警報装置
【課題】 本発明の目的は、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる警報装置を提供する点にある。
【解決手段】 火災を検出する火災検出手段14と、火災検出手段14で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段15とを備えた警報装置10であって、火災検出手段14の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段11と、環境状態検出手段11の検出結果に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13とを備えた。
【解決手段】 火災を検出する火災検出手段14と、火災検出手段14で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段15とを備えた警報装置10であって、火災検出手段14の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段11と、環境状態検出手段11の検出結果に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記警報装置としての火災警報装置は、煙を感知する煙センサを火災センサとして備えた煙感知式、熱を感知する熱センサを火災センサとして備えた熱感知式、炎が発する光を感知する炎センサを火災センサとして備えた炎感知式のものがあり、詳しくは、火災が発生することで変化する火災センサの出力が予め設定された設定閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段と、その火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えて構成されている。
【0003】
また、このような火災警報装置は、調理時や喫煙時に発生する煙、熱又は炎を感知して火災を誤検出するという問題がある。
そこで、このような誤検出の問題を回避するための火災警報装置として、火災センサの出力が設定閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段とは別に、室内において火災により生成される一酸化炭素等の濃度を検知するガスセンサを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が設定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災を報知するための初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が設定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災警報に変えて、本格火災を報知するための本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)
【0004】
【特許文献1】特開2000−132761号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の火災警報装置では、実際に火災が発生し、火災検出手段が火災を検出した場合でも、ガスセンサで検出した一酸化炭素濃度等のガス濃度が所定の設定閾値以上となるまでは、本格火災警報を出力しないので、火災が発生してから本格火災警報を出力するまでに遅れが生じ、消火活動等の対処が遅れてしまう場合がある。
また、実際の火災においては、常に一酸化炭素濃度等のガス濃度が高いとは限らず、一時的に一酸化炭素濃度が低下する場合が考えられるが、その場合にも本格火災警報を出力することなく、初期火災警報を出力するので、例えば、消化活動を行う者が、本格火災警報が初期火災警報に変化したときに、火災が沈静化したと誤解させるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる警報装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る警報装置は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、その第1特徴構成は、前記火災検出手段の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段と、
前記環境状態検出手段の検出結果に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段とを備えた点にある。
【0008】
上記第1特徴構成によれば、環境状態検出手段により検出した環境状態が、例えば当該警報装置の設置空間において調理や喫煙等が行われていない等のように、火災検出手段の誤検出の可能性が低い環境状態である場合には、検出感度調整手段が火災検出手段の検出感度を高い側に調整するので、所望の検出精度を確保しながら火災を検出して火災警報を出力することができる。
逆に、環境状態検出手段により検出した環境状態が、火災検出手段の誤検出の可能性が高い環境状態である場合には、検出感度調整手段が火災検出手段の検出感度を低い側に調整して、火災検出手段による火災の誤検出によって誤った火災警報を出力することを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る警報装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記環境状態検出手段として、火災により生成される火災生成ガスの濃度を前記環境状態として検出するガスセンサを備え、
前記検出感度調整手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を高い側に調整するように構成されている点にある。
【0010】
上記第2特徴構成によれば、環境状態検出手段としてのガスセンサにより、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出し、検出感度調整手段が、その火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、環境状態が火災検出手段の誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
尚、上記火災生成ガス濃度関連値は、上記火災生成ガスの濃度、その濃度の増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となるときの継続時間等のように、火災生成ガスの濃度の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0011】
本発明に係る警報装置の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである点にある。
【0012】
上記第3特徴構成によれば、火災により生成される火災生成ガスとしては、一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素又はシアン化水素があり、それらの火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値は、火災時に常に高いとは限らないが、その火災生成ガス濃度関連値が高い場合には、火災が発生している可能性が高く火災検出手段の誤検出の可能性が低いと判断することができ、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、所望の検出精度を確保しながら火災を検出して火災警報を出力することができる。
【0013】
本発明に係る警報装置の第4特徴構成は、上記第1乃至第3特徴構成の何れかに加えて、前記環境状態検出手段として、湿度を前記環境状態として検出する湿度検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記湿度検出手段で検出した湿度に関する湿度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を低い側に調整するように構成されている点にある。
【0014】
上記第4特徴構成によれば、湿度検出手段により検出した湿度に関する湿度関連値が、例えば当該警報装置の設置空間において調理や湯沸しが行われている場合や天候条件等により湿度が上昇した場合のように、火災検出手段の誤検知の可能性が高い湿度関連値であると判断した場合には、火災検出手段の検出感度を低い側に調整して、火災検出手段による火災の誤検出によって誤った火災警報を出力することを抑制することができる。
尚、上記湿度関連値は、湿度高さ、湿度の増加率、その湿度が継続して設定湿度以上となるときの継続時間、又は、結露情報値等のように、湿度状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0015】
本発明に係る警報装置の第5特徴構成は、上記第1乃至第4特徴構成の何れかに加えて、前記環境状態検出手段として、人が存在していない不在状態を前記環境状態として検出する不在状態検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出した場合の前記火災検出手段の検出感度を、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出していない場合の前記火災検出手段の検出感度よりも高い側に調整するように構成されている点にある。
【0016】
上記第5特徴構成によれば、環境状態検出手段としての不在状態検出手段により、不在状態を検出した場合には、調理や喫煙が行われていないことから、環境状態が火災検出手段の誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
【0017】
本発明に係る警報装置の第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、室内における水素濃度を検出する水素センサを備え、
前記火災検出手段が、前記水素センサで検出した水素濃度に関する水素濃度関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている点にある。
【0018】
上記第6特徴構成によれば、不在状態検出手段により不在状態を検出した場合には、喫煙が行われていないと考えられるので、水素センサにより検出した水素濃度は喫煙ではなく火災に起因して増加するので、火災検出手段は、水素センサにより検出した水素濃度を用いて比較的高い検出感度で正確に火災を検出することができる。逆に、不在状態検出手段により不在状態を検出していない場合には、喫煙が行われている可能性があり、水素センサにより検出した水素濃度は喫煙に起因して増加する可能性があるので、火災検出手段は、水素センサにより検出した水素濃度を用いて比較的低い検出感度で誤検出を抑制しながら火災を検出することができる。
尚、上記水素濃度関連値は、上記水素の濃度、その濃度の増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等のように、水素の濃度の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0019】
本発明に係る警報装置の第7特徴構成は、上記第1乃至第6特徴構成の何れかに加えて、火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている点にある。
【0020】
上記第7特徴構成によれば、火災検出手段が、煙センサ、熱センサ又は炎センサ等の火災が発生することで変化する火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成することができ、この場合においても、検出感度調整手段により、環境状態検出手段の検出結果に応じて火災検出手段の火災に対する検出感度としての上記設定閾値を調整することで、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
尚、上記火災センサ出力関連値は、上記火災センサの出力、その出力の増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等のように、火災センサの出力の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0021】
本発明に係る警報装置の第8特徴構成は、上記第1乃至第7特徴構成の何れかに加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記警報手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている点にある。
【0022】
上記第8特徴構成によれば、ガスセンサにより、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出し、その火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、例えば予め設定された設定閾値以上となった場合に、警報手段は、火災生成ガス濃度が高くなったことを通知するための警報、又は、火災が発生したことを通知するための火災警報等の警報を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る警報装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
警報装置10は、図1に示すように、火災Fを感知して火災警報を出力するものであり、本実施形態では、家庭内のキッチンの側壁4に設置され、コンロ2上のてんぷら油による火災Fを感知する形態の警報装置10について、説明する。
【0024】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の警報装置10は、図2に示すように、基本的には、火災を検出する火災検出手段14と、その火災検出手段14で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段15とを備えて構成されている。
【0025】
警報装置10は、火災Fによる煙を感知して、その煙の濃度に比例する出力を発する煙センサ、火災Fによる熱を感知して、その熱量に比例する出力を発する熱センサ、火災Fによる炎が発する赤外線や紫外線等の光を感知して、その光の強度に比例する出力を発する炎センサ等の火災センサ14aを備え、火災検出手段14は、火災が発生することで変化する火災センサ14aの出力、その出力の単位時間当りの増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等の、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値を得て、その火災センサ出力関連値がその火災センサ14aにおいて火災Fを検出するための基準として予め設定された設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている。
【0026】
また、火災検出手段14は、その設定閾値を変更することで、火災Fに対する検出感度を変更自在に構成されている。即ち、火災検出手段14において設定閾値を小さくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して敏感に火災Fを検出する状態、即ち、火災Fに対する検出感度が高い状態となり、逆に、火災検出手段14において設定閾値を大きくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して鈍感に火災Fを検出する状態、即ち、火災Fに対する検出感度が低い状態となる。
【0027】
また、警報手段15は、火災検出手段14で火災を検出したときに、火災警報を出力するのであるが、その火災警報を出力する形態としては、スピーカなどで警報音を発生する形態や、インターネット等の通信ネットワークを通じてガス供給会社や警備会社等のセンター装置に警報信号を送信する形態や、コンロ2へのガスの供給を遮断する遮断弁に対してガスの供給を遮断させるための遮断信号を発信する形態等や、その他の公知の火災警報の出力形態を採用することができる。
【0028】
更に、この警報装置10には、火災検出手段14の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段11として、その設置空間において火災Fにより生成される火災生成ガスの濃度を環境状態として検出するガスセンサ11aが設けられている。
【0029】
このガスセンサ11aは、火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサであり、例えば、一酸化炭素は火災Fにより不完全燃焼が発生することにより生成され、水素やアルデヒド類、ケトン類は、発火前に発生する成分や火災Fによる中間生成物として生成され、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素は火災Fによる燃焼生成物として生成されるものであり、更に、通常の調理時や喫煙時においては、その生成量は少ない。
【0030】
よって、ガスセンサ11aで検出される火災生成ガスの濃度、その濃度の単位時間当りの増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が高い場合には火災Fが発生している可能性が高いと判断でき、逆に、その火災生成ガス濃度関連値が低い場合には火災Fが発生している可能性が低いと判断できる。
【0031】
また、上記のようなガスセンサ11aとしては、公知の定電位電解型や起電力検出型、酸化還元混合電位検出型、電解質上設置電極反応電流を検出するタイプ等の電気化学式や金属酸化物半導体式等の公知のガスセンサを用いることができるので詳細については説明を割愛するが、例えば、一酸化炭素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化インジウム半導体からなる感応部を用いた半導体式のガスセンサや、電解液や固体電解質等の電解質上に設けた電極上で一酸化炭素が反応することにより発生する電流を検出する電気化学式のガスセンサを用いることができ、水素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体などからなる感応部を用いた半導体式や接触燃焼式のガスセンサを用いることができる。
【0032】
更に、この警報装置10には、環境状態検出手段11の検出結果に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13が設けられている。
詳しくは、この検出感度調整手段13は、環境状態検出手段11としてのガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を小さい側に調整するように構成されている。
【0033】
即ち、ガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度が高く、火災Fが発生している可能性が高いと判断できる場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0034】
次に、これまで説明した第1実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図3に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、検出感度調整手段13により、ガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度bが、そのガスセンサ11aの出力に対して予め設定された設定閾値B以上であるか否かを判定する(ステップ#101)。そして、火災生成ガスの濃度bが予め設定された設定閾値B以上である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを小さめの値A1に設定することで(ステップ#102)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、火災生成ガスの濃度bが予め設定された設定閾値B未満である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを大きめの値A2(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#103)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0035】
次に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#104)。そして、火災センサ14aの出力aが設定閾値A以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#105)。
【0036】
また、ステップ#101において、火災生成ガスの濃度bが、所定の設定閾値Bと同じ値又は別の値として設定された設定閾値以上であるか否かを判定し、その火災生成ガスの濃度bがその設定閾値以上であった場合に、警報手段15が、設置空間において火災生成ガスの濃度bが比較的高くなっていることを通知するための警報を出力するように構成しても構わない。
【0037】
尚、ステップ#101の判定処理で用いた火災生成ガスの濃度bの代わりに、その濃度bの単位時間当りの増加率、又は、その濃度bが継続して設定濃度以上となる継続時間等の、他の火災生成ガス濃度関連値を利用しても構わない。
尚、ステップ#104の判定処理で用いた火災センサ11aの出力aの代わりに、その出力aの単位時間当りの増加率、又は、その出力aが継続して設定出力以上となる継続時間等の、他の火災センサ出力関連値を利用しても構わない。
【0038】
〔実施例〕
次に、実際の火災の発生を想定して、上述した第1実施形態で説明した警報装置の火災警報の出力形態(実施例)と、従来の火災警報装置の火災警報の出力形態(比較例)とについて説明する。
ここで、比較例としての従来の火災警報装置としては、実施例としての上述した第1実施形態の警報装置と同様のガスセンサと火災センサを用いた火災検出手段とを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が設定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が設定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、実施例の警報装置で出力する火災警報に対応する本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置を用いる。
また、ガスセンサとしては、一酸化炭素(CO)の濃度を検出する一酸化炭素センサを用いる。
【0039】
先ず、図4及び図5に示すように、火災が発生してから鎮火するまでにおいて、火災センサの出力が設定閾値以上となって火災検出手段で火災が検出されている間において、火災発生直後と鎮火直前において不完全燃焼等の理由でガスセンサで検出された一酸化炭素の濃度が一時的に設定閾値以上となる場合を想定する。
【0040】
この場合、実施例の警報装置では、図4に示すように、火災検出手段で火災が検出されている間は常に火災警報を出力するので、使用者は正確に火災が発生している状況を把握することができる。
一方、比較例の火災警報装置では、図5に示すように、燃焼の進行に伴い不完全燃焼から完全燃焼に移行することにより一酸化炭素濃度が設定閾値未満となっている間は、初期火災警報を出力することから、使用者は、本格火災警報が初期火災警報に変化することで、火災が収まったと誤解してしまう恐れがある。
【0041】
次に、図6及び図7に示すように、調理や喫煙などにより、火災センサの出力が上昇し、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値以下に維持されている場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図6に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値未満であることから、火災検出手段の設定閾値が高く(検出感度が低く)調整されているので、火災センサの出力がその設定閾値以上となることが抑制されて、誤って火災警報が出力されることが抑制される。
一方、比較例の火災警報装置では、図7に示すように、火災検出手段の設定閾値が実施例よりも低く(検出感度が高く)設定されているので、火災センサの出力がその設定閾値以上となり、誤って初期火災警報が出力されてしまう場合がある。
【0042】
次に、図8及び図9に示すように、火災が発生したが火災センサの出力の上昇が比較的小規模であり、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値以上となる場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図8に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値以上であることから、火災検出手段の設定閾値が低く(検出感度が高く)調整されているので、火災センサの出力が比較的小規模でもその設定閾値以上となり、火災警報を出力することができる。
一方、比較例の火災警報装置では、図9に示すように、火災検出手段の設定閾値が実施例よりも高く(検出感度が低く)設定されているので、火災センサの出力が比較的小規模であることから、その出力が設定閾値未満となるので、本格火災警報はもちろんのこと、初期火災警報も出力することができない。
【0043】
以上の結果から、実施例の警報装置は、比較例の火災警報装置よりも正確に火災を検出して火災警報を出力することができるといえる。
【0044】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の警報装置10は、上述した第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、図10に示すように、環境状態検出手段11として、その設置空間における湿度を環境状態として検出する湿度検出センサ11b(湿度検出手段)が設けられている。
【0045】
この湿度検出センサ11bは、設置空間中の水分や湿度、水蒸気濃度、結露状態などを検出するセンサであり、この湿度検出センサ11bにより、湿度高さ、湿度の増加率、その湿度が継続して設定湿度以上となるときの継続時間、又は、結露情報値(結露が発生しているときに高くなる値)等のように、湿度状態に伴って増減する湿度関連値を求めることができ、この湿度関連値は、通常の調理時や湯沸しが行われている場合や天候条件等により湿度が上昇している場合に高い値を示すものとなる。
【0046】
よって、この湿度検出センサ11bで検出された湿度に関する湿度関連値が高い場合には、検出感度調整手段13は、水蒸気や水分による火災検出手段14の火災の誤検出の可能性が高いと判断できることから、火災検出手段14の検出感度を低い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を大きい側に調整するように構成されている。
【0047】
即ち、湿度検出センサ11bで検出された湿度に関する湿度関連値が高い場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を低い側に調整することで、火災検出手段14の水蒸気や水分による火災の誤検出によって誤った火災警報を出力することを抑制することができる。
【0048】
尚、湿度検出センサ11bとしては、公知の湿度センサ、露点センサ、又は、結露センサ等を用いることができ、例えば、セラミックや高分子からなる感応部を用いた湿度センサや結露センサを用いることができる。
【0049】
次に、これまで説明した第2実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図11に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、検出感度調整手段13により、湿度検出センサ11bで検出した湿度cが、その湿度検出センサ11cの出力に対して予め設定された設定閾値C以上であるか否かを判定する(ステップ#201)。そして、湿度cが予め設定された設定閾値C以上である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを大きめの値A2に設定することで(ステップ#203)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整し、逆に、湿度cが予め設定された設定閾値C未満である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを小さめの値A1(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#202)、火災検出手段14の検出感度を高め調整する。
【0050】
以降は、上述した第1実施形態と同様に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#204)。そして、火災センサ14aの出力aが設定閾値A以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#205)。
【0051】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の警報装置10は、上述した第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、図12に示すように、環境状態検出手段11として、その設置空間に人が存在していない不在状態を環境状態として検出する不在状態検出手段11cが設けられている。
【0052】
この不在状態検出手段11cは、公知の人感センサ11dにより所定の時間継続して人の存在を感知しなかったことを、不在状態として検出するように構成されている。
尚、不在状態検出手段11cは、例えば、不在ボタン(図示せず)が押された場合に、不在状態を検出し、不在ボタンが再度押されるなどして解除された場合に、不在状態の検出を解除して設置空間に人が存在していると判断するように構成するなど、適宜改変可能である。
【0053】
そして、検出感度調整手段13は、環境状態検出手段11としての不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、その設置空間において調理や喫煙が行われていないと判断できることから、設置空間における環境状態が火災検出手段14の誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段14の検出感度を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも高い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも小さい側に調整するように構成されている。
【0054】
即ち、不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0055】
次に、これまで説明した第3実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図13に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、検出感度調整手段13により、不在状態検出手段11cで不在状態を検出したか否かを判定する(ステップ#301)。そして、不在状態を検出した場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを小さめの値A1に設定することで(ステップ#302)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、不在状態を検出しなかった場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを大きめの値A2(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#303)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0056】
以降は、上述した第1実施形態と同様に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#304)。そして、火災センサ14aの出力aが設定閾値A以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#305)。
【0057】
〔第4実施形態〕
第4実施形態の警報装置10は、第3実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、図14に示すように、火災検出手段14が、火災Fにより発生する水素を感知して、水素濃度に比例する出力を発する水素センサ14bを備え、その水素センサ14bで検出される水素濃度、その濃度の単位時間当りの増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、水素の濃度に関する水素濃度関連値を得て、水素濃度関連値が、設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている。
【0058】
尚、水素センサ14bとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体などからなる感応部を用いた半導体式や接触燃焼式のガスセンサを用いることができる。
【0059】
そして、検出感度調整手段13は、環境状態検出手段11としての不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、その設置空間において喫煙が行われておらず喫煙に起因して生成される水素が存在しないと判断できることから、設置空間における環境状態が火災検出手段14の喫煙に起因する誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段14の検出感度を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも高い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも小さい側に調整するように構成されている。
【0060】
即ち、不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0061】
次に、これまで説明した第4実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図15に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、上述した第3実施形態と同様に、検出感度調整手段13により、不在状態検出手段11cで不在状態を検出したか否かを判定する(ステップ#401)。そして、不在状態を検出した場合には、火災検出手段14の設定閾値A’を小さめの値A1’に設定することで(ステップ#402)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、不在状態を検出しなかった場合には、火災検出手段14の設定閾値A’を大きめの値A2’(即ち、A1’<A2’)に設定して(ステップ#403)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0062】
次に、火災検出手段14により、水素センサ14bで検出された水素濃度a’が上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A’以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#404)。そして、水素センサ14bで検出された水素濃度a’が設定閾値A’以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#405)。
【0063】
尚、ステップ#404の判定処理で用いた水素濃度a’の代わりに、その濃度a’の単位時間当りの増加率、又は、その濃度a’が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、他の水素濃度関連値を利用しても構わない。
【0064】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、火災検出手段14を、例えば煙、熱又は炎を感知する火災センサ14aや水素を感知する水素センサ14bを用いて火災を検出するように構成したが、例えば上記水素以外の火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、火災検出手段14を、そのガスセンサで検出される火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値がそのガスセンサの出力に対して予め設定された設定閾値以上となったことを火災として検出するように構成するなどのように、別の形態で火災を検出するように構成しても構わない。
【0065】
(2)上記実施の形態では、環境状態検出手段11を、ガスセンサ11aや不在状態検出手段11cで構成したが、例えば、火災検出手段の感知対象とは別の火災による煙、熱、炎の少なくとも1つを設置空間における環境状態として検出するように構成するなど、別の構成を採用しても構わない。
【0066】
(3)上記実施の形態では、環境状態検出手段11の検出結果に応じて火災検出手段14の検出感度を二段階で調整する構成を示したが、火災検出手段14の検出感度は、二段階以上の複数段階で調整したり、無段階で調整しても構わない。また、火災検出手段14の検出感度を環境状態検出手段11の検出結果を所定の関数やデータテーブルに基づいて連続的に変化させることで、より細かな調整を行うことができる。即ち、このような警報装置は、環境状態検出手段の検出結果と火災検出手段の検出感度とを関連付けた関数又はテーブルを予め有し、環境状態検出手段の検出結果から上記関数又はデータテーブルに基づいて火災検出手段の検出感度を決定するように構成される。
【0067】
以下、関数又はデータテーブルを用いて火災検出手段の検出感度を調整する警報装置の例について、説明を加える。
尚、ここで説明する警報装置は、上記第1実施形態及び図2で説明した警報装置10と同様に、火災を検出する火災検出手段14を、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が予め設定された設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成し、環境状態検出手段11として火災生成ガスの濃度を環境状態として検出するガスセンサ11aを備えた警報装置10とする。
【0068】
この警報装置は、図16に示すように、火災生成ガス濃度関連値が高くなるほど、火災検出手段の検出感度が連続的に高くなる、即ち、火災検出手段の火災センサ出力関連値に対する設定閾値が連続的に低くなるように定義され、火災生成ガス濃度関連値と火災検出手段の検出感度としての設定閾値とを関連付けた関数又はデータテーブルを有する。
そして、このように構成した警報装置により、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とを、上記関数又はテータテーブルに当てはめて、火災を検出し、火災警報を発することができる。
【0069】
また、警報手段15は、上記関数又はデータテーブルとは別に、火災生成ガス濃度関連値が設定閾値以上となった場合に、火災生成ガスの濃度が比較的高くなっていることを通知するための火災生成ガス警報を出力することができる。
【0070】
尚、上記図16に示すように、火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値とに関連付けて、火災警報、火災生成ガス警報、無警報等の領域を定義したデータマップを予め有しておき、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とが示す座標が、そのデータマップのどの領域にあるかにより、火災警報、火災生成ガス警報、無警報等を判定しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】警報装置の設置状態を示す図
【図2】第1実施形態の警報装置の概略構成図
【図3】第1実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図4】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図5】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図6】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図7】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図8】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図9】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図10】第2実施形態の警報装置の概略構成図
【図11】第2実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図12】第3実施形態の警報装置の概略構成図
【図13】第3実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図14】第4実施形態の警報装置の概略構成図
【図15】第4実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図16】別実施形態の警報装置の説明図
【符号の説明】
【0072】
10:警報装置
11a:ガスセンサ
11b:湿度検出センサ(湿度検出手段)
11:環境状態検出手段
11c:不在状態検出手段
13:検出感度調整手段
14:火災検出手段
14a:火災センサ
14b:水素センサ
15:警報手段
F:火災
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記警報装置としての火災警報装置は、煙を感知する煙センサを火災センサとして備えた煙感知式、熱を感知する熱センサを火災センサとして備えた熱感知式、炎が発する光を感知する炎センサを火災センサとして備えた炎感知式のものがあり、詳しくは、火災が発生することで変化する火災センサの出力が予め設定された設定閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段と、その火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えて構成されている。
【0003】
また、このような火災警報装置は、調理時や喫煙時に発生する煙、熱又は炎を感知して火災を誤検出するという問題がある。
そこで、このような誤検出の問題を回避するための火災警報装置として、火災センサの出力が設定閾値以上となる場合を火災として検出する火災検出手段とは別に、室内において火災により生成される一酸化炭素等の濃度を検知するガスセンサを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が設定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災を報知するための初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が設定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災警報に変えて、本格火災を報知するための本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)
【0004】
【特許文献1】特開2000−132761号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の火災警報装置では、実際に火災が発生し、火災検出手段が火災を検出した場合でも、ガスセンサで検出した一酸化炭素濃度等のガス濃度が所定の設定閾値以上となるまでは、本格火災警報を出力しないので、火災が発生してから本格火災警報を出力するまでに遅れが生じ、消火活動等の対処が遅れてしまう場合がある。
また、実際の火災においては、常に一酸化炭素濃度等のガス濃度が高いとは限らず、一時的に一酸化炭素濃度が低下する場合が考えられるが、その場合にも本格火災警報を出力することなく、初期火災警報を出力するので、例えば、消化活動を行う者が、本格火災警報が初期火災警報に変化したときに、火災が沈静化したと誤解させるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる警報装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る警報装置は、火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、その第1特徴構成は、前記火災検出手段の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段と、
前記環境状態検出手段の検出結果に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段とを備えた点にある。
【0008】
上記第1特徴構成によれば、環境状態検出手段により検出した環境状態が、例えば当該警報装置の設置空間において調理や喫煙等が行われていない等のように、火災検出手段の誤検出の可能性が低い環境状態である場合には、検出感度調整手段が火災検出手段の検出感度を高い側に調整するので、所望の検出精度を確保しながら火災を検出して火災警報を出力することができる。
逆に、環境状態検出手段により検出した環境状態が、火災検出手段の誤検出の可能性が高い環境状態である場合には、検出感度調整手段が火災検出手段の検出感度を低い側に調整して、火災検出手段による火災の誤検出によって誤った火災警報を出力することを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る警報装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記環境状態検出手段として、火災により生成される火災生成ガスの濃度を前記環境状態として検出するガスセンサを備え、
前記検出感度調整手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を高い側に調整するように構成されている点にある。
【0010】
上記第2特徴構成によれば、環境状態検出手段としてのガスセンサにより、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出し、検出感度調整手段が、その火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、環境状態が火災検出手段の誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
尚、上記火災生成ガス濃度関連値は、上記火災生成ガスの濃度、その濃度の増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となるときの継続時間等のように、火災生成ガスの濃度の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0011】
本発明に係る警報装置の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである点にある。
【0012】
上記第3特徴構成によれば、火災により生成される火災生成ガスとしては、一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素又はシアン化水素があり、それらの火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値は、火災時に常に高いとは限らないが、その火災生成ガス濃度関連値が高い場合には、火災が発生している可能性が高く火災検出手段の誤検出の可能性が低いと判断することができ、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、所望の検出精度を確保しながら火災を検出して火災警報を出力することができる。
【0013】
本発明に係る警報装置の第4特徴構成は、上記第1乃至第3特徴構成の何れかに加えて、前記環境状態検出手段として、湿度を前記環境状態として検出する湿度検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記湿度検出手段で検出した湿度に関する湿度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を低い側に調整するように構成されている点にある。
【0014】
上記第4特徴構成によれば、湿度検出手段により検出した湿度に関する湿度関連値が、例えば当該警報装置の設置空間において調理や湯沸しが行われている場合や天候条件等により湿度が上昇した場合のように、火災検出手段の誤検知の可能性が高い湿度関連値であると判断した場合には、火災検出手段の検出感度を低い側に調整して、火災検出手段による火災の誤検出によって誤った火災警報を出力することを抑制することができる。
尚、上記湿度関連値は、湿度高さ、湿度の増加率、その湿度が継続して設定湿度以上となるときの継続時間、又は、結露情報値等のように、湿度状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0015】
本発明に係る警報装置の第5特徴構成は、上記第1乃至第4特徴構成の何れかに加えて、前記環境状態検出手段として、人が存在していない不在状態を前記環境状態として検出する不在状態検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出した場合の前記火災検出手段の検出感度を、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出していない場合の前記火災検出手段の検出感度よりも高い側に調整するように構成されている点にある。
【0016】
上記第5特徴構成によれば、環境状態検出手段としての不在状態検出手段により、不在状態を検出した場合には、調理や喫煙が行われていないことから、環境状態が火災検出手段の誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段の検出感度を高い側に調整して、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
【0017】
本発明に係る警報装置の第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、室内における水素濃度を検出する水素センサを備え、
前記火災検出手段が、前記水素センサで検出した水素濃度に関する水素濃度関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている点にある。
【0018】
上記第6特徴構成によれば、不在状態検出手段により不在状態を検出した場合には、喫煙が行われていないと考えられるので、水素センサにより検出した水素濃度は喫煙ではなく火災に起因して増加するので、火災検出手段は、水素センサにより検出した水素濃度を用いて比較的高い検出感度で正確に火災を検出することができる。逆に、不在状態検出手段により不在状態を検出していない場合には、喫煙が行われている可能性があり、水素センサにより検出した水素濃度は喫煙に起因して増加する可能性があるので、火災検出手段は、水素センサにより検出した水素濃度を用いて比較的低い検出感度で誤検出を抑制しながら火災を検出することができる。
尚、上記水素濃度関連値は、上記水素の濃度、その濃度の増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等のように、水素の濃度の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0019】
本発明に係る警報装置の第7特徴構成は、上記第1乃至第6特徴構成の何れかに加えて、火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている点にある。
【0020】
上記第7特徴構成によれば、火災検出手段が、煙センサ、熱センサ又は炎センサ等の火災が発生することで変化する火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成することができ、この場合においても、検出感度調整手段により、環境状態検出手段の検出結果に応じて火災検出手段の火災に対する検出感度としての上記設定閾値を調整することで、正確に火災を検出し火災警報を出力することができる。
尚、上記火災センサ出力関連値は、上記火災センサの出力、その出力の増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等のように、火災センサの出力の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0021】
本発明に係る警報装置の第8特徴構成は、上記第1乃至第7特徴構成の何れかに加えて、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記警報手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている点にある。
【0022】
上記第8特徴構成によれば、ガスセンサにより、火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出し、その火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が、例えば予め設定された設定閾値以上となった場合に、警報手段は、火災生成ガス濃度が高くなったことを通知するための警報、又は、火災が発生したことを通知するための火災警報等の警報を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る警報装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
警報装置10は、図1に示すように、火災Fを感知して火災警報を出力するものであり、本実施形態では、家庭内のキッチンの側壁4に設置され、コンロ2上のてんぷら油による火災Fを感知する形態の警報装置10について、説明する。
【0024】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の警報装置10は、図2に示すように、基本的には、火災を検出する火災検出手段14と、その火災検出手段14で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段15とを備えて構成されている。
【0025】
警報装置10は、火災Fによる煙を感知して、その煙の濃度に比例する出力を発する煙センサ、火災Fによる熱を感知して、その熱量に比例する出力を発する熱センサ、火災Fによる炎が発する赤外線や紫外線等の光を感知して、その光の強度に比例する出力を発する炎センサ等の火災センサ14aを備え、火災検出手段14は、火災が発生することで変化する火災センサ14aの出力、その出力の単位時間当りの増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等の、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値を得て、その火災センサ出力関連値がその火災センサ14aにおいて火災Fを検出するための基準として予め設定された設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている。
【0026】
また、火災検出手段14は、その設定閾値を変更することで、火災Fに対する検出感度を変更自在に構成されている。即ち、火災検出手段14において設定閾値を小さくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して敏感に火災Fを検出する状態、即ち、火災Fに対する検出感度が高い状態となり、逆に、火災検出手段14において設定閾値を大きくすることで、火災センサ14aの出力変化に対して鈍感に火災Fを検出する状態、即ち、火災Fに対する検出感度が低い状態となる。
【0027】
また、警報手段15は、火災検出手段14で火災を検出したときに、火災警報を出力するのであるが、その火災警報を出力する形態としては、スピーカなどで警報音を発生する形態や、インターネット等の通信ネットワークを通じてガス供給会社や警備会社等のセンター装置に警報信号を送信する形態や、コンロ2へのガスの供給を遮断する遮断弁に対してガスの供給を遮断させるための遮断信号を発信する形態等や、その他の公知の火災警報の出力形態を採用することができる。
【0028】
更に、この警報装置10には、火災検出手段14の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段11として、その設置空間において火災Fにより生成される火災生成ガスの濃度を環境状態として検出するガスセンサ11aが設けられている。
【0029】
このガスセンサ11aは、火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサであり、例えば、一酸化炭素は火災Fにより不完全燃焼が発生することにより生成され、水素やアルデヒド類、ケトン類は、発火前に発生する成分や火災Fによる中間生成物として生成され、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素は火災Fによる燃焼生成物として生成されるものであり、更に、通常の調理時や喫煙時においては、その生成量は少ない。
【0030】
よって、ガスセンサ11aで検出される火災生成ガスの濃度、その濃度の単位時間当りの増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が高い場合には火災Fが発生している可能性が高いと判断でき、逆に、その火災生成ガス濃度関連値が低い場合には火災Fが発生している可能性が低いと判断できる。
【0031】
また、上記のようなガスセンサ11aとしては、公知の定電位電解型や起電力検出型、酸化還元混合電位検出型、電解質上設置電極反応電流を検出するタイプ等の電気化学式や金属酸化物半導体式等の公知のガスセンサを用いることができるので詳細については説明を割愛するが、例えば、一酸化炭素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化インジウム半導体からなる感応部を用いた半導体式のガスセンサや、電解液や固体電解質等の電解質上に設けた電極上で一酸化炭素が反応することにより発生する電流を検出する電気化学式のガスセンサを用いることができ、水素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体などからなる感応部を用いた半導体式や接触燃焼式のガスセンサを用いることができる。
【0032】
更に、この警報装置10には、環境状態検出手段11の検出結果に応じて火災検出手段14の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段13が設けられている。
詳しくは、この検出感度調整手段13は、環境状態検出手段11としてのガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を小さい側に調整するように構成されている。
【0033】
即ち、ガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度が高く、火災Fが発生している可能性が高いと判断できる場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0034】
次に、これまで説明した第1実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図3に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、検出感度調整手段13により、ガスセンサ11aで検出した火災生成ガスの濃度bが、そのガスセンサ11aの出力に対して予め設定された設定閾値B以上であるか否かを判定する(ステップ#101)。そして、火災生成ガスの濃度bが予め設定された設定閾値B以上である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを小さめの値A1に設定することで(ステップ#102)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、火災生成ガスの濃度bが予め設定された設定閾値B未満である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを大きめの値A2(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#103)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0035】
次に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#104)。そして、火災センサ14aの出力aが設定閾値A以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#105)。
【0036】
また、ステップ#101において、火災生成ガスの濃度bが、所定の設定閾値Bと同じ値又は別の値として設定された設定閾値以上であるか否かを判定し、その火災生成ガスの濃度bがその設定閾値以上であった場合に、警報手段15が、設置空間において火災生成ガスの濃度bが比較的高くなっていることを通知するための警報を出力するように構成しても構わない。
【0037】
尚、ステップ#101の判定処理で用いた火災生成ガスの濃度bの代わりに、その濃度bの単位時間当りの増加率、又は、その濃度bが継続して設定濃度以上となる継続時間等の、他の火災生成ガス濃度関連値を利用しても構わない。
尚、ステップ#104の判定処理で用いた火災センサ11aの出力aの代わりに、その出力aの単位時間当りの増加率、又は、その出力aが継続して設定出力以上となる継続時間等の、他の火災センサ出力関連値を利用しても構わない。
【0038】
〔実施例〕
次に、実際の火災の発生を想定して、上述した第1実施形態で説明した警報装置の火災警報の出力形態(実施例)と、従来の火災警報装置の火災警報の出力形態(比較例)とについて説明する。
ここで、比較例としての従来の火災警報装置としては、実施例としての上述した第1実施形態の警報装置と同様のガスセンサと火災センサを用いた火災検出手段とを設け、ガスセンサで検出したガス濃度が設定閾値未満のときに火災検出手段で火災を検出した場合には、初期火災警報を出力し、一方、ガスセンサの出力が設定閾値以上となり、且つ火災検出手段で火災を検出した場合には、実施例の警報装置で出力する火災警報に対応する本格火災警報を出力するように構成された火災警報装置を用いる。
また、ガスセンサとしては、一酸化炭素(CO)の濃度を検出する一酸化炭素センサを用いる。
【0039】
先ず、図4及び図5に示すように、火災が発生してから鎮火するまでにおいて、火災センサの出力が設定閾値以上となって火災検出手段で火災が検出されている間において、火災発生直後と鎮火直前において不完全燃焼等の理由でガスセンサで検出された一酸化炭素の濃度が一時的に設定閾値以上となる場合を想定する。
【0040】
この場合、実施例の警報装置では、図4に示すように、火災検出手段で火災が検出されている間は常に火災警報を出力するので、使用者は正確に火災が発生している状況を把握することができる。
一方、比較例の火災警報装置では、図5に示すように、燃焼の進行に伴い不完全燃焼から完全燃焼に移行することにより一酸化炭素濃度が設定閾値未満となっている間は、初期火災警報を出力することから、使用者は、本格火災警報が初期火災警報に変化することで、火災が収まったと誤解してしまう恐れがある。
【0041】
次に、図6及び図7に示すように、調理や喫煙などにより、火災センサの出力が上昇し、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値以下に維持されている場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図6に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値未満であることから、火災検出手段の設定閾値が高く(検出感度が低く)調整されているので、火災センサの出力がその設定閾値以上となることが抑制されて、誤って火災警報が出力されることが抑制される。
一方、比較例の火災警報装置では、図7に示すように、火災検出手段の設定閾値が実施例よりも低く(検出感度が高く)設定されているので、火災センサの出力がその設定閾値以上となり、誤って初期火災警報が出力されてしまう場合がある。
【0042】
次に、図8及び図9に示すように、火災が発生したが火災センサの出力の上昇が比較的小規模であり、一方、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値以上となる場合を想定する。
この場合、実施例の警報装置では、図8に示すように、ガスセンサで検出された一酸化炭素濃度が設定閾値以上であることから、火災検出手段の設定閾値が低く(検出感度が高く)調整されているので、火災センサの出力が比較的小規模でもその設定閾値以上となり、火災警報を出力することができる。
一方、比較例の火災警報装置では、図9に示すように、火災検出手段の設定閾値が実施例よりも高く(検出感度が低く)設定されているので、火災センサの出力が比較的小規模であることから、その出力が設定閾値未満となるので、本格火災警報はもちろんのこと、初期火災警報も出力することができない。
【0043】
以上の結果から、実施例の警報装置は、比較例の火災警報装置よりも正確に火災を検出して火災警報を出力することができるといえる。
【0044】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の警報装置10は、上述した第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、図10に示すように、環境状態検出手段11として、その設置空間における湿度を環境状態として検出する湿度検出センサ11b(湿度検出手段)が設けられている。
【0045】
この湿度検出センサ11bは、設置空間中の水分や湿度、水蒸気濃度、結露状態などを検出するセンサであり、この湿度検出センサ11bにより、湿度高さ、湿度の増加率、その湿度が継続して設定湿度以上となるときの継続時間、又は、結露情報値(結露が発生しているときに高くなる値)等のように、湿度状態に伴って増減する湿度関連値を求めることができ、この湿度関連値は、通常の調理時や湯沸しが行われている場合や天候条件等により湿度が上昇している場合に高い値を示すものとなる。
【0046】
よって、この湿度検出センサ11bで検出された湿度に関する湿度関連値が高い場合には、検出感度調整手段13は、水蒸気や水分による火災検出手段14の火災の誤検出の可能性が高いと判断できることから、火災検出手段14の検出感度を低い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を大きい側に調整するように構成されている。
【0047】
即ち、湿度検出センサ11bで検出された湿度に関する湿度関連値が高い場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を低い側に調整することで、火災検出手段14の水蒸気や水分による火災の誤検出によって誤った火災警報を出力することを抑制することができる。
【0048】
尚、湿度検出センサ11bとしては、公知の湿度センサ、露点センサ、又は、結露センサ等を用いることができ、例えば、セラミックや高分子からなる感応部を用いた湿度センサや結露センサを用いることができる。
【0049】
次に、これまで説明した第2実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図11に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、検出感度調整手段13により、湿度検出センサ11bで検出した湿度cが、その湿度検出センサ11cの出力に対して予め設定された設定閾値C以上であるか否かを判定する(ステップ#201)。そして、湿度cが予め設定された設定閾値C以上である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを大きめの値A2に設定することで(ステップ#203)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整し、逆に、湿度cが予め設定された設定閾値C未満である場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを小さめの値A1(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#202)、火災検出手段14の検出感度を高め調整する。
【0050】
以降は、上述した第1実施形態と同様に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#204)。そして、火災センサ14aの出力aが設定閾値A以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#205)。
【0051】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の警報装置10は、上述した第1実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、図12に示すように、環境状態検出手段11として、その設置空間に人が存在していない不在状態を環境状態として検出する不在状態検出手段11cが設けられている。
【0052】
この不在状態検出手段11cは、公知の人感センサ11dにより所定の時間継続して人の存在を感知しなかったことを、不在状態として検出するように構成されている。
尚、不在状態検出手段11cは、例えば、不在ボタン(図示せず)が押された場合に、不在状態を検出し、不在ボタンが再度押されるなどして解除された場合に、不在状態の検出を解除して設置空間に人が存在していると判断するように構成するなど、適宜改変可能である。
【0053】
そして、検出感度調整手段13は、環境状態検出手段11としての不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、その設置空間において調理や喫煙が行われていないと判断できることから、設置空間における環境状態が火災検出手段14の誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段14の検出感度を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも高い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも小さい側に調整するように構成されている。
【0054】
即ち、不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0055】
次に、これまで説明した第3実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図13に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、検出感度調整手段13により、不在状態検出手段11cで不在状態を検出したか否かを判定する(ステップ#301)。そして、不在状態を検出した場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを小さめの値A1に設定することで(ステップ#302)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、不在状態を検出しなかった場合には、火災検出手段14の設定閾値Aを大きめの値A2(即ち、A1<A2)に設定して(ステップ#303)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0056】
以降は、上述した第1実施形態と同様に、火災検出手段14により、火災センサ14aの出力aが上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#304)。そして、火災センサ14aの出力aが設定閾値A以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#305)。
【0057】
〔第4実施形態〕
第4実施形態の警報装置10は、第3実施形態と同様の構成については説明を割愛するが、図14に示すように、火災検出手段14が、火災Fにより発生する水素を感知して、水素濃度に比例する出力を発する水素センサ14bを備え、その水素センサ14bで検出される水素濃度、その濃度の単位時間当りの増加率、又は、その濃度が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、水素の濃度に関する水素濃度関連値を得て、水素濃度関連値が、設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている。
【0058】
尚、水素センサ14bとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体などからなる感応部を用いた半導体式や接触燃焼式のガスセンサを用いることができる。
【0059】
そして、検出感度調整手段13は、環境状態検出手段11としての不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、その設置空間において喫煙が行われておらず喫煙に起因して生成される水素が存在しないと判断できることから、設置空間における環境状態が火災検出手段14の喫煙に起因する誤検出の可能性が低い環境状態であるとして、火災検出手段14の検出感度を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも高い側に調整する、即ち、火災検出手段14の設定閾値を不在状態検出手段11cで不在状態を検出してないときよりも小さい側に調整するように構成されている。
【0060】
即ち、不在状態検出手段11cで不在状態を検出した場合には、検出感度調整手段13は、火災検出手段14の検出感度を高い側に調整することで、所望の検出精度を確保しながら火災を検出することができる。
【0061】
次に、これまで説明した第4実施形態の警報装置10により実施される火災警報処理のフローについて、図15に基づいて説明を加える。
警報装置10は、先ず、上述した第3実施形態と同様に、検出感度調整手段13により、不在状態検出手段11cで不在状態を検出したか否かを判定する(ステップ#401)。そして、不在状態を検出した場合には、火災検出手段14の設定閾値A’を小さめの値A1’に設定することで(ステップ#402)、火災検出手段14の検出感度を高めに調整し、逆に、不在状態を検出しなかった場合には、火災検出手段14の設定閾値A’を大きめの値A2’(即ち、A1’<A2’)に設定して(ステップ#403)、火災検出手段14の検出感度を低めに調整する。
【0062】
次に、火災検出手段14により、水素センサ14bで検出された水素濃度a’が上記のように調整された検出感度に対応する設定閾値A’以上であるか否かを判定することにより、火災Fが発生しているか否かを検出する(ステップ#404)。そして、水素センサ14bで検出された水素濃度a’が設定閾値A’以上である場合には、警報手段15により、火災Fが発生したことを通知するための火災警報が出力される(ステップ#405)。
【0063】
尚、ステップ#404の判定処理で用いた水素濃度a’の代わりに、その濃度a’の単位時間当りの増加率、又は、その濃度a’が継続して設定濃度以上となる継続時間等の、他の水素濃度関連値を利用しても構わない。
【0064】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、火災検出手段14を、例えば煙、熱又は炎を感知する火災センサ14aや水素を感知する水素センサ14bを用いて火災を検出するように構成したが、例えば上記水素以外の火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、火災検出手段14を、そのガスセンサで検出される火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値がそのガスセンサの出力に対して予め設定された設定閾値以上となったことを火災として検出するように構成するなどのように、別の形態で火災を検出するように構成しても構わない。
【0065】
(2)上記実施の形態では、環境状態検出手段11を、ガスセンサ11aや不在状態検出手段11cで構成したが、例えば、火災検出手段の感知対象とは別の火災による煙、熱、炎の少なくとも1つを設置空間における環境状態として検出するように構成するなど、別の構成を採用しても構わない。
【0066】
(3)上記実施の形態では、環境状態検出手段11の検出結果に応じて火災検出手段14の検出感度を二段階で調整する構成を示したが、火災検出手段14の検出感度は、二段階以上の複数段階で調整したり、無段階で調整しても構わない。また、火災検出手段14の検出感度を環境状態検出手段11の検出結果を所定の関数やデータテーブルに基づいて連続的に変化させることで、より細かな調整を行うことができる。即ち、このような警報装置は、環境状態検出手段の検出結果と火災検出手段の検出感度とを関連付けた関数又はテーブルを予め有し、環境状態検出手段の検出結果から上記関数又はデータテーブルに基づいて火災検出手段の検出感度を決定するように構成される。
【0067】
以下、関数又はデータテーブルを用いて火災検出手段の検出感度を調整する警報装置の例について、説明を加える。
尚、ここで説明する警報装置は、上記第1実施形態及び図2で説明した警報装置10と同様に、火災を検出する火災検出手段14を、火災センサ14aの出力に関する火災センサ出力関連値が予め設定された設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成し、環境状態検出手段11として火災生成ガスの濃度を環境状態として検出するガスセンサ11aを備えた警報装置10とする。
【0068】
この警報装置は、図16に示すように、火災生成ガス濃度関連値が高くなるほど、火災検出手段の検出感度が連続的に高くなる、即ち、火災検出手段の火災センサ出力関連値に対する設定閾値が連続的に低くなるように定義され、火災生成ガス濃度関連値と火災検出手段の検出感度としての設定閾値とを関連付けた関数又はデータテーブルを有する。
そして、このように構成した警報装置により、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とを、上記関数又はテータテーブルに当てはめて、火災を検出し、火災警報を発することができる。
【0069】
また、警報手段15は、上記関数又はデータテーブルとは別に、火災生成ガス濃度関連値が設定閾値以上となった場合に、火災生成ガスの濃度が比較的高くなっていることを通知するための火災生成ガス警報を出力することができる。
【0070】
尚、上記図16に示すように、火災生成ガス濃度関連値と火災センサ出力関連値とに関連付けて、火災警報、火災生成ガス警報、無警報等の領域を定義したデータマップを予め有しておき、火災センサを用いて取得した火災センサ出力関連値と、ガスセンサを用いて取得した火災生成ガス濃度関連値とが示す座標が、そのデータマップのどの領域にあるかにより、火災警報、火災生成ガス警報、無警報等を判定しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】警報装置の設置状態を示す図
【図2】第1実施形態の警報装置の概略構成図
【図3】第1実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図4】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図5】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図6】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図7】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図8】実施例の警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図9】比較例の火災警報装置の火災警報の出力形態を示す図
【図10】第2実施形態の警報装置の概略構成図
【図11】第2実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図12】第3実施形態の警報装置の概略構成図
【図13】第3実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図14】第4実施形態の警報装置の概略構成図
【図15】第4実施形態の警報装置による火災警報処理フローを示す図
【図16】別実施形態の警報装置の説明図
【符号の説明】
【0072】
10:警報装置
11a:ガスセンサ
11b:湿度検出センサ(湿度検出手段)
11:環境状態検出手段
11c:不在状態検出手段
13:検出感度調整手段
14:火災検出手段
14a:火災センサ
14b:水素センサ
15:警報手段
F:火災
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、
前記火災検出手段の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段と、
前記環境状態検出手段の検出結果に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段とを備えた警報装置。
【請求項2】
前記環境状態検出手段として、火災により生成される火災生成ガスの濃度を前記環境状態として検出するガスセンサを備え、
前記検出感度調整手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を高い側に調整するように構成されている請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである請求項2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記環境状態検出手段として、湿度を前記環境状態として検出する湿度検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記湿度検出手段で検出した湿度に関する湿度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を低い側に調整するように構成されている請求項1から3の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記環境状態検出手段として、人が存在していない不在状態を前記環境状態として検出する不在状態検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出した場合の前記火災検出手段の検出感度を、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出していない場合の前記火災検出手段の検出感度よりも高い側に調整するように構成されている請求項1から4の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項6】
室内における水素濃度を検出する水素センサを備え、
前記火災検出手段が、前記水素センサで検出した水素濃度に関する水素濃度関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている請求項5に記載の警報装置。
【請求項7】
火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている請求項1から6の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項8】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記警報手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている請求項1から7の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項1】
火災を検出する火災検出手段と、
前記火災検出手段で火災を検出したときに火災警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、
前記火災検出手段の設置空間における環境状態を検出する環境状態検出手段と、
前記環境状態検出手段の検出結果に応じて前記火災検出手段の火災に対する検出感度を調整する検出感度調整手段とを備えた警報装置。
【請求項2】
前記環境状態検出手段として、火災により生成される火災生成ガスの濃度を前記環境状態として検出するガスセンサを備え、
前記検出感度調整手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を高い側に調整するように構成されている請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記ガスセンサが、前記火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサである請求項2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記環境状態検出手段として、湿度を前記環境状態として検出する湿度検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記湿度検出手段で検出した湿度に関する湿度関連値が大きいほど前記火災検出手段の検出感度を低い側に調整するように構成されている請求項1から3の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記環境状態検出手段として、人が存在していない不在状態を前記環境状態として検出する不在状態検出手段を備え、
前記検出感度調整手段が、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出した場合の前記火災検出手段の検出感度を、前記不在状態検出手段で前記不在状態を検出していない場合の前記火災検出手段の検出感度よりも高い側に調整するように構成されている請求項1から4の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項6】
室内における水素濃度を検出する水素センサを備え、
前記火災検出手段が、前記水素センサで検出した水素濃度に関する水素濃度関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている請求項5に記載の警報装置。
【請求項7】
火災による煙、熱又は炎を感知する火災センサを備え、
前記火災検出手段が、前記火災センサの出力に関する火災センサ出力関連値が前記検出感度としての設定閾値以上となる場合を火災として検出するように構成されている請求項1から6の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項8】
火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記警報手段が、前記ガスセンサで検出した火災生成ガスの濃度に関する火災生成ガス濃度関連値に基づいて警報を出力するように構成されている請求項1から7の何れか一項に記載の警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−65656(P2006−65656A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248732(P2004−248732)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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