説明

警報器

【課題】利用者の点検指示操作を適切に行わせることを可能とする。
【解決手段】点検タイマ58は操作部32の点検操作を必要とする所定の点検周期を設定して計時する。点検要求管理部50は、点検タイマ58による点検周期の到来前に操作部32の点検操作を検出した場合は点検処理部48に点検結果を報知させた後に点検タイマ58を再スタートさせ、操作部32の点検操作を検出することなく点検タイマ58による点検周期の到来を検出した場合は操作部32の点検操作を求める点検要求情報を報知部30から出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災等の異常(異状)を検知して警報を出力させる警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
このような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部の検出信号から火災を検知すると警報部から火災警報音を出力して報知するようにしており、専用の受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
このような住警器で火災を検知した場合、メッセージと警報音を含む所定パターンの火災警報音、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」を出力するようにしている。
【0005】
また従来の住警器にあっては、センサや検出回路、音声報知回路故障の有無、汚損等による感度異常などセンサ障害を検知する自動点検を周期的に実行してメモリに記憶しており、火災警報を出力していない通常状態で警報停止スイッチを操作すると点検指示として受け付けられ、メモリに記憶された自動点検の結果を報知するようにしている。
【0006】
また、電池電源で動作する住警器の場合には、内部で電池電圧を周期的にチェックしており、電池電圧が所定未満に低下するとローバッテリー障害を判定して電池切れ予告警報(ローバッテリー障害警報)を出力するようにしており、その報知方法を工夫して確実に電池交換が行われるように配慮している。(特許文献1)
一方で、点検指示操作に基づく点検動作時に、他の障害と合わせてローバッテリー障害の有無についても点検結果に含めて報知するものがある。
【0007】
点検結果の報知は、障害がなければ、例えば火災警報音と同じ「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった警報音や「ピッ 正常です」といった報知音を、スピーカの音声出力機能を点検するため比較的低音量で1回出力する。一方、ローバッテリー障害を検知していれば例えば「ピッ 電池切れです」といった障害警報音を所定回数出力し、また、センサ障害を検知していれば「ピッ 故障です」といった障害警報音を所定回数出力する。
【0008】
このように従来の住警器にあっては、ローバッテリー障害やセンサ障害を検知する点検機能については内部で定期的に自動実施され、障害を検知した場合にメモリに記憶され、一方、点検結果の音声報知は上記のように通常状態で点検指示操作した場合に行うようにしている。
【0009】
このように、内部で自動的に行われている点検の結果をその都、度或いは障害発生を検出する度に報知するのではなく、手動で点検指示操作が行われた場合に報知するのは、不急の(緊急性の高くない)障害について、利用者の在/不在に関わらず報知することが、無駄な電力消費に繋がる場合があることや、夜間就寝中等に報知音を出力することで利用者を煩わせる可能性があること等を緩和するためである。もちろん、緊急の報知を要する一部障害等については、これに関わらず、その発生が判定された時点で報知を開始しても良い。
【0010】
ここで、特に音響報知機能(警報音等の出力機能)については、例えば利用者の意図しないタイミングで住警器が自動的に音響出力動作をしたとしても、故障等の障害により実際に音響が出力できない状況では利用者がそれを確認することができない。
【0011】
また、音響出力機能が故障した場合には表示によってそれを出力するようにしたとしても、例えば音響出力器としてのスピーカに機械的不具合(例えば振動板損傷等)がある場合などは、これを電気的に検知することが出来ないことがあり、したがって利用者の意思によりその聴覚をもって出力異常の有無を確認することが是非とも必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3895646号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このため、利用者等による外部からの点検指示操作は所定頻度で確実に実行されるべきであり、これが適切に行われない場合、例えば住警器の音響報知機能に障害がある場合等に、利用者はこれを認知することが出来ない結果、例えば火災警報機能が損なわれたまま報知されるといった危険が考えられる。
【0014】
それにもかかわらず、このような従来の住警器にあっては、取扱説明書などに所定期間毎に点検を実施すべき旨の推奨記載が行われているだけであり、手動点検を実際に行うか否か、またどのようなタイミングで手動点検を行うかは利用者に任されているため、長期に亘り利用者による点検指示操作がない場合、適切な周期で点検が行われないこととなり、いざ火災という場合に障害のため住警器が正常に機能しない恐れがあった。
【0015】
このような問題点は、上記の例に限らず、住警器を含む警報器全般において、何らかの点検を利用者の意思に基づく手動実施に任せる場合について、共通のものであった。
【0016】
本発明は、利用者の点検指示操作を適切に行わせることを可能とする警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、
電池電源で動作し、
環境変化に基づいて監視領域の異常を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
所定周期毎に、所定の障害検知を実行して検知した障害情報を記憶部に記憶する障害検知部と、
異常警報及び障害警報を出力する報知部と、
外部から所定の処理を実行指示する操作部と、
センサ部の検出信号出力に基づく異常発生をはじめとするイベントを検出するイベント検出部と、
イベント検出部で異常発生を検出した場合に報知部から異常警報を出力させる監視処理部と、
イベント検出部で前記操作部の操作による点検指示入力を検出した場合、記憶部の障害情報に基づいて前記報知部から点検結果を報知させる点検処理部と、
を設けた警報器に於いて、
操作部の点検操作を必要とする所定の点検周期を設定して計時する点検タイマと、
点検タイマによる前記点検周期の到来前に操作部の点検操作を検出した場合は点検処理部に点検結果を報知させた後に点検タイマを再スタートさせ、点検タイマによる点検周期の到来を検出した場合は操作部の点検操作を求める点検要求情報を報知部から出力させる点検要求管理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0018】
ここで、点検要求管理部は、点検要求情報として報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても操作部の操作による点検指示入力を検出しない場合は、記点検要求表示を停止すると共に点検タイマを再スタートさせる。
【0019】
点検要求管理部は、点検要求情報として報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても操作部の操作による点検指示入力を検出しない場合は報知部から点検要求を示すメッセージを含む警報音を出力させ、警報音の出力中に所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合は点検要求表示及び警報音を停止すると共に点検タイマを再スタートさせる。
【0020】
点検要求管理部は、操作部の操作による点検指示入力を検出せずに点検タイマを再スタートさせる場合、点検タイマに設定している所定の点検周期をより短い点検周期に変更して再スタートさせる。
【0021】
点検要求管理部は、操作部の操作による点検指示入力を検出せずに点検タイマを再スタートさせる場合、同条件における再スタートの連続回数に応じて点検タイマに設定している所定の点検周期を段階的に短い点検周期に変更して再スタートさせる。
【0022】
点検処理部は、イベント検出部で操作部の操作による点検指示入力を検出した場合、記憶部に障害情報を記憶している場合は報知部から障害警報を出力させ、記憶部に障害情報が記憶されていない正常を判別した場合は報知部から所定の確認音を出力させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、点検操作を行わずに所定の点検周期の経過により点検時期が到来すると、点検操作を要求する表示出力等により点検要求報知が行われ、この報知に気付いた利用者が点検操作を行うことで、内部で自動的に行って記録している自動点検の結果を例えば音声報知し、点検操作を行った利用者に直接聞かせることができる。
【0024】
また点検結果の報知は、障害を検知していた場合の障害警報音にとどまらず、障害を検知していない場合には正常を示す点検用警報音を出力することで、スピーカの音声出力機能を利用者が直接聞いて判断できる。
【0025】
このように、音響出力機能の障害については、利用者が実際に音を出力させようとしてその出力状況を確認することによらなければ、適切に認識することが困難であるため、実施後には必ず音響出力によって点検結果が報知されると分かっている点検操作によってこれを確認させることは重要である。つまり、点検操作を行っても点検結果が音響報知されない場合には、音響出力機能に障害があると認識することができる。この場合、少なくとも表示によって点検結果が報知されることから、点検動作は行われたが結果の音響報知が行われていないことを、より認識しやすくなる。
【0026】
また、音声等の音響出力機能に障害が発生すると、例えば火災等の異常を報知できなくなるという重大な問題となるが、この場合は音による点検要求報知もできないことから、少なくとも表示により点検要求を行うことで、利用者に対して更に確実に点検操作を促し、警報器として重大な障害である音響報知機能の障害を点検し確認させることができる。
【0027】
また点検操作を要求する報知は基本的には点検要求表示として行うが、所定待ち時間を経過しても点検操作が行われない場合は、利用者が気付いていなものと判断し、点検要求表示を停止(オフ)し、点検タイマを再スタートすることで、次の点検時期まで待って再度点検要求を報知するようにする。
【0028】
また点検要求表示に対して所定待ち時間を経過しても点検検操作がない場合は、点検要求表示に加え点検要求を示すメッセージを含む警報音を出力することで、利用者の注意を強く喚起し、利用者が在宅していれば点検時期の到来を確実に知らせて点検操作を行わせることができる。
【0029】
また点検操作を検出せずに点検タイマを再スタートする場合、点検周期を短い周期に変更して点検タイマを再スタートすることで、次に到来する点検時期を早めて点検要求を報知し、点検操作が行われなかった場合にも手動点検未実施期間が長くなり過ぎないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図2】本発明による住警器の実施形態を示したブロック図
【図3】図2の住警器による監視処理を示したフローチャート
【図4】本発明による点検要求管理処理の実施形態を示したフローチャート
【図5】図4に点検タイマの周期を変更する処理を加えた本発明による点検要求管理処理の他の実施形態を示したフローチャート
【図6】点検要求を音声出力で行う本発明による点検要求管理処理の実施形態を示したフローチャート
【図7】図6に点検タイマの周期を変更する処理を加えた本発明による点検要求管理処理の他の実施形態を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は本発明による住警器の外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けた側を上方とする。
【0032】
図1において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の正面視中央部には突出部を形成し、突出部の周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、検煙部16からの信号に基づいて、火災に伴う煙が所定濃度に達したことを検出した場合に監視領域の火災(火災発生)を検知するようにしている。
【0033】
カバー12の突出部周囲に設けた複数の開口部の内部には検煙部16を備え、検煙部16の正面視左下側には複数の音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、監視領域に対して警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の正面視下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0034】
警報停止スイッチ20は住警器10の点検結果の報知を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。例えば、火災警報時に警報停止スイッチ20が操作されると当該火災警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されるとメモリに記憶されている自動点検の結果を、例えば表示と音声とで報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報中または障害警報中でない状態を指す。
【0035】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたプッシュスイッチ(図示せず)とで構成されている。即ち、スイッチカバーを押圧操作すると、プッシュスイッチが押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、点線で示すように警報等表示を行うLED22が配置されており、LED22が点灯、点滅、明滅作動すると、作動光が警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過して外部から視認できるようにしている。
【0036】
また本体14の背面上部にはその略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁面等にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
【0037】
住警器10は、住宅の設置場所に対応する監視領域について監視を行い、火災が発生したとすると、火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
【0038】
住警器10の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。また住警器10の火災警報に伴う警報表示としては、例えばLED22を点灯、点滅又は明滅させる。
【0039】
また住警器10は通常状態で警報停止スイッチ20を操作した場合、内部バックグランドで自動実行された障害検知処理(ビルトインテスト)によりローバッテリー障害を判別してメモリに記憶している場合には、ローバッテリー障害警報として例えば「ピッ 電池切れです」を所定回数、例えば2回繰り返し出力すると共にLED22を例えば点滅する。このとき、音声メッセージは火災警報音等と比較して低音量で出力する。一方、ローバッテリー障害が判定されていない場合には、スピーカ動作を点検するために火災警報音と同じ内容「ピッ 正常です」をスピーカ点検用警報音として低音量で1回出力する。
【0040】
また住警器10は通常状態で警報停止スイッチ20を操作した場合、内部バックグランドで自動実行された障害検知処理(ビルトインテスト)によりセンサ障害を判別してメモリに記憶している場合には、スピーカから障害警報音として例えば「ピッ 故障です」の音声メッセージを所定回数、例えば2回繰り返し出力させると共に、LED22を例えば点滅する。このとき、音声メッセージは火災警報音等と比較して低音量で出力する。その後は定期通報タイマにより所定時間毎に1回「ピッ 故障です」の音声メッセージ出力とLED22のワンパルス点灯による表示を障害状態が解消するまで繰り返す。
【0041】
一方、ローバッテリー障害やセンサ障害等、いずれの障害も判別されていない(記憶されていない)正常時には、スピーカ動作を点検するために「ピッ 正常です」等、何らかの音響をスピーカ機能(音響出力機能)の確認音として、火災警報音等と比較して低音量で1回出力する。
【0042】
このように手動点検に伴う結果報知音を低音量で出力するのは、点検操作時には必ず利用者(操作者)が住警器に対峙しており、大音量で出力する必要が無いためであり、低音量とすることで無駄な電力消費を抑制することため、また大音量の出力が利用者や他の居住者等にとって煩わしく感じられることを防止するためである。
【0043】
更に住警器10は点検タイマによる所定点検周期の計時により例えば1ケ月に1回となる手動点検時機が到来した場合、警報停止スイッチ20による点検操作を求める点検要求情報を少なくともLED22の例えば点滅により報知し、利用者に点検操作を促すようにしている。
【0044】
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備え、火災に伴い発生する煙の濃度に基づいて火災を検知する煙式住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備え、これらから温度情報を取得して火災を検知する熱式住警器や火災に伴うその他の物理現象を検出し、監視領域の環境変化から火災を検知する住警器、火災以外にガス漏れを検知する警報器、侵入者や地震その他の異常(異状)を検知する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0045】
図2は図1に示した住警器の実施形態の要部構成を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
【0046】
図2において、住警器10はワンチップCPUとして知られたプロセッサ24を備え、プロセッサ24に対してはメモリ26、センサ部28、報知部30、操作部32、移報部34及び電池電源35を設けている。
【0047】
センサ部28には、監視領域から流入する煙を検出して煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。このような検煙部16としては、例えば光電式(散乱光式)として知られた公知のものを適用する。前述のように、センサ部28には検煙部16に代えて、火災による温度を検出して検出信号を出力する素子やセンサ、その他火災に伴う監視領域の環境変化を検出して検出信号を出力する各種素子やセンサを設けても良い。
【0048】
またメモリ26には定期的な障害監視処理(ビルトインテスト)による各種の障害検知結果として、ローバッテリー障害フラグ52またはセンサ障害フラグ54等、対応する障害フラグが各障害を検知した場合に更新記憶される。またローバッテリー障害やセンサ障害等各障害を検知した後は必要に応じて定期的な障害警報の出力に使用される定期通報タイマ56が設けられる。このような定期的な障害警報出力を行うか否かは、障害の重要度に応じて予め決められている。
【0049】
住警器10には、更に手動点検時期の到来を報知する点検要求管理処理ため点検タイマ58が設けられている。なお、定期通報タイマ56及び点検タイマ58はメモリ26内に配置せず、プロセッサ24やその周辺に設けて実行しても良い。
【0050】
報知部30には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ36と警報表示等を行うLED22が設けられている。スピーカ36は、図示しない音声合成回路部から、住警器10が自己保持しているデータに基づき各種の音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常や各種障害その他を表示する。スピーカ36に代えて、ブザー等を用いても良い。またLED22に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器を併設するなどしても良い。
【0051】
操作部32には点検スイッチを兼ねる警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は、報知部30に設けたスピーカ36により火災や障害定期通報の警報音を出力しているとき又はLED22により警報表示を行っているときにのみ警報停止スイッチとして機能する。
【0052】
一方、火災警報または障害警報を行っていない通常状態においては、警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ20を操作すると後述するイベント検出部38で点検指示操作(点検指示入力)が検出され、ビルトインテストの際にメモリ26に記憶されている点検結果の報知が行われる。これに限らず、点検対象となる障害項目の一部または全部について、点検スイッチの操作が検出されてから各部の点検を行い、即ちビルトインテストによらない操作時リアルタイム点検処理を行って、その結果を報知するようにしても良い。
【0053】
移報部34は火災を検知した場合に他の機器に移報信号を出力する。移報信号としては例えばリレー接点のオンによる無電圧接点開閉信号が出力される。
【0054】
電池電源35は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10における回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0055】
プロセッサ24にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部38、監視処理部40、障害検知部42、点検処理部48及び点検要求管理部50の機能が設けられ、障害検知部42にはローバッテリー障害検知部44とセンサ障害検知部46の機能が設けられている。もちろん、これ以外にも適宜他の障害検知部を設けることができる。
【0056】
イベント検出部38は、センサ部28に設けた検煙部16からの検出信号出力に基づいて検知した監視領域における火災の有無、操作部32に設けた警報停止スイッチ20の操作による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部28に設けた検煙部16からの検出信号出力が低下して火災状態が解消される火災復旧、センサ障害やローバッテリー障害等のイベントを検出する。
【0057】
監視処理部40は、イベント検出部38で自己の監視領域における異常として火災を検知した場合にイベント検出部38から信号を受け、報知部30に設けたスピーカ36から火災を示す警報音を出力させると共に、LED22を例えば点灯駆動して火災警報表示を行う。
【0058】
具体的に説明すると、監視処理部40は、センサ部28に設けた検煙部16からの煙検出信号に基づきイベント検出部38で火災を検知した場合に、イベント検出部38からその旨を示す信号を受け取り、これに基づき報知部30に対しスピーカ36から火災を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」や「警報器が作動しました 確認して下さい」等の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、同じく報知部30に火災を示す警報表示としてLED22を点灯させる制御を行うことで、火災警報処理を行う。
【0059】
また監視処理部40は例えば上記のような音声メッセージによる火災警報音の出力中にイベント検出部38で、操作部32に設けた警報停止スイッチ20の操作を検出した場合、スピーカ36からの当該音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止する。このときはLED22による警報表示については、音声メッセージによる警報音の出力停止から所定時間継続した後に停止しても良い。
【0060】
障害検知部42に設けたローバッテリー障害検知部44は、電池電源35から供給される電源電圧を直接的又は間接的に検出する電圧検出回路(図示省略)からの電圧レベル信号を所定の測定時間間隔、例えばT1=4時間間隔でA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の時にローバッテリー障害の検出を予備判定(仮判定)し、更にローバッテリー障害検出の予備判定(仮判定)が連続して所定回数続いた場合にローバッテリー障害と判定(確定)し、ローバッテリー障害フラグ52をセットしてメモリ26に記憶する。
【0061】
障害検知部42に設けたセンサ障害検知部46は所定の測定時間間隔、例えばT2=1秒間隔でセンサ部28の検煙部16から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ26のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T3=10分毎に、メモリ26のバッファ領域に保持している10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った時に出力停止状態である等としてセンサ部28の障害と判定し、センサ障害フラグ54をセットしてメモリ26に記憶する。
【0062】
このように煙検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、光電式の検煙部16に設けている受光素子故障や受光素子からの出力信号線断線、受光アンプの停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高いためセンサ障害とする。
【0063】
なお、検煙部16に代えてサーミスタなどの温度検出素子を設けた熱式住警器の場合にも、各種の処理により、同様にセンサ障害を検出することができる。その他、スピーカ36への出力線断線や他の回路故障、通信異常等を同様に障害監視することができる。このような障害についても、検出後はセンサ障害と同様の処理を行ことができる。
【0064】
このように本実施形態におけるローバッテリー障害検知部44とセンサ障害検知部46の検知処理(自動点検)はバックグラウンドで内部的に自動実行(ビルトインテスト)されている。
【0065】
なお、先述の通り、障害検知はビルトインテストによらず、通常状態で警報停止スイッチ20の操作を検出した場合(点検を指示した場合)に、バッテリー障害検知及びセンサ障害検知その他所定の障害検知動作(点検動作)を実施して結果を報知するようにしても良い。
【0066】
また、障害警報の出力中に警報停止スイッチ20が操作された場合には、バッテリー障害検知及びセンサ障害検知その他障害検知動作(点検動作)をあらためて実施して再確認結果を報知した後に障害警報停止処理を行うようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障状態をより明確に認知させることができる。そして、このとき障害状態が解消(障害復旧)している場合には、例えば「障害は解消しました」等のメッセージを出力して、障害停止(復旧)処理に移行しても良い。
【0067】
点検処理部48は、イベント検出部38で、通常状態での警報停止スイッチ20の操作による点検指示入力を検出した場合、メモリ26を参照し、ローバッテリー障害フラグ52がセットされている場合には、報知部30のスピーカ36から例えば「ピッ 電池切れです」を所定回数、例えば2回繰り返し出力させると共にLED22を例えば点滅駆動させる。
【0068】
また点検処理部48は、イベント検出部38で、通常状態での警報停止スイッチ20の操作による点検指示入力を検出した場合、メモリ26を参照し、センサ障害フラグ54が記憶されている場合には、報知部30のスピーカ36から例えば「ピッ 故障です」を所定回数、例えば2回繰り返し出力させると共にLED22を例えば点滅駆動させる。
【0069】
このように点検のために警報停止スイッチ20を操作した場合には、住警器の前に必ず人がいることから、ローバッテリー障害やセンサ障害を確実に知らせることができる。なお、LED22による表示は障害の種類によって、例えばローバッテリー障害時とセンサ障害時とで異なるパターンとして障害の種類を識別出来るようにしても良い。
【0070】
また点検処理部48は、イベント検出部38で、通常状態での警報停止スイッチ20の操作による点検指示入力を検出した場合、メモリ26に何れの障害を示すフラグもセットされていない場合は正常と判断し、この場合には、報知部30のスピーカ36から正常に警報音が出力されることを確認するため、「ピッ 正常です」の音声メッセージを音響出力機能確認音として、例えば先述のように比較的低音量で1回出力させるが、音響出力機能としてその音量出力性能までを確認したい場合にはこの限りでなく、火災警報音に相当する音量としても良い。或いは、火災警報音と同じ音声メッセージを出力するようにしても良い。
【0071】
なお、点検処理部48は、イベント検出部38で、通常状態での警報停止スイッチ20の操作による点検指示入力を検出した場合、障害検知部40にローバッテリー障害、センサ障害、その他の障害検知処理(点検)を再度実行させ、障害を検知したら障害警報を出力させ、障害を検知しなければ、つまり正常を検知すれば音響出力機能確認音を出力させるようにしても良い。これにより、最新の点検結果を報知することができる。
【0072】
また、このようにして点検の結果正常時に音響出力機能確認音を出力させる代わりに、イベント検出部38で点検指示入力を検出した時点で受付音として例えば「点検を開始します」等の音声メッセージを出力させるようにしても良い。
【0073】
点検要求管理部50は、メモリ26に設けた点検タイマ58を使用して手動点検時機の到来を報知させる。点検タイマ58には操作部32に設けた警報停止スイッチ20により点検操作を必要とする所定の点検周期、例えば1ケ月に相当する30日の点検周期を設定して計時する。
【0074】
点検要求管理部50は点検タイマ58による点検周期、例えば前回の手動点検実施から30日の到来前にイベント検出部38により通常状態での警報停止スイッチ20の点検操作を検出した場合は、点検処理部48に即ちビルトインテスト結果の記憶内容に基づく所定の報知をさせた後に点検タイマ58を再スタートさせる。一方、点検要求管理部50は点検タイマ58による点検周期30日が経過してイベント検出部38で点検時機の到来を検出した場合は、警報停止スイッチ20の点検操作を求める点検要求情報を報知部30から出力させる。
【0075】
点検要求管理部50が報知部30から出力させる点検要求情報としては、報知部30のLED22を例えば所定パターンで点滅して利用者に点検操作を促す(点検要求表示)。LED22の所定パターンの点滅による点検要求表示を見て利用者が警報停止スイッチ22による点検操作を行うと、点検要求管理部50は点検処理部48に、ビルトインテスト結果の記憶内容に基づき点検結果を報知させた後に点検タイマ58を再スタートさせる。
【0076】
これに対しLED22の所定パターンの点滅による点検要求表示を行った状態で所定の待ち時間が経過してもイベント検出部38が点検操作を検出しない場合は、タイムアウトしてLED22の点滅による点検要求表示を停止すると共に点検タイマ58を再スタートさせる。
【0077】
この場合、一旦手動点検時機が到来したにも関わらず手動点検が実施されていないことから、例えば次回の点検時機は初期の周期30日よりも短い第2の周期、例えば15日とする計時を行い、15日が経過した時点で次の点検時機が到来するものとしても良く、このように点検要求表示によっても手動点検が行われずタイムアウトを繰り返す場合には、その度に点検タイマ58の再スタート後の計時時間(次回点検時機までの期間)を短くするようにして、手動点検の未実施期間が長くなりすぎないようにすることもできる。このような実施例については、後述する。
【0078】
図3は、図2の煙式住警器10における監視処理の概略例を示したフローチャートである。図3において、住警器10の電池電源35による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS2に進み、火災を監視している。ステップS1で異常があればその旨を表示等で報知するなどしてステップS1に戻るが、図示を省略している。
【0079】
センサ部28の検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えるとイベント検出部38で監視領域の異常として火災が検知され、ステップS2で火災検知有りを判別してステップS3に進み、報知部30のスピーカ36から音声メッセージやブザー音等による火災警報音とLED22の例えば点灯による火災警報表示とにより監視領域に火災警報を出力する。
【0080】
続いて、ステップS4でセンサ部28の検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧検知の有無を判別しており、火災復旧検知有りを判別するとステップS5でスピーカ36からの警報音とLED22の点灯とによる火災警報を停止する。
【0081】
なお、LED22による火災警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。またこの所定時間中は、LED22を警報中の点灯から点滅に変更して駆動させるようにしても良い。このようにして、警報中の表示と警報音停止後所定期間中の表示とを異ならせ、区別して認識することができる。
【0082】
続いてステップS6で警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の検知有無を判別し、警報停止指示操作検出有りが判別されるとステップS7で火災警報中か否かを判別する。ステップS7で警報中であることが判別されると、ステップS8に進んでスピーカ36からの火災警報音出力を停止させ、LED22の点灯による火災警報表示を消灯させる。なお、LED22の表示はステップS5と同様にすることができる。
【0083】
続いてステップS9に進み、ローバッテリー障害検知(断定)の有無を判別し、ローバッテリー障害検知有りを判別するとステップS10に進んでメモリ26にローバッテリー障害フラグ52をグセットして記憶する。
【0084】
続いてステップS11に進み、センサ障害検知の有無を判別し、センサ障害検知有りを判別すると、ステップS12に進んでメモリ26にセンサ障害フラグ54をセットして記憶する。
【0085】
図4は図2のプロセッサ24に設けた点検要求管理部50による手動点検要求管理処理の実施形態を例示した概略フローチャートである。
【0086】
図4において、点検要求管理処理は、まずステップS21で所定の点検周期、例えば30日を初期設定した点検タイマ58をスタートして計時動作を開始した後、ステップS22に進み、イベント検出部38により通常状態での警報停止スイッチ22の操作による点検示入力検出の有無を判別している。ステップS22で点検指示入力検出有りが判別されるとステップS23に進み、そのときメモリ26に記憶されている点検結果を報知する。
【0087】
即ち、メモリ32に障害フラグが記憶されているか否か判別し、障害フラグセットの記憶無しを判別した場合は、正常と判断して例えばスピーカからの音響出力機能確認音として例えば「ピッ 正常です」を所定の低音量で1回出力させ、住警器10が正常に動作することを利用者に知らせる。
【0088】
またローバッテリー障害フラグ52セットの記憶有りを判別した場合はローバッテリー障害警報を出力させ、センサ障害フラグ54の記憶有りを判別した場合はセンサ障害警報を出力させる。続いてステップS24に進み、点検タイマ58をリスタート(再スタート)させ、点検結果の報知時点を起点に点検周期30日の計時動作を開始する。
【0089】
ステップS22で点検操作(指示入力)検出有りが判別されない場合はステップS25に進み、点検タイマ58の点検周期30日の計時動作による点検時機到来検出の有無を判別している。
【0090】
ステップS25で利用者による点検操作が行われることなく点検タイマ58による計時が点検周期30日に達すると、点検時機到来が判別されてステップS26に進み、報知部30のLED22を例えば所定パターンで点滅して点検要求表示を行い、点検時機が到来したことを利用者に知らせて点検操作を促す。
【0091】
続いてステップS27に進んで警報停止スイッチ20による点検操作検出の有無を判別しており、利用者の操作による点検操作検出有りを判別するとステップS29に進み、そのときメモリ26に記憶されているビルトインテスト結果に基づき、正常(障害無し)の報知、ローバッテリー障害報知またはセンサ障害報知を行い、ステップS30でLED22の点滅による点検要求表示を停止すると共に、点検タイマ58をリスタート(再スタート)させ、点検結果の報知時点を起点に点検タイマ58による点検周期30日の計時動作を再び開始させる。
【0092】
一方、ステップS27で点検操作検出有りが判別されない場合はステップS28に進んで所定の待ち時間が経過したか否かを判別しており、点検操作検出有りを判別することなく待ち時間が経過するとステップS30に進み、ステップS30でLED22の点滅による点検要求表示を停止すると共に、点検タイマ58をリスタート(再スタート)させ、点検結果の報知時点を起点に再び点検周期30日の計時動作を開始する。
【0093】
ここで、ステップS26で行った点検要求表示はステップS28の所定待ち時間に亘り行われることになるが、この待ち時間としては、利用者が点検時機の到来を認識できるに充分な時間、例えば24時間を設定する。また、点検要求の報知をLED22の表示駆動としているため、例えば夜間の睡眠中に点検時機の到来検出が判別されても、利用者を煩わすことはない。
【0094】
図5は図2のプロセッサ24に設けた点検要求管理部50による点検要求管理処理の他の実施形態を例示した概略フローチャートであり、本実施形態にあっては、点検時機到来による点検要求表示に対し点検操作が行われなかった場合、点検タイマの点検周期を短い点検周期に変更して再スタートするようにしたことを特徴とする。
【0095】
図5において、ステップS31〜S41の処理は図4のステップS21〜S30の処理と基本的に同じであり、図4のステップS30の処理を図5ではステップS40,ステップS41に分けて示している。
【0096】
図5の実施形態に固有な処理としては、ステップS37で点検操作検出有りを判別することなくステップS38で所定の待ち時間が経過した場合、ステップS42に進んでLED22の点滅による点検要求表示を停止した後、ステップS43に進んでステップS31で初期設定した点検タイマ58の点検周期30日を例えば半分の点検周期15日と短い周期に変更してから点検タイマ58をリスタートする。
【0097】
このため点検周期30日の経過による手動点検時機到来に基づく操作要求表示に対し利用者が点検操作を行わなかった場合、次の点検周期が例えば半分の15日に短縮され、利用者に対し早めに点検操作を要求することができる。
【0098】
図6は図2のプロセッサ24に設けた点検要求管理部50による点検要求管理処理の他の実施形態を例示した概略フローチャートであり、本実施形態にあっては、点検時機到来で点検要求表示を行った後に所定の待ち時間の間に点検操作が行われなかった場合、操作部30のスピーカ36から点検要求を示すメッセージを含む報知音を出力するようにしたことを特徴とする。
【0099】
図6において、ステップS51〜S60の処理は図4のステップS21〜S30の処理と基本的に同じである。
【0100】
図6の実施形態に固有な処理としては、ステップS57で点検操作検出有りを判別することなくステップS58で所定の待ち時間が経過した場合、ステップS61に進んで報知部30のスピーカ36から点検要求を示すメッセージを含む点検要求報知音、例えば「ピーピー 点検時機が来ました 警報停止スイッチを押してください」を出力する。
【0101】
続いてステップS62に進んで警報停止スイッチ20による点検操作検出の有無を判別しており、利用者の操作による点検操作有りを判別するとステップS59に進み、そのときメモリ26に記憶されているビルトインテスト結果に基づき、正常(障害無し)の報知、ローバッテリー障害報知またはセンサ障害報知を行い、ステップS60でLED22の点滅による点検要求表示及びスピーカ36からの点検要求報知音を停止すると共に、点検タイマ58をリスタート(再スタート)させ、点検結果の報知時点を起点に点検時機を報知するための点検周期30日の計時動作を再び開始する。
【0102】
一方、ステップS62で点検操作検出有りが判別されない場合はステップS63で所定の待ち時間が経過したか否かを判別し、待ち時間経過を判別するとステップS60に進んで点検要求表示と点検要求報知音を停止し、点検タイマ58をリスタート(再スタート)させる。
【0103】
このように点検周期30日の経過による点検時機到来に基づく操作要求表示に対し利用者が点検操作を行わなかった場合、スピーカ36から点検要求を示すメッセージを含む報知音を出力することで、操作要求表示に気付かない利用者に対し確実に手動点検時機到来を知らせて点検操作を行わせることが可能となる。
【0104】
ここでステップS61の点検要求音声出力の時間は、ステップS63の待ち時間により決まるが、その時間の間、音声出力は例えば1時間に1回というように間欠的に行うことが望ましい。
【0105】
図7は図2のプロセッサ24に設けた点検要求管理部50による点検要求管理処理の他の実施形態を例示した概略フローチャートであり、本実施形態にあっては、図6の実施形態に加え、点検時機到来による点検要求表示に対し点検操作が行われなかった場合、点検タイマ58の点検周期を短い点検周期に変更して再スタートするようにしたことを特徴とする。
【0106】
図7において、ステップS71〜S81の処理は図6のステップS51〜S60の処理と基本的に同じであり、図6のステップS60の処理を図7ではステップS80,ステップS81に分けて示している。
【0107】
図7の実施形態に固有な処理としては、ステップS83で点検操作検出有りを判別することなくステップS84で所定の待ち時間経過が判別された場合、ステップS85に進んで点検要求表示及び点検要求報知音を停止した後、ステップS86に進んでステップS71で初期設定した点検タイマ58の点検周期30日を例えば半分の点検周期15日と短い周期に変更してから点検タイマ58をリスタートする。
【0108】
このため点検周期30日の経過による手動点検時機到来に基づく操作要求表示に対し利用者が点検操作を行わなかった場合、次の点検周期が例えば半分の15日に短縮され、利用者に対し早めに点検操作を要求することができる。
【0109】
なお、上記の実施形態は火災を検知して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器についても同様に適用できる。
【0110】
また、上記の実施形態では警報停止スイッチと点検スイッチを兼用する例を示したが、各スイッチは必ずしも兼用とする必要は無く、独立した点検スイッチを個別に設けても良い。
【0111】
また、上記の実施形態で警報停止スイッチ20として示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良い。
【0112】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等ができる。
【0113】
また、上記実施の形態で示した各機器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0114】
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する住警器を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。この場合にはローバッテリー障害に代えて電源障害を検知して処理することになる。
【0115】
また、上記の実施形態では手動点検の対象としてローバッテリー障害とセンサ障害を主な例として説明したが、他の故障や障害についても同様に対象とすることができる。更に、例えば障害の対象によって、手動点検時以外にもビルトインテストの結果を適時自動報知するものであっても良い。つまり、何らかの障害その他について手動点検を要する警報器であれば、その手動点検時機の到来を報知するものとして本発明を同様に適用できる。
【0116】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0117】
また、図2に例示した構成を適宜分離して別体に構成した警報器についても、本発明を適用できる。
【0118】
また、本発明は、自己の所定イベントを検知した場合に、他の警報器に連動信号を送信し、他の警報器から連動信号を受信した場合に所定の報知を行う、連動型の警報器についても適用できる。この場合、例えば所定の代表警報器の点検タイマに基づき、当該代表警報器から他の警報器に手動点検時機到来を示すイベント信号を送信させて他の警報器にも点検要求を連動報知させるようにしても良い。
【0119】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0120】
10:住警器
12:カバー
14:本体
16:検煙部
17:取付フック
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:プロセッサ
26:メモリ
28:センサ部
30:報知部
32:操作部
34:移報部
35:電池電源
36::スピーカ
38:イベント検出部
40:監視処理部
42:障害検知部
44:ローバッテリー障害検知部
46:センサ障害検知部
48:点検処理部
50:点検要求管理部
52:ローバッテリー障害フラグ
54:センサ障害フラグ
56:定期通報タイマ
58:点検タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電源で動作し、
環境変化に基づいて監視領域の異常を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
所定周期毎に、所定の障害検知を実行して検知した障害情報を記憶部に記憶する障害検知部と、
異常警報及び障害警報を出力する報知部と、
外部から所定の処理を実行指示する操作部と、
前記センサ部の検出信号出力に基づく異常発生をはじめとするイベントを検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部で異常発生を検出した場合に前記報知部から異常警報を出力させる監視処理部と、
前記イベント検出部で前記操作部の操作による点検指示入力を検出した場合、前記記憶部の前記障害情報に基づいて前記報知部から点検結果を報知させる点検処理部と、
を設けた警報器に於いて、
前記操作部の点検操作を必要とする所定の点検周期を設定して計時する点検タイマと、
前記点検タイマによる前記点検周期の到来前に前記操作部の点検操作を検出した場合は前記点検処理部に点検結果を報知させた後に前記点検タイマを再スタートさせ、前記点検タイマによる前記点検周期の到来を検出した場合は前記操作部の点検操作を求める点検要求情報を前記報知部から出力させる点検要求管理部と、
を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
請求項1記載の警報器に於いて、前記点検要求管理部は、前記点検要求情報として前記報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の操作による点検指示入力を検出しない場合は、前記点検要求表示を停止すると共に前記点検タイマを再スタートさせることを特徴とする警報器。
【請求項3】
請求項1記載の警報器に於いて、前記点検要求管理部は、前記点検要求情報として前記報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の操作による点検指示入力を検出しない場合は前記報知部から点検要求を示すメッセージを含む警報音を出力させ、前記警報音の出力中に所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合は前記点検要求表示及び警報音を停止すると共に前記点検タイマを再スタートさせることを特徴とする警報器。
【請求項4】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記点検要求管理部は、前記操作部の操作による点検指示入力を検出せずに前記点検タイマを再スタートさせる場合、前記点検タイマに設定している前記所定の点検周期をより短い点検周期に変更して再スタートさせることを特徴とする警報器。
【請求項5】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記点検要求管理部は、前記操作部の操作による点検指示入力を検出せずに前記点検タイマを再スタートさせる場合、同条件における再スタートの連続回数に応じて前記点検タイマに設定している前記所定の点検周期を段階的に短い点検周期に変更して再スタートさせることを特徴とする警報器。
【請求項6】
請求項1記載の警報器に於いて、前記点検処理部は、前記イベント検出部で前記操作部の操作による点検指示入力を検出した場合、前記記憶部に障害情報を記憶している場合は前記報知部から障害警報を出力させ、前記記憶部に障害情報が記憶されていない正常を判別した場合は前記報知部から所定の確認音を出力させることを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−98853(P2012−98853A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245012(P2010−245012)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】