多いほど、比誘電率を向上させることができるので、コアには、実質的にR元素が存在しないことが好ましい。また、シェルの面積が小さいことが好ましい。
【0038】
なお、本実施形態において、「実質的にR元素が含まれない」とは、たとえば、コアにおけるR元素の含有割合が0.2mol%以下であればよいことを意味する。
【0039】
さらに、得られたR元素の含有割合の分布からシェル20bにおけるR元素の含有割合の平均値であるRaveを算出する。本実施形態では、このようにして得られたRmaxおよびRaveが、好ましくは1.1≦Rmax/Rave≦2.0、より好ましくは1.2≦Rmax/Rave≦1.6の関係を満足する。Rmax/Raveが上記の関係を満足することで、コアとシェルとの境界領域において、Rmaxとなり、かつR元素の含有割合の明瞭なピークが現れることとなり、上述した効果をより高めることができる。
【0040】
なお、測定点の数は特に制限されないが、1個の誘電体粒子あたり10点以上とすることが好ましい。また、測定する誘電体粒子の個数も特に制限されないが、たとえば10個以上とすることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態では、コアとシェルとの境界領域においてR元素の含有割合が最大値を示す誘電体粒子20が、個数割合で、誘電体粒子全体に対し、好ましくは55%以上、より好ましくは70%以上である。
【0042】
上述したR元素の存在状態は、後述するが、焼成条件、ABOの原料粉末の粒度分布やR元素の酸化物の原料の添加方法などを制御することにより、実現することができる。
【0043】
本実施形態では、誘電体粒子の結晶粒子径は、誘電体層2の厚さなどに応じて決定すればよい。結晶粒子径は、たとえば以下のようにして測定すればよい。すなわち、まず、コンデンサ素子本体10を誘電体層2および内部電極層3の積層方向に平行な面で切断する。そして、その断面において誘電体粒子の平均面積を測定し、円相当径として直径を算出し1.5倍した値を結晶粒子径とする。
【0044】
得られた結晶粒子径から平均結晶粒子径を算出する方法としては特に制限されないが、たとえば、結晶粒子径を200個以上の誘電体粒子について測定し、得られた結晶粒子径の累積度数分布から累積が50%となる値を平均結晶粒子径とすればよい。
【0045】
内部電極層3
図1に示す内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物が耐還元性を有する場合、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0046】
外部電極4
図1に示す外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本実施形態では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0047】
積層セラミックコンデンサ1の製造方法
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
【0048】
まず、誘電体層を形成するための誘電体原料を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。
【0049】
誘電体原料として、まずABOの原料と、R元素の酸化物の原料と、を準備する。これらの原料としては、上記した成分の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。また、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
【0050】
なお、ABOの原料は、いわゆる固相法の他、各種液相法(たとえば、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法など)により製造されたものなど、種々の方法で製造されたものを用いることができる。
【0051】
本実施形態では、ABOの原料として、ABOの原料粉末を用い、R元素の酸化物の原料として、R元素の酸化物の溶液原料を用いる。
【0052】
ABOの原料粉末としては、平均粒子径が50〜400nmのものを用いることが好ましい。ABOの原料粉末において、累積個数が10%となる粒子径をD10、累積個数が50%となる粒子径をD50、累積個数が90%となる粒子径をD90とすると、D50が平均粒子径を示している。
【0053】
ここで、本実施形態では、ABOの原料粉末の「D90/D50」が1.4以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、ABOの原料粉末の「D50/D10」が2.0以上であることが好ましく、2.4以上であることがより好ましい。「D90/D50」は、原料粉末中に、D50よりも粒子径の大きい粒子(粗粒)の含まれる割合の指標となるものであり、「D50/D10」は、原料粉末中に、D50よりも粒子径の小さい粒子(微粒)の含まれる割合の指標となるものである。
【0054】
「D90/D50」および「D50/D10」が上記の範囲にあることで、ABOの原料粉末には、粗粒が比較的に少なく、かつ微粒がある一定以上の割合で含まれることになり、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサを製造するのに好適である。
【0055】
なお、原料粉末の粒子径を測定する方法としては、特に制限されず、たとえば粒子径に応じて得られる回折/散乱光の情報を利用したレーザー回折散乱法が挙げられる。
【0056】
R元素の酸化物の溶液原料としては、特に制限されず、たとえば、R元素のアルコキシド、錯体、塩を溶媒に添加したものなどが挙げられる。溶媒は、溶質に応じて選択すればよく、たとえば、水であってもよいし、有機溶剤であってもよい。
【0057】
また、誘電体層に上記の成分以外の成分が含有される場合には、該成分の原料を準備する。これらの原料としては、それらの成分の酸化物やその混合物、複合酸化物、あるいは焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物を用いることができる。また、R元素の酸化物の原料と同様に、溶液原料を用いてもよい。
【0058】
次に、本実施形態では、ABOの原料粉末と、R元素の酸化物の溶液原料と、を混合して、溶液状の原料混合物を得る。この原料混合物においては、ABO原料粉体とR元素の酸化物の原料とが溶媒中で均一に分散している。混合は、たとえばボールミルを用いて4〜48時間程度行う。また、このとき、分散剤を添加してもよい。
【0059】
得られた原料混合物は乾燥される。乾燥後の原料混合物においては、ABO粒子の表面に、R元素あるいはそれらの化合物が被覆された状態となっている。すなわち、R元素等は、ABO粒子に物理的あるいは化学的に吸着し、粒子表面を被覆している。
【0060】
なお、乾燥方法は特に制限されず、静置乾燥、スプレー乾燥、凍結乾燥等から適宜選択すればよい。また、乾燥する温度も特に制限されず、原料混合物の溶媒を除去できる温度であればよい。
【0061】
続いて、乾燥後の原料混合物を誘電体原料として用いてもよいし、さらに熱処理してもよい。熱処理を行うと、ABO粒子の表面に被覆されたR元素が粒子に対してより強固に固着される。この熱処理には、たとえばロータリーキルン、トンネル炉、バッチ炉を用いることができる。熱処理における保持温度は300〜800℃の範囲とすることが好ましい。また、保持時間は0〜4時間の範囲とすることが好ましい。なお、原料混合物の乾燥と熱処理とは同時に行ってもよい。同時に行う方法としては、たとえば噴霧熱分解法などが挙げられる。
【0062】
熱処理後には、原料混合物は凝集しているため、凝集をほぐす程度に原料混合物を解砕してもよい。なお、この解砕は後述する誘電体層用ペーストの調製時に行ってもよい。
【0063】
熱処理後の原料混合物の平均粒子径は、通常、0.1〜1μm程度である。次に、得られた熱処理後の原料混合物(誘電体原料)を塗料化して誘電体層用ペーストを調製する。このとき、溶液原料として添加しなかった他の成分の原料を添加してもよい。誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
【0064】
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
【0065】
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
【0066】
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
【0067】
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
【0068】
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
【0069】
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に印刷、積層し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
【0070】
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層し、所定形状に切断してグリーンチップとする。
【0071】
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間とする。また、脱バインダ雰囲気は、空気もしくは還元性雰囲気とする。
【0072】
脱バインダ後、グリーンチップの焼成を行う。焼成では、昇温速度を好ましくは500℃/時間以上とする。焼成時の保持温度は、好ましくは1300℃以下、より好ましくは1000〜1200℃であり、その保持時間は、好ましくは0.5時間以下である。
【0073】
焼成雰囲気は、還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることができる。
【0074】
また、焼成時の酸素分圧は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−14〜10−10MPaとすることが好ましい。焼成時の降温速度は、好ましくは50〜500℃/時間である。
【0075】
還元性雰囲気中で焼成した後、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命(絶縁抵抗の寿命)を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。
【0076】
アニール雰囲気中の酸素分圧は、10−9〜10−5MPaとすることが好ましい。また、アニールの際の保持温度は、1100℃以下、特に1000〜1100℃とすることが好ましい。なお、アニールは昇温過程および降温過程だけから構成してもよい。すなわち、温度保持時間を零としてもよい。
【0077】
これ以外のアニール条件としては、温度保持時間を好ましくは0〜20時間、アニール時の降温速度を好ましくは50〜500℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
【0078】
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
【0079】
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。
【0080】
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、たとえばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4の表面に、めっき等により被覆層を形成する。
【0081】
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0082】
本実施形態では、ABO粒子の粒子径の分布、R元素の酸化物の原料の添加方法あるいは焼成条件を上記の範囲とすることで、R元素の含有割合が、コアとシェルとの境界領域においてRmaxを示す構成を実現することが容易となり、さらに、RmaxおよびRaveを上述した関係とすることが容易となる。
【0083】
このような構成を実現できる理由としては、必ずしも明らかではないが、たとえば、以下のようなプロセスを経ることにより実現されると考えることができる。
【0084】
上述したように、ABOの原料粉末と、R元素の酸化物の溶液原料を用いて誘電体原料を作製することで、ABOの原料粉末の表面をR元素が被覆する。焼結時には、このような被覆粒子において、ABOとR元素との固溶反応が生じると考えられる。
【0085】
ABOの原料粉末のうち、比較的に粒子径の大きい粒子(粗粒)は、比較的に反応性が低い。そのため、焼成時には、被覆しているR元素は、ABO粒子の周囲に固溶するものの、この固溶したR元素の存在により、ABO粒子の中心部分では酸素欠陥がほとんど生じない。そうすると、逆に、R元素はそれ以上ABO粒子に拡散しにくくなると考えられる。
【0086】
その結果、ABO粒子の周囲にR元素が比較的高い割合で固溶した粒子が形成されやすいと考えられる。
【0087】
一方、ABOの原料粉末のうち、比較的に粒子径の小さい粒子(微粒)は反応性が高いため、焼成時に、比較的低い温度から短時間で、被覆しているR元素との反応が進みやすく、その結果、ABO粒子にR元素が完全固溶している粒子が形成されやすいと考えられる。
【0088】
そして、ABO粒子の周囲にR元素が固溶した粒子の周囲を、ABO粒子にR元素が完全固溶している粒子が取り囲み、これが焼結することで、誘電体粒子20が生成すると考えられる。
【0089】
この誘電体粒子20においては、コアが、R元素がほとんど拡散していないABO(粗粒由来)から構成されており、シェルは、R元素が比較的高い割合で固溶しているABO(粗粒由来)と、R元素が完全固溶しているABO(微粒由来)と、から構成されている。
【0090】
ここで、シェルでは、粗粒由来のABOに固溶しているR元素の含有割合が、微粒由来のABOに固溶しているR元素の含有割合よりも高い。したがって、コアとシェルとの境界領域においてR元素の含有割合が最大である誘電体粒子20が得られる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
【0092】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る誘電体磁器組成物を適用した電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る誘電体磁器組成物を適用する電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記構成の誘電体層を有するものであれば何でも良い。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0094】
実施例1
まず、ABOの原料として、D50が200nmのBaTiO粉末を、副成分の原料として、Yの酢酸塩と、MgCO、MnCO、V、CaSiOの各粉末とを、それぞれ準備した。試料番号8および9については、R元素の酸化物の原料として、Y粉末を用いた。なお、BaTiO粉末のD90/D50およびD50/D10は表1に示す値とし、Yの酢酸塩の溶媒は、水とした。また、MgCOおよびMnCOは、焼成後には、MgOおよびMnOとして誘電体磁器組成物中に含有されることとなる。
【0095】
次に、BaTiO粉末と副成分の原料とを、ボールミルを用いて、16時間混合し、原料混合物を作製した。得られた原料混合物を150℃で乾燥した後、600℃で2時間の条件で熱処理を行った。熱処理後の原料混合物を誘電体原料とした。
【0096】
なお、各副成分の添加量は、焼成後の誘電体磁器組成物において主成分であるBaTiO100モルに対して、各原子換算で、Yが1.0モル、MgOが1.0モル、MnOが0.3モル、Vが0.2モル、CaOが1.5モル、SiOが1.5モル、となるようにした。
【0097】
次いで、得られた誘電体原料:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
【0098】
また、上記とは別に、Ni粒子:44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを作製した。
【0099】
そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上にグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
【0100】
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、素子本体となる焼結体を得た。
【0101】
脱バインダ処理条件は、昇温速度:20℃/時間、保持温度:300℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
【0102】
焼成は、昇温速度:表1に示す速度、保持温度:表1に示す温度、保持時間:表1に示す時間、とした。なお、雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガスとし、酸素分圧が10−12MPaとなるようにした。
【0103】
アニール条件は、昇温速度:300℃/時間、保持温度:1000℃、温度保持時間:2時間、降温速度:300℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:10−7MPa)とした。なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用いた。
【0104】
次いで、得られた焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてCuペーストを塗布し焼き付けることで、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、誘電体層の厚み1.4μm、内部電極層の厚み1.1μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は200とした。
【0105】
得られた各コンデンサ試料について、R元素の含有割合を測定し、コアとシェルとの境界領域においてR元素の含有割合が最大値を示すか否かを評価した。次に、比誘電率および高温加速寿命を下記に示す方法により測定した。
【0106】
R元素の含有割合の測定
まず、得られたコンデンサ試料を、積層方向に平行な面で切断し、切断面に対し、集束イオンビーム(FIB)装置を用いて表面処理を行った。次に、表面処理した試料に対し、STEMを用いて、加速電圧200kV、スポット径1.5nmの条件で測定を行い、得られたYの特性X線を定量分析して、Yについてのマッピング画像を得た。なお、各試料では、シェルの厚みが20nm程度である誘電体粒子を選択して測定を行ったが、試料番号9については、シェルの厚みが20nm程度である誘電体粒子がほとんど存在していないため、シェルの厚みが60nm程度である誘電体粒子を選択した。
【0107】
得られたマッピング画像を解析することで、誘電体粒子においてコアとシェルとの境界領域を決定した。次に、シェルの外周部からコアとシェルとの境界領域に向かう方向において、複数点においてR元素の含有割合を算出した。算出した値から、境界領域においてR元素の含有割合が最大(Rmax)となっているか否かを評価した。さらに、シェルにおけるR元素の含有割合の平均値(Rave)を算出し、Rmax/Raveを算出した。結果を表1に示す。
【0108】
なお、試料番号1〜4については、シェルの外周部から、コアの中心に向けて点分析を行った結果を図4に示す。
【0109】
比誘電率ε
比誘電率εは、コンデンサ試料に対し、基準温度25℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件下で測定された静電容量から算出した(単位なし)。本実施例では、比誘電率は高いほうが好ましく、3000以上を良好とした。結果を表1に示す。
【0110】
高温加速寿命(HALT)
コンデンサ試料に対し、160℃にて、30V/μmの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定することにより、高温加速寿命を評価した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を破壊時間とし、これをワイブル解析することにより算出した平均故障時間(MTTF)を寿命と定義した。また、この高温加速寿命は、10個のコンデンサ試料について行った。本実施例では3時間以上を良好とした。結果を表1に示す。
【0111】
【表1】

【0112】
図4および表1より、試料番号1〜3については、コアとシェルとの境界領域において、R元素の含有割合が最大となり、その結果、比誘電率と高温加速寿命とが両立できることが確認できた。
【0113】
一方、試料番号4については、シェルの外周部でR元素の含有割合が最大となり、特に比誘電率が劣っていることが確認できた。さらに、試料番号9は、シェルの内部でR元素の含有割合が最大となる構成を有しているが、このような構成とした場合、シェルの厚みが大きくなってしまうため、高温加速寿命は良好であるものの、比誘電率が劣っていることが確認できた。
【0114】
また、表1より、焼成条件、ABOの原料粉末の粒度分布あるいはR元素の酸化物の原料の添加方法を適切に制御することで、本発明の効果がより高まることが確認できた。
【符号の説明】
【0115】
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
20… 誘電体粒子
20a… コア
20b… シェル
3… 内部電極層
4… 外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式ABO(AはBa単独、または、BaとCaおよびSrから選ばれる少なくとも1つとであり、BはTi単独、または、TiおよびZrである)で表され、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物と、
R元素の酸化物(ただし、R元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1つ)と、を含有する誘電体磁器組成物であって、
前記誘電体磁器組成物が、コアと、前記コアの周囲に存在し、少なくとも前記R元素が含まれるシェルと、からなるコアシェル構造を有する誘電体粒子を含んでおり、
前記シェルにおいて、前記R元素の含有割合が最大となる領域が、前記コアと前記シェルとの境界領域であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
【請求項2】
前記R元素が前記コアに実質的に含まれておらず、
前記シェルの外周部から前記境界領域に向かう方向において、前記R元素の含有割合が漸次増加する請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項3】
前記R元素の含有割合の最大値をRmaxとし、前記シェルにおける前記R元素の含有割合の平均値をRaveとすると、前記Rmaxと前記Raveとが、1.1≦Rmax/Rave≦2.0である関係を満足する請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物から構成される誘電体層と、電極と、を有するセラミック電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−51755(P2012−51755A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195107(P2010−195107)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】