説明

負荷制御システムおよび負荷駆動システム

【課題】負荷駆動のためのアクチュエータ等の負荷駆動要素を複数制御する場合、その制御システム構築が容易となる負荷制御システムを提供する。
【解決手段】負荷駆動のための複数の負荷駆動要素のそれぞれを駆動制御するために、該複数の負荷駆動要素に対応して設けられる複数のドライバを含む負荷制御システムであって、複数のドライバのそれぞれは、自ドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素を制御する制御部を有する。そして、複数のドライバのそれぞれは、負荷制御システムにおいて、自ドライバの制御部から該自ドライバを除く他のドライバの全部または一部の対象ドライバの制御部に対して、該対象ドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素の駆動制御を行うための指令信号の送信が可能となる相互制御通信状態が形成されるように、互いに電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷駆動のための負荷駆動要素を制御する負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
負荷駆動のためのアクチュエータを制御するためには、コントローラから、該アクチュエータに対応するドライバに対して駆動指令を送信し、該ドライバがその指令に従ってアクチュエータを駆動制御する形態が一般的である。しかし、このようなアクチュエータの駆動形態では、アクチュエータごとにコントローラを配置し、各コントローラに該アクチュエータ用の制御プログラムが設定されるため、駆動対象となるアクチュエータの数が増加するほど、その制御システムの構築に多くの労力を要することになる。
【0003】
そこで、複数のアクチュエータの駆動制御を行うシステム構築のための技術が開発されている。例えば、特許文献1に開示されているシステムでは、インテリジェントモータ(コントローラが一体化されたモータ)が直列接続されて、その最上流のインテリジェントモータが、外部ネットワークに接続可能なコントロールユニットと接続されている。この最上流インテリジェントモータは、マスターモータとしてコントロールユニットから自己およびその他のモータの制御情報を受け取り、その他のモータに対しては、直列接続された信号線を経由して制御情報を伝えることが可能なようにシステムが構成される。そして、当該システムには、コントロールユニットが、直接的にマスターモータを制御し、且つマスターモータを介してその他のモータを間接的に制御する「ユニット制御モード」と、コントロールユニットがマスターモータから切り離された状態で、マスターモータ以外の各モータがマスターモータによって動作する「自立制御モード」が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−72870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の複数のアクチュエータを駆動制御するシステムでは、アクチュエータ制御のためのコントローラをアクチュエータであるモータのドライバとともに、該モータと一体でインテリジェントモータを形成し、各インテリジェントモータが直列に接続されている。このように構成されるシステムでは、直列の接続形態の中で最上流に位置するインテリジェントモータが、全体を制御するためのコントローラとして、換言すればマスターコントローラとして位置づけられている。したがって、アクチュエータごとにコントローラが配置される構成ではないにしても、このマスターコントローラが実質的に配置される構成であることにより、該マスターコントローラ内に設定されるシステム全体の制御プログラムは、複雑且つ膨大なものとならざるを得ない。そのため、アクチュエータの制御的な側面に立てば、システム構築に要する労力は従来と変わらず多大なものに変わりはない。
【0006】
また、複数のアクチュエータを駆動制御する場合、その駆動目的に応じてシステム構成を柔軟に変更することが求められる場合がある。しかし、従来の制御システムでは、システム全体を制御するマスターコントローラが有するプログラムを変更する必要があるため、その変更に要する労力も少ないものではなく、柔軟性に欠くものと言わざるを得ない。
【0007】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、負荷駆動のためのアクチュエータ等の負荷駆動要素を複数制御する場合、その制御システム構築が容易となる負荷制御
システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、上記課題を解決するために、負荷駆動要素の駆動ドライバのそれぞれに制御部が設けられるとともに、制御部間の相互通信において、各ドライバにそれぞれ直接関連付けられた負荷駆動要素の駆動制御が、別の制御部からの指令信号でも実行可能となるように相互制御通信状態が形成される。このシステム構成により、負荷駆動要素の駆動制御を各ドライバに分散化できるため、システム構成を簡素化することが可能となる。
【0009】
詳細には、本発明は、負荷駆動のための複数の負荷駆動要素のそれぞれを駆動制御するために、該複数の負荷駆動要素に対応して設けられる複数のドライバを含む負荷制御システムであって、前記複数のドライバのそれぞれは、自ドライバに直接関連付けられた前記負荷駆動要素を制御する制御部を有する。そして、前記複数のドライバのそれぞれは、前記負荷制御システムにおいて、自ドライバの前記制御部から該自ドライバを除く他のドライバの全部または一部の対象ドライバの前記制御部に対して、該対象ドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素の駆動制御を行うための指令信号の送信が可能となる相互制御通信状態が形成されるように、互いに電気的に接続される。
【0010】
本発明に係る負荷制御システムでは、複数の負荷駆動要素に対応して複数のドライバが設けられ、それぞれのドライバには、該ドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素の制御のための制御部が設けられている。ここで言う負荷駆動要素は、負荷駆動のために電気的に接続された制御対象物であり、制御されることで負荷に対して直接、力を作用させるモータ等のアクチュエータや、制御のために必要な情報を取得するセンサ等を含む。また、「直接関連付けられた」とは、一のドライバと一の負荷駆動要素との間において、当該ドライバが当該負荷駆動要素を駆動制御するために第一に割り当てられるが、当該負荷駆動要素は他のドライバからの指令にも従って制御され得ることを意味するものであって、当該ドライバが当該負荷駆動要素の駆動制御に専用的に使用されることを意味するものではない。すなわち、上記相互制御通信状態における対象ドライバによる当該一の負荷駆動要素の駆動制御を踏まえた上で、当該一のドライバによる当該一の負荷駆動要素の駆動制御を「直接」的と表現したものである。
【0011】
ここで上記負荷制御システムでは、複数のドライバの相互間において、相互制御通信状態が形成される。この相互制御通信状態では、複数のドライバのそれぞれについて、自ドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素に対して、それ以外の対象ドライバから駆動制御のための指令信号が送信され、受信した当該自ドライバでその指令内容従った負荷駆動要素の駆動制御が実行される。すなわち、直接の駆動制御は自ドライバによって行われるが、その制御内容に関する指令信号は、自ドライバ以外の対象ドライバから出されることになる。この結果、負荷制御システムにおいて、一か所にシステム全体の駆動制御を集中することなく、自ドライバと対象ドライバを含むドライバ群にて分散されることになるため、システム全体の駆動制御に関するプログラムが過度に大きくなるのを抑制でき、以て、プログラムの編集等のシステム構築が容易となる。
【発明の効果】
【0012】
負荷駆動のためのアクチュエータ等の負荷駆動要素を複数制御する場合、その制御システム構築が容易となる負荷制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る負荷制御システム、負荷駆動システムの概略構成を示す図である。
【図2A】図1に示す負荷制御システムに含まれるドライバに関する機能ブロック図である。
【図2B】図1に示す負荷制御システムに含まれるスクリプト書換装置に関する機能ブロック図である。
【図3】図1に示す負荷制御システムで行われるアクチュエータの制御のフローを示す図である。
【図4】図1に示す負荷制御システムに含まれるスクリプト書換装置に表示される、スクリプトの編集用インターフェースとなる編集画面を示す図である。
【図5】図1に示す負荷制御システムに含まれるスクリプト書換装置に表示される、ポイントテーブルの編集用インターフェースとなる編集画面を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る負荷制御システムが適用されたロボットの概略構成を示す図である。
【図7】図6に示すロボットにおける、ドライバ間の接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明に係る負荷制御システムの実施例について、本願明細書に添付された図に基づいて説明する。当該負荷制御システムは、負荷駆動のための複数のアクチュエータやセンサを制御するためのシステムである。本実施例に係る負荷制御システム1は、図1に示すようにA1〜A6までの6台のアクチュエータを駆動するためのドライバD1〜D6を含むシステムである。アクチュエータA1〜A6のそれぞれは、ユーザが所望する所定の負荷駆動を実現するために適宜選択し得るものであり、例えば、多関節を有するロボットの各関節を駆動するモータ等が挙げられる。図1に示す負荷制御システム1では、アクチュエータA1〜A6のそれぞれに、各アクチュエータを駆動するためのドライバD1〜D6が直接関連付けられるように配置されており、更には、アクチュエータA1、A2に対しては二軸対応の電源PS1がドライバD1、D2からの指令に従い電力を供給し、アクチュエータA3、A4に対しては二軸対応の電源PS2がドライバD3、D4からの指令に従い電力を供給し、アクチュエータA5、A6に対しては二軸対応の電源PS3がドライバD5、D6からの指令に従い電力を供給する構成となっている。このように、ドライバD1〜D6を含む負荷制御システム1と、アクチュエータA1〜A6と、電源PS1〜PS3によって、本発明に係る負荷駆動システム2が実現される。なお、図1に示す実施例では、負荷駆動システム2の電源装置としては電源PS1〜PS3が備えられているが、各アクチュエータごとに電源を備えてもよく、また、全アクチュエータへの電力供給を一台の電源装置で賄ってもよい。
【0016】
ここで、負荷制御システム1では、そこに含まれるドライバD1〜D6のそれぞれには、アクチュエータA1〜A6を駆動制御するための制御部が一体的に設けられている。当該制御部は、専用のプロセッサやそこで実行されるプログラム等により形成されるものである。負荷制御システム1では、図1に示すように、これらのドライバに搭載されている制御部が直列にデイジーチェイン接続されており、制御部間でCAN(Controller Area Network)通信が可能となっている。そして、ドライバD1〜D6のそれぞれには、各ドラ
イバを識別するためのIDが設定され、該ドライバが有する制御部に当該IDが格納されている。本実施例では、ドライバD1〜D6のそれぞれのIDは、ID01〜ID06に設定されている。なお、図1に示す実施例では、ドライバD1〜D6の順にデイジーチェイン接続され、その最上流はドライバD1とされ、最下流のドライバD6には接続の末端であることを意味するターミネータが設けられている。
【0017】
また、負荷制御システム1に対して、その外部からスクリプト書換装置3がCAN通信が可能となるように接続可能である。スクリプト書換装置3は、上記デイジーチェイン接続におけるCAN通信ラインに接続され、当該接続により、デイジーチェイン接続されている複数のドライバD1〜D6が有するアクチュエータ駆動のための制御スクリプト(プログラム)を書き換えることが可能である。したがって、スクリプトの書き換えが必要ではないときは、スクリプト書換装置3と負荷制御システム1との間のCAN通信接続を確立する必要はない。なお、スクリプト書換装置3は、上記スクリプト書換のためのプログラムが実行されるパーソナルコンピュータやマイコンとして形成される。
【0018】
ここで、図2Aに、ドライバD1〜D6を代表してドライバD1が有する制御部において発揮される機能をイメージ化した機能ブロック図を示す。当該機能ブロックで表わされる機能は、ドライバ上に設けられたプロセッサや入出力ポート、メモリ等のハードウェアを用いて、制御部で実行されるプログラムによって実現される。また、図2Bには、スクリプト書換装置3で実行される制御を機能ブロックで表示しイメージ化したものである。この機能ブロックの果たす制御内容も、スクリプト書換装置3が有するプロセッサやそこで実行されるプログラム等、様々な手法により実現されるものである。
【0019】
ドライバD1の制御部には、入力部11、出力部12、ID保持部13、座標データ保持部14、スクリプト保持部15、スクリプト書換受付部16、プログラム実行部17が形成されている。入力部11は、ドライバD1の入力ポートを介して、ドライバD1が直接対応するアクチュエータA1の駆動制御に必要なデータが入力される機能部である。特に、後述するようにドライバD1以外のドライバ(すなわちドライバD2〜D5)から、アクチュエータA1用の指令信号が入力される機能部である。出力部12は、入力部11とは反対に、ドライバD1の出力ポートを介して、ドライバD1を除くドライバ(すなわちドライバD2〜D5)に直接関連付けられた、それぞれのアクチュエータを駆動するための指令信号を、各ドライバが有する制御部へと出力する機能部である。したがって、ドライバD1の制御部が有する出力部12から出力された指令信号は、出力先の他のドライバの制御部が有する入力部11に入力されることになる。ID保持部13は、上記のとおりドライバ毎に設定されている識別用のIDを保持する機能部である。具体的には、ドライバD1上のメモリに当該識別用ID(ドライバD1の場合はID01)が保持されている。座標データ保持部14は、アクチュエータA1の駆動に関して該アクチュエータが取り得る可動範囲に属する座標データを格納する機能部である。後述するスクリプト保持部15内のプログラムには、アクチュエータA1の移動先の座標を直接指定するコマンドが準備されており、当該コマンドの引数として座標データ保持部14に保持されている座標データが利用される。なお、本実施例では、座標データ保持部14には最大で256個の座標データが保持され得る。
【0020】
次にスクリプト保持部15は、ドライバD1が直接関連付けられたアクチュエータA1の駆動制御に関するプログラムや自ドライバ以外のドライバが直接関連付けられたアクチュエータ(すなわちアクチュエータA2〜A5)の駆動制御に関するプログラムを含むスクリプトを、ドライバD1内のメモリに保持する機能部である。スクリプトの詳細については後述するが、本実施例で特筆すべきは、ドライバD1は、自ドライバ以外のドライバが直接関連付けられたアクチュエータに対しても駆動指令を出すことができる構成となっている。スクリプト書換受付部16は、負荷制御システム1の外部からスクリプト書換装置3によってスクリプトの書き換えが行われるとき、その書換指示を受け付ける機能部である。したがって、後述するようにスクリプト書換装置3側で編集されたスクリプトが書換指令とともにスクリプト書換受付部16によって受け付けられることで、スクリプト保持部15が保持する駆動制御用のプログラム(スクリプト)が書き換えられることになる。プログラム実行部17は、スクリプト保持部15が保持する駆動制御用のプログラム(スクリプト)を実行し、実際にアクチュエータの駆動制御を行う。当該プログラムでは駆
動対象となるアクチュエータをドライバの識別IDで指定することが可能となるように構成されており、これによりプログラム実行部17による駆動制御の対象となるアクチュエータは、デイジーチェイン接続されている全てのアクチュエータA1〜A6となる。
【0021】
なお、図2AにはドライバD1に関する機能ブロックを示しているが、他のドライバD2〜D6や後述する本発明に係るドライバについても実質的に同様の機能ブロックを有している。したがって、負荷制御システム1全体としては、それぞれのドライバの制御部が有する入力部と出力部を介して、自ドライバが直接関連付けられたアクチュエータだけではなく、自ドライバを除く他のドライバの全部または一部の対象ドライバに対して、該対象ドライバが直接関連付けられたアクチュエータの駆動制御を行うための指令信号の送信が可能となる相互制御通信状態が形成されていることになる。なお、この相互制御通信状態は、負荷制御システム1に含まれる複数のドライバの相互の接続形態(たとえば、複数のドライバのそれぞれが全て直列に接続される形態、又は該複数のドライバの一部が、該複数のドライバに含まれる一のドライバに対して並列に接続される形態等)にかかわらず維持される。したがって、ユーザは、ドライバ間の接続順序等を気にすることなく、相互制御通信状態を形成することが可能となり、容易なシステム構築を実現できる。
【0022】
次に、スクリプト書換装置3に形成される機能部について図2Bに基づいて説明する。スクリプト書換装置3には、ドライバ認識部31、スクリプト編集部32、スクリプト書換部33が形成されている。ドライバ認識部31は、スクリプト書換装置3がCAN通信接続を介して負荷制御システム1に接続された状態において、負荷制御システム1内に含まれるドライバを認識する機能部である。ドライバ認識部31によって認識されたドライバが、スクリプト書換装置3によるスクリプトの編集や書き換えの対象となる。スクリプト編集部32は、負荷制御システム1に含まれるドライバの制御部が保持するスクリプトに対して追加、変更、削除等の編集処理を行う機能部である。スクリプトの編集の詳細については後述する。スクリプト書換部33は、スクリプト編集部32で行われたスクリプト編集を、ドライバ側のスクリプト保持部によって保持されているスクリプトに反映させて、スクリプトの書き換えを行う機能部である。当該スクリプトの書き換えは、スクリプト書換装置3と負荷制御システム1間のCAN通信接続および各ドライバの入出力ポートおよびドライバ間のデイジーチェイン接続を介して行われる。
【0023】
ここで、負荷制御システム1によるアクチュエータの駆動制御について、図3に基づいて説明する。なお、説明を簡便にするために、図3ではアクチュエータA1およびA2の駆動制御に関して言及している。図3は、ドライバD1、D2それぞれの制御部が有するスクリプト、およびドライバD2、D3それぞれの制御部が有するポイントテーブルを図式化したものである。なお、図3では、ドライバD1についてはポイントテーブルが示されておらず、ドライバD3についてはスクリプトが示されてはいないが、これは本実施例の説明の都合によるものであり、各ドライバは、必要に応じてスクリプト、ポイントテーブルのそれぞれを備えればよい。スクリプトは、アクチュエータを駆動するための制御プログラムを複数行にわって記載したプログラム群であり、本願発明の実施例では、一つのドライバの制御部には、スクリプトが最大で8つ格納され、各スクリプトは最大で99行の制御プログラムを含んで構成される。また、ポイントテーブルは、アクチュエータを駆動させる際の、移動位置とその移動に要する移動時間との組み合わせからなる表であり、本願発明の実施例では、ポイントテーブルに最大で256個の移動位置と移動時間の組み合わせを含めることができる。当該スクリプトは、上記スクリプト保持部15が保持しており、当該ポイントテーブルは、上記座標データ保持部14が保持している。
【0024】
図3に示されるドライバD1の制御部が有するスクリプトSc1は、S11〜S17までの7行の制御プログラムからなるスクリプトであり、ドライバD2の制御部が有するスクリプトSc2は、S21〜S25までの5行の制御プログラムからなるスクリプトであ
る。スクリプトSc1が実行されると、先ず、ステップS11で、励磁処理が行われる。この励磁処理は、処理が行われるドライバD1に対して直接関連付けられているアクチュエータA1に対してのみ行われる処理である。そのため、励磁処理では、処理の対象となるアクチュエータもしくはそれに直接関連付けられたドライバの自軸のID情報を指定する。したがって、ステップS11によって、アクチュエータA1が励磁起動される。次にステップS12では、時間・相対位置移動の処理が行われる。ここで言う相対位置移動とは、現時点の位置を基準として行う相対的な移動を意味する。当該処理も、上記励磁処理と同様に、ドライバD1に対して直接関連付けられているアクチュエータA1に対してのみ行われる処理である。そこで、当該処理の引数には、相対位置移動に関する時間と移動距離(パルス数)が設定される。図3に示す実施例では、ステップS12では、アクチュエータA1に対して、200msの時間で1000p(パルス)の相対移動を行う処理が行われることになる。
【0025】
次に、ステップS13では、スクリプト実行処理が行われる。当該処理は、自ドライバ(本実施例の場合はドライバD1)だけでなくそれ以外のドライバの制御部が有するスクリプトを実行させるための処理である。そのため、当該処理の引数としては、実行されるスクリプトが保持されているドライバのIDと、当該IDによって指定されたドライバが有する実行されるべきスクリプトの番号が設定される。図3に示す実施例では、ステップS13では、ID02で特定されるドライバD2の制御部が有するスクリプトSc2の実行が行われることになる。なお、次のステップS14は、動作完了待ちの処理を行うステップである。この動作完了待ち処理は、それまでに行われている処理(この場合はステップS13の処理)が完了するまで、次のステップには進まず待機する処理である。したがって、ステップS13によって、スクリプトSc2が実行され、それが完了するまでは、ステップS15以降の処理は行われない。
【0026】
ここで、スクリプトSc2について簡潔に説明する。図3の右側に示すように、スクリプトSc2は、S21〜S25までの5行の制御プログラムからなるスクリプトである。ステップS21では、ドライバD2に対して直接関連付けられているアクチュエータA2の励磁起動処理が行われる。そして、ステップS22では、同様にアクチュエータA2の時間・相対位置移動処理(1000msの時間で5000pの相対移動)が行われる。次に、ステップS23では、「ポイントGo」と称される処理が行われる。当該「ポイントGo」処理は、指定されたIDを有するドライバに関連付けられたアクチュエータにおいて、指定されたポイントテーブルに従って、当該アクチュエータの移動処理を行う。当該処理では、自ドライバ以外のドライバをIDで指定することが可能であるため、自ドライバ以外のドライバに直接関連付けられたアクチュエータについても、ポイントテーブルに従った駆動処理が可能である。このポイントテーブルは、各ドライバごとに設定されているため、ユーザは、該ドライバに直接関連付けられたアクチュエータの駆動状況を把握しやすく、当該アクチュエータの駆動制御が容易となる。ステップS23では、「ポイントGo」処理の引数として、ドライバD1のIDであるID03と、ドライバD3が有するポイントテーブルを指定するPT1が設定されている。これにより、ドライバD2側から、ドライバD1に直接関連付けられているアクチュエータA1が、指定されたポイントテーブルPT1に従って駆動制御されることになる。なお、ポイントテーブルの詳細な形態については、後述する。
【0027】
次に、ステップS24では、ステップS23による「ポイントGo」処理が完了するまでの待機処理が行われ、当該「ポイントGo」処理が完了するとステップS25に移行し、アクチュエータA2の励磁遮断処理が行われる。以上までの一連の処理によって、スクリプトSc2で特定されるアクチュエータの駆動制御が完了する。上記のとおり、このSc2の実行は、ドライバD1側でのスクリプトSc1に含まれるステップS13によって起動されたものであるから、上記スクリプトSc2による一連の処理が完了すると、ステ
ップS14での動作完了確認の後にステップS15の処理が行われる。
【0028】
ステップS15では、上述した「ポイントGo」と称される処理が行われる。ここでは、「ポイントGo」処理の引数として、ドライバD2のIDであるID02と、ドライバD2が有するポイントテーブルを指定するPT2が設定されている。これにより、ドライバD1側から、ドライバD2に直接関連付けられているアクチュエータA2が、ポイントテーブルPT2に従って駆動制御されることになる。
【0029】
ステップS15の次は、ステップS16にて動作完了待ちの処理が行われる。したがって、ステップS15での「ポイントGo」処理が完了するまでS17以降の処理が行われない。ドライバD2からアクチュエータA2の「ポイントGo」処理が完了したことがドライバD1へ伝えられると、ステップS16で動作完了の判断を行い、ステップS17の処理が行われることになる。ステップS17では、アクチュエータA1の励磁遮断処理が行われる。
【0030】
このように負荷制御システム1によるアクチュエータの駆動制御では、ドライバD1は、自ドライバに直接関連付けられているアクチュエータA1の駆動制御だけではなく、ステップS13やステップS15の処理に示すように、デイジーチェイン接続で接続されているドライバD2を介してアクチュエータA2の駆動も制御可能となっている。一方で、ドライバD2においても、自ドライバに直接関連付けられているアクチュエータA2の駆動制御だけではなく、ステップS23の処理に示すように、デイジーチェイン接続で接続されているドライバD1を介してアクチュエータA1の駆動も制御可能となっている。すなわち、負荷制御システム1では、自ドライバを除く他のドライバに対して、該他のドライバが有する制御部によるアクチュエータの駆動制御を行うための指令信号の送信が可能となる相互制御通信状態が形成されている。これにより、負荷制御システム1に含まれるドライバのそれぞれが、全てのアクチュエータに対してその駆動制御が可能となるようにシステム構築が為されている。換言すれば、負荷制御システム1においては、システム全体の制御を担うマスタードライバが存在せず、システム全体の制御が各ドライバに分散して割り当てられることになる。そのため、一つのドライバにシステム全体の制御が集中することを避けることができ、ドライバごとに割り当てられる制御プログラムを比較的小さくできるため、制御プログラムの変更等のメンテナンスが容易となり、柔軟性を有した制御プログラムの構築が図られる。
【0031】
なお、図3には説明を簡便にするために、ドライバD1、D2、D3に関して言及したが、デイジーチェインで接続されている全てのドライバにおいて相互制御通信状態を形成可能であり、例えば、ドライバD1からドライバD4やD6等を介して、これらのドライバに直接関連付けられているアクチュエータA4やA6の駆動制御を行ってもよく、逆に、ドライバD4からドライバD1に直接関連付けられたアクチュエータA1の駆動制御を行うようにしてもよい。
【0032】
次に、図4および図5に基づいて、スクリプト書換装置3によるドライバ内に保持されているスクリプトの編集処理および書換処理について説明する。図4は、スクリプト書換装置3が有するディスプレイに表示される、スクリプト編集のためのインターフェース画面のイメージである。また、図5は、図3で示したポイントテーブルを編集するためのインターフェース画面のイメージである。図1に示すようにスクリプト書換装置3が「デイジーチェイン」を介して物理的に負荷制御システム1に接続された状態で、スクリプト書換装置3内のプログラムが実行されると、図4に示す編集画面が表示される。そして、ユーザが「CAN 接続/遮断」ボタンB1を押すと、ドライバ認識部31によってスクリプト書換装置3に接続されているドライバの認識が実行される。その結果、スクリプト書換装置3は、電気的に負荷制御システム1と接続された状態となる。一方で、この電気的
な接続状態が保持された状態でボタンB1を押すと、その接続状態が解除され、スクリプト書換装置3から負荷制御システム1に対して電気的な処理を施すことができない状態となる。
【0033】
ここで、上記電気的な接続状態が保持された状態を前提として、スクリプト書換装置3によるスクリプトの編集、書換の処理について説明する。ここで、領域B2は、負荷制御システム1に含まれるドライバに付与されているIDを選択する領域である。したがって、本実施例では、ID01〜ID06が設定可能となる。そして、領域B3は、領域B2で選択したドライバが有するスクリプトを選択する領域である。本実施例では、上記のとおり、各ドライバは最大で8つのスクリプトを保持しているため、領域B3では、1〜8のスクリプトを選択可能である。そして、ボタンB4が押されると、領域B2、B3で選択したドライバとスクリプトに対応するスクリプト情報が、そのドライバの制御部が有するスクリプト保持部15から読み込まれる。この読み込まれたスクリプト情報は、スクリプト表示領域B7に表示される。このスクリプト表示領域B7は、スクリプト情報をユーザに分かりやすいように表示するとともに、その内容を編集可能とする領域である。したがって、このスクリプト表示領域B7におけるスクリプト情報の編集処理は、スクリプト編集部32による編集処理に相当する。また、スクリプト表示領域B7において、後述するように編集されたスクリプトを、所定のドライバの制御部が有するスクリプト保持部15に書き込むために、ボタンB5の押下が必要となる。このボタンB5の押下によるスクリプトの書き込みは、書き込みが指定されたドライバ(領域B2で選択されているドライバ)のスクリプト書換受付部16を介して、スクリプト保持部15に従前から保持されていたスクリプトに対して上書きされるため、スクリプト書換部33による書換処理に相当する。
【0034】
また、スクリプト表示領域B7の上方に、領域B2で選択されたドライバに直接関連付けられたアクチュエータの、動作速度や出力電流等の動作状況をモニターするためのモニター領域が設けられている。このモニター領域は、編集したスクリプトによってアクチュエータを想定通りに駆動できているかモニターするために有用である。スクリプトの動作確認については、領域B11に設けられたスクリプト動作ボタンを押下することで可能である。当該スクリプト動作ボタンに表示されている数字は、各ドライバが保持しているスクリプトの番号1〜8に対応している。
【0035】
次に、スクリプト表示領域B7について詳細に説明する。スクリプト表示領域B7は、選択されたスクリプトの情報を、行番号領域B8、動作種別領域B9、動作データ領域B10で表示する。そして、ユーザは、選択した行において、アクチュエータに実行させる動作種別を動作種別領域B9で選択し、その選択された動作種別に必要なデータ(引数)を動作データ領域B10に入力することができる。動作種別領域B9で選択できる動作種別は、例えば、図3に示した励磁処理、時間・相対位置移動処理、スクリプト実行処理、動作完了待ち処理、ポイントGo処理が挙げられ、その他、アクチュエータの駆動に有用な様々な処理が選択できる。また、動作データ領域B10で入力されるデータは、動作種別領域B9で選択された動作種別に応じて異なるが、例えば、スクリプト実行処理が選択されている場合には、当該処理に必要な引数として、実行すべきスクリプトを有するドライバのIDと、そのドライバに保持されているスクリプトを特定するためのスクリプト番号が入力される。また、動作種別領域B9で励磁処理や動作完了待ち処理が選択されている場合には、この動作データ領域B10にはデータを入力する必要はない。このように、図4に示す編集・書換画面を通して、ユーザがアクチュエータに求める駆動状態を、その処理順にスクリプト表示領域B7に入力し、そのスクリプト情報を、上記のボタンB5によって指定されたドライバのスクリプトとして容易に書き込むことができる。
【0036】
ここで、図4に示す画面の右上に、「ポイントデータ」ボタンB12が設けられている
。ボタンB12が押下されると、領域B2で選択されているドライバが有する、「ポイントGo」処理で使用されるポイントテーブルの情報が表示される(図5参照)。図5には、ID01のドライバD1が有するポイントテーブル編集のためのインターフェース画面が例示され、当該画面は、読み取りボタンC1、書き込みボタンC2、ポイント選択領域C3、テーブル表示領域C4を有する。読み取りボタンC1は、押下されることで改めて指定されているドライバが有するポイントテーブルの情報(移動位置と移動に要する時間)をテーブル表示領域C4に表示する。書き込みボタンC2は、押下されることで、テーブル表示領域C4で表示とともに編集されたポイントテーブルの情報を、指定されたドライバの制御部が有する座標データ保持部14内に上書きする。ポイント選択領域C3を介して、テーブル表示領域C4においてフォーカスされるポイントが選択され、その選択されたポイントは、テーブル表示領域C4で編集可能となる。本実施例では、ポイントテーブルの最大ポイント数は256であるから、ポイント選択領域では1〜256のポイントを選択できる。このようにドライバが有するポイントテーブルも、スクリプトと同様に、スクリプト書換装置3側で編集、書き換えが可能とされる。
【0037】
上記のとおり、本実施例に係る負荷制御システム1では、各ドライバに、全軸のアクチュエータに対して制御が可能となるように、スクリプトおよびポイントテーブルが保持されている。そして、このような構成を有するドライバに対して、図4、図5に示す、編集および書き換えのためのインターフェースがスクリプト書換装置3に用意されることで、ユーザは、スクリプトおよびポイントテーブルの編集、書き換え作業を容易に行い得る。
【実施例2】
【0038】
次に、本発明の第2の実施例について、図6および図7に基づいて説明する。本実施例は、本発明に係る負荷制御システムにおいて、当該システムに含まれる複数のドライバのそれぞれが有する制御部が、該複数のドライバのうち一のドライバが、別のドライバに交換された場合、該複数のドライバのうち該交換前の一のドライバを除く他のドライバから、該交換前の一のドライバに対する指令信号と同一の指令信号が、該交換後の別のドライバに対して出されても、該交換後の別のドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素が、該交換前の一のドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素の場合と同じ所定動作を実行するように、形成されるものである。
【0039】
具体的には、上記第1の実施例を、エンドエフェクタを有するロボットに適用したケースである。図6は、本実施例に係るロボット20の概略的な構成を示す図である。ロボット20は、アーム部材L1、L2、L3が、順に関節部P1、P2によって連結されており、アーム部材L3の先端においては更に関節部P3を介してエンドエフェクタE1が取り付けられている。そして、関節部P1、P2、P3には、各関節部を駆動するためのアクチュエータA1、A2、A3が取り付けられており、またエンドエフェクタE1にはその開閉動作のためのアクチュエータA4が取り付けられている。各アクチュエータによるアーム部材やエンドエフェクタへの駆動力伝達のための具体的な構造については、従来技術であるから説明を割愛する。このように構成されるロボット20に対して、アクチュエータA1〜A4を制御するために、本発明に係る負荷制御システムが適用可能であり、適用した場合の各アクチュエータに直接関連付けられたドライバの接続状態を図7に示す。
【0040】
図7は、アクチュエータA1〜A4に直接関連付けられたドライバD1〜D4がCAN通信可能となるようにデイジーチェインで接続された状態を示している。本発明に係る負荷制御システムがロボット20に適用されることで、上記第1の実施例で示したように、ロボット20の全体を制御するためのマスターコントローラに位置付けられる、いわば集中制御装置を設ける必要はなく、ロボット20の制御に関するスクリプト(プログラム)を、各ドライバD1〜D4に分散的に配置させることが可能となる。例えば、ドライバD1には、アクチュエータA1を制御するためのスクリプトを配置させ、ドライバD4には
アクチュエータA4によるエンドエフェクタE1の開閉を制御するためのスクリプトを配置させる。そして、ドライバD1には、更に、図3に関して説明したスクリプト実行処理を利用して、ドライバD4が有するエンドエフェクタE1の開閉制御のためのスクリプトを実行するスクリプトが配置される。また、その他のドライバD2、D3からもエンドエフェクタE1やその他のアクチュエータの駆動に関する指令信号を送信するようにしてもよい。このように構成することで、上記第1の実施例で示した分散制御を実現できる。
【0041】
ここで、本実施例のドライバに付与されているIDは、ドライバD1〜D3については先の実施例と同様にID01〜ID03とされ、ドライバD4についてはID10とする。そして、ロボット20では、関節部P3に取り付けられるエンドエフェクタを、その用途に応じて取り換えることが可能とする。すなわち、図6に示す実施例では、エンドエフェクタE1はエンドエフェクタE2と交換可能である。このエンドエフェクタE2は、対象物の把持の観点ではエンドエフェクタE1と同じ把持のための開閉構造を有しているが、より精細な把持制御を可能とするためにカメラC1が搭載されている。そして、カメラC1に直接関連付けられた該カメラC1のドライバが、ドライバD6として、開閉構造の開閉のためのアクチュエータA5に直接関連付けられたドライバD5に対してCAN通信可能となるようにデイジーチェインで接続されている。そして、ドライバD5に付与されたIDはドライバD4と同じID10とされ、ドライバD6に付与されたIDはID11とされる。また、ドライバD5には、ドライバD4と同様にアクチュエータA5によるエンドエフェクタE2の開閉を制御するためのスクリプトが配置されている。更にドライバD6には、カメラC1からの入力を通して、エンドエフェクタE2の位置決めを精密に制御するためのスクリプトが配置されていることで、例えば、ドライバD1〜D3からの指令信号に基づいてエンドエフェクタE2の粗い位置決めが実行され、その後、ドライバD6からの指令信号に基づいてエンドエフェクタE2の精密な位置決めが実行され得る。
【0042】
このようにエンドエフェクタの用途に応じて、使用されるエンドエフェクタをE1とE2で切り換えることが可能である。そして、エンドエフェクタE1をE2に交換するとともに、ドライバD3につながれていたドライバD4をドライバD5、D6にすれば、D4とD5に対しては共通のIDが付与されていることもあり、エンドエフェクタE2による対象物の把持のための制御スクリプトを大きく変更することなく、ロボット20の操作が可能となる。すなわち、エンドエフェクタE2の開閉を指示するスクリプトは、ドライバD1に配置されているため、そのスクリプトを利用して、交換後のドライバD5に配置されている開閉制御のためのスクリプトを実行させることができる。また、上述したエンドエフェクタE2の精密な位置決めのためのスクリプトは、ドライバD6に配置されているため、上記交換が行われることで精密位置決め制御は実行可能となり、ドライバD1〜D3上のスクリプトを実質的に編集等する必要はない。
【0043】
このように本発明に係る負荷制御システムをロボット20に適用することで、エンドエフェクタを交換した場合でも、対象物の把持制御に関する制御スクリプトを大きく編集等する必要が無くなり、ユーザの利便性が高まる。これは、上記のとおり、把持制御に関する制御スクリプトを適切に、各ドライバ上に分散的に配置させていることによる。
【0044】
<その他の実施例>
上記の実施例は、ロボットへの本発明に係る負荷制御システムの適用例を示すものであるが、その他の実施例として、住宅にも適用することが可能である。住宅の設備として、シャッター、ブラインド、窓、施錠装置等が挙げられるが、これらの開閉や施錠・解錠をモータ等のアクチュエータで行うことで、住宅の安全性や利便性の向上が図られる。このようなケースにおいても、各アクチュエータのドライバをデイジーチェインで接続し、各ドライバの制御部に、制御スクリプトを分散的に配置することで第1、第2の実施例で示した効果と同様の効果を享受することができる。すなわち、いわゆる住宅のインテリジェ
ント化(電動機器による自動制御化)を、メンテナンス容易に実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・・負荷制御システム
2・・・・負荷駆動システム
3・・・・スクリプト書換装置
A1〜A6・・・・アクチュエータ
D1〜D6・・・・ドライバ
PS1〜PS3・・・・電源
20・・・・ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷駆動のための複数の負荷駆動要素のそれぞれを駆動制御するために、該複数の負荷駆動要素に対応して設けられる複数のドライバを含む負荷制御システムであって、
前記複数のドライバのそれぞれは、自ドライバに直接関連付けられた前記負荷駆動要素を制御する制御部を有し、
前記複数のドライバのそれぞれは、前記負荷制御システムにおいて、自ドライバの前記制御部から該自ドライバを除く他のドライバの全部または一部の対象ドライバの前記制御部に対して、該対象ドライバに直接関連付けられた負荷駆動要素の駆動制御を行うための指令信号の送信が可能となる相互制御通信状態が形成されるように、互いに電気的に接続される、
負荷制御システム。
【請求項2】
前記負荷制御システムにおいて、前記複数のドライバの相互の接続形態にかかわらず、前記相互制御通信状態は維持される、
請求項1に記載の負荷制御システム。
【請求項3】
前記負荷制御システムに含まれる前記複数のドライバのそれぞれが有する前記制御部は、
前記複数のドライバのうち一のドライバが、別のドライバに交換された場合、該複数のドライバのうち該交換前の一のドライバを除く他のドライバから、該交換前の一のドライバに対する指令信号と同一の指令信号が、該交換後の別のドライバに対して出されても、該交換後の別のドライバに直接関連付けられた前記負荷駆動要素が、該交換前の一のドライバに直接関連付けられた前記負荷駆動要素の場合と同じ所定動作を実行するように、形成される、
請求項1又は請求項2に記載の負荷制御システム。
【請求項4】
前記負荷制御システムにおいて、前記複数のドライバのそれぞれが全て直列に接続され、又は該複数のドライバの一部が、該複数のドライバに含まれる一のドライバに対して並列に接続される、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の負荷制御システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の負荷制御システムと、
前記負荷制御システムに含まれる複数のドライバに対応する前記複数の負荷駆動要素と、
前記複数の負荷駆動要素に電力を供給する電源装置と、
を備える、負荷駆動システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−33347(P2013−33347A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168493(P2011−168493)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】