説明

質感情報データ取得装置及びそれを備える表示制御システム

【課題】印刷装置で印刷される印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を、ディスプレイ等に表示される画像において表すようにする。
【解決手段】質感情報データ取得部124は、プリンタA質感プロファイル134を備え、そのプリンタA質感プロファイル134を利用して、入力された印刷データC,M,Y,K,MTから、プリンタやディスプレイ等のデバイスに依存しない質感情報データを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物における印刷表面の質感に関連する質感プロファイルを利用するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカラーマネージメントでは、ICC規格(International Color Consortium)に基づき、各色再現デバイスの色再現特性を記述するプロファイル(Profile)と呼ばれる特性記述ファイルと、その特性記述ファイルの情報を使って異種デバイス間で色情報を変換し合う色変換エンジンと、を利用して、異なる色再現装置間で色情報の伝達や色情報の一致を実現していた。しかしながら、このカラーマネージメント技術で扱えるのは色情報だけであり、光沢感や金属光沢感、ザラツキ感、凹凸感などの表面質感情報を扱うことはできなかった。
【0003】
また、高付加価値を有する印刷物として、メタリックやエンボス加工、シボなどを持つ印刷物を作成する場合、色や質感の指定をサンプルパッチを使って指定したり、印刷装置による校正の際、発注者立会いで修正・印刷を何度も繰り返して最終的な印刷物を仕上げていったりという非常に手間と時間のかかる作業で作成していた。そして、職人の感覚にたよった方法でしか、高付加価値印刷物を作成することができなかった。
【0004】
一方、コンピュータグラフィックス(Computer Graphics)の分野では、既に物体表面の質感をリアルに、コンピュータグラフィックス画像としてディスプレイの画面上に再現する技術が発達している。具体的には、OpenGL, Direct Xなどのオープンソースを用いた3D-CG作成ソフトウエアが開発されており、そのようなソフトウェアを使用して、光沢感、凹凸感、透明感、ザラツキ感など様々な物体表面の質感属性を人口的に生成し、直接光、間接光をすべて考慮して実写と見誤るほどリアルな画像生成を可能としており、SF映画やゲームソフトなどで広く一般に利用されている。最近では、商品のデザインや表面塗装の状態などをディスプレイの画面上で確認できるようなソフトウエアも開発・市販されており、それらソフトウェアを利用することにより、車、衣装、一般商品のデザイン開発などにおいて、Mock-up作成を最小限に抑えることができ、商品開発効率化を実現している。
【0005】
上記のとおり、商用印刷の分野において、実画像を印刷する印刷装置は、種々の表面加工機能を有し、高付加価値印刷物を作成できるようになってきている。しかし、印刷物の版やデジタル画像データを生成するためのデザインソフトやOSに組み込まれているカラーマネージメントソフトは、こうした印刷物の表面質感のマネージメント、情報伝達には対応しておらず、また、対応するための技術もまだ確立されていないのが現状である。
【0006】
なお、物体表面の質感を表す取り組みとしては、例えば、下記の非特許文献1,2に記載された技術が知られている。
【非特許文献1】"Generalization of Lambert’s Reflectance Model" Michael Oren 及び Shree K. Nayar; Department of Computer Science, Columbia University:New York, NY 10027
【非特許文献2】"A Reflectance Model for Computer Graphics" ROBERT L. COOK(Lucasfilm Ltd.)及びKENNETH E. TORRANCE(Cornell University); ACM Transactions on Graphics, Vol. 1, No. 1, January 1982.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来においては、印刷装置で印刷される印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を、如何にして、ディスプレイ等に表示される画像において表すかについて考慮されていなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、印刷装置で印刷される印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を、ディスプレイ等に表示される画像において表すための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]
質感情報データ取得装置であって、特定の印刷装置で印刷時に使用される印刷記録材の量を表す印刷データの値と、印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データの値と、の対応関係を示す質感プロファイルを備え、前記質感プロファイルを利用して、前記印刷データから前記質感情報データを取得する質感情報データ取得装置。
【0011】
このように、適用例1の質感情報データ取得装置では、特定の印刷装置に依存した印刷データから、質感プロファイルを利用して、印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データを取得するようにしている。このように取得した質感情報データは、印刷装置等のデバイスに依存しないデータであるため、このような質感情報データから、さらに、画像表示を行うための画像表示データを導き出して、ディスプレイ等で画像表示を行うようにすれば、印刷装置で印刷される印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を、ディスプレイ等に表示される画像において表すことができる。
【0012】
[適用例2]
適用例1に記載の質感情報データ取得装置において、前記対応関係は、前記印刷記録材にて印刷されたカラーチャートにおける各カラーパッチ毎に、そのカラーパッチの表面について、入射光に対する反射光強度の比を半天球全方位で計測し、その計測結果に基づいて導き出されたことを特徴とする質感情報データ取得装置。
このようにして、上記対応関係を導き出すことにより、質感情報データとして、印刷装置等のデバイスに依存しないデータを得ることができる。
【0013】
[適用例3]
適用例1に記載の質感情報データ取得装置において、前記質感情報データは、双方向反射率分布関数(Bidirectional Reflectance Distribution Function:BRDF)のパラメータを用いて表されることを特徴とする質感情報データ取得装置。
BRDF自体、コンピュータグラフィックス分野では、すでにリアルな画像を人工的に生成する際に広く用いられているものだからである。
【0014】
[適用例4]
表示制御システムであって、適用例1ないし適用例3のうちの任意の1つに記載の質感情報データ取得装置と、前記質感情報データ取得装置の取得した前記質感情報データに基づいて、画像表示を行うための画像表示データを導き出す画像表示データ導出装置と、前記画像表示データ導出装置の導き出した前記画像表示データを、ディスプレイプロファイルを利用して、特定のディスプレイに入力すべき画像表示データに変換する画像表示データ変換装置と、を備える表示制御システム。
【0015】
このように、質感情報データ取得装置によって、印刷装置等のデバイスに依存しない質感情報データを取得し、画像表データ導出装置によって、その質感情報データから、画像表示を行うための画像表示データを導き出し、画像表示データ変換装置によって、その画像表データを、ディスプレイプロファイルを利用して特定のディスプレイに入力すべき画像表示データに変換して、その特定のディスプレイで画像表示を行うようにすれば、印刷装置で印刷される印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を、その特定のディスプレイに表示される画像において表すことができる。
【0016】
[適用例5]
適用例4に記載の表示制御システムにおいて、前記画像表示データは、前記画像表示として、3次元画像表示を行うことが可能なデータであることを特徴とする表示制御システム。
【0017】
画像表データとして、このようなデータを用いることにより、所望の光源位置から光を当て、所望の観察位置で観察した場合の、印刷表面の質感と一致した質感を、特定のディスプレイに表示される画像において表すことができる。
【0018】
[適用例6]
質感情報データ取得方法であって、特定の印刷装置で印刷時に使用される印刷記録材の量を表す印刷データの値と、印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データの値と、の対応関係を示す質感プロファイルを用意する工程と、用意した前記質感プロファイルを利用して、前記印刷データから前記質感情報データを取得する工程と、を備える質感情報データ取得方法。
適用例6の質感情報データ取得方法によれば、適用例1と同様の効果を奏することができる。
【0019】
[適用例7]
質感情報データを取得するためのコンピュータプログラムであって、特定の印刷装置で印刷時に使用される印刷記録材の量を表す印刷データの値と、印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データの値と、の対応関係を示す質感プロファイルを利用して、前記印刷データから前記質感情報データを取得する機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
適用例7のコンピュータプログラムによれば、適用例1と同様の効果を奏することができる。
【0020】
なお、本発明は、上記した質感情報データ取得装置や表示制御システムなどの装置発明の態様や質感情報データ取得方法などの方法発明の態様やそれら方法や装置を構築するためのコンピュータプログラムとしての態様に限ることなく、そのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体としての態様や、上記コンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号など、種々の態様で実現することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
A.実施例の構成:
図1は本発明の一実施例としての印刷表示システムを示すブロック図である。図1に示す印刷表示システムは、画像処理装置であるパーソナルコンピュータ(以下、単にPCと略す)100と、画像の印刷を行うプリンタ200と、画像の表示を行うディスプレイ300と、で構成されている。なお、本実施例では、便宜上、プリンタ200を「プリンタA」と呼び、ディスプレイ300を「ディスプレイX」と呼ぶものとする。
【0022】
このうち、PC100は、図1に示すように、アプリケーションなどのコンピュータプログラムを実行することにより種々の処理や制御を行うCPU110と、上記コンピュータプログラムを格納したり、処理中に得られたデータや情報を一時的に格納したりするためのメモリ120と、画像データ132や各種プロファイルなどを格納するためのハードディスク装置130と、CPU110と各種周辺装置との間でデータや情報のやりとりを行うためのI/O部140と、ネットワークカードなどから成り、ネットワークを介して他の装置と通信を行なうための通信部150と、キーボードやポインティングデバイスなどから成り、ユーザからの指示を入力するための入力部160と、上記コンピュータプログラムなどが書き込まれたCD−ROMなどの記録媒体172から、情報を読み取るための情報読取部170と、を備えている。
【0023】
CPU110は、メモリ120に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、画像処理部121,色変換部122,質感情報データ取得部124,3次元画像作成部126及び画像表示データ変換部128として機能する。
【0024】
このように、本実施例では、コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録する「記録媒体」としてCD−ROMなどを利用することを述べたが、その他にも、フレキシブルディスクや光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。コンピュータプログラムは、このような記録媒体に記録された形態での提供の他、ネットワークを介して、コンピュータプログラムを供給するプログラムサーバ(図示せず)にアクセスし、プログラムサーバからPCに取り込むようにしても良い。上記コンピュータプログラムの一部は、オペレーティングシステムプログラムによって構成するようにしても良い。
【0025】
また、プリンタAは、シアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインクの他、金属色の印刷を行うために、メタリックインクを備えている。
【0026】
本実施例において、PC100における質感情報データ取得部124は、請求項における質感情報データ取得装置に、PC100における3次元画像作成部126は、請求項における画像表示データ導出装置に、PC100における画像表示データ変換部128は、請求項における画像表示データ変換装置に、プリンタAは、請求項における印刷装置に、それぞれ相当する。
【0027】
B.実施例の動作:
本実施例における動作として、印刷物に印刷される画像に関し、ディスプレイXで、プレビュー表示を行う場合の動作と、シミュレーション表示を行う場合の動作について、それぞれ説明する。
【0028】
B−1.プレビュー表示
それでは、まず、プレビュー表示を行う場合の動作について、図1〜図3を用いて説明する。図2は図1における印刷表示システムにおけるプレビュー表示時のデータ処理手順を概略的に示したブロック図であり、図3は図2におけるデータ処理手順をより具体的に示した説明図である。
【0029】
まず、ユーザは、入力部160を操作して、専用アプリケーションを起動した後、プレビュー表示用のプロファイル設定ウインドウの表示を指示すると、その専用アプリケーションによって、図3の左上に示すようなウインドウが、ディスプレイXの画面上に表示される。次に、ユーザは、入力部160を操作して、そのウインドウ内において、各デバイスのプロファイルを設定する。具体的には、ディスプレイについて、PC100に接続されているディプレイXのプロファイルを設定し、プリンタについては、カラープロファイル及び質感プロファイルとして、それぞれ、PC100に接続されているプリンタAのプロファイルを設定する。この結果、図1及び図2に示すように、CPU110によって機能される質感情報データ取得部124が、ハードディスク装置130内からプリンタA質感プロファイル134を読み出して取り込み、画像表示データ変換部128が、ディプレイXプロファイル136を読み出して取り込む。なお、色変換部122も、プリンタAカラープロファイルを読み出して取り込むが、図では省略されている。
【0030】
次に、ユーザは、入力部160を操作して、ハードディスク装置130内の画像データ132を指定して、画像印刷の指示を出すと、図2に示すように、画像処理部121が、ハードディスク装置130から画像データ132を読み出して、所望の画像処理を施した後、シアン,マゼンタ,イエロ,ブラックの各色と、金属色と、をそれぞれ表す画像記録データc,m,y,k,mtとして出力する。次に、色変換部122は、画像処理部121から出力された画像記録データc,m,y,k,mtを入力し、プリンタAが備えるシアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインク、メタリックインクの各インクについて、印刷時に使用されるインク量を表す印刷データC,M,Y,K,MTに変換する。具体的には、プリンタAカラープロファイルを用いて、プリンタAの色再現範囲に適応するように、印刷データへの色変換を行う。こうして得られた印刷データC,M,Y,K,MTは、プリンタAに出力される。プリンタAは、その印刷データC,M,Y,K,MTに基づいて、印刷用紙(図示せず)に、シアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインク、メタリックインクにて、画像の印刷を行う。この結果、金属光沢感などを備えた高付加価値な印刷物を得ることができる。即ち、印刷物の金属光沢感などは、メタリックインクと、それ以外の色インクのそれぞれの印刷に使用されるインク量により決定される。このことは、各色の色インクとメタリックインクによって構成される印刷データの中に質感情報が含まれていることを示している。
【0031】
一方、色変換部122による色変換によって得られた印刷データC,M,Y,K,MTは、プリンタAの他、質感情報データ取得部124にも出力される。質感情報データ取得部124では、プリンタA質感プロファイル134を利用して、入力された印刷データC,M,Y,K,MTから、プリンタやディスプレイ等のデバイスに依存しない質感情報データを取得する。本実施例において、質感情報データは、偏角色特性データとして表され、具体的には、双方向反射率分布関数(Bidirectional Reflectance Distribution Function:BRDF)のパラメータを用いて表される。ここで、BRDFとは、任意の物体表面の対象としている観測点に対し、入射光と反射光の関係を、半天球全方位で記述した物理量であり、これを分光特性で測定した分光BRDFでは、物体の色と反射の特性を記述することができ、コンピュータグラフィックス分野では、すでにリアルな画像を人工的に生成する際に広く用いられているものである。
【0032】
本実施例において、BRDFのパラメータとしては、画像表示に対応すべく、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の各色毎に、それぞれ、4つのパラメータm,ks,kd,nが用意されている。これらパラメータのうち、mは、物体の表面粗さを表す係数であり、ksは、物体の表面反射率ρsに対する係数であり、kdは、物体の内部拡散反射率ρdに対する係数であり、nは、物体の屈折率である。なお、詳しい内容については、後ほど説明する。
【0033】
質感情報データ取得部124は、上記した如く取り込んだプリンタA質感プロファイル134の他、補間演算部(図示せず)を備えている。プリンタA質感プロファイル134は、図3に示すように、印刷データC,M,Y,K,MTを入力とし、質感情報データmr,ksr,kdr,nr,mg,ksg,kdg,ng,mb,ksb,kdb,nbを出力として、それらの値の対応関係を表すものである。なお、このうち、mr,ksr,kdr,nrは、レッド(R)成分に関するパラメータであり、mg,ksg,kdg,ngは、グリーン(G)成分に関するパラメータであり、mb,ksb,kdb,nbは、ブルー(B)成分に関するパラメータである。
【0034】
図3に示すプリンタA質感プロファイルおいて、左側のC,M,Y,K,MTが、入力である印刷データであり、右側の色成分毎に区切られたmr,ksr,kdr,nr,mg,ksg,kdg,ng,mb,ksb,kdb,nbが、出力である質感情報データである。すなわち、質感情報データ取得部124は、印刷データC,M,Y,K,MTの一組の値が入力された場合に、このプリンタA質感プロファイルに従って、その組に対応する質感情報データmr,ksr,kdr,nr,mg,ksg,kdg,ng,mb,ksb,kdb,nbの一組の値を出力することになる。なお、このプリンタA質感プロファイルに記載されていない組の値については、それらに近い組の値を用いて、補間演算部(図示せず)が補間演算を行うことにより、導き出すようにする。
【0035】
図4は物体での光の反射の仕方を模式的に示した説明図であり、図5はBRDFで用いられる計測幾何を示す説明図である。
【0036】
図4に示すように、不均質物体が光源で照らされた場合、光は大きく分けて、物体表面で反射する光と、物体内部まで入って物体内で散乱し、物体表面から再度出てくるような反射光と、に分けられる。BRDFは、物体表面の1点に対して、入射光に対する反射光強度の比(反射率、スペクトル光に対しては分光反射率)を半天球全方位で計測した物理量であって、図5に示すような計測幾何に基づいて3次元変角計測器で計測される。図5において、φiは入射光のX軸に対する角度であり、θiは入射光のZ軸に対する角度であり、φoは反射光のX軸に対する角度であり、θoは反射光のZ軸に対する角度である。
【0037】
そこで、図3に示したプリンタA質感プロファイルで用いられる印刷データと質感情報データとの対応関係は、次のようにして求められている。すなわち、予め、プリンタAで使用されているシアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインク、メタリックインクと同じインクを用いて、カラーチャートを印刷する。そして、そのカラーチャートにおける各カラーパッチ毎に、それぞれ、そのカラーパッチの表面について、上記した3次元変角計測器を用いて、入射光に対する反射光強度の比を半天球全方位で計測し、その計測結果からBRDFのパラメータを求める。そして、各カラーパッチについて、印刷時に使用した各インクのインク量と、求めたBRDFのパラメータm,ks,kd,nと、の対応関係から、印刷データと質感情報データとの対応関係を導き出すようにする。
【0038】
次に、3次元画像作成部126は、図2及び図3に示すように、質感情報データ取得部124において、プリンタA質感プロファイルを利用して取得された質感情報データ、すなわち、BRDFのパラメータを用いて、画像表示を行うためのレッド,グリーン,ブルーの各色を表す画像表示データR,G,Bを導き出す。画像表示データR,G,Bは、以下に示すように、図5に示した入射光の角度φi,θi及び反射光の角度φo,θoに依存した値として表される。
【数1】

なお、本実施例では、このとき導き出される画像表示データのR,G,B各成分のパラメータは、AdobeRGBでの値で算出されたものとなる。なお、AdobeRGBとは、Adobe Systemsが定義した色空間のことである。
【0039】
それでは、BRDFのパラメータから、画像表示データR,G,Bを導き出す方法について説明する。なお、画像表示データR,G,Bのうち、代表して、R成分について説明するものとする。
【0040】
画像表示データのR成分は、具体的には、式(1)で示すように表される。
【数2】

ここで、ρdは、前述したとおり、内部拡散反射率であり、ρsは表面反射率であり、ksr,kdrは、それぞれ係数である(ksr+kdr=1)。 式(1)のρs(φo,θo,φi,θi)は、式(2)によって算出される。
【数3】

このうち、D(m,γ)は微小面分布関数を示し、Gは幾何学的減衰係数を示し、F(θ)はフレネル反射を示す。
【0041】
まず、微小面分布関数D(m,γ)について説明する。図6は微小面に対して定義される4つの方向ベクトルを示す説明図である。
【0042】
今、微小面が物体表面の凹凸を形成すると考えた場合、各微小面が様々な方向を向くことになる。従って、この微小面の方向の分布が表面の粗さによる鏡面反射光の輝度分布を表すことになる。微小面の向きは、図6に示すように、光源方向ベクトルLと観察方向ベクトルVの垂直二等分線のベクトルH(ハーフベクトル)によって記述される。数式で表すと、ハーフベクトルHは(3)式で定義される。なお、ベクトルNは物体表面に対する法線ベクトルである。
【数4】

微小面分布関数D(m,γ)は、種々存在するが、代表的なものとしてBeckmann分布関数が知られており、式(4)によって表される。
【数5】

ここで、mは、前述したとおり、表面粗さを表す係数であり、値が大きいほど粗い面となり、その場合、分布関数自体が空間的に大きな広がりを持つ形状を取る。
【0043】
次に、幾何学的減衰係数Gについて説明する。図7は幾何構造に起因する光の減衰を説明するための説明図である。
【0044】
今、物体表面の凹凸が様々な方向を向いていると考えると、図7に示すように、光の入射、反射時において、光が遮られる場合がある。入射時に遮られる場合(図7(a))をシャドウイング(Shadowing)と呼び、反射時に遮られる場合(図7(b))をマスキング(Masking)と呼ぶ。この場合、いずれも光の強度は減衰することになる。
【0045】
このシャドウイング(図7(a))の場合と、マスキング(図7(b))の場合とを、図6で定義した4つの方向ベクトルを使ってそれぞれ定式化すると、次のように表すことができる。
シャドウイング(図7(a))の場合
【数6】

マスキング(図7(b))の場合
【数7】

【0046】
光が全く遮られることがない場合は、減衰はないので、値を1とする。光がシャドウイング,マスキングのいずれかによって遮られる場合は、0〜1の間で減衰すると考えると、図7の状態は、幾何学的な構造によって影響を受ける減衰率とみなすことができ、幾何学的減衰係数Gとして定義することができる。この減衰係数Gの範囲は、0〜1である。また、値は1より大きいことはなく、従って、幾何学的減衰係数Gは、以下の式(7)で表すことができる。
【数8】

【0047】
次に、フレネル反射Fについて説明する。物体の表面に光が入射した場合、入射した光は、表面で反射する光と屈折して物体内部に入る光とに分かれ、その割合は、入射する光の角度に依存して変化する。このとき、物体表面で生じる反射をフレネル反射と呼び、そのフレネル反射F(θ)は、以下の式(8)によって表される。
【数9】

ここで、nは、前述したとおり、物体の屈折率である。
【0048】
以上、式(2)における微小面分布関数D(m,γ),幾何学的減衰係数G,フレネル反射F(θ)について、それぞれ、説明した。
【0049】
従って、質感情報データ取得部124にて取得したBRDFのパラメータ(すなわち、質感情報データ)において、R成分に関する4つのパラメータmr,ksr,kdr,nrのうち、mrを式(4)のmに代入し、nrを式(8)のnに代入するようにすれば、式(1)に示すR成分用のρs(φo,θo,φi,θi)が算出される。
【0050】
一方、式(1)において、ρdは、反射方向には依存せず、(N・L)で一定値であり、kdrρdの項は、kdrの値によってのみ変化する。
【0051】
以上のようにして、BRDFのパラメータにおける、R成分に関する4つのパラメータmr,ksr,kdr,nrから、式(1)に基づいて、画像表示データのR成分R(φo,θo,φi,θi)を導き出すことができる。また、G成分G(φo,θo,φi,θi)、B成分B(φo,θo,φi,θi)についても、R成分の場合と同様にして、上記した計算により導き出すことができる。
【0052】
こうして導き出された画像表示データのR成分,G成分,B成分は、何れも、図5に示した入射光の角度φi,θi及び反射光の角度φo,θoに依存した値として表される。
【0053】
そこで、ユーザが、入力部160を操作して、例えば、光源の位置と観察の位置とを指示すると、3次元画像作成部126は、指定された各位置に基づいて、図5に示した入射光の角度φi,θi及び反射光の角度φo,θoをそれぞれ算出し、その算出した各々の角度に基づいて、画像表示データのR成分,G成分,B成分の各値を一意的に決定する。
【0054】
次に、画像表示データ変換部128は、3次元画像作成部126によって導き出された画像表示データR,G,Bを、ディプレイXプロファイル136を利用して、ディスプレイXに入力すべきレッド,グリーン,ブルーの各色を表す画像表示データR”,G”,B”に変換する。すなわち、前述したように、3次元画像作成部126によって導き出された画像表示データR,G,Bは、AdobeRGBの色空間での値であるため、これらをディスプレイXの色再現範囲内の値に変換するものである。こうして、画像表示データ変換部128による変換により得られた画像表示データR”,G”,B”は、ディスプレイXに出力され、ディスプレイXは、プレビュー表示として、その画像表示データR”,G”,B”に基づいて、画像の表示を行う。
【0055】
ユーザが、入力部160をさらに操作して、光源の位置や観察の位置を変えると、それに応じて、画像の表示が3次元的に変化するため、3次元画像の表示が可能となる。なお、このような3次元画像作成部126の機能は、例えば、3DCADソフトである「Auto desk Maya」や「nStyler」などのアプリケーションプログラムを用いることによって実現することができる。
【0056】
以上のようにして、本実施例では、プリンタAに入力される、プリンタAに依存した印刷データC,M,Y,K,MTから、プリンタA質感プロファイル134を利用して、プリンタAやディスプレイX等のデバイスに依存せず、プリンタAで印刷される印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データを取得するようにしている。そして、その質感情報データから、画像表示を行うための画像表示データR,G,Bを導き出し、さらに、ディプレイXプロファイル136を利用して、ディスプレイXに入力すべき画像表示データR”,G”,B”に変換した上で、ディスプレイXに3次元画像を表示するようにしている。この結果、ディスプレイXでは、プレビュー表示として、印刷物に印刷された画像と同じ3次元画像を画面上に表示することができる。すなわち、プリンタAで印刷される印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を、ディスプレイXに表示される画像として表現することが可能となる。
【0057】
B−2.シミュレーション表示
それでは、次に、シミュレーション表示を行う場合の動作について、図1,図8,図9を用いて説明する。図8は図1における印刷表示システムにおけるシミュレーション表示時のデータ処理手順を概略的に示したブロック図であり、図9は図8におけるデータ処理手順をより具体的に示した説明図である。なお、以下の説明では、シミュレーションとして、プリンタA用のデータを用いてプリンタBで印刷出力した時の印刷画像の見え方についてシミュレートする場合を例に採り、説明する。
【0058】
まず、ユーザは、入力部160を操作して、シミュレーション表示用のプロファイル設定ウインドウの表示を指示すると、専用アプリケーションによって、図9の左上に示すようなウインドウが、ディスプレイXの表示画面に表示される。次に、ユーザは、入力部160を操作して、そのウインドウ内において、各デバイスのプロファイルを設定する。具体的には、ディスプレイについて、PC100に接続されているディプレイXのプロファイルを設定し、出力プリンタについては、カラープロファイル及び質感プロファイルとして、それぞれ、PC100に接続されているプリンタAのプロファイルを設定し、シミュレーション対象については、カラープロファイル及び質感プロファイルとして、それぞれ、プリンタBのプロファイルを設定する。なお、プリンタBについては、シミュレーション対象であるため、PC100に実際に接続されている必要はない。
【0059】
以上の結果、図1及び図8に示すように、CPU110によって機能される質感情報データ取得部124が、ハードディスク装置130内からプリンタA質感プロファイル134及びプリンタB質感プロファイル135を読み出して取り込み、画像表示データ変換部128が、ディプレイXプロファイル136を読み出して取り込む。なお、色変換部122も、プリンタAカラープロファイルを読み出して取り込むが、図では省略されている。
【0060】
次に、ユーザは、入力部160を操作して、ハードディスク装置130内の画像データ132を指定して、画像印刷の指示を出すと、プレビュー表示の場合と同様に、図8に示すように、画像処理部121が、ハードディスク装置130から画像データ132を読み出して、所望の画像処理を施した後、画像記録データc,m,y,k,mtとして出力する。そして、色変換部122は、その画像記録データc,m,y,k,mtを入力し、プリンタA用の印刷データC,M,Y,K,MTに変換して、プリンタAに出力する。プリンタAは、その印刷データC,M,Y,K,MTに基づいて、印刷用紙(図示せず)に画像の印刷を行う。
【0061】
一方、色変換部122による色変換によって得られた印刷データC,M,Y,K,MTは、プリンタAの他、質感情報データ取得部124にも出力される。質感情報データ取得部124では、入力された印刷データC,M,Y,K,MTから、質感プロファイルを利用して、プリンタやディスプレイ等のデバイスに依存しない質感情報データを取得する。このとき、用いる質感プロファイルとしては、プリンタA質感プロファイル134だけでなく、プリンタBで印刷出力した時の印刷画像の見え方をシミュレートするために、プリンタB質感プロファイル135も利用する。具体的には、質感情報データ取得部124は、図9に示すように、印刷データC,M,Y,K,MTの一組の値が入力された場合に、まず、プリンタA質感プロファイルに従って、その組に対応する質感情報データmr,ksr,kdr,nr,mg,ksg,kdg,ng,mb,ksb,kdb,nbの一組の値を導き出し、その値を変換して、さらに、プリンタB質感プロファイルに従って、その組に対応する質感情報データm’r,k’sr,k’dr,n’r,m’g,k’sg,k’dg,n’g,m’b,k’sb,k’db,n’bの一組の値を導き出し、出力することになる。なお、プリンタA質感プロファイルやプリンタB質感プロファイルに記載されていない組の値については、それらに近い組の値を用いて、補間演算部(図示せず)が補間演算を行うことにより、導き出すようにする。
【0062】
次に、3次元画像作成部126は、図8及び図9に示すように、質感情報データ取得部124において、プリンタA質感プロファイル及びプリンタB質感プロファイルを利用して取得された質感情報データを用いて、画像表示を行うための画像表示データR’,G’,B’を導き出す。なお、このとき導き出される画像表示データのR’,G’,B’各成分のパラメータも、AdobeRGBでの値で算出されたものとなる。
【0063】
次に、画像表示データ変換部128は、3次元画像作成部126によって導き出された画像表示データR’,G’,B’を、ディプレイXプロファイル136を利用して、ディスプレイXに入力すべき画像表示データR”,G”,B”に変換して、ディスプレイXに出力する。この結果、ディスプレイXは、その画像表示データR”,G”,B”に基づいて、画像の表示を行うことにより、シミュレーション表示として、プリンタBで印刷出力した時の印刷画像の見え方をシミュレートした画像を表示する。
【0064】
以上のようにして、本実施例では、プリンタAに入力される、プリンタAに依存した印刷データC,M,Y,K,MTから、プリンタA質感プロファイル134及びプリンタB質感プロファイル135を利用して、プリンタAやプリンタBやディスプレイX等のデバイスに依存せず、プリンタBで印刷されたと仮定される印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データを取得するようにしている。そして、その質感情報データから、画像表示を行うための画像表示データR’,G’,B’を導き出し、さらに、ディプレイXプロファイル136を利用して、ディスプレイXに入力すべき画像表示データR”,G”,B”に変換した上で、ディスプレイXに3次元画像を表示するようにしている。この結果、ディスプレイXでは、シミュレーション表示として、プリンタA用のデータを用いてプリンタBで印刷出力された画像と同じ3次元画像を画面上に表示することができる。すなわち、プリンタA用のデータを用いてプリンタBで印刷される印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を、ディスプレイXに表示される画像として表現することが可能となる。
【0065】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0066】
C−1.変形例1:
上記した実施例では、質感情報データを、画像表示データを導き出すために用いるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のプリンタで画像印刷を行うべく、他のプリンタ用の印刷データを導き出すために用いるようにしてもよい。
【0067】
図10は本発明の一変形例としての印刷表示システムにおける他プリンタ印刷時のデータ処理手順を概略的に示したブロック図である。この印刷表示システムでは、画像処理部121,色変換部122,質感情報データ取得部124,プリンタ200(プリンタA)の他、画像印刷データ取得部129,プリンタ400も備えている。なお、この変形例では、便宜上、プリンタ400を「プリンタB」と呼ぶものとする。また、プリンタBも、プリンタAと同様、シアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインク,メタリックインクを備えている。
【0068】
図10において、画像処理部121,色変換部122,質感情報データ取得部124,プリンタAの各動作は、上記した実施例の場合と同様であるので、それらについての説明は省略する。
【0069】
画像印刷データ取得部129は、プリンタB質感プロファイル135を備えており、そのプリンタB質感プロファイル135を利用して、質感情報データ取得部124にて取得された質感情報データから、プリンタBが備えるシアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインク、メタリックインクの各インクについて、印刷時に使用されるインク量を表す印刷データC’,M’,Y’,K’,MT’を取得して、プリンタBに出力する。プリンタBは、その印刷データC’,M’,Y’,K’,MT’に基づいて、印刷用紙(図示せず)に、シアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインク、メタリックインクにて、画像の印刷を行う。この結果、プリンタBでは、金属光沢感などを備えた高付加価値な印刷物を得ることができると共に、その印刷物における印刷表面と質感として、プリンタAで印刷された印刷物における印刷表面の質感と一致した質感を得ることが可能となる。
【0070】
また、質感情報データは、このように、他のプリンタ用の印刷データを導き出すために用いるだけでなく、質感情報データをそのまま保存したり、伝送したり、或いは加工したり、質感の評価に用いたり、することもできる。また、質感情報データから、他の形式の印刷データを取得するのに用いたりすることもできる。従って、PC100においては、少なくとも、質感情報データ取得部124を備えていればよく、3次元画像作成部126や画像表示データ変換部128は必ずしも備えている必要はない。
【0071】
C−2.変形例2:
上記した実施例において、質感情報データ取得部124は、質感情報データ(すなわち、BRDFのパラメータ)として、R,G,Bの各色毎に、それぞれ、4つのパラメータm,ks,kd,nを用いるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、m,nのパラメータについては、R,G,Bの各色共通で用いるようにしてもよい。すなわち、その場合、BRDFのパラメータは、m,n,ksr,kdr,ksg,kdg,ksb,kdbとなるため、質感プロファイルとしても、それに対応したものを用意する必要がある。なお、このように、m,nのパラメータをR,G,Bの各色共通で用いるようにしても、式(1)〜(8)を用いて、画像表示データのR成分R(φo,θo,φi,θi)、G成分G(φo,θo,φi,θi)、B成分B(φo,θo,φi,θi)を、それぞれ求めることができる。
【0072】
C−3.変形例3:
上記した実施例において、質感情報データ取得部124は、印刷データC,M,Y,K,MTから、質感情報データを取得するようにしていたが、本発明はこれに限定れるものではなく、質感情報データと共に、色情報データも取得するようにしてもよい。
【0073】
C−4.変形例4:
上記した実施例では、プリンタは、金属色を出すために、メタリックインクを用いるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これに代えて、或いは、これと共に、クリアインクや紫外線硬化インクなどを用いるようにしてもよい。その場合、プリンタ及び質感情報データ取得部124には、印刷データとして、クリアインクや紫外線硬化インクに関する印刷時のインク量に対応するデータも入力されることになる。
【0074】
また、プリンタは、メタリックインク,クリアインク,紫外線硬化インクなどの特殊インクを用いず、シアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインクなどの通常インクのみを用いるようにしてもよい。その場合、当然ながら、プリンタ及び質感情報データ取得部124には、印刷データとして、それら通常インクに関するデータのみ(例えば、C,M,Y,Kのみ)が入力されることになる。その際、質感情報データ取得部124は、その入力された印刷データC,M,Y,Kから、質感情報データ(すなわち、BRDFのパラメータ)m,ks,kd,nを取得するようにしてもよい。
【0075】
C−5.変形例5:
上記した実施例では、プリンタは、印刷記録材として、インクを用いるようにしたが、トナーなど、他の記録材を用いるようにしてもよい。
【0076】
C−6.変形例6:
上記した実施例では、質感情報データを、BRDFのパラメータを用いて表すようにしたが、例えば、光沢度,メタリック度,凹凸度など、別の指標を用いて表すようにしてもよい。
【0077】
上記した実施例では、印刷データをC,M,Y,K,MTとしたが、C,M,Y,MTを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施例としての印刷表示システムを示すブロック図である。
【図2】図1における印刷表示システムにおけるプレビュー表示時のデータ処理手順を概略的に示したブロック図である。
【図3】図2におけるデータ処理手順をより具体的に示した説明図である。
【図4】物体での光の反射の仕方を模式的に示した説明図である。
【図5】BRDFで用いられる計測幾何を示す説明図である。
【図6】微小面に対して定義される4つの方向ベクトルを示す説明図である。
【図7】幾何構造に起因する光の減衰を説明するための説明図である。
【図8】図1における印刷表示システムにおけるシミュレーション表示時のデータ処理手順を概略的に示したブロック図である。
【図9】図8におけるデータ処理手順をより具体的に示した説明図である。
【図10】本発明の一変形例としての印刷表示システムにおける他プリンタ印刷時のデータ処理手順を概略的に示したブロック図である。
【符号の説明】
【0079】
110…CPU
120…メモリ
121…画像処理部
122…色変換部
124…質感情報データ取得部
126…3次元画像作成部
128…画像表示データ変換部
129…画像印刷データ取得部
130…ハードディスク装置
132…画像データ
134…プリンタA質感プロファイル
135…プリンタB質感プロファイル
137…ディスプレイXプロファイル
140…I/O部
150…通信部
160…入力部
170…情報読取部
172…記録媒体
200…プリンタA
300…ディスプレイX
400…プリンタB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質感情報データ取得装置であって、
特定の印刷装置で印刷時に使用される印刷記録材の量を表す印刷データの値と、印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データの値と、の対応関係を示す質感プロファイルを備え、前記質感プロファイルを利用して、前記印刷データから前記質感情報データを取得する質感情報データ取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の質感情報データ取得装置において、
前記対応関係は、前記印刷記録材にて印刷されたカラーチャートにおける各カラーパッチ毎に、そのカラーパッチの表面について、入射光に対する反射光強度の比を半天球全方位で計測し、その計測結果に基づいて導き出されたことを特徴とする質感情報データ取得装置。
【請求項3】
請求項1に記載の質感情報データ取得装置において、
前記質感情報データは、双方向反射率分布関数(Bidirectional Reflectance Distribution Function:BRDF)のパラメータを用いて表されることを特徴とする質感情報データ取得装置。
【請求項4】
表示制御システムであって、
請求項1ないし請求項3のうちの任意の1つに記載の質感情報データ取得装置と、
前記質感情報データ取得装置の取得した前記質感情報データに基づいて、画像表示を行うための画像表示データを導き出す画像表示データ導出装置と、
前記画像表示データ導出装置の導き出した前記画像表示データを、ディスプレイプロファイルを利用して、特定のディスプレイに入力すべき画像表示データに変換する画像表示データ変換装置と、
を備える表示制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の表示制御システムにおいて、
前記画像表示データは、前記画像表示として、3次元画像表示を行うことが可能なデータであることを特徴とする表示制御システム。
【請求項6】
質感情報データ取得方法であって、
特定の印刷装置で印刷時に使用される印刷記録材の量を表す印刷データの値と、印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データの値と、の対応関係を示す質感プロファイルを用意する工程と、
用意した前記質感プロファイルを利用して、前記印刷データから前記質感情報データを取得する工程と、
を備える質感情報データ取得方法。
【請求項7】
質感情報データを取得するためのコンピュータプログラムであって、
特定の印刷装置で印刷時に使用される印刷記録材の量を表す印刷データの値と、印刷物における印刷表面の質感を表す質感情報データの値と、の対応関係を示す質感プロファイルを利用して、前記印刷データから前記質感情報データを取得する機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−152533(P2010−152533A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328351(P2008−328351)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】