説明

調理支援システム

【課題】料理を作る際、その調理状況を記録でき、該記録した調理状況を調理情報として所定態様で出力できる調理支援システムを提供する。
【解決手段】本発明の調理支援システムは、ユーザによる情報入力の操作環境を提供する入力手段と、調理状況を記録する記録手段と、ユーザの指示により記録している前記調理状況を調理情報として所定態様で出力する出力手段と、被調理物に熱量を供給する調理器と、を備え、前記記録手段が記録する前記調理状況には、前記調理器の熱量供給に係る情報が含まれる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料理を作る際、該料理の調理手順をユーザに提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、広く知られている料理は、その調理手順がある程度確立されており、そのレシピについても料理番組や書物等から容易に入手可能である。そして、レシピに忠実に従って、材料を揃え、調理を行えば、ある程度均一化した料理が出来上がる。
【0003】
しかし、一般家庭等では、完全にレシピに従って料理を作ることは希である。それは、家庭(個人)毎で、使用する材料や調理器具が異なり、また、味付けの好みや出来映えの満足感等も異なるからである。したがって、家庭内で料理を作る場合、経験や勘に頼ることが多く、経験等が浅いとその時々で料理の出来映えにばらつきが生じ易いといえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、電子レンジ、炊飯器、ロースター等の調理機器においては、ユーザが指定した料理名あるいは材料名に応じて加熱制御等を行う、いわゆる自動調理機能を備えたものが多種提供されている。
【0005】
この種の自動調理機能では、複数の料理名(例えば、茶碗蒸し、お粥、おこわ等)や材料名(例えば、白米、無洗米、玄米等)の中からユーザーの所望する料理等を選択でき、その選択した料理等に対応する所定の調理制御(加熱制御等)が自動的に行われる。
【0006】
しかしながら、選択できる料理等の種類は限定され、また、上述したような各家庭毎の好み等に合わせた調整が自動的にできるというわけではない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、料理を作る際、その調理状況を記録でき、該記録した調理状況を調理情報として所定態様で出力できる調理支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の調理支援システムは、ユーザによる情報入力の操作環境を提供する入力手段と、ユーザの指示により調理状況を記録する記録手段と、記録している前記調理状況を調理情報として所定態様で出力する出力手段と、被調理物に熱量を供給する調理器と、を備え、前記記録手段が記録する前記調理状況には、前記調理器の熱量供給に係る情報が含まれる、ことを特徴とする。
【0009】
上記構成の調理支援システムによれば、調理を行う際に、例えば、ユーザが前記入力手段を介して調理状況を記録させるための指示を与えると、それ以後の調理状況が前記記録手段により記録される。記録される調理状況には、前記調理器の熱量供給に係る情報が含まれる。該熱量供給に係る情報とは、被調理物に対する加熱量の調整情報をいい、調理中にユーザ(料理人)が加熱量を調整すると、その情報は記録手段によって自動的に記録されることになる。
【0010】
前記入力手段は、予め操作指示が対応付けられたボタン、スイッチ、ダイヤル等を配置し、これを操作することでユーザからの情報入力を受け付ける構成や、移動ボタンと確定ボタン等(例えば、いわゆるカーソルキーと確定キー等)を配置し、液晶表示器等の表示器に表示される操作画面に従ってボタン(キー)操作することにより、ユーザからの情報入力を受け付ける構成等にすることできる。さらには、マイクロフォン等の音声入力装置を備えてユーザの音声を入力できる構成としてもよい。
【0011】
以上のようにして記録された調理状況の内容(調理情報)は、ユーザの指示により所定態様で出力させることができるので、次回、同一の料理を作る際にこれを出力させれば、当該調理が容易となり、料理の再現精度も高めることが可能となる。尚、前記調理情報の出力態様としては、液晶表示器、LED等の表示器を介した文字、画像等による視覚的な出力や、スピーカ等を介した音声等による聴覚的な出力、あるいはこれらを複合した出力等が想定できる。
【0012】
また、料理の味は、使用する調味料で大きく左右されることを考慮すると、前記記録手段が記録する前記調理状況には、調味料の使用情報が含まれる、構成とするのが好ましい。
【0013】
前記調味料の使用情報には、例えば、当該調味料を加える(投入する)タイミングやその分量等が該当する。
【0014】
また、材料の入れ方についても料理の味や仕上がり状態に影響を与えるため、前記記録手段が記録する前記調理状況には、材料の使用情報が含まれる、構成とするのが好ましい。
【0015】
前記材料の使用情報には、例えば、当該材料を加える(投入する)タイミングやその分量等が該当する。
【0016】
また、前記出力手段は、出力した調理情報に基づいて前記調理器が熱量を供給していない場合には、その旨の報知を行う、という構成にすると、ユーザは、加熱量の調整に係る誤操作等を容易に関知できるようになるので、加熱量の調整精度の向上が期待できる。
【0017】
さらに、前記調理器は、前記出力手段によって出力される調理情報に基づいて熱量を供給する、構成とすると、被調理物に加える熱量の調整が自動的に行われるため、利便性が大いに向上し、料理の再現性もさらに高まる。
【発明の効果】
【0018】
以上の如く、本発明の調理支援システムは、現在の調理の状況を記録でき、次回以降の調理の際にこれを調理情報として出力することができる。したがって、ユーザは、微妙な火加減等の調理手順を容易に再現することが可能となり、毎回、略同等の出来の料理を作ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る調理支援システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1(イ)は、本実施形態に係る調理支援システム1の外観を示す概略図である。図1(イ)に示す調理支援システム1は、電磁誘導加熱(IH)方式により被調理物に熱量を供給する調理器としての機能(調理器機能)に加え、調理状況を記録する調理状況記録機能(記録手段)及び記録した調理状況に係る情報を出力することで、当該調理についてのガイドを行う調理ガイド機能(出力手段)も備えている。
【0021】
前面パネル2には、調理器機能用の操作手段であるON/OFFボタン3、加熱量調整ダイヤル4が配置されている。ON/OFFボタン3は、加熱動作を開始(ON)/終了(OFF)させるためのボタンであり、ユーザにより押下操作される度にON/OFFが切り替わるようになっている。
【0022】
被調理物に熱量を供給する仕組みについて簡単に説明する。加熱動作が開始されると、プレート5の下部に配設した図示しない磁力発生用コイルに電流が流れ、それにより磁力線が発生する。かかる磁力線は、プレート5の上に置いた図示しない鍋等に作用し、該鍋等の底にうず状の電流を発生させる。すると、鍋等の材質(例えば、鉄等)の電気抵抗により熱が発生し、結果として、該鍋等に収容している被調理物に熱量が供給されることになる。
【0023】
加熱量調整ダイヤル4は、加熱動作中の加熱量を調整するためのダイヤルであり、これを回転させることで、加熱量の強度の加減を調整することができる。より詳細には、右回りに回転させると、前記磁力発生用コイルに流れる電流値が増加し、結果として、被調理物に供給する熱量(加熱量)が増加する。尚、前面パネル2には、これらの他にも調理器機能用の操作手段として、この種の調理器(IHその他の電磁調理器)が一般的に備える図示しない各種操作ボタン等が配置されている。
【0024】
また、前面パネル2には、前記調理器機能用の操作手段とは別に、調理状況記録及び調理ガイド機能用の操作手段(入力手段)が、記録/ガイド機能操作エリア6内に配置されている(図1(ロ)参照)。図1(ロ)に示すように記録/ガイド機能操作エリア6内には、表示器11、記録/ガイド切替ボタン12、開始/終了ボタン13、調味料指定ダイヤル14、材料指定ダイヤル15、投入量指定スイッチ16、投入ボタン17、カーソル移動ボタン18及び決定ボタン19が配置されている。
【0025】
表示器11は、調理ガイド機能(後述する)の実行の際に当該調理に係る情報(調理情報)を文字、記号、図形、画像等により表示する液晶表示器である。また、表示器11は、ユーザからの情報入力を促すための操作画面等の表示も行う。尚、表示器11は、液晶表示器に限定されず、例えば、ドットマトリクスLED等で構成されていてもよい。さらには、ユーザの指や専用の入力ペン等を使用して操作指令等を受け付けられるタッチパネル方式の表示器であってもよい。
【0026】
記録/ガイド切替ボタン12は、利用したい機能(調理状況記録機能又は調理ガイド機能)をユーザに選択させるためのボタンであり、ユーザが押下操作する度に交互に切り替わり、何れかが選択されるようになっている。開始/終了ボタン13は、記録/ガイド切替ボタン12によって選択されている機能(調理状況記録機能又は調理ガイド機能)の実行を開始又は終了させるためのボタンであり、ユーザが押下操作する度に開始/終了が切り替わるようになっている。
【0027】
調味料指定ダイヤル14は、被調理物に投入する調味料の指定を行うために使用されるダイヤルである。調味料指定ダイヤル14の周囲には、調味料名(例えば、味噌、醤油、砂糖、塩、酢、コショウ等)が記された複数(本実施形態では10個)のマーク20が設けられ、ユーザは、それらの中の何れかに合わせるように調味料指定ダイヤル14を回転させることで、投入する調味料を指定することができる。このように指定した調味料は、投入ボタン17を押下することでその指定が確定する。
【0028】
材料指定ダイヤル15は、被調理物に投入する材料の指定を行うために使用されるダイヤルであり、その周囲には、主な材料の種類(牛肉、豚肉、鶏肉、魚、野菜、米等)が記された複数(本実施形態では10個)のマーク21が設けられ、ユーザは、それらの中の何れかに合わせるように材料指定ダイヤル15を回転させることで、投入する材料を指定することができる。このように指定した材料は、投入ボタン17を押下することでその指定が確定する。
【0029】
投入量指定スイッチ16は、投入する調味料又は材料の分量を指定するためのスライドスイッチであり、本実施形態では、スライダー22を移動させることで、多め、普通又は少なめ中から何れかを指定することができる。ここで指定した分量は、投入ボタン17を押下することでその指定が確定する。
【0030】
カーソル移動ボタン18及び決定ボタン19は、表示器11に表示される操作画面を介して操作を行うために必要なボタンである。カーソル移動ボタン18は、前記操作画面中の所望のアイコンにカーソルを移動させたり、何らかのメニューの中から所望の項目を選択したり、表示内容をスクロールしたりする場合等に使用する。決定ボタン19は、カーソル移動ボタン18の選択結果等を確定させるために使用する。
【0031】
図2は、調理支援システム1の調理状況記録及び調理ガイド機能について制御するための制御部30の内部構成を示すブロック図である。制御部30は、物理的には、CPU、ROM、RAM等(何れも図示せず)で構築されるが、処理内容の側から観ると、図2に示すようにユーザI/F部31、モード管理部32、記録部33、出力部34及びタイマ部35で構成される。
【0032】
ユーザI/F部31は、上述した各種ボタン等(記録/ガイド切替ボタン12,開始/終了ボタン13、調味料指定ダイヤル14、材料指定ダイヤル15、投入量指定スイッチ16、投入ボタン17、カーソル移動ボタン18、決定ボタン19)の状態及び調理器機能の状態(即ち、現在の加熱状況)を検出し、それを制御部30内の他の各処理部に通知する。また、表示器11へのデータ(情報)出力も行う。
【0033】
モード管理部32は、前記ユーザI/F部31が検出したボタン等の状態により、記録モードの設定/解除又はガイドモードの設定/解除を行う。
【0034】
記録部33は、モード管理部32により記録モードとなった場合に、その間(記録モードの設定から解除まで)の調理状況を記録する処理を行う。具体的には、ユーザI/F部31を介して取得したユーザからの情報及び熱量供給に係る情報を当該料理についての調理状況データとして、制御部30が備える図示しない不揮発性メモリ等の記憶装置に保存する。
【0035】
出力部34は、モード管理部32によりガイドモードとなった場合に、記録している調理状況データの内容を基にして、表示器11を介してユーザに調理情報(即ち、調理手順)を提供する。
【0036】
タイマ部35は、記録部33からの指示により調理状況記録機能の実行時間を計時し、出力部34からの指示により調理ガイド機能の実行時間を計時する処理を行う。
【0037】
次に、「調理状況記録機能」及び「調理ガイド機能」について、具体例を挙げて詳細に説明する。
【0038】
先ず「調理状況記録機能」について説明する。
【0039】
ユーザが、記録/ガイド切替ボタン12及び開始ボタン13を操作し、「調理状況記録機能」の選択を行うと、モード管理部32は、制御部30のモード状態を記録モード状態に設定する。この場合、記録部33は、直ちに記録処理を開始せず、待機状態となる。
【0040】
次に、ユーザが、具材が入った(水や出し汁等のみであってもよい)鍋をプレート5上に置いて、ON/OFFボタン3を操作してOFFからONに切り替えると、調理器機能側で加熱動作が開始される。すると、記録部33は、かかる加熱動作の開始をユーザI/F部31を介して検出し、それと同時に、前記待機状態を解除して記録処理を開始する。また、タイマ部35に計時を開始させる。
【0041】
記録処理中に取得した調理状況は、その都度、前記記憶装置に保存されるのではなく、RAM上に一時的に展開されたテーブル(以下、調理状況格納テーブルと呼ぶ。)に格納されていく。
【0042】
記録すべき調理状況には、本実施形態では、熱量供給に係る情報、調味料及び材料の使用情報が該当する。
【0043】
熱量供給に係る情報とは、加熱量と該加熱量に変更したタイミングからなる情報であり、ユーザが加熱量調整ダイヤル4を操作する度にその取得が必要となる。記録部33は、ユーザI/F部31を介して、現在の加熱状況を取得できるので、ユーザによる加熱量調整ダイヤル4の操作(即ち、加熱量の大きさの変更)を直ちに検出することができる。記録部33は、かかる変更を検出すると、その新たな加熱量及び変更タイミングを前記調理状況格納テーブルに格納する。ここで格納される変更タイミングは、記録処理の開始から当該変更の検出までの経過時間であり、これはタイマ部35による計時結果を使って割り出すことが可能である。
【0044】
調味料の使用情報とは、投入する調味料の識別情報、その分量及び投入するタイミングからなる情報であり、ユーザが調味料を投入する度にその取得が必要となる。具体的には、ユーザが調味料指定ダイヤル14を操作して所望の調味料を指定し、投入量指定スイッチ16を操作してその分量を指定し、投入ボタン17を押下すると、記録部33は、ユーザにより前記鍋内に調味料が投入されたものとみなす。すると、記録部33は、ユーザI/F部31及びタイマ部35を通じて、指定された調味料の情報(調味料の識別情報、分量)及びその投入タイミング(タイマ部35による計時結果から割り出される)を取得し、前記調理状況格納テーブルに格納する。前記調味料の識別情報とは、予め登録している調味料を一意に識別できる情報であり、これは、具体的な調味料名のみならず、アルファベットや数値等であってもよい。但し、調味料名を当該調理状況格納テーブルに格納しない場合には、出力の際(即ち、表示器11に表示させる際)に、予めROM等に記憶している変換テーブル等によって、対応する調理名に変換する必要がある。
【0045】
また、材料の使用情報とは、投入する材料の識別情報、その分量及び投入するタイミングからなる情報であり、ユーザが材料を投入する度にその取得が必要となる。具体的には、ユーザが材料指定ダイヤル15を操作して所望の材料を指定し、投入量指定スイッチ16を操作してその分量を指定し、投入ボタン17を押下すると、記録部33は、前記鍋内に材料が投入されたものとみなす。すると、記録部33は、ユーザI/F部31及びタイマ部35を通じて、指定された材料の情報(材料の識別情報、分量)及びその投入タイミング(タイマ部35による計時結果から割り出される)を取得し、前記調理状況格納テーブルに格納する。前記材料の識別情報とは、予め登録している材料を一意に識別できる情報であり、これは、具体的な材料名のみならず、アルファベットや数値等であってもよい。但し、材料名を当該調理状況格納テーブルに格納しない場合には、出力の際(即ち、表示器11に表示させる際)に、予めROM等に記憶している変換テーブル等によって、対応する材料名に変換する必要がある。
【0046】
以上のようにして、記録すべき調理状況が、RAM上に一時的に展開された調理状況格納テーブルに逐次格納されていく。かかる格納は、ユーザによって、開始/終了ボタン13が押下されるまで続けられる。該開始/終了ボタン13が押下されると、記録部33は、ユーザI/F部31を介して表示器11に図3(イ)に示すような確認メッセージ画面を表示させ、ユーザに登録するか否かを問う。ここでいう登録とは、調理状況格納テーブルの内容を当該料理に係る調理状況データとして前記記憶装置に保存することを意味する。
【0047】
図3(イ)のメッセージに対し、ユーザがYESを選択すると(カーソル移動ボタン18及び決定ボタン19を操作して選択する)、記録部33は、今度は、ユーザI/F部31を介して図3(ロ)に示すような登録名の入力を要求する画面を表示させる。一方、図3(イ)の画面において、ユーザがNOを選択すると、登録は行われず、調理状況格納テーブルは削除(破棄)されることになる。
【0048】
図3(ロ)において、ユーザは、本画面に表示される文字アイコン40をカーソル移動ボタン18及び決定ボタン19を操作して選択することで、登録名入力フィールド41に登録名(例えば、”にくじゃが”等)を入力することができる。そして、ユーザがOKを選択すると、記録部33によって、入力した登録名で調理状況格納テーブルの内容が前記記憶装置に保存される。
【0049】
続いて、以上のようにして登録した調理状況を使って調理ガイドを行う「調理ガイド機能」について説明する。
【0050】
ユーザが、記録/ガイド切替ボタン12及び開始ボタン13を操作し、「調理ガイド機能」の選択を行うと、モード管理部32は、制御部30のモード状態をガイドモード状態に設定する。すると、出力部34は、ユーザI/F部31を介して表示器11に図4に示すような登録名の選択を要求する画面を表示させる。
【0051】
ここで、ユーザは、登録メニュー50の中から所望の登録名をカーソル移動ボタン18及び決定ボタン19を操作して選択することができる。ユーザにより登録名が選択されると、出力部34は、前記記憶装置に保存している当該登録名に係るデータ(調理状況データ)を取り出し、その内容に従いガイド処理を開始する。また、ガイド処理の開始と同時にタイマ部35に計時を開始させる。
【0052】
ガイド処理では、前記調理状況データに格納されている熱量供給に係る情報、調味料及び材料の使用情報を基に作成したガイドメッセージを時系列に従って、順番に表示器11に出力させていく。
【0053】
時系列に従った出力は、タイマ部35の計時によるガイド処理開始からの経過時間及び格納されているそれぞれのタイミング情報(変更タイミング、投入タイミング)を使うことで可能となる。
【0054】
ガイドメッセージは、”あと〜分で・・・して下さい。”等のように、当該タイミング(加熱量の変更タイミング、調味料又は材料の投入タイミング)前に表示器11に表示させ、ユーザが当該メッセージに従った作業を確実にできるようにするのが望ましい。
【0055】
ガイドメッセージの例を挙げると、熱量供給に係る情報のガイドならば、例えば、”あと〜分で火力を強火にして下さい。”、”あと〜分で加熱温度を○○℃にして下さい。”、”あと〜分でダイヤルを□に合わせて下さい。”等のようになり、調味料又は材料の使用情報のガイドならば、例えば、”あと〜分で塩を量多めで入れて下さい。”、”あと〜分で牛肉を量普通で入れて下さい。”等のようになる。
【0056】
以上説明したように、本発明の上記実施形態に係る調理支援システムによれば、調理を行う際、その調理状況(熱量供給に係る情報、調味料及び材料の使用情報)を記録することができる。そして、記録した調理状況の内容を表示器11を介して出力することができる。したがって、次回に同一料理を作る際、ユーザは、かかる出力内容に従い調理することで、前回と同様な出来映えとなる料理を容易に再現することが可能となる。
【0057】
尚、本発明に係る調理支援システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0058】
例えば、調理器の実際の加熱状況が常時取得可能に構成されているので、現在の加熱状況と調理ガイドの内容とを照合し、調理ガイドに従った加熱量の調整が行われていない場合には、ユーザに対してその旨の報知を行う、という機能を追加することも容易に可能である。このようにすれば、ユーザによる誤った加熱量の調整をユーザに関知させ、直ちにその修正をさせることが可能となるので、調理精度を高めることが可能となる。この場合の報知態様は、例えば、”火加減が間違っています”等の共通の警告メッセージを表示又は音声で出力したり、”火力を〜に設定して下さい”等の具体的な指示を与えるメッセージを表示又は音声で出力したりすること等が考えられる。
【0059】
また、上記実施形態の調理ガイド機能において、ユーザは、表示器に表示されるガイドメッセージに従って手動で調理器の加熱量を調整するが、調理器の加熱量が出力部によって出力される調理情報に従って自動的に制御されるという仕様にすることもできる。このようにすれば、利便性が大きく向上し、料理の再現性も高まる。
【0060】
また、調理ガイド機能において、ガイドメッセージを表示させる際に、ブザー音やチャイム音等を鳴らして、ユーザの注意を喚起させるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、調理状況記録機能において、ユーザは、調味料又は材料の投入情報を調味料指定ダイヤル14(材料指定ダイヤル15)、投入量指定スイッチ16及び投入ボタン17を操作して入力しているが、これに限定されず、表示器11を介して、カーソル移動ボタン18及び決定ボタン19を使って入力することも可能である。この場合、表示器11に調味料又は材料の一覧メニュー等を表示させ、カーソル移動ボタン18及び決定ボタン19を使って所望の項目(調味料名等)を選択できるようにすることができる。また、その場合、当該メニューに表示される調味料又は材料をユーザが、カーソル移動ボタン18及び決定ボタン19を使って適宜変更できる構成にしてもよい。
【0062】
また、マイクロフォン等の音声入力装置を備えてユーザの音声を入力できる構成にし、調味料又は材料の投入情報をユーザが音声により前記マイクロフォン等を介して入力できる仕様にしてもよい。この場合、調理ガイド機能の実行の際に、かかる入力音声をスピーカ等を介して出力させることで、ユーザに調理手順を提供することができる。
【0063】
また、入力手段(即ち、調理状況記録及び調理ガイド機能用の操作手段)を別体(例えば、リモコン等)で構成してもよい。
【0064】
また、パソコン等の外部機器との間でデータの送受信を行えるようにするための入出力端子を備える構成にしてもよい。これにより、保存している調理状況データをパソコン等にアップロードして、これをパソコン等で編集したり、印字したり、別の記憶媒体に保存したりすることが可能になる。また、パソコン等で編集した調理状況データをダウンロードし、これに従い調理ガイド機能を実行させることも可能となる。また、料理教室等で記録した調理状況データを持ち帰り、これを自宅等で利用したり、あるいは、自宅等で記録した調理状況データを他所で利用することも可能となる。
【0065】
また、本発明の調理支援システムが備える調理器は、IH方式の調理器に限定されないことは勿論であり、例えば、ラジエントヒーター方式等の電気調理器であってもよいし、さらには、直火により被調理物を加熱するガスコンロ等の調理器であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るの調理支援システムの外観を示す概略図である。
【図2】同実施形態に係る調理支援システムの制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係る調理支援システムにおいて、調理状況を登録する際に表示される画面の一例であり、(イ)は登録するか否かを問う確認メッセージ画面を示す図であり、(ロ)は登録名の入力を要求する画面を示す図である。
【図4】同実施形態に係る調理支援システムにおいて、調理ガイドを実行させる際に表示される登録名の選択を要求する画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…調理支援システム、2…前面パネル、3…ON/OFFボタン、4…加熱量調整ダイヤル、5…プレート、6…記録/ガイド機能操作エリア、11…表示器、12…記録/ガイド切替ボタン、13…開始/終了ボタン、14…調味料指定ダイヤル、15…材料指定ダイヤル、16…投入量指定スイッチ、17…投入ボタン、18…カーソル移動ボタン、19…決定ボタン、20…マーク(調味料名)、21…マーク(材料の種類)、22…スライダー、30…制御部、31…ユーザI/F部、32…モード管理部、33…記録部、34…出力部、35…タイマ部、40…文字アイコン、41…登録名入力フィールド、50…登録メニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる情報入力の操作環境を提供する入力手段と、
ユーザの指示により調理状況を記録する記録手段と、
記録している前記調理状況を調理情報として所定態様で出力する出力手段と、
被調理物に熱量を供給する調理器と、を備え、
前記記録手段が記録する前記調理状況には、前記調理器の熱量供給に係る情報が含まれる、
ことを特徴とする調理支援システム。
【請求項2】
前記記録手段が記録する前記調理状況には、調味料の使用情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の調理支援システム。
【請求項3】
前記記録手段が記録する前記調理状況には、材料の使用情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の調理支援システム。
【請求項4】
前記出力手段は、出力した調理情報に基づいて前記調理器が熱量を供給していない場合には、その旨の報知を行う、
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の調理支援システム。
【請求項5】
前記調理器は、前記出力手段によって出力される調理情報に基づいて熱量を供給する、 ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の調理支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−278638(P2007−278638A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107557(P2006−107557)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】