説明

読み取り装置、読み取りシステム及び読み取り方法

【課題】被測定物の移動経路及び移動タイミングを厳密に管理するための読み取り情報を必要最小限にまとめることができるようにする。
【解決手段】グループ化された複数の異なる識別子が取り付けられている被測定物の位置を把握する読み取り装置であって、前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り手段と、前記情報読み取り手段により読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断手段と、前記グループ属性判断手段により判断されたグループにおいて、任意の時間内における該当するグループの最初と最後の読み取り時刻情報及び所属グループ情報とから前記被測定物に係わる通過情報を生成する通過情報生成手段とを設け、被測定物の移動経路及び移動タイミングを厳密に管理する読み取りシステムに必要な構成の簡素化及び情報量の減少を図ることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り装置、読み取りシステム及び読み取り方法に関し、特に、移動する物や人の位置を把握し、特定する技術に関し、例えば工場における製品組み立てにおいて、人が仕掛品を作業の進行に応じて受け渡しながら組み立てを行なうセル生産方式で使用する仕掛品を乗せた台車の位置を高速かつ確実にそして取得する際のデータ量を最小限にして把握する読み取り装置、システム及び読み取り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動する物や人の位置を特定する際に、検出対象である移動体にRF−IDのタグを取り付け、位置が相対的もしくは絶対的に把握されている複数の固定の読み取り装置(無線リーダ装置)でID情報を読み取る手法が提案されている。
【0003】
このような手法を採用したシステムの場合、移動体には固有のIDを持つタグが取り付けられ、移動体の進行方向に沿って複数の無線リーダ装置が配置されている。この無線リーダ装置から電磁誘導方式でタグに電力を供給し、タグの持つID情報を送信させる。なお、最近ではUHF波帯を使用した方式の他、マイクロ波を使用した読み取りシステムも実用化されている。
【0004】
タグは、アンテナで受信された電力供給信号を直流電力に変換して、各部に供給する。これらの読み取りシステムでは、一つの無線リーダ装置でID情報を読み取ることができる空間的範囲が限られるため、どのリーダ装置で読み取られたかによって移動体の位置を特定することができる。
【0005】
また、位置特定の精度を高めるためには、移動体を読み取り可能な範囲をさらに狭くして、多数の無線リーダ装置を隙間なく配置すればよい。さらに、移動体の進行方向が特定できないような場合には、二次元空間的に無線リーダ装置を設置する手法も説明されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。
【0006】
位置特定の精度を高めるため、無線リーダ装置の代わりに設置面積の比較的狭いIDタグの方を床や地面に多数設置し、移動体の方に無線リーダ装置を取り付ける構成も提案されている(例えば、特許文献4を参照)。これらの手法の場合、どちらの手法も移動体の位置を把握し、特定するという目的の上では同じものである。
【0007】
移動体に複数のIDタグが取り付けられている場合、もしくは敷設されている複数のIDタグを移動体に取り付けられた無線リーダ装置によって読み取る場合には、読み取りの要求に対して複数のIDタグが同時に応えることになる。
【0008】
一般には、RF−IDタグの読み取りは、無線リーダとIDタグが一対一で交信することを前提としているため、複数のIDタグが同時に応えないようにアンチコリジョンの技術を採用している。IDタグには固有のID情報が付与されていることを利用して、このID情報から応答する時間や順番を決めて複数のIDタグが同時に応答しないようにするために、アンチコリジョンと呼ばれる工夫を施している。
【0009】
位置特定の精度を高め、なおかつ検出の確率を高めるには、検出器であるリーダ装置のアンテナの指向性を高め、移動体に対して複数のIDタグを取り付け、その上で読み取りの要求頻度を高めることが有効である。その結果、読み落としの少ないシステムを構築することができる。
【0010】
【特許文献1】特開2004−286668号公報(図1、段落[0036])
【特許文献2】特開2004−312289号公報(図1、段落[0025])
【特許文献3】特開2002−058648号公報(図1、段落[0008])
【特許文献4】特開2001−183455号公報(図1、段落[0013])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述した従来の技術においては、以下のような問題があった。
すなわち、移動速度が速くなる場合の想定や、たまたま読み取りに失敗したときのリカバリーを考慮して頻度の高い繰り返しの読み取り要求を実施すると不都合が発生することがある。例えば、移動体がそれほど速くない場合や、検出器上で停滞した場合などにおいては、必要以上にIDタグの識別情報を読み取る結果になる。特に、本願発明で想定している工場におけるセル生産方式など、人の手による作業や物の移動ではその動作や速度もまちまちである。
【0012】
したがって、読み取りシステムとして最も読み取りが危ぶまれるようなケースでも対応できるように構成した結果、通常な状態では大量のデータ処理が必要となってしまう。また、リーダ装置と複数のリーダ装置で読み取られた識別情報を格納し活用するサーバとの間でデータの送受信が頻繁に行われることになる。このため、ネットワークのトラフィック量が増えるだけではなく、サーバ側での処理負荷も増大するという問題があった。
【0013】
これらの課題を解決するために、移動体に複数の識別子が取り付けられている場合は、それらをグループ化し、同じグループ内の識別子が一つでも検出されれば、以後は読み取った識別情報をフィルタリング処理し、上位には上げないといった手法も取られることがあった。
【0014】
この場合、特定位置を通過したかどうかの判断には使用できるが、本願発明で考えているような、セル生産方式における各工程の作業時間管理へ適用する場合には、検出器上で停滞している時間も考慮する必要がある。すなわち、各工程の作業時間管理を厳密に行なうためには、どのタイミングで検出器に進入し、どのタイミングで検出器から離れたかが大変重要になる。このため、前記フィルタリング手法ではこれらの要求を満たすことはできない問題点があった。
【0015】
本発明はかかる問題に鑑みなされたものであり、グループ化された識別子の読み取りを行ない、被測定物の移動経路及び移動タイミングを厳密に管理する読み取りシステムに必要な構成を簡略化できるようにするとともに、前記被測定物の通過情報を管理・活用するために必要な情報を大幅に削減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の読み取り装置は、グループ化された複数の異なる識別子が取り付けられている被測定物の位置を把握する読み取り装置であって、前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り手段と、前記情報読み取り手段により読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断手段と、前記グループ属性判断手段により判断されたグループにおいて、任意の時間内における該当するグループの最初と最後の読み取り時刻情報及び所属グループ情報とから前記被測定物に係わる通過情報を生成する通過情報生成手段とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の読み取りシステムは、前記に記載の読み取り装置と、前記読み取り装置から送られる通過情報を管理・活用するサーバ端末装置とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の読み取り方法は、グループ化された複数の異なる識別子が取り付けられている被測定物の位置を把握する読み取り装置における読み取り方法であって、前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り工程と、前記情報読み取り工程において読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断工程と、前記グループ属性判断工程において判断されたグループにおいて、任意の時間内における該当するグループの最初と最後の読み取り時刻情報及び所属グループ情報とに基づいて通過情報を生成する通過情報生成工程とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明のプログラムは、グループ化された複数の異なる識別子が取り付けられている被測定物の位置を把握する読み取り装置における読み取り方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り工程と、前記情報読み取り工程において読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断工程と、前記グループ属性判断工程において判断されたグループにおいて、任意の時間内における該当するグループの最初と最後の読み取り時刻情報及び所属グループ情報とに基づいて通過情報を生成する通過情報生成工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、移動体に取り付けられたグループ化された識別子の読み取りに際して、同じグループの内で最初に読み取られた識別情報とその時刻、及び最後に読み取られた識別情報とその時刻から通過情報を生成し、それ以外の識別子を読み取ったことで得られる情報を捨てるようにしたので、どのタイミングで検出器に進入し、どのタイミングで検出器から離れたかを把握するのに必要なデータ量を大幅に削減することができる。
また、これらの機能を読み取り装置内に持つことによって、データを活用するサーバへデータ転送する時のネットワークのトラフィック量を減らすことができる。
また、通過の判断自体を各読み取り装置で行う構成のため、複数の位置検出装置間の連携によって通過を判断する場合と比べてトラフィックの負荷が減るばかりでなく、連携に必要な機能を備える必要もなくなる。
さらには、サーバ側で個々の位置の通過判断や、引いては大量に得られたデータから各工程への出入りの時刻を抽出処理する必要もなくなる。また、これら機能は読み取り自体には影響を与えないため、ISO15693やISO18000等の国際規格に準拠した汎用的なRF−IDのタグを使用し、無線リーダ装置に該当する機能を組み込むことで実現が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
本発明を実現する第1の実施形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1は、本発明の特徴を説明する第1の実施形態におけるリーダ装置の機能構成例を示すブロック図である。
図1において、101は、移動体に取り付けられた識別子のID情報を読み取る無線リーダ装置である。本実施形態において、無線リーダ装置101は、以下に説明する103から110の各機能ブロックによって構成されている。
【0023】
102は、無線リーダ装置101によって読み取りが行われるIDタグである。IDタグ102内には固有の識別子が格納されており、無線リーダ装置101から送られる要求によって識別情報を返すように構成されている。
【0024】
103は、無線リーダ装置101の全体動作を制御する制御部である。104は、IDタグ102との間で無線通信を行なう読み取り部である。ここでは、電磁誘導方式による読み取り方式を想定している。不図示ではあるが、検出器であるアンテナが接続されている。
【0025】
本実施形態においては、無線リーダ装置101が所定のプロトコルに従った読み取り制御を行ない、得られた識別子の把握と同時に、IDを取得した時刻をタイマやクロック等の別手段によって把握し、合わせて識別情報として取り扱う。高い検出確率を実現するために、ここでは高頻度で読み取り要求が行われているものとする。
【0026】
105は、得られたID情報がどの移動体に取り付けられている識別子なのかを照合するID参照部である。ID参照部105は、後述する参照テーブルの情報と比較して、移動体の個体別にグループ化されている識別情報から所属するグループ、すなわちどの移動体に取り付けられている識別子なのかを判断する。
【0027】
106は、ID参照部105で比較のために用いられる参照テーブルである。ここでは、予め読み取りが予想されるID情報を移動体別に区分けしてグループ化し、テーブルとして保持している。テーブル自体は固定である必要はないため、必要に応じて追加、更新することも可能である。
【0028】
107は、連続して読み取られるID情報と取得時刻から移動体の通過情報を生成する通過情報生成部である。ここでいう通過情報とは、同じグループの内で最初に読み取られた識別情報とその時刻、及び最後に読み取られた識別情報とその時刻から生成されるものである。具体的な生成処理手順については後述する。
【0029】
108は、読み取りが最後かどうかを判断するためのタイマである。本実施形態においては、一定時間が経過しても同じグループの識別情報を読み取ることができなかった場合は、それ以前に読み取られた最も遅い読み取り時刻を通過時刻としてみなすようにしている。
【0030】
109は、通過情報生成のための情報を格納しておくバッファである。通過途中の段階では、読み取りが最後かどうかを判断できないため、候補となるID情報も合わせて格納している。110は、通過情報を管理、ネットワーク120を介して利用するサーバに対して送信するネットワークI/Fである。ここでは有線LANの制御機能を想定している。
【0031】
通過情報は、同一グループ内で最初に読み取りが行われた時刻とその所属するグループ、すなわち移動体の識別情報と、最後に読み取りが行われた時刻からなる。サーバへの情報送信はこれからの情報をまとめた形でも、それぞれの情報を分けた形でも構わない。システムがリアルタイム性を求められる場合には、移動体の識別情報と、最後に読み取りが行われた時刻とを分けるとよい。これは検出器上で移動体が長時間滞留する可能性を考慮したものである。
【0032】
図2は、アンテナと被検出対象と工程との関係を示した模式図である。
図2(a)は、工場内に設置されたアンテナと各工程との関係を示している。201a及び201bはIDタグ102を読み取るためのアンテナで、各工程の境界に敷設されている。
【0033】
アンテナ201aはN−1番目の工程とN番目の工程との境界に敷設され、アンテナ201bはN番目とN+1番目の工程との境界にそれぞれ敷設されている。アンテナ201aでIDタグ102が検出された場合は、工程N−1から被検出対象であり移動体でもある台車が運び出され、次工程である工程Nに運び込まれたことを意味している。
【0034】
実際には、移動体である台車には複数のIDタグ102が取り付けられており、アンテナ201a通過時には複数のIDタグ102の情報が読み込まれる。このため、IDタグ102を最初に検出した時刻を工程N−1が終了した時刻とみなし、最後に検出した時刻を工程Nが開始された時刻としてみなすようにしている。最後に検出されたかどうかはその時点では判断が付かないため、読み取りが行われてから任意の時間が経過した時点で対象となる移動体のIDタグ102の読み取りが行われていないことで判断するようにしている。
【0035】
図2(b)から(e)までは被検出対象202(以下、台車202とする)の移動と工程との関係を示している。この台車202には、不図示であるが複数のIDタグ102が取り付けられているものとする。図2(b)では、台車202は工程N−1に存在し、その工程内で作業が行われているものと見なされる。
【0036】
図2(c)では、台車202がアンテナ201a上を通過しており、IDタグ102の検出によって工程N−1の作業終了と同時に、次工程である工程Nの作業開始を特定する時刻を把握することになる。
【0037】
図2(d)では、アンテナ201aを通過した後、工程Nにおいて作業が行われている状態を示している。図2(e)では、アンテナ201b上を通過しており、工程Nの作業終了と同時に、次工程である工程N+1の作業開始を示している。
【0038】
このように、各工程の間に設けられたアンテナの通過を検出することで、ある工程での作業の終了と次工程の開始をIDタグ102の検出時刻によって把握することが可能になる。
【0039】
図2(f)は、各アンテナ201での読み取り時間と工程内での作業時間との関係を示している。t1はアンテナ201aでの読み取り開始時刻を示し、t2は読み取り終了時刻を示している。同様に、t3はアンテナ201bでの読み取り開始時刻を示している。
【0040】
工程の開始時刻は、台車202がアンテナを通過し終わったt2であり、終了時刻は次のアンテナでの読み取りが開始されたt3である。したがって、工程Nの作業時間は時刻t3とt2との間の時間となり、図2(f)のTがそれに該当する。なお、IDタグ102の読み取りによる応答が一回しか行われなかった場合には、t1=t2となり、前工程の終了と次工程の開始の時刻は同じと見なす。
【0041】
図3は、読み取りシステム全体の構成を示した図である。
図3において、301は移動体に取り付けられたIDタグである。本実施形態においては、複数のIDタグ301が移動体である台車(図示せず)に取り付けられているものとする。302は、IDタグ301を検出するためのアンテナである。303は、アンテナ302を制御するためのリーダ装置である。304は、複数のリーダ装置303を制御するコントローラである。305は、コントローラ304から送られた検出情報から各工程の作業時間を把握するための機能を備えたサーバである。図3では、サーバ305に接続されたコントローラ304は一台であるが、複数のコントローラ304からの情報をサーバ305に格納することができる。
【0042】
このような構成において、アンテナ302上をIDタグ301が取り付けられた台車が移動する際に、リーダ装置303からIDタグ301への読み取り要求が出される。そして、IDタグ301のID情報の検出がなされた場合はその検出時刻をリーダ装置303で付与し、以後作業時間を管理するためのパラメータとして把握して使用する。
【0043】
時刻の付与を末端であるリーダ装置303で行なうため、各リーダ装置303の持つ時刻を基準となる時刻に対して絶対的に、もしくは相対的に一致させておく必要がある。なお、ここでは便宜上機能毎に装置を分けているが、例えばコントローラ304とリーダ装置303の一体化など複数の機能を統合した装置によってシステムを構成しても構わない。
【0044】
図4は、ID情報を持つ識別子の取り付け例を示した図である。
図4において、401は被検出対象である移動体である。本実施形態では、セル生産の工程を想定しており、移動体401は製品組み立て台車とする。
【0045】
組み立ての作業を行っている作業者はこの台車上で製品を組み立て、自身の作業工程が終了すると次の工程へと手で動かすものとする。図4において、白抜きの矢印は移動体401の進行方向を示している。
【0046】
402は、移動体401に取り付けられたIDタグである。本実施形態では電磁誘導を利用した非接触の交信を行なうRF−IDタグを想定している。この例では、移動体401に対して4枚のタグが取り付けられ、ユニークIDのうち、割り当てのために使用されているID情報はそれぞれ重ならないように選択されている。
【0047】
重なる場合はコリジョンが発生し、任意の時間内で読み取ることのできるタグの枚数が減ることになるが、本実施形態ではどちらの場合でもよい。IDタグ402aは"0"、402bは"1"、402cは"2"、402dは"3"の各ID情報を持っているものとする。
【0048】
403は、移動体401に取り付けられたIDタグ402のID情報を読み取るための磁界を発生させるアンテナである。移動体401の位置特定のため、アンテナ403は床に敷設され、固定されているものとする。この例では、移動体401である組み立て台車の位置を高い精度で検出する目的を考慮し、アンテナ403の幅は移動体401よりも小さいものとする。ただし取り付けられた各IDタグ402a〜402dの読み取りが十分できるだけの長さは確保している。また、読み取りの失敗がないように、アンテナ403の長さは移動体401よりも大きくしている。404は、アンテナ403と接続されるリーダ装置であり、位置検出のための読み取りの制御を行なう。
【0049】
図4に示したように、この例ではコリジョンが発生しないようにするために、移動体401にはタイムスロット割り当てに用いられるユニークIDの一部の情報が重ならないようにIDタグが選択され、取り付けられている。この例では4枚のIDタグを取り付けているが、一回の読み取りで重ならずに応答できる数だけ一つの移動体401に取り付けることができる。
【0050】
ISO15693では、16スロットモードが規定されており、この場合は16枚のIDタグをID情報の一部が重ならないように選択して一つの移動体401に取り付けることで、一回の読み取り要求ですべてのIDタグがコリジョンの発生なく応答することが可能になる。
【0051】
図5は、通過情報生成のプロセスの一例を示したフローチャートである。
ステップS501では、IDタグに対して読み取りの要求を行なう。この要求のタイミングは各IDタグ402a〜402dと検出器であるアンテナ403との位置には無関係であるため、次ステップである応答の有無を待ってすぐに繰り返されるものとする。
【0052】
ステップS502では、ステップS501で行った読み取り要求に対する応答の結果を判断する。この判断の結果、応答がある場合は取得時刻を把握し、ステップS503へ進む。応答がない場合は再度ステップS501へ戻り、読み取り要求を行なう。
【0053】
ステップS503では、応答のあったIDタグの識別情報(ID情報)を把握する。ステップS504では、無線リーダ装置404が現在アクティブモードかスタンバイモードかを判断する。
【0054】
ここで、各モードについて説明する。アクティブモードとは、最初に移動体401を検出してから、その移動体401が通過するまでの間の状態をいう。実際には一部の例外を除いて通過したかどうかの判断はタイマによる時間経過によって行なうため、通過を判断するまでの時間も含まれる。
【0055】
一方、スタンバイモードはそれ以外の状態を指し、或る移動体401が通過してから次の移動体401が検出されるまでが該当する。アクティブモード、すなわち既にあるグループ内のIDを取得している場合はステップS505へ、スタンバイモードの場合はステップS509へそれぞれ進む。
【0056】
ステップS505では、ステップS503で把握されたID情報がアクティブモードへと移行する際に把握されている同一のグループのものであるかどうかを判断する。この判断の結果、同一のグループである場合はステップS506へ、そうではない場合はステップS507へそれぞれ進む。
【0057】
ステップS506では、同一のグループに所属するID情報を取得したことを受けて、最後に取得したとそれまでみなされていたID情報取得時刻を新しく取得した時刻で更新する。アクティブモードへ移行したばかりだと、最初の取得時刻しか格納されていない場合もある。その際は、最初に取得した情報をそのまま代用する。
【0058】
ステップS507では、別のグループのID情報を取得、すなわち別の移動体401を検出したことを受けて、それまで格納していた取得時刻を通過時刻として判断する。これは例外処理である。通常はタイマによる時間経過によって判断するが、このように別の移動体401を検出した場合は、即通過時刻としてみなす。
【0059】
ステップS508では、前のステップで同一グループ内において最後に取得されたID情報を確認した結果を受けて、通過情報を生成する。具体的には、最初に取得した時刻と最後に取得した時刻、どのリーダ装置で生成した情報か、及び検出した移動体401の識別情報によって構成される。
【0060】
その後、ステップS510において新たな識別情報生成のプロセスに入る。ステップS509では、ID情報の取得を受けて、スタンバイモードからアクティブモードへとモードを移行する。
【0061】
ステップS510では、ID情報から所属するグループを把握する。どのグループに属しているかの判断は参照テーブルとの照合結果による。次に、ステップS511では、ステップS502で応答があった場合に把握したID情報を取得した時刻を格納する。この時刻が同一グループ内で最初に検出された時刻となる。
【0062】
ステップS512では、それぞれの判断の結果を受けて、次に同一グループのID取得が行われるかどうか、通過の判断を行なうためにタイマを起動する。設定される時間は任意である。
【0063】
ステップS513では、IDタグの読み取り要求を行なう。次に、ステップS514では、ステップS513で行った読み取り要求に対する応答の結果を判断する。この判断の結果、応答がある場合は、ステップS515へ、応答がない場合はステップS516へそれぞれ進む。
【0064】
ステップS515では、応答があったためステップS512で起動したタイマを停止する。その後、ステップS503へ戻り、以後は前述した処理を繰り返す。
【0065】
ステップS516では、ステップS512で起動したタイマがタイムアウトしたかどうかを判断する。この判断の結果、タイムアウトしている場合は、ステップS517へ進む。また、設定した時間を経過していない場合はステップS513に戻り、読み取り要求を繰り返す。
【0066】
ステップS517では、タイムアウトを受けて、通過情報を生成する。タイマ起動前に更新されている時刻を最後に読み取りが行われた時刻として判断する。次に、ステップS518では、同一グループに対する読み取り動作が終了したものとみなし、次の移動体401の検出に備えてスタンバイモードへと移行する。以上が処理の流れである。
【0067】
図6は、通過情報生成プロセスを示すタイムチャートである。
図6(a)は、一般に起こりえる読み取りのパターンを示している。図6に示すように、t1の時刻からt2の時刻まではそれほどの間を空けずID情報が読み込まれている。同じ時刻に複数のID情報の読み取りがあるのは、一回の読み取り要求に対して複数のIDタグが応答したことを示している。
【0068】
t1はある移動体401が特定の検出器によって検出された初めての時刻を示し、t2は最後に検出された時刻を示している。この時間(t2−t1)をT1とする。後から見れば時刻t2が最後であることがわかるが、t2の時点ではその判断がつかないため、今まで説明してきたようにタイマを起動し、時間経過によって最後かどうかを判断する。t2の時刻にタイマを起動し、タイムアウト時間であるT2経過後の時刻であるt3にt2が通過最後の時刻であることを判断する。
【0069】
図6(b)は、タイムアウト時刻であるt3の前にID情報が読み取られた場合を示している。タイムアウト時間であるT2が経過する前、T3(<T2)時間経過時刻であるt4にID情報の読み取りが行われたとする。
【0070】
このID情報がそれまでと同一のグループであった場合はこの時点で改めてタイマを起動し直し、タイマ監視時間であるT2経過後の時刻であるt5までに読み取りがなければ、t4で読み取られたID情報が最後であったことを判断する。この判断の結果、ID情報がそれまでとは異なるグループであった場合には、即座にt2を最後の時間として判断し、t4の時刻を新たな移動体401検出の最初の読み取り時刻とする。
【0071】
図6(c)は、タイムアウト時刻を過ぎて再度同一のグループのID情報を検出した場合を示している。既にt2で最後と判断しているので、t6を新たに最初の検出時刻として捉える。同じ移動体401が二回続けて読み込まれたことによるデータの整合は上位に位置付けられるサーバ等で判断し、リーダ装置内では別の移動体401として扱う。
【0072】
上位層であるサーバ等、通過情報を管理、利用する装置への通知は、T1の最初の読み取り時刻が把握されたタイミング、T3のt2が最後の読み取りであると判断されたタイミングの計2回、もしくはt3の1回のタイミングで行なう。なお、本実施形態ではIDタグとの通信規格は特に規定していない。また、コリジョンの発生についてもその有無を限定するものではない。IDタグの取り付け枚数についても特に規定していない。
【0073】
以上説明してきたように、本実施形態によれば移動体401に取り付けられたグループ化されたIDタグの読み取りに際して、同じグループの内で最初に読み取られた識別情報とその時刻、及び最後に読み取られた識別情報とその時刻から通過情報を生成する。そして、それ以外のIDタグを読み取ったことで得られる情報を捨てることによって、大幅なデータ削減を実現することができる。
【0074】
これらの機能をリーダ装置404内に持つことによって、データを活用するサーバへのデータ転送時のトラフィック量を減らすことができる。また、通過の判断自体を各リーダ装置404で行なうように構成したため、複数の位置検出装置間の連携によって通過を判断する場合と比べてトラフィックの負荷が減るばかりでなく、連携に必要な機能を備える必要もなくなる。
【0075】
さらには、サーバ側で個々の位置通過判断や、引いては大量に得られたデータから各工程への出入りの時刻を抽出処理する必要もなくなる。これらは読み取り自体には影響を与えないため、ISO15693やISO18000等の国際規格に準拠した汎用的なRF−IDのタグ及び無線リーダ装置に該当する機能を組み込むことで実現が可能である。
【0076】
(第2の実施形態)
本発明を実現するその他の実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態を実現する読み取りシステムの特徴は、第1の実施形態では取得したID情報の内、最初と最後を判断してそれ以外の情報を破棄していたのに対して、一回の読み取り要求の中でも取得情報をフィルタリングする点にある。以下、この点を中心に内容を説明する。
【0077】
図7は、本発明の特徴を説明する第2の実施形態におけるフィルタリングプロセスを示すフローチャートである。第1の実施形態における図5のフローチャートにおけるステップS501と502及びステップS513とステップS514の処理を置き換えるものである。
【0078】
ステップS701では、IDタグに対して読み取りの要求を行なう。次に、ステップS702では、ステップS701で行った読み取り要求に対する応答の結果を判断する。この判断の結果、応答がある場合は取得時刻を把握し、ステップS703へ進む。また、ステップS702の判断の結果、応答がない場合は再度ステップS701へ戻り、読み取り要求を行なう。
【0079】
ステップS703では、一回の読み取り要求に対して複数のIDタグから応答があったかどうかを判断する。構成にもよるが後述する16スロットモード使用時であれば、最大16のタグからの応答が返ることになる。ステップS703の判断の結果、複数のタグから応答がある場合はステップS704へ、IDタグからの応答が一つの場合はステップS705へそれぞれ進む。
【0080】
ステップS704では、取得したデータのフィルタリング処理を行う。具体的には一回の読み取り要求に対して複数のIDから応答があった場合でも、その中の一つのID情報だけを有効として、残りの情報は破棄する。選択の仕方はいくつか想定されるが、最初に検出したものを採用する場合、最後に検出したものを採用する場合、どのモードで検出したかによって採用する順番を変える場合などが考えられる。
【0081】
例えば、スタンバイモード時であれば最初に検出したID情報を採用し、アクティブモードであれば最後に検出したID情報を採用するのが望ましい。図7(b)がその処理の流れを示したフローチャートである。
【0082】
ステップS706では、スタンバイモードかどうかを判断する。この判断の結果、スタンバイモードの場合はステップS707へ、アクティブモードの場合はステップS708へそれぞれ進む。
【0083】
ステップS707では、スタンバイモードからの最初のID読み取りのため、最初に検出したID情報のみを採用し、残りのID情報を削除する。次に、ステップS708では、アクティブモードにあるため、最後のID情報を採用し、それ以外のID情報を削除する。ステップS705では、ステップS704でフィルタリング処理された後のID情報、もしくは一つだけ取得したID情報を格納する。
【0084】
図7のフローチャートに示したように、第1の実施形態との違いは、低位のフィルタリング処理を加えることによって、その後の判断プロセスで使用するデータ量をある程度削減する点にある。このようにすると、最低でも一つのID情報は検出することができるため、全体として圧倒的なデータ量削減は望めないが、通過情報の生成を左右するような情報を欠如させることのない点で有効である。
【0085】
図8は、16スロットモードの概念を示した図である。
16スロットモードは、ISO15693でも規定されている複数のIDタグを読み取るためのモードで、タイムスロットを割り当てることによってコリジョンの発生を回避するアンチコリジョン技術の一つである。
【0086】
図8に示しているように、リーダ装置801はIDタグ802に対してInventoryコマンドと呼ばれるユニークIDを取得するためのコマンドを送信する。このコマンド内には、アンチコリジョンを考慮しない一つのタグだけを読み取る1スロットモードか、16スロットモードを選択するフラグが用意されている。
【0087】
16スロットモードのフラグが立った要求コマンドを受け取ったIDタグ802は、IDタグが持つ固有のID情報であるユニークIDのうち、16スロットモードのタイムスロット割り当てに使用する一部の情報を見て、自身がどのタイミングで応答を行なうべきかを判断する。
【0088】
各割り当てはスロットと呼ばれ、Slot0から15まで16個のスロットが用意されている。自身がSlot0で応答するIDタグの場合には、規定時間内にリーダ装置801に対して応答を返す。該当するスロットでのIDタグの応答がない場合や複数のIDタグ802が同時に応えて判別が付かない場合も含めて、規定の時間が経過するとリーダ装置801側からはEOFと呼ばれるフレームの終わりを意味するパケットを送信し、次のスロットへの移行を促す。
【0089】
以下、順に各スロットで応答すべきタグが存在する場合はそれぞれ応答し、ない場合やコリジョンが発生した場合は規定時間後に次のスロットへの移行していく。最後に16番目のSlot15が終了した時点で、EOFを送信してこのモードは終了する。
【0090】
すべてのIDタグ802の読み取りが必要な場合には、コリジョンが発生しないようにタイムスロット割り当てに使用するID情報を変更し、再度読み取りの要求コマンドを送信する。一回の読み取り要求で読み取りを完結することを想定している場合は情報の変更は行なわない。
【0091】
図9は、フィルタリング処理の概念を示した図である。
図9は16スロットモードの使用を前提にしている。リーダ装置900内の制御部901から読み取り部902に対して読み取りの要求が発行される。読み取り部902は、16スロットモードに対応したInventoryコマンドを送信する。以後IDタグ910の取り付け状況に応じたID情報の取得が行われる。
【0092】
各スロットで応答があった場合は合計16個のID情報が得られる計算になる。読み取り部902では得られたID情報すべてを次の処理に回すのではなく、本実施形態で説明しているフィルタリング処理を行ない、ID情報を選択する。このことによって有効な情報を失うことなくデータ量の削減を実現する。
【0093】
以上説明してきたように、一回の読み取り要求に対してフィルタリング処理を施すことによって全体の処理を軽減し、通過情報の生成を行なうことができる。また、第1の実施形態では、データ削減のための処理がネットワークを介さない一つの装置内で完結していたが、本実施形態だけを採用した場合、もしくは併用した場合においても、装置内である程度のデータ量の削減ができるため、ネットワークや処理系に大きな負荷を与えることなく、システムを自由な構成で構築することができる。
【0094】
(本発明に係る他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における読み取り装置及び読み取りシステムを構成する各手段、並びに読み取り方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0095】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施形態も可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0096】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図5、図7に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接されてもよい。あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0097】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0098】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0099】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどである。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)なども含む。
【0100】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのものをダウンロードすることによっても供給できる。もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0101】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0102】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0103】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0104】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の実施形態におけるリーダ装置の機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態におけるアンテナと被検出対象と工程との関係を示した模式図である。
【図3】第1の実施形態におけるシステム全体の構成を示した図である。
【図4】第1の実施形態におけるID情報を持つ識別子の取り付け例を示した図である。
【図5】第1の実施形態における通過情報生成プロセスを示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における通過情報生成プロセスを示すタイムチャートである。
【図7】第2の実施形態におけるフィルタリングプロセスを示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態における16スロットモードの概念を示した図である。
【図9】第2の実施形態におけるフィルタリング処理の概念を示した図である。
【符号の説明】
【0106】
101 無線リーダ装置
102 識別子(IDタグ)
103 制御部
104 読み取り部
105 ID参照部
106 参照テーブル
107 通過情報生成部
108 タイマ
109 バッファ
110 ネットワークI/F
120 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループ化された複数の異なる識別子が取り付けられている被測定物の位置を把握する読み取り装置であって、
前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り手段と、
前記情報読み取り手段により読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断手段と、
前記グループ属性判断手段により判断されたグループにおいて、任意の時間内における該当するグループの最初と最後の読み取り時刻情報及び所属グループ情報とから前記被測定物に係わる通過情報を生成する通過情報生成手段とを有することを特徴とする読み取り装置。
【請求項2】
前記情報読み取り手段の読み取りの状態に応じて、前記識別子に対する動作モードをスタンバイモードまたはアクティブモードの何れかに制御する動作制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項3】
前記動作制御手段は、定常的な読み取りに対して応答のないスタンバイモードにある場合に、任意のグループに属する識別子からID情報を取得した際にはアクティブモードへ移行するように動作モードを制御し、
前記通過情報生成手段は、前記情報読み取り手段により最初に読み取りが行われた時刻を、前記通過情報の構成要素の一つである最初の読み取り時刻とすることを特徴とする請求項2に記載の読み取り装置。
【請求項4】
前記動作制御手段は、連続した読み取りが行われているアクティブモードにある場合に、任意の時間経過後も読み取りが行われなかった際にはスタンバイモードへと動作モードを移行し、
前記通過情報生成手段は、前記アクティブモードの最後に読み取りが行われた時刻を前記通過情報の構成要素の一つである最後の読み取り時刻とすることを特徴とする請求項2または3に記載の読み取り装置。
【請求項5】
前記任意時間の経過の計測を行なう計時手段を有することを特徴とする請求項4に記載の読み取り装置。
【請求項6】
前記被測定物もしくは前記情報読み取り手段のうち、一方が固定されており、前記固定されている位置において読み取った時の位置を把握して前記被測定物の位置を特定する位置特定手段を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の読み取り装置。
【請求項7】
前記位置特定手段は、前記複数の異なる識別子のうち、そのうちの一つの識別子を認識することによって前記被測定物の位置を特定することを特徴とする請求項6に記載の読み取り装置。
【請求項8】
前記情報読み取り手段による読み取りが行われた時刻を前記計時手段から取得することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の読み取り装置。
【請求項9】
前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り手段を、人が仕掛品を作業の進行に応じて受け渡しながら組み立てを行なうセル生産方式における各工程の入り口と出口を兼用する位置に配置し、前記情報読み取り手段により読み取った情報から前記通過情報生成手段が各工程の作業時間を算出することを特徴とする請求項5〜8の何れか1項に記載の読み取り装置。
【請求項10】
前記情報読み取り手段は、前記識別子に対してタイムスロットを利用した読み取りを行ない、前記読み取りの要求は、前記識別子の存在有無に関わらず、一回の読み取り機会が終了した時点で繰り返して行われることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の読み取り装置。
【請求項11】
前記情報読み取り手段により行われる一回の読み取り要求に対して複数の識別子から応答があった場合、そのうち最低一つの情報を採用するフィルタリング処理を行うフィルタリング手段を有することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の読み取り装置。
【請求項12】
前記通過情報生成手段により得られた通過情報を管理・活用するサーバ端末装置へ送信するデータ送信手段を有することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の読み取り装置。
【請求項13】
前記請求項12に記載の読み取り装置と、前記読み取り装置から送られる通過情報を管理・活用するサーバ端末装置とを有することを特徴とする読み取りシステム。
【請求項14】
グループ化された複数の異なる識別子が取り付けられている被測定物の位置を把握する読み取り装置における読み取り方法であって、
前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り工程と、
前記情報読み取り工程において読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断工程と、
前記グループ属性判断工程において判断されたグループにおいて、任意の時間内における該当するグループの最初と最後の読み取り時刻情報及び所属グループ情報とに基づいて通過情報を生成する通過情報生成工程とを有することを特徴とする読み取り方法。
【請求項15】
グループ化された複数の異なる識別子が取り付けられている被測定物の位置を把握する読み取り装置における読み取り方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記識別子から識別情報を読み取る情報読み取り工程と、
前記情報読み取り工程において読み取られた識別情報から識別子がどのグループに属するのかを判断するグループ属性判断工程と、
前記グループ属性判断工程において判断されたグループにおいて、任意の時間内における該当するグループの最初と最後の読み取り時刻情報及び所属グループ情報とに基づいて通過情報を生成する通過情報生成工程とをコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−166554(P2007−166554A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364047(P2005−364047)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】