説明

貼付装置及び貼付方法

【課題】帯状素材の長手方向に隙間無く貼付シートを形成し、各種ワークへ貼着できる貼付装置及び貼付方法を提供する。
【解決手段】貼付装置の一例であるマウント装置1は、テーブル80上に配置されたワークに貼付シートを貼着する装置であり、ベースシートの一方の面に貼付シート形成用のフィルムが貼着された帯状素材Mを支持する帯状素材支持機構10と、ワークの大きさに応じてフィルムに切り込みを施して、帯状素材Mの長手方向に連続し、且つ、それぞれ線接触する貼付シートを形成するプリカット機構20と、貼付シートをベースシートから剥離し、貼付シートをワークに貼着する貼合機構50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ワーク同士の固定、或いは、各種ワークへの保護シートの貼着等、薄膜状のシートを各種ワークに貼付することが工業的に行われている。例えば、半導体ウエハをダイシングする際、半導体ウエハをリングフレームの内側領域に配置し、それらの面にダイシングテープを貼着し、リングフレームに半導体ウエハを固定することが行われている。
【0003】
リングフレームに半導体ウエハを固定する方法及び装置として、特許文献1に開示の発明がある。特許文献1に開示の発明は、ベースシートにダイシングテープ形成用のフィルムが貼着された帯状素材を支持する支持手段と、帯状素材のフィルム面に切り込みを設けてダイシングテープを形成するプリカット手段と、ダイシングテープをベースシートから剥離してリングフレーム及び半導体ウエハに貼着する貼合手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−116928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、プリカット手段で形成されるダイシングテープは、リングフレームの形状に相応し略円形状に形成される。ダイシングテープは、カッター刃を備えたローラーとダイ受けとの間に帯状素材を通過させることで形成される。ここで、帯状素材に閉ループである略円形状の切り込みを設けるため、同様に閉ループに形成されたカッター刃を備えるローラーが用いられる。
【0006】
ローラーに閉ループで良好な刃先断面を有するカッター刃を形成するため、隣り合う閉ループの間には必要最小程度の隙間が設けられる。この隙間は、具体的に8〜10mm程度に設定される。
【0007】
よって、上記のようなプリカット手段で略円形状のダイシングテープを形成すると、隣り合うダイシングテープの間には8〜10mmの隙間が生じ、それだけ帯状素材に無駄が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、帯状素材の長手方向に隙間無く貼付シートを形成し、各種ワークへ貼着できる貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の観点に係る貼付装置は、
テーブル上に配置されたワークに貼付シートを貼着する貼付装置において、
ベースシートの一方の面に貼付シート形成用のフィルムが貼着された帯状素材を支持する帯状素材支持機構と、
前記ワークの大きさに応じて前記フィルムに切り込みを施して、前記帯状素材の長手方向に連続し、且つ、それぞれ線接触する貼付シートを形成するプリカット機構と、
前記貼付シートを前記ベースシートから剥離し、前記貼付シートを前記ワークに貼着する貼合機構と、を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
また、前記プリカット機構は、ローラーと前記ローラーの面から突出して形成された刃とを有するカッティングローラーを備え、
前記刃の一部に前記ローラーの軸に平行な直線部を有し、前記直線部による切り込みでそれぞれ直線状に線接触する前記貼付シートを形成することが好ましい。
【0011】
また、前記カッティングローラーはシートに前記刃が設けられたシート状刃物が前記ローラーに巻回されて構成され、
前記ローラーに巻回されて前記シート状刃物の両端が互いに接触する箇所の前記刃が前記ローラーの回転方向に沿って直線状に形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記帯状素材を剥離板にて折り返しながら巻き取ることで前記貼付シートを前記ベースシートから剥離させ、前記剥離板から前記貼付シートを前記ワーク上へ送り出し、
貼付ローラーで前記貼付シートを前記ワークに押圧した状態で前記ワークを移動させて前記貼付シートを前記ワークに貼着し、
前記ワークの移動停止よりも前記帯状素材の巻き取りを早期に停止させる制御部を備えることが好ましい。
【0013】
また、前記プリカット機構と前記貼合機構との間に、前記帯状素材に張力を与える可動ローラーと、前記可動ローラーの位置を検出するセンサとを有し、前記帯状素材に所定の張力を与えるテンション調整機構を備え、
検出された前記可動ローラーの位置に基づいて前記帯状素材の移動速度を調節し、前記可動ローラーを所定範囲内に保持することが好ましい。
【0014】
本発明の第二の観点に係る貼付方法は、
テーブル上に配置されたワークに貼付シートを貼着する貼付方法において、
ベースシートの一方の面に貼付シート形成用のフィルムが貼着された帯状素材を送り出し、
前記ワークの大きさに応じて前記フィルムに切り込みを施して、前記帯状素材の長手方向に連続し、且つ、それぞれ線接触する貼付シートを形成し、
前記貼付シートを前記ベースシートから剥離し、前記貼付シートを前記ワークに貼着する、
ことを特徴とする。
【0015】
また、ローラーと前記ローラーの面から突出して形成された刃とを備え、前記刃の一部に前記ローラーの軸に平行な直線部を有するカッティングローラーを用い、
前記直線部による切り込みでそれぞれ直線状に線接触する前記貼付シートを形成することが好ましい。
【0016】
また、シートに前記刃が設けられたシート状刃物が前記ローラーに巻回され、前記シート状刃物の両端が互いに接触する箇所の前記刃が前記ローラーの回転方向に沿って直線状に形成されている前記カッティングローラーを用いることが好ましい。
【0017】
また、前記帯状素材を剥離板にて折り返しながら巻き取ることで前記貼付シートを前記ベースシートから剥離させ、前記剥離板から前記貼付シートを前記ワーク上へ送り出し、
貼付ローラーで前記貼付シートを前記ワークに押圧した状態で前記ワークを移動させて前記貼付シートを前記ワークに貼着し、
前記ワークの移動停止よりも前記帯状素材の巻き取りを早期に停止させることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る貼付装置では、帯状素材のフィルムに切り込みを施して、帯状素材の長手方向に連続し、且つ、それぞれ線接触する貼付シートを形成することができる。一巻きの帯状素材からより多くの貼付シートを形成できるので、帯状素材を無駄なく使用でき、帯状素材のコストの低減を実現できる。更に、帯状素材の消費量が低減するので、省資源化にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マウント装置の概略構成図である。
【図2】帯状素材の斜視図である。
【図3】カッティングローラーの斜視図である。
【図4】(A)はシート状刃物の平面図、(B)はシート状刃物の側面図である。
【図5】貼付シートが形成された帯状素材の平面図である。
【図6】テンション調整機構の概略構成図である。
【図7】(A)は可動ローラーが上限位置まで上昇した際の状態図、(B)は可動ローラーが下限位置まで下降した際の状態図である。
【図8】(A)は可動ローラーが上限位置をオーバーランした際の状態図、(B)は可動ローラーが下限位置をオーバーランした際の状態図である。
【図9】テーブルにリングフレーム及び半導体ウエハが配置された状態を示す平面図である。
【図10】(A)〜(C)は貼り合わせの様子を示す図である。
【図11】(A)〜(D)は貼り合わせの様子を示す図である。
【図12】リングフレームに半導体ウエハが固定された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
貼付装置及び貼付方法の具体的な一例として、以下、図を参照しつつ、マウント装置及びマウント方法について説明する。マウント装置1は、半導体ウエハWのダイシングを行うに際し、半導体ウエハWをリングフレームRFに固定するために用いられる装置である。
【0021】
本実施の形態に係るマウント装置1は、図1に示すように、ベースシートBSの一方の面に貼付シートS形成用のフィルムFが貼着された帯状素材Mを支持する帯状素材支持機構10と、リングフレームRFの大きさに応じてフィルムFに切り込みを施し、帯状素材Mの長手方向に連続して直列に並び、且つ、それぞれ接触する貼付シートSを形成するプリカット機構20と、貼付シートSをベースシートBSから剥離し、貼付シートSをリングフレームRF及び半導体ウエハWに貼着して半導体ウエハWをリングフレームRFに固定する貼合機構50と、を備える。
【0022】
帯状素材Mは、図2に示すように、ベースシートBSの一方の面に貼付シートS形成用のフィルムFが貼着された構造である。フィルムFはベースシートBSから剥離可能な構成である。この帯状素材Mは、帯状素材支持機構10としての巻き出しローラー11にロール状に巻回されて支持されている。
【0023】
帯状素材Mは、帯状素材支持機構10の巻き出しローラー11から巻き出され、プリカット機構20、テンション調整機構30、貼合機構50を順次通過した後、巻き取りローラー70に巻き取られてゆく。
【0024】
帯状素材Mの巻き出しは、主として駆動ローラー60及び巻き取りローラー70によって行われる。駆動ローラー60及び巻き取りローラー70は、それぞれ不図示のモーター等の駆動装置によって、矢印で示すように帯状素材Mを巻き出しローラー11から引き出し、巻き取りローラー70で巻き取る方向(以下、順方向とも言う)へ回転駆動される。
【0025】
巻き出しローラー11から引き出された帯状素材Mは、ガイドローラー12を介して、プリカット機構20へと向かう。なお、巻き出しローラー11は、巻き出される帯状素材Mが弛まないよう、不図示のモーター等の駆動装置により、巻き出し方向とは逆向き(以下、逆方向ともいう)に回転駆動されている。
【0026】
プリカット機構20は、主としてカッティングローラー21とカッター受けローラー26から構成されている。プリカット機構20は、帯状素材Mがカッティングローラー21とカッター受けローラー26の間を通過する際に、帯状素材MのフィルムFに切り込みを施し、貼付シートSを形成する機構である。カッティングローラー21は、不図示の駆動装置によって、順方向に回転駆動される。
【0027】
カッティングローラー21は、図3の斜視図に示すように、ローラー25とローラー25面から径方向に突出した刃24が形成された構成である。刃24はリングフレームRFの形状に応じて略円形状に閉ループに形成されている。
【0028】
より具体的には、カッティングローラー21は、図4(A)の平面図、及び、図4(B)の側面図に示すシート状刃物22が、図3の斜視図に示すように、ローラー25に巻回されて構成されている。シート状刃物22は、シート23上に刃24が立設して一体的に形成された構造である。
【0029】
シート状刃物22の刃24は、平面視で略半円弧状の刃24が2つ、それぞれの円弧が接するように形成されている。それぞれの円弧が接する箇所に直線部24aが形成されている。この直線部24aは、シート状刃物22がローラー25に巻かれた際、ローラー25の軸に平行になるよう形成されている。
【0030】
このシート状刃物22がローラー25に巻かれることで、図4に示すように、シート状刃物22の両端(図4(A)、(B)における左右の両端)が接触する。そして、刃24の直線部24bと直線部24cが接触し、且つ、刃24の直線部24dと直線部24eが接触し、リングフレームRFの形状に応じた略円形状の刃24が形成される。なお、直線部24a、直線部24bと直線部24cからなる直線、及び、直線部24dと直線部24eからなる直線の長さは、明らかに直線であると認識できる長さ以上であるとともに、シート状刃物22のローラー回転方向における長さLa、及び、直線部24b、24cから直線部24d、24eまでの長さLbがリングフレームRFの内径寸法より長いことが好ましい。具体的には、リングフレームRFの内径が円形である場合、刃24の円弧に接線を引いたとすると、直線部24a〜24eは、この接線に平行で、且つ、円の直径の0.1%〜3%程度、円弧から円の中心方向へ離間した位置に形成されていることが好ましい。
【0031】
また、シート状刃物22の両端部に位置する刃24には、それぞれローラー25の回転方向に沿って直線部24b〜24eが形成されている。これにより、シート状刃物22をローラー25に巻回して設置する際、位置合わせが容易である。
【0032】
上記のプリカット機構20では、帯状素材MのフィルムF面がカッティングローラー21に対向するように、帯状素材Mを通過させるので、カッティングローラー21とカッター受けローラー26の押圧及び回転により、刃24がフィルムFに食い込み、切り込みが施される。なお、フィルムFのみに切り込みが施されるよう刃24の長さ及びカッティングローラー21の押圧力等が設定されているので、貼付シートSはベースシートBSを残した状態で形成される。
【0033】
カッティングローラー21が一回転するにつき、貼付シートSが一枚形成される。そして、カッティングローラー21が順次回転することにより、帯状素材Mの長手方向に連続して貼付シートSが複数形成される。
【0034】
図5に、カッティングローラー21によって、フィルムFに切り込みを施し、複数の略円形状の貼付シートSa〜Seが形成された帯状素材Mの平面図を示す。シート状刃物22では、刃24の直線部24aでそれぞれの貼付シートSを分割するよう形成するので、貼付シートSは、それぞれ隣り合う貼付シートSと直線状に線接触して形成される。一例を示すと、貼付シートSbは貼付シートSa及び貼付シートScとそれぞれ帯状素材Mの長手方向に線接触して形成されている。
【0035】
それぞれの貼付シートSが互いに接触して形成されるので、それぞれの貼付シートSa〜Seの間にはフィルムFが残らない。このため、帯状素材Mを無駄なく使用でき、一巻きの帯状素材Mから形成できる貼付シートSの数が増加するので、帯状素材Mのコストの低減を実現できる。更に、帯状素材Mの消費量が低減するので、省資源化にも有効である。
【0036】
更に、ローラー25の両端側に位置する刃24が直線状であるので、幅の短い帯状素材Mを用いることができ、コストの低減並びに省資源化に対し、より効果がある。
【0037】
上述のようにしてプリカット機構20で貼付シートSが形成された帯状素材Mは、テンション調整機構30へと向かう。テンション調整機構30は、前述したプリカット機構20による帯状素材Mの送り速度と駆動ローラー60による帯状素材Mの送り速度との誤差を吸収し、前述のプリカット機構20において均一形状の貼付シートSが形成されるよう、また、後述する貼合機構において帯状素材Mの弛みをなくし、ベースシートBSから貼付シートSが剥離しやすいよう、帯状素材Mに適度なテンションを与える機構である。
【0038】
テンション調整機構30は、図6に示すように、主として可動ローラー位置検出センサ31、センサドグ32、可動ローラー33、ばね34、から構成される。
【0039】
可動ローラー33は弾性体であるばね34を介して吊り下げられている。可動ローラー33は図1、図6において上下方向に揺動自在に支持されている。可動ローラー33の上方を帯状素材Mが通過する。センサドグ32は可動ローラー33の回転に支障を与えることなく、可動ローラー33の上下方向への移動に追従するよう、一体的に設けられている。
【0040】
可動ローラー位置検出センサ31は、可動ローラー33の移動方向に沿って、配置された上限センサ31a、共通センサ31b、及び、下限センサ31cから構成される。上限センサ31a、共通センサ31b、及び、下限センサ31cはそれぞれ可動ローラー33と一体的に設けられたセンサドグ32の位置を検出するセンサである。上限センサ31aはセンサドグ32の上限位置を検出し、下限センサ31cはセンサドグ32の下限位置を検出し、共通センサ31bはセンサドグのオーバーラン状態をそれぞれ検出する。
【0041】
例えば、プリカット機構20での帯状素材Mの送り速度が、駆動ローラー60による送り速度よりも速い場合、図7(A)に示すように、可動ローラー33は上昇する。そして、可動ローラー33の上昇に追従してセンサドグ32も上昇する。この場合、センサドグ32を上限センサ31aが検出するので、プリカット機構20の駆動及び/又は駆動ローラー60の駆動を制御する。これらの制御は制御部100により行われる。図7(A)に2つの矢印の大きさで示すが、相対的に駆動ローラー60の送り速度をプリカット機構20による送り速度よりも速くすることで、白抜き矢印で示すように可動ローラー33が下降し、適正な位置に戻る。例えば、プリカット機構20のカッティングローラー21の駆動が停止するように制御すればよい。
【0042】
一方、プリカット機構20での帯状素材Mの送り速度が、駆動ローラー60による送り速度よりも遅い場合、図7(B)に示すように、可動ローラー33は下降する。そして、可動ローラー33の下降に追従してセンサドグ32も下降する。この場合、センサドグ32を下限センサ31cが検出するので、プリカット機構20の駆動及び/又は駆動ローラー60の駆動を制御する。図7(B)に2つの矢印の大きさで示すが、相対的に駆動ローラー60の送り速度をプリカット機構20による送り速度よりも遅くすることで、白抜き矢印で示すように可動ローラー33が上昇し、適正な位置に戻る。例えば、プリカット機構20のカッティングローラー21の回転速度を速めるように制御すればよい。
【0043】
また、図8(A)、(B)に示すように、何らかの異常によって可動ローラー33が過度に上昇或いは下降した場合、センサドグ32を共通センサ31bが検出できなくなる。このように共通センサ31bによる検出ができない場合、異常が生じたものとしてマウント装置1の駆動停止や、音や光或いは表示等で異常を報知するよう制御してもよい。
【0044】
なお、上記のセンサはセンサドグ32の位置を検出できるものであれば、赤外線センサや超音波センサ等、いずれを用いてもよい。センサドグ32を用いた例について説明したが、直接可動ローラー33の位置を検出する形態であってもよい。
【0045】
帯状素材Mはテンション調整機構30を通過した後、テンションローラー41及びガイドローラー42を通過する。テンションローラー41は不図示のモーター等の駆動装置で回転駆動されている。テンションローラー41は帯状素材Mが後述する貼合機構50の剥離板51近傍にて適度な張りが生じるよう、逆方向へバックテンションが加わるように回転している。
【0046】
なお、駆動ローラー60による帯状素材Mを順方向へ送る力は、テンションローラー41による逆方向へバックテンションを加える力よりも大きくなるよう、制御部100によってそれぞれのモーター等の駆動装置が制御されている。
【0047】
テンションローラー41及びガイドローラー42を通過した帯状素材Mは、続いて貼合機構50へと送られる。
【0048】
貼合機構50は、主として剥離板51と貼付ローラー52とで構成されている。貼合機構50は剥離板51にてベースシートBSから剥離した貼付シートSを、貼付ローラー52にてテーブル80上に載置されているリングフレームRFと半導体ウエハWに貼着する機構である。
【0049】
テーブル80は、略環状のリングフレームRF及び略円形状の半導体ウエハWが載置される台である。テーブル80は、貼付ローラー52の下方においてマウント装置1の内方−外方(図1において左右方向)へ移動可能に構成されている。
【0050】
テーブル80には、図9に示すように、リングフレームRFの内側領域に半導体ウエハWが配置されるよう、リングフレームRF及び半導体ウエハWがそれぞれ載置される。リングフレームRF及び半導体ウエハWは、それぞれテーブル80上の所定位置に載置されるようになっている。例えば、テーブル80上面に突出する位置決めピンやテーブル上面に設けられた窪み等により、それぞれ一定の位置に載置されるよう構成される。また、貼付シートSを貼着させる際にずれたりしないよう、テーブル80上面に吸着孔を設け、減圧ポンプによってリングフレームRF及び半導体ウエハWがテーブル80の所定位置に保持されるように構成されていてもよい。
【0051】
続いて、図10、図11を参照しつつ、貼り合わせの工程について説明する。まず、テーブル80がマウント装置1から外方に出ている状態で、上記のようにテーブル80上にリングフレームRF及び半導体ウエハWを載置する。
【0052】
そして、図10(A)に示すように、テーブル80はマウント装置1内方へと移動する。また、貼付シートSaの先端部をベースシートBSから剥離し、貼付ローラー52の下方へ達するまで剥離板51から突出させる。帯状素材Mは剥離板51にて急激に反転され、折り返しながら巻き取られるので、ベースシートBSから貼付シートSaが剥離される。なお、貼付シートSaがベースシートBSから正常に剥離したことをセンサ90で検出する。
【0053】
そして、図10(B)に示すように、テーブル80はリングフレームRFの端部が貼付ローラー52の下方まで達し、停止する。
【0054】
その後、図10(C)に示すように、貼付ローラー52が下降する。貼付ローラー52の押圧により、貼付シートSaの端部がリングフレームRFに貼着される。
【0055】
続いて、図11(A)、(B)に示すように、貼付ローラー52の押圧が維持された状態で、テーブル80がマウント装置1の外方へ移動する。テーブル80の移動に伴って、リングフレームRF及び半導体ウエハWも移動する。剥離板51からの貼付シートSaの送り出し、及び、貼付ローラー52の押圧が維持された状態でテーブル80が移動するため、貼付ローラー52が回転しつつ、貼付シートSaが順次リングフレームRF及び半導体ウエハWに貼着されていく。なお、貼付シートSaの送り出しはテーブル80の移動速度と同期をとって略同じ速度で送り出される。
【0056】
そして、図11(C)に示すように、貼付ローラー52が貼付シートSaの右端部付近まで移動したなら、貼付シートSaの送り出しを停止させる。なお、この状態ではテーブル80の移動(図中、左方向への移動)は継続している。
【0057】
このように、テーブル80の移動よりも、貼付シートSaの送り出しを早期に停止させるとよい。帯状素材Mには貼付シートSa、Sbが互いに接触して形成されているので、テーブル80の移動停止と貼付シートSaの送り出し停止を同時に行うと、貼付シートSaに接触している貼付シートSbの端部が送り出されてしまい、貼付ローラー52で押圧されるおそれがある。
【0058】
なお、テーブル80の移動停止よりも早期に貼付シートSaの送り出しを停止させることは、制御部100にて行われる。
【0059】
なお、テーブル80の移動停止よりも早期に貼付シートSaの送り出しを停止しても、既に貼付シートSaの大部分はリングフレームRF及び半導体ウエハWに貼着されているため、テーブル80の移動に伴って、貼付シートSaはベースシートBSから引き剥がされるように分離する。
【0060】
そして、図11(D)に示すように、テーブル80が更に移動して、リングフレームRFの右端が貼付ローラー52の下方に達したならば、テーブル80の移動が停止する。そして、貼付ローラー52が上昇し、貼付が完了する。
【0061】
貼付シートSが剥離された帯状素材Mは、ガイドローラー54、61、62、63を介して巻き取りローラー70に巻き取られる。
【0062】
図12に、貼付シートSの貼付が完了し、リングフレームRFに半導体ウエハWが固定された状態を示す。
【0063】
なお、上述した巻き出しローラー11、カッティングローラー21、テンションローラー41、駆動ローラー60及び巻き取りローラー70の回転駆動、並びにテーブル80の直線移動は、それぞれ不図示のモーター等の駆動装置にて駆動されるが、これらは制御部100による制御で同期をとって行われる。
【0064】
また、上記実施の形態では、貼付シートSを用いて半導体ウエハWをリングフレームRFに固定するマウント装置及びマウント方法について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、液晶画面等に保護フィルムを貼付する際等にも用いることができる。即ち、上記実施形態における半導体ウエハW及び/又はリングフレームを種々のワークへ置き換えることで、種々のワークへの貼付シートの貼着に適用できるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 マウント装置
10 帯状素材支持機構
11 巻き出しローラー
12 ガイドローラー
20 プリカット機構
21 カッティングローラー
22 シート状刃物
23 シート
24 刃
24a〜24e 直線部
25 ローラー
26 カッター受けローラー
27 ガイドローラー
30 テンション調整機構
31 可動ローラー位置検出センサ
31a 上限センサ
31b 共通センサ
31c 下限センサ
32 センサドグ
33 可動ローラー
34 ばね
41 テンションローラー
42 ガイドローラー
50 貼合機構
51 剥離板
52 貼付ローラー
53,54 ガイドローラー
60 駆動ローラー
61,62,63 ガイドローラー
70 巻き取りローラー
80 テーブル
90 剥離検出センサ
100 制御部
RF リングフレーム(ワーク)
W 半導体ウエハ(ワーク)
M 帯状素材
F フィルム
BS ベースシート
S,Sa〜Se 貼付シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上に配置されたワークに貼付シートを貼着する貼付装置において、
ベースシートの一方の面に貼付シート形成用のフィルムが貼着された帯状素材を支持する帯状素材支持機構と、
前記ワークの大きさに応じて前記フィルムに切り込みを施して、前記帯状素材の長手方向に連続し、且つ、それぞれ線接触する貼付シートを形成するプリカット機構と、
前記貼付シートを前記ベースシートから剥離し、前記貼付シートを前記ワークに貼着する貼合機構と、を備える、
ことを特徴とする貼付装置。
【請求項2】
前記プリカット機構は、ローラーと前記ローラーの面から突出して形成された刃とを有するカッティングローラーを備え、
前記刃の一部に前記ローラーの軸に平行な直線部を有し、前記直線部による切り込みでそれぞれ直線状に線接触する前記貼付シートを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の貼付装置。
【請求項3】
前記カッティングローラーはシートに前記刃が設けられたシート状刃物が前記ローラーに巻回されて構成され、
前記ローラーに巻回されて前記シート状刃物の両端が互いに接触する箇所の前記刃が前記ローラーの回転方向に沿って直線状に形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の貼付装置。
【請求項4】
前記帯状素材を剥離板にて折り返しながら巻き取ることで前記貼付シートを前記ベースシートから剥離させ、前記剥離板から前記貼付シートを前記ワーク上へ送り出し、
貼付ローラーで前記貼付シートを前記ワークに押圧した状態で前記ワークを移動させて前記貼付シートを前記ワークに貼着し、
前記ワークの移動停止よりも前記帯状素材の巻き取りを早期に停止させる制御部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貼付装置。
【請求項5】
前記プリカット機構と前記貼合機構との間に、前記帯状素材に張力を与える可動ローラーと、前記可動ローラーの位置を検出するセンサとを有し、前記帯状素材に所定の張力を与えるテンション調整機構を備え、
検出された前記可動ローラーの位置に基づいて前記帯状素材の移動速度を調節し、前記可動ローラーを所定範囲内に保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の貼付装置。
【請求項6】
テーブル上に配置されたワークに貼付シートを貼着する貼付方法において、
ベースシートの一方の面に貼付シート形成用のフィルムが貼着された帯状素材を送り出し、
前記ワークの大きさに応じて前記フィルムに切り込みを施して、前記帯状素材の長手方向に連続し、且つ、それぞれ線接触する貼付シートを形成し、
前記貼付シートを前記ベースシートから剥離し、前記貼付シートを前記ワークに貼着する、
ことを特徴とする貼付方法。
【請求項7】
ローラーと前記ローラーの面から突出して形成された刃とを備え、前記刃の一部に前記ローラーの軸に平行な直線部を有するカッティングローラーを用い、
前記直線部による切り込みでそれぞれ直線状に線接触する前記貼付シートを形成する、ことを特徴とする請求項6に記載の貼付方法。
【請求項8】
シートに前記刃が設けられたシート状刃物が前記ローラーに巻回され、前記シート状刃物の両端が互いに接触する箇所の前記刃が前記ローラーの回転方向に沿って直線状に形成されている前記カッティングローラーを用いる、ことを特徴とする請求項7に記載の貼付方法。
【請求項9】
前記帯状素材を剥離板にて折り返しながら巻き取ることで前記貼付シートを前記ベースシートから剥離させ、前記剥離板から前記貼付シートを前記ワーク上へ送り出し、
貼付ローラーで前記貼付シートを前記ワークに押圧した状態で前記ワークを移動させて前記貼付シートを前記ワークに貼着し、
前記ワークの移動停止よりも前記帯状素材の巻き取りを早期に停止させる、ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−192850(P2011−192850A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58530(P2010−58530)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【特許番号】特許第4568374号(P4568374)
【特許公報発行日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(591182950)大宮工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】