調理機器管理装置
【課題】調理機器の電力消費を効果的に削減しつつ、調理済みの料理を暖かいまま速やかに提供できるようにする。
【解決手段】
料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す調理パターン情報が記憶されるメモリーと、注文された料理を示す注文情報を端末装置から受信すると、前記メモリーから読み出される前記調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御する制御部とを備え、前記メモリーには、前記調理機器の温度設定を前記待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に前記待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる前記料理において、各食材の調理終了時間が揃うように、前記待機温度から前記調理温度への切り換え開始タイミングが定められている調理パターン情報が記憶されている。
【解決手段】
料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す調理パターン情報が記憶されるメモリーと、注文された料理を示す注文情報を端末装置から受信すると、前記メモリーから読み出される前記調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御する制御部とを備え、前記メモリーには、前記調理機器の温度設定を前記待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に前記待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる前記料理において、各食材の調理終了時間が揃うように、前記待機温度から前記調理温度への切り換え開始タイミングが定められている調理パターン情報が記憶されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理機器管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レストランや食堂、ファーストフード店の店舗には、オーブン、グリドル、フライヤー、茹で麺機等、電気で加熱をする調理機器が複数台設置されている。注文を受けた後に迅速に調理を開始できるように、これらの調理機器では、食材の加熱調理をする調理部が調理に先立って予熱されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−176617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の店舗では時間帯によって客数にばらつきがある。例えば、朝食時間帯、昼食時間帯、夕食時間帯に客が集中する傾向がある。このため、比較的空いている時間帯に調理機器の電源をオフにすることで消費電力を低減できる。しかし、調理部の温度が常温付近まで下がってしまうと、予熱に長時間を要し、料理の提供が遅れてしまう。このため、店舗では、営業時間に亘って調理部を調理温度に維持せざるを得なくなっており、消費電力が増える要因になっている。
【0005】
また、1つの料理の中に、加熱調理された複数の食材が含まれることがあるが、各食材における加熱調理の終了タイミングが大きくずれてしまうと、料理を提供した際に、先に加熱調理が終了した食材が冷めてしまい、美味しさが損なわれてしまうという問題点もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、調理機器の電力消費を効果的に削減しつつ、調理済みの料理を暖かいまま速やかに提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す調理パターン情報が記憶されるメモリーと、注文された料理を示す注文情報を端末装置から受信すると、前記メモリーから読み出される前記調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御する制御部とを備え、前記メモリーは、前記調理機器の温度設定を前記待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に前記待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる前記料理において、各食材の調理終了時間が揃うように、前記待機温度から前記調理温度への切り換え開始タイミングが定められている調理パターン情報を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食材の調理を行っていない空き時間において、調理機器が待機温度で維持されるので、消費電力を抑えることができる。そして、食材の調理時において、待機温度から調理温度に切り換わるので、調理機器の温度を迅速に調理温度まで上昇させることができる。また、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる料理について、各食材の調理終了時間が揃うように、待機温度から調理温度への切り換え開始タイミングが定められているので、調理済みの料理を暖かいまま提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】調理機器管理システムを説明する図である。
【図2】管理装置を説明するブロック図である。
【図3】端末装置の構成を説明する図である。
【図4】オーブンの構成を説明する図である。
【図5】グリドルの構成を説明する図である。
【図6】フライヤーの構成を説明する図である。
【図7】茹で麺機の構成を説明する図である。
【図8】或る料理の温度パターン情報を説明する図である。
【図9】別の料理の温度パターン情報を説明する図である。
【図10】調理機器管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図11】重ね合わせで生成された温度パターン情報を説明する図である。
【図12】温度パターン情報の合成処理を説明する図である。
【図13】他の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システムの全体構成>
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の調理機器管理システム(以下、単に管理システムという。)は、例えばファミリーレストランの調理機器を管理するものである。図1に示すように、この管理システムは、機器管理装置1と、POS管理装置2と、端末装置3と、調理機器群4と、表示装置5と、スピーカー6とを有している。
【0011】
機器管理装置1は、調理機器群4及びPOS管理装置2と通信可能に接続されている。そして、機器管理装置1は、端末装置3から送信された注文情報を、POS管理装置2を介して受信し、受信した注文情報に基づいて調理機器群4を制御する。このため、機器管理装置1は調理機器管理装置に相当する。なお、機器管理装置1については後で説明する。
【0012】
POS管理装置2は、機器管理装置1、端末装置3、レジスタ7、プリンタ8と通信可能に接続されている。本実施形態において、POS管理装置2は、端末装置3やレジスタ7に対し、アクセスポイント9を介して無線で接続されている。また、機器管理装置1及びプリンタ8に対して有線で接続されている。このPOS管理装置2は、店舗にて仕入れた食材の費用や、店舗に設けられたレジスタ7からの情報を収集・蓄積し、分析して売上管理を行う。また、POS管理装置2は、端末装置3から受信した注文情報を機器管理装置1に送信したり、精算時において注文情報をレジスタ7に送信したりする。
【0013】
端末装置3は、接客担当者によって所持され、客からの注文を示す注文情報をPOS管理装置2や機器管理装置1へ送信する際に用いられる。なお、端末装置3についても後で説明する。
【0014】
調理機器群4は、食材を加熱調理する際に用いられる機器であり、ヒーターに通電することで熱を発生させる。本実施形態では、調理機器群4を構成する調理機器として、オーブン11、グリドル12、フライヤー13、及び、茹で麺機14を例示している。なお、これらの各調理機器についても後で説明する。
【0015】
表示装置5及びスピーカー6は厨房内に設置されており、機器管理装置1によってその動作が制御される。表示装置5には、例えば、注文情報に基づく料理名が表示されたり、注文を受けた料理が提供されたか否かの処理状況が表示されたりする。また、スピーカー6からは、各種の指示や警報を示す音声が出力される。これらの表示装置5及びスピーカー6は、各種の情報を厨房内の作業者(厨房作業者)に報知する報知部に相当する。
【0016】
<機器管理装置1について>
次に機器管理装置1について説明する。図2(a)に示すように、機器管理装置1は、制御部1aと、時計IC1bと、通信用インタフェース1cとを有する。
【0017】
制御部1aは、CPU1dとメモリー1eとを有しており、CPU1dがメモリー1eに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、POS管理装置2を経由して受信した端末装置3からの注文情報に基づく調理機器群4の制御が行われる。具体的には、待機温度から調理温度への切り替えや調理温度から待機温度への切り替えの制御が行われる。時計IC1bは、時刻取得部に相当し、システム上で認識される時刻の情報を取得して出力する。時計IC1bから出力される時刻情報に基づいて、制御部1aは、現在時刻、待機温度から調理温度への昇温開始タイミング、調理温度から待機温度への降下開始タイミング等を認識する。通信用インタフェース1cは、機器管理装置1における通信を制御する。
【0018】
メモリー1eの一部領域は、図2(b)に示すように、プログラム記憶領域、メニュー情報記憶領域、及び、温度パターン記憶領域として用いられている。プログラム記憶領域には、CPU1dによって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。メニュー情報記憶領域には、注文される料理に関する情報が記憶されている。例えば、料理の名前や金額等の情報が記憶されている。温度パターン記憶領域には、温度パターン情報(調理パターン情報)が料理毎に記憶されている。この温度パターン情報は、食材を調理する調理機器とその機器における温度の制御パターン(待機温度と調理温度との間の変化パターン)の関係を料理毎に示すものである。なお、温度パターン情報については、具体例に基づいて後で詳しく説明する。
【0019】
<端末装置3について>
次に端末装置3について説明する。図3に示すように、端末装置3は、制御部3aと、表示部3bと、タッチパネル3cと、通信用インタフェース3dとを有する。
【0020】
制御部3aは、CPU3eとメモリー3fとを有しており、CPU3eがメモリー3fに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、表示部3bに各種の表示をさせたり、タッチパネル3cに対する操作から操作者(接客担当者)の指示を認識したり、客が注文した料理を示す注文情報を送信したりする制御が実現される。
【0021】
表示部3bは、例えば液晶パネルであり、操作に必要な各種の情報が表示される。例えば、注文対象となるメニュー(料理)が表示されたり、注文情報を送信する際に選択されるコマンドボタンが表示されたりする。
【0022】
タッチパネル3cは、各種情報を入力するための入力部に相当する。本実施形態においてタッチパネル3cは、透明な感圧シートによって構成されており、液晶パネルの表面に重ねられた状態で設けられる。そして、液晶パネルの表示内容に応じた範囲をタッチすることにより、メニューの選択や注文情報の送信が行われる。
【0023】
通信用インタフェース3dは、端末装置3における通信を制御する。本実施形態の端末装置3は、アクセスポイント9との間で無線通信を行っている。このため、通信用インタフェース3dは、無線で情報を送受信できるように構成されている。
【0024】
<オーブン11について>
次にオーブン11について説明する。図4に示すように、オーブン11は、制御部11aと、ヒーター11bと、ヒーター制御部11cと、ファン11dと、温度センサ11eと、ランプ11f及びスピーカー11gと、通信用インタフェース11hとを有する。
【0025】
制御部11aは、CPU11iとメモリー11jとを有しており、CPU11iがメモリー11jに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。ヒーター11bは、オーブン11が備える調理空間11k(調理部)に配置されており、通電によってこの調理空間11kを加熱する。ヒーター制御部11cは、ヒーター11bに対する通電を制御する部分であり、本実施形態では、制御部11aからの温度制御信号に従ってヒーター11bに対する通電を行う。ファン11dは、調理空間11kに空気の流れを生じさせる部分であり、制御部11aによって回転数(風量)が制御される。
【0026】
温度センサ11eは、調理空間11k内の温度を検出するものである。温度センサ11eの検出信号は制御部11aに入力される。この検出信号に基づいて、制御部11aは、調理空間11k内の温度を認識できる。ランプ11f及びスピーカー11gは、報知部として機能するものであり、制御部11aによって動作が制御される。
【0027】
通信用インタフェース11hは、オーブン11における通信を制御する部分である。本実施形態では、機器管理装置1との間で情報の送受信を行うように構成されている。
【0028】
<グリドル12について>
次にグリドル12について説明する。図5に示すように、グリドル12は、制御部12aと、ヒーター12bと、ヒーター制御部12cと、温度センサ12dと、ランプ12e及びスピーカー12fと、通信用インタフェース12gとを有する。
【0029】
制御部12aは、CPU12hとメモリー12iとを有しており、CPU12hがメモリー12iに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。ヒーター12bは、グリドル12が備える鉄板12j(調理部)の裏面に、鉄板12jと近接した状態で配置されており、通電によって鉄板12jを加熱する。ヒーター制御部12cは、制御部12aからの温度制御信号に従って、ヒーター12bに対する通電を制御する部分である。
【0030】
温度センサ12dは、鉄板12jの温度を検出するものである。温度センサ12dの検出信号は制御部12aに入力される。この検出信号に基づいて、制御部12aは、鉄板12jの温度を認識できる。ランプ12e及びスピーカー12fは、報知部として機能する。これらのランプ12eやスピーカー12fも制御部12aによって動作が制御される。
【0031】
通信用インタフェース12gは、グリドル12における通信を制御する部分である。本実施形態では、機器管理装置1との間で情報の送受信を行うように構成されている。
【0032】
<フライヤー13及び茹で麺機14について>
次にフライヤー13及び茹で麺機14について説明する。図6に示すように、フライヤー13は、制御部13a(CPU13h,メモリー13i)と、ヒーター13bと、ヒーター制御部13cと、温度センサ13dと、ランプ13e及びスピーカー13fと、通信用インタフェース13gとを有する。また、図7に示すように、茹で麺機14は、制御部14a(CPU14h,メモリー14i)と、ヒーター14bと、ヒーター制御部14cと、温度センサ14dと、ランプ14e及びスピーカー14fと、通信用インタフェース14gとを有する。
【0033】
これらの各部は、前述したグリドル12で説明したものと同様に構成されている。グリドル12との相違について簡単に説明すると、フライヤー13のヒーター13bは、調理部としての釜13j内の油を加熱するものであり、茹で麺機14のヒーター14bは、調理部としての釜14j内の湯を加熱するものである。また、フライヤー13の温度センサ13dは釜13j内の油の温度を測定するものであり、茹で麺機14の温度センサ14dは釜14j内の湯の温度を測定するものである。
【0034】
<温度パターン情報について>
次に、機器管理装置1のメモリー1eに記憶された温度パターン情報(調理パターン情報)に関し、具体例に基づいて詳しく説明する。
【0035】
<第1の具体例について>
図8は、注文された料理がハンバーグ&エビフライのセットである場合の温度パターン情報の具体例である。
【0036】
ハンバーグ&エビフライのセットでは、第1の食材としてハンバーグが用いられ、第2の食材としてエビフライが用いられる。そして、ハンバーグは、グリドル12で表面が焼かれた後、オーブン11で中心まで加熱される。また、エビフライは、フライヤー13の油で揚げられる。
【0037】
時刻t10においてグリドル12は、ヒーター12bに通電して鉄板12jの温度を、待機温度である150℃から調理温度である210℃まで上昇させる。時刻t11で調理温度に達した後、グリドル12はこの調理温度を維持する。そして、時刻t16においてグリドル12は、ヒーター12bへの通電を停止して鉄板12jの温度が待機温度に戻るまで待つ。待機温度に達したならば、グリドル12は、ヒーター12bを制御して待機温度を維持する。
【0038】
また、時刻t13においてオーブン11は、ヒーター11bに通電して調理空間11kの温度を、待機温度である100℃から調理温度である190℃まで上昇させる。時刻t15で調理温度に達した後、オーブン11はこの調理温度を維持する。そして、時刻t17においてオーブン11は、ヒーター11bへの通電を停止して調理空間11kの温度が待機温度に戻るまで待つ。待機温度に達したならば、オーブン11は、ヒーター11bを制御して待機温度を維持する。
【0039】
さらに、時刻t12においてフライヤー13は、ヒーター13bに通電して油の温度を、待機温度である120℃から調理温度である180℃まで上昇させる。時刻t14で調理温度に達した後、フライヤー13はこの調理温度を維持する。そして、時刻t17においてフライヤー13は、ヒーター13bへの通電を停止して油の温度が待機温度に戻るまで待つ。待機温度に達したならば、フライヤー13は、ヒーター13bを制御して待機温度を維持する。
【0040】
このような制御をすることで、グリドル12が調理温度とされている時間(t11−t16)にフライヤー13やオーブン11の昇温が開始され(t12,t13)、グリドル12が待機温度に切り替わる少し前のタイミング(t15)でオーブン11が調理温度に達する。また、オーブン11が調理温度に達するよりも少し前のタイミング(t14)でフライヤー13が調理温度に達する。さらに、フライヤー13とオーブン11は、同じタイミング(t17)で調理温度から待機温度へと切り換えられる。
【0041】
そして、厨房作業者は、グリドル12が調理温度とされている時間(t11−t16)にハンバーグの表面を焼き、オーブン11が調理温度とされている時間(t15−t17)にハンバーグの中心まで加熱する。また、厨房作業者は、フライヤー13が調理温度とされている時間(t14−t17)にエビフライを揚げる。ここで、例示した温度パターン情報では、第1の食材であるハンバーグと第2の食材であるエビフライの調理終了タイミングがともに時刻t17となるように、各調理機器11,12,13が調理温度で維持される時間が定められている。
【0042】
<第2の具体例について>
次に、第2の具体例について説明する。図9は、注文された料理がチキンバーベキューソース&エビクリームフライのセットである場合の温度パターン情報の具体例である。
【0043】
チキンバーベキューソース&エビクリームフライのセットでは、第1の食材として鶏肉が用いられ、第2の食材としてエビクリームフライが用いられる。そして、鶏肉は、グリドル12で表面が焼かれた後、オーブン11でバーベキューソースとともに煮込まれる。また、エビクリームフライは、フライヤー13の油で揚げられる。
【0044】
時刻t20においてグリドル12は、ヒーター12bに通電して鉄板12jの温度を、待機温度(150℃)から調理温度(210℃)まで上昇させる。時刻t21で調理温度に達した後、グリドル12はこの調理温度を維持する。そして、時刻t26においてグリドル12は、ヒーター12bへの通電をやめて鉄板12jの温度が待機温度に戻るまで待ち、その後待機温度を維持する。
【0045】
また、時刻t23においてオーブン11は、ヒーター11bに通電して調理空間11kの温度を、待機温度(100℃)から調理温度(190℃)まで上昇させる。時刻t24で調理温度に達した後、オーブン11はこの調理温度を維持する。そして、時刻t27においてオーブン11は、ヒーター11bへの通電をやめて調理空間11kの温度が待機温度に戻るまで待ち、その後待機温度を維持する。
【0046】
さらに、時刻t22においてフライヤー13は、ヒーター13bに通電して油の温度を、待機温度(120℃)から調理温度(180℃)まで上昇させる。時刻t25で調理温度に達した後、フライヤー13はこの調理温度を維持する。そして、時刻t27においてフライヤー13は、ヒーター13bへの通電をやめて油の温度が待機温度に戻るまで待ち、その後待機温度を維持する。
【0047】
この具体例でも、グリドル12が調理温度になっている時間中(t21−t26)にフライヤー13やオーブン11の昇温が開始され(t22,t23)、グリドル12が待機温度に切り替わる少し前のタイミング(t24)でオーブン11が調理温度に達する。また、オーブン11が調理温度に達した少し後のタイミング(t25)でフライヤー13が調理温度に達する。そして、フライヤー13とオーブン11は、同じタイミング(t27)で調理温度から待機温度へと切り換えられる。
【0048】
そして、厨房作業者は、グリドル12の調理温度時間中(t21−t26)に鶏肉の表面を焼き、オーブン11の調理温度時間中(t24−t27)に鶏肉を煮込む。また、厨房作業者は、フライヤー13の調理温度時間中(t25−t27)にエビクリームフライを揚げる。この温度パターン情報でも、第1の食材である鶏肉と第2の食材であるエビクリームフライの調理終了タイミングがともに時刻t27となるように、各調理機器11,12,13が調理温度で維持される時間が定められている。
【0049】
<温度パターン情報のまとめ>
このように、前述の各温度パターン情報では、各食材の調理終了タイミングを揃えることができるため、調理済みの各食材(すなわち料理)を暖かいまま提供することができる。さらに、調理が行われない空き時間において、各調理機器11−13の調理部(11k,12j,13j)は待機温度で維持される。これにより、空き時間における消費電力を抑制することができる。加えて、注文情報の受信を契機に各調理機器11−13の昇温開始タイミングが定められるとともに、調理温度に達した後には所定の調理時間が終了すると待機温度に戻るので、厨房作業者は操作忘れ等の心配がなく、調理に専念できる。
【0050】
<システムの動作について>
次に管理システムの動作について説明する。図10に示すように、この管理システムでは、まず端末装置3による注文情報の送信(S11)が行われる。すなわち、客から料理の注文を受けた接客担当者は、端末装置3を操作して注文された料理を示す注文情報を送信する。この注文情報は、POS管理装置2を経由して機器管理装置1で受信される。
【0051】
注文情報を受信した機器管理装置1は、この注文情報から注文された料理(注文料理)を認識し、メモリー1eの温度パターン情報記憶領域から対応する料理の温度パターン情報を取得する。ここで読み出される温度パターン情報は、図8や図9で説明したものである。なお、注文情報に複数の料理が含まれていた場合には、それぞれの料理について温度パターン情報を取得する。
【0052】
温度パターン情報を取得したならば、機器管理装置1は、注文料理が単品か否かを判断する(S22)。ここで、注文料理が単品であった場合には、タイミング信号の送信処理(S24)に移行し、そうでない場合(注文料理が複数であった場合)には、温度パターン情報の重ね合わせ処理(S23)に移行する。この重ね合わせ処理では、注文された各料理の温度パターン情報同士を重ね合わせて合成し、新たな温度パターン情報(合成調理パターン情報)を生成する。
【0053】
図11は、第1の料理としてハンバーグ&エビフライのセットが注文され、第2の料理としてチキンバーベキューソース&エビクリームフライのセットが注文された場合の温度パターン情報を説明する図である。この温度パターン情報は、ハンバーグ&エビフライの温度パターン情報(図8)とチキンバーベキューソース&エビクリームフライの温度パターン情報(図9)とを重ね合わせて合成することで生成される。
【0054】
ここで、各温度パターン情報は、各料理における調理終了タイミングが同じになるように合成される。この例では、総調理時間(t11−t17)が短いハンバーグ&エビフライの調理終了タイミング(t17)を、総調理時間(t21−t27)が長いチキンバーベキューソース&エビクリームフライの調理終了タイミング(t27)にあわせるように、これらの料理の温度パターン情報が重ねられる。従って、図11において点線はハンバーグ&エビフライの温度パターン情報であり、実線はチキンバーベキューソース&エビクリームフライの温度パターン情報である。なお、生成された温度パターン情報に基づく制御内容の説明は後で行う。
【0055】
重ね合わせ処理が終了するとタイミング信号の送信処理(S24)に移行する。この送信処理では、各調理機器11−14が有する調理部の温度を待機温度から調理温度へ昇温させるためのタイミング信号や、調理部による調理時間の経過を示すタイミング信号が送信される。また、注文情報に複数の料理が含まれており、各調理機器11−14での調理開始タイミングが食材毎に異なる場合には、その食材の調理開始タイミングを示すタイミング信号も送信される。
【0056】
機器管理装置1からのタイミング信号は、対応する調理機器11−14で受信される。そして、タイミング信号を受信した調理機器11−14では、次の処理が行われる。まず、受信したタイミング信号が調理部の昇温を指示するものであるか否かが判断される(S31)。ここで、昇温を指示するタイミング信号であった場合、その調理機器11−14はヒーターに通電して昇温を行う(S32)。次に、調理機器11−14は、調理部が調理温度に到達したか否かを判断する(S33)。ここで、調理部が調理温度に到達した場合、調理機器11−14はその旨を示す信号(温度到達信号)を機器管理装置1に送信する(S34)。
【0057】
この温度到達信号を受信した機器管理装置1は、調理部が調理温度に到達したことを示す報知処理を行う。例えば、表示装置5の表示内容を更新し(S25)、調理部が調理温度に到達したことを厨房作業者に報知する。一方、各調理機器11−14では、受信したタイミング信号が調理時間の経過を示すものであるか否かが判断される(S35)。ここで、調理時間の経過を示すタイミング信号であった場合、その調理機器11−14は、ヒーターへの通電をやめて調理部を待機温度へ移行させる(S36)。以後は、注文情報が送信される毎にこれらの処理が繰り返し実行される。
【0058】
<動作の具体例について>
次に、図11の温度パターン情報(合成調理パターン情報)に基づいて、システムの動作を具体的に説明する。
【0059】
前述したように、接客担当者が端末装置3を操作して注文情報を送信すると(S11)、この注文情報が機器管理装置1で受信される。機器管理装置1は、注文情報に含まれる各料理を認識し、対応する温度パターン情報をメモリー1eから取得する(S21)。そして、各料理の温度パターン情報を、調理終了タイミングが揃うように重ね合わせて合成し、新たな温度パターン情報を生成する(S23)。
【0060】
温度パターン情報を生成したならば、機器管理装置1は、温度パターン情報で規定されるタイミング毎に所定のタイミング信号を送信する(S24)。まず、時刻t30では、グリドル12に対して昇温開始を指示するタイミング信号を送信する。このタイミング信号を受信したグリドル12は鉄板12jの加熱を開始する。鉄板12jの温度は温度センサ12dによって検出されており、調理温度に達するとグリドル12は温度到達信号を機器管理装置1に送信する(S33,S34)。機器管理装置1は、温度到達信号の受信に伴って表示装置5の表示内容を更新したり(S25)、スピーカー6から音声を出力させたりして、厨房作業者へ鉄板12jが調理温度に達した旨を報知する。
【0061】
これにより、厨房作業者は、グリドル12での食材の調理を開始する。この具体例では、ハンバーグと鶏肉とがグリドル12で調理され、鶏肉の方がハンバーグよりも調理時間が長い。このため、厨房作業者は先に鶏肉の調理を開始する。その後の時刻t32では、調理時間が短いハンバーグの調理開始タイミングが到来したとして、機器管理装置1は、表示装置5による表示内容を更新したり(S25)、スピーカー6から音声を出力させたりして、ハンバーグの調理開始タイミングである旨を厨房作業者へ報知する。これにより、厨房作業者は、グリドル12でのハンバーグの調理を開始する。
【0062】
時刻t33にて、機器管理装置1は、フライヤー13に対して昇温開始を指示するタイミング信号を送信する(S24)。このタイミング信号を受信したフライヤー13は油の加熱を開始する(S32)。また、時刻t34にて、機器管理装置1は、オーブン11に対して昇温開始を指示するタイミング信号を送信する(S24)。このタイミング信号を受信したオーブン11も調理空間11kの加熱を開始する(S32)。
【0063】
油が調理温度まで加熱されたことに伴い(S33)、時刻t35にてフライヤー13は、温度到達信号を機器管理装置1に送信する(S34)。機器管理装置1は、フライヤー13での調理開始を促す報知動作を行う(S25)。これに伴い、厨房作業者は、調理時間が長いエビフライの調理を開始する。
【0064】
続いて、調理空間11kが調理温度まで加熱されたことに伴い(S33)、時刻t36にてオーブン11は温度到達信号を機器管理装置1に送信し(S34)、機器管理装置1はオーブン11での調理開始を促す報知動作を行う(S25)。これに伴い、厨房作業者は、グリドル12で調理されている鶏肉とハンバーグとをオーブン11に移す。
【0065】
その後の時刻t37では、エビクリームフライの調理開始タイミングが到来したとして、機器管理装置1は、フライヤー13での調理開始を促す報知動作を行う(S25)。これに伴い、厨房作業者は、調理時間が短いエビクリームフライの調理を開始する。
【0066】
時刻t38にて機器管理装置1は、グリドル12による食材の調理時間が終了したと判断する。そして、機器管理装置1は、調理時間の経過を示すタイミング信号をグリドル12へ送信する(S24)。このタイミング信号を受信したグリドル12は、ヒーター12bへの通電をやめて鉄板12jの温度を待機温度にする(S36)。
【0067】
また、時刻t38にて機器管理装置1は、オーブン11及びフライヤー13による食材の調理時間が終了したと判断する。そして、機器管理装置1は、その旨を知らせるための報知動作を行う(S25)。また、調理時間の経過を示すタイミング信号をオーブン11及びフライヤー13へ送信する(S24)。これにより、厨房作業者は、オーブン11及びフライヤー13から食材を取り出す。また、オーブン11及びフライヤー13は、ヒーター11b、13bへの通電をやめて調理空間11kや油の温度を待機温度にする(S36)。
【0068】
以上の説明から判るように、この具体例では、食材の調理時間に亘って調理部が調理温度となるように、待機温度からの昇温を開始するタイミングが定められている。また、調理時間が終了すると自動的に待機温度へ戻るように制御されている。このため、調理温度まで加熱されている時間を最低限に抑えることができ、消費電力を抑えることができる。さらに、異なる料理であっても、食材の調理が終了するタイミングが同じになっているので、調理済みの料理を温かいまま提供することができる。
【0069】
<まとめ>
上述の管理システムでは、調理温度と待機温度との間で温度制御可能な調理機器11−14を機器管理装置1で制御している。すなわち、機器管理装置1の制御部1aは、料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す温度制御パターン(調理パターン情報)が記憶されるメモリー1eを有しており、注文された料理を示す注文情報を端末装置3から受信すると、メモリー1e読み出される温度制御パターンに基づいて調理機器11−14を温度制御する。
【0070】
そして、メモリー1eには、調理機器11−14の温度設定を待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる料理(例えば、ハンバーグとエビフライの組や鶏肉とエビクリームフライの組)において、各食材の調理終了時間が揃うように、待機温度から調理温度への切り換え開始タイミングが定められている温度制御パターンが記憶されている。
【0071】
このような温度制御パターンで各調理機器11−14を制御することにより、食材の調理を行っていない空き時間において、各調理機器11−14が待機温度で維持される。これにより、消費電力を抑えることができる。そして、食材の調理時において、待機温度から調理温度に切り換わるので、各調理機器11−14の温度を迅速に調理温度まで上昇させることができる。また、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる料理について、各食材の調理終了時間が揃うように、待機温度から調理温度への切り換え開始タイミングが定められているので、調理済みの料理を暖かいまま提供することができる。
【0072】
また、機器管理装置1の制御部1aは、注文情報に複数種類の料理が含まれている場合、調理に要する総時間が短い料理(例えば、ハンバーグ&エビフライのセット)における各食材の調理終了時間が、総時間が長い料理における各食材の調理終了時間(チキンバーベキューソース&エビクリームフライのセット)と揃うように、各料理の温度制御パターンを合成し、合成後の温度制御パターン(合成調理パターン情報)で制御を行っている。これにより、同じ注文情報に含まれる複数の料理を一緒に、かつ、各料理の食材を温かいまま提供することができる。
【0073】
また、表示装置5やスピーカー6は、各調理機器11−14に設けられた温度センサからの検出信号に基づき、調理部の温度が調理温度に達したことを報知するので、厨房調理者に対して調理が開始できる状態であることを適時に伝えることができる。さらに、食材の調理の開始タイミングが到来した場合に、開始タイミングが到来した旨を食材毎に報知するので、調理時間の異なる複数の食材を、それぞれに定められた時間で確実に調理させることができる。
【0074】
===その他の実施形態===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
【0075】
温度制御パターン情報を重ね合わせる処理(S23)に関し、図12に示すように、重ね合わせの対象となる料理によっては、同じ調理機器に対して、先の食材(点線)の調理時間終了後(時刻ta)、まもなく後の食材(一点鎖線)の調理時間が開始される(時刻tb)こともある。このように、ヒーター12bへの通電をやめた後、短い時間でヒーター12bへの通電が再開されると大きな電力が必要となり、かえって消費電力が増えてしまうこともある。また、ヒーター12bへの負担も大きくなり、寿命が短くなってしまうこともある。
【0076】
そこで、先の食材について調理時間が終了した後、次の食材の調理時間が開始されるまでの時間が、所定の判断基準時間未満であるときは、図12に実線で示すように、これらの食材の調理時間に亘ってその調理機器11−14の調理部を調理温度で維持させることが望ましい。すなわち、生成される温度制御パターン(合成調理パターン情報)において、この時間に亘って調理温度を維持することが望ましい。このように構成することで、消費電力を抑えることができる。また、ヒーターを保護することもできる。
【0077】
また、機器管理装置1では、注文情報に含まれる料理に基づき、その料理の提供時間を取得することができる。すなわち、機器管理装置1の制御部1aは、注文情報を受信した時刻と受信した注文情報が示す料理の調理に要する総時間とから料理の調理完了時刻を求めることができる。そこで、図13に示すように、この調理完了時刻を示す調理完了時刻情報を端末装置3に送信する(S41)と共に、端末装置3で終了時刻を報知する(S42)ことにより、接客担当者は、注文情報の送信後すぐに調理完了時刻を認識できる。これにより、調理完了時刻を事前に客に伝えることができ、客に対する利便性を向上させることができる。
【0078】
また、報知部に関し、前述の実施形態では、表示装置5とスピーカー6を用いたが、報知部として各調理機器11−14に設けたランプやスピーカーを用いても良い。
【符号の説明】
【0079】
1…機器管理装置,1a…制御部,1b…時計IC,1c…通信用インタフェース,1d…CPU,1e…メモリー,2…POS管理装置,3…端末装置,3a…制御部,3b…表示部,3c…タッチパネル,3d…通信用インタフェース,3e…CPU,3f…メモリー,4…調理機器群,5…表示装置,6…スピーカー,7…レジスタ,8…プリンタ,9…アクセスポイント,11…オーブン,11a…制御部,11b…ヒーター,11c…ヒーター制御部,11d…ファン,11e…温度センサ,11f…ランプ,11g…スピーカー,11h…通信用インタフェース,11i…CPU,11j…メモリー,11k…調理空間,12…グリドル,12a…制御部,12b…ヒーター,12c…ヒーター制御部,12d…温度センサ,12e…ランプ,12f…スピーカー,12g…通信用インタフェース,12h…CPU,12i…メモリー,12j…鉄板,13…フライヤー,13a…制御部,13b…ヒーター,13c…ヒーター制御部,13d…温度センサ,13e…ランプ,13f…スピーカー,13g…通信用インタフェース,13h…CPU,13i…メモリー,13j…釜,14…茹で麺機,14a…制御部,14b…ヒーター,14c…ヒーター制御部,14d…温度センサ,14e…ランプ,14f…スピーカー,14g…通信用インタフェース,14h…CPU,14i…メモリー,14j釜
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理機器管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レストランや食堂、ファーストフード店の店舗には、オーブン、グリドル、フライヤー、茹で麺機等、電気で加熱をする調理機器が複数台設置されている。注文を受けた後に迅速に調理を開始できるように、これらの調理機器では、食材の加熱調理をする調理部が調理に先立って予熱されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−176617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の店舗では時間帯によって客数にばらつきがある。例えば、朝食時間帯、昼食時間帯、夕食時間帯に客が集中する傾向がある。このため、比較的空いている時間帯に調理機器の電源をオフにすることで消費電力を低減できる。しかし、調理部の温度が常温付近まで下がってしまうと、予熱に長時間を要し、料理の提供が遅れてしまう。このため、店舗では、営業時間に亘って調理部を調理温度に維持せざるを得なくなっており、消費電力が増える要因になっている。
【0005】
また、1つの料理の中に、加熱調理された複数の食材が含まれることがあるが、各食材における加熱調理の終了タイミングが大きくずれてしまうと、料理を提供した際に、先に加熱調理が終了した食材が冷めてしまい、美味しさが損なわれてしまうという問題点もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、調理機器の電力消費を効果的に削減しつつ、調理済みの料理を暖かいまま速やかに提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す調理パターン情報が記憶されるメモリーと、注文された料理を示す注文情報を端末装置から受信すると、前記メモリーから読み出される前記調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御する制御部とを備え、前記メモリーは、前記調理機器の温度設定を前記待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に前記待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる前記料理において、各食材の調理終了時間が揃うように、前記待機温度から前記調理温度への切り換え開始タイミングが定められている調理パターン情報を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食材の調理を行っていない空き時間において、調理機器が待機温度で維持されるので、消費電力を抑えることができる。そして、食材の調理時において、待機温度から調理温度に切り換わるので、調理機器の温度を迅速に調理温度まで上昇させることができる。また、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる料理について、各食材の調理終了時間が揃うように、待機温度から調理温度への切り換え開始タイミングが定められているので、調理済みの料理を暖かいまま提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】調理機器管理システムを説明する図である。
【図2】管理装置を説明するブロック図である。
【図3】端末装置の構成を説明する図である。
【図4】オーブンの構成を説明する図である。
【図5】グリドルの構成を説明する図である。
【図6】フライヤーの構成を説明する図である。
【図7】茹で麺機の構成を説明する図である。
【図8】或る料理の温度パターン情報を説明する図である。
【図9】別の料理の温度パターン情報を説明する図である。
【図10】調理機器管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図11】重ね合わせで生成された温度パターン情報を説明する図である。
【図12】温度パターン情報の合成処理を説明する図である。
【図13】他の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システムの全体構成>
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の調理機器管理システム(以下、単に管理システムという。)は、例えばファミリーレストランの調理機器を管理するものである。図1に示すように、この管理システムは、機器管理装置1と、POS管理装置2と、端末装置3と、調理機器群4と、表示装置5と、スピーカー6とを有している。
【0011】
機器管理装置1は、調理機器群4及びPOS管理装置2と通信可能に接続されている。そして、機器管理装置1は、端末装置3から送信された注文情報を、POS管理装置2を介して受信し、受信した注文情報に基づいて調理機器群4を制御する。このため、機器管理装置1は調理機器管理装置に相当する。なお、機器管理装置1については後で説明する。
【0012】
POS管理装置2は、機器管理装置1、端末装置3、レジスタ7、プリンタ8と通信可能に接続されている。本実施形態において、POS管理装置2は、端末装置3やレジスタ7に対し、アクセスポイント9を介して無線で接続されている。また、機器管理装置1及びプリンタ8に対して有線で接続されている。このPOS管理装置2は、店舗にて仕入れた食材の費用や、店舗に設けられたレジスタ7からの情報を収集・蓄積し、分析して売上管理を行う。また、POS管理装置2は、端末装置3から受信した注文情報を機器管理装置1に送信したり、精算時において注文情報をレジスタ7に送信したりする。
【0013】
端末装置3は、接客担当者によって所持され、客からの注文を示す注文情報をPOS管理装置2や機器管理装置1へ送信する際に用いられる。なお、端末装置3についても後で説明する。
【0014】
調理機器群4は、食材を加熱調理する際に用いられる機器であり、ヒーターに通電することで熱を発生させる。本実施形態では、調理機器群4を構成する調理機器として、オーブン11、グリドル12、フライヤー13、及び、茹で麺機14を例示している。なお、これらの各調理機器についても後で説明する。
【0015】
表示装置5及びスピーカー6は厨房内に設置されており、機器管理装置1によってその動作が制御される。表示装置5には、例えば、注文情報に基づく料理名が表示されたり、注文を受けた料理が提供されたか否かの処理状況が表示されたりする。また、スピーカー6からは、各種の指示や警報を示す音声が出力される。これらの表示装置5及びスピーカー6は、各種の情報を厨房内の作業者(厨房作業者)に報知する報知部に相当する。
【0016】
<機器管理装置1について>
次に機器管理装置1について説明する。図2(a)に示すように、機器管理装置1は、制御部1aと、時計IC1bと、通信用インタフェース1cとを有する。
【0017】
制御部1aは、CPU1dとメモリー1eとを有しており、CPU1dがメモリー1eに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、POS管理装置2を経由して受信した端末装置3からの注文情報に基づく調理機器群4の制御が行われる。具体的には、待機温度から調理温度への切り替えや調理温度から待機温度への切り替えの制御が行われる。時計IC1bは、時刻取得部に相当し、システム上で認識される時刻の情報を取得して出力する。時計IC1bから出力される時刻情報に基づいて、制御部1aは、現在時刻、待機温度から調理温度への昇温開始タイミング、調理温度から待機温度への降下開始タイミング等を認識する。通信用インタフェース1cは、機器管理装置1における通信を制御する。
【0018】
メモリー1eの一部領域は、図2(b)に示すように、プログラム記憶領域、メニュー情報記憶領域、及び、温度パターン記憶領域として用いられている。プログラム記憶領域には、CPU1dによって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。メニュー情報記憶領域には、注文される料理に関する情報が記憶されている。例えば、料理の名前や金額等の情報が記憶されている。温度パターン記憶領域には、温度パターン情報(調理パターン情報)が料理毎に記憶されている。この温度パターン情報は、食材を調理する調理機器とその機器における温度の制御パターン(待機温度と調理温度との間の変化パターン)の関係を料理毎に示すものである。なお、温度パターン情報については、具体例に基づいて後で詳しく説明する。
【0019】
<端末装置3について>
次に端末装置3について説明する。図3に示すように、端末装置3は、制御部3aと、表示部3bと、タッチパネル3cと、通信用インタフェース3dとを有する。
【0020】
制御部3aは、CPU3eとメモリー3fとを有しており、CPU3eがメモリー3fに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。例えば、表示部3bに各種の表示をさせたり、タッチパネル3cに対する操作から操作者(接客担当者)の指示を認識したり、客が注文した料理を示す注文情報を送信したりする制御が実現される。
【0021】
表示部3bは、例えば液晶パネルであり、操作に必要な各種の情報が表示される。例えば、注文対象となるメニュー(料理)が表示されたり、注文情報を送信する際に選択されるコマンドボタンが表示されたりする。
【0022】
タッチパネル3cは、各種情報を入力するための入力部に相当する。本実施形態においてタッチパネル3cは、透明な感圧シートによって構成されており、液晶パネルの表面に重ねられた状態で設けられる。そして、液晶パネルの表示内容に応じた範囲をタッチすることにより、メニューの選択や注文情報の送信が行われる。
【0023】
通信用インタフェース3dは、端末装置3における通信を制御する。本実施形態の端末装置3は、アクセスポイント9との間で無線通信を行っている。このため、通信用インタフェース3dは、無線で情報を送受信できるように構成されている。
【0024】
<オーブン11について>
次にオーブン11について説明する。図4に示すように、オーブン11は、制御部11aと、ヒーター11bと、ヒーター制御部11cと、ファン11dと、温度センサ11eと、ランプ11f及びスピーカー11gと、通信用インタフェース11hとを有する。
【0025】
制御部11aは、CPU11iとメモリー11jとを有しており、CPU11iがメモリー11jに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。ヒーター11bは、オーブン11が備える調理空間11k(調理部)に配置されており、通電によってこの調理空間11kを加熱する。ヒーター制御部11cは、ヒーター11bに対する通電を制御する部分であり、本実施形態では、制御部11aからの温度制御信号に従ってヒーター11bに対する通電を行う。ファン11dは、調理空間11kに空気の流れを生じさせる部分であり、制御部11aによって回転数(風量)が制御される。
【0026】
温度センサ11eは、調理空間11k内の温度を検出するものである。温度センサ11eの検出信号は制御部11aに入力される。この検出信号に基づいて、制御部11aは、調理空間11k内の温度を認識できる。ランプ11f及びスピーカー11gは、報知部として機能するものであり、制御部11aによって動作が制御される。
【0027】
通信用インタフェース11hは、オーブン11における通信を制御する部分である。本実施形態では、機器管理装置1との間で情報の送受信を行うように構成されている。
【0028】
<グリドル12について>
次にグリドル12について説明する。図5に示すように、グリドル12は、制御部12aと、ヒーター12bと、ヒーター制御部12cと、温度センサ12dと、ランプ12e及びスピーカー12fと、通信用インタフェース12gとを有する。
【0029】
制御部12aは、CPU12hとメモリー12iとを有しており、CPU12hがメモリー12iに記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御動作が実現される。ヒーター12bは、グリドル12が備える鉄板12j(調理部)の裏面に、鉄板12jと近接した状態で配置されており、通電によって鉄板12jを加熱する。ヒーター制御部12cは、制御部12aからの温度制御信号に従って、ヒーター12bに対する通電を制御する部分である。
【0030】
温度センサ12dは、鉄板12jの温度を検出するものである。温度センサ12dの検出信号は制御部12aに入力される。この検出信号に基づいて、制御部12aは、鉄板12jの温度を認識できる。ランプ12e及びスピーカー12fは、報知部として機能する。これらのランプ12eやスピーカー12fも制御部12aによって動作が制御される。
【0031】
通信用インタフェース12gは、グリドル12における通信を制御する部分である。本実施形態では、機器管理装置1との間で情報の送受信を行うように構成されている。
【0032】
<フライヤー13及び茹で麺機14について>
次にフライヤー13及び茹で麺機14について説明する。図6に示すように、フライヤー13は、制御部13a(CPU13h,メモリー13i)と、ヒーター13bと、ヒーター制御部13cと、温度センサ13dと、ランプ13e及びスピーカー13fと、通信用インタフェース13gとを有する。また、図7に示すように、茹で麺機14は、制御部14a(CPU14h,メモリー14i)と、ヒーター14bと、ヒーター制御部14cと、温度センサ14dと、ランプ14e及びスピーカー14fと、通信用インタフェース14gとを有する。
【0033】
これらの各部は、前述したグリドル12で説明したものと同様に構成されている。グリドル12との相違について簡単に説明すると、フライヤー13のヒーター13bは、調理部としての釜13j内の油を加熱するものであり、茹で麺機14のヒーター14bは、調理部としての釜14j内の湯を加熱するものである。また、フライヤー13の温度センサ13dは釜13j内の油の温度を測定するものであり、茹で麺機14の温度センサ14dは釜14j内の湯の温度を測定するものである。
【0034】
<温度パターン情報について>
次に、機器管理装置1のメモリー1eに記憶された温度パターン情報(調理パターン情報)に関し、具体例に基づいて詳しく説明する。
【0035】
<第1の具体例について>
図8は、注文された料理がハンバーグ&エビフライのセットである場合の温度パターン情報の具体例である。
【0036】
ハンバーグ&エビフライのセットでは、第1の食材としてハンバーグが用いられ、第2の食材としてエビフライが用いられる。そして、ハンバーグは、グリドル12で表面が焼かれた後、オーブン11で中心まで加熱される。また、エビフライは、フライヤー13の油で揚げられる。
【0037】
時刻t10においてグリドル12は、ヒーター12bに通電して鉄板12jの温度を、待機温度である150℃から調理温度である210℃まで上昇させる。時刻t11で調理温度に達した後、グリドル12はこの調理温度を維持する。そして、時刻t16においてグリドル12は、ヒーター12bへの通電を停止して鉄板12jの温度が待機温度に戻るまで待つ。待機温度に達したならば、グリドル12は、ヒーター12bを制御して待機温度を維持する。
【0038】
また、時刻t13においてオーブン11は、ヒーター11bに通電して調理空間11kの温度を、待機温度である100℃から調理温度である190℃まで上昇させる。時刻t15で調理温度に達した後、オーブン11はこの調理温度を維持する。そして、時刻t17においてオーブン11は、ヒーター11bへの通電を停止して調理空間11kの温度が待機温度に戻るまで待つ。待機温度に達したならば、オーブン11は、ヒーター11bを制御して待機温度を維持する。
【0039】
さらに、時刻t12においてフライヤー13は、ヒーター13bに通電して油の温度を、待機温度である120℃から調理温度である180℃まで上昇させる。時刻t14で調理温度に達した後、フライヤー13はこの調理温度を維持する。そして、時刻t17においてフライヤー13は、ヒーター13bへの通電を停止して油の温度が待機温度に戻るまで待つ。待機温度に達したならば、フライヤー13は、ヒーター13bを制御して待機温度を維持する。
【0040】
このような制御をすることで、グリドル12が調理温度とされている時間(t11−t16)にフライヤー13やオーブン11の昇温が開始され(t12,t13)、グリドル12が待機温度に切り替わる少し前のタイミング(t15)でオーブン11が調理温度に達する。また、オーブン11が調理温度に達するよりも少し前のタイミング(t14)でフライヤー13が調理温度に達する。さらに、フライヤー13とオーブン11は、同じタイミング(t17)で調理温度から待機温度へと切り換えられる。
【0041】
そして、厨房作業者は、グリドル12が調理温度とされている時間(t11−t16)にハンバーグの表面を焼き、オーブン11が調理温度とされている時間(t15−t17)にハンバーグの中心まで加熱する。また、厨房作業者は、フライヤー13が調理温度とされている時間(t14−t17)にエビフライを揚げる。ここで、例示した温度パターン情報では、第1の食材であるハンバーグと第2の食材であるエビフライの調理終了タイミングがともに時刻t17となるように、各調理機器11,12,13が調理温度で維持される時間が定められている。
【0042】
<第2の具体例について>
次に、第2の具体例について説明する。図9は、注文された料理がチキンバーベキューソース&エビクリームフライのセットである場合の温度パターン情報の具体例である。
【0043】
チキンバーベキューソース&エビクリームフライのセットでは、第1の食材として鶏肉が用いられ、第2の食材としてエビクリームフライが用いられる。そして、鶏肉は、グリドル12で表面が焼かれた後、オーブン11でバーベキューソースとともに煮込まれる。また、エビクリームフライは、フライヤー13の油で揚げられる。
【0044】
時刻t20においてグリドル12は、ヒーター12bに通電して鉄板12jの温度を、待機温度(150℃)から調理温度(210℃)まで上昇させる。時刻t21で調理温度に達した後、グリドル12はこの調理温度を維持する。そして、時刻t26においてグリドル12は、ヒーター12bへの通電をやめて鉄板12jの温度が待機温度に戻るまで待ち、その後待機温度を維持する。
【0045】
また、時刻t23においてオーブン11は、ヒーター11bに通電して調理空間11kの温度を、待機温度(100℃)から調理温度(190℃)まで上昇させる。時刻t24で調理温度に達した後、オーブン11はこの調理温度を維持する。そして、時刻t27においてオーブン11は、ヒーター11bへの通電をやめて調理空間11kの温度が待機温度に戻るまで待ち、その後待機温度を維持する。
【0046】
さらに、時刻t22においてフライヤー13は、ヒーター13bに通電して油の温度を、待機温度(120℃)から調理温度(180℃)まで上昇させる。時刻t25で調理温度に達した後、フライヤー13はこの調理温度を維持する。そして、時刻t27においてフライヤー13は、ヒーター13bへの通電をやめて油の温度が待機温度に戻るまで待ち、その後待機温度を維持する。
【0047】
この具体例でも、グリドル12が調理温度になっている時間中(t21−t26)にフライヤー13やオーブン11の昇温が開始され(t22,t23)、グリドル12が待機温度に切り替わる少し前のタイミング(t24)でオーブン11が調理温度に達する。また、オーブン11が調理温度に達した少し後のタイミング(t25)でフライヤー13が調理温度に達する。そして、フライヤー13とオーブン11は、同じタイミング(t27)で調理温度から待機温度へと切り換えられる。
【0048】
そして、厨房作業者は、グリドル12の調理温度時間中(t21−t26)に鶏肉の表面を焼き、オーブン11の調理温度時間中(t24−t27)に鶏肉を煮込む。また、厨房作業者は、フライヤー13の調理温度時間中(t25−t27)にエビクリームフライを揚げる。この温度パターン情報でも、第1の食材である鶏肉と第2の食材であるエビクリームフライの調理終了タイミングがともに時刻t27となるように、各調理機器11,12,13が調理温度で維持される時間が定められている。
【0049】
<温度パターン情報のまとめ>
このように、前述の各温度パターン情報では、各食材の調理終了タイミングを揃えることができるため、調理済みの各食材(すなわち料理)を暖かいまま提供することができる。さらに、調理が行われない空き時間において、各調理機器11−13の調理部(11k,12j,13j)は待機温度で維持される。これにより、空き時間における消費電力を抑制することができる。加えて、注文情報の受信を契機に各調理機器11−13の昇温開始タイミングが定められるとともに、調理温度に達した後には所定の調理時間が終了すると待機温度に戻るので、厨房作業者は操作忘れ等の心配がなく、調理に専念できる。
【0050】
<システムの動作について>
次に管理システムの動作について説明する。図10に示すように、この管理システムでは、まず端末装置3による注文情報の送信(S11)が行われる。すなわち、客から料理の注文を受けた接客担当者は、端末装置3を操作して注文された料理を示す注文情報を送信する。この注文情報は、POS管理装置2を経由して機器管理装置1で受信される。
【0051】
注文情報を受信した機器管理装置1は、この注文情報から注文された料理(注文料理)を認識し、メモリー1eの温度パターン情報記憶領域から対応する料理の温度パターン情報を取得する。ここで読み出される温度パターン情報は、図8や図9で説明したものである。なお、注文情報に複数の料理が含まれていた場合には、それぞれの料理について温度パターン情報を取得する。
【0052】
温度パターン情報を取得したならば、機器管理装置1は、注文料理が単品か否かを判断する(S22)。ここで、注文料理が単品であった場合には、タイミング信号の送信処理(S24)に移行し、そうでない場合(注文料理が複数であった場合)には、温度パターン情報の重ね合わせ処理(S23)に移行する。この重ね合わせ処理では、注文された各料理の温度パターン情報同士を重ね合わせて合成し、新たな温度パターン情報(合成調理パターン情報)を生成する。
【0053】
図11は、第1の料理としてハンバーグ&エビフライのセットが注文され、第2の料理としてチキンバーベキューソース&エビクリームフライのセットが注文された場合の温度パターン情報を説明する図である。この温度パターン情報は、ハンバーグ&エビフライの温度パターン情報(図8)とチキンバーベキューソース&エビクリームフライの温度パターン情報(図9)とを重ね合わせて合成することで生成される。
【0054】
ここで、各温度パターン情報は、各料理における調理終了タイミングが同じになるように合成される。この例では、総調理時間(t11−t17)が短いハンバーグ&エビフライの調理終了タイミング(t17)を、総調理時間(t21−t27)が長いチキンバーベキューソース&エビクリームフライの調理終了タイミング(t27)にあわせるように、これらの料理の温度パターン情報が重ねられる。従って、図11において点線はハンバーグ&エビフライの温度パターン情報であり、実線はチキンバーベキューソース&エビクリームフライの温度パターン情報である。なお、生成された温度パターン情報に基づく制御内容の説明は後で行う。
【0055】
重ね合わせ処理が終了するとタイミング信号の送信処理(S24)に移行する。この送信処理では、各調理機器11−14が有する調理部の温度を待機温度から調理温度へ昇温させるためのタイミング信号や、調理部による調理時間の経過を示すタイミング信号が送信される。また、注文情報に複数の料理が含まれており、各調理機器11−14での調理開始タイミングが食材毎に異なる場合には、その食材の調理開始タイミングを示すタイミング信号も送信される。
【0056】
機器管理装置1からのタイミング信号は、対応する調理機器11−14で受信される。そして、タイミング信号を受信した調理機器11−14では、次の処理が行われる。まず、受信したタイミング信号が調理部の昇温を指示するものであるか否かが判断される(S31)。ここで、昇温を指示するタイミング信号であった場合、その調理機器11−14はヒーターに通電して昇温を行う(S32)。次に、調理機器11−14は、調理部が調理温度に到達したか否かを判断する(S33)。ここで、調理部が調理温度に到達した場合、調理機器11−14はその旨を示す信号(温度到達信号)を機器管理装置1に送信する(S34)。
【0057】
この温度到達信号を受信した機器管理装置1は、調理部が調理温度に到達したことを示す報知処理を行う。例えば、表示装置5の表示内容を更新し(S25)、調理部が調理温度に到達したことを厨房作業者に報知する。一方、各調理機器11−14では、受信したタイミング信号が調理時間の経過を示すものであるか否かが判断される(S35)。ここで、調理時間の経過を示すタイミング信号であった場合、その調理機器11−14は、ヒーターへの通電をやめて調理部を待機温度へ移行させる(S36)。以後は、注文情報が送信される毎にこれらの処理が繰り返し実行される。
【0058】
<動作の具体例について>
次に、図11の温度パターン情報(合成調理パターン情報)に基づいて、システムの動作を具体的に説明する。
【0059】
前述したように、接客担当者が端末装置3を操作して注文情報を送信すると(S11)、この注文情報が機器管理装置1で受信される。機器管理装置1は、注文情報に含まれる各料理を認識し、対応する温度パターン情報をメモリー1eから取得する(S21)。そして、各料理の温度パターン情報を、調理終了タイミングが揃うように重ね合わせて合成し、新たな温度パターン情報を生成する(S23)。
【0060】
温度パターン情報を生成したならば、機器管理装置1は、温度パターン情報で規定されるタイミング毎に所定のタイミング信号を送信する(S24)。まず、時刻t30では、グリドル12に対して昇温開始を指示するタイミング信号を送信する。このタイミング信号を受信したグリドル12は鉄板12jの加熱を開始する。鉄板12jの温度は温度センサ12dによって検出されており、調理温度に達するとグリドル12は温度到達信号を機器管理装置1に送信する(S33,S34)。機器管理装置1は、温度到達信号の受信に伴って表示装置5の表示内容を更新したり(S25)、スピーカー6から音声を出力させたりして、厨房作業者へ鉄板12jが調理温度に達した旨を報知する。
【0061】
これにより、厨房作業者は、グリドル12での食材の調理を開始する。この具体例では、ハンバーグと鶏肉とがグリドル12で調理され、鶏肉の方がハンバーグよりも調理時間が長い。このため、厨房作業者は先に鶏肉の調理を開始する。その後の時刻t32では、調理時間が短いハンバーグの調理開始タイミングが到来したとして、機器管理装置1は、表示装置5による表示内容を更新したり(S25)、スピーカー6から音声を出力させたりして、ハンバーグの調理開始タイミングである旨を厨房作業者へ報知する。これにより、厨房作業者は、グリドル12でのハンバーグの調理を開始する。
【0062】
時刻t33にて、機器管理装置1は、フライヤー13に対して昇温開始を指示するタイミング信号を送信する(S24)。このタイミング信号を受信したフライヤー13は油の加熱を開始する(S32)。また、時刻t34にて、機器管理装置1は、オーブン11に対して昇温開始を指示するタイミング信号を送信する(S24)。このタイミング信号を受信したオーブン11も調理空間11kの加熱を開始する(S32)。
【0063】
油が調理温度まで加熱されたことに伴い(S33)、時刻t35にてフライヤー13は、温度到達信号を機器管理装置1に送信する(S34)。機器管理装置1は、フライヤー13での調理開始を促す報知動作を行う(S25)。これに伴い、厨房作業者は、調理時間が長いエビフライの調理を開始する。
【0064】
続いて、調理空間11kが調理温度まで加熱されたことに伴い(S33)、時刻t36にてオーブン11は温度到達信号を機器管理装置1に送信し(S34)、機器管理装置1はオーブン11での調理開始を促す報知動作を行う(S25)。これに伴い、厨房作業者は、グリドル12で調理されている鶏肉とハンバーグとをオーブン11に移す。
【0065】
その後の時刻t37では、エビクリームフライの調理開始タイミングが到来したとして、機器管理装置1は、フライヤー13での調理開始を促す報知動作を行う(S25)。これに伴い、厨房作業者は、調理時間が短いエビクリームフライの調理を開始する。
【0066】
時刻t38にて機器管理装置1は、グリドル12による食材の調理時間が終了したと判断する。そして、機器管理装置1は、調理時間の経過を示すタイミング信号をグリドル12へ送信する(S24)。このタイミング信号を受信したグリドル12は、ヒーター12bへの通電をやめて鉄板12jの温度を待機温度にする(S36)。
【0067】
また、時刻t38にて機器管理装置1は、オーブン11及びフライヤー13による食材の調理時間が終了したと判断する。そして、機器管理装置1は、その旨を知らせるための報知動作を行う(S25)。また、調理時間の経過を示すタイミング信号をオーブン11及びフライヤー13へ送信する(S24)。これにより、厨房作業者は、オーブン11及びフライヤー13から食材を取り出す。また、オーブン11及びフライヤー13は、ヒーター11b、13bへの通電をやめて調理空間11kや油の温度を待機温度にする(S36)。
【0068】
以上の説明から判るように、この具体例では、食材の調理時間に亘って調理部が調理温度となるように、待機温度からの昇温を開始するタイミングが定められている。また、調理時間が終了すると自動的に待機温度へ戻るように制御されている。このため、調理温度まで加熱されている時間を最低限に抑えることができ、消費電力を抑えることができる。さらに、異なる料理であっても、食材の調理が終了するタイミングが同じになっているので、調理済みの料理を温かいまま提供することができる。
【0069】
<まとめ>
上述の管理システムでは、調理温度と待機温度との間で温度制御可能な調理機器11−14を機器管理装置1で制御している。すなわち、機器管理装置1の制御部1aは、料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す温度制御パターン(調理パターン情報)が記憶されるメモリー1eを有しており、注文された料理を示す注文情報を端末装置3から受信すると、メモリー1e読み出される温度制御パターンに基づいて調理機器11−14を温度制御する。
【0070】
そして、メモリー1eには、調理機器11−14の温度設定を待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる料理(例えば、ハンバーグとエビフライの組や鶏肉とエビクリームフライの組)において、各食材の調理終了時間が揃うように、待機温度から調理温度への切り換え開始タイミングが定められている温度制御パターンが記憶されている。
【0071】
このような温度制御パターンで各調理機器11−14を制御することにより、食材の調理を行っていない空き時間において、各調理機器11−14が待機温度で維持される。これにより、消費電力を抑えることができる。そして、食材の調理時において、待機温度から調理温度に切り換わるので、各調理機器11−14の温度を迅速に調理温度まで上昇させることができる。また、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる料理について、各食材の調理終了時間が揃うように、待機温度から調理温度への切り換え開始タイミングが定められているので、調理済みの料理を暖かいまま提供することができる。
【0072】
また、機器管理装置1の制御部1aは、注文情報に複数種類の料理が含まれている場合、調理に要する総時間が短い料理(例えば、ハンバーグ&エビフライのセット)における各食材の調理終了時間が、総時間が長い料理における各食材の調理終了時間(チキンバーベキューソース&エビクリームフライのセット)と揃うように、各料理の温度制御パターンを合成し、合成後の温度制御パターン(合成調理パターン情報)で制御を行っている。これにより、同じ注文情報に含まれる複数の料理を一緒に、かつ、各料理の食材を温かいまま提供することができる。
【0073】
また、表示装置5やスピーカー6は、各調理機器11−14に設けられた温度センサからの検出信号に基づき、調理部の温度が調理温度に達したことを報知するので、厨房調理者に対して調理が開始できる状態であることを適時に伝えることができる。さらに、食材の調理の開始タイミングが到来した場合に、開始タイミングが到来した旨を食材毎に報知するので、調理時間の異なる複数の食材を、それぞれに定められた時間で確実に調理させることができる。
【0074】
===その他の実施形態===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
【0075】
温度制御パターン情報を重ね合わせる処理(S23)に関し、図12に示すように、重ね合わせの対象となる料理によっては、同じ調理機器に対して、先の食材(点線)の調理時間終了後(時刻ta)、まもなく後の食材(一点鎖線)の調理時間が開始される(時刻tb)こともある。このように、ヒーター12bへの通電をやめた後、短い時間でヒーター12bへの通電が再開されると大きな電力が必要となり、かえって消費電力が増えてしまうこともある。また、ヒーター12bへの負担も大きくなり、寿命が短くなってしまうこともある。
【0076】
そこで、先の食材について調理時間が終了した後、次の食材の調理時間が開始されるまでの時間が、所定の判断基準時間未満であるときは、図12に実線で示すように、これらの食材の調理時間に亘ってその調理機器11−14の調理部を調理温度で維持させることが望ましい。すなわち、生成される温度制御パターン(合成調理パターン情報)において、この時間に亘って調理温度を維持することが望ましい。このように構成することで、消費電力を抑えることができる。また、ヒーターを保護することもできる。
【0077】
また、機器管理装置1では、注文情報に含まれる料理に基づき、その料理の提供時間を取得することができる。すなわち、機器管理装置1の制御部1aは、注文情報を受信した時刻と受信した注文情報が示す料理の調理に要する総時間とから料理の調理完了時刻を求めることができる。そこで、図13に示すように、この調理完了時刻を示す調理完了時刻情報を端末装置3に送信する(S41)と共に、端末装置3で終了時刻を報知する(S42)ことにより、接客担当者は、注文情報の送信後すぐに調理完了時刻を認識できる。これにより、調理完了時刻を事前に客に伝えることができ、客に対する利便性を向上させることができる。
【0078】
また、報知部に関し、前述の実施形態では、表示装置5とスピーカー6を用いたが、報知部として各調理機器11−14に設けたランプやスピーカーを用いても良い。
【符号の説明】
【0079】
1…機器管理装置,1a…制御部,1b…時計IC,1c…通信用インタフェース,1d…CPU,1e…メモリー,2…POS管理装置,3…端末装置,3a…制御部,3b…表示部,3c…タッチパネル,3d…通信用インタフェース,3e…CPU,3f…メモリー,4…調理機器群,5…表示装置,6…スピーカー,7…レジスタ,8…プリンタ,9…アクセスポイント,11…オーブン,11a…制御部,11b…ヒーター,11c…ヒーター制御部,11d…ファン,11e…温度センサ,11f…ランプ,11g…スピーカー,11h…通信用インタフェース,11i…CPU,11j…メモリー,11k…調理空間,12…グリドル,12a…制御部,12b…ヒーター,12c…ヒーター制御部,12d…温度センサ,12e…ランプ,12f…スピーカー,12g…通信用インタフェース,12h…CPU,12i…メモリー,12j…鉄板,13…フライヤー,13a…制御部,13b…ヒーター,13c…ヒーター制御部,13d…温度センサ,13e…ランプ,13f…スピーカー,13g…通信用インタフェース,13h…CPU,13i…メモリー,13j…釜,14…茹で麺機,14a…制御部,14b…ヒーター,14c…ヒーター制御部,14d…温度センサ,14e…ランプ,14f…スピーカー,14g…通信用インタフェース,14h…CPU,14i…メモリー,14j釜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す調理パターン情報が記憶されるメモリーと、
注文された料理を示す注文情報を端末装置から受信すると、前記メモリーから読み出される前記調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御する制御部とを備え、
前記メモリーには、
前記調理機器の温度設定を前記待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に前記待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる前記料理において、各食材の調理終了時間が揃うように、前記待機温度から前記調理温度への切り換え開始タイミングが定められている調理パターン情報が記憶されていることを特徴とする調理機器管理装置。
【請求項2】
前記メモリーには、
複数種類の前記料理に対応して定められた複数の前記調理パターン情報が記憶され、
前記制御部は、
受信した前記注文情報に複数種類の前記料理が含まれている場合、前記料理毎に前記調理パターン情報を前記メモリーから読み出し、
調理に要する総時間が短い料理における各食材の調理終了時間が、前記総時間が長い料理における各食材の調理終了時間と揃うように、読み出した前記調理パターン情報を合成し、
合成で得られた合成調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御することを特徴とする請求項1に記載の調理機器管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
或る料理の食材と他の料理の食材とが同じ調理機器を用いる場合、これらの食材の調理時間に亘って当該調理機器を前記調理温度にするように、前記調理パターン情報を合成することを特徴とする請求項2に記載の調理機器管理装置。
【請求項4】
前記食材が調理される調理部の温度を検出する温度センサからの検出信号に基づき、前記調理部の温度が前記調理温度に達したことを報知する報知部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の調理機器管理装置。
【請求項5】
前記報知部は、
前記食材の調理の開始タイミングが到来した場合に、開始タイミングが到来した旨を前記食材毎に報知することを特徴とする請求項4に記載の調理機器管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記注文情報を受信した時刻と受信した前記注文情報が示す料理の調理に要する総時間とから前記料理の調理完了時刻を求め、前記調理完了時刻を示す完了時刻情報を、前記端末装置に送信することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の調理機器管理装置。
【請求項1】
料理に応じた調理機器の待機温度と調理温度との間の変化を示す調理パターン情報が記憶されるメモリーと、
注文された料理を示す注文情報を端末装置から受信すると、前記メモリーから読み出される前記調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御する制御部とを備え、
前記メモリーには、
前記調理機器の温度設定を前記待機温度から前記調理温度に切り換えた後、調理時間の経過を条件に前記待機温度へ切り換え、かつ、調理条件が異なる複数種類の食材が含まれる前記料理において、各食材の調理終了時間が揃うように、前記待機温度から前記調理温度への切り換え開始タイミングが定められている調理パターン情報が記憶されていることを特徴とする調理機器管理装置。
【請求項2】
前記メモリーには、
複数種類の前記料理に対応して定められた複数の前記調理パターン情報が記憶され、
前記制御部は、
受信した前記注文情報に複数種類の前記料理が含まれている場合、前記料理毎に前記調理パターン情報を前記メモリーから読み出し、
調理に要する総時間が短い料理における各食材の調理終了時間が、前記総時間が長い料理における各食材の調理終了時間と揃うように、読み出した前記調理パターン情報を合成し、
合成で得られた合成調理パターン情報に基づいて前記調理機器を温度制御することを特徴とする請求項1に記載の調理機器管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
或る料理の食材と他の料理の食材とが同じ調理機器を用いる場合、これらの食材の調理時間に亘って当該調理機器を前記調理温度にするように、前記調理パターン情報を合成することを特徴とする請求項2に記載の調理機器管理装置。
【請求項4】
前記食材が調理される調理部の温度を検出する温度センサからの検出信号に基づき、前記調理部の温度が前記調理温度に達したことを報知する報知部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の調理機器管理装置。
【請求項5】
前記報知部は、
前記食材の調理の開始タイミングが到来した場合に、開始タイミングが到来した旨を前記食材毎に報知することを特徴とする請求項4に記載の調理機器管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記注文情報を受信した時刻と受信した前記注文情報が示す料理の調理に要する総時間とから前記料理の調理完了時刻を求め、前記調理完了時刻を示す完了時刻情報を、前記端末装置に送信することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の調理機器管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−177073(P2011−177073A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43075(P2010−43075)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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